(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】便座用電気筋肉刺激器具、及び便座用電気筋肉刺激システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240215BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
(21)【出願番号】P 2023070592
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523145804
【氏名又は名称】林 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】林 正道
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0155954(US,A1)
【文献】韓国登録特許第2284897(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0004679(US,A1)
【文献】韓国登録特許第2379354(KR,B1)
【文献】国際公開第2019/151136(WO,A1)
【文献】特開2000-237094(JP,A)
【文献】特開2000-350677(JP,A)
【文献】国際公開第2022/153037(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0203086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0208266(US,A1)
【文献】国際公開第2010/029966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座に装着して人体の下半身に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、
電気を人体の下半身に付与する電極と、
当該電極に対して電気的に接続した導電部と、
前記導電部に対して電気的に接続した制御部と、を備えた本体部を有し、
前記電極は前記本体部の上面に設けられており、前記本体部は前記上面と直交する方向から視たときに前記便座からはみ出さないように前記便座に前記装着することが可能であることを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具。
【請求項2】
前記本体部が細長く、かつ、湾曲した形状をしており、
細長く湾曲して延びる方向に一端と他端を有し、前記一端側に第1の電極、前記他端側に第2の電極をそれぞれ有することを特徴とする請求項1に記載の便座用電気筋肉刺激器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の便座用電気筋肉刺激器具と、
腓腹筋に電気筋肉刺激を与えることを可能とした下部装着部と、
前記下部装着部における電極に指令を与える下部装着部用制御部と、
前記制御部、及び前記下部装着部用制御部に対して少なくとも電気筋肉刺激の開始と停止の指示を送信するリモコンと、を備えた便座用電気筋肉刺激システム。
【請求項4】
前記本体部が二つの先端部を繋ぐ根元部を有するU字型形状であり、二つの前記先端部は、先端側に第1の電極、根元側に第2の電極をそれぞれ有することを特徴とする請求項1に記載の便座用電気筋肉刺激器具。
【請求項5】
前記制御部から前記
第1の電極に電気的接続する導電部と、前記制御部から前記
第2の電極に電気的接続する導電部とを分けて、それぞれ別の制御を行うことを可能としたことを特徴とする請求項
2又は4に記載の便座用電気筋肉刺激器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に電流を伝達して電気筋肉刺激を与える電極を有した便座用電気筋肉刺激器具、及び電気筋肉刺激機能付き便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化に伴い、運動する機会が減り臀部や脚部の筋肉が減少することで、歩行時に関節や骨への負担が大きくなり歩行困難に陥ったり、基礎代謝の減退により老化を促進させているといわれている。
また、天候等の外部環境の制約、運動嫌いによる慢性的な運動不足、過度の肥満、整形外科的疾患のために、筋肉トレーニングを十分に行えない人達が存在している。
【0003】
医学、スポーツの業界では、筋肉増強、失禁の管理、脊椎奇形の管理、痙縮の管理等のために、骨格筋収縮を誘発する電気筋肉刺激(以下、EMSという。)が知られており、具体的には、粘着パットから出力される電気信号に基づき筋肉を緊張及び弛緩させる筋肉刺激法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、人体の大腿四頭筋やハムストリングスに電気信号を伝達して電気筋肉刺激を付与する衣類形状の電極装着部材の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特許第4480797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、体に電気筋肉刺激を与えようとする場合に、着ている衣類を脱いで電極装着部材に着替え、電気筋肉刺激が終わればまた元の衣服に着替えるという手間がかかるため、次第に電気筋肉刺激を体に与える機会が減っていく恐れがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決して、便器に電気筋肉刺激を付与する電極を配置することで、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えられることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明は、便座に装着して人体の下半身に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、
電気を人体の下半身に付与する電極と、
当該電極に対して電気的に接続した導電部と、
前記導電部に対して電気的に接続した制御部と、を備えた本体部を有し、
前記電極は本体部の上面に設けられており、前記本体部は前記上面と直交する方向から視たときに前記便座からはみ出さないように前記便座に前記装着することが可能であることを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具を提供するものである。
【0009】
この構成により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【0012】
便座用電気筋肉刺激器具であって、前記本体部が細長く、かつ、湾曲した形状をしており、
細長く湾曲して延びる方向に一端と他端を有し、前記一端側に第1の電極、前記他端側に第2の電極をそれぞれ有する構成としてもよい。
【0013】
この構成により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し、便座に着座した際に、大殿筋及びハムストリングスに対して電気筋肉刺激を与えることができる。
ここで、大殿筋はお尻の中でも最も大きな筋肉で、骨盤の後ろから太ももの横まで伸びて上半身を支えるとともに、上半身と下半身の動きをつなぐ役割がある。また、ハムストリングスは、お尻の付け根から太ももの裏側、太ももから膝裏周辺にある3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称を指し、このハムストリングスが硬くなってしまっている場合や筋肉が機能していない場合、お尻が痛くなったり、腰痛・膝痛の原因になりやすいと言われている。
【0014】
便座用電気筋肉刺激器具と、
腓腹筋に電気筋肉刺激を与えることを可能とした下部装着部と、
前記下部装着部における電極に指令を与える下部装着部用制御部と、
前記制御部、及び前記下部装着部用制御部に対して少なくとも電気筋肉刺激の開始と停止の指示を送信するリモコンと、を備えた便座用電気筋肉刺激システムの構成としてもよい。
【0015】
この構成により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し、便座に着座した際に、腓腹筋に電気筋肉刺激を与えることができる。
腓腹筋は、ヒラメ筋の外側にある筋肉で、筋肉大腿骨に付着していて腓腹筋の腱とヒラメ筋の腱が合流しアキレス腱になり踵につく。運動時に、跳んだり走ったりする動きに使用し、つま先立ちや、歩く時に足で地面を後方に強く蹴り出す動き等に使われる筋肉である。
【0016】
便座用電気筋肉刺激器具であって、前記本体部が二つの先端部を繋ぐ根元部を有するU字型形状であり、二つの前記先端部は、先端側に第1の電極、根元側に第2の電極をそれぞれ有する構成としてもよい。
【0017】
この構成により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し、便座に着座した際に、大殿筋及びハムストリングスに対して電気筋肉刺激を与えることができる。
【0018】
便座用電気筋肉刺激器具であって、前記制御部から前記第1の電極に電気的接続する導電部と、前記制御部から前記第2の電極に電気的接続する導電部とを分けて、それぞれ別の制御を行うことを可能とした構成としてもよい。
【0019】
この構成により、各人の体調にあった電気筋肉刺激を人体に付与することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の便座用電気筋肉刺激器具、及び便座用電気筋肉刺激システムにより、便器等に電気筋肉刺激を付与する電極を配置することで、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施例1における便座用電気筋肉刺激器具を説明する斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1における便座用電気筋肉刺激器具を説明する(a)正面図と(b)側面図である。
【
図3】本発明の実施例2における便座用電気筋肉刺激器具を説明する斜視図である。
【
図4】本発明の実施例3における便座用電気筋肉刺激器具を説明する斜視図である。
【
図5】本発明の実施例3における便座用電気筋肉刺激器具の使用形態を説明する概略図である。
【
図6】本発明の実施例4における便座用電気筋肉刺激器具の使用形態を説明する概略図である。
【
図7】本発明の実施例5における電気筋肉刺激機能付き便座を説明する斜視図である。
【
図8】本発明の実施例6における電気筋肉刺激機能付き便座を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0032】
本発明の実施例1について、
図1-
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における便座用電気筋肉刺激器具を説明する斜視図である。
図2は、本発明の実施例1における便座用電気筋肉刺激器具を説明する(a)正面図と(b)側面図である。
【0033】
実施例1における便座用電気筋肉刺激器具10(10a、10b)は、便座Bの着座面に取付けて使用するものであり、左下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10aと右下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10bとからなっている。便座用電気筋肉刺激器具10aは、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し、人が便座Bに着座した際に、電極11(11a、11b)が左下半身に接触するように便座Bに配置して取付けられ、便座用電気筋肉刺激器具10bは、人が便座Bに着座した際に、電極11(11c、11d)が右下半身に接触するように便座Bに配置して取付けられる。
【0034】
便座用電気筋肉刺激器具10(10a、10b)の構造について、右下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10bを例にとって
図2を参照して説明する。電極11cは、大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの中間あたりに長い楕円状に設けられる。また、電極11dは、大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bのお尻のあたりに短く四角形状に設けられる。
【0035】
なお、実施例1においては、電極11dを短く四角形状に構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、円形や楕円形に構成してもよい。
また、実施例1においては、ハムストリングス用の電極11cと大殿筋用の電極11dを設けるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、大殿筋用の電極11dのみを設けるようにしてもよく、ハムストリングス用の電極11cのみを設けるようにしてもよい。
さらに、右下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10bと左下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10aとで、各電極の位置を変えてもよく、電極の数を変えてもよい。例えば、右下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10bでは電極11cのみとし、左下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10aでは電極11bのみとしてもよい。
また、左下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10aのみ、又は右下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10bのみからなる構成としてもよい。
【0036】
図2(b)に示すように、電極11(11c、11d)の皮膚に接触する部分は厚さ3mmから4mm程度の導電性シリコーン16(16c、16d)で構成され、弾力性があり皮膚に優しく考慮されている。導電性シリコーン16(16c、16d)は、絶縁体であるシリコーンにカーボンブラック等の導電性充填剤を混入して導電特性を付与したものである。
【0037】
導電性シリコーン16(16c、16d)の下部(便座B側)には厚さ1mm程度の金属製の導電部14bが導電性シリコーン16(16c、16d)と電気的に接続されるとともに、制御部12bの端子に電気的に接続されるように形成されており、制御部12bにより決められた電圧、周波数の電気が供給される。なお、右下半身用の便座用電気筋肉刺激器具10bは制御部12bを備え、左半身用の便座用電気筋肉刺激器具10aは制御部12aを備えていて制御部12bと同様の構成を有しているが、制御部12aは図示していない。
【0038】
導電部14bは、アルミや銅などの導電率の高い金属で構成することができる。実施例1においては、導電部14bは導電性シリコーン16c及び導電性シリコーン16dに接続されているが、導電性シリコーン16cのみに接続される導電部と導電性シリコーン16dのみに接続される導電部とに分け、それぞれ別の電圧、周波数の電気を与えるようにしてもよい。
【0039】
便座用電気筋肉刺激器具10b表面の電極11(11c、11d)以外の領域は、厚さが3mmから4mm程度の絶縁部13bとされ、電気を通さない合成樹脂やゴム、繊維等で構成され、導電部14bに接着されている。
【0040】
絶縁部13b及び導電部14bの下部(便座B側)には便座用電気筋肉刺激器具10bと同じサイズ、かつ同形状の厚さ0.5mm程度の低粘着性のシートからなる便座取付部15bが接着されている。この低粘着性シートの便座取付部15bにより容易に便座の着座面に粘着して取付け使用することができるとともに、使用後は容易に取り外して持ち運びができる。すなわち、便座用電気筋肉刺激器具10(10a、10b)は便座Bに対して着脱自在とされている。
【0041】
ここで、本願では便座取付部15(15a、15b)以外の電極11(11a、11b)、制御部12、絶縁部13(13a、13b)、及び導電部14(14a、14b)を本体部19(19a、19b)とする。
【0042】
なお、実施例1においては、便座取付部15を低粘着性シートとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、バンドで便座取付部を構成して本体部19(19a、19b)を便座Bに巻き付けて取付けてもよく、クリップのようなもので便座Bに挟んで取付けてもよい。また、便座取付部15を備えることなく、本体部19をバンド等により大腿部等に巻き付けるようにしてもよい。少なくとも人が前記便座に着座した際に、電極が下半身に接触するように本体部を配置できればよい。
【0043】
便座用電気筋肉刺激器具10b表面のお尻に近い部分には、制御部12(12a、12b)が設けられている。制御部12(12a、12b)は、後述のリモコン20からの指令を赤外線で受信して電圧や周波数を調整して図示しない端子から電極11(11a、11b、11c、11d)に付与する機能を有するとともに、制御部12(12a、12b)を駆動させる電池を内蔵している。電気筋肉刺激を与える周波数は低周波であり、10~50Hzの範囲で変更可能として付与するようにしているが、体内まで刺激が到達しにくいときは干渉波により体内深くまで刺激を与えるようにしてもよい。
【0044】
リモコン20は、電気筋肉刺激の開始と停止を操作することができるとともに、制御部12(12a、12b)に対して電気筋肉刺激の開始と停止を赤外線により制御部20に送信して指示することができる。また、電極11(11a、11b、11c、11d)に付与する電圧及び周波数を指定する機能を有するとともに指定された内容を赤外線により制御部20に送信する機能を有している。さらに、電気筋肉刺激の残り時間を管理するとともに、残り時間を表示する表示部を有する。また、必要な電源として電池を内蔵している。また、電気筋肉刺激の各部位ごとの利用履歴を記憶する記憶部を備えるようにしてもよい。
【0045】
なお、実施例1においては制御部12に電池を内蔵するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、制御部12に商用電源から低電圧変換する変換機能を設けて、AC100V等の商用電源を供給するようにしてもよい。
【0046】
また、実施例1においては、赤外線でリモコン20と制御部12(12a、12b)とが通信するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、電波による無線で通信するようにしてもよい。
【0047】
このように、実施例1においては、便座に装着して人体に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、
電気を人体に付与する電極を備えた本体部を備え、
人が前記便座に着座した際に、前記電極が下半身に接触するように前記本体部を配置可能としたことを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【実施例2】
【0048】
本発明の実施例2は、便座用電気筋肉刺激器具が左下半身用と右下半身用とに分かれておらず、一体となった構成を有している点で実施例1と異なっている。実施例2について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の実施例2における便座用電気筋肉刺激器具を説明する斜視図である。
【0049】
実施例2の便座用電気筋肉刺激器具30は、
図3に示すように、左下半身用と右下半身用とに分かれておらず一体となったU字状の形状で構成されている。このため、制御部32が一つで左下半身への電気筋肉刺激と右下半身への電気筋肉刺激とを制御することが可能である。
【0050】
電極は、実施例1と同様に、電極31a、31cが大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの中間あたりに長い楕円状に設けられている。また、電極31b、31dは、大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bのお尻のあたりに短く四角形状に設けられている。
【0051】
そして、リモコン20からの指示により、制御部32が所定の電圧、周波数の電気を電極31(31a、31b、31c、31d)に付与してそれぞれ電気筋肉刺激を与えることができる。
【0052】
このとき、電極31(31a、31b、31c、31d)に付与する電圧、周波数は同じでもよく、それぞれ別々の電圧や周波数を付与するようにしてもよい。
【0053】
また、実施例2においても本体部39は、低粘着性シートからなる便座取付部により便座Bに取付けられ、容易に取り外すことができる着脱自在とされていて、持ち運びに便利である。
【0054】
このように、実施例2においても、便座に装着して人体に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、
電気を人体に付与する電極を備えた本体部を備え、
人が前記便座に着座した際に、前記電極が下半身に接触するように前記本体部を配置可能としたことを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【実施例3】
【0055】
本発明の実施例3は、太股の上部(前側)にも電気筋肉刺激を与えられる点で実施例1及び実施例2と異なっている。実施例3について、
図4、
図5を参照して説明する。
図4は、本発明の実施例3における便座用電気筋肉刺激器具を説明する斜視図である。
図5は、本発明の実施例3における便座用電気筋肉刺激器具の使用形態を説明する概略図である。
【0056】
実施例3における便座用電気筋肉刺激器具40は、左下半身用の電極41a、及び右下半身用の電極41cがそれぞれの大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの中間あたりに長い楕円状に設けられ、左下半身用の電極41b、及び右下半身用の電極41dがそれぞれの大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bのお尻のあたりに短く四角形状に設けられる。また、人体Hの左足の太股用の電極41e、及び右足の太股用の電極41fが、本体部49から延長した帯状の左足用の上部装着部44a、及び帯状の右足用の上部装着部44bにそれぞれ設けられている。
【0057】
左足用の上部装着部44a、及び右足用の上部装着部44bはそれぞれ人体Hの左足及び右足の太股に巻いて
図5のように使用する。その際、電極41e及び電極41fがそれぞれの足の太股上部に接触するように位置を調整する。そして、電極41e及び電極41fに所定の電圧、周波数を付与することで、両足の太股上部にも電気筋肉刺激を与えることができる。
【0058】
実施例3においては、左足用の上部装着部44a、及び右足用の上部装着部44bを本体部49から延長した帯状としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、後述の下部装着部のように、本体部49から延長せずに、別体の帯状体としてもよい。
【0059】
また、実施例3においては、左足用の上部装着部44a、及び右足用の上部装着部44bに電気筋肉刺激を付与する電極41e及び電極41fを設けるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、左足用の上部装着部44a又は右足用の上部装着部44bのみに電気筋肉刺激を付与する電極を設けるようにしてもよく、左足用の上部装着部44a、及び右足用の上部装着部44bにそれぞれ異なる電圧や周波数の電気筋肉刺激を与えるように制御してもよい。
【0060】
このように、実施例3においても、便座に装着して人体に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、
電気を人体に付与する電極を備えた本体部を備え、
人が前記便座に着座した際に、前記電極が下半身に接触するように前記本体部を配置可能としたことを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【実施例4】
【0061】
本発明の実施例4は、腓腹筋にも電気筋肉刺激が与えられる点で実施例1―3と異なっている。実施例4について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施例4における便座用電気筋肉刺激器具の使用形態を説明する概略図である。
【0062】
実施例4における便座用電気筋肉刺激器具50は、ハムストリングス用の電極と大殿筋用の電極と太股の上部(前側)用の電極に加えて、腓腹筋に電気筋肉刺激を与える電極51(51a、51b)を有した帯状の下部装着部58(58a、58b)を備えている。下部装着部58は左足用の下部装着部58aと右足用の下部装着部58bとからなる。使用時には
図6に示すように、下部装着部58aに設けた電極51aが左足の腓腹筋に接触するように配置し、下部装着部58bに設けた電極51bが右足の腓腹筋に接触するように配置して、下部装着部58(58a、58b)を構成する帯状体を左右の足にそれぞれ巻き付ける。
【0063】
そして、リモコン20で電圧や周波数を送信し、これを制御部52で受信することで、所定の電気筋肉刺激を左右の足の腓腹筋に付与することができる。このとき、左右の腓腹筋に与える電圧や周波数は同じでもよいし、別々でも構わない。
【0064】
なお、実施例4においては、下部装着部58(58a、58b)を帯状としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、電極51(51a、51b)の大きさより少し大きいサイズのパット状としてもよい。また、このパット状の下部装着部を低粘着性シートで足に粘着させるようにしてもよく、ベルトで固定するようにしてもよい。
【0065】
このように、実施例4においても、便座に装着して人体に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、
電気を人体に付与する電極を備えた本体部を備え、
人が前記便座に着座した際に、前記電極が下半身に接触するように前記本体部を配置可能としたことを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【実施例5】
【0066】
本発明の実施例5は、電極を着脱不能に便座に組込んで電気筋肉刺激機能付き便座とした点で実施例1―4と異なっている。実施例5について
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の実施例5における電気筋肉刺激機能付き便座を説明する斜視図である。
【0067】
電気筋肉刺激機能付き便座100は、電極101(101a、101b、101c、101d)が表面に露出するように便座Bに組込まれている。電極101aは、左下半身の大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの左側の中間あたりに長い楕円状に設けられている。また、電極101bは、左下半身の大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの左側のお尻のあたりに短く四角形状に設けられている。
【0068】
また、電極101cは、右下半身の大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの右側の中間あたりに長い楕円状に設けられている。また、電極101dは、右下半身の大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与えるように便座Bの右側のお尻のあたりに短く四角形状に設けられている。
【0069】
電極101(101a、101b、101c、101d)は、導電性シリコーンで構成され、弾力性があり皮膚に優しく考慮されている。導電性シリコーンは、絶縁体であるシリコーンにカーボンブラック等の導電性充填剤を混入して導電特性を付与したものである。
【0070】
また、便座Bのお尻方向の最後部には、制御部102が設けられ、電極101(101a、101b、101c、101d)に電気的に接続されている。そして、リモコン20から受信した電圧や周波数のデータに基づいて、電極101(101a、101b、101c、101d)に電気を通電して電気筋肉刺激を与える。制御部102の電源は、図示しないコードをコンセントに接続して商用の100Vを使用して駆動することができる。また、リモコン20は、電池を内蔵している。
【0071】
制御部102から電極101(101a、101b、101c、101d)に対して電気を付与するに際し、同じ電圧、同じ周波数の電気を付与してもよいし、それぞれ別々の電圧、周波数の電気を付与するようにしてもよい。
【0072】
実施例5における便座Bは、合成樹脂で構成してもよいし、セラミックで構成してもよく、絶縁性の任意の材料を選択することができる。
【0073】
このように、実施例5においては、人体に電気筋肉刺激を与える電気筋肉刺激機能付き便座であって、
人が着座した際に下半身に電気を付与する電極を当該便座に備えたことを特徴とする電気筋肉刺激機能付き便座により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【実施例6】
【0074】
本発明の実施例6は、太股の上部(前側)にも電気筋肉刺激を与えられる点で実施例5と異なっている。実施例6について、
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施例6における電気筋肉刺激機能付き便座を説明する斜視図である。
【0075】
実施例6の電気筋肉刺激機能付き便座110は、左下半身の大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与える電極111a、左半身の大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与える電極111b、右下半身の大腿二頭筋、半腱様筋、及び半膜様筋を意味するハムストリングスに接触して電気筋肉刺激を与える電極111c、右下半身の大殿筋に接触して電気筋肉刺激を与える電極111dに加えて、左太股の上部(前側)に電気筋肉刺激を与える電極111e及び右太股の上部(前側)に電気筋肉刺激を与える電極111fを備えている。
【0076】
電極111eは、便座Bの左側に附属する帯状の上部装着部114aに設けられ、電極111fは、便座Bの右側に附属する帯状の上部装着部114bに設けられて、人体Hの左足及び右足の太股の上部に巻いて
図5のように使用する。その際、電極114e及び電極114fがそれぞれの足の太股上部に接触するように配置位置を調整する。これにより、両足の太股上部にも電気筋肉刺激を与えることができる。帯状の上部装着部114a及び帯状の上部装着部114bは、端部が便座Bに固定した構成としてもよいし、便座Bに着脱自在とした構成であってもよい。着脱自在とするときは、コネクタで電極111e、111fに通じる電線を中継するようにしてもよい。また、帯状ではなく、電極111e、111fの大きさより少し大きいパット状とし、ベルトで足に巻き付けるか、低粘着性シートで足に粘着させてもよい。
【0077】
また、実施例4で示したように、腓腹筋に電気筋肉刺激を与える電極を有した帯状の下部装着部を備えるようにしてもよい。
【0078】
このように、実施例6においても、人体に電気筋肉刺激を与える電気筋肉刺激機能付き便座であって、
人が着座した際に下半身に電気を付与する電極を当該便座に備えたことを特徴とする電気筋肉刺激機能付き便座により、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明における便座用電気筋肉刺激器具、及び電気筋肉刺激機能付き便座は、日常的に体に電気筋肉刺激を与えられることが求められる分野に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
10(10a、10b):便座用電気筋肉刺激器具
11(11a、11b、11c、11d):電極
12(12a、12b):制御部
13(13a、13b):絶縁部
14(14a、14b):導電部
15(15a、15b):便座取付部
16(16a、16b、16c、16d):導電性シリコーン
19:本体部
20:リモコン
30:便座用電気筋肉刺激器具
31(31a、31b、31c、31d):電極
32:制御部
39:本体部
40:便座用電気筋肉刺激器具
41(41a、41b、41c、41d、41e、41f):電極
42:制御部
43:絶縁部
44(44a、44b):上部装着部
49:本体部
50:便座用電気筋肉刺激器具
51:電極
52:制御部
58:下部装着部
100:電気筋肉刺激機能付き便座
101(101a、101b、101c、101d):電極
102:制御部
110:電気筋肉刺激機能付き便座
111(111a、111b、111c、111d、111e、111f):電極
112:制御部
114(114a、114b):上部装着部
【要約】
【課題】便器に電気筋肉刺激を付与する電極を配置することで、下半身の衣類を脱ぐ機会を有効に活用し着替えの手間を省いて日常的に体に電気筋肉刺激を与えられることを課題とする。
【解決手段】便座Bに装着して人体に電気筋肉刺激を与える便座用電気筋肉刺激器具であって、電気を人体に付与する電極11を備えた本体部19を備え、人が前記便座に着座した際に、前記電極が下半身に接触するように前記本体部を便座に配置可能としたことを特徴とする便座用電気筋肉刺激器具10とした。
【選択図】
図1