(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】評価システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 13/003 20190101AFI20240215BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20240215BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G01M13/003
F16K37/00 F
F16K51/00 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022107999
(22)【出願日】2022-07-04
【審査請求日】2023-04-18
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラングネス,チェナニア
(72)【発明者】
【氏名】ランダー,ベネディクト ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】コシエンスキー,ステファン
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-153881(JP,A)
【文献】特開2010-039715(JP,A)
【文献】特開2019-143645(JP,A)
【文献】特開2006-009855(JP,A)
【文献】米国特許第05433245(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00 - 13/045
G01M 99/00
F16K 5/00 - 5/22
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
チャンバへの流体の導入及び導出に基づくラックの移動に応じて、閉位置と開位置との間で移動するように構成されているプレートを備える電気制御弁の位置を変更するための前記電気制御弁への入力である入力電流を測定することと、
前記電気制御弁へと入力される前記入力電流
及び変更される前記電気制御弁の位置に応答し
て前記電気制御弁か
ら出力
される出力電流を測定することと、
前記電気制御弁と結合されたセンサを使用して位置信号を生成することであって、前記位置信号が、前記電気制御弁の前記位置を示す、生成することと、
前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置信号とに関連付けられたベースライン値
であって、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた、前記入力電流の測定値と、前記出力電流の測定値と、前記位置信号の測定値とに基づいたベースライン値を計算することと、
前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置信号とに関連付けられた前記ベースライン値を、前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置信号と
を含むその後の測定値と比較することによって、前記電気制御弁の健全状態を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記健全状態に基づいて、前記電気制御弁を修理または交換すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定される前記入力電流が、前記電気制御弁の
前記チャンバ内に
前記流体をポンプで送って、前記電気制御弁の前記位置を変更するポンプデバイスに印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
測定される前記出力電流が、前記電気制御弁の
前記チャンバ内に
前記流体をポンプで送って、前記電気制御弁の前記位置を変更するポンプデバイス
を制御するように構成されている前記電気制御弁から出力される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記位置信号が、位置電圧として生成され、前記位置電圧が、前記電気制御弁内のソレノイドの線形変位に基づいて、前記位置電圧の値を変更する変位センサによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記位置信号が、位置電圧を含み、計算される前記ベースライン値が、
繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の合計を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記位置信号が、位置電圧を含み、かつ計算される前記ベースライン値が、
繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の差を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
計算される前記ベースライン値が、前記入力電流と前記出力電流との間の差を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記位置信号が、位置電圧を含み、かつ計算される前記ベースライン値が、
前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記入力電流と前記出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電気制御弁の前記健全状態を決定することが、
前記前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の前記合計の第4の平均および第4の標準偏差と、前記前の移動時間窓の前記サブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の前記第1の差の第5の平均および第5の標準偏差と、前記前の移動時間窓の前記サブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記入力電流と、前記出力電流との間の前記第2の差の第6の平均および第6の標準偏差とを計算することと、
前記第4の平均および前記第4の標準偏差を、前記第1の平均および前記第1の標準偏差と、前記第5の平均および前記第5の標準偏差を、前記第2の平均および前記第2の標準偏差と、ならびに前記第6の平均および前記第6の標準偏差を、前記第3の平均および前記第3の標準偏差と比較することと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電気制御弁の前記健全状態を決定することが、
前記第4の平均および前記第4の標準偏差を、前記第1の平均および前記第1の標準偏差と、前記第5の平均および前記第5の標準偏差を、前記第2の平均および前記第2の標準偏差と、ならびに前記第6の平均および前記第6の標準偏差を、前記第3の平均および前記第3の標準偏差と比較することを示す比較値のセットを決定することと、
前記比較値の前記セットを、前記電気制御弁の前記健全状態の異なる値とともにマッピングして、前記
電気制御弁の前記健全状態を決定することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
チャンバへの流体の導入及び導出に基づくラックの移動に応じて、閉位置と開位置との間で移動するように構成されているプレートを備える電気制御弁
であって、自身の位置を変更するための入力電流を受信するように構成された、電気制御弁と、
前記電気制御弁に入力される前記入力電流を測定し、かつ前記電気制御弁に入力される前記入力電流
及び変更される前記電気制御弁の位置に応答し
て前記電気制御弁から出力される出力電流を測定するように構成されている1つ以上のセンサであって、前記1つ以上のセンサが、前記電気制御弁の前記位置を示す位置信号を生成するように構成されている、1つ以上のセンサと、
前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置信号とに関連付けられたベースライン値
であって、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた、前記入力電流の測定値と、前記出力電流の測定値と、前記位置信号の測定値とに基づいたベースライン値を計算するように構成されている1つ以上のプロセッサと、を備え、
前記1つ以上のプロセッサが、前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置信号とに関連付けられた前記ベースライン値を、前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置信号と
を含むその後の測定値と比較することによって、前記電気制御弁の健全状態を決定するように構成されている、システム。
【請求項13】
測定される前記入力電流が、前記電気制御弁の
前記チャンバ内に
前記流体をポンプで送って、前記電気制御弁の前記位置を変更するポンプデバイスに印加される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
測定される前記出力電流が、前記電気制御弁の
前記チャンバ内に
前記流体をポンプで送って、前記電気制御弁の前記位置を変更するポンプデバイス
を制御するように構成されている前記電気制御弁から出力される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記位置信号が、位置電圧として生成され、前記位置電圧が、前記電気制御弁内のソレノイドの線形変位に基づいて、前記位置電圧の値を変更する変位センサによって測定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記位置信号が、位置電圧を含み、かつ計算される前記ベースライン値が、
繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の合計と、
繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の差とを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
計算される前記ベースライン値が、前記入力電流と出口電流との間の差を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記位置信号が、位置電圧を含み、かつ計算される前記ベースライン値が、
前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記入力電流と前記出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のプロセッサが、前記前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の前記合計の第4の平均および第4の標準偏差と、前記前の移動時間窓の前記サブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の前記第1の差の第5の平均および第5の標準偏差と、前記前の移動時間窓の前記サブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記入力電流と前記出力電流との間の前記第2の差の第6の平均および第6の標準偏差とを計算するように構成され、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第4の平均および前記第4の標準偏差を、前記第1の平均および前記第1の標準偏差と比較し、前記第5の平均および前記第5の標準偏差を、前記第2の平均および前記第2の標準偏差と比較し、かつ前記第6の平均および前記第6の標準偏差を、前記第3の平均および前記第3の標準偏差と比較して、前記電気制御弁の前記健全状態を決定するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
方法であって、
チャンバへの流体の導入及び導出に基づくラックの移動に応じて、閉位置と開位置との間で移動するように構成されているプレートを備える電気制御弁の位置を変更するための前記電気制御弁への入力である入力電流を測定することと、
前記電気制御弁へと入力される前記入力電流
及び変更される前記電気制御弁の位置に応答し
て前記電気制御弁か
ら出力
される出力電流を測定することと、
前記電気制御弁と結合されたセンサを使用して位置電圧を生成することであって、前記位置電圧が、前記電気制御弁の前記位置を示す、生成することと、
前記入力電流、前記出力電流、および前記位置電圧の前の測定値に基づいて、前記入力電流と、前記出力電流と、前記位置電圧とに関連付けられたベースライン値を計算することであって、計算される前記ベースライン値が、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前記前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた前記入力電流と、前記出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含む、計算することと、
前記前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧の前記合計の第4の平均および第4の標準偏差と、前記前の移動時間窓の前記サブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記位置電圧間の前記第1の差の第5の平均および第5の標準偏差と、前記前の移動時間窓の前記サブセットの間に繰り返しサンプリングされた前記入力電流と前記出力電流との間の前記第2の差の第6の平均および第6の標準偏差とを計算することと、
前記第4の平均および前記第4の標準偏差を、前記第1の平均および前記第1の標準偏差と、前記第5の平均および前記第5の標準偏差を、前記第2の平均および前記第2の標準偏差と、ならびに前記第6の平均および前記第6の標準偏差を、前記第3の平均および前記第3の標準偏差と比較することと、
前記第4の平均および前記第4の標準偏差を、前記第1の平均および前記第1の標準偏差と、前記第5の平均および前記第5の標準偏差を、前記第2の平均および前記第2の標準偏差と、ならびに前記第6の平均および前記第6の標準偏差を、前記第3の平均および前記第3の標準偏差と比較することを示す比較値のセットを決定することによって、前記電気制御弁の健全状態を決定することと、
前記比較値の前記セットを、前記電気制御弁の前記健全状態の異なる値とともにマッピングして、前記
電気制御弁の前記健全状態を決定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は、評価システムおよび関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルまたはガソリンを燃料源として使用する定置機械システムおよび非定置機械システムは、大気中に排出される排気を生成する。これらのシステムは、システムから排気される排出量を制御するために制御され得る弁および導管を含み得る。例えば、排気ガス再循環弁は、システムのエンジンによって生成された排気ガスの一部分を再循環させるために、システム内で使用される電気制御弁であり得る。経時的に、これらの再循環弁は、時折保守、修理、または交換を必要とする場合がある。しかしながら、弁の健全性のレベル、または保守もしくは修理を必要とする弁内の特定の構成要素を決定することは、適切に区別するのが難しい。例えば、EGR弁の複数の異なる故障モードが、より高いレベルの故障モードを正確に識別するのではなく、一括して、全体的に不健全と分類されることがあり、それにより、追加のトラブルシューティングおよび不必要な材料交換をもたらす。
【発明の概要】
【0003】
1つ以上の実施形態では、方法は、電気制御弁に入力されて、電気制御弁の位置を変更する入力電流を測定することを含む。電気制御弁に入力される入力電流に応答して、電気制御弁から出力される出力電流が、測定される。電気制御弁と結合された電気制御弁の位置を示すセンサを使用して、位置信号が、生成される。入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値が、計算される。入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値を、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたその後の測定値と比較することによって、電気制御弁の健全状態が、決定される。
【0004】
1つ以上の実施形態では、システムは、電気制御弁であって、入力電流を受信して電気制御弁の位置を変更する、電気制御弁と、電気制御弁に入力される入力電流を測定し、かつ入力電流が電気制御弁に入力されることに応答して、電気制御弁から出力される出力電流を測定するように構成されている1つ以上のセンサと、を含む。センサは、電気制御弁の位置を示す位置信号を生成する。システムは、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値を計算する1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値を、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたその後の測定値と比較することによって、電気制御弁の健全状態を決定する。
【0005】
1つ以上の実施形態では、方法は、電気制御弁に入力されて、電気制御弁の位置を変更する入力電流を測定することを含む。方法は、電気制御弁に入力される入力電流に応答して、電気制御弁から出力される出力電流を測定することを含む。電気制御弁と結合されたセンサを使用して、位置電圧が、測定される。位置電圧は、電気制御弁の位置を示す。入力電流、出力電流、および位置電圧の以前の測定値に基づいて、入力電流と、出力電流と、位置電圧とに関連付けられたベースライン値が、計算される。計算されるベースライン値は、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含む。前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第4の平均および第4の標準偏差が、計算され、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第5の平均および第5の標準偏差が、計算され、そして前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第6の平均および第6の標準偏差が、計算される。第4の平均および第4の標準偏差が、第1の平均および第1の標準偏差と比較され、第5の平均および第5の標準偏差が、第2の平均および第2の標準偏差と比較され、そして第6の平均および第6の標準偏差が、第3の平均および第3の標準偏差と比較される。第4の平均および第4の標準偏差を、第1の平均および第1の標準偏差と、第5の平均および第5の標準偏差を、第2の平均および第2の標準偏差と、そして第6の平均および第6の標準偏差を、第3の平均および第3の標準偏差と比較することを示す比較値のセットを決定することによって、電気制御弁の健全状態が、決定される。比較値のセットが、電気的に制御された値の健全状態の異なる値とともにマッピングされて、電気制御弁の健全状態を決定する。
【0006】
本発明の主題は、添付の図面を参照しながら、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことから理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1に示される電気制御弁の部分断面図を示す。
【
図3】一実施形態による、電気制御弁の側面図を示す。
【
図5】
図3に示される電気制御弁の一部分の断面側面図を示す。
【
図6】
図3に示される電気制御弁の一部分の断面上面図を示す。
【
図7】一実施形態による、電気制御弁の健全状態を決定するための方法の一例のフローチャートを示す。
【
図8】一実施形態による、電気制御弁に関連付けられた値の一例を示す。
【
図9】一実施形態による、電気制御弁に関連付けられたベースライン値の一例を示す。
【
図10】一実施形態による、移動時間窓を含むタイムラインを示す。
【
図11】一実施形態による、電気制御弁の健全状態を決定するために比較値をマッピングする一例の表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載の主題の実施形態は、評価システムおよびそれに関連する方法に関する。評価システムは、排気ガスまたは他の流体を排出するシステム内で使用される排気ガス再循環(EGR)弁などの電気制御弁の健全状態を決定するために使用され得る。例えば、EGR弁は、エンジンによって生成された排気ガスの一部分をエンジンシリンダに戻して再循環させるように制御されてもよく、また本明細書に記載の評価システムおよび方法は、EGR弁の健全状態を決定し得る。
【0009】
電気制御弁の健全状態は、弁に関連付けられた異なるデータを測定することによって決定され得る。例えば、データセットは、弁のチャンバ内に流体をポンプで送るポンプデバイスに印加される入力電流と、入力される入力電流に応答して出力される出力電流と、電気制御弁の位置を示す位置センサを使用する位置信号とを含み得る。一例として、位置信号は、位置電圧であるか、または位置電圧を含み得る。以前の測定値に基づく入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値が、計算され得、また入力電流と、出力電流と、位置電圧とに関連付けられたベースライン値を、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられた最近の(例えば、その後に測定された)値と比較することによって、弁の健全状態が、決定され得る。
【0010】
1つ以上の実施形態では、計算されるベースライン値は、位置信号(例えば、位置電圧)の合計を含み得る。任意選択で、ベースライン値は、位置信号間の差を含み得る。任意選択で、ベースライン値は、入力電流と、出力電流との間の差を含み得る。1つ以上の実施形態では、ベースライン値は、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置信号の合計の平均および標準偏差を含み得、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置信号間の差の平均および標準偏差を含み得、また入力電流と出力電流との間の差の平均および標準偏差を含み得る。任意選択で、ベースライン値は、代替の評価方法によって決定または計算され得る。例えば、ベースライン値は、データセットの平均、データセットのパーセンテージ、データセットが所定の許容範囲の内にあるか、それとも外にあるかなどに基づき得る。
【0011】
図1は、一実施形態による電気制御弁100を示す。1つ以上の実施形態では、電気制御弁は、ガスまたは他の流体を排出するシステム内で使用される排気ガス再循環(EGR)弁であり得る。例えば、EGR弁は、燃料動力車(例えば、鉄道車両、自動車、トラック、バス、採鉱車両、船舶、有人および/もしくは無人航空機、農業用車両、または別のオフハイウェイ車両)または代替燃料動力システム(例えば、製造機械、発電システム、家庭用機械などの中で使用され得る。1つ以上の実施形態では、EGRシステムは、ディーゼルまたはガソリンなどの液体燃料を使用し得る。EGR弁は、車両および/または非車両システムによって生成される排出量を制御するために使用され得る。例えば、EGR弁は、エンジンによって生成された排気ガスの一部分をエンジンシリンダに戻して再循環させるように制御され得る。
【0012】
電気制御弁は、電気部分102と、電気部分と動作可能に結合された機械部分104とを含む。機械部分は、プレート106を含み、プレート106は、弁の電気部分によるこのプレートの制御に基づいて、軸108を中心に回転するように構成されている。例えば、電気部分は、閉位置と、1つ以上の異なる開位置との間でプレートの位置を制御し得る。再循環排気ガスは、弁の機械部分を通して方向110に向けられ得る。プレートの位置は、弁を通して向けられる排気ガスの量を制御し得る。例えば、プレートは、ガスが弁を通して方向110に向けられることをプレートが禁止するように、閉位置にあってもよい。任意選択で、プレートは、弁を通して向けられるガスの量を制御するために、1つ以上の異なる開位置にあってもよい。
【0013】
図2は、
図1に示される電気制御弁の電気部分の部分断面図を示す。弁は、チャンバ216を含み、チャンバ216は、チャンバ端面230と、ラック端面232と、このチャンバの複数の内面とによって画定される。ラック端面は、ラック222と動作可能に結合される。ポンプ(図示せず)は、流体を流体入口204を介して弁内に、および流体出口206を介して弁から外に導く。1つ以上の実施形態では、ポンプは、電流が、ポンプに向けられてポンプの動作を制御するように、電気的に制御され得る。流体は、ガス、液体、またはガス-液体混合物であり得る。一実施形態では、流体は、油であり得る。任意選択で、流体は、代替の液体および/またはガスであってもよい。流体は、通路226を介してチャンバ内に向けられる。ラックは、チャンバ内の流体の量に基づいて、直線方向に移動するように構成される。チャンバ内の流体が増加すると、ラックは、第1の方向234に移動し、チャンバ端面から離れる。代替的に、チャンバ内の流体が減少すると、ラックは、反対の第2の方向236に、かつチャンバ端面に向かって移動する。
【0014】
ラックは、第1または第2の方向でのラックの直線移動に応答して歯車が回転するように、歯車202と動作可能に結合される。例えば、チャンバ内の流体の量が増加すると、ラックは、第1の方向に移動し、歯車は、中心軸を中心に第1の方向に回転する。歯車は、チャンバ内の流体の量が減少すること、およびラックが第2の方向に移動することに応答して、反対の第2の方向に回転する。歯車は、歯車の回転が、閉位置と、1つ以上の異なる開位置との間のプレートの回転を引き起こすように、プレート(
図1に示される)と動作可能に結合される。例えば、歯車の回転運動が、閉位置と、1つ以上の開位置との間のプレートの位置を制御するように、プレートの回転運動に変換される。任意選択で、プレートは、回転運動ではなく、直線運動でプレートの運動を制御する別のデバイスと動作可能に結合されてもよい。任意選択で、プレートの位置は、任意の代替のデバイス、構成要素、特徴などの運動によって制御され得る。
【0015】
電気制御弁はまた、弁の電気部分内に配設された変位センサ210を含む。変位センサは、線形可変変位トランスデューサ(LVDT)センサなどと呼ばれることがある。任意選択で、弁は、代替の位置および/または変位センサを含み得る。例示的な実施形態では、変位センサは、センサロッド214と、ばね208と、ソレノイド212と、センサコイル228とを含む。変位センサは、ばね218を介して、歯車と動作可能に結合される。ラックの移動に応答した歯車の回転が、スプリングを直線方向に移動させる。例えば、変位センサのソレノイドは、歯車を介して、ラックと間接的に結合される。ラックの動きは、変位センサによって生成、検出、感知、または別の方法で測定される歯車の動きを引き起こす。変位センサによって生成された位置信号は、閉位置と、1つ以上の異なる開位置との間の電気制御弁の位置を示す。例えば、変位センサのソレノイドの位置に基づく位置信号は、バルブプレートの位置を間接的に示す。一実施形態では、変位センサは、弁の位置を示す位置電圧を生成し得る。別の実施形態では、変位センサは、弁の位置を示し得る別の出力を生成または感知し得る。
【0016】
任意選択で、電気制御弁は、閉位置と、1つ以上の開位置との間のバルブプレートの移動を制御する追加または代替の構成要素を含み得る。例えば、弁は、歯車およびラックを欠くかまたはそれらがなくてもよく、また弁の動作を制御し得る代替システムを有してもよい。例えば、電気制御弁は、直線移動に応答してバルブプレートを移動させる(例えば、プレートを回転させる、直線方向に移動させるなど)代替の線形構成要素を有してもよい。
【0017】
任意選択で、電気制御弁は、代替の構成を有し得る。例えば、
図3は、一実施形態による電気制御弁300の側面図を示し、
図4は、電気制御弁の部分正面図を示す。
図1に示される弁と同様に、電気制御弁は、電気部分302と、電気部分と動作可能に結合された機械部分304とを含む。機械部分は、弁の電気部分によるプレートの制御に基づいて、軸(図示せず)を中心に回転するように構成されているプレート306を含む。
【0018】
例示的な実施形態では、電気部分は、アダプタプレート318と、ガスケット320と、電気部分から機械部分に向かってアダプタプレートを通って延在するシャフト312とを含む。機械部分は、プレートと、ピン310と、シャフトの端部を受容するワッシャ314と、シャフトの端部と動作可能に結合されているブッシュ316とを含む。
【0019】
図5は、
図3および
図4に示される電気制御弁の電気部分の部分断面側面図を示し、
図6は、断面上面図を示す。シャフトは、軸に沿って(例えば、プレートの回転軸と同じ軸に沿って)、ガスケットの通路およびアダプタプレートの通路を通って延在する。アダプタプレートは、第1のポケット322および第2のポケット332に分離されたチャンバを含む。ガスケットは、アダプタプレートと結合されており、ガスケットのそのような第1の部分338は、第1のポケット内に配設され、ガスケットの第2の部分340は、第2のポケット内に配設される。
【0020】
1つ以上の実施形態では、ポンプデバイス(図示せず)は、流体(例えば、ガス、液体、ガス-液体混合物)をアダプタプレートの第1および第2のポケット内に、および/またはそれらから外にポンプで送り得る。ガスケットの第1および第2の部分は、流体が第1および第2のポケット内へ、またはそれらから外に向けられることに応答して、それぞれ第1および第2のポケット内で移動する。例えば、ガスケットの第1の部分は、第1のポケットの第1の表面324に向かって移動するように回転し得、またガスケットの第2の部分は、第2のポケットの第1の表面334に向かって移動するように、ガスケットの第1の部分と共に回転し得る。代替的に、ガスケットの第1の部分は、第1のポケットの第2の表面326に向かって移動するように回転し得、またガスケットの第2の部分は、第2のポケットの第2の表面336に向かって移動するように回転し得る。電気制御弁は、シャフトの軸を中心としたガスケットの回転運動に基づいて位置信号を生成し得る変位センサ(図示せず)と結合され得る。
【0021】
シャフトの軸を中心としたガスケットの移動は、電気制御弁の機械部分のプレートの回転運動を制御する。例えば、アダプタプレート内のガスケットの回転運動は、アダプタプレートの第1および第2のポケット内へ、またはそれらから外へ向けられる流体の流れによって、制御され得る。ガスケットは、シャフトに結合され、またシャフトは、プレートに結合される。1つ以上の開位置と、閉位置との間のプレートの位置は、ガスケットの回転位置に基づいて制御され得る。任意選択で、電気制御弁は、任意の代替の構成または配置を有し得、電気制御弁のプレートは、電気制御弁の電気部分の任意の追加および/または代替の構成要素によって制御され得る。
【0022】
図7は、
図1~
図6に示される電気制御弁などの電気制御弁の健全状態を決定する方法の一実施形態のフローチャート700を示す。方法で実施される、または方法に関連付けられる動作のうちの1つ以上は、省略される、複数回実施される、代替の順序で実行されるなどされてもよい。
【0023】
702において、1つ以上のプロセッサは、電気制御弁の最近の測定値(例えば、その後の測定値)を受信する。例えば、電気制御弁は、1つ以上のマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、集積回路、および/または同様のものなど、1つ以上のプロセッサを有する、および/またはそれらと接続されるコンピュータまたは代替コントローラと動作可能に結合され得る。電気制御弁は、1つ以上のプロセッサと無線で結合されるか、または1つ以上の導体、ワイヤなどを介して導電的に結合され得る。
【0024】
図8は、1つ以上のプロセッサによって受信、感知、または別の方法で取得され得る測定値800の一例を示す。測定値は、入力電流802と、出力電流804と、位置信号806とを含み得る。プロセッサは、変位センサおよびポンプデバイスと動作可能に結合された1つ以上のセンサから測定値および/または感知データを受信し得る。一実施形態では、入力電流は、電気制御弁のチャンバ内に流体をポンプで送って弁の位置を変更するポンプまたはポンプデバイスに印加される電流であり得る。出力電流は、入力電流が電気制御弁に入力されることに応答して、ポンプまたはポンプデバイスから出力される電流であり得る。位置信号は、電気制御弁の変位センサ内のソレノイドの線形変位に基づいて、位置信号の値を変更する変位センサによって生成され得る。
【0025】
1つ以上の実施形態では、プロセッサは、所定のスケジュールされた間隔(例えば、1日に1回、1時間に1回、毎分1回、毎秒1回など)で、測定値またはサンプルデータを受信し得る。任意選択で、プロセッサは、スケジュールされていない間隔で、測定値またはサンプルデータを受信し得る。例えば、電気制御弁および/またはコントローラ(図示せず)のオペレータは、感知されたデータを受信するために、電気制御弁に関連付けられたセンサの動作を手動で制御し得る。オペレータは、弁の動作状態に基づいて(例えば、弁が故障しているように見える場合)、弁の状態に基づいて(例えば、電気制御弁が修理されている場合、弁が1日、1週間、1ヶ月、1年、5年などの所定の時間の長さにわたって動作中もしくは使用中である場合)、または任意の代替の理由で、サンプリングされたデータまたは感知された測定値を受信することを要求し得る。任意選択で、プロセッサは、プロセッサが、電気制御弁のセンサから感知されたデータを自動的に要求することに基づいて、スケジュールされていない間隔で、測定値またはサンプルデータを受信し得る。例えば、プロセッサは、電気制御弁が故障している可能性があると判定する場合があり、また所定のスケジュールされた間隔の間のある時間に、感知されたデータを要求し得る。
【0026】
図7に戻ると、704において、プロセッサは、702において決定および/または受信された最近の値に関連付けられた値を計算する。例えば、
図9は、一実施形態による、電気制御弁に関連付けられた、計算されたベースライン値900の一例を示す。計算されたベースライン値は、入力電流と、出力電流と、位置信号(例えば、位置電圧など)とに関連付けられ得る。一実施形態では、計算されたベースライン値は、位置信号の合計、位置信号間の異なる、入力電流と、出力電流との間の差などを含み得る。
【0027】
1つ以上の実施形態では、計算されたベースライン値は、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置信号(例えば、位置電圧など)の合計の第1の平均902Aおよび位置信号の合計の第1の標準偏差902Bまたは位置信号と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置信号間の差の第2の平均904Aおよび第2の標準偏差904Bと、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた入力電流と、出力電流との間の差の第3の平均906Aおよび第3の標準偏差906Bとを含み得る。
【0028】
最近計算されたベースライン値(またはその後の測定値を用いて計算されたベースライン値)が、入力電流、出力電流、および位置信号の以前の測定値に基づいて計算されたベースライン値と比較され得る。最近計算されたベースライン値と、以前のベースライン値との間の差は、電気制御弁の健全状態を示し得る。例えば、入力電流、出力電流、および位置信号の以前の測定値は、1つ以上のプロセッサによって収集、記憶、維持などされ得る。一実施形態では、プロセッサは、所定量の以前の測定値を記憶し得る。
【0029】
例えば、
図10は、一実施形態による、移動時間窓1008を含むタイムライン1000を示す。タイムラインは、曜日、日付、時刻などを表し得る開始時間1002を含む。タイムラインは、開始時間と、第1の停止時間1004との間に延在する移動時間窓1008を含む。移動時間窓は、移動日平均または移動時間平均と呼ばれることもある。1つ以上の実施形態では、移動時間窓は、開始時間と、第1の停止時間との間が約50日の長さである時間の長さであってもよく、100日の長さであってもよく、200日の長さなどであってもよい。任意選択で、移動時間窓は、繰り返しサンプリングされたデータの量に関連付けられ得る。例えば、移動時間窓は、プロセッサが、サンプリングされたベースラインデータの50セット、サンプリングされたベースラインデータの100セット、サンプリングされたベースラインデータの200セットなどを受信することに基づき得る。移動時間窓のサイズおよび/または長さは、開始時間および第1の停止時間が、一定の移動時間窓を維持するように移動する状態で、一定のままであり得る。例えば、移動時間窓は、180日の所定の長さを有してもよく、これによりプロセッサは、180日の移動時間窓の間に受信されたデータのベースライン値を記憶し得る。181日目に、プロセッサは、1日目に関連付けられたデータを削除または消去し得、また182日目に、プロセッサは、2日目に関連付けられたデータを削除または消去し得る。任意選択で、移動時間窓は、代替的な所定のルール、要件などを有し得る。
【0030】
図7に戻ると、706において、ベースライン値が、計算値よりも大きいかどうかの決定がなされる。新しいまたは最近のデータが、毎日または別の方法で所定のタイムラインベースで評価され、そして電気制御弁のベースラインデータと比較される。例えば、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられた最近の値が、以前の測定中に入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値と比較され得る。例えば、(i)入力電流、出力電流、および位置信号が、感知または測定され得、(ii)感知または測定された入力電流、出力電流、および位置信号に基づいて、ベースライン値が、計算または決定され得、(iii)入力電流、出力電流、および位置信号のその後のおよび/または追加の感知または測定が、(例えば、後で)実行または実施され得、また(iv)後続の感知に関連付けられた値を以前の感知に関連付けられたベースライン値と比較することに基づいて、電気制御弁の健全状態が、決定され得る。
【0031】
1つ以上の実施形態では、第1、第2、および第3の平均および標準偏差の最近の値が、以前のデータの第1、第2、および第3の平均および標準偏差と比較され得る。例えば、プロセッサは、6つの異なる変数を比較して、変数が、健全または不健全な電気制御弁を示すかどうかを決定する。最近のベースライン値が計算値よりも大きい場合、方法のフローは、308に向かって進み、最近のベースライン値は、電気制御弁の劣悪な健全状態を示し得る異常なシーケンスに関連付けられ得る。
【0032】
代替的に、最近のベースライン値が計算値よりも小さい場合、方法のフローは、710に向かって進み、最近のベースライン値は、電気制御弁の良好な健全状態を示し得る正常なシーケンスに関連付けられ得る。任意選択で、最近のベースライン値および以前のベースライン値は、最近のベースライン値が以前の計算されたベースライン値未満であることによって、異常なシーケンスが示され得るように、代替的な方法で比較され得る。任意選択で、異常なシーケンスは、最近のベースライン値と、以前の計算されたベースライン値との間の代替の比較方法(例えば、平均、パーセンテージ、代替の平均および/もしくは標準偏差比較など)によって示されてもよい。
【0033】
1つ以上の実施形態では、プロセッサは、評価されているデータに対する最近の変更が、正常なデータをゆがめないことを確実にするように、評価中の日値を決定し得る。例えば、プロセッサは、6つの変数を含む計算されたベースライン値が、再計算および/または再評価されるべきかどうかを決定し得る。プロセッサは、特定の評価日に関連付けられたデータが、正常な日であるか、それとも異常な日であるかを決定し得る。その日が正常であると決定された場合、プロセッサは、データのフルセットに変動シフト(variation shift)または平均シフトを含めるように、計算されたベースライン値を更新し得る。代替的に、その日が異常であると決定された場合、プロセッサは、最近のデータを無視し得、計算されたベースライン値を更新しない場合がある。
【0034】
例えば、712において、プロセッサは、正常なシーケンスに対する異常なシーケンスの比が所定の限度外であるかどうかを判定する。評価対象の日値が異常と見なされる場合、異常評価は、6つの変数のうちの少なくとも1つに基づく変動シフトまたは平均シフトを表し得る。正常点の数に対する異常点の数が、所定の限度を超える場合、または、所定の限度外である場合、その日は、異常日であると決定され、方法のフローは、714に向かって進む。
【0035】
1つ以上の実施形態では、異常な日は、移動時間窓の外にあり得る。例えば、異常な日は、第1の停止時間1004と、第2の停止時間1006との間に延在する、
図10に示される最近のタイムライン1010内の点1022にあると決定され得る。例えば、開始時間は、T-210日を表し得、第1の停止時間は、T-30日を表し得、第2の停止時間は、T-0を表し得る。その日が異常であると決定された場合、その日は、最近のタイムライン内に入り得、あまりにも最近であり得る。最近のデータは、移動時間窓に関連付けられたデータをゆがめる可能性があり、したがって、最近のデータは、無視され得る。方法のフローは、302に戻り得、方法は、所定の長さの時間、収集される所定の数のデータセットなどについて繰り返し得る。
【0036】
代替的に、正常点の数に対する異常点の数が所定の限度内にある場合、その日は、正常な日であると決定され、方法のフローは、716に向かって進む。例えば、その日は、開始時間と、第1の停止時間との間の移動時間窓内に入る点1020にあると決定され得る。移動時間窓に関連付けられた、計算されたベースライン値と比較された最近のベースライン値が、異なり、異常なシーケンスを示す所定の範囲外であり、かつその日が(異常な日に対して)正常な日であると決定された場合、方法のフローは、718に向かって進む。718において、新しいベースラインが、最近の値に関連付けられた値に基づいて、計算され得る。例えば、6つの変数が、評価の正常な日に発見された最近の異常なシーケンスに基づいて、再計算または決定され得る。
【0037】
任意選択で、プロセッサは、1つ以上の異なる方法を使用して、ベースライン値を更新、再計算、または再評価し得る。一実施形態では、プロセッサは、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置信号の合計の第4の平均および第4の標準偏差を計算し、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置信号間の第1の差の第5の平均および第5の標準偏差を計算し、また前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出口電流との間の第2の差の第6の平均および第6の標準偏差を計算し得る。プロセッサは、第4の平均および第4の標準偏差を、第1の平均および第1の標準偏差と比較し、第5の平均および第5の標準偏差を、第2の平均および第2の標準偏差と比較し、また第6の平均および第6の標準偏差を、第3の平均および第3の標準偏差と比較し得る。プロセッサは、12個のデータセット間の比較に基づいて、ベースライン値(例えば、第1の平均および第1の標準偏差、第2の平均および第2の標準偏差、ならびに第3の平均および第3の標準偏差)を更新し得る。
【0038】
1つ以上の実施形態では、プロセッサは、第4の平均および第4の標準偏差を、第1の平均および第1の標準偏差と、第5の平均および第5の標準偏差を、第2の平均および第2の標準偏差と、また第6の平均および第6の標準偏差を、第3の平均および第3の標準偏差と比較することを示す比較値のセットを決定し得る。任意選択で、プロセッサは、比較値のセットを、電気制御弁の健全状態の異なる値とともにマッピングして、弁の健全状態を決定し得る。例えば、
図11は、比較値のセットをマッピングして、弁の健全状態を決定する一例の表1100を示す。表は、ケースまたは評価番号を示す第1の列1102を含む。この表はまた、異なる平均値および標準偏差値を比較することを示す6つの比較値の各々を示す第2、第3、第4、第5、第6、および第7の列1104~1114も含む。例えば、列1104~1114は、比較値のセットのうちの1つが所定の限度外であるか、所定の限度を超えているかどうかなどを示す。
【0039】
表は、列1104~1114に関連付けられたデータに基づく第8の列1116を含む。プロセッサは、列1116のデータに基づいて、電気制御弁の健全状態を決定し得る。例えば、プロセッサは、列1116に示されるデータに基づいて、電気制御弁が健全であるか、それとも不健全であるかを決定し得、また第9の列1118内の弁の決定された健全状態を通信し得る。1つ以上の実施形態では、プロセッサは、データ分析に基づいて、弁の健全状態の決定に至らなかったと判定し得、また弁がさらなる分析を必要とすることを弁のオペレータに示し得る。任意選択で、プロセッサは、弁の特定の構成要素の健全状態、および特定の構成要素のみが修理または交換を必要とすることを決定し得る。例えば、プロセッサは、弁の変位センサのソレノイドに問題があること、位置センサの別の部分に問題があること、弁内に油漏れがあること、バルブプレートが固着していること、電気制御弁が過熱していること、弁内に短絡または損傷したワイヤがあることなどを決定し得る。
【0040】
プロセッサは、位置センサならびに入力および出力電流のデータ分析に基づいて、電気制御弁の健全状態を決定し得る。1つ以上の実施形態では、プロセッサは、弁の健全状態に基づいて、弁、または弁の一部分が、修理または交換を必要とすることを決定し得る。任意選択で、プロセッサは、弁が修理および/または交換を必要とすることを弁のオペレータに(例えば、出力デバイス、音声および/または可視アラームなどを介して)示し得る。任意選択で、プロセッサは、弁の健全状態を決定するために、追加の評価が必要であることを決定し得る。任意選択で、プロセッサは、故障は不明であるが、電気制御弁は、依然として動作可能であることを決定し得る。任意選択で、プロセッサは、弁を交換する必要があることを決定し得、弁を交換することの緊急の状態を決定し得る。
【0041】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、方法は、電気制御弁に入力されて、電気制御弁の位置を変更する入力電流を測定することを含む。電気制御弁に入力される入力電流に応答して電気制御弁から出力される出力電流が、測定される。電気制御弁と結合された電気制御弁の位置を示すセンサを使用して、位置信号が、生成される。入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値が、計算される。入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値を、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたその後の測定値と比較することによって、電気制御弁の健全状態が、決定される。
【0042】
任意選択で、方法は、健全状態に基づいて、電気制御弁を修理または交換することを含み得る。
【0043】
任意選択で、測定される入力電流は、電気制御弁のチャンバ内に流体をポンプで送って、電気制御弁の位置を変更するポンプデバイスに印加され得る。
【0044】
任意選択で、測定される出力電流は、電気制御弁のチャンバ内に流体をポンプで送って、電気制御弁の位置を変更するポンプデバイスから出力され得る。
【0045】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であって、電気制御弁内のソレノイドの線形変位に基づいて、この位置電圧の値を変更する変位センサによって測定される、位置電圧、として生成され得る。
【0046】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であり得るか、または位置電圧を含み得、そして計算されるベースライン値は、位置電圧の合計を含み得る。
【0047】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であり得るか、または位置電圧を含み得、そして計算されるベースライン値は、位置電圧間の差を含み得る。
【0048】
任意選択で、計算されるベースライン値は、入力電流と、出力電流との間の差を含み得る。
【0049】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であるか、または位置電圧を含み得、そして計算されるベースライン値は、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた入力電流と、出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含み得る。
【0050】
任意選択で、電気制御弁の健全状態を決定することは、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第4の平均および第4の標準偏差と、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第5の平均および第5の標準偏差と、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第6の平均および第6の標準偏差とを計算することを含み得る。第4の平均および第4の標準偏差が、第1の平均および第1の標準偏差と比較され、第5の平均および第5の標準偏差が、第2の平均および第2の標準偏差と比較され、また第6の平均および第6の標準偏差が、第3の平均および第3の標準偏差と比較される。
【0051】
任意選択で、電気制御弁の健全状態を決定することは、第4の平均および第4の標準偏差を、第1の平均および第1の標準偏差と、第5の平均および第5の標準偏差を、第2の平均および第2の標準偏差と、また第6の平均および第6の標準偏差を、第3の平均および第3の標準偏差と比較することを示す比較値のセットを決定することと、比較値のセットを、電気的に制御された値の健全状態の異なる値とともにマッピングして、電気制御弁の健全状態を決定することと、を含み得る。
【0052】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、システムは、電気制御弁であって、この電気制御弁の位置を変更するための入力電流を受信する、電気制御弁と、電気制御弁に入力される入力電流を測定し、かつ電気制御弁に入力される入力電流に応答して、電気制御弁から出力される出力電流を測定するように構成されている1つ以上のセンサと、を含む。センサは、電気制御弁の位置を示す位置信号を生成する。システムは、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値を計算する1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたベースライン値を、入力電流と、出力電流と、位置信号とに関連付けられたその後の測定値と比較することによって、電気制御弁の健全状態を決定する。
【0053】
任意選択で、測定される入力電流は、電気制御弁のチャンバ内に流体をポンプで送って、電気制御弁の位置を変更するポンプデバイスに印加される。
【0054】
任意選択で、測定される出力電流は、電気制御弁のチャンバ内に流体をポンプで送って、電気制御弁の位置を変更するポンプデバイスから出力される。
【0055】
任意選択で、生成される位置信号は、電気制御弁内のソレノイドの線形変位に基づいて位置信号の値を変更する変位センサによって出力される。
【0056】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であるか、または位置電圧を含み得、また計算されるベースライン値は、位置電圧の合計と、位置電圧間の差とを含む。
【0057】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であるか、または位置電圧を含み得、そしてベースライン値は、入力電流と出力電流との間の差へと計算される。
【0058】
任意選択で、位置信号は、位置電圧であるか、または位置電圧を含み得、また計算されるベースライン値は、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含み得る。
【0059】
任意選択で、1つ以上のプロセッサは、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第4の平均および第4の標準偏差と、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第5の平均および第5の標準偏差と、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第6の平均および第6の標準偏差とを計算し得、かつ第4の平均および第4の標準偏差を、第1の平均および第1の標準偏差と比較し、第5の平均および第5の標準偏差を、第2の平均および第2の標準偏差と比較し、また第6の平均および第6の標準偏差を、第3の平均および第3の標準偏差と比較し得る。
【0060】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、方法は、電気制御弁に入力されて、電気制御弁の位置を変更する入力電流を測定することを含む。方法は、電気制御弁に入力される入力電流に応答して、電気制御弁から出力される出力電流を測定することを含む。電気制御弁と結合されたセンサを使用して、位置電圧が、測定される。位置電圧は、電気制御弁の位置を示す。入力電流と、出力電流と、位置電圧とに関連付けられたベースライン値が、計算される。計算されるベースライン値は、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第1の平均および第1の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第2の平均および第2の標準偏差と、前の移動時間窓の間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第3の平均および第3の標準偏差とを含む。前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧の合計の第4の平均および第4の標準偏差が、計算され、前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた位置電圧間の第1の差の第5の平均および第5の標準偏差が、計算され、また前の移動時間窓のサブセットの間に繰り返しサンプリングされた入力電流と出力電流との間の第2の差の第6の平均および第6の標準偏差が、計算される。第4の平均および第4の標準偏差が、第1の平均および第1の標準偏差と比較され、第5の平均および第5の標準偏差が、第2の平均および第2の標準偏差と比較され、また第6の平均および第6の標準偏差が、第3の平均および第3の標準偏差と比較される。第4の平均および第4の標準偏差を、第1の平均および第1の標準偏差と、第5の平均および第5の標準偏差を、第2の平均および第2の標準偏差と、また第6の平均および第6の標準偏差を、第3の平均および第3の標準偏差と比較することを示す比較値のセットを決定することによって、電気制御弁の健全状態が、決定される。比較値のセットが、電気的に制御された値の健全状態の異なる値とともにマッピングされて、電気制御弁の健全状態を決定する。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「プロセッサ」および「コンピュータ」、ならびに関連する用語、例えば、「処理装置」、「コンピューティング装置」、および「コントローラ」は、コンピュータとして当該技術分野で言及されるそれらの集積回路だけに限定されない場合があり、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および特定用途向け集積回路、ならびに他のプログラマブル回路も指す場合がある。好適なメモリは、例えば、コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読不揮発性媒体であり得る。「非一時的コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびサブモジュール、または任意の装置内の他のデータなどの情報の短期および長期記憶のために実装される有形のコンピュータベースの装置を表す。したがって、本明細書に記載される方法は、記憶装置および/またはメモリ装置を含むが、これらに限定されない、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体で具現化される実行可能命令として符号化され得る。そのような命令は、プロセッサによって遂行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部を実行させる。このように、この用語は、揮発性および不揮発性媒体、ならびにファームウェア、物理的および仮想記憶、CD-ROM、DVD、ならびにネットワークまたはインターネットなどの他のデジタルソースなどのリムーバブルおよび非リムーバブル媒体を含むが、これらに限定されない、非一時的なコンピュータ記憶装置を含むが、これらに限定されない、有形のコンピュータ可読媒体を含む。
【0062】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数形の参照を含む。「任意選択の」または「任意選択で」は、続いて記載される事象または状況が生じてもよく、または生じなくてもよいことを意味し、またその記載は、その事象が生じる場合と生じない場合とを含み得ることを意味する。本明細書および条項全体を通してここで使用される近似言語は、それが関連し得る基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化することが可能な任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語(複数可)によって修飾される値は、指定された正確な値に限定され得ない。少なくともいくつかの場合では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。ここで、ならびに本明細書および条項を通して、範囲制限は組み合わされ得、かつ/または交換可能であり得、そのような範囲は識別され得、また文脈または言語が別途指示しない限り、その中に含まれる全てのサブ範囲を含み得る。
【0063】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良の態様を含む実施形態を開示し、かつ当業者が、任意の装置またはシステムの製造および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む実施形態を実践することを可能にする。条項は、本開示の特許可能な範囲を定義し、当業者に生じる他の例を含む。そのような他の例は、それらが条項の文字通りの言語と差異のない構造的要素を有する場合、またはそれらが条項の文字通りの言語とごくわずかに異なる同等の構造的要素を含む場合、条項の範囲内であることが意図される。