(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】イントラ予測方法、装置およびコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 19/593 20140101AFI20240215BHJP
H04N 19/11 20140101ALI20240215BHJP
H04N 19/136 20140101ALI20240215BHJP
【FI】
H04N19/593
H04N19/11
H04N19/136
(21)【出願番号】P 2021538791
(86)(22)【出願日】2019-01-02
(86)【国際出願番号】 CN2019070155
(87)【国際公開番号】W WO2020140219
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーチョン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】チャイ、シアオイェン
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127624(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/009870(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0255299(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174128(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0272745(US,A1)
【文献】特表2020-503785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0141319(US,A1)
【文献】特表2021-513815(JP,A)
【文献】特表2021-515491(JP,A)
【文献】BROSS, Benjamin et al.,Versatile Video Coding (Draft 3),JVET-L1001 (version 11),ITU,2018年12月20日,pp.70-74,[online],[retrieved on 2023-08-16],Retrieved from the Internet: <URL: https://jvet-experts.org/doc_end_user/documents/12_Macao/wg11/JVET-L1001-v11.zip>,JVET-L1001-v7.docx
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコーダによって適用される、イントラ予測方法であって、
ビットストリームをデコードし、現在のデコーディングブロックのアスペクト比を決定することと、
前記現在のデコーディングブロックに関連する参照ブロックを決定することと、
前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比にしたがって、
前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードと最小角度予測モードを決定することと、
前記最大角度予測モードと最小角度予測モードにしたがって、前記参照ブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得することと、
前記調整された置換角度予測モードにしたがって、前記現在のデコーディングブロックのイントラ予測値を決定することと、を含み、
前記調整された置換角度予測モードは、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを含む、前記イントラ予測方法。
【請求項2】
エンコーダによって適用される、イントラ予測方法であって、
現在のコーディングブロックのアスペクト比を決定することと、
前記現在のコーディングブロックに関連する参照ブロックを決定することと、
前記現在のコーディングブロックのアスペクト比に基づいて、
前記現在のコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードと最小角度予測モードを決定することと、
前記最大角度予測モードと最小角度予測モードにしたがって、前記参照ブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得することと、
前記調整された置換角度予測モードにしたがって、前記現在のコーディングブロックのイントラ予測値を決定することと、を含み、
前記調整された置換角度予測モードは、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを含む、前記イントラ予測方法。
【請求項3】
イントラ予測装置であって、プロセッサ、プロセッサ実行可能な命令を記憶するメモリ、通信インターフェース、および前記プロセッサ、前記メモリおよび前記通信インターフェースを接続するためのバスを備え、前記命令が実行されるとき、前記プロセッサは、
ビットストリームをデコードし、現在のデコーディングブロックのアスペクト比を決定し、
前記現在のデコーディングブロックに関連する参照ブロックを決定し、
前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比にしたがって、
前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードと最小角度予測モードを決定することと、
前記最大角度予測モードと最小角度予測モードにしたがって、前記参照ブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、
前記調整された置換角度予測モードにしたがって、前記現在のデコーディングブロックのイントラ予測値を決定し、前記調整された置換角度予測モードは、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを含む、前記イントラ予測装置。
【請求項4】
イントラ予測装置であって、プロセッサ、プロセッサ実行可能な命令を記憶するメモリ、通信インターフェース、および前記プロセッサ、前記メモリおよび前記通信インターフェースを接続するためのバスを備え、前記命令が実行されるとき、前記プロセッサは、
現在のコーディングブロックのアスペクト比を決定し、
前記現在のコーディングブロックに関連する参照ブロックを決定し、
前記現在のコーディングブロックのアスペクト比にしたがって、
前記現在のコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードと最小角度予測モードを決定することと、
前記最大角度予測モードと最小角度予測モードにしたがって、前記参照ブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、
前記調整された置換角度予測モードにしたがって、前記現在のコーディングブロックのイントラ予測値を決定し、前記調整された置換角度予測モードは、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを含む、前記イントラ予測装置。
【請求項5】
プログラムを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、イントラ予測装置に適用され、前記プログラムが、プロセッサによって実行されるとき、請求項
1に記載の方法を実現する、前記コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
プログラムを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、イントラ予測装置に適用され、前記プログラムが、プロセッサによって実行されるとき、請求項
2に記載の方法を実現する、前記コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願実施例は、ビデオコーディング分野に関し、特に、イントラ予測方法、装置およびコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代のビデオコーディング規格H.266またはバーサタイルビデオコーディング(VVC:Versatile Video Coding)の輝度予測プロセスでは、エントロピーコーディングを減少するために、1つの最確モード(MPM:Most Probable Modes)リストを構築し、現在のデコーディングブロックと隣接する上部ブロックおよび隣接する左ブロックの最適予測モードを記憶する。高い空間類似性の原理に従って、現在のブロックによって選択された予測モードは、MPMリストに存在する特定のモードと同じである確率が比較的に高いため、より少ないビット数を使用して現在のブロックの予測モードをコーディングすることができる。しかしながら、非正方形のブロック広角モードのため、取得された予測モードは、実の予測方向の最も近接するモードの逆方向となり、さらに、MPMリストを介して輝度イントラ予測を実行するとき、イントラ予測の精度を大幅に低下させ、それにより、コーデック効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願実施例は、イントラ予測方法、装置およびコンピュータ記憶媒体を提供し、イントラ予測の精度を効果的に向上させる同時に、コーデックおよびデコーディング効率を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
イントラ予測方法であって、前記方法は、
現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得することであって、ここで、前記参照デコーディングブロックは、前記現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであることと、
前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比と前記参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得することであって、前記置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードであることと、
前記現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するために、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することと、を含む。
【0005】
上記の方法において、前記置換角度予測モードを調整して、調整された前記置換角度予測モードを取得することは、
プリセットのアスペクト比と角度予測モードの対応関係から、前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードおよび最小角度予測モードを決定することと、
前記最大角度予測モード、前記最小角度予測モードおよび前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードに従って、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードを取得して、前記調整された置換角度予測モードとして決定することと、を含む。
【0006】
上記の方法において、前記置換角度予測モードを調整して、調整された前記置換角度予測モードを取得することは、
前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを決定して、前記調整された前記置換角度予測モードとして決定することを含む。
【0007】
上記の方法において、前記予測モードリストは、最確モード(MPM)リストを含み、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、
前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用することと、
前記調整された置換角度予測モードを初期最確モード(MPM)リストに挿入して、前記MPMリストを構築することと、を含む。
【0008】
上記の方法において、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、
前記調整された置換角度予測モードに従って、初期MPMリスト内の前記参照デコーディングブロックおよび前記参照デコーディングブロックの隣接モードのうちの少なくとも1つを置き換えて、前記MPMリストを構築することを含み、前記隣接モードは、前記置換角度予測モードと隣接する角度予測モードである。
【0009】
上記の方法において、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築する前に、前記イントラ予測方法は、
前記現在のデコーディングブロックのプリセットの参照行インデックスの選択評価基準を順次に計算することであって、前記選択評価基準は、レート歪みコストを含むがこれに限定されないことと、
前記プリセットの参照行インデックスから、選択評価基準が最も小さい参照行インデックスを決定して、第1プリセットの参照行インデックスとして使用することと、
前記第1プリセットの参照行インデックスに対応するMPMリスト構築ルールを取得することと、
前記MPMリスト構築ルールを使用して、前記初期MPMリストを構築することと、をさらに含む。
【0010】
上記の方法において、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築した後、前記イントラ予測方法は、
前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードと前記MPMリストをマッチングすることと、
マッチング成功の場合、コンテキストモデルを使用して、前記MPMリストにおける前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードのインデックスをコーディングすることと、
マッチング失敗の場合、切り捨てられたバイナリコードを使用して、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードをコーディングすることと、をさらに含む。
【0011】
上記の方法において、前記予測モードリストは、クロマ予測モードリストを含み、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、
前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用することと、
前記調整された置換角度予測モードを初期クロマ予測モードリスト内の置換モードとして使用して、前記現在のデコーディングブロックに対応するクロマ予測モードリストを構築することと、をさらに含み、前記初期クロマ予測モードリストは、プリセットのクロマイントラ予測構築方法に従って構築され、または、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期クロマ予測モードリスト内のダイレクトモード(DM)を置き換えて、前記クロマ予測モードリストを構築する。
【0012】
上記の方法において、前記調整された置換角度予測モードを初期クロマ予測モードリスト内の置換モードとして使用することは、
前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードを決定することと、
前記最適予測モードに従って、クロマイントラ予測モードを導出することと、
前記クロマイントラ予測モードが、前記初期クロマ予測モードリスト内のプリセットの予測モードを満たす場合、前記クロマイントラ予測モードを前記調整された置換角度予測モードに置き換えることと、を含む。
【0013】
上記の方法において、前記予測モードリストは、マルチダイレクトモードシグナリング(MDMS)リストを含み、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、
前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用することと、
前記調整された置換角度予測モードを初期MDMSリスト内の既存の角度微調整行に挿入する前に、MDMSリストを構築し、または、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期MDMSリスト内のDMを置き換えて、前記MDMSリストを構築することと、を含む。
【0014】
イントラ予測装置であって、前記イントラ予測装置は、
現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得するように構成される、取得部であって、ここで、前記参照デコーディングブロックは、前記現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックである、取得部と、
前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比と前記参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得するように構成される、調整部であって、前記置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードである、調整部と、
前記現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するために、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築するように構成される、構築部と、を備える。
【0015】
前記装置において、前記イントラ予測装置は、さらに、決定部を備え、
前記決定部は、さらに、プリセットのアスペクト比と角度予測モードの対応関係から、前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードおよび最小角度予測モードを決定するように構成され、
前記調整部は、さらに、前記最大角度予測モード、前記最小角度予測モードおよび前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードに従って、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードを取得して、前記調整された置換角度予測モードとして決定するように構成される。
【0016】
前記装置において、前記調整部は、さらに、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを決定して、前記調整された前記置換角度予測モードとして決定するように構成される。
【0017】
前記装置において、前記予測モードリストは、MPMリストを含み、前記装置は、さらに、挿入部を備え、
前記挿入部は、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用し、前記調整された置換角度予測モードを初期MPMリストに挿入して、前記最確モード(MPM)リストを構築するように構成される。
【0018】
前記装置において、前記装置は、さらに、置換部を備え、
前記置換部は、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期MPMリスト内の前記参照デコーディングブロックおよび前記参照デコーディングブロックの隣接モードのうちの少なくとも1つを置き換えて、前記MPMリストを構築するように構成され、前記隣接モードは、前記置換角度予測モードと隣接する角度予測モードである。
【0019】
前記装置において、前記装置は、さらに、計算部を備え、
前記計算部は、前記現在のデコーディングブロックのプリセットの参照行インデックスの選択評価基準を順次に計算するように構成され、前記選択評価基準は、レート歪みコストを含むがこれに限定されなく、
前記決定部は、さらに、前記プリセットの参照行インデックスから、選択評価基準が最も小さい参照行インデックスを決定して、第1プリセットの参照行インデックスとして使用するように構成され、
前記取得部は、さらに、前記第1プリセットの参照行インデックスに対応するMPMリスト構築ルールを取得するように構成され、
前記構築部は、前記MPMリスト構築ルールを使用して、前記初期MPMリストを構築するように構成される。
【0020】
前記装置において、前記装置は、さらに、マッチング部とコーディング部を備え、
前記マッチング部は、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードと前記MPMリストをマッチングするように構成され、前記最適予測モードは、エンコーダが、プリセットの決定カテゴリに従って決定されることであり、
前記コーディング部は、マッチング成功の場合、コンテキストモデルを使用して、前記MPMリストにおける前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードのインデックスをコーディングし、マッチング失敗の場合、切り捨てられたバイナリコードを使用して、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードをコーディングするように構成される。
【0021】
前記装置において、前記予測モードリストは、クロマ予測モードリストを含み、
前記構築部は、さらに前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用し、前記調整された置換角度予測モードを初期クロマ予測モードリスト内の置換モードとして使用して、前記現在のデコーディングブロックに対応するクロマ予測モードリストを構築するように構成され、前記初期クロマ予測モードリストは、プリセットのクロマイントラ予測構築方法に従って構築され、または、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期クロマ予測モードリスト内のダイレクトモード(DM)を置き換えて、前記クロマ予測モードリストを構築する。
【0022】
前記装置において、前記決定部は、さらに、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従って、クロマイントラ予測モードを導出するように構成され、
前記置換部は、さらに、前記クロマイントラ予測モードが、前記初期クロマ予測モードリスト内のプリセットの予測モードを満たす場合、前記クロマイントラ予測モードを前記調整された置換角度予測モードに置き換えるように構成される。
【0023】
前記装置において、前記挿入部は、さらに、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用し、前記調整された置換角度予測モードを初期MDMSリスト内の既存の角度微調整行に挿入する前に、MDMSリストを構築し、または、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期MDMSリスト内のDMを置き換えて、前記MDMSリストを構築するように構成される。
【0024】
イントラ予測装置であって、プロセッサ、前記プロセッサ実行可能な命令を記憶するメモリ、通信インターフェースと、前記プロセッサ、前記メモリおよび前記通信インターフェースを接続するバスを備え、前記命令が実行されるとき、前記プロセッサが実行されると、上記のいずれか一項に記載のイントラ予測方法を実現する。
【0025】
プログラムを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、イントラ予測装置に適用され、ここで、前記プログラムが、プロセッサによって実行されるとき、上記のいずれか一項に記載のイントラ予測方法を実現する。
【発明の効果】
【0026】
本願実施例は、イントラ予測方法、装置およびコンピュータ記憶媒体を提供して、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得し、ここで、参照デコーディングブロックは、現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであり、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードであり、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築して、現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行する。これから分かるように、本願の実施例において、イントラ予測装置が、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なると判断した場合、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックの置換角度予測モードを隣接調整ユニットの実の予測方向と同じ方向である最も近い方向、または同じ角度の反対する方向に調整し、それをMPMリストに追加し、さらに、予測角度の精度を向上させ、MPMリストを介して輝度イントラ予測を実行するとき、イントラ予測の精度を大幅に向上させ、コーディング効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願実施例によるイントラ予測モードの概略図である。
【
図2】本願実施例によるVVCがサポートする67種のイントラ予測モードの概略図である。
【
図3】本願実施例によるVTM2.0における広角モードの概略図である。
【
図4】幅が高さより大きいコーディングブロックのイントラ予測モードの例示的な概略図である。
【
図5】本願実施例によるVTM3.0における広角モードの概略図である。
【
図6】本願実施例によるイントラ予測方法の例示的なフローチャートである。
【
図9】本願実施例によるクロマイントラ候補モードセットの概略図である。
【
図10】本願実施例によるクロマブロックと輝度ブロックの概略図である。
【
図11】本願実施例によるビデオエンコーダの構造のブロック図である。
【
図12】本願実施例によるビデオデコーダの構造のブロック図である。
【
図13】本願実施例によるイントラ予測方法の例示的な実現フローチャートである。
【
図14】本願実施例による既存の広角モードにおける上部隣接ブロックを決定する例示的な最適予測モードである。
【
図15】本願実施例によるイントラ予測装置の構成の例示的な構造
図1である。
【
図16】本願実施例によるイントラ予測装置の構成の例示的な構造
図2である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願実施例における図面を参照して、本願実施例における技術的解決策を明確且つ完全に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、関連付けされるアプリケーションを説明するためにのみ使用され、当該アプリケーションを限定するものではないことを理解されたい。さらに、説明の容易のために、図面には、関するアプリケーションに関連付けされる部分のみ示す。
【0029】
ビデオコーディングでは、空間または時間で既存の再確立画像を使用して現在の処理ブロックの予測値を構築し、実の値と予測値の差のみを伝送して、伝送データ量を減少しようとする目的を達成する。ここで、イントラ予測は、写真内または写真領域内の空間関連性を使用する。現在、処理ブロックのイントラ予測は、処理された隣接処理ブロックのピクセルに依存して実行でき、例えば、現在の処理ブロックの上段および左列を使用して、現在の処理ブロックの予測値を構築し、
図1は、イントラ予測の概略図であり、
図1に示されたように、隣接処理ブロックのピクセルを使用して、現在の処理ブロックの各ピクセルを予測する。
【0030】
イントラ予測を実行するとき、予測方向の選択も重要である。具体的には、隣接コーディングブロックのピクセルを使用して現在の処理ブロックの予測値を構築するとき、複数の予測方向を採用できる。
図2は、VVCがサポートする67種のイントラ予測モードであり、
図2に示されたように、67種のイントラ予測モードでは、具体的には、予測方向インデックス番号が2-66である65の予測方向を含み、さらに、インデックス番号が0であるPLANARモードおよびインデックス番号が1であるDCモードを含む。
【0031】
一態様において、本願実施例では、上記の
図2に基づいて、65の角度予測モードの予測方向が、時計回りの方向で-135度(モード2)ないし45度(モード66)の間に定義されたため、このような角度範囲の定義は、ビデオ圧縮規格(HEVC:High Efficiency Video Coding)指定方向と互換性があるようにするために実行され、次世代のビデオコーディング規格(VVC:Versatile Video Coding)に追加されたクアッドツリーバイナリツリー分割(QTBT:Quadtree Plus Binary Tree)構造を考慮していない。QTBT構造の導入によって、いくつかの非正方形のブロックが生成されるため、非正方形のブロックに対して、共同ビデオエキスパートチーム(JVET:Joint Video Experts Team)のK番目の会議のK0500提案では、広角モードを提案した。
【0032】
ここで、広角モードは、非正方形のブロックにのみ適し、以下の通りである。
【0033】
デコーディングブロックの幅が高さより大きい場合、右上の方向における角度は、45度を超え、
デコーディングブロックの高さが幅より大きい場合、左下の方向における角度は、45度を超える。
【0034】
具体的に、非正方形のブロックに対して、拡張される広角モードを使用して、いくつかの従来の角度予測モード(即ち、モード2ないしモード66)を置き換える。置換される必要がある従来の角度モードの数は、デコーディングブロックの長辺と短辺の比率と関し、比率が大きいほど、広角モードに置換される従来の角度モードも多く、表1に示された通りである。
【表1】
【0035】
表1では、Wは、デコーディングブロックの幅を示し、Hは、デコーディングブロックの高さを示す。幅が高さより大きい場合、左下の方向における角度を右上の45度を超える方向の広角モードに置換する必要があり、アスペクト比が、2である場合、モード2、3、4、5、6、7は、それに対応して、広角モード67、68、69、70、71、72に置換され、アスペクト比が、2より大きい場合、モード2、3、4、5、6、7、8、9、10、11は、それに対応して、広角モード67、68、69、70、71、72、73、74、75、76に置換される。高さが幅より大きい場合、右上の方向における角度を左下の45度を超える方向の広角モードに置換する日値用があり、高幅比が、2である場合、モード61、62、63、64、65、66は、それに対応して広角モード-6、-5、-4、-3、-2、-1に置換され、高幅比が、2より大きい場合、モード57、58、59、60、61、62、63、64、65、66は、それに対応して、広角モード-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1に置換される。
【0036】
図3に示されたように、VTM2.0の広角モードにおいて、合計85の角度方向モードおよびPLANARとDCモードがあり、ここで、モード-10ないし-1およびモード67まいし76は、45度と-135度間の範囲、即ち、広角モードを超える。時計回りの方向における45度(モード66)ないし-135度(モード2)内の角度方向は、正方形のブロックのために使用されるように設計される。
【0037】
各広角予測方向は、1つの従来の予測方向に関連付けられる。広角モードは、それに対応する従来の予測モードと反対する予測方向を使用するため、当該広角モードが使用する参照サンプルは、それに対応する従来の予測モードと同じ側(左列または上段)に位置していない。
【0038】
図4は、幅が高さより大きいコーディングブロックのイントラ予測モードを例とし、予測プロセスでは、左下のいくつかの角度を除去して、右上の45度を超える方向の広角モードに置換する。モード2をモード67に置換し、モード3をモード68に置換し、モード4をモード69に置換する。広角モードに置換される必要がありモードの数は、デコーディングブロックのアスペクト比と関する。具体的に、拡張されたモード67と従来のモード3は、互いに逆方向であり、モード3は、左側の参照サンプルを使用し、モード67は、上部の参照サンプルを使用する。これによって類推すれば、モード68と従来のモード4は、互いに逆方向であり、モード69と従来のモード5は、互いに逆方向である。
【0039】
最新のVVC参照ソフトウェアVTM3.0では、L0279提案で提案された統一にされた広角モードを採用した。VTM2.0.1では、85个角度モード、PLANARおよびDCモードがあり、ここで、20のモードの方向は、45度と-135度間の範囲、即ち、広角モードを超える。モード2ないしモード66の合計65の角度モードは、正方形のブロックの予測角度モードのために使用されるように設計される。すべての正方形のブロックの対角線方向(モード2、34および66)は、予測モードに含まれる。しかし、非正方形のブロックの予測モードは、必ずしもその対角線方向をカバーすることでは限らない。さらに、正方形のブロックの角度方向は、左下の対角線方向から右上の対角線方向へであり、非正方形のブロックの角度方向は、そうではない。
【0040】
L0279提案で提案された統一方法は、置換される必要がある広角モードの従来のモードの数を変更して、広角を拡張した後の角度範囲が、左下の対角線方向から右上の対角線方向間になるようにし、表2に示された通りである。同時に、当該方法は、拡張された広角モードおよび置換される必要がある従来の角度モードの方向を適切に変更して、デコーディングブロックの対角線方向を含むようにする。
【表2】
【0041】
非正方形のブロックにおいて、長辺と短辺の比率が、2である場合、6つのモードが、置換される必要があり、長辺と短辺の比率が、4である場合、10のモードが、置換される必要があり、長辺と短辺の比率が、8である場合、12のモードが、置換される必要があり、長辺と短辺の比率が、16である場合、14のモードが、置換される必要がある。
図5に示されたように、合計93の角度モードおよびPLANARとDCモードがあり、ここで、28の角度モードの方向は、-135度と45度間の範囲、即ち、広角モードを超える。
【0042】
一方、本願の実施例において、上記の
図2に基づいて、
図6は、イントラ予測方法の概略図であり、
図3に示されたように、66である予測方向インデックス番号で各ピクセル予測値を構築する場合、参照番号が、0ないし16であるピクセルは、現在の処理ブロックの上段データである。現在の処理ブロックの各ピクセルは、右上の対角線のピクセルに従って満たす。
【0043】
さらに、本願の実施例において、PLANARモードは、主に、画像テクスチャが比較的に滑らかで、プロセスが比較的緩やかな領域に使用され、その予測方法は、現在の処理ブロックに対応する上下左右の4つの方向の隣接処理ブロックピクセル値を使用して、参照ピクセル値とし、さらに、線形補間および平均化の計算を実行し、PLANARモードと比較して、DCモードは、主に、フラットな画像、滑らかなテクスチャ、およびグラデーションが多すぎない領域に使用され、具体的な予測方法は、現在の処理ブロックの上部のデコーディングされた最後の一行の参照ピクセルと、現在の処理ブロックの左側のデコーディングされた最右の一列の参照ピクセルに従って予測する。これから分かるように、イントラ予測では、PLANARモードおよびDCモードは、両方とも、比較的にフラットな予測ブロックを構築する方式であり、それぞれ、DCモードは、上段左列の参照ピクセルの平均値を使用してすべてのクロマブロックを満たし、PLANARモードは、緩やかな方式を採用してクロマブロックを満たす。
【0044】
上記の
図2では、さらに、方向インデックス番号が50であるVERモードと、予測方向インデックス番号が18であるHORモード、即ち、垂直予測と水平予測の2つの特別な方向モードがある。
図7は、垂直予測の概略図であり、
図8は、水平予測の概略図であり、
図7および8に示されたように、予測方向が、垂直予測である場合、上部のピクセル値に従って垂直予測でき、予測方向が、水平予測である場合、左側のピクセル値に従って水平予測できる。
【0045】
輝度イントラ予測を実行するとき、上記の
図2内の0ないし66のモードに従って、順次に予測し、その後、現在の処理ブロックとの差が最も小さい、即ち、最もマッチングする予測モードを選択して、予測値を構築することができる。コーディング端は、差および予測方向をビットストリームに書き込む。デコーディング端は、ビットストリームを取得した後解析して、予測モードインデックス番号を取得した後、輝度予測値を計算でき、ビットストリームによって解析された差信号と加算して、輝度の再確立値を取得できる。
【0046】
しかしながら、クロマイントラ予測と輝度イントラ予測モードは、異なり、これは、コーデックの複雑さを減らすために、クロマイントラ予測を実行するとき、予測モードの一部のみを抽出し、クロスコンポーネント線形モデル予測モードと組み合わせて候補モードセットになり、セットから1つのモードを選択してイントラ予測を実行したためである。ここで、VVCにおいて、クロマイントラ候補モードセットは、線形モデル予測(LM:Linear Model Prediction)、上部の線形モデル予測(LM_T)モード、左側の線形モデル予測(LM_L)モード、DCモード、PLANARモード、垂直(VER)モードおよび水平(HOR)モードなどの、複数のクロマイントラ予測モードを含む。
【0047】
図9は、クロマイントラ候補モードセットの概略図であり、
図9に示されたように、クロマイントラ候補モードセットは、異なるモードを含み得、先行技術は、異なるモードを介してクロマイントラ予測を実行でき、例えば、ダイレクトモード(DM:Direct Mode)は、輝度中心ブロックに対応する予測モードを表し、クロスコンポーネント線形モデル予測(CCLM:Cross-component Linear Model Prediction)は、(a*輝度値+b)の方案を使用して予測信号を構築することを表すことができ、ここで、aおよびbは、両方とも自然数であり、DMが、DCモード、PLANARモード、VERモードまたはHORモードのうちの任意の1つのモードである場合、当該モードを予測方向インデックス番号が66である角度モードに置換できる。
【0048】
さらに、VVCは、輝度とクロマの独立分割をサポートし、即ち、両方の分割は、異なることができ、そのため1つのクロマブロックが、複数の輝度ブロックに対応する場合があり得、
図10は、本願実施例の現在のブロックに対応する輝度ブロックおよびクロマの配置の概略図であり、
図10に示されたように、左側の正方形70は、現在のクロマブロックに対応するクロマブロックであり、右側の正方形71は、現在のクロマブロックであり、現在のクロマブロックのイントラ予測を実行するとき、クロマブロック71の中心ブロックの予測方向、即ち、
図10の右側の正方形70内のCR輝度ブロック701を使用する。
【0049】
本願の実施例において、上記のイントラ予測方法は、ビデオコーディングハイブリッドフレームワーク内のイントラ予測部分に適用され、具体的には、上記のイントラ予測方法は、コーディング端およびデコーディング端に同時に作用する。例えば、
図11は、ビデオコーディングの例示的なフローチャートであり、
図11に示されたように、本願実施例によるビデオコーディングシステムの構成ブロック図の例を示し、当該ビデオコーディングシステム200は、変換と量子化ユニット201、イントラ推定ユニット202、イントラ予測ユニット203、動き補償ユニット204、動き推定ユニット205、逆変換と逆量子化ユニット206、フィルタ制御分析ユニット207、フィルタリングユニット208、コーディングユニット209およびデコーディング画像キャッシュユニット210などを備え、ここで、フィルタリングユニット208は、ブロック解除フィルタリングおよびサンプル適応オフセット(SAO:Sample Adaptive 0ffset)フィルタリングを実現でき、コーディングユニット209は、ヘッダーコーディングおよびコンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(CABAC:Context-based Adaptive Binary Arithmatic Coding)を実現できる。入力される原ビデオ信号に対して、コーディングツリーブロック(CTU:Coding Tree Unit)の分割を介して、1つのビデオコーディングブロックを取得でき、その後、イントラまたはインタ予測されて得た残差ピクセル情報に対して、変換と量子化ユニット201を介して当該ビデオコーディングブロックを変換し、残差情報をピクセルフィールドから変換フィールドに変換し、ビット率を減らすために、取得された変換係数を量子化することを含む。イントラ推定ユニット202およびイントラ予測ユニット203は、当該ビデオコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するように構成され、明確には、イントラ推定ユニット202およびイントラ予測ユニット203は、当該ビデオコーディングブロックをコーディングするために使用されるイントラ予測モードを決定するように構成され、動き補償ユニット204および動き推定ユニット205は、1つまたは複数の参照フレーム内の1つまたは複数のブロックに対応する受信さ
れたビデオコーディングブロックのインタ予測コーディングを実行して、時間予測情報を提供するように構成され、動き推定ユニット205によって実行される動き推定は、動きベクトルを生成するプロセスであり、前記動きベクトルは、当該ビデオコーディングブロックの動きを推定でき、その後、動き補償ユニット204によって、動き推定ユニット205によって決定される動きベクトルに基づいて動き補償を実行する。イントラ予測モードを決定した後、イントラ予測ユニット203は、さらに、選択されるイントラ予測データをコーディングユニット209に提供するように構成され、動き推定ユニット205は、計算して決定された動きベクトルデータもコーディングユニット209に送信する。なお、逆変換と逆量子化ユニット206は、当該ビデオコーディングブロックを再構築し、ピクセルフィールドで残差ブロックを再構築するように構成され、当該再構築残差ブロックは、フィルタ制御分析ユニット207およびフィルタリングユニット208を介して、ブロック効果アーチファクトを除去し、その後、再構築されたビデオコーディングブロックを生成するために、当該再構築残差ブロックをデコーディング画像キャッシュユニット210のフレーム内の1つの予測ブロックに追加する。コーディングユニット209は、様々なコーディングパラメータおよび量子化された変換係数をコーディングするように構成され、CABACに基づくコーディングアルゴリズムでは、コンテキストの内容は、隣接コーディングブロックに基づくことができ、指示によって決定されるイントラ予測モードの情報をコーディングし、当該ビデオ信号のビットストリームを出力するように構成され、デコーディング画像キャッシュユニット210は、参照を予測するために、再構築されるビデオコーディングブロックを格納するように構成される。ビデオ画像コーディングの実行に伴い、新しい再構築されるビデオコーディングブロックを生成し続け、これらの再構築されるビデオコーディングブロックは、すべて、デコーディング画像キャッシュユニット210に格納される。
【0050】
本願実施例によるビデオデコーディングシステムの構成ブロック図の例を示す、
図12を参照すると、当該ビデオデコーディングシステム300は、デコーディングユニット301、逆変換と逆量子化ユニット302、イントラ予測ユニット303、動き補償ユニット304、フィルタリングユニット305およびデコーディング画像キャッシュユニット306などを備え、ここで、デコーディングユニット301は、ヘッダーデコーディングおよびCABACデコーディングを実現でき、フィルタリングユニット305は、ブロック解除フィルタリングおよびSAOフィルタリングを実現できる。入力されるビデオ信号は、
図2のコーディング処理を実行された後、当該ビデオ信号のビットストリームを出力し、当該ビットストリームは、ビデオデコーディングシステム300に入力され、デコーディングされた変換係数を取得するために、まず、デコーディングユニット301を通過し、ピクセルフィールドで残差ブロックを生成するために、当該変換係数に対して逆変換と逆量子化ユニット302を介して処理する。イントラ予測ユニット303は、決定されたイントラ予測モードおよび現在のフレームまたは写真からの、デコーディングブロックを通過するデータに基づいて、現在のビデオデコーディングブロックの予測データを生成するように構成され、動き補償ユニット304は、動きベクトルおよび他の関連する文法要素を分析することにより、ビデオデコーディングブロックのための予測情報を決定し、当該予測情報を使用して、デコーディングされているビデオデコーディングブロックの予測ブロックを生成するように構成される。逆変換と逆量子化ユニット302からの残差ブロックと、イントラ予測ユニット303または動き補償ユニット304によって生成される対応予測ブロックを加算して、デコーディングのビデオブロックを形成し、当該デコーディングのビデオ信号は、フィルタリングユニット305を通過して、ブロック効果アーチファクトを除去し、ビデオ品質を改善でき、その後、デコーディングされるビデオブロックをデコーディング画像キャッシュユニット306に記憶し、デコーディング画像キャッシュユニット306は、後続のイントラ予測または動き補償のための参照画像を記憶する同時に、ビデオ信号を出力するように構成され、即ち、回復される原ビデオ信号を取得
する。
【0051】
以下、本願実施例における図面を参照して、本願実施例における技術的解決策を明確且つ完全に説明する。
【0052】
一実施例において、本願実施例は、イントラ予測方法を提供し、
図13は、本願実施例によるイントラ予測方法の例示的な実現フローチャートであり、当該方法は、以下のステップを含み得る。
【0053】
S101において、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得し、ここで、参照デコーディングブロックは、現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックである。
【0054】
本願実施例によるイントラ予測方法は、イントラ予測装置が、ビデオビットストリームに対して輝度イントラ予測またはクロマイントラ予測を実行するシナリオに適する。
【0055】
本願実施例において、イントラ予測装置は、エンコーダおよびデコーダに配置され、具体的には、実際の場合によって選択され、本願実施例は、具体的に限定しない。
【0056】
本願実施例において、エンコーダは、プリセットの分割ルールに従って、入力されるビデオフレームを各デコーディングブロックに分割し、分割された各デコーディングブロックをビットストリームに追加し、デコーダに伝送し、その後、イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比をそれぞれ取得する。ここで、参照デコーディングブロックは、現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであり、参照デコーディングブロックは、現在のデコーディングブロックと上部に隣接および左に隣接する参照デコーディングブロック、または輝度領域分割ブロックに対応するクロマブロックの参照デコーディングブロックを含むがこれに限定されなく、具体的には、実際の場合によって選択され、本願実施例は、具体的に限定しない。
【0057】
イントラ予測装置は、デコーディングブロックの幅と高さを除算して、デコーディングブロックのアスペクト比を取得することに留意されたい。
【0058】
本願実施例において、ここでは、デコーディングブロックに限られなく、異なる分割ルールに従って、最大コーディングブロックを細分化するユニットは、すべて適し、予測ユニットなどを含み、ここでは、具体的に限定しない。
【0059】
S102において、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードである。
【0060】
イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得した後、イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なることを判断した場合、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得する。
【0061】
本願実施例において、イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比を比較し、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、取得される参照デコーディングブロックの対応する置換角度予測モードは、現在のデコーディングブロックに対して効果ない可能性があり、この場合、イントラ予測装置は、置換角度予測モードを調整する必要があり、ここで、置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードである。
【0062】
例示的に、
図14に示されたように、上部隣接ブロックのイントラ予測モードを取得すること参照とすることと例とし、上部は、隣接ブロックであり、下部は、現在のブロックである。隣接ブロックによって選択される最適予測モードが、モード67であるが、従来のモード2によって置換され、モード2でビットストリームで伝送されると仮定する。既存のMPMリストに従って方案を構築し、モード2をMPMリストに直接に入れる。現在のブロックと幅と高さが同じでありため、隣接ブロックの従来のモード2によって置換される広角モード67は、現在のブロックに対して効果ない。モード67の逆方向は、モード3であり、実際には、現在のブロックが含み得る、当該予測モードの逆方向と最も近い予測モード2を選択してMPMリストに追加する。モード67は、上部参照行を使用し、モード2は、左側参照行を使用し、これから分かるように、現在のブロックは、隣接ブロックの予測方向を適切に継承していない。
【0063】
本願実施例において、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックに対応するイントラ角度予測モードを取得し、その後、イントラ予測装置は、従来のイントラモードと広角モードの対応関係から、イントラ角度予測モードに対応する置換角度予測モードを決定する。
【0064】
具体的に、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得することは、イントラ予測装置が、プリセットのアスペクト比と角度予測モードの対応関係から、現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードおよび最小角度予測モードを決定することと、その後、イントラ予測装置が、最大角度予測モード、最小角度予測モードおよび参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードに従って、置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードを取得することと、最後に、イントラ予測装置が、置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードを、調整された置換角度予測モードとして決定することと、を含む。
【0065】
例示的に、プリセットのアスペクト比と角度予測モードの対応関係は、表3に示された通りであり、表3を使用して現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する角度プリセットのモードの範囲を決定し、さらに、最大角度予測モードおよび最小角度予測モードを決定することができる。
【表3】
【0066】
本願実施例において、最大角度予測モード、最小角度予測モードおよび参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを式(1)に入力して、調整される置換角度予測モードを取得し、ここで、式(1)は、以下の通りである。
【0067】
dir_W=Clip(minMC、maxMC、dir) (1)
ここで、dir_Wは、置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードを示し、minMCは、最小角度予測モードを示し、maxMCは、最大角度予測モードを示し、dirは、取得参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを示す。
【0068】
具体的に、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得することは、イントラ予測装置が、置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを決定することと、その後、イントラ予測装置が、置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを、調整された置換角度予測モードとして決定することと、をさらに含む。
【0069】
例示的に、取得参照デコーディングブロックが、モード2であるが、実際の予測モードが67である場合、現在のデコーディングブロックの幅が高さと同じであるため、モード67は、現在のブロックに対して効果ない。この場合、それを現在のデコーディングブロックが含み得る、当該予測モードの同じ方向と最も近い予測モード66に調整する。モード67およびモード66が使用する参照はm両方ともアップ参照行であり、現在のデコーディングブロックが、隣接ブロックの予測方向をより適切に継承させる。
【0070】
本願実施例において、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックのアスペクト比および現在のデコーディングブロックのアスペクト比に従って、広角モードをその予測方向の逆方向に調整する。
【0071】
例示的に、参照デコーディングブロックの幅が高さより大きく、取得された予測モードが2である場合、参照デコーディングブロックの実の予測モードは、モード67である。現在のデコーディングブロックが、当該モードをサポートしなく、モード67の逆方向は、モード3であるため、取得されるモード2をモード3に調整し、上記に提案されるMPMリスト構築方法に従ってMPMリストに追加し、これによって類推すれば、68の逆方向は4であり、…。
【0072】
S103において、現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するために、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築する。
【0073】
イントラ予測装置が、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得した後、イントラ予測装置は、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックのMPMリストを構築し、この場合、現在のデコーディングブロックのイントラ予測のプロセスを完了する。
【0074】
本願実施例において、プリセットのモードリストは、MPMリストを含み、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、イントラ予測装置が、置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、置換角度予測モードの方向と艦隊するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを調整された置換角度予測モードとして使用することと、その後、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードを、初期MPMリストに挿入して、MPMリストを構築し、または、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードに従って、初期MPMリスト内の参照デコーディングブロックと、参照デコーディングブロックの隣接モードのうちの少なくとも1つに置換して、MPMリストを構築することと、を含み、ここで、隣接モードは、置換角度予測モードと隣接する角度予測モードである。
【0075】
MPMリストには、複数の異なるモードがあり、例えば、VTM3.0と同様に、6つの異なるモードを選択することに留意されたい。
【0076】
さらに、イントラ予測装置は、初期MPMリストを構築するプロセスは、イントラ予測装置が、現在のデコーディングブロックのプリセットの参照行インデックスの選択評価基準を順次に計算し、ここで、選択評価基準は、レート歪みコストを含むがこれに限定されなく、イントラ予測装置は、プリセットの参照行インデックスから、選択評価基準が最も小さい参照行インデックスを決定して第1プリセットの参照行インデックスとし、イントラ予測装置が、第1プリセットの参照行インデックスに対応するMPMリスト構築ルールを取得し、その後、イントラ予測装置は、MPMリスト構築ルールを使用して初期MPMリストを構築する。
【0077】
本願実施例において、第1プリセットの参照行インデックスが0である場合、初期MPMリストの構築ルールは、以下の通りである。
【0078】
1、左隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirAおよび上部隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirB、
2、PLANAR/DC、
3、dirA、dirBの隣接モード、
4、モード50、18、50-4、50+4。
【0079】
第1プリセットの参照行インデックスが1または0である場合、初期MPMリストの構築ルールは、以下の通りである。
【0080】
1、左隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirAおよび上部隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirB、
2、dirA、dirBの隣接モード、
3、モード2、34、66、26。
【0081】
例示的に、イントラ予測装置は、調整された置換角度予測モードをMPMリストに追加する具体的なルールは、以下のとおりであり、6つの異なるMPMモードを含むまで、以下の順序でMPMリストを構築する。
【0082】
a.現在のデコーディングブロックが使用する参照行インデックスは、0である:
1、左隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirAおよび上部隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirB、
2、PLANAR/DC、
3、dirA、dirBによって調整された置換角度予測モードdirA_W、dirB_W、
4、dirA、dirBの隣接モード、
5、モード50、18、50-4、50+4。
【0083】
b.現在のブロックが使用する参照行インデックスが、1または3である
1、左隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirAおよび上部隣接の参照デコーディングブロックの置換角度予測モードdirB、
2、dirA、dirBによって調整された置換角度予測モードdirA_W、dirB_W、
3、dirA、dirBの隣接モード、
4、モード2、34、66、26。
【0084】
MPMリストの構築プロセスでは、dir_WをモードPLANARR/DCの後、隣接モードの前に格納し、または、dir_WをモードPLANARR/DCの前に格納し、または、dir_Wを隣接モードの後に格納し、またはdir_Wをウィ称してdirおよびdirの隣接モードのうちの少なくとも1つを置換することができ、具体的には、実際の場合によって選択でき、本願実施例は、具体的に限定しないことに留意されたい。
【0085】
本願実施例において、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックのMPMリストを構築した後、イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックの最適予測モードとMPMリストをマッチングし、マッチング成功の場合、コンテキストモデルを使用して、前記MPMリストにおける前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードのインデックスをコーディングし、マッチング失敗の場合、切り捨てられたバイナリコードを使用して、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードをコーディングする。
【0086】
本願実施例において、エンコーダは、プリセットの選択カテゴリに従って、現在のデコーディングブロックの最適予測モードを決定し、ビットストリームを介して、現在のデコーディングブロックの最適予測モードをデコーダに伝送する。
【0087】
本願実施例において、予測モードリストは、クロマ予測モードリストを含み、イントラ予測装置は、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、イントラ予測装置が、置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つをを、調整された置換角度予測モードとして使用することと、その後、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードを、初期クロマ予測モードリスト内の置換モードとして、現在のデコーディングブロックに対応するクロマ予測モードリストを構築し、または、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードに従って、初期クロマ予測モードリスト内のDMを置換して、クロマ予測モードリストを構築することと、を含み、具体的には、実際の場合によって選択でき、本願実施例は、具体的に限定しない。
【0088】
本願実施例において、初期クロマ予測モードリストは、プリセットのクロマイントラ予測構築方法に従って構築され、初期クロマ予測モードリストは、
図9に示された通りであり、ここで、初期クロマ予測モードリスト内の置換モードは、66である。
【0089】
本願実施例において、イントラ予測装置は、調整された置換角度予測モードを初期クロマ予測モードリスト内の置換モードとして使用することは、イントラ予測装置が、現在のデコーディングブロックの最適予測モードを決定することと、その後、イントラ予測装置は、最適予測モードに従ってクロマイントラ予測モードを導出することと、クロマイントラ予測モードが、初期クロマ予測モードリスト内のプリセットの予測モードを満たす場合、イントラ予測装置は、クロマイントラ予測モードを、調整された置換角度予測モードに置換することと、を含み、ここで、プリセットの予測モードは、直流(DC)モード、平面(PLANAR)モード、垂直(VER)モードおよび水平(HOR)モードのうちの任意の1つを含む。
【0090】
本願実施例において、イントラ予測装置は、クロマイントラ予測モードが直流(DC)モード、平面(PLANAR)モード、垂直(VER)モードおよび水平(HOR)モードのうちの任意の1つを満たすと判断した場合、イントラ予測装置は、クロマイントラ予測モードに置換される。
【0091】
本願実施例において、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築することは、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードを、初期マルチダイレクトモードシグナリング(MDMS:Multiple Direct Mode Signalling)リスト内の既存の角度微調整行に挿入する前に、MDMSリストを構築し、または、イントラ予測装置が、調整された置換角度予測モードに従って、初期MDMSリスト内のDMを置換して、MDMSリストを構築することと、を含み、具体的には、実際の場合によって選択でき、本願実施例は、具体的に限定しない。
【0092】
本願実施例において、初期MDMSリストの構築方法は、表4に示された通りである。
【表4】
【0093】
本願実施例において、イントラ予測装置が、1行に初期MDMSリスト内の既存の角度モード微調整を実行する前に1行を挿入し、当該行は、調整された置換角度予測モードであり、または、調整された置換角度予測モードに従ってDM行を置換し、具体的には、実際の場合によって選択でき、本願実施例は、具体的に限定しない。
【0094】
イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なると判断した場合、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックの置換角度予測モードを、隣接調整ユニットの実の予測方向と同じ方向の最近方向、または、同じ角度の反対する方向に調整し、それをMPMリストに追加して、予測角度の精度を向上させ、MPMリストを介して輝度イントラ予測を実行する場合、および、クロマ予測モードリストを介してクロマイントラ予測を実行する場合、イントラ予測の精度を大幅に向上させ、それにより、コーディング効率を向上させることができることを理解されたい。
【0095】
上記の実施例によれば、本願の別の一実施例において、
図15は、本願実施例によるイントラ予測装置の構成の例示的な構造
図1であり、
図15に示されたように、本願実施例によるイントラ予測装置1は、取得部11、調整部12、構築部13、決定部14、挿入部15、置換部16、計算部17、マッチング部18およびコーディング部19を備える。
【0096】
前記取得部11は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得するように構成され、ここで、前記参照デコーディングブロックは、前記現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであり、
前記調整部12は、前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比と前記参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得するように構成され、前記置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードであり、
前記構築部13は、前記現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するために、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築するように構成される。
【0097】
さらに、本願の実施例では、前記イントラ予測装置は、さらに、決定部14を備え、
前記決定ユニット14は、さらに、プリセットのアスペクト比と角度予測モードの対応関係から、前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比に対応する最大角度予測モードおよび最小角度予測モードを決定するように構成され、
前記調整部12は、さらに、前記最大角度予測モード、前記最小角度予測モードおよび前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードに従って、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードを取得して、前記調整された置換角度予測モードとして決定するように構成される。
【0098】
さらに、本願の実施例では、前記調整部12は、さらに、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードを決定して、前記調整された前記置換角度予測モードとして決定するように構成される。
【0099】
さらに、本願の実施例では、前記予測モードリストは、MPMリストを含み、前記装置は、さらに、挿入部15を備え、
前記挿入部15は、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用し、前記調整された置換角度予測モードを初期MPMリストに挿入して、前記最確モード(MPM)リストを構築するように構成される。
【0100】
さらに、本願の実施例では、前記装置は、さらに、置換部を備え、
前記置換部16は、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期MPMリスト内の前記参照デコーディングブロックおよび前記参照デコーディングブロックの隣接モードのうちの少なくとも1つを置き換えて、前記MPMリストを構築するように構成され、前記隣接モードは、前記置換角度予測モードと隣接する角度予測モードである。
【0101】
さらに、本願の実施例では、前記装置は、さらに、計算部17を備え、前記計算部17は、前記現在のデコーディングブロックのプリセットの参照行インデックスの選択評価基準を順次に計算するように構成され、前記選択評価基準は、レート歪みコストを含むがこれに限定されなく、前記決定部14は、さらに、前記プリセットの参照行インデックスから、選択評価基準が最も小さい参照行インデックスを決定して第1プリセットの参照行インデックスとして使用するように構成され、前記取得部11は、さらに、前記第1プリセットの参照行インデックスに対応するMPMリスト構築ルールを取得するように構成され、前記構築部13は、さらに、前記MPMリスト構築ルールを使用して、前記初期MPMリストを構築するように構成される。さらに、本願の実施例では、前記装置は、さらに、マッチング部18とコーディング部19を備え、
前記マッチング部18は、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードと前記MPMリストをマッチングするように構成され、
前記コーディング部19は、マッチング成功の場合、コンテキストモデルを使用して、前記MPMリストにおける前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードのインデックスをコーディングし、マッチング失敗の場合、切り捨てられたバイナリコードを使用して、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードをコーディングするように構成される。
【0102】
さらに、本願の実施例では、前記予測モードリストは、クロマ予測モードリストを含み、
前記構築部13は、さらに前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用し、前記調整された置換角度予測モードを初期クロマ予測モードリスト内の置換モードとして使用して、前記現在のデコーディングブロックに対応するクロマ予測モードリストを構築するように構成され、前記初期クロマ予測モードリストは、プリセットのクロマイントラ予測構築方法に従って構築され、または、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期クロマ予測モードリスト内のダイレクトモード(DM)を置き換えて、前記クロマ予測モードリストを構築する。
【0103】
さらに、本願の実施例では、前記決定部14は、さらに、前記現在のデコーディングブロックの最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従って、クロマイントラ予測モードを導出するように構成され、
前記置換部16は、さらに、前記クロマイントラ予測モードが、前記初期クロマ予測モードリスト内のプリセットの予測モードを満たす場合、前記クロマイントラ予測モードを前記調整された置換角度予測モードに置き換えるように構成される。
【0104】
さらに、本願の実施例では、前記挿入部15は、さらに、前記置換角度予測モードと隣接するイントラ角度予測モードと、前記置換角度予測モードの方向と反対するイントラ角度予測モードのうちの少なくとも1つを前記調整された置換角度予測モードとして使用し、前記調整された置換角度予測モードを初期MDMSリスト内の既存の角度微調整行に挿入する前に、MDMSリストを構築し、または、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記初期MDMSリスト内のDMを置き換えて、前記MDMSリストを構築するように構成される。
【0105】
図16は、本願実施例によるイントラ予測装置の構成の例示的な構造
図2であり、
図16に示されたように、本願実施例によるイントラ予測装置1は、さらに、プロセッサ110、プロセッサ110実行可能な命令を記憶するメモリ111、通信インターフェース112、およびプロセッサ110、メモリ111および通信インターフェース112を接続するように構成されるバス113を備える。
【0106】
本願の実施例において、前記プロセッサ110は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、デジタル信号処理装置(DSPD:Digital Signal Processing Device)、プログラマブルロジック装置(PLD:Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field ProgRAMmable Gate Array)、中央プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサのうちの少なくとも1つであり得る。異なる機器に対して、前記プロセッサの機能を実現するために使用される電子デバイスは、他でもあり得、本願実施例は、具体的に限定しないことを理解されたい。装置1は、さらに、メモリ111を備え、当該メモリ111は、プロセッサ110と接続でき、ここで、メモリ111は、実行可能なプログラムコードを記憶するように構成され、当該プログラムコードは、コンピュータ動作命令を含み、メモリ111は、高速RAMメモリを含み得、少なくとも2つのディスクメモリなどの、非揮発性メモリも含み得る。
【0107】
本願の実施例において、バス113は、通信インターフェース112、プロセッサ110およびメモリ111およびこれらのコンポーネント間の通信を接続するように構成される。
【0108】
本願の実施例において、メモリ111は、命令およびデータを記憶するように構成される。
【0109】
さらに、本願の実施例において、前記プロセッサ110は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得し、ここで、前記参照デコーディングブロックは、前記現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであり、前記現在のデコーディングブロックのアスペクト比と前記参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、前記参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、前記置換角度予測モードが、広角モードで拡張される角度予測モードであり、前記調整された置換角度予測モードに従って、前記現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築して、前記現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するように構成される。
【0110】
実際の適用において、前記メモリ111は、ランダムアクセ第1メモリ(RAM:Random-Access Memory)などの揮発性第1メモリ(volatile memory)であり得、または、読み取り専用第1メモリ(ROM:Read-Only Memory)、フラッシュ第1メモリ(flash memory)、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートハードディスク(SSD:Solid-State Drive)などの、不揮発性第1メモリ(non-volatile memory)であり得、または上記のタイプの第1メモリの組み合わせであり得、プロセッサ110に命令およびデータを提供する。
【0111】
さらに、本実施例における各機能モジュールは、1つの処理ユニットに統合され得、各ユニットが、物理的に別々に存在することもでき、2つまたは2つ以上のユニットを1つのユニットに統合することができる。前記統合されるユニットは、ハードウェアの形を使用して実装されることができ、ソフトウェア機能モジュールの形を使用して実装されることもできる。
【0112】
統合されるユニットが、ソフトウェア機能モジュールの形で実装され、独立した製品として販売または使用されていない場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができ、このような理解に基づいて、本実施例の技術的解決策は、本質でまたは先行技術に対して貢献のある部分、または当該技術的解決策の全部または一部は、ソフトウェア製品の形で具現されることができ、前記コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶されて、一台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク機器などであリ得る)、またはprocessor(プロセッサ)が、本実施例の方法のステップの全部または一部を実行させるために、いくつかの命令を含む。前述した記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスク等のプログラムコードを記憶することができる様々な媒体を含む。
【0113】
本願実施例は、装置を提案し、当該イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得し、ここで、参照デコーディングブロックは、現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであり、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードであり、イントラ予測装置は、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築して、現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行する。これから分かるように、本願の実施例において、イントラ予測装置が、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なると判断した場合、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックの置換角度予測モードを隣接調整ユニットの実の予測方向と同じ方向である最も近い方向、または同じ角度の反対する方向に調整し、それをMPMリストに追加し、さらに、予測角度の精度を向上させ、MPMリストを介して輝度イントラ予測を実行するとき、イントラ予測の精度を大幅に向上させ、コーディング効率を向上させる。
【0114】
本願実施例は、プログラムを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該プログラムは、プロセッサによって実行されるとき、上記のイントラ予測方法を実現する。
【0115】
具体的には、本願実施例によるイントラ予測方法に対応するプログラム命令は、光ディスク、ハードディスク、Uディスクなどの記憶媒体に記憶され得、記憶媒体内の1つイントラ予測方法に対応するプログラム命令が、電子機器によって読み取られまたは実行されるとき、上記のいずれか一項に記載のイントラ予測方法を実現する。
【0116】
当業者は、本願の実施例を、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供できることを理解するであろう。したがって、本願は、ハードウェアの実施例、ソフトウェアの実施例、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせの実施例の形を採用することができる。さらに、本願は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータ利用可能な記憶媒体(ディスクメモリおよび光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形を採用することができる。
【0117】
本願は、本願の実施例に係る方法、機器(システム)、およびコンピュータプログラム製品の例示的な実現フローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明される。コンピュータプログラム命令によって、例示的な実現フローチャートおよび/またはブロック図の各プロセスおよび/またはブロック、および例示的な実現フローチャートおよび/またはブロック図のプロセスおよび/またはブロックの組み合わせを実現することができることを理解するであろう。1つの機械を生成するために、これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供することにより、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令を、例示的な実現フローチャートの1つのプロセスまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックに指定される機能を実行するための装置を生成させる。
【0118】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に特定の方法で動作することができるコンピュータ可読メモリに記憶することもでき、前記コンピュータ可読メモリに記憶される命令に、命令装置を備える製品を生成させるようにし、前記命令装置は、例示的な実現フローチャートの1つのプロセスまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックで指定される機能を具現する。
【0119】
これらのコンピュータプログラム命令は、さらにコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にロードすることもでき、コンピュータまたは他のプログラマブル装置に一連の操作ステップを実行させて、コンピュータで実現される処理を生成するようにし、それにより、コンピュータまたは他のプログラマブル装置で実行される命令は、例示的な実現フローチャートの1つのプロセスまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックで指定される機能を具現するためのステップを提供する。
【0120】
上記は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本願実施例は、イントラ予測方法、装置およびコンピュータ記憶媒体を提供して、イントラ予測装置は、現在のデコーディングブロックのアスペクト比および参照デコーディングブロックのアスペクト比を取得し、ここで、参照デコーディングブロックは、現在のデコーディングブロックに関連するデコーディングブロックであり、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なる場合、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックに対応する置換角度予測モードを調整して、調整された置換角度予測モードを取得し、置換角度予測モードは、広角モードで拡張される角度予測モードであり、イントラ予測装置は、調整された置換角度予測モードに従って、現在のデコーディングブロックの予測モードリストを構築して、現在のデコーディングブロックに対してイントラ予測を実行する。これから分かるように、本願の実施例において、イントラ予測装置が、現在のデコーディングブロックのアスペクト比と参照デコーディングブロックのアスペクト比が、異なると判断した場合、イントラ予測装置は、参照デコーディングブロックの置換角度予測モードを隣接調整ユニットの実の予測方向と同じ方向である最も近い方向、または同じ角度の反対する方向に調整し、それをMPMリストに追加し、さらに、予測角度の精度を向上させ、MPMリストを介して輝度イントラ予測を実行するとき、イントラ予測の精度を大幅に向上させ、コーディング効率を向上させる。