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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】画像表示装置、及び、画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022558607
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2020040072
(87)【国際公開番号】W WO2022091174
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】西内 誠
(72)【発明者】
【氏名】大島 史義
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑太
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-305039(JP,A)
【文献】特表2002-541899(JP,A)
【文献】特開2009-045427(JP,A)
【文献】特開2001-017430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置であって、
複数の超音波センサを用いて、人体から、生体管を含む人体内側の3次元画像情報を取得する取得部と、
前記3次元画像情報に含まれる生体管の横断面情報を用いて、前記生体管において、前記生体管の縦断面の幅が最大となる位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部によって特定された位置における前記生体管の縦断面を表す画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された画像を表示する表示部と、を備え
前記3次元画像情報には、生体管腔内に挿入された医療デバイスの3次元画像情報が含まれており、
前記画像生成部は、
前記位置特定部によって特定された位置に前記医療デバイスが存在している場合には、前記生体管の縦断面と前記医療デバイスとを含んだ画像を生成し、
前記位置特定部によって特定された位置に前記医療デバイスが存在していない場合には、前記生体管の縦断面を含み、前記医療デバイスを含まない画像を生成する、
画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記複数の超音波センサは、前記人体を囲んで配置される、
画像表示装置。
【請求項3】
請求項に記載の画像表示装置であって、
前記複数の超音波センサは、前記人体の周囲を覆う帯状体の全周の内側に配置された超音波素子である、
画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記位置特定部は、前記生体管の複数位置において、前記生体管の縦断面の幅が最大となる位置をそれぞれ特定し、
前記画像生成部は、前記位置特定部によって特定された複数位置における前記生体管の縦断面を表す画像を生成する、
画像表示装置。
【請求項5】
画像表示方法であって、画像表示装置が、
複数の超音波センサを用いて、人体から、生体管を含む人体内側の3次元画像情報を取得する工程と、
前記3次元画像情報に含まれる生体管の横断面情報を用いて、前記生体管において、前記生体管の縦断面の幅が最大となる位置を特定する工程と、
特定された前記位置における前記生体管の縦断面を表す画像を生成する工程と、
生成された前記画像を表示する工程と、を実行し、
前記3次元画像情報には、生体管腔内に挿入された医療デバイスの3次元画像情報が含まれており、
前記画像を生成する工程では、
前記位置を特定する工程において特定された位置に前記医療デバイスが存在している場合には、前記生体管の縦断面と前記医療デバイスとを含んだ画像を生成し、
前記位置を特定する工程において特定された位置に前記医療デバイスが存在していない場合には、前記生体管の縦断面を含み、前記医療デバイスを含まない画像を生成する、
画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、及び、画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を用いて、人体から人体内側の情報を取得する技術が知られている。例えば、特許文献1~4には、超音波センサ(「超音波振動子」、「圧電体」、「超音波送受信素子」、「超音波素子」とも呼ばれる)をシート状の固定部材に配列した診断装置であって、人体の体表から、超音波を用いて人体内側の情報を取得する診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-247214号公報
【文献】特開昭58-22046号公報
【文献】特開2006-51105号公報
【文献】特開2010-269060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、低侵襲な治療または検査のために、カテーテル等の医療デバイスを生体管腔内に挿入することが知られている。このような医療デバイスを用いた手技では、生体組織(例えば血管壁等)の損傷を抑制するために、医療デバイスが生体管の内壁に接触することを可能な限り抑制することが好ましい。しかし、特許文献1~4に記載の技術では、人体内側の生体管(例えば血管)の位置を特定することができるに過ぎず、生体管の状態や、生体管と医療デバイスとの位置関係を術者に提示することはできない。このため、特許文献1~4に記載の技術では、依然として、生体管腔内で医療デバイスを押し進める際には、術者の感覚に依拠する必要があるという課題があった。
【0005】
なお、このような課題は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官(生体管)に挿入される、カテーテル、ガイドワイヤ、内視鏡等の医療デバイスの全般に共通する。
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、生体管の状態を術者に提示することが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、複数の超音波センサを用いて、人体から、生体管を含む人体内側の3次元画像情報を取得する取得部と、前記3次元画像情報に含まれる生体管の横断面情報を用いて、前記生体管において、前記生体管の縦断面の幅が最大となる位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部によって特定された位置における前記生体管の縦断面を表す画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部によって生成された画像を表示する表示部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、位置特定部は、3次元画像情報に含まれる生体管の横断面情報を用いて、生体管において、生体管の縦断面の幅が最大となる位置を特定し、画像生成部は、位置特定部によって特定された位置における生体管の縦断面を表す画像を生成し、表示部は、画像生成部によって生成された画像を表示する。このため術者は、表示部に表示された生体管の縦断面を表す画像を参照することで、生体管の状態を知ることができる。この結果、生体管の状態を術者に提示することが可能な画像表示装置を提供できる。また、カテーテル等の医療デバイスが生体管の内壁に接触することを抑制して、生体組織(例えば血管壁等)の損傷を抑制するためには、医療デバイスを生体管腔の中心付近に位置させつつ、デリバリすることが好ましい。この点、本構成によれば、表示部に表示される画像は、生体管の縦断面の幅が最大となる位置における生体管の縦断面、換言すれば、生体管腔の中心を含む生体管の縦断面を表す。このため術者は、医療デバイスを通過させようとする位置に対応した生体管の状態を知ることができる。
【0010】
(2)上記形態の画像表示装置において、前記3次元画像情報には、生体管腔内に挿入された医療デバイスの3次元画像情報が含まれており、前記画像生成部は、前記位置特定部によって特定された位置に前記医療デバイスが存在している場合には、前記生体管の縦断面と前記医療デバイスとを含んだ画像を生成し、前記位置特定部によって特定された位置に前記医療デバイスが存在していない場合には、前記生体管の縦断面を含み、前記医療デバイスを含まない画像を生成してもよい。
この構成によれば、画像生成部は、位置特定部によって特定された位置に医療デバイスが存在している場合には、生体管の縦断面と医療デバイスとを含んだ画像を生成し、置特定部によって特定された位置に医療デバイスが存在していない場合には、生体管の縦断面を含み、医療デバイスを含まない画像を生成する。このため術者は、表示部に表示される画像に医療デバイスが含まれるか否かによって、生体管と医療デバイスとの位置関係を知ることができる。具体的には、術者は、画像中に医療デバイスが含まれていれば、生体管の縦断面の幅が最大となる位置に医療デバイスが存在していること(換言すれば、生体管腔の中心付近に医療デバイスが位置していること)がわかる。また、術者は、画像中に医療デバイスが含まれていなければ、生体管の縦断面の幅が最大となる位置に医療デバイスが存在していないこと(換言すれば、生体管の内壁近傍に医療デバイスが寄っていること)がわかる。この結果、本構成によれば、生体管の状態に加えてさらに、生体管と医療デバイスとの位置関係を術者に提示することが可能な画像表示装置を提供できる。
【0011】
(3)上記形態の画像表示装置において、前記複数の超音波センサは、前記人体を囲んで配置されてもよい。
この構成によれば、複数の超音波センサは人体を囲んで配置されるため、取得部は、超音波センサにより囲まれた範囲全体の3次元画像情報を取得できる。この結果、画像表示装置は、当該範囲全体から任意の生体管を決定し、当該生体管についての縦断面を表す画像を生成、表示できる。
【0012】
(4)上記形態の画像表示装置において、前記複数の超音波センサは、前記人体の周囲を覆う帯状体の全周の内側に配置された超音波素子であってもよい。
この構成によれば、複数の超音波センサは人体の周囲を覆う帯状体の全周の内側に配置されるため、患者に対して容易に装着及び取外しできると共に、患者の体格(体の大きさ)を問わず使用できる。
【0013】
(5)上記形態の画像表示装置において、前記位置特定部は、前記生体管の複数位置において、前記生体管の縦断面の幅が最大となる位置をそれぞれ特定し、前記画像生成部は、前記位置特定部によって特定された複数位置における前記生体管の縦断面を表す画像を生成してもよい。
この構成によれば、位置特定部は、生体管の複数位置において生体管の縦断面の幅が最大となる位置をそれぞれ特定し、画像生成部は、当該複数位置における生体管の縦断面を表す画像を生成する。この結果、画像表示装置は、生体管の形状(例えば、湾曲、分岐等)に応じて適宜に位置を設定することにより、生体管の形状を問わず、生体管の縦断面を表す画像を生成し、表示できる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、表示用の画像を生成する画像生成装置、画像生成方法、画像表示装置を含む医療システム、これら装置及びシステムの製造方法、これら装置及びシステムの機能を実現するコンピュータプログラムなどの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の画像表示装置の構成を例示した説明図である。
図2】超音波センサアレイの構成を例示した説明図である。
図3】人体の3次元画像情報の説明図である。
図4】3次元画像情報に含まれる血管の説明図である。
図5】位置特定部の処理について説明する図である。
図6】画像生成部の処理について説明する図である。
図7】画像生成部の処理について説明する図である。
図8】表示部に表示される画像の一例を表す図である。
図9】表示部に表示される画像の他の例を表す図である。
図10】表示部に表示される画像の他の例を表す図である。
図11】第2実施形態の画像表示装置の構成を例示した説明図である。
図12】第2実施形態の位置特定部の処理について説明する図である。
図13】第2実施形態の画像生成部の処理について説明する図である。
図14】時刻t1において表示部に表示される画像の一例を表す図である。
図15】時刻t2において表示部に表示される画像の一例を表す図である。
図16】第3実施形態の表示部に表示される画像の一例を表す図である。
図17】第3実施形態の表示部に表示される画像の他の例を表す図である。
図18】第4実施形態の画像表示装置の構成を例示した説明図である。
図19】第4実施形態の位置特定部の処理について説明する図である。
図20】第4実施形態の表示部に表示される画像の一例を表す図である。
図21】第5実施形態の表示部に表示される画像の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の画像表示装置1の構成を例示した説明図である。画像表示装置1は、超音波を用いて、人体90の生体管の縦断面を表す画像を生成し、表示する装置である。以降では、生体管の一例として、人体90の血管を例示する。しかし生体管には、血管系のほか、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等を含み得る。また、画像表示装置1は、医療デバイスと組み合わせて使用できる。以降では、医療デバイスの一例として、カテーテル20を例示する。しかし医療デバイスには、カテーテル20のほか、ガイドワイヤ等の任意のデバイスを採用できる。画像表示装置1は、超音波センサアレイ10と、コンピュータ50と、表示部60と、操作部70とを備えている。
【0017】
図2は、超音波センサアレイ10の構成を例示した説明図である。超音波センサアレイ10は、複数の超音波センサ11を有しており、生体管を含む人体90内側の3次元画像情報を取得するために用いられる。超音波センサアレイ10は、複数の超音波センサ11と、帯状体12と、バンド13とを備えている。
【0018】
超音波センサ11は、人体90内側の生体組織に向けて超音波を発信し、生体組織を伝搬して反射した超音波を受信する超音波探触子(超音波振動子、圧電体、超音波送受信素子、超音波素子とも呼ばれる)である。図2の例では、複数の超音波センサ11は、帯状体12の一方の面側の全体にわたって、n行m列(n,mは任意の自然数)の格子状に配置されている。以降、帯状体12のうち、超音波センサ11が配置された側の面を「内側面」とも呼び、内側面と逆側の面を「外側面」とも呼ぶ。なお、図2では、1行1列目の超音波センサをE11、1行2列目の超音波センサをE12、1行m列目の超音波センサをE1m、n行m列目の超音波センサをEnmとして表している。なお、超音波センサ11は、n行m列の格子状に規則的に配置されるとしたが、不規則な配置であってもよい。
【0019】
帯状体12は、柔軟性と、伸縮性とを有する帯状の部材であり、例えば、ゴム、合成樹脂、布等により形成されている。術者は、寝台95に横たわった人体90の周囲に、帯状体12の内側面(超音波センサ11が配置された側の面)を、人体90の体表側に向けた状態で巻き付ける。これにより、複数の超音波センサ11を、人体90を取り囲んで配置することができる。なお、図1の例では、帯状体12を人体90の大腿部の周囲に巻き付けている。しかし、帯状体12は、胸部、腰部、腕部、首部、頭部の周囲等の任意の位置に巻き付けてよい。また、帯状体12は、人体90の体表(皮膚)に、潤滑剤越しに巻き付けられる。
【0020】
バンド13は、帯状体12の一方の短辺に取り付けられた帯状の小片であり、例えば、ゴム、合成樹脂、布等により形成されている。バンド13には、固定用の金具や、マジックテープ等が設けられており、人体90の周囲に帯状体12を巻き付けた状態で固定することができる。
【0021】
図1に戻り、説明を続ける。カテーテル20は、人体90の生体管腔内(血管内)に挿入され、治療または検査のために用いられる医療デバイスである。カテーテル20は、シャフト21と、先端チップ22と、コネクタ23と、マーカー24とを備えている。シャフト21は、長尺状の外形を有する中空の部材である。先端チップ22は、シャフト21の先端に取り付けられた柔軟性を有する部材である。コネクタ23は、シャフト21の基端に設けられた部材であり、術者がカテーテル20を把持する際に用いる部材である。マーカー24は、シャフト21と先端チップ22との間に設けられた放射線不透過性を有する部材である。なお、図1に示すカテーテル20の構成はあくまで一例であり、任意の構成を採用できる。例えば、先端チップ22やマーカー24を省略してもよい。例えば、カテーテル20に代えて、ガイドワイヤ等を用いてもよい。
【0022】
表示部60は、表示画面61を備えた液晶ディスプレイである。表示部60は、後述する画像生成部53によって生成された画像を表示する「表示部」として機能する。なお、表示部60は、液晶ディスプレイ以外の表示装置(例えば、スマートグラス、プロジェクタ等)により構成されてもよい。操作部70は、コンピュータ50に対して情報を入力するためのキーボード及びマウスである。なお、操作部70は、キーボードやマウス以外の入力装置(例えば、音声入力を取得するためのマイク、タッチパネル、フットスイッチ等)により構成されてもよい。
【0023】
コンピュータ50は、画像表示装置1の全体を制御する装置である。コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)を含んで構成されており、ROMに記憶されているコンピュータプロ
グラムをCPUが実行することにより、取得部51、位置特定部52、及び画像生成部53として機能する。また、コンピュータ50は、記憶部59として機能するハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどを含んでいる。コンピュータ50は、超音波センサアレイ10、表示部60、操作部70のそれぞれと電気的に接続されている。
【0024】
図3は、人体90の3次元画像情報Icsの説明図である。取得部51は、人体90に巻き付けられた超音波センサアレイ10の超音波センサ11(E11~Enm)を用いて、人体90から、血管91を含む人体内側の3次元画像情報Icsを取得する。3次元画像情報Icsは、人体90の立体的な内部構造を表す情報である。3次元画像情報Icsには、血管91、骨92、筋肉93、脂肪94といった、人体90内側の各生体組織の相対的な3次元位置と、各生体組織の3次元形状と、が含まれている。血管91は「生体管」に相当する。また、図3では図示していないが、カテーテル20が人体90に挿入された状態で3次元画像情報Icsが取得された場合、3次元画像情報Icsには、人体90内側におけるカテーテル20の三次元位置と、カテーテル20の三次元形状と、が含まれる。なお、3次元画像情報Icsには、例えばリンパ管等、血管91とは異なる生体管が含まれていてもよい。
【0025】
取得部51は、複数の超音波センサ11(E11~Enm)における超音波の発信タイミングを制御して、超音波センサE11,E12,E13,・・・,Enmというように、センサごとに超音波の発信タイミングをずらす。そうすると、センサごとに受信する超音波(反射波)のタイミングもずれため、取得部51は、超音波センサE11~Enmの各位置に対応した強度の反射波を取得できる。人体90内側の各生体組織は、血管91、骨92、筋肉93、脂肪94といった組織ごとに、音響インピーダンスの値が相違する。取得部51は、複数の超音波センサ11(E11~Enm)がそれぞれ受信した反射波の強度から、人体90内側の生体組織の分布(血管91、骨92、筋肉93、脂肪94といった各組織の分布)を取得することができ、図3に示す3次元画像情報Icsを生成できる。
【0026】
図4は、3次元画像情報Icsに含まれる血管91の説明図である。図4では、相互に直行するXYZ軸を図示する。X軸は血管91の長さ方向に対応し、Y軸及びZ軸は血管91の幅方向に対応する。位置特定部52は、3次元画像情報Icsから、血管91の縦断面の幅が最大となる位置を特定する。
【0027】
具体的には、まず、位置特定部52は、3次元画像情報Icsから画像の表示対象とする血管91を特定する。図4は、位置特定部52により特定された血管91の一例を表す。血管91の特定は、操作部70を介した術者の指定によって実現できる。また、血管91の特定は、3次元画像情報Icsに含まれる各生体組織の形状と、予め記憶部59に記憶された形状との、パターンマッチングにより自動的になされてもよい。次に、位置特定部52は、特定した血管91の任意の位置から、血管91の横断面を取得する。図4の例では、位置特定部52は、血管91の略中央の横断面C2と、横断面C2の±X軸方向に位置する横断面C1,C3と、の3か所の横断面を取得している。なお、位置特定部52が取得する横断面の位置、及び、横断面の数は任意に変更することができる。例えば、位置特定部52は、血管91から1つの横断面のみを取得してもよい。
【0028】
図5は、位置特定部52の処理について説明する図である。図5のYZ軸は、図4のYZ軸にそれぞれ対応している。位置特定部52は、取得した横断面C1~C3を用いて、血管91において、血管91の縦断面の幅が最大となる位置を特定する。具体的には、位置特定部52は、取得した横断面C1~C3のそれぞれについて、Y軸方向の幅H1~Hx(xは任意の自然数)から、最大となる幅(図5の例では、幅H2)を特定する。ここで特定した幅H2の位置が、血管91の縦断面の幅が最大となる位置に相当する。なお、図5では、横断面C1~C3について、Y軸方向の幅H1~Hxのうち、幅H1,H2,H3のみを図示している。
【0029】
図6及び図7は、画像生成部53の処理について説明する図である。図6のXYZ軸は、図4のXYZ軸にそれぞれ対応している。画像生成部53は、位置特定部52により特定された位置(すなわち、横断面C1~C3のそれぞれについて、Y軸方向の幅が最大となる幅H2の位置)における、血管91の縦断面LS2を表す画像を生成する。具体的には、画像生成部53は、図7に示す超音波センサアレイ10の複数の超音波センサ11(E11~Enm)のうち、縦断面LS2に対応する位置の超音波センサ11x(図7:矩形枠)から受信された反射波を用いて、各超音波センサ11xの反射波の強度に応じた濃淡の諧調を付した2次元画像を生成する。そして、画像生成部53は、生成した画像を表示部60に表示させる。
【0030】
図8は、表示部60に表示される画像の一例を表す図である。図8(A)には、Y軸方向から見た血管91とカテーテル20との位置関係を示し、図8(B)には、その際に表示部60に表示される画像IMの一例を示す。画像IMは、縦断面LS2を含んだXY平面を表す2次元画像である。図8(A)に示すように、カテーテル20が血管91の縦断面LS2近傍を進んでいる場合、血管91の縦断面LS2を表す画像IMには、カテーテル20(シャフト21、マーカー24、及び先端チップ22)が含まれている。また、画像IMには、筋肉93や脂肪94といった、他の生体組織も含まれている。
【0031】
図9は、表示部60に表示される画像の他の例を表す図である。図9(A),(B)の構成は、図8と同様である。図9(A)に示すように、カテーテル20が血管91の縦断面LS2から離れた位置(図示の例では、縦断面LS3近傍の位置)を進んでいる場合、血管91の縦断面LS2を表す画像IMには、カテーテル20が含まれていない。
【0032】
図10は、表示部60に表示される画像の他の例を表す図である。図10(A),(B)の構成は、図8と同様である。図10(A)に示すように、カテーテル20のうち、先端側の一部分は湾曲して血管91の縦断面LS2から離れた位置に存在し、基端側の一部分は血管91の縦断面LS2近傍の位置に存在する。このような場合、血管91の縦断面LS2を表す画像IMには、カテーテル20の先端側の一部分が含まれず、基端側の一部分が含まれている。
【0033】
上述の通り、血管91の縦断面LS2は、血管91の縦断面の幅が最大となる位置H2(図5に例示した略円形の横断面形状を有する血管91の場合はZ軸方向の中央)に相当する。術者は、図8(B)に示すように、画像IMにカテーテル20が含まれた状態において、画像IMの血管91のY軸方向の中央を通過するようにして、カテーテル20を押し進める。そうすれば術者は、血管91の中心(換言すれば、血管91の内壁からそれぞれ最も遠い位置)において、カテーテル20を押し進めることができる。また、画像表示装置1では、超音波を用いて血管91とカテーテル20との画像IMを、リアルタイムに確認することができる。このため、X線撮影による撮像と比較して、造影剤を体内に注入する必要がないため人体90にかかる負荷を低減でき、手技の安全性を向上できる。また、CT撮影による撮像と比較して、リアルタイムに血管91とカテーテル20との画像IMを撮像できるため、手技に要する時間を短縮できる。
【0034】
このように、第1実施形態の画像表示装置1によれば、位置特定部52は、3次元画像情報Icsに含まれる生体管(血管91)の横断面情報C1~C3を用いて、生体管において、生体管の縦断面の幅が最大となる位置H2を特定し、画像生成部53は、位置特定部52によって特定された位置H2における生体管の縦断面LS2を表す画像IMを生成し、表示部60は、画像生成部53によって生成された画像IMを表示する(図8図10)。このため術者は、表示部60に表示された生体管の縦断面LS2を表す画像IMを参照することで、生体管の状態を知ることができる。この結果、生体管の状態を術者に提示することが可能な画像表示装置1を提供できる。また、カテーテル20等の医療デバイスが生体管の内壁に接触することを抑制して、生体組織(例えば血管壁等)の損傷を抑制するためには、医療デバイスを生体管腔の中心付近に位置させつつ、デリバリすることが好ましい。この点、第1実施形態の画像表示装置1によれば、表示部60に表示される画像IMは、生体管の縦断面の幅が最大となる位置H2における生体管の縦断面LS2、換言すれば、生体管腔の中心を含む生体管の縦断面LS2を表す。このため術者は、医療デバイスを通過させようとする位置に対応した生体管の状態を知ることができる。
【0035】
また、第1実施形態の画像表示装置1は、位置特定部52によって特定された位置H2に医療デバイス(カテーテル20)が存在している場合には、生体管(血管91)の縦断面LS2と医療デバイスとを含んだ画像IMを生成する(図8図10)。また、位置特定部52によって特定された位置H2に医療デバイスが存在していない場合には、生体管の縦断面LS2を含み、医療デバイスを含まない画像IMを生成する(図9図10)。このため術者は、表示部60に表示される画像IMに医療デバイスが含まれるか否かによって、生体管と医療デバイスとの位置関係を知ることができる。具体的には、術者は、画像IM中に医療デバイスが含まれていれば、生体管の縦断面の幅が最大となる位置H2に医療デバイスが存在していること(換言すれば、生体管腔の中心付近に医療デバイスが位置していること)がわかる。また、術者は、画像IM中に医療デバイスが含まれていなければ、生体管の縦断面の幅が最大となる位置H2に医療デバイスが存在していないこと(換言すれば、生体管の内壁近傍に医療デバイスが寄っていること)がわかる。この結果、第1実施形態の画像表示装置1によれば、生体管の状態に加えてさらに、生体管と医療デバイスとの位置関係を術者に提示することが可能な画像表示装置1を提供できる。
【0036】
さらに、第1実施形態の画像表示装置1によれば、位置特定部52は、生体管(血管91)の複数位置C1~C3において、生体管の縦断面の幅が最大となる位置H2をそれぞれ特定し、画像生成部53は、当該複数位置C1~C3における(当該複数位置C1~C3を結んだ)生体管の縦断面LS2を表す画像IMを生成する。この結果、画像表示装置1は、生体管の形状(例えば、湾曲、分岐等)に応じて適宜に位置C1~C3を設定することにより、生体管の形状を問わず、生体管の縦断面LS2を表す画像IMを生成し、表示できる。
【0037】
さらに、第1実施形態の画像表示装置1では、複数の超音波センサ11(E11~Enm)は人体90を囲んで配置される(図1)。このため、取得部51は、超音波センサ11により囲まれた範囲全体の3次元画像情報Icsを取得できる。この結果、画像表示装置1は、当該範囲全体から任意の生体管(血管91)を決定し、当該生体管についての縦断面LS2を表す画像IMを生成、表示できる。また、複数の超音波センサ11は人体90の周囲を覆う帯状体12の全周の内側に配置される(図2)。このため、患者に対して容易に超音波センサアレイ10の装着及び取外しができると共に、患者の体格(体の大きさ)を問わず共通の超音波センサアレイ10を使用できる。
【0038】
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態の画像表示装置1Aの構成を例示した説明図である。第2実施形態の画像表示装置1Aは、生体管の湾曲、分岐等の形状変化に対応した画像を生成、表示できる。画像表示装置1Aは、第1実施形態の構成において、コンピュータ50に代えてコンピュータ50Aを備えている。コンピュータ50Aは、位置特定部52に代えて位置特定部52Aを、画像生成部53に代えて画像生成部53Aをそれぞれ備える。
【0039】
図12は、第2実施形態の位置特定部52Aの処理について説明する図である。位置特定部52Aは、第1実施形態と同様の方法を用いて、3次元画像情報Icsから画像の表示対象とする血管91Aを特定する。図12は、位置特定部52Aにより特定された血管91Aの一例を表す。血管91Aは、紙面左側から右側に向かって、+X軸方向に延伸し、その後、+X軸方向かつ-Y軸方向かつ+Z軸方向に延伸した湾曲形状を有する。
【0040】
次に、位置特定部52Aは、特定した血管91Aの中から、血管91Aの形状の変化量が相対的に大きな位置(以降「変化位置」とも呼ぶ)の横断面C2を取得する。変化位置の取得は、周知の画像認識手法によって実現できる。取得された横断面C2は、血管91Aの湾曲点、屈折点、分岐点等(以降「湾曲点等」とも呼ぶ)を表す。また、位置特定部52Aは、血管91Aの延伸方向において、横断面C2の両側に位置する任意の横断面C1,C3を取得する。このように、第2実施形態の位置特定部52Aは、血管91Aから複数の横断面C1~C3を取得する。図示の例では3か所の横断面を例示したが、位置特定部52Aが取得する横断面の数は任意に決定できる。
【0041】
位置特定部52Aは、取得した横断面C1~C3を用いて、血管91Aにおいて、血管91Aの縦断面の幅が最大となる位置を特定する。詳細は第1実施形態と同様である。
【0042】
図13は、第2実施形態の画像生成部53Aの処理について説明する図である。画像生成部53Aは、位置特定部52Aにより特定された位置(すなわち、横断面C1~C3のそれぞれについて、Y軸方向の幅が最大となる幅H2の位置)における、血管91Aの縦断面LS2を表す画像を生成する。ここで、本実施形態の画像生成部53Aは、血管91Aの湾曲点等をまたがない画像を生成する。例えば、ある時刻t1において、カテーテル20の先端部は、血管91Aの湾曲点等の手前(すなわち、横断面C1とC2との間)に位置しており、次の時刻t2において、カテーテル20の先端部は、血管91Aの湾曲点等の先(すなわち、横断面C2とC3との間)に位置している場合を想定する。この場合、時刻t1において画像生成部53Aは、縦断面LS2に対応する位置の超音波センサ11x(図13:矩形枠)のうち、領域A1に位置する超音波センサ11xから受信された反射波を用いて、各超音波センサ11xの反射波の強度に応じた濃淡の諧調を付した2次元画像を生成し、表示部60に表示させる。次に、時刻t2において画像生成部53Aは、縦断面LS2に対応する位置の超音波センサ11x(図13:矩形枠)のうち、領域A2に位置する超音波センサ11xから受信された反射波を用いて、各超音波センサ11xの反射波の強度に応じた濃淡の諧調を付した2次元画像を生成し、表示部60に表示させる。
【0043】
図14は、時刻t1において表示部60に表示される画像の一例を表す図である。図14(A)には、Y軸方向から見た血管91Aとカテーテル20との位置関係を示し、図14(B)には、その際に表示部60に表示される画像IMAの一例を示す。画像IMAは、第1実施形態と同様に、縦断面LS2を含んだXY平面を表す2次元画像である。図示のように、カテーテル20が血管91Aの湾曲点等の手前(すなわち、横断面C1とC2との間)において、血管91Aの縦断面LS2近傍を進んでいる場合、画像IMAには、横断面C1とC2との間に対応した領域A1の血管91Aの画像と、カテーテル20とが含まれている。
【0044】
図15は、時刻t2において表示部60に表示される画像の一例を表す図である。図15(A),(B)の構成は、図14と同様である。図示のように、カテーテル20が血管91Aの湾曲点等の先(すなわち、横断面C2とC3との間)において、血管91Aの縦断面LS2近傍を進んでいる場合、画像IMAには、横断面C2とC3との間に対応した領域A2の血管91Aの画像と、カテーテル20とが含まれている。ここで、図15(B)に示すように、画像生成部53Aは、実際の血管91Aの向きにかかわらず、画像IMA上において、血管91Aが常に直線状に伸びているように見えるよう、2次元画像の補正を行う。この補正は、周知の傾き補正処理により実施できる。
【0045】
上述の通り、第2実施形態の画像表示装置1Aでは、血管91A(生体管)の湾曲、分岐等の形状変化に対応した画像IMAを生成、表示できる。このため術者は、図14(B)及び15(B)に示す画像IMAからカテーテル20の先端側の一部分が消失した場合は、カテーテル20が血管91Aの形状に沿って進んでいないと判断できる。この際、術者は、一旦カテーテル20を引き戻して、画像IMAにカテーテル20の全体が映るようにカテーテル20の向きを変更した状態で、カテーテル20を押し進める。このようにすれば、血管91Aの形状に沿ってカテーテル20をデリバリすることができるため、カテーテル20が血管91Aの内壁に衝突することを抑制することができ、手技の安全性を向上できる。
【0046】
このように、位置特定部52Aは、血管91Aの形状の変化量が相対的に大きな位置(変化位置)の横断面C2を取得し、この横断面C2を基準として両側に位置する横断面C1,C3を取得し、これら横断面C1~C3の情報を用いて、血管91Aの縦断面の幅が最大となる位置を特定してもよい。また、画像生成部53Aは、超音波センサアレイ10の複数の超音波センサ11のうち、任意の超音波センサE11~Enmからの情報を用いて画像IMAを生成してよい。このようにしても、第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、手技の安全性を向上できる。また、第2実施形態の画像表示装置1Aでは、画像生成部53Aは、図15(B)に示すように、画像IMA上において、血管91Aが常に直線状に伸びているように見えるよう、2次元画像の補正を行う。このため術者は、実際の血管91Aの向きを意識することなく、画像IMA上において、血管91Aの中心にカテーテル20が位置するように、カテーテル20を操作すればよい。この結果、第2実施形態の画像表示装置1Aによれば、手技を容易にできる。
【0047】
<第3実施形態>
図16は、第3実施形態の表示部60に表示される画像の一例を表す図である。図16(A)には、Y軸方向から見た血管91とカテーテル20との位置関係を示し、図16(B)には、その際に表示部60に表示される画像IMBの一例を示す。第3実施形態の画像表示装置1は、生体管の複数の位置における縦断面を表す画像を生成、表示できる。第3実施形態の画像表示装置1のコンピュータ50は、第1実施形態の構成において、画像生成部53に代えて画像生成部53Bを備える。
【0048】
図16(B)に示すように、画像生成部53Aが生成する画像IMBは、左側に、血管91の縦断面の幅が最大となる位置における縦断面LS2を表す画像を含んでいる。また、画像IMBは、右側上段に、血管91の縦断面の幅が最大でない位置における縦断面LS1を表す画像を、右側下段に、同じく血管91の縦断面の幅が最大でない位置における縦断面LS3を表す画像を、それぞれ含んでいる。図16(A)に示すように、カテーテル20が血管91の縦断面LS2近傍を進んでいる場合、画像IMBのうち左側の画像に、カテーテル20が含まれる。
【0049】
図17は、第3実施形態の表示部60に表示される画像の他の例を表す図である。図17(A),(B)の構成は、図16と同様である。図17(A)に示すように、カテーテル20の基端側の一部分が縦断面LS2に沿い、かつ、先端側の一部分が縦断面LS2から縦断面LS3の方向に湾曲している場合を想定する。このような場合、図17(B)に示すように、画像IMBのうち左側の画像に、カテーテル20の基端側の一部分が含まれ、右側下段の画像に、カテーテル20の先端側の一部分が含まれる。
【0050】
このように、画像生成部53Bは、位置特定部52により特定された位置における血管91(生体管)の縦断面LS2を表す画像に加えてさらに、他の位置における血管91の縦断面LS1,LS3を表す画像を含んだ画像IMBを生成してもよい。このようにしても第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第3実施形態の画像表示装置1によれば、術者は、他の位置における血管91の縦断面LS1,LS3を表す画像を参照することで、カテーテル20の位置がずれていることを把握できる。
【0051】
<第4実施形態>
図18は、第4実施形態の画像表示装置1Cの構成を例示した説明図である。第4実施形態の画像表示装置1Cは、生体管のうち縦断面の幅が最大となる位置の特定方法が、第1実施形態とは異なる。画像表示装置1Cは、第1実施形態の構成において、コンピュータ50に代えてコンピュータ50Cを備えている。コンピュータ50Cは、位置特定部52に代えて位置特定部52Cを、画像生成部53に代えて画像生成部53Cをそれぞれ備える。
【0052】
図19は、第4実施形態の位置特定部52Cの処理について説明する図である。位置特定部52Cは、第1実施形態と同様の方法を用いて、3次元画像情報Icsから画像の表示対象とする血管91を特定し、任意の横断面C1~C3を取得する。図19は、位置特定部52Cにより特定された血管91の一例を示す。次に、位置特定部52Cは、血管91において、取得した横断面C1~C3を用いて、血管91において、血管91の縦断面の幅が最大となる位置を特定する。具体的には、位置特定部52Cは、取得した横断面C1~C3のそれぞれについて、Z軸方向の幅W11~W1x(xは任意の自然数)から、最大となる幅(図19の例では、幅W12)を特定する。第4実施形態では、ここで特定した幅W12の位置が、血管91の縦断面の幅が最大となる位置に相当する。
【0053】
画像生成部53Cは、位置特定部52Cにより特定された位置(すなわち、横断面C1~C3のそれぞれについて、Z軸方向の幅が最大となるW12の位置)における、血管91の縦断面LS12を表す画像を生成する。そして、画像生成部53Cは、生成した画像を表示部60に表示させる。なお、図19では、上述した幅W12,W13及び縦断面LS12,LS13(斜線ハッチング)に加えてさらに、第1実施形態で用いた幅H11~H13及び縦断面LS2,LS3(ドットハッチング)についても図示している。図19に示すように、第4実施形態の縦断面LS12,LS13は、第1実施形態の縦断面LS2,LS3と垂直に交差する面である。
【0054】
図20は、第4実施形態の表示部60に表示される画像の一例を表す図である。図20(A)には、Y軸方向から見た血管91とカテーテル20との位置関係を示し、図20(B)には、X軸方向から見た血管91とカテーテル20との位置関係を示し、図20(C)には、その際に表示部60に表示される画像IMCの一例を示す。図20(C)に示すように、画像IMCは、縦断面LS11~LS13を含んだXZ平面を表す2次元画像である。画像IMCは、左側に、血管91の縦断面の幅が最大となる位置における縦断面LS12を表す画像を含んでいる。また、画像IMCは、右側上段に、血管91の縦断面の幅が最大でない位置における縦断面LS11を表す画像を、右側下段に、同じく血管91の縦断面の幅が最大でない位置における縦断面LS13を表す画像を、それぞれ含んでいる。
【0055】
図20(B)に示すように、カテーテル20の基端側の一部分が縦断面LS12に沿い、かつ、先端側の一部分が縦断面LS12から縦断面LS13の方向に湾曲している場合を想定する。このような場合、図20(C)に示すように、画像IMCのうち左側の画像に、カテーテル20の基端側の一部分が含まれ、右側下段の画像に、カテーテル20の先端側の一部分が含まれる。
【0056】
このように、位置特定部52Cは、Z軸方向を用いて、血管91(生体管)のうち縦断面の幅が最大となる位置を特定してもよく、画像生成部53Cは、Z軸方向の縦断面LS12を含む画像IMCを生成してもよい。また、位置特定部52Cは、第1実施形態で説明したY軸方向を用いた位置の特定と、第4実施形態で説明したZ軸方向を用いた位置の特定との両方を実施してもよい。この場合、画像生成部53Cは、第1実施形態で説明したY軸方向の縦断面LS2を含み、かつ、第4実施形態で説明したZ軸方向の縦断面LS12を含む画像IMCを生成してもよい。また、位置特定部52Cは、Y軸及びZ軸に対して傾斜した任意の方向を用いて、同様の処理を行ってもよい。このようにしても、第1実施形態及び第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
<第5実施形態>
図21は、第5実施形態の表示部60に表示される画像の一例を表す図である。図21(A)には、Y軸方向から見た血管91とカテーテル20との位置関係を示し、図21(B)には、その際に表示部60に表示される画像IMDの一例を示す。第5実施形態の画像表示装置1は、カテーテル20を含まない生体管の縦断面を表す画像を生成、表示する。第5実施形態の画像表示装置1のコンピュータ50は、第1実施形態の構成において、画像生成部53に代えて画像生成部53Dを備える。画像生成部53Dは、位置特定部52によって特定された位置H2における血管91の縦断面LS2を含み、カテーテル20を含まない画像IMDを生成し、表示部60に表示させる。このため、図21(A)に示すように、カテーテル20が血管91の縦断面LS2近傍を進んでいる場合であっても、図21(B)に示すように、画像IMDにはカテーテル20が含まれない。このようにしても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
<本実施形態の変形例>
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
[変形例1]
上記第1~第5実施形態では、画像表示装置1,1A,1Cの構成を例示した。しかし、画像表示装置1の構成は種々の変更が可能である。例えば、画像表示装置1において、超音波センサアレイ10と、コンピュータ50と、表示部60と、操作部70との少なくとも一部は、一体的なデバイスとして構成されてもよい。例えば、超音波センサアレイ10において、複数の超音波センサ11は、帯状体12に配置されるとした。しかし、複数の超音波センサ11は、帽子等の装着物の内側面や、ガウン等の衣服の内側面、体表に配置されるパッドの内側面等に設けられてもよい。例えば、複数の超音波センサ11は、帯状体12の内側面の全体にわたって配置されるとしたが、複数の超音波センサ11は、帯状体12の内側面の一部分に配置されていてもよい。
【0060】
[変形例2]
上記第1~第5実施形態では、位置特定部52,52A,52Cの処理、及び、画像生成部53,53A~53Dの処理の一例について説明した。しかし、位置特定部52及び画像生成部53の処理は種々の変更が可能である。例えば、位置特定部52は、横断面C1~C3の数及び設定箇所について、操作部70を介して術者の指示を取得し、当該指示に従って処理してもよい。例えば、画像生成部53は、生成する画像IMに表示する縦断面を第1,2,5実施形態で説明した構成とするか、第3,4実施形態で説明した構成とするかについて、操作部70を介して術者の指示を取得し、当該指示に従って処理してもよい。
【0061】
[変形例3]
上記第1~第5実施形態の画像表示装置1,1A,1Cの構成、及び上記変形例1,2の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態で説明した生体管の形状変化に対応した画像を生成表示する構成において、第3実施形態で説明した複数の縦断面を含む画像を生成してもよく、第4実施形態で説明したZ軸方向の縦断面を含む画像を生成してもよく、第5実施形態で説明した医療デバイスを含まない画像を生成してもよい。
【0062】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1C…画像表示装置
10…超音波センサアレイ
11,11x…超音波センサ
12…帯状体
13…バンド
20…カテーテル
21…シャフト
22…先端チップ
23…コネクタ
24…マーカー
50,50A,50C…コンピュータ
51…取得部
52,52A,52C…位置特定部
53,53A~53D…画像生成部
59…記憶部
60…表示部
61…表示画面
70…操作部
90…人体
91,91A…血管
92…骨
93…筋肉
94…脂肪
95…寝台
図1
図2
図3
図4
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