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特許7437397球状ニューラルネットワークを用いた拡散磁気共鳴撮像
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】球状ニューラルネットワークを用いた拡散磁気共鳴撮像
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240215BHJP
   G01N 24/08 20060101ALI20240215BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240215BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 380
G01N24/08 510Y
G06T7/00 612
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021527824
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019081800
(87)【国際公開番号】W WO2020104457
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】62/769,738
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18214669.6
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァープ,エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァルト,アルネ
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0068031(US,A1)
【文献】特表2009-525510(JP,A)
【文献】国際公開第2012/125829(WO,A2)
【文献】HUAN LEI; ET AL,SPHERICAL CONVOLUTIONAL NEURAL NETWORK FOR 3D POINT CLOUDS,ARXIV:1805.07872V1,CORNELL UNIVERSITY LIBRARY,2018年05月21日,PAGE(S):1-10,https://arxiv.org/pdf/1805.07872v1.pdf
【文献】増谷 佳孝,拡散MRI解析における数理的基礎と応用,医用画像情報学会雑誌,2016年06月27日,Vol. 33, No. 2,pp. 22-27
【文献】Koppers Simon and Dorit Merhof,Direct Estimation of Fiber Orientations Using Deep Learing in Diffusion Imaging,International Workshop on Machine Learning in Medical Imaging,2016年10月01日,MLMI 2016,pp. 53-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/08
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械実行可能命令を格納するメモリであり、当該メモリは更に、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの実装を含み、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成され、前記拡散磁気共鳴撮像データは、球面拡散部分を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、前記球面拡散部分を受信するように構成され、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、前記拡散磁気共鳴撮像データを前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答してニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有する、メモリと、
前記機械実行可能命令を制御するプロセッサと、
を有し、
前記機械実行可能命令の実行が前記プロセッサに、
前記拡散磁気共鳴撮像データを受信させ、
前記拡散磁気共鳴撮像データを前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによって前記ニューラルネットワーク出力を生成させ、
前記ニューラルネットワーク出力は、
空間ドメイン及び/又は球状ドメインで拡散磁気共鳴撮像データ上に投影されたヒートマップ、
トラクトグラフィアルゴリズムを用いて再構成された繊維路の空間上に投影されたヒートマップ、
グローバルレベルでの前記拡散磁気共鳴撮像データに関するグローバルクラス予測、
個々のボクセルについての前記拡散磁気共鳴撮像データに関するボクセルクラス予測、及び
これらの組み合わせ、
のうちのいずれか1つを有する、
医用撮像システム。
【請求項2】
前記拡散磁気共鳴撮像データは、複数のボクセルを有し、前記拡散磁気共鳴撮像データは、前記ボクセルの各々についての前記球面拡散部分を有する、請求項1に記載の医用撮像システム。
【請求項3】
前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、該空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、入力層を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は各々、球状ニューラルネットワーク部分出力を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々の前記球状ニューラルネットワーク部分出力が、前記空間畳み込みニューラルネットワーク部分の前記入力層に接続される、請求項1又は2に記載の医用撮像システム。
【請求項4】
前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、球状ニューラルネットワーク部分出力を有し、前記空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、前記球状ニューラルネットワーク部分出力と前記出力層との間に接続される、請求項1又は2に記載の医用撮像システム
【請求項5】
前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、前記出力層に接続され、前記空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、前記出力層に接続される、請求項1又は2に記載の医用撮像システム
【請求項6】
前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分及び前記空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、重み共有によって相互接続されている、請求項5に記載の医用撮像システム
【請求項7】
前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々が、出力連結に各々接続された出力を有し、前記出力連結が前記出力層を有する、請求項1又は2に記載の医用撮像システム
【請求項8】
前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、多数の球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、前記畳み込みニューラルネットワークは、前記多数の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の間で重み共有を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項9】
前記多数の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々が、異なるグラジエント磁場値で収集された測定値である、請求項8に記載の医用撮像システム。
【請求項10】
前記球面拡散部分は、球面に投影された1つ以上のグラジエント磁場値に対する拡散信号である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項11】
前記拡散磁気共鳴撮像データは、
拡散テンソル撮像データ、
角度分解能拡散撮像データ、
多重シェル角度分解能拡散撮像データ、及び
Qボール撮像データ、
のうちのいずれか1つを有する、請求項10に記載の医用撮像システム
【請求項12】
前記球面拡散部分は、球面に投影された拡散信号から計算された拡散率モデルを有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項13】
前記拡散率モデルは、
配向分布関数、
繊維配向分布関数、及び
2つ以上の同心球に制限されたアンサンブル平均伝播関数、
のうちのいずれか1つである、請求項12に記載の医用撮像システム
【請求項14】
当該医用撮像システムは更に、磁気共鳴撮像システムを有し、前記メモリは更に、拡散強調磁気共鳴撮像プロトコルに従って磁気共鳴収集データを収集するように前記磁気共鳴撮像システムを制御するためのパルスシーケンスコマンドを含み、前記機械実行可能命令の実行は前記プロセッサに、
前記パルスシーケンスコマンドで前記磁気共鳴撮像システムを制御して前記磁気共鳴収集データを収集させ、
前記磁気共鳴収集データから前記拡散磁気共鳴撮像データを再構築させる、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項15】
医用撮像システムを制御するプロセッサによって実行される機械実行可能命令を有したコンピュータプログラムであって、前記機械実行可能命令の実行が前記プロセッサに、
拡散磁気共鳴撮像データを受信させ、
前記拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによってニューラルネットワーク出力を生成させ、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、前記拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成され、前記拡散磁気共鳴撮像データは、球面拡散部分を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、前記球面拡散部分を受信するように構成され、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、前記拡散磁気共鳴撮像データを前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答して前記ニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有
前記ニューラルネットワーク出力は、
空間ドメイン及び/又は球状ドメインで拡散磁気共鳴撮像データ上に投影されたヒートマップ、
トラクトグラフィアルゴリズムを用いて再構成された繊維路の空間上に投影されたヒートマップ、
グローバルレベルでの前記拡散磁気共鳴撮像データに関するグローバルクラス予測、
個々のボクセルについての前記拡散磁気共鳴撮像データに関するボクセルクラス予測、及び
これらの組み合わせ、
のうちのいずれか1つを有する、
コンピュータプログラム。
【請求項16】
前記拡散磁気共鳴撮像データは、複数のボクセルを有し、前記拡散磁気共鳴撮像データは、前記ボクセルの各々についての前記球面拡散部分を有する、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、該空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、入力層を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は各々、球状ニューラルネットワーク部分出力を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々の前記球状ニューラルネットワーク部分出力が、前記空間畳み込みニューラルネットワーク部分の前記入力層に接続される、請求項15又は16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
医用画像処理方法であって、
拡散磁気共鳴撮像データを受信し、
前記拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによってニューラルネットワーク出力を生成し、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、前記拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成され、前記拡散磁気共鳴撮像データは、球面拡散部分を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、前記球面拡散部分を受信するように構成され、前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、前記拡散磁気共鳴撮像データを前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答して前記ニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有
前記ニューラルネットワーク出力は、
空間ドメイン及び/又は球状ドメインで拡散磁気共鳴撮像データ上に投影されたヒートマップ、
トラクトグラフィアルゴリズムを用いて再構成された繊維路の空間上に投影されたヒートマップ、
グローバルレベルでの前記拡散磁気共鳴撮像データに関するグローバルクラス予測、
個々のボクセルについての前記拡散磁気共鳴撮像データに関するボクセルクラス予測、及び
これらの組み合わせ、
のうちのいずれか1つを有する、
ことを有する医用画像処理方法。
【請求項19】
前記拡散磁気共鳴撮像データは、複数のボクセルを有し、前記拡散磁気共鳴撮像データは、前記ボクセルの各々についての前記球面拡散部分を有する、請求項18に記載の医用画像処理方法。
【請求項20】
前記訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有し、該空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、入力層を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は各々、球状ニューラルネットワーク部分出力を有し、前記2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々の前記球状ニューラルネットワーク部分出力が、前記空間畳み込みニューラルネットワーク部分の前記入力層に接続される、請求項18又は19に記載の医用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像に関し、特に拡散磁気共鳴撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像(MRI)スキャナでは、被検体の体内から画像を生成する手順の一部として、原子の核スピンを揃えるために、大きな静磁場が使用される。この大きな静磁場は、B0場又は主磁場と呼ばれる。MRIを用いて被検体の様々な量又は特性を空間的に測定することができる。パルスシーケンスを用いて磁気共鳴データの取得を制御することによって、様々な撮像プロトコルを実現することができる。拡散強調磁気共鳴撮像技術というものが存在しており、例えば、異なるボクセルについての拡散テンソルを測定することができる。
【0003】
Cohen等の論文“Spherical CNNs”,arXiv:1709.04893v2(非特許文献1)は、表現的にも回転的にも等変な球状(spherical)CNNを構築する方法を開示している。この論文内で、球状CNNは、事例として3D形状認識及び原子化エネルギー回帰に関して使用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Cohen等,“Spherical CNNs”,arXiv:1709.04893v2
【発明の概要】
【0005】
本発明は、独立請求項にて、医用撮像システム、コンピュータプログラムプロダクト、及び方法を提供する。従属請求項にて実施形態が与えられる。
【0006】
拡散強調磁気共鳴画像の分析は、例えば拡散テンソル撮像からの異方性度(fractional anisotropy;FA)又は繊維路量などの特徴を手動で規定することを必要とし得る。実施形態は、そのような分析を完全に自動化する手段を提供し得る。これは、例えば、球上で収集されたグラジエント方向からの拡散磁気共鳴撮像データを球状ニューラルネットワークに入力することによって達成され得る。球状ニューラルネットワーク(ここでは球状畳み込みニューラルネットワークとも称する)は、その入力に関して及びその層のうち少なくとも一部に関して球状のトポロジーを持つ。従来の畳み込みニューラルネットワークは、典型的に平面状の入力を持つとともに典型的に平面状の層を持つ。
【0007】
球状ニューラルネットワークを使用することの利点は、それらは球面データをより効果的に扱うことができるため、拡散磁気共鳴撮像データを処理するのにより良く適していることであるとし得る。平面状の入力を使用するニューラルネットワークは、球面信号の投影を使用することになり、それが、並進運動の重み共有を不可能にする空間変化歪みを導入してしまう。
【0008】
一態様において、本発明は、機械実行可能命令を格納するメモリを有する医用撮像システムを提供する。メモリは更に、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの実装を含む又は格納する。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、少なくとも1つの球面畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。
【0009】
ここで使用される球状畳み込みニューラルネットワークは、2Dの平面状の入力又は層の代わりに球状の入力又は層を持つニューラルネットワークを含む。球状畳み込みニューラルネットワーク内のパターンは、並進の代わりに三次元回転として移動する。
【0010】
訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成される。ここで使用される拡散磁気共鳴撮像データは、拡散強調磁気共鳴撮像プロトコルを用いて収集された磁気共鳴撮像データを含む。拡散磁気共鳴撮像データは、球面拡散部分を有する。少なくとも1つの球面畳み込みニューラルネットワークは、球面拡散部分を受信するように構成される。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答してニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有する。
【0011】
医用撮像システムは更に、機械実行可能命令を制御するプロセッサを有する。機械実行可能命令の実行はプロセッサに更に、拡散磁気共鳴撮像データを受信させる。異なる例において、これは異なる手法で達成され得る。例えば、医用撮像システムは、磁気共鳴撮像システムを使用して拡散磁気共鳴撮像データを収集し得る。他の例において、医用撮像システムは、データソースから又はネットワーク接続を介して拡散磁気共鳴撮像データを受信してもよい。機械実行可能命令の実行はプロセッサに更に、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによってニューラルネットワーク出力を生成させる。この実施形態は、例えば拡散磁気共鳴撮像データに特定の特性又は条件を割り当てるなど、拡散磁気共鳴撮像データの分類を生成するのに有用であり得るので、有益であり得る。他の例において、それはまた、拡散磁気共鳴撮像データを処理する又はその上で信号処理を実行することにも有用であり得る。拡散自体が、拡散の値において三次元であるとし得る。従って、このデータを球状畳み込みニューラルネットワークに入力することは、より良い結果を提供し得る。何故なら、球状ニューラルネットワークは、球の次元のデータ画像を歪みなしに受け入れることができるからである。
【0012】
訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、例えば、ラベル付けられた拡散磁気共鳴撮像データを用いることによって訓練され得る。
【0013】
ここでの少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分への言及は、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワークへの言及であるとして解釈され得る。
【0014】
他の一実施形態において、拡散磁気共鳴撮像データは、複数のボクセルを有する。拡散磁気共鳴撮像データは、ボクセルの各々についての球面拡散部分を有する。換言すれば、拡散磁気共鳴撮像データは、二次元又は三次元ボリュームに関するものである。この二次元又は三次元ボリュームは、複数のボクセルから形成される。ボクセルの拡散磁気共鳴撮像データは、これらのボクセルの各々についての球面部分を有した拡散磁気共鳴撮像データを有する。この実施形態は、各ボクセルからのデータが個別に球状畳み込みニューラルネットワーク部分に入力され得るので、有益であり得る。
【0015】
他の一実施形態において、訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、入力層を有する。2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は各々、球状ニューラルネットワーク部分出力を有する。2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々の球状ニューラルネットワーク部分出力が、空間畳み込みニューラルネットワーク部分の入力層に接続される。球状ニューラルネットワークの各々の出力が、従来からの空間畳み込みニューラルネットワークに入力される。これは、空間畳み込みニューラルネットワークを用いて2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の出力のパターンを分析し得るので、有益であり得る。
【0016】
他の一実施形態において、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワークの各々は、完全な球状畳み込みニューラルネットワークである。2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワークの各々は、例えばボクセルクラス予測を提供するなどの目的又は他の用途のために別々に訓練された球状畳み込みニューラルネットワークとし得る。
【0017】
他の一実施形態において、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、重み共有を使用する。例えば、2つ以上の球状畳み込みニューラルネットワークの各々は、同じであってもよい。これは、ボクセルの各々が同時に処理されることを可能にし得るので、有益であり得る。
【0018】
他の一実施形態において、医用撮像システムは更に、磁気共鳴撮像システムを有する。メモリは更に、拡散強調磁気共鳴撮像プロトコルに従って磁気共鳴収集データを収集するように磁気共鳴撮像システムを制御するためのパルスシーケンスコマンドを含む。機械実行可能命令の実行はプロセッサに更に、パルスシーケンスコマンドで磁気共鳴撮像システムを制御して磁気共鳴収集データを収集させる。機械実行可能命令の実行はプロセッサに更に、磁気共鳴収集データから拡散磁気共鳴撮像データを再構築させる。
【0019】
他の一実施形態において、ニューラルネットワーク出力は、グローバルレベルでの拡散磁気共鳴撮像データに関するグローバルクラス予測を有する。例えば、グローバルクラス予測は、拡散磁気共鳴撮像データにて撮像される状態について、特定のタイプの解剖学的異常の存在を指し示し得る。
【0020】
他の一実施形態において、ニューラルネットワーク出力は、個々のボクセルについての拡散磁気共鳴撮像データに関するボクセルクラス予測を有する。例えば、医用撮像システムは、特定の特性又は分類を、拡散磁気共鳴撮像データ内の個々のボクセル又はボクセルのグループに属するものと見なし得る。これは、例えば、医師が拡散磁気共鳴撮像データの特定の診断又は検査を行うことの助けとなり得る。
【0021】
他の一実施形態において、ニューラルネットワーク出力は、ニューラルネットワーク予測に重要な空間領域及び/又は球状領域を可視化するために空間ドメイン及び/又は球状ドメインで拡散磁気共鳴撮像データ上に投影されたニューラルネットワークの位置特定に関するヒートマップを有する。
【0022】
他の一実施形態において、ニューラルネットワーク出力は、トラクトグラフィアルゴリズムを通じて再構成された繊維路の空間上に投影された(上述のような)ヒートマップを有する。
【0023】
他の一実施形態において、訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。ここで使用される空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、線形座標系を用いて表される二次元又は三次元画像データを受信して処理するように構成された通常の畳み込みニューラルネットワークを含む。
【0024】
少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、球状ニューラルネットワーク部分出力を有する。空間畳み込みニューラルネットワーク部分は、球状ニューラルネットワーク部分出力と出力層との間に接続される。
【0025】
他の一実施形態において、訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。単一の球状畳み込みニューラルネットワーク部分と空間畳み込みニューラルネットワーク部分とが結合される。すなわち、球状の畳み込み層を持つ畳み込みニューラルネットワークの部分と、空間畳み込み層を持ち得る他の部分とが存在することができ、それらが相互接続される。一実施形態において、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、単一の球状畳み込みニューラルネットワーク部分である。
【0026】
他の一実施形態において、訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、出力層に接続される。空間畳み込みニューラルネットワーク部分も、出力層に接続される。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分及び空間畳み込みニューラルネットワーク部分はどちらも、1つ以上の中間層を介して出力層に接続されてもよい。これは、異なる種類の磁気共鳴撮像データを一緒に使用することを可能にし得るので、有益であり得る。例えば、空間畳み込みニューラルネットワークにT1強調画像を入力してもよい。
【0027】
他の一実施形態において、訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分と空間畳み込みニューラルネットワーク部分とが、重み共有によって接続される。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、出力層に接続される。空間畳み込みニューラルネットワーク部分も、出力層に接続される。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分及び空間畳み込みニューラルネットワーク部分はどちらも、1つ以上の中間層を介して出力層に接続されてもよい。
【0028】
他の一実施形態において、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々が、出力連結に接続される。出力連結は、出力層を有し、あるいは出力層である。この実施形態では、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分のみが存在する。1つ以上の球状畳み込みニューラルネットワークの使用は、拡散強調磁気共鳴撮像データを処理する効率的な手段を提供し得る。
【0029】
他の一実施形態において、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、多数の球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。畳み込みニューラルネットワークは、それら多数の球状畳み込みニューラルネットワーク部分の間で重み共有を有する。この実施形態は、同じボクセルについて複数のデータを分析する手段又はアクセスを提供し得るので、拡散強調磁気共鳴撮像データにおいて有用であり得る。
【0030】
他の一実施形態において、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分の各々が、異なるグラジエント磁場値で収集された測定値を表す。磁気共鳴収集データの収集中に、グラジエント磁場が使用される。異なる収集中に異なるグラジエント磁場が使用される場合、各グラジエント磁場値に対して異なる球状ニューラルネットワーク部分が使用されるならば、このデータを全て、同じ分析のために使用することができる。
【0031】
他の一実施形態において、球面拡散部分は、球面に投影された1つ以上のグラジエント磁場値に対する拡散信号である。
【0032】
他の一実施形態において、拡散磁気共鳴撮像データは、拡散テンソル撮像データを有する。
【0033】
他の一実施形態において、拡散磁気共鳴撮像データは、高角度分解能拡散撮像データを有する。
【0034】
他の一実施形態において、拡散磁気共鳴撮像データは、多重シェル高角度分解能拡散撮像データを有する。
【0035】
他の一実施形態において、拡散磁気共鳴撮像データは、Qボール撮像データを有する。
【0036】
他の一実施形態において、球面拡散部分は、球面に投影された拡散信号から計算された拡散率モデルを有する。
【0037】
他の一実施形態において、拡散率モデルは、配向分布関数である。
【0038】
他の一実施形態において、拡散率モデルは、
繊維配向分布関数である。
【0039】
他の一実施形態において、拡散率モデルは、2つ以上の同心球に制限されたアンサンブル平均伝播関数である。
【0040】
他の一態様において、本発明は、医用撮像システムを制御するプロセッサによって実行される機械実行可能命令を有したコンピュータプログラムプロダクトを提供する。機械実行可能命令の実行がプロセッサに、拡散磁気共鳴撮像データを受信させる。機械実行可能命令の実行がプロセッサに更に、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによってニューラルネットワーク出力を生成させる。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成される。拡散磁気共鳴撮像データは、球面拡散部分を有する。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、球面拡散部分を受信するように構成される。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答してニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有する。
【0041】
他の一態様において、本発明は、医用撮像方法を提供する。当該方法は、拡散磁気共鳴撮像データを受信することを有する。当該方法は更に、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによってニューラルネットワーク出力を生成することを有する。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成される。拡散磁気共鳴撮像データは、球面拡散部分を有する。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分は、球面拡散部分を受信するように構成される。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答してニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有する。これに利点については先述されている。
【0042】
他の一実施形態において、訓練済みニューラルネットワークもコンピュータプログラムプロダクトに格納される。
【0043】
理解されることには、組み合わされる実施形態が相互に排他的でない限り、本発明の上述の実施形態のうちの1つ以上が組み合わされてもよい。
【0044】
当業者によって理解されるように、本発明の態様は、装置、方法、又はコンピュータプログラムプロダクトとして具現化され得る。従って、本発明の態様は、全体としてハードウェアの実施形態、全体としてソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせる実施形態の形態を取ることができ、ここでは概して、これら全てを“回路”、“モジュール”又は“システム”として参照する。また、本発明の態様は、コンピュータ実行可能コードをその上に具現化する1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体にて具現化されるコンピュータプログラムプロダクトの形態を取り得る。
【0045】
如何なる組み合わせに係る1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体が使用されてもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能信号媒体又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体とし得る。‘コンピュータ読み取り可能記憶媒体’は、ここで使用されるとき、コンピューティング装置のプロセッサによって実行可能な命令を格納し得る如何なる有形記憶媒体をも包含するものである。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能非一時的記憶媒体とも呼ばれ得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はまた、有形コンピュータ読み取り可能媒体とも呼ばれ得る。一部の実施形態において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体はまた、コンピューティング装置のプロセッサによってアクセスされることが可能なデータを格納し得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体の例は、以下に限られないが、フロッピーディスク(登録商標)、磁気ハードディスクドライブ、ソリッドステートハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気光ディスク、プロセッサのレジスタファイルを含む。光ディスクの例は、例えばCD-ROM、CD-RW、CD-R、DVD-ROM、DVD-RW、又はDVD-Rディスクといった、コンパクトディスク(CD)、及びデジタル多用途ディスク(DVD)を含む。コンピュータ読み取り可能記憶媒体なる用語はまた、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータ装置によってアクセスされることが可能な様々な種類の記録媒体をも意味する。例えば、データは、モデム上、インターネット上、又はローカルエリアネットワーク上で取り出され得る。コンピュータ読み取り可能媒体上に具現化されるコンピュータ実行可能コードは、以下に限られないが、無線、ワイヤ配線、光ファイバケーブル、RFなど、又はこれらの好適な組み合わせを含め、何らかの適切な媒体を用いて伝送され得る。
【0046】
コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ実行可能コードを、例えば、ベースバンドにて、あるいは搬送波の部分として、自身の中に具現化した伝播されるデータ信号を含み得る。そのような伝播信号は、以下に限られないが、電磁信号、光信号、又はこれらの好適な組み合わせを含め、多様な形態を取り得る。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、命令実行システム、機器又は装置による使用、又はそれとともにの使用のためにプログラムを通信、伝搬あるいは輸送することが可能な、コンピュータ読み取り可能記憶媒体ではないコンピュータ読み取り可能媒体とし得る。
【0047】
‘コンピュータメモリ’又は‘メモリ’はコンピュータ読み取り可能記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサにとって直接的にアクセス可能なメモリである。‘コンピュータストレージ’又は‘ストレージ’はコンピュータ読み取り可能記憶媒体の更なる一例である。コンピュータストレージは不揮発性コンピュータ読み取り可能記憶媒体である。一部の実施形態において、コンピュータストレージはコンピュータメモリであってもよく、その逆もまた然りである。
【0048】
‘プロセッサ’は、ここで使用されるとき、プログラム又は機械実行可能命令又はコンピュータ実行可能コードを実行することができる電子部品を包含するものである。“プロセッサ”を有するコンピューティング装置への言及は、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含む場合があるものとして解釈されるべきである。プロセッサは例えばマルチコアプロセッサとし得る。プロセッサはまた、単一のコンピュータシステム内の、あるいは複数のコンピュータシステム間で分散された、複数のプロセッサの集合を意味し得る。コンピューティング装置なる用語も、各々が1つ以上のプロセッサを有する複数のコンピューティング装置の集合若しくはネットワークを意味する場合があるとして解釈されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同一のコンピューティング装置内とし得る複数のプロセッサ、又は複数のコンピューティング装置にまたがって分散され得る複数のプロセッサ、によって実行され得る。
【0049】
コンピュータ実行可能コードは、プロセッサに本発明の態様を実行させる機械実行可能命令又はプログラムを有し得る。本発明の態様に関する処理を実行するためのコンピュータ実行可能コードは、例えばJava(登録商標)、Smalltalk、C++、又はこれらに類するものなどのオブジェクト指向プログラミング言語、及び例えば“C”プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などのコンベンショナルな手続き型プログラミング言語を含め、1つ以上のプログラム言語の何らかの組み合わせにて記述され、そして、機械実行可能命令へとコンパイルされ得る。一部の例において、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形態又は予めコンパイルされた形態であって、オンザフライで機械実行可能命令を生成するインタプリタと共に使用されてもよい。
【0050】
コンピュータ実行可能コードは、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、全体としてユーザのコンピュータ上で又は部分的にユーザのコンピュータ上で実行されてもよいし、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的には遠隔コンピュータ上で、又は全体として遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含め、何らかのタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されることができ、あるいは、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して接続が為されてもよい。
【0051】
本発明の態様は、本発明の実施形態に従った方法、装置(システム)及びコンピュータプログラムプロダクトのフローチャート、説明図及び/又はブロック図を参照して記述される。理解されることには、フローチャート、説明図及び/又はブロック図の各ブロック又は部分は、適用可能なときに、コンピュータ実行可能コードの形態でコンピュータプログラム命令によって実装されることができる。さらに理解されることには、相互に排他的ではないときには、複数の異なるフローチャート、説明図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせが組み合わされてもよい。これらのコンピュータプログラム命令が、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はその他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されることで、該コンピュータ又はその他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定される機能/動作を実施する手段を生み出すようなマシンを作り出し得る。
【0052】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処理装置、又はその他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ読み取り可能媒体に格納されることで、コンピュータ読み取り可能媒体に格納された命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定される機能/動作を実施する命令を含んだ製造物を作り出すようにし得る。
【0053】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処理装置又はその他の装置にロードされて、一連の動作ステップが該コンピュータ、その他のプログラム可能装置又はその他の装置上で実行されるようにすることで、該コンピュータ又はその他のプログラム可能装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定される機能/動作を実施するプロセスを提供するようなコンピュータ実行プロセスを作り出し得る。
【0054】
‘ユーザインタフェース’は、ここで使用されるとき、ユーザ又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムとインタラクトすることを可能にするインタフェースである。‘ユーザインタフェース’はまた、‘ヒューマンインタフェース装置’とも呼ばれ得る。ユーザインタフェースは、オペレータに情報又はデータを提供し、且つ/或いはオペレータから情報又はデータを受信し得る。ユーザインタフェースは、オペレータからの入力がコンピュータによって受信されることを可能にし得るとともに、コンピュータからの出力をユーザに提供し得る。換言すれば、ユーザインタフェースは、オペレータがコンピュータを制御あるいは操作することを可能にし得るとともに、コンピュータがオペレータの制御又は操作の効果を指し示すことを可能にし得る。ディスプレイ又はグラフィカルユーザインタフェース上でのデータ又は情報の表示は、オペレータに情報を提供することの一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカム、ヘッドセット、ペダル、配線付きグローブ、リモートコントローラ、及び加速度計を介したデータの受信は全て、オペレータからの情報又はデータの受信を可能にするユーザインタフェースコンポーネントの例である。
【0055】
‘ハードウェアインタフェース’は、ここで使用されるとき、コンピュータシステムのプロセッサが外部のコンピューティング装置及び/又は機器とインタラクトする、且つ/或いはそれらを制御する、ことを可能にするインタフェースを包含するものである。ハードウェアインタフェースは、プロセッサが外部コンピューティング装置及び/又は機器に制御信号又は命令を送信することを可能にし得る。ハードウェアインタフェースはまた、プロセッサが外部コンピューティング装置及び/又は機器とデータを交換することを可能にし得る。ハードウェアインタフェースの例は、以下に限られないが、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394ポート、パラレルポート、IEEE1284ポート、RS-232ポート、IEEE-488ポート、ブルートゥース(登録商標)接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インタフェース、MIDIインタフェース、アナログ入力インタフェース、及びデジタル入力インタフェースを含む。
【0056】
‘ディスプレイ’又は‘表示装置’は、ここで使用されるとき、画像又はデータを表示するように適応された出力装置又はユーザインタフェースを包含するものである。ディスプレイは、映像データ、音声データ、及び/又は触覚データを出力し得る。ディスプレイの例は、以下に限られないが、コンピュータモニタ、テレビジョンスクリーン、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、陰極線管(CRT)、蓄積管、双安定ディスプレイ、電子ペーパ、ベクトルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、電子発光ディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プロジェクタ、及びヘッドマウントディスプレイを含む。
【0057】
磁気共鳴(MR)収集データは、ここでは、磁気共鳴撮像スキャン中に磁気共鳴装置のアンテナを用いて記録される、原子スピンにより放射される無線周波数信号の測定結果として定義される。磁気共鳴撮像(MRI)画像又は磁気共鳴撮像データは、ここでは、磁気共鳴収集データから再構成された、解剖学的データの、再構成による、2次元又は3次元の視覚化として定義される。この視覚化は、コンピュータを用いて実行されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
以下、以下の図を含む図面を参照して、単なる例として、本発明の好適実施形態を説明する。
図1】医用撮像システムの一例を示している。
図2図1の医用撮像システムを動作させる方法を例示するフローチャートを示している。
図3】医用撮像システムの更なる一例を示している。
図4図3の医用撮像システムを動作させる方法を例示するフローチャートを示している。
図5】訓練済み畳み込みニューラルネットワークの一例を示している。
図6】訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例を示している。
図7】訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例を示している。
図8】訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例を示している。
図9】多重シェル球状畳み込みニューラルネットワークの一例を示している。
図10】訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
これらの図において似通った参照符号を付された要素は、等価の要素であるか、同じ機能を実行するかの何れかである。先に説明した要素は、機能が等価である場合、後の図においては必ずしも説明しない。
【0060】
図1は、医用撮像システム100の一例を示している。医用撮像システムはコンピュータ102を有する。コンピュータはプロセッサ104を有している。プロセッサ104は、1つ以上のプロセッサを表すように意図されている。プロセッサ104が複数のプロセッサである場合、それらのプロセッサはまた、複数のコンピュータシステム102内に分散されてもよい。プロセッサは、オプションのハードウェアインタフェース106及びオプションのユーザインタフェース108に接続されるとして示されている。オプションのハードウェアインタフェース106は、プロセッサ104が、他のコンピュータと通信することを可能にし、また恐らくは医用撮像システム100の他のコンポーネントを制御することも可能にする。ユーザインタフェース108は、プロセッサ104が、ユーザ又はオペレータに提供され得る画像及び他の情報を表示又はレンダリングすることを可能にする。ユーザインタフェース108はまた、一部のケースにおいて、ユーザ又はオペレータから制御データ又は入力データを受け取るために使用されてもよい。
【0061】
メモリ110は、機械実行可能命令120を含むとして示されている。機械実行可能命令120は、プロセッサ104がオプションで医用撮像システム100の他のコンポーネントを制御し、また、様々なデータ処理及び画像処理タスクを実行することを可能にする。メモリ110は、訓練済みニューラルネットワーク122を更に含むとして示されている。この訓練済みニューラルネットワークは畳み込みニューラルネットワークである。訓練済み畳み込みニューラルネットワーク122は、拡散磁気共鳴撮像データを受信するように構成される。拡散磁気共鳴撮像データは球面拡散部分を有する。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分を有する。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワークは、拡散磁気共鳴撮像データの球面拡散部分を受信するように構成される。訓練済み畳み込みニューラルネットワークは更に、拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することに応答してニューラルネットワーク出力を生成するように構成された出力層を有する。
【0062】
メモリ110は、受信された拡散磁気共鳴撮像データ124を更に含むとして示されている。コンピュータメモリ110は、拡散磁気共鳴撮像データ124を訓練済み畳み込みニューラルネットワーク122に入力することによって生成されたニューラルネットワーク出力126を更に含むとして示されている。
【0063】
図2は、図1の医用撮像システム100を作動させる方法を例示するフローチャートを示している。先ず、ステップ200にて、拡散磁気共鳴撮像データ124が受信される。これは、例えば、磁気共鳴撮像システムを制御することによって受信され得る。それはまた、ネットワーク接続又は他のデータ記憶媒体を介してそれを受信することによって受信されてもよい。次に、ステップ202にて、拡散磁気共鳴撮像データ124を訓練済み畳み込みニューラルネットワーク122に入力することによって、ニューラルネットワーク出力126が生成される。畳み込みニューラルネットワークの少なくとも1つの球状部分によって球面拡散部分が受け取られる。
【0064】
図3は、医用撮像システム300の更なる一例を示している。医用撮像システム300は、コンピュータシステム102に加えて磁気共鳴撮像システム302を有する。磁気共鳴撮像システム302は磁石304を有する。磁石304は、それを貫くボア306を備えた円筒型の超伝導磁石である。複数の異なる種類の磁石を使用することも可能であり、例えば、分割円筒磁石と所謂オープンマグネットとの双方を使用することも可能である。分割円筒磁石は、磁石のアイソプレーンへのアクセスを可能にするようにクライオスタットが2つの部分に分割されていることを除いて、標準的な円筒磁石と同様であり、このような磁石は、例えば、荷電粒子ビーム治療とともに使用され得る。オープンマグネットは、被検体を受け入れるのに十分な大きさの空間を間に有するように互いに上下に配置される2つの磁石部分を有する。これら2つの部分の構成は、ヘルムホルツコイルの構成と同様である。オープンマグネットは、被検体の閉じ込め度合いが低いので好まれている。円筒磁石のクライオスタットの内部に、一群の超伝導コイルが存在する。円筒磁石304のボア306内に、磁気共鳴撮像を行うのに十分なように磁場が強く且つ均一にされる撮像ゾーン308がある。撮像ゾーン308内に関心領域309が示されている。磁気共鳴データは、典型的に関心領域に関して収集される。被検体318が、当該被検体318の少なくとも一部が撮像ゾーン308及び関心領域309の中にあるように、被検体サポート320によって支持されるとして示されている。
【0065】
磁石のボア306内にはまた、一組の磁場グラジエントコイル310が存在しており、磁場グラジエントコイル310は、準備の磁気共鳴データの収集のために磁石304の撮像ゾーン308内の磁気スピンを空間エンコードするよう使用される。磁場グラジエントコイル310は磁場グラジエントコイル電源312に接続されている。磁場グラジエントコイル310は代表的なものを意図している。典型的に、磁場グラジエントコイル310は、3つの直交する空間方向での空間エンコーディングのために、3つの別々のコイルセットを含む。磁場グラジエントコイル電源は、磁場グラジエントコイルに電流を供給する。磁場グラジエントコイル310に供給される電流は、時間の関数として制御され、傾斜(ランプ)又はパルス化され得る。
【0066】
撮像ゾーン308に隣接して、撮像ゾーン308内の磁気スピンの向きを操作するため、及びまた、撮像ゾーン308内のスピンからの無線送信を受信するための無線周波数コイル314がある。無線周波数コイルは複数のコイル素子を含み得る。無線周波数コイルはまた、チャンネル若しくはアンテナとも呼ばれ得る。無線周波数コイル314は無線周波数トランシーバ316に接続されている。無線周波数コイル314及び無線周波数トランシーバ316は、別々の送信コイルと受信コイル、及び別々の送信器と受信器で置き換えられてもよい。理解されるように、無線周波数コイル314及び無線周波数トランシーバ316は代表的なものである。無線周波数コイル314は、専用送信アンテナ及び専用受信アンテナをも表すことが意図される。同様に、トランシーバ316はまた、別々の送信器及び受信器をも表し得る。無線周波数こいつ314はまた、複数の受信/送信素子を有していてもよく、無線周波数トランシーバ316は複数の受信/送信素子を有していてもよい。例えば、SENSEなどのパラレル撮像技術が実行される場合、無線周波数コイル314は複数のコイル素子を有することになる。
【0067】
この例において、被検体318は、被検体の頭部領域が関心領域309内にあるように位置付けられている。他の例では、被検体318の体の他の部分が関心領域309内に位置付けられてもよい。
【0068】
トランシーバ316及びグラジエントコントローラ312は、コンピュータシステム102のハードウェアインタフェース106に接続されるとして示されている。コンピュータメモリ110は、パルスシーケンスコマンド321を更に含むとして示されている。パルスシーケンスコマンド321は、プロセッサ104が磁気共鳴撮像システムを制御して磁気共鳴収集データ322を収集することを可能にする命令、又は命令に変換することが可能なデータのいずれかである。メモリ110は、パルスシーケンスコマンド321で磁気共鳴撮像システム302を制御することによって収集された磁気共鳴収集データ322を更に含むとして示されている。
【0069】
図4は、図3の医用撮像システム300を作動させる方法を例示するフローチャートを示している。図4の方法は、ステップ400で開始する。ステップ400にて、磁気共鳴撮像システム302が、パルスシーケンスコマンド321で制御される。これは、磁気共鳴収集データ322の収集をもたらす。次に、ステップ402にて、磁気共鳴収集データ322から拡散磁気共鳴撮像データ124が再構成される。ステップ402の後、当該方法は、図2に示した方法のステップ200に進み、そして次いで、ステップ202に進む。
【0070】
図5は、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例122’を示している。図5に示す例において、訓練済み畳み込みニューラルネットワーク122’は、空間畳み込みニューラルネットワーク506と直列に球状畳み込みニューラルネットワーク部分502を有する。図5に示す例では、先ず、拡散磁気共鳴撮像データの球面拡散部分500が、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502に入力される。少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502の出力は、図中に球状CNN出力又は重みのボリュームとラベル付けした球状ニューラルネットワーク部分出力504である。次いで、球状ニューラルネットワーク部分出力504が空間畳み込みニューラルネットワーク506に入力される。そして、空間畳み込みニューラルネットワーク506が、拡散磁気共鳴撮像データの1つ以上のクラス予測又は分類を提供する出力層508に出力する。
【0071】
図6は、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例122’’を示している。この例において、拡散磁気共鳴撮像データ124は、空間及び球面両方の拡散部分500を含む。そして、これが、結合された球状・空間ニューラルネットワーク600に入力される。それは、空間畳み込みニューラルネットワーク506と、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502との両方を有する。球状トポロジーを有するニューラルネットワークの部分と平面トポロジーを有するニューラルネットワークの部分と混在している。そして、結合された球状・空間ニューラルネットワーク600の出力が、ニューラルネットワーク出力126を提供する出力層508に出力される。
【0072】
図7は、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例122’’’を示している。この例において、拡散磁気共鳴撮像データ124は、球面拡散部分500及び空間部分700の両方を有する。球面拡散部分500は、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502に入力される。空間部分700は、空間畳み込みニューラルネットワーク506に入力される。空間畳み込みニューラルネットワーク506及び球状畳み込みニューラルネットワーク502は、重み共有702を介して互いに通信することができる。空間畳み込みニューラルネットワーク506及び少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502の両方が出力層508に接続される。そして、出力層508がニューラルネットワーク出力126を提供する。
【0073】
図8は、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例122’’’’を示している。訓練済み畳み込みニューラルネットワーク122’’’’は、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502を有する。これは、拡散磁気共鳴撮像データの球面拡散部分500を入力として取り込む。そして、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワークの出力が、ニューラルネットワーク出力126を提供する出力層508に接続される。
【0074】
図9は、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分の変形502’を示している。この例において、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502’は、図5図6図7、及び図8に示した少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502を置き換えるように使用され得る。この例では、球面融合部分を500’として示す。これは、例えば、球面上に投影された1つ以上のグラジエント磁場値に対して収集される球面拡散データとし得る。球面拡散部分の個々の値の各々が、個々の又は単一の球状畳み込みニューラルネットワーク部分900に入力される。該個々の又は単一の球状畳み込みニューラルネットワーク部分900は、重み共有702を介して互いに通信することができる。各単一の球状畳み込みニューラルネットワーク部分900の出力が、出力連結902に出力される。そして、出力連結902が、図5図6図7、又は図8に示した球状畳み込みニューラルネットワーク502のいずれかの出力を置き換えるために使用され得る。
【0075】
図10は、訓練済み畳み込みニューラルネットワークの更なる一例122’’’’’を示している。この例において、拡散磁気共鳴撮像データ124は、球面拡散部分500及び空間部分700の両方を有する。球面拡散部分500は、少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502に入力される。空間部分700は、空間畳み込みニューラルネットワーク506に入力される。空間畳み込みニューラルネットワーク506及び少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分502の両方が出力層508に接続される。そして、出力層508がニューラルネットワーク出力126を提供する。この例は、複数のタイプの磁気共鳴撮像データが利用可能である場合に有用であり得る。例えば、訓練済み畳み込みニューラルネットワークは、空間CNN506にT1強調画像を受信するように訓練され得る。追加のT1強調画像が、より正確なクラス予測126又は他の予測を提供するのを支援し得る。
【0076】
拡散磁気共鳴撮像(Diffusion Magnetic Resonance Imaging;dMRI)は、例えばアルツハイマー病などの神経疾患を研究するために使用されてきた高度な神経撮像モダリティである。神経画像において疾患を自動的に分類し、重要なバイオマーカーを特定するために、研究者は、例えば拡散テンソル撮像(diffusion tensor imaging;DTI)からの異方性度(FA)又は繊維路量などの手製の特徴の統計的分析に頼っており、それが、多数の臨床試験で、変化してしまって結論の出ないことが多い結果を生み出してきた。手製のdMRI特徴の限界を克服するために、例は、自動分類のために、空間CNNと組み合わせて球面CNNの新たなフレームワークを拡散信号に適用するdMRI向けのディープラーニングフレームワークを使用し得る。さらに、分類中に活性化されるジョイント球状・空間人工ニューロンを特定することによって、例はまた、疾患分類を担う繊維路の空間的及び方向性セグメントを位置特定するための新規な繊維路顕著性マップの可視化を提供し得る。
【0077】
上述のように、拡散MRI(dMRI)は、インビボで脳内の神経繊維路の解剖学的ネットワークを再構成して可視化するために使用される医用撮像モダリティである。拡散MRIは、脳ボリュームの各ボクセルにおけるニューロンの束の配向を推定するために、一組の拡散強調画像を収集することによって、脳内の水拡散の有向の量を測定する。これらの向きの推定は、例えば、拡散テンソル撮像(DTI)における拡散テンソルとして知られる3Dガウシアン分布、又は高角度分解能拡散撮像におけるノンパラメトリック配向分布関数(orientation distribution function;ODF)などの、球面確率分布関数(probability distribution function;PDF)によってモデル化される。次いで、各ボクセルにおけるそれら球面PDFのピークを辿ることによって、繊維路が再構成される。この技術は、解剖学的な脳の結合を解析するため、神経学的及び心理学的な障害を研究するため、及び例えばアルツハイマー病などの疾患の早期発見のためのバイオマーカーを発見するために重要である。
【0078】
dMRI解析におけるゴールドスタンダードは、例えば、各ボクセルにおける繊維の拡散率又は完全性の量の指標を与えるものである拡散テンソルの固有値から計算される異方性度(FA)及び平均拡散率(MD)などの、予め規定された拡散モデルから解析的に計算される手製の特徴を抽出することである。他の一般的な特徴は、例えば異なる関心領域を接続する繊維の数、長さ、又は密度などの、繊維トラクトグラフィからの手製の接続性メトリックである。
【0079】
特徴マップ(すなわち、全ボクセルにおけるスカラー特徴によって形成される画像)では、標準的な手順は、脳の特定の関心領域における特徴値間で統計的に有意な差を見出すために、空間的に揃えられた健常な被検体及び罹患した被検体の集団に対してボクセルごとの統計分析を実行することである。そして、調査されている特徴に基づいて、疾患を指し示し得る拡散率の物理的性質についての説明を形成することができる。
【0080】
しかしながら、多くの研究は、1)拡散テンソルは交差繊維のようないっそう複雑な拡散プロファイルをモデル化することができないため、及び2)高次元拡散信号を少数の手製の特徴に抽出することは信号複雑性の大部分を捨てることになるため、FA及びMDのようなスカラー特徴の曖昧さのために、一貫性のあるバイオマーカーを提供するのに達していない。さらに、繊維再構成は偽陽性問題に悩まされることが示されている。最後に、個人間で繊維トラクトグラフィのバラつきが大きいこと、及び偽陽性の繊維路の問題のために、繊維接続性特徴も疾患バイオマーカーとして信頼できるものではないかもしれない。
【0081】
例は、神経学的疾患の分類及び疾患特徴の位置特定及び可視化のためにdMRI脳データに適用されるディープラーニング向けのフレームワークを提供し得る。このコンポーネントは、空間ドメインで作用するCNNと組み合わせて、球面拡散データに作用するCNNを使用する。球状ドメインと空間ドメインとの間でネットワーク重みを共有することにより、CNNの球状及び空間活性化を可視化して、疾患分類を担う繊維路のセグメントを強調するツールが導入される。深層特徴の出現と球状ドメインにおけるCNNとにより、例は、現在の、例えばFA及びMDなどの手製の特徴の分析の限界、を打破し得る。
【0082】
例は、拡散MRIデータの複雑な構造に対して特異的に構築されたディープニューラルネットワークを有し得る。ここで、我々は、拡散MRIの構造は、各々が単位球上で収集される脳ボリュームの各ボクセルにおける拡散信号の場で構成されると考える。従って、我々は、空間ドメイン及び球状ドメインという2つの信号ドメインを有する。この発明は、球状CNNとして知られる球面信号用のCNNの構築に関する最近の計算フレームワークを利用する。先ず、球状CNNが各ボクセルのODFに適用される。その結果は、各球状CNN層の深層ODF特徴マップとなる。次いで、我々は、通常の空間CNNを各球状CNN層に適用して、ジョイント空間・球状ドメインでネットワーク重みを共有する神経疾患分類向けのジョイント空間・球状深層ネットワークを構築する。
【0083】
提案する疾患分類を所与として、疾患分類に関して活性化される深層ネットワークからのジョイント空間・球状人工ニューロンを同定するために、第2段階で顕著性マッピングを実行することができる。これは、ジョイント空間・球状ドメインにおけるヒートマップを提供し、そこから拡散方向及び空間ボクセルが位置特定される。トラクトグラフィを用いて、我々は、これらのヒートマップを繊維路上に投影して、疾患分類を指し示すセグメントを可視化する。加えて、繊維トラクトグラフィを空間・球状ヒートマップピークによってガイド(又は重み付け)することで、疾患に関係する新たな繊維路の可視化を生み出し得る。
【0084】
例は、拡散MRIに関するディープラーニングのための数多くの応用に適用可能であり得る。球状ドメイン及び空間ドメインにおけるCNNの構築から、多数の一般的に研究されているディープラーニング技術が、トラクトグラフィ、繊維セグメンテーション、及び神経疾患に関するバイオマーカーの発見における様々なタスクに使用され得る。
【0085】
図面及び以上の記載にて本発明を詳細に図示して説明したが、これらの図示及び説明は、限定的なものではなく、例示的あるいは典型的なものと見なされるべきであり、本発明は開示した実施形態に限定されるものではない。
【0086】
図面、明細書及び特許請求の範囲の学習から、請求項に記載の発明を実施しようとする当業者によって、開示した実施形態へのその他の変形が理解・達成され得る。請求項において、用語“有する”はその他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”若しくは“an”は複数であることを排除するものではない。単一のプロセッサ又はその他のユニットが、請求項に記載された複数のアイテムの機能を果たしてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用され得ない、ということを指し示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに供給されるか、あるいは他のハードウェアの部分として供給されるかする例えば光記憶媒体又は半導体媒体などの好適な媒体上で格納/配信され得るが、例えばインターネット又はその他の有線若しくは無線の遠隔通信システムを介してなど、その他の形態で配信されてもよい。請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解されるべきでない。
【符号の説明】
【0087】
100 医用撮像システム
102 コンピュータ
104 プロセッサ
106 ハードウェアインタフェース
108 ユーザインタフェース
110 メモリ
120 機械実行可能命令
122 訓練済み畳み込みニューラルネットワーク
122’ 訓練済み畳み込みニューラルネットワーク
122’’ 訓練済み畳み込みニューラルネットワーク
122’’’ 訓練済み畳み込みニューラルネットワーク
122’’’’ 訓練済み畳み込みニューラルネットワーク
122’’’’’ 訓練済み畳み込みニューラルネットワーク
124 拡散磁気共鳴撮像データ
126 ニューラルネットワーク出力
200 拡散磁気共鳴撮像データを受信する
202 拡散磁気共鳴撮像データを訓練済み畳み込みニューラルネットワークに入力することによってニューラルネットワーク出力を生成する
300 医用撮像システム
302 磁気共鳴撮像システム
304 磁石
306 磁石のボア
308 撮像ゾーン
310 磁場グラジエントコイル
312 磁場グラジエントコイル電源
314 無線周波数コイル
316 トランシーバ
318 被検体
320 被検体サポート
321 パルスシーケンスコマンド
322 磁気共鳴収集データ
400 パルスシーケンスコマンドで磁気共鳴撮像システムを制御して磁気共鳴収集データを収集する
402 磁気共鳴収集データから拡散磁気共鳴撮像データを再構成する
500 拡散磁気共鳴撮像データの球面拡散部分
500’ 拡散磁気共鳴撮像データの球面拡散部分
502 少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分
502’ 少なくとも1つの球状畳み込みニューラルネットワーク部分
504 球状ニューラルネットワーク部分出力
506 空間畳み込みニューラルネットワーク
508 出力層
600 結合された球状・空間ニューラルネットワーク
700 拡散磁気共鳴撮像データの空間部分
702 重み共有
900 単一の球状畳み込みニューラルネットワーク部分
902 出力連結
図1
図2
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