IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンオン システムズの特許一覧

<>
  • 特許-スクロール圧縮機 図1
  • 特許-スクロール圧縮機 図2
  • 特許-スクロール圧縮機 図3
  • 特許-スクロール圧縮機 図4
  • 特許-スクロール圧縮機 図5
  • 特許-スクロール圧縮機 図6
  • 特許-スクロール圧縮機 図7
  • 特許-スクロール圧縮機 図8
  • 特許-スクロール圧縮機 図9
  • 特許-スクロール圧縮機 図10
  • 特許-スクロール圧縮機 図11
  • 特許-スクロール圧縮機 図12
  • 特許-スクロール圧縮機 図13
  • 特許-スクロール圧縮機 図14
  • 特許-スクロール圧縮機 図15
  • 特許-スクロール圧縮機 図16
  • 特許-スクロール圧縮機 図17
  • 特許-スクロール圧縮機 図18
  • 特許-スクロール圧縮機 図19
  • 特許-スクロール圧縮機 図20
  • 特許-スクロール圧縮機 図21
  • 特許-スクロール圧縮機 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
F04C18/02 311X
F04C18/02 311J
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022549074
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2021003307
(87)【国際公開番号】W WO2021194154
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0035216
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030308
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ, キョン ゼ
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ジョン キ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129477(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1952373(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、前記ハウジング内に備えられるモーター、前記モーターにより回転される回転軸、前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール、及び前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロール、を含み、前記ハウジングは、前記回転軸が貫通するセンターハウジング、前記センターハウジングと共に前記モーターが収容されるモーター収容空間を形成するフロントハウジング、及び前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジング、を含み、
前記固定スクロールと前記リアハウジングとの間には、前記ハウジングの外部から流入する冷媒を前記圧縮室に案内する注入流路を開閉するための注入バルブ及び漏洩防止手段を含む注入バルブ組立体が備えられ、
前記注入バルブ組立体は、前記リアハウジングに結合されて、前記冷媒が流入する流入口を有するカバープレート、及び前記カバープレートに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレート、をさらに含み、
前記漏洩防止手段は、前記カバープレートと前記バルブプレートとの間に介在されるガスケットリテーナーを含み、前記注入バルブは、前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーとの間に介在されて前記流入口を開閉することを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記ガスケットリテーナーは、前記カバープレートに対向されるガスケットリテーナー上面に突出形成されるビード部を含み、前記ビード部は前記注入バルブを囲むことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
吸入冷媒は前記フロントハウジングを通じて流入して前記圧縮室に導入されて、前記ハウジングの外部に吐出された冷媒の中の少なくとも一部が中間圧状態で前記ハウジングの外部から流入して前記注入流路を通じて前記圧縮室に流入することを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】
前記ガスケットリテーナーと前記注入バルブは前記カバープレートと前記バルブプレートとの間で圧搾されることを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】
前記ガスケットリテーナーと前記注入バルブが前記カバープレートと前記バルブプレートとの間に組み立てられる時、前記ビード部は前記カバープレートにより前記バルブプレートに向かう方向に押さえられて、前記注入バルブと向き合う前記ガスケットリテーナーの内側部分は前記注入バルブに向かう方向に曲がることを特徴とする請求項4に記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】
前記ビード部が押さえられる前の前記注入バルブと前記カバープレートとの間の間隙より、前記ビード部が押さえられた後の前記注入バルブと前記カバープレートとの間の間隙がより小さく形成されることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項7】
前記ビード部の突出した高さ(h)は前記注入バルブの厚さ(t)より大きいか同じであることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項8】
前記ガスケットリテーナーは、前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工される1つ以上のリテーナー部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項9】
前記ガスケットリテーナーは、締結ボルトが挿入されるように前記ビード部の半径方向外側に貫通形成される第3締結ホール及び位置決定ピンが挿入されるように前記ビード部の半径方向内側に貫通形成される第3位置決定ホールをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項10】
前記バルブプレートは、前記1つ以上のリテーナー部に対応して、前記流入口を通じて流入する冷媒が収容される1つ以上の傾斜空間を含むことを特徴とする請求項8に記載のスクロール圧縮機。
【請求項11】
前記固定スクロールは前記流出口から流出する冷媒を前記圧縮室に案内する注入口を含み、前記流出口は前記傾斜空間の冷媒を前記注入口に案内することを特徴とする請求項10に記載のスクロール圧縮機。
【請求項12】
前記流入口は、第1流入口及び前記第1流入口と独立的に形成される第2流入口を含み、前記注入バルブは、前記第1流入口を開閉する第1頭部、前記第1頭部を支持する第1脚部、前記第2流入口を開閉する第2頭部;前記第2頭部を支持する第2脚部、及び前記第1脚部と前記第2脚部を連結する連結部を含み、
前記リテーナー部は、前記注入バルブが前記流入口を開放する時、前記第1頭部と第1脚部を支持するための第1リテーナー部及び前記第2頭部と第2脚部を支持するための第2リテーナー部を含み、前記傾斜空間は、前記第1流入口を通じて流入する冷媒を収容する第1傾斜空間及び前記第2流入口を通じて流入する冷媒を収容する第2傾斜空間を含むことを特徴とする請求項11に記載のスクロール圧縮機。
【請求項13】
前記第1脚部と前記連結部との間の連結部位と前記第2脚部と前記連結部との間の連結部位は互いに反対側に形成されることを特徴とする請求項12に記載のスクロール圧縮機。
【請求項14】
前記流入口は、第1流入口;及び前記第1流入口と独立的に形成される第2流入口を含み、前記注入バルブは、前記第1流入口を開閉する第1頭部、前記第1頭部を支持する第1脚部、前記第2流入口を開閉する第2頭部、前記第2頭部を支持する第2脚部、及び前記第1脚部と前記第2脚部を連結する連結部を含み、前記リテーナー部は、前記注入バルブが前記流入口を開放する時、前記第1頭部と第1脚部及び前記第2頭部と第2脚部を支持するための1つのリテーナー部からなり、前記傾斜空間は、前記第1流入口と前記第2流入口を通じて流入する冷媒を収容する1つの傾斜空間からなることを特徴とする請求項11に記載のスクロール圧縮機。
【請求項15】
前記第1脚部と前記連結部との間の連結部位と前記第2脚部と前記連結部との間の連結部位は互いに同じ側に形成されることを特徴とする請求項14に記載のスクロール圧縮機。
【請求項16】
前記リテーナー部は前記ガスケットリテーナーの本体で切開部により傾斜加工されることを特徴とする請求項8に記載のスクロール圧縮機。
【請求項17】
前記ガスケットリテーナーは、前記リテーナー部とこれと向き合う前記ガスケットリテーナーの本体を連結する1つ以上の翼部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のスクロール圧縮機。
【請求項18】
前記リテーナー部は前記ガスケットリテーナーの本体で切開部により傾斜加工されて、前記ガスケットリテーナーは、前記リテーナー部の両側とこれとそれぞれ向き合う前記ガスケットリテーナーの本体を連結する一対の翼部をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のスクロール圧縮機。
【請求項19】
前記一対の翼部の一側にはメーン流動ホールが形成されて、他側には一字形の一対の補助流動ホールが形成されることを特徴とする請求項18に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機に係り、より詳しくは、固定スクロールと旋回スクロールで冷媒を圧縮できるようにしたスクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車には室内の冷暖房のための空調装置(Air Conditioning; A/C)が設置される。このような空調装置は冷房システムの構成として蒸発器から引き込まれた低温低圧の気相冷媒を高温高圧の気相冷媒に圧縮させて凝縮機に送る圧縮機を含んでいる。
圧縮機にはピストンの往復運動によって冷媒を圧縮する往復式と、回転運動をしながら圧縮を遂行する回転式がある。往復式には駆動源の伝達方式によってクランクを使用して複数個のピストンに伝達するクランク式、斜板が設置されたシャフトに伝達する斜板式などがあり、回転式には回転するロータリー軸とベーンを使用するベーンロータリー式、旋回スクロールと固定スクロールを使用するスクロール式がある。
スクロール圧縮機は他の種類の圧縮機に比べて相対的に高い圧縮比を得ることができ、冷媒の吸入、圧縮、吐出行程がスムーズにつながり安定したトークを得ることができる長所があるので、空調装置などで冷媒圧縮用に広く使われている。
【0003】
図1は従来のスクロール圧縮機を図示した断面図である。
添付の図1に示す通り、従来のスクロール圧縮機は、ハウジング(100)、ハウジング(100)内に備えられるモーター(200)、モーター(200)により回転される回転軸(300)、回転軸(300)に連動されて旋回運動される旋回スクロール(400)及び旋回スクロール(400)と共に圧縮室(C)を形成する固定スクロール(500)を含む。
このような構成による従来のスクロール圧縮機は、モーター(200)に電源が印加されれば、回転軸(300)がモーター(200)の回転子と共に回転されて、旋回スクロール(400)が回転軸(300)に連動されて旋回運動されて、このような旋回スクロール(400)の旋回運動により冷媒は圧縮室(C)で吸入されて圧縮され、圧縮室(C)から吐出される一連の過程が繰り返される。
しかしながら、このような従来のスクロール圧縮機においては、圧縮室(C)から吐出される冷媒吐出量が決まっており、圧縮機の性能及び効率向上に限界があるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させて圧縮機の性能及び効率を向上させることのできるスクロール圧縮機を提供することをその目的とする。
本発明が実現したい技術的課題は前述した技術的課題に制限されず、言及されない他の技術的課題は下記から、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に分かるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ハウジングと、ハウジング内に備えられるモーターと、モーターにより回転される回転軸と、回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール及び旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールを含み、ハウジングは、回転軸が貫通するセンターハウジングセンターハウジングと共にモーターが収容されるモーター収容空間を形成するフロントハウジング及び圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、固定スクロールとリアハウジングとの間には、ハウジングの外部から流入する冷媒を圧縮室に案内する注入流路を開閉するための注入バルブ及び漏洩防止手段を含む注入バルブ組立体が備えられることを特徴とする。
【0006】
注入バルブ組立体は、リアハウジングに結合されて、冷媒が流入する流入口を有するカバープレート、及びカバープレートに結合されて、流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレートをさらに含み、漏洩防止手段は、カバープレートとバルブプレートとの間に介在されるガスケットリテーナーを含み、注入バルブは、カバープレートとガスケットリテーナーとの間に介在されて流入口を開閉できることを特徴とする。
【0007】
ガスケットリテーナーは、カバープレートに対向されるガスケットリテーナー上面に突出形成されるビード部を含み、ビード部は注入バルブを囲むことことを特徴とする。
吸入冷媒はフロントハウジングを通じて流入し圧縮室に導入されて、ハウジングの外部に吐出された冷媒の中の少なくとも一部が中間圧の状態でハウジングの外部から流入して注入流路を通じて圧縮室に流入することを特徴とする。
ガスケットリテーナーと注入バルブはカバープレートとバルブプレートとの間で圧搾されることを特徴とする。
【0008】
ガスケットリテーナーと注入バルブがカバープレートとバルブプレートとの間に組み立てられる時、ビード部はカバープレートによりバルブプレートに向かう方向に押さえられて、注入バルブと向き合うガスケットリテーナーの内側部分は注入バルブに向かう方向に曲がることを特徴とする。
ビード部が押さえられる前注入バルブとカバープレートとの間の間隙より、ビード部が押さえられた後、注入バルブとカバープレートとの間の間隙がさらに小さく形成されることを特徴とする。
ビード部の突出した高さは注入バルブの厚さより大きいか、同じである。
ガスケットリテーナーは、注入バルブが開かれる方向に傾斜加工される1つ以上のリテーナー部をさらに含むことを特徴とする。
ガスケットリテーナーは、締結ボルトが挿入されるようにビード部の半径方向外側に貫通形成される第3締結ホール及び位置決定ピンが挿入されるようにビード部の半径方向内側に貫通形成される第3位置決定ホールをさらに含むことを特徴とする。
【0009】
バルブプレートは、1つ以上のリテーナー部に対応して、流入口を通じて流入する冷媒が収容される1つ以上の傾斜空間を含むことを特徴とする。
固定スクロールは流出口で流出する冷媒を圧縮室に案内する注入口を含み、流出口は傾斜空間の冷媒を注入口に案内できることを特徴とする。
流入口は、第1流入口及び第1流入口と独立的に形成される第2流入口を含み、注入バルブは、第1流入口を開閉する第1頭部、第1頭部を支持する第1脚部、第2流入口を開閉する第2頭部、第2頭部を支持する第2脚部、及び第1脚部と第2脚部を連結する連結部を含み、リテーナー部は、注入バルブが流入口を開放する時、第1頭部と第1脚部を支持するための第1リテーナー部及び第2頭部と第2脚部を支持するための第2リテーナー部を含み、傾斜空間は、第1流入口を通じて流入する冷媒を収容する第1傾斜空間及び第2流入口を通じて流入する冷媒を収容する第2傾斜空間を含むことを特徴とする。
第1脚部と連結部との間の連結部位と第2脚部と連結部との間の連結部位は互いに反対側に形成されることを特徴とする。
【0010】
流入口は、第1流入口及び第1流入口と独立的に形成される第2流入口を含み、注入バルブは、第1流入口を開閉する第1頭部、第1頭部を支持する第1脚部、第2流入口を開閉する第2頭部、第2頭部を支持する第2脚部及び第1脚部と第2脚部を連結する連結部を含み、リテーナー部は、注入バルブが流入口を開放する時、第1頭部と第1脚部及び第2頭部と第2脚部を支持するための1つのリテーナー部からなり、傾斜空間は、第1流入口と第2流入口を通じて流入する冷媒を収容する1つの傾斜空間からなることを特徴とする。
【0011】
第1脚部と連結部との間の連結部位と第2脚部と連結部との間の連結部位は互いに同じ側に形成されることを特徴とする。
リテーナー部はガスケットリテーナーの本体で切開部により傾斜加工されることを特徴とする。
ガスケットリテーナーは、リテーナー部とこれと向き合うガスケットリテーナーの本体を連結する1つ以上の翼部をさらに含むことを特徴とする。
リテーナー部はガスケットリテーナーの本体で切開部により傾斜加工されて、ガスケットリテーナーは、リテーナー部の両側とこれとそれぞれ向き合うガスケットリテーナーの本体を連結する一対の翼部をさらに含むことを特徴とする。
一対の翼部の一側にはメーン流動ホールが形成されて、他側には一字形の一対の補助流動ホールが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクロール圧縮機の圧縮室(C)で吸入圧の冷媒だけではなく中間圧の冷媒が導入されることによって圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることができ、圧縮機の性能及び効率を向上させることができる。
また、注入バルブ組立体がハウジングの外部から圧縮室に冷媒を案内する注入流路を開閉する注入バルブと漏洩防止手段を含むことによって、注入バルブ組立体による冷媒の漏洩を防止できる。
具体的に、ガスケットリテーナーのビード部がカバープレートに向かって突出形成されることによって、ガスケットリテーナーと注入バルブがカバープレートとバルブプレートとの間に組み立てられる時、ビード部はカバープレートによりバルブプレートに向かう方向に押さえられるようになり、注入バルブと向き合うガスケットリテーナーの内側部分はビード部が押さえられる方向と反対方向に、即ち、注入バルブに向かう方向に曲がることができる。それにより、ガスケットリテーナーの内側部分が注入バルブを密着させてシーリング(sealing)することができるので、冷媒の漏洩が防止できる。
本発明の効果は前述した効果に限定されるのではなく、本発明の詳細な説明または特許請求範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むことと理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のスクロール圧縮機を図示する断面図である。
図2】本発明の一実施例によるスクロール圧縮機を図示する断面図である。
図3図2のスクロール圧縮機でリアハウジング側を他の方向で図示する断面図である。
図4図2のスクロール圧縮機でリアハウジングを分離して図示する一部断面斜視図である。
図5図2のスクロール圧縮機でリアハウジングを分離して図示する正面図である。
図6図5の背面図である。
図7図2のスクロール圧縮機でリアハウジングとリアハウジングに収容される部品を図示する分解斜視図である。
図8図7の部品の中の固定スクロール及び吐出バルブを図示する正面図である。
図9図7の部品の中の注入バルブ組立体を図示する分解斜視図である。
図10図9の注入バルブ組立体が締結前に積層された状態を図示する断面図である。
図11図9の注入バルブ組立体でカバープレートの背面図である。
図12図9の注入バルブ組立体でガスケットリテーナーの背面図である。
図13図7の部品の中の固定スクロール、吐出バルブ、バルブプレート、ガスケットリテーナー及び注入バルブを図示する正面図である。
図14図9の注入バルブ組立体でバルブプレートの背面図である。
図15図8のI-I線に沿って切開した斜視図である。
図16】本発明の他の実施例による注入バルブ組立体を図示する分解斜視図である。
図17図2のスクロール圧縮機で固定スクロールの背面図である。
図18】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図19】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図20】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図21】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図22】注入口の開閉時期を図示する図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のスクロール圧縮機について図面を参照して説明する。
また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語として、これは使用者、運用者の意図または慣例によって変わることができ、下の実施例は本発明の権利範囲を限定するのではなく、本発明の請求範囲に提示された構成要素の例示的な事項に過ぎない。
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えることができるということを意味する。
【0015】
まず、図2乃至6及び17乃至22を参考として、本発明のスクロール圧縮機を説明する。
図2に示すように、本発明のスクロール圧縮機は、ハウジング(100)、ハウジング(100)内に備えられるモーター(200)、モーター(200)により回転される回転軸(300)、回転軸(300)に連動されて旋回運動される旋回スクロール(400)、旋回スクロール(400)と共に圧縮室(C)を形成する固定スクロール(500)及び固定スクロール(500)の一面上に配置されて圧縮室(C)で圧縮された冷媒が吐出される固定スクロールの吐出口(512)を開閉する吐出バルブ(600)を含むことができる。
そして、本実施例による圧縮機は、ハウジング(100)の外部(スクロール圧縮機、凝縮機、膨脹バルブ及び蒸発器を含む蒸気圧縮式冷凍サイクルで、例えば凝縮機の下流)から中間圧の冷媒を圧縮室(C)に案内する注入流路を形成して注入流路を開閉するための注入バルブ組立体(700)をさらに含むことができる。
ここで、注入流路は後述する導入ポート(133)、導入室(I)、流入口(712)、傾斜空間(734)、流出口(736)及び注入口(514)を含み、リアハウジング(130)から固定スクロール(500)まで延長形成されて、注入バルブ組立体(700)は流入口(712)、傾斜空間(734)及び流出口(736)を含み、リアハウジング(130)と固定スクロール(500)との間に介在できる。
【0016】
具体的に、ハウジング(100)は、回転軸(300)が貫通するセンターハウジング(110)、センターハウジング(110)と共にモーター(200)が収容されるモーター収容空間(S1)を形成するフロントハウジング(120)及びセンターハウジング(110)と共に旋回スクロール(400)と固定スクロール(500)が収容されるスクロール収容空間(S2)を形成するリアハウジング(130)を含むことができる。
センターハウジング(110)は、モーター収容空間(S1)とスクロール収容空間(S2)を区画して旋回スクロール(400)及び固定スクロール(500)を支持するセンター鏡板(112)及びセンター鏡板(112)の外周部からフロントハウジング(120)側に突出するセンター側板(114)を含むことができる。
センター鏡板(112)は略円板形に形成されて、センター鏡板(112)の中心部には回転軸(300)の一端部が貫通する軸受け孔(112a)及び旋回スクロール(400)を固定スクロール(500)側に加圧する背圧室(112b)が形成されることができる。ここで、回転軸(300)の一端部には回転軸(300)の回転運動を旋回スクロール(400)の旋回運動に転換させる偏心ブッシュ(310)が形成されて、背圧室(112b)は偏心ブッシュ(310)が回転できる空間を提供する。そして、センター鏡板(112)の外周部には後述するようにモーター収容空間(S1)に流入する冷媒をスクロール収容空間(S2)に案内する吸入流路(図示しない)が形成されることができる。
【0017】
フロントハウジング(120)は、センター鏡板(112)に対向されて回転軸(300)の他端部を支持するフロント鏡板(122)及びフロント鏡板(122)の外周部から突出してセンター側板(114)と締結されてモーター(200)を支持するフロント側板(124)を含むことができる。ここで、センター鏡板(112)、センター側板(114)、フロント鏡板(122)及びフロント側板(124)がモーター収容空間(S1)を形成できる。そして、フロント側板(124)には外部から吸入圧の冷媒をモーター収容空間(S1)に案内する吸入ポート(図示しない)が形成されることができる。
【0018】
図3乃至6に示すように、リアハウジング(130)は、センター鏡板(112)に対向されるリア鏡板(132)、リア鏡板(132)から突出してリアハウジング(130)の円周方向上最外郭側に位置する第1環形壁(134)、リア鏡板(132)から突出して第1環形壁(134)に収容される第2環形壁(136)及びリア鏡板(132)から突出して第2環形壁(136)に収容される第3環形壁(138)を含み、第1環形壁(134)、第2環形壁(136)及び第3環形壁(138)は互いに相違する高さを有するように形成されることができる。
第1環形壁(134)はセンター鏡板(112)の外周部と略同等水準の直径を有する環形に形成されてセンター鏡板(112)の外周部に締結されて、スクロール収容空間(S2)を形成できる。
第2環形壁(136)は第1環形壁(134)より小さな直径を有する環形に形成されて、後述する固定スクロール(500)の固定鏡板(510)の外周部に接触されて、圧縮室(C)から吐出される冷媒を収容する吐出室(D)を形成できる。 ここで、第2環形壁(136)は固定鏡板(510)に接触されるように形成されることによって、リアハウジング(130)がセンターハウジング(110)に締結される時、固定スクロール(500)をセンターハウジング(110)側に加圧して固定スクロール(500)とセンターハウジング(110)との間の締結力を向上させて、固定スクロール(500)とセンターハウジング(110)との間の漏洩を防止できる。
第3環形壁(138)は第2環形壁(136)より小さな直径を有する環形に形成されて、固定鏡板(510)から離隔されて、後述する注入バルブ組立体(700)のカバープレート(710)により覆蓋されて、後述する導入ポート(133)を通じて導入される冷媒を収容する導入室(I)を形成できる。
リア鏡板(132)には吐出室(D)の冷媒をハウジング(100)の外部に案内する吐出ポート(131)が形成されるが、吐出ポート(131)はリア鏡板(132)の中心部からリア鏡板(132)の外周部一側にリア鏡板(132)の半径方向に延長形成されることができる。そして、リア鏡板(132)には吐出室(D)の冷媒を吐出ポート(131)に案内する吐出ポート入口(131a)が形成されることができる。
【0019】
一方、吐出ポート(131)の内部には冷媒からオイルを分離させる管形のオイルセパレーター(図示しない)が備えられて、オイルセパレーターは吐出ポート入口(131a)に流入した冷媒がオイルセパレーターの外周面と吐出ポート(131)の内周面間空間に沿ってリア鏡板(132)の中心側に流動された後、転向されてオイルセパレーターの内周部に沿ってリア鏡板(132)の外周部一側に吐出される過程でオイルと分離されるように形成されることができる。
また、リア鏡板(132)にはハウジング(100)の外部から中間圧の冷媒が導入される導入ポート(133)も形成されるが、導入ポート(133)はリア鏡板(132)の外周部他側からリア鏡板(132)の中心部にリア鏡板(132)の半径方向に延長形成されて、導入室(I)と連通されることができる。
このように、リアハウジング(130)に吐出室(D)、吐出ポート(131)、導入ポート(133)及び導入室(I)が形成される時、導入室(I)の少なくとも一部は吐出室(D)に収容されて、吐出ポート(131)の少なくとも一部は導入室(I)に収容されて、導入ポート(133)の少なくとも一部は吐出室(D)に収容されるように形成されることができる。
【0020】
具体的に、第3環形壁(138)が第2環形壁(136)に収容されるように形成されることによって、そして第3環形壁(138)が固定鏡板(510)と離隔されて注入バルブ組立体(700)により覆蓋されることによって、導入室(I)の少なくとも一部が吐出室(D)に収容されることができる。即ち、導入室(I)の側部が第3環形壁(138)を挟んでリアハウジング(130)の半径方向に吐出室(D)と重畳されるように形成されて、導入室(I)の先端部が注入バルブ組立体(700)を挟んでリアハウジング(130)の軸方向に吐出室(D)と重畳されるように形成されることができる。
また、吐出ポート(131)がリア鏡板(132)の中心部からリア鏡板(132)の外周部一側にリア鏡板(132)の半径方向に延長形成されることによって、吐出ポート(131)の少なくとも一部が導入室(I)に収容されることができる。即ち、吐出ポート(131)の少なくとも一部が吐出ポート(131)の壁部を挟んでリアハウジング(130)の軸方向に導入室(I)と重畳されるように形成されることができる。
また、導入ポート(133)がリア鏡板(132)の外周部他側からリア鏡板(132)の中心部にリア鏡板(132)の半径方向に延長形成されることによって、導入ポート(133)の少なくとも一部が吐出室(D)に収容されることができる。即ち、導入ポート(133)の少なくとも一部が導入ポート(133)の壁部を挟んでリアハウジング(130)の軸方向に吐出室(D)と重畳されるように形成されることができる。
一方、吐出ポート(131)と導入ポート(133)は吐出ポート(131)の冷媒と導入ポート(133)の冷媒が互いにクロスフロー方向に流動されるように形成されることができる。即ち、リアハウジング(130)の中心を基準に吐出ポート(131)の出口と導入ポート(133)の入口との間の角度が0゜以上90゜未満に形成されることができる。
そして、第3環形壁(138)には、注入バルブ組立体(700)を第3環形壁(138)に締結させるための締結ボルト(770)が挿入される締結溝(138a)及び後述する注入バルブ組立体(700)のカバープレート(710)、注入バルブ(720)、ガスケットリテーナー(790)及びバルブプレート(730)を事前に決定された位置に整列させるための位置決定ピン(780)が挿入される第1位置決定溝(138b)が形成されることができる。
【0021】
図2に示すように、モーター(200)は、フロント側板(124)に固定になる固定子(210)及び固定子(210)の内部で固定子(210)との相互作用で回転される回転子(220)を含むことができる。
回転軸(300)は、回転子(220)に締結されるものの、回転子(220)の中心部を貫通して、回転軸(300)の一端部がセンター鏡板(112)の軸受け孔(112a)を貫通して回転軸(300)の他端部がフロント鏡板(122)に支持されることができる。
旋回スクロール(400)はセンター鏡板(112)と固定スクロール(500)との間に介在されて、円板形の旋回鏡板(410)、旋回鏡板(410)の中心部から固定スクロール(500)側に突出する旋回ラップ(420)及び旋回鏡板(410)の中心部から旋回ラップ(420)の反対側に突出して偏心ブッシュ(310)と締結されるボス部(430)を含むことができる。
【0022】
図3及び17に示すように、固定スクロール(500)は、円板形の固定鏡板(510)、固定鏡板(510)の中心部から突出して旋回ラップ(420)と噛み合う固定ラップ(520)及び固定鏡板(510)の外周部から突出してセンター鏡板(112)に締結される固定側板(530)を含むことができる。
固定鏡板(510)は、圧縮室(C)の冷媒を吐出室(D)に吐出する吐出口(512)及び注入バルブ組立体(700)から吐出される冷媒を圧縮室(C)に案内する注入口(514)を含むことができる。吐出口(512)は冷媒が過圧縮されることを防止するように複数に形成されて、複数の吐出口(512)は固定鏡板(510)と注入バルブ組立体(700)との間に介在される吐出バルブ(600)により開閉されることができる。
具体的に、圧縮室(C)は、図18乃至21に示すように、スクロール収容空間(S2)の半径方向上遠心側に位置して冷媒の圧力が第1圧力範囲である第1圧縮室(C1)、第1圧縮室(C1)よりスクロール収容空間(S2)の半径方向上求心側に位置して冷媒の圧力が第1圧力範囲より高い第2圧力範囲である第2圧縮室(C2)及び第2圧縮室(C2)よりスクロール収容空間(S2)の半径方向上求心側に位置して冷媒の圧力が第2圧力範囲より高い第3圧力範囲である第3圧縮室(C3)を含む。
第1圧縮室(C1)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第1外側圧縮室(C11)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第1内側圧縮室(C12)を含むことができる。
【0023】
第2圧縮室(C2)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第2外側圧縮室(C21)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第2内側圧縮室(C22)を含むことができる。
の時、吐出口(512)は、第3圧縮室(C3)の冷媒を吐出するように固定鏡板(510)の中心側に形成されるメーン吐出口(512a)、第2外側圧縮室(C21)の冷媒を吐出するようにメーン吐出口(512a)を基準に固定鏡板(510)の半径方向外側に形成される第1サブ吐出口(512b)及び第2内側圧縮室(C22)の冷媒を吐出するようにメーン吐出口(512a)を基準に固定鏡板(510)の半径方向外側に形成されるものの、メーン吐出口(512a)を基準に第1サブ吐出口(512b)の反対側に形成される第2サブ吐出口(512c)を含むことができる。
【0024】
また、注入口(514)は注入バルブ組立体(700)から吐出される冷媒を2つ一対の第1圧縮室(C1)に全て供給するように複数に形成されることができる。即ち、注入口(514)は第1外側圧縮室(C11)と連通可能な第1注入口(514a)及び第1内側圧縮室(C12)と連通可能な第2注入口(514b)を含み、第1注入口(514a)と第2注入口(514b)は第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)をつなぐ仮想の線を基準に互いに反対側に形成されることができる。しかしながら、これに限定されるのではなく、注入口(514)は第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)をつなぐ仮想の線を基準に同じ側に複数に形成されることができる。
注入口(514)は圧縮室(C)に注入される冷媒の流量増加のために長孔に形成されることができる。そして、注入口(514)は、冷媒が注入口(514)を通過する過程で圧力損失及び流量損失が発生しないように、断面形状が一定に形成されることができる。即ち、注入口(514)の内径は注入口(514)の軸方向位置と関係なく事前に決定された値に形成されることができる。
ここで、注入口(514)は、第1外側圧縮室(C11)第1内側圧縮室(C12)との間の圧力不均衡が発生しないように、第1外側圧縮室(C11)及び第1内側圧縮室(C12)と同時に連通されるように形成されることができる。即ち、図22に示すように、第1注入口(514a)と第1外側圧縮室(C11)との間の連通が開始される時、第2注入口(514b)と第1内側圧縮室(C12)との間の連通が開始されるように形成されることができる。
【0025】
また、好ましくは、注入口(514)は第1外側圧縮室(C11)及び第1内側圧縮室(C12)と同時に遮蔽されるように形成されることができる。即ち、図22に示すように、第1注入口(514a)と第1外側圧縮室(C11)との間の連通が終了される時、第2注入口(514b)と第1内側圧縮室(C12)との間の連通が終了されるように形成されることができる。
固定ラップ(520)は固定スクロール(500)の中心側から外周部側に、例えば代数螺旋形に延長形成されることができる。固定側板(530)は固定鏡板(510)の外周部に沿って延びる環形に形成されて、一側に固定ラップ(520)と連結される固定ラップ初入部(532)を含むことができる。
固定ラップ初入部(532)の軸方向高さは、圧縮室(C)の冷媒が固定ラップ初入部(532)を通じて漏洩されないように、固定ラップ(520)の軸方向高さと同等水準に形成されることができる。また、固定ラップ初入部(532)の半径方向厚さは、固定ラップ(520)の支持剛性が向上するように、固定ラップ(520)の半径方向厚さより厚く形成されることができる。この時、固定スクロール(500)の重量及び原価削減のために、固定側板(530)は固定ラップ初入部(532)を除いた部位の半径方向厚さが固定ラップ初入部(532)の半径方向厚さより薄く形成されることができる。
【0026】
次に、図7及び8を参考して、吐出バルブ(600)に関して説明する。吐出バルブ(600)は固定鏡板(510)と注入バルブ組立体(700)との間に介在されて、吐出口(512)と吐出室(D)との間を連通及び遮蔽させるためである。
吐出バルブ(600)は、メーン吐出口(512a)を開閉するメーン開閉部(610)、第1サブ吐出口(512b)を開閉する第1サブ開閉部(630)、第2サブ吐出口(512c)を開閉する第2サブ開閉部(650)、固定鏡板(510)に締結される締結部(670)、メーン開閉部(610)から締結部(670)まで延びるメーン支持部(620)、第1サブ開閉部(630)から締結部(670)まで延びる第1サブ支持部(640)及び第2サブ開閉部(650)から締結部(670)まで延びる第2サブ支持部(660)を含むことができる。
吐出バルブ(600)は、吐出バルブ(600)による原価及び重量上昇が最小化するように、メーン開閉部(610)、第1サブ開閉部(630)、第2サブ開閉部(650)、締結部(670)、メーン支持部(620)、第1サブ支持部(640)及び第2サブ支持部(660)が一体に形成されることができる。また、締結部(670)の円周方向幅が第1サブ開閉部(630)と第2サブ開閉部(650)との間の距離より小さく形成され、1つの締結部材(680)により締結部(670)が固定鏡板(510)に締結されることができる。ここで、吐出バルブ(600)が1つの締結部材(680)により固定鏡板(510)に締結されても充分の支持を受けることができるように、1つの締結部材(680)は相対的に厚さと高さが大きい固定ラップ初入部(532)側に締結されることが好ましい。
【0027】
実施例によって、第1サブ支持部(640)と第2サブ支持部(660)の中の少なくとも1つが注入口(514)と干渉されることを防止するために、第1サブ支持部(640)と第2サブ支持部(660)の中の少なくとも1つはメーン支持部(620)側に凹んで形成される回避部を含むことができる。
ここで、第3圧縮室(C3)の圧力が吐出圧水準に達すればメーン開閉部(610)がメーン吐出口(512a)を開放する。この時、第2外側圧縮室(C21)の圧力が第2圧力範囲を超過する場合、第1サブ開閉部(630)が第1サブ吐出口(512b)を開放して第2外側圧縮室(C21)の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に低くし、第2内側圧縮室(C22)の圧力が第2圧力範囲を超過する場合、第2サブ開閉部(650)が第2サブ吐出口(512c)を開放して第2内側圧縮室(C22)の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に低くし、メーン吐出口(512a)から吐出される冷媒の圧力が吐出圧より過度に高くなることを防止できる。即ち、過圧縮が防止されることができる。
一方、第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)は第2外側圧縮室(C21)と第2内側圧縮室(C22)との間の圧力不均衡が発生しないように、第2外側圧縮室(C21)及び第2内側圧縮室(C22)と同時に連通されるように形成されることができる。即ち、第1サブ吐出口(512b)と第2外側圧縮室(C21)との間の連通が開始される時、第2サブ吐出口(512c)と第2内側圧縮室(C22)との間の連通が開始されるように形成されることができる。
そして、好ましくは、第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)は第2外側圧縮室(C21)及び第2内側圧縮室(C22)と同時に遮蔽されるように形成されることができる。即ち、第1サブ吐出口(512b)と第2外側圧縮室(C21)との間の連通が終了される時、第2サブ吐出口(512c)と第2内側圧縮室(C22)との間の連通が終了されるように形成されることができる。
【0028】
次に、図7及び9乃至14を参考して、注入バルブ組立体(700)に関して説明する。注入バルブ組立体(700)は導入室(I)と注入口(514)との間を連通及び遮蔽させるように第3環形壁(138)の先端面に形成されることができる。注入バルブ組立体(700)は注入流路を開閉する注入バルブと共に漏洩防止手段を含むことによって、注入バルブ組立体による冷媒の漏洩を防止できる。
具体的に、注入バルブ組立体(700)は、第3環形壁(138)の先端面に締結されて導入室(I)を覆蓋するカバープレート(710)、カバープレート(710)を基準に導入室(I)の反対側でカバープレート(710)に締結されるバルブプレート(730)、漏洩防止手段としてカバープレート(710)とバルブプレート(730)との間に介在されるガスケットリテーナー(790)及びカバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)との間に介在される注入バルブ(720)を含むことができる。
カバープレート(710)は、図9及び11に示すように、第3環形壁(138)に対向されるカバープレート上面(710a)及びガスケットリテーナー(790)に対向されるカバープレート下面(710b)を含むことができる。
【0029】
また、カバープレート(710)は、導入室(I)と後述する傾斜空間(734)を連通させる流入口(712)、締結溝(138a)と連通されて締結ボルト(770)により貫通される第2締結ホール(714)及び第1位置決定溝(138b)に連通されて位置決定ピン(780)により貫通される第1位置決定ホール(716)をさらに含むことができる。
流入口(712)はカバープレート上面(710a)からカバープレート下面(710b)まで貫通形成されて、本実施例ではカバープレート(710)の対角線方向に2つの流入口(712)が形成されている。即ち、流入口(712)は、導入室(I)の一側と連通される第1流入口(712a)及び第1流入口(712a)と独立的に形成されて導入室(I)の他側と連通される第2流入口(712b)を含む。この時、第1流入口(712a)と第2流入口(712b)はバルブリフティングフォース(valve lifting force)及び冷媒流入流量最大化のためにそれぞれ長孔に形成されることが好ましい。
第2締結ホール(714)はカバープレート(710)の外周部に形成されて、カバープレート上面(710a)からカバープレート下面(710b)まで貫通形成されることができる。また、第1位置決定ホール(716)はカバープレート(710)の対角線方向に、好ましくは流入口(712)が形成される対角線と交差する対角線方向に形成されて、カバープレート上面(710a)からカバープレート下面(710b)まで貫通形成されることができる。
【0030】
注入バルブ(720)は、図9に示すように、第1流入口(712a)を開閉する第1頭部(722a)、第1頭部(722a)を支持する第1脚部(724a)、第2流入口(712b)を開閉する第2頭部(722b)、第2頭部(722b)を支持する第2脚部(724b)及び第1脚部(724a)と第2脚部(724b)を連結する連結部(726)を含むことができる。ここで、第1頭部(722a)、第1脚部(724a)、第2頭部(722b)、第2脚部(724b)及び連結部(726)は部品数、大きさ、原価及び重量減少のために一体に形成されることが好ましい。
第1脚部(724a)と第2脚部(724b)は互いに平行するように形成されて、第1脚部(724a)と連結部(726)との間の連結部位と第2脚部(724b)と連結部(726)との間の連結部位が互いに反対側に形成されることがコンパック化の面で好ましい。即ち、第1脚部(724a)と第2脚部(724b)はそれぞれ連結部(726)の両端に連結される。
また、連結部(726)は第1位置決定ホール(716)に連通されて位置決定ピン(780)により貫通される第2位置決定ホール(726a)を含むことができる。本実施例で第2位置決定ホール(726a)は連結部(726)の両端にそれぞれ形成されているが、これに限定されるのではない。
【0031】
ここで、注入バルブ(720)は、注入バルブ(720)を固定させるための別途の締結部材なく、カバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)との間で圧搾されることによって固定されて、これは下でさらに詳細に説明する。
ガスケットリテーナー(790)は、図9及び12に示すように、カバープレート(710)及び注入バルブ(720)に対向されるガスケットリテーナー上面(790a)及びガスケットリテーナー上面(790a)の背面をなしながら固定スクロール(500)に対向されるガスケットリテーナー下面(790b)を含むことができる。
そして、ガスケットリテーナー(790)は、ガスケットリテーナー上面(790a)に周りに沿って突出形成されるビード部(792)及び注入バルブ(720)のリテーナー(retainer)役割をしてガスケットリテーナー(790)上に傾斜加工されるリテーナー部(794)をさらに含むことができる。この時、リテーナー部(794)は注入バルブ(720)が開かれる方向に、即ち、バルブプレート(730)に向かう方向に傾斜加工される。リテーナー部(794)はビード部(792)の内側に形成されている。
リテーナー部(794)は、注入バルブ(720)が流入口(712)を開放する時、即ち、注入バルブ(720)の頭部(722)と脚部(724)がバルブプレート(730)側に移動しながら開かれる時、注入バルブ(720)の頭部(722)と脚部(724)を支持するためのものである。リテーナー部(794)の決まった傾斜によって注入バルブ(720)が最大で開かれる位置を制限することができる。このために、リテーナー部(794)は、第1頭部(722a)と第1脚部(724a)を支持するための第1リテーナー部(794a)と、第2頭部(722b)と第2脚部(724b)を支持するための第2リテーナー部(794b)を含むことができる。
【0032】
ここで、第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)は第1脚部(724a)及び第2脚部(724b)に対応されるように互いに交錯した方向に傾斜するように形成されることが好ましい。即ち、第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)はガスケットリテーナー(790)上で切開部により傾斜加工されるものの、それぞれの切開部が互いに交錯した方向に形成される。
具体的に、本実施例で切開部はU字状に形成されて、ガスケットリテーナー(790)本体で切開部により切開された内側部分がリテーナー部(794)として傾斜加工される。
この時、リテーナー部(794)の両側にはリテーナー部の傾斜角度を維持するために、リテーナー部(794)の両側とこれと向き合うガスケットリテーナー(790)本体を連結する一対の翼部(795)が備えられる。それにより、一対の翼部(795)の一側にはU字状のメーン流動ホール(790c)が形成されることができ、他側には一字形の一対の補助流動ホール(790d)が形成されることができる。
それにより、注入バルブ(720)が開かれればメーン流動ホール(790c)と一対の補助流動ホール(790d)を通じて、カバープレートの流入口(712)に流入する冷媒がバルブプレートの傾斜空間(734)に流動できる。一対の翼部(795)が備えられることによって、リテーナー部(794)の傾斜角度が一定に維持されると同時に、注入バルブ(720)によりリテーナー部(794)が持続的に打撃される場合も耐久性を維持することができる。
【0033】
ガスケットリテーナー(790)はカバープレート(710)とバルブプレート(730)との間で圧搾される。それにより、注入バルブ(720)が共に圧搾されてカバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)との間で位置固定されることができると同時に、ガスケットリテーナー(790)がカバープレート(710)とバルブプレート(730)との間を密封することができる。
特に、ビード部(792)は、図13に示すように、ガスケットリテーナー上面(790a)で注入バルブ(720)を囲むように周りに沿ってカバープレート(710)の方向に突出形成される。それにより、ガスケットリテーナー(790)がカバープレート(710)とバルブプレート(730)との間で圧搾される時、ビード部(792)は注入バルブ(720)の周りをカバープレート(710)に対して密封できる。さらに、ガスケットリテーナー(790)と注入バルブ(720)がカバープレート(710)とバルブプレート(730)との間に組み立てられる時、ビード部(792)はガスケットリテーナーの周りでカバープレート(710)によりバルブプレート(730)に向かう方向に押さえられるようになる。これと共に、注入バルブ(720)と向き合うガスケットリテーナー(790)の内側部分はビード部(792)が押さえられる方向と反対方向に、即ち、注入バルブ(720)に向かう方向に力を受けて曲がるようになる。これは図10に点線矢印で示している。それにより、ガスケットリテーナー(790)の内側部分が注入バルブ(720)を密着させてシーリング(sealing)できるので、冷媒の漏洩が防止されることができる。即ち、ビード部(792)が押さえられる前の注入バルブ(720)とカバープレート(710)との間の間隙よりビード部(792)が押さえられた後の注入バルブ(720)とカバープレート(710)との間の間隙がさらに小さく形成されることができる。
【0034】
このために、ビード部(792)の突出した高さ(h)は注入バルブ(720)の厚さ(t)より大きいか同じに形成されることができる。注入バルブ(720)の厚さよりビード部(792)の突出した高さが小さければビード部(792)が圧搾されて押さえられても注入バルブ(720)の密着が正に行われないためである。また、好ましくは、ビード部(792)はガスケットリテーナー(790)の円周方向に沿って屈曲形状なく直線部が丸く連結された形状からなり、シーリング性が改善されることができる。
このように、ビード部(792)はカバープレート(710)とバルブプレート(730)との間で注入バルブ(720)の位置を固定できるように押す役割を果たすと同時に密封する役割を果たす。
そして、ガスケットリテーナー(790)は、第2締結ホール(714)に連通されるように、そして締結ボルト(770)により貫通されるように、ガスケットリテーナー(790)の外周部でガスケットリテーナー上面(790a)からガスケットリテーナー下面(790b)まで貫通形成される第3締結ホール(796)をさらに含むことができる。また、ガスケットリテーナー(790)は、第2位置決定ホール(726a)に連通されるように、そして位置決定ピン(780)が挿入されるように、ガスケットリテーナー上面(790a)からガスケットリテーナー下面(790b)まで貫通形成される第3位置決定ホール(798)をさらに含むことができる。本実施例で、第3位置決定ホール(798)は第1及び第2リテーナー部(794a、794b)との間に形成されているが、これに限定されるのではない。
【0035】
このように、第3締結ホール(796)はビード部(792)の半径方向外側に形成されて、第3位置決定ホール(798)はビード部(792)の半径方向内側に形成されることによって、ビード部の内側ではガスケットリテーナー(790)を注入バルブ組立体の他の構成と正確に整列して組み立てることができ、ビード部の外側では締結ボルト(770)の締結力によりビード部(792)が圧搾されてシーリングが行われることができる。
バルブプレート(730)は、図9及び14に示すように、ガスケットリテーナー(790)に対向されるバルブプレート上面(730a)及びバルブプレート上面(730a)の背面をなしながら固定スクロール(500)に対向されるバルブプレート下面(730b)を含むことができる。
また、バルブプレート(730)は、バルブプレート下面(730b)から第1注入口(514a)と第2注入口(514b)側に突出する突出部(732)をさらに含むことができる。即ち、バルブプレート(730)は、バルブプレート下面(730b)の一側から第1注入口(514a)側に突出する第1突出部(732a)及びバルブプレート下面(730b)の他側から第2注入口(514b)側に突出する第2突出部(732b)を含むことができる。
この時、第1突出部(732a)は、バルブプレート下面(730b)の一側から第1注入口(514a)側に突出する第1大径部(732aa)及び第1大径部(732aa)から第1注入口(514a)側にさらに突出する第1小径部(732ab)を含むことができる。第1大径部(732aa)の外径は第1小径部(732ab)の外径より大きく形成される。
【0036】
第2突出部(732b)も同様に、バルブプレート下面(730b)の他側から第2注入口(514b)側に突出する第2大径部(732ba)及び第2大径部(732ba)から第2注入口(514b)側にさらに突出する第2小径部(732bb)を含むことができる。第2大径部(732ba)の外径は第2小径部(732bb)の外径より大きく形成される。
また、バルブプレート(730)は、第1流入口(712a)を通じて流入する冷媒を収容する第1傾斜空間(734a)、第2流入口(712b)を通じて流入する冷媒を収容する第2傾斜空間(734b)、第1突出部(732a)に形成されて第1傾斜空間(734a)の冷媒を第1注入口(514a)に案内する第1流出口(736a)及び第2突出部(732b)に形成されて第2傾斜空間(734b)の冷媒を第2注入口(514b)で案内する第2流出口(736b)をさらに含むことができる。
第1傾斜空間(734a)及び第2傾斜空間(734b)はバルブプレート上面(730a)から凹んで形成されることができる。また、第1傾斜空間(734a)と第2傾斜空間(734b)は互いに分離されており、それぞれ第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)が安着されることができるように第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)に対応して互いに交錯した方向に傾斜するように形成されることが好ましい。
【0037】
第1流出口(736a)は第1突出部(732a)の先端面、さらに正確には第1小径部(732ab)の先端面から凹んで形成されて、第1大径部(732aa)まで延長形成されて第1傾斜空間(734a)と連通されることができる。第2流出口(736b)は第2突出部(732b)の先端面、さらに正確には第2小径部(732bb)の先端面から凹んで形成されて、第2大径部(732ba)まで延長形成されて第2傾斜空間(734b)と連通されることができる。
しかしながら、これに限定されるのではなく、第1傾斜空間(734a)と第1流出口(736a)が別途の連結流路に連結されて、第2傾斜空間(734b)と第2流出口(736b)が別途の連結流路に連結できることは言うまでもない。
バルブプレート下面(730b)は、図3に示すように、吐出バルブ(600)が固定鏡板(510)とバルブプレート下面(730b)との間に介在されるように、そして吐出口(512)から吐出される冷媒が吐出室(D)に流動されることができるように、固定鏡板(510)と離隔されるように形成される。
そして、バルブプレート(730)は、第3締結ホール(796)に連通されるように、そして締結ボルト(770)により貫通されるように、バルプレート(730)の外周部でバルブプレート上面(730a)からバルブプレート下面(730b)まで貫通形成される第1締結ホール(739a)をさらに含むことができる。また、バルブプレート(730)は、第3位置決定ホール(798)に連通されるように、そして位置決定ピン(780)が挿入されるように、バルブプレート上面(730a)から凹んで形成される第2位置決定溝(739b)をさらに含むことができる。
【0038】
それにより、位置決定ピン(780)の一端部が第1位置決定ホール(716)を貫通して第1位置決定溝(138b)に挿入されて、位置決定ピン(780)の他端部が第2位置決定ホール(726a)と第3位置決定ホール(798)を貫通して第2位置決定溝(739b)に挿入されることによって、注入バルブ組立体(700)のカバープレート(710)、注入バルブ(720)、ガスケットリテーナー(790)及びバルブプレート(730)が整列されることができる。また、締結ボルト(770)が第1締結ホール(739a)と第3締結ホール(796)及び第2締結ホール(714)を貫通して締結溝(138a)に締結されることによって、注入バルブ組立体(700)がリアハウジング(130)に締結されることができる。
一方、注入バルブ組立体(700)がリアハウジング(130)に締結される時、カバープレート上面(710a)と第3環形壁(138)との間には第1シーリング部材(740)が介在されることができる。カバープレート下面(710b)とバルブプレート上面(730a)との間はガスケットリテーナー(790)により密封されるので別途のシーリング部材を要しない。
一方、固定鏡板(510)は、図3及び15に示すように、注入バルブ組立体(700)から第1注入口(514a)と第2注入口(514b)に冷媒が流動される時、冷媒漏洩が発生しないように小径部挿入溝(516)をさらに含むことができる。即ち、固定鏡板(510)は、第1小径部(732ab)が挿入される第1小径部挿入溝(516a)及び第2小径部(732bb)が挿入される第2小径部挿入溝(516b)をさらに含むことができる。
【0039】
具体的に、固定鏡板(510)は、注入バルブ組立体(700)に対向される固定鏡板上面(510a)及び固定鏡板上面(510a)の背面をなして旋回スクロール(400)に対向される固定鏡板下面(510b)を含むことができる。
第1小径部挿入溝(516a)は固定鏡板上面(510a)から固定鏡板下面(510b)側に凹んで形成されて第1小径部(732ab)が挿入されて、第1注入口(514a)は固定鏡板下面(510b)から固定鏡板上面(510a)側に凹んで形成されて第1小径部挿入溝(516a)と連通されることができる。
第2小径部挿入溝(516b)は固定鏡板上面(510a)から固定鏡板下面(510b)側に凹んで形成されて第2小径部(732bb)が挿入されて、第2注入口(514b)は固定鏡板下面(510b)から固定鏡板上面(510a)側に凹んで形成されて第2小径部挿入溝(516b)と連通されることができる。
ここで、第1小径部(732ab)が第1小径部挿入溝(516a)に挿入可能に、そして冷媒が注入バルブ組立体(700)から第1注入口(514a)に流動される過程で圧力損失及び流量損失が発生しないように、第1小径部(732ab)の内径(第1流出口(736a)の内径)は第1注入口(514a)の内径より大きいか同じに形成されて、第1小径部挿入溝(516a)の内径は第1小径部(732ab)の外径と同等水準に形成されることができる。
また、第2小径部(732bb)が第2小径部挿入溝(516b)に挿入可能に、そして冷媒が注入バルブ組立体(700)から第2注入口(514b)に流動される過程で圧力損失及び流量損失が発生しないように、第2小径部(732bb)の内径(第2流出口(736b)の内径)は第2注入口(514b)の内径より大きいか同じに形成されて、第2小径部挿入溝(516b)の内径は第2小径部(732bb)の外径と同等水準に形成されることができる。
【0040】
一方、第1大径部(732aa)は、第1大径部(732aa)が第1小径部挿入溝(516a)に挿入されないように、第1大径部(732aa)の外径が第1小径部挿入溝(516a)の内径より大きく形成されることができる。これによって、注入バルブ組立体(700)が固定スクロール(500)と締結される時、第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)との間に第3シーリング部材(760)が介在されることができる。第3シーリング部材(760)が第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)との間で圧搾可能に、第3シーリング部材(760)の変形前の厚さは第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)との間mp間隙より大きいか同じに形成されることができる。
そして、第1小径部(732ab)の突出長さ、即ち、第1大径部(732aa)の先端面と第1小径部(732ab)の先端面との間の軸方向長さ、第3シーリング部材(760)の変形前の厚さよりは大きく、第3シーリング部材(760)の変形前の厚さと第1小径部挿入溝(516a)の軸方向深さの合計よりは小さいか同じに形成されることができる。それにより、第1小径部(732ab)の先端面が第1小径部挿入溝(516a)の基底面に接触されず、第3シーリング部材(760)が第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)との間で圧搾可能である。
同様に、第2大径部(732ba)は、第2大径部(732ba)が第2小径部挿入溝(516b)に挿入されないように、第2大径部(732ba)の外径が第2小径部挿入溝(516b)の内径より大きく形成されることができる。これによって、注入バルブ組立体(700)が固定スクロール(500)と締結される時、第2大径部(732ba)の先端面と固定鏡板上面(510a)との間に第3シーリング部材(760)が圧搾可能に介在されることができる。
【0041】
そして、第2小径部(732bb)の突出長さ、即ち、第2大径部(732ba)の先端面と第2小径部(732bb)の先端面との間の軸方向長さ、第3シーリング部材(760)の変形前の厚さよりは大きく、第3シーリング部材(760)の変形前の厚さと第2小径部挿入溝(516b)の軸方向深さの合計よりは小さいか同じに形成されることができる。それにより、第2小径部(732bb)の先端面が第2小径部挿入溝(516b)の基底面に接触されず、第3シーリング部材(760)が第2大径部(732ba)の先端面と固定鏡板上面(510a)との間で圧搾可能である。
一方、固定鏡板(510)には図8に図示されるように、第3グルーブ(518)と第4グルーブ(519)が形成されることができる。
第3グルーブ(518)は吐出バルブ(600)のメーン開閉部(610)と固定鏡板(510)間接触面積を減少させて衝突騷音を減少させるためのもので、そして異物を捕集及び排出させてメーン開閉部(610)と固定鏡板(510)との間に異物が混ざることを防止するためのもので、固定鏡板上面(510a)から凹んでメーン吐出口(512a)の周囲を囲む環形に形成されることができる。第3グルーブ(518)の内周部はメーン開閉部(610)の外周部と軸方向に重畳されるように形成されて、第3グルーブ(518)の外周部はメーン開閉部(610)と軸方向に非重畳されるように形成されることができる。即ち、第3グルーブ(518)の内径はメーン開閉部(610)の外径より小さく形成されて、第3グルーブ(518)の外径はメーン開閉部(610)の外径より大きく形成されることができる。これは、第3グルーブ(518)に捕集された異物が吐出室(D)側に排出されるようにするためである。
【0042】
第4グルーブ(519)は異物を捕集及び排出させて吐出バルブ(600)のメーン支持部(620)、第1サブ支持部(640)及び第2サブ支持部(660)(以下、支持部)と固定鏡板(510)間に異物が混ざることを防止するためのもので、吐出バルブ(600)の支持部に対向される位置で固定鏡板上面(510a)から凹んで形成されることができる。第4グルーブ(519)は長孔形に形成されるものの、第4グルーブ(519)の中心部は吐出バルブ(600)の支持部と軸方向に重畳されるように形成されて、第4グルーブ(519)の両端部は吐出バルブ(600)の支持部と軸方向に非重畳されるように形成されることができる。即ち、第4グルーブ(519)の長軸方向と吐出バルブ(600)の支持部の幅方向が互いに平行して、第4グルーブ(519)の長軸長さが吐出バルブ(600)の支持部の幅より大きく形成されることができる。これは、第4グルーブ(519)に捕集された異物が吐出室(D)側に排出されるようにするためである。
【0043】
以下、本実施例によるスクロール圧縮機の作用効果について説明する。
モーター(200)に電源が印加されれば回転子(220)と共に回転軸(300)が回転して、旋回スクロール(400)が偏心ブッシュ(310)を通じて回転軸(300)から回転力の伝達を受けて旋回運動する。これによって、圧縮室(C)は中心側に向けて持続的に移動しながら体積が減少されることができる。
それにより、圧縮室(C)で吸入された冷媒は圧縮室(C)の移動経路に沿って中心側に移動しながら圧縮されて吐出口(512)を通じて吐出室(D)に吐出されることができ、吐出室(D)に吐出された吐出圧の冷媒は吐出ポート(131)を通じて圧縮機の外部に排出されることができる。
この時、吸入圧の冷媒は吸入ポート(図示しない)、モーター収容空間(S1)、吸入流路(図示しない)及びスクロール収容空間(S2)を通じて圧縮室(C)に流入することができる。
また、本実施例によるスクロール圧縮機は、中間圧の冷媒を圧縮室(C)に案内する注入流路(導入ポート(133)、導入室(I)、注入バルブ組立体(700)及び注入口(514))を含み、吸入圧の冷媒だけではなく中間圧の冷媒も圧縮して吐出できる。即ち、蒸発器を経てハウジング(100)に流入する吸入冷媒はフロントハウジング(120)を通じて流入して圧縮室(C)に導入されて、ハウジング(100)の外部に吐出された冷媒の中の少なくとも一部が蒸発器を経る前に中間圧状態でハウジング(100)の外部から流入して注入流路を通じて(C)圧縮室に流入することができる。それにより、吸入圧の冷媒だけを吸入及び圧縮して吐出する時より冷媒吐出量が増加されることができ、圧縮機の性能及び効率が向上することができる。
【0044】
また、リアハウジング(130)が吐出室(D)及び吐出ポート(131)だけではなく導入ポート(133)及び導入室(I)まで含むことによって、即ち、吐出室(D)、吐出ポート(131)、導入ポート(133)及び導入室(I)を有するリアハウジング(130)が一体に形成されることによって、漏洩可能性が減少し、大きさ、原価及び重量が減少されることができる。
また、導入室(I)の少なくとも一部が吐出室(D)に収容されることによって、注入口(514)に案内される冷媒は第3環形壁(138)と注入バルブ組立体(700)を通じて吐出室(D)の冷媒と熱交換されることができる。即ち、導入室(I)の冷媒及び注入バルブ組立体(700)を通過する冷媒が吐出室(D)の冷媒から熱の伝達を受けて加熱されることができる。これによって、液冷媒が注入口(514)を通じて圧縮室(C)に注入されることが防止されることができる。
また、吐出ポート(131)の少なくとも一部が導入室(I)に収容されることによって、導入室(I)の冷媒は導入室(I)に収容された吐出ポート(131)の壁部を通じて吐出ポート(131)の冷媒と熱交換されることができる。即ち、導入室(I)の冷媒が吐出ポート(131)の冷媒から熱の伝達を受けて加熱されることができる。これによって、液冷媒が注入口(514)を通じて圧縮室(C)に注入されることが防止されることができる。
【0045】
また、導入ポート(133)の少なくとも一部が吐出室(D)に収容されることによって、導入ポート(133)の冷媒は吐出室(D)に収容された導入ポート(133)の壁部を通じて吐出室(D)の冷媒と熱交換されることができる。即ち、導入ポート(133)の冷媒が吐出室(D)の冷媒から熱の伝達を受けて加熱されることができる。これによって、液冷媒が注入口(514)を通じて圧縮室(C)に注入されることが防止されることができる。
また、吐出ポート(131)の冷媒と導入ポート(133)の冷媒が互いにクロスフロー方向に流動されることによって、導入ポート(133)の冷媒は吐出ポート(131)の冷媒と熱交換されることができる。即ち、導入ポート(133)の冷媒が吐出ポート(131)の冷媒から熱の伝達を受けて加熱されることができる。これによって、液冷媒が注入口(514)を通じて圧縮室(C)に注入されることが防止されることができる。
【0046】
本発明のスクロール圧縮機において、注入バルブ組立体の構造は上記の実施例に限定されるのではない。
実施例の場合、注入バルブ組立体(700)は導入室(I)の一側から流入する冷媒を第1注入口(514a)に案内して、これと独立的に導入室(I)の他側から流入する冷媒を第2注入口(514b)に案内するように形成されている。即ち、流入口(712)、注入バルブ(720)の頭部(722)と脚部(724)、リテーナー部(794)及び傾斜空間(734)はそれぞれ2つに形成されている。
この場合、導入室(I)の冷媒が独立的に第1注入口(514a)と第2注入口(514b)に案内されることによって、第1注入口(514a)と第2注入口(514b)に分配される冷媒の流量が互いに均等になることができる。
しかしながら、他の実施例によれば、注入バルブ組立体は導入室(I)から流入する冷媒を1つの傾斜空間で分岐させて第1注入口(514a)及び第2注入口(514b)に案内するように形成されることができる。
具体的に、図16を参考して他の実施例による注入バルブ組立体(1700)をみると、カバープレート(1710)の流入口(1712)及び注入バルブ(1720)の頭部(1722)と脚部(1724)はそれぞれ2つに形成される。但し、で説明したものとは違って、第1流入口(1712a)と第2流入口(1712b)はカバープレート(1710)の一側に並んで形成される。それにより、第1流入口(1712a)を開閉するための第1頭部(1722a)と第1脚部(1724a)、そして第2流入口(1712b)を開閉するための第2頭部(1722b)と第2脚部(1724b)は互いに交錯するように形成されず、同じ方向に並んで形成されることができる。これに限定されるのではないが、本実施例で第1脚部(1724a)と第2脚部(1724b)を連結する連結部(1726)は直線に形成されている。即ち、第1脚部(1724a)と連結部(1726)との間の連結部位と第2脚部(1724b)と連結部(1726)との間の連結部位は互いに同じ側に形成される。
一方、ガスケットリテーナー(1790)のリテーナー部(1794)及びバルブプレート(1730)の傾斜空間(1734)はそれぞれ1つに形成されることができる。これは、注入バルブ(1720)の第1頭部(1722a)と第2頭部(1722b)が全て同じ方向に開かれることができるためである。
【0047】
このように、1つのリテーナー部(1794)が注入バルブ(1720)の第1頭部(1722a)と第1脚部(1724a)、そして第2頭部(1722b)と第2脚部(1724b)を同時に支持することができ、第1流入口(1712a)と第2流入口(1712b)を通じて流入する冷媒は1つの傾斜空間(1734)に集まるようになる。以後、冷媒は1つの傾斜空間(1734)で第1注入口(514a)と第2注入口(514b)にそれぞれ連通される第1流出口(1736a)と第2流出口(1736b)を通じて分配されてそれぞれの注入口に案内されることができる。
この時、カバープレート(1710)の第2締結ホール(1714)及び第1位置決定ホール(1716)、注入バルブ(1720)の第2位置決定ホール(1726a)、ガスケットリテーナー(1790)の第3締結ホール(1796)及び第3位置決定ホール(1798)、バルブプレート(1730)の第1締結ホール(1739a)及び第2位置決定溝(1739b)は図16に図示されるように実施例によって適切に変更されることができる。
一方、前述した実施例の場合、旋回スクロール(400)と固定スクロール(500)がリアハウジング(130)の内部に収容されるように形成されるが、これに限定されるのではない。即ち、固定スクロール(500)はリアハウジング(130)とセンターハウジング(110)との間に介在されながら外部で(に)露出するように形成されて、旋回スクロール(400)は固定スクロール(500)に収容されることもできる。
【0048】
本発明によれば、スクロール圧縮機の圧縮室(C)に吸入圧の冷媒だけではなく中間圧の冷媒が導入されることによって圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることができ、圧縮機の性能及び効率を向上させることができる。
本発明は前述した特定の実施例及び説明に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸することなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変形は本発明の保護範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、スクロール圧縮機に関し、さらに詳細には、固定スクロールと旋回スクロールで冷媒を圧縮できるようにしたスクロール圧縮機に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22