(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】膣内装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/37 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A61F5/37 A
(21)【出願番号】P 2021504576
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2019059357
(87)【国際公開番号】W WO2019197585
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】520394104
【氏名又は名称】インヴェント メディック スウェーデン アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデルッソン、ウルリカ
(72)【発明者】
【氏名】スデェンゲル、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ブライデル、カリン
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、ライネ イレネ
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0295058(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0203959(US,A1)
【文献】米国特許第6110099(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料からなる、尿失禁を予防するための膣内装置であって、前記膣内装置は、
幾何学的中心線、第1の端部、および第2の端部を有する長手部分であって、前記第1の端部が、使用中に、前記膣内装置の最も内側となる長手部分と、
前記第1の端部で前記長手部分から突出する少なくとも1つの支持部分であって、前記少なくとも1つの支持部分が、膣壁を通って、最大尿道圧点に隣接して位置付けられる部位で、尿道に対して支持するように構成される、少なくとも1つの支持部分と、
前記第2の端部で前記長手部分から突出する基準部材であって、使用中において、前記基準部材が膣口に対して固定されて、膣内部に確実に固定される前記膣内装置を保持し、前記少なくとも1つの支持部分が意図する部位に配置されることを保証する、基準部材と
を備え、
前記支持部分と前記基準部材との間に配置される前記長手部分のセクションは、前記基準部材に向かって断面の面積が減少し、および/または、前記セクションの軸方向に沿って外面に少なくとも1つの溝を有する
ことを特徴とする、膣内装置。
【請求項2】
前記長手部分の前記セクションは、単一の溝を有し、前記単一の溝は、U字形状またはV字形状を有する部分の断面を提供する、請求項1記載の膣内装置。
【請求項3】
前記長手部分の前記セクションは、2つのアーチ面によって接続される2つの溝を有する、請求項1記載の膣内装置。
【請求項4】
前記2つのアーチ面のうちの一方が、他方よりも長いことで、前記長手部分の断面が、鍵穴の形状に類似する、請求項3記載の膣内装置。
【請求項5】
前記基準部材は、使用時に、前記長手部分から肛門に向かう第1の方向への角度、および/または、前記長手部分から陰核に向かう第2の方向への角度で突出する、請求項1~4のいずれか1項に記載の膣内装置。
【請求項6】
前記基準部材は、前記第2の方向よりも前記第1の方向により長く突出する、請求項5記載の膣内装置。
【請求項7】
前記基準部材は、前記長手部分の前記第2の端部との接続点で最も幅広となる、請求項1~
6のいずれか1項に記載の膣内装置。
【請求項8】
前記基準部材は、前記接続点での前記長手部分の前記第2の端部の断面よりも幅広である、請求項
7記載の膣内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊張性尿失禁に苦しむ女性のための補助を意図する膣内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁は、米国だけで1,300万人を超える女性に影響を及ぼす公衆衛生上の問題である。女性には、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、および混合性尿失禁などの、様々なタイプの尿失禁が存在する。切迫性尿失禁の女性は、切迫性によって引き起こされる少なくともいくつかの望ましくない漏出に苦しむ。ここでの焦点は緊張性尿失禁であるが、膣内装置は切迫性尿失禁も緩和する傾向にある。尿失禁に苦しむ女性のうち約半数が腹圧性尿失禁に苦しんでいる。緊張性尿失禁は、主に、膣またはその支持靭帯における結合組織の弛緩または損傷によって引き起こされる。尿失禁の背景とその起源は、Integral Theory(An integral theory and its method for the diagnosis and management of female urinary incontinence,Petros PE,Ulmsten Ul,Scand J Urol Nephrol Suppl,1993;153:1-93)におそらく記載されており、これは、3つの骨盤臓器、膀胱、膣、および肛門直腸をすべて含む、統合システム(Integral System)の3つのゾーンへの結合組織の損傷が、これらの臓器における脱出および機能不全の最終的な原因であると明記している。言い換えれば、腹圧性尿失禁は、尿道および膣壁を骨盤筋および恥骨と接続する組織および/または靭帯の欠陥機能によって引き起こされ得る。経膣分娩、慢性咳嗽を有し、肥満症または骨盤底への外傷に苦しんでいる女性は、より腹圧性尿失禁の傾向がある。しかし、遺伝的要因も重要であることがあり、これは、これらの欠陥機能を引き起こすことがある。
【0003】
今日、インテグラル理論(Integral Theory)の見識によってサポートされている外科的方法が存在する。たとえば、米国特許第5,899,909号明細書は、失禁を回復させるための外科的方法を開示し、これは、今日では腹圧性尿失禁を効果的に予防および排除する方法であるTVT(尿道下スリング(tension free vaginal tape))法と呼ばれている。米国特許第5,899,909号明細書は、尿道の片面およびもう一方の面において、テープを、それぞれ、最初にその一端で、およびその後他端で膣を介して身体に通し、尿道と上部膣壁との間に位置付けられたループを尿道の周りに形成するステップと、上記テープを恥骨上におよび腹壁に通して伸長させるステップであって、上記テープの端部が腹壁の外側で利用可能である、ステップと、上記ストラップを上記端部で締めるステップと、上記テープを体内に移植したままにするステップと、を含む方法を開示している。上記テープは、体内に恒久的に残され、人工靭帯として、尿失禁を回復させるために必要とされる組織の補強をそれ自体に提供し、および/または線維組織の発達によって上記補強を提供する。
【0004】
米国特許第5,899,909号明細書によって開示される方法は、非常にうまく機能する。しかし、これは外科的方法であるため、腹圧性尿失禁の問題を軽減または解消するために支援を必要とするすべての女性が利用できるわけではない。女性の腹圧性尿失禁は、世界中の広範な、広く普及した問題であるため、第1に外科的処置を必要とするすべての人を治療することは不可能であり、第2に、いくつかの国では、TVT手術を受ける可能性は非常に限られている。また、腹圧性尿失禁に苦しむ多くの女性は、保存療法を好むか、または、たとえば、高齢あるいは出産希望が要因で、TVT手術には適していない。
【0005】
さらに、無料の医療サービスがない国、またはそのサービスの一部だけが無料である国々では、この問題を抱えているがTVT手術の費用を支払うための経済的手段がない女性が多い。
【0006】
今日、女性の失禁を緩和することを目的とした様々な装置が存在する。米国特許第6,739,340号明細書は、不随意排尿を予防するための装置を開示している。この装置は、膀胱頚および随意に尿道に対する圧縮作用およびそれらの支持のために膣内に配置するための本体を備える。本体は、意図された挿入方向に近位端から遠位端まで伸長する縦軸を有する実質的に細長い形状を有し、圧縮性で弾性的に変形可能な材料から作られている。本体は、膀胱頸および随意に尿道と接触するための少なくとも1つの圧力領域を提供すると言われている本体の外面から突出している、少なくとも1つの部分を備える。
【0007】
米国特許第6,645,137号明細書は、ベルトまたは分割シリンダのいずれかの形態の可撓性本体を有する膣挿入物を開示している。いずれの場合も、膣挿入物はコイル状態にされ得る。本体は、コイル状にされると直径が減少すると言われ、アプリケータチューブによって制限されることによってコイル状態からコイル状態を解除するおよび直径が拡大する方向に弾性バイアスを示す。膣挿入物は、患者の膣に挿入されると、失禁の治療などのために拡張して膣壁を押しつけると言われている。薬物に加えて圧力による失禁の治療などのために、薬剤が膣挿入物と組み合わされて、膣挿入物との接触を通じて患者に導入される。ベルトタイプの本体は、膣挿入物を円筒形に保つために、嵌合する隆起部および溝を組み込み得る。膣挿入物を、拡張された、部分的にコイル状態が解除された状態で支持するために、ラッチ要素が膣挿入物に組み込まれ得る。上に開示された既知の膣内装置には欠点がある。まず、これらの装置はいずれも、通常の使用中に膣内にしっかりと固定されていない。女性が動くとき、またはたとえば運動するときに、膣内でのこれらの装置の移動には大きなリスクが存在する。この問題が広範囲に及び得る別の状況は、膣内の圧力が非常に大きい、くしゃみ中である。また、これによって、膣内装置は膣の開口部に向かって押し下げられ得る。膣内部の膣内装置のこれらの移動の場合には、膣内装置の押圧要素、すなわち、米国特許第6,739,340号明細書における少なくとも1つの突出部分、および米国特許第6,645,137号明細書における突出コイルは、膣壁または尿道の誤った部位を押しつける。これらの場合、これらの膣内装置は、腹圧性尿失禁の予防に関して効果が限られているか、またはまったく効果がない。また、両方の装置は、患者にとって有害であり得るか、または使用するのが不快であると認識され得る。これは、これらの膣内装置の押圧要素の設計によって引き起こされる。
【0008】
国際公開第2010/074635号は、緊張性尿失禁と呼ばれるタイプの失禁を予防するための膣内装置を開示しており、この膣内装置は、TVT手術に適していない、またはTVT手術を受けたくない患者のための代替として機能し得、現在までの既知の膣内装置を用いて、上に記載された問題を解決する。
【0009】
本発明の目的は、ユーザにとってより快適であり、取り扱いがより容易である、改良された膣内装置を提供することである。
【発明の概要】
【0010】
上記の目的は、弾性材料の膣内装置によって解決され、支持部分と基準部材との間の長手部分の一部は、基準部材に向かって断面が減少している。いくつかの例では、その部分は、軸方向に沿って外面に少なくとも1つのノッチ、溝またはスロットを有する。
【0011】
本開示の第1の態様では、弾性材料からなる、尿失禁を予防するための膣内装置が記載されている。膣内装置は、幾何学的中心線、第1の端部、および第2の端部を有する長手部分を備えることがあり、第1の端部は、使用中の膣内装置の最も内側である。膣内装置はさらに、第1の端部で長手部分から突出する少なくとも1つの支持部分を含むことがあり、少なくとも1つの支持部分は、膣壁を通って、最大尿道圧点に隣接して位置付けられる部位で、尿道に対して支持するように構成され得る。膣内装置はさらに、第2の端部で長手部分から突出する基準部材を含むことがあり、使用中の基準部材は膣口に対して固定されることがあり、膣内部に確実に固定される膣内装置を保持し、少なくとも1つの支持部分が意図した部位に配置され得ることを保証する。少なくとも1つの支持部分と基準部材との間に配置される長手部分のセクションは、基準部材に向かって断面が減少し、および/または、当該セクションの軸方向に沿って外面に少なくとも1つのノッチ、溝、および/またはスロットを有し得る。
【0012】
一例では、膣内装置の長手部分のセクションは、単一のノッチ、溝、またはスロットを有し得る。単一のノッチ、溝および/またはスロットは、U字形状および/またはV字形状を有する部分の断面を提供する。
【0013】
一例では、膣内装置の長手部分のセクションは、2つのアーチ面などの2つのアーチによって接続される、2つのノッチ、溝、および/またはスロットを有し得る。アーチ面は、アーチ背面の形状、すなわちアーチの外側の曲面を有している。2つのノッチ、溝および/またはスロットを接続する表面の形状は、2つの隆起面などの中心線から径方向に突出する2つの湾曲した表面またはアーチ状の表面としても記載され得る。
【0014】
代替的に、長手部分のセクションの形状は、少なくとも2つの長手方向に接合されるシリンダの少なくともセクションとして規定されることがあり、ここでノッチ、溝、および/またはスロットが、シリンダの長手方向に接合されるセクションの間で得られる。長手方向に接合されるシリンダの直径は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0015】
一例では、2つのアーチのうちの一方が、他方よりも長いことがあり、それにより、長手部分のセクションの断面は、鍵穴の形状に類似する。
【0016】
一例では、基準部材は、使用時に、長手部分から肛門に向かう第1の方向への角度、および/または、長手部分から陰核に向かう第2の方向への角度で突出し得る。たとえば、基準部材の第1のセクションは、使用時に肛門に向かって突出するように構成されることがあり、および/または、基準部材の部材の第2のセクションは、使用時に陰核に向かって突出するように構成され得る。
【0017】
一例では、基準部材の第1のセクションは、陰核に向かう第2の方向よりも、肛門に向かう第1の方向により長く突出し得る。
【0018】
一例では、基準部材は、湾曲した上部セクションおよび下部セクションを有し得る。下部セクションは平らな形状を有し得る。湾曲した上部セクションは、使用時に、下部セクションに、すなわち、肛門に向かって突出し得る下部セクションの少なくとも第1の端部に接続され得るか、または、陰核に向かって突出し得る下部セクションの第2の端部に接続され得る。たとえば、湾曲した上部セクションは、肛門に向かって突出するように構成される第1のセクションの端部に、および/または、陰核に向かって突出するように構成される第2のセクションの端部に接続され得る。
【0019】
一例では、基準部材は、長手部分の第2の端部との接続点で最も幅広となり得る。
【0020】
一例では、基準部材は、接続点での長手部分の第2の端部の断面よりも幅広となり得る。
【0021】
本開示の別の態様では、尿失禁を予防する方法が記載されている。当該方法は、幾何学的中心線、第1の端部、および第2の端部を有する長手部分から突出する少なくとも1つの支持部分を配置することによって、膣壁を通って、最大尿道圧点に隣接して位置付けられる部位で、尿道を支持するステップであって、第1の端部が、使用中の膣内装置の最も内側である、尿道を支持するステップを含み得る。当該方法は、第2の端部で長手部分から突出する基準部材を膣口に対する配置することによって、支持部分をその意図する部位に固定し、膣の内側に確実に固定される膣内装置を保持するステップをさらに含み得る。当該方法はまた、少なくとも1つの支持部分と基準部材との間に配置される長手部分のセクションを含むことによって、安定性が維持された状態で重量をより減少させるステップであって、当該セクションが、基準部材に向かって減少する断面を有し、および/または当該セクションの軸方向に沿った外面に少なくとも1つのノッチ、溝および/またはスロットを有するステップを含み得る。
【0022】
いくつかの例では、意図した部位は、最大尿道圧点近くと膀胱頸との間に位置付けられ得る。
【0023】
上記のように、使用中、本開示による膣内装置の上記少なくとも1つの支持部分は、膣壁を通って、たとえば最大尿道圧点近くと膀胱頸との間に位置付けられる部位で、尿道に対して支持するように意図されている。尿道の最大尿道圧点は、尿道の中点または中間尿道とも呼ばれる点近くに位置している。女性がくしゃみや咳をしそうになると、尿道に沿って蓄積される圧力は、この最大尿道圧点で最も高くなり、ここで筋肉の圧力は、「尿道膝」で下流方向に尿道の近位部分の湾曲から追加の力を得る。「尿道膝」での正常な尿道の遠位部分の固定は、恥骨結合を尿道および前膣壁と接続する尿道の両側にある後部尿道靭帯からの支持によるものである。たとえばくしゃみや咳によって圧力が上昇される間の尿道の圧迫と「尿道膝」の「カーテシー効果(curtsy effect)」により、この領域は、「尿道膝」の下降が低減されるように支持することが重要である。これは、本開示による膣内装置の少なくとも1つの支持部分によって達成される。好ましくは、本開示による少なくとも1つの支持部分は、膣壁を通って、たとえば最大尿道圧点に対して、またはそれに非常に近く、尿道に対して支持する。この部位で最大の効果が得られる。しかし、本発明によれば、少なくとも1つの支持部分はまた、いくつかの部位など、最大尿道圧点近くと膀胱頸との間の部位で支持し得る。また、「最大尿道圧点近く」という表現は、この場合、膀胱頸に面している側だけでなく、最大尿道圧点の両側の考えられる部位として解釈されるべきである。本発明による膣内装置の支持部分は、後部尿道靭帯の弛緩によって引き起こされる腹圧性尿失禁の場合に、膣壁を通って弛緩した尿道を支持する。静止時には、血液循環を妨げかねない尿道の圧迫がまったくないか、またはほとんどない。これはまた、本発明による膣内装置を快適に使用することができるはずであるという事実のために重要である。これはまた、膣壁を通って尿道を押しつけると述べられている最新技術による膣内装置との比較における違いである。さらに、本開示による少なくとも1つの支持部分は、女性がくしゃみをしそうなときなど、蓄積される圧力が非常に高いときに尿道を支持することができるように設計されなければならない。本開示による膣内装置のこの支持特徴部には、少なくとも1つの支持部分が、材料および構造の両方の点でその性質において柔軟であるだけでなく、尿道に沿った圧力波が大きいときに意図した部位で尿道を支持することができることが必要とされる。既知の装置と比較した本開示による膣内装置の別の非常に重要な違いは、本発明の基準部材である。基準部材は、下端で長手部分から突出し、膣口に対して固定されている。基準部材は、少なくとも1つの支持部分が意図する部位で尿道を支持するように、膣内装置を適所に固定する。この基準部材は非常に重要である。女性が移動しているときには、膣内装置が膣内の位置から滑り落ちるという明らかなリスクがある。このような場合、くしゃみや咳をするときなど、腹部から圧力波が発生するとき、および発生する場合には、膣内装置は正しい場所に固定されない。この問題は、本開示による膣内装置によって解決され、当該膣内装置は、基準部材を有し、膣内装置、およびそれゆえ少なくとも1つの支持部分が、膣壁を通って、意図する部位で尿道を支持するように固定されることを確かなものとする。
【0024】
また、膣口に対する基準部材の固定も重要である。膣口に対するおよびその周囲の組織(小陰唇および大陰唇)は、基準部材の周りに閉じることができなければならず、それによって、基準部材と膣内装置とが確実に固定される。これは、基準部材が、大陰唇ではなく、膣口に対して小陰唇に位置付けられるように固定が行われることを意味する。大陰唇が脂肪組織を含み、大陰唇のサイズが女性ごとに大きく異なるという事実により、大陰唇の外側を固定するように基準部材を設計することは困難である。
【0025】
本開示による膣内装置は異なる設計を有してもよい。たとえば、少なくとも1つの支持部分は、長手部分の周りに突出する必要はない。しかし、膣内装置の少なくとも1つの支持部分が、使用中に尿道に向かって意図する方向に突出することが重要である。少なくとも1つの支持部分が、膣壁を通って尿道に対して支持することが可能である限り、その設計は変更されてもよい。長手部分がより大きな直径を有する場合、長手部分が実際に膣壁に対して支持するように膣内装置を設計することが可能である。そのような場合、少なくとも1つの支持部分は、その場合の膣内装置全体を膣に挿入することができないか、または少なくとも使用するのに快適でないという事実により、長手部分から全方向に突出してはならない、すなわち、長手部分の周りに突出してはならない。そのような場合、少なくとも1つの支持部分は、たとえば、支持部分が尿道に対して意図する方向にのみ突出するように、半月形などを有し得る。花形で長手部分の周りに突出する、長手部分の周りに非対称に突出するなど、またもちろん円形の円盤であり、それゆえ、長手部分の周りに対称的に突出するなど、少なくとも1つの支持部分の他の多くの形状も可能である。後者の場合、長手部分の直径は、もちろん、少なくとも1つの支持部分が長手部分の周りに突出し、全方向に膣壁を圧迫するという事実のために、半月形の支持部分の場合と比較して小さい。
【0026】
本開示の例示が可能である、これらおよび他の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、本開示の実施形態の以下の説明から明確かつ明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2a】本開示による長手部分の断面図の例示的な例である。
【
図2b】本開示による長手部分の断面図の例示的な例である。
【
図3a】本開示による装置の平面図の例示的な例である。
【
図3b】本開示による装置の底面図の例示的な例である。
【
図3c】本開示による装置の断面図の例示的な例である。
【
図4a】本開示による膣内装置の例示的な例である。
【
図4b】本開示による膣内装置の例示的な例である。
【
図4c】本開示による膣内装置の例示的な例である。
【
図4d】本開示による膣内装置の例示的な例である。
【
図4e】本開示による膣内装置の例示的な例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の具体例は、添付の図面を参照して説明される。しかし、本開示は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書で明記される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となるように提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるであろう。添付の図面に例示されている実施形態の詳細な説明で使用されている用語は、本開示を限定するようには意図されていない。図面では、同様の番号は同様の要素を指す。
【0029】
以下の説明は、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁および混合性尿失禁を予防するための膣内装置に適用可能な、本開示の例に焦点を当てている。しかし、本開示が、この適用に限定されないが、膣壁を通る尿道の支持によって改善され得る他の多くのタイプの症状に適用され得ることが理解される。上記のように、本開示による膣内装置は、弾性材料で作られている。膣内装置に使用することが可能な材料の硬度は、ショアAによって測定され得る。考えられる材料の例は、たとえば、10-50のショアA、たとえば10-40、10-30、20-40または20-30のショアAを有し得る。本開示の別の例によれば、膣内装置は、医療品質の弾性材料、すなわち不活性材料から作製されている。さらに、材料は、レントゲンで視覚化され得る。後者は、本発明による膣内装置が、膣壁を通って尿道を支持する場所を確認することが可能になるように、膣内装置がX線検査のために視認可能であるので、興味深いかもしれない。考えられる弾性材料、すなわち弾性組織で受け入れられる不活性材料の例は、ポリウレタン、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリスチレン共重合体材料および天然ゴム、またはそれらの組み合わせである。もちろん、他の弾性組織で受け入れられる不活性材料もまた、使用可能である。
【0030】
上記のように、本開示による支持部分の設計は変更され得るが、支持部分の重要な特徴は、支持特徴部である。一例によれば、少なくとも1つの支持部分は、膣壁を通って尿道に向かって径方向に弾力性がある。これは、膣壁を通る尿道の支持の間の支持部分が、それ自体を径方向にいくらか折りたたみ得る、すなわち長手部分に長手方向に折りたたみ得ることを示唆している。これは、膣壁を強く押し付けすぎることなく尿道に最適化された支持を与え得て、その結果、膣壁が虚血によって損傷され得ないという事実のために興味深いことであり得る。さらに、それはまた、既知の膣内装置と比較して、ユーザに増大した快適さを与え得る。本開示による膣壁を通って尿道に向かう考えられる径方向の弾性はまた、膣壁を通って尿道に向かって軸方向に弾性を与え得るだけである既知の膣内装置とは異なるものであり得る。これは、可撓性部材の使用により圧迫部材が唯一弾性である、膣内装置の少なくとも1つの剛性の圧迫部材を示す、米国特許第6,739,340号明細書に加えて、米国特許第6,739,340号明細書によって開示されているものと同様のタイプの押圧用の剛性リングを開示している、米国特許第6,645,137号明細書の図面を見ることによって、観察され得る。
【0031】
しかし、本開示による少なくとも1つの支持部分はまた、米国特許第6,739,340号明細書および米国特許第6,645,137号明細書によって開示されるものなどの、より剛性のタイプのものであり得る。この意味で、膣内装置の弾性材料の選択とその硬度が重要である。膣内装置のために低硬度(ショアA)の軟質弾性材料が選択される場合、たとえば、本発明により、厚い少なくとも1つの支持部分が可能となる。これによって、膣壁を通って尿道に向かって径方向に弾力性がない支持部分が与えられるが、軟質弾性材料の選択により、支持部分は、膣壁を通って尿道に十分な支持を与え、それでもなお膣壁に無害であり、使用が快適になり得る。本開示による少なくとも1つの支持部分の設計の選択は、換言すれば、1つの支持部分のみが意図される場合、膣内装置の材料、およびそれゆえ支持部分(複数可)およびその厚さおよび材料などの、いくつかのパラメータに依存する。上記のように、少なくとも1つの支持部分の設計は、様々であり得る。本開示の一例によれば、少なくとも1つの支持部分は、長手部分の周囲全体に突出する。これは、少なくとも1つの支持部分または支持部材が、たとえば、膣内装置を上から見た場合に花形または円形の円盤のように見え得ることを示唆している。本開示の別の例によれば、少なくとも1つの支持部分は、長手部分の周囲全体に突出し、幾何学的中心線に垂直な面内で実質的に円形である。これは、上に開示される円盤のような支持部分を示唆している。また、本開示による膣内装置は、いくつかの具体的な特徴を提供され得る。一例によれば、本開示の膣内装置は、少なくとも1つの支持部分を貫通する少なくとも1つの穿孔を含む。この少なくとも1つの穿孔は、膣内装置の取り外し後の吸引/真空の感触を回避するために提供され得る。
【0032】
膣内装置の様々な部品のサイズは、異なり得る。たとえば、膣内装置の直径は、特に最も幅広となる場所で異なり得る。これは、女性の膣のサイズが異なり得るという事実によるものである。したがって、一例によれば、少なくとも1つの支持部分は、長手部分の周囲全体に突出し、幾何学的中心線に垂直な面内で実質的に円形であり、25-40mm、25-35mm、30-45mm、30-35mm、35-45mm、35-40mm、40-45mmなど、25-45mmの直径を有する。いくつかの考えられる直径の例は、30、35、および40mmである。この例は、実質的に円形である少なくとも1つの支持部分または支持部材を開示しているが、上記の花形の支持部分などの他の形状も可能である。このような場合、直径は、長手部分の内側の幾何学的中心を通る、長手部分の一方の側の支持部分の最も突出した点から長手部分のもう一方の側の支持部分の別の最も突出した点までの長さとして解釈されるべきである。
【0033】
上記のように、長手部分の直径は、とりわけ、支持部分が長手部分の周囲全体に突出しているかどうかに応じて様々であり得る。本開示の一例によれば、長手部分は、円形であり、10-15mm、15-20mm、たとえば15mmなど、10-20mmの直径を有する。長手部分の実質的に円形の断面は、膣の内側によく適合するという事実により、利点を有している。
【0034】
膣内装置の長さも、様々であり得る。しかし、膣内装置により、支持部分が尿道の考えられる意図する部位で支持することが可能になるはずであるという事実により、より低い考えられる閾値が存在する。同様に明らかな理由で、上限が存在する。この上限は約90mmであり、これは、前円蓋までの膣の通常の長さが、静止時にほぼその長さであるためである。本開示の一例によれば、長手部分は、使用中の膣内装置の最も内側である第1の端部から第2の端部まで、40-80mm、40-70mm、45-60mm、たとえば50mmなど、40-80mmの長さを有する。本開示のさらに別の例によれば、幾何学的中心線における、長手部分の第2の端部から少なくとも1つの支持部分の(第2の端部から見て)第1の端部の中心までの距離は、15-50mm、15-45mm、15-40mm、15-35mm、15-30mm、15-25mm、20-55mm、20-50mm、20-45mm、20-40mm、20-35mm、20-30mmなど、15-55mmである。
【0035】
本開示によれば、長手部分に沿って2以上の支持部分または支持部材が設けられ得る。したがって、本開示の一例によれば、膣内装置は、長手部分から突出する少なくとも2つの支持部分を備え、少なくとも2つの支持部分は、長手部分に沿って互いに別々に突出し、少なくとも2つの支持部分のすべては、膣壁を通って、たとえば最大尿道圧点近くと膀胱頸との間に位置付けられる部位で、尿道に対して支持するように意図されている。
【0036】
本開示の一例によれば、膣内装置は、長手部分から突出する2つの支持部分を備え、2つの支持部分は、長手部分に沿って互いに別々に突出する。この特定の場合において、2つの支持部分または支持部材間の距離は変動し得るが、一例として、これら2つの間の距離は、第2の支持部分の幾何学的中点から第1の支持部分の幾何学的中点まで、9-11mm、約10mmなど、約8-12mmであり得る。この距離は、TVT手術で使用される膣テープの距離に対応し、膣壁を通って尿道に向かって径方向に弾性がある2つの支持部分は、円形であり、したがって、長手部分全体の周りに突出することで、TVTテープが安定すると、膣壁を通って、尿道の同じ部位で尿道とともに支持する。この効果を達成し、高い弾性効果を達成するために、上記の円盤の形状で、長手部分に沿って互いに別々に突出し、約4mmなどの、約3-5mmの厚さを有し得る、2つの支持部分を設けることは、利点があり得る。
【0037】
本開示の一例によれば、膣内装置は、長手部分から突出する2つの支持部分を備え、少なくとも2つの支持部分は長手部分に沿って互いに別々に突出し、少なくとも2つの長手部分の両方は、膣壁を通って、たとえば最大尿道圧点近くと膀胱頸との間に位置付けられる2つの部位で、尿道に対して支持するように意図されている。
【0038】
本開示による基準部材の設計もまた、様々であり得る。一例によれば、基準部材は、使用時に、肛門に向かって突出するように構成される第1のセクション、および随意に、使用時に、陰核に向かって突出するように構成される第2のセクションを有し得る。基準部材の第1のセクションは、第2の端部で長手部分の幾何学的中心線から、25-35mm、約30mmなど、約20-40mm突出し得て、基準部材の第2のセクションは、第2の端部で長手部分の幾何学的中心線から、たとえば10-25mm、10-20mm、15-25mm、たとえば15mmなど、25mm以下で突出し得る。基準部材の第1のセクションおよび基準部材の第2のセクションの意味は、添付の図面を見ることによって理解され得る。基準部材の第1のセクションは、ユーザによって会陰に対して固定される端部である。基準部材の第2のセクションは、反対方向に向かって面している、つまり陰核に向かっているが、そこには達しない端部である。これが、それぞれ第1のセクションおよび第2のセクションの突起の長さの閾値が異なる理由である。30mmなど、約25-35mmは、長手部分の中心線からの基準部材の第1のセクションに対する機能的な長さであると証明されており、これによって、基準部材は、機能的な方法でユーザによって会陰に対して固定することが可能になる。基準部材の第2のセクションは、前述のように、長手部分の中心線から25mm以下の長さを有する。これは、基準部材の第2のセクションが、ユーザの陰核を刺激しないように十分に短い必要があるためである。しかし、使用時に、陰核に向かって突出するように構成される基準部材の第2のセクションのない本開示による膣内装置が可能であるとしても、そのような第2のセクションは、安定性を高め、したがって、使用中の膣内部の膣内装置全体の固定を向上させ得る。基準部材の第2のセクションがないと、膣内装置が、揺れて、そのため、たとえば実質的な移動の間に、膣内の完全な位置からいくらか外れるという、いくらかのリスクがあり得る。基準部材の第1のセクションおよび第2のセクションの形状は、たとえば、長手部分の直径よりも小さい幅を有するリボンであり得る。
【0039】
本開示の一例によれば、基準部材は、第1のセクションおよび第2のセクションを有し、第1のセクションは、第2の端部で長手部分の幾何学的中心線から約20-40mm突出するように構成され、第2のセクションは、第2の端部で長手部分の幾何学的中心線から約10-25mm突出するように構成されている。25-35mm、25-30mm、たとえば約30mmなど、20-40mmは、基準部材の固定の向上に適し得る基準部材の第1のセクションの長さ間隔である。さらに、10-20mm、10-15mm、15-25mm、15-20mm、たとえば約15mmなど、約10-25mmは、ユーザによる強力な移動の間の揺れのリスクなしに膣内部の膣内装置の良好な固定を達成するのに十分であるが、同時に、ユーザの陰核を刺激しないように十分短い、基準部材の第2のセクションの長さ間隔である。本開示による膣内装置の基準部材は、膣内装置を挿入するおよび引き抜くための手段として機能する。基準部材の形状は様々であり得るが、適切な例は、本開示による膣内装置の長手部分と同じ幅を有するか、またはそれより薄い幅を有するリボンなどである。一例によれば、基準部材は、凹状である。これは、基準部材の第1のセクションおよび第2のセクションの両方が、この凹状の形状を有し得ることを意味している。基準部材の第1のセクション、および、場合によってはより短い第2のセクションの考えられる凹状の形状は、これらの端部が長手部分の第1の端部に向かっていくらか湾曲することを意味している。この場合の湾曲または曲率は、それほど大きくないかもしれない。基準部材のこの凹状の形状は、使用中の膣内装置の安定性および固定を向上させ得る。図面の
図1の詳細な説明は、本開示による膣内装置1の一例を例示している。膣内装置1は、幾何学的中心線3、第1の端部4および第2の端部5を有する、長手部分2を備え得る。また、膣内装置1は、長手部分2から突出する少なくとも1つの支持部分6を備え得る。この場合、本開示による膣内装置1は、2つの円形の支持部分6を有し得て、1つは、幾何学的中心線3に沿って中心11を有する第2の円形の支持部分8であり、もう1つは、幾何学的中心線3に沿って中心9を有する第1の円形の支持部分10であり、支持部分6は、長手部分2の周りに対称的に突出し得る。膣内装置1はまた、第2の端部5で長手部分2から突出する基準部材7を備え得る。使用中に、基準部材7は、膣口に対して固定され得ることで、膣内に確実に固定される膣内装置1を保持し、2つの支持部分6は、膣壁を通って、たとえば最大尿道圧点近くと膀胱頸との間に位置付けられる、好ましくは最大尿道圧点に位置付けられる意図する部位で、尿道に対して支持することを保証する。この具体的な場合では、基準部材7は、使用時に、肛門に向かって突出するように構成される第1のセクション12、および、使用時に、陰核に向かって突出するように構成される第2のセクション13を有し得る。ユーザによって会陰に対して固定されるように意図される基準部材13の第1のセクション12、およびそのように意図する場合の第2のセクションは、端部が反対方向に向かって面し得る、つまり陰核に向かっているが、そこに達しない。
【0040】
図1に例示される例による膣内装置1は、膣内装置1の安定性を犠牲にすることなく製品の重量を減少させるように構成される、長手部分2のセクション21を有し得ることで、ユーザの快適さを増大させる。これは、たとえば、第1の支持部分10などの少なくとも1つの支持部分6と基準部材7との間の長手部分2のセクション21を、基準部材7に向かって断面が減少するように構成することによって提供され得る。さらなる例では、長手部分2のセクション21は、追加的および/または代替的に、中心線3の軸方向に沿って外面に、少なくとも1つのノッチ、溝、および/またはスロットを有し得る。
【0041】
さらに、膣内装置の一例では、基準部材または装置全体は、親水性の湿潤コーティングでコーティングされることで、湿潤であるときに滑りやすくされ、それによって陰唇の摩擦を低減する。摩擦は、ほとんど除去され得る。そのような材料の例は、ISurTec(登録商標)およびAquaGlide(登録商標)である。
【0042】
図2aおよび2bは、断面の2つの例を例示している。
図2aは、セクション21が、単一のノッチ、溝、および/またはスロット22を有し、単一のノッチ、溝および/またはスロットが、U字形状またはV字形状の部分の断面21を提供する一例を例示している。例示される例では、U字形状および/またはV字形状の開口部は、陰核に向かって方向付けされ得るが、その反対の方向付けも可能である。
【0043】
図2bは、セクション21が、2つのアーチ面などの、2つのアーチ23a、23bによって接続される、2つのノッチ、溝、またはスロット22a、22bを有している一例を例示している。アーチ面23a、23bは、アーチ背面の形状、すなわちアーチの外側の曲面を有している。2つのノッチ、溝および/またはスロット22a、22bを接続する表面の形状は、2つの隆起面などの中心線3から径方向に突出する2つの湾曲した表面23a、23bまたはアーチ状の表面としても記載され得る。代替的に、長手部分2のセクション21の形状は、少なくとも2つの長手方向に接合されるシリンダ23a、23bの少なくともセクションとして規定され得て、ここでノッチ、溝、および/またはスロット22a、22bは、シリンダの長手方向に接合されるセクションの間で得られる。長手方向に接合されるシリンダの直径は、同じであり得るか、または異なり得る。
【0044】
さらに、いくつかの例では、セクション21は、中実である。いくつかの例では、長手部分2は、中実である。
【0045】
例示される例では、2つのアーチのうちの一方23aが、他方23bよりも長いことで、セクション21の断面が、鍵穴の形状に類似する。例示される例では、セクション21は、より短いアーチ23bが陰核に向かう方向に配置され得て、より長いアーチ23aが肛門に向かう方向に配置され得るように構成されている。他の例によれば、反対も可能である。
【0046】
図2aおよび2bに例示される断面形状により、安定性を維持しながら、以前の装置と比較して長手部分2をより薄くすることが可能になる。これによって、重量は、より軽くなる。また、基準部材7に向かって減少する断面をセクション21にもたせる可能性も付与される。また、断面により重量がより軽くなるが、装置のユーザにとって、快適さも改善される。
【0047】
セクション21の断面をクローバーの葉、すなわち花状の形状に類似させるために、たとえば、さらなるノッチ、溝および/またはスロット、およびアーチを有する他の断面形状も、実現可能である。
【0048】
セクション21の断面の幅および高さは、同じであるように対称的であってもよい。いくつかの例では、高さ、すなわち陰核から肛門方向の高さは、断面の幅よりも長くてもよい。他の例では、その対称性は、むしろ三角形状を有し得る。
【0049】
図3aは、第2の端部5から見た
図1の膣内装置1を例示している。基準部材7は、
図4aから4eに例示される基準部材7の下部セクション15でもあり得る。基準部材7は、膣口に対して良好な固定を提供するために、卵形、楕円形、または長方形の形状を有し得る。
【0050】
図3bは、第1の端部4から見た
図1の膣内装置1を例示している。
【0051】
図3cは、基準部材7の底面を例示している。いくつかの例では、基準部材14は、接続点14で長手部分2の端部の断面より幅広であり得る。これは膣口に対する固定を改善し、これによって、使用時の膣内装置1の安定性が改善される。いくつかの他の例では、基準部材7の最も幅広な部分は、基準部材7の中央にあり得る。代替的に、いくつかの他の例では、基準部材7の最も幅広な部分は接続点14にあってもよく、それによって、基準部材7が長手部分2の端部部分の断面よりも幅広な接続点14が提供され得る。
【0052】
図3cに例示されるように、基準部材7は、基準部材7の第1のセクション12の端部および/または基準部材7の第2のセクション13の端部に向かって先細りし得る。さらに、基準部材7の長辺24は、縁部をより薄くするために先細りし得る。これによって、基準部材の可撓性を改善し、膣口に対する固定が改善され得る。特に、基準部材7の底部は、面取りされた縁部を有してもよい。面取りされた縁部は、縁部に向かって傾斜しながら円形にされてもよい。特に、基準部材7の長辺24の、先細りにするか、または面取りされた縁部によって、膣口に対する固定が改善され得る。
【0053】
図4aから4eは、
図1に例示される基準部材7の代替的な例を例示している。
図4aは、
図1および
図3aから3cに例示されるような基準部材7に類似した、下部セクション15を含む基準部材7を例示している。基準部材7はさらに、少なくとも、肛門に向かって配向されるように構成される、下部セクション15の第1のセクション12の端部、または陰核に向かって配向されるように構成される、下部セクション15の第2のセクション13の端部に接続されるように湾曲されている上部セクション16を含む。平坦な形状を有し得る下部セクション15、および湾曲した上部セクション16は、領域17を囲んでいる。領域17は、
図4cに例示されるように中空であってもよい。代替的に、当該領域は、
図4dに例示されるように浅い窪み18を有してもよい。
【0054】
湾曲した上部セクション16は、膣内装置を位置付けるおよび取り外すときの膣内装置のハンドリングを改善するように作製されている。中空領域17によって膣内装置を軽量にすることが可能になり、ここで湾曲した上部セクション16は可撓性であり、下部セクション15に対して圧縮されて薄型を可能にするとともに、窪み18は、基準部材7の安定性を向上させる。
【0055】
図4eは、湾曲した上部セクション19が、単に、第2のセクション13の端部で下部セクション15に接続されるか、またはヒンジ連結され、第1のセクションの12の端部で湾曲した上部セクション19と下部セクション15との間に間隙を有する、一例を例示している。これは、湾曲した上部セクション19の可撓性のさらなる改善をもたらし、軽量化ももたらす。湾曲した上部セクション19が、単に、下部セクション15の一端に接続またはヒンジ連結される構成によっても、膣内装置のより容易な取り外しが可能になり得る。これは湾曲した上部セクション15がストリングとして機能し得るためである。湾曲した上部セクション19は、いくつかの例では、下部セクション15の第1のセクション12の端部に接続されることで、湾曲した上部セクション19が下部セクション15の第2のセクション13の端部に接続されるときと同様の特性が付与される。しかし、湾曲した上部セクション15が下部セクション15の第2のセクション13の端部に接続されるときに、装置のハンドリングは、特に膣内装置の取り外しに関して、わずかに良好であり得る。
【0056】
本開示のいくつかの例が本明細書で説明および例示されているが、当業者は、機能を実行する、および/または結果および/または本明細書に記載される利点の1つまたは複数を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形および/または修正の各々は、本開示の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であること、および実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、具体的な用途または本開示の教示が使用される用途に依ることを容易に理解するだろう。