(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】分析物の検出および分析のためのナノポアタンパク質コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C07K 14/435 20060101AFI20240215BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20240215BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240215BHJP
C12Q 3/00 20060101ALI20240215BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240215BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
C07K14/435 ZNA
G01N27/00 Z
G01N33/543 521
C12Q3/00
C12M1/34 Z
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2022123081
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2020543141の分割
【原出願日】2019-02-13
【審査請求日】2022-08-02
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ,ティモシー・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ,カピル・エム・エス
(72)【発明者】
【氏名】アムブロソ,マーク・アール
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/167811(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/042038(WO,A1)
【文献】JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2012年02月08日,VOL:134, NR:5,PAGE(S):2781 - 2787
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12N 15/00
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノポアタンパク質単量体および捕獲タグを含むナノポアタンパク質コンジュゲート、ならびに前記ナノポアタンパク質コンジュゲートと連結している分析物リガンドを含む、分析物検出複合体であって、
捕獲タグが、配列番号8(捕獲タグ配列)として示される配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものであり、
ナノポアタンパク質コンジュゲートのナノポアタンパク質単量体が、配列番号16(α-HL)または配列番号6(OMPG)として示される配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
ナノポアタンパク質単量体と捕獲タグとの間に位置する分析物リガンド付着部位を介して、前記ナノポアタンパク質単量体および前記捕獲タグが連結しており、
前記分析物リガンド付着部位を介して、分析物リガンドがナノポアタンパク質コンジュゲートに結合している、
前記分析物検出複合体。
【請求項2】
捕獲タグが、配列番号8(捕獲タグ配列)として示される配列と少なくとも95%、98%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の分析物検出複合体。
【請求項3】
ナノポアタンパク質コンジュゲートのナノポアタンパク質単量体が、配列番号16(α-HL)または配列番号6(OMPG)として示される配列と少なくとも95%、98%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の分析物検出複合体。
【請求項4】
ナノポアタンパク質コンジュゲートのナノポアタンパク質単量体が、アルファ-ヘモリシン単量体を含み、捕獲タグが、配列番号8(捕獲タグ配列)として示される配列と少なくとも95%、98%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の分析物検出複合体。
【請求項5】
ナノポアタンパク質コンジュゲートが、配列番号4または配列番号7として示される配列と少なくとも95%、98%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の分析物検出複合体。
【請求項6】
分析物リガンド付着部位が、配列番号11として示される配列と少なくとも90%、95%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の分析物検出複合体。
【請求項7】
分析物リガンドがナノボディである、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析物検出複合体。
【請求項8】
分析物リガンドがナノポアタンパク質コンジュゲートとイソペプチド結合を介して連結している、請求項1~7のいずれか1項に記載の分析物検出複合体。
【請求項9】
イソペプチド結合がSpyTag/SpyCatcher結合である、請求項8に記載の分析物検出複合体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの分析物検出複合体を含むナノポアアセンブリ。
【請求項11】
ナノポアアセンブリが七量体ナノポアアセンブリであり、前記七量体ナノポアアセンブリの各単量体がアルファ-ヘモリシン単量体を含む、請求項10に記載のナノポアアセンブリ。
【請求項12】
流体溶液において分析物を検出するための方法であって、
請求項10または11に記載のナノポアアセンブリを含むチップを供給するステップであって、前記ナノポアアセンブリが膜内に配置されている、前記ステップ;
検知電極を前記膜に隣接してまたはその近くに位置づけるステップ;
コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、ナノポアアセンブリの捕獲タグの第1の捕獲速度を決定するステップ;
ナノポアアセンブリを分析物と接触させるステップであって、前記分析物が、分析物検出複合体の分析物リガンドに対する結合親和性を含む、前記ステップ;ならびに
コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、ナノポアアセンブリと会合した捕獲タグの第2の捕獲速度を決定するステップであって、前記第2の捕獲速度が、前記分析物が分析物検出複合体の分析物リガンドと結合しており、それにより、流体溶液中に存在するという指標を提供する、前記ステップ;
を含む、前記方法。
【請求項13】
第2の捕獲速度が第1の捕獲速度より高いかまたは低い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
分析物リガンドの同一性に基づいて、および分析物が分析物リガンドと結合しているという指標に基づいて、分析物を同定するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
流体溶液中の分析物の濃度を決定するための方法であって、
請求項10または11に記載のナノポアアセンブリを含むチップを供給するステップであって、前記ナノポアアセンブリが膜内に配置されている、前記ステップ;
検知電極を前記膜に隣接してまたはその近くに位置づけるステップ;
コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、ナノポアアセンブリの捕獲タグの第1の捕獲速度を決定するステップ、
ここで、第1の捕獲速度は、結合される分析物リガンドの存在下で、かつ分析物リガンドと結合される分析物の非存在下で決定される;
ナノポアアセンブリを分析物と接触させるステップであって、前記分析物が、分析物検出複合体の分析物リガンドに対する結合親和性を含む、前記ステップ;
コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、分析物検出複合体の捕獲タグの第1の捕獲速度から第2の捕獲速度への第1の遷移を同定するステップ、
ここで、第2の捕獲速度は、結合された分析物リガンドの存在下で、かつ結合した分析物の存在下で決定される;
コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、第2の捕獲速度からおよそ第1の捕獲速度への第2の遷移を同定するステップ;ならびに
第1の遷移および第2の遷移の同定に少なくとも部分的に基づいて、流体溶液中の分析物の濃度を決定するステップ;
を含む、前記方法。
【請求項16】
第2の捕獲速度が第1の捕獲速度より高いかまたは低い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
流体溶液中の分析物の濃度を決定することが、第1の遷移と第2の遷移との間の時間間隔を測定するステップをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
流体溶液中の分析物の濃度を決定することが、分析物と、ナノポアアセンブリの分析物検出複合体の分析物リガンドとの間の会合速度を決定するステップをさらに含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
流体溶液中の分析物の濃度を決定するためのシステムであって、
請求項10または11に記載のナノポアアセンブリを含むチップであって、前記ナノポアアセンブリが前記チップの膜内に配置されており、前記ナノポアアセンブリの少なくとも1個のナノポアタンパク質単量体が捕獲タグおよび分析物リガンドを含む、前記チップ;
前記膜に隣接してまたはその近くに位置づけられた検知電極であって、ナノポアアセンブリからのシグナルを検出するように構成されている、検知電極;および
コンピュータープロセッサーであって、前記コンピュータープロセッサーおよび検知電極が、ナノポアアセンブリに関連した第1の遷移および第2の遷移を同定するように構成されており、前記第1の遷移が、分析物の分析物リガンドとの結合に対応し、前記第2の遷移が、分析物の分析物リガンドからの解離に対応する、前記コンピュータープロセッサー;
を含む、
前記システム。
【請求項20】
流体溶液中の分析物の濃度が、同定された第1の遷移および同定された第2の遷移に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001]この出願は、名称が「分析物の検出および分析のためのナノポアタンパク質コン
ジュゲート」である、2018年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/630,993号の優先権の恩恵を主張する。上記で特定された優先権出願の全開示は、全体として参照により本明細書に完全に組み入れられている。
【0002】
配列表
[002]本出願は、ASCII形式で電子的に提出されており、かつ全体として参照によ
り本明細書に組み入れられている配列表を含有する。2019年1月16日に作成された前記ASCIIコピーは、08485_001WO1_SL.txtという名前で、サイズが29,354バイトである。
【0003】
[003]本開示は、一般的には、標的分析物の検出のための方法、組成物、およびシステ
ムに関し、より具体的には、流体溶液において分析物を同定するための、およびその溶液中の分析物の濃度を決定するためのナノポアタンパク質コンジュゲートの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
[004]小分子、タンパク質、抗原、免疫グロブリン、および核酸などの生物活性成分は
、多数の生物学的過程および機能に関与している。したがって、そのような成分のレベルにおけるいかなる異常も疾患をもたらし、または疾患過程を加速し得る。このため、患者診断および処置に用いられる生物活性成分を迅速に検出し、かつ同定するための信頼のおける方法を開発するのに、多くの努力が払われてきた。例えば、血液または尿試料においてタンパク質または小分子を検出することは、患者の代謝状態を評価するために用いることができる。同様に、血液または尿試料における抗原の検出は、患者が曝露されている病原体を同定し、それにしたがって、適切な処置を促進するために用いることができる。そして、胎児性無細胞DNAの同定における最近の進歩に伴って、母親の血液試料からある特定の遺伝性障害を出生前に診断する能力が、無細胞DNAの検出を通して、今や可能である。溶液中の分析物の濃度を決定できることは、さらに有益である。例えば、血液または尿成分の濃度を決定することは、その成分を参照値と比較し、それにしたがって、患者の健康状態のさらなる評価を促進することを可能にし得る。
【0005】
[005]それにも関わらず、多数の検出および同定方法が利用可能であるが、多くは高額
であり、かつ幾分、時間がかかり得る。例えば、多くの診断試験は、完了するのに数日かかり得、かつかなりの検査室資源を必要とし得る。そして、場合によっては、心筋梗塞に関連したマーカーの分析においてなどの診断の遅れは、患者治療にマイナスの影響を及ぼし得る。さらに、生物活性成分を同定することを目的とした多くの診断試験の複雑さは、誤差に加担し、それにしたがって、精度を低下させる。そして、多くの検出および同定方法は、一度に1個または数個の生物活性成分を分析できるだけである(しかも、濃度を決定することができない)。
【0006】
[006]必要とされていることは、生物活性成分を、特に効率的かつ費用効果の高い様式
で、迅速に検出および同定することができるさらなる方法、組成物、およびシステムである。同時に複数の生物活性成分をアッセイすることができ、それにしたがって、費用を低減する、方法、組成物、およびシステムもまた必要とされている。さらに、流体溶液中の生物活性成分の濃度を決定するための方法、組成物、およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[007]ある特定の例的態様において、ナノポアタンパク質単量体および捕獲タグを含む
ナノポアタンパク質コンジュゲートが提供される。例えば、ナノポアタンパク質コンジュゲートは、配列番号4または配列番号7として示される配列と少なくとも60%、65%、70%、80%、90%、もしくは95%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0008】
[008]ある特定の例的態様において、ナノポアタンパク質コンジュゲートを含む分析物
検出複合体が提供される。例えば、分析物検出複合体は、イソペプチド結合を介してなど、ナノポアタンパク質コンジュゲートと連結している分析物リガンドを含む。
【0009】
[009]ある特定の例的態様において、少なくとも1つの分析物検出複合体を含むナノポ
アアセンブリが提供される。例えば、ナノポアアセンブリは、分析物検出複合体を含む七量体ナノポアアセンブリであり得る。ある特定の例的態様において、コンジュゲートのナノポア単量体は、アルファ-ヘモリシン単量体であり、七量体のその他の6個の単量体のそれぞれは、アルファ-ヘモリシン単量体である。
【0010】
[0010]ある特定の例的態様において、流体溶液において分析物を検出するための方法が提供される。方法は、本明細書に記載されているようなナノポアアセンブリを含むチップを供給するステップを含む。例えば、ナノポアアセンブリは分析物検出複合体を含み、前記分析物検出複合体が、ナノポア単量体、捕獲タグ、および分析物リガンドを含む。さらに、ナノポアアセンブリは、チップの膜内に配置される。その後、検知電極がその膜に隣接して、またはその近くに置かれる。その後、捕獲タグの第1の捕獲速度が、コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、決定される。その後、ナノポアアセンブリは、分析物と接触し、その分析物は、分析物検出複合体の分析物リガンドに対する結合親和性を有する。その後、コンピュータープロセッサーおよび検知電極を用いて、捕獲タグの第2の捕獲速度が決定される。例えば、第2の捕獲速度は、分析物が分析物検出複合体の分析物リガンドと結合しているという指標、および、したがって、その分析物が流体溶液中に存在するという指標を提供する。例えば、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度より低く、または高くあり得る。さらに、分析物リガンドの同一性、および分析物が分析物リガンドに結合しているという指標に基づいて、分析物の同一性を決定することができる。
【0011】
[0011]さらなる例的態様において、流体溶液中の分析物の濃度を決定するための方法が提供される。方法は、本明細書に記載されているようなナノポアアセンブリを有するチップを供給するステップを含み、前記ナノポアアセンブリが膜内に配置されている。ナノポアアセンブリは、例えば、分析物検出複合体を含み、前記分析物検出複合体が、ナノポア単量体、捕獲タグ、および分析物リガンドを含む。検知電極がその膜に隣接して、またはその近くに位置づけられる。その後、コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、ナノポアアセンブリの捕獲タグの第1の捕獲速度が決定される。その後、ナノポアアセンブリは、分析物と接触し、その分析物は、分析物検出複合体の分析物リガンドに対する結合親和性を有する。コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、分析物検出複合体の捕獲タグの第1の捕獲速度から第2の捕獲速度への第1の遷移が同定される。その後、コンピュータープロセッサーおよび検知電極を活用して、第2の捕獲速度から、第1の捕獲速度に近似する捕獲速度への第2の遷移が同定される。その後、第1の遷移および第2の遷移の同定に少なくとも部分的に基づいて、流体溶液中の分析物の濃度が決定される。例えば、遷移速度間の時間間隔は、分析物の濃度を決定するために用いることができる。
【0012】
[0012]なおさらなる例的態様において、流体溶液中の分析物の濃度を決定するためのシ
ステムが提供される。システムはまた、溶液において分析物を検出するために用いることができる。システムは、例えば、チップの膜内に配置されているナノポアアセンブリを有するチップを含む。ナノポアアセンブリは、例えば、捕獲タグおよび分析物リガンドを有する少なくとも1個のナノポアタンパク質単量体を含む。システムはさらに、膜に隣接して、またはその近くに位置づけられた検知電極を含む。検知電極は、例えば、ナノポアアセンブリからのシグナルを検出するように構成される。システムはさらに、ナノポアアセンブリに関連した第1の遷移および第2の遷移を同定するように、検知電極と共に構成されるコンピュータープロセッサーを含む。第1の遷移は、例えば、分析物の分析物リガンドとの結合に対応する。第2の遷移は、例えば、分析物の分析物リガンドからの解離に対応する。
【0013】
[0013]システムのある特定の例的態様において、流体溶液中の分析物の濃度が、同定された第1の遷移および同定された第2の遷移に少なくとも部分的に基づいて、決定される。システムのある特定の例的態様において、ナノポアタンパク質単量体は、アルファ-ヘモリシン単量体またはOmpG単量体である。システムのある特定の例的態様において、ナノポアタンパク質単量体は、配列番号4または配列番号7として示される配列と少なくとも80%、90%、95%、98%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。システムのある特定の例的態様において、捕獲タグは、配列番号8として示される配列と少なくとも80%、90%、95%、98%、またはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0014】
[0014]例的実施形態のこれらを始めとする態様、目的、特徴、および利点は、例示された例的実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば、当業者にとって明らかになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015]ある特定の例的実施形態による、ナノポアタンパク質コンジュゲートを示す図である。
【
図2】[0016]ある特定の例的実施形態による、分析物検出複合体を示す図である。
【
図3】[0017]ある特定の例的実施形態による、分析物検出複合体を含むナノポアアセンブリを示す図である。
【
図4A】[0018]
図4A~4Cは、ある特定の例的実施形態による、異なる捕獲速度に関連する異なるポア状態を示す図である。より具体的には、
図4Aは、ナノポアタンパク質コンジュゲートを含むが、分析物リガンドを含まない(および、したがって、分析物検出複合体を含まない)ナノポアアセンブリを示す。そのようなポアは、捕獲タグ(捕獲を示す点線に対する実線)のベースライン捕獲速度に関連する。
【
図4B】
図4Bは、分析物リガンド(例えば、ナノボディ)が付着していることを除いて、同じナノポアアセンブリを示す。したがって、
図4Bのナノポアアセンブリは、分析物検出複合体を含む。
図4Bのナノポアアセンブリは、捕獲タグ(捕獲を示す点線に対する実線)の第1の捕獲速度と関連する。
【
図4C】
図4Cは、分析物(例えば、ナノボディに対する抗原)が付着していることを除いて、
図4Bにおけるものと同じポアを示す。そのようなポアは、捕獲タグ(捕獲を示す点線に対する実線)の第2の捕獲速度に関連する。
【
図5A】[0019]
図5A~5Cは、ある特定の例的実施形態による、捕獲速度がナノポアアセンブリの結合状態に対応するように様々な捕獲速度を示すグラフである。より具体的には、
図5Aは、ベースライン捕獲速度の測定を示すグラフである。
【
図5B】
図5Bは、分析物リガンドがナノポアアセンブリのナノポアタンパク質コンジュゲートと結合し、それにより、分析物検出複合体を形成している状態における、第1の捕獲速度の測定を示すグラフである。
図5Bにおいて、分析物は存在しない。
【
図5C】
図5Cは、第1の捕獲速度(分析物が結合していない)および第2の捕獲速度(分析物が結合している)についての捕獲速度の測定を示す。第1の捕獲速度から第2の捕獲速度への第1の遷移、および第2の捕獲速度から第1の捕獲速度へ戻る第2の遷移もまた示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0020]本明細書に記載された実施形態は、以下の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲、ならびにそれらの前および後の記載への参照により、より容易に理解することができる。本システム、デバイス、組成物、および/または方法が開示および記載される前に、本明細書に記載された実施形態は、他に指定がない限り、開示された特定のシステム、デバイス、組成物、および/または方法に限定されず、そのようなものとして、当然のことながら、変化し得ることは、理解されるべきである。本明細書で用いられる専門用語は、特定の態様のみを記載するためであり、限定することを意図されないこともまた理解されるべきである。
【0017】
[0021]さらに、以下の説明は、様々な実施形態のそれらの最善の現在知られている態様での実施可能な教示として提供される。この開示の有益な結果をなお獲得しながら、記載された態様に多くの変化がなされ得ることを当業者は認識していると予想される。本発明の所望の利益の一部は、他の特徴を利用することなく、様々な実施形態の特徴の一部を選択することにより獲得できることもまた明らかと予想される。したがって、本明細書に記載された様々な実施形態への多くの改変および適応が、可能であり、かつある特定の状況においてはさらに望ましくあり得、かつ本開示の一部であることは、当業者は認識していると予想される。このように、以下の説明は、これに限定されず、本明細書に記載された実施形態の原理の実例として提供される。
【0018】
概要
[0022]本明細書に開示されているように、標的分析物の検出のための方法、組成物、およびシステムが提供される。流体溶液中の1つまたは複数の標的分析物の濃度を決定するための方法、組成物、およびシステムもまた提供される。組成物は、ナノポアタンパク質単量体が捕獲タグと連結しているナノポアタンパク質コンジュゲートを含む。ナノポアタンパク質コンジュゲートへ繋がれるのは、特定の分析物へ方向づけられ得る分析物リガンドである。本明細書に記載されているように、ナノポアコンジュゲートを含むナノポアアセンブリに渡って電圧が加えられた場合、ナノポアは捕獲タグを所定の捕獲速度で捕獲する。しかしながら、分析物リガンドに対する分析物の存在下では、捕獲タグの捕獲速度は変化し、それにしたがって、ナノポアアセンブリによる分析物の検出を可能にする。さらに、ある特定の例においては、分析物と分析物リガンドの間の結合に関連した捕獲速度に基づいて、分析物の濃度を決定することができる。
【0019】
[0023]より具体的には、本明細書に記載されたナノポアコンジュゲートのナノポアタンパク質単量体は、任意の型の生物学的ナノポアタンパク質単量体であり得る。例えば、ナノポアタンパク質単量体は、アルファ-ヘモリシン(α-HL)単量体、OmpG単量体、または他のタンパク質ナノポア単量体であり得る。ナノポアタンパク質単量体が、例えば、アルファ-ヘモリシンである場合、その結果として生じたナノポアタンパク質コンジュゲートは、アルファ-ヘモリシン/捕獲タグタンパク質コンジュゲートである。
【0020】
[0024]例えば、コンジュゲートを形成するためにアルファ-ヘモリシンナノポア単量体を用いることにより、コンジュゲートのアルファ-ヘモリシン単量体は、他のα-HL単量体とオリゴマー形成し、それにより、七量体ナノポアアセンブリを形成するために利用できる。例えば、七量体アセンブリは、1個のアルファ-ヘモリシン/捕獲タグコンジュゲート、および6個のアルファ-ヘモリシン単量体、例えば、6個の野生型アルファ-ヘモリシン単量体を有し得る。そのような例において、タンパク質コンジュゲートの捕獲タ
グは、電圧の存在下で、七量体ナノポアアセンブリと相互作用するように構成される。ある特定の例において、捕獲タグは、アルファ-ヘモリシン単量体の合成中、アルファ-ヘモリシンとリンカー配列を介して融合され、それにより、ナノポアタンパク質コンジュゲートを形成する。例えば、捕獲タグは、ナノポアが捕獲および放出することができる任意の分子であり、それによって、検出可能な捕獲速度を生じる。
【0021】
[0025]捕獲タグを含むことに加えて、ナノポアタンパク質コンジュゲートは、分析物リガンドと繋がれている。分析物リガンドは、例えば、分析物を結合する任意のリガンドであり得る。ある特定の例において、分析物リガンドは、抗原の存在下にある場合、抗原またはその断片を結合する抗体またはその断片などのナノボディである。分析物リガンドは、ナノポアタンパク質コンジュゲートと、直接的に、またはペプチドリンカー配列を介してなど間接的に結合することができる。例えば、ナノポアタンパク質コンジュゲートは、分析物リガンドをナノポアアセンブリへ繋げるための領域を含み得る。ある特定の例において、ナノポアタンパク質コンジュゲートはSpyTag配列を含み得る。そのような例において、分析物リガンドは、SpyCatcher配列と連結され得る。したがって、分析物リガンドは、ナノポアタンパク質コンジュゲートにSpyTag/SpyCatcher結合を介して繋がれ得る。ある特定の例において、本明細書に記載された捕獲タグは、分析物リガンドと連結され得る。
【0022】
[0026]チップの膜へとアセンブルされた場合、本明細書に記載されているようなナノポアタンパク質コンジュゲートおよび分析物リガンドを含むナノポアタンパク質アセンブリは、流体溶液において分析物を同定し、および/またはその分析物の濃度を決定するために用いることができる。いかなる特定の理論によっても縛られるつもりはないが、チップが、分析物を含有する流体溶液と接触する場合、分析物-リガンド結合ペアの捕獲タグとの近接が、捕獲タグのポアとの相互作用を変化させ、それにしたがって、捕獲タグの捕獲速度に影響すると考えられる。その後、膜の近くにある電極は、捕獲速度の変化を検出することができ、それにしたがって、分析物が分析物リガンドと結合しているという指標、および、したがって、リガンドが流体溶液中に存在するという指標を提供する。さらに、会合/解離速度式を用いて、分析物の濃度を、捕獲タグの捕獲速度に基づいて決定することができる。すなわち、捕獲速度の変化を用いて、分析物についてのKaおよび/またはKdを、および他の公知の変数と共に、決定することができ、その決定されたKaおよび/またはKdを用いて、流体溶液中の分析物の濃度を決定することができる。
【0023】
[0027]他の例において、異なる分析物に方向づけられる異なるナノポアタンパク質アセンブリが、単一のチップ上で用いられ、その同じチップ上で異なる分析物を検出し、および/またはその濃度を決定することができる。そのような例において、異なるナノポアタンパク質アセンブリは、検知電極によって検出可能である異なるシグナルを生じるように構成され得る。例えば、ポアの開口ポアチャネルのサイズ、異なる捕獲タグ、および/または追加の捕獲タグの配置、膜のトランス側などの様々なパラメータを、所定のポアセットが発生するベースラインシグナルを変化させるために用いることができる。そのような構成に関して、例えば、より大きい開口を有するポアは、より小さい開口を有するポアより強いシグナルを提供することができ、それにしたがって、同じチップ上でポアの区別を可能にする。その後、異なるポアは、それらが検出するように構成されている分析物と相関し得、それにしたがって、同じチップ上での異なる分析物の同定を可能にする。さらに、各検出された分析物の濃度は、会合/解離速度式を用いて、本明細書に記載されているように決定することができる。
【0024】
用語の要約
[0028]本発明をここで、以下の定義および例を用いて、参照としてのみ、詳細に記載する。本明細書において他に規定がない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科
学的用語は、当業者により一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと類似したまたは等価の任意の方法および材料が、本発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法および材料が記載される。この発明は、記載された特定の方法論、プロトコール、および試薬に限定されないことは理解されるべきであり、これらは様々であり得るためである。
【0025】
[0029]本明細書に提供された見出しは、全体として本明細書を参照することにより有し得る本発明の様々な態様または実施形態の限定ではない。したがって、すぐ下に定義された用語は、全体として本明細書を参照することによってより完全に定義される。
【0026】
[0030]本明細書で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに他に指図しない限り、複数の指示物を含む。
【0027】
[0031]範囲または値は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして、本明細書で表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、その範囲の1つの特定の値から、および/またはその範囲のその他の特定の値までを含む。その範囲のそれぞれの端点が、他方の端点に関係する場合と、他方の端点とは無関係である場合のどちらにおいても有意であることは、さらに理解される。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似値として表現される場合、その特定の値は別の側面を形成することは理解される。ある特定の例的実施形態において、用語「約」は、所定の測定について当技術分野において一般公差の範囲内、例えば、平均から2標準偏差以内として理解される。ある特定の例的実施形態において、測定に依存して、「約」は、表示された値から10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、0.1%以内、0.05%以内、または0.01%以内として理解することができる。文脈からそうではないことが明らかではない限り、本明細書に提供された全ての数値は、約という用語によって修飾され得る。さらに、「例」、「例示的な」、または「例示された」などの本明細書で用いられた用語は、優先を示すことを意図されず、むしろ、その後に論じられた態様が、単に、提示された態様の1つの例にすぎないことを説明することを意図される。
【0028】
[0032]本明細書で用いられる場合、用語「抗体」は、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖である、4つのポリペプチド鎖で構成される任意の免疫グロブリン(Ig)分子、またはIg分子の必須エピトープ結合の特徴を保持する任意の機能性断片、変異体、バリアント、もしくは誘導体を広く指す。そのような変異体、バリアント、または誘導体の抗体実体は当技術分野において知られている。例えば、抗体の機能性断片は、全体としての抗体から分離された場合、その抗体が方向づけられている抗原を結合し、または部分的に結合する能力を保持する抗体の一部分を含む。例えば、「ナノボディ」は、単一ドメインの抗体断片である。
【0029】
[0033]本明細書で用いられる場合、用語「アミノ酸」は、アミノ基およびカルボン酸基を含有する有機化合物である。ペプチドまたはポリペプチドは、2個以上のアミノ酸を含有する。本明細書における目的のために、アミノ酸には、20個の天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、およびアミノ酸類似体(すなわち、α-炭素が側鎖を有するアミノ酸)が挙げられる。
【0030】
[0034]本明細書で用いられる場合、「ポリペプチド」は、アミノ酸の任意の重合体鎖を指す。用語「ペプチド」および「タンパク質」は、ポリペプチドという用語と交換可能に用いられ、同様に、アミノ酸の重合体鎖を指す。用語「ポリペプチド」は、天然または人工タンパク質、タンパク質断片、およびタンパク質配列のポリペプチド類似体を包含する。ポリペプチドは単量体または重合体であり得、いくつかの修飾を含み得る。一般的に、ペプチドまたはポリペプチドは、長さが2個以上のアミノ酸であり、一般的に、長さが40個以下のアミノ酸である。
【0031】
[0035]本明細書で用いられる場合、「アルファ-ヘモリシン」、「α-ヘモリシン」、「α-HL」、「a-HL」、および「ヘモリシン」は、交換可能に用いられ、七量体の、水で満たされた膜貫通チャネルへと自己アセンブルする単量体タンパク質(すなわち、ナノポア)を指す。文脈によっては、その用語はまた、7個の単量体のタンパク質によって形成された膜貫通チャネルを指し得る。ある特定の例的実施形態において、アルファ-ヘモリシンは、「修飾型アルファ-ヘモリシン」であり、それは、そのアルファ-ヘモリシンが別の(すなわち、親の)アルファ-ヘモリシンから生じ、親アルファ-ヘモリシンと比較して1つまたは複数のアミノ酸変化(例えば、アミノ酸置換、欠失、または挿入)を含有することを意味する。いくつかの例的実施形態において、本発明の修飾型アルファ-ヘモリシンは、天然に存在する、または野生型アルファ-ヘモリシンから生じ、または修飾されている。いくつかの例的実施形態において、修飾型アルファ-ヘモリシンは、組換え型または操作型アルファ-ヘモリシンから生じ、または修飾され、それには、キメラのアルファ-ヘモリシン、融合アルファ-ヘモリシン、または別の修飾型アルファ-ヘモリシンが挙げられるが、それらに限定されない。典型的には、修飾型アルファ-ヘモリシンは、親アルファ-ヘモリシンと比較して少なくとも1つの変化した表現型を有する。ある特定の例的実施形態において、アルファ-ヘモリシンは、「バリアントヘモリシン遺伝子」から生じ、または「バリアントヘモリシン」であり、それは、本明細書に記載された本発明と一貫して、それぞれ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のアルファ-ヘモリシン遺伝子の核酸配列が、そのコード配列を除去、付加、および/もしくは操作することにより変化しており、またはその発現したタンパク質のアミノ酸配列が修飾されていることを意味する。
【0032】
[0036]本明細書で用いられる場合、用語「分析物」または「標的分析物」は、検出、同定、または特徴付けされるべき目的の任意の化合物、分子、または他の物質を広く指す。例えば、用語「分析物」または「標的分析物」は、検出および/または測定されることになっている特定の物質または成分である、目的の任意の生理学的分子または作用物質を含む。ある特定の例的実施形態において、分析物は、目的の生理学的分析物である。追加としてまたは代替として、分析物は、例えば生理学的作用を有する化学物質、または薬物もしくは薬理学的物質であり得る。追加としてまたは代替として、分析物または標的分析物は、環境的物質または他の化学的物質もしくは実体であり得る。用語「作用物質」は、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的材料から作製された抽出物を示すように本明細書で用いられる。例えば、作用物質は細胞毒性物質であり得る。
【0033】
[0037]ある特定の例的実施形態において、用語「分析物」または「標的分析物」は、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、アミノ酸、糖質、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療を目的として投与されるものおよび違法な目的として投与されるものを含む)、脂質、ウイルス粒子、および上記物質のいずれかの代謝産物または上記物質のいずれかに対する抗体を含む。例えば、分析物には、フェリチン;クレアチニンキナーゼMIB(CK-MIB);ジゴキシン;フェニトイン;フェノバルビトール(phenobarbitol);カルバマゼピン;バンコマイシン;ゲンタマイシン;テオフィリン
;バルプロ酸;キニジン;黄体形成ホルモン(leutinizing hormone)(LH);卵胞刺
激ホルモン(FSH);エストラジオール、プロゲステロン;IgE抗体;ビタミン;β(B)2ミクログロブリン;糖化ヘモグロビン(Gly.Hb);コルチゾール;ジギト
キシン;N-アセチルプロカインアミド(NAPA);プロカインアミド;風疹IgGおよび風疹IgMなどの風疹に対する抗体;トキソプラズマ症IgG(Toxo-IgG)およびトキソプラズマ症IgM(Toxo-IgM)などのトキソプラズマ症に対する抗
体;テストステロン;サリシレート;アセトアミノフェン;B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg);抗B型肝炎コア抗原IgGおよびIgMなどのB型肝炎コア抗原に対する抗体(抗HBC);ヒト免疫不全ウイルス1型および2型(HTLV);B型肝炎e抗原(HBeAg);B型肝炎e抗原に対する抗体(抗Hbe);甲状腺刺激ホルモン(TSH);チロキシン(T4);総トリヨードサイロニン(Total T3);遊離トリヨードサイロニン(Free T3);癌胎児抗原(CEA);およびアルファ胎児タンパク質(AF);ならびに乱用薬物および規制物質、例として、非限定的に、アンフェタミン;メタンフェタミン;アモバルビタール、セコバルビタール(seobarbital)、ペントバルビタール、フェノバルビタール、およびバルビタールなどのバルビツレート(barbituates);リブリウムおよびバリウムなどのベンゾジアゼピン;ハシッシュおよびマリファナなどのカンナビノイド;コカイン;フェンタニル(fetanyl);LSD;メタカロン(methapualone);ヘロイン、モルヒネ、コデイン(codine)、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン、およびアヘンなどのオピエート;フェンサイクリジン;ならびにプロポキシフェン(propoxyhene)を挙げることができる。分析物という用語はまた、任意の抗原性物質、ハプテン、抗体、高分子、およびそれらの組合せを含む。
【0034】
[0038]他の例的分析物または標的分析物には、葉酸塩、葉酸RBC、鉄、可溶性トランスフェリン受容体、トランスフェリン、ビタミンB12、乳酸デヒドロゲナーゼ、骨カルシウム、N-MIDオステオカルシン、P1NP、リン、PTH、PTH(1~84)、β(b)-CrossLaps、ビタミンD、心臓アポリポタンパク質A1、アポリポタ
ンパク質B、コレステロール、CK、CK-MB、CK-MB(mass)、CK-MB(mass) STAT、CRP hs、シスタチンC、D-Dimer、心臓ジギトキシン、ジゴキシン、GDF-154、HDLコレステロール直接法、ホモシステイン、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、LDLコレステロール直接法、リポタンパク質(a)、ミオグロビン、ミオグロビンSTAT、NT-proBNP、NT-proBNP STAT、トロポニンI、トロポニンI STAT、トロポニンT hs、トロポニンT hs STAT、凝固AT III、D-Dimer、乱用薬物検査アンフェタミン(エクスタシー)、ベンゾジアゼピン、ベンゾジアゼピン(血清)、カンナビノイド、コカイン、エタノール、メサドン、メサドン代謝産物(EDDP)、メタカロン、オピエート、オキシコドン、3、フェンサイクリジン、プロポキシフェン、アミラーゼ、ACTH、抗Tg、抗TPO、抗TSH-R、カルシトニン、コルチゾール、C-ペプチド、FT3、FT4、hGH、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、IGF-14、インスリン、リパーゼ、PTH STAT、T3、T4、サイログロブリン(Thyreoglobulin)(TG II)、サイログロブリン(Thyreoglobulin)確認、TSH、T-摂取率、受精能抗ミュラー管ホルモン、DHEA-S、エストラジオール、FSH、hCG、hCG plus beta、LH、プロゲステロン、プロラクチン、SHBG、テストステロン、肝臓学AFP、アルカリホスファターゼ(IFCC)、アルカリホスファターゼ(最適化)、3、Pyp有りでのALT/GPT、PypなしでのALT/GPT、アンモニア、抗HCV、Pyp有りでのAST/GOT、PypなしでのAST/GOT、直接ビリルビン、総ビリルビン、アセチルコリンエステラーゼ、3、ブチリルコリンエステラーゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、HBeAg、HBsAg、乳酸デヒドロゲナーゼ、感染性疾患 抗HAV、抗HAV IgM、抗HBc、抗HBc IgM、抗HBe、HBeAg、抗HBsAg、HBsAg、HBsAg確認、HBsAg定量、抗HCV、Chagas 4、CMV IgG、CMV IgG結合力、CMV IgM、HIV combi PT、HIV-Ag、HIV-Ag確認、HSV-1 IgG、HSV-2 IgG、HTLV-I/II、風疹IgG、風疹IgM、梅毒、Toxo IgG、Toxo IgG結合力、Toxo IgM、TPLA(梅毒)、抗CCP、ASLO、C3c、C4、セルロプラスミン、CRP(ラテックス)、ハプトグロビン、IgA、IgE、IgG、IgM、免疫グロブリンA CSF、免疫グロブリンM CSF、インターロイキン6、カッパ軽鎖、遊離カッパ軽鎖6,2,3、ラムダ軽鎖、遊離ラムダ軽鎖6,2,3、プレアルブミン、プロカルシトニン、リウマトイド因子、α1-酸性糖タンパク質、α1-アンチトリプシン、重炭酸塩(CO2)、カルシウム、クロリド、フルクトサミン、グルコース、HbA1c(溶血血液)、HbA1c(全血)、インスリン、ラクテート、LDLコレステロール直接法、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、総タンパク質、トリグリセリド、トリグリセリド グリセロール消去法、総ビタミンD、酸性ホスファターゼ、AFP、CA 125、CA 15-3、CA 19-9、CA 72-4、カルシトニン、Cyfra 21-1、hCG plus beta、HE4、遊離カッパ軽鎖6,2,3、遊離ラムダ軽鎖6,2,3、NSE、proGRP、遊離PSA、総PSA、SCC、S-100、サイログロブリン(Thyreoglobulin)(TG II)、サイログロブリン(Thyreoglobulin)確認、β2-ミクログロブリン、アルブミン(BCG)、アルブミン(BCP)、アルブミン 免疫性、クレアチニン(酵素法)、クレアチニン(Jaffe)、シスタチンC、カリウム、PTH、PTH(1-84)、総タンパク質、総タンパク質、尿/CSF、尿素/BUN、尿酸、α1-ミクログロブリン、β2-ミクログロブリン、アセトアミノフェン(パラセタモール)、アミカシン、カルバマゼピン、サイクロスポリン、ジギトキシン、ジゴキシン、エベロリムス、ゲンタマイシン、リドカイン、リチウム、ISEミコフェノール酸、NAPA、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、プロカインアミド、キニジン、サリシレート、シロリムス、タクロリムス、テオフィリン、トブラマイシン、バルプロ酸、バンコマイシン、抗ミュラー管ホルモン、AFP、β-Crosslaps、DHEA-S、エストラジオール、FSH、遊離βhCG、hCG、hCG plus beta、hCG STAT、HE4、LH、N-MIDオステオカルシン、PAPP-A、PlGF、sFIt-1、P1NP、プロゲステロン、プロラクチン、SHBG、テストステロン、CMV IgG、CMV IgG結合力、CMV IgM、風疹IgG、風疹IgM、Toxo IgG、Toxo IgG結合力、および/またはToxo IgMが挙げられる。
【0035】
[0039]本明細書で用いられる場合、用語「リガンド」または「分析物リガンド」は、別の実体(例えば、受容体)と結合して、より大きい複合体を形成する任意の化合物、分子、分子群、または他の物質を広く指す。例えば、分析物リガンドは、その用語が当技術分野において理解され、本明細書で広く定義されているように、分析物に対する結合親和性を有する実体である。分析物リガンドの例には、ペプチド、糖質、核酸、抗体、または受容体と結合する任意の分子が挙げられるが、それらに限定されない。ある特定の例において、リガンドは、生物学的目的を果たすために、分析物と複合体を形成する。当業者が認識しているように、リガンドとその結合パートナー(例えば、分析物)の間の関係は、電荷、疎水性、および分子構造と相関している。結合は、イオン結合、水素結合、およびファン・デル・ワールス力などの様々な分子間力を介して起こり得る。ある特定の例において、リガンドまたは分析物リガンドは、抗原との結合親和性を有する抗体またはその機能的断片である。
【0036】
[0040]本明細書で用いられる場合、用語「DNA」は、当技術分野において一般的に理解されているように、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチド残基を含む分子を指す。「デオキシリボヌクレオチド」は、β-D-デオキシリボフラノース部分の2’位においてヒドロキシル基を含まず、代わりに水素を含む、ヌクレオチドである。その用語は、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖領域と一本鎖領域の両方を有するDNA、部分的に精製されたDNAなどの単離されたDNA、本質的に純粋なDNA、合成DNA、組換えで産生されたDNA、加えて、1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換、および/または修飾によって天然に存在するDNAとは異なる、変化したDNAまたは類似体DNAを包含する。
【0037】
[0041]本明細書で用いられる場合、用語「連結する(join)」、「連結された(j
oined)」、「連結する(link)」、「連結された(linked)」、または「繋がれた」は、タンパク質をDNA分子と、またはタンパク質をタンパク質と接続することなど、2つ以上の実体を機能的に接続するための、当技術分野において公知の任意の方法を指す。例えば組換え型融合タンパク質において、介在配列またはドメイン有りまたはなしで、1つのタンパク質が別のタンパク質と共有結合を介して連結され得る。共有結合の例は、例えば、SpyCatcher/SpyTag相互作用、システイン-マレイミドコンジュゲーション、またはアジド-アルキンクリックケミストリー、加えて、当技術分野において公知の他の手段を通して、形成され得る。さらに、1個のDNA分子は、別のDNAと、相補DNA配列のハイブリダイゼーションを介して連結され得る。
【0038】
[0042]本明細書で用いられる場合、用語「ナノポア」は、一般的には、膜内に形成された、またはそれ以外の方法で提供されたポア、チャネル、または通路を指す。膜は、脂質二分子層などの有機膜、または重合体材料で形成された膜などの合成膜であり得る。膜は、重合体材料であり得る。ナノポアは、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)または電界効果トランジスタ(FET)回路などの検知回路、または検知回路と結合した電極に隣接して、またはその近くに配置され得る。いくつかの例的実施形態において、ナノポアは、0.1ナノメートル(nm)~約1000nmのような固有幅または直径を有する。いくつかのナノポアはタンパク質である。例えば、アルファ-ヘモリシン単量体は、オリゴマー形成して、タンパク質を形成する。膜は、トランス側(すなわち、検知電極に対面する側)およびシス側(すなわち、対電極に対面する側)を含む。
【0039】
[0043]用語「核酸分子」または「核酸」は、RNA、DNA、およびcDNA分子を含む。遺伝暗号の縮重の結果として、アルファ-ヘモリシンおよび/またはそのバリアントなどの所定のタンパク質をコードする多数のヌクレオチド配列が生じ得ることは理解されると予想される。本開示は、バリアントのアルファ-ヘモリシンをコードするあらゆる可能なバリアントヌクレオチド配列を企図し、そのバリアントヌクレオチド配列の全ては、遺伝暗号の縮重を考慮すれば、可能である。
【0040】
[0044]用語「ヌクレオチド」は、当技術分野において認識されているように、天然の塩基(標準)および当技術分野において周知の修飾型塩基を含むように本明細書で用いられる。そのような塩基は、一般的に、ヌクレオチド糖部分の1’位に位置する。ヌクレオチドは、一般的に、塩基、糖、およびリン酸基を含む。
【0041】
[0045]本明細書で用いられる場合、例えば、合成核酸分子または合成遺伝子または合成ペプチドに関してなどの「合成」は、組換え方法により、および/または化学合成方法により産生される核酸分子またはポリペプチド分子を指す。
【0042】
[0046]本明細書で用いられる場合、組換えDNA方法を用いることによる組換え方法による産生は、クローン化DNAによってコードされるタンパク質を発現するための分子生物学の周知の方法の使用を指す。例えば、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)について標準技術が用いられ得る。酵素反応および精製技術は、製造会社の仕様書にしたがって、または当技術分野において一般的に達成されているように、または本明細書に記載されているように、実施され得る。前述の技術および手順は、当技術分野において周知の通常の方法にしたがって、ならびに本明細書を通して引用され、および論じられている様々な一般的でより具体的な参考文献に記載されているように、一般的には実施され得る。例えば、任意の目的のために参照により本明細書に組み入れられている、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))を参照されたい。
【0043】
[0047]本明細書で用いられる場合、「ベクター」(またはプラスミド)は、異種性核酸をその発現かまたは複製かのいずれかのために細胞へ導入するために用いられる個別のDNAエレメントを指す。ベクターは、典型的には、エピソームのままであるが、遺伝子またはその部分のゲノムの染色体への組込みをもたらすように設計することができる。細菌人工染色体、酵母人工染色体、および哺乳類人工染色体などの人工染色体であるベクターもまた企図される。そのような媒体の選択および使用は当業者によく知られている。
【0044】
[0048]本明細書で用いられる場合、「発現」は、一般的に、核酸がmRNAへ転写され、かつペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質へ翻訳される過程を指す。核酸がゲノムDNAから導き出される場合、発現は、適切な真核生物の宿主細胞または生物体が選択されるならば、mRNAのスプライシングなどのプロセシングを含み得る。
【0045】
[0049]本明細書で用いられる場合、「発現ベクター」は、そのようなDNA断片の発現をもたらす能力があるプロモーター領域などの制御配列と作動可能に連結されているDNAを発現する能力があるベクターを含む。そのような追加のセグメントには、プロモーターおよびターミネーター配列を挙げることができ、任意で、1つまたは複数の複製起点、1つまたは複数の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどを挙げることができる。発現ベクターは、一般的に、プラスミドもしくはウイルスDNAから導き出され、または両方のエレメントを含有できる。したがって、発現ベクターは、適切な宿主細胞への導入により、クローン化DNAの発現を生じる、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、または他のベクターなどの組換えDNAまたはRNA構築物を指す。適切な発現ベクターは、当業者によく知られており、それには、真核細胞および/もしくは原核細胞において複製可能であるもの、ならびにエピソームのままであるもの、または宿主細胞ゲノムへ統合されるものが挙げられる。本明細書で用いられる場合、ベクターにはまた、「ウイルスベクター(virus vectors)」または「ウイルスのベクター(viral vectors)」が挙げられる。ウイルスベクターは、外因性遺伝子と、その外因性遺伝子を細胞へ(媒体またはシャトルとして)移入するように作動可能に連結されている操作型ウイルスである。
【0046】
[0050]用語「宿主細胞」とは、ベクターを含有し、その発現構築物の複製、ならびに/または転写、もしくは転写および翻訳(発現)を支える細胞を意味する。宿主細胞は、大腸菌(E. coli)もしくは枯草菌(Bacillus subtilus)などの原核細胞、または酵母、植物、昆虫、両生類、もしくは哺乳類細胞などの真核細胞であり得る。一般的に、宿主細胞は原核生物、例えば、大腸菌である。
【0047】
[0051]用語「細胞発現」または「細胞遺伝子発現」は、一般的に、細胞において、生物活性ポリペプチドがDNA配列から産生され、かつ生物活性を示す細胞過程を指す。そのようなものとして、遺伝子発現は、転写および翻訳の過程を含むが、遺伝子または遺伝子産物の生物活性に影響を及ぼし得る転写後および翻訳後の過程もまた含み得る。これらの過程は、例えば、RNA合成、プロセシング、および輸送、加えて、ポリペプチド合成、輸送、ポリペプチドの翻訳後修飾を含む。追加として、細胞内でのタンパク質-タンパク質の相互作用に影響する過程もまた、本明細書に定義されているような遺伝子発現に影響し得る。
【0048】
[0052]本明細書で用いられる場合、用語「任意の」または「任意で」は、その後に記載された事象または状況が起こり、または起こらないこと、ならびにその記載が、前記事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、分析物検出複合体をナノポアアセンブリ単量体と連結する任意のステップは、その分析物検出複合体が連結され得、または連結され得ないことを意味する。
【0049】
[0053]本明細書で用いられる場合、用語「リン脂質」は、少なくとも1個のリン基を含む疎水性分子を指す。例えば、リン脂質は、リン含有基、および任意でOH、COOH、オキソ、アミン、または置換型もしくは非置換型アリル基で置換された、飽和または不飽和アルキル基を含み得る。
【0050】
[0054]本明細書で用いられる場合、用語「膜」は、膜タンパク質が埋め込まれている、脂質分子の連続二重層のシートまたは層を指す。膜脂質分子は、典型的には、両親媒性であり、最も自然発生的には、水中に置かれた場合、二分子層を形成する。「リン脂質膜」は、脂質の疎水性頭部が一方向を向き、同時に親水性尾部が反対方向を向くように整列したリン脂質で構成された任意の構造を指す。リン脂質膜の例には、細胞膜の脂質二分子層が挙げられる。
【0051】
[0055]本明細書で用いられる場合、「同一性」または「配列同一性」は、配列の関連において、2つの核酸配列または2つのアミノ酸配列の間での類似性を指し、その配列間での類似性という言葉で表されるが、そうでなければ、配列同一性と呼ばれる。配列同一性は、パーセンテージ同一性(または類似性または相同性)に関して測定される場合が多い;パーセンテージが高ければ高いほど、その2つの配列はより類似している。例えば、80%相同性は、規定のアルゴリズムにより決定された80%配列同一性と同じことを意味し、したがって、所定の配列の相同体は、その所定の配列の長さに関して80%より高い配列同一性を有する。配列同一性のレベルの例として、例えば、所定の配列、例えば、本明細書に記載されているような発明ポリペプチドのいずれか1つについてのコード配列との80%、85%、90%、95%、98%、またはそれより高い配列同一性が挙げられる。
【0052】
[0056]比較のための配列のアラインメントの方法は、当技術分野においてよく知られている。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが以下に記載されている:Smith & Waterman Adv.Appl.Math. 2:482、1981;Needleman & Wunsch J.Mol.Biol. 48:443、1970;Pearson & Lipman Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444、1988;Higgins & Sharp Gene 73:237~244、1988;Higgins & Sharp CABIOS 5:151~153、1989;Corpetら Nuc.Acids Res. 16、10881~90、1988;Huangら Computer Appls. In the Biosciences 8、155~65、1992;およびPearsonら Meth.Mol.Bio. 24、307~31、1994。Altschulら(J.Mol.Biol. 215:403~410、1990)は、配列アラインメント方法および相同性計算の詳細な考察を提示している。
【0053】
[0057]NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら J.Mol.Biol. 215:403~410、1990)は、the National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda、MD)を含むいくつかの発信元から利用可能であり、インターネット上で、例えば、BLASTN、BLASTX、およびTBLASTX、BLASTPおよびTBLASTNなどのBLASTプログラム一式を含む配列解析プログラムと接続して用いられる。
【0054】
[0058]所定の核酸配列をGenBank DNA配列および他の公共データベースにおける核酸配列に対して評価する場合、配列検索は、典型的には、BLASTNプログラムを用いて行われる。全てのリーディングフレームで翻訳されている核酸配列をGenBa
nkタンパク質配列および他の公共データベースにおけるアミノ酸配列に対して検索するためには、BLASTXプログラムが好ましい。BLASTNとBLASTXのどちらも、11.0のオープンギャップペナルティおよび1.0の伸長ギャップペナルティのデフォルトパラメータを用いて実行され、BLOSUM-62マトリックスを利用する(例えば、Altschul,S.F.ら、Nucleic Acids Res. 25:3389~3402、1997参照)。
【0055】
[0059]ある特定の例的実施形態において、2つ以上の配列間の「%同一性」を決定するための、選択された配列の好ましいアラインメントは、例えば、10.0のオープンギャップペナルティ、0.1の伸長ギャップペナルティ、およびBLOSUM 30類似性マトリックスを含むデフォルトパラメータで操作される、MacVector バージョン13.0.7におけるCLUSTAL-Wプログラムを用いて、実施される。
【0056】
[0060]本明細書で用いられる場合、用語「バリアント」は、親タンパク質と比較した場合、変化した特性、例えば、変化したイオン伝導度を示す修飾型タンパク質を指す。
【0057】
[0061]本明細書で用いられる場合、用語「試料」は、その最も広い意味で用いられる。本明細書で用いられる場合、「生物学的試料」には、対象由来など、生きているものまたは以前は生きていたもの由来の任意の量の物質が挙げられるが、それに限定されない。生物学的試料は、インビボまたはインビトロで得られた生物学的組織または流体を源とする試料を含み得る。そのような試料は、非限定的に、生物学的対象から単離された、体液、器官、組織、画分、および細胞に由来し得る。生物学的試料にはまた、例えば、生物学的流体(例えば、血液または尿)からの抽出物など、生物学的試料からの抽出物も挙げることができる。
【0058】
[0062]本明細書で用いられる場合、「生物学的流体」または「生物学的流体試料」は、任意の生理学的流体(例えば、血液、血漿、痰、洗浄液、接眼レンズ液、脳脊髄液、尿、精液、汗、涙、乳、唾液、滑液、腹水、羊水)、加えて、1つもしくは複数の公知のプロトコールを通して流体形へ少なくとも部分的に変換されている固体組織、または流体が抽出されている固体組織を指す。例えば、生検からなどの、液状組織抽出物は、生物学的流体試料であり得る。ある特定の例において、生物学的流体試料は、対象から収集された尿試料である。ある特定の例において、生物学的流体試料は、対象から収集された血液試料である。本明細書で用いられる場合、用語「血液」、「血漿」、および「血清」は、画分またはその処理された部分を含む。同様に、試料が生検、スワブ、スメアなどから採取される場合、「試料」は、その生検、スワブ、スメアなどに由来した、処理画分または部分を包含する。
【0059】
[0063]さらに、「流体溶液」、「流体試料」、または「流体」は、生物学的流体を包含するが、環境試料に存在し得る任意の分析物などの非生理学的成分もまた含み得、かつ包含し得る。例えば、試料は、河川、湖、池、または他の貯水池からであり得る。ある特定の例的実施形態において、流体試料は改変され得る。例えば、流体試料にバッファーまたは保存剤を加えることができ、または流体試料を希釈することができる。他の例的実施形態において、流体試料は、その溶液中の1つまたは複数の溶質の濃度を増加させるために、当技術分野において公知の一般的な手段によって改変することができる。それでも、その流体溶液はなお、本明細書に記載されているような流体溶液である。
【0060】
[0064]本明細書で用いられる場合、「対象」は、脊椎動物を含む動物を指す。脊椎動物は、哺乳類、例えば、ヒトであり得る。ある特定の例において、対象はヒト患者であり得る。対象は、「患者」、例えば、疾患または状態を患っており、または患っているのではないかと疑われる患者であり得、処置もしくは診断を必要とし得、または疾患もしくは状
態の進行についてモニターすることを必要とし得る。患者はまた、効力についてモニターする必要がある処置治療に関与し得る。哺乳類は、例えば、ヒト、チンパンジー、家畜および農業用動物、加えて、動物園、スポーツ、またはペット動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウサギ、ウマ、ヒツジ、ブタなどを含む、哺乳類として分類される任意の動物を指す。
【0061】
[0065]本明細書で用いられる場合、用語「野生型」は、天然に存在する源から単離された場合のその遺伝子または遺伝子産物の特性を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。
【0062】
[0066]本明細書で用いられる場合、アミノ酸残基についての通常の1文字および3文字コードが用いられる。参照しやすいように、配列バリアントは、以下の命名法を用いて記載される:最初のアミノ酸:位置:置換アミノ酸。この命名法にしたがって、例えば、位置17におけるスレオニンのアルギニンによる置換は、Thr17ArgまたはT17Rとして示される。複数の変異は、プラス記号によって分離され、例えば、Thr17Arg+Glu34SerまたはT17R+E34Sは、位置17および34において、スレオニンおよびグルタミン酸をそれぞれ、アルギニンおよびセリンで置換する、変異を表す。
【0063】
例的実施形態
[0067]例的実施形態をここで、一部、添付の図を参照して、詳細に記載する。図が参照される場合、同様の数字は、図を通して同様(ただし、必ずしも同一とは限らない)の要素を示す。
【0064】
ナノポアタンパク質コンジュゲート
[0068]ナノポアタンパク質コンジュゲートを含む組成物が本明細書に提供される。
図1に示されているように、コンジュゲート1は、ある特定の例的実施形態により、捕獲タグ5と連結されているナノポア単量体2を含み得る。ナノポアタンパク質コンジュゲート1はまた、分析物リガンド付着部位4を含み得る。したがって、その結果として生じたナノポアタンパク質コンジュゲート1は、ナノポア単量体ドメイン、分析物リガンド付着ドメイン、および捕獲タグドメインを含み得る。そのようなナノポアタンパク質コンジュゲート1は、例えば、本明細書に記載されているような分析物と、本明細書に記載されているように、相互作用し、かつその検出を促進することができる分析物検出複合体を形成するために用いることができる。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1はまた、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の様々な成分を連結する1つまたは複数のリンカードメイン3を含み得る。
【0065】
[0069]ナノポアタンパク質コンジュゲート1のナノポアタンパク質単量体2は、膜などの基質内に位置する場合、分子のその基質を通っての通過を可能にする任意のナノポアタンパク質を含み得る。ナノポアの例には、タンパク質性もしくはタンパク質に基づいたポアまたは合成ポアが挙げられる。ある特定の例的実施形態において、ナノポアは、1~10nmまたは1~5nmまたは1~3nmの内径を有し得る。タンパク質ポアの例には、例えば、アルファ-ヘモリシン、電位依存性ミトコンドリアポリン(VDAC)、OmpF、OmpG、OmpC、MspA、およびLamB(マルトポリン)が挙げられる(例えば、Rhee,M.ら、Trends in Biotechnology、25(4)(2007):174~181参照)。ある特定の例的実施形態において、ポアタンパク質は、修飾型天然タンパク質または合成タンパク質などの修飾型タンパク質であり得る。
【0066】
[0070]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のナノポアタンパク質単量体2ドメインは、アルファ-ヘモリシン単量体である。したがって、
そのような実施形態において、その結果として生じたナノポアタンパク質コンジュゲート1は、アルファ-ヘモリシンドメイン(すなわち、そのコンジュゲートのアルファ-ヘモリシン単量体部分)、分析物リガンド付着部位4、および捕獲タグ5を含む(
図1)。ある特定の例的実施形態において、そのようなナノポアタンパク質コンジュゲートはまた、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の様々なドメインを連結する1つまたは複数のリンカー領域3を含み得る。
【0067】
[0071]当業者が認識しているように、アルファ-ヘモリシンは、脂質二分子層へとアセンブルして、七量体ポアを形成する水溶性単量体として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって分泌される293アミノ酸のポリペプチドである。例えば、その七量体は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中、最高65℃まで安定である。アルファ-ヘモリシンの、その中央のグリシンリッチ配列における変異誘発または標的化学修飾による変化により、その分子のこの部分が、脂質二分子層を貫き、膜貫通チャネルの管腔を裏打ちすることが実証されている。七量体を通るチャネルは、中央のステムドメイン配列によって与えられたサブユニットあたり2つの鎖を有する、14鎖のβバレルである。
【0068】
[0072]ナノポア単量体2がアルファ-ヘモリシンである例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、配列番号1(野生型アルファ-ヘモリシン)として示される核酸配列によってコードされ得る。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、配列番号1として示される核酸配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列によってコードされ得る。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、配列番号2または配列番号3として示されるアミノ酸配列を有する。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、配列番号2または配列番号3として示される配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有し得る。
【0069】
[0073]ナノポア単量体2がアルファ-ヘモリシンである例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、配列番号16(成熟の親野生型アルファ-ヘモリシン;AAA26598)として示されるアミノ酸配列を有し得る。ある特定の例的実施形態において、本明細書に記載されたナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、配列番号16として示される配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有し得る。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシンドメインは、特定のアルファ-ヘモリシンバリアントであり得る。例えば、アルファ-ヘモリシンバリアントは、配列番号16と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を有し得るが、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
【0070】
[0074]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のナノポアタンパク質単量体2の一部は、外膜タンパク質G(または「OmpG」)単量体である。したがって、そのような実施形態において、その結果として生じたナノポアタンパク質コンジュゲート1は、OmpGドメイン(すなわち、そのコンジュゲートのOmpG単量体部分)、分析物リガンド付着部位4、捕獲タグ5、および、ある特定の例的実施形態においては、1つまたは複数のリンカー領域3を含む。当業者が認識しているように、OmpGは、14鎖のベータ-バレルを形成する34kDaのポリンタンパク質である。例
えば、そのバレルは、グラム陰性細菌において、栄養分、イオン、およびタンパク質の受動的だが、選択的な取り込みおよび分泌を可能にする。そのようなポリンは、一般的に、周辺質側に短いターン、および細胞外側に長いループを有する。しかし、たいていのポリンとは違って、OmpGは単量体として機能すると理解されている。
【0071】
[0075]ナノポア単量体2がOmpG単量体である例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のOmpGドメインは、配列番号6として示される配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有し得る。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のOmpGドメインは、OmpGバリアントであり得る。例えば、OmpGバリアントは、配列番号6と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を有し得るが、1つまたは複数の特定のアミノ酸置換を含み、それにより、OmpGバリアントを形成する。
【0072】
[0076]ナノポアタンパク質コンジュゲート1の捕獲タグ5は、ナノポアアセンブリのポアと、ナノポアアセンブリからの検出可能なシグナルが同定され得るように、相互作用する任意のポリペプチド配列であり得る。例えば、約20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個のリジンアミノ酸などの約30個のリジンアミノ酸のホモ重合体。ある特定の例的実施形態において、捕獲タグは、EPPPタグ(配列番号17)である。ある特定の例的実施形態において、捕獲タグ5は、配列番号8として示されるアミノ酸配列を有し得る。他の例的実施形態において、捕獲タグ5は、配列番号8として示されるアミノ酸配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有し得る。
【0073】
[0077]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1はまた、分析物付着ドメイン4などの分析物リガンドを付着するための領域を含む(
図1)。分析物付着ドメイン4は、例えば、本明細書に記載されているようなナノポアアセンブリの機能に干渉しない、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に沿うどこにでも位置することができる。例えば、分析物付着ドメイン4は、本明細書に記載されているような、ナノポアタンパク質単量体2のナノポアアセンブリへのアセンブリにも、捕獲タグ5のそのアセンブリとの相互作用にも干渉すべきではない。
図1に示されているように、ある特定の例的実施形態において、分析物付着ドメイン4は、ナノポアタンパク質単量体2と捕獲タグ5の間に位置し得る。
【0074】
[0078]ある特定の例的実施形態において、分析物付着ドメイン4は、SpyTagまたはSpyCatcherアミノ酸配列を含み得る。例えば、Liら、J Mol Biol. 2014 Jan 23;426(2):309~17参照。例えば、分析物付着ドメイン4は、配列番号11として示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一であるアミノ酸配列を含み得る。そのような例的実施形態において、SpyTag配列は、分析物リガンドを付着させ、それにより、本明細書に記載されているような分析物検出複合体9を形成するために用いることができる(
図2参照)。他の例的実施形態において、分析物リガンド付着部位4は、分析物リガンドをナノポアタンパク質コンジュゲートに付着させるために用いることができる他の構造またはペプチド配列を含み得る。例えば、分析物リガンド付着部位4は、システイン-マレイミドコンジュゲートまたはアジド-アルキンクリックケミストリーペア、加えて当技術分野において公知の他の連結成分などの他の共有結合性ペアの成分を含み得る。ある特定の例的実施形態において、分析物付着ドメイン4は、分析物リガンドをナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させるための分子ステープル配列を含み得る(下記参照)。
【0075】
[0079]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1はまた、1つまたは複数のリンカー領域3を含み得る(
図1)。例えば、リンカー領域3は、ナノポアタンパク質単量体2をナノポアタンパク質コンジュゲート1の他の機能性領域に連結するが、ナノポアタンパク質コンジュゲートドメインの独立した機能に干渉しない、任意のアミノ酸配列であり得る。例えば、リンカー領域3は、本明細書に記載されているようなナノポアタンパク質アセンブリへのナノポアタンパク質単量体2のアセンブリに干渉しない。リンカー領域3は、本明細書に記載されているようなアセンブリとの捕獲タグ5の会合にも、分析物リガンドの分析物リガンド付着ドメインとの会合にも干渉しない。
【0076】
[0080]ある特定の例的実施形態において、リンカー領域3は、ナノポアタンパク質単量体2を分析物付着ドメイン4に連結するために用いることができる(
図1)。ある特定の例的実施形態において、リンカー領域3は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のアミノ酸を含む。ある特定の例的実施形態において、リンカー領域3は、約1~10個のアミノ酸などの約15個未満のアミノ酸である。ある特定の例的実施形態において、リンカー領域3は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のいずれか1つとして示されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。
【0077】
[0081]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1は、第2のリンカー領域を含み得る(示されていない)。そのような実施形態において、第2のリンカー領域は、本明細書に記載されているようなナノポアタンパク質コンジュゲート1の機能性を保存しながら、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の他の機能性領域を一緒に連結し得る。例えば、第2のリンカー領域は、第1のリンカー領域3を分析物付着ドメイン4に連結し得る。第1のリンカー領域3のように、第2のリンカー領域(示されていない)は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のアミノ酸を含み得る。ある特定の例的実施形態において、第2のリンカー領域は、約1~10個のアミノ酸などの約15個未満のアミノ酸である。ある特定の例的実施形態において、第2のリンカー領域は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のいずれか1つとして示されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。ある特定の例的実施形態において、第1のリンカー領域3および第2のリンカー領域は、ポリヒスチジンタグなどの非機能性タグによって分離され得る。
【0078】
[0082]ある特定の例的実施形態において、本明細書に記載されたナノポアタンパク質コンジュゲート1は、配列番号4として示されるアミノ酸配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する。そのような例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1は、ナノポア単量体2としてのアルファ-ヘモリシン単量体、リンカー領域3、分析物リガンド付着部位4としてのSpyTag配列、ヒスチジンタグ、および捕獲タグ5領域を連続的に含み得る(
図1および配列番号4を参照)。例えば、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアルファ-ヘモリシン単量体ドメインは、配列番号16として示されるアミノ酸配列に対応し得、リンカー領域3は、配列番号12として示されるアミノ酸配列に対応し得る。さらに、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物リガンド付着部位4は、配列番号11(SpyTag配列)として示されるアミノ酸配列に対応し得、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の捕獲タグ5は、配列番号8として示される
アミノ酸配列に対応し得る。
【0079】
[0083]ある特定の例的実施形態において、本明細書に記載されたナノポアタンパク質コンジュゲート1は、配列番号7として示されるアミノ酸配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する。そのような例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1は、ナノポア単量体2としてのOmpG配列、第1のリンカー領域3、ヒスチジンタグ、第2のリンカー領域、分析物リガンド付着部位4としてのSpyTag配列、および捕獲タグ5領域を含み得る。例えば、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のOmpG単量体ドメインは、配列番号6として示されるアミノ酸配列に対応し得、第1のリンカー領域3は配列番号13として示されるアミノ酸配列に対応し得、第2のリンカー領域は、配列番号14として示されるアミノ酸配列に対応し得る。さらに、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物リガンド付着部位4は、配列番号11(SpyTag配列)として示されるアミノ酸配列に対応し得、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の捕獲タグ5は、配列番号8として示されるアミノ酸配列に対応し得る。
【0080】
[0084]ある特定の例的実施形態において、本明細書に記載されたナノポアタンパク質コンジュゲート1は、任意の数のタンパク質修飾を含み得る。当業者が認識しているように、そのような修飾は、例えば、ホスフェート(リン酸化)、糖質(グリコシル化)、ADP-リボシル(ADPリボシル化)、脂肪酸(プレニル化、例えば、ミリストイル化およびパルミチル化が挙げられるが、それらに限定されない)、ユビキチン(ユビキチン化)、およびセントリン(セントリン化;ユビキチン化様タンパク質修飾)を含み得る。翻訳後修飾の追加の例には、メチル化、アセチル化(actylation)、ヒドロキシル化、ヨウ素化、およびフラビン結合が挙げられる。
【0081】
[0085]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の全部または一部を形成するアミノ酸は立体異性体であり得る。追加として、または代替として、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の全部または一部を形成するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸の修飾、天然に存在しないアミノ酸、翻訳後修飾されたアミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化されたアミノ酸、アミノ酸を模倣するようにデザインされた構築物または構造などであり得る。ナノポアタンパク質コンジュゲート1のペプチドを形成するアミノ酸は、天然に存在するタンパク質中に見出される20個の一般的なアミノ酸のうちの1個もしくは複数、または修飾型および異常アミノ酸のうちの1個もしくは複数であり得る。ある特定の例的実施形態において、そのアミノ酸はD-アミノ酸またはL-アミノ酸であり得る。
【0082】
[0086]ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1のアミノ酸配列はまた、1個または複数の修飾型および/または異常アミノ酸を含み得る。修飾型および異常アミノ酸の例には、2-アミノアジピン酸(Aad)、3-アミノアジピン酸(Baad)、β-アミノ-プロピオン酸(Bala、β-アラニン)、2-アミノ酪酸(Abu、ピペリジン酸)、4-アミノ酪酸(4Abu)、6-アミノカプロン酸(Acp)、2-アミノヘプタン酸(Ahe)、2-アミノイソ酪酸(Aib)、3-アミノイソ酪酸(Baib)、2-アミノピメリン酸(Apm)、2,4-ジアミノ酪酸(Dbu)、デスモシン(Des)、2,2’-ジアミノピメリン酸(Dpm)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr)、N-エチルグリシン(EtGly)、N-エチルアスパラギン(EtAsn)、ヒドロキシリジン(Hyl)、アロ-ヒドロキシリジン(AHyl)、3-ヒドロキシプロリン(3Hyp)、4-ヒドロキシプロリン(4Hyp)、イソデスモシン(Ide)、アロ-イソロイシン(Alle)、N-メチルグリシン(MeGly、サルコシン)、N-メチルイソロイシン(Melle)、6-N-メチルリジン(MeLys)、N-メチルバリン(MeVal)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、およびオルニチン(Orn)が挙げられるが、それらに限定されない。修飾型および異常アミノ酸の他の例は、一般的には、Synthetic Peptides:A User’s Guide、第2版、April 2002、Gregory A.Grant編、Oxford University Press;Hruby V J、Al-obeidi F、およびKazmierski W:Biochem J 268:249~262、1990;ならびにToniolo C:Int J Peptide Protein Res 35:287~300、1990(それらの全ての教示は、参照により本明細書に明確に組み入れられている)に記載されている。
【0083】
分析物検出複合体
[0087]
図2は、ある特定の例的実施形態による分析物検出複合体9を示すイラストである。
図2を参照して、ナノポアタンパク質コンジュゲート1は、分析物リガンド8と連結されて、分析物検出複合体9を形成することができる。例えば、分析物リガンド8は、ナノポアタンパク質コンジュゲート1と、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物リガンド付着部位4、例えば、付着メンバー6を介して、連結され得る。ある特定の例的実施形態において、リンカーメンバー7は、分析物リガンド8をナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物付着部位4へ間接的に付着させるために用いることができる。
【0084】
[0088]分析物検出複合体9の分析物リガンド8は、分析物に対する結合親和性を有する任意のリガンドであり得、その分析物は、本明細書に記載されているような任意の分析物である。例えば、分析物リガンド8は、特定の抗原に対する親和性を有する抗体であり得、その抗原が分析物である。この開示を鑑みれば、当業者は理解するように、任意の抗体またはその機能性断片を分析物リガンドとして用いることができる。他の例的実施形態において、分析物検出複合体9の分析物リガンド8は、環境分析物を検出するために用いることができる。ある特定の例的実施形態において、分析物検出複合体9の分析物リガンド8は、複雑な生物学的流体試料、例えば、組織および/または体液において、タンパク質分析物を同定するために用いることができる。
【0085】
[0089]ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド9が方向づけられる分析物は、生物学的試料、パーソナルケア製品、医薬品、水試料、食品試料、飲料試料、大気試料、栄養培地試料、臨床試料などを含む様々な試料型に存在し得る。ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド9が方向づけられる分析物は、試料の他の成分と比較して低濃度で存在し得る。ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド9はまた、分析物の立体構造または機能的性質に基づいて、高分子分析の亜集団を標的にするように用いることができる。分析物リガンド8の例には、例えば、本明細書に定義されたもの、加えて、アプタマー、抗体もしくはその機能性断片、受容体、および/または標的分析物と結合することが知られているペプチドが挙げられる。アプタマーに関して、アプタマーは、DNA、RNA、および/または核酸類似体を含む核酸アプタマーであり得る。ある特定の例的実施形態において、アプタマーは、スキャフォールドへ両端において付着した可変性ペプチドループを含むペプチドアプタマーなどのペプチドアプタマーであり得る。アプタマーは、例えば、特定の標的タンパク質分析物と結合するように、選択することができる。
【0086】
[0090]当業者が認識しているように、分析物と分析物リガンド8は、結合ペアの2つのメンバー、すなわち、2つの異なる分子の1つが第2の分子と化学作用または物理作用を通して特異的に結合する2つの異なる分子を表す。周知の抗原-抗体結合ペアメンバーに加えて、他の結合ペアには、例えば、ビオチンとアビジン、糖質とレクチン、相補性ヌクレオチド配列、相補性ペプチド配列、エフェクターと受容体分子、酵素補因子と酵素、酵素阻害剤と酵素、ペプチド配列とその配列またはそのタンパク質全体に特異的な抗体、ポリマー酸と塩基、色素とタンパク質結合剤、ペプチドと特異的なタンパク質結合剤(例え
ば、リボヌクレアーゼ、S-ペプチド、およびリボヌクレアーゼS-タンパク質)、糖とボロン酸、および結合アッセイにおいて会合を可能にする親和性を有する類似した分子が挙げられる。
【0087】
[0091]さらに、分析物リガンド/分析物の結合ペアは、最初の結合メンバーの類似体であるメンバー、例えば、組換え技術または分子操作により作製された、分析物類似体または結合メンバーを含むことができる。分析物リガンドが免疫反応物である場合には、それは、例えば、抗体、抗原、ハプテン、またはその複合体であり得、抗体が用いられる場合には、それは、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、組換えタンパク質または抗体、キメラ抗体、それらの混合物または断片、加えて、抗体と他の結合メンバーの混合物であり得る。そのような抗体、ペプチド、およびヌクレオチドの調製、ならびにそれらの結合アッセイにおける結合メンバーとしての使用についての適合性の詳細は、当技術分野においてよく知られている。
【0088】
[0092]ある特定の例的実施形態において、
図2に図解されているように、分析物リガンド8は、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に、付着メンバー6およびリンカーメンバー7を介して連結され得る。付着メンバー6は、分析物リガンド8をナノポアタンパク質コンジュゲート1へ直接的または間接的に付着させるために用いることができる任意のタンパク質、核酸配列、または他の実体であり得る。ある特定の例的実施形態において、付着メンバー6は、ナノポアタンパク質コンジュゲートとイソペプチド結合を形成するために用いることができる。例えば、分析物リガンド付着部位4がSpyCatcherドメインまたはSpyTagドメインである場合、対応する付着メンバー6は、それぞれ、SpyTagまたはSpyCatcher配列であり得る。したがって、そのような例的実施形態において、分析物リガンド8は、ナノポアタンパク質コンジュゲート1とSpyCatcher/SpyTagイソペプチド結合を介して繋がれ得る。他の例的実施形態において、付着メンバー6には、システイン-マレイミドコンジュゲートまたはアジド-アルキンクリックケミストリーペアなどの他の共有結合性結合ペアの成分、加えて、トランスグルタミナーゼおよびソルターゼ媒介性付着などの当技術分野において公知の他の連結成分を挙げることができる。
【0089】
[0093]リンカーメンバー7を含む例的実施形態において、リンカーメンバー7は、分析物リガンド8を付着メンバー6に連結するが、本明細書に記載されているような分析物検出複合体9の機能に干渉しない任意の構造であり得る(
図2)。例えば、リンカーメンバーは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のアミノ酸を含むペプチドリンカーであり得る。ある特定の例的実施形態において、リンカーメンバー7は、約1~10個のアミノ酸などの約15個未満のアミノ酸である。ある特定の例的実施形態において、リンカーメンバーは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のいずれか1つとして示されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。
【0090】
[0094]ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド8、リンカーメンバー7、および付着メンバー6は、
図2に図解されているように、連続的に配置され得る。追加としてまたは代替として、分析物リガンド8、リンカー7、および付着メンバー6を、単一の実体として調製し、その後、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物付着ドメイン4と付着させることができる。分析物リガンド8、リンカー7、および付着メンバー6のタンパク質成分の遺伝子融合体は、当業者にとって標準の方法を用いて、それらのタンパク質またはペプチドをコードするDNA配列を発現ベクターへ連結させ、その結果として生じたタンパク質を精製することにより作製することができる。
【0091】
ナノポア構築およびアセンブリ
[0095]
図3を参照して、ある特定の例的実施形態による、分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブリ10が提供される。ナノポアアセンブリ10は、典型的には、脂質膜11などの基質に埋め込まれた多量体タンパク質構造である。ナノポアアセンブリ10のタンパク質サブユニットの少なくとも1つが、本明細書に記載されているようなナノポアタンパク質コンジュゲート1を含む。本明細書に記載されているようなナノポアタンパク質コンジュゲート1を含むことにより、分析物リガンド8がナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着することができる。さらに、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の使用と共に、ナノポアアセンブリ10のナノポアタンパク質サブユニットの少なくとも1つは、捕獲タグ5およびナノポア単量体2を含み、ナノポア単量体2は、他のナノポアサブユニットと相互作用して多量体ナノポアを形成する単量体サブユニットの部分である。例えば、捕獲タグ5は、ポアと相互作用するように利用可能であり、そのポアとの相互作用が、本明細書に記載されているような分析物の存在下で改変され得る。
【0092】
[0096]ナノポアアセンブリ10のナノポアタンパク質コンジュゲート1は、本明細書に記載されたナノポアタンパク質コンジュゲートのいずれかであり得る。例えば、アルファ-ヘモリシンの場合、ナノポアアセンブリは、7個のアルファ-ヘモリシン単量体のオリゴマー(すなわち、七量体ナノポアアセンブリ)である。七量体ナノポアアセンブリの単量体アルファ-ヘモリシンサブユニットは、同じポリペプチド配列の同一のコピーであり得、またはそれらは、アルファ-ヘモリシンサブユニットの少なくとも1個が、本明細書に記載されているような捕獲タグ5と会合する限り、異なるアルファ-ヘモリシンポリペプチド配列であり得る。例えば、ナノポアアセンブリは、(合計7個のオリゴマー形成されたアルファ-ヘモリシンサブユニットとして)1個のナノポアタンパク質コンジュゲート1、および捕獲タグ5と連結されていない6個のアルファ-ヘモリシン単量体を含み得る。そのような実施形態において、7個のサブユニットのそれぞれのアルファ-ヘモリシンドメインは同じであり得、またはアルファ-ヘモリシンは、アルファ-ヘモリシン単量体とそのバリアントの混合物であり得る。
【0093】
[0097]ある特定の例的実施形態において、ナノポアアセンブリ10のナノポアタンパク質コンジュゲート1(七量体の「1個」の成分)は、配列番号4として示される配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い同一性を有するアミノ酸配列である。さらに、ある特定の例的実施形態において、他のナノポア単量体のうちの1個または複数(すなわち、七量体の「6個」の成分のうちの1個または複数)は、配列番号5として示される配列と60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。
【0094】
[0098]ナノポアアセンブリ2は、当技術分野において公知の任意の方法により調製することができる。例えば、本明細書に記載されたナノポアアセンブリは、WO2014/074727に記載された方法にしたがって、アセンブルされ得、そのWO2014/074727は、規定数の修飾型サブユニットを有する多量体タンパク質を形成するための方法を提供する(WO2014/074727の
図27参照;PCT/EP2017/057433もまた参照)。ある特定の例的実施形態において、ナノポアアセンブリ10は、ナノポアタンパク質コンジュゲート1をナノポアタンパク質単量体と混合することにより形成することができる。例えば、アルファ-ヘモリシンナノポアの場合、界面活性剤(例えば、デオキシコール酸)が、アルファ-ヘモリシン単量体をポア立体構造の形をとるように誘発することができる。ナノポアはまた、例えば、脂質(例えば、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPhPC)または1,2-ジ-0-フィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DoPhPC))および中等度の温度(例えば、約100℃未満)を用いて、形成することができる。場合によっては、DPhPCをバッファー溶液と混合することが、大型多層状ベシクル(LMV)を生じ、この溶液にアルファ-ヘモリシンサブユニットを加えて、その混合物を40℃で30分間、インキュベートすることが、ポア形成を生じる。
【0095】
[0099]本明細書に記載された方法およびシステムは捕獲タグ5のナノポアセンブリ10との相互作用に依存するため、ナノポアセンブリ10と会合した単一の捕獲タグ5のみを有することが(複数の捕獲タグ5よりむしろ)有益であり得る。OmpGアセンブリなどの非多量体ナノポアアセンブリに関して、OmpGナノポアドメインを含む単一のナノポアタンパク質コンジュゲート1が、ナノポアアセンブリを形成するために用いることができる。アルファ-ヘモリシンナノポアアセンブリなどの多量体ナノポアアセンブリの場合、ナノポアアセンブリ10は、単一のナノポアタンパク質コンジュゲート1のみが、そのアセンブリ内に含まれる(および、したがって、単一の捕獲タグ5のみが存在する)ように調製することができる。
【0096】
[00100]ある特定の例的実施形態において、SpyTagドメインなどの、ナノポアタ
ンパク質コンジュゲート1の分析物リガンド付着部位4は、単一のナノポアタンパク質コンジュゲート1(および、したがって、単一の捕獲タグ5)を含むアルファ-ヘモリシン七量体について選択するために用いることができる。例えば、ナノポアタンパク質コンジュゲート1をアルファ-ヘモリシンタンパク質単量体と混合することが、0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個のナノポアタンパク質コンジュゲートを有する七量体を生じる。しかし、各七量体と会合した異なる数(0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個)のSpyTag配列のために、七量体は異なる電荷を有する。したがって、ある特定の例的実施形態において、七量体は、陽イオン交換クロマトグラフィでの溶出によるなど、当技術分野において公知の方法によって分離することができる。その後、溶出した画分は、どの画分が単一のSpyTagを有するアセンブリを含むかを決定するために調べることができる。PCT/EP2017/057433参照。
【0097】
[00101]どの七量体画分が単一のSpyTagを含有する(および、したがって、七量
体あたり単一のポリメラーゼ/SpyCatcher融合タンパク質のみを結合する能力がある)かを決定するのに様々な方法が適し得るが、ある特定の例的実施形態において、異なる七量体画分は、SDS-PAGEによるなどの分子量に基づいて分離することがで
きる。その後、各画分と会合したSpyTagの存在を確認するために試薬が用いられ得る。例えば、参照により本明細書に明確に組み入れられている、PCT/EP2017/057433に記載されているように、SDS-PAGEによる分離前に、SpyCat
cher-GFP(緑色蛍光タンパク質)が画分に加えられ得る。
【0098】
[00102]より少ない数のナノポアタンパク質コンジュゲート(および、したがって、よ
り少ないSpyTag)を有する七量体は、より多い数のナノポアタンパク質コンジュゲート(および、したがって、より多いSpyTag)を有する七量体より小さいため、単一のSpyTag、および、したがって、単一のナノポアタンパク質コンジュゲート1を有する画分は、そのバンドに対応するSDS-PAGEゲルにおいて、最も遠いバンド泳動およびGFP蛍光の存在によって証明されるように、同定することができる。例えば、7個のアルファ-ヘモリシン単量体を含有する(しかし、ナノポアタンパク質コンジュゲートを含まない)画分は、最も遠くに泳動するが、その七量体に結合したSpyTagの非存在のためにSpyCatcher-GFPと混合した場合に蛍光を発しないと予想される。しかし、単一のSpyTagを含有する画分は、(他の蛍光バンドと比較して)その次に最も遠く泳動し、かつ蛍光を発し、それにより、単一のナノポアタンパク質コンジュゲート1(および、したがって、単一の捕獲タグ5)を含有する画分の同定を容易にする。PCT/EP2017/057433参照。追加の捕獲タグ5を有するナノポアセンブリが望まれ得る例的実施形態において、そのような泳動シフト分析が同様に、0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個のナノポアタンパク質コンジュゲート1(および、したがって、0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個の捕獲タグ5)を有するアルファ-ヘモリシンナノポア画分を同定するために用いることができる。
【0099】
分析物検出複合体を形成するための分析物リガンドの付着
[00103]分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブリ10を調製するために(
図3)
、分析物リガンド8をナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させる。ある特定の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1が膜へ組み入れられる前に、分析物リガンド8を、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させることができる。他の例的実施形態において、ナノポアタンパク質コンジュゲート1が膜へ組み入れられた後に、分析物リガンド8をナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させることができる。例えば、ナノポアアセンブリ10が、OmpG単量体などの他の単量体とオリゴマー形成しないポリン単量体を含む場合、ナノポアタンパク質コンジュゲート1が脂質膜へ組み入れられる前に、またはナノポアタンパク質コンジュゲート1がその膜へ組み入れられた後に、分析物リガンド8を、OmpGナノポアタンパク質単量体2を含むナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させることができる。
【0100】
[00104]同様に、ナノポアアセンブリ10が、例えば、アルファ-ヘモリシンナノポア
である場合、ナノポアタンパク質コンジュゲート1が多量体ナノポアアセンブリ10へ組み入れられる前または後に、分析物リガンド8を、アルファ-ヘモリシンナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させることができる。例えば、アルファ-ヘモリシン七量体ナノポアは、アルファ-ヘモリシンナノポアタンパク質単量体2を有する単一のナノポアタンパク質コンジュゲート1を含むように、本明細書に記載されているようにアセンブルされ得る。その後、アルファ-ヘモリシン七量体ナノポアのアセンブリの後、そのナノポアアセンブリ10がアセンブルされた後、分析物リガンド8を、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させ、それにより、ナノポアの一部としての分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブリ10を形成することができる。他の例的実施形態において、アルファ-ヘモリシン七量体ナノポアアセンブリの形成前に、分析物リガンド8を、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させることができる。その後、アルファ-ヘモリシン分析物検出複合体9を、本明細書に記載されているような他のナノポアタンパク質単量体と混合して、アルファ-ヘモリシンナノポアアセンブリ10を形成することができる。
【0101】
[00105]分析物リガンド8は、当技術分野において公知の任意の方法により、ナノポア
タンパク質コンジュゲート1(および、したがって、ナノポアアセンブリ10)に付着させることができる。ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド8をナノポアタンパク質コンジュゲート1に付着させることは、一般的に、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物リガンド付着部位4としてリンカー配列またはリンカー分子を含むことを含む。その後、分析物リガンド8が、分析物リガンド付着部位4のリンカー配列への付着メンバー6の付着を介して、分析物リガンド付着部位4に付着することができる。例えば、付着メンバー6は、ナノポアタンパク質コンジュゲート1の分析物リガンド付着部位4に分析物リガンド8を連結するように、分析物リガンド付着部位4と結合し、または相互作用する配列または他の分子であり得る。
【0102】
[00106]追加としてまたは代替として、分析物リガンド8を、ナノポアタンパク質コン
ジュゲート1に、任意の適切な化学作用(例えば、共有結合および/またはリンカー)を用いて、付着させることができる。ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド8を、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に、分子ステープルを用いて付着させる。ある
特定の例的実施形態において、分子ステープルは、3つのアミノ酸配列(リンカーA、B、およびCと表示される)を含む。リンカーAは、ナノポアタンパク質コンジュゲート1から、例えば、分析物リガンド付着部位4から伸び得る。リンカーBは、分析物リガンド8から、例えば、分析物リガンド8と会合した付着メンバー6から伸び得る。そして、リンカーCは、リンカーAとリンカーBを(例えば、リンカーAとリンカーBの両方に巻き付くことにより)結合し、それにしたがって、分析物リガンド8をナノポアタンパク質コンジュゲート1に連結することができる。リンカーCはまた、リンカーAまたはリンカーBの一部であるように構築することができ、したがって、リンカー分子の数が減らされる。
【0103】
[00107]ある特定の例的実施形態において、生理学的条件下で自発的に共有結合性イソ
ペプチド結合を形成するSpyTag/SpyCatcher系が、ナノポアタンパク質コンジュゲート1を分析物リガンド8に連結するために用いることができる。例えば、Liら、J Mol Biol. 2014 Jan 23;426(2):309~17参照。例えば、分析物リガンド付着部位4としてSpyTagドメインを有するナノポアタンパク質コンジュゲート1が発現し得る。さらに、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に連結されるべき分析物リガンド8は、付着メンバー6としてSpyCatcherドメインを含み得る。SpyTag/ナノポアタンパク質コンジュゲート1をSpyCatcher/分析物リガンド8と混合することにより、SpyTagおよびSpyCatcherタンパク質は相互作用して、共有結合性イソペプチド結合を介して分析物リガンド8に連結されているナノポアタンパク質コンジュゲート1を形成し、それにより、本明細書に記載されているような分析物検出複合体9を形成する。例えば、Liら、J Mol
Biol. 2014 Jan 23;426(2):309~17参照。
【0104】
分析物を検出するためのシステムおよび方法
[00108]本明細書に記載されているような分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブ
リ10を用い、かつそれに頼ることにより、ある特定の例的実施形態において、流体溶液などの試料において分析物を検出するためのシステムおよび方法が提供される。分析物を検出するために、ある特定の例的実施形態において、分析物検出複合体10を含むナノポアアセンブリ10は、膜内に埋め込まれ、検知電極が、その膜に隣接して、またはその近くに位置づけられる。例えば、本明細書に記載されたナノポアアセンブリ10は、集積回路などの検知回路の検知電極に隣接して配置された膜内に形成されるか、またはそれ以外の方法で埋め込まれ得る。集積回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る。ある特定の例的実施形態において、集積回路は、電界効果トランジスタまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)である。検知回路は、ナノポアを含むチップもしくは他のデバイスに、またはオフチップ構成としてなどチップもしくはデバイスから離れて、置くことができる。半導体は、任意の半導体であり得、それには、非限定的に、IV族(例えば、シリコン)およびIII-V族半導体(例えば、ガリウムヒ素)が挙げられる。本明細書に記載された組成物および方法にしたがって用いることができる装置およびデバイス設定について、例えば、WO2013/123450(その全内容は参照により本明細書に明確に組み入れられている)を参照されたい。
【0105】
[00109]当業者が認識しているように、ポアに基づいたセンサー(例えば、バイオチッ
プ)は、単一分子の電子的問い合わせ分析について用いることができる。ポアに基づいたセンサーは、検知電極に隣接してまたはその近くに配置される膜内に形成される本明細書に記載されているようなナノポアアセンブリ10を含み得る。センサーは、例えば、対電極を含み得る。膜は、トランス側(すなわち、検知電極に対面する側)およびシス側(すなわち、対電極に対面する側)を含む。したがって、膜内に配置されるナノポアアセンブリもまた、トランス側(すなわち、検知電極に対面する側)およびシス側(すなわち、対電極に対面する側)を含み得る。分析物検出複合体9の分析物リガンド8は、例えば、膜
のシス側に位置する。
【0106】
[00110]分析物を検出するために、本明細書に提供された方法、システム、および組成
物は、捕獲タグ5のナノポアアセンブリ10による捕獲速度の測定および分析に依存する。捕獲事象は、全体として本明細書に組み入れられている、「Period-to-Period Analysis of AC Signals from Nanopore Sequencing」という名称である、WO/2017/220732に記載されているように、期間対期間(またはp2p)の差分法を用いて同定することができる。簡単に延べれば、捕獲事象は、ACサイクルの明期部分または暗期部分のいずれかのADCシグナルが、閾値p2p差分値より上である場合に検出される。時間の任意の所定のスライドウィンドウにおける捕獲事象の数が、捕獲速度を示す。捕獲タグが正味負電荷を有する場合、捕獲は、ACサイクルの明期部分にあり、一方、正味正電荷を有する捕獲タグは、ACサイクルの暗期部分で捕獲されると予想される。WO/2017/220732参照。
【0107】
[00111]ある特定の例的実施形態において、ナノポアアセンブリ10およびその会合し
た分析物検出複合体9が膜内に配置された時点で(
図3参照)、捕獲タグ5の第1の捕獲速度が検知電極によって決定され得る。第1の捕獲速度は、例えば、結合される分析物リガンド8単独の存在下での(すなわち、分析物リガンドと結合されることになっている分析物の存在なしでの)捕獲タグ5の捕獲速度に対応する。すなわち、本明細書で用いられる場合、第1の捕獲速度は、分析物リガンド8が結合親和性を有する任意の分析物を分析物リガンドが結合する前の、ナノポアアセンブリ10による捕獲タグ5の捕獲速度に対応する。したがって、第1の捕獲速度は、ナノポアアセンブリを含むチップが、分析物を含む試料と接触する前に決定され得る。他の例的実施形態において、第1の捕獲速度は、分析物が分析物検出複合体の分析物リガンド8から解離しているポアの状態を表す。いずれにしろ、第1の捕獲速度は、分析物リガンドが非結合状態である(すなわち、リガンドが結合していない)、分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブリ10を示し得る。
【0108】
[00112]ある特定の例的実施形態において、第1の捕獲速度は、分析物リガンド8がナ
ノポアタンパク質コンジュゲート1、および、したがって、ナノポアアセンブリと結合しているという指標を提供するために、ベースライン捕獲速度から区別することができる。例えば、分析物リガンド8が、ナノポアの形成後、ナノポアタンパク質コンジュゲート1と連結される例的実施形態において、ナノポアの捕獲速度は、分析物リガンド8がナノポアタンパク質コンジュゲート1に連結される前に決定され得る。すなわち、ナノポアの捕獲速度は、分析物リガンド8の非存在下で決定され得る。その後、分析物リガンド8が、ナノポアタンパク質コンジュゲート1に連結されて、分析物検出複合体9を形成することができ、第1の捕獲速度がそのナノポアから決定され得る。
【0109】
[00113]いかなる特定の理論にも縛られるつもりはないが、本明細書に記載されている
ようなナノポアタンパク質コンジュゲート1への分析物リガンド8の付着に関して、分析物リガンド8と捕獲タグ5との近接が、捕獲タグ5のナノポアとの相互作用を変化させると考えられる。例えば、分析物リガンド8が、捕獲タグ5のナノポアとの会合を立体的に邪魔し得る。したがって、ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド8の存在が、捕獲タグ5のナノポアアセンブリ10による捕獲速度を減少させ得る。ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド8の存在が、捕獲タグ5のナノポアアセンブリによる捕獲速度を増加させ得る。いずれにしろ、そのような捕獲速度の増加または減少が、例えば、第1の捕獲速度(すなわち、分析物リガンド8がナノポアタンパク質コンジュゲート1と結合している)をベースライン捕獲速度(分析物リガンドはナノポアタンパク質コンジュゲート1と結合していない)と比較することにより、決定することができる。例えば、ベースライン捕獲速度と第1の捕獲速度の間でのそのような捕獲速度の変化は、ある特定の例的実施形態において、分析物リガンド8が、ナノポアタンパク質コンジュゲート1と成功裏に結合しているという指標を提供し得る。
【0110】
[00114]ある特定の例的実施形態において、第1の捕獲速度(すなわち、分析物リガン
ド8が結合している)とベースライン捕獲速度(分析物リガンド8が付着しているが、分析物は結合していない)の差は、捕獲タグ5への干渉のレベルに基づいて非常に変動しやすいと考えられる。ある特定の例的実施形態において、第1の捕獲速度は、ベースライン捕獲速度より約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%大きいか、またはそれより大きくてもよい。ある特定の例的実施形態において、第1の捕獲速度は、ベースライン捕獲速度と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、もしくは200%減少しているか、またはそれより多く減少していてもよい。
【0111】
[00115]第1の捕獲速度を決定した後、ナノポアアセンブリ10および会合した分析物
検出複合体9を含有するチップを、標的分析物について試験される試料溶液などの流体溶液と接触させ得る。標的分析物の存在について流体溶液を試験するために、流体溶液を、ナノポアアセンブリ10を含むチップに渡って流し、それにより、ナノポアアセンブリ10を流体溶液と接触させることができる。例えば、ナノポアアセンブリ10は、本明細書に記載されているような少なくとも1つの分析物検出複合体9を含むように配置され、分析物検出複合体9の分析物リガンド8が標的分析物に対する結合親和性を有する。流体を、ナノポアに渡って流した場合、(存在する場合)標的分析物は、分析物リガンド8と相互作用することができ、それにより、分析物リガンド8を結合することができる。逆に、標的分析物が流体溶液に存在しない場合には、そのような分析物リガンド8との結合は起こり得ない。試験され得る流体溶液は、例えば、標的分析物を含む(または含む可能性がある)、本明細書に記載されているような任意の生物学的流体、流体試料、または他の試料を含み、またはそれからなり得る。
【0112】
[00116]ナノポアアセンブリが流体溶液と接触した時点で、捕獲タグ5のナノポアアセ
ンブリ10による第2の捕獲速度が決定され得る。その後、第2の捕獲速度は、分析物検出複合体9の分析物リガンド8が標的分析物と結合したかどうかという指標を提供し得る。したがって、第2の捕獲速度は、標的分析物が、試験された流体溶液に存在するかどうかという指標を提供し得る。例えば、標的分析物が分析物リガンド8と結合している場合、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度とは異なり得る。ある特定の例的実施形態において、分析物が分析物リガンド8と結合している場合、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度に対して増加し得る。他の例的実施形態において、標的分析物が分析物リガンド8と結合している場合、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度に対して減少し得る。いずれにしろ、第1の捕獲速度と比較した場合の、異なる第2の捕獲速度は、標的分析物がナノポアアセンブリ10の分析物リガンド8と結合している(および、したがって、標的分析物が流体溶液に存在する)という指標を提供し得る。
【0113】
[00117]いかなる特定の理論にも縛られるつもりはないが、標的分析物の分析物リガン
ド8との結合に関して、標的分析物/分析物リガンドの結合ペアと捕獲タグ5との近接が、捕獲タグ5のナノポアとの相互作用を変化させると考えられる。例えば、標的分析物/分析物リガンドの結合ペアは、捕獲タグ5のナノポアとの会合を立体的に邪魔し、それにより、(第1の捕獲速度に対して)減少した第2の捕獲速度を生じ得る。あるいは、やはり再び、いかなる特定の理論にも縛られるつもりはないが、ある特定の例的実施形態において、(結合ペアを形成し得る)標的分析物と分析物リガンド8の結合は、(結合した分析物がない)分析物リガンド8単独によって課せられる立体障害を低下させ、それにより、(第1の捕獲速度に対して)増加した第2の捕獲速度を生じ得る。したがって、第1の捕獲速度から第2の捕獲速度への捕獲速度の変化は、流体溶液において分析物を検出するために用いることができる。
【0114】
[00118]ある特定の例的実施形態において、第2の捕獲速度(すなわち、分析物が存在
し、かつ結合している)と第1の捕獲速度(分析物リガンド8が付着しているが、分析物は結合していない)の間の差は、捕獲タグ5への干渉のレベルに基づいて非常に変動しやすいと考えられる。ある特定の例的実施形態において、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度より約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、もしくは200%より大きいか、またはそれより大きくてもよい。ある特定の例的実施形態において、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、もしくは200%減少しているか、またはそれより多く減少していてもよい。
【0115】
[00119]ある特定の例的実施形態において、分析物を検出することに加えて、検出され
た分析物の特定の同一性が、分析物リガンド8の同一性に基づいて決定することができる。例えば、分析物リガンド8が、特定のペプチドへ方向づけられたナノボディであり、かつ第2の捕獲速度が、そのペプチドが、試験された試料に存在するという指標を提供したならば、試料に存在するペプチドの同一性が決定され得る。換言すれば、分析物を検出するために本明細書に記載されているように用いられる任意の公知の分析物リガンド8が、分析物の同一性を決定するために用いることができる。
【0116】
[00120]この開示に基づいて当業者が認識しているように、本明細書に記載された方法
、システム、および組成物は、様々な実践的適用に用いることができる。例えば、本明細書に記載された方法、システム、および組成物は、未知の分析物についての試料のスクリーニングを促進するために用いることができる。そのような例的実施形態において、分析物検出複合体9は、分析物リガンド8として公知の細胞受容体の結合ドメインを含むように構成することができる。ナノポアアセンブリ10を含むチップに適用される流体溶液は、例えば、その受容体の潜在的アゴニストまたはアンタゴニストなどの分析物を含有する画分の1つまたは複数を有する、複数の画分のうちの1つであり得る。本明細書に記載されているような各画分を試験することにより、分析物リガンド8(すなわち、受容体ドメイン)に対する分析物を含む画分が決定され得る。
【0117】
[00121]ある特定の例的実施形態において、本明細書に記載された方法、組成物、およ
びシステムは、単一のチップ上で、単一の流体試料における複数の異なる分析物の存在についてスクリーニングするために用いることができる。当業者が認識しているように、現在のチップテクノロジーは、単一チップ上の何十万個(またはそれより多く)ものナノポアの沈着を可能にする。したがって、本明細書に記載された方法および組成物を用いるこ
とにより、それぞれが分析物検出複合体を含む複数の異なるナノポアアセンブリ10は、複数の異なる分析物について流体試料を試験するために同じチップ上で用いることができる。例えば、ナノポアアセンブリ10の個々のセットが、各セットが異なる分析物を検出するように配置されて、本明細書に記載されているようにアセンブルされ得る。
【0118】
[00122]そのような例的実施形態において、ナノポアアセンブリ10の1つのセットは
、分析物Aに対する分析物リガンド8を含み得、一方、ナノポアアセンブリ10の別のセットは、分析物Bに対する分析物リガンド8を含み得る。分析物C、D、E、Fなどに対して方向づけられたものなど、複数の他のナノポアアセンブリ10が、同様に、同じチップ上に配置され得、その結果、チップは、複数の異なる分析物を検出することができる。ある特定の例的実施形態において、ベースライン捕獲速度は、各ナノポアアセンブリについて決定され得、ベースライン捕獲速度は、分析物リガンド8が本明細書に記載されているようなナノポアタンパク質コンジュゲート1と連結されているという指標を提供するために、本明細書に記載されているように第1の捕獲速度と比較することができる。
【0119】
[00123]追加としてまたは代替として、単一の流体試料を、本明細書に記載されている
ようなチップ(および、したがって、複数の異なるナノポアアセンブリ)と接触させることができる。その後、ナノポアアセンブリ10のそれぞれについて、第2の捕獲速度が、本明細書に記載されているように、決定され、第1の捕獲速度と比較され、それにしたがって、ナノポアアセンブリ10の各異なるセットについての異なる分析物リガンドの検出を可能にすることができる。その後、各ポアについて、第2の捕獲速度は、それに対して、そのポアの分析物リガンド8が方向づけられている標的分析物が試料に存在するかどうかという指標を提供することができる。したがって、複数のポアは、複数の異なる分析物を検出するために用いることができる。
【0120】
[00124]チップ上に配置された異なるナノポアアセンブリを区別するために、様々な技
術を用いることができ、かつ利用可能である。例えば、ナノポアアセンブリの異なる群に異なる捕獲タグ5を用いることができ、その結果、異なるベースライン捕獲速度が、異なるナノポアアセンブリ10を同定するために用いることができる。例えば、公知のベースライン捕獲速度を有する捕獲タグ5は、分析物Aに方向づけられたナノポアアセンブリ10の1つのセットに関して用いることができ、一方、異なるベースライン捕獲速度を有する異なる捕獲タグ5が、分析物Bに方向づけられたナノポアアセンブリ10のセットと共に用いることができる。その後、その2つの異なるナノポア集団は、異なるベースライン捕獲速度によって区別することができる。
【0121】
[00125]追加としてまたは代替として、より小さいまたはより大きいポアサイズを有す
るポアなどの異なるポアタイプを用いることができ、当技術分野において公知の技術に基づいて容易に区別することができる。そのような構成に関して、例えば、より大きい開口を有するナノポアは、より小さい開口を有するポアより大きい電流シグナルを与え、それにしたがって、同じチップ上でのポアの区別を可能にすることができる。その後、異なるポアは、それらが検出するように構成されている分析物と相互に関連付けられ、それにしたがって、同じチップ上で異なる分析物の同定を可能にすることができる。区別の他の方法には、捕獲タグの遮断レベル、本明細書に記載されているような分析物の非存在下での捕獲タグ捕獲の速度、およびナノポアの電流-電圧プロファイルが挙げられる。
【0122】
[00126]他の例的実施形態において、1つまたは複数の異なる捕獲タグが、ナノポアの
トランス側に位置し、それにより、異なるポアのセットを同じチップ上で区別することができるという追加の方法を提供することができる。そのような例において、第2の捕獲タグが、ナノポアのトランス側に付着して、ACサイクルの暗期中に遮断を生じ得る。これらの暗期側捕獲もまた、捕獲の速度および捕獲タグのレベルによりお互いから区別され得
る。WO/2017/220732参照。
【0123】
[00127]
図4A~4Cは、ある特定の例的実施形態により、ベースライン捕獲速度、第
1の捕獲速度、および第2の捕獲速度と関連しているナノポアアセンブリの様々な状態を示すイラストである。
図4Aに示されているように、ナノポアアセンブリは、捕獲タグ(すなわち、図示されているようなペプチドタグ5)と共に、(
図1に示されているような)ナノポアタンパク質コンジュゲート1を含む。点線は、ペプチドタグとナノポアのポアとの相互作用を図示し、その相互作用は、結果として、検出可能なベースライン捕獲速度を生じる。示されているように、分析物リガンド(例えば、ナノボディ)は、ナノポアアセンブリにまだ連結されていない(
図4A)。
図4Bに示されているように、ナノポアアセンブリは、(
図1に記載されているような)ナノポアタンパク質コンジュゲート1を、付着したナノボディ8と共に含む。したがって、ナノポアアセンブリは、本明細書に記載されているような分析物検出複合体を含む。捕獲タグ(すなわち、ペプチドタグ5)もまた示され、点線が捕獲タグのナノポアとの相互作用を示し、その相互作用の結果として、検出可能な第1の捕獲速度を生じる(
図4B)。
図4Cに示されているように、分析物(例えば、抗原)が、分析物検出複合体の分析物リガンド(例えば、ナノボディ8)とここで、結合しており、その結果として、捕獲タグの検出可能な第2の捕獲速度(図示されているように、ペプチドタグの捕獲)を生じる。
【0124】
分析物濃度を決定するための方法
[00128]分析物を検出および同定することに加えて、本明細書に記載された方法、シス
テム、および組成物は、流体溶液中の分析物の濃度を決定するために用いることができる。例えば、第1の捕獲速度および第2の捕獲速度は、それぞれ、非結合状態から分析物が結合した状態へ遷移する所定のナノポアに対応するため、第1の捕獲速度から第2の捕獲速度へ、そして、第1の捕獲速度へ戻る、捕獲速度の変化は、分析物リガンドと分析物の間での会合/解離速度を決定するために用いることができる。その後、分析物リガンドと分析物の間の公知の結合特性に加えて、会合/解離速度が、試料中の分析物についての濃度情報を決定するために、公知の速度論的方法と共に用いることができる。
【0125】
[00129]分析物の濃度を決定するために、本明細書に記載されているような分析物の存
在を検出するための方法を実施することができ、分析物/リガンドのペアの間での会合/解離速度が、第1および第2の捕獲速度遷移から決定される。例えば、本明細書に記載されているような分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブリ10は、チップの膜内に配置される。その後、1つまたは複数の検知電極が、分析物検出複合体9を含むナノポアアセンブリ10の近くに置かれる。その後、第1の捕獲速度が、本明細書に記載されているようなナノポアアセンブリ10について決定され、その第1の捕獲速度が、結合した分析物の非存在下で分析物リガンド8がナノポアアセンブリ10のナノポアタンパク質コンジュゲート1と結合しているポア状態に対応する。
【0126】
[00130]その後、チップ(および、したがって、その上に配置されたナノポアアセンブ
リ10)を、分析物リガンドを含む試料などの流体試料と接触させ、捕獲速度を連続的にモニターすることができる。ナノポアアセンブリ10を分析物と接触させることは、分析物の分析物リガンド8との結合を可能にし、したがって、本明細書に記載されているような第1の捕獲速度から第2の捕獲速度への遷移の同定を可能にする。例えば、第2の捕獲速度は、分析物がここで、本明細書に記載されているような分析物リガンドと結合しているポア状態に対応する。
【0127】
[00131]第1の捕獲速度から第2の捕獲速度への遷移の同定後、第2の捕獲速度の連続
的測定により、第2の遷移、すなわち、第2の捕獲速度が遷移して、第1の捕獲速度(またはおよそそれくらい)へ戻る時点の同定が可能になる。すなわち、捕獲速度の連続的測
定を用いて、第1の捕獲速度(またはおよそそれくらい)への復帰を同定することができ、第1の捕獲速度への復帰は、分析物と分析物リガンド8が結合しなくなったポア状態に対応する。換言すれば、第2の捕獲速度から第1の捕獲速度(またはおよそそれくらい)へ戻る第2の遷移は、分析物-リガンド結合ペアの解離に対応する。
【0128】
[00132]ある特定の例的実施形態において、分析物-リガンドのペアについての結合状
態で費やされる時間は、第1の遷移と第2の遷移の間の時間間隔を測定することにより決定することができる。同様に、ある特定の例的実施形態において、分析物-リガンドのペアが非結合状態で費やす時間は、分析物の存在下で第1の捕獲速度から第2の捕獲速度へ戻る遷移の長さを測定することにより決定することができる。その後、結合反応についての分析物と分析物リガンド8の間の会合/解離速度は、同定された捕獲速度遷移から、特に、ナノポアが結合状態にある時間の長さ対非結合状態である時間の長さから、決定することができる。例えば、会合速度(Ka)を決定するために、所定の結合反応についての個々の捕獲間の時間が記録されて、その結合反応を表現する方程式に適合され得る。方程式は、例えば、分析物と分析物リガンド8の間の結合機構(例えば、タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質-DNA相互作用、DNA-DNA相互作用、アプタマー-DNA相互作用、タンパク質-化学物質など)に依存して、単一指数方程式または別の型の方程式であり得る。結合反応についての解離速度(Kd)を決定するために、結合ドウェル時間および各結合事象の持続時間が収集され、記録され、解離反応を表現する方程式に適合される。これは、結合反応に関連した解離機構に依存して、単一指数方程式または別の型の方程式であり得る。
【0129】
[00133]いったん特定の結合反応について会合および/または解離速度が決定されたな
らば、K
aおよびK
dは、公知の速度論的方法および原理に沿って、分析物の濃度を逆算するために用いることができる。例えば、チップのナノポア濃度、抗原-リガンド(すなわち、分析物-ポア)濃度、およびK
a/K
dがわかっている場合、分析物の濃度は、以下の速度論的方程式から容易に決定することができる:
【数1】
式中、k
a/k
d=([分析物]×[ポア])/[分析物-リガンド]である。遊離分析物の濃度は、[分析物]=(k
a/k
d)×[分析物-ポア]/[ポア]によって決定することができる。したがって、分析物の全濃度は、[分析物-ポア]+[分析物]である。様々なパラメータ、すなわち、k
a、k
d、[ポア]、および[ポア-分析物]は全て、本明細書に記載されているようなチップ上で測定することができる。例えば、分析物-リガンド濃度は、分析物を結合すると同定されているポアの数に基づいて決定することができる。第1の捕獲速度から第2の捕獲速度へ、および、その後、第1の捕獲速度(またはおよそそれくらい)へ戻る遷移の例は、例えば、(下記で論じられる)
図5Cに示されている。
【0130】
[00134]この開示に基づいて当業者が認識しているように、本明細書に記載されたナノ
ポアアセンブリは、(分析物検出と濃度決定の両方についての)本明細書に記載された方法およびシステムと適合し得る他の構成をもつことができる。例えば、ある特定の例的実施形態において、本明細書に記載された捕獲タグは、分析物リガンドと直接的または間接的に付着することができる。そのような実施形態において、ナノポアアセンブリは、コンジュゲートタンパク質が、ナノポアタンパク質単量体および分析物リガンド付着部位を含むナノポアタンパク質コンジュゲートを含むように構成することができる。その後、捕獲タグを含む分析物リガンドを、分析物リガンド付着部位と付着させ、それにより、捕獲タグが、ナノポアタンパク質コンジュゲートよりむしろ、分析物リガンドと直接的または間
接的に付着している分析物検出複合体を形成することができる。ある特定の例的実施形態において、捕獲タグを有する分析物リガンドを、ナノポアが脂質膜内に形成された後、コンジュゲートタンパク質の分析物リガンド付着部位と付着させることができる。他の例的実施形態において、捕獲タグを有する分析物リガンドを、その複合体が脂質膜へ組み入れられる前に、コンジュゲートタンパク質の付着部位と連結させることができる。
【0131】
[00135]他の例的実施形態において、ナノポアタンパク質単量体および捕獲タグを含む
ナノポアタンパク質コンジュゲートを、分析物リガンドを含む少なくとも1個の他のナノポア単量体と組み合わせることができる。例えば、アルファ-ヘモリシンナノポアは、その1つの成分が捕獲タグを含むナノポアコンジュゲートであり、その他の6個のアルファ-ヘモリシン単量体のうちの1個が分析物リガンドを含むように形成することができる。したがって、アルファ-ヘモリシンナノポアアセンブリは、単一の捕獲タグおよび単一の分析物リガンドを有する1:6七量体である。他の例的実施形態において、分析物リガンドを、七量体のアルファ-ヘモリシン単量体のうちの1個、2個、3個、4個、5個、または6個と付着させることができ、その残りのアルファ-ヘモリシン単量体が捕獲タグを含む。他の例的実施形態において、捕獲タグを、複数のアルファ-ヘモリシン単量体上に置くことができ、七量体の単量体の他の1個または複数が分析物リガンドを含む。そのようなナノポアは、例えば、本明細書に記載されているように、移動シフト分析を用いて、同定することができる。
【実施例】
【0132】
[00136]本発明は、以下の実施例にさらに詳細に記載され、その実施例は、特許請求さ
れている本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。添付の図は、本発明の明細および記載の不可欠な部分として考慮されるよう意図される。引用された全ての参考文献は、本明細書に記載されている全てのために、参照により本明細書に具体的に組み入れられている。以下の実施例は、例証するために提供されるが、特許請求されている発明を限定するためではない。
【0133】
[00137]本明細書に用いられる場合、以下の略語が適用される:eq(当量);M(モ
ル濃度);μM(マイクロモル濃度);N(正常);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);kg(キログラム);μg(マイクログラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏度);h(時間);min(分);sec(秒);msec(ミリ秒)。
【0134】
実施例1
タンパク質発現および回収
[00138]この実施例は、細菌宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)からのタンパ
ク質の発現および回収を例証する。より具体的には、この実施例は、α-HLナノポアタンパク質コンジュゲート(α-HLサブユニット/SpyTag/捕獲タグ配列、配列番号4)、α-HLサブユニットバリアント(配列番号5)、SpyCatcher配列を有するGFP分析物リガンド(配列番号9)、およびGFP分析物(配列番号10)の発現および回収を記述する。
【0135】
α-HLナノポアタンパク質コンジュゲート(配列番号4)の調製
[00139]α-HLサブユニット/SpyTag/捕獲タグタンパク質(配列番号4)を
、ナノポアタンパク質コンジュゲートとして調製し、そのコンジュゲートの捕獲タグドメインが配列番号8として示される配列に対応し、そのコンジュゲートのα-HL単量体が配列番号16に対応する。α-HLサブユニット/SpyTag/捕獲タグタンパク質(
配列番号4)を調製するために、α-HLサブユニット/SpyTag/捕獲タグタンパク質配列(配列番号4)をコードする遺伝子を、商業的DNA合成により合成し、標準DNA制限酵素消化およびライゲーションを用いてpET26bベクターへ挿入した。プラスミドDNAを、標準熱ショックプロトコールを用いてBL21(DE3)大腸菌コンピテント細胞へ形質転換し、カナマイシンを追加したLB寒天プレート上で増殖した。細菌コロニーを選択し、シーケンシングして、遺伝子の完全性を検証した。グリセロールストックから細菌培養を開始し、適切な抗生物質を追加したLB培地の5ml培養物において一晩、増殖した。その後、これらの培養物を、抗生物質を追加した自己誘導MagicMedia(Invitrogen)において増殖し、25℃で16~24時間、増殖させておいた。2,200xgで15分間の遠心分離を用いて細胞ペレットを採取し、さらなる使用まで-80℃で凍結させた。
【0136】
[00140]α-HLサブユニット/SpyTag/捕獲タグ(配列番号4)の発現後、ペ
レットを解凍し、1グラムの細胞ペレットあたり5mLの溶解バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、300mM NaCl、100mM KPO4、10mM イミダゾール)中に可溶化し、EDTAを含まないプロテアーゼインヒビター錠剤およびDNase1(Sigma-Aldrich商標)を追加した。細胞を、90%最大パワーに設定されたチップソニケーター(Fisher Scientific商標)を用い、1秒間のオン、4秒間のオフで2分間、パルスして、溶解した。細胞片を、20,000xgで45分間の遠心分離を用いて除去した。上清を、コバルトアフィニティカラムへ適用し、2カラム体積の溶解バッファー、2カラム体積の洗浄バッファー(50mM
Tris-HCl、pH 8.0、500mM NaCl、10mM イミダゾール)、10カラム体積の高塩濃度洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、1M NaCl、10mM イミダゾール)、2カラム体積の洗浄バッファーで洗浄し、150mM イミダゾールを追加した洗浄バッファーを用いて溶出した。
【0137】
α-HLサブユニットバリアント(配列番号5)の調製
[00141]α-HLサブユニットバリアント(配列番号5)は、(実施例2に記載されて
いるような)1:6α-HL七量体を形成するための6個の成分として用いられる。簡単に述べれば、α-HLサブユニットバリアント(配列番号5)を調製するために、配列番号5に表記されたα-HLバリアントタンパク質サブユニットをコードする遺伝子を、商業的DNA合成により合成し、標準DNA制限酵素消化およびライゲーションを用いてpET26bベクターへ挿入した。プラスミドDNAを、標準熱ショックプロトコールを用いてBL21(DE3)大腸菌コンピテント細胞へ形質転換し、カナマイシンを追加したLB寒天プレート上で増殖した。細菌コロニーを選択し、シーケンシングして、遺伝子の完全性を検証した。グリセロールストックから細菌培養を開始し、適切な抗生物質を追加したLB培地の5ml培養物において一晩、増殖した。その後、これらの培養物を、抗生物質を追加した自己誘導MagicMedia(Invitrogen)において増殖し、25℃で16~24時間、増殖させておいた。2,200xgで15分間の遠心分離を用いて細胞ペレットを採取し、さらなる使用まで-80℃で凍結させた。
【0138】
[00142]α-HLタンパク質(配列番号5)の発現後、ペレットを解凍し、1グラムの
細胞ペレットあたり5mLの溶解バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、300mM NaCl、100mM KPO4、10mM イミダゾール)中に可溶化し、EDTAを含まないプロテアーゼインヒビター錠剤およびDNase1(Sigma-Aldrich商標)を追加した。細胞を、90%最大パワーに設定されたチップソニケーター(Fisher Scientific商標)を用い、1秒間のオン、4秒間のオフで2分間、パルスして、溶解した。細胞片を、20,000xgで45分間の遠心分離を用いて除去した。上清を、コバルトアフィニティカラムへ適用し、2カラム体積の溶解バッファー、2カラム体積の洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、500mM NaCl、10mM イミダゾール)、10カラム体積の高塩濃度洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、1M NaCl、10mM イミダゾール)、2カラム体積の洗浄バッファーで洗浄し、150mM イミダゾールを追加した洗浄バッファーを用いて溶出した。
【0139】
GFP分析物リガンド(配列番号9)の調製
[00143]GFP分析物リガンドは、分析物検出複合体の分析物リガンドが抗GFPであ
る、分析物検出複合体を形成するために用いられる。GFP分析物リガンドを調製するために、GFP分析物リガンド/SpyCatcher融合タンパク質(配列番号9)をコードする遺伝子を、商業的DNA合成により合成し、標準DNA制限酵素消化およびライゲーションを用いてpET26bベクターへ挿入した。プラスミドDNAを、標準熱ショックプロトコールを用いてBL21(DE3)大腸菌コンピテント細胞へ形質転換し、カナマイシンを追加したLB寒天プレート上で増殖した。細菌コロニーを選択し、シーケンシングして、遺伝子の完全性を検証した。グリセロールストックから細菌培養を開始し、適切な抗生物質を追加したLB培地の5ml培養物において一晩、増殖した。その後、これらの培養物を、抗生物質を追加した自己誘導MagicMedia(Invitrogen)において増殖し、25℃で16~24時間、増殖させておいた。2,200xgで15分間の遠心分離を用いて細胞ペレットを採取し、さらなる使用まで-80℃で凍結させた。
【0140】
[00144]GFP分析物リガンド/SpyCatcherタンパク質(配列番号9)の発
現後、ペレットを解凍し、1グラムの細胞ペレットあたり5mLの溶解バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、300mM NaCl、100mM KPO4、10mM イミダゾール)中に可溶化し、EDTAを含まないプロテアーゼインヒビター錠剤およびDNase1(Sigma-Aldrich商標)を追加した。細胞を、90%最大パワーに設定されたチップソニケーター(Fisher Scientific商標)を用い、1秒間のオン、4秒間のオフで2分間、パルスして、溶解した。細胞片を、20,000xgで45分間の遠心分離を用いて除去した。上清を、コバルトアフィニティカラムへ適用し、2カラム体積の溶解バッファー、2カラム体積の洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、500mM NaCl、10mM イミダゾール)、10カラム体積の高塩濃度洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、1M NaCl、10mM イミダゾール)、2カラム体積の洗浄バッファーで洗浄し、150mM イミダゾールを追加した洗浄バッファーを用いて溶出した。
【0141】
GFP分析物(配列番号10)
[00145]GFP分析物(配列番号10)は、分析物検出複合体を含むα-HLナノポア
の活性を実証するために分析物検出複合体と共に用いられる(実施例3参照)。GFP分析物(配列番号10)を調製するために、配列番号10に表記されたGFP分析物をコードする遺伝子を、商業的DNA合成により合成し、標準DNA制限酵素消化およびライゲーションを用いてpET26bベクターへ挿入した。プラスミドDNAを、標準熱ショックプロトコールを用いてBL21(DE3)大腸菌コンピテント細胞へ形質転換し、カナマイシンを追加したLB寒天プレート上で増殖した。細菌コロニーを選択し、シーケンシングして、遺伝子の完全性を検証した。グリセロールストックから細菌培養を開始し、適切な抗生物質を追加したLB培地の5ml培養物において一晩、増殖した。その後、これらの培養物を、抗生物質を追加した自己誘導MagicMedia(Invitrogen)において増殖し、25℃で16~24時間、増殖させておいた。2,200xgで15分間の遠心分離を用いて細胞ペレットを採取し、さらなる使用まで-80℃で凍結させた。
【0142】
[00146]GFP分析物(配列番号10)の発現後、ペレットを解凍し、1グラムの細胞
ペレットあたり5mLの溶解バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、300mM NaCl、100mM KPO4、10mM イミダゾール)中に可溶化し、EDTAを含まないプロテアーゼインヒビター錠剤およびDNase1(Sigma-Aldrich商標)を追加した。細胞を、90%最大パワーに設定されたチップソニケーター(Fisher Scientific商標)を用い、1秒間のオン、4秒間のオフで2分間、パルスして、溶解した。細胞片を、20,000xgで45分間の遠心分離を用いて除去した。上清を、コバルトアフィニティカラムへ適用し、2カラム体積の溶解バッファー、2カラム体積の洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、500mM NaCl、10mM イミダゾール)、10カラム体積の高塩濃度洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH 8.0、1M NaCl、10mM イミダゾール)、2カラム体積の洗浄バッファーで洗浄し、150mM イミダゾールを追加した洗浄バッファーを用いて溶出した。タンパク質を分注し、使用直前まで-80℃で保存した。
【0143】
実施例2
分析物検出複合体を含むナノポアのアセンブリ
[00147]この実施例は、6個のα-HLバリアント単量体サブユニット(配列番号5)
ならびに捕獲タグ配列およびSpyTag配列を含む1個のα-HLサブユニット(配列番号4)を有する七量体ナノポアのアセンブリであって、GFP分析物リガンド(配列番号9)が単一のα-HLサブユニット(配列番号4)とSpyTag-SpyCatcher結合を介して付着して、分析物検出複合体を形成する、七量体ナノポアのアセンブリを記載する。SpyTag-SpyCatcher結合は、例えば、Liら、J Mol
Biol. 2014 Jan 23;426(2):309~17に記載されている。
【0144】
1:6 α-HL七量体ナノポアアセンブリの調製
[00148]1個のα-HL/SpyTag(配列番号4)および6個のα-HLバリアン
トタンパク質(配列番号5)を含むα-HL七量体ナノポアアセンブリ(すなわち、1:6七量体比)は、一般的に、PCT/EP2017/057433に記載されているように調製することができる。簡単に述べれば、およそ20mgの総タンパク質を用いて、望ましいα-HLバリアントタンパク質(配列番号5)溶液に対してα-HL/SpyTag(配列番号4)を1:9比で一緒に混合して、七量体の混合物を形成した。そのような混合物は、様々な比(すなわち、0:7、1:6、2:5、3:4など)のα-HL/SpyTag(配列番号4)とα-HLバリアントタンパク質(配列番号5)を含む様々な画分を生じ、α-HL/SpyTag(配列番号4)成分は、七量体の0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個の単量体サブユニットとして存在することが予想される。
【0145】
[00149]ジフィタノイルホスファチジルコリン(DPhPC)脂質を、50mM Tr
is、200mM NaCl、pH 8かまたは150mM KCl、30mM HEPES、pH 7.5のいずれかに50mg/mlの最終濃度へと可溶化し、α-HL単量体の混合物を5mg/mlの最終濃度へと加えた。α-HL単量体の混合物を37℃で少なくとも60分間、インキュベートした。その後、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(βOG)を、5%(重量/体積)の最終濃度へと加えて、生じた脂質-タンパク質混合物を可溶化した。その試料を透明なタンパク質凝集物および使い残しの脂質複合体へと遠心分離し、上清をさらなる精製のために収集した。
【0146】
[00150]その後、七量体の混合物を、陽イオン交換精製に供し、溶出画分を収集した。
各画分について、2つの試料をSDS-PAGE用に調製した。第1の試料は、15uL
のα-HL溶出液のみを含み、第2の試料を、3ugのGFP-SpyCatcher(
配列番号10)と組み合わせた。その後、試料を、室温で1~16時間、インキュベートした(および遮光した)。インキュベーション後、5uLの4×Laemmli SDS-PAGEバッファー(Bio-Rad商標)を各試料に加えた。その後、試料およびPrecisionPlus(商標)Stain-Freeタンパク質ラダーを4~20%
Mini-PROTEAN Stain-Free protein precast
gel(Bio-Rad)上へ負荷した。そのゲルを200mVで30分間、流した。その後、ゲルをStain-Freeフィルターを用いて画像化した。
【0147】
[00151]七量体ナノポアアセンブリのα-HL/SpyTagタンパク質(配列番号4
)へのGFP-SpyCatcher(配列番号10)の付着は、SDS-PAGE中の
分子量バンドシフトによって観察することができ、したがって、1:6七量体画分の同定を容易にする。すなわち、単一のSpyTagを含有する七量体は、単一のGFP-SpyCatcher(配列番号10)分子を結合し、それにしたがって、単一のGFP-SpyCatcher(配列番号10)分子の分子量を加えた七量体ポアの分子量に対応するシフトを生じると予想され、一方、2個以上のSpyTagを有する七量体は、それに応じて、より大きい分子量シフトを生じるはずである。それゆえに、上記の七量体α-HL精製中に陽イオン交換カラムから溶出されたピークは、α-HLバリアントに対するα-HL/SpyTagの比について分析することができる。加えて、GFP-SpyCatcher(配列番号10)付着の存在は、SDS-PAGEゲルを画像化した場合にG
FP蛍光フィルターを用いて観察することができる。PCT/EP2017/057433参照。
【0148】
[00152]この理論的解釈に基づいて、分子量シフトが、GFP-SpyCatcher
(配列番号10)の単一の付加、および、したがって、1成分のナノポアタンパク質コンジュゲート(配列番号4)対6個のα-HLバリアント(配列番号5)に対応する画分を、分子量標準タンパク質ラダーを用いて決定した。Bio-Radの染色なし画像化システムを用いて、分子量シフトを決定した。GFP蛍光の存在を、青色フィルターを用いて決定した。蛍光の存在を用いて、SpyTagタンパク質の存在を確認した。PCT/EP2017/057433参照。その後、1:6比、すなわち、1個のα-HL/SpyTag(配列番号4)対6個のα-HLバリアント(配列番号5)に対応する溶出画分をさらなる実験に用いた。
【0149】
GFP分析物リガンド(配列番号9)の1:6七量体への付着
[00153]その後、上記からの1:6七量体画分を用いて、GFP分析物リガンド(配列
番号9)(すなわち、SpyCatcher配列を含む抗GFPナノボディ)を、1:6七量体の1個のα-HL/SpyTag/捕獲タグ(配列番号4)成分に、SpyTag/SpyCatcherシステムを用いて付着させ(Liら、J Mol Biol. 2014 Jan 23;426(2):309~17参照)、それにより、ナノポアアセンブリ内に分析物検出複合体を形成した。簡単に述べれば、粘着性GFP分析物リガンド(配列番号9)を1:6七量体の1個のα-HL/SpyTag/捕獲タグ(配列番号4)成分に付着させるために、粘着性GFP分析物リガンド(配列番号9)を1:6七量体複合体(上記参照)と4℃で一晩、混合した。その混合物をサイズ排除クロマトグラフィカラムに適用することにより、付着していないGFP分析物リガンド(配列番号9)をその複合体から分離した。その複合体を含有する生じた画分を分注し、使用前に-80℃で保存した。その後、α-HL/SpyTag/捕獲タグ(配列番号4)に付着したGFP分析物リガンド(配列番号9)が、ナノポアアセンブリの分析物検出複合体を形成している、GFP分析物リガンドを含む七量体を次の実験に用いた。
【0150】
実施例3
捕獲速度決定および分析
[00154]この実施例は、付着した分析物リガンドを含まない、分析物リガンドが付着し
ている(すなわち、上記の実施例2に記載されたナノポア)、およびGFP分析物(配列番号10)の存在下での、ナノポアアセンブリについての捕獲速度決定および分析を示す。
【0151】
[00155]簡単に述べれば、全体として本明細書に組み入れられている、名称が「Sys
tems and methods for forming a nanopore in a lipid bilayer」である、米国特許出願公開第2017/0322195号に記載されているように、分析物リガンドが付着していない、1:6アルファ-ヘモリシン七量体を調製し、チップ上に配置した。
【0152】
[00156]チップの調製に続いて、その後、捕獲速度分析方法を用いて、異なる条件下(
すなわち、GFP分析物リガンドがポアと結合していない、GFP分析物リガンドがポアと結合している、およびGFP分析物の存在下)での捕獲タグの捕獲速度を評価した。簡単に述べれば、捕獲速度分析方法は、WO/2017/220732に詳細に記載されている、期間対期間の差による方法に基づいている。捕獲速度は、まず、ポアによる全てのタグ捕獲事象を検出することにより測定することができる。捕獲事象は、1つの期間によって右にシフトしたシグナルを最初のシグナルから引き算することにより、シグナルにおいて検出される。シグナル差は、ADCノイズ閾値より下の差の値をゼロに設定することによりさらに処理される。捕獲事象のそれぞれのタイムスタンプが記録される。
【0153】
[00157]
図5A~5Cは、ある特定の例的実施形態による捕獲速度決定を示すグラフで
ある。例えば、
図5A~5Cにおける各点は、事象の測定されたタイムスタンプに対する捕獲事象数を表す。捕獲速度は、全事象のプロットの傾きの逆数である。より具体的には、
図5Aは、GFP分析物リガンドの非存在下(すなわち、リガンドが結合していない)、単一の全体的な傾きを有するタグ捕獲についてのベースライン捕獲速度を示す。
図5Bに示されるデータについて、GFP分析物リガンドが、上記の実施例2に記載されているように、ナノポアに付着しており、第1の捕獲速度が決定された。
図5Bに示されているように、第1の捕獲速度は、GFP分析物リガンドがナノポアに付着した場合、ベースライン捕獲速度(
図5A)と比較して低下した。
【0154】
[00158]ベースライン捕獲速度(
図5A)および第1の捕獲速度(
図5B)の決定後、
GFP分析物リガンドの結合に対応する第2の捕獲速度が、
図5Cに示されているように、決定された。簡単に述べれば、27μLのGFP分析物(配列番号10)をチップに加え、それにしたがって、GFP分析物(配列番号10)とナノポアのGFP分析物リガンドとの間の結合を促進した。
図5Cに示されているように、第2の捕獲速度は、第1の捕獲速度より低い。さらに、GFP分析物リガンドがGFP分析物に付着してから(約300秒時点)、その後、解離するまで(800秒時点の前)の遷移を観察することができる(
図5C)。第1の捕獲速度とは異なる第2の捕獲速度の同定(
図5C)に基づいて、チップ上のGFP分析物(配列番号10)の存在を確認することができる。
【0155】
配列表フリーテキスト
配列番号1(野生型a-HL DNA)
【化1-1】
【化1-2】
【0156】
配列番号2(野生型a-HLアミノ酸)[大腸菌において発現した場合]
【化2】
【0157】
配列番号3(精製タグを有する成熟野生型aHL)
【化3】
【0158】
配列番号4(α-HL-リンカー-SpyTag-HIS-捕獲タグ)
下線=可動性リンカー;太字=SpyTag;イタリック体=Hisタグ;太字/下線=ペプチドに基づいたナノタグ
【化4】
【0159】
配列番号5(α-HL H35Gバリアント、6成分)
下線=TEV-Hisタグ
【化5】
【0160】
【0161】
配列番号7(OmpG-リンカー1-HIS-リンカー2-SpyTag-捕獲タグ)
下線=可動性リンカー;イタリック体=Hisタグ;GSGG(配列番号14)=第2のリンカー;太字/下線=SpyTag;太字のみ=ペプチドに基づいたナノタグ
【化7】
【0162】
【0163】
配列番号9(ナノボディ、GFP-リンカー-SpyCatcher-TEV/His)
太字=可動性リンカー;下線=TEV-Hisタグ
【化9】
【0164】
配列番号10(GFP-リンカー-SpyCatcher-Hisタグ)
下線=Hisタグ;太字=可動性リンカー
【化10】
【0165】
配列番号11(SpyTag配列)
AHIVMVDAYKPTKK
【0166】
配列番号12(リンカー配列)
GGSSGGSSGG
【0167】
配列番号13(リンカー配列)
EKEKEKGS
【0168】
配列番号14(リンカー配列)
GSGG
【0169】
配列番号15(リンカー配列)
GSGSGS
【0170】
配列番号16(成熟野生型α-HL;AAA26598)
【化11】
【0171】
配列番号17(EPPPタグ)
EPPP
【配列表】