(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】圧縮機駆動装置及び前記装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20240215BHJP
H02K 15/085 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K15/085
(21)【出願番号】P 2022535139
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2020017225
(87)【国際公開番号】W WO2021118134
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102019133998.7
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィット ヴァリスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルント グンターマン
(72)【発明者】
【氏名】セノル ゲッゲル
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/138534(WO,A1)
【文献】特開2000-209802(JP,A)
【文献】特開2019-205341(JP,A)
【文献】特開2007-043829(JP,A)
【文献】特表2019-528665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30- 3/52
H02K 15/00-15/02
H02K 15/04-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの端部面間で共通の縦軸(7)に沿って延びるローター及びステーターコア(2)を有するステーター(1)を備える、蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターとして、前記ステーター(1)は
-コイル(5)の導線(8)のセクションとして形成された、前記ステーター(1)の第1端部面に配置された連結ケーブル(8a)と連結ライン(8b)を含み、
-前記ステーター(1)の第1端部面から実質的に中空円筒形壁と共に軸方向に前記ステーターコア(2)より突出する絶縁要素(6)を含み、前記連結ケーブル(8a)及び/または前記連結ライン(8b)は円周方向に前記絶縁要素(6)の壁周囲に配置されて、
-プラグインコネクター(9)を装着するための、それぞれ壁(4a)により周りの周囲で囲まれた連結通路をそれぞれ有する装着要素(4)を備えたカバー要素(3)を含み、前記カバー要素(3)は、前記連結ケーブル(8a)及び/または前記連結ライン(8b)と共に前記ステーターコア(2)より突出する前記絶縁要素(6)の壁を覆う方式で、前記ステーター(1)の第1端部面で周りの周囲に沿って軸方向に前記ステーターコア(2)に完全に接するように配置されて、
前記ステーターコア(2)、前記カバー要素(3)、そして前記ステーターコア(2)より突出する前記絶縁要素(6)の壁により囲まれた空間が少なくとも部分的にポッティング材料(12)で充填されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ステーター(1)の第1端部面の方向に整列される、前記コイル(5)を形成するために巻き取られた前記導線(8)の領域が前記カバー要素(3)により少なくとも部分的に覆われており、前記ポッティング材料(12)でポッティングされたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カバー要素(3)が前記軸方向に整列された中空円形円筒形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記カバー要素(3)は、前記軸方向に整列された2つの軸方向リング表面(3a)と半径方向に整列された1つの半径方向リング表面(3b)に周りの周囲が閉鎖されたリングで形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記カバー要素(3)の外部半径と内部半径に配置される、前記軸方向リング表面(3a)が互いに平行するように整列されて、前記半径方向リング表面(3b)を通じて互いに連結されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記半径方向リング表面(3b)は前記縦軸(7)に垂直に整列された平面に配置されて、前記軸方向リング表面(3a)は前記カバー要素(3)がリング輪郭による断面でU字状を有するように各端部面で互いに連結されて配置されることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記カバー要素(3)は、前記半径方向リング表面(3b)に連結された端部面に向かって末端に整列された、少なくとも1つの前記軸方向リング表面(3a)の一端部面により前記ステーターコア(2)に接するように配置されたことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カバー要素(3)の前記軸方向リング表面(3a)、前記半径方向リング表面(3b)全体の円周にわたって閉鎖される方式で形成されて、前記半径方向リング表面(3b)は前記連結通路の壁(4a)の領域で貫通開口を有することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記カバー要素(3)は電気絶縁材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記導線(8)の前記連結ケーブル(8a)及び/または前記連結ライン(8b)は前記絶縁要素(6)の壁の外側表面に接する方式で配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記絶縁要素(6)の壁は前記連結ケーブル(8a)及び/または前記連結ライン(8b)を装着するための、円周方向に完全に延びてリセスに形成される、少なくとも1つのカラー(collar)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プラグインコネクター(9)円筒形に、電気伝導性材料で形成されて、前記壁(4a)により囲まれた前記カバー要素(3)の前記装着要素(4)の連結通路を貫通する方式で配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
接触要素(11)を装着して前記ポッティング材料(12)を収容するための中空円形円筒形間隙(10)が前記装着要素(4)の前記壁(4a)と前記プラグインコネクター(9)間に形成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プラグインコネクター(9)を装着するためのそれぞれ中空円形円筒形スリーブ形態である接触要素(11)がそれぞれの前記プラグインコネクター(9)内に形成されて、電気接触が設定される方式で側面表面の内部表面が前記プラグインコネクター(9)を囲むことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記接触要素(11)の外径は前記ポッティング材料(12)を収容するために全体周りの周囲で形成された間隙(10)を加えて前記連結通路の前記壁(4a)の内径に実質的に相応することを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記導線(8)の前記連結ライン(8b)の端部(8c)は前記接触要素(11)を通じて前記接触要素(11)内に配置された前記プラグインコネクター(9)に電気的に連結されることを特徴とする請求項13乃至請求項15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記導線(8)の前記端部(8c)は前記ステーター(1)に向かって整列された前記接触要素(11)の一端部面で前記接触要素(11)に電気伝導性連結を有することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の前記蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置の製造方法として、前記ステーター(1)を装着する時:
-前記軸方向に前記ステーターコア(2)より突出する前記絶縁要素(6)の壁に配置される前記連結ケーブル(8a)と前記連結ライン(8b)が装着されて、前記コイル(5)を形成するように巻かれた前記導線(8)及び前記絶縁要素(6)と共に前記ステーターコア(2)を配置する段階、
-前記軸方向に整列された前記ステーターコア(2)の一端部面にそれぞれ前記壁(4a)により完全に囲まれた前記連結通路を有する前記装着要素(4)を備えた前記カバー要素(3)を配置する段階、ここで前記連結通路はそれぞれ前記導線(8)の前記連結ライン(8b)に電気的に連結される1つの接触要素(11)を備えて形成されて、各1つのプラグインコネクター(9)が前記接触要素(11)のそれぞれに挿入されて、そして
-前記ステーターコア(2)、前記カバー要素(3)及び前記絶縁要素(6)、そして前記装着要素(4)の前記壁(4a)と前記接触要素(11)間に形成された空間を少なくとも部分的に前記ポッティング材料(12)で充填する段階、及び
-共通の縦軸(7)上にローター及び前記ステーター(1)を配置する段階を含み、ここで前記ステーター(1)は前記ローターを半径方向に囲むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記充填する段階の間、前記カバー要素(3)及び前記ステーター(1)の端部面の方向に整列された、前記コイル(5)を形成するように巻き取られた前記導線(8)の領域により囲まれた空間が少なくとも部分的に前記ポッティング材料(12)で充填されて、前記ステーターコア(2)、前記カバー要素(3)及び前記絶縁要素(6)間に形成された空間、そして前記装着要素(4)の前記壁(4a)と前記接触要素(11)間に形成された空間及び前記カバー要素(3)及び前記ステーター(1)の端部面の方向に整列された、前記コイル(5)を形成するように巻き取られた前記導線(8)の領域により囲まれた空間は、連続的な空間に形成されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
自動車空気調和システムの冷媒回路内の冷媒圧縮機のための、請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の蒸気流体を圧縮するための圧縮機を駆動するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気流体、特に冷媒を圧縮するための圧縮機駆動装置、特に電気モーターに関する。圧縮機は自動車空気調和システムの冷媒回路に用いられることができる。前記装置は共通の縦軸に沿って延びるローター及びステーターを備える。前記ステーターはコイルの導線のセクションとして形成された連結ケーブルと連結ラインを有する。
【背景技術】
【0002】
冷媒圧縮機とも称される、冷媒回路を通じて冷媒を運搬するために用いられる従来技術に公知となった移動性アプリケーション用、特に自動車空気調和システム用圧縮機はたびたび可変容量を有するピストン圧縮機またはスクロール圧縮機として形成される。前記圧縮機はプーリにより駆動されるか電気的に駆動される。
【0003】
電動式圧縮機は適切な圧縮機構(compressing mechanism)を駆動するための電気モーターの他に、このような電気モーターを駆動するためのインバータを備える。前記インバータは車両バッテリーの直流を電気連結を通じて電気モーターに供給される交流に変換するために用いられる。
【0004】
電動式圧縮機の従来の電気モーターはステーターコア上に配置されるコイルを有するリング状のステーターコアとローターを備えて形成されて、この場合、前記ローターは前記ステーターコアの内部に配置される。ローター及びステーターはローターの回転軸または共通対称軸上に整列されてハウジングにより囲まれる。一方、自動車内での設置空間を減らして、他方ではステーターをハウジング内に固定させるために、電気モーターの構成要素間、特にステーターとハウジング間の間隔は非常に狭い。
【0005】
インバータは電気モーターの連結部との電気連結のための、別途の構成要素とピンで形成されて、ステーターのコイルの導線の連結ラインに電気的に連結される、プラグインコネクター用プラグ連結部を有する。前記連結ケーブルはステーターコアの端部面に沿って案内されて、多くの場合にモーターハウジングに対してステーター絶縁体で覆われていない。また、ハウジングの構成要素に対する間隔がたびたび非常に狭い。
【0006】
例えば、導線の連結ライン間で電気的連結と高い絶縁抵抗の両方を提供するためには、位相導体とも称される連結ラインまたは導線が互いから、そしてステーター及びモーターハウジングの他の電気伝導性構成要素から何れも電気的に絶縁されなければならない。特にエナメル銅線(enamelled copper wire)で形成された、コイルの導線のセクションとして電気モーターの個別位相の連結ラインの領域は、プラスチック絶縁されることができる。
【0007】
さらに、例えば十分ではない沿面距離(creepage distances)及び間隙による短絡を防止するために、電圧レベルによって、電気伝導性構成要素間に十分な絶縁間隙を提供することが必要である。絶縁体はまた製造工程中に発生する欠陥または多孔性、特にピンホールを呈することがあり、絶縁抵抗を実質的に減少させて、特にハウジングの構成要素に電気的フラッシュオーバー(flashover)の危険を招きかねない。仮りにそれぞれ絶縁で欠陥を呈する2つの銅線が並んで配置されて、前記欠陥が互いに直接対向するか少なくとも互いに対して近接するように位置される場合、前記銅線間の電気的フラッシュオーバーの危険は非常に高い。
【0008】
特に例えば最大1,000Vのような高電圧範囲で作動する時、電気駆動式圧縮機での要求事項は特に非常に高い。国際標準は、例えば、指定された電圧範囲のために2つの導線間で、または隣接する電気伝導性構成要素に対して沿面距離及び間隙が最小10mm乃至14mmであることを要求する。2つのコイル間で最も短いエアーギャップが一般的に約4mmで、最も短い沿面距離が一般的に約5mmである約400Vの超高電圧(略語「EHV(extra-high voltage)」)のため最先端電気モーター内部に設置された、空気調和システムのアプリケーションのための密閉された電気モーターのための最小800Vの極高電圧(略語「UHV(ultra-high voltage)」)での使用のための絶縁システムが自動車産業の最も大きい課題である。
【0009】
必要な絶縁間隙または絶縁距離を達成するために、従来技術での電動式圧縮機の電気モーターは、導線の連結ライン、そしてさらに圧縮機の電気伝導性構成要素間に十分に大きな距離、または他の電気伝導性構成要素に対して十分ではない距離を有する導線の連結ラインの領域が完全にポッティングされることを要求する。連結ラインのポッティングと共に、電圧レベルによって、導線の連結ライン、そしてさらに圧縮機の電気伝導性構成要素間にポッティングされない連結ラインに比べて、より狭い間隙も可能である。ポッティングされない連結ラインを有するモーターを用いる場合、モーターにより、また電動式圧縮機用としても大きな装着空間が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、蒸気流体の電動式圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターを提供して改善することである。前記装置は最小800V乃至1,000Vの電圧レベルでも絶縁調整に対する関連要求事項が満たされるように設計されなければならない。ここで特に、導線または導線の連結ケーブルまたは連結ラインが互いに対して、そして隣接する電気伝導性構成要素に対して電気的に絶縁されなければならない。前記装置は容易で、従って時間節約方式で組み立てられることができ、できるだけ少ない数の個別構成要素を有するべきであり、そして例えば重さと必要な空間及び製造費用を最小化できるように構成しやすく設計されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は独立項の特徴を有する対象によって解決される。改善例は従属項に示される。
本発明の課題は蒸気流体の圧縮機を駆動するための本発明による装置、特に電気モーターによって解決される。前記装置は2つの端部面間で共通の縦軸に沿って延びるローターとステーターコアを有する固定されたステーターを備える。
【0012】
前記ステーターはステーターの第1端部面に配置されたコイルの導線のセクションとして形成された連結ケーブルと連結ラインを含み、好ましくはローターの外側表面から半径方向に前記ローターを囲みながら位置される。
【0013】
前記導線はコイルの領域で好ましくは巻き取られたエナメル銅線で形成されて、ここで巻き取られていない導線の端部は前記連結ケーブルまたは前記連結ラインとして、そしてそれぞれ導線の磁気非活性セクションとして対応する巻線から誘導されて出る。例えば、同じ位相のコイルの連結及び接続のための前記連結ケーブルは前記コイルの領域での前記導線と類似するように前記コイルの領域で好ましくはただエナメルで形成される一方、例えば電気モーターの連結部との電気的連結のための前記連結ラインは追加で好ましくはプラスチックジャケットで絶縁される。
【0014】
前記ステーターは絶縁要素を有し、前記絶縁要素の実質的に中空円筒形の、特に中空円形円筒形の壁は前記ステーターの第1端部面から軸方向に前記ステーターコアより突出し、ここで前記連結ケーブルまたは前記連結ラインは前記絶縁要素の壁に円周方向に配置される。
【0015】
ここで用語「軸方向」とは、前記ローターの縦軸及び回転軸にも相応する前記ステーターの縦軸の方向と理解されるべきである。前記軸方向に整列された一端部面は前記縦軸に対して垂直に延びる平面に配置される。
【0016】
さらに、本発明によれば、前記ステーターはそれぞれの壁により周りの周囲で囲まれた、プラグインコネクターを装着するための連結通路を有する装着要素を備えたカバー要素を含む。前記カバー要素は前記ステーターの第1端部面で、前記連結ケーブルまたは前記連結ラインと共に前記ステーターコアより突出する前記絶縁要素の壁を覆い、前記ステーターコアの周りで前記ステーターコアに接触してこれを完全に囲む方式で配置される。
【0017】
本発明の概念によれば、前記ステーターコア、前記カバー要素、そして前記ステーターコアより突出する前記絶縁要素の壁により囲まれた空間が少なくとも部分的にポッティング材料で充填される。
【0018】
前記絶縁要素は好ましく前記ステーターコアの外壁の内部と接触する方式で半径方向に配置される。前記絶縁要素は前記ステーターコアに堅固に連結されることができる。
【0019】
本発明の一改善例によれば、前記ステーターの第1端部面の方向に整列される、前記コイルを形成するために巻き取られた前記導線の領域が前記カバー要素により少なくとも局部的に隠されており、前記ポッティング材料でポッティングされている。
【0020】
本発明の好ましい一実施例によれば、前記カバー要素は前記軸方向に整列された中空円形円筒形状を有し、好ましくは全体的に閉鎖された周りを有する、そして前記軸方向に整列された2つの軸方向リング表面と半径方向に整列された1つの半径方向リング表面を有するリングとして形成される。
【0021】
好ましくは前記カバー要素の外部半径と内部半径に配置された前記軸方向リング表面は互いに平行するように整列されて、前記半径方向リング表面を通じて互いに連結される。本発明の追加長所は、前記半径方向リング表面が前記ステーターの縦軸に対して垂直に整列された平面に配置されて、そして前記軸方向リング表面は前記カバー要素がリング輪郭による断面でU字状を有するようにそれらの端部面が互いに連結されて配置されるということである。
【0022】
前記半径方向リング表面に向かって末端に整列された、少なくとも1つの前記軸方向リング表面の一端部面、特に前記カバー要素の内部半径に配置された配置されたリング表面は前記ステーターコアに接触する。互いに連結された前記リング表面間に形成された空間は前記ポッティング材料を収容するために用いられることができる。前記リング表面は好ましくは全体周りの周囲で閉鎖されるように形成されて、ここでただ前記半径方向リング表面は前記連結通路の壁の領域で貫通開口を有する。
【0023】
前記カバー要素は好ましくは電気絶縁材料で形成される。従って、前記ステーターコアに配置された前記カバー要素はまた、特に必要な絶縁間隙を保障するためにポッティング材料と組み合わせて提供されることもある。
【0024】
本発明のもう1つの長所は前記プラグインコネクターのための前記装着要素が前記カバー要素の一体型部品であり、その結果、前記カバー要素と前記装着要素が1つのユニット、特に一体型射出成形要素として形成されるということである。
【0025】
本発明の好ましい一実施例によれば、前記導線の前記連結ケーブルまたは前記連結ラインが前記絶縁要素の壁の外側表面に接するように、そして実質的に前記壁の円周方向に沿って整列されるように配置されて、ここで前記絶縁要素の壁の外側は好ましくは前記連結ケーブルまたは前記連結ラインを装着するための、円周方向にリセスとして、特に溝として形成される少なくとも1つのカラーを有する。前記導線の前記連結ケーブルまたは前記連結ラインはカラー内に完全に統合されることができる。
【0026】
「完全統合」とは前記導線の前記連結ケーブルまたは前記連結ラインがカラー内に配置されることと理解されるべきであり、ここで前記導線はそれの全体直径にわたって前記カラー内に埋め込まれる。前記導線はいかなる位置でも前記カラーから突出しない。前記導線の最大直径は前記カラーの深さより浅いか、前記カラーの深さに相応する。
【0027】
前記絶縁要素の壁内部にある少なくとも1つの前記カラーは好ましくは前記ステーターの前記縦軸に対して垂直に整列された平面に配置される。前記絶縁要素の壁内部に少なくとも2つの前記カラーを配置する場合は、前記カラーは好ましくは前記ステーターの前記縦軸に対して垂直に整列された平面に配置されて、そして互いに適切な距離を有するように配置される。
【0028】
本発明の一改善例によれば、前記プラグインコネクターは円筒形に、特に円形円筒形またはピン型に電気伝導性材料で形成されて、前記壁により囲まれた前記カバー要素の前記装着要素の前記連結通路を通じて運搬されて、これで好ましくは前記接触要素を装着して前記ポッティング材料を収容するための中空円形円筒形に形成される間隙が前記装着要素の壁と前記プラグインコネクター間に提供される。
【0029】
本発明の好ましい追加実施例によれば、前記プラグインコネクターを装着するための中空円形円筒形スリーブとして各1つの前記接触要素が形成される。前記接触要素は好ましくは側面表面の内部表面により前記プラグインコネクターを囲み、電気的接触を設定する方式で配置される。
【0030】
本発明の追加長所は、前記接触要素の外径が前記ポッティング材料を収容するために全体周りにわたって形成された間隙を含み、実質的に前記連結通路の壁の内径に相応することであり、その結果、前記接触要素を前記装着要素及びそれにより前記カバー要素に連結できるように、前記接触要素と前記装着要素の壁間に前記ポッティング材料が配置されることができる。
【0031】
本発明の好ましい追加実施例によれば、それぞれの場合に前記コイルの前記導線の連結ラインが、前記接触要素を通じて、一端部で前記接触要素内に配置された前記プラグインコネクターに電気伝導性連結を行う。ここで、前記導線の端部は前記ステーターに向かって整列された、好ましくは前記接触要素の一端部面で前記接触要素に電気伝導性連結を行う。
【0032】
本発明の前記課題は前記蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターを製造するための本発明による方法によっても解決される。前記方法はステーターを装着する時、下記の段階を含む:
-前記連結ケーブルと前記連結ラインを有する前記コイルを形成するように巻かれた前記導線及び前記絶縁要素と共に前記ステーターコアを配置する段階、ここで前記連結ケーブルと前記連結ラインは前記軸方向に前記ステーターコアより突出する前記絶縁要素の壁に配置されて、
-前記軸方向に整列された前記ステーターコアの一端部面にそれぞれ壁により完全に囲まれた前記連結通路を有するように形成された前記装着要素を備えた前記カバー要素を配置する段階、ここで前記連結通路はそれぞれ前記導線の前記連結ラインに電気的に連結される各1つの前記接触要素を備えて形成されて、そして前記接触要素それぞれの内に各1つの前記プラグインコネクターが挿入されて、そして
-前記ステーターコア、前記カバー要素及び前記絶縁要素、そして前記装着要素の壁と前記接触要素間に形成された空間を少なくとも局部的に前記ポッティング材料で充填する段階、及び
-共通の縦軸上にローターとステーターを配置する段階、ここで前記ステーターは前記ローターを半径方向に囲む。
さらに、本発明の特別な長所は連続する空洞として形成された空間が前記ポッティング材料によるポッティングを単一工程段階で可能にするということである。
【0033】
本発明の一改善例によれば、前記充填段階間、前記カバー要素及び前記ステーターの端部面の方向に整列された、前記コイルを形成するように巻き取られた導線の領域により囲まれた空間が少なくとも局部的に前記ポッティング材料で充填される。ここで、前記ステーターコア、前記カバー要素及び前記絶縁要素間に、そして前記装着要素の壁と前記接触要素間に形成された空間及び前記カバー要素及び前記ステーターの端部面の方向に整列された、前記コイルを形成するように巻き取られた前記導線の領域により囲まれた空間が連続的なユニットに形成される。
【0034】
前記本発明の好ましい実施例は自動車空気調和システムの冷媒回路内の冷媒圧縮機用に蒸気流体を圧縮するための圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターの使用を可能にする。
【発明の効果】
【0035】
最小限の必須構成要素を有する蒸気流体の圧縮機を駆動するための本発明による装置及び前記装置の製造方法は要約すれば次のような多様な長所を有する:
-簡単な組み立て、そして絶縁要素またはステーターコア上にカバー要素の簡単な固定、それと同時に特にポッティング材料によるU字状セクションを充填してカバー要素をポッティングすることによって導線の連結ケーブルと連結ラインの最上の電気絶縁が達成されて、ここで特に接触要素に対する連結部を有する前記連結ケーブル、連結ライン及びカバー要素とステーターコアにより囲まれた空間内に配置された全ての追加的な電気伝導性連結部が1つの工程段階で互いに対して、そして周辺に対して密閉型に絶縁されて、また、冷媒と電流が流れる連結部の完全な絶縁、そしてそれによりポッティングされた領域内で最小限の汚染度が達成されて、
-電圧レベルによって、プラグインコネクターと接触要素間の電気的なプラグ連結の絶縁だけではなく絶縁抵抗は増加して必要な空間は減少して、
-電圧レベルによって、必要な絶縁距離を提供することによって導線と追加電気伝導性の非活性構成要素間に短絡電流発生が防止されて、
-十分ではない絶縁抵抗による製造時の廃棄率が減少して、最小水準の費用が発生して、そして
-圧縮機の使用寿命が最大化する。
【0036】
カバー要素の単一組み立て段階により、特にコイルまたは導線、特に導線の連結ライン、具体的に連結ケーブル間で特に磁気非活性連結部が、絶縁間隙を拡大させて絶縁抵抗を増加させるために完全に覆われている。さらに、モーターのハウジングに向かって整列されたステーターの端部面が機械的に強化されて、これはハウジングでステーターの収縮段階に肯定的な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の実施例の追加的な細部事項、特徴及び長所は添付の図面を参照して行う実施例の下記説明に示す。図面は次のことを図示する
【
図1a】ステーターコア及びステーターの第1端部面に配置された、プラグインコネクターを装着するための装着要素を有するカバー要素と共に蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置で、電気モーターのステーターの斜視図である。
【
図1b】カバー要素なく、ステーターの第1端部面の詳細図としての斜視図である。
【
図1c】カバー要素なく、ステーターの第1端部面の詳細図としての斜視図である。
【
図1d】カバー要素を含む
図1aのステーターの詳細図としての断面図である。
【
図2a】カバー要素を装着要素に挿入されたプラグインコネクターと共に詳細図に図示し、そして追加で連結ラインと共に示す平面図である。
【
図2b】カバー要素を装着要素に挿入されたプラグインコネクターと共に詳細図に図示し、そして追加で連結ラインと共に示す平面図である。
【
図2c】カバー要素をプラグインコネクターを挿入するための装着要素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1aには、特に冷媒回路を通じて冷媒を運搬するための自動車空気調和システム用に、蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置で、電気モーターのステーター(1)を斜視図で図示する。ステーター(1)をステーターコア(2)及びステーター(1)の第1端部面に配置されてプラグインコネクターを装着するための装着要素(4)を有するカバー要素(3)と共に斜視図で図示する。
図1b及び1cにはそれぞれカバー要素がなく、ステーターコア(2)に配置されたコイル(5)を有するステーター(1)の第1端部面の詳細図が斜視図で図示する一方、
図1dにはカバー要素(3)を含んで
図1aのステーター(1)の詳細図を断面図で図示する。
【0039】
前記電気モーター、例えば3相交流モーターは図面に図示しないローター及び半径方向に前記ローターの外側表面に、従って前記ローターの周りに配置されたステーターコア(2)を備える。好ましくは積層シートとして形成されたステーターコア(2)及び電気絶縁材料で形成された絶縁要素(6)が、ステーター(1)の縦軸及びローターの回転軸に相応する縦軸(7)に沿って、ステーター(1)の第1端部面から第2端部面に延びる。絶縁要素(6)は好ましくはステーターコア(2)のオーバーモールド(overmold)として、そしてそれにより一体型構成要素として形成される。
【0040】
コイル(5)は、それぞれ、導線(8)とも称されて、電気導体として形成されて、半径方向に内部に延びるステーターコア(2)の領域の周りに巻き取られる1本のワイヤーからなり、ここで導線(8)は全体がエナメル銅線で形成される。巻き取られていない導線(8)の端部はそれぞれ磁気非活性セクションである連結ケーブル(8a)または連結ライン(8b)として相応する巻線から誘導されて出る。
【0041】
同じ位相のコイル(5)を互いに連結するために用いられる連結ケーブル(8a)は導線(8)の第1セクションとしてエナメル処理された電線でのみ形成されており、一方、電気モーターの連結部との電気的連結のために構成された連結ライン(8b)は導線(8)の第2セクションとして追加で好ましくはプラスチック材料で絶縁されている。
【0042】
半径方向に内部に延びるステーターコア(2)の領域はウェブ(web)形態を有し、ステーターコア(2)の外壁円周にわたって均一に分布する。ステーターコア(2)とコイル(5)の導線(8)を互いから電気的に絶縁する絶縁要素(6)が、コイル(5)の導線(8)とステーターコア(2)の該領域間に配置される。絶縁要素(6)は内部に、そして軸方向に整列されたウェブの端部から軸方向に延びた要素として形成されている。前述した方式で突出する絶縁要素(6)の内側領域はステーターコア(2)のウェブの周りに巻き取られたコイル(5)の導線(8)を固定するために用いられる。
【0043】
ステーターコア(2)、コイル(5)及び絶縁要素(6)は電気モーターのステーターユニットを形成する。
好ましくはステーターコア(2)のオーバーモールドとして形成された絶縁要素(6)は半径方向に外部側面と共にステーターコア(2)の外壁の内部と接触する。絶縁要素(6)の壁は、特に
図1b及び1cに図示するように、ステーター(1)の端部面から軸方向にステーターコア(2)より突出する。コイルを形成するように巻き取られた導線(8)の磁気活性セクションは、半径方向に内部に延びる絶縁要素(6)の領域の周りに配置されており、このような場合、絶縁要素(6)はステーターコア(2)とコイル(5)の導線(8)間に配置される。
【0044】
ステーターコア(2)越しに突出する絶縁要素(6)の領域は半径方向に延びる壁を有し、この壁は実質的に中空円筒形に形成されて円周方向で中断される。コイルを形成するように巻き取られたコイル(5)の巻線間で磁気非活性で連結ケーブル(8a)として形成される導線(8)の領域は、ステーターコア(2)より突出する絶縁要素(6)の領域内で全体周りの周囲を回り、グルーブ形態に形成されたカラー内に統合される方式で配置される。また、連結ライン(8b)として形成された、導線(8)の磁気非活性セクションはまた、装着領域とも称される前記のようなカラー内部に配置されることができる。ステーター(1)の第1端部面でステーターコア(2)越しに突出する、導線(8)の磁気非活性セクションを有する絶縁要素(6)の領域は連結リングとも称される。
【0045】
モーターの電圧レベルによって、例えば導線(8)と隣接する電気伝導性構成要素の間の短絡またはフラッシュオーバー(flashover)を防止するために、導線(8)と、ハウジングのようなモーターの他の電気伝導性、金属構成要素または圧縮機の構成要素間では、絶縁距離とも称される関連標準に相応する関連間隙(clearance)が守られなければならない。カバー要素(3)の設置のおかげで、絶縁間隙はカバー要素のない絶縁間隙に比べて拡張されて、短絡またはフラッシュオーバーの危険を減少させる。
【0046】
図1dに図示するプラグインコネクターを装着するための、壁(4a)により完全に囲まれた連結通路を有する装着要素(4)を備えたカバー要素(3)は、ステーター(1)の第1端部面に配置されて、軸方向にステーターコア(2)より突出する絶縁要素(6)の壁を覆う。
【0047】
ステーター(1)が装着された状態で、縦軸(7)を中心にリング形態に形成されたカバー要素(3)は軸方向にステーター(1)、特にステーターコア(2)に完全に接触して、ここでカバー要素(3)の外径はステーターコア(2)の外径より小さい。プラグインコネクター(9)のための装着要素(4)、カバー要素(3)の一体型部分であり、従ってカバー要素(3)と装着要素(4)が1つのユニットとして、特に一体型射出成形要素として形成されている。前記一体型形態は成形工程の間に実現される。
【0048】
実質的に円筒形に、特に中空円筒形に、具体的に中空円形円筒形に形成されて、全体周りの周囲で閉鎖された、軸方向に整列されたリングとして形成されたカバー要素(3)は、軸方向に整列された2つの軸方向リング表面(3a)及び半径方向に整列された1つの半径方向リング表面(3b)を有する。カバー要素(3)の外部半径及び内部半径上に形成された軸方向リング表面(3a)は互いに平行するように整列されて半径方向リング表面(3b)を通じて互いに連結される。縦軸(7)に対して垂直に整列された平面に配置された半径方向リング表面(3b)は、カバー要素(3)がリング輪郭による断面領域で好ましくは同じ脚の長さを有するU字状を有するように軸方向リング表面(3a)を互いに連結する。第1の軸方向リング表面(3a)は外壁として形成されて、一方、第2の軸方向リング表面(3a)は内壁として形成される。半径方向リング表面(3b)は端部面で軸方向リング表面(3a)を互いに連結する。軸方向リング表面(3a)、半径方向リング表面(3b)はそれぞれ全体周りの周囲で閉鎖された表面として形成されて、ここで半径方向リング表面(3b)はプラグインコネクター(9)を装着できるように連結通路の壁(4a)の領域でのみ中断されている。
【0049】
軸方向リング表面(3a)、半径方向リング表面(3b)間に形成された空間は、ステーターコア(2)越しに突出する絶縁要素(6)の領域とこれに配置される導線(8)の連結ケーブル(8a)及び連結ライン(8b)の収容、そしてそれにより連結リングの収容のための、ポッティング材料を収容するためのモールドとしての役割を果たす。ここで、実質的に中空円筒形に形成されたカバー要素(3)は外壁として形成された第1の軸方向リング表面(3a)の内部表面と、内壁として形成された第2の軸方向リング表面(3a)の外部表面と共にそれぞれステーターコア(2)越しに突出する絶縁要素(6)の領域の壁の側面方向に配置されている。
【0050】
カバー要素(3)は特に導線(8)の、コイルを形成するように巻き取られず、該巻線から誘導されて出るか、または該巻線に挿入されるエナメル処理された連結ケーブル(8a)と連結ライン(8b)の領域だけではなく、ステーター(1)の周辺に向かって、ステーター(1)の第1端部面に向かって整列されてコイル(5)を形成するように巻き取られた導線(8)の領域を覆う。特に、導線(8)の連結ケーブル(8a)と連結ライン(8b)、絶縁要素(6)とカバー要素(3)間で保護される方式で半径方向に配置される。カバー要素(3)及び/または絶縁要素(6)が電気絶縁構成要素であるため、絶縁要素(6)内に形成されてカバー要素(3)により覆われた導線(8)電気絶縁体により完全に囲まれている。
【0051】
カバー要素(3)は、特に電圧レベルによって例えばモーターのハウジングに対する拡大された沿面距離(creepage distance)により、モーターのハウジングと同じ他の電気伝導性構成要素に対して絶縁間隙または要求される絶縁抵抗を提供するために意図される。
【0052】
カバー要素(3)の軸方向リング表面(3a)、半径方向リング表面(3b)と連結リング、そしてステーター(1)の第1端部面の方向に整列されてコイル(5)を形成するように巻き取られた導線(8)の領域により囲まれて空洞として形成された空間は少なくとも局部的にポッティング材料で充填されるかポッティングされて、結果的に絶縁要素(6)とカバー要素(3)は、それらの間に配置された導線(8)に堅固に、そして分離不可能に連結されている。
【0053】
追加接着剤としてポッティング材料を用いて空間または空洞をポッティングすることによって、電流流れのための間隙及びそれにより漏洩電流またはクリーピング(creeping)電流のための可能な流動経路を閉鎖するために、いわゆるセメント接合部(cemented connection)が形成される。ここで、カバー要素(3)、絶縁要素(6)及びこのような絶縁要素に配置された連結ケーブル(8a)と連結ライン(8b)、隣接する構成要素間で沿面距離を避けるために、特に電気伝導性要素間での沿面距離を要求される最小水準を達成するために互いに連結されるが、特にセメントで接着される。
【0054】
従って、セメント接合部は接着剤、樹脂、エポキシまたは2つの電気伝導性構成要素間の電流流れを防止する他のポッティング材料のような適する接着剤を用いて2つの材料を連結すると理解されるべきである。
【0055】
結果的にカバー要素(3)は連結リングの保護の他に相違する位相の導線(8)を互いに分離させるポッティング材料用モールドにも用いられる。導線(8)が互いに対して非常に狭い間隙に配置されているという事実のため、ステーターコア(2)越しに突出する絶縁要素(6)の壁とカバー要素(3)間に形成される全体空洞を内部に埋め込まれる導線(8)と共にポッティング材料でポッティングすることによって要求される沿面距離及び間隙が保障される。従って、例えば、最小800Vの極高電圧を有するアプリケーションに置かれた要求事項を満たす絶縁システムが提供される。
【0056】
さらに、ステーター(1)の端部面でステーターコア(2)越しに突出する絶縁要素(6)をカバー要素(3)及びポッティング材料で覆うことによって、電気モーターのハウジング内部で、そして導線(8)間で流れる流体として冷媒に対する連結リングに配置された導線(8)の完全気密密封が提供される。
【0057】
電気モーターまたは圧縮機の設置後、特に作動中に、カバー要素(3)と絶縁要素(6)の連結の自体分離は排除される。カバー要素(3)は、特に作動の間、例えば、振動による分離と共に、構成要素に力がなくても分離できないほど、絶縁要素(6)に堅固に連結される。
【0058】
図2a及び2bはカバー要素(3)を装着要素(4)に挿入されたプラグインコネクター(9)と共に詳細図として、そして連結ライン(8b)のそれぞれを平面図で図示し、一方、
図2cはカバー要素(3)をプラグインコネクター(9)に挿入するための装着要素(4)を通じて断面図として図示する。ステーター(1)とインバータ間の電気的連結としてプラグインコネクター(9)によっては各位相の導線(8)がインバータに個別的に連結される。
【0059】
電気伝導性材料で形成されたピン型プラグコネクター(9)は、壁(4a)により囲まれて、それぞれ電気モーターのコイル(5)とインバータ間の電気的連結の構成要素として用いられる、カバー要素(3)の装着要素(4)の連結通路を通じて挿入される。装着要素(4)の壁(4a)とプラグインコネクター(9)間には、特に
図2aに図示する1つのリング型または中空円形円筒形間隙(10)が形成される。中空円形円筒形間隙(10)はスリーブ形態に形成された接触要素(11)の装着のための、そしてポッティング材料(12)の収容のための役割を果たす。
【0060】
コイル(5)の導線(8)の連結ライン(8b)はそれらの端部(8c)上で接触要素(11)を通じて装着要素(4)内に配置されたプラグインコネクター(9)または接触要素(11)に電気的に連結されている。この場合、導線(8)の端部(8c)はステーター(1)に向かって整列された接触要素(11)の第1端部面で接触要素(11)に機械的に、そして電気伝導性で接触されている。接触要素(11)の第2端部面はステーター(1)から離れて、ここに図示しないインバータを向かう方向に整列される。
【0061】
また、中空円形円筒形に形成された接触要素(11)は、側面表面の内部表面により全ての領域で電気的接触でプラグインコネクター(9)を囲むように配置される。ここで、接触要素(11)の内部表面の内径は、プラグインコネクター(9)と接触要素(11)間の圧力嵌め合わせを保障するために、実質的に中空円筒形プラグインコネクター(9)の外径に相応するか若干小さい。
【0062】
接触要素(11)は装着要素(4)の連結通路内に配置されて、ここで接触要素(11)の外径はポッティング材料(12)を収容するための間隙(10)を含んで実質的に連結通路の壁(4a)の内径に相応する。結果的にポッティング材料(12)は、接触要素(11)を装着要素(4)及びカバー要素(3)に連結できるように、接触要素(11)と装着要素(4)の壁(4a)間に配置される。
【0063】
ステーター(1)を組み立てる時、そして絶縁要素(6)を有するステーターコア(2)及びそれぞれ連結ケーブル(8a)及び連結ライン(8b)を有する導線(8)、カバー要素(3)だけではなく接触要素(11)及びプラグインコネクター(9)のような個別構成要素を配置した後は、カバー要素(3)と絶縁要素(6)、そして壁(4a)と接触要素(11)間に形成された空洞がポッティング材料(12)で充填されるかポッティングされる。前記空洞は連続的な空間を形成するため、ポッティング材料(12)によるポッティングは単一工程段階で遂行できる。ここで、カバー要素(3)のリング表面(3a、3b)及び連結リングにより、そしてコイル(5)を形成するように巻き取られた導線(8)の領域と装着要素(4)の壁(4a)及び接触要素(11)により囲まれた空間が、カバー要素(3)が絶縁要素(6)及びカバー要素(3)と絶縁要素(6)間に配置された導線(8)、そして接触要素(11)またはプラグインコネクター(9)の両方に堅固にそして分離不可能に連結される方式で、ポッティング材料(12)で充填されるかポッティングされる。
【0064】
導線(8)の連結ケーブル(8a)と連結ライン(8b)及び接触要素(11)を有するプラグインコネクター(9)がポッティング材料(12)により完全に囲まれるか覆われて、従って、互いからそして隣接する電気伝導性構成要素から電気的に絶縁される。
【0065】
ポッティング材料によるポッティングは代案的に別途の工程段階でも遂行できる。この場合、接触要素(11)と装着要素(4)の壁(4a)間に形成された空洞は、既にポッティングされたカバー要素(3)の内部で、プラグインコネクター(9)を装着要素(4)内に、特に装着要素(4)内に配置された接触要素(11)内に組み立てた後、ポッティングされて、それによりプラグインコネクター(9)を互いから絶縁する。
【0066】
空間は
図2cに波線で図示する特定レベルまでポッティング材料(12)で充填されなければならず、結果的にクリーピング電流に重要な全ての領域がポッティングされる。空間をポッティングすることによって、クリーピング電流または短絡電流の形成を許容する、転位経路(potential path)とも称される沿面距離の形成が避けられる方式で、隣接する、特に電気伝導性構成要素が互いから絶縁される。この場合、潜在的クリーピング電流の流動経路または経路が中断されて、ステーターコア(2)を有するステーター(1)、絶縁要素(6)及び導線(8)の延長、特に縦軸(7)の方向への延長が最小化される。電流が流れる構成要素を互いから、そして他の電気伝導性構成要素から分離することによって、指定された電圧範囲での絶縁に対する要求事項が完全に満たされる。
【符号の説明】
【0067】
1 ステーター
2 ステーターコア
3 カバー要素
3a 軸方向リング表面
3b 半径方向リング表面
4 装着要素
4a 装着要素の壁
5 コイル
6 絶縁要素
7 縦軸
8 導線
8a 連結ケーブル
8b 連結ライン
8c 連結ラインの端部
9 プラグインコネクター
10 間隙
11 接触要素
12 ポッティング材料