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特許7437392電動アシスト自転車の一連の動的制御方法及び装置、電動アシスト自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車の一連の動的制御方法及び装置、電動アシスト自転車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20240215BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20240215BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20240215BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240215BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/90
B62J43/13
B62J45/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021517438
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2019058153
(87)【国際公開番号】W WO2020121074
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】1815666.1
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1902411.6
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514187693
【氏名又は名称】テークー-ジステームス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】シュタール, リュディガー
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0229046(US,A1)
【文献】国際公開第2017/085579(WO,A1)
【文献】特開2005-271613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/00 - 6/90
B62J 43/13
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ貯蔵装置と電気モーターとを含む電動アシスト自転車の一連の動的制御方法であって、該方法は、
-現在の自転車位置を明らかにするステップと、
-目的位置を決定するステップと、
-前記現在の自転車位置から前記目的位置までのルートを計算するステップと、
-現在位置で現在利用可能な前記エネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするステップと、
-計算された前記ルートについて少なくとも1つの環境条件を示す環境値を決定するステップと、
-計算された前記ルートを少なくとも2つのセグメントに分割するステップと、
-前記少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、前記環境値及び前記現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、前記エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が前記少なくとも2つのセグメントに対して維持されるようにして、前記電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するステップと、
-前記少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、計算された前記エネルギ量に基づいてアシスト係数を計算するステップと、
-計算された前記アシスト係数に従って、第1のセグメントの間に前記電気モーターにエネルギを提供するステップと、
前記第1のセグメントを完了した後に、
-現在位置で現在利用可能な前記エネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするステップと、
-前記第1のセグメントで消費されたエネルギ量を、前記第1のセグメントの間について計算された前記エネルギ量と比較するステップと、
を含み、該比較が所定のずれの閾値を超える場合、
-前記ずれを補正値に保存するステップと、
-前記環境値、前記現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷、及び前記補正値を考慮して、前記エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントに対して維持されるようにして、前記電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップと、
-前記第2のセグメントについて再計算された前記エネルギ量に基づいて前記アシスト係数を再計算するステップと、
-再計算された前記アシスト係数に従って、前記第2のセグメントの間に前記電気モーターにエネルギを供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
-前記エネルギ貯蔵装置の前記エネルギ閾値を定めるためにユーザーにユーザー閾値要求を提供するステップと、ここで前記エネルギ閾値は、前記少なくとも2つのセグメントを終了した後での望ましい残りのエネルギに等しく、
-前記ユーザー閾値要求に応答したユーザー閾値入力を受け取るステップと、
-前記ユーザー閾値入力を前記エネルギ閾値に適用するステップと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-前記少なくとも2つのセグメントを定めるために、ユーザーにユーザーセグメント要求を提供するステップと、
-前記ユーザーセグメント要求に応答したユーザーセグメント入力を受け取るステップと、
-前記ユーザーセグメント入力を前記少なくとも2つのセグメントに適用するステップと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ルートを計算するステップは、2つの選択肢のルートを計算することを含み、前記方法は、
-前記2つの選択肢のルートから1つのルートを選択するために、ユーザーにユーザールート要求を提供するステップと、
-前記ユーザールート要求に応答したユーザールート入力を受け取るステップと、
-前記ユーザールート入力を前記ルートに適用するステップと、
を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ユーザーの少なくとも1つの状態を示すユーザー値を決定するステップを更に含み、前記電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップもまた、前記ユーザー値を考慮して前記電気モーターに供給されるエネルギ量を再計算するステップを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
自転車の少なくとも1つの状態を示す自転車値を決定するステップを更に含み、前記電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップもまた、前記自転車値を考慮して前記電気モーターに供給されるエネルギ量を再計算するステップを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
エネルギ貯蔵装置と電気モーターとを含む電動アシスト自転車の一連の動的制御装置であって、該装置は、
-現在の自転車位置を明らかにするように構成された位置測定ユニットと、
-目的位置を決定するように構成された目的決定ユニットと、
-前記現在の自転車位置から前記目的位置までのルートを計算するように構成されたルート計算ユニットと、
-ユーザーに情報を表示するように構成されたユーザーインターフェースと、
-現在位置で現在利用可能な前記エネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように構成されたエネルギ測定ユニットと、
-計算された前記ルートの少なくとも1つの環境条件を示す環境値を決定するように構成された環境決定ユニットと、
-計算された前記ルートを少なくとも2つのセグメントに分割するように構成されたセグメントユニットと、
-前記少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、前記環境値及び前記現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、前記エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が前記少なくとも2つのセグメントに対して維持されるようにして、前記電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するように構成されたエネルギ計算ユニットと、ここで該エネルギ計算ユニットは、前記少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、計算された前記エネルギ量に基づいてアシスト係数を計算するように更に構成され、
-計算された前記アシスト係数に従って、第1のセグメントの間に前記電気モーターにエネルギを提供するように構成されたエネルギ提供ユニットと、ここで前記エネルギ測定ユニットは、前記第1のセグメントの後に、現在位置で現在利用可能な前記エネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように更に構成され、
-前記第1のセグメントで消費されたエネルギ量を、前記第1のセグメントについて計算されたエネルギ量と比較するように構成された比較ユニットと、
-前記比較ユニットでの前記比較が所定のずれの閾値を超えた場合に、前記所定のずれの閾値からのずれを補正値に保存するように構成された記憶装置と、ここで前記エネルギ計算ユニットは、前記環境値、前記現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷、及び前記補正値を考慮して、前記エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントに対して維持されるようにして、前記電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成され、前記エネルギ計算ユニットは、前記少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、再計算された前記エネルギ量に基づいて前記アシスト係数を再計算するように更に構成され、前記エネルギ提供ユニットは、再計算された前記アシスト係数に従って、前記第2のセグメントの間に前記電気モーターにエネルギを供給するように更に構成される、装置。
【請求項8】
前記ユーザーインターフェースは、
-前記エネルギ貯蔵装置の前記エネルギ閾値を定めるために、前記ユーザーにユーザー閾値要求を提供し、
-前記ユーザーインターフェースで前記ユーザー閾値要求に応答したユーザー閾値入力を受け取り、
-前記ユーザー閾値入力を前記エネルギ閾値に適用する
ように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ユーザーインターフェースは、
-前記少なくとも2つのセグメントを定めるために、ユーザーにユーザーセグメント要求を提供し、
-前記ユーザーセグメント要求に応答したユーザーセグメント入力を受け取り、
-前記ユーザーセグメント入力を前記少なくとも2つのセグメントに適用する
ように構成される、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記ルート計算ユニットは、2つの選択肢のルートを計算するように構成され、前記ユーザーインターフェースは、
-前記2つの選択肢のルートから1つのルートを選択するために、ユーザーにユーザールート要求を提供し、
-前記ユーザールート要求に応答したユーザールート入力を受け取り、
-前記ユーザールート入力を前記ルートに適用する
ように構成される、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ユーザーの少なくとも1つの状態を示すユーザー値を決定するように構成されたユーザー決定ユニットを更に含み、前記計算ユニットは、前記ユーザー値を考慮して前記電気モーターに供給されるエネルギ量を再計算するように更に構成される、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記電動アシスト自転車の少なくとも1つの状態を示す自転車値を決定するように構成された自転車決定ユニットを更に含み、前記計算ユニットは、前記自転車値を考慮して前記電気モーターに供給されるエネルギ量を再計算するように更に構成される、請求項7から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記エネルギ貯蔵装置の少なくとも1つの状態を示すバッテリ値を決定するように構成されたバッテリ決定ユニットを更に含み、前記計算ユニットは、前記バッテリ値を考慮して前記電気モーターに供給されるエネルギ量を再計算するように更に構成される、請求項7から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記記憶装置は、前記ユーザー値前記補正値に保存するように更に構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記記憶装置は、前記自転車値を前記補正値に保存するように更に構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記記憶装置は、前記バッテリ値を前記補正値に保存するように更に構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
請求項7から16のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵装置と、電気モーターと、ユーザーインターフェースと、装置とを含む、電動アシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ貯蔵装置と電気モーターとを含む電動アシスト自転車の一連の動的制御方法及び装置に関する。本発明は更に、電動アシスト自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト自転車は、運転者を支援又はアシストする電気モーターと、電気モーターに電気エネルギの形で提供されるエネルギを貯蔵するエネルギ貯蔵装置とを備えた自転車である。電気モーターは、例えば、少なくとも1つの直流又は交流電源方式の電気機械を含むハブモーター又はチェーンモーターであり得る。エネルギ貯蔵装置は、例えばバッテリ又は蓄電池、例えば鉛又はリチウム系のバッテリ又は蓄電池であり得る。あるいは又は加えて、エネルギ貯蔵装置は、燃料電池貯蔵装置であり得る。電気モーターは、自転車を漕ぐ運転者の筋力に追加して、アシスト係数によりエネルギを提供する。このような電動アシスト自転車の例は、特にe-bike又はペダル付電動自転車などの電動自転車である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような電動アシスト自転車の一連の制御のための方法及び装置は、当技術分野で一般的に知られている。したがって、このための改良された方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明の一態様によれば、電動アシスト自転車の一連の動的制御方法が提供される。この方法は、エネルギ貯蔵装置が、エネルギを使い果たすことなく、所望の位置に到達するまで電動アシストの電気モーターにエネルギを提供できるような方法で、電動アシスト自転車の一連の制御をすることができるという特別な利点を有する。
【0005】
本願発明による方法は、第1に、現在の自転車位置を明らかにし、目的位置を決定して、現在の自転車位置から目的位置までのルートを計算するステップを含む。
【0006】
この方法は、現在位置で現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするステップと、計算されたルートの少なくとも1つの環境条件を示す環境値を決定するステップと、計算されたルートを少なくとも2つのセグメントに分割するステップとを更に含む。
【0007】
この方法は、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、環境値及び現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、その少なくとも2つのセグメントについてエネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するステップと、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を計算するステップと、計算されたアシスト係数に従って第1のセグメントの間に電気モーターにエネルギを提供するステップとを更に含む。
【0008】
この方法は、第1のセグメントを完了した後に、現在位置で現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするステップと、第1のセグメントの間に消費されたエネルギ量を、第1のセグメントの間について計算されたエネルギ量と比較するステップを更に含む。
【0009】
その比較が所定のずれの閾値を超える場合、この方法は、そのずれを補正値に保存することを更に含む。
【0010】
この方法は、環境値、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷及び補正値を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントについて維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップと、第2のセグメントについて再計算された前記エネルギ量に基づいてアシスト係数を再計算するステップと、再計算されたアシスト係数に従って第2のセグメントの間に電気モーターにエネルギを提供するステップとを含む。
【0011】
この方法の第1のステップでは、現在の自転車位置が明らかにされる。これは、例えばGPSなどの位置センサにより、あるいはディスプレイ及び/又はスピーカーなどの出力装置と、タッチパッド、タッチスクリーン及び/又はキーボードなどの入力装置とを含む、例えばユーザーインターフェースを通じて、自転車のユーザーから通りの名前、住所又は座標などの位置を受け取ることによって行われることができる。このステップでの現在の自転車位置は、出発地点と称されることもできる。
【0012】
その後に、ユーザーが移動したい目的位置が決定される。これは、例えばユーザーインターフェースを通じて、ユーザーから通りの名前、住所、又は座標などの位置を受け取ることによって行われることができる。目的位置は、目的地又は到着地点と称されることもできる。
【0013】
次のステップで、少なくとも1つのルートが、先に明らかにされた自転車位置から先に決定された目的位置まで計算される。ルートは、旅程と称されることもできる。これは、例えば、地図データベースに保存されている地図又はナビゲーションデータに基づいて、ユーザーインターフェース内に配置されているか又はそれに接続されるプロセッサによって行われることができる。
【0014】
次のステップでは、現在位置での自転車のエネルギ貯蔵装置に蓄えられた利用可能な電気エネルギに対応するエネルギ貯蔵装置の電荷が明らかにされる。エネルギ貯蔵装置の電荷は、Ahで測定される。電荷は、エネルギ貯蔵装置の実際の保存量である。利用可能な電荷は、エネルギ貯蔵装置の公称又は実容量とは相違し、劣化や経年の影響を受ける。エネルギ貯蔵装置の容量は潜在的な電荷量であり、最大容量又は実容量として説明されることもできる。エネルギ貯蔵装置の実容量は、例えば、エネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにすることと共に又は同時に明らかにされることができる。したがって、エネルギ貯蔵装置の出力電圧の特性曲線は、充電電流又は放電電流のいずれかであり得る電流と、それを介して提供又は供給されるエネルギ量の関数として決定される。エネルギ貯蔵装置の実容量は、下回ってはならない所定の又は事前に定められた最終放電電圧までの時間に亘っての電圧と電流の積の積分によって生じる。
【0015】
あるいは又は加えて、実容量は、エネルギ貯蔵装置を完全に充電し、次にエネルギ貯蔵装置から放電される電流が測定又は計測されている間にエネルギ貯蔵装置を完全に放電することによって明らかにされることができる。例えば、エネルギ貯蔵装置が完全に充電された後に、4時間に亘って1Aの電流を供給する場合、エネルギ貯蔵装置の最大容量は4000mAhである。エネルギ貯蔵装置の最大容量は、充電中に電圧測定を通じて複数の現在利用可能な電荷測定値を収集し、並行して充電中にバランス測定を通じて同様の測定値を収集することによって明らかにされることもできる。例えば、電圧測定では、充電中に1000mAhがエネルギ貯蔵装置に充電されているはずであることを示すが、バランス測定では800mAhのみがエネルギ貯蔵装置に充電されていることを示す場合、これはエネルギ貯蔵装置が劣化しており、最大容量が公称容量よりも少なくなっていることを表す。このバランス測定を電圧測定と一緒に繰り返すことにより、非常に正確な実際の最大容量を明らかにすることができる。
【0016】
現在利用可能な電荷を明らかにすることは、例えば実際の電流に関して、例えば、エネルギ貯蔵装置の電圧測定、抵抗測定、又はコンダクタンス測定を通じて行われることができる。電圧測定は、例えば、エネルギ貯蔵装置が現在供給できる電圧から、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を得ることができる。例えば、公称電圧が48Vのエネルギ貯蔵装置の測定電圧が47.5Vであれば、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷は、エネルギ貯蔵装置の最大容量の50%であり、公称2000mAhの可能性がある。一方で、同じエネルギ貯蔵装置の47.2Vの測定電圧は、現在利用可能な電荷が同じエネルギ貯蔵装置の最大容量の30%に等しいことを示し得る。電圧測定は、一部充電又は放電されたエネルギ貯蔵装置に対して特に正確である。あるいは又は加えて、現在利用可能な電荷を明らかにすることは、エネルギ貯蔵装置に組み込まれた又は取り付けられた管理装置にアクセスすることによって行われることができる。
【0017】
現在利用可能な電荷はまた、バランス測定によって、すなわち、例えば充電カウンター又は充電メーターを通して、部分的な又は完全な充電中にエネルギ貯蔵装置に供給された電流を計測し、次にこの電流を充電時間に亘って積分することによって計算されることもできる。例えば、1Aの充電電流が1時間に亘ってエネルギ貯蔵装置に供給された場合、現在利用可能な電荷は、充電前よりも1000mAh多い。エネルギ貯蔵装置がほぼ完全に充電された状態かそれに近い場合及び/又はほぼ空かそれに近い場合、バランス測定は特に正確である。
【0018】
本発明の方法については、エネルギ貯蔵装置の実際の最大容量が分かっている場合に特に有効であり、このような理由で上述のように電圧測定とバランス測定を通じて各充電サイクルが監視されて、エネルギ貯蔵装置の正確な実容量が明らかにされる。現在利用可能な電荷が、劣化しているかもしれない公称容量ではなく、エネルギ貯蔵装置の実容量の影響下にある可能性があり、電圧測定のみを使用する場合に、正確に明らかにされた実容量により、現在利用可能な電荷をより正確に明らかにすることができる。
【0019】
次に、環境値が決定される。環境値は、計算されたルートについて少なくとも1つの環境条件を示す。環境条件は、例えば、移動する道路の距離、高さ、海抜、標高、傾斜度及び/又は勾配であり得る。環境条件は、ルートの地理的形状であり得る。環境条件は、ルートに沿った曲がりやカーブの数、特に曲がりやカーブの角度、又は直線の数及びその長さであることもできる。環境条件は更に、例えば移動する道路に沿って向かい風又は追い風がある場合には、風速及び/又は風向であることができる。環境条件は、例えば道路がアスファルト、砂利、砂若しくは土であるかどうか、又はオフロード又はクロスカントリールートであるかどうかなど、移動する道路の条件であることもできる。この1つ又は複数の条件は、例えばプロセッサがアクセス可能な環境データベースに保存されることができる。
【0020】
更なるステップでは、計算されたルートが少なくとも2つのセグメントに分割される。このステップは、プロセッサで実行されることもできる。ルートは、例えば、2つの同じ長さのセグメントに分割されることができる。例えば、全ルートが10kmの場合、第1のセグメントと第2のセグメントの長さはそれぞれ5kmであることができる。ルートは、同じ長さ又は固定長若しくは一定長の3つ以上のセグメントに計算されることもできる。10kmのルートの場合、ルートは2kmの5つのセグメント又は1kmの10のセグメントに分割されることができる。セグメントは、他の原則に従って、例えばルートに沿った勾配に従って分割されることもできる。
【0021】
本発明の方法は、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、環境値とエネルギ貯蔵装置及び現在利用可能な電荷を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値がその少なくとも2つのセグメントについて維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するステップと、第1のセグメントの間に電気モーターに計算されたエネルギ量を提供するステップとを更に含む。
【0022】
例えば、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷が30Ahに等しく、電気モーターが長時間に亘って過剰にエネルギ貯蔵装置から30Vで電力を供給される場合、これは30Ah×30V=900Whの潜在的に利用可能なエネルギに等しい。更に、エネルギ閾値が5Ah又は150Whに等しい場合、すべてのセグメント(この場合は2つのセグメント)に対して計算されるエネルギ量は750Whである。例えば、5kmの第1のセグメントは正の急勾配、つまり上り坂であり、5kmの第2のセグメントは負の急勾配、つまり下り坂であることの環境値を考慮すると、当然に第1のセグメントを移動するには、第2のセグメントを移動するよりも多くのエネルギが必要になる。この場合、第1のセグメントについて計算されたエネルギは、例えば600Whのように、現在利用可能なエネルギ全体の半分、つまり375Whより大きくなり、第2のセグメントについて計算されたエネルギは、例えば150Whのように375Whより小さくなる。
【0023】
更なるステップでのこの結果に基づいて、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについてアシスト係数が計算され、計算されたアシスト係数に従って、第1のセグメントの間に電気モーターにエネルギが提供される。アシスト係数は、ユーザーによって提供される人間の筋力に加えて、どれだけのエネルギ又は電力が提供されるかという要素である。例えば、ユーザーが100ワットの仕事率を供給し、アシスト係数が1.5である場合、電気モーターに更に150ワットの電力が供給される。
【0024】
その計算では、セグメントについて、例えばセグメントの平均又は最大移動時間を、例えば平均速度に基づいて考慮に入れることができる。例えば、セグメントの長さが1kmで、平均移動速度15km/hであれば、このセグメントの移動時間は4分である。1kmのセグメントについての10Whの計算されたエネルギ量の例では、150ワットの平均電力供給が提供されることができる。更に、平均移動速度15km/hについて、自転車に250ワットを与えることが必要であることが分かるかもしれない。したがって、ユーザーは平均して100ワットの人間の筋力を提供し、この例ではアシスト係数は1.5と計算される。別の例では、セグメントの長さが5kmで、平均移動速度が30km/hの場合、移動時間は10分になる。5kmのセグメントについての10Whの計算されたエネルギ量の例では、60ワットの平均電力供給が提供されることができる。更に、平均移動速度30km/hについて、平均で自転車に360ワットを与えることが必要であることが分かるかもしれない。したがって、ユーザーは平均で300ワットの人間の筋力を提供し、この例ではアシスト係数は0.2と計算される。特定の平均速度を達成するために必要な動力は、前述のように、1つ又は複数の環境値、例えば風の値に依存する可能性がある。
【0025】
別の例では、その計算は、平均的なユーザーの動力の寄与を考慮に入れることができる。例えば、平均的なユーザーの動力の寄与は、100ワットの人間の筋力であり得る。1kmのセグメントについての10Whのエネルギ量の計算例では、移動時間はt=s/vで与えられる。ここで、tは移動時間、vは平均移動速度、sはセグメントの長さである。更に、平均アシスト動力は、p=E/tで与えられる。ここで、pは平均アシスト動力、Eは計算されたエネルギ量であり、この例では10Whである。したがって、平均アシスト動力はp=E×v/sで与えられる。ここで、pは平均アシスト動力、Eは計算されたエネルギ量、vは平均移動速度、sはセグメント長である。同時に、平均アシスト動力は、p=R×v-p0で与えられる。ここで、pは平均アシスト動力、Rは摩擦係数、vは平均移動速度、p0は平均ユーザー動力寄与である。したがって、平均移動速度は、vについてE×v/s-R×v+p0=0を解くことによって計算されることができる。計算されたエネルギ量が10Wh、セグメント長が1kmの場合、例示の摩擦係数Rが1、例示の平均ユーザー動力寄与p0が100Wである場合、平均走行速度11.05km/hが計算される。よって、平均アシスト動力pは、p=E×v/sを解くことによって計算される。したがって、この例での平均アシスト動力pは110.5Wと計算される。したがって、100Wの人間の筋力の平均ユーザー動力寄与を考えると、アシスト係数は1.1105と計算される。より正確なアシスト係数を計算するために、より詳細な計算、例えば速度での動的な変化を考慮に入れることができるより詳細な計算を適用することができる。
【0026】
計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を計算することは、少なくとも1つのアシスト条件を含む、アシスト値において計算されたエネルギ量に対応するアシスト係数を決定することによって行われることができる。そのアシスト条件は、平均移動速度、平均ユーザー動力寄与、ユーザーの好み、又は環境値のうちの1つ又は複数に基づくことができる。そこにおいて、アシスト条件は、上記の計算方法の1つ、同様の計算、経験的データに基づく較正、又はこれらのいずれかの組み合わせを使用して生成され得る。上記の平均値は、データベースに保存されることもできる。
【0027】
本発明の方法は、第1のセグメントを完了した後に、現在位置での現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするステップと、第1のセグメントの間に消費されたエネルギ量を、第1のセグメントの間について計算されたエネルギ量と比較するステップとを更に含む。このステップでは、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷が、最初の位置と同じ原則に従って再度明らかにされ、そして第1のセグメントの間に実際に消費されたエネルギを明らかにするための基礎として使用される。上記の例では、電気モーターに供給される総エネルギは600Whと計算されている。第1のセグメント後のエネルギ貯蔵装置の残りのエネルギが300Whではなく200Whである場合、第1のセグメントの消費エネルギは先に計算されたものよりも100Wh多い、つまり700Whであったと計算することができる。
【0028】
先に計算された600Whと現在計算された700Whとの比較が、例えば5Wh又は10Whなどの所定のずれの閾値を超える場合、本発明の方法は、ずれを補正値に保存することを更に含む。この例では+100Wh又は+3.3Ahであるこの正のずれは、環境値を考慮した先の計算がある程度不完全であったか、又は誤っていたことを示す。これは、例えば、地図又はナビゲーションデータが古く、事前に計算された道路が迂回を生じさせ、所定のセグメントが計算されたよりも長くなっていることが原因であるかもしれない。これはまた、途中又はルートに障害物又は建設現場があり、ユーザーが速度を落とすか、完全に停止する必要がある可能性もある。これは更に、ユーザーの状態又は行動による可能性がある。例えば、ユーザーが乱暴で不安定な運転スタイルであり、多くのブレーキや再加速をする傾向がある場合、特に急な上り坂では、より多くのエネルギを消費する。
【0029】
別の例では、第1のセグメント後のエネルギ貯蔵装置の残りのエネルギが300Whではなく400Whである場合、第1のセグメントの消費エネルギは先に計算されたものよりも低かったこと、つまり100Wh低く500Whだけであったことが計算されることができる。そして、先に計算された600Whと現在計算された500Whとの比較が、例えば5Wh又は10Whのように所定のずれの閾値を超える場合、本発明の方法は、ずれを補正値に保存することを更に含む。この例では-100Wh又は-3.3Ahであるこのずれは、環境値を考慮した先の計算がある程度不完全であったか、又は誤っていたことを示す。これは、例えば、地図又はナビゲーションデータが古く、事前に計算された道路が近道を生じさせ、所定のセグメントが計算されたよりも短くなっていることが原因であるかもしれない。これは更に、ユーザーの状態又は行動による可能性がある。例えば、ユーザーが非常に安定した先を見越した運転スタイルの傾向があり、多かれ少なかれ注意深くブレーキや加速をする傾向がある場合である。
【0030】
先に計算されたエネルギからの、第1のセグメントで実際に消費されたエネルギのずれが消費閾値を超える場合、補正値はずれを完全に反映することはできないが、その一部及び残りは次のセグメントで考慮されることができる。例えば、消費閾値が10%を超える補正値を生じる場合、補正値を10%に制限し、残りは、もし次のセグメントがあるならば、そこで定められる補正値に追加されることができる。
【0031】
本発明の方法は、環境値、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷及びと補正値を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントについて維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップを更に含む。次に、上述した計算と同様の方法で、第2のセグメントについて、再計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数が決定される。比較結果が、先に計算されたのと同じ又は同様の量のエネルギが消費されていることを生じる場合は、この再計算のステップを省略することができる。次に、再計算されたアシスト係数に従って、第2のセグメントの間に電気モーターへエネルギが提供される。
【0032】
第2のセグメントについては、エネルギ貯蔵装置の残りのエネルギが実際に先に計算されたものよりも少ないか又は多いかだけでなく、補正係数も考慮される。例えば、ユーザーがブレーキや再加速が多い乱暴な運転者である場合には、電気モーターに供給されるエネルギは先に計算されたものよりも少なくなり得る。この例では、ユーザーが、先に計算したよりも既に100Wh多く消費している場合、150Whの閾値を考慮すると、第2のセグメントでは電気モーターに300Whではなく200Whしか利用できない。
【0033】
ここではユーザーの行動を考慮に入れて、補正係数を考慮して計算され、より少ないエネルギが電気モーターに供給される。この場合、これにより第2のセグメントにおいて、電気モーターで200Whではなく150Whを利用可能であることが結果として生じる。
【0034】
この結果に基づいて、次にアシスト係数が再計算される。例えば、最初の計算で第2のセグメントのアシスト係数が1.5と計算された場合、しかしながらユーザーはより多くのエネルギを消費ており、第2のセグメントではアシスト係数が1.25に減少される。
【0035】
この解決法により、エネルギ消費を、先にデータベースに保存された、加えて古いかもしれない環境条件だけでなく、ユーザーの行動、特にユーザーの運転行動にも適合させることができる。これにより、電動アシスト自転車について補正値の教育及び学習が可能になり、新しいルートが開始される次回に使用されることができる。例えば、先のルートにより既に保存された補正値がある場合、ルート全体に提供されるエネルギを計算する時、つまり第1のセグメントを開始する前に、この補正値を考慮することができる。この解決法により、電気モーターに提供されるエネルギの特に正確な計算がなされる。
【0036】
本発明の方法は、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値を定めるためにユーザーにユーザー閾値要求を提供するするステップと、ユーザー閾値要求に応答したユーザー閾値入力を受け取るステップと、ユーザー閾値入力をエネルギ閾値に適用するステップとを更に含むことによって改良されることができる。
【0037】
ユーザー閾値は、上記の少なくとも2つのセグメントを終了した後での必要な残りのエネルギに等しい。ユーザー閾値要求は、ユーザーインターフェースに表示されることができる。そこでは、ユーザーは所望のエネルギ閾値を入力するように要求されることができる。更に、選択可能な選択肢をユーザーに表示して、例えば50Wh、100Wh、又はエネルギ貯蔵装置で現在利用可能なエネルギの一部をパーセント又は絶対値のいずれかで選択することができる。その後に、例えばユーザーがタッチスクリーンで利用可能な選択肢を選択することによって、又は例えばキーボードにより所望の値を入力することによって、ユーザー閾値入力を受け取る。ユーザー入力後、このユーザーが選択した入力値は、本発明の方法の以降のステップでエネルギ閾値が必要とされるか又は使用される時に使用される。このステップは、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算及び/又は再計算するステップの前に実行される。
【0038】
これにより、ユーザーは、エネルギ貯蔵装置で維持されるべきエネルギ閾値を自由に選択することができる。例えばユーザーは、同じルートを同じ方法で、つまり電気モーターの同じアシストを用いて戻ることができるように、例えば全行程後に少なくとも50%、又は50%に加えてエネルギ貯蔵装置の5%又は10%の猶予が依然として利用可能であるようにして、限られた量のエネルギを消費したいことを定めることができる。
【0039】
この方法は、特に柔軟性のあるユーザー操作を提供する。
【0040】
本発明の方法は、上記の少なくとも2つのセグメントを定めるためにユーザーにユーザーセグメント要求を提供するステップと、ユーザーセグメント要求に応答したユーザーセグメント入力を受け取るステップと、ユーザーセグメント入力をその少なくとも2つのセグメントに適用するステップとを含むことによって更に改良されることができる。
【0041】
ユーザーセグメント要求は、例えばルートのその少なくとも2つのセグメント及びそれらの個々の部分のグラフィック描写で、ユーザーインターフェースに表示されることができる。そこでは、ユーザーは、第1及び/又は第2のセグメントの所望の長さを入力するように要求されることができる。更に、選択可能な選択肢をユーザーに表示して、例えば全ルートの一部をパーセント又は絶対値のいずれかで選択することができる。ルートの表示に合わせて、勾配、長さ、天気などの個々の及び/又は利用可能な環境条件を表示することができる。その後に、例えばユーザーが利用可能な選択肢をタッチスクリーンで選択するか、又はキーボードから所望の値を入力することによって、ユーザーセグメント入力を受け取る。ユーザー入力後、このユーザーが選択した入力値は、本発明の方法の以降のステップでその少なくとも2つのセグメントが必要とされるか又は使用される時に使用される。このステップは、計算されたルートを分割するステップと共に、その代わりに、その直前若しくは直後に実行される。
【0042】
これにより、ユーザーは所望する数の個別のセグメントを自由に選択して分割することができる。例えば、ユーザーは、補正値がより正確になるように、ルートをより多くのより短いセグメントに分割するべきことを定めることができる。他方で、補正値に関して長い下り坂の区間は細かく監視されないが、短い上り坂の区間は細かく監視されるように、ユーザーはセグメントの様々な長さを個別に割り当てることができる。
【0043】
これは、特に良好に、補正値に関して再計算されるセグメントをユーザーが調整できるという利点を有する。
【0044】
本発明の方法は、ルートを計算するステップが2つの選択肢のルートを計算することを含むという点で更に改良されることができ、そこではその方法は、2つの選択肢のルートから1つのルートを選択するためのユーザールート要求をユーザーに提供するステップと、ユーザールート要求に応答したユーザールート入力を受け取るステップと、ユーザールート入力をルートに適用するステップとを更に含む。
【0045】
ユーザールート要求は、例えば2つの選択肢のルートの、例えばそれらの個々のセグメントを含むグラフィック描写で、ユーザーインターフェースに表示されることができる。そこでは、ユーザーは、2つの利用可能なルートから所望のルートを選択するように要求されることができる。ルートの表示に合わせて、勾配、ルートの長さ、天気などの個々の及び/又は利用可能な1つ又は複数の環境条件を表示することができる。更に、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするか又は再び明らかにして表示することができる。その後に、例えばユーザーがタッチスクリーンで利用可能な選択肢を選択することによって、又はキーボードにより所望の値を入力することによって、ユーザールート入力を受け取る。ユーザー入力後、このユーザーが選択したルートは、本発明の方法の以降のステップで計算されたルートが必要とされるか又は使用される時に使用される。
【0046】
これにより、ユーザーは目的への2つの可能なルートから1つのルートの選択肢を自由に選択することができる。それにより例えばユーザーは、特にエネルギ貯蔵装置の利用可能なエネルギに応じて、より長いがより少ないエネルギを消費する少ない勾配の第1のルートを選択するか、又はより大きな勾配を有するがより短く、したがってより速い第2のルートを選択することができる。
【0047】
これは、ユーザーが自分の好み及び/又は1つ又は複数の環境条件に応じて、異なる複数のルートの中から選択することができるという利点を有する。
【0048】
本発明の方法は、ユーザーの少なくとも1つの状態を示すユーザー値を決定するステップを含むことによって更に改良されることができ、そこでは電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップはまた、電気モーターへ提供されるエネルギ量を、ユーザー値を考慮して再計算することを含む。
【0049】
ユーザー値は、例えばユーザーの身長又は体重であることができる。体重は、例えば、サドル及び/又はペダルでの重量センサを通じて明らかにされることができる。加えて又は代わりに、ユーザーインターフェースでユーザーにユーザー値要求を提供することができる。そこでは、ユーザーは自分の身長又は体重を入力することができる。加えて又は代わりに、ユーザーは自分の健康状態又はトレーニングレベルを入力することもできる。この1つ又は複数の値は、例えばユーザーデータベースに保存されることができる。
【0050】
次に、このユーザー値を使用して、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算する。加えて又は代わりに、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するステップはまた、ユーザー値を考慮して電気モーターに提供されるエネルギ量を計算することを含むこともできる。
【0051】
それにより、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算及び/又は再計算する時に、ユーザーの状態を考慮に入れることが可能である。例えば、ユーザーが非常に重い又は背が高い場合、ユーザーは体重や空気抵抗により、例えば坂を登るために、より多くのエネルギを必要としていると判断されることができる。あるいは、ユーザーが非常にほっそりしている場合、ユーザーはより少ないエネルギを必要とすると判断することができる。ユーザーが自分の筋力でペダルを漕ぐことで、電気モーターの最大許容速度又は最大許容出力に達したことにより電気モーターの出力が低下した場合には、先に決定されたよりも少ないエネルギ消費が生じることもある。
【0052】
これは、電気モーターに供給されるエネルギを非常に正確に計算することができるという利点を有する。
【0053】
本発明の方法は、自転車の少なくとも1つの状態を示す自転車値を決定するステップを含むことによって更に改良されることができ、そこでは電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップはまた、自転車値を考慮して電気モーターへ提供されるエネルギ量を再計算することを含む。
【0054】
自転車の状態は、例えば、空気が不足しているために大きな摩擦を生じ、より多くのエネルギ消費をもたらす、自転車の少なくとも1つのタイヤにすることができる。これは、例えばタイヤ空気圧センサで明らかにされることができる。自転車の更なる状態は、より多くのエネルギを消費するような、ブレーキ又はギアシフトの機能不良であり得る。自転車の状態は、例えば使用年数やエネルギ貯蔵装置で実行された充電サイクルの数などのような、エネルギ貯蔵装置の状態でもあり得る。更に、自転車の状態は、自転車、特にモーターやクランクなどの駆動手段の摩耗でもあり得る。この状態は、例えば潤滑不足による、例えば駆動部品の摩擦の増加を考慮に入れることができる。自転車の更なる状態は、例えばその配置、すなわち、車高、ハンドルの高さなどによる自転車の空気抵抗であり得る。
【0055】
この1つ又は複数の状態は、例えば自転車データベースに保存されることができる。そこでは、自転車のすべての状態が、他の値、特徴又は状態と一緒に保存されることができる。例えば、空気抵抗又は摩擦の状態は、運転速度とともに増加するため、その速度とともに保存されることができる。
【0056】
次に、この自転車値を使用して、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算する。加えて又は代わりに、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するステップは、自転車値を考慮して電気モーターに提供されるエネルギ量を計算することを含むこともできる。
【0057】
これは、ユーザーが知らない又は変更できない自転車の状態も考慮に入れられて、電気モーターに供給されるエネルギを非常に正確に計算することができるという利点を有する。
【0058】
本発明の方法は、エネルギ貯蔵装置の少なくとも1つの状態を示すバッテリ値を明らかにするステップを含むことによって更に改良されることができ、そこでは電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するステップはまた、バッテリ値を考慮して電気モーターに供給されるエネルギ量を再計算することを含む。
【0059】
エネルギ貯蔵装置の状態は、例えば現在の温度、エネルギ貯蔵装置の経年又は劣化であることができ、特に現在の温度、経年又は劣化の下で達成可能なエネルギ貯蔵装置の最大充電であり得る。エネルギ貯蔵装置の現在の温度は、例えば、エネルギ貯蔵装置に取り付けられているか又はエネルギ貯蔵装置の近くに配置されている温度センサにより明らかにされることができる。エネルギ貯蔵装置の経年は、例えば、メモリに保存されている製造日、又はエネルギ貯蔵装置が電動アシスト自転車に設置されている時間を計測するカウンターによって明らかにされることができる。エネルギ貯蔵装置の劣化は、例えば、特にエネルギ貯蔵装置が完全に充電された後に、以前の電荷の測定値と比較することによって明らかにされることができる。
【0060】
この1つ又は複数の状態は、例えばバッテリデータベースに保存されることができる。そこでは、エネルギ貯蔵装置のすべての状態は、他の値、特徴又は状態と一緒に保存されることができる。例えば、エネルギ貯蔵装置の電荷は、エネルギ貯蔵装置の1つ又は複数の温度、経年、又は劣化状態について保存されることができる。例えば20°Cの温度の場合、最大充電量は1000mAhになることができ、30°Cの温度の場合、最大充電量は900mAhになり得る。2ヶ月使用のエネルギ貯蔵装置の場合、最大充電量は1200mAhになることができ、24ヶ月使用したエネルギ貯蔵装置の場合、最大充電量は800mAhになり得る。
【0061】
次に、このバッテリ値を使用して、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算する。加えて又は代わりに、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するステップはまた、バッテリ値を考慮して電気モーターに提供されるエネルギ量を計算することを含むことができる。
【0062】
これは、ユーザーが知らない又は変更できないエネルギ貯蔵装置の状態も考慮に入れられて、電気モーターに提供されるエネルギを非常に正確に計算することができるという利点を有する。
【0063】
本発明の方法は、ずれの値を補正値に保存するステップがまた、ユーザー値及び/又は自転車値及び/又はバッテリ値を決定して、補正値にユーザー値及び/又は自転車値及び/又はバッテリ値を保存することを含むという点で更に改良されることができる。
【0064】
これにより、特定のユーザーの状態及び/又は自転車の状態を補正値に関連付けることが可能であり、それにより同じ又は類似のユーザー及び/又は自転車の状態が生じた場合に、電気モーターに提供されるエネルギを(再)計算する時に、これを考慮に入れることができる。これらの状態と一緒に、1つ又は複数の補正値は補正データベースに保存されることができる。
【0065】
更なる態様によれば、電動アシスト自転車の一連の動的制御装置が提供され、その自転車はエネルギ貯蔵装置と電気モーターとを含み、その装置は、現在の自転車位置を明らかにするように構成された位置測定ユニットと、目的位置を決定するように構成された目的決定ユニットと、現在の自転車位置から目的位置までのルートを計算するように構成されたルート計算ユニットと、ユーザーに情報を表示するように構成されたユーザーインターフェースとを含む。
【0066】
その装置は更に、現在位置で現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように構成されたエネルギ測定ユニットと、計算されたルートの少なくとも1つの環境条件を示す環境値を決定するように構成された環境決定ユニットと、計算されたルートをその少なくとも2つのセグメントに分割するように構成されたセグメントユニットとを含む。
【0067】
その装置は、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、環境値及び現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値がその少なくとも2つのセグメントについて維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するように構成されたエネルギ計算ユニットを更に含む。そのエネルギ計算ユニットは、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を計算するように更に構成される。
【0068】
その装置は、計算されたアシスト係数に従って第1のセグメントの間に電気モーターにエネルギを提供するように構成されたエネルギ提供ユニットを更に含み、ここでエネルギ測定ユニットは、第1のセグメントの後の現在位置で、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように更に構成される。
【0069】
その装置は更に、第1のセグメントの間に消費されたエネルギ量を第1のセグメントについて計算されたエネルギ量と比較するように構成された比較ユニットと、比較ユニットでの比較が所定のずれの閾値を超える場合には、所定のずれの閾値からのずれを補正値に保存するように構成された記憶装置とを含む。そこでは、計算ユニットは、環境値、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷、及び補正値を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントについて維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成される。エネルギ計算ユニットは、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、再計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を再計算するように更に構成される。エネルギ提供ユニットは、再計算されたアシスト係数に従って、第2のセグメントの間に電気モーターにエネルギを提供するように更に構成される。
【0070】
その装置は、ユーザーインターフェースが、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値を定めるためにユーザーにユーザー閾値要求を提供し、ユーザーインターフェースでユーザー閾値要求に応答したユーザー閾値入力を受け取り、そしてユーザー閾値入力をエネルギ閾値に適用するように構成される点で改良されることができる。
【0071】
その装置は、ユーザーインターフェースが、その少なくとも2つのセグメントを定めるためにユーザーにユーザーセグメント要求を提供し、ユーザーセグメント要求に応答したユーザーセグメント入力を受け取り、そしてユーザーセグメント入力をその少なくとも2つのセグメントに適用するように構成されるという点で更に改良されることができる。。
【0072】
その装置は、ルート計算ユニットが2つの選択肢のルートを計算するように構成され、ここでユーザーインターフェースが、2つの選択肢のルートから1つのルートを選択するためにユーザールート要求をユーザーに提供し、ユーザールート要求に応答したユーザールート入力を受け取り、そしてユーザールート入力をルートに適用するように構成されるという点で更に改良されることができる。
【0073】
その装置は、ユーザーの少なくとも1つの状態を示すユーザー値を決定するように構成されたユーザー決定ユニットを含むことによって更に改良されることができ、そこでは計算ユニットが、そのユーザー値を考慮して電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成される。
【0074】
その装置は、自転車の少なくとも1つの状態を示す自転車値を決定するように構成された自転車決定ユニットを備えることによって更に改良されることができ、そこでは計算ユニットが、その自転車値を考慮して電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成される。
【0075】
その装置は、エネルギ貯蔵装置の少なくとも1つの状態を示すバッテリ値を決定するように構成されたバッテリ決定ユニットを含むことによって更に改良されることができ、そこでは計算ユニットが、そのバッテリ値を考慮して電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成される。
【0076】
その装置は、記憶装置が、ユーザー値及び/又は自転車値及び/又はバッテリ値を補正値に保存するように更に構成されるという点で、更に改良されることができる。
【0077】
更なる態様によれば、エネルギ貯蔵装置と、電気モーターと、前述の実施形態の1つの装置とを含む、電動アシスト自転車が提供される。
【0078】
その装置及び電動アシスト車の利点に関しては、この方法の利点が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
図1】一実施形態により電動アシスト自転車の一例を示す概略図である。
図2】一実施形態により電動アシスト自転車の一連の動的制御方法のステップを概略的に示すフローチャート図である。
図3】一実施形態により電動アシスト自転車の一連の動的制御方法での計算及び再計算されるデータの一例を示す。
図4】一実施形態により電動アシスト自転車の一連の動的制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、電動アシスト自転車1を概略的に示す。電動アシスト自転車1は、フレーム10と、前輪9と、サドル11と、ハンドル12と、クランクギア3とを含み、クランクギア3はチェーン6及び歯車(図示せず)を介して後輪8に接続される。自転車1は更に、ペダルを漕ぐ間に運転者をアシストするための電気モーター5を含み、それはバッテリのようなエネルギ貯蔵装置7によって電力を供給される。
【0081】
電気モーター5は、動作中に後輪8を回転させて運転者がペダルを漕ぐことをアシストするように構成される。アシストモーターがクランクギア、フロントハブ、又はホイールそのものを、例えば摩擦ローラーを介して、駆動するように構成されることができる変形例がある。示されている例では、バッテリ7は、フレーム10の中央部分に配置されている。
【0082】
自転車1は、電動アシスト自転車の一連の動的制御装置9を更に含む。装置9はタッチインターフェースの形態であり、そして現在の自転車位置を明らかにするように構成された位置測定ユニットと、目的位置を決定するように構成された目的決定ユニットと、現在の自転車位置から目的位置へのルートを計算するように構成されたルート計算ユニットと、ユーザーに情報を表示するように構成されたユーザーインターフェースとを含む。
【0083】
装置9は、現在位置での現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように構成されたエネルギ測定ユニットと、計算されたルートの少なくとも1つの環境条件を示す環境値を決定するように構成された環境決定ユニットと、計算されたルートを少なくとも2つのセグメントに分割するように構成されたセグメントユニットとを更に含む。
【0084】
装置9は、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、環境値及び現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が全ルートに亘って維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するように構成されたエネルギ計算ユニットを更に含む。ここでそのエネルギ計算ユニットは、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を計算するように更に構成される。
【0085】
装置9は、計算されたアシスト係数に従って第1のセグメントの間に電気モーターにエネルギを提供するように構成されたエネルギ提供ユニットを更に含み、そのエネルギ測定ユニットは、第1のセグメントの後に現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように更に構成され、比較ユニットは、第1のセグメントの間に消費されたエネルギ量を、第1のセグメントについて計算されたエネルギ量と比較するように構成される。
【0086】
装置9は、比較ユニットでの比較が所定のずれを超える場合に、所定のずれの閾値からのずれを補正値に保存するように構成された記憶装置を更に含む。ここで計算ユニットは、環境値、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷及び補正値を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントについて維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成される。
【0087】
エネルギ計算ユニットは、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、再計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を再計算するように更に構成され、ここでエネルギ提供ユニットは、再計算されたアシスト係数に従って、第2のセグメントの間に電気モーターにエネルギを提供するように更に構成される。
【0088】
ここで、位置測定ユニット、目的決定ユニット、ルート計算ユニット、エネルギ測定ユニット、環境決定ユニット、セグメントユニット、エネルギ計算ユニット、エネルギ提供ユニット、比較ユニット及び記憶装置が、マイクロプロセッサシステムに組み込まれており、マイクロプロセッサシステムは、メモリ、GPSセンサ、タッチスクリーン及びデータベースにアクセスする。この装置については、図4で更に詳しく説明する。
【0089】
図2は、電気アシスト自転車の一連の動的制御方法のステップを概略的に示すフローチャート図であり、その自転車は、エネルギ貯蔵装置及び電気モーターを備える。この方法は、タッチスクリーンのユーザーインターフェースを備えた電動アシスト自転車の一連の動的制御装置によって実施される。
【0090】
第1のステップ21において、自転車の現在の位置は、GPSセンサを使用することによって明らかにされる。その位置は、ユーザーインターフェース、例えば表示された周囲の地図上に表示されることができる。
【0091】
第2のステップ22において、目的位置は、ユーザーインターフェースによりユーザーから目的位置アドレス又は座標を受け取ることによって決定され、それはユーザーインターフェースにも表示されることができる。
【0092】
ステップ21及び22は逆に実行されることもでき、すなわちステップ21の前にステップ22を実行することもできる。ステップ23にとって重要なことは、現在位置、すなわちルートの出発地点と、目的位置、すなわちルートの終点が定まっていることである。
【0093】
次のステップ23において、任意でユーザーが現在位置及び/又は目的位置を確認した後に、現在の自転車位置から目的位置までのルートが、地図データベースに保存されている地図データを使用して計算される。現在位置から目的位置へのルートの選択肢が複数ある場合は、複数のルートが計算される。その後に、1つ又は複数のルートをユーザーインターフェースに表示することができる。計算されたルートが2つある場合、ユーザーインターフェースで2つの選択肢のルートから1つのルートを選択するためのユーザールート要求をユーザーに提供することができ、その後にそれに応答してユーザーからユーザールート入力を受け取る。選択されたルートは、以降のステップでルートとして使用される。
【0094】
次のステップ24において、現在位置での現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷が明らかにされる。この電荷は、例えばAhで、又はWhでの対応する値で、ユーザーインターフェースに表示されることもできる。このステップ内で又はその後に、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値を定めるためのユーザー閾値要求をユーザーに提供することができ、その後にユーザー閾値入力を受け取る。このユーザー閾値入力は、以降のステップでエネルギ閾値として使用される。
【0095】
次のステップ25において、計算されたルートの少なくとも1つの環境条件を示す環境値が決定される。環境値及び/又は条件は、ユーザーインターフェースに表示されることもできる。例えば、全ルートで全体として勾配がある場合、これは上昇するメートルで表示されてもよい。別の例では、10m/sの継続した逆風がある場合、これもまたユーザーインターフェースに表示されてもよい。
【0096】
次のステップ26において、計算されたルートは、少なくとも2つのセグメントに分割される。そのセグメントは、任意で計算されたルートと一緒にユーザーインターフェースに表示されることができる。その少なくとも2つのセグメントを定めるためのユーザーセグメント要求をユーザーインターフェースでユーザーに提供することができ、その後にそれに応答してユーザーからユーザーセグメント入力を受け取る。定められたセグメントは、以降のステップでセグメントとして使用される。
【0097】
ステップ21から26の中で、それらのステップの間に、又はそれらのステップの後に、ユーザーの少なくとも1つの状態を示すユーザー値、自転車の少なくとも1つの状態を示す自転車値、及びエネルギ貯蔵装置の少なくとも1つの状態を示すバッテリ値を決定することができる。
【0098】
ステップ23から26は、同時に又は異なる順番で行われることができる。例えば、第1のステップ24が実行され、次にステップ23が実行され、その後にステップ25及び26が実行されることが可能である。別の例では、ステップ23が最初に実行され、次にステップ25、その後に24及び26が実行される。更なる例では、ステップの順番は23、26、25、24である。ステップ27に進む前に重要なのは、ルート全体のすべてのパラメーター、つまりルート自体、利用可能なエネルギ電荷、少なくとも1つの環境条件、セグメント、及びその他の要因、例えばユーザー値、自転車値、バッテリ値などを決定することだけである。
【0099】
更なるステップ27において、電気モーターに提供されるエネルギ量は、環境値及び現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、エネルギ貯蔵装置の事前に定められた又はユーザーが定めたエネルギ閾値がその少なくとも2つのセグメントについて維持されるようにして、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて計算される。ユーザー値、自転車値、及びバッテリ値などの更なる値も考慮に入れることができる。更に、先に決定された補正値も考慮に入れることができる。エネルギ量、及び考慮されるすべての値と係数は、それぞれのセグメントについてユーザーインターフェースに表示されることができる。
【0100】
次に、ステップ27で計算されたエネルギ量に基づいて、次のステップ28でその少なくとも2つのセグメントのそれぞれについてアシスト係数が計算される。
【0101】
上記のすべてのステップ21から28は、ルートに沿って移動を開始する前、又は少なくとも第1のセグメントの非常に早い段階で実行する必要がある。上記のすべてのステップ21から28は、ユーザーの開始入力の後に、個別に又は全体として開始されることができる。
【0102】
次のステップ29において、エネルギは、計算されたアシスト係数に従って、第1のセグメントの間に電気モーターに提供される。そこでは、電気モーターに提供されるエネルギは、自転車のユーザーによって提供される人間の筋力に追加して提供される。第1のセグメントに沿った移動中、現在の位置は、例えばGPSセンサにより継続的に監視されることができ、それにより第1のセグメントでの前進を監視することができる。
【0103】
更なるステップ30で第1のセグメントが完了した後に、上記のステップ24と同じ方法で、現在位置で現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷が明らかにされるか又は再び明らかにされる。
【0104】
更なるステップ31において、第1のセグメントの間に消費されたエネルギ量が、第1のセグメントの間について計算されたエネルギ量と比較される。決定32において、比較が所定のずれの閾値を超えるかどうかが決められる。もしそうであれば、ずれを補正値に保存するステップ33が実行される。
【0105】
次に、更なるステップ34において、電気モーターに提供されるエネルギ量が、環境値、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷及び補正値を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントについて維持されるように再計算される。
【0106】
更なるステップ35において、アシスト係数は、再計算されたエネルギ量に基づいて、第2のセグメントについて再計算される。
【0107】
別のステップ36では、第2のセグメントの間に、再計算されたアシスト係数に従ってエネルギが電気モーターへ提供される。
【0108】
ルートに3つ以上のセグメントがある場合、この方法は続くセグメントごとにステップ24に戻り、前述のステップ30~36を再実行することができる。
【0109】
決定32で、比較が所定のずれの閾値を超えない場合、エネルギは、先にステップ28で計算された補正係数に従って、ステップ36での第2のセグメントの間に電気モーターに提供される。
【0110】
ステップ24及び/又は30における現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにすることは、上述のように、電圧測定又はバランス測定によって、あるいは両方の測定の組み合わせによって行われることができる。例えば、ほぼ完全に充電されたエネルギ貯蔵装置について、例えば90%の充電で電圧測定を実行し、一部放電されたエネルギ貯蔵装置について、例えば60%において、バランス測定を実行することができる。更に、それらの測定は、例えばステップ24及び/又はステップ30で同時に適用されることができる。そして、両方の測定を一緒に使用して、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷のより正確な値を得ることができる。
【0111】
更に、これらの2つの測定、つまり電圧測定とバランス測定を使用して、平均値を計算することができる。この平均値は、現在明らかにされている電荷、温度、経年、劣化などのエネルギ貯蔵装置の1つ又は複数の状態に応じて、各測定値の重み係数に更に基づくことができる。
【0112】
例えば、測定の結果、充電がおおよそ中程度である、つまり60%などのように完全に充電されておらず、完全に放電されていない場合、電圧測定はそのような充電に対してより正確であるため、電圧測定は0.55などのようにバランス測定よりも高い重み付けを有することができる。測定の結果、90%などのように充電が完全に充電された状態に近い場合、バランス測定はそのような電荷に対してより正確であるため、バランス測定は0.55などのように電圧測定よりも高い重み付けを有することができる。
【0113】
更に、この重み付けは、経時的な複数の測定に基づいて適用されることができ、ここでは重み付けは、先の電圧測定及びバランス測定にも基づいている。加えて又は代わりに、個々の測定の不確実性を考慮に入れることによって、測定値に重みを付けることもできる。例えば、電圧測定では500mAhが得られ、その特定の充電範囲で10%の測定の不確実性を有することが知られている。同時に、バランス測定では510mAhが得られ、同じ特定の充電範囲で5%の測定の不確実性を有することが知られている。次に、これらすべての要因を考慮に入れることにより、現在利用可能な電荷は、例えば、((500mAh/10%)+510mAh/5%)/((1/10%)+(1/5%))=506,7mAhであり得る。
【0114】
図3は、一実施形態による、電動アシスト自転車の一連の動的制御方法で計算及び再計算されたデータの例を示す。これは、電動アシスト自転車のユーザーが移動を希望するルートの出発地点Dと到着地点Aとの間の距離dに応じた、環境値又は環境値の組である高さhを示す。ルートは、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値がルート全体で維持されるようにして、環境値及び現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して出発地点Dで計算される。
【0115】
そのために、ルートは複数の同じ長さのセグメント、この例では8つに分割されており、そのうちの最初の5つのセグメントに、視認性の理由のみから符号が付されている。ルートを計算する際に、エネルギ貯蔵装置で利用可能な総エネルギは、ルート全体で1000Whであることが明らかにされている。エネルギ閾値は、例えばユーザーインターフェースによりユーザーによって設定される200Whであり得る。したがって、電動アシスト自転車の電気モーターに供給される総エネルギは800Whになる。エネルギが8つのセグメントに均等に分配される場合、電気モーターに提供されるエネルギは、8つのセグメントのそれぞれについて100Whになる。しかしこれは、負の勾配を有するセグメントについてはエネルギを提供する必要がないのでエネルギが無駄になり、その結果、正の勾配を有するセグメントで坂道を登るのに利用できるエネルギが少なくなるので、望ましくない。
【0116】
ここで、ルートに沿った環境値の組として高さ特性Pを考慮に入れると、それぞれのセグメントについて、電気モーターに提供される特定のエネルギ量を計算することができる。例えば、第1のセグメント101において、計算された提供されるエネルギは、わずかな勾配のために110Whであり得る。第2のセグメント102では150Wh、3番目のセグメント103では140Wh、4番目のセグメント104では90Whになり得る。第5のセグメント105において、電動アシスト自転車が、例えば下り坂による制動からエネルギを回生する、エネルギ回生装置を含む場合、電気モーターに提供されるエネルギは、ゼロ又は負でさえあり得る。これは一定のエネルギ分配よりも望ましいが、この計算では、ルートに沿った移動の予測できない状況又は未知の状況は考慮されていない。更に、セグメントの終わりで電気モーターに提供されているエネルギ量を正確に制御することは不可能であるため、計算されたエネルギ量はただの目標であり得る。例えば、ユーザーが自転車に驚くほど大きな、予想外の人間の筋力を提供し、それによりそのエネルギ量が電気モーターに提供される前にセグメントの終わりに到達した場合、電気モーターに更なるエネルギを提供することが防止されることができる。逆に、例えば思いの外自転車のブレーキをかけ、自転車の運動エネルギがブレーキで放散される熱に部分的に変換される場合、エネルギ量はセグメントの終わりに到達するのに十分でないかもしれない。
【0117】
したがって、第1のセグメント101を完了した後に、現在利用可能なエネルギが再度明らかにされ、第1のセグメントの間に提供されることが計算されたエネルギと比較される。計算されたエネルギ量が、計算されたようにそのセグメントの間に電気モーターに提供された場合、次のセグメントは前と同じ方法でアプローチされる。しかし、計算されたよりも多くの電気エネルギが電気モーターに供給された場合には、2つの修正が行われる。第一に、電動アシスト自転車の電気モーターにこれから供給される総エネルギが予想よりも少ないため、各セグメントについて電気モーターに供給されるべきエネルギが再計算される。第二に、次のセグメントで電気モーターに提供されるエネルギが、次のセグメントについて電気モーターに提供される再計算されたエネルギと対応する可能性が高くなるように、補正値が下げられる。したがって、次のセグメントでの電動自転車の電気モーターには、補正係数なしで適用される予定だったものと比較して、より低いアシスト係数が適用される。同様に、計算されたよりも少ない量の電気エネルギが電気モーターに提供された場合には、以降のセグメントについて電気モーターに提供されるエネルギは、電気モーターに提供されることになる残りのより多くの総エネルギに従って再計算され、次の1つ又は複数のセグメントで電気モーターに提供されるエネルギが、次の1つ又は複数のセグメントについて電気モーターに提供される再計算されたエネルギと対応する可能性が高くなるように、補正値が増加される。したがって、次のセグメントの電動自転車の電気モーターには、補正係数なしで適用される予定だったものと比較して、より高いアシスト係数が適用される。
【0118】
図4は、エネルギ貯蔵装置及び電気モーター51を含む電動アシスト自転車の一連の動的制御装置40のブロック図を示す。その装置はプロセッサ41を含み、プロセッサ41は各種のセンサ42と、メモリ43と、I/Oモジュール44とにアクセスする。プロセッサ41はまた、自転車の電気モーター51に接続される。
【0119】
各種のセンサ42は、自転車の現在位置を明らかにするためのGPSセンサ45と、自転車のユーザーの体重を明らかにするための重量センサ46と、タイヤ空気圧を明らかにするためのタイヤ空気圧センサ47と、エネルギ貯蔵装置51の現在利用可能な電荷を明らかにするための電圧センサ48と、自転車の現在の速度を明らかにするための速度センサ49と、自転車のペダルを漕ぐユーザーによってクランクに加えられている現在の動力を明らかにするための動力センサ50とを含む。各種のセンサ42はまた、図4には示されていない温度センサを含むことができる。
【0120】
メモリ43は、次の複数のデータベースを含む。地図データを含む地図データベース52、環境条件を含む環境データベース53、ユーザーの状態を含むユーザーデータベース54、自転車の状態を含む自転車データベース55、補正値を含む補正データベース56、アシスト係数を含むアシスト係数データベース57、及びエネルギ貯蔵装置の状態を含むバッテリデータベース(図示せず)。
【0121】
I/Oモジュール44は、ユーザーインターフェースを形成するタッチスクリーン58と、通信モジュール59とを含み、通信モジュール59は、例えばモバイル又はWi-Fi接続を介して、その装置をリモート装置と通信可能にする。タッチスクリーン58を通じて、ユーザーは、データ、値、状態などの情報を装置41へ入力すること及び装置41から受け取ることのそれぞれができる。
【0122】
プロセッサ41は、GPSセンサ45にアクセスすることによって現在の自転車位置を明らかにするように構成された位置測定ユニットと、タッチスクリーン58からユーザー入力を受け取ることによって目的位置を決定するように構成された目的決定ユニットと、地図データベース52にアクセスすることによって現在の自転車位置から目的位置までのルートを計算するように構成されたルート計算ユニットとを形成する。すべてのデータベースは、通信モジュール59を介して、例えばリモートサーバーなどのリモート装置により交換及び/又は更新されることができる。
【0123】
プロセッサ41は更に、電圧センサ48にアクセスすることによって現在位置での現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように構成されたエネルギ測定ユニットと、環境データベース53にアクセスすることによって計算されたルートの少なくとも1つの環境条件を示す環境値を決定するように構成された環境決定ユニットと、計算されたルートを少なくとも2つのセグメントに分割するように構成されたセグメントユニットとを形成する。
【0124】
プロセッサ41は更に、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、環境値及び現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値がルート全体に亘って維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を計算するように構成されたエネルギ計算ユニットを形成する。エネルギ計算ユニットは、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を計算するように更に構成される。このアシスト係数は、アシスト係数データベース57に保存される。
【0125】
プロセッサ41は更に、動力センサ50から受け取ったユーザーがクランクに加える動力を考慮に入れて、その計算されたアシスト係数に従って、第1のセグメントの間に電気モーター50にエネルギを提供するように構成されたエネルギ提供ユニットを形成する。プロセッサ41のエネルギ測定ユニットは、第1のセグメントの後の現在位置で、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷を明らかにするように更に構成される。
【0126】
プロセッサ41は更に、第1のセグメントの間に消費されたエネルギ量を第1のセグメントについて計算されたエネルギ量と比較するように構成された比較ユニットと、比較ユニットでの比較が所定のずれの閾値を超える場合に、所定のずれの閾値からのずれを、補正データベース56にアクセスすることによって補正値に保存するように構成された記憶装置とを形成する。
【0127】
そこでのプロセッサ41のエネルギ計算ユニットは、環境値、現在利用可能なエネルギ貯蔵装置の電荷及び補正値を考慮して、エネルギ貯蔵装置のエネルギ閾値が第2のセグメントに対して維持されるようにして、電気モーターに提供されるエネルギ量を再計算するように更に構成される。エネルギ計算ユニットは、その少なくとも2つのセグメントのそれぞれについて、再計算されたエネルギ量に基づいてアシスト係数を再計算するように更に構成される。
【0128】
プロセッサ41のエネルギ提供ユニットは、再計算されたアシスト係数に従って、第2のセグメントの間に電気モーター50にエネルギを提供するように更に構成される。
【0129】
電気モーターに提供されるエネルギ量を計算及び再計算する時、プロセッサーはまた、データベースに保存されている、例えばユーザーデータベース54及び自転車データベース55からの、他の様々な要因及び値を考慮する。ユーザーデータベース54でのユーザー値は重量センサ46から受け取ったものであり、自転車データベース55での自転車値はタイヤ空気圧センサ47から受け取ったものである。
【符号の説明】
【0130】
1 電動アシスト自転車
3 クランクギア
5 電気モーター
6 チェーン
7 エネルギ貯蔵装置
8 後輪
9 前輪
10 フレーム
11 サドル
12 ハンドル
21 方法のステップ
22 方法のステップ
23 方法のステップ
24 方法のステップ
25 方法のステップ
26 方法のステップ
27 方法のステップ
28 方法のステップ
29 方法のステップ
30 方法のステップ
31 方法のステップ
32 決定
33 方法のステップ
34 方法のステップ
35 方法のステップ
36 方法のステップ
40 電動アシスト自転車の一連の動的制御装置
41 プロセッサ
42 各種センサ
43 メモリ
44 I/Oモジュール
45 GPSセンサ
46 重量センサ
47 タイヤ空気圧センサ
48 電圧センサ
49 速度センサ
50 動力センサ
51 エネルギ貯蔵装置
52 地図データベース
53 環境データベース
54 ユーザーデータベース
55 自転車データベース
56 補正データベース
57 アシスト係数データベース
58 タッチスクリーン
59 通信モジュール
101 第1のセグメント
102 第2のセグメント
103 第3のセグメント
104 第4のセグメント
105 第5のセグメント
A 到着地点
d 距離
D 出発地点
h 高さ
P 高さ特性
図1
図2
図3
図4