(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】車載カメラ取付装置
(51)【国際特許分類】
B60R 19/52 20060101AFI20240215BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B60R19/52 K
B60R11/02 Z
(21)【出願番号】P 2022182314
(22)【出願日】2022-11-15
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】川岸 徹
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-83720(JP,A)
【文献】特開2010-69989(JP,A)
【文献】特開2019-89519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0055388(US,A1)
【文献】中国実用新案第202783053(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00-19/56
B60R 11/02
B60R 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界を撮影するカメラと、
格子状に並んだ複数のはり要素を有し、前記複数のはり要素のうち、隣り合う少なくとも2本のはり要素の自由端となる部位に連なって前記カメラの取付用の開口が形成されたグリルと、
前記カメラを保持する保持部を有し、前記開口に面して前記グリルよりも車体内側に配置される保持部材と、
前記カメラの周囲を覆うように前記開口に面して前記グリルよりも車体外側に配置されるカバー部材と、
前記保持部材および前記カバー部材を前記グリルに固定する固定部と、を備え、
前記保持部材および前記カバー部材はそれぞれ、前記はり要素の自由端となる部位に係合する切り欠きを有することを特徴とする車載カメラ取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載カメラ取付装置において、
前記固定部は、前記保持部材および前記カバー部材の一方を、前記複数のはり要素を包囲するように設けられた前記グリルの周縁部に固定する第1固定部と、前記保持部材および前記カバー部材の他方を、前記一方に固定する第2固定部と、を有することを特徴とする車載カメラ取付装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載カメラ取付装置において、
前記保持部材は、板状部材によって構成されるとともに、前記切り欠きに隣接して前記保持部材側に屈曲された爪部を有することを特徴とする車載カメラ取付装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載カメラ取付装置において、
前記はり要素は、上下方向かつ左右方向に延在する鉛直面に沿って左右方向に延在し、
前記保持部材は、前記鉛直面からの距離が下方にかけて増加するように傾斜された傾斜部をさらに有し、
前記保持部は、前記カメラが斜め下方を向くように前記傾斜部に設けられ、
前記爪部は、前記少なくとも2本のはり要素の自由端となる部位のうち、最下段のはり要素の自由端となる部位の下方に設けられることを特徴とする車載カメラ取付装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車載カメラ取付装置において、
前記はり要素は、上下方向かつ左右方向に延在する鉛直面に沿って左右方向に延在し、
前記保持部材は、前記鉛直面からの距離が右方または左方にかけて徐々に増加するように傾斜された傾斜部をさらに有し、
前記保持部は、前記カメラが斜め右方または斜め左方を向くように前記傾斜部に設けられ、
前記爪部は、前記少なくとも2本のはり要素の自由端となる部位の近傍に至るように前記傾斜部の右端部または左端部に設けられることを特徴とする車載カメラ取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用グリルにカメラを取り付ける車載カメラ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、車両のラジエータグリルに車載カメラを取り付けるようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、ラジエータグリルの一部を除去してエンブレム取付座を設けるとともに、エンブレム取付座にフィニッシャを取り付け、ブラケットとフィニッシャとを介してカメラをラジエータグリルに取り付ける。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、ラジエータグリルへのカメラの取り付けに際し、ラジエータグリルにフィニッシャを取り付ける必要があるため、部品点数が増加し、コストの上昇を招く。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車載カメラ取付装置は、外界を撮影するカメラと、格子状に並んだ複数のはり要素を有し、複数のはり要素のうち、隣り合う少なくとも2本のはり要素の自由端となる部位に連なってカメラの取付用の開口が形成されたグリルと、カメラを保持する保持部を有し、開口に面してグリルよりも車体内側に配置される保持部材と、カメラの周囲を覆うように開口に面してグリルよりも車体外側に配置されるカバー部材と、保持部材およびカバー部材をグリルに固定する固定部と、を備える。保持部材およびカバー部材はそれぞれ、はり要素の自由端となる部位に係合する切り欠きを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コストの上昇を抑えた簡易な構成で、グリルにカメラを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置の全体構成を分解して示す斜視図。
【
図2A】カメラ取付用の開口部が形成される前の車両のグリルの左右方向中央部の構成を示す背面図。
【
図2B】カメラ取付用の開口部が形成された後の車両のグリルの左右方向中央部の構成を示す背面図。
【
図3】本発明の実施形態に車載カメラ取付装置の全体構成を示す背面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置を斜め前方から見た斜視図。
【
図6】本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置の正面図。
【
図8A】本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置の変形例を示す図。
【
図8B】本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置の別の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図8Bを参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置は、車両表面に配置されたグリルに、外界を撮影するためのカメラを取り付けるための装置である。以下では、フロントグリルないしラジエータグリル(以下、単にグリルと呼ぶ)にカメラを取り付ける場合について説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置の全体構成を分解して示す斜視図である。なお、以下では、図示のように前後方向(車両長さ方向)、左右方向(車幅方向)および上下方向(車両高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
図1に示すように、車載カメラ取付装置100は、グリルユニット1と、ステイ2と、カメラ3と、ガーニッシュ4とを有する。
【0010】
グリルユニット1は、左右方向に延在するグリル10と、グリル10の上方に設けられたフロントフェイス11とを一体に有する。図示は省略するが、フロントフェイス11の左右両側には、前照灯が配置される。グリル10には、グリル10の下端部から左右の側縁部に至る領域に、下方に向けて延在するフロントバンパーが取り付けられる。グリル10は、左右方向に細長の開口12に沿って延在する複数の棒状ないし板状部材、すなわち上下方向に延在する複数のストラット13と、左右方向に延在する複数のルーバー14とを有する。
【0011】
開口12は、左右方向等間隔に配置されたストラット13により、左右方向複数の領域ARに区画される。ルーバー14は、左右方向複数の領域ARのうち、左右方向中央のストラット13よりも右方の領域ARに、上下方向等間隔に複数配置される。ルーバー14の後方にはラジエータやコンデンサなどの熱交換器が配置される。したがって、車両前方から流れた空気は、ルーバー14,14間の空隙を通って熱交換器に導かれる。なお、右方の領域ARだけでなく左方の領域ARにも、同様にルーバー14が配置されてもよい。
【0012】
開口12の左右方向中央のストラット13と、このストラット13の右方の複数のルーバー14との間には、開口部15が形成される。開口部15の周囲に、ステイ2とガーニッシュ4とを介してカメラ3が取り付けられる。より詳しくは、カメラ3は、ステイ2により保持されるとともに、開口部15を介して前方に向けて配置される。このとき、ステイ2は、グリル10の後方に配置され、ねじを用いてグリル10に固定される。さらに、ガーニッシュ4がグリル10の前方に配置されるとともに、グリル10を挟んでステイ2に締結される。これによりステイ2とガーニッシュ4とともに、カメラ3がグリル10に取り付けられる。
【0013】
図2A、
図2Bは、それぞれ開口部15が形成される前および開口部15が形成された後のグリル10の左右方向中央部の構成を示す背面図(後方から見た図)である。
図2Aに示すように、開口部15が形成される前において、開口12の左右方向中央のストラット13、すなわち車両の車幅方向中心線CL1上のストラット13(中央ストラット13aと呼ぶ)は、他のストラット13(非中央ストラット13bと呼ぶ)よりも左右方向幅広に形成されている。なお、
図2Aでは、上下方向等間隔に4本のルーバー14が互いに平行に左右方向に延在しており、これらルーバー14を上から順番に1段目ルーバー141、2段目ルーバー142、3段目ルーバー143および4段目ルーバー144と呼ぶ。
【0014】
図2Bに示すように、中央ストラット13aとルーバー14とには、点線によって包囲された領域、すなわちハッチングで示す領域に切削加工が施され、開口部15が形成される。より詳しくは、中央ストラット13aには、左右両端の縁部131,132を残しながら、開口12の上縁部133から下縁部134にかけて、中心線CL1を中心にして開口部15が形成される。この開口部15は、右側の縁部132の上下方向中央部および2段目ルーバー142と3段目ルーバー143の左縁部をカットして右側に拡大される。グリル10の後面には、開口部15の上方の上縁部133および下方の下縁部134にそれぞれボス部135が設けられ、ボス部にねじ孔136が設けられる。
【0015】
このように開口部15を形成すると、2段目ルーバー142と3段目ルーバー143とが右側の非中央ストラット13bから片持ち状態で支持され、2段目ルーバー142および3段目ルーバー143の開口部15に隣接した部位は自由端となる。このため、これらルーバー142,143は振動の影響を特に受けやすく、グリル10が変形するおそれがある。そこで、グリル10の変形を抑えながら、開口部15に良好にカメラ3を取り付けることができるよう、本実施形態は以下のように車載カメラ取付装置100を構成する。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る車載カメラ取付装置100の全体構成を示す背面図(車両後方から見た図)、すなわち
図2Bのグリル10にカメラ3を取り付けた状態を示す図であり、
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図3に示すように、ステイ2は、グリル10の上縁部133から下縁部134にかけて上下方向に細長に形成される。ステイ2は、例えば折り曲げ可能な金属板により構成される。
【0017】
図4に示すように、ステイ2は、上下左右方向に延在する鉛直面SFに沿って延在する上フランジ部21および下フランジ部22と、下フランジ部22の上端部から屈曲して前方かつ上方に斜めに延在する傾斜部23と、上フランジ部21の下端部から屈曲して前方かつ下方に斜めに延在し、屈曲しながら傾斜部23の上端部に接続される接続部24とを有する。鉛直面SFは、グリル10の上縁部133と下縁部134の後端面、すなわちボス部135の後端面に一致する。
【0018】
ルーバー14は、上下方向に延在する縦板部14aと、縦板部14aの上端部から後方に延在する横板部14bとを有し、断面略L字形状を呈する。縦板部14aは横板部14bよりも厚肉に構成される。横板部14bの先端(後端)は、鉛直面SFよりも前方に位置する。
【0019】
図1,
図4に示すように、カメラ3は、略ボックス形状のホルダ31と、ホルダ31の後端面の中央部から後方に突出するコネクタ部32とを有し、ホルダ31の前面に、カメラ本体のレンズ部33が設けられる。
図1,
図3に示すように、ステイ2の傾斜部23には、左端部から右方にかけて切り欠き25aが設けられ、さらに切り欠き25aの端部に切り欠き25aの幅よりも大径の支持孔25が設けられる。カメラ3は、後端部(コネクタ部32)が切り欠き25aに挿入されて支持孔25まで導かれる。ホルダ31の後端面には、上下一対のねじ孔が設けられ、このねじ孔に、
図3に示すように、ステイ2の傾斜部23を貫通したねじ35が螺合し、これによりカメラ3がステイ2の傾斜部23に固定される。
【0020】
図1に示すように、ステイ2の上フランジ部21および下フランジ部22にはそれぞれ貫通孔26aが開口される。さらに上フランジ部21および下フランジ部22には、貫通孔26aの上下方向内側にそれぞれ貫通孔26bが開口される。
図3に示すように、ステイ2は、上下一対の貫通孔26aを貫通したねじ51がグリル10のねじ孔136に螺合することで、グリル10に固定される。このとき、カメラ3は、開口部15(
図2B)を貫通し、レンズ部33が斜め下方を向いた状態でグリル10よりも前方に突出する。このため、ドライバが視認することが困難な車両の直前方の路面などをカメラ3により撮影することができる。
【0021】
グリル10の前面には、ステイ2の貫通孔26b(
図1)に挿通されたねじ52によりガーニッシュ4が固定される。
図5は、ガーニッシュ4の取付状態を示す車載カメラ取付装置100の斜視図(斜め前方から見た図)であり、
図6は正面図(前方から見た図)、
図7は背面図(後方から見た図)である。なお、
図7では、ステイ2とカメラ3の図示が省略されている。
図6に示すように、ガーニッシュ4は、グリル10の開口部15の全体を覆うように正面視で略矩形状を呈する。したがって、
図7に示すように、ガーニッシュ4の左端部は、中央ストラット13aの左縁部131よりも左方に位置し、右端部は、2段目ルーバー142と3段目ルーバー143の左端(自由端)よりも右方に位置する。
【0022】
図4,
図5に示すように、ガーニッシュ4は、ステイ2の傾斜部23と略平行な傾斜部40を有し、傾斜部40に、前後方向に貫通する略矩形状の開口部41が設けられる。ガーニッシュ4は、傾斜部40の左右両側に側壁部42を有する。右側の側壁部42の後端面には、4本のルーバー14の位置に対応して上下方向4箇所に切り欠き43が設けられる。切り欠き43には、4本のルーバー14の縦板部14aがそれぞれ嵌合し、これによりガーニッシュ4の上下方向および前後方向の位置が規制される。
【0023】
図7に示すように、開口部41はグリル10の開口部15の内側に位置する。ガーニッシュ4の背面には、開口部41の上方および下方にそれぞれ後方に向けてボス部44が突設され、ボス部44にねじ孔45が設けられる。上下のねじ孔45の右方には、それぞれ後方に向けて突出する突起部46が設けられる。ガーニッシュ4がグリル10に取り付けられた状態では、ねじ孔45が中央ストラット13aの左縁部と右縁部との間に位置する。このとき、突起部46は、中央ストラット13aの右縁部132に当接された状態で、中央ストラット13bの右縁部132の右側、すなわち、グリル10の上縁部133と1段目ルーバー141との間および4段目ルーバー144とグリル10の下縁部134との間に位置する。
【0024】
図4に示すように、ガーニッシュ4のボス部44の後端面は、ボス部135の後端面と同様、鉛直面SF上に位置する。ボス部44のねじ孔45には、ステイ2の貫通孔26b(
図1)を貫通したねじ52が螺合される。これによりルーバー14を前後に挟んだ状態でガーニッシュ4がステイ2に固定される。
【0025】
図3に示すように、ステイ2の左端面は、中央ストラット13の左縁部131に沿って上下方向に略直線状に形成される。一方、ステイ2の右端面は、傾斜部23において段付き状に形成され、上フランジ部21と接続部24の右端面は、下フランジ部22の右端面よりも右方に位置する。より詳しくは、上フランジ部21と接続部24の右端面は、2段目ルーバー142と3段目ルーバー143の左端面よりも左方かつ中央ストラット13aの右縁部132(
図7)よりも右方に位置する。なお、下フランジ部22の右端面も、中央ストラット13aの右縁部132よりも右方に位置する。
【0026】
傾斜部23には、2段目ルーバー142と3段目ルーバー143との間において、右方に突出する正面視略矩形状の突出部27が設けられる。突出部27の右端面は、2段目ルーバー142と3段目ルーバー143の左端面よりも右方に位置する。このため、
図4に示すように、突出部27は、開口部15の側方の2段目ルーバー142と3段目ルーバー143との間に、傾斜部23に沿って傾斜した姿勢で配置される。より詳しくは、突出部27の上下両側には、ルーバー142,143との干渉を避けるために切り欠き27a,27bが設けられ、これにより突出部27はルーバー142,143と干渉することなく、ルーバー142,143の間に配置される。
【0027】
傾斜部23には、開口部15の右方かつ突出部27の下方に、爪部28が設けられる。爪部28は、突出部27の右端面と同程度だけ右方に突出した後、前方に向けて屈曲される。
図4に示すように、爪部28の先端(前端)は、3段目ルーバー143の縦板部14aに近接する。これにより2段目ルーバー142と3段目ルーバー143の自由端の位置が突出部27と爪部28とによって規制される。具体的には、2段目ルーバー142の後方への撓みは突出部27によって規制され、3段目ルーバー143の後方への撓みは爪部28によって規制される。
【0028】
特に3段目ルーバー143の撓み規制に関し、ステイ2の傾斜部23から3段目ルーバー143の縦板部14aまでは離れているため、傾斜部23の一部を単に右方へ突出させるだけでは(例えば突出部27)、3段目ルーバー143の撓みを規制することが難しい。この点、本実施形態では、傾斜部23の一部を右方に突出させた後、前方に突出させて爪部28を構成するので、傾斜部23から3段目ルーバー143まで離れている場合であっても、3段目ルーバー143の後方への撓みを規制することができる。このため、傾斜部23を有するステイ2を用いて、全てのルーバー14の変形を良好に抑えることができる。
【0029】
本実施形態に係る車載カメラ取付装置100を用いたカメラ3の取り付けは、以下のような手順で行われる。まず、カメラ3を、ステイ2の傾斜部23の切り欠き25aを介して支持孔25まで導いた後、傾斜部23を貫通する上下一対のねじ35(
図3)をホルダ31のねじ孔に螺合し、カメラ3をステイ2に固定する。
【0030】
次いで、ステイ2を貫通した上下一対のねじ51(
図3)を、グリル10後面のねじ孔136に仮締めにて螺合し、ステイ2が落下しないようにステイ2をグリル10に取り付ける。このとき、カメラ3は、グリル中央の開口部15を通過してグリル10の前方に突出する。また、ステイ2の突出部27は、2段目ルーバー142と3段目ルーバー143の間に配置され、爪部28は、3段目ルーバー143の下方に配置される。
【0031】
さらに、カメラ3のレンズ部33が開口部41に位置するようにグリル10の前方からガーニッシュ4をカメラ3に近づけ、ステイ2を貫通した上下一対のねじ52(
図3)を、ガーニッシュ4のねじ孔45(
図7)に仮締めにて螺合して、ガーニッシュ4が落下しないようにガーニッシュ4をグリル10に取り付ける。
【0032】
次いで、カメラ3のレンズ部33の中心とガーニッシュ4の開口部41の中心の位置を合わせ、上下一対のねじ51を本締めする。これによりステイ2がグリル10に固定される。次いで、ガーニッシュ4の突起部46が中央ストラット13aの右縁部132の右端面に当接するようにガーニッシュ4を左方に押し当てた状態で、上下一対のねじ52を本締めする。これによりガーニッシュ4がステイ2を介してグリル10に固定される。
【0033】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車載カメラ取付装置100は、外界を撮影するカメラ3と、格子状に並んだ複数のルーバー14を有するグリル、より詳しくは、複数のルーバー14のうち、隣り合う2本のルーバー142,143の自由端となる部位に連なってカメラ3の取付用の開口部15が形成されたグリル10と、カメラ3を保持する支持孔25を有し、開口部15に面してグリル10よりも車体内側に配置されるステイ2と、カメラ3の周囲を覆うように開口部15に面してグリル10よりも車体外側に配置されるガーニッシュ4と、ステイ2およびガーニッシュ4をグリル10に固定するねじ51,52と、を備える(
図1~
図3)。ステイ2およびガーニッシュ4はそれぞれ、ルーバー142,143の自由端となる部位に係合する切り欠き27a,27b,43を有する(
図3,
図4)。この構成により、グリル10の車体内側に配置されるステイ2と車体外側に配置されるガーニッシュ4とを用いるだけで、グリル10に良好にカメラ3を取り付けることができる。したがって、部品点数が低減され、コストの上昇を抑えることができる。また、カメラ取付用の開口部15を有するグリル10の変位、特に自由端を有するルーバー14の変位を、ステイ2とガーニッシュ4とにより規制することができ、これによりルーバー14の変形を良好に抑えることができる。
【0034】
(2)ステイ2は、上下一対のねじ51により、複数のルーバー14を包囲するように設けられたグリル10の周縁部(上縁部133、下縁部134)に固定される(
図3)。ガーニッシュ4は、上下一対のねじ52によりステイ2に固定される。これにより、簡易な構成で、ステイ2とガーニッシュ4とをグリル10に固定することができる。
【0035】
(3)ステイ2は、板状部材によって構成されるとともに、切り欠き27bに隣接してガーニッシュ4側に屈曲された爪部28を有する(
図3,
図4)。これにより、簡易な構成で車載カメラ取付装置100を構成することができ、コストを低減できる。また、ステイ2からルーバー14までの距離が長い場合に、爪部28によってルーバー14の自由端側の変位(撓み)を良好に規制することができる。
【0036】
(4)複数のルーバー14は、上下方向かつ左右方向に延在する鉛直面SFに沿って左右方向に延在する(
図3,
図4)。ステイ2は、鉛直面SFからの距離が下方にかけて増加するように傾斜された傾斜部23をさらに有する(
図4)。支持孔25は、カメラ3が斜め下方を向くように傾斜部23に設けられる(
図3)。爪部28は、ルーバー14の自由端となる部位のうち、最下段のルーバー14である3段目ルーバー143の自由端となる部位の下方に設けられる(
図4)。これにより、自由端を有する複数のルーバー14のうち、ステイ2からの距離が最長となる3段目ルーバー143に対応して爪部28が設けられるので、ステイ2に傾斜部23が設けられる場合であっても、ルーバー14の変位を確実に抑制することができる。
【0037】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、下方にかけて鉛直面SFからの距離が長くなるようにステイ2に傾斜部23を設けるとともに、カメラ3が斜め下方を向かうように傾斜部23にカメラ3を取り付けるようにしたが、カメラ3は、斜め上方、斜め右方、斜め左方等を向くように取り付けられてもよく、カメラ3の向きは上述したものこれに限らない。したがって、傾斜部23の構成も上述したものに限らない。
【0038】
図8Aは、カメラ3を斜め右方に向けて取り付けた例を概略的に示す平面図(上方から見た図)であり、
図8Bは、カメラ3を斜め左方に向けて取り付けた例を概略的に示す平面図である。
図8Aの例では、鉛直面SFからの距離が右方にかけて徐々に長くなるように、開口部15に面する傾斜部23が傾斜して構成される。さらに、傾斜部23の右端部から前方に向けて爪部28が突設され、爪部28の先端は、ルーバー14の自由端となる部位に近接して配置される。
図8Bの例では、鉛直面SFからの距離が左方にかけて徐々に長くなるように、開口部15に面する傾斜部23が傾斜して構成される。さらに、傾斜部23の左端部から前方に向けて爪部28が突設され、爪部28の先端は、ルーバー14の自由端となる部位に近接して配置される。
【0039】
このように傾斜部23の右端部または左端部に爪部28を設けることにより、ルーバー14の変位を規制することができ、グリル10の変形を抑えることができる。なお、図示は省略するが、
図8A,
図8Bの例でも、ステイ2は、グリル10の開口12の周縁部(例えば上縁部133と下縁部134)に支持される。また、爪部28の上方または下方には突出部27が設けられ、突出部27は切り欠きを介して複数のルーバー14の間(例えば2段目ルーバー142と3段目ルーバー143との間)に配置される。
【0040】
上記実施形態では、格子状に並んだ複数のはり要素としてルーバー14を断面略L字状に構成したが、複数のはり要素のうち、隣り合う少なくとも2本のはり要素の自由端となる部位に連なってカメラ取付用の開口が形成されるのであれば、グリルの構成はいかなるものでもよい。隣り合う自由端を有するはり要素は3本以上であってもよい。上記実施形態では、ステイ2の支持孔25(保持部)によりカメラ3を支持するようにしたが、保持部材の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、グリル10の前方に突出するカメラ3の周囲を覆うようにガーニッシュ4を設けたが、カバー部材の構成は上述したものに限らない。
【0041】
上記実施形態では、上下一対のねじ51(第1固定部)によりステイ2(保持部材)をグリル10(カバー部材)に締結するとともに、上下一対のねじ52(第2固定部)によりガーニッシュ4をステイ2に締結し、これにより保持部材とカバー部材とをグリル10に固定するようにしたが、固定部の構成はこれに限らない。カバー部材をねじによりグリルに固定し、保持部材をねじによりカバー部材に固定するようにしてもよい。グリルにねじが通過する貫通孔を設け、この貫通孔を通過するねじにより保持部材とカバー部材とを締結することで、保持部材とカバー部材をグリルに固定するようにしてもよい。
【0042】
上記実施形態では、ガーニッシュ4に切り欠き43を設けるとともに、ステイ2に切り欠き27a,27bを設けるようにしたが、はり要素の自由端となる部位に係合するのであれば、切り欠きの構成はいかなるものでもよい。すなわち、はり要素の自由端の変位を規制するように設けられるのであれば、保持部材とカバー部材とにそれぞれ設けられる切り欠きの構成はいかなるものでもよい。
【0043】
上記実施形態では、車両のフロントのグリル10に車載カメラ取付装置を取り付ける例を説明したが、本発明の車載カメラ取付装置は、他のグリルにカメラを取り付ける場合にも同様に適用することができる。
【0044】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
2 ステイ、3 カメラ、4 ガーニッシュ、10 グリル、14 ルーバー、15 開口部、25 支持孔、27a,27b 切り欠き、28 爪部、43 切り欠き、51,52 ねじ、100 車載カメラ取付装置、SF 鉛直面
【要約】
【課題】簡易な構成で、グリルにカメラを取り付ける。
【解決手段】車載カメラ取付装置100は、外界を撮影するカメラ3と、格子状に並んだ複数のルーバー14を有するとともに複数のルーバーのうち、隣り合う2本のルーバー142,143の自由端となる部位に連なってカメラ3の取付用の開口が形成されたグリルと、カメラ3を保持する保持部を有し、開口に面してグリルよりも車体内側に配置されるステイ2と、カメラ3の周囲を覆うように開口に面してグリルよりも車体外側に配置されるガーニッシュ4と、ステイ2およびガーニッシュ4をグリルに固定するねじ51,52と、を備える。ステイ2およびガーニッシュ4はそれぞれ、ルーバー14の自由端となる部位に係合する切り欠き27a,27b,43を有する。
【選択図】
図4