(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】深絞りプロセスで加工片と深絞りツールとの間の摩擦を操作するように構成されたデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/20 20060101AFI20240215BHJP
B21D 21/00 20060101ALI20240215BHJP
B21J 3/00 20060101ALI20240215BHJP
B21J 13/02 20060101ALI20240215BHJP
B30B 15/00 20060101ALI20240215BHJP
B30B 1/32 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B21D22/20 A
B21D22/20 J
B21D21/00 A
B21J3/00
B21J13/02 Z
B30B15/00 F
B30B1/32 G
(21)【出願番号】P 2022557194
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 US2021023399
(87)【国際公開番号】W WO2021194924
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】キーファー,ウィンフリード ウィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】マルピカ,フリオ
(72)【発明者】
【氏名】ノブレガ,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジェソク
(72)【発明者】
【氏名】ティムズ,コートニー
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-288483(JP,A)
【文献】特開2002-192250(JP,A)
【文献】特開2007-253219(JP,A)
【文献】特開2005-193293(JP,A)
【文献】特開2008-260042(JP,A)
【文献】特開2014-144470(JP,A)
【文献】特開平11-300423(JP,A)
【文献】特開平02-160124(JP,A)
【文献】特開昭64-062224(JP,A)
【文献】特許第5950374(JP,B1)
【文献】国際公開第2015/025769(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/20 - 22/28
B21D 21/00
B21D 51/18
B21D 51/26
B30B 1/32
B30B 15/00
B21J 3/00
B21J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製品を製造する方法であって、
板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤を塗布することと、
前記板金ブランクのダイ側に第2の潤滑剤を塗布することと、
パンチ及びダイを使用して前記板金ブランクを絞り加工し、前記板金ブランクの前記パンチ側と前記
パンチとの間の第1の摩擦係数、または前記板金ブランクの前記ダイ側と前記ダイとの間の第2の摩擦係数の一方または両方を制御しながら、前記板金ブランクを金属製品に成形することであって、前記第1の摩擦係数は前記第2の摩擦係数よりも大きくなる、前記成形することと、
前記金属製品と前記パンチとの間の第3の摩擦係数が前記第1の摩擦係数未満になるように制御しながら、前記金属製品を前記ダイから排出することと、
を含
み、
前記第1の摩擦係数を制御することは、第1の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加すること、または前記第1の電流を前記第2の潤滑剤を介して印加することを含み、
前記第3の摩擦係数を制御することは、第2の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1の電流は0.01mA~12Aの大きさを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の電流は0.01mA~12Aの大きさを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の電流または前記第2の電流は、両方ではないが、0Aの大きさを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
0.05V~6Vの電圧を使用して前記第1の電流を印加する、または
0.05V~6Vの電圧を使用して前記第2の電流を印加する、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電流は、前記パンチと前記ダイとの間に、もしくは前記パンチと前記板金ブランクとの間に流れる、または、
前記第2の電流は、前記パンチと前記ダイとの間に、もしくは前記パンチと前記金属製品との間に流れる、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の電流は、前記パンチから前記ダイに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記パンチから前記板金ブランクに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記板金ブランクから前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記パンチから前記ダイに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記パンチに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記板金ブランクに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、または前記板金ブランクから前記ダイに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の電流は、前記パンチから前記ダイに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記パンチから前記金属製品に少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、または前記金属製品から前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の潤滑剤及び前記第2の潤滑剤は異なる潤滑剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の潤滑剤及び前記第2の潤滑剤は同じ潤滑剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の潤滑剤はイオン液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の潤滑剤は、さらに、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、合成エステル、ポリオールエステル、ポリオール系潤滑剤、ポリアルファオレフィン、ポリエチレングリコール、グラマーワックス、流動パラフィン、合成パラフィン、灯油、鉱油、白色ワセリン、ヤシ油、天然ワックス、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油、蜜ろう、ポリイソブチレン、ポリエチレングリコールジオレエート、脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、非イオン性界面活性剤、アミン、モルホリン、ジエチルアミノエタノールアミン、または水の1つ以上を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン液体は、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムカチオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、リン酸アニオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(オキサレート)ボレートアニオン、パーフルオロアルキルホスフェートアニオン、1-n-3-メチルイミダゾリウム、1-n-2,3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、[C
4C
1IM][PF
6]、または[C
2C
1IM][BF
4]を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の潤滑剤は、イオン液体、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、または導電性潤滑剤のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の潤滑剤を塗布することは、前記板金ブランクの前記パンチ側に前記第1の潤滑剤の装填量を0.1g/m
2~1g/m
2に設定することを含む、または、
前記第2の潤滑剤を塗布することは、前記板金ブランクの前記ダイ側に前記第2の潤滑剤の装填量を0.1g/m
2~1g/m
2に設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の摩擦係数は、前記板金ブランクと前記パンチとの間に前記第1の潤滑剤を使用して標準摩擦係数0.02~0.27に対応する、または、
前記第3の摩擦係数は、前記金属製品と前記パンチとの間に前記第1の潤滑剤を使用して標準摩擦係数0.02~0.27に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の潤滑剤は絞り加工中に2.5mPas~190mPasの粘度を示す、または、
前記第1の潤滑剤は排出中に2.5mPas~190mPasの粘度を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記板金ブランクはアルミニウム合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記板金ブランクは、3xxxシリーズのアルミニウム合金、AA3003合金、AA3004合金、AA3104合金、またはAA3105合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記パンチまたは前記ダイの一方または両方は鋼を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記金属製品は、金属カップ、再絞り加工された金属カップ、金属ボトルプリフォームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
金属製品を製造するシステムであって、
板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤を塗布するための
第1の潤滑剤源と、
前記板金ブランクのダイ側に第2の潤滑剤を塗布するための第2の潤滑剤源と、
異なる量の電流を印加するための制御可能な電流源と、
前記板金ブランクを絞り加工して金属製品にするためのパンチ及びダイであって、前記制御可能な電流源は、前記第1の潤滑剤
および前記第2の潤滑剤を介して電流を印加するために、前記パンチ、前記ダイ、または接点のうちの1つ以上に電気的に結合され、前記板金ブランクは、前記金属製品になるように前記パンチ及び前記ダイによって絞り加工され、前記金属製品は前記パンチから排出される、前記パンチ及び前記ダイと、
を備える、
前記制御可能な電流源は、前記板金ブランクの絞り加工中に第1の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加して、前記板金ブランクの前記パンチ側と前記パンチとの間の第1の摩擦係数が前記板金ブランクの前記ダイ側と前記ダイとの間の第2の摩擦係数よりも大きくなり、かつ前記金属製品の排出中に第2の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加して、前記板金属製品と前記パンチとの間の第3の摩擦係数が前記第1の摩擦係数未満となるように構成される、前記システム。
【請求項23】
前記第1の潤滑剤はイオン液体を含む、請求項
22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の潤滑剤は、さらに、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、合成エステル、ポリオールエステル、ポリオール系潤滑剤、ポリアルファオレフィン、ポリエチレングリコール、グラマーワックス、流動パラフィン、合成パラフィン、灯油、鉱油、白色ワセリン、ヤシ油、天然ワックス、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油、蜜ろう、ポリイソブチレン、ポリエチレングリコールジオレエート、脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、非イオン性界面活性剤、アミン、モルホリン、ジエチルアミノエタノールアミン、または水の1つ以上を含む、請求項
23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年3月23日に出願された米国仮出願第62/993,244号及び2020年3月23日に出願された米国仮出願第62/993,239号の利益及び優先権を主張し、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、金属学に関し、より具体的には、金属板を成形、スタンピング、絞り加工、再絞り加工、及びしごき加工をして成形金属製品にするための技術及びシステム、ならびにアルミニウム飲料容器を製造するために改良されたシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属板を成形して様々な用途に適切な望ましい形状にするために、金属板を打ち抜きまたは絞り加工できる。潤滑剤または成形流体を使用して、成形プロセス中、摩擦を減らし、材料の流れを制御し得る。成形プロセス中に金属が加熱し得るため、潤滑剤または成形流体を冷却剤として使用し得る。様々な潤滑剤または成形流体が利用可能であり、異なる配合は、異なる成形プロセスまたは結果として生じる成形品に適切であり得る。例えば、いくつかの水性潤滑剤は、洗浄後、残留物を除去することが容易になり得る、または残留物をほとんど残さなくなり得るが、いくつかの成形プロセスでは十分な潤滑をもたらない場合がある。逆に、いくつかの油性潤滑剤は、適切なレベルの潤滑及び優れた冷却作用をもたらし得るが、残留物を残し得る、または、成形金属の表面から残留物を除去するのが困難になり得るため、いくつかの成形品への使用が制限される。高速製造プロセスでは、不適切な成形により、時々、金属製品の損傷をもたらし、成形機械が動かなくなり、結果として、コストのかかるダウンタイムが発生する。
【0004】
飲料容器は、通常、そのような高速製造プロセスを使用して作られている。一例として、従来の飲料容器を製造するプロセスは、概して、アルミニウム等の金属材料からブランクを製造することを含む。ブランクは浅いカップに絞り加工され、再絞り加工されて直径が小さくなり、カップが深くなる。パンチまたはラムを使用して1つ以上のしごきダイを通して金属材料を動かすことによって、カップをしごき加工して、カップの壁厚を縮小し得る。既存のしごきダイによって、カップの側壁とダイとの間に過度の摩擦が生じる可能性があり、カップの壁を裂けさせる、またはそうでなれば強度を弱くさせる。さらに、過剰な摩擦によって金属微粒子がカップから剥がれ得、ダイに蓄積する可能性があり、ダイのクリーニングまたは交換を頻繁に行うことが必要にある。
【発明の概要】
【0005】
実施形態という用語及び同様の用語は、広義には、本開示の主題及び下記の特許請求の範囲の全てを指すものとする。これらの用語を含む記述は、本明細書に説明される主題を限定するものではない、または、下記の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものではないと理解されたい。本明細書で網羅される本開示の実施形態は、この発明の概要ではなく、下記の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本開示の様々な態様の高精度の概要であり、下記の発明を実施するための形態のセクションでさらに説明される概念の一部を紹介している。この発明の概要は、特許請求される主題の重要または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用することも意図していない。主題は、本開示の明細書全体、図面のいずれかまたは全て、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されたい。
【0006】
いくつかの態様では、飲料容器及び他の製品のようなアルミニウム合金製品等の金属製品を製造する方法が開示される。開示された方法は、成形動作を改善するために、金属製品と、パンチ、ダイ、またはスタンプ等のスタンピング機または延伸機との間の摩擦を修正する技術を使用できる。一態様では、金属製品とスタンピング表面との間の摩擦係数を修正するために、スタンピングプロセスまたはパンチングプロセス中に使用される潤滑剤に、または潤滑剤を介して電流を印加し得る。適切な電流を潤滑剤に、または潤滑剤を介して印加することによって、スタンピングプロセスまたはパンチングプロセスを最適化して、スタンピングまたはパンチングの性能と、成形金属製品をスタンピングまたはパンチング機器からの除去または排出(または取り出しまたは押し出し;ejection)を向上できる。別の態様では、摩擦力を修正するために、超音波振動をスタンピング機または延伸機の部品、または金属製品に適用できる。
【0007】
金属製品を製造する例示的な方法は、板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤を塗布することと、板金ブランクのダイ側に第2の潤滑剤を塗布することと、パンチ及びダイを使用して板金ブランクを絞り加工し、板金ブランクのパンチ側の間の第1の摩擦係数または板金ブランクのダイ側とダイとの間の第2の摩擦係数の一方または両方を制御しながら、板金ブランクを金属製品に成形することであって、第1の摩擦係数は第2の摩擦係数よりも大きくなる、成形することと、金属製品とパンチとの間の第3の摩擦係数が第1の摩擦係数未満になるように制御しながら、金属製品をダイから排出することと、を含む。板金ブランクの表面上への潤滑剤の塗布については上述したが、これは、潤滑剤を板金ブランクに直接塗布する代わりに、パンチまたはダイの対応する表面上に潤滑剤を塗布することを含み得る。
【0008】
第1の摩擦係数が相対的な意味で第2の摩擦係数よりも大きいことが望ましくなり得るので、第1の摩擦係数を制御することは、第1の電流を第1の潤滑剤を介して印加すること、または第1の電流を第2の潤滑剤を介して印加することを含み得る。金属製品とパンチとの間の摩擦係数は、排出の問題を最小にするのに有用であり得るため、第3の摩擦係数を制御することは、第2の電流を第1の潤滑剤を介して印加することを含み得る。
【0009】
第1の電流または第2の電流、またはその両方の大きさの例は、独立して、約0.01mA~約12Aであり得る。例えば、0.01mA~0.1mA、0.01mA~1mA、0.01mA~10mA、0.01mA~100mA、0.01mA~1A、0.01mA~10A、0.01mA~12A、0.1mA~1mA、0.1mA~10mA、0.1mA~100mA、0.1mA~1A、0.1mA~10A、0.1mA~12A、1mA~10mA、1mA~100mA、1mA~1A、1mA~10A、1mA~12A、10mA~100mA、10mA~1A、10mA~10A、10mA~12A、100mA~1A、100mA~10A、100mA~12A、1A~10A、1A~12A、または10A~12A等が挙げられる。場合によっては、第1の電流または第2の電流は、両方ではないが、0Aの大きさを有する。第1の電流または第2の電流、またはその両方を印加するための電圧の例は、独立して、約0.05V~約6Vであり得る。例えば、0.05V~0.1V、0.05V~0.5V、0.05V~1V、0.05V~5V、0.05V~6V、0.1V~0.5V、0.1V~1V、0.1V~5V、0.1V~6V、0.5V~1V、0.5V~5V、0.5V~6V、1V~5V、1V~6V、または5V~6V等が挙げられる。
【0010】
第1の潤滑剤に印加される第1の電流及び第2の電流は、任意の便利な方法で印加され得る。例えば、第1の電流はパンチとダイとの間に印加され得る。第1の電流は、パンチと板金ブランクとの間に印加され得る。第2の電流は、パンチとダイとの間、またはパンチと金属製品との間に印加され得る。第1の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介してパンチからダイに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介してダイからパンチに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介してパンチから板金ブランクに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介して板金ブランクからパンチに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第2の潤滑剤を介してパンチからダイに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第2の潤滑剤を介してダイからパンチに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第2の潤滑剤を介してダイから板金ブランクに流れ得る。第1の電流は、少なくとも第2の潤滑剤を介して板金ブランクからダイに流れ得る。第2の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介してパンチからダイに流れ得る。第2の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介してダイからパンチに流れ得る。第2の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介してパンチから金属製品に流れ得る。第2の電流は、少なくとも第1の潤滑剤を介して金属製品からパンチに流れ得る。
【0011】
様々な潤滑剤及び潤滑剤の形態は、開示された方法で有用である。例えば、第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤は、同じ潤滑剤または異なる潤滑剤であり得る。いくつかの例では、第1の潤滑剤はイオン液体を含む。いくつかの例では、第1の潤滑剤は、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、合成エステル、ポリオールエステル、ポリオール系潤滑剤、ポリアルファオレフィン、ポリエチレングリコール、グラマーワックス、流動パラフィン、合成パラフィン、灯油、鉱油、白色ワセリン、ヤシ油、天然ワックス、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油(または水添カスターワックス:hydrogenated castor wax)、蜜ろう、ポリイソブチレン、ポリエチレングリコールジオレエート、脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、非イオン性界面活性剤、アミン、モルホリン、ジエチルアミノエタノールアミン、または水の1つ以上を含み得る、またはさらにそれらを含み得る。有用なイオン液体は、限定ではないが、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムカチオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、リン酸アニオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(オキサレート)ボレートアニオン、パーフルオロアルキルホスフェートアニオン、1-n-3-メチルイミダゾリウム、1-n-2,3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、[C4C1IM][PF6]、または[C2C1IM][BF4]を含むものを含む。第2の潤滑剤は、上述のもの等のイオン液体、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、または導電性潤滑剤のうちの1つ以上を含み得る。板金ブランクに塗布される潤滑剤の量は制御され得る。場合によっては、第1の潤滑剤を塗布することは、板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤の装填量を0.1g/m2~1g/m2に設定することを含む。場合によっては、第2の潤滑剤を塗布することは、板金ブランクのダイ側に第2の潤滑剤の装填量を0.1g/m2~1g/m2に設定することを含む。
【0012】
上述のように、パンチと板金ブランクまたは金属製品との間の摩擦係数、及びダイと板金ブランクとの間の摩擦係数を制御し得る。摩擦係数の例は、標準摩擦係数に対応し得る、または標準摩擦係数として決定され得る。板金ブランク及び/またはパンチとの間の標準摩擦係数の例は、独立して、約0.02~約0.27であり得る。例えば、0.02~0.04、0.02~0.06、0.02~0.08、0.02~0.1、0.02~0.12、0.02~0.14、0.02~0.16、0.02~0.18、0.02~0.2、0.02~0.22、0.02~0.24、0.02~0.26、0.02~0.27、0.04~0.06、0.04~0.08、0.04~0.1、0.04~0.12、0.04~0.14、0.04~0.16、0.04~0.18、0.04~0.2、0.04~0.22、0.04~0.24、0.04~0.26、0.04~0.27、0.06~0.08、0.06~0.1、0.06~0.12、0.06~0.14、0.06~0.16、0.06~0.18、0.06~0.2、0.06~0.22、0.06~0.24、0.06~0.26、0.06~0.27、0.08~0.1、0.08~0.12、0.08~0.14、0.08~0.16、0.08~0.18、0.08~0.2、0.08~0.22、0.08~0.24、0.08~0.26、0.08~0.27、0.1~0.12、0.1~0.14、0.1~0.16、0.1~0.18、0.1~0.2、0.1~0.22、0.1~0.24、0.1~0.26、0.1~0.27、0.12~0.14、0.12~0.16、0.12~0.18、0.12~0.2、0.12~0.22、0.12~0.24、0.12~0.26、0.12~0.27、0.14~0.16、0.14~0.18、0.14~0.2、0.14~0.22、0.14~0.24、0.14~0.26、0.14~0.27、0.16~0.18、0.16~0.2、0.16~0.22、0.16~0.24、0.16~0.26、0.16~0.27、0.18~0.2、0.18~0.22、0.18~0.24、0.18~0.26、0.18~0.27、0.2~0.22、0.2~0.24、0.2~0.26、0.2~0.27、0.22~0.24、0.22~0.26、0.22~0.27、0.24~0.26、0.24~0.27、または0.26~0.27等が挙げられる。摩擦係数は、場合によっては、電流を印加することによって印加され得る。電流の印加は、また、潤滑剤の特性を修正し得る。例えば、場合によっては、電流は潤滑剤の粘度を調整し得る。第1の潤滑剤または第2の潤滑剤は、独立して、絞り加工中に約2.5mPas~約190mPasの粘度を示し得る。例えば、2.5mPas~5mPas、2.5mPas~10mPas、2.5mPas~50mPas、2.5mPas~100mPas、2.5mPas~150mPas、2.5mPas~190mPas、5mPas~10mPas、5mPas~50mPas、5mPas~100mPas、5mPas~150mPas、5mPas~190mPas、10mPas~50mPas、10mPas~100mPas、10mPas~150mPas、10mPas~190mPas、50mPas~100mPas、50mPas~150mPas、50mPas~190mPas、100mPas~150mPas、100mPas~190mPas、または150mPas~190mPas等が挙げられる。
【0013】
本明細書に説明される方法は、様々な金属及び様々なスタンピング動作または絞り加工動作に有用であり得る。場合によっては、板金ブランクは、3xxxシリーズのアルミニウム合金、AA3003合金、AA3004合金、AA3104合金、またはAA3105合金等のアルミニウム合金を含む。パンチまたはダイは鋼を含み得る。金属製品は、随意に、金属カップ、再絞り加工された金属カップ、または金属ボトルプリフォームを含み得る。
【0014】
また、システムも本明細書に開示される。場合によっては、開示されたシステムは、開示された方法の少なくとも一部を行うのに有用であり得る。金属製品を製造するための例示的なシステムは、板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤を塗布するための潤滑剤源と、異なる量の電流を印加するための制御可能な電流源と、板金ブランクを絞り加工して金属製品にするためのパンチとダイと、を備える。制御可能な電流源は、第1の潤滑剤を介して電流を印加するために、パンチ、ダイ、または接点のうちの1つ以上に電気的に結合され得、板金ブランクは、金属製品になるようにパンチ及びダイによって絞り加工される。制御可能な電流源は、第1の潤滑剤を介して電流を印加するために、パンチ、ダイ、または接点のうちの1つ以上に電気的に結合され得、金属製品はパンチから排出される。随意に、制御可能な電流源は、板金ブランクの絞り加工中に第1の電流を第1の潤滑剤を介して印加し、金属製品の排出中に第2の電流を第1の潤滑剤を介して印加するように構成される。
【0015】
摩擦の制御を使用する開示された技術は、アルミニウム飲料容器及び他のアルミニウム製品の製造に有用であり得る。いくつかの態様では、超音波振動を使用してアルミニウム飲料容器を成形するためのシステム及び方法が開示される。例えば、潤滑剤に、または潤滑剤を介して電流を印加することによって、上記に説明した摩擦を制御することによって、または制御しないで成形されるが、金属製品またはスタンピング機もしくは延伸機に超音波振動を適用することによって、摩擦を制御できる。
【0016】
様々な例は、容器プリフォームを受けるためのダイを利用する。容器プリフォームの壁及び底部は、場合によっては、パンチとも呼ばれるラムの一端と係合し得る。ラム及び容器プリフォーム、または板金ブランク等の他の金属製品は、ダイの開口部と位置合わせされ得、ラムは、直線経路に沿ってダイ開口部を通して容器プリフォームを動かし得る。ダイは、例えば、容器プリフォームが開口部を通して動かされるときに、超音波デバイスによって振動し得、容器プリフォームの壁とダイの開口部との間の摩擦を減らす。ダイは、異なる周波数で及び/または異なる方向に振動して、摩擦を減らし得る及び/またはダイへの金属の堆積を防止し得る。
【0017】
様々な例に従って、容器製造システムが提供される。容器製造システムは、ラム、ダイ、及び超音波デバイスを含み得る。ラムは円筒形であり得、ラム本体と、ラム本体の遠位端にあるラムノーズとを含む。ラムノーズは、容器プリフォームの基部と係合し得る。ダイは、ラムと同心に(または同軸にまたは同心円状に:concentrically)位置合わせされた開口部を有し得る。ダイ開口部は、ラムノーズが容器プリフォームの基部と係合し、ダイ開口部を通して容器プリフォームを動かすことに応じて、容器プリフォームを受けるためのサイズ及び形状とされ得る。超音波デバイスは、ダイと結合され、ラムがダイの開口部を通して容器プリフォームを動かしている間、ダイを振動させ得る。
【0018】
様々な例に従って、アルミニウム飲料容器を成形する方法が提供される。本方法は、容器プリフォームをラムで受けることを含み得る。容器プリフォームは、側壁に結合された基部を含み得る。基部はラムの遠位端と係合し得る。本方法は、ダイに接続された超音波デバイスを使用してダイを振動させることを含み得る。ダイは、ラムと同心に位置合わせされた開口部を含み得、容器プリフォームを受けるためのサイズ及び形状とされ得る。本方法は、さらに、ダイ開口部を通して直線方向にラムを移動させることによって、ラムを用いてダイ開口部を通して容器プリフォームを動かすことを含み得る。
【0019】
様々な例に従って、アルミニウム飲料容器を成形するためのダイが提供される。ダイは、容器プリフォームがダイ開口部を通してラムによって動かされたことに応じて、容器プリフォームを受けるためのサイズ及び形状とされた開口部を画定する本体を含む。超音波デバイスはダイに結合され得、容器プリフォームがラムによってダイの開口部を通して動かされている間、ダイを振動させる。
【0020】
他の目的及び利点は、以下の非限定的な例の詳細な説明から明らかであろう。
【0021】
本明細書は、以下の添付の図を参照しており、異なる図中での同様の参照番号の使用について、同様または類似の構成要素を示すことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】A及びBは、パンチ及びダイを使用して金属板の絞り加工を示す概略図を提供する。
【
図2】金属板を成形するためのシステムを示す概略図を提供する。
【
図3】絞り加工プロセスの開始時の金属板成形システムの拡大図を示す概略図を提供する。
【
図4】絞り加工プロセス中の金属板成形システムの拡大図を示す概略図を提供する。
【
図5】絞り加工プロセスの終了時の金属板成形システムの拡大図を示す概略図を提供する。
【
図6】絞り加工プロセスの完了後の金属製品の排出中の金属板成形システムの拡大図を示す概略図を提供する。
【
図7】本開示の態様による、容器製造システムの一部の断面側面図である。
【
図8】本開示の態様による、
図7の容器製造システムと共に使用するための例示的なダイアセンブリの分解図のイラストである。
【
図9】本開示の態様による、
図7の容器製造システムを使用して、アルミニウム容器を成形する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図10】本開示の態様による、
図7の容器製造システムと共に使用するためのツールパックの例のイラストである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書では、スタンピング、絞り加工、再絞り加工、またはしごきのプロセス等の金属成形動作の信頼性を向上させるための技術が開示されている。場合によっては、開示された技術は、潤滑性をリアルタイムで変化させることができる潤滑剤を使用して、成形動作をさらに良く及びより正確に制御することを可能にし、その結果、成形不良が発生する割合を低下または制限し得る。場合によっては、開示された技術は、成形動作中にダイにおける摩擦力を変化させるために等、超音波振動を使用する。
【0024】
一例として、金属板から金属製品を成形する間、成形機械(例えば、パンチ及びダイ、またはスタンプ及びダイ)と板金または金属プリフォームとの間の摩擦は、電流及び/または電圧の印加によってその特性を動的に制御できる潤滑剤を使用することによって調整できる。別の例として、成形機械と板金または金属プリフォームとの間の摩擦は、成形機械または板金または金属プリフォームに超音波振動を適用して、摩擦を動的に制御することによって調整できる。一例として、絞り加工中またはスタンピング加工中に、成形機械と、板金ブランクまたはプリフォームとの間に比較的大きな摩擦量を持たせることと、また、絞り加工プロセスまたはスタンピングプロセスが完了した後及び成形機械から絞り加工された板金製品の排出または除去中、成形された板金製品と、延伸機またはスタンピング機との間に比較的小さい摩擦量を持たせることと、が望ましくなり得る。
【0025】
図1A及び
図1Bは、パンチ115及びダイ120を使用して、金属カップ110に絞り加工される板金ブランク105を示す概略断面図を提供する。場合によっては、金属カップ110はプリフォームと呼ばれ得る。
図1Aに示されるように、絞り加工前に、板金ブランク105は、ダイ120及びブランクホルダー125によって適所に保持される。
図1Bに示されるように、成形中、パンチ115は下方向に移動し、ダイ120の開口部に入り、板金ブランク105を成形して金属カップ110にする。場合によっては、パンチ115はラムに取り付けられ得、随意に、ラムと呼ばれ得る。金属カップ110の成形が完了した後、金属カップ110とパンチ115との間に圧縮ガスを注入することによって等、パンチ115を上方に移動させ、金属カップ110を下方に排出し得る。
【0026】
しかしながら、場合によっては、絞り加工プロセスまたは排出プロセスが要望どおり確実に動作しない場合があり、結果として、製造プロセスが中断する可能性がある。例えば、板金ブランク105のパンチ側表面の摩擦力及び板金ブランク105のダイ側表面の摩擦力が正確に釣り合わない場合、板金ブランク105は破壊、損傷され得る、または不適切に絞り加工され得る。別の例として、金属カップ110のパンチ側表面の摩擦力が高すぎる場合、金属カップ110が適切に排出されず、金属カップ110への損傷が発生し得る。板金ブランク105または金属カップ110への損傷が発生する場合、これにより、通常、短期間のスケールで繰り返し連続して行われ得る絞り加工動作(例えば、毎分50個以上のカップの絞り加工)及び後続の製造プロセスが中断し得る。さらに、ダイ120の分解及び損傷した板金の除去を含む時間のかかる動作が発生し得、製造の再開がさらに遅くなる。成形機械と成形中の金属との間の摩擦を制御することによって、成形動作を最適化でき、成形金属製品への損傷及びそれに関連する成形プロセスの中断を減らすまたは最小にする。いくつかの例では、成形金属カップ110は、飲料容器または飲料容器プリフォームであり得る。
【0027】
定義及び説明
本明細書で使用される場合、「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」、及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願の全ての主題及び下記の特許請求の範囲を広義に指すことが意図される。これらの用語を含む記述は、本明細書に説明される主題を制限するものではない、または下記の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を制限するものではないと理解されたい。
【0028】
本明細書において、「シリーズ」または「3xxx」等の、AA番号及び他の関連する記号によって識別される合金への言及がなされる。アルミニウム及びその合金の命名及び識別に最も一般に使用される番号名称体系の理解については、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」(両方とも、The Aluminum Associationにより発行された)を参照されたい。
【0029】
本明細書で使用される場合、プレートは、概して、約15mmを超える厚さを有する。例えば、プレートは、約15mmを超える厚さ、約20mmを超える厚さ、約25mmを超える厚さ、約30mmを超える厚さ、約35mmを超える厚さ、約40mmを超える厚さ、約45mmを超える厚さ、約50mmを超える厚さ、または約100mmを超える厚さを有するアルミニウム製品を指し得る。
【0030】
本明細書で使用する場合、シェート(シートプレートとも呼ばれる)は、概して、約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、または約15mmの厚さを有し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、シートは、概して、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、または約0.3mm未満、(例えば、約0.2mm)の厚さを有し得る。
【0032】
本明細書に開示される全ての範囲は、それに含まれるあらゆる部分的範囲が包含されると理解されたい。例えば、記載された範囲「1~10」は、最小値1~最大値10(及びこれらを含む)の、あらゆる部分的範囲を含むと考えるべきである。すなわち、全ての部分的範囲は、1以上の最小値(例えば、1~6.1)から始まり、10以下の最大値(例えば、5.5~10)で終わる。特に明記しない限り、要素の組成量を指すとき、「最大」という表現は、その要素が随意的であり、その特定の要素のゼロパーセント組成を含むことを意味する。特に明記しない限り、全ての組成パーセンテージは重量パーセント(wt%)である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味は、別段文脈により明確に指示されない限り、単数形及び複数形の言及を含む。
【0034】
金属製品の処理及び成形の方法
本明細書に説明されるのは、特に、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、マグネシウム複合材料、及び鋼を含む金属及び金属合金、ならびに結果として生じる金属及び金属合金製品を処理する方法である。いくつかの例では、本明細書に説明される方法で使用する金属はアルミニウム合金を含み、例えば、1xxxシリーズのアルミニウム合金、2xxxシリーズのアルミニウム合金、3xxxシリーズのアルミニウム合金、4xxxシリーズのアルミニウム合金、5xxxシリーズのアルミニウム合金、6xxxシリーズのアルミニウム合金、7xxxシリーズのアルミニウム合金、または8xxxシリーズのアルミニウム合金が挙げられる。いくつかの例では、本明細書に説明される方法で使用する材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム系材料、マグネシウム合金、マグネシウム複合材料、チタン、チタン系材料、チタン合金、銅、銅系材料、複合材料、複合材料で使用されるシート、または任意の他の適切な金属、非金属、もしくは材料の組み合わせを含む非鉄材料を含む。モノリシック材料、ならびにロールボンド材料、クラッド合金、クラッド層等の非モノリシック材料、または他の様々な材料は、また、本明細書に説明される方法で有用である。いくつかの例では、鉄を含有するアルミニウム合金は、本明細書に説明される方法で有用である。
【0035】
非限定的な例として、本明細書に説明される方法で使用する1xxxシリーズのアルミニウム合金の例は、AA1100、AA1100A、AA1200、AA1200A、AA1300、AA1110、AA1120、AA1230、AA1230A、AA1235、AA1435、AA1145、AA1345、AA1445、AA1150、AA1350、AA1350A、AA1450、AA1370、AA1275、AA1185、AA1285、AA1385、AA1188、AA1190、AA1290、AA1193、AA1198、またはAA1199を含み得る。
【0036】
本明細書に説明される方法で使用する2xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA2001、A2002、AA2004、AA2005、AA2006、AA2007、AA2007A、AA2007B、AA2008、AA2009、AA2010、AA2011、AA2011A、AA2111、AA2111A、AA2111B、AA2012、AA2013、AA2014、AA2014A、AA2214、AA2015、AA2016、AA2017、AA2017A、AA2117、AA2018、AA2218、AA2618、AA2618A、AA2219、AA2319、AA2419、AA2519、AA2021、AA2022、AA2023、AA2024、AA2024A、AA2124、AA2224、AA2224A、AA2324、AA2424、AA2524、AA2624、AA2724、AA2824、AA2025、AA2026、AA2027、AA2028、AA2028A、AA2028B、AA2028C、AA2029、AA2030、AA2031、AA2032、AA2034、AA2036、AA2037、AA2038、AA2039、AA2139、AA2040、AA2041、AA2044、AA2045、AA2050、AA2055、AA2056、AA2060、AA2065、AA2070、AA2076、AA2090、AA2091、AA2094、AA2095、AA2195、AA2295、AA2196、AA2296、AA2097、AA2197、AA2297、AA2397、AA2098、AA2198、AA2099、またはAA2199を含み得る。
【0037】
本明細書に説明される方法で使用する3xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA3002、AA3102、AA3003、AA3103、AA3103A、AA3103B、AA3203、AA3403、AA3004、AA3004A、AA3104、AA3204、AA3304、AA3005、AA3005A、AA3105、AA3105A、AA3105B、AA3007、AA3107、AA3207、AA3207A、AA3307、AA3009、AA3010、AA3110、AA3011、AA3012、AA3012A、AA3013、AA3014、AA3015、AA3016、AA3017、AA3019、AA3020、AA3021、AA3025、AA3026、AA3030、AA3130、またはAA3065を含み得る。
【0038】
本明細書に説明される方法で使用する4xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA4004、AA4104、AA4006、AA4007、AA4008、AA4009、AA4010、AA4013、AA4014、AA4015、AA4015A、AA4115、AA4016、AA4017、AA4018、AA4019、AA4020、AA4021、AA4026、AA4032、AA4043、AA4043A、AA4143、AA4343、AA4643、AA4943、AA4044、AA4045、AA4145、AA4145A、AA4046、AA4047、AA4047A、またはAA4147を含み得る。
【0039】
本明細書に説明される方法で使用する5xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA5182、AA5183、AA5005、AA5005A、AA5205、AA5305、AA5505、AA5605、AA5006、AA5106、AA5010、AA5110、AA5110A、AA5210、AA5310、AA5016、AA5017、AA5018、AA5018A、AA5019、AA5019A、AA5119、AA5119A、AA5021、AA5022、AA5023、AA5024、AA5026、AA5027、AA5028、AA5040、AA5140、AA5041、AA5042、AA5043、AA5049、AA5149、AA5249、AA5349、AA5449、AA5449A、AA5050、AA5050A、AA5050C、AA5150、AA5051、AA5051A、AA5151、AA5251、AA5251A、AA5351、AA5451、AA5052、AA5252、AA5352、AA5154、AA5154A、AA5154B、AA5154C、AA5254、AA5354、AA5454、AA5554、AA5654、AA5654A、AA5754、AA5854、AA5954、AA5056、AA5356、AA5356A、AA5456、AA5456A、AA5456B、AA5556、AA5556A、AA5556B、AA5556C、AA5257、AA5457、AA5557、AA5657、AA5058、AA5059、AA5070、AA5180、AA5180A、AA5082、AA5182、AA5083、AA5183、AA5183A、AA5283、AA5283A、AA5283B、AA5383、AA5483、AA5086、AA5186、AA5087、AA5187、またはAA5088を含み得る。
【0040】
本明細書に説明される方法で使用する6xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA6101、AA6101A、AA6101B、AA6201、AA6201A、AA6401、AA6501、AA6002、AA6003、AA6103、AA6005、AA6005A、AA6005B、AA6005C、AA6105、AA6205、AA6305、AA6006、AA6106、AA6206、AA6306、AA6008、AA6009、AA6010、AA6110、AA6110A、AA6011、AA6111、AA6012、AA6012A、AA6013、AA6113、AA6014、AA6015、AA6016、AA6016A、AA6116、AA6018、AA6019、AA6020、AA6021、AA6022、AA6023、AA6024、AA6025、AA6026、AA6027、AA6028、AA6031、AA6032、AA6033、AA6040、AA6041、AA6042、AA6043、AA6151、AA6351、AA6351A、AA6451、AA6951、AA6053、AA6055、AA6056、AA6156、AA6060、AA6160、AA6260、AA6360、AA6460、AA6460B、AA6560、AA6660、AA6061、AA6061A、AA6261、AA6361、AA6162、AA6262、AA6262A、AA6063、AA6063A、AA6463、AA6463A、AA6763、A6963、AA6064、AA6064A、AA6065、AA6066、AA6068、AA6069、AA6070、AA6081、AA6181、AA6181A、AA6082、AA6082A、AA6182、AA6091、またはAA6092を含み得る。
【0041】
本明細書に説明される方法で使用する7xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA7011、AA7019、AA7020、AA7021、AA7039、AA7072、AA7075、AA7085、AA7108、AA7108A、AA7015、AA7017、AA7018、AA7019A、AA7024、AA7025、AA7028、AA7030、AA7031、AA7033、AA7035、AA7035A、AA7046、AA7046A、AA7003、AA7004、AA7005、AA7009、AA7010、AA7011、AA7012、AA7014、AA7016、AA7116、AA7122、AA7023、AA7026、AA7029、AA7129、AA7229、AA7032、AA7033、AA7034、AA7036、AA7136、AA7037、AA7040、AA7140、AA7041、AA7049、AA7049A、AA7149,7204、AA7249、AA7349、AA7449、AA7050、AA7050A、AA7150、AA7250、AA7055、AA7155、AA7255、AA7056、AA7060、AA7064、AA7065、AA7068、AA7168、AA7175、AA7475、AA7076、AA7178、AA7278、AA7278A、AA7081、AA7181、AA7185、AA7090、AA7093、AA7095、またはAA7099を含み得る。
【0042】
本明細書に説明される方法で使用する8xxxシリーズのアルミニウム合金の非限定的な例は、AA8005、AA8006、AA8007、AA8008、AA8010、AA8011、AA8011A、AA8111、AA8211、AA8112、AA8014、AA8015、AA8016、AA8017、AA8018、AA8019、AA8021、AA8021A、AA8021B、AA8022、AA8023、AA8024、AA8025、AA8026、AA8030、AA8130、AA8040、AA8050、AA8150、AA8076、AA8076A、AA8176、AA8077、AA8177、AA8079、AA8090、AA8091、またはAA8093を含み得る。
【0043】
本明細書に説明される金属は、任意の適切な鋳造法を使用して鋳造できる。いくつかの非限定的な例として、鋳造プロセスは、直接チル鋳造(直接チル共鋳造を含む)、半連続鋳造、連続鋳造(例えば、ツインベルト鋳造機、ツインロール鋳造機、ブロック鋳造機、または任意の他の連続鋳造機の使用を含む)、電磁鋳造、ホットトップ鋳造、または任意の他の鋳造法を含み得る。鋳造金属は、鋳造インゴット、鋳造スラブ、鋳造ビレット、またはその他の鋳造品の形態をとり得る。鋳造品は任意の適切な手段によって加工できる。そのような加工ステップは、限定ではないが、均質化、熱間圧延、冷間圧延、溶体化熱処理、及び随意的なプリエージングステップを含む。いくつかの例では、鋳造金属製品を加工して、金属板、金属シェート、または金属プレート等の圧延金属製品を成形できる。例えば、金属板は、板金の巻かれたコイルとして提供され得、金属ブランクを成形するために切断され得る、または打ち抜かれ得る。圧延金属製品は、追加の成形プロセス(例えば、スタンピング、絞り加工、しごき等)を受けて、材料を目的の用途のための特定の配向またはプロファイルに成形し得る。
【0044】
開示された方法は、金属または金属合金を成形金属または金属合金製品に成形するプロセスを含む。板金を含む成形プロセスへの特定の言及を下記に説明するが、また、金属シェートまたは金属プレート等の他の金属製品も成形プロセスが施され得る。
【0045】
金属板の成形中、金属板と成形機械(例えば、スタンピング機または延伸機)との間の摩擦は、金属板を備える金属の流れ方に影響を与える可能性がある。一例として、摩擦が適切に分散されていない場合、金属が要望どおり成形されない場合があり、様々な方向における材料の流れが過剰または不十分になる。例えば、特定の成形動作に対して摩擦が大きすぎる場合、成形中に発生する力によって金属が割れるまたは裂ける可能性があり、金属製品内に開口部、亀裂、または分離が生じる。特定の成形動作に対して摩擦が小さすぎる場合、望ましくない方法で、金属が部分的または完全に成形機械から排出される可能性がある。
【0046】
摩擦を制御するために、金属板と成形機械との間に潤滑剤を入れることができる。また、成形プロセス自体により熱が発生し得るため、いくつかの成形プロセス中に冷却剤としても潤滑剤を使用し得る。場合によっては、成形プロセス中に金属板の表面全体にわたって潤滑剤が使用される。他の場合、金属板の一部だけが潤滑される。異なる潤滑剤を使用して、金属板と成形機械との間に異なる摩擦係数を設定し得るが、概して、使用される潤滑剤の量またはタイプが変わらない限り、従来の動作下の摩擦係数は変化しない。しかしながら、いくつかの動作では、潤滑剤の量またはタイプを変更する必要なく、リアルタイムで摩擦係数を変更することが望ましい。場合によっては、開示されたシステム及び方法は、電圧及び/または電流の印加によって特性を変化させる潤滑剤を使用して、例えば、2つの構成要素間の摩擦係数を制御することを可能にし得る。場合によっては、開示されたシステム及び方法は、超音波振動の適用を利用して、2つの構成要素間の摩擦係数を制御することを可能にし得る。
【0047】
例えば、いくつかのプロセスでは、成形動作中及び成形動作後に、成形機械と金属製品との間の摩擦係数を制御することが望ましくなり得る。電気的に制御可能な潤滑剤または超音波振動を使用すると、金属製品と成形機械との間の摩擦係数を変化させることが可能になり、例えば、成形中にある摩擦係数を使用することと、成形機械からの金属製品の除去中に別の摩擦係数を使用することとが可能になり得る。
【0048】
図2は、様々な処理時間における摩擦係数の制御を可能にする成形システム200の例の概略図を提供する。成形システム200は、金属ブランク等の金属板205に深絞りプロセスを施すための機器として示されているが、スタンピング、ロール成形、曲げ、ヘミング等の他の成形プロセスを使用できる。成形システム200は、パンチ215、ダイ220、第1の潤滑源225、第2の潤滑源230、ブランクホルダー245、及び電流源250を備える。第1の潤滑剤源225及び第2の潤滑剤源230は、各々、第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240を金属板205に塗布するための任意の適切な機器を備え得る。例示の目的で、第1の潤滑剤源225及び第2の潤滑剤源230は、第1の潤滑剤235を金属板205のパンチ側の表面に塗布し、第2の潤滑剤240を金属板205のダイ側の表面に塗布するためのスプレーノズルを備えるものとして示される。
【0049】
電流源250は、第1の潤滑剤235及び/または第2の潤滑剤240に、またはそれらの潤滑剤を介して電流を印加するために、パンチ215、ダイ220、または別の接点のうちの1つ以上に電気的に結合でき、それらの潤滑剤は、潤滑剤特性を変化させ、摩擦を調整するために、成形動作の様々な段階で金属板205の表面に塗布される。電流源250は、パンチ215とダイ220との間に電圧を提供して、電流が、第1の潤滑剤235、金属板205、及び第2の潤滑剤240を通過することを可能にし得る。電流の流動方向は変更可能であり得、電流は印加される電圧に応じて順方向または逆方向に流れ得る。順方向及び逆方向の電流は、いくつかの構成または摩擦係数の調整に利点をもたらし得る。同様に、印加電流の大きさも摩擦係数を調整するために使用され得る。随意に、電流は、パンチ215とダイ220との間にAC電圧またはDC電圧を印加することによって流れる交流電流または直流電流に対応し得る。電流源250は、パンチ215及びダイ220と直接電気通信するように示されているが、パンチ215及びダイ220との電流源250の電気通信は間接的であり得、例えば、電流源250とパンチ215またはダイ220との間に1つ以上の介在回路または導電性構成要素が存在する場合が考えられる。
【0050】
印加される電流は、潤滑剤の所望の摩擦係数または所望の特性を達成するのに適切であり得る。例として、0.01mA~12Aの電流が印加され得る。場合によっては、特定の成形動作中に、0Aの電流(つまり、電流なし)を使用し得る。達成できる摩擦係数は、金属板205、パンチ215、ダイ220、第1の潤滑剤235、及び第2の潤滑剤240の材料及び組成、電流を発生させるために使用される印加電流及び/または電圧の大きさ及び方向に依存し得る。例として、0.02~0.27の範囲の摩擦係数を達成し得る。場合によっては、特定のシステムの摩擦係数は、ASTM G115標準に従った標準摩擦試験のデータを使用して決定され得る標準摩擦係数と呼ばれ得、ASTM G115標準は、例えば、ASTM G115-10(2018),Standard Guide for Measuring and Reporting Friction Coefficients,ASTM International,West Conshohocken,PA,2018が挙げられ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
上述のように、第1の潤滑剤235及び/または第2の潤滑剤240の特性は、潤滑剤(複数可)に、または潤滑剤(複数可)を介して電流を印加することによって変化し得る。本明細書に説明される用途のために変化する有効特性は、潤滑剤によって潤滑される異なる表面間の摩擦係数の修正に関し得るが、他の特性は、摩擦の変化に関する、または摩擦の変化に影響を受け得る、もしくは影響を及ぼし得る。例えば、第1の潤滑剤235及び/または第2の潤滑剤240の粘度は、潤滑剤(複数可)に、または潤滑剤(複数可)を介して電流を印加することによって変化し得る。場合によっては、第1の潤滑剤及び/または第2の潤滑剤の粘度は、随意に及び独立して、2.5mPas~190mPasの範囲で変わり得る。随意に、潤滑剤(複数可)への、または潤滑剤(複数可)を介する電流の印加は、潤滑剤(複数可)の粘度を増加または減少させ得る。随意に、粘度が変化すると、摩擦が変化し得る。これらの特性の変化は制御可能及び可逆的な方法で発生し得、それにより、電流を印加しない、次に、電流を印加する、次に、再び電流を印加しないと、特性が元の状態に可逆的に変化し得る。理論に束縛されるものではないが、潤滑剤(複数可)の特性の変化は、随意に、潤滑剤内の分子またはイオンの配向及び/または配置を修正することによって生じ得る。イオン液体を含む潤滑剤の場合、例えば、イオン液体のイオン(カチオン及びアニオン)は空間で物理的に分離され得る、及び/または電流を印加することによって特定の方向に向き得る。場合によっては、イオンの配向または配置は、電圧の印加によって指向され得る。
【0052】
金属板205と成形システム200の構成要素との間の構成及び所望の摩擦係数に応じて、第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240は、同じであり得るまたは異なり得る。いくつかの例では、パンチ215及びダイ220は鋼を含む一方、金属板205はアルミニウム合金を含む。随意に、第1の潤滑剤235または第2の潤滑剤240は、0℃~100℃等、約100℃未満の温度で溶融する塩等のイオン液体を含み得る。イオン液体の例は、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムカチオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、リン酸アニオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(オキサレート)ボレートアニオン、パーフルオロアルキルホスフェートアニオン、1-n-3-メチルイミダゾリウム、1-n-2,3-メチルイミダゾリウム、または、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、例えば、[C4C1IM][PF6]及び[C2C1IM][BF4]等を含む。場合によっては、第1の潤滑剤235または第2の潤滑剤240は、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、または導電性潤滑剤を含み得る。場合によっては、潤滑剤混合液が使用され得、例えば、イオン液体、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、石油系潤滑剤、導電性潤滑剤、合成エステル、ポリオールエステル、ポリオール系潤滑剤、ポリアルファオレフィン、ポリエチレングリコール、グラマーワックス、流動パラフィン、合成パラフィン、灯油、鉱油、白色ワセリン、ヤシ油、天然ワックス、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油、蜜ろう、ポリイソブチレン、ポリエチレングリコールジオレエート、脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、非イオン性界面活性剤、アミン、モルホリン、ジエチルアミノエタノールアミン、または水の1つ以上を含む潤滑剤等が挙げられる。
【0053】
第1の潤滑源225及び第2の潤滑源230を使用して、金属板205の表面上に潤滑剤の任意の適切な装填量を設定し得る。例えば、潤滑剤の装填量は、随意に、0.1g/m
2~1g/m
2の範囲にわたり得る。第1の潤滑源225及び第2の潤滑源230は
図2に示され、金属板がダイ220とブランクホルダー245/パンチ215との間に挿入される前に、第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240を金属板205に塗布するように位置付けられる。代替として、第1の潤滑源225及び第2の潤滑源230の他の構成を使用し得る。随意に、第1の潤滑剤源225は、第1の潤滑剤235をパンチ215に塗布し得る。随意に、第2の潤滑剤源230は、第2の潤滑剤240をダイ220に塗布し得る。
【0054】
金属板205とパンチ215との間の摩擦を制御するために、第1の潤滑剤235はイオン液体を含むような制御可能な潤滑剤であり得、第1の潤滑剤235に、または第1の潤滑剤235を介して電流を印加し得る。同様に、金属板205とダイ220との間の摩擦を制御するために、第2の潤滑剤240はイオン液体を含むような制御可能な潤滑剤であり得、第2の潤滑剤240に、または第2の潤滑剤240を介して電流が印加され得る。
図3は、絞り加工プロセスの開始時または開始前に成形システム200の断面の拡大図を示し、反対側に第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240がコーティングされた金属板205、パンチ215、ダイ220、及び電流源250を示す。図示の構成では、電流は、パンチ215から、第1の潤滑剤235、金属板205、及び第2の潤滑剤240を介してダイ220に、またはその逆に流れ得る。
【0055】
図4は、パンチ215がダイ220に対して下方向に移動するように示される、絞り加工プロセス中の
図3に示される成形システム200の断面の拡大図を示す。場合によっては、金属板205の絞り加工中、金属板205とパンチ215との間の摩擦係数が、金属板205とダイ220との間の摩擦係数よりも大きいことが望ましくなり得、したがって、第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240の組成は異なり得、印加電流の大きさ及び方向は、これを達成するために選択され得る。一例では、第1の潤滑剤235は、印加電圧及び/または電流に応じて変わり得る特性を有するイオン液体を含み得る一方、第2の潤滑剤240は、印加電圧及び/または電流に応じて変わらない特性を有する油性潤滑剤を含み得る。他の場合、異なる摩擦係数を使用することが望ましくなり得るため、印加電圧及び/または電流は異なり得、第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240の組成は異なり得る。
【0056】
絞り加工プロセスが完了すると、
図5に示されるように、ダイ220に対するパンチ215の下方向への動きは停止する。この時点では、所望の摩擦係数が変化し得るため、電流源250による電流または電圧の印加が変化し得る。例えば、金属板205とパンチ215との間の摩擦係数を可能な限り低い値まで減らし、金属板205からのパンチ215の除去または分離を容易にすることを可能にすることが望ましくなり得、したがって、
図4に示されるように、電流及び/または電圧は、成形プロセス中に使用されたものから変わり得る。
【0057】
ここで、
図6は、成形システム200から、金属カップに絞り加工された金属板205の排出を示し、金属板205がダイ220に対して下方向に移動し、パンチ215がダイ220に対して上方向に移動する。例示の目的で、第1の潤滑剤235及び第2の潤滑剤240が金属板205上に保持されているように示されているが、第1の潤滑剤235のいくらかの量はパンチ215上に保持され得、第2の潤滑剤240のいくらかの量はダイ220上に保持され得る。
【0058】
図2~
図6に関する上記の説明が絞り加工プロセスを参照して製造されたものであるが、開示された原理の適用は、スタンピングプロセスまたは他の成形プロセスに同様に適用され得る。例えば、スタンピング中、金属板と上部スタンピング機及び/または下部スタンピング機との間の摩擦係数を制御することが望ましくなり得る。例えば、場合によっては、金属板と上部スタンピング機との間の摩擦係数が、金属板と下部スタンピング機との間の摩擦係数よりも大きい、またはその逆の場合も同様であることが望ましくなり得る。用途によっては、摩擦係数が同じであることが望ましくなり得る。しかしながら、スタンピングプロセスの完了後に摩擦係数が変化することも望ましくなり得る。例えば、摩擦係数が減少することは有利であり得、成形金属製品を上部スタンピング機及び下部スタンピング機からより容易に分離または除去することを可能にする。
【0059】
ここで、超音波振動を使用して摩擦を制御するために、飲料容器等の容器の製造に関して例を説明する。しかしながら、摩擦を制御するための超音波振動の適用は、スタンピングプロセスまたは他の成形プロセス等の他の動作に使用し得ることを理解されたい。
図7は、容器製造システム700の一部の断面側面図を示す。容器製造システム700は、容器プリフォーム710、ラム720、ダイ730、及び1つ以上の超音波デバイス740を含み得る。
【0060】
容器プリフォーム710は、ある形状(例えば、缶、カップ、ボトルプリフォーム等)に成形されている金属片であり得る。様々な例では、容器プリフォーム710は、ダイ730等のダイを通して動かされ、浅いカップを成形し得る。容器プリフォーム710は基部712及び側壁714を含み得る。容器プリフォーム710は、側壁714及び/または基部712を介して、ラム720と位置合わせ及び/または係合され得る。いくつかの例では、容器プリフォーム710は、カップロケータを介してラム720及びダイ730と位置合わせされ得る。
【0061】
容器プリフォーム710は、内径716、開始時壁厚718、及び縮小時壁厚719を有し得る。様々な例では、容器プリフォーム710は、50mm~76mmの内径716、0.14mm~0.16mmの開始時壁厚718、及び/または0.076mm~0.1mmの縮小時壁厚719を有し得る。
【0062】
様々な例では、ラム720は、容器プリフォーム710を受けて係合するための円筒形状を有し得る。ラム720は、ダイ730の開口部736を通して容器プリフォーム710と係合し、それを動かし得る。ラム720は、容器プリフォーム710の基部712及び/または容器プリフォーム710の側壁714と係合し得る。例えば、ラム720の端は基部712と係合し得、ラム720の側面は側壁714と係合し得る。いくつかの例では、ラム720は、繰り返しパターンでダイ730を通して動かされ、ダイ730から引き出され得る。例えば、ラム720は、第1の容器プリフォーム710と係合し、それを第1の方向にダイ730を通して動かし、第1の容器プリフォーム710から外れ、第2の方向にダイ730を通して後退し、第2の容器プリフォーム710と係合し、それを第1の方向にダイ730を通して動かし得、新たに、サイクルが開始する。様々な例では、ラム720は、フライホイール、圧縮流体、空気、スイングレバー、または他の適切な機構を使用して、ダイ730を通して直線的に動かされ得る。ラム720は、工具鋼もしくは超硬工具であり得る、またはそれを含み得る。様々な例では、ラム720は、容器プリフォーム本体製造機の構成要素に対応し得る、またはそれを含み得る。
【0063】
いくつかの例では、ラム720は、ラム本体722、パンチスリーブ724、及び/またはパンチノーズ726を含み得る。ラム本体722の第1の端は、ラム720を直線経路に沿って移動させるための駆動デバイスに取り付けられ得、ラム本体722の第2の対向端は、パンチスリーブ724及び/またはパンチノーズ726に取り付けられ得る。パンチスリーブ724は、容器プリフォーム710の側壁714と係合し、ダイ730に対して容器プリフォーム710を保持し、側壁厚の縮小(例えば、開始時壁厚718から縮小時壁厚719まで)を補助し得る。パンチスリーブ724は、一定の直径(例えば、容器プリフォーム710の内径716と同様)を有し得る、または可変直径を有し得る。いくつかの例では、パンチノーズ726は、容器プリフォーム710の基部712と係合し、容器プリフォーム710の直径の縮小を補助する。パンチノーズ726の各側は、接点728で終端し得る。2つの接点728は、内径716未満の距離だけ離れて設定され得る。しかしながら、2つの接点728は、内径716に等しい距離だけ離れて設定され得る。
【0064】
1つ以上のダイ730をラム720と組み合わせて使用して、容器プリフォーム710の壁厚を(例えば、開始時壁厚718から縮小時壁厚719まで)縮小し得る。いくつかの例では、1つ以上のダイ730は、
図8に関して本明細書に説明されるダイアセンブリ800の一部である、及び/または
図10に関して本明細書に説明されるツールパック1000の一部である。
【0065】
様々な例では、ダイ730は、容器プリフォーム710及び/またはラム720を受けるためのサイズ及び形状に決定された開口部736を含み得る。例えば、開口部736は、楕円形または円形の開口部であり得る。様々な例では、ダイ730は、容器プリフォーム710の内径716と開始時壁厚718の2倍の厚さとを組み合わせた値よりも小さい直径を有する楕円形の開口部736を有する。いくつかの例では、楕円形の開口部736は、45mm~80mm(限定ではないが、50mm~76.5mm等)の直径を有し得る。開口部736は、容器プリフォーム710の側壁714を開始時壁厚718から縮小時壁厚719に圧縮し得る。側壁714を圧縮することによって、側壁の長さを増加させ得る。
【0066】
非限定的な例として、容器プリフォーム710は、60mm~70mmの内径716と、0.05mm~0.5mmの開始時壁厚718とを有し、その全厚は、60.1mm~71mm(すなわち、60mm+2×0.05mm及び70mm+2×0.5mm)である。内径716はラム720に接触し、開始時壁厚718が縮小時壁厚719に圧縮される間に一定のままである。開口部736は、ラム720上の容器プリフォーム710を受ける直径60mm~70mmの円形開口部である。ラム720は、容器プリフォーム710を開口部736を通して動かし、容器プリフォームの全直径を開口部の直径と等しくなるように縮小する(例えば、60mm~70mmに縮小する)。容器プリフォーム710の全径が縮小すると、結果として、容器プリフォームは縮小時壁厚719を有することになる。
【0067】
いくつかの例では、複数のダイ730を使用して、容器プリフォーム710の側壁714の厚さを徐々に減少させ得る(例えば、第1のダイにおける縮小時壁厚719は、第2のダイにおける開始時壁厚718であり得る)。例えば、3つのダイ730は直列に位置付けられ得る。そのようなシナリオでは、それぞれのダイは、直前のダイの開口部よりも徐々に小さくなる開口部を有し得る。容器プリフォーム710が連続するダイ730のそれぞれを通して動かされると、側壁714が徐々に圧縮される。この圧縮により、側壁714が徐々に薄くなり得る。これにより、追加的または代替的に、側壁714が徐々に長くなり得る。いくつかの例では、容器プリフォーム710の一部だけが、例えば、ダイ730及び/または遠位端から近位端まで徐々に狭くなる直径を有するラム720の位置付けにより、複数のダイと接触し得る。さらなる例では、ラム720がダイ730の開口部736を通して容器プリフォーム710を動かすとき、容器プリフォーム710の基部712と係合するラム720の直径は、基部712をダイ730の全てに接触させ得、容器プリフォーム710の側壁714と係合するラム720のより狭い直径は、ダイ730の一部と接触し得る及び/またはダイ730の何にも接触しない場合がある。
【0068】
1つ以上の超音波デバイス740は、ダイ730を振動させるために、1つ以上のダイ730と結合され得る。1つの超音波デバイス740は、単一のダイ730と結合され得る、または複数のダイ730と結合され得る。超音波デバイス740は、ダイ730と結合され、ダイ730を半径方向に(例えば、方向742に)及び/または軸方向に(例えば、方向744に)に振動させるように位置付けられ得る。超音波デバイス740は、ある周波数で機械的な波または振動を生成するデバイスであり得る。例えば、超音波デバイス740は10kHz~1000kHzの範囲の周波数を発生させ得る。例えば、10kHz~25kHz、25kHz~50kHz、50kHz~100kHz、100kHz~150kHz、150kHz~200kHz、200kHz~250kHz、250kHz~300kHz、300kHz~350kHz、350kHz~400kHz、400kHz~450kHz、450kHz~500kHz、500kHz~550kHz、550kHz~600kHz、600kHz~650kHz、650kHz~700kHz、700kHz~750kHz、750kHz~800kHz、800kHz~850kHz、850kHz~900kHz、900kHz~950kHz、950kHz~1000kHz、または上記の範囲内のいずれかの周波数(例えば、10kHz、50kHz、100kHz、200kHz、300kHz、400kHz、500kHz、600kHz、700kHz、800kHz、900kHz、1000kHz等)等が挙げられる。超音波デバイス740は電子発振器及び変換器を含み得る。電子発振器は、ある周波数で振動する交流電流を生成し得る。変換器は、ダイ730に取り付けられ、振動電流を機械的振動に変換して、ダイ730を振動させ得る。変換器は、圧電変換器もしくは磁歪変換器または他の適切な変換器に対応し得る、またはそれを含み得る。いくつかの例では、超音波デバイス740は、ダイ730を振動させるために変換器とダイ730との間に位置付けられたソノトロードを含み得る。
【0069】
いくつかの例では、超音波デバイス740は、ダイ730を振動させ、容器プリフォーム710とダイ730との間の摩擦を減少させる。ダイ730と容器プリフォーム710との間の摩擦量が減少すると、容器プリフォーム710の壁厚の大幅な縮小及び/またはより薄い開始時壁厚718を有する容器プリフォーム710の使用が可能になり得る。追加的または代替的に、ダイ730と容器プリフォーム710との間の摩擦量が減少すると、容器製造システム700に必要なダイアセンブリ730の数が減り得る。摩擦量が減少すると、異なる金属を容器プリフォーム710で使用することを可能にし得る、ならびに/または製造プロセスで使用される潤滑剤を少なくすること及び/もしくは代わりの潤滑剤を製造プロセスで使用することを可能にし得る。
【0070】
様々な例では、超音波デバイス740は、ダイ730上の金属の蓄積を減らすために、ダイ730を振動させ得る。金属の蓄積により、結果として、容器プリフォーム710がダイ730に接触し得る。例えば、容器プリフォーム710がダイ730を通して動かされるたびに、少量の金属がダイ730上に堆積され得る。ダイ730上の金属の減少により、ダイ730と容器プリフォーム710との間の摩擦量が減り得る。ダイ730上の金属の減少により、追加的または代替的に、ダイ730の機能寿命を長くし得る。
【0071】
さらなる例では、超音波デバイス740は、ダイ730を振動させ、容器プリフォーム710の内部応力を減らし得る。容器プリフォーム710の内部応力の減少により、容器プリフォームの引き裂きが少なくなること及び/または加工硬化が少なくなることがもたらされる。
【0072】
図8は、本開示の態様による、
図7の容器製造システム700と共に使用するための例示的なダイアセンブリ800の分解図のイラストである。ダイアセンブリ800は1つ以上のスペーサを含み得る。示されるように、ダイアセンブリ800は、2つのスペーサ802A及び802B(本明細書では、まとめてまたは個別に、スペーサ802とも呼ばれる)、ダイ730、及び複数の超音波デバイス740を含むが、ダイアセンブリ800は追加及び/または別の数の構成要素を含み得る。
【0073】
示されるように、ダイ730は、ラムと係合した容器プリフォーム710を受けるための円形開口部736を伴う円板である。
図7を参照して説明するように、開口部736は、容器プリフォームの壁厚を縮小するために、受けた容器プリフォーム710よりも小さい直径を有する。ダイ730は、開口部736を通して容器プリフォーム710を動かすパンチの力に抵抗しながらその形状を保持するのに十分強い金属及び/または他の材料を含み得る。様々な例では、複数のダイ730を使用し得、それぞれ異なるサイズの直径を有する。いくつかの例では、ダイ730は、再絞りダイ、しごきダイ、またはパイロットダイに対応する、またはそれを含み得る。
【0074】
ダイ730は、成形プロセス中、1つ以上のスペーサ802と結合され、それらによって適所に保持され得る。スペーサ802は、1つ以上のダイ730の反対側に位置付けられ得る。スペーサ802は、追加的または代替的に、ダイ730の間に位置付けられ得、容器プリフォーム710が一度に1つだけのダイ730と接触することを可能にする。スペーサ802は、成形プロセス中、容器プリフォーム710及び/またはダイ730に潤滑剤を追加するための領域を提供し得る。
【0075】
図8に示されるように、2つのスペーサ802A及び802Bを使用してダイ730を保持し、一方がダイのいずれかの側に配置される。スペーサ802は、ダイ730の外径を囲むサイズ及び形状に決定された凹領域806を含み得る。例えば、凹領域は、ダイ730を受け、ダイを適所に保持するためのサイズ及び形状とされ得る。スペーサ802は開口804を含み得る。開口804は、ダイ730の開口部736と同じまたは同様の形状を有し得る。開口804は、ダイ730の開口部736より大きくなり得る。スペーサ802は、超音波デバイス740A、740B、及び740Cのための取り付け点を含み得る。超音波デバイス740A、740B、及び740Cは、1つ以上の方向に沿ってダイ730を振動させるために取り付けられ得る。例えば、超音波デバイス740Bは、方向742に沿ってダイ730を振動させるために取り付けられ得る。追加的または代替的に、超音波デバイス740A及び/または740Cは、ダイ730を方向744に沿って振動させるために位置付けられ得る。いくつかの例では、スペーサ802は、超音波デバイス740A、740B、及び740Cのための追加または代替の取り付け点、及び/または潤滑用またはケーブル配線用のチャネルを含み得る。
【0076】
複数のスペーサ802が使用される例では、全てのスペーサよりも少ない数のスペーサは、超音波デバイスと結合され得る。例えば、2つのスペーサ802が使用される場合、第1のスペーサは超音波デバイスがない場合がある一方、第2のスペーサは超音波デバイス、例えば、超音波デバイス740A、740B、及び/または740Cと結合され得る。
【0077】
超音波デバイス740A、740B、及び740Cは、スペーサと結合され、ダイ730を超音波周波数で振動させ得る。超音波周波数で振動するダイ730により、容器プリフォーム710がダイ730を通して動かされているとき、ダイ730と容器プリフォーム710との間の摩擦が減り得る。追加的または代替的に、超音波周波数で振動するダイ730により、ダイ730上に発生し得る金属の蓄積が減り得る。
【0078】
図8には、超音波デバイス740A、740B、及び740Cの様々な取り付けオプションが示されているが、超音波デバイスは任意の適切な構成で取り付けられ得る。
図8の例では、2対の対向する超音波デバイス740A、740Cは、スペーサ802Aにあり、開口804に向かって半径方向内側を指し、2対の超音波デバイス740Bは、対向するスペーサ802A、802Bに取り付けられる。
【0079】
超音波デバイス740A、740B、及び740Cを対に取り付けることによって、結果として生じる振動のバランスをとることが可能になり得る。例えば、振動のバランスをとることは、スペーサ802の中にまたはスペーサ802を越えて等、かなりの量の振動がダイ730の外側に移動することを少なくとも部分的に抑制または防止し得る。
【0080】
図9は、本開示の態様による、容器製造システムを使用して、アルミニウム容器を成形するための例示的なプロセス900を示すフローチャートである。902において、プロセス900は、容器プリフォーム710等の容器プリフォームを、容器製造システム700等の容器製造システムに受けることを含み得る。容器プリフォーム710は、本明細書に説明されるように、ラム720等のラムと係合するための基部及び壁を有し得る。いくつかの例では、容器プリフォーム710は切断機から受ける。様々な例では、容器プリフォーム710は、カップロケータを使用して容器製造システム700内に位置付けられる。
【0081】
904において、プロセス900は、本明細書に説明されるダイアセンブリ800等のダイアセンブリを振動させることを含む。ダイアセンブリ800は、超音波デバイス740等の超音波デバイスを使用して振動し得る。超音波デバイス740は、ダイアセンブリ800の一部または全部を振動させ得る。例えば、超音波デバイス740はダイ730及び/または1つ以上のスペーサ802を振動させ得る。超音波デバイス740は、ダイアセンブリ800に接続され、ダイアセンブリを1つ以上の方向に沿って振動させ得る。例えば、超音波デバイス740は、ダイアセンブリ800の1つ以上の様々な点に配置され、ダイアセンブリ800を半径方向に振動させ得る。追加的または代替的に、超音波デバイス740はダイアセンブリ800を軸方向に振動させ得る。いくつかの例では、超音波デバイス740は、ダイアセンブリ800を複数の方向に振動させ得る。複数の方向の振動を同時にまたは連続的に与え得る。複数の方向の振動を連続的に与える説明用の例として、超音波デバイス740は、容器プリフォーム710がダイ730を通して動かされるときにダイアセンブリ800を軸方向に振動させ、ラム720がダイアセンブリを通して後退するときに半径方向に振動させ得る。
【0082】
様々な例では、ダイアセンブリ800を振動させることは、記載された他のアクション(例えば、902~910)の最中またはそれらのアクションの間に実施され得る。例えば、910において、ダイアセンブリ800は、プロセス900の前、最中、及び/または後に振動し得、容器プリフォーム710は、ラム720によって開口部736を通して動かされる。ダイアセンブリ800を振動させることは、アクション902~910のいずれか及び/または全ての最中に発生し得る。アクションの間及び/またはアクション前にダイアセンブリ800を振動させることで、ダイアセンブリ800が金属削りくず及び/または潤滑剤の蓄積を振り落とすことが可能になり得る。いくつかの例では、ダイアセンブリ800は、行われるアクションに応じて及び/または実際にアクションが行われているかどうかによって、複数の周波数で振動し得る。
【0083】
906において、プロセス900は、容器プリフォーム710をラム720と係合させることを含む。ラム720の端が容器プリフォーム710の基部及び/または壁と係合するまで、直線経路に沿って移動することによって、ラム720は容器プリフォーム710と係合する。いくつかの例では、ラム720は、フライホイールを介して直線経路に沿って移動し、容器プリフォーム710と係合し得る。いくつかの例では、ラム720は、パンチノーズ726等のパンチノーズを介して容器プリフォーム710と係合する。
【0084】
908において、プロセス900は、振動ダイアセンブリ800を通して容器プリフォーム710を動かすことを含む。例えば、容器プリフォーム710は、ラム720を介してダイ730の開口部736を通して動かされ得る。いくつかの例では、開口部736は、容器プリフォーム710のサイズ及び形状よりも小さいサイズ及び形状を有し得る。例えば、開口部736は、容器プリフォーム710の内径716よりも小さい直径を有し得る。より小さいサイズ及び形状を有する開口部736は、容器プリフォーム710の側壁714を圧縮させ得、容器プリフォーム710がダイ730の開口部736を通して動かされるときに側壁厚が減少する。様々な例では、904において、ダイアセンブリ800を振動させることで、容器プリフォーム710が開口部736を通して動かされているとき、容器プリフォーム710とダイ730との間の摩擦を減らし得る。例えば、ダイアセンブリ800を振動させることで、容器プリフォーム710の側壁714の厚さが減少したとき、別の方法で、容器プリフォーム710とダイ730との間に発生する摩擦量が減少する。
【0085】
910において、プロセス900は、ダイアセンブリ800を通してラム720を後退させることを含む。いくつかの例では、ダイアセンブリ800を振動させること(すなわち、プロセス900の904)は、ラム720がダイアセンブリ800を通して後退する(すなわち、プロセス900の910)と同時に起こり得る。超音波デバイス740は、容器プリフォーム710がダイアセンブリ800を通して動かされているとき、同じ方向に及び/または同じ周波数でダイアセンブリ800を振動させ得る。しかしながら、超音波デバイス740は、容器プリフォーム710がダイアセンブリ800を通して動かされているとき、異なる方向に及び/または異なる周波数でダイアセンブリ800を振動させ得る。追加的または代替的に、ラム720が後退するとき、ダイアセンブリ800は全く振動しない場合があり、または、910において、ラム720が後退している間、ダイアセンブリ800は振動し得、908において、容器プリフォームは動かされている間は振動しない。ダイアセンブリ800を通して後退した後、容器製造システム700は、ダイアセンブリ800を通して動かされる追加の容器プリフォーム710を受け得る。
【0086】
図10は、本開示の態様による、
図7の容器製造システムのツールパック1000の例の図である。ツールパック1000は、非振動ダイアセンブリ800A及び振動ダイアセンブリ800Bを含む。振動ダイアセンブリ800Bは、超音波デバイス740に接続され、それによって振動する。
【0087】
非振動ダイアセンブリ800Aは、1つ以上のスペーサ802A及び1つ以上の非振動ダイ730Aを含み得る。スペーサ802Aは、非振動ダイ730A及び振動ダイ730Bが少なくとも1つのスペーサ802Aによって分離されるように位置付けられ得る。例えば、非振動ダイ730Aは、スペーサ802Aによって振動ダイ730Bから分離され得る。非振動ダイアセンブリ800Aは、ラム720によって動かされた容器プリフォーム710を受け得る。非振動ダイ730Aは、非振動ダイ(例えば、再絞りダイまたは第1のしごきダイ)であり得る、またはそれを含み得る。
【0088】
振動ダイアセンブリ800Bは、1つ以上のスペーサ802B及び1つ以上のダイ730Bを含み得る。振動ダイアセンブリ800Bは、ダイアセンブリ800Bの1つ以上の構成要素を振動させる超音波デバイス740と接続され得る。例えば、超音波デバイス740はダイ730Bに接続され、ダイを振動させ得る。超音波デバイス740は、ダイ730Bを半径方向に振動させるように位置付けられ得る。追加的または代替的に、超音波デバイス740は、ダイ730Bを軸方向に振動させるように位置付けられ得る。容器プリフォーム710が非振動ダイアセンブリ800Aを通して動かされた前、最中、及び/または後に、超音波デバイス740はダイ730Bを振動させる。1つの超音波デバイス740は、ダイ730B及び/またはスペーサ802Bのそれぞれに個別に接続され得る。しかしながら、1つの超音波デバイス740は、複数のダイ730B及び/またはスペーサ802Bに接続され得る。超音波デバイス740は、また、複数の超音波デバイス740に対応し得る。
【0089】
ツールパック1000は、非振動ダイアセンブリ800A及び振動ダイアセンブリ800Bの異なる組み合わせ及び/またはパターンを含み得る。いくつかの例では、ツールパック1000は、非振動ダイアセンブリ800Aの複数のセットと、1つの振動ダイアセンブリ800Bとを含む。例えば、2つの非振動ダイアセンブリ800Aは1つの振動ダイアセンブリ800Bの前に位置付けられ得、それにより、容器プリフォーム710は、振動ダイアセンブリ800Bを通して動かされる前に、非振動ダイアセンブリ800Aを通して動かされる。しかしながら、非振動ダイアセンブリ800Aは、振動ダイアセンブリ800Bの後に及び/または振動ダイアセンブリ800Bのいずれかの側に位置付けられ得る。
【0090】
ツールパック1000は、振動ダイアセンブリ800Bの複数のセットを含み得る。振動ダイアセンブリ800Bの複数のセットは、非振動ダイアセンブリ800Aの前に、非振動ダイアセンブリ800Aの後に位置付けられ得る、及び/または非振動ダイアセンブリ800Aのいずれかの側に位置付けられ得る。いくつかの例では、ツールパック1000は、いずれかの付随する非振動ダイアセンブリ800Aなしで、1つだけの振動ダイアセンブリ800Bを含み得る。
【0091】
開示されたアルミニウム合金製品を使用する方法
【0092】
本明細書に説明される金属製品及び関連する方法は、自動車用途、ならびに航空機用途及び鉄道用途等の他の輸送用途、または任意の他の所望の用途で使用され得る。例えば、開示された金属製品を使用して、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、及びCピラー)、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフード、アウターフード、またはトランクリッドパネル等の自動車構造部品を加工し得る。また、本明細書に説明される金属製品及び方法は、例えば、外部パネル及び内部パネルを加工するために、航空機用途または鉄道車両用途でも使用され得る。
【0093】
また、本明細書に説明される金属製品及び関連の方法は、電子機器の用途でも使用できる。例えば、本明細書に説明される金属製品及び方法を使用して、携帯電話及びタブレットコンピューターを含む電子デバイスの筐体を加工し得る。いくつかの例では、金属製品を使用して、携帯電話(例えば、スマートフォン)のアウターケーシング、タブレットボトムシャーシ、及び他の携帯電子機器の筐体を加工し得る。
【0094】
本明細書に説明される金属製品及び関連の方法は、食品容器または飲料容器の用途で使用できる。例えば、本明細書に説明される金属製品及び方法を使用して、アルミニウム缶及びボトル等の飲料容器を加工できる。
【0095】
本明細書に開示される例は、一緒に用いられるが、そのいかなる制限をもたらさないで、本発明の態様を説明するのにさらに役立つであろう。これに対して、本明細書の説明を読んだ後、本発明の主旨から逸脱することなく、当業者にそれ自体を示唆し得る、様々な実施形態、それらの改変物、及び均等物が用いられ得ると明確に理解されたい。また、本明細書に説明される例及び実施形態は、別段の記載がない限り、従来の手順も利用し得る。手順の一部は、例示の目的のために本明細書に説明される。
【0096】
態様の説明
下記に使用されるように、一連の態様(例えば、「態様1~4」)または態様の列挙されない集合へのいかなる言及は、それらの態様のそれぞれに対して離接的に言及したものとして理解されたい(例えば、「態様1~4」は「態様1、2、3、または4」として理解されたい)。
【0097】
[態様1]
金属製品を製造する方法であって、板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤を塗布することと、前記板金ブランクのダイ側に第2の潤滑剤を塗布することと、パンチ及びダイを使用して前記板金ブランクを絞り加工し、前記板金ブランクの前記パンチ側と前記ダイとの間の第1の摩擦係数、または前記板金ブランクの前記ダイ側と前記ダイとの間の第2の摩擦係数の一方または両方を制御しながら、前記板金ブランクを金属製品に成形することであって、前記第1の摩擦係数は前記第2の摩擦係数よりも大きくなる、前記成形することと、前記金属製品と前記パンチとの間の第3の摩擦係数が前記第1の摩擦係数未満になるように制御しながら、前記金属製品を前記ダイから排出することと、を含む、前記方法。
【0098】
[態様2]
前記第1の摩擦係数を制御することは、第1の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加すること、または前記第1の電流を前記第2の潤滑剤を介して印加することを含み、前記第3の摩擦係数を制御することは、第2の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加することを含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0099】
[態様3]
前記第1の電流は0.01mA~12Aの大きさを有する、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0100】
[態様4]
前記第2の電流は0.01mA~12Aの大きさを有する、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0101】
[態様5]
前記第1の電流または前記第2の電流は、両方ではないが、0Aの大きさを有する、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0102】
[態様6]
0.05V~6Vの電圧を使用して前記第1の電流を印加する、または0.05V~6Vの電圧を使用して前記第2の電流を印加する、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0103】
[態様7]
前記第1の電流は、前記パンチと前記ダイとの間に、もしくは前記パンチと前記板金ブランクとの間に流れる、または、前記第2の電流は、前記パンチと前記ダイとの間に、もしくは前記パンチと前記金属製品との間に流れる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0104】
[態様8]
前記第1の電流は、前記パンチから前記ダイに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記パンチから前記板金ブランクに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記板金ブランクから前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記パンチから前記ダイに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記パンチに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記板金ブランクに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、または前記板金ブランクから前記ダイに少なくとも前記第2の潤滑剤を介して流れる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0105】
[態様9]
前記第2の電流は、前記パンチから前記ダイに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記ダイから前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、前記パンチから前記金属製品に少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、または前記金属製品から前記パンチに少なくとも前記第1の潤滑剤を介して流れる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0106】
[態様10]
前記第1の潤滑剤及び前記第2の潤滑剤は異なる潤滑剤である、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0107】
[態様11]
前記第1の潤滑剤及び前記第2の潤滑剤は同じ潤滑剤である、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0108】
[態様12]
前記第1の潤滑剤はイオン液体を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0109】
[態様13]
前記第1の潤滑剤は、さらに、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、油性潤滑剤、石油系潤滑剤、合成エステル、ポリオールエステル、ポリオール系潤滑剤、ポリアルファオレフィン、ポリエチレングリコール、グラマーワックス、流動パラフィン、合成パラフィン、灯油、鉱油、白色ワセリン、ヤシ油、天然ワックス、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油、蜜ろう、ポリイソブチレン、ポリエチレングリコールジオレエート、脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、非イオン性界面活性剤、アミン、モルホリン、ジエチルアミノエタノールアミン、または水の1つ以上を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0110】
[態様14]
前記イオン液体は、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムカチオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、リン酸アニオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(オキサレート)ボレートアニオン、パーフルオロアルキルホスフェートアニオン、1-n-3-メチルイミダゾリウム、1-n-2,3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、[C4C1IM][PF6]、または[C2C1IM][BF4]を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0111】
[態様15]
前記第2の潤滑剤は、イオン液体、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、油性潤滑剤、石油系潤滑剤、または導電性潤滑剤のうちの1つ以上を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0112】
[態様16]
前記第1の潤滑剤を塗布することは、前記板金ブランクの前記パンチ側に前記第1の潤滑剤の装填量を0.1g/m2~1g/m2に設定することを含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0113】
[態様17]
前記第2の潤滑剤を塗布することは、前記板金ブランクの前記ダイ側に前記第2の潤滑剤の装填量を0.1g/m2~1g/m2に設定することを含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0114】
[態様18]
前記第1の摩擦係数は、前記板金ブランクと前記パンチとの間に前記第1の潤滑剤を使用して標準摩擦係数0.02~0.27に対応する、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0115】
[態様19]
前記第3の摩擦係数は、前記金属製品と前記パンチとの間に前記第1の潤滑剤を使用して標準摩擦係数0.02~0.27に対応する、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0116】
[態様20]
前記第1の潤滑剤は絞り加工中に2.5mPas~190mPasの粘度を示す、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0117】
[態様21]
前記第1の潤滑剤は排出中に2.5mPas~190mPasの粘度を示す、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0118】
[態様22]
前記板金ブランクはアルミニウム合金を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0119】
[態様23]
前記板金ブランクは、3xxxシリーズのアルミニウム合金、AA3003合金、AA3004合金、AA3104合金、またはAA3105合金を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0120】
[態様24]
前記パンチまたは前記ダイの一方または両方は鋼を含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0121】
[態様25]
前記金属製品は、金属カップ、再絞り加工された金属カップ、金属ボトルプリフォームを含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0122】
[態様26]
金属製品を製造するためのシステムであって、板金ブランクのパンチ側に第1の潤滑剤を塗布するための潤滑剤源と、異なる量の電流を印加するための制御可能な電流源と、前記板金ブランクを絞り加工して金属製品にするためのパンチ及びダイであって、前記制御可能な電流源は、前記第1の潤滑剤を介して電流を印加するために、前記パンチ、前記ダイ、または接点のうちの1つ以上に電気的に結合され、前記板金ブランクは、前記金属製品になるように前記パンチ及び前記ダイによって絞り加工され、前記金属製品は前記パンチから排出される、前記パンチ及び前記ダイと、を備える、前記システム。
【0123】
[態様27]
前記制御可能な電流源は、前記板金ブランクの絞り加工中に第1の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加し、前記金属製品の排出中に第2の電流を前記第1の潤滑剤を介して印加するように構成される、先行または後続の態様のいずかに記載のシステム。
【0124】
[態様28]
前記第1の潤滑剤はイオン液体を含む、先行または後続の態様のいずかに記載のシステム。
【0125】
[態様29]
前記第1の潤滑剤は、さらに、水性潤滑剤、油性潤滑剤、ワックス系潤滑剤、油性潤滑剤、石油系潤滑剤、合成エステル、ポリオールエステル、ポリオール系潤滑剤、ポリアルファオレフィン、ポリエチレングリコール、グラマーワックス、流動パラフィン、合成パラフィン、灯油、鉱油、白色ワセリン、ヤシ油、天然ワックス、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油、蜜ろう、ポリイソブチレン、ポリエチレングリコールジオレエート、脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、非イオン性界面活性剤、アミン、モルホリン、ジエチルアミノエタノールアミン、または水の1つ以上を含む、先行または後続の態様のいずかに記載のシステム。
【0126】
[態様30]
容器製造システムであって、ラム本体と、前記ラム本体の遠位端にあるラムノーズとを備える円筒形ラムであって、前記ラムノーズは容器プリフォームの基部と係合可能である、前記円筒形ラムと、前記円筒形ラムと同心に位置合わせされた開口部を含むダイであって、前記ラムノーズが前記容器プリフォームの前記基部と係合し、前記円筒形ラムが前記ダイ開口部を通して前記容器プリフォームを動かすことに応じて、前記開口部は、前記容器プリフォームを受けるためのサイズ及び形状とされる、前記ダイと、前記ダイに結合された超音波デバイスであって、前記超音波デバイスは前記ダイを振動させる一方、前記円筒形ラムは前記ダイ開口部を通して前記容器プリフォームを動かす、前記超音波デバイスと、を備える、前記容器製造システム。
【0127】
[態様31]
前記ダイは第1のダイであり、前記容器製造システムは、さらに、前記容器プリフォームを受け、前記第1のダイの前記開口部及び前記円筒形ラムと同軸に位置合わせするために開口部を有する第2のダイを含む、先行または後続の態様のいずかに記載の容器製造システム。
【0128】
[態様32]
前記超音波デバイスは第1の超音波デバイスであり、前記容器製造システムは、さらに、前記第2のダイを振動させる前記第2のダイと結合された第2の超音波デバイスを備え、前記円筒形ラムは、前記第2のダイ開口部を通して前記容器プリフォームを動かす、先行または後続の態様のいずかに記載の容器製造システム。
【0129】
[態様33]
前記第1の超音波デバイスは第1の周波数で前記第1のダイを振動させ、前記第2のダイは第2の周波数で前記第2のダイを振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載の容器製造システム。
【0130】
[態様34]
前記第1の周波数は前記第2の周波数に等しい、先行または後続の態様のいずかに記載の容器製造システム。
【0131】
[態様35]
前記容器プリフォームをさらに含む、先行または後続の態様のいずかに記載の容器製造システム。
【0132】
[態様36]
前記ダイを部分的に囲むスペーサをさらに備え、前記超音波デバイスは前記スペーサと前記ダイとの間に配置される、先行または後続の態様のいずかに記載の容器製造システム。
【0133】
[態様37]
アルミニウム容器を成形する方法であって、ラム上で、基部及び側壁を含む容器プリフォームを受けることであって、前記容器プリフォームの前記基部は前記ラムの遠位端と係合する、前記受けることと、ダイに接続された超音波デバイスを使用して前記ダイを振動させることであって、前記ダイは、前記ラムと同心円状に位置合わせされ、前記容器プリフォームを受けるためのサイズ及び形状とされた開口部を有する、前記振動させることと、前記ダイ開口部を通して直線方向に前記ラムを移動させることによって、前記ダイ開口部を通して前記容器プリフォームを動かすことと、を含む、前記方法。
【0134】
[態様38]
前記超音波デバイスは25kHZ~100kHZの周波数で前記ダイを振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0135】
[態様39]
前記超音波デバイスは前記ダイを軸方向に振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0136】
[態様40]
前記超音波デバイスは前記ダイを半径方向に振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0137】
[態様41]
前記ダイ開口部を通して前記ラムを後退させることをさらに含み、前記超音波デバイスは、前記ダイ開口部を通して前記容器プリフォームを動かすとき第1の方向に前記ダイを振動させ、前記ラムを後退させるとき、第2の方向に前記ダイを振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0138】
[態様42]
前記ダイは第1のダイであり、前記方法は、さらに、前記容器プリフォームを受けるための第2のダイ開口部を有する第2のダイを通して、前記容器プリフォームを動かすことを含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0139】
[態様43]
前記第2のダイを通して前記容器プリフォームを動かしている間、前記第2のダイを振動させることをさらに含む、先行または後続の態様のいずかに記載の方法。
【0140】
[態様44]
アルミ容器を成形するためのダイであって、容器プリフォームがダイ開口部を通してラムによって動かされたことに応答して、前記容器プリフォームを受けるためのサイズ及び形状とされた前記ダイ開口部を画定する本体と、前記容器プリフォームが前記ラムによって前記ダイ開口部を通して動かされている間、前記ダイを振動させるために前記ダイと結合された超音波デバイスと、を備える、前記ダイ。
【0141】
[態様45]
前記超音波デバイスは、前記容器プリフォームが前記ラムによって前記ダイ開口部を通して動かされた後、前記ダイを振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載のダイ。
【0142】
[態様46]
前記超音波デバイスは、半径方向または軸方向を含む第1の方向に前記ダイを振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載のダイ。
【0143】
[態様47]
前記超音波デバイスは第1の超音波デバイスであり、前記ダイは、さらに、前記ダイを振動させるために前記ダイと結合された第2の超音波デバイスを含む、先行または後続の態様のいずかに記載のダイ。
【0144】
[態様48]
前記第1の超音波デバイスは前記ダイを第1の方向に振動させ、前記第2の超音波デバイスは前記ダイを第2の方向に振動させる、先行または後続の態様のいずかに記載のダイ。
【0145】
[態様49]
前記ダイ開口部は50.95mm~76.40mmである、先行または後続の態様のいずかに記載のダイ。
【0146】
本明細書で引用されている全ての特許及び出版物は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。例示された実施形態及び例を含む実施形態及び例の前述の説明は、例示及び説明だけの目的のために提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。それらの多くの改変、適合、及び使用は、当業者には明らかであろう。