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  • 特許-ゴルフコースの「多用パターン」 図1
  • 特許-ゴルフコースの「多用パターン」 図2
  • 特許-ゴルフコースの「多用パターン」 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ゴルフコースの「多用パターン」
(51)【国際特許分類】
   A63C 19/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A63C19/00 D
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021163421
(22)【出願日】2021-10-04
(62)【分割の表示】P 2018568275の分割
【原出願日】2017-06-20
(65)【公開番号】P2022008830
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】2016126449
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】518456421
【氏名又は名称】セルゲイ ウラジミロヴィチ ボリソフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ウラジミロヴィチ ボリソフ
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04157831(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0072692(US,A1)
【文献】特表2001-510717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0183126(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0154736(US,A1)
【文献】特開平04-246386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/00 - 19/12
A63B 67/00 - 69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフコースであって、
ゴルフコースを形成する土地の構築から生じる一群の確定的要素であって、18のティー領域と、対応する数のグリーンと、さらにフェアウェイ及びハザードとを含み、前記ティー領域の各々が、少なくとも2つの前記グリーンから、パー3、パー4又はパー5のいずれかのプレイ距離内に在る一群の確定的要素と、
を含むゴルフコースにおいて、
少なくとも3つの所定のゴルフコースのルートであって、前記ルートの各々が、少なくとも3つの異なるスコアカードのうち特定の1つのスコアカードに対応する少なくとも3つの所定のゴルフコースのルートと、
前記一群の確定的要素のうち
1つのティー領域と、
1つのグリーンと、
前記ティー領域及び前記グリーンの間に配置された1つのフェアウェイと、を含むプレイ区域と、
を特徴とし、
前記所定のゴルフコースのルートが、他の前記所定のゴルフコースのルートと異なり、
前記ティー領域の数が前記グリーンの数と一致し、
前記一群の確定的要素における同一の前記ティー領域及び前記グリーンが、前記少なくとも3つの所定のゴルフコースのルートの各々に用いられており、
前記18のティー領域と対応する数のグリーンとの各々が、前記所定のゴルフコースのルート毎に1回使用されることを特徴とするゴルフコース。
【請求項2】
前記ハザードが、池、トラップ、バンカー、木、灌木及び丘からなるグループから選択される請求項1に記載のゴルフコース。
【請求項3】
少なくとも1つの前記ティー領域が、3つの前記グリーンから、パー3、パー4又はパー5のいずれかのプレイ距離内に在る請求項1又は2に記載のゴルフコース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツの分野に関し、特に、ゴルフコースの形態でのスポーツ及びレクリエーション用の施設の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の有形物と同様に、ゴルフコースの設計は、確定的な構築要素、すなわち、それらの形状、規模、相対位置などの組み合わせにより特徴付けられ得る。ゴルフコースの典型的な設計態様は、幾つかの基準を満足すると共に多くの場合には18以下である複数のプレイ区域(ホール)を含む20~100ヘクタール以上の広大な土地の区画である。従来、18ホールのゴルフコースは、各々が9ホールである2つの部分に分割されることで、選択により、18ホール又は9ホールのみをプレイすることが可能とされる。各ホールは、相互から標準的なプレイ距離以内に配置された、ティー領域、すなわちティーで開始すると共に、グリーン、すなわち、実際のホール、すなわちボールが転がり込む陥没部(ホール陥没部)が載置されて最短の芝を有するという領域により終了する。各グリーンの面積は約600~650平方メートルであるが、それらの規模に対して明確な基準はない。さらに、グリーンは、完全に平坦な領域ではない。ボールを転がすときに曲がることを許容するために、ブレイクとして知られるアンジュレーションが生成される。但し、グリーンにおいては、ホール陥没部の載置を許容するために、アンジュレーションが制限された箇所(約1メートルの直径)が在るべきである。
【0003】
ホールのプレイ長さを決定するために、条件的基準である「パー」、すなわち、ゴルファーが好首尾な競技内容によりホール全体を完結すべきストロークの数が使用される。パーは、ティーからグリーンの中央までの実際の長さにより、且つ、各ホールの競技内容の困難さにより、決定される。各ホールの基準は、パー3のホールは長さが235メートル(257ヤード)未満とされ、パー4のホールは220~450メートル(241~492ヤード)の範囲とされ、パー5のホールは長さが415メートル(454ヤード)超とされるべきであるような方法のハンディキャップシステムで決定される。「パー」基準の定義における実際の長さに加え、起伏、障害物の存在、風の方向、というそのホールの競技内容の複雑さがさらに考慮される。故に、430メートル(470ヤード)の実際長を有するホールは、そのホールの競技内容の複雑さに依存して、「パー4」又は「パー5」に分類され得る。
【0004】
各ホールのパーの合計が、コースの全体的パーである(通常は、18ホールの標準的コースに対して70~72に等しい)。
【0005】
ティー及びグリーンに加え、各ホールは、フェアウェイ、すなわち、ティーとグリーンとの間におけるプレイ面の殆どを占有する中間高さの芝を備えた領域を有する。フェアウェイは、両側にて、当該領域からのショットを相当に困難とし得るラフ又はセミラフとして知られるさらに長い芝により囲繞される。各ホール内、及び、それらの回りの種々の場所には、種々のハザード、すなわち、特にプレイ面上に構築された該面上の要素が配置されることで、競技内容を難しくしている。ハザードとして、例えば、池、サンドトラップバンカーなどの人工的に作成された物体、及び、例えば、木、灌木、丘などの景観における自然の物体が使用され得る。
【0006】
ゴルフコースの典型的な設計態様は、短い距離範囲にて、特に各ホールが対向するなら、相互に平行なホールは含まない、というのも、一方のホールから打たれたボールが、平行なホール上のプレーヤに当たり得るからである。さらに、2つのホールの交錯は許容されない、というのも、ハザードの存在の故に、同一のホール上の複数のプレーヤが、交錯しているホール上でプレイしているプレーヤを認識し得ないからである。ゴルフコースの構築における斯かる制約は、プレーヤの安全性の条件に基づいて導入される。
【0007】
従来のゴルフコースは、それらが、ホール番号、その長さ及びその対応するパーを表す、いわゆるスコアカードにおいて正式に決定された1つの所定のルートを有するような方法で、設計且つ構築される。
【0008】
各プレーヤは、(18ホールを備えるコースにおいて)ホール番号1にて競技を開始し、連続番号のホールに追随し、ホール番号18に至るべく一貫して移動する([Complete Encyclopedia. Golf. Moscow. AST Astrel. 2015. p.252-391 - www.dk.com])。
【0009】
ゴルフコースの典型的な設計態様の主な欠点は、経路が事前決定されることである、というのも、周囲条件に関わらず、コースで定常的にプレイするプレーヤは、一定期間の後、如何に打つべきか、ボールが何処に着地するか、及び、1つ又は別のハザードを如何にして回避するかを、非常に正確に認識するからである。すると、そのコースに対する課題が無くなることから、プレーヤに対するそれの魅力が失われ、他のゴルフコースに移る必要が出てくる。この故に、各ゴルフリゾートにては原則として、幾つかのゴルフコースが構築されることから、余分なコースを構築して運営する必要性に伴い、ゴルフクラブの経済効率が相当に低下する。
【0010】
ゴルフコースのルートにおける可変性に対する傾向は、後者の設計及び構築における支配的な流れであり、このことは、多くの国々における相当数の許可済み特許及び登録済み出願において確認されており、それらの内の最も典型的なものが、先行技術及びプロトタイプとして本明細書内に組み込まれる。
【0011】
特許文献1によれば、9ホールから成るゴルフコースが知られ、その特徴は、各グリーンが、変化するプレイ性により特徴付けられる2つのティー及び1つのフェアウェイを有することである。故に、9ホールのゴルフコースが実際には18ホール及び2つのルートを有し、すなわち、それは、相当な構築費用によりながらも低い可変性を有している。
【0012】
本発明のプロトタイプとして、特許文献2に係る技術的解決策が選択される。そのゴルフコースの設計態様は特許されており、それに基づくと、従来的な数、すなわち18のホール、及び、一群の確定的要素、すなわち、ティー、グリーン、フェアウェイ及びハザードが配置される。その解決策の固有の特徴は、ホールの各々が、異なる場所において且つ異なるパーを以て配置された複数のティーを有することである。故に、異なるティーからの競技は一定の変化性を導入するが、基本的に、ルートは事前決定されたままであり、すなわち、各ホールをプレイしてグリーンに進入する順番は常に同一である。これに加え、もし各ホールが3から5までのパーを有するティー群を備えるなら、ゴルフコースの面積、及び、結果として構築費用は、相当に増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第3,156,470号明細書
【文献】国際公開第2001026743号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、ゴルフコースにおける同一群の要素の存在において、そのルートの数を増加し、最終的に競技内容の可変性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の課題は、一群の確定的要素、すなわち、ティー、グリーン、フェアウェイ及びハザードを含む従来と同数のホールが在るゴルフコースにおいて、少なくとも1つのティーが少なくとも2つのグリーンから標準的なプレイ距離内に在ることにより、確立された全ての競技基準に対応して上記コースをプレイする新たなホールを形成し、すなわち、新たなルートを創造する、という事実により達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の技術的成果は、従来と同数の要素の存在下において、ゴルフコース上に異なる完全長のルートを創造することが可能であることから、競技内容の可変性が相当に高められると共に、構築費用が低減されるという事実に在る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来と同一群の要素を備え乍らも3つのルートが布置された同一の18ホールのゴルフコースの概略的なイメージを与える図である。
図2】従来と同一群の要素を備え乍らも3つのルートが布置された同一の18ホールのゴルフコースの概略的なイメージを与える図である。
図3】従来と同一群の要素を備え乍らも3つのルートが布置された同一の18ホールのゴルフコースの概略的なイメージを与える図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の一例として、ロシア、レニングラード州のフセヴォロシスク地区(Vsevolozhsk District of the Leningrad Region, Russia)において設計且つ構築されたゴルフコースが選択された。基本的な競技ルートは図1に示され、その場合、位置1、2、3、…18は18ホールのコースのティーを表し、且つ、対応グリーンは位置1d、2d、3d、…18dにより表される。本明細書によれば、図面(図2及び図3)中に示された残りのゴルフコース上のティー及びグリーンの付番法は、図1における付番法に対応する。各請求項の特徴部分によれば、権利請求された主題において、「少なくとも1つのティーは、少なくとも、2つのグリーンまで標準的なプレイ距離内に在る」と述べられた場合、斯かるティーの数は1つより多く、これにより、競技ルートの数を特に3まで増大することが許容され、このことは図面中では、丸で囲まれた数字として、対応ルートの番号を表す太実線として示される。2つのグリーンまで標準的な距離内である1つのティーの原理は、記述されたゴルフコースの全てティーに及ぶ。この状況によれば、基本的に、ルートの数を、3より多く、すなわち、図面中に示されたルートの数より多く増大することが許容される。以下においては、3通りの競技ルートの経路選定の順序における各ルートの条件イメージが導入される。
【0019】
ルート1(図1):1-1g、2-2g、3-3g、4-4g、5-5g、6-6g、7-7g、8-8g、9-9g、10-10g、11-11g、12-12g、13-13g、14-14g、15-15g、16-16g、17-17g、18-18g。
【0020】
図1に対応するゴルフコースのスコアカード
【表1】
【0021】
ルート2(図2):10-8g、9-7g、8-6g、7-5g、6-4g、4-3g、4-2g、3-1g、2-9g、10-11g、12-10g、11-12g、12-13g、14-12g、13-17g、17-15g、16-14g、15-18g。
【0022】
図2に対応するゴルフコースのスコアカード
【表2】
【0023】
ルート3(図3):10-4g、5-8g、9-7g、8-6g、7-5g、6-4g、4-2g、3-1g、2-9g、10-11g、12-10g、11-12g、13-14g、13-16g、15-14g、15-13g、14-12g、15-18g。
【0024】
図3に対応するゴルフコースのスコアカード
【表3】
【0025】
ティーは、競技が各プレイ区域において開始すべく意図的に構築されたティー領域であることを銘記すべきである。その場所には、幾つかの開始位置が在り得る。一例は、3つの開始位置が在る番号15により表されたティー、又は、2つの開始位置を備えるティー10である。
図1
図2
図3