IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用駆動装置 図1
  • 特許-車両用駆動装置 図2
  • 特許-車両用駆動装置 図3
  • 特許-車両用駆動装置 図4
  • 特許-車両用駆動装置 図5
  • 特許-車両用駆動装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/10 20120101AFI20240215BHJP
   F16H 48/36 20120101ALI20240215BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20240215BHJP
【FI】
F16H48/10
F16H48/36
F16H57/023
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021543042
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2020032607
(87)【国際公開番号】W WO2021039966
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2019157276
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】水谷 年寿
(72)【発明者】
【氏名】片岡 健太
(72)【発明者】
【氏名】尾張 大樹
(72)【発明者】
【氏名】長内 広哲
(72)【発明者】
【氏名】須山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博
(72)【発明者】
【氏名】柳原 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 公伸
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽介
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084315(JP,A)
【文献】特開2017-203503(JP,A)
【文献】特開2019-044867(JP,A)
【文献】特開2015-021594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 48/10
F16H 48/36
F16H 57/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、動力伝達装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源は、第1軸上に配置され、
前記第1出力部材及び前記第2出力部材は、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記動力伝達装置は、前記第1駆動力源の回転体と一体的に回転する第1ギヤと、前記第2駆動力源の回転体と一体的に回転する第2ギヤと、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構と、前記第2軸上に配置される遊星歯車機構と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、前記第3ギヤと一体的に回転する第4ギヤと、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転する第6ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤの回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに伝達するように構成され、軸方向に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構及び前記第2カウンタギヤ機構の双方と重複するように配置され、
前記第1駆動力源から前記第1出力部材までの動力伝達経路の変速比と、前記第2駆動力源から前記第2出力部材までの動力伝達経路の変速比とが同一であり、
前記遊星歯車機構は、リングギヤと、第1ピニオンギヤ、及び前記第1ピニオンギヤと一体的に回転すると共に前記リングギヤに噛み合う第2ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリヤと、前記第1ピニオンギヤに噛み合う第1サンギヤと、前記第2ピニオンギヤに噛み合う第2サンギヤと、を備え、
前記リングギヤと前記キャリヤとの間の歯数比と、前記第2サンギヤと前記第1サンギヤとの間の歯数比とが異なり、
前記第1カウンタギヤ機構の変速比と、前記第2カウンタギヤ機構の変速比とが異なる、車両用駆動装置。
【請求項2】
第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、動力伝達装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源は、第1軸上に配置され、
前記第1出力部材及び前記第2出力部材は、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記動力伝達装置は、前記第1駆動力源の回転体と一体的に回転する第1ギヤと、前記第2駆動力源の回転体と一体的に回転する第2ギヤと、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構と、前記第2軸上に配置される遊星歯車機構と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、前記第3ギヤと一体的に回転する第4ギヤと、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転する第6ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤの回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに伝達するように構成され、軸方向に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構及び前記第2カウンタギヤ機構の双方と重複するように配置され、
前記遊星歯車機構は、リングギヤと、第1ピニオンギヤ、及び前記第1ピニオンギヤと一体的に回転すると共に前記リングギヤに噛み合う第2ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリヤと、前記第1ピニオンギヤに噛み合う第1サンギヤと、前記第2ピニオンギヤに噛み合う第2サンギヤと、を備え、
前記リングギヤの歯数をZrとし、
前記第1ピニオンギヤの歯数をZp1とし、
前記第2ピニオンギヤの歯数をZp2とし、
前記第1サンギヤの歯数をZs1とし、
前記第2サンギヤの歯数をZs2として、
1/Zr=1/Zs2-1/Zs1×Zp1/Zp2
である、車両用駆動装置。
【請求項3】
第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、動力伝達装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源は、第1軸上に配置され、
前記第1出力部材及び前記第2出力部材は、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記動力伝達装置は、前記第1駆動力源の回転体と一体的に回転する第1ギヤと、前記第2駆動力源の回転体と一体的に回転する第2ギヤと、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構と、前記第2軸上に配置される遊星歯車機構と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、前記第3ギヤと一体的に回転する第4ギヤと、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転する第6ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤの回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに伝達するように構成され、軸方向に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構及び前記第2カウンタギヤ機構の双方と重複するように配置され、
前記遊星歯車機構は、前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源のいずれか一方と前記軸方向の配置領域が重なるサンギヤを備えている、車両用駆動装置。
【請求項4】
前記第4ギヤが、前記第3ギヤに対して、前記軸方向における前記第1駆動力源の側に配置され、
前記遊星歯車機構の前記軸方向の配置領域が、前記第1駆動力源の前記軸方向の配置領域と重なっている、請求項3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記遊星歯車機構は、リングギヤと、第1ピニオンギヤ、及び前記第1ピニオンギヤと一体的に回転すると共に前記リングギヤに噛み合う第2ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリヤと、前記第1ピニオンギヤに噛み合う第1サンギヤと、前記第2ピニオンギヤに噛み合う第2サンギヤと、を備え、
前記第1ピニオンギヤが、前記第2ピニオンギヤに対して、前記軸方向における前記第1駆動力源の側に配置され、
前記遊星歯車機構の前記軸方向の配置領域が、前記第1駆動力源の前記軸方向の配置領域と重なっている、請求項3又は4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、動力伝達装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源は、第1軸上に配置され、
前記第1出力部材及び前記第2出力部材は、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記動力伝達装置は、前記第1駆動力源の回転体と一体的に回転する第1ギヤと、前記第2駆動力源の回転体と一体的に回転する第2ギヤと、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構と、前記第2軸上に配置される遊星歯車機構と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、前記第3ギヤと一体的に回転する第4ギヤと、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転する第6ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤの回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに伝達するように構成され、軸方向に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構及び前記第2カウンタギヤ機構の双方と重複するように配置され、
前記軸方向において、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤを挟んで、前記遊星歯車機構とは反対側にオイルポンプが配置されている、車両用駆動装置。
【請求項7】
前記遊星歯車機構の前記軸方向の配置領域が、前記第1駆動力源の前記軸方向の配置領域と重なっており、
前記オイルポンプの前記軸方向の配置領域が、前記第2駆動力源の前記軸方向の配置領域と重なっている、請求項6に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、動力伝達装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源は、第1軸上に配置され、
前記第1出力部材及び前記第2出力部材は、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記動力伝達装置は、前記第1駆動力源の回転体と一体的に回転する第1ギヤと、前記第2駆動力源の回転体と一体的に回転する第2ギヤと、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構と、前記第2軸上に配置される遊星歯車機構と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、前記第3ギヤと一体的に回転する第4ギヤと、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転する第6ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、リングギヤと、第1ピニオンギヤ、及び前記第1ピニオンギヤと一体的に回転すると共に前記リングギヤに噛み合う第2ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリヤと、前記第1ピニオンギヤに噛み合う第1サンギヤと、前記第2ピニオンギヤに噛み合う第2サンギヤと、を備え、
前記リングギヤは、前記第4ギヤに噛み合う第7ギヤと一体的に回転するように連結され、
前記キャリヤは、前記第1出力部材と一体的に回転するように連結され、
前記第1サンギヤは、前記第2出力部材と一体的に回転するように連結され、
前記第2サンギヤは、前記第6ギヤに噛み合う第8ギヤと一体的に回転するように連結されている、車両用駆動装置。
【請求項9】
前記遊星歯車機構は、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤの回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに伝達するように構成され、軸方向に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構及び前記第2カウンタギヤ機構の双方と重複するように配置されている、請求項8に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤの回転を減速して前記第7ギヤに伝達し、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤの回転を減速して前記第8ギヤに伝達する、請求項9に記載の車両用駆動装置。
【請求項11】
前記第3ギヤは前記第4ギヤよりも大径であり、
前記第5ギヤは前記第6ギヤよりも大径であり、
軸方向における前記第4ギヤと前記第6ギヤとの間に、前記第3ギヤと前記第5ギヤとが配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置は、第1駆動力源(2L)と、第2駆動力源(2R)と、第1車輪(61L)に駆動連結される第1出力部材(65c)と、第2車輪(61R)に駆動連結される第2出力部材(65c)と、遊星歯車機構(30A,30B)と、アイドラギヤと、を備えている。第1駆動力源(2L)と第2駆動力源(2R)とは、回転軸が同軸配置され、第1出力部材(65c)と第1出力部材(65c)と遊星歯車機構(30A,30B)とは、回転軸が駆動力源(2L,2R)の回転軸と平行する別軸で同軸配置され、アイドラギヤは、回転軸がこれらと平行する別軸で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-155310号公報(図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の車両用駆動装置では、駆動力源(2L,2R)と遊星歯車機構(30A,30B)との間がアイドラギヤで駆動連結されているが、アイドラギヤでは十分な減速比が得られない場合がある。減速比を大きくするためには、アイドラギヤに代えてカウンタギヤ機構を備えることが考えられるが、一般的にカウンタギヤ機構を用いると、車両用駆動装置が径方向に大きくなり易い。
【0006】
そこで、十分な減速比を確保しつつ、径方向の寸法の大型化を抑制できる車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
第1駆動力源と、第2駆動力源と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、動力伝達装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1駆動力源及び前記第2駆動力源は、第1軸上に配置され、
前記第1出力部材及び前記第2出力部材は、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記動力伝達装置は、前記第1駆動力源の回転体と一体的に回転する第1ギヤと、前記第2駆動力源の回転体と一体的に回転する第2ギヤと、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構と、前記第2軸上に配置される遊星歯車機構と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構は、前記第1ギヤに噛み合う第3ギヤと、前記第3ギヤと一体的に回転する第4ギヤと、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構は、前記第2ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転する第6ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、前記第4ギヤ及び前記第6ギヤの回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに伝達するように構成され、軸方向に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構及び前記第2カウンタギヤ機構の双方と重複するように配置されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第1駆動力源の回転が、第1カウンタギヤ機構を介して遊星歯車機構に入力される。そして、第2駆動力源の回転が、第2カウンタギヤ機構を介して遊星歯車機構に入力される。これにより、遊星歯車機構の回転要素の回転速度が適切な回転速度となるように、遊星歯車機構に入力される回転を変速することが容易となっている。したがって、遊星歯車機構の負荷を小さく抑えることができる。
また、本構成によれば、第1駆動力源及び第2駆動力源が、第1軸上に配置されている。そして、第1出力部材及び第2出力部材、並びに遊星歯車機構が、第2軸上に配置されている。更に、第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構が、第3軸上に配置されている。つまり、車両用駆動装置の構成要素が、3つの軸上に分かれて配置されている。これにより、車両用駆動装置の構成要素が同軸に配置された構成と比較して、車両用駆動装置の軸方向の寸法の大型化を抑制できる。
また、本構成によれば、1つの遊星歯車機構により、第1出力部材と第2出力部材とのトルク差を適切に制御することができる。したがって、車両用駆動装置を簡易な構成とすることができる。その結果、車両用駆動装置の製造コストを低減することができる。
また、本構成によれば、遊星歯車機構が、軸方向視で第1カウンタギヤ機構及び第2カウンタギヤ機構の双方と重複するスペースを利用して配置されている。これにより、遊星歯車機構の配置による車両用駆動装置の径方向の寸法の大型化を抑制することができる。
このように、本構成によれば、十分な減速比を確保しつつ、径方向の寸法の大型化を抑制できる車両用駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
図2】実施形態に係る車両用駆動装置のスケルトン図
図3】実施形態に係る車両用駆動装置における遊星歯車機構の周辺の構成を示す断面図
図4】実施形態に係る車両用駆動装置における各要素の軸方向視での位置関係を示す図
図5】実施形態に係る車両用駆動装置における遊星歯車機構の速度線図
図6】別実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、第1回転電機1Aと、第2回転電機1Bと、第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材2Aと、第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材2Bと、動力伝達装置3と、を備えている。本実施形態では、これらはケースCSに収容されている。なお、第1出力部材2A及び第2出力部材2Bの一部は、ケースCSの外部に露出している。
【0011】
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。
【0012】
第1回転電機1A及び第2回転電機1Bは、第1軸X1上に配置されている。具体的には、第1回転電機1Aの回転体と第2回転電機1Bの回転体とのそれぞれが、第1軸X1を中心として回転する。また、第1出力部材2A及び第2出力部材2Bは、第1軸X1とは異なる第2軸X2上に配置されている。具体的には、第1出力部材2Aと第2出力部材2Bとのそれぞれが、第2軸X2を中心として回転する。
【0013】
動力伝達装置3は、第1回転電機1Aの回転体と一体的に回転する第1入力ギヤ4Aと、第2回転電機1Bの回転体と一体的に回転する第2入力ギヤ4Bと、第1軸X1及び第2軸X2とは異なる第3軸X3上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bと、第2軸X2上に配置される遊星歯車機構6と、を備えている。本実施形態では、第1入力ギヤ4A及び第2入力ギヤ4Bは、第1軸X1上に配置されている。
【0014】
第1軸X1、第2軸X2、及び第3軸X3は、互いに異なる仮想軸であり、互いに平行に配置されている。
【0015】
以下の説明では、上記の軸X1~X3に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lにおいて、第2回転電機1Bに対して第1回転電機1Aが配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、上記の軸X1~X3のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
【0016】
第1回転電機1Aは、「第1駆動力源」に相当する。第1回転電機1Aは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。
【0017】
第1回転電機1Aは、第1ステータ11Aと、第1ロータ12Aと、を備えている。第1ステータ11Aは、非回転部材(ここでは、ケースCS)に固定された第1ステータコア111Aを有している。第1ロータ12Aは、第1回転電機1Aの「回転体」に相当する。第1ロータ12Aは、第1ステータ11Aに対して回転可能な第1ロータコア121Aを有している。第1ロータコア121Aには、軸方向Lに沿って延在する第1ロータ軸13Aが一体的に回転するように連結されている。
【0018】
本実施形態では、第1回転電機1Aは、インナロータ型の回転電機である。そのため、第1ステータコア111Aよりも径方向Rの内側に、第1ロータコア121Aが配置されている。そして、第1ロータコア121Aに対して径方向Rの内側に、第1ロータ軸13Aが配置されている。また、本実施形態では、第1回転電機1Aは回転界磁型の回転電機である。そのため、第1ステータコア111Aには、当該第1ステータコア111Aから軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)にそれぞれ突出するコイルエンド部が形成されるように第1ステータコイル112Aが巻装されている。そして、第1ロータコア121Aには、第1永久磁石122Aが設けられている。
【0019】
第2回転電機1Bは、「第2駆動力源」に相当する。第2回転電機1Bは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。
【0020】
第2回転電機1Bは、第2ステータ11Bと、第2ロータ12Bと、を備えている。第2ステータ11Bは、非回転部材(ここでは、ケースCS)に固定された第2ステータコア111Bを有している。第2ロータ12Bは、第2回転電機1Bの「回転体」に相当する。第2ロータ12Bは、第2ステータ11Bに対して回転可能な第2ロータコア121Bを有している。第2ロータコア121Bには、軸方向Lに沿って延在する第2ロータ軸13Bが一体的に回転するように連結されている。
【0021】
本実施形態では、第2回転電機1Bは、インナロータ型の回転電機である。そのため、第2ステータコア111Bよりも径方向Rの内側に第2ロータコア121Bが配置されている。そして、第2ロータコア121Bに対して径方向Rの内側に、第2ロータ軸13Bが配置されている。また、本実施形態では、第2回転電機1Bは回転界磁型の回転電機である。そのため、第2ステータコア111Bには、当該第2ステータコア111Bから軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)にそれぞれ突出するコイルエンド部が形成されるように第2ステータコイル112Bが巻装されている。そして、第2ロータコア121Bには、第2永久磁石122Bが設けられている。
【0022】
第2回転電機1Bは、第1回転電機1Aとは独立して回転可能に設けられる。つまり、第2ロータ12Bは、第1ロータ12Aと一体的に回転するようには連結されておらず、第1ロータ12Aの回転速度と第2ロータ12Bの回転速度との比は、車両用駆動装置100の状態に応じて変化する。本実施形態では、第1回転電機1A及び第2回転電機1Bとして、互いに同じ出力特性を備える2つの回転電機が用いられている。なお、第1回転電機1Aと第2回転電機1Bとで、異なる出力特性を備える回転電機を用いても良い。
【0023】
本実施形態では、第1ロータ軸13Aには、軸方向Lに沿って延在する第1入力軸14Aが一体的に回転するように連結されている。そして、第1入力軸14Aには、第1入力ギヤ4Aが一体的に回転するように連結されている。こうして、第1入力ギヤ4Aが、第1回転電機1Aの第1ロータ12Aと一体的に回転する。つまり、第1入力ギヤ4Aは、第1駆動力源の回転体と一体的に回転する「第1ギヤ」に相当する。図1に示す例では、筒状に形成された第1ロータ軸13Aに対して径方向Rの内側に第1入力軸14Aが配置された状態で、それらがスプライン係合により互いに連結されている。そして、第1入力軸14Aにおける軸方向Lの中央よりも軸方向第2側L2の部分の外周面に、第1入力ギヤ4Aが形成されている。
【0024】
また、本実施形態では、第2ロータ軸13Bには、軸方向Lに沿って延在する第2入力軸14Bが一体的に回転するように連結されている。そして、第2入力軸14Bには、第2入力ギヤ4Bが一体的に回転するように連結されている。こうして、第2入力ギヤ4Bが、第2回転電機1Bの第2ロータ12Bと一体的に回転する。つまり、第2入力ギヤ4Bは、第2駆動力源の回転体と一体的に回転する「第2ギヤ」に相当する。図1に示す例では、筒状に形成された第2ロータ軸13Bに対して径方向Rの内側に第2入力軸14Bが配置された状態で、それらがスプライン係合により互いに連結されている。そして、第2入力軸14Bにおける軸方向Lの中央よりも軸方向第1側L1の部分の外周面に、第2入力ギヤ4Bが形成されている。
【0025】
第1カウンタギヤ機構5Aは、第1カウンタ入力ギヤ51Aと、第1カウンタ出力ギヤ52Aと、を備えている。
【0026】
第1カウンタ入力ギヤ51Aは、第1カウンタギヤ機構5Aの入力要素である。第1カウンタ入力ギヤ51Aは、第1入力ギヤ4Aに噛み合っている。つまり、第1カウンタ入力ギヤ51Aは、第1ギヤ(第1入力ギヤ4A)に噛み合う「第3ギヤ」に相当する。
【0027】
第1カウンタ出力ギヤ52Aは、第1カウンタギヤ機構5Aの出力要素である。第1カウンタ出力ギヤ52Aは、第1カウンタ入力ギヤ51Aと一体的に回転するように連結されている。つまり、第1カウンタ出力ギヤ52Aは、第3ギヤ(第1カウンタ入力ギヤ51A)と一体的に回転する「第4ギヤ」に相当する。本実施形態では、第1カウンタ出力ギヤ52Aは、軸方向Lに延在する第1カウンタ軸53Aを介して、第1カウンタ入力ギヤ51Aと連結されている。また、第1カウンタ出力ギヤ52Aは、「第7ギヤ」として機能する第1遊星入力ギヤ7Aに噛み合っている。
【0028】
第2カウンタギヤ機構5Bは、第2カウンタ入力ギヤ51Bと、第2カウンタ出力ギヤ52Bと、を備えている。
【0029】
第2カウンタ入力ギヤ51Bは、第2カウンタギヤ機構5Bの入力要素である。第2カウンタ入力ギヤ51Bは、第2入力ギヤ4Bに噛み合っている。つまり、第2カウンタ入力ギヤ51Bは、第2ギヤ(第2入力ギヤ4B)に噛み合う「第5ギヤ」に相当する。
【0030】
第2カウンタ出力ギヤ52Bは、第2カウンタギヤ機構5Bの出力要素である。第2カウンタ出力ギヤ52Bは、第2カウンタ入力ギヤ51Bと一体的に回転するように連結されている。つまり、第2カウンタ出力ギヤ52Bは、第5ギヤ(第2カウンタ入力ギヤ51B)と一体的に回転する「第6ギヤ」に相当する。本実施形態では、第2カウンタ出力ギヤ52Bは、軸方向Lに延在する第2カウンタ軸53Bを介して、第2カウンタ入力ギヤ51Bと連結されている。また、第2カウンタ出力ギヤ52Bは、「第8ギヤ」として機能する第2遊星入力ギヤ7Bに噛み合っている。
【0031】
本実施形態では、第1カウンタ入力ギヤ51Aは、第1カウンタ出力ギヤ52Aよりも大径であり、第2カウンタ入力ギヤ51Bは、第2カウンタ出力ギヤ52Bよりも大径である。そして、軸方向Lにおける第1カウンタ出力ギヤ52Aと第2カウンタ出力ギヤ52Bとの間に、第1カウンタ入力ギヤ51Aと第2カウンタ入力ギヤ51Bとが配置されている。
【0032】
第1カウンタギヤ機構5Aは、第1入力ギヤ4Aの回転を変速する。第1カウンタギヤ機構5Aによって変速された第1入力ギヤ4Aの回転は、第1遊星入力ギヤ7Aを介して遊星歯車機構6に入力される。本実施形態では、第1カウンタギヤ機構5Aは、第1入力ギヤ4Aの回転を減速して第1遊星入力ギヤ7Aに伝達する。具体的には、本実施形態では、第1カウンタ入力ギヤ51Aは、第1入力ギヤ4Aよりも大径に形成されており、第1カウンタ出力ギヤ52Aは、第1遊星入力ギヤ7Aよりも小径に形成されている。そのため、第1入力ギヤ4Aの回転は、第1入力ギヤ4Aと第1カウンタ入力ギヤ51Aとの歯数比に応じて減速されると共に、第1カウンタ出力ギヤ52Aと第1遊星入力ギヤ7Aとの歯数比に応じて更に減速されて(つまり、二段階に減速されて)、遊星歯車機構6に入力される。なお、本実施形態では、第1入力ギヤ4A、第1カウンタ入力ギヤ51A、第1カウンタ出力ギヤ52A、及び第1遊星入力ギヤ7Aのそれぞれは、はすば歯車である。
【0033】
第2カウンタギヤ機構5Bは、第2入力ギヤ4Bの回転を変速する。第2カウンタギヤ機構5Bによって変速された第2入力ギヤ4Bの回転は、第2遊星入力ギヤ7Bを介して遊星歯車機構6に入力される。本実施形態では、第2カウンタギヤ機構5Bは、第2入力ギヤ4Bの回転を減速して第2遊星入力ギヤ7Bに伝達する。具体的には、本実施形態では、第2カウンタ入力ギヤ51Bは、第2入力ギヤ4Bよりも大径に形成されており、第2カウンタ出力ギヤ52Bは、第2遊星入力ギヤ7Bよりも小径に形成されている。そのため、第2入力ギヤ4Bの回転は、第2入力ギヤ4Bと第2カウンタ入力ギヤ51Bとの歯数比に応じて減速されると共に、第2カウンタ出力ギヤ52Bと第2遊星入力ギヤ7Bとの歯数比に応じて更に減速されて(つまり、二段階に減速されて)、遊星歯車機構6に入力される。なお、本実施形態では、第2入力ギヤ4B、第2カウンタ入力ギヤ51B、第2カウンタ出力ギヤ52B、及び第2遊星入力ギヤ7Bのそれぞれは、はすば歯車である。
【0034】
図3に示すように、遊星歯車機構6は、リングギヤR6と、第1ピニオンギヤP61、及び当該第1ピニオンギヤP61と一体的に回転すると共にリングギヤR6に噛み合う第2ピニオンギヤP62を回転可能に支持するキャリヤC6と、第1ピニオンギヤP61に噛み合う第1サンギヤS61と、第2ピニオンギヤP62に噛み合う第2サンギヤS62と、を備えている。
【0035】
リングギヤR6は、第1カウンタ出力ギヤ52Aに噛み合う第1遊星入力ギヤ7Aと一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、リングギヤR6は、第1連結部材8Aを介して第1遊星入力ギヤ7Aと連結されている。第1連結部材8Aは、第2軸X2を基準とした径方向Rに沿って延在する円環板状の第1ギヤ形成部81Aと、当該第1ギヤ形成部81Aの径方向Rの内側の端部から軸方向第2側L2に延出する筒状の第1支持部82Aと、を有している。図示の例では、リングギヤR6の軸方向第2側L2の端部に第1ギヤ形成部81Aが接合されている。そして、第1ギヤ形成部81Aの外周面に、第1遊星入力ギヤ7Aが形成されている。こうして、リングギヤR6は、第1遊星入力ギヤ7Aと一体的に回転する。
【0036】
キャリヤC6は、第1出力部材2Aと一体的に回転するように連結されている。図示の例では、キャリヤC6は、第1出力部材2Aが軸方向Lに貫通した状態で、当該第1出力部材2Aとスプライン係合により連結されている。キャリヤC6は、第1ピニオンギヤP61及び第2ピニオンギヤP62を、それらの径方向Rの内側から回転可能に支持するピニオン軸P63を保持している。
【0037】
第1ピニオンギヤP61及び第2ピニオンギヤP62は、同軸に配置されている。第1ピニオンギヤP61及び第2ピニオンギヤP62は、それらの軸心を中心として回転(自転)すると共に、第2軸X2を中心として回転(公転)する。第1ピニオンギヤP61及び第2ピニオンギヤP62は、それらの公転軌跡に沿って複数対設けられている。図4に示す例では、第1ピニオンギヤP61及び第2ピニオンギヤP62は、5つずつ設けられている。本実施形態では、第1ピニオンギヤP61は、第2ピニオンギヤP62よりも小径である。
【0038】
図3に示すように、第1サンギヤS61は、第2出力部材2Bと一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1サンギヤS61は、軸方向Lに沿って延在する第1連結軸9Aを介して、第2出力部材2Bと連結されている。図示の例では、第1サンギヤS61は、第1連結軸9Aの軸方向第1側L1の端部から径方向Rの外側に突出するように形成されている。そして、第1連結軸9Aの軸方向第2側L2の端部が、筒状に形成された第2出力部材2Bの径方向Rの内側に配置された状態で、それらがスプライン係合により互いに連結されている。こうして、第1サンギヤS61は、第2出力部材2Bと一体的に回転する。本実施形態では、第1サンギヤS61は、第2サンギヤS62よりも大径である。
【0039】
第2サンギヤS62は、第2カウンタ出力ギヤ52Bに噛み合う第2遊星入力ギヤ7Bと一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2サンギヤS62は、第2連結軸9B及び第2連結部材8Bを介して、第2遊星入力ギヤ7Bと連結されている。第2連結軸9Bは、軸方向Lに沿って延在する筒状に形成されている。そして、第2連結軸9Bは、第1連結軸9Aよりも径方向Rの外側であって、第1連結部材8Aよりも径方向Rの内側に配置されている。具体的には、第2連結軸9Bは、当該第2連結軸9Bの内周面が第1連結軸9Aの外周面に対向すると共に、第2連結軸9Bの外周面が第1連結部材8Aの第1支持部82Aの内周面に対向するように配置されている。第2連結部材8Bは、第2軸X2を基準とした径方向Rに沿って延在する円環板状の第2ギヤ形成部81Bと、当該第2ギヤ形成部81Bの径方向Rの内側の端部から軸方向Lの両側に延出する筒状の第2支持部82Bと、を有している。図示の例では、第2連結軸9Bが、第2サンギヤS62の径方向Rの内側の端部から軸方向第2側L2に延出するように形成されている。そして、第2連結軸9Bの軸方向第2側L2の端部が、第2支持部82Bの径方向Rの内側に配置された状態で、それらがスプライン係合により互いに連結されている。更に、第2ギヤ形成部81Bの外周面に、第2遊星入力ギヤ7Bが形成されている。こうして、第2サンギヤS62は、第2遊星入力ギヤ7Bと一体的に回転する。
【0040】
本実施形態では、リングギヤR6、第1ピニオンギヤP61、第2ピニオンギヤP62、第1サンギヤS61、及び第2サンギヤS62のそれぞれは、平歯車である。
【0041】
図1に示すように、本実施形態では、遊星歯車機構6は、第1回転電機1A及び第2回転電機1Bのいずれか一方と軸方向Lの配置領域が重なっている。本例では、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域が、第1回転電機1Aの軸方向Lの配置領域と重なっている。一方、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域は、第2回転電機1Bの軸方向Lの配置領域と重なっていない。また、本例では、第1カウンタ出力ギヤ52Aが、第1カウンタ入力ギヤ51Aに対して、軸方向Lにおける第1回転電機1Aの側(軸方向第1側L1)に配置されている。そして、第1ピニオンギヤP61が、第2ピニオンギヤP62に対して、軸方向Lにおける第1回転電機1Aの側(軸方向第1側L1)に配置されている。
【0042】
図4に示すように、本実施形態では、遊星歯車機構6は、軸方向Lに沿う軸方向視で、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bの双方と重複するように配置されている。また、本実施形態では、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bの双方は、軸方向Lに沿う軸方向視で、第1回転電機1A及び第2回転電機1B、並びに、第1遊星入力ギヤ7A及び第2遊星入力ギヤ7Bと重複するように配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0043】
本実施形態では、第1回転電機1Aから第1出力部材2Aまでの動力伝達経路の変速比と、第2回転電機1Bから第2出力部材2Bまでの動力伝達経路の変速比とが同一である。
【0044】
また、本実施形態では、下記の式(1)が成立するように、遊星歯車機構6を構成する各ギヤ(R6,P61,P62,S61,S62)の歯数が設定されている。
1/Zr=1/Zs2-1/Zs1×Zp1/Zp2・・・(1)
ここで、上記式(1)において、ZrはリングギヤR6の歯数であり、Zp1は第1ピニオンギヤP61の歯数であり、Zp2は第2ピニオンギヤP62の歯数であり、Zs1は第1サンギヤS61の歯数であり、Zs2は第2サンギヤS62の歯数である。
【0045】
図5に示すように、上記式(1)において、「1/Zr」は、リングギヤR6とキャリヤC6との間の歯数比を表している。そして、「1/Zs2」は、第2サンギヤS62とキャリヤC6との間の歯数比を表している。更に、「1/Zs1×Zp1/Zp2」は、第1サンギヤS61とキャリヤC6との間の歯数比を表している。したがって、「1/Zs2-1/Zs1×Zp1/Zp2」は、第2サンギヤS62と第1サンギヤS61との間の歯数比を表している。つまり、上記式(1)は、リングギヤR6とキャリヤC6との間の歯数比と、第2サンギヤS62と第1サンギヤS61との間の歯数比とが同一であることを表している。なお、図5は、遊星歯車機構6の速度線図である。この速度線図において、縦軸は、遊星歯車機構6の各回転要素の回転速度に対応している。そして、並列配置された複数本の縦線のそれぞれが、遊星歯車機構6の各回転要素に対応している。
【0046】
また、本実施形態では、第1カウンタギヤ機構5Aの変速比と、第2カウンタギヤ機構5Bの変速比とが同一である。つまり、第1カウンタ入力ギヤ51Aと第2カウンタ入力ギヤ51Bとが同径であり、第1カウンタ出力ギヤ52Aと第2カウンタ出力ギヤ52Bとが同径である。
【0047】
上述したように、第1出力部材2Aは、第1車輪W1と一体的に回転するように連結され、第2出力部材2Bは、第2車輪W2と一体的に回転するように連結される。そして、キャリヤC6は、第1出力部材2Aと一体的に回転するように連結され、第1サンギヤS61は、第2出力部材2Bと一体的に回転するように連結される。よって、車両用駆動装置100が搭載された車両の直進時には、キャリヤC6の回転速度と第1サンギヤS61の回転速度とが等しくなり、遊星歯車機構6が備える4つの回転要素が同速で回転する状態(つまり、遊星歯車機構6が差動動作を行わない状態)となる。一方、車両の旋回時には、図5に一例を示すように、遊星歯車機構6が備える4つの回転要素が互いに異なる回転速度で回転する状態(つまり、遊星歯車機構6が差動動作を行う状態)となる。図5では、第1車輪W1が内側の車輪(旋回中心に近い側の車輪)となる方向に車両が旋回している状態を示している。
【0048】
このように、遊星歯車機構6が差動動作を行う場面は、車両の旋回時に限定される。上述したように、本実施形態では、遊星歯車機構6を構成する各ギヤ(R6,P61,P62,S61,S62)は平歯車であるが、遊星歯車機構6が差動動作を行う場面は、車両の旋回時に限定されるため、遊星歯車機構6が差動動作を行う際に発生し得るギヤノイズの影響を小さく抑えることが可能となっている。また、遊星歯車機構6を構成する各ギヤ(R6,P61,P62,S61,S62)を平歯車とすることで、各ギヤが受ける荷重を主にラジアル荷重として、各ギヤを軸方向Lに支持するための構成を簡略化することも可能となっている。
【0049】
以下では、本実施形態の車両用駆動装置100における各部材のケースCSに対する支持構成について説明する。
【0050】
図1に示すように、ケースCSは、第1周壁部CSa1と、第2周壁部CSa2と、第3周壁部CSa3と、第1側壁部CSb1と、第2側壁部CSb2と、第3側壁部CSb3と、第4側壁部CSb4と、第1隔壁部CSc1と、第2隔壁部CSc2と、支持壁部CSdと、を有している。
【0051】
第1周壁部CSa1は、第1回転電機1Aの径方向Rの外側を囲む筒状に形成されている。第2周壁部CSa2は、第2回転電機1Bの径方向Rの外側を囲む筒状に形成されている。第3周壁部CSa3は、軸方向Lにおける第1周壁部CSa1と第2周壁部CSa2との間に配置されている。第3周壁部CSa3は、動力伝達装置3の外側を囲む筒状に形成されている。
【0052】
第1側壁部CSb1は、第1周壁部CSa1の軸方向第1側L1の開口を閉塞するように形成されている。第2側壁部CSb2は、第2周壁部CSa2の軸方向第2側L2の開口を閉塞するように形成されている。第3側壁部CSb3は、第3周壁部CSa3における、ケースCSの外部に面する軸方向第1側L1の開口を閉塞するように形成されている。第3側壁部CSb3には、第1出力部材2Aが挿通される貫通孔が形成されている。第4側壁部CSb4は、第3周壁部CSa3における、ケースCSの外部に面する軸方向第2側L2の開口を閉塞するように形成されている。第4側壁部CSb4には、第2出力部材2Bが挿通される貫通孔が形成されている。
【0053】
第1隔壁部CSc1は、ケースCSの内部空間における、第1回転電機1Aが収容される部分と、第1入力ギヤ4A、第2入力ギヤ4B、第1カウンタギヤ機構5A、及び第2カウンタギヤ機構5Bが収容される部分とを区画するように配置されている。第2隔壁部CSc2は、ケースCSの内部空間における、第2回転電機1Bが収容される部分と、第1入力ギヤ4A、第2入力ギヤ4B、第1カウンタギヤ機構5A、及び第2カウンタギヤ機構5Bが収容される部分とを区画するように配置されている。
【0054】
支持壁部CSdは、第1入力ギヤ4Aと第2入力ギヤ4Bとの間、第1カウンタギヤ機構5Aと第2カウンタギヤ機構5Bとの間、及び第1遊星入力ギヤ7Aと第2遊星入力ギヤ7Bとの間に配置されている。図示の例では、支持壁部CSdは、第1隔壁部CSc1に対して軸方向第2側L2から、ボルトにより締結されている。
【0055】
本実施形態では、第1ロータ軸13Aが、軸方向Lの異なる位置に配置された一対の第1ロータ軸受B1aにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、軸方向第1側L1の第1ロータ軸受B1aは、第1側壁部CSb1に支持され、第1ロータ軸13Aの軸方向第1側L1の端部を回転可能に支持している。そして、軸方向第2側L2の第1ロータ軸受B1aは、第1隔壁部CSc1を軸方向Lに貫通する貫通孔に配置され、第1ロータ軸13Aの軸方向第2側L2の端部を回転可能に支持している。
【0056】
また、本実施形態では、第2ロータ軸13Bが、軸方向Lの異なる位置に配置された一対の第2ロータ軸受B1bにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、軸方向第2側L2の第2ロータ軸受B1bは、第2側壁部CSb2に支持され、第2ロータ軸13Bの軸方向第2側L2の端部を回転可能に支持している。そして、軸方向第1側L1の第2ロータ軸受B1bは、第2隔壁部CSc2を軸方向Lに貫通する貫通孔に配置され、第2ロータ軸13Bの軸方向第1側L1の端部を回転可能に支持している。
【0057】
本実施形態では、第1入力軸14Aが、第1入力軸受B2aにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、第1入力軸受B2aは、支持壁部CSdに支持され、第1入力軸14Aの軸方向第2側L2の端部を回転可能に支持している。
【0058】
また、本実施形態では、第2入力軸14Bが、第2入力軸受B2bにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、第2入力軸受B2bは、支持壁部CSdに支持され、第2入力軸14Bの軸方向第1側L1の端部を回転可能に支持している。
【0059】
本実施形態では、第1カウンタギヤ機構5Aが、軸方向Lの異なる位置に配置された一対の第1カウンタ軸受B3aにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、軸方向第1側L1の第1カウンタ軸受B3aは、第1隔壁部CSc1に支持され、第1カウンタ軸53Aの軸方向第1側L1の端部を回転可能に支持している。そして、軸方向第2側L2の第1カウンタ軸受B3aは、支持壁部CSdに支持され、第1カウンタ軸53Aの軸方向第2側L2の端部を回転可能に支持している。
【0060】
また、本実施形態では、第2カウンタギヤ機構5Bが、軸方向Lの異なる位置に配置された一対の第2カウンタ軸受B3bにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、軸方向第2側L2の第2カウンタ軸受B3bは、第2隔壁部CSc2に支持され、第2カウンタ軸53Bの軸方向第2側L2の端部を回転可能に支持している。そして、軸方向第1側L1の第2カウンタ軸受B3bは、支持壁部CSdに支持され、第2カウンタ軸53Bの軸方向第1側L1の端部を回転可能に支持している。
【0061】
図3に示すように、本実施形態では、第1連結部材8Aが、軸方向Lの異なる位置に配置された一対の第1連結軸受B4aにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、支持壁部CSdは、第1連結軸9A、第2連結軸9B、第1支持部82A、及び第2支持部82Bが挿通される筒状に形成された筒状部CSeを有している。そして、一対の第1連結軸受B4aは、筒状部CSeの内周面と第1支持部82Aの外周面との間に介装されている。
【0062】
また、本実施形態では、第2連結部材8Bが、軸方向Lの異なる位置に配置された一対の第2連結軸受B4bにより、ケースCSに対して回転可能に支持されている。具体的には、一方の第2連結軸受B4bは、第2ギヤ形成部81Bよりも軸方向第1側L1に配置され、他方の第2連結軸受B4bは、第2ギヤ形成部81Bよりも軸方向第2側L2に配置されている。そして、軸方向第1側L1の第2連結軸受B4bは、筒状部CSeの内周面と、第2支持部82Bにおける第2ギヤ形成部81Bよりも軸方向第1側L1の部分の外周面との間に介装されている。一方、軸方向第2側L2の第2連結軸受B4bは、第4側壁部CSb4に支持され、第2支持部82Bにおける第2ギヤ形成部81Bよりも軸方向第2側L2の部分を回転可能に支持している。
【0063】
以下、図6を参照して、図1を参照して上述した車両用駆動装置100の別の形態について説明する。尚、図6においては、図1に示す車両用駆動装置100と同一の機能を有する構成要素については、図1と同じ参照符号を付している。
【0064】
図1に示す車両用駆動装置100のケースCSは、第1ケースCS1、第2ケースCS2、第3ケースCS3、第4ケースCS4の4つの部材を有して構成されている。第1ケースCSは、第1回転電機1Aを支持する第1隔壁部CSc1が内部に形成された本体ケースである。第2ケースCS2は、第2回転電機1Bを支持する第2隔壁部CSc2が内部に形成された本体ケースである。第1ケースCS1と第2ケースCS2とは、軸方向Lにおいて互いに回転電機を収容していない側同士が接する形態で連結されている。第3ケースCS3は、第1ケースCS1が第1回転電機1Aを収容する側(軸方向第1側L1)において第1ケースCS1に連結されるカバーケースである。また、第4ケースCS4は、第2ケースCS2が第2回転電機1Bを収容する側(軸方向第2側L2)において第2ケースCS2に連結されるカバーケースである。
【0065】
これに対して、図6に示す車両用駆動装置100のケースCSは、本体ケースとして、第1ケースCS1が第2ケースCS2と一体的に形成され、カバーケースとしての第3ケースCS3及び第4ケースCS4を含めて、3つの部材により構成されている。第1回転電機1Aは、第1ケースCS1の軸方向第1側L1に収容され、第2回転電機1Bは、第1ケースCS1の軸方向第2側L2に収容されている。第3ケースCS3は、第1ケースCS1が第1回転電機1Aを収容する側(軸方向第1側L1)において第1ケースCS1に連結されている。また、第4ケースCS4は、第1ケースCS1が第2回転電機1Bを収容する側(軸方向第2側L2)において第1ケースCS1に連結されている。
【0066】
図1に示す車両用駆動装置100のように、2つの部材により本体ケースが構成される場合には、第1ケースCS1と第2ケースCS2とを連結するための連結部が必要となるが、図6に示す別実施形態の車両用駆動装置100では、そのような連結部は不要である。このため、軸方向Lにおける中央部分、つまり、第1回転電機1Aと第2回転電機1Bとが対向する部分の径方向Rにおける長さをより短くすることでき、車両用駆動装置100をより小型化することができる。
【0067】
図6に示すように、別本実施形態においても、図1の車両用駆動装置100と同様に、遊星歯車機構6は、第1回転電機1A及び第2回転電機1Bのいずれか一方と軸方向Lの配置領域が重なっている。別実施形態においても、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域が、第1回転電機1Aの軸方向Lの配置領域と重なり、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域が、第2回転電機1Bの軸方向Lの配置領域と重なっていない。また、別実施形態においても、、第1カウンタ出力ギヤ52Aが、第1カウンタ入力ギヤ51Aに対して、軸方向Lにおける第1回転電機1Aの側(軸方向第1側L1)に配置されている。そして、第1ピニオンギヤP61が、第2ピニオンギヤP62に対して、軸方向Lにおける第1回転電機1Aの側(軸方向第1側L1)に配置されている。
【0068】
また、別実施形態については、軸方向Lに沿う軸方向視での位置関係を示す図の提示は省略するが、図6から明らかなように、別実施形態においても、遊星歯車機構6が、軸方向視で、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bの双方と重複するように配置されている。また、別実施形態においても、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bの双方は、軸方向視で、第1回転電機1A及び第2回転電機1B、並びに、第1遊星入力ギヤ7A及び第2遊星入力ギヤ7Bと重複するように配置されている。
【0069】
また、図6に示すように、別実施形態の車両用駆動装置100では、軸方向Lにおいて、第1カウンタ出力ギヤ52A及び第2カウンタ出力ギヤ52Bを挟んで、遊星歯車機構6とは反対側にオイルポンプ20が配置されている。このように、別実施形態では、車両用駆動装置100を大型化することなく、オイルポンプ20を有した車両用駆動装置が適切に構成されている。
【0070】
ここでは、オイルポンプ20の軸方向Lの配置領域が、第2回転電機1Bの軸方向Lの配置領域と重なっている。上述したように、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域は、第1回転電機1Aの軸方向Lの配置領域と重なっている。それぞれの回転電機の軸方向Lの配置領域に重なるように、遊星歯車機構6及びオイルポンプ20が配置されており、軸方向Lにおいてバランスよく部材が配置された車両用駆動装置100が実現される。
【0071】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第1カウンタ入力ギヤ51Aが第1カウンタ出力ギヤ52Aよりも大径であり、第2カウンタ入力ギヤ51Bが第2カウンタ出力ギヤ52Bよりも大径であり、軸方向Lにおける第1カウンタ出力ギヤ52Aと第2カウンタ出力ギヤ52Bとの間に、第1カウンタ入力ギヤ51Aと第2カウンタ入力ギヤ51Bとが配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1カウンタ入力ギヤ51Aが第1カウンタ出力ギヤ52Aよりも小径であり、第2カウンタ入力ギヤ51Bが第2カウンタ出力ギヤ52Bよりも小径であっても良い。この場合、軸方向Lにおける第1カウンタ入力ギヤ51Aと第2カウンタ入力ギヤ51Bとの間に、第1カウンタ出力ギヤ52Aと第2カウンタ出力ギヤ52Bとが配置されると好適である。
【0072】
(2)上記の実施形態では、遊星歯車機構6は、第1回転電機1A及び第2回転電機1Bのいずれか一方と軸方向Lの配置領域が重なっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域が、第1回転電機1A及び第2回転電機1Bのいずれの軸方向Lの配置領域とも重なっていない構成としても良い。或いは、遊星歯車機構6の軸方向Lの配置領域が、第1回転電機1A及び第2回転電機1Bの双方の軸方向Lの配置領域と重なっている構成としても良い。
【0073】
(3)上記の実施形態では、遊星歯車機構6が、軸方向Lに沿う軸方向視で、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bの双方と重複するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、遊星歯車機構6が、軸方向Lに沿う軸方向視で、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bのいずれか一方のみと重複するように配置されていても良い。或いは、遊星歯車機構6が、軸方向Lに沿う軸方向視で、第1カウンタギヤ機構5A及び第2カウンタギヤ機構5Bのいずれにも重複しないように配置されていても良い。
【0074】
(4)上記の実施形態では、第1回転電機1Aから第1出力部材2Aまでの動力伝達経路の変速比と、第2回転電機1Bから第2出力部材2Bまでの動力伝達経路の変速比とが同一で構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1回転電機1Aから第1出力部材2Aまでの動力伝達経路の変速比と、第2回転電機1Bから第2出力部材2Bまでの動力伝達経路の変速比とが異なる構成としても良い。この場合、車両用駆動装置100が搭載された車両の直進時における、第1ロータ12Aの回転速度と第2ロータ12Bの回転速度とは異なることになる。それに応じて、例えば、第1回転電機1Aと第2回転電機1Bとで異なる出力特性を備える回転電機を用いても良い。
【0075】
(5)上記の実施形態では、リングギヤR6とキャリヤC6との間の歯数比と、第2サンギヤS62と第1サンギヤS61との間の歯数比とが同一であり、第1カウンタギヤ機構5Aの変速比と、第2カウンタギヤ機構5Bの変速比とが同一である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、リングギヤR6とキャリヤC6との間の歯数比と、第2サンギヤS62と第1サンギヤS61との間の歯数比とが異なり、第1カウンタギヤ機構5Aの変速比と、第2カウンタギヤ機構5Bの変速比とが異なる構成としても良い。この構成は、第1回転電機1Aから第1出力部材2Aまでの動力伝達経路の変速比と、第2回転電機1Bから第2出力部材2Bまでの動力伝達経路の変速比とが同一である場合であっても異なる場合であっても適用可能である。
【0076】
(6)上記の実施形態では、1/Zr=1/Zs2-1/Zs1×Zp1/Zp2の式が成立するように、遊星歯車機構6を構成する各ギヤ(R6,P61,P62,S61,S62)の歯数を設定する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、Zp1=Zp2を前提として、Zr:Zs2:Zs1=2:1:2となるように、遊星歯車機構6を構成する各ギヤ(R6,P61,P62,S61,S62)の歯数を設定しても良い。これにより、遊星歯車機構6の出力トルク差(キャリヤC6から出力されるトルクと第1サンギヤS61から出力されるトルクとの差)を、遊星歯車機構6の入力トルク差(リングギヤR6に入力されるトルクと第2サンギヤS62に入力されるトルクとの差)の3倍とすることができる。
【0077】
(7)上記の実施形態では、第1駆動力源及び第2駆動力源の双方が回転電機である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1駆動力源及び第2駆動力源の一方又は双方として、回転電機以外の駆動力源を用いることもできる。回転電機に代えて用いる駆動力源として、例えば、内燃機関を例示することができる。なお、内燃機関とは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。
【0078】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0079】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した車両用駆動装置(100)の概要について説明する。
【0080】
車両用駆動装置(100)は、
第1駆動力源(1A)と、第2駆動力源(1B)と、第1車輪(W1)に駆動連結される第1出力部材(2A)と、第2車輪(W2)に駆動連結される第2出力部材(2B)と、動力伝達装置(3)と、を備えた車両用駆動装置(100)であって、
前記第1駆動力源(1A)及び前記第2駆動力源(1B)は、第1軸(X1)上に配置され、
前記第1出力部材(2A)及び前記第2出力部材(2B)は、前記第1軸(X1)とは異なる第2軸(X2)上に配置され、
前記動力伝達装置(3)は、前記第1駆動力源(1A)の回転体(12A)と一体的に回転する第1ギヤ(4A)と、前記第2駆動力源(1B)の回転体(12B)と一体的に回転する第2ギヤ(4B)と、前記第1軸(X1)及び前記第2軸(X2)とは異なる第3軸(X3)上にそれぞれ配置される第1カウンタギヤ機構(5A)及び第2カウンタギヤ機構(5B)と、前記第2軸(X2)上に配置される遊星歯車機構(6)と、を備え、
前記第1カウンタギヤ機構(5A)は、前記第1ギヤ(4A)に噛み合う第3ギヤ(51A)と、前記第3ギヤ(51A)と一体的に回転する第4ギヤ(52A)と、を備え、
前記第2カウンタギヤ機構(5B)は、前記第2ギヤ(4B)に噛み合う第5ギヤ(51B)と、前記第5ギヤ(51B)と一体的に回転する第6ギヤ(52B)と、を備え、
前記遊星歯車機構(6)は、前記第4ギヤ(52A)及び前記第6ギヤ(52B)の回転を前記第1出力部材(2A)と前記第2出力部材(2B)とに伝達するように構成され、軸方向(L)に沿う軸方向視で、前記第1カウンタギヤ機構(5A)及び前記第2カウンタギヤ機構(5B)の双方と重複するように配置されている。
【0081】
この構成によれば、第1駆動力源(1A)の回転が、第1カウンタギヤ機構(5A)を介して遊星歯車機構(6)に入力される。そして、第2駆動力源(1B)の回転が、第2カウンタギヤ機構(5B)を介して遊星歯車機構(6)に入力される。これにより、遊星歯車機構(6)の回転要素の回転速度が適切な回転速度となるように、遊星歯車機構(6)に入力される回転を変速することが容易となっている。したがって、遊星歯車機構(6)の負荷を小さく抑えることができる。
また、本構成によれば、第1駆動力源(1A)及び第2駆動力源(1B)が、第1軸(X1)上に配置されている。そして、第1出力部材(2A)及び第2出力部材(2B)、並びに遊星歯車機構(6)が、第2軸(X2)上に配置されている。更に、第1カウンタギヤ機構(5A)及び第2カウンタギヤ機構(5B)が、第3軸(X3)上に配置されている。つまり、車両用駆動装置(100)の構成要素が、3つの軸(X1,X2,X3)上に分かれて配置されている。これにより、車両用駆動装置(100)の構成要素が同軸に配置された構成と比較して、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法の大型化を抑制できる。
また、本構成によれば、1つの遊星歯車機構(6)により、第1出力部材(2A)と第2出力部材(2B)とのトルク差を適切に制御することができる。したがって、車両用駆動装置(100)を簡易な構成とすることができる。その結果、車両用駆動装置(100)の製造コストを低減することができる。
また、本構成によれば、遊星歯車機構(6)が、軸方向視で第1カウンタギヤ機構(5A)及び第2カウンタギヤ機構(5B)の双方と重複するスペースを利用して配置されている。これにより、遊星歯車機構(6)の配置による車両用駆動装置(100)の径方向(R)の寸法の大型化を抑制することができる。
このように、本構成によれば、十分な減速比を確保しつつ、径方向の寸法の大型化を抑制できる車両用駆動装置を実現することができる。
【0082】
また、前記遊星歯車機構(6)は、前記第1駆動力源(1A)及び前記第2駆動力源(1B)のいずれか一方と軸方向(L)の配置領域が重なっていると好適である。
【0083】
この構成によれば、遊星歯車機構(6)の軸方向(L)の配置領域が、第1駆動力源(1A)及び第2駆動力源(1B)のいずれの軸方向(L)の配置領域とも重なっていない構成と比較して、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑えることが容易となる。
【0084】
また、前記遊星歯車機構(6)が、前記第1駆動力源(1A)及び前記第2駆動力源(1B)のいずれか一方と前記軸方向(L)の配置領域が重なっている構成において、
前記第4ギヤ(52A)が、前記第3ギヤ(51A)に対して、前記軸方向(L)における前記第1駆動力源(1A)の側に配置され、
前記遊星歯車機構(6)の前記軸方向(L)の配置領域が、前記第1駆動力源(1A)の前記軸方向(L)の配置領域と重なっていると好適である。
【0085】
この構成によれば、遊星歯車機構(6)に噛み合う第4ギヤ(52A)を、第1駆動力源(1A)に対して軸方向(L)に近付けて配置し易い。これにより、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑えることが容易となる。
【0086】
また、前記遊星歯車機構(6)が、リングギヤ(R6)と、第1ピニオンギヤ(P61)、及び前記第1ピニオンギヤ(P61)と一体的に回転すると共に前記リングギヤ(R6)に噛み合う第2ピニオンギヤ(P62)を回転可能に支持するキャリヤ(C6)と、前記第1ピニオンギヤ(P61)に噛み合う第1サンギヤ(S61)と、前記第2ピニオンギヤ(P62)に噛み合う第2サンギヤ(S62)と、を備え、
前記遊星歯車機構(6)が、前記第1駆動力源(1A)及び前記第2駆動力源(1B)のいずれか一方と前記軸方向(L)の配置領域が重なっている構成において、
前記第1ピニオンギヤ(P61)が、前記第2ピニオンギヤ(P62)に対して、前記軸方向(L)における前記第1駆動力源(1A)の側に配置され、
前記遊星歯車機構(6)の前記軸方向(L)の配置領域が、前記第1駆動力源(1A)の前記軸方向(L)の配置領域と重なっていると好適である。
【0087】
この構成によれば、第1ピニオンギヤ(P61)を第1駆動力源(1A)と軸方向(L)の配置領域が重なるように配置させると共に、第2ピニオンギヤ(P62)に噛み合うリングギヤ(R6)を第1駆動力源(1A)と軸方向(L)の配置領域が重ならないように配置させ易い。これにより、遊星歯車機構(6)を第1駆動力源(1A)と軸方向(L)の配置領域が重なるように配置しつつ、遊星歯車機構(6)を第1駆動力源(1A)に対して径方向(R)に近付けて配置することが容易となる。したがって、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑えつつ、車両用駆動装置(100)の径方向(R)の寸法も小さく抑えることが容易となる。
【0088】
また、前記遊星歯車機構(6)は、リングギヤ(R6)と、第1ピニオンギヤ(P61)、及び前記第1ピニオンギヤ(P61)と一体的に回転すると共に前記リングギヤ(R6)に噛み合う第2ピニオンギヤ(P62)を回転可能に支持するキャリヤ(C6)と、前記第1ピニオンギヤ(P61)に噛み合う第1サンギヤ(S61)と、前記第2ピニオンギヤ(P62)に噛み合う第2サンギヤ(S62)と、を備え、前記リングギヤ(R6)は、前記第4ギヤ(52A)に噛み合う第7ギヤ(7A)と一体的に回転するように連結され、前記キャリヤ(C6)は、前記第1出力部材(2A)と一体的に回転するように連結され、前記第1サンギヤ(S61)は、前記第2出力部材(2B)と一体的に回転するように連結され、前記第2サンギヤ(S62)は、前記第6ギヤ(52B)に噛み合う第8ギヤ(7B)と一体的に回転するように連結されていると好適である。
【0089】
この構成によれば、第1出力部材(2A)と第2出力部材(2B)とのトルク差を適切に制御することができる遊星歯車機構(6)を適切に構成することができる。
【0090】
ここで、前記第1カウンタギヤ機構(5A)は、前記第1ギヤ(4A)の回転を減速して前記第7ギヤ(7A)に伝達し、
前記第2カウンタギヤ機構(5B)は、前記第2ギヤ(4B)の回転を減速して前記第8ギヤ(7B)に伝達すると好適である。
【0091】
この構成によれば、第1駆動力源(1A)及び第2駆動力源(1B)のサイズを大きくすることなく、所望のトルクを確保することが容易となる。したがって、車両用駆動装置(100)の大型化を抑制することができる。
【0092】
また、前記第3ギヤ(51A)は前記第4ギヤ(52A)よりも大径であり、
前記第5ギヤ(51B)は前記第6ギヤ(52B)よりも大径であり、
軸方向(L)における前記第4ギヤ(52A)と前記第6ギヤ(52B)との間に、前記第3ギヤ(51A)と前記第5ギヤ(51B)とが配置されていると好適である。
【0093】
この構成によれば、径方向(R)の寸法が比較的大きい第3ギヤ(51A)及び第5ギヤ(51B)が、軸方向(L)における第4ギヤ(52A)と第6ギヤ(52B)との間に配置されている。そのため、第3ギヤ(51A)及び第5ギヤ(51B)が軸方向(L)において第4ギヤ(52A)及び第6ギヤ(52B)を挟むように配置された構成と比較して、遊星歯車機構(6)を第1カウンタギヤ機構(5A)及び第2カウンタギヤ機構(5B)に対して軸方向(L)に近付けて配置し易い。これにより、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑えることが容易となる。
【0094】
また、前記第1駆動力源(1A)から前記第1出力部材(2A)までの動力伝達経路の変速比と、前記第2駆動力源(1B)から前記第2出力部材(2B)までの動力伝達経路の変速比とが同一であると好適である。
【0095】
この構成によれば、第1駆動力源(1A)の出力トルクと第2駆動力源(1B)の出力トルクとを同じにすることで、第1出力部材(2A)と第2出力部材(2B)とのトルク差をゼロにすることができる。したがって、第1出力部材(2A)と第2出力部材(2B)とのトルク差を容易に制御することができる。
【0096】
また、前記遊星歯車機構(6)が、リングギヤ(R6)と、第1ピニオンギヤ(P61)、及び前記第1ピニオンギヤ(P61)と一体的に回転すると共に前記リングギヤ(R6)に噛み合う第2ピニオンギヤ(P62)を回転可能に支持するキャリヤ(C6)と、前記第1ピニオンギヤ(P61)に噛み合う第1サンギヤ(S61)と、前記第2ピニオンギヤ(P62)に噛み合う第2サンギヤ(S62)と、を備え、
前記第1駆動力源(1A)から前記第1出力部材(2A)までの動力伝達経路の変速比と、前記第2駆動力源(1B)から前記第2出力部材(2B)までの動力伝達経路の変速比とが同一である構成において、
前記リングギヤ(R6)と前記キャリヤ(C6)との間の歯数比と、前記第2サンギヤ(S62)と前記第1サンギヤ(S61)との間の歯数比とが異なり、
前記第1カウンタギヤ機構(5A)の変速比と、前記第2カウンタギヤ機構(5B)の変速比とが異なっていても良い。
【0097】
この構成によれば、第1駆動力源(1A)から第1出力部材(2A)までの動力伝達経路と、第2駆動力源(1B)から第2出力部材(2B)までの動力伝達経路との全体において変速比が同一であれば、それらの動力伝達経路の各部において変速比を同一にする必要はない。したがって、第1カウンタギヤ機構(5A)及び第2カウンタギヤ機構(5B)、並びに遊星歯車機構(6)の変速比の設定自由度を高めることができる。
【0098】
また、前記遊星歯車機構(6)が、リングギヤ(R6)と、第1ピニオンギヤ(P61)、及び前記第1ピニオンギヤ(P61)と一体的に回転すると共に前記リングギヤ(R6)に噛み合う第2ピニオンギヤ(P62)を回転可能に支持するキャリヤ(C6)と、前記第1ピニオンギヤ(P61)に噛み合う第1サンギヤ(S61)と、前記第2ピニオンギヤ(P62)に噛み合う第2サンギヤ(S62)と、を備える構成において、
前記リングギヤ(R6)の歯数をZrとし、
前記第1ピニオンギヤ(P61)の歯数をZp1とし、
前記第2ピニオンギヤ(P62)の歯数をZp2とし、
前記第1サンギヤ(S61)の歯数をZs1とし、
前記第2サンギヤ(S62)の歯数をZs2として、
1/Zr=1/Zs2-1/Zs1×Zp1/Zp2
であると好適である。
【0099】
この構成によれば、リングギヤ(R6)とキャリヤ(C6)との間の歯数比と、第2サンギヤ(S62)と第1サンギヤ(S61)との間の歯数比とが同一となる。これにより、第1出力部材(2A)と第2出力部材(2B)とのトルク差を制御することが容易となる。
【0100】
また、前記軸方向(L)において、前記第4ギヤ(52A)及び前記第6ギヤ(52B)を挟んで、前記遊星歯車機構(6)とは反対側にオイルポンプ(20)が配置されていると好適である。
【0101】
本構成によれば、車両用駆動装置(100)を大型化することなく、オイルポンプ(20)を有した車両用駆動装置(100)を適切に構成することができる。
【符号の説明】
【0102】
100:車両用駆動装置、1A:第1回転電機(第1駆動力源)、1B:第2回転電機(第2駆動力源)、2A:第1出力部材、2B:第2出力部材、3:動力伝達装置、4A:第1入力ギヤ(第1ギヤ)、4B:第2入力ギヤ(第2ギヤ)、5A:第1カウンタギヤ機構、51A:第1カウンタ入力ギヤ(第3ギヤ)、52A:第1カウンタ出力ギヤ(第4ギヤ)、5B:第2カウンタギヤ機構、51B:第2カウンタ入力ギヤ(第5ギヤ)、52B:第2カウンタ出力ギヤ(第6ギヤ)、6:遊星歯車機構、7A:第1遊星入力ギヤ(第7ギヤ)、7B:第2遊星入力ギヤ(第8ギヤ)、20:オイルポンプ、X1:第1軸、X2:第2軸、X3:第3軸、W1:第1車輪、W2:第2車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6