(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】粒子分析器のための適応ソーティング
(51)【国際特許分類】
G01N 15/1429 20240101AFI20240215BHJP
G01N 15/1433 20240101ALI20240215BHJP
G01N 15/149 20240101ALI20240215BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240215BHJP
G01N 21/53 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
G01N15/1429 200
G01N15/1433
G01N15/149
G01N21/64 F
G01N21/53 Z
(21)【出願番号】P 2021519115
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 US2019055225
(87)【国際公開番号】W WO2020081292
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-28
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】トロッター,ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】オウズリー,キーガン
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/214572(WO,A1)
【文献】特表2018-505392(JP,A)
【文献】特表2018-503801(JP,A)
【文献】特開平05-209821(JP,A)
【文献】特表2019-526783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052106(US,A1)
【文献】特開2017-181278(JP,A)
【文献】特開2017-120257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/1429
G01N 21/64
G01N 21/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
1つ以上の処理デバイスの制御下で、
通信デバイスから、粒子分析器にかかる試料に対する参照ソーティング基準を受け取ることと、
前記参照ソーティング基準および前記試料に少なくとも部分的に基づいて、前記試料に対する候補イベント分類子を識別することと、
前記候補イベント分類子からの少なくとも1つのイベント分類子を含むソーティング戦略を生成することと、
前記ソーティング戦略の精度を示す評価基準を生成することと、
前記評価基準が前記試料の最小精度閾値を満たすかまたは超えることを判定することと、
前記試料に関して粒子を、前記粒子の多次元測定値とソーティング戦略とに少なくとも部分的に基づいて分類するように前記粒子分析器を構成することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記参照ソーティング基準は、前記粒子を分類するための測定値範囲を識別するゲート情報を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記参照ソーティング基準は、前記試料から収集されるべき参照粒子を示す画像を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記ソーティング戦略を表すソーター構成を前記粒子分析器に送信することと、
前記ソーター構成に少なくとも部分的に基づいて、ソーティング回路を調整することと
をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記ソーティング回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイを含む、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記粒子分析器から受け取られた前記多次元測定値は、前記粒子によって蛍光発光された光の測定値を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記粒子によって蛍光発光された光は、前記粒子に結合した抗体によって蛍光発光された光を含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記評価基準は、前記ソーティング戦略のf値を含み、
前記f値の適合率成分は、前記ソーティング戦略による前記試料のソーティングの純度を表し、
前記f値の再現率成分は、前記ソーティング戦略による前記試料のソーティングの収率を表す、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
データ記憶装置内に、前記候補イベント分類子を記憶させることをさらに含み、
前記候補イベント分類子は、
(a)スコア化、および関連ターゲットまたはオフターゲットスコアを含む計算ソーティング分類子であって、粒子測定値のスコアは、ソーティングの前記関連ターゲットまたはオフターゲットスコアと比較される、計算ソーティング分類子、
(b)粒子の1つ以上の測定値を、前記粒子の近似測定値に変換するための変換、
(c)前記参照ソーティング基準によって表される母集団を、ソート可能でない第1のパラメータ空間から、ソートすることができる第2のパラメータ空間に変換するためのパラメータ投影、および
(d)画像または高次元測定値から特徴ベクトルを生成するための特徴抽出であって、特徴ベクトルは、粒子を分類するために使用される、特徴抽出
のうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記粒子分析器から、前記粒子分析器内に実装されたソーティング回路を示すハードウェア識別子を受け取ることをさらに含み、
前記候補イベント分類子を識別することは、前記ハードウェア識別子に少なくとも部分的にさらに基づく、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
システムであって、
1つ以上の処理デバイスと、
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体と
を備えており、
前記命令は、前記1つ以上の処理デバイスによって実行されると、前記システムに、
通信デバイスから、粒子分析器にかかる試料に対する参照ソーティング基準を受け取ること、
前記参照ソーティング基準および前記試料に少なくとも部分的に基づいて、前記試料に対する候補イベント分類子を識別すること、
前記候補イベント分類子からの少なくとも1つのイベント分類子を含むソーティング戦略を生成すること、
前記ソーティング戦略の精度を示す評価基準を生成すること、
前記評価基準が前記試料に対する最小精度閾値を満たすかまたは超えることを判定すること、
前記粒子分析器内に含まれる分析手段のソーティング戦略を反映する動作状態を調整するための制御信号を生成すること、および
前記制御信号を前記分析手段に送信して、前記動作状態を達成すること
を行わせる、システム。
【請求項12】
前記分析手段は、偏向板に通信可能に連結されたソーティングエレクトロニクスを備え、
前記粒子分析器は、粒子に対するターゲット容器を、前記ターゲット容器に対する前記ソーティング戦略に対応する測定値に少なくとも部分的に基づいて識別するようにさらに構成され、
前記動作状態を調整することは、偏向板を介して電荷を印加して前記粒子をターゲット容器内に導くことを含む、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記分析手段は、流体工学システムを有し、前記動作状態を調整することは、前記試料を分析するための実験中に印加される圧力を調節することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
パラメトリック機械学習変換を使用してイベントデータを動的に処理する
、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
実行されると、請求項1~10または14に記載の方法のうちのいずれかを実施する命令が記憶された、コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
プロセッサを備える装置であって、前記プロセッサは、請求項1~10または14に記載の方法のうちのいずれかを実施するように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動粒子評価の分野に関し、より具体的には、試料分析および粒子特性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フローサイトメータおよび走査サイトメータなどの粒子分析器は、光散乱および蛍光などの電気光学測定値に基づいて粒子の特性評価を可能にする分析ツールである。フローサイトメータにおいては、例えば、流体懸濁液中の分子、被分析物結合ビーズ、または個々の細胞などの粒子に検出領域を通過させ、そこで、粒子は、典型的には1つ以上のレーザーからの励起光に曝露され、粒子の光散乱および蛍光特性が測定される。粒子またはその成分は、典型的には、検出を容易にするために蛍光色素で標識される。多数の異なる粒子または成分は、スペクトル的に区別される蛍光色素を使用して、異なる粒子または成分を標識することによって、同時に検出され得る。いくつかの実装形態では、測定されるべき散乱パラメータの各々に対して1つ、および検出されるべき区別される色素の各々に対して1つ以上の、多数の光検出器が分析器に含まれる。例えば、いくつかの実施形態は、1色素当たり2つ以上のセンサまたは検出器が使用されるスペクトル構成を含む。得られたデータは、光散乱検出器および蛍光放射の各々に対して測定された信号を含む。
【0003】
粒子分析器は、測定されたデータを記録し、データを分析するための手段をさらに含み得る。例えば、データの記憶および分析は、検出エレクトロニクスに接続されたコンピュータを使用して実行され得る。例えば、データは、表形式で記憶することができ、各行は、1つの粒子に関するデータに対応し、列は、測定された特徴の各々に対応する。粒子分析器からのデータを記憶するための「FCS」ファイル形式などの標準ファイル形式の使用は、別個のプログラムおよび/または機械を使用してデータを分析することを容易にする。現行の分析方法を使用して、データは、典型的には、視覚化を容易にするために一次元ヒストグラムまたは二次元(2D)プロットで表示されるが、他の方法を使用して、多次元データを視覚化してもよい。
【0004】
例えばフローサイトメータを使用して測定されるパラメータには、典型的には、前方散乱(FSC)と呼ばれる、ほぼ前方方向に沿った狭い角度で粒子によって散乱された励起波長の光、側方散乱(SSC)と呼ばれる、励起レーザーに対して直交方向に粒子によって散乱された励起光、およびある範囲のスペクトル波長にわたって信号を測定する1つ以上の検出器において蛍光分子から、またはその特定の検出器または検出器アレイにおいて主に検出される蛍光色素によって発せられた光が含まれる。様々な細胞タンパク質または他の成分を蛍光色素標識抗体または他の蛍光プローブで標識することから生じる光散乱特性および蛍光放射によって、異なる細胞のタイプを識別することができる。
【0005】
フローサイトメータおよび走査サイトメータの両方が、例えば、BD Biosciences(San Jose,Calif.)から市販されている。フローサイトメトリは、例えば、Landy et al.(eds.),Clinical Flow Cytometry,Annals of the New York Academy of Sciences Volume 677(1993)、Bauer et al.(eds.),Clinical Flow Cytometry:Principles and Applications,Williams&Wilkins(1993)、Ormerod(ed.),Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press(1994)、Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997)、およびPractical Shapiro,Flow Cytometry,4th ed.,Wiley-Liss(2003)に記載されており、すべて参照により本明細書に組み込まれる。蛍光撮像顕微鏡は、例えば、Pawley(ed.),Handbook of Biological Confocal Microscopy,2nd Edition,Plenum Press(1989)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
マルチカラーフローサイトメトリによる細胞(または他の粒子)の分析から得られるデータは、多次元であり、各細胞は、測定されたパラメータによって定義される多次元空間内の点に対応する。細胞または粒子の母集団は、データ空間内の点のクラスタとして識別される。クラスタの識別、およびそれにより、母集団の識別は、データの「散乱プロット」または「ドットプロット」と呼ばれる1つ以上の二次元プロットに表示される母集団の周りにゲートを描画することによって手動で実行することができる。代替的に、自動的に、クラスタを識別することができ、母集団の境界を規定するゲートを決定することができる。自動ゲーティングのための方法の例が、例えば、米国特許第4,845,653号、同第5,627,040号、同第5,739,000号、同第5,795,727号、同第5,962,238号、同第6,014,904号、および同第6,944,338号、ならびに米国特許公開第2012/0245889号に記載されており、各々、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
フローサイトメトリは、細胞および構成分子などの生物学的粒子の分析および単離のための貴重な方法である。したがって、それは、広範囲の診断および治療的用途を有する。方法は、流体ストリームを利用して粒子を直線的に分離し、したがって、粒子は、検出装置内を1列縦隊で通過することができる。個々の細胞は、流体ストリーム中のそれらの位置および検出可能マーカーの存在に従って区別することができる。したがって、フローサイトメータを使用して、生物学的粒子の母集団を特性評価し、その診断プロファイル作成することができる。
【0008】
生物学的粒子の単離は、フローサイトメータにソーティングまたは収集能力を付加することによって達成されている。1つ以上の所望の特性を有するものとして検出された分離ストリーム中の粒子は、機械的分離または電気的分離によって試料ストリームから個々に単離される。このフローソーティング法は、異なるタイプの細胞をソートするため、動物育種のためにX染色体およびY染色体を担う精子を分離するため、遺伝子解析のために染色体をソートするため、および複雑な生物学的母集団から特定の生物を単離するために使用されてきた。
【0009】
ゲーティングは、試料から生成され得る大量のデータを分類し、その意味を理解することを助けるために使用される。所与の試料に関して提示された大量のデータを考えると、データのグラフィカル表示を効率的に制御する必要性が存在する。
【0010】
蛍光活性化粒子ソーティングまたはセルソーティングは、特化されたタイプのフローサイトメトリである。それは、粒子の異種混合物を、1つ以上の容器内に、各細胞の特定の光散乱および蛍光特性に基づいて、一度に1細胞ずつソートするための方法を提供する。それは、個々の細胞からの蛍光信号を記録し、特別関心対象の細胞を物理的に分離する。頭文字FACSは、Becton Dickinsonによって商標登録および所有されており、蛍光活性化粒子ソーティングまたはセルソーティングを実施するためのデバイスを指すために使用され得る。
【0011】
粒子懸濁液は、狭い急流の液体ストリームの中心付近に置かれる。フローは、粒子が検出領域内に確率的に(ポアソン過程)到達したとき、平均すると、それらの直径に対して粒子間に大きな分離が存在するように構成される。振動機構により、出現する流体ストリームは、検出領域内で、以前に特性評価された粒子を含有する個々の小滴に、安定的に分裂する。システムは、概して、2つ以上の粒子が小滴中に存在する確率が低くなるように調整される。粒子を分類して収集する場合、1つ以上の液滴が形成され、ストリームから分裂する時間の間、電荷がフローセルおよび出現するストリームに印加される。次いで、これらの帯電小滴は、小滴に印加された電荷に基づいて、小滴をターゲット容器内に転向させる静電偏向システムを通過する。
【0012】
試料は、何百万でないにしても、何千もの細胞を含むことができる。細胞は、試料を関心対象の細胞に精製するためにソートされ得る。ソーティングプロセスは、概して、関心対象の細胞、関心対象でない細胞、および識別できない細胞の3種類の細胞を分別することができる。細胞を高純度でソートするために(例えば、高濃度の関心対象の細胞)、小滴生成セルソーターは、典型的には、所望の細胞が別の不要な細胞に近すぎる場合、ソートを電子的に中止し、それによって、関心対象の粒子を含有する小滴内に不要な粒子を不用意に含むことによる、ソートされた母集団の汚染を低減させる。
【発明の概要】
【0013】
1つの革新的な態様では、コンピュータ実装方法が提供される。方法は、1つ以上の処理デバイスの制御下で実施される。方法は、通信デバイスから、粒子分析器にかかる試料に対する参照ソーティング基準を受け取ることを含む。方法は、参照ソーティング基準および試料に少なくとも部分的に基づいて、試料に対する候補イベント分類子を識別することを含む。方法は、ソーティング戦略を生成することを含み、ソーティング戦略は、候補イベント分類子からの少なくとも1つのイベント分類子を含む。方法は、ソーティング戦略の精度を示す評価基準を生成することを含む。方法は、評価基準が試料の最小精度閾値を満たすかまたは超えることを判定することを含む。方法は、試料に関して粒子を、粒子の多次元測定値およびソーティング戦略に少なくとも部分的に基づいて分類するように、粒子分析器を構成することを含む。
【0014】
いくつかの実装形態では、参照ソーティング基準は、粒子を分類するための測定値範囲を識別するゲート情報を含み得る。いくつかの実装形態では、参照ソーティング基準は、試料から収集されるべき参照粒子を示す画像を含み得る。
【0015】
方法はまた、ソーティング戦略を表すソーター構成を粒子分析器に送信することと、ソーター構成に少なくとも部分的に基づいてソーティング回路を調整することとを含み得る。ソーティング回路の一例は、フィールドプログラマブルゲートアレイである。
【0016】
いくつかの実装形態では、粒子分析器から受け取られた多次元測定値は、粒子によって蛍光発光された光の測定値を含み得る。粒子によって蛍光発光された光は、粒子に結合した抗体によって蛍光発光された光を含み得る。
【0017】
いくつかの実装形態では、評価基準は、ソーティング戦略のf値を含み得る。f値の適合率成分は、ソーティング戦略による試料のソーティングの純度を表す。f値の再現率成分は、ソーティング戦略による試料のソーティングの収率を表す。
【0018】
方法のいくつかの実装形態は、データ記憶装置内に、候補イベント分類子を記憶することを含み得、候補イベント分類子は、(a)スコア化、および関連ターゲットまたはオフターゲットスコアを含む計算ソーティング分類子、(b)粒子測定値のスコアは、ソーティングの関連ターゲットまたはオフターゲットスコアと比較される、(c)粒子の1つ以上の測定値を粒子の近似測定値に変換するための変換、(d)参照ソーティング基準によって表される母集団を、ソート可能でない第1のパラメータ空間からソートすることができる第2のパラメータ空間へ変換するためのパラメータ投影、および(e)画像または高次元測定値から特徴ベクトルを生成するための特徴抽出であって、特徴ベクトルは、粒子を分類するために使用される、特徴抽出のうちの少なくとも2つを含む。
【0019】
方法は、粒子分析器から、粒子分析器内に実装されたソーティング回路を示すハードウェア識別子を受け取ることを含み得る。そのような実装形態では、候補イベント分類子を識別することは、ハードウェア識別子に少なくとも部分的にさらに基づき得る。
【0020】
別の革新的な態様では、システムが提供される。システムは、1つ以上の処理デバイスと、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体とを備える。命令は、1つ以上の処理デバイスによって実行されると、システムに、通信デバイスから、粒子分析器にかかる試料に対する参照ソーティング基準を受け取ることと、参照ソーティング基準および試料に少なくとも部分的に基づいて、試料に対する候補イベント分類子を識別することと、候補イベント分類子からの少なくとも1つのイベント分類子を含むソーティング戦略を生成することと、ソーティング戦略の精度を示す評価基準を生成することと、評価基準が試料の最小精度閾値を満たすかまたは超えることを判定することと、粒子分析器内に含まれる分析手段のソーティング戦略を反映する動作状態を調整するための制御信号を生成することと、制御信号を分析手段に送信して、動作状態を達成することとを行わせる。
【0021】
分析手段は、偏向板に通信可能に連結されたソーティングエレクトロニクスを有し得る。粒子分析器は、ターゲット容器に対するソーティング戦略に対応する測定値に少なくとも部分的に基づいて、粒子に対するターゲット容器を識別するように構成され得る。動作状態を調整することは、偏向板を介して電荷を印加して、粒子をターゲット容器内に導くことを含み得る。
【0022】
分析手段は、流体工学システムを有し得、動作状態を調整することは、試料を分析するための実験中に印加される圧力を調節することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】生物学的イベントを分析して表示するための変換制御システムの1つの実施例の機能ブロック図である。
【
図2A】本明細書に提示される1つの実施形態による、粒子ソーターシステムの概略図である。
【
図2B】本明細書に提示される1つの実施形態による、粒子ソーターシステム200の概略図である。
【
図3】計算ベースの試料分析および粒子特性評価のための粒子分析システムの機能ブロック図である。
【
図4】イベントデータを動的に変換するための例示的システムを示す図である。
【
図5】パラメトリック機械学習変換を使用してイベントデータを動的に変換するための例示的システムを示す図である。
【
図6】多次元イベントデータのためのパラメトリック機械学習変換の方法の一実施例を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ユーザによって選択されたターゲットイベント母集団に基づいてソーティング戦略を自動的に開発する粒子ソーターについて、特徴を説明する。ユーザは、従来のフロー測定値と、画像および画像特徴などの従来にないパラメータと
を含む測定値に基づいて、1つ以上のターゲット母集団を選択し得る。次いで、システムは、ターゲット母集団をソーティング戦略に変換し、それに応じてソートハードウェアを構成する。
【0025】
ソーティングに対して最適化された分類子の選択を誘導するためにユーザ選択を使用することは、ユーザ定義分類子に関するいくつかの問題に対処することである。1つの問題は、高次元データ空間内でゲートを描画することの難しさに関する。コンピューティングシステムは、プロットを介してなど、データの2つまたは3つの次元を同時にレンダリングし得る。ユーザは、関心対象の母集団を識別するためにプロットのエリアを選択し得る。しかしながら、次元の数が3つを超えて増加するにつれて、関心対象の母集団に対するゲートを視覚化し、正確に描画する能力は、既存の技術を使用して不可能ではないにしても、困難になる。さらに、所与のプロットを、母集団を選択するために使用することができる場合でも、関心対象の母集団を真に反映するゲートは、非常に複雑であり得る。例えば、ゲートは、高次元空間内の非対称の多頂点形状を使用して表され得る。
【0026】
別の問題は、新しい関心対象の母集団を選択する際の後知恵バイアスに関する。イベントのセットは、複雑な生物学的システムに関する場合がある。ユーザの選択能力は、以前の経験およびトレーニングによって影響され得る。しかしながら、そのトレーニングは、ソーティング戦略を改善し得るパラメータの特定の知識を含まない可能性がある。さらに、ユーザは、多数のパラメータに基づいてゲーティング戦略を開発することは難しすぎると感じる可能性がある。
【0027】
別の問題は、既存の技術を使用してイベントを区別する能力に関する。ゲーティングは、イベントのグラフィック表現に依存するので、場合によっては、ユーザは、イベント間の差異を定量化することができない可能性がある。二次元プロットまたは三次元プロットに基づいて、細胞がどのように「見える」かを定量化することは困難であり得る。さらに、関心対象の母集団は、望ましくないが、実際に所望されるイベントの間に隠された部分母集団を、何らかの事情で含み得る。
【0028】
さらなる問題は、関心対象のイベントを選択するために利用可能な忠実度に関する。場合によっては、イベントを区別するために差異を定量化するソート可能なパラメータが、イベントデータ内でユーザに提示されない可能性がある。場合によっては、複合パラメータまたは変換後パラメータが、関心対象のイベントを特性評価するためにより良い役割を果たし得る。別の例として、細胞の外観を説明するパラメータは、計算上高価であるか、またはソーティングのために使用することが困難であり得る。
【0029】
ソート構成を生成することに関するこれらおよび他の問題に対処するために、2段階分類プロセスを説明する。まず、ユーザは、従来のフローサイトメトリパラメータ(例えば、パルス面積、幅、および高さ)に関するゲーティング、計算上困難なパラメータ(例えば、画像ベースのパラメータなど、小滴ソーティングに必要な待ち時間内に市販のハードウェア上で計算することが困難または不可能であるパラメータ(例えば、スポットカウント、オブジェクト周囲など))に関するゲーティング、データのノンパラメトリック変換に関するゲーティング(例えば、t-SNEまたはVerity CEN-SE(商標)などの次元縮小アルゴリズムの結果に関するゲーティング)、例イベント(例えば、提供された例イベント(複数可)に類似したソートイベント)を提供すること、または例画像(例えば、例画像(複数可)に類似したように見えるソートイベント)を提供することなど、1つ以上の既存の方法の組み合わせを使用してターゲット母集団を定義し得る。
【0030】
第2の段階の間、システムは、最適化されたソーティング戦略の選択および適用によって、ユーザ定義されたターゲット母集団に対してソーティングを最適化する。戦略は、母集団を自動的に検出することと、各イベントを、関連するターゲット母集団およびオフターゲット母集団に対してスコア化すること(計算ソート)とを含み得る。戦略は、ニューラルネットワークまたは他の機械学習技術を使用した変換(ノンパラメトリックおよびパラメトリック)の近似を含み得る。戦略は、ターゲット母集団を、ソート可能ではないパラメータ空間からソート可能であるものへ投影することを含み得る。ターゲット母集団を投影することの一部として、システムは、容易には計算できないパラメータを組み合わせて近似する計算可能なパラメータを識別し得る。戦略は、例えば時系列波形データを含む、画像または高次元測定値から特徴を自動的に抽出することを含み得る。自動特徴抽出の1つの例は、ソーティング意思決定で使用されるべき関連画像特徴を学習するための自動エンコーダニューラルネットワークである。
【0031】
候補分類子は、分類に対する期待純度または期待ソーティング収率に基づいて評価され得る。例えば、分類は、母集団がどれくらい正確にソートされ得るかについての統計的信頼度を提供し得る。この信頼度は、ソートされた試料がどれくらい純粋であるか(例えば、ソートされた材料のうちのどのくらいが関心対象の母集団であるか)を近似するために使用され得る。分類アルゴリズムの性能は、適合率および再現率という2つの評価基準を使用して特徴評価することができる。適合率は、真に陽性である陽性結果の割合である。再現率は、陽性として検出された真の陽性の割合である。性能の複数の評価基準を維持することは非効率的となる場合がある。適合率および再現率の両方を組み合わせた要約評価基準(例えば、f値)が、分類デバイス(複数可)の効率およびリソース利用率を高めるために使用され得る。例えば、候補分類戦略は、例データセットを使用して、各候補に対してf値を計算することによって比較され得る。これらのf値を使用して、最高性能の候補を識別することができる。
【0032】
いったん最適化されたソーティング構成が生成されると、ソーティングエレクトロニクスは、構成を受け取り、それに応じて試料をソートするために動作を調整し得る。ソーティングエレクトロニクスの能力は異なり得るので、システムは、ターゲットソーティングエレクトロニクスに部分的に基づいてソーティング戦略を生成し得る。これにより、最適に生成された構成をターゲットソーティングエレクトロニクスに適用できることが保証される。例えば、戦略は、イベントデータを変換することを含み得る。いくつかのソーティングエレクトロニクスは、変換に必要な特定の数学的演算を実施することができない場合がある。そのような場合には、候補分類子のセットは、あるソート構成が、限定されたソーティングエレクトロニクスに対して要求された場合には変換を除外し得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、以下に特別に記載される用語は、次の定義を有する。本節で別段定義されない場合、本明細書で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「システム」、「機器」、「装置」、および「デバイス」は、概して、ハードウェア(例えば、機械的および電子的)と、いくつかの実装形態では、関連ソフトウェア(例えば、グラフィックス制御のための特殊なコンピュータプログラム)成分との両方を包含する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「イベント」または「イベントデータ」は、概して、細胞または合成粒子などの単一粒子から測定されるデータのパケットを指す。典型的には、単一粒子から測定されるデータは、光散乱を測定する検出器からの1つ以上の物理的測定値と、蛍光の強度など、粒子から検出される蛍光から導出される少なくとも1つのパラメータまたは特徴とを含む、いくつかの物理的測定値を含む。したがって、各イベントは、測定値および特徴のベクトルとして表され、測定された各パラメータまたは特徴は、データ空間の1つの次元に対応する。いくつかの実施形態では、単一粒子から測定されるデータは、画像、電気、時間、または音響のデータを含む。イベントは、測定データに関連付けて識別され得る、実験、アッセイ、または試料源に関連付けられ得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、細胞または他の粒子などの、粒子の「母集団」、または「部分母集団」は、概して、1つ以上の測定されたパラメータに関して特性(例えば、光学特性、インピーダンス特性、時間特性など)を所有し、そうして、測定されたパラメータデータがデータ空間内でクラスタを形成する、一群の粒子を指す。したがって、母集団は、データ内のクラスタまたは密度領域として認識される。逆に、ノイズまたはバックグラウンドに対応するクラスタも典型的には観察されるが、各データクラスタは、概して、特定のタイプの細胞または粒子の母集団に対応するとして解釈される。クラスタは、次元のサブセット内で、例えば、細胞または粒子の測定値から抽出された、測定されたパラメータまたは特徴のサブセット内のみで異なる母集団に対応する、測定されたパラメータのサブセットに関して、定義され得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ゲート」は、概して、関心対象のデータのサブセットを識別する分類子境界を指す。サイトメトリでは、ゲートは、特別関心対象の一群のイベントの境界を示す。本明細書で使用される場合、「ゲーティング」は、概して、所与のデータセットに対して定義されるゲートを使用してデータを分類するプロセスを指し、ゲートは、ブール論理と組み合わされた1つ以上の関心対象の領域であり得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「イベント」は、概して、細胞または合成粒子などの単一粒子から測定されるデータの結集されたパケットを指す。典型的には、単一粒子から測定されるデータは、1つ以上の光散乱パラメータまたは特徴と、測定された蛍光から導出された少なくとも1つの他のパラメータまたは特徴とを含む、いくつかのパラメータまたは特徴を含む。したがって、各イベントは、パラメータおよび特徴の測定値のベクトルとして表され、測定される各パラメータまたは特徴は、データ空間の1つの次元に対応する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ニューラルネットワーク」または「ニューラルネットワークモデル」は、ノードのネットワークとして概念化することができる。ノードは、層に編成され得、ここで、第1の層は、データが流入する入力層である。ニューラルネットワークは、変換されたデータが流出する出力層も含み得る。各個々のノードは、複数の入力と単一の出力とを有し得る(例えば、入力層のノードのみが、単一の入力を有する)。ノードの出力は、入力の線形組み合わせを表す。言い換えれば、入力は、関連付けられた定数で乗算され得る。積は、一定のオフセットを有するノードの経路に沿って蓄積され得る。一定のオフセット、または「バイアス」は、トレーニングプロセス中に調整することができる別の自由度を表し得る。例えば、re-luに基づくニューラルネットワークモデルのコンテクストにおいて、一定のオフセットは、それがノード値をゼロ未満に減少させ、起動関数にゼロを出力させる能力を有するので、閾値であり得る。
【0040】
結果として生じる値は、起動関数を使用して評価され、結果として生じる値は、ノードの出力として使用される。ニューラルネットワーク内の所与の層のノードは、隣接する層の各ノードに接続されている。ニューラルネットワークは、勾配降下アルゴリズムと誤差関数とを使用して、ネットワークの所望の出力とネットワークの実際の出力とを比較して、ネットワークの誤差を最小化することによってトレーニングされ得る。1つ以上のノードの重み付けが、ネットワークによって作成される所望の結果をモデル化するように調整され得る。
【0041】
様々な実施形態およびそれらが実装されるシステムの具体例を、以下にさらに説明する。
【0042】
図1は、生物学的イベントを分析して表示するための適応ソーティング制御システムの1つの実施例の機能ブロック図を示す。分析コントローラ190は、生物学的イベントのグラフィック表示を制御するための様々なプロセスを実装するように構成され得る。
【0043】
粒子分析器102は、生物学的イベントデータを取得するように構成され得る。例えば、フローサイトメータが、フローサイトメトリイベントデータを生成し得る。粒子分析器102は、生物学的イベントデータを分析コントローラ190に提供するように構成され得る。データ通信チャネルが、粒子分析器102と分析コントローラ190との間に含まれ得る。生物学的イベントデータは、データ通信チャネルを介して分析コントローラ190に提供され得る。
【0044】
分析コントローラ190は、生物学的イベントデータを粒子分析器102から受け取るように構成され得る。粒子分析器102から受け取る生物学的イベントデータは、フローサイトメトリイベントデータを含み得る。分析コントローラ190は、生物学的イベントデータの第1のプロットを含むグラフィカル表示を表示デバイス106に提供するように構成され得る。分析コントローラ190は、関心対象の領域を、表示デバイス106によって示される生物学的イベントデータの母集団の周りのゲートとして、第1のプロット上に重ねて、レンダリングするようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態では、ゲートは、単一パラメータヒストグラムまたは二変量プロット上に描画される1つ以上の関心対象のグラフィカル領域の論理的組み合わせであり得る。
【0045】
分析コントローラ190は、表示デバイス106上のゲート内の生物学的イベントデータを、ゲートの外側の生物学的イベントデータ中の他のイベントとは異って表示するようにさらに構成され得る。例えば、分析コントローラ190は、ゲート内に含有される生物学的イベントデータの色を、ゲートの外側の生物学的イベントデータの色とは区別されるようにレンダリングするように構成され得る。表示デバイス106は、モニタ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、またはグラフィカルインターフェースを提示するように構成された他の電子デバイスとして実装され得る。
【0046】
分析コントローラ190は、ゲートを識別するゲート選択信号を第1の入力デバイスから受け取るように構成され得る。例えば、第1の入力デバイスは、マウス110として実装され得る。マウス110は、(例えば、カーソルがそこに位置決めされたときに所望のゲートの上または内でクリックすることによって)表示デバイス106上に表示されるか、または表示デバイス106を介して操作されるゲートを識別する分析コントローラ190へのゲート選択信号を始動させ得る。いくつかの実装形態では、第1のデバイスは、キーボード108、またはタッチスクリーン、スタイラス、光学検出器、もしくは音声認識システムなどの、分析コントローラ190に入力信号を提供するための他の手段として実装され得る。いくつかの入力デバイスは、複数の入力機能を含み得る。そのような実装形態では、入力機能は、各々、入力デバイスとみなされ得る。例えば、
図1に示されるように、マウス110は、右マウスボタンおよび左マウスボタンを含み得、それらの各々が、トリガイベントを生成し得る。
【0047】
トリガイベントは、分析コントローラ190に、データが表示される方法、データのどの部分が表示デバイス106上に実際に表示されるかを変更させるか、または粒子ソーティングのための関心対象の母集団の選択などのさらなる処理に入力を提供させ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、分析コントローラ190は、ゲート選択がマウス110によって始動されたときを検出するように構成され得る。分析コントローラ190は、ゲーティングプロセスを最適に容易にするために、プロットの視覚化を自動的に修正するようにさらに構成され得る。修正は、分析コントローラ190が受け取った生物学的イベントデータの特定の分布に基づき得る。
【0049】
分析コントローラ190は、記憶デバイス104に接続され得る。記憶デバイス104は、分析コントローラ190から生物学的イベントデータを受け取り、記憶するように構成され得る。記憶デバイス104はまた、分析コントローラ190からフローサイトメトリイベントデータを受け取り、記憶するように構成され得る。記憶デバイス104は、分析コントローラ190による、フローサイトメトリイベントデータなどの生物学的イベントデータの取り出しを可能にするようにさらに構成され得る。
【0050】
表示デバイス106は、分析コントローラ190から表示データを受け取るように構成され得る。表示データは、生物学的イベントデータのプロットと、プロットの区域の輪郭を示すゲートとを含み得る。表示デバイス106は、粒子分析器102、記憶デバイス104、キーボード108、および/またはマウス110からの入力と併せて、分析コントローラ190から受け取った入力に従って提示された情報を変更するようにさらに構成され得る。
【0051】
いくつかの実装形態では、分析コントローラ190は、ソーティングのための例イベントを受け取るためのユーザインターフェースを生成し得る。例えば、ユーザインターフェースは、例イベントまたは例画像を受け取るための制御を含み得る。例イベントもしくは例画像、または例ゲートは、試料に対するイベントデータの収集前に、または試料の一部分に対する初期イベントセットに基づいて、提供され得る。
【0052】
「静電セルソーティング」と呼ばれ得る一般的なフローソーティング技術は、直線的に分離された粒子を含有するストリームまたは移動流体カラムが液滴に分解され、関心対象の粒子を含有する液滴が電気的に帯電され、電場を通過することによって収集管内に偏向される、小滴ソーティングを利用する。現行の液滴ソーティングシステムは、100マイクロメートル未満の直径を有するノズルを通過する流体ストリームにおいて100,000滴/秒の速度で液滴を形成することができる。小滴ソーティングは、典型的に、液滴が、ノズル先端から一定の距離でストリームから分裂することを必要とする。距離は、通常、ノズル先端から数ミリメートル程度であり、ある振幅を有する所定の周波数でノズル先端を振動させて分裂を一定に保持することによって、非摂動流体ストリームに対して安定化させ、維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、所与の周波数における正弦波形状電圧パルスの振幅を調整することで、分裂が安定かつ一定に保持される。
【0053】
典型的には、ストリーム中の直線的に同伴される粒子は、それらがフローセルもしくはキュベット内、またはノズル先端のすぐ下に位置する観察点を通過するときに特性評価される。いったん粒子が1つ以上の所望の基準を満たすと識別されると、粒子が分裂ポイントに到達し、ストリームから液滴で分裂する時間を予測することができる。理想的には、選択された粒子を含有する液滴がストリームから分裂する直前に、わずかな電荷が流体ストリームに印加され、液滴が分裂する直後に接地される。ソートされるべき液滴は、流体ストリームから分裂するときに電荷を維持し、他の全ての液滴は非帯電のままである。帯電した液滴は、他の液滴の下向きの軌道から電場によって横方向に偏向され、試料管内に収集される。非荷電の液滴は、直接ドレイン内に落下する。
【0054】
図2Aは、本明細書に提示される1つの実施形態による、粒子ソーターシステムの概略図である。
図2Aに示される粒子ソーターシステム250は、偏向板252および254を含む。バーブ256内のストリーム帯電ワイヤを介して電荷が印加される。これにより、分析のために粒子260のストリームが作り出される。粒子は、光散乱および蛍光情報を生成するために、1つ以上の光源(例えば、レーザー)で照射され得る。粒子についての情報は、ソーティングエレクトロニクスまたは他の検出システム(
図2Aには図示せず)によるなどして分析される。偏向板252および254は、独立して制御されて、帯電小滴を引き付けるかまたは反発させて、小滴を目的の収集容器(例えば、272、274、276、または278のうちの1つ)に向かって誘導し得る。
図2Aに示されるように、偏向板は、粒子を第1の経路262に沿って容器274に向かって、または第2の経路268に沿って容器278に向かって導くように制御され得る。粒子が関心対象でない(例えば、指定されたソート範囲内の散乱または照明情報を呈さない)場合、偏向板は、粒子がフロー経路264に沿って進み続けることを可能にし得る。そのような非荷電の小滴は、吸引器270を介してなど、廃棄物容器内に移行し得る。
【0055】
ソーティングエレクトロニクスは、測定値の収集を始動し、粒子に関する蛍光信号を受信し、偏向板をどのように調整して粒子のソーティングを引き起こすかを決定するために含まれ得る。
図2Aに示される実施形態の例示的実装形態としては、Becton,Dickinson and Company(San Jose,California)によって市販されているBD FACSAria(商標)系のフローサイトメータが挙げられる。
【0056】
図2Bは、本明細書に提示される1つの実施形態による、粒子ソーターシステム200の概略図である。いくつかの実施形態では、粒子ソーターシステム200は、セルソーターシステムである。
図2Bに示されるように、液滴形成トランスデューサ202(例えば、圧電発振器)は、ノズルなどの流体導管201に連結されている。流体導管201内で、シース流体204が、試料流体206を流体力学的に集中させて移動流体カラム208(例えば、ストリーム)とする。移動流体カラム208内で、粒子(例えば、細胞)は、1列縦隊に並べられて、監視エリア210(例えば、レーザーストリーム交差点)を横切り、照射源212(例えば、レーザー)によって照射される。液滴形成トランスデューサ202の振動によって、移動流体カラム208は複数の液滴209に分裂する。
【0057】
動作中、検出ステーション214(例えば、イベント検出器)は、関心対象の粒子(または関心対象の細胞)が監視エリア210を横切るときを識別する。検出ステーション214は、タイミング回路228に入力供給し、次いで、タイミング回路228は、フラッシュ電荷回路230に入力供給する。液滴分裂ポイントでは、時限液滴遅延(Δt)によって通知されて、フラッシュ電荷が移動流体カラム208に印加され、したがって、関心対象の液滴が電荷を担う。関心対象の液滴は、ソートされるべき1つ以上の粒子または細胞を含み得る。次いで、帯電した液滴は、偏向板(図示せず)を作動させることによってソートして、液滴を、収集管、またはウェルが特別関心対象の液滴に関連付けられ得るマルチウェル試料プレートなどの容器内に偏向させることができる。しかしながら、
図2Bに示されるように、液滴は、ドレイン容器238内に収集される。
【0058】
検出システム216(例えば、液滴境界検出器)は、関心対象の粒子が監視エリア210を通過するときに、液滴駆動信号の位相を自動的に決定する役割を果たす。例示的な液滴境界検出器が、米国特許第7,679,039号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。検出システム216は、機器が、液滴中の検出された各粒子の位置を正確に計算することを可能にする。検出システム216は、振幅信号220および/または位相信号218に入力供給し、それらは、次いで、振幅制御回路226および/または周波数制御回路224に(増幅器222を介して)入力供給する。振幅制御回路226および/または周波数制御回路224は、次いで、液滴形成トランスデューサ202を制御する。振幅制御回路226および/または周波数制御回路224は、制御システム内に含まれ得る。
【0059】
いくつかの実装形態では、ソートエレクトロニクス(例えば、検出システム216、検出ステーション214、およびプロセッサ240)は、検出されたイベントとそれに基づくソート意思決定とを記憶するように構成されたメモリと連結され得る。ソート意思決定は、粒子に対するイベントデータに含まれ得る。いくつかの実装形態では、検出システム216および検出ステーション214は、単一の検出ユニットとして実装されてもよいか、またはイベント測定値が、検出システム216もしくは検出ステーション214のうちの一方によって収集され、非収集要素に提供され得るように、通信可能に連結されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、粒子ソーターシステム200について説明された1つ以上の成分は、粒子を収集容器内に物理的にソートするか否かにかかわらず、粒子を分析して特性評価するために使用され得る。同様に、粒子分析システム300(
図3)について以下に説明される1つ以上の成分は、粒子を収集容器に物理的にソートするか否かにかかわらず、粒子を分析して特性評価するために使用され得る。例えば、粒子は、粒子ソーターシステム200または粒子分析システム300の成分のうちの1つ以上を使用して、本明細書に記載の少なくとも3つのグループを含むツリーに、グループ化または表示され得る。
【0061】
図3は、計算ベースの試料分析および粒子特性評価のための粒子分析システムの機能ブロック図を示す。いくつかの実施形態では、粒子分析システム300は、フローシステムである。
図3に示される粒子分析システム300は、例えば
図6の方法などの本明細書に記載の方法を、全体的または部分的に実施するように構成され得る。粒子分析システム300は、流体工学システム302を有する。流体工学システム302は、試料管310と、試料の粒子330(例えば、細胞)が共通試料経路320に沿ってその中を移動する試料管内の移動流体カラムとを有するか、またはそれらと連結され得る。
【0062】
粒子分析システム300は、各粒子が共通試料経路に沿って1つ以上の検出ステーションを通過するときに、各粒子から信号を収集するように構成された検出システム304を有する。検出ステーション308は、概して、共通試料経路の監視エリア340を指す。検出は、いくつかの実装形態では、粒子330が監視エリア340を通過するときに、光または粒子330の1つ以上の他の特性を検出することを含み得る。
図3では、1つの監視エリア340を有する1つの検出ステーション308が示されている。粒子分析システム300のいくつかの実装形態は、複数の検出ステーションを有し得る。さらに、いくつかの検出ステーションは、2つ以上のエリアを監視し得る。
【0063】
各信号には、各粒子に対してデータポイントを形成するための信号値が割り当てられる。上記で説明したように、このデータは、イベントデータと呼ばれ得る。データポイントは、粒子に対して測定されたそれぞれの特性の値を含む多次元データポイントであり得る。検出システム304は、一連のそのようなデータポイントを第1の時間間隔で収集するように構成されている。
【0064】
粒子分析システム300はまた、制御システム306を有する。制御システム306は、
図2Bに示されるように、1つ以上のプロセッサ、振幅制御回路226、および/または周波数制御回路224を有し得る。示された制御システム306は、流体工学システム302に動作可能に関連付けられている。制御システム306は、ポアソン分布、および第1の時間間隔の間に検出システム304によって収集されたデータポイントの数に基づいて、第1の時間間隔の少なくとも一部分に対して計算された信号周波数を生成するように構成されている。制御システム306は、第1の時間間隔の一部分におけるデータポイントの数に基づいて、実験信号周波数を生成するようにさらに構成されている。制御システム306は、追加的に、実験信号周波数を、計算された信号周波数または所定の信号周波数と比較する。
【0065】
図4は、ソーティング構成を生成するためなど、イベントデータを動的に識別するための例示的なイベント選択システムを示す図である。イベント選択システム400は、選択デバイス420を有する。選択デバイス420は、イベントデータレシーバ422を有する。イベントデータレシーバ422は、イベントデータ402を、
図1に示される粒子分析器102などの粒子分析器から受け取り得る。いくつかの実装形態では、イベントデータ402は、粒子分析器によって生成され、例えば分析ワークステーションから受け取られ得る。例えば、ユーザは、粒子分析器から得られたイベントデータ402を、イベントデータレシーバ422に提供し得る。イベントデータレシーバ422は、無線通信のためのトランシーバ、またはユニバーサルシリアルバスもしくはTHUNDERBOLT(登録商標)接続を介してなど、イーサネットローカルエリアネットワークもしくはデバイスなどの有線ネットワークに接続するためのポートを含み得る。
【0066】
イベントデータレシーバ422は、イベントデータ402の少なくとも一部分を、選択デバイス420内に含まれるイベントデータプロセッサ424に提供し得る。イベントデータプロセッサ424は、イベントデータに適用する変換を識別し得る。識別は、アッセイまたは実験に対する識別子などのイベントデータ中の値を検出することを含み得る。利用可能な変換は、イベントデータプロセッサ424によってアクセス可能なデータ記憶装置440内に記憶され得る。イベントデータプロセッサ424によって実施されるイベントデータの変換は、パラメトリック変換またはノンパラメトリック変換であり得る。いくつかの実装形態では、変換は、イベントデータ402を提供するデバイスによって指定され得る。例えば、分析ワークステーションは、イベントデータ402の処理を要求するメッセージをサブミットし得る。メッセージは、所望の変換(例えば、tSNE)を含み得る。いくつかの実装形態では、イベントデータ処理は、ユーザ入力に基づいて誘導され得る。例えば、ユーザは、受け取られたイベントデータに適用する変換を識別し得る。
【0067】
選択デバイス420は、ゲート選択426ユニットを含み得る。ゲート選択426ユニットは、入力デバイスから、関心対象のイベントの選択を受け取り得る。選択は、ゲートと呼ばれ得る。選択は、関心対象のイベントに対する1つ以上のパラメータ値範囲を規定し得る。1つ以上の範囲は、分類子または他のソート構成490を生成するためにゲート選択426ユニットによって使用され得る。ソート構成490は、ゲートに関連付けられたこれらのイベントを識別するための真理値表または意思決定ツリーとして表され得る。説明したように、ゲートの手動取得は、誤差を伴い、場合によっては、有意なパラメータまたは潜在的なハードウェアのボトルネックもしくは効率を見落とし得る。したがって、最初の選択は、手動介入がないさらなる処理を通じて適合させて、検索戦略を最適化することができる、所望のソートの一例として使用され得る。
【0068】
図5は、ソート構成の適応生成のための例示的なシステムを示す図である。
図5の適応ソーティングデバイス520は、選択デバイス420などの選択デバイスから選択を受け取り、次いでイベントを評価するための最適化された検索戦略を生成するための特徴部を有する。
【0069】
システム500は、適応ソーティングデバイス520を有する。適応ソーティングデバイス520は、イベントデータレシーバ522を有する。イベントデータレシーバ522は、イベントデータ502を、
図1に示される粒子分析器102などの粒子分析器から受け取り得る。いくつかの実装形態では、イベントデータ502は、粒子分析器によって生成され、例えば分析ワークステーションから受け取られ得る。例えば、ユーザは、粒子分析器から得られたイベントデータ502を、イベントデータレシーバ522に提供し得る。イベントデータレシーバ522は、無線通信のためのトランシーバ、またはイーサネットローカルエリアネットワークなどの有線ネットワークに接続するためのネットワークポートを有し得る。
【0070】
イベントデータレシーバ522は、イベントデータ502の少なくとも一部分を選択デバイス420に提供し得る。選択デバイス420は、ユーザから例ソート構成を取得し得る。例は、受け取られたイベントデータ502とともに、ソート戦略オプティマイザ524に提供され得る。ソート戦略オプティマイザ524は、例ソート構成を近似するソート戦略を反復的に生成し得る。ソート戦略は、イベントデータ変換または選択の動的パイプラインを含み得る。利用可能な変換またはソートステップは、ソート戦略オプティマイザ524によってアクセス可能なデータ記憶装置514内に記憶され得る。候補戦略は、母集団を自動的に検出することと、関連するターゲット母集団およびオフターゲット母集団に対して各イベントをスコア化すること(計算ソート)とを含み得る。戦略は、ニューラルネットワークまたは他の機械学習技術を使用した変換(ノンパラメトリックおよびパラメトリック)の近似を含み得る。戦略は、ターゲット母集団を、ソート可能ではないパラメータ空間からソート可能であるものへ投影することを含み得る。ターゲット母集団を投影することの一部として、システムは、容易には計算できないパラメータを組み合わせて近似する計算可能なパラメータを識別し得る。戦略は、例えば時系列波形データを含む画像または高次元測定値から特徴を自動的に抽出することを含み得る。自動特徴抽出の1つの例は、ソーティング意思決定で使用されるべき関連画像特徴を学習するための自動エンコーダニューラルネットワークである。
【0071】
いくつかの実装形態では、ニューラルネットワークは、特徴生成およびゲーティング戦略生成の両方のために使用され得る。特徴生成のために、ニューラルネットワークは、生画像データを入力として受け取り、どの画像が似て「見える」かの評価基準を出力する。計算されたパラメータ(例えば、パルスの面積または高さ)を入力として受け取り、新しいパラメータを出力するものなどの他のニューラルネットワークもある。これらの新しいパラメータは、元のパラメータ空間から新しいパラメータ空間への投影を提供する。ゲーティング戦略生成のために、様々なパラメータを入力として受け取り、ソーティング意思決定に使用することができる単一の値を出力するニューラルネットワークが、ソーティング意思決定を生成するために、トレーニングまたは使用され得る。
【0072】
図6は、最適化されたソート戦略の適応生成の方法の一実施例を示すプロセスフロー図である。方法600は、
図5に示される適応ソーティングデバイス520などの適応ソーティングデバイスによって、全体的または部分的に実装され得る。
【0073】
方法600は、ブロック602で開始する。ブロック610では、試料の一部分に対する初期イベントデータが受け取られ得る。イベントデータは、粒子分析器を作動させて、試料の一部分を処理した後に収集され得る。試料を処理することは、グラフィック特性、電気特性、時間特性、または音響特性などの粒子の特性を測定することを含み得る。いくつかの実装形態では、初期イベントデータの収集は省略され得、方法600は、ブロック602からブロック620に進み得る。これは、試料のサイズが小さい場合に望ましくあり得る。そのような場合、ソーティングに利用可能な試料の量を保存するために、ソート構成は、試料を少しも消費することなく評価され得る。
【0074】
ブロック620では、試料に対するソート選択が、通信デバイスから受け取られる。ソート選択は、ソートされるべきイベントの母集団の一例を表し得る。ソート選択は、ゲート、例画像、または例イベントを含み得る。ソート選択は、ブロック610で受け取られた試料の初期部分に対するイベントデータに関して識別され得る。例えば、研究者は、ソートされるべきデータ値の範囲を規定するために、イベントデータ測定値のグラフ上にポリゴンを描画し得る。ポリゴンは、ソート基準とすることができるか、またはそれに関連付けることができる、ゲートを規定し得る。
【0075】
ソート選択は、最適化されたソート構成を開発するための参照としての役割を果たし得る。いくつかの実装形態では、ソート選択は、ターゲットソーティング機器またはソートエレクトロニクスを識別する情報を含み得る。説明したように、異なるハードウェアは、ソート構成を実装するための異なる能力を有し得る。ソート構成がターゲットハードウェアに適合されていることを保証するために、機器のアイデンティティが考慮され得る。
【0076】
ブロック630では、試料に対する候補イベント分類子が識別され得る。識別は、データ記憶装置からイベント分類子を選択することを含み得る。イベント分類子は、ニューラルネットワークモデル、イベントデータ変換、オートエンコーダ、またはイベントデータを評価するための他の機械実装要素を含み得る。選択は、試料のタイプ(例えば、血液、尿、組織など)に部分的に基づき得る。選択は、試料を処理するために使用される粒子分析器に部分的に基づき得る。選択は、通信デバイスから受け取られるソート選択に部分的に基づき得る。例えば、ソート選択が画像を含む場合、グラフィックスベースの分類子が、候補イベント分類子として選択され得る。別の例として、ソート選択におけるイベントの分布が統計的に規則的な分布を特徴とする場合、マハラノビスベースの分類子を使用することが望ましい場合がある。
【0077】
いくつかの実装形態では、ユーザインターフェースが、どの分類子を候補イベント分類子に含ませるかを指定する情報を収集するために提供され得る。いくつかの実装形態では、システムは、データ記憶装置内に定義されたパラメータおよび分類子のセットを考慮し得る。分類子は、例えば試料イベントがユーザによってどのように識別されたかに基づいて、フィルタリングされ得る。分類子が識別されると、過去に使われた識別情報が、実験、ターゲット粒子、データを生成する粒子分析器、または実験の、もしくは実験中に生成されたデータの、他の検出可能な特性に対して、一緒に選択される分類子およびパラメータを一緒にまとめる共通ワークフローを識別するために使用され得る。
【0078】
ブロック640では、ソート戦略が、候補イベント分類子のうちの1つ以上を使用して生成され得る。ソート戦略を生成することは、候補イベント分類子のうちの1つ以上を並べて、イベントデータを処理するためのパイプラインを形成することを含み得る。ソート戦略を生成することは、ユーザの例ゲーティング戦略を使用して、異なる分類子および/またはパラメータがどのように一緒にリンクされるべきかを通知することを含み得る。例えば、ユーザがそれらの例母集団に階層ゲートを使用して到達した場合、同様の階層構造を使用することができる。別の例は、ユーザが、それらの例データを判定する際に、変換された空間を任意の時点で使用した場合、システムは、変換を検出し、ソート戦略のための、その変換の近似を生成し得る。さらに別の例は、高次元空間にマニホールドを描画し、変換、またはマハラノビス距離のような統計モデルを保存する関係のようなツールを採用する試みとして、多数の階層ゲートを検出することである。ソート戦略が識別されると、過去に使われた戦略情報が、実験、ターゲット粒子、データを生成する粒子分析器、または実験の、もしくは実験中に生成されたデータの、他の検出可能な特性に対して、特定の識別子を並べる共通ワークフローを識別するために使用され得る。
【0079】
ブロック640で生成されたソート戦略は、評価基準を使用して評価され得る。ブロック650では、ソート戦略の精度を示す評価基準が生成される。評価基準は、試料からソートされたイベントの精度(例えば、純度)を表し得る。評価基準は、ソート戦略に含まれる分類子の信頼度に基づいて生成され得る。いくつかの実装形態では、評価基準は、ソート選択と、ソート戦略によって生成されたソーティング構成との比較に基づいて生成され得る。評価基準が生成され得る1つの方法は、ソート戦略に対するF値を使用することであり、それによって、適合率は、ソート純度のレベルを示し、再現率は、ソートされた試料の量または収率を示す。例えば、ユーザによって提供された例イベントは、「トレーニング」および「テスト」サブセットに分割することができる。分割は、イベントの一部分の擬似ランダム選択に基づき得る。トレーニングサブセットは、いくつかの候補ゲーティング戦略をトレーニングするために使用され得る。次いで、これらのゲーティング戦略を使用して、テストサブセットを評価することができる。このテストの結果は、F値を生成するために使用される。
【0080】
ブロック660では、ソート戦略に対する評価基準が閾値に対応するか否かの判定が行われる。閾値は、ソート戦略に対する最小純度または収率を示す所定の構成値であり得る。ブロック660での判定が肯定である場合、生成されたソート戦略は、試料に関して適正であるとみなされ得る。そのような場合、方法600は、ブロック670に進む。
【0081】
ブロック670では、ソートエレクトロニクス(例えば、ソーティング回路)が、ブロック640で生成されたソート戦略を使用して構成され得る。ソートエレクトロニクスの構成は、戦略に含まれるモデルまたは変換を、ソートエレクトロニクスにアクセス可能なメモリ位置に記憶することを含み得る。次いで、ソート戦略を使用して、ソート戦略に含まれるソーティング基準に対する評価のために、イベントデータを処理し得る。
【0082】
ブロック680では、分析器は、構成されたソートエレクトロニクスを使用して、試料の残りの部分(複数可)を評価およびソートし得る。新しいイベント測定値が収集されると、測定値は、構成されたソートエレクトロニクスを使用して、リアルタイムで処理され、ソート構成に従って指定された容器にソートされ得る。例えば、粒子分析器の偏向板は、関心対象の粒子を特定の収集管内に導くように作動され得る。
【0083】
方法600は、ブロック690で終了し得る。しかしながら、方法600は、追加のイベント、試料、または実験に対して繰り返され得ることが理解される。いくつかの実装形態では、試料内の任意の変異に適合するため、または試料源の変化を考慮するための新しいソート戦略を生成することが望ましい場合がある。例えば、治療環境では、生物学的試料は、薬物または他の化合物の投与中に収集され得る。ソート戦略は、いったん投与された薬物もしくは化合物の存在、または適応戦略の生成を誘導するために使用された初期例選択からの予期しない変異を考慮するように調整する必要があり得る。そのような場合、ソート戦略は、元の検索戦略がトレーニングされたとき以降に収集されたデータに部分的に基づいて、再生成され得る。例えば、初期戦略は、イベントの正規分布を識別した可能性があるが、試料に関して収集された実際のイベントデータは、非正規分布を有するイベントを示し得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、「決定する」または「決定すること」という用語は、多種多様な動作を包含する。例えば、「決定すること」は、計算すること、演算すること、処理すること、導出すること、調査すること、検索すること(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造において検索すること)、確認することなどを含み得る。また、「決定すること」は、受け取ること(例えば、情報を受け取ること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含み得る。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含み得る。
【0085】
本明細書で使用される場合、「提供する」または「提供すること」という用語は、多種多様な動作を包含する。例えば、「提供すること」は、後で取り出すために、記憶デバイスのある位置に値を記憶すること、少なくとも1つの有線または無線通信媒体を介して値を直接受信側に送信すること、値への参照を送信または記憶することなどを含み得る。「提供すること」はまた、ハードウェア要素を介して、符号化すること、復号化すること、暗号化すること、暗号解読すること、妥当性検査すること、検証することなどを含み得る。
【0086】
本明細書で使用される場合、「選択的に」または「選択的」という用語は、多種多様な動作を包含し得る。例えば、「選択的」プロセスは、複数の選択肢から1つの選択肢を決定することを含み得る。「選択的」プロセスは、動的に決定された入力、事前構成された入力、または判定を行うためにユーザが始動させた入力のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実装形態では、n入力スイッチが、選択的機能を提供するために含まれ得、ここで、nは、選択を行うために使用される入力の数である。
【0087】
本明細書で使用される場合、「メッセージ」という用語は、情報を通信する(例えば、送信または受信する)ための多種多様な形式を包含する。メッセージは、XML文書、固定フィールドメッセージ、カンマ区切りメッセージなどの、機械可読情報集約体を含み得る。メッセージは、いくつかの実装形態では、情報の1つ以上の表現を送信するために利用される信号を含み得る。単数形で唱えられるが、メッセージは、複数の部分で構成、送信、記憶、受信などされ得ることが理解される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「ユーザインターフェース」(対話型ユーザインターフェース、グラフィカルユーザインターフェース、またはUIとも呼ばれる)は、入力信号を受け取るためもしくは電子情報を提供するために、または任意の受け取られた入力信号に応答してユーザに情報を提供するための、データフィールド、ボタン、または他の対話型制御を含むネットワークベースのインターフェースを指し得る。UIは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、JAVASCRIPT(登録商標)、FLASH(登録商標)、JAVA(登録商標)、NET(商標)、WINDOWS OS(登録商標)、macOS(商標)、ウェブサービス、またはリッチサイトサマリー(RSS)などの技術を使用して、全体的または部分的に実装され得る。いくつかの実装形態では、UIは、記載された態様のうちの1つ以上に従って通信する(例えば、データを送信または受信する)ように構成されたスタンドアロンクライアント(例えば、シッククライアント、ファットクライアント)に含まれ得る。
【0089】
本明細書で使用される場合、「データ記憶装置」は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートメモリ、および/またはアクセスデバイス、サーバ、もしくは記載された他のコンピューティングデバイスなどのデバイスにアクセス可能な、またはそれらによってアクセス可能な、任意の他のタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に具現化され得る。データ記憶装置はまた、または代替的に、本開示の範囲から逸脱することなく、当技術分野で知られているように、複数のローカルおよび/またはリモート記憶デバイスに分散または分割され得る。さらに他の実施形態では、データ記憶装置は、データ記憶ウェブサービスを含むか、またはデータ記憶ウェブサービスにおいて具現化され得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、列挙された項目「のうちの少なくとも1つ」という語句は、単一のメンバを含め、それらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a~b、a~c、b~c、およびa~b~cに及ぶことが意図される。
【0091】
当業者は、情報、メッセージ、および信号が、様々な異なる技術および技法のうちのいずれかを使用して表され得ることを理解する。例えば、上述の説明全体を通じて参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0092】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装され得ることを、当業者はさらに理解する。このハードウェアおよびソフトウェアの互換性を明確に例示するために、様々な例示的な成分、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、概して、それらの機能の観点から上述されている。そのような機能がハードウェアまたはソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定の用途および設計制約事項に依存する。当業者は、記載された機能を、各特定の用途に対して様々な方法で実装し得るが、そのような実装の意思決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈されるべきではない。
【0093】
本明細書に記載の技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実装され得る。そのような技術は、特別にプログラムされたイベント処理コンピュータ、無線通信デバイス、または集積回路デバイスなどの様々なデバイスのうちのいずれかにおいて実装され得る。モジュールまたは成分として記載された任意の特徴部は、統合論理デバイス内で一緒に実装されてもよいか、または個別でありながら相互運用可能な論理デバイスとして別々に実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、技術は、実行されると、上述の方法のうちの1つ以上を実施する命令を含むプログラムコードを含むコンピュータ可読データ記憶媒体によって少なくとも部分的に実現され得る。コンピュータ可読データ記憶媒体は、パッケージ材料を含み得るコンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。コンピュータ可読媒体は、同期型ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気もしくは光学データ記憶媒体などのメモリもしくはデータ記憶媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、非一時的記憶媒体であり得る。技術は、追加的に、または代替的に、伝播信号または波などの、命令またはデータ構造の形態のプログラムコードを搬送もしくは通信し、コンピューティングデバイスによってアクセス、読み取り、および/または実行することができるコンピュータ可読通信媒体によって、少なくとも部分的に実現され得る。
【0094】
プログラムコードは、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、コンフィギュラブルマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他の等価の集積もしくは離散論理回路などの1つ以上のプロセッサを含み得る、特別にプログラムされた適応ソート戦略プロセッサによって実行され得る。そのようなグラフィックスプロセッサは、本開示に記載された技術のうちのいずれかを実施するように特別に構成され得る。コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、または少なくとも部分的なデータ接続状態にある任意の他のそのような構成が、1つ以上の記載された特徴部を実装し得る。いくつかの態様では、本明細書に記載の機能は、符号化および復号化のために構成された専用ソフトウェアモジュールもしくはハードウェアモジュール内に提供されてもよいか、または専用ソーティング制御カード内に組み込まれてもよい。
【0095】
本明細書に開示された方法は、記載された方法を達成するための1つ以上のステップまたは動作を含む。方法のステップおよび/または動作は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換し得る。言い換えれば、ステップまたは動作の特定の順序が指定されない限り、特定のステップおよび/または動作の順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0096】
本発明の様々な実施形態を説明した。これらおよび他の実施形態は、以下の例示的な特許請求の範囲内にある。