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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】冷媒サイクル装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20240215BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
F25B45/00 A
F25B1/00 396A
F25B1/00 396B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022504863
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2020009279
(87)【国際公開番号】W WO2021176625
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓郎
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/119705(WO,A1)
【文献】特開2015-064182(JP,A)
【文献】特開2011-094871(JP,A)
【文献】特開2003-194437(JP,A)
【文献】特開2017-067383(JP,A)
【文献】特開2004-116885(JP,A)
【文献】特開平06-273007(JP,A)
【文献】特表2018-532091(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03505842(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 13/32
F25B 1/00 - 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱源ユニット(30)、利用ユニット(10)、及び連絡配管(20)を有する冷媒サイクル装置(100)の設置方法であって、
第1GWP係数を持つとともに燃焼性及び毒性の少なくとも一方を有する第1冷媒(R1)を、前記第1熱源ユニットから回収する、第1冷媒回収工程(S102、S202、S305)と、
既存設備(200、300)から回収かつ再生されたものであり、かつ第2GWP係数を持つとともに不燃性及び非毒性の少なくとも一方を有する第2冷媒(R2)を、前記第1熱源ユニットに収容する、第2冷媒収容工程(S107、S204、S207、S307)と、
を備える、設置方法。
【請求項2】
前記既存設備は、第2熱源ユニット(90)、前記利用ユニット、及び、前記連絡配管を有する既存冷媒サイクル装置(200)であり、
前記既存設備から前記第2冷媒を回収し、かつ前記第2冷媒を再生する第2冷媒回収再生工程(S104、S204)と、
前記既存冷媒サイクル装置から前記第2熱源ユニットを切り離す、切り離し工程(S106、S206)と、
前記第1熱源ユニットを前記連絡配管に接続することによって、前記冷媒サイクル装置を構成する、接続工程(S106、S206)と、
をさらに備える、
請求項1に記載の設置方法。
【請求項3】
前記既存設備は、前記利用ユニット及び前記連絡配管のいずれとも異なる構成部品(310、320、390)からなる別系統冷媒サイクル装置(300)であり、
前記既存設備から前記第2冷媒を回収し、かつ前記第2冷媒を再生する、第2冷媒回収再生工程(S302)、
をさらに備える、
請求項1に記載の設置方法。
【請求項4】
前記第2冷媒回収再生工程において、前記第2冷媒は、少なくとも冷媒貯留容器(52、53、54)に収容される、
請求項2又は請求項3に記載の設置方法。
【請求項5】
前記第2冷媒回収再生工程において、前記第2冷媒は、少なくとも前記第1熱源ユニットに収容される、
請求項2から4のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項6】
前記第2冷媒回収再生工程において、前記第2冷媒が含む第2潤滑油(L2)及び水の少なくとも一方が、前記第2冷媒から取り除かれる、
請求項2から5のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項7】
前記第1冷媒回収工程において、前記第1熱源ユニットに収容されている第1潤滑油(L1)は、前記第1熱源ユニットに残される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項8】
前記第1熱源ユニットは、ガス冷媒ポート(37)及び液冷媒ポート(36)を有し、
前記第1冷媒回収工程において、前記第1冷媒は、前記ガス冷媒ポートを介して前記第1熱源ユニットから回収される、
請求項1から7のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項9】
前記第1冷媒回収工程において回収された前記第1冷媒を再生する、第1冷媒再生工程(S102、S202、S305)、をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項10】
前記第2冷媒が用いられていることを示す表示(S)を、少なくとも前記第1熱源ユニットに付す、第2冷媒表示工程(S109、S209、S309)、
をさらに備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項11】
前記第2冷媒は、前記第1冷媒と同一の成分を含む混合冷媒である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の設置方法。
【請求項12】
前記第2GWP係数は、前記第1GWP係数よりも大きい、
請求項1から11のいずれか1項に記載の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒サイクル装置及び冷媒サイクル装置の設置方法。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(欧州特許公開公報EP3505842A1)は、冷媒サイクル装置の設置方法を開示する。この設置方法では、まず、既に設置されている冷媒サイクル装置から、不燃性及び高いGWP係数(地球温暖化係数)を持つ冷媒が取り除かれる。次に、可燃性及び低いGWP係数を持つ冷媒が、冷媒サイクル装置に入れられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在市場に出回っている不燃性冷媒は、地球温暖化の抑制を目的として、小さいGWP係数を持つが可燃性又は毒性を有する冷媒(以下、「可燃性冷媒等」という)に取って代わられつつある。よって、今後工場で製造される冷媒サイクル装置のなかでは、可燃性冷媒等を使用する冷媒サイクル装置が支配的になっていくことが予想される。一方で、一部の建物においては、安全性の観点から可燃性冷媒等の使用が忌避されることがある。このように、市場には不燃性冷媒と可燃性冷媒等の両方に対するニーズが未だに存在する。
【0004】
あらゆる冷媒のニーズに対応するために、次のような設置手順を採ることが考えられる。まず、工場から出荷される冷媒サイクル装置の冷媒回路の中を真空にし、又は空気で満たす。次に、冷媒サイクル装置を設置現場へ運搬する。最後に、設置された冷媒サイクル装置に所望の冷媒を充填する。
【0005】
しかしながら、冷媒を収容しない冷媒サイクル装置は、運搬によって損傷するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る方法は、冷媒サイクル装置を設置する。冷媒サイクル装置は、第1熱源ユニット、利用ユニット、及び連絡配管を有する。方法は、第1冷媒回収工程と、第2冷媒収容工程と、を備える。第1冷媒回収工程では、第1冷媒を、第1熱源ユニットから回収する。第1冷媒は、第1GWP係数を持つとともに燃焼性及び毒性の少なくとも一方を有する。第2冷媒収容工程では、第2冷媒を、第1熱源ユニットに収容する。第2冷媒は、既存設備から回収かつ再生されたものであり、かつ第2GWP係数を持つとともに不燃性及び非毒性の少なくとも一方を有する。
【0007】
この方法によれば、新しい第1熱源ユニットを用いて構成された冷媒サイクル装置において、第2冷媒を使用することができる。したがって、燃焼性又は毒性を有する第1冷媒の使用が許されない環境において、新型の冷媒サイクル装置を設置することができる。
【0008】
第2観点に係る方法は、第1観点に係る方法であって、既存設備が既存冷媒サイクル装置である。既存冷媒サイクル装置は、第2熱源ユニット、利用ユニット、及び、連絡配管を有する。方法は、第2冷媒回収再生工程と、切り離し工程と、接続工程と、をさらに備える。第2冷媒回収再生工程では、既存設備から第2冷媒を回収し、かつ第2冷媒を再生する。切り離し工程では、既存冷媒サイクル装置から第2熱源ユニットを切り離す。接続工程では、第1熱源ユニットを連絡配管に接続することによって、冷媒サイクル装置を構成する。
【0009】
この方法によれば、既存冷媒サイクル装置の一部を用いて、新型の冷媒サイクル装置を構成できる。したがって、冷媒サイクル装置のコストダウンが図れる。
【0010】
第3観点に係る方法は、第1観点に係る方法であって、既存設備が別系統冷媒サイクル装置である。別系統冷媒サイクル装置は、利用ユニット及び連絡配管のいずれとも異なる構成部品からなる。方法は、第2冷媒回収再生工程、をさらに備える。第2冷媒回収再生工程では、既存設備から第2冷媒を回収し、かつ第2冷媒を再生する。
【0011】
この方法によれば、新型の第1熱源ユニットを用いて、全体的に新規な冷媒サイクル装置を設置することができる。
【0012】
第4観点に係る方法は、第2観点又は第3観点に係る方法であって、第2冷媒回収再生工程において、第2冷媒は、少なくとも冷媒貯留容器に収容される。
【0013】
この方法によれば、第2冷媒は冷媒貯留容器に収容される。したがって、回収された第2冷媒の量を、用いられる冷媒貯留容器の数によって把握しやすい。
【0014】
第5観点に係る方法は、第2観点から第4観点のいずれか1つに係る方法であって、第2冷媒回収再生工程において、第2冷媒は、少なくとも第1熱源ユニットに収容される。
【0015】
この方法によれば、第1熱源ユニットが第2冷媒の貯留容器として使用される。したがって、冷媒サイクル装置の設置に必要な冷媒貯留容器の数を減らせるので、設置コストを低減できる。
【0016】
第6観点に係る方法は、第2観点から第5観点のいずれか1つに係る方法であって、第2冷媒回収再生工程において、第2冷媒が含む第2潤滑油及び水の少なくとも一方が、第2冷媒から取り除かれる。
【0017】
この方法によれば、第2冷媒から第2潤滑油又は水が取り除かれる。したがって、第2潤滑油又は水の混入を許さない装置において、回収された第2冷媒を再利用できる。
【0018】
第7観点に係る方法は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る方法であって、第1冷媒回収工程において、第1熱源ユニットに収容されている第1潤滑油は、第1熱源ユニットに残される。
【0019】
この方法によれば、第1潤滑油が第1熱源ユニットに残される。したがって、第2冷媒が第1潤滑油の使用を許す場合、設置コストが低減できる。
【0020】
第8観点に係る方法は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る方法であって、第1熱源ユニットが、ガス冷媒ポート及び液冷媒ポートを有する。第1冷媒回収工程において、第1冷媒は、ガス冷媒ポートを介して第1熱源ユニットから回収される。
【0021】
この方法によれば、第1冷媒はガスの状態で第1熱源ユニットから回収される。したがって、第1熱源ユニットに収容される潤滑油を、第1冷媒とともに第1熱源ユニットから取り出してしまう事態を抑制できる。
【0022】
第9観点に係る方法は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る方法であって、第1冷媒再生工程、をさらに備える。第1冷媒再生工程では、第1冷媒回収工程において回収された第1冷媒を再生する。
【0023】
この方法によれば、第1熱源ユニットから回収された第1冷媒は再生される。したがって、第1冷媒を再利用できる。
【0024】
第10観点に係る方法は、第1観点から第9観点のいずれか1つに係る方法であって、第2冷媒表示工程、をさらに備える、第2冷媒表示工程では、第2冷媒が用いられていることを示す表示を、少なくとも第1熱源ユニットに付す。
【0025】
この方法によれば、冷媒サイクル装置に第2冷媒が使用されていることを、冷媒サイクル装置の保守管理者が容易に理解できる。したがって、冷媒サイクル装置が誤った方法で使用されてしまう事態を抑制できる。
【0026】
第11観点に係る方法は、第1観点から第10観点のいずれか1つに係る方法であって、第2冷媒が、第1冷媒と同一の成分を含む混合冷媒である。
【0027】
この方法によれば、第2冷媒は第1冷媒と同一の成分を含む。したがって、第1冷媒回収工程において回収された第1冷媒を、冷媒サイクル装置に再利用することができる。
【0028】
第12観点に係る方法は、第1観点から第11観点のいずれか1つに係る方法であって、第2GWP係数が、第1GWP係数よりも大きい。
【0029】
この方法によれば、大きな第2GWP係数を持つ第2冷媒の全世界における使用量を、第2冷媒の既存設備からの回収および再生により削減できる。したがって、地球温暖化を抑制できる。
【0030】
第13観点に係る冷媒サイクル装置は、第1熱源ユニットと、利用ユニットと、連絡配管と、を備える。第1熱源ユニットは、第1熱源ユニットが収容していた第1冷媒が取り出された後に、第2冷媒を収容している。第1冷媒は第1GWP係数を有するとともに燃焼性及び毒性の少なくとも一方を有する。第2冷媒は第2GWP係数を有するとともに不燃性及び非毒性の少なくとも一方を有する。第2冷媒は既存設備から回収かつ再生されたものである。連絡配管は、第1熱源ユニット及び利用ユニットを接続する。
【0031】
この構成によれば、冷媒サイクル装置は第2冷媒を使用する。したがって、新型の第1熱源ユニットを用いた冷媒サイクル装置を、第1冷媒の使用を許さない環境において使用することができる。
【0032】
第14観点に係る冷媒サイクル装置は、第13観点に係る冷媒サイクル装置であって、リモートコントローラ、をさらに備える。リモートコントローラは、表示部を有する。表示部は、第1熱源ユニットに収容される冷媒に関する情報を表示するように構成される。
【0033】
この構成によれば、冷媒サイクル装置に使用されている冷媒に関する情報を、冷媒サイクル装置の保守管理者が容易に得ることがきる。したがって、冷媒サイクル装置が誤った方法で使用されてしまう事態を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本開示の設置方法によって設置される冷媒サイクル装置100の回路図である。
図2】既存冷媒サイクル装置200の一例である。
図3】既存冷媒サイクル装置200の設置方法の第1工程(ステップS001)である。
図4】既存冷媒サイクル装置200の設置方法の第2工程(ステップS002)である。
図5】既存冷媒サイクル装置200の設置方法の第3工程(ステップS003)である。
図6】既存冷媒サイクル装置200の設置方法の第4工程(ステップS004)である。
図7】第1実施形態に係る設置方法の第1工程(ステップS101)である。
図8】第1実施形態に係る設置方法の第2工程(ステップS102)である。
図9】第1実施形態に係る設置方法の第3工程(ステップS103)である。
図10】第1実施形態に係る設置方法の第4工程(ステップS104)である。
図11】第1実施形態に係る設置方法の第5工程(ステップS105)である。
図12】第1実施形態に係る設置方法の第6工程(ステップS106)である。
図13】第1実施形態に係る設置方法の第7工程(ステップS107)である。
図14】第1実施形態に係る設置方法の第8工程(ステップS108)である。
図15】第1実施形態に係る設置方法の第9工程(ステップS109)である。
図16】第2実施形態に係る設置方法の第1工程(ステップS201)である。
図17】第2実施形態に係る設置方法の第2工程(ステップS202)である。
図18】第2実施形態に係る設置方法の第3工程(ステップS203)である。
図19】第2実施形態に係る設置方法の第4工程(ステップS204)である。
図20】第2実施形態に係る設置方法の第5工程(ステップS205)である。
図21】第2実施形態に係る設置方法の第6工程(ステップS206)である。
図22】第2実施形態に係る設置方法の第7工程(ステップS207)である。
図23】第2実施形態に係る設置方法の第8工程(ステップS208)である。
図24】第2実施形態に係る設置方法の第9工程(ステップS209)である。
図25】第3実施形態に係る設置方法の第1工程(ステップS301)である。
図26】第3実施形態に係る設置方法の第2工程(ステップS302)である。
図27】第3実施形態に係る設置方法の第3工程(ステップS303)である。
図28】第3実施形態に係る設置方法の第4工程(ステップS304)である。
図29】第3実施形態に係る設置方法の第5工程(ステップS305)である。
図30】第3実施形態に係る設置方法の第6工程(ステップS306)である。
図31】第3実施形態に係る設置方法の第7工程(ステップS307)である。
図32】第3実施形態に係る設置方法の第8工程(ステップS308)である。
図33】第3実施形態に係る設置方法の第3工程(ステップS309)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<基本事項>
(1)冷媒
本開示では、第1冷媒R1と第2冷媒R2という2種類の冷媒が用いられる。
【0036】
第1冷媒R1は、第1GWP係数を持つとともに燃焼性及び毒性の少なくとも一方を有する。ここで、本明細書でいう「燃焼性」とは、ISO817に規定される安全性区分における、クラスA2L(“微燃性”)、クラスA2(“燃焼性”)、及びクラスA3(“強燃性”)を含む。さらに、本明細書でいう「毒性」とは、ISO817に規定される安全性区分における、クラスB2L、クラスB2、及びクラスB3を含む。
【0037】
第2冷媒R2は、第2GWP係数を持つとともに不燃性及び非毒性の少なくとも一方を有する。第2GWP係数は、第1GWP係数よりも大きい。第2冷媒R2は、第1冷媒R1と同一の成分を含む混合冷媒であってもよい。
【0038】
第1冷媒R1は、例えば、R32である。第2冷媒R2は、例えば、R410Aである。
【0039】
(2)設置される冷媒サイクル装置100
図1は、本開示に係る設置方法によって設置される冷媒サイクル装置100の構成を示す。冷媒サイクル装置100は、第2冷媒R2を循環させることにより、ユーザに冷熱又は温熱を提供する。冷媒サイクル装置100は、例えば、空気調和装置、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器、又は床暖房装置を含む、あらゆる製品として構成されてよい。本開示においては、冷媒サイクル装置100は、空気調和装置であるとして説明する。
【0040】
冷媒サイクル装置100は、利用ユニット10、連絡配管20、第1熱源ユニット30、及び、リモートコントローラ40を有する。
【0041】
(2-1)利用ユニット10
冷媒サイクル装置100は、1台又は複数台の利用ユニット10を有する。利用ユニット10は、ユーザが使用する部屋に設置される。1台の利用ユニット10は、利用膨張弁11、利用熱交換器12、及び利用ファン13を有する。
【0042】
(2-1-1)利用膨張弁11
利用膨張弁11は、第2冷媒R2の流量を制御する。さらに、利用膨張弁11は、第2冷媒R2の減圧装置として機能することによって、例えば、液状態の第2冷媒R2を気液二相状態の第2冷媒R2に変えることができる。
【0043】
(2-1-2)利用熱交換器12
利用熱交換器12は、第2冷媒R2と空気の間の熱交換を行う。冷媒サイクル装置100が冷房運転を行う場合、利用熱交換器12は第2冷媒R2の蒸発器又は吸熱器として機能する。冷媒サイクル装置100が暖房運転を行う場合、利用熱交換器12は第2冷媒R2の凝縮器又は放熱器として機能する。
【0044】
(2-1-3)利用ファン13
利用ファン13は、利用熱交換器12を通過する空気流を発生させることによって、利用熱交換器12の熱交換を促進する。
【0045】
(2-2)連絡配管20
連絡配管20は、利用ユニット10と第1熱源ユニット30を接続する。連絡配管20は、液冷媒配管21、及びガス冷媒配管22を有する。液冷媒配管21は、例えば、液状態又は気液二相状態の第2冷媒R2をおもに案内する。ガス冷媒配管22は、例えば、ガス状態の第2冷媒R2をおもに案内する。
【0046】
(2-3)第1熱源ユニット30
第1熱源ユニット30は、ユーザが使用する部屋の外、典型的には屋外に設置される。第1熱源ユニット30は、圧縮機31、四路切換弁32、熱源熱交換器33、熱源ファン34、熱源膨張弁35、液冷媒ポート36、ガス冷媒ポート37、第1潤滑油L1を有する。
【0047】
(2-3-1)圧縮機31
圧縮機31は、低圧ガス状態の第2冷媒R2を吸入し、高圧ガス状態の第2冷媒R2を吐出する。
【0048】
(2-3-2)四路切換弁32
四路切換弁32は、配管の接続を変更する。冷房運転の場合、四路切換弁32は図1の実線で示す接続を実現する。暖房運転の場合、四路切換弁32は図1の破線で示す接続を実現する。
【0049】
(2-3-3)熱源熱交換器33
熱源熱交換器33は、第2冷媒R2と空気の間の熱交換を行う。冷媒サイクル装置100が冷房運転を行う場合、熱源熱交換器33は第2冷媒R2の凝縮器又は放熱器として機能する。冷媒サイクル装置100が暖房運転を行う場合、熱源熱交換器33は第2冷媒R2の蒸発器又は吸熱器として機能する。
【0050】
(2-3-4)熱源ファン34
熱源ファン34は、熱源熱交換器33を通過する空気流を発生させることによって、熱源熱交換器33の熱交換を促進する。
【0051】
(2-3-5)熱源膨張弁35
熱源膨張弁35は、第2冷媒R2の流量を制御する。さらに、熱源膨張弁35は、第2冷媒R2の減圧装置として機能することによって、例えば、液状態の第2冷媒R2を気液二相状態の第2冷媒R2に変えることができる。
【0052】
冷媒サイクル装置100は、利用膨張弁11及び熱源膨張弁35のどちらか一方のみを持つ場合がある。
【0053】
(2-3-6)液冷媒ポート36
液冷媒ポート36は、開閉可能な弁である。液冷媒ポート36は、液冷媒配管21と接続される。液冷媒ポート36は、冷媒サイクル装置100の利用時に開かれる。液冷媒ポート36は、例えば、第1熱源ユニット30の設置時に閉じられる。
【0054】
(2-3-7)ガス冷媒ポート37
ガス冷媒ポート37は、開閉可能な弁である。ガス冷媒ポート37は、ガス冷媒配管22と接続される。ガス冷媒ポート37は、冷媒サイクル装置100の利用時に開かれる。ガス冷媒ポート37は、例えば、第1熱源ユニット30の設置時に閉じられる。
【0055】
(2-3-8)第1潤滑油L1
第1熱源ユニット30には、圧縮機31の摺動箇所を潤滑するための第1潤滑油L1が収容されている。
【0056】
(2-4)リモートコントローラ40
リモートコントローラ40は、それぞれの利用ユニット10に対応するように設けられる。リモートコントローラ40は、ユーザが冷媒サイクル装置100に対して指示を与えることを可能にする。リモートコントローラ40は、利用ユニット10と通信できる。
【0057】
(3)既存冷媒サイクル装置200
図2は、冷媒サイクル装置100が設置される時より前に運転していた既存冷媒サイクル装置200の一例である。既存冷媒サイクル装置200は、既存設備である。
【0058】
既存冷媒サイクル装置200は、利用ユニット10、連絡配管20、及び、第2熱源ユニット90を有する。既存冷媒サイクル装置200は、第2冷媒R2を使用する。
【0059】
既存冷媒サイクル装置200の利用ユニット10は、冷媒サイクル装置100に含まれる利用ユニット10と同一のものである。
【0060】
既存冷媒サイクル装置200の連絡配管20は、冷媒サイクル装置100に含まれる連絡配管20と同一のものである。
【0061】
既存冷媒サイクル装置200の第2熱源ユニット90は、冷媒サイクル装置100に含まれる第1熱源ユニット30とは異なるものである。第2熱源ユニット90は、圧縮機91、四路切換弁32、熱源熱交換器93、熱源ファン94、熱源膨張弁95、液冷媒ポート96、ガス冷媒ポート97を有する。これらの構成部品は、第1熱源ユニット30の構成部品と同様の機能を有する。第2熱源ユニット90は、第1熱源ユニット30よりも古い型式の製品であることが想定される。
【0062】
第2熱源ユニット90には、圧縮機91の摺動箇所を潤滑するための第2潤滑油L2が収容されている。
【0063】
(4)既存冷媒サイクル装置200の設置方法
既存冷媒サイクル装置200は、以下の方法によって設置される。
【0064】
(4-1)第1工程(ステップS001)
図3に示すように、工場Fで出荷を待つ第2熱源ユニット90は、所定の量の第2冷媒R2を既に収容している。これは、第2熱源ユニット90の冷媒回路の中を真空にし、又は空気で満たした場合、第2熱源ユニット90は運搬によって損傷するおそれがあるためである。
【0065】
工場Fには、追加充填用の第2冷媒R2を収容する冷媒貯留容器51が準備されている。本明細書では、冷媒貯留容器51の数は1個であるとして説明する。しかし、冷媒貯留容器51の数は2以上であってもよい。
【0066】
建物Bには、1台又は複数台の利用ユニット10、及び連絡配管20が設置される。
【0067】
(4-2)第2工程(ステップS002)
図4に示すように、第2熱源ユニット90と冷媒貯留容器51が、建物Bまで運搬される。第2熱源ユニット90の液冷媒ポート96及びガス冷媒ポート97に、連絡配管20が接続される。これにより、既存冷媒サイクル装置200が構成される。
【0068】
(4-3)第3工程(ステップS003)
図5に示すように、冷媒貯留容器51に収容される第2冷媒R2が、第2熱源ユニット90に追加的に充填される。
【0069】
(4-4)第4工程(ステップS004)
図6に示すように、既存冷媒サイクル装置200の全体が必要とする量の第2冷媒R2を、既存冷媒サイクル装置200は受け取る。これにより、既存冷媒サイクル装置200は使用可能になる。
【0070】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る設置方法について説明する。この設置方法においては、既存冷媒サイクル装置200に含まれる第2熱源ユニット90が、新たに出荷される第1熱源ユニット30と交換される。具体的には、冷媒サイクル装置100は、以下の方法によって設置される。
【0071】
(1)設置方法の手順
(1-1)第1工程(ステップS101)
図7に示すように、建物Bには、第2冷媒R2を使用する既存冷媒サイクル装置200が設置されている。工場Fで出荷を待つ第1熱源ユニット30は、所定の量の第1冷媒R1を収容している。
【0072】
(1-2)第2工程(ステップS102)
図8に示すように、第1熱源ユニット30が建物Bまで運搬される。建物Bの周辺には、空の第1冷媒貯留容器51、第2冷媒貯留容器52、及び第3冷媒貯留容器53が準備される。本明細書では、第1冷媒貯留容器51、第2冷媒貯留容器52、及び第3冷媒貯留容器53の数はいずれも1個であるとして説明する。しかし、これらの数は2以上であってもよい。
【0073】
次に、第1冷媒R1が、第1熱源ユニット30から回収される。このとき、ガス状態の第1冷媒R1が、ガス冷媒ポート37を介して第1熱源ユニット30から回収されてもよい。第1冷媒R1の回収時において、第1熱源ユニット30に収容されている第1潤滑油L1は、第1熱源ユニット30に残されてもよい。ガス状態の第1冷媒R1を回収することにより、液状態の第1潤滑油L1は第1熱源ユニット30に残ることができる。
【0074】
回収された第1冷媒R1は、冷媒再生装置70によって再生される。この再生処理において、冷媒再生装置70は、第1冷媒R1が含む水を第1冷媒R1から取り除いてもよい。
【0075】
再生された第1冷媒R1は、冷媒再生装置70から第1冷媒貯留容器51に移される。
【0076】
(1-3)第3工程(ステップS103)
図9に示すように、第1冷媒貯留容器51が第1冷媒R1の収容を終える。第1熱源ユニット30の中には、もはや第1冷媒R1はほとんど存在しない。
【0077】
(1-4)第4工程(ステップS104)
図10に示すように、既存冷媒サイクル装置200の第2熱源ユニット90から、第2冷媒R2が回収される。このとき、第2冷媒R2は、冷媒再生装置70によって再生される。この再生処理において、冷媒再生装置70は、第2冷媒R2が含む第2潤滑油L2及び水の少なくとも一方を、第2冷媒R2から取り除く。好ましくは、冷媒再生装置70は、第2潤滑油L2を第2冷媒R2から取り除く。冷媒再生装置70は、第2潤滑油L2及び水の両方を、第2冷媒R2から取り除いてもよい。
【0078】
再生された第2冷媒R2は、冷媒再生装置70から、第2冷媒貯留容器52及び第3冷媒貯留容器53に移される。
【0079】
(1-5)第5工程(ステップS105)
図11に示すように、第2冷媒貯留容器52及び第3冷媒貯留容器53が第2冷媒R2の収容を終える。第2熱源ユニット90の中には、もはや第2冷媒R2はほとんど存在しない。
【0080】
(1-6)第6工程(ステップS106)
図12に示すように、既存冷媒サイクル装置200の連絡配管20から、第2熱源ユニット90が切り離される。この切り離しは、必ずしも第2熱源ユニット90の撤去を伴わず、開閉可能な弁である液冷媒ポート96及びガス冷媒ポート97を閉じることにより実施されてもよい。
【0081】
次に、第1熱源ユニット30が、連絡配管20に接続される。これにより、冷媒サイクル装置100が構成される。
【0082】
(1-7)第7工程(ステップS107)
図13に示すように、第2冷媒貯留容器52及び第3冷媒貯留容器53に収容されている再生された第2冷媒R2が、第1熱源ユニット30に収容される。
【0083】
(1-8)第8工程(ステップS108)
図14に示すように、冷媒サイクル装置100の全体が必要とする量の第2冷媒R2を、冷媒サイクル装置100は受け取る。これにより、冷媒サイクル装置100は使用可能になる。
【0084】
(1-9)第9工程(ステップS109)
図15に示すように、第2冷媒R2が用いられていることを示す表示Sが、利用ユニット10、連絡配管20、及び第1熱源ユニット30の少なくとも一部に付される。リモートコントローラ40は、第2冷媒R2が用いられていることを電気的に表示する表示部41を有していてもよい。
【0085】
表示部41は、第2冷媒R2の名称のみならず、第2冷媒R2の性質(例えば、可燃性/不燃性、毒性/非毒性、比重など)、冷媒サイクルユニット100に収容されている第2冷媒R2が何らかの冷媒回路から一旦回収されたものであること、及び、冷媒サイクルユニット100に収容されている第2冷媒R2が再生されたものであること、の少なくとも一部を表示してもよい。また、表示部41は、上述した情報を、文字として表示するにとどまらず、バーコード又はQRコード(登録商標)等の形態として表示してもよい。
【0086】
(2)冷媒種類の設定
冷媒サイクル装置100の最適な動作(例えば、膨張弁の開度、及び圧縮機の回転数)は、使用される冷媒の種類によって異なる。したがって、冷媒サイクル装置100の制御部は、使用される冷媒の種類を知る必要がある。
【0087】
冷媒の種類を制御部に知らせる目的で、冷媒サイクル装置100は冷媒設定スイッチを備えていてもよい。この場合、設置作業者は冷媒設定スイッチを手動で切り替えることにより、冷媒の種類を制御部に知らせることができる。制御部は、冷媒設定スイッチによって指定される種類の冷媒に応じて、冷凍サイクル装置100の動作を変更できる。
【0088】
あるいは、冷媒サイクル装置100の制御部は、自動的に冷媒の種類を認識してもよい。例えば、制御部は、冷媒サイクルのバランス点を知ることによって、使用されている冷媒の種類を認識することができる。
【0089】
(3)特徴
(3-1)
本実施形態に係る設置方法によれば、新しい第1熱源ユニット30を用いて構成された冷媒サイクル装置100において、第2冷媒R2を使用することができる。したがって、燃焼性又は毒性を有する第1冷媒R1の使用が許されない環境において、新型の冷媒サイクル装置100を設置することができる。
【0090】
(3-2)
本実施形態に係る設置方法によれば、既存冷媒サイクル装置200の一部を用いて、新型の冷媒サイクル装置100を構成できる。したがって、冷媒サイクル装置100のコストダウンが図れる。
【0091】
(3-3)
本実施形態に係る設置方法によれば、第2冷媒R2は第2冷媒貯留容器52及び第3冷媒貯留容器53に収容される。したがって、回収された第2冷媒R2の量を、用いられる冷媒貯留容器の数によって把握しやすい。
【0092】
(3-4)
本実施形態に係る設置方法によれば、第2冷媒R2から第2潤滑油L2及び水の少なくとも一方が取り除かれる。したがって、第2潤滑油L2又は水の混入を許さない装置において、回収された第2冷媒R2を再利用できる。
【0093】
(3-5)
本実施形態に係る設置方法によれば、第1潤滑油L1が第1熱源ユニット30に残されてもよい。したがって、第2冷媒R2が第1潤滑油L1の使用を許す場合、設置コストが低減できる。
【0094】
(3-6)
本実施形態に係る設置方法によれば、第1冷媒R1はガスの状態で第1熱源ユニット30から回収されてもよい。したがって、第1熱源ユニット30に収容される第1潤滑油L1を、第1冷媒R1とともに第1熱源ユニット30から取り出してしまう事態を抑制できる。
【0095】
(3-7)
本実施形態に係る設置方法によれば、第1熱源ユニット30から回収された第1冷媒R1は再生される。したがって、第1冷媒R1を再利用できる。
【0096】
(3-8)
本実施形態に係る設置方法によれば、冷媒サイクル装置100に第2冷媒R2が使用されていることを、表示S又は表示部41を見ることによって、冷媒サイクル装置100の保守管理者が容易に理解できる。したがって、冷媒サイクル装置100が誤った方法で使用されてしまう事態を抑制できる。
【0097】
(3-9)
本実施形態に係る設置方法によれば、第2冷媒R2は第1冷媒R1と同一の成分を含んでいてもよい。したがって、第1冷媒R1の回収工程において回収された第1冷媒R1を、冷媒サイクル装置100に再利用することができる。
【0098】
例えば、第1冷媒R1がR32であり、第2冷媒R2がR410Aである場合を考える。R410は、R32とR125の混合物である。したがって、冷媒サイクル装置100に用いられる再生された第2冷媒R2(換言すれば、R410A)の原料として、既存冷媒サイクル装置200から回収かつ再生された第1冷媒R1(換言すれば、R32)を用いることができる。
【0099】
このように、回収された第1冷媒R1を再生することにより、再生された第1冷媒R1を異なる装置において使用することができる。
【0100】
(3-10)
本実施形態に係る設置方法によれば、既存冷媒サイクル装置200から回収された第2冷媒R2を再生することにより、大きな第2GWP係数を持つ第2冷媒R2の生産量を、本実施形態に係る設置方法を使用しない場合と比較して、削減できる。したがって、地球温暖化を抑制できる。
【0101】
(3-11)
本実施形態に係る冷媒サイクル装置100は第2冷媒R2を使用する。したがって、新型の第1熱源ユニット30を用いた冷媒サイクル装置100を、第1冷媒R1の使用を許さない環境において使用することができる。
【0102】
(3-12)
本実施形態に係る冷媒サイクル装置100に使用されている冷媒に関する情報を、表示S又は表示部41を見ることによって、冷媒サイクル装置100の保守管理者が容易に得ることがきる。したがって、冷媒サイクル装置100が誤った方法で使用されてしまう事態を抑制できる。
【0103】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る設置方法について説明する。この設置方法は、第2冷媒R2を収容するための冷媒貯留容器として第1熱源ユニット30を使用する点において、第1実施形態と異なる。
【0104】
第2実施形態に係る設置方法においても、第1実施形態と同様に、既存冷媒サイクル装置200に含まれる第2熱源ユニット90が、新たに出荷される第1熱源ユニット30と交換される。
【0105】
(1)設置方法の手順
(1-1)第1工程(ステップS201)
図16に示すように、建物Bには、第2冷媒R2を使用する既存冷媒サイクル装置200が設置されている。工場Fで出荷を待つ第1熱源ユニット30は、所定の量の第1冷媒R1を収容している。
【0106】
(1-2)第2工程(ステップS202)
図17に示すように、第1熱源ユニット30が建物Bまで運搬される。建物Bの周辺には、空の第1冷媒貯留容器51、及び第2冷媒貯留容器52が準備される。本明細書では、第1冷媒貯留容器51、及び第2冷媒貯留容器52の数はいずれも1個であるとして説明する。しかし、これらの数は2以上であってもよい。
【0107】
次に、第1冷媒R1が、第1熱源ユニット30から回収される。このとき、ガス状態の第1冷媒R1が、ガス冷媒ポート37を介して第1熱源ユニット30から回収されてもよい。第1冷媒R1の回収時において、第1熱源ユニット30に収容されている第1潤滑油L1は、第1熱源ユニット30に残されてもよい。ガス状態の第1冷媒R1を回収することにより、液状態の第1潤滑油L1は第1熱源ユニット30に残ることができる。
【0108】
回収された第1冷媒R1は、冷媒再生装置70によって再生される。この再生処理において、冷媒再生装置70は、第1冷媒R1が含む水を第1冷媒R1から取り除いてもよい。
【0109】
再生された第1冷媒R1は、冷媒再生装置70から第1冷媒貯留容器51に移される。
【0110】
(1-3)第3工程(ステップS203)
図18に示すように、第1冷媒貯留容器51が第1冷媒R1の収容を終える。第1熱源ユニット30の中には、もはや第1冷媒R1はほとんど存在しない。
【0111】
(1-4)第4工程(ステップS204)
図19に示すように、既存冷媒サイクル装置200の第2熱源ユニット90から、第2冷媒R2が回収される。このとき、第2冷媒R2は、冷媒再生装置70によって再生される。この再生処理において、冷媒再生装置70は、第2冷媒R2が含む第2潤滑油L2及び水の少なくとも一方を、第2冷媒R2から取り除く。好ましくは、冷媒再生装置70は、第2潤滑油L2を第2冷媒R2から取り除く。冷媒再生装置70は、第2潤滑油L2及び水の両方を、第2冷媒R2から取り除いてもよい。
【0112】
再生された第2冷媒R2は、冷媒再生装置70から、第1熱源ユニット30及び第2冷媒貯留容器52に移される。
【0113】
(1-5)第5工程(ステップS205)
図20に示すように、第1熱源ユニット30及び第2冷媒貯留容器52が第2冷媒R2の収容を終える。第2熱源ユニット90の中には、もはや第2冷媒R2はほとんど存在しない。
【0114】
(1-6)第6工程(ステップS206)
図21に示すように、既存冷媒サイクル装置200の連絡配管20から、第2熱源ユニット90が切り離される。次に、第1熱源ユニット30が、連絡配管20に接続される。これにより、冷媒サイクル装置100が構成される。
【0115】
(1-7)第7工程(ステップS207)
図22に示すように、第2冷媒貯留容器52に収容されている再生された第2冷媒R2が、追加的に第1熱源ユニット30に収容される。
【0116】
(1-8)第8工程(ステップS208)
図23に示すように、冷媒サイクル装置100の全体が必要とする量の第2冷媒R2を、冷媒サイクル装置100は受け取る。これにより、冷媒サイクル装置100は使用可能になる。
【0117】
(1-9)第9工程(ステップS209)
図24に示すように、第2冷媒R2が用いられていることを示す表示Sが、利用ユニット10、連絡配管20、及び第1熱源ユニット30の少なくとも一部に付される。リモートコントローラ40は、第2冷媒R2が用いられていることを電気的に表示する表示部41を有していてもよい。表示部41に表示される情報の内容及び形態は、第1実施形態と同様である。
【0118】
(2)冷媒種類の設定
第2実施形態における冷媒種類の設定は、第1実施形態と同様である。
【0119】
(3)特徴
本実施形態に係る設置方法によれば、第1熱源ユニット30が第2冷媒R2の貯留容器として使用される。したがって、冷媒サイクル装置100の設置に必要な冷媒貯留容器の数を減らせるので、設置コストを低減できる。
【0120】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る設置方法について説明する。この設置方法においては、第1実施形態及び第2実施形態とは異なり、冷媒サイクル装置100とは構成部品を共有しない別系統冷媒サイクル装置300から回収された第2冷媒R2が、冷媒サイクル装置100において使用される。別系統冷媒サイクル装置300は、既存設備である。冷媒サイクル装置100は、以下の方法によって設置される。
【0121】
(1)設置方法の手順
(1-1)第1工程(ステップS301)
図25に示すように、建物Cには、第2冷媒R2を使用する別系統冷媒サイクル装置300が設置されている。別系統冷媒サイクル装置300は、利用ユニット310、連絡配管320、第3熱源ユニット390を有する。
【0122】
(1-2)第2工程(ステップS302)
図26に示すように、建物Cの周辺には、空の第1冷媒貯留容器51及び第2冷媒貯留容器52が準備される。本明細書では、第1冷媒貯留容器51、及び第2冷媒貯留容器52の数はいずれも1個であるとして説明する。しかし、これらの数は2以上であってもよい。
【0123】
次に、第2冷媒R2が、第3熱源ユニット390から回収される。回収された第2冷媒R2は、冷媒再生装置70によって再生される。再生された第2冷媒R2は、冷媒再生装置70から第1冷媒貯留容器51及び第2冷媒貯留容器52に移される。
【0124】
(1-3)第3工程(ステップS303)
図27に示すように、第1冷媒貯留容器51及び第2冷媒貯留容器52が第2冷媒R2の収容を終える。
【0125】
(1-4)第4工程(ステップS304)
図28に示すように、第1冷媒貯留容器51及び第2冷媒貯留容器52は建物Bの周辺へ運搬される。さらに、建物Bの周辺には、空の第3冷媒貯留容器53及び第4冷媒貯留容器54が準備される。本明細書では、第3冷媒貯留容器53、及び第4冷媒貯留容器54の数はいずれも1個であるとして説明する。しかし、これらの数は2以上であってもよい。
【0126】
建物Bには、新しい第1熱源ユニット30を用いて、冷媒サイクル装置100が設置される。冷媒サイクル装置100には、第1冷媒R1が充填されている。
【0127】
(1-5)第5工程(ステップS305)
図29に示すように、冷媒サイクル装置100の第1熱源ユニット30から、第1冷媒R1が回収される。第1冷媒R1の回収時において、第1熱源ユニット30に収容されている第1潤滑油L1は、第1熱源ユニット30に残されてもよい。
【0128】
回収された第1冷媒R1は、冷媒再生装置70によって再生される。この再生処理において、冷媒再生装置70は、第1冷媒R1が含む水を第1冷媒R1から取り除いてもよい。
【0129】
(1-6)第6工程(ステップS306)
図30に示すように、再生された第1冷媒R1は、冷媒再生装置70から、第3冷媒貯留容器53及び第4冷媒貯留容器54に移される。第1熱源ユニット30の中には、もはや第1冷媒R1はほとんど存在しない。
【0130】
(1-7)第7工程(ステップS307)
図31に示すように、第1冷媒貯留容器51及び第2冷媒貯留容器52に収容されている再生された第2冷媒R2が、第1熱源ユニット30に収容される。
【0131】
(1-8)第8工程(ステップS308)
図32に示すように、冷媒サイクル装置100の全体が必要とする量の第2冷媒R2を、冷媒サイクル装置100は受け取る。これにより、冷媒サイクル装置100は使用可能になる。
【0132】
(1-9)第9工程(ステップS309)
図33に示すように、第2冷媒R2が用いられていることを示す表示Sが、利用ユニット10、連絡配管20、及び第1熱源ユニット30の少なくとも一部に付される。リモートコントローラ40は、第2冷媒R2が用いられていることを電気的に表示する表示部41を有していてもよい。表示部41に表示される情報の内容及び形態は、第1実施形態と同様である。
【0133】
(2)冷媒種類の設定
第3実施形態における冷媒種類の設定は、第1実施形態と同様である。
【0134】
(3)特徴
本実施形態に係る設置方法によれば、新型の第1熱源ユニット30を用いて、全体的に新規な冷媒サイクル装置100を設置することができる。
【0135】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0136】
10 :利用ユニット
20 :連絡配管
30 :第1熱源ユニット
36 :液冷媒ポート
37 :ガス冷媒ポート
40 :リモートコントローラ
41 :表示部
51 :第1冷媒貯留容器(冷媒貯留容器)
52 :第2冷媒貯留容器(冷媒貯留容器)
53 :第3冷媒貯留容器(冷媒貯留容器)
54 :第4冷媒貯留容器(冷媒貯留容器)
70 :冷媒再生装置
90 :第2熱源ユニット
100 :冷媒サイクル装置
200 :既存冷媒サイクル装置(既存設備)
300 :別系統冷媒サイクル装置(既存設備)
310 :利用ユニット(構成部品)
320 :連絡配管(構成部品)
390 :第3熱源ユニット(構成部品)
L1 :第1潤滑油
L2 :第2潤滑油
R1 :第1冷媒
R2 :第2冷媒
S :表示
S001 :ステップ
S002 :ステップ
S003 :ステップ
S004 :ステップ
S101 :ステップ
S102 :ステップ(第1冷媒回収工程)(第1冷媒再生工程)
S103 :ステップ
S104 :ステップ(第2冷媒回収再生工程)
S105 :ステップ
S106 :ステップ(切り離し工程)(接続工程)
S107 :ステップ(第2冷媒収容工程)
S108 :ステップ
S109 :ステップ(第2冷媒表示工程)
S201 :ステップ
S202 :ステップ(第1冷媒回収工程)(第1冷媒再生工程)
S203 :ステップ
S204 :ステップ(第2冷媒収容工程)(第2冷媒回収再生工程)
S205 :ステップ
S206 :ステップ(切り離し工程)(接続工程)
S207 :ステップ(第2冷媒収容工程)
S208 :ステップ
S209 :ステップ(第2冷媒表示工程)
S301 :ステップ
S302 :ステップ(第2冷媒回収再生工程)
S303 :ステップ
S304 :ステップ
S305 :ステップ(第1冷媒回収工程)(第1冷媒再生工程)
S306 :ステップ
S307 :ステップ(第2冷媒収容工程)
S308 :ステップ
S309 :ステップ(第2冷媒表示工程)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】
【文献】欧州特許公開公報EP3505842A1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33