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特許7437464金属シールに対するファスナークランプ荷重を保護するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】金属シールに対するファスナークランプ荷重を保護するための装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/036 20060101AFI20240215BHJP
   F16J 15/08 20060101ALI20240215BHJP
   F25B 41/40 20210101ALI20240215BHJP
【FI】
F16L23/036
F16J15/08 E
F16J15/08 K
F25B41/40 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022129446
(22)【出願日】2022-08-15
(65)【公開番号】P2023027769
(43)【公開日】2023-03-02
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】17/404,453
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック ケスラー
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0214755(US,A1)
【文献】実開平04-063885(JP,U)
【文献】特開2020-026948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/036
F16J 15/08
F25B 41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブロックと、
第2ブロックと、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間に配置された第1シール要素と、
前記第1シール要素をブロックフィッティングアセンブリの軸方向に圧縮するクランプ力を加えるクランプ装置と、
前記第1ブロックと一体的に形成され、前記第2ブロックに向かって軸方向に突出する第1ヒール構造と、を含み、
前記第1ヒール構造は、前記第1ブロックの温度に応じて、前記第2ブロックから離間するか、または接触するように構成されることを特徴とするブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項2】
前記第1ブロックは第1材料から形成され、前記クランプ装置は第2材料から形成され、前記第1材料は前記第2材料よりも熱膨張係数が大きいことを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項3】
前記第1ブロックはアルミニウムで形成され、前記クランプ装置は鋼で形成されることを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項4】
前記第1シール要素の少なくとも一部は、前記クランプ力によって圧縮されると軸方向に変形するように構成された塑性変形可能な材料によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項5】
前記第1シール要素の少なくとも一部が金属材料で形成されていることを特徴とする請求項4に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項6】
前記クランプ装置は、シャフトと、前記シャフトの端部に配置されたヘッドと、前記シャフトに対して調整可能なナットとを備え、前記ヘッドと前記ナットとの間に前記クランプ力が作用することを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項7】
前記クランプ装置は、前記第1ブロックを介して形成されたファスナー開口部と、前記第1ブロックを介して形成されたファスナー開口部のそれぞれを貫通するファスナーであり、前記第1ヒール構造は、前記第1ブロックのファスナー開口部の周囲に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項8】
前記第1ヒール構造は、前記第1ブロックのファスナー開口部の周縁の少なくとも一部の周囲に延びていることを特徴とする請求項に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項9】
前記第1ヒール構造の大部分が、前記第1ブロックのファスナー開口部の中心の片側に位置していることを特徴とする請求項に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項10】
前記第1ブロックの前記ファスナー開口部の中心の一方は、前記ファスナー開口部の中心に対して前記第1シール要素に向かって配置するか、前記第1シール要素から前記ファスナー開口部の中心に対して離間して配置することを特徴とする請求項に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項11】
前記第1ヒール構造は、前記第1ブロックが閾値温度以下の温度にあるときに前記第2ブロックから離間するように構成され、前記第1ヒール構造は、前記第1ブロックが閾値温度以上の温度にあるときに前記第2ブロックに接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項12】
前記クランプ装置によって加えられるクランプ力の少なくとも一部は、前記第1ヒール構造が前記第2ブロックに接触する第1ブロックと前記第2ブロックとの間で伝達されることを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項13】
前記第1ブロックから前記第2ブロックに伝達されるクランプ力の少なくとも一部が、前記第1ヒール構造が前記第2ブロックに接触することにより、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間で前記第1シール要素を介して伝達されるクランプ力の一部が、減少することを特徴とする請求項12に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項14】
前記第1ブロックは、膨張バルブのハウジングを形成することを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項15】
前記ブロックフィッティングアセンブリは、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間に配置された第シール要素をさらに含み、前記クランプ力は、前記第2シール要素を前記ブロックフィッティングアセンブリの軸方向に圧縮することを特徴とする請求項1に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項16】
前記第1ヒール構造は、前記クランプ装置の位置に対して、前記第1シール要素または前記第2シール要素のいずれか一方に向かって位置することを特徴とする請求項15に記載のブロックフィッティングアセンブリに使用される第1ブロック。
【請求項17】
第1ブロックと、
第2ブロックと、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間に配置された第1シール要素と、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間で前記第1シール要素をブロックフィッティングアセンブリの軸方向に圧縮するクランプ力を加えるクランプ装置と、
前記第1ブロックと一体的に形成され、前記第2ブロックに向かって軸方向に突出する第1ヒール構造と、を含み、
第1ヒール構造は、前記第1ブロックの温度によって前記第2ブロックから離間するか接触するよう構成されることを特徴とするブロックフィッティングアセンブリ。
【請求項18】
第3ブロックと、
前記第1ブロックと前記第3ブロックの間に配置された第2シール要素と、
前記第2シール要素をブロックフィッティングアセンブリの軸方向に圧縮するクランプ力と、
前記第1ブロック又は前記第3ブロックの一方から前記第1ブロック又は前記第3ブロックの他方に向かって軸方向に突出する第2ヒール構造と、
前記第2ヒール構造は、前記第1ブロックまたは前記第3ブロックの温度に応じて、前記第1ブロックまたは前記第3ブロックの他のブロックから離間するか、または接触するように構成されることを特徴とする請求項17に記載のブロックフィッティングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両空調システム用ブロックフィッティングアセンブリに係わり、特に、ブロックフィッティングアセンブリの異なる熱膨張度に対応する動作温度範囲全体にわたって所望のクランプ力を維持するように構成された拡張バルブ用ブロックフィッティングアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の空調システムは、蒸発器、膨張バルブ、凝縮器、及び圧縮機などの構成要素を含む冷媒回路を通って循環される冷媒を利用する。そのような冷媒回路は、冷媒が冷媒回路の1つの構成要素から別の構成要素に流体的に伝達される関連する冷媒回路内の各位置に流体密シールを形成するためのブロックフィッティングアセンブリをしばしば採用する。ブロックフィッティングアセンブリは、典型的には、第2ブロックと嵌合するように構成された少なくとも第1ブロックを含み、第1ブロックは雄ブロックと見なされることがあり、一方、第2ブロックは雌ブロックと見なされることがある。第1および第2ブロックは、典型的には、スタッドまたはボルトなどのねじ付き締結具をその中に受け入れるための整列した開口を含み、ねじ付き締結具は、第1ブロックを第2ブロックに結合する一方で、第1ブロックのシール部分と第2ブロックのシール部分との間に配置されたブロックはめあい組立品のシール要素に十分なクランプ力を供給するように構成される。多くの状況において、第1ブロック又は第2ブロックは、流体ラインが接続される部品又はアセンブリの一部に統合されるか又はその一部を形成してもよく、第1ブロック又は第2ブロックの他方は、流体ラインの端部に関連付けられることが可能である。
【0003】
そのようなブロックフィッティングアセンブリのブロックは、対応するブロックフィッティングアセンブリのねじ付きファスナーが形成される材料とは異なる材料から形成されることが一般的である。例えば、そのような組立品のブロックがアルミニウム及びその合金から形成されるのが一般的であるのに対し、そのような組立品のねじ付きファスナーは、典型的には、鋼から形成される。ブロック及び関連するファスナーを形成する際に異なる材料を使用すると、ブロックフィッティングアセンブリの異なる部分が、ブロックフィッティングアセンブリに関連するコンポーネントの動作使用中に異なる程度の熱膨張にさらされ、状況によっては、対応するブロックフィッティングアセンブリのシール能力に負の影響を与えることがある状況を招来することができる。
【0004】
例えば、ブロック及び関連する締結具の異なる熱膨張が、対応するブロック締結具アセンブリの密封能力を低下させることが発見された1つの代表的な状況は、例示的なデュアルポート電子膨張バルブアセンブリ1を示す図1及び2に開示されている。膨張バルブアセンブリ1は、第1ブロック3が、その中を通る第1通路4及び第2通路5をそれぞれ規定する電子膨張バルブのハウジングを代表する第1ブロック3を含む。概略的に示すように、通路4、5の各々は、それぞれの通路4、5の各々にわたる断面を選択的に変化させるための対応する膨張要素6を含んでもよい。
【0005】
第1ブロック3は、その対向する軸方向端部で第2ブロック12及び第3ブロック13の各々と協働して、ブロック3、12、13の組立体を形成するように構成される。外側に配置されたブロック12、13の各々は、第1ブロック3の通路4、5を冷媒回路の対応する流体ラインに流体的に結合することと関連してもよい。ブロック3、12、13は、軸方向にその中を延びる整列したファスナー開口部8を含み、整列したファスナー開口部8は、ネジ付きファスナー9をその中で受け取るように構成される。第1ブロック3は、第1の熱膨張係数を有する第1の材料から形成されてもよく、ねじ付きファスナー9は、第2の熱膨張係数を有する第2の材料から形成されてもよく、第1の熱膨張係数は、第2の熱膨張係数より大きい。一対の第1シール要素15は、第1ブロック3と第2ブロック12との間に配置され、一対の第2シール要素16は、第1ブロック3と第3ブロック13との間に配置される。シール要素15,16の各々の少なくとも一部は、シール要素15,16の各々で流体密シールを形成する際に圧縮変形するように構成された軟質金属材料から形成されている。
【0006】
ネジ付きファスナー9は、第2ブロック12と係合するように構成されたヘッド17と、第3ブロック13と係合するように構成されたナット18とを含む。ナット18の回転及び締め付けにより、ブロック3、12、13のアセンブリに軸方向にクランプ力が加えられると、第2ブロック12が第3ブロック13の方に引き寄せられることになる。クランプ力の増大は、第1ブロック3と第2ブロック12との間の第1シール要素15の圧縮と、第1ブロック3と第3ロック13との間の第2のシール要素16の圧縮とを漸進的にもたらす。シール要素15、16の圧縮は、シール要素15、16の各々の軟質金属部分が、ブロック3、12、13のアセンブリに加えられる所望のクランプ力に関連して所望の範囲に塑性変形されることを含んでもよい。
【0007】
図1は、約25℃のような比較的低い温度で作動するときの膨張バルブアセンブリ1を示しており、これは、150℃を超えることがある膨張バルブアセンブリ1の予想最高作動温度よりもかなり低い。ファスナー9は、各対応する接合部に流体密シールを形成するために、シール要素15、16を所望の程度に圧縮及び変形させるために、ブロック3、12、13の組立体に所望のクランプ力を加えるものとして示されている。図1に示すように、ブロック3、12、13のアセンブリは、ファスナー9から所望のクランプ力を受けるとき、および比較的低い温度で動作するときに、組み合わせた長さLを含むことができる。膨張バルブアセンブリ1の温度がその動作中に上昇すると、ブロック3、12、13およびファスナー9は、対応する熱膨張を受ける。少なくとも第1ブロック3が第1の材料から形成されていることにより、第1ブロック3は、ファスナー9の同じ長さと比較して、同じ温度上昇を受けたときにその軸方向において不釣り合いな範囲の熱膨張を経験することになる。
【0008】
ファスナー9に対する第1ブロック3の増加した軸方向膨張は、外側に配置されたブロック12,13を、それぞれ頭部17およびナット18の内側対面面に対して耐えるようにする。第1ブロック3がその最大予想動作温度に向かって加熱されると、ブロック3、12、13のアセンブリは、アセンブリがファスナー9のヘッド17およびナット18の対向面に対してベアリングされていない場合に予想されるブロック3、12、13のアセンブリの全長を代表する長さL+ΔLまで軸方向に拡張しようとする。長さΔLは、それに応じて、第1ブロック3の熱膨張によるアセンブリの長さの予想される制約のない増加を代表するものであり、本明細書に記載される概念をより良く説明するために図1では誇張されている。
【0009】
当初、第1ブロック3によって経験される熱膨張の増加は、ヘッド17とナット18との間のクランプ力の適用の局所的な性質により、ブロック3、12、13の組立品の屈曲によって収容され反応されるかもしれない。しかしながら、膨張バルブアセンブリ1が予想される最大動作温度に向かって加熱されると、ブロック3と締結具9との間の熱膨張の差は、締結具9によって加えられる増加するクランプ力が、それぞれのブロック3、12、13の間のシール要素15、16のさらなる圧縮によって反応されるほど、大きくなりうる。すなわち、ブロック3,12,13の組立てが、ヘッド17とナット18の軸受に抗して長さΔLだけ軸方向の長さを増加させようとする態様は、シール要素15,16の各々の軟質金属部分の圧縮変形をもたらす。このシール要素15、16の追加的な圧縮変形は、図2に示すように、図1と比較して、各シール要素15、16が軸方向にさらに変形している状態を示している。
【0010】
各シール要素15、16のこの付加的な軸方向変形は、膨張バルブアセンブリ1および第1ブロック3が図1に関連する比較的低い温度値に戻る際に、各シール要素15、16のシール効果が減少する状況をもたらすことができる。具体的には、各シール要素15、16の軸方向寸法の減少は、隣接するブロック3、12、13の各々の間に存在する軸方向隙間を減少させ、ブロック3、12、13の組立体の全長の減少をもたらす可能性がある。この減少した全長は、ファスナー9によって加えられるクランプ力が、シール要素15、16の各々において所望のシール力を維持するのに十分でなくなり、それによって、そこを通過する冷媒の漏れの危険性をもたらすことができる。さらに、シール要素15、16の望ましくない追加の圧縮変形は、シール要素15、16の故障メカニズムを提供することもでき、これは、アセンブリからの漏れの可能性にもつながる可能性がある。
【0011】
したがって、熱負荷サイクルに応答して所望のクランプ力を維持しながら、そのシーリング要素の過圧縮から保護するように構成されたブロックフィッティングアセンブリに対する継続的なニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2020-026948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、熱負荷サイクルに応じて所望のクランプ力を維持しながら、シール要素の過圧縮を防止するように構成されたブロックフィッティングアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態では、第1シール要素と、第2ブロックと、第1ブロックと第2ブロックとの間で第1シール要素を圧縮するクランプ力を加えるように構成されたクランプ装置とを含むブロックフィッティングアセンブリに使用するための第1ブロックが開示される。第1ブロックは、第2ブロックの方を向いて第1ブロックの表面から軸方向に突出した第1ヒール構造を含む。第1ヒール構造は、クランプ装置が第1ブロックと第2ブロックとの間で第1シール要素を圧縮するクランプ力を加えているときに、第1ブロックまたは第2ブロックの少なくとも一方の温度に応じて、第2ブロックから離間するかまたは第2ブロックに接触するよう構成される。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ブロックフィッティングアセンブリは、第1ブロックと、第2ブロックと、第1ブロックと第2ブロックとの間に配置された第1シール要素とを含む。クランプ装置は、第1ブロックと第2ブロックとの間で第1シール要素をブロックフィッティングアセンブリの軸方向に圧縮するためのクランプ力を適用する。第1ヒール構造は、第1ブロック又は第2ブロックの一方から軸方向に突出し、第1ブロック又は第2ブロックの他方に向かって突出する。第1ヒール構造は、第1ブロックの温度に応じて、第1ブロック又は第2ブロックの他方から離間し、又は接触するように構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のブロックフィッティングアセンブリによれば、熱負荷サイクルに応じて所望のクランプ力を維持しながら、シール要素の過圧縮を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】膨張バルブアセンブリと共に使用するための例示的なブロックフィッティングアセンブリの断面立面図であり、ブロックフィッティングアセンブリは、最大予想動作温度に向かってその加熱前に図示されている。
図2】予想される最大動作温度まで加熱された後の、図1の例示的なブロックフィッティングアセンブリの断面立面図である。
図3】本発明の実施形態によるブロックフィッティングアセンブリの断面立面図であり、ブロックフィッティングアセンブリは、例示的なデュアルポート電子膨張バルブに実装される。
図4図3の円4で囲まれた部分の拡大断片断面図であり、第1ブロックが閾値以下の温度であるときに、ブロックフィッティングアセンブリの第1ブロックから軸方向に突出するヒール構造を示す図である。
図5図4の第1ブロックが閾値以上の温度であるときのヒール構造を示す拡大断片断面図である。
図6】分離して示された図3のブロックフィッティングアセンブリの第1ブロックの上面図であり、第1ブロックは、第1ブロックのファスナー開口部を囲むヒール構造を含んでいる。
図7】本発明の別の実施形態によるブロックフィッティングアセンブリの第1ブロックの上面図であり、第1ブロックは、第1ブロックのファスナー開口部の一方の側に偏ったヒール構造を含んでいる。
図8】本発明のさらに別の実施形態によるブロックフィッティングアセンブリの第1ブロックの上面図であり、第1ブロックは、第1ブロックのファスナー開口部の片側に全体的に配置されたヒール構造を含む。
図9】本発明の他の実施形態によるヒール構造を示す拡大断片断面図であり、ヒール構造は、独立して形成され、第1ブロックに結合される。
図10】本発明のさらに別の実施形態によるヒール構造を示す拡大断片断面図であり、ヒール構造は、ブロックフィッティングアセンブリの第2ブロックから突出している。
図11】分離して示された図3のブロックフィッティングアセンブリの第2ブロックの底面図であり、第2ブロックは、その周囲の一部が第2ブロックを通って形成された通路と同心の弧に沿って配置されているヒール構造を含んでいる。
図12】本発明の別の実施形態によるブロックフィッティングアセンブリの第2ブロックの底面図であり、第2ブロックは、第2ブロックのファスナー開口部の一方の側に偏った弧状部分を有するヒール構造を含む。
図13】本発明のさらに別の実施形態によるブロックフィッティングアセンブリの断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、1つ以上の発明の主題、製造及び使用の本質において単に例示的なものであり、本願又は本願に優先権を主張する他の出願、又はそこから発行される特許において主張される特定の発明の範囲、適用又は使用を制限することを意図するものではない。開示された方法に関して、提示されたステップの順序は、本質的に例示的であり、したがって、ステップの順序は、様々な実施形態において異なることが可能である。本明細書で使用される項目は、「少なくとも1つ」が存在することを示し、可能な場合には、そのような項目の複数が存在する。他に明示的に示される場合を除き、本明細書における全ての数値量は、本技術の最も広い範囲を説明する際に、“訳”という言葉によって修正されるものとして理解され、全ての幾何学的及び空間的記述子は、“実質的に”という言葉によって修正されるものとして理解されるものである。数値に適用される場合の“約”は、計算または測定が、値に若干の不正確さを許容することを示す(値の正確さに多少近づく;およそまたは適度に値に近い;ほぼ)。何らかの理由で、「約」及び/又は「実質的に」によって提供される不正確さが、この通常の意味を有する技術において他に理解されない場合、本明細書で使用される。「約」及び/又は「実質的に」は、少なくとも、パラメータの通常の測定方法又は使用から生じる変動を示す。
【0019】
この詳細な説明で引用された特許、特許出願、および科学文献を含むすべての文書は、特に明示的に示されていない限り、参照することにより本明細書に組み込まれます。参照により組み込まれた文書と本詳細説明との間に矛盾または曖昧さが存在する場合、本詳細説明が支配的である。
【0020】
実施形態を説明するために、含む、含む、又は有するなどの非制限的用語の同義語として、自由形式の用語「から成る」が本明細書で使用されているが、実施形態は、代わりに、「から成る」又は「から本質的に成る」などのより限定的な用語を使用して説明されてもよい。したがって、材料、成分、またはプロセスステップを記載する任意の所定の実施形態について、本技術は、そのような追加の材料、成分、またはプロセスが本願で明示的に記載されていなくても、追加の材料、成分、またはプロセスを除く(からなるための)実施形態、および実施形態の重要な特性に影響を与える追加の材料、成分、またはプロセスを除く(からなるための)実施形態からなる、またはそれらから本質的になる実施形態も明確に含むものである。例えば、要素A、B及びCを含む組成物又はプロセスの記載は、要素Dが本明細書において除外されるものとして明示的に記載されていない。しかし、当該技術分野において記載される要素Dを除外し、A、B及びCからなる、及び本質的になる実施形態を特に想定している。
【0021】
本明細書で言及するように、範囲の開示は、特に指定しない限り、終点を含み、範囲全体内のすべての異なる値及びさらに分割された範囲を含む。したがって、例えば、「AからBまで」又は「約Aから約Bまで」の範囲は、A及びBを含む。特定のパラメータ(量、重量パーセントなど)についての値及び値の範囲の開示は、本明細書に有用な他の値及び値の範囲を排除するものではない。所与のパラメータに対する2つ以上の特定の例示的な値が、そのパラメータについて主張される値の範囲の端点を定義することが想定される。同様に、あるパラメータに対する2つ以上の値の範囲(その範囲が入れ子になっているか、重複しているか、別個のものであるかにかかわらず)の開示は、開示された範囲の端点を使用して主張される値の範囲のすべての可能な組み合わせを包含すると想定される。例えば、パラメータXが1-10、または2-9、または3-8の範囲の値を有することが本明細書に例示されている場合、パラメータXは、1-9、1-8、1-3、1-2、2-10、2-8、2-3、3-10、3-9などを含む他の範囲の値を有する可能性も想定される。
【0022】
ある要素又は層が、他の要素又は層上に「ある」、「に係合する」、「に接続する」、又は「に結合する」と言及されるとき、それは他の要素又は層上に直接、係合、接続又は結合されてもよく、介在する要素又は層が存在してもよい。これに対して、ある要素が他の要素または層上に「直接」、「直接係合」、「直接接続」、または「直接結合」されていると言及される場合、介在する要素または層が存在しない場合がある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間」対「直接間」、「隣接」対「直接隣接」等)。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ又は複数の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0023】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明することができるが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきものではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用される。本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、および他の数値用語などの用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序または順番を意味することはない。したがって、後述する第1の要素、構成要素、領域、層又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又はセクションと称することができる。
【0024】
図3図6は、本発明の実施形態による、過度のファスナークランプ-負荷から保護するための特徴を有する膨張バルブアセンブリ20を示す。開示された膨張バルブ組立体20は、一般に、様々な程度の熱膨張にさらされるブロックフィッティング組立体に関する、開示された技術の単なる1つの例示的な実施態様である。図13をさらに参照して説明したように、本発明の一般概念は、本発明の範囲内に留まりながら、多数の異なるブロックフィッティング構成への適用に適合させることができ、それ故、膨張バルブアセンブリ20の開示された構造は、安全装置機能を実施するにあたって非限定的であると考えられるべきである。
【0025】
図示された膨張バルブアセンブリ20は、そこを通過する2つの異なる流体の流れの温度及び/又は圧力を選択的に変更するように構成されたデュアルポート電子膨張バルブアセンブリを代表するものであってもよい。図3に概略的に示すように、膨張バルブアセンブリ20は、流体の温度及び/又は圧力を選択的に調整するために、そこを通過する流体の流れを選択的に制限し、次に膨張させるために、断面流域が調整可能であるように構成された一つ以上の膨張要素25を含んでもよい。膨張要素25の各々は、そこを通る断面流路面積を正確に制御できるように、電子的に作動させることができる。しかしながら、膨張バルブアセンブリ20の開示された構成は、そのようなアセンブリを通る1つまたは複数の流体の流れに関する代替的な用途に適合させることができることは明らかであるべきである。例えば、膨張バルブアセンブリ20の一般的な構成は、そこを通過する流体の温度および/または圧力を変化させる際に利用される他の構成要素に適用されるように適合されてもよい。そのような例では、図示された膨張要素25の各々は、所望により、熱交換構造または流れ誘導構造など、温度および/または圧力のそのような変化を行う際に利用される構造の代表であってよい。
【0026】
膨張バルブアセンブリ20は、第1ブロック21、第2ブロック22、及び第3ブロック23を含む。膨張バルブアセンブリ20は、それに応じて、以下、ブロックフィッティングアセンブリ20と代替的に呼ぶ。。第1ブロック21は、膨張要素25の各々を有する膨張バルブのハウジングの代表であってもよく、一方、第2及び第3ブロック22,23は、膨張要素25に又はそこから1以上の流体を伝達する外部流体ライン99に関連するカップリングの代表であってもよい。
【0027】
第1ブロック21は、第1軸方向端面31から対向する第2軸方向端面32まで軸方向に延びている。第1軸方向端面31は、第1ブロック21の軸方向に対して垂直に配置された平面部33を含む。第1軸方向端面31は、第1シール部35及び第2シール部36をさらに含み、これらの各々は、周囲の平面部33に対する第1軸方向端面31の凹部として設けられる。第2軸方向端面32も同様に、第1ブロック21の軸方向に対して垂直に配置された平面部34と、周囲の平面部34に対する第2軸方向端面32の凹部として形成された第1シール部45と、周囲の平面部34に対する第2軸方向端面32の凹部として形成された第2シール部46とを含んでいる。
【0028】
第1通路27及び第2通路28は、第1軸方向端面31から第2軸方向端面32まで第1ブロック21を軸方向に延びている。第1通路27の第1端は、第1軸方向端面31の第1シール部35によって囲まれ、第1通路27の対向する第2端は、第2軸方向端面32の第1シール部45によって囲まれる。上述したように、第1通路27及び/又は第2通路28は、所望により、そこに配置された拡張要素25の1つを含んでもよい。ファスナー開口部29も、第1通路27と第2通路28の中間の位置で、その第1軸方向端面31から第2軸方向端面32まで第1ブロック21を貫通して延びている。
【0029】
第1通路27及び第2通路28は、そのそれぞれの第1及び第2の端部の間で第1ブロック21を通って直線的に延びるように図3に示されているが、通路27、28は代わりに、そこを通る流体に関して所望の機能を果たすために必要な任意の数のオフセット又は方向転換を含んでもよい。例えば、通路27、28の一方または両方の第1および第2の端部は、第1ブロック21の軸方向に垂直な方向に関して、互いに横方向にオフセットされてもよい。また、通路27,28は、同じ内径を含むものとして示されているが、通路27,28の内径は、本発明の範囲内にとどまりつつ、互いに異なっていてもよい。
【0030】
第2ブロック22は、第1軸方向端面51から対向する第2軸方向端面52まで軸方向に延びている。第1軸方向端面51は平面部53を含み、第2の軸方向端面52は平面部54を含み、これらの各々は第2ブロック22の軸方向に対して垂直に配置されている。第2軸方向端面52は、第1シール部55及び第2シール部56をさらに含み、これらの各々は、周囲の平面部54に対する第2軸方向端面52の突出部分として設けられる。第2ブロック22の第1シール部55は、第1ブロック21の第1軸方向端面31の第1シール部35内に軸方向に受容されるように構成され、第2ブロック22の第2シール部56は、第1ブロック21の第1軸方向端面31の第2シール部36内に軸方向に受容されるように構成される。
【0031】
密封部分35、36は凹部として記載され、密封部分55、56は突出部として記載されているが、密封部分35、36、55、56の構成は、本発明の範囲内に留まりながら、反転させるか、さもなければ変更できることは、当業者に明らかであるはずである。言い換えれば、シール部35、36、55、56のいずれが対応するジョイントの雄部品または雌部品を形成するかを選択しても、本明細書に記載する本発明の動作に影響を与えない。
【0032】
第2ブロック22は、第1軸方向端面51から第2軸方向端面52までその中を延びる第1通路57及び第2通路58を更に含む。第1通路57の第1端は、外部流体ライン99の1つに結合するように構成されてもよく、一方、第1通路57の第2端は、第1密封部分55によって取り囲まれる。同様に、第2通路58の第1端部は、第2通路58の第2の端部が第2シール部56によって囲まれている間、外部流体ライン99の別の1つに結合するように構成されてもよい。ファスナー開口部59も、第1通路57と第2通路58との中間位置で、その第1軸方向端面51から第2軸方向端面52へ第2ブロック22を貫通して延びている。
【0033】
第3ブロック23は、第1軸方向端面71から対向する第2軸方向端面72まで軸方向に延びている。第1軸方向端面71は平面部73を含み、第2軸方向端面72は平面部分74を含み、これらの各々は、第3ブロック23の軸方向に対して垂直に配置されている。第1軸方向端面71は、第1シール部75及び第2シール部76をさらに含み、これらの各々は、周囲の平面部73に対する第1軸方向端面71の突出部分として設けられる。第3ブロック23の第1シール部75は、第1ブロック21の第2軸方向端面32の第1シール部45内に軸方向に受容されるように構成されており、第3ブロック23の第2シール部76は、第1ブロック21の第2軸方向端面32の第2シール部46内に軸方向に受容されるように構成されている。
【0034】
シール部分45、46は凹部として記載され、シール部75、76は突出部として記載されているが、シール部45、46、75、76の構成は、本発明の範囲内に留まりながら、反転させるか、さもなければ変更できることは当業者には明らかであるはずである。言い換えれば、シール部45、46、75、76のいずれが対応するジョイントの雄部品または雌部品を形成するかを選択しても、本明細書に記載する本発明の動作に影響を与えない。
【0035】
第3ブロック23は、第1軸方向端面71から第2軸方向端面72までその中を延びる第1通路77及び第2通路78を更に含む。第1通路77の第1端部は、第1シール部75によって取り囲まれているが、第1通路77の第2の端部は、外部流体ライン99の1つに結合するように構成されてもよい。 同様に、第2通路78の第1端部は、第2シール部分76によって取り囲まれているが、第2通路78の第2の端部は、外部流体ライン99の別の1つに結合するように構成されてもよい。ファスナー開口部79も、第1通路77と第2通路78との中間位置で、その第1軸方向端面71から第2軸方向端面72へ第2ブロック23を貫通して延びている。第1ブロック21のファスナー開口部29、第2ブロック22のファスナー開口部59、及び第3ブロック23のファスナー開口部79は、いずれも軸方向に相対的に整列して同心状に配置されていてもよい。
【0036】
ブロックフィッティングアセンブリ20は、複数のシーリング要素81、82、83、84を更に含む。シール要素81、82、83、84は、第1ブロック21の第1軸方向端面31の第1シール部35と第2ブロック22の第1シール部55との間の圧縮のために構成された第1シール要素81と、第1ブロック21の第1軸方向端面31の第2シール部36と第2ブロック22の第2シール部56との間の圧縮のために構成された第2シール要素82とを含んでも良い。第1ブロック21の第2軸方向端面32の第1シール部45と第3ブロック23の第1シール部75との間の圧縮のために構成された第3シール要素83、及び第1ブロック21の第2軸方向端面32の第2シール部46と第3ブロック23の第2シール部分76との間の圧縮のために構成された第4シール要素84である。シール要素81、82、83、84の各々の少なくとも一部は、非限定的な例として、アルミニウム、銅、またはそれらの合金などの比較的柔らかく圧縮可能に変形可能な金属材料から形成されてもよい。例えば、シール要素81、82、83、84の各々は、環状金属部分と、金属部分に取り付けられた環状エラストマー部分とを含んでよく、金属部分は、対応するシール要素81、82、83、84の圧縮によって塑性変形するように構成された圧縮可能に変形する金属物質を形成している。他の実施形態では、シール要素81、82、83、84の1つ又は複数の全体が、所望により、圧縮可能に変形可能な材料から形成されてもよい。
【0037】
ブロックフィッティングアセンブリ20は、ブロック21、22、23及びシーリング要素81、82、83、84のアセンブリに軸方向クランプ力を加えるためのクランプ装置として働くファスナー90を更に含む。この軸方向クランプ力は、シール要素81、82、83、84のそれぞれを所望の程度まで圧縮するように構成されており、これは、所望のシール構成を達成するためにシール要素81、82、83、84のそれぞれの少なくとも一部の塑性変形を含んでもよい。
【0038】
ファスナー90は、その第1端部に形成されたヘッド93と、その第2の端部に隣接してシャフト92の外面に形成された第1ねじ部95とを有する軸方向に延びるシャフト92を含む。頭部であるヘッド93は、外側にフランジ付けされており、第2ブロック22の第1軸方向端面51に接触するように構成されている。第1ねじ部95のねじ切り部分は、ナット97の内面上に形成された対応するねじ切り部分98と嵌合するように構成されている。ナット97は、ナット97を第3ブロック23の第2軸方向端面72に接触する位置まで前進させるために、シャフト92に対してその回転を介して軸方向に調整可能に構成されている。ナット97は、シール要素81、82、83、84の各々において所望のシールを形成するために、ヘッド93とナット97との間のブロック21、22、23の組立体に所望のクランプ力が加えられるまで回転させることができる。いくつかの実施形態では、ファスナー90は、所望により、第2ブロック22のファスナー開口部59の対応するねじ部分と嵌合するように構成された、ヘッド93に隣接する第2ねじ部96をさらに含む。ファスナー90の向きは、本発明の範囲内に留まりながら、図示及び説明されたものとは逆であってもよい。具体的には、頭部ヘッド93とナット97の位置関係は、頭部ヘッド93が第3ブロック23と係合し、ナット97が第2ブロック22と選択的に係合するように、所望により逆にしてもよい。
【0039】
開示されたファスナー90は、本発明の範囲内に留まりながら、ブロック21、22、23の間でシール要素81、82、83、84を圧縮するためにブロックフィッティングアセンブリ20の対向端部に所望のクランプ力を提供する任意の形態のクランプ装置で置き換えてもよい。このようなクランプ装置は、外側に配置されたブロック22、23にクランプ力を加えるように構成された任意の2つの対向面によって構成されてもよく、クランプ力の適用の対向側に形成されたシーリング要素81、82、83、84の各々にクランプ力を分配するために、開示された締結具90の位置においてクランプ力が加えられることを好ましく含むことができる。クランプ力は、代替的に、分散されたクランプ力の合計がファスナー90の位置で印加される複数の位置でアセンブリに印加されてもよい。
【0040】
第1ブロック21は第1材料から形成され、ファスナー90は第1材料と異なる第2材料から形成される。いくつかの実施形態では、第2ブロック22及び第3ブロック23も、第1の材料から形成されてもよい。他の実施形態では、第2ブロック22及び第3ブロック23は、第2の材料、又は第1の材料若しくは第2の材料とは異なる第3の材料から形成されてもよい。第1の材料は、第2の材料よりも大きな熱膨張係数を含み、それによって、同じ温度上昇を受けたときに、第1の材料が第2の材料よりも熱膨張することを示す。本実施例では、これは、同じ温度上昇にさらされたときに、ファスナー90のシャフト92の対応する長さよりも、第1ブロック21が軸方向に大きく伸びることが期待されることを示す。第1の材料はアルミニウムであってもよく、第2の材料は鋼であってもよく、1つの非限定的な組み合わせとして、第1の材料はアルミニウムであってもよい。しかしながら、本発明の範囲内に留まりながら、開示された関係を有する材料の任意の組み合わせが利用されてもよい。
【0041】
ブロックフィッティングアセンブリ20は、ファスナー90に対して実質的に対称な構成を有するものとして図3に示されており、ファスナー90の一方の側に形成された通路27、57、77及びシール要素81、83は、ファスナー90の他方の側に形成された通路28、58、78及びシール要素82、84に対して同一である。しかしながら、通路27、28、57、58、77、78またはシール要素81、82、83、84のいずれかの寸法および構成は、本発明の範囲内にとどまりながら互いに変化させることができるので、図示の構成は非限定的なものである。例えば、いくつかの実施形態では、通路27、57、77は、通路28、58、78と異なる直径を含んでもよい。他の例として、シール要素81、82は、シール要素83、84とは異なる軸方向の厚さを含んでもよく、又は、シール要素83、84とは異なる材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。このようなバリエーションは、ブロックフィッティングアセンブリ20を通過する2つの異なる流体流の間に存在し得る差異に対応するために導入されてもよい。例えば、流体流は、流体タイプ、圧力、温度、又は化学反応性が異なる場合があり、それによって、膨張要素25などの構成要素の所望の動作を保証するために、構造におけるこれらの差異が必要となる。
【0042】
ブロックフィッティングアセンブリ20は、第1ブロック21の第1軸方向端面31から軸方向に突出する第1ヒール構造85と、第1ブロック21の第2軸方向端面32から軸方向に突出する第2ヒール構造86とを更に含む。より具体的には、第1ヒール構造85は、第1軸方向端面31の隣接平面部33に対して軸方向に突出してもよく、第2ヒール構造86は、第2軸方向端面32の隣接平面部34に対して軸方向に突出してもよい。第1ヒール構造85は、第2ブロック22に向かう方向に軸方向に突出する一方、第2ヒール構造86は、第3ブロック23に向かう方向に軸方向に突出する。第1ヒール構造85は、第1ブロック21の温度に応じて、第2ブロック22の第2軸方向端面52から軸方向に離間するか、または接触するように構成される。同様に、第2ヒール構造86は、第1ブロック21の温度に応じて、第3ブロック23の第1軸方向端面71から軸方向に離間し、または接触するように構成されている。具体的には、ヒール構造85、86のいずれかと各ブロック22、23のいずれかとの係合は、その軸方向に関して第1ブロック21内で生じる熱膨張の程度に依存し、第1ブロック21の温度の上昇は、第1ヒール構造85が第2ブロック22に近づく一方で第2ヒール構造86が第3ブロック23に近づくように第1ブロック21を軸方向に長くさせることに対応する。第1ヒール構造85は、第1ブロック21が閾値温度未満の温度にあるときに第2ブロック22から軸方向に離間するように構成され、第1ヒール構造85は、第1ブロック21が閾値温度以上の温度にあるときに第2ブロック22に接触するように構成される。第1ヒール構造85の第2ブロック22への接近は、図4及び図5の比較により示される。同様に、第2ヒール構造86は、第1ブロック21が閾値温度未満の温度にあるときに第3ブロック23から軸方向に離間するように構成され、第2ヒール構造86は、第1ブロック21が閾値温度以上の温度にあるときに第3ブロック23に接触するように構成される。第2ヒール構造86は、第1ヒール構造85を参照して示され説明されたものと同一の様式で、対向する軸方向において第3ブロック23に接近し、それゆえ、ここではそのさらなる図示が省略される。
【0043】
ヒール構造85、86が対面ブロック22、23と初期接触を行うように構成される閾値温度は、ファスナー90のヘッド93及びナット97がブロック21、22、23の組立体の軸方向の拡張を拘束する本発明の背景に記載された効果に従って、ファスナー90に対する第1ブロック21の熱拡張がシール要素81、82、83、84の1又は2を望ましくない程度に圧縮すると予測される温度に対応して選択することができる。第1ブロック21が閾値温度に達する前に、ブロック21、22、23の構造の撓みは、望ましくない様式でシール要素81、82、83、84の1つまたは複数を圧縮せずに、増加するクランプ力を最初に補償する。第1ブロック21が閾値温度を超えた後、ヒール構造85、86は、増加するクランプ力に応じて反応し続けることができる。
【0044】
ブロックフィッティングアセンブリ20は、ブロックフィッティングアセンブリ20が所望のクランプ力を受け、かつ既知の温度であるときに、ヒール構造85、86の各々と対面ブロック22、23の各々の間に存在する初期軸方向ギャップを選択することによって調整される。次に、その動作中に起こると予想されるこの既知の温度からの第1ブロック21の温度の変化は、ヒール構造85、86のそれぞれとフェイシングブロック22、23のそれぞれとの間の接触を引き起こす第1ブロック21の熱膨張を決定するために使用できる。
【0045】
ヒール構造85、86のいずれかが対応するブロック22、23の対面表面に接触することにより、クランプ力が、シール要素81、82、83、84にのみ作用していたのが、対応するヒール構造85、86を介してブロック21、22、23が互いに接触する場所に少なくとも部分的に反応するように瞬間的に再分配されることになる。具体的には、第1ヒール構造85が第2ブロック22に接触するところで第1ブロック21から第2ブロック22に伝達されるクランプ力の少なくとも一部は、第1ブロック21からシール要素81,82を介して第2ブロック22に伝達されるクランプ力の一部分の減少に対応する。同様に、第2のヒール構造86が第3ブロック23に接触する、第1ブロック21から第3ブロック23に伝達されるクランプ力の少なくとも一部は、第1ロック21からシール要素83、84を介して第3ブロック23に伝達されるクランプ力の一部における減少に相当する。
【0046】
ブロックフィッティングアセンブリ20の軸方向に対して垂直に配置された平面に対するヒール構造85、86の各々の位置も、クランプ力がシール要素81、82、83、84の各々でどのように再分配されるかに影響を与える。これは、ヒール構造85、86がフェイシングブロック22、23と接触するときに生じる軸力の再分配が、これらの軸力の結果としてブロックフィッティングアセンブリ20内に形成される曲げモーメントのバランスに依存し、各軸力のクランプ力適用の中心からの距離および位置が、この再分配に異なる影響を有することから生じる。
【0047】
第1ブロック21を分離して示す図6に最もよく示されているように、第1ヒール構造85は、第1ブロック21のファスナー開口部29の周囲に配置されてもよく、またはそれに隣接して配置されてもよい。より具体的には、第1ヒール構造85は、第1ヒール構造85がファスナー90のシャフト92の2つの異なる側面の各々に少なくとも部分的に形成されるように、ファスナー開口部29の周囲を延在してもよい。第1ヒール構造85は、頭部ヘッド93の係合面及びナット97の係合面のうちの一方又は両方と軸方向に整列していてもよい。また、第1ヒール構造85をシャフト92の中心に対して対称に配置することで、第2ブロック22に接触させる際の第1ヒール構造85の反力を、ファスナー90が加える締結力の和の軸に相当するシャフト92の中心にも沿わせて作用させるようにしてもよい。このような構成は、クランプ力の再分配が、各シール要素81、82、83、84がクランプ力の適用から離間される距離に比例することにつながる。
【0048】
この効果は、シール要素81、82、83、84のそれぞれに存在する状況に応じて、クランプ力の所望の再配分を引き起こすために利用することができる。上述したように、既知のクランプ力を経験するときに各所望のシールを達成するために、シール要素81、82、83、84の各々で異なる圧縮力を加える必要性を促進するために、シール要素81、82、83、84の各々で、またはブロック21、22、23の各々の構造内で形態および構造の変動が存在する可能性がある。このように、意図された効果を有するために、ヒール構造85、86の各々の接触面のサイズ、形状、及び面積を変えることによって、異なるシール要素81、82、83、84の間のクランプ力の再分配を偏らせることが必要である。例えば、図6とは対照的に、図7は、第1ヒール構造85の接触面の面積の中心が、通路27に向かってファスナー開口部29の一方の側に配置されているように図示し、一方、図8は、第1ヒール構造85の接触面の面積の全体が通路27に向かってファスナー開口部29の側の側に配置されているように図示したものである。図示されていないが、第2のヒール構造86の同様のバイアスは、第3ブロック23との接触に関しても利用することができる。
【0049】
第1ヒール構造85及び第2ヒール構造86はそれぞれ、図3~5に、第1ブロック21の残部と一体的に形成される突起であるとして示されている。ヒール構造85、86の第1ブロック21とのこのようなモノリシック形成は、所望により、成形、鋳造、または機械加工プロセスなどの一般的な製造プロセス中に達成される。しかしながら、図9の第1ヒール構造85を参照して示すように、第1ヒール構造85および第2ヒール構造86の一方または両方は、代替的に、その後、第1ブロック21に結合されるか、さもなければブロック21、22、23の対応する対の間に存在する空間のうちの1つ内に取り外し可能に受け取られる独立形成構造として提供されてもよい。ヒール構造85、86の各々は、それに応じて、ブロック21、22、23の対応する対の間に受け取られるシムに類似していてもよい。そのような空間内に取り外し可能に受け取られる場合、ヒール構造85、86の各々は、クランプ力がヒール構造85、86に再分配される所望の閾値温度を達成するために対応するブロック取り付けアセンブリ20を調整するためにそのような空間に交換可能に挿入される複数のヒール構造の1つであってもよい。そのような交換可能性は、ブロック21、22、23の向かい合った対の異なる領域に接触するための異なる形状を有する異なるヒール構造85、86を含んでもよく、または異なる閾値温度で接触を確立するための異なる軸方向の厚さを有する異なるヒール構造85、86を含んでもよい。
【0050】
次に図10を参照すると、第1ヒール構造85は、第2ブロック22から第1ブロック21に向かう方向に軸方向に延びる突起として交互に設けられてもよい。図示されていないが、第2のヒール構造86も、第3ブロック23から第1ブロック21に向かう方向に軸方向に延びる突起として代替的に設けられてもよく、第2のヒール構造86は、図10における第1ヒール構造85の描写に対して実質的に対称に配置されてもよい。その温度に依存する第1ブロック21の熱膨張は、やはり対応するヒール構造85、86と第1ブロック21との間に形成される選択的接触をもたらし、その結果、図3~5の実施形態を参照して上記に開示したのと同じ効果がもたらされる。ヒール構造85、86のそれぞれが対応する軸方向端面52、71から軸方向に突出する範囲、およびヒール構造85、86のそれぞれの位置でブロック21、22、23の間に存在する初期軸方向ギャップは、所望の閾値温度でのクランプ力の再分配を達成するためにブロック嵌合アセンブリ20を調整するために再び選択することができる。図6~8を通じて第1ブロック21を参照して示され説明されたようなヒール構造85、86の異なる形状または構成のいずれも、対応するファスナー開口部59、79の一方または両方に対してヒール構造85、86を偏らせることを含め、それぞれの第2および第3ブロック22、23から代替的に突出したときにヒール構造85、86に適用することも可能である。
【0051】
図11及び図12は、代表的な第1ヒール構造85が第2ブロック22の第2軸方向端面52の平面部54から軸方向に突出するように示された、ヒール構造85、86のいずれかの2つの追加可能な構成を示す。しかしながら、図示された構成は、第1ブロック21の対向する軸方向端部から突出する場合のヒール構造85、86のいずれかの構造にも適用可能であり、あるいは、所望により、第3ブロック23から突出する第2ヒール構造86にも代替的に適用可能である。
【0052】
第1ヒール構造85は、図11において、第1部分87及び第2部分88を含む外周形状を有するものとして示されている。第1部分87は、通路57の円形状と同心に配置された円の円弧の形状を有し、第2の部分88は、通路58の円形状と同心に配置された円の円弧の形状を有している。また、第1部分87は、第1シール要素81の円形状と同心に配置された円の円弧の形状を有し、第2部分88は、同様に、第2シール要素82の円形状と同心に配置された円の円弧の形状を有している。それに応じて、第1部分87は、通路57および第1シール要素81の各々の中心から測定された曲率半径を有し、第2の部分88は、通路58および第2のシール要素82の各々の中心から測定された曲率半径を有している。部分87、88の記載された構成は、第1ヒール構造85がクランプ力の一部に反応する際に、クランプ力をシール要素81、82の各々の周囲によりよく分配して、シール要素81、82の各々の周囲の所望のシールを確保するために利用される。
【0053】
図12は、第2の部分88の曲率半径が、第1ヒール構造85の接触領域の大部分が、ファスナー開口部59に対して中心にあるのとは対照的に、通路58の方に偏っていることをもたらすように減少していることを除いて、図11と同じ一般的構成を例示している。図12は、それに応じて、通路57、58の対応する一方の中心から測定された一定の曲率半径を有する部分87、88のいずれかが、対向するシール要素81、82の一方に対するクランプ力に対する反応の上述の偏りを可能にするためにその曲率半径を変更することができるという概念を実証している。
【0054】
本発明の一般的な概念は、図13に示すブロックフィッティングアセンブリ120の要素を少なくとも有する実質的に任意のブロックフィッティングアセンブリに適用される。ブロックフィッティングアセンブリ120は、第1ブロック121と、第2ブロック122と、シール要素181にクランプ力を加えるファスナー190とを含む。第1ブロック121は、第1の材料から形成され、ファスナー190は、第1の材料よりも低い熱膨張係数を有する第2の材料から形成される。ヒール構造185は、第1ブロック121から第2ブロック122に向かう方向に突出するように示されているが、ヒール構造185は、代替的に、図10に開示された実施形態と同様の方法で第2ブロック122から第1ブロック121に向かって延在してもよい。ヒール構造185は、先の実施形態を参照して説明したのと全く同じ方式で動作し、第1ブロック121の温度上昇は、第1ブロック121が閾値温度値に達したときにファスナー190のクランプ力を再分配するためにヒール構造185が第2ブロック122に接触するまで第1ブロック121の軸方向の拡張を導く。
【0055】
本発明の一般概念は、それに応じて、ブロックフィッティングアセンブリの軸方向に直列に配置された任意の数のシーリング要素、又はクランプ力の適用に対して半径方向に配置された任意の数のシーリング要素を有するブロックフィッティングアセンブリのクランプ力を再分配するために適用される。ヒール構造の1つは、シール要素の1つが望ましくない軸方向圧縮の危険にさらされるその中の任意の位置で、ブロックフィッティングアセンブリの構造に実装されることができる。さらに、クランプ力は、ヒール構造を有する、またはヒール構造と接触するブロックの1つに加えられる必要はなく、クランプ力は、ヒール構造で同じ効果を達成する複数の中間部品を通して運ばれることができるからである。
【0056】
本発明を代表的な実施形態で詳細を示したが、以下の添付の請求項にさらに記載されている本開示の範囲から逸脱することなく様々な変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0057】
1 膨張バルブアセンブリ
3 第1ブロック
4 第1通路
5 第2通路
6 膨張要素
8 ファスナー開口部
9 ファスナー
12 第2ブロック
13 第3ブロック
15 シール要素
16 シール要素
17 ヘッド
18 ナット
20 バルブアセンブリ
21 第1ブロック
22 第2ブロック
23 第3ブロック
25 膨張要素
27 第1通路
28 第2通路
29 ファスナー開口部
31 第1軸方向端面
32 第2軸方向端面
33 平面部
34 平面部
35 第1シール部
36 第2シール部
45 第1シール部
46 第2シール部
51 第1軸方向端面
52 第2軸方向端面
53 平面部
54 平面部
55 第1シール部
56 第2シール部
57 第1通路
58 第2通路
59 ファスナー開口部
71 第1軸方向端面
72 第2軸方向端面
73 平面部
74 平面部分
75 第1シール部
76 第2シール部
77 第1通路
78 第2通路
79 ファスナー開口部
81 第1シール要素
82 第2シール要素
83 第3シール要素
84 第4シール要素
85 第1ヒール構造
86 第2ヒール構造
87 第1部分
90 ファスナー
92 シャフト
93 ヘッド
95 第1ねじ部
96 第2ねじ部
97 ナット
98 ねじ切り部分
99 外部流体ライン
120 ブロックフィッティングアセンブリ
121 第1ブロック
122 第2ブロック
181 シール要素
185 ヒール構造
190 ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13