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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】エダラボン医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4152 20060101AFI20240215BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240215BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240215BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61K31/4152
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/04
A61P9/10
A61P21/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022096266
(22)【出願日】2022-06-15
(62)【分割の表示】P 2020560232の分割
【原出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2022123032
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】201810392676.8
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810797624.9
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520411803
【氏名又は名称】首都医科大学附属北京天壇医院
(73)【特許権者】
【識別番号】520411814
【氏名又は名称】南京百▲シン▼愉医薬有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 伊龍
(72)【発明者】
【氏名】王 擁軍
(72)【発明者】
【氏名】趙 性泉
(72)【発明者】
【氏名】張 安元
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/040989(WO,A1)
【文献】特表2009-539808(JP,A)
【文献】特開2002-020290(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4152
A61K 9/20
A61K 47/26
A61K 47/38
A61K 47/32
A61K 47/12
A61K 47/04
A61P 9/10
A61P 21/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
唯一の有効成分としてのエダラボン又はその塩、充填剤、結合剤及び崩壊剤を含む舌下用医薬組成物であって
記充填剤がラクトースを含まずマンニトールを含み、
前記結合剤がコポリビドンを含まずヒプロメロースを含み、
前記充填剤と前記結合剤と前記崩壊剤との質量比が10~70:0.5~15:0.5~20である、
舌下用医薬組成物。
【請求項2】
舌下錠剤である、請求項1に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項3】
前記充填剤は、マンニトールである、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項4】
前記充填剤が医薬組成物に占める質量比は、25%~90%である、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項5】
前記充填剤が医薬組成物に占める質量比は、30%~80%である、請求項4に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項6】
前記充填剤が医薬組成物に占める質量比は、35%~75%である、請求項5に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項7】
前記充填剤が医薬組成物に占める質量比は、40%~70%である、請求項6に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項8】
前記結合剤は、ヒプロメロースである、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項9】
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム及びクロスポビドンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤は、クロスポビドンを含む、請求項に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項11】
前記崩壊剤は、クロスポビドンである、請求項10に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項12】
さらに、滑沢剤を含む、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項13】
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む、請求項12に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項14】
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである、請求項13に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項15】
さらに、流動化剤を含む、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項16】
前記流動化剤は、二酸化ケイ素を含む、請求項15に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項17】
前記流動化剤は、二酸化ケイ素である、請求項16に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項18】
単位用量として患者への舌下投与後0.1~24時間以内に、エダラボンの血中濃度は、10~10,000ng/mLになる、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項19】
脳血管疾患又は筋萎縮性側索硬化症を治療及び/又は予防するために用いられる、請求項1又は2に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項20】
前記脳血管疾患は、虚血性脳血管疾患である、請求項19に記載の舌下用医薬組成物。
【請求項21】
前記虚血性脳血管疾患は、脳卒中である、請求項20に記載の舌下用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、2018年4月27日に中国特許庁へ提出された、出願番号が201810392676.8、発明の名称が「エダラボン医薬組成物」である中国特許出願、及び2018年7月19日に中国特許庁へ提出された、出願番号が201810797624.9、発明の名称が「エダラボン医薬組成物」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医薬技術の分野に属し、エダラボンの舌下投与用医薬組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
エダラボン(化学名:3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン)は、市販されている脳保護剤(Yakugaku Zasshi. 2004、 124(3): 99-111)である。研究により、エダラボンは抗酸化作用があり、脳虚血再灌流動物の神経学的欠損症状を大幅に改善し、梗塞サイズを縮小し、脳損傷の程度を低減し、脳浮腫を低減し、損傷した脳組織の脂質過酸化を抑制することが示されている。
【化1】
脳血管疾患、特に虚血性脳血管疾患は、急性疾患に属し、病状が迅速に解除される必要があるため、注射投与が応急処置の好ましい方法である。しかしながら、筋肉内注射や静脈内注射は、注射部位に痛みや刺激を引き起こす可能性があり、専門の医療担当者が操作する必要があり、注射用品なども必要であり、医療応用において特に制限され、病院外で発症した患者に適することは困難である。
【0004】
舌下製剤は、舌下粘膜に直接吸収される。舌下粘膜は、表面積が大きく、浸透力が強く、且つ粘膜下には、多数の毛細血管が内頸静脈に集まり、上大静脈から血液循環に直接入り、薬物は、投与後に迅速に吸収され、効果が早く発現し、定量が正確で、使用しやすく、経口投与薬の初回通過効果を回避できる。注射剤と比較しては、予期しない脳血管疾患である場合には、舌下製剤、特に、舌下錠は、投与の利便性及び患者のコンプライアンスを大幅に向上させることができる。
しかしながら、エダラボンを含む舌下用医薬組成物は、調製が容易ではない。発明者は、試験を重ねた結果、多くの一般的に使用される医薬品添加物が適格な舌下投与用製剤の調製に適しなく、或いは、調製された舌下錠の性能(安定性、放出速度など)が満足させるものではないことを見出した。
そこで、満足させる安定性及び/又は放出速度を持つ、エダラボンを含む舌下用医薬組成物が依然として切実に望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、満足させる安定性及び/又は放出速度を持つ、エダラボン又はその塩を有効成分として含む舌下用医薬組成物を提供することを目的とする。
発明者は、幾つかの一般的な充填剤、例えば、ラクトースがエダラボン舌下投与用製剤の処方に適用しないことを予期せず発見した。実験では、ラクトースを充填剤として調製されたエダラボン製剤は、安定性試験でうまくできなく、変色するという問題をもたらす。
【0006】
発明者は、更なる実験により、エダラボンの医薬組成物において、変色を引き起こしやすい充填剤を除外し、例えば、マンニトールを充填剤として使用することにより、上記の問題を効果適に解決でき、満足させる安定性及び/又は放出速度を持つエダラボン医薬組成物を取得することを予期せず知見した。以上の知見に基づいて、本発明は、エダラボン又はその塩を含む医薬組成物を提供する。
薬物動態試験のデータの結果は、本発明のエダラボン医薬組成物の舌下投与はエダラボン注射液の点滴静脈内注射よりも薬物動態パラメータであるTmax、Cmax、AUCがほぼ一致することを示し、本発明のエダラボン医薬組成物は、臨床的に応用されるためにエダラボン注射液に完全に取って代わるとともに、舌下投与で患者のコンプライアンス及び投与の利便性を向上させ、救急時間及び医療コストを大幅に削減することを十分に証明している。
【0007】
一つの側面では、本発明は、有効成分としてのエダラボン又はその塩、充填剤、結合剤及び崩壊剤を含む医薬組成物を提供する。
一実施形態において、前記医薬組成物は、舌下製剤、例えば、錠剤、フィルム、シート、ガム、ドロップ剤、散剤又はゲル剤などの態様を採用でき、特に、舌下錠であってもよい。
他の実施形態において、前記医薬組成物は、2-ボルネオールを含まなく、好ましくは、エダラボン又はその塩の以外の有効成分を含まない。
一実施形態において、前記充填剤は、ラクトース、澱粉又は微結晶セルロースではなく、好ましくは、マンニトールが含まれ、より好ましくは、マンニトールである。
一実施形態において、本発明に記載の医薬組成物は、エダラボン又はその塩と充填剤との質量比が1:10~2:1、好ましくは1:5~2:1であり、中でも、エダラボン塩として有効成分を使用する場合には、その質量はエダラボンとして計算される(以下同じ。)。
【0008】
一実施形態において、充填剤は、医薬組成物に占める質量比が25%~90%、30%~80%、35%~75%、40%~70%、40%~50%又は50%~60%である。
一実施形態において、前記結合剤は、コポリビドンではなく、好ましくは、ヒプロメロースを含み、より好ましくは、ヒプロメロースである。
他の実施形態において、前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム及びクロスポビドンから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくは、クロスポビドンを含み、より好ましくは、前記崩壊剤は、クロスポビドンである。
他の実施形態において、前記医薬組成物は、さらに、滑沢剤を含み、例えば、前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含み、好ましくは、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
他の実施形態において、前記医薬組成物は、さらに、流動化剤を含み、例えば、前記流動化剤は、二酸化ケイ素を含み、好ましくは、流動化剤は、二酸化ケイ素である。
【0009】
他の実施形態において、本発明に記載の医薬組成物は、充填剤と結合剤と崩壊剤との質量比が、(10~70):(0.5~15):(0.5~20)又は(15~50):(1~8):(1~10)である。
他の実施形態において、前記医薬組成物は、単位用量で存在し、ここで、単位用量とする前記医薬組成物は、エダラボン又はその塩を5mg~100mg、又は10mg~80
mg、或いは15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、又は上記のいずれか2つの間の値含んでもよく、エダラボン塩として有効成分を使用する場合には、その用量はエダラボンとして計算される(以下同じ。)。
一実施形態において、舌下製剤は、単位用量として患者への舌下投与後0.1~24時間以内に、エダラボンの血中濃度が10~10,000ng/mLになる。
【0010】
他の実施形態において、有効成分、充填剤、結合剤及び崩壊剤に加えて、前記医薬組成物は、さらに、他の薬学的に許容される担体、例えば、滑沢剤、流動化剤、及び/又は矯味剤を含んでもよい。特に、上記に挙げられた具体的な成分に加えて、その添加が本発明の医薬組成物の安定性及び/又は放出速度に有意な影響を及ぼさないと、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤及び/又は滑沢剤などとして機能し得る他の成分を含んでもよい。当業者は、実際のニーズに従って選択することができる。例えば、適切な結合剤又は賦形剤は、シクロデキストリン、エチルセルロース、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、グアーガム、トラガカント、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリケイ酸およびその塩、ポリ乳酸、ポリマレイン酸、ポリビニルアルコール 、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、非イオン性ブロックコポリマー、カルボマー、ポリカルボフィル、ポリソルベート、水溶性デンプンなど、又はそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。適切な滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、微粉シリカゲル、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせから選択されることができる。適切な崩壊剤は、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース又はそれらの組み合わせから選択されることができる。適切な矯味剤は、クエン酸、アセスルファムK、アスパルテーム、スクラロース、又はそれらの組み合わせから選択されることができる。
【0011】
他の側面では、本発明は、前記医薬組成物を使用して脳血管疾患及び/又は筋萎縮性側索硬化症を治療及び/又は予防する方法、脳血管疾患及び/又は筋萎縮性側索硬化症を治療及び/又は予防するための前記医薬組成物、並びに脳血管疾患及び/又は筋萎縮性側索硬化症を治療又は予防するための薬物の調製における前記医薬組成物の用途を提供する。幾つかの実施形態において、前記脳血管疾患は、虚血性脳血管疾患、例えば、脳卒中である。
他の側面では、本発明の医薬組成物は、有効成分であるエダラボン又はその塩を適当な薬学的に許容される担体と混合することにより調製することができる。特に、舌下製剤は、エダラボン又はその塩を適切な薬学的に許容される担体と混合し、打錠する調製方法を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1~5で調製される舌下錠の溶出曲線である。
図2図2は、実施例6~10で調製される舌下錠の溶出曲線である。
図3図3は、実施例11~14で調製される舌下錠の溶出曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、エダラボンの医薬組成物、特に、舌下投与用製剤を開示しており、当業者は、本発明の内容を参照しながら、薬剤学の原理を組み合わせ、適切にプロセスパラメータまたは処方における配合比を改善して達成することができる。なお、全ての類似する代替と変更は、当業者にとって明らかであり、それらはいずれも本発明の範囲に含まれるとみなされる。本発明の適用は、好ましい実施例によって述べており、当業者にとっては、本開示の範囲、趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された方法および適
用への改変、変更又は組み合わせにより本発明技術を実現して応用することができることは明らかである。
【実施例
【0014】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
本開示の実施例で使用される試薬及び機器は、いずれも市販として得られることができ、原薬及び様々な医薬品添加物/添加剤は、いずれも医薬品用基準を満たし、例えば、エダラボン(江蘇天晟薬業股分有限公司)、ラクトース(FLOWLAC 100)、微結晶セルロース(CEOLUS PH302)、マンニトール(Pearlitol 200SD)、コポリビドン(PLASDONE S-630)、ヒプロメロース(SH-E5)、クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol)、クロスポビドン(POLYPLASDONE XL-10)、澱粉(タピオカ澱粉)、二酸化ケイ素(湖州展望薬業股分有限公司)、ステアリン酸マグネシウム(安徽山河薬用補料股分有限公司)が挙げられた。
【0015】
実施例1
【表1】
調製方法:エダラボン、ラクトース、ヒプロメロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0016】
実施例2
【表2】
調製方法:エダラボン、澱粉、ヒプロメロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0017】
実施例3
【表3】
調製方法:エダラボン、微結晶セルロース、ヒプロメロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0018】
実施例4
【表4】
調製方法:エダラボン、マンニトール、ヒプロメロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0019】
実施例5
【表5】
調製方法:エダラボン、ラクトース、コポリビドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0020】
実施例6
【表6】
調製方法:エダラボン、微結晶セルロース、コポリビドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0021】
実施例7
【表7】
調製方法:エダラボン、マンニトール、コポリビドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0022】
実施例8
【表8】
調製方法:エダラボン、ラクトース、ヒプロメロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0023】
実施例9
【表9】
調製方法:エダラボン、微結晶セルロース、ヒプロメロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0024】
実施例10
【表10】
調製方法:エダラボン、マンニトール、ヒプロメロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0025】
実施例11
【表11】
調製方法:エダラボン、マンニトール、ヒプロメロース、クロスポビドン、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0026】
実施例12
【表12】
調製方法:エダラボン、マンニトール、ヒプロメロース、クロスポビドン、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0027】
実施例13
【表13】
調製方法:エダラボン、マンニトール、ヒプロメロース、クロスポビドン、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0028】
実施例14
【表14】
調製方法:エダラボン、マンニトール、ヒプロメロース、クロスポビドン、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムを配合比率で均一に混合し、打錠した。
【0029】
実施例15
安定性の試験結果は、実施例1~14のサンプルを適量取り出し、市販の包装を模倣し
、温度40℃及び60℃の条件下で10日間、30日間置いてサンプリングし、その性状、エダラボン含有量、関連物質を測定した結果を下表に示す。
【表15】
【0030】
以上の表に示すように、実施例1~14の試験結果より、高温で30日間置いた後、全ての実施例1~14の有効成分であるエダラボン的含有量は、いずれも97%以上に維持し、満足させることができるものであり、幾つかの実施例(実施例5及び6)以外は、ほとんどの実施例の有効成分であるエダラボンの含有量は、98%以上に維持した。しかしながら、本発明者らは、実施例1~3、5~6及び8~9において、ラクトース、澱粉又は微結晶セルロースを充填剤として選択する場合には、高温で置かれると錠剤の外観がいずれも変色することを予期せず発見した。逆に、実施例4、7及び10~14において、マンニトールを充填剤として使用する場合には、錠剤は、高温保存中に有効成分の含有量を高く維持し、非常に少量の関連物質を生成し、しかも、性状が変わらず、いずれも白色~類白色の錠剤として保持し、優れた安定性を示した。
【0031】
実施例16
溶出率測定試験方法は、「中華人民共和国薬局方」2015年版(第四部0931、第二法)に記載の溶出率・放出率測定法に従って、900mlの水を溶出媒体とし、回転速度50rpmで操作し、異なる時点でそれぞれサンプリングし、0.8μmのろ過膜によってろ過し、濾液を試料溶液とし、対照品とするエダラボンを適量取り出し、20mmol/L酢酸アンモニウム/アセトニトリル(80:20)を加えて溶解させ、約0.02
mg/mlに希釈し、用意した。254nmの条件下、試液の紫外線吸光度を測定し、サンプルの溶出率を算出し、その結果は図1、2、3に示し、結合剤であるコポリビドンを含有する実施例5、6、7の溶出速度は比較的遅く、他の実施例の配合比での溶出結果は良い。
【0032】
実施例17
エダラボン舌下錠と注射液とのブリッジング/薬物動態(PK)試験
材料及び方法
実験動物:ビーグル犬、雄性、体重8~10kg、北京瑪斯生物技術有限公司、合格証書番号:11400600012054、ライセンス番号:SCXK (京)2016-0001。
食物及び給水は、実験前12h絶食させたが、投与後4hから食物を提供し、実験過程全体で絶水を行わなかった。投与及びサンプリング過程で動物の異常反応を観察して記録した。
供試医薬品は、エダラボン注射液:規格10mg/5mL(南京先声東元製薬有限公司)、実施例5の配合比率で調製された舌下錠剤(規格:30mg/錠、総重量:80mg)、実施例7の配合比率で調製される舌下錠剤(規格:30mg/錠、総重量:80mg)、実施例13の配合比率で調製される舌下錠剤(規格:30mg/錠、総重量:70mg)、実施例14の配合比率で調製される舌下錠剤(規格:30mg/錠、総重量:250mg)である。
【0033】
方法:実験の当日に犬の体重を秤量し、点滴および舌下投与、薬物動態パラメータの計算のために、各犬の体重を記録した。
群1:エダラボン注射液を点滴投与した(N=2)。
投与用量:12mL、合計24mgエダラボンを投与した。
犬に点滴静脈注射し、12分間の点滴が終了した。点滴開始時点を0minとして、その後、それぞれ5min、12min、30min、45min、及び1h、1.5h、2h、3h、4h、6h、8h、10h、24hの時点の全血を採取した。
【0034】
群2:実施例5の舌下錠1錠を舌下投与した(N=3)。
犬に舌下投与し、錠剤を1錠/犬でビーグル犬の舌下に入れ、錠剤が落ちないように犬の口部を12min程度固定した。不随意の唾液分泌及び嚥下が舌下投与の効果に影響を与えるため、犬の口部を固定して12min保持する必要がある。錠剤を舌下に入れる時点を0minとして、その後、それぞれ5min、12min、30min、45min、1h、1.5h、2h、3h、4h、6h、8h、10h、24hの時点の全血を採取した。
【0035】
群3:実施例7の舌下錠1錠を舌下投与した(N=3)。
犬に舌下投与し、錠剤を1錠/犬でビーグル犬の舌下に入れ、固定犬嘴12min左右防止錠剤掉出。不随意の唾液分泌及び嚥下が舌下投与の効果に影響を与えるため、犬の口部を固定して12min保持する必要がある。錠剤を舌下に入れる時点を0minとして、その後、それぞれ5min、12min、30min、45min、1h、1.5h、2h、3h、4h、6h、8h、10h、24hの時点の全血を採取した。
【0036】
群4:実施例13の舌下錠1錠を舌下投与した(N=3)。
犬に舌下投与し、錠剤を1錠/犬でビーグル犬の舌下に入れ、錠剤が落ちないように犬の口部を12min程度固定した。不随意の唾液分泌及び嚥下が舌下投与の効果に影響を与えるため、犬の口部を固定して12min保持する必要がある。錠剤を舌下に入れる時点を0minとして、その後、それぞれ5min、12min、30min、45min、1h、1.5h、2h、3h、4h、6h、8h、10h、24hの時点の全血を採取した。
【0037】
群5:実施例14の舌下錠1錠を舌下投与した(N=3)。
犬に舌下投与し、錠剤を1錠/犬でビーグル犬の舌下に入れ、錠剤が落ちないように犬の口部を12min程度固定した。不随意の唾液分泌及び嚥下が舌下投与の効果に影響を与えるため、犬の口部を固定して12min保持する必要がある。錠剤を舌下に入れる時点を0minとして、その後、それぞれ5min、12min、30min、45min、1h、1.5h、2h、3h、4h、6h、8h、10h、24hの時点の全血を採取した。
【0038】
実験結果は、ビーグル犬へのエダラボン注射液の点滴静脈注射及びエダラボン舌下錠の舌下投与後の血漿中のエダラボンの各薬物動態パラメータの平均値を示した。
【表16】
【0039】
ビーグル犬への舌下錠と注射液とのブリッジング/薬物動態(PK)試験結果は、エダラボン舌下製剤である実施例13、実施例14では、エダラボンはほぼ完全に吸収され、舌下投与の条件を満たす。エダラボン舌下錠は、優れた薬物動態特性、高いバイオアベイラビリティ、および舌下錠の便利性などの利点を有することを示した。
図1
図2
図3