(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】紫外線照射装置および紫外線照射方法
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20240215BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20240215BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20240215BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01J65/00
C01B13/10 Z
B01J19/12 C
A61L9/015
(21)【出願番号】P 2023079945
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2019101619の分割
【原出願日】2019-05-30
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼ 友樹
(72)【発明者】
【氏名】五味 工
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6070794(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0041632(US,A1)
【文献】特開2001-118818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0080373(US,A1)
【文献】特開2019-064842(JP,A)
【文献】特開2012-212576(JP,A)
【文献】特開2016-037416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0230011(US,A1)
【文献】米国特許第06503464(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/50-65/08
C01B 13/00-13/36
B01J 10/00-12/02
B01J 14/00-19/32
A61L 9/015
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、前記エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、前記流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備え、
前記エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、前記被照射体の流量が5.0m
3/min以下となるように動作可能であり、
前記エキシマランプの発光管が、軸方向長さと、前記流体管の内壁からの離間距離であって、前記エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも短い離間距離とをもち、
前記軸方向長さと前記離間距離とが、前記エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、前記被照射体の流量が5.0m
3/min以下となる動作状態において前記流入口付近と前記流出口付近との温度差を20℃以下にする値に定められていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記軸流ファンが、前記流体管の流入口または流出口に対して同軸的に配置されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記流体管が、前記エキシマランプ全体を収納することを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、前記エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、前記流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備え、
前記エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、前記被照射体の流量が5.0m
3/min以下となるように動作可能であり、
前記エキシマランプの発光管が、軸方向長さと、前記流体管の内壁からの離間距離であって、前記エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも長い離間距離とをもち、
前記軸方向長さと前記離間距離とが、前記エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、前記被照射体の流量が5.0m
3/min以下となる動作状態において前記流入口付近と前記流出口付近との温度差を20℃以下にする値に定められていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項5】
前記軸流ファンが、前記流体管の流入口または流出口に対して同軸的に配置されることを特徴とする請求項4に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記流体管が、前記エキシマランプ全体を収納することを特徴とする請求項4に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、前記エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、前記流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備えた紫外線照射装置を、前記エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、前記流体管を流れる被照射体の流量が5.0m
3/min以下となる動作条件の下で動作させ、
前記エキシマランプの発光管に対し、前記流入口付近と前記流出口付近との温度差を前記動作条件の下で20℃以下にする、軸方向長さと前記流体管の内壁からの離間距離とをもたせ、
前記離間距離を、前記エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも短くすることを特徴とする紫外線照射方法。
【請求項8】
大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、前記エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、前記流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備えた紫外線照射装置を、前記エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、前記流体管を流れる被照射体の流量が5.0m
3/min以下となる動作条件の下で動作させ、
前記エキシマランプの発光管に対し、前記流入口付近と前記流出口付近との温度差を前記動作条件の下で20℃以下にする、軸方向長さと前記流体管の内壁からの離間距離とをもたせ、
前記離間距離を、前記エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも長くすることを特徴とする紫外線照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプによって紫外線を照射する紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化力の強いオゾンを生成する方法として、大気など酸素を含む原料ガスに紫外線を照射することによってオゾンを発生させることが可能であり、紫外線を照射する光源としてエキシマランプが用いられる(特許文献1参照)。そこでは、筐体の上面に吸気口、底面に排気口を設け、吸気口にファンなどを設け、筐体内に空気を流入させる。
【0003】
エキシマランプでは、発光管の管壁温度が上昇すると、光強度が低下し、また、発生したオゾンの熱分解が発光管付近で生じてしまう。これを防ぐため、エキシマランプを配置した管内に流れる原料ガスの流速を所定値以上に定め、層流状態で流すことによって、オゾン発生の効率を高めることが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-139462号公報
【文献】特許第6070794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エキシマランプを空気など原料ガスの流れる管内に配置する構成では、原料ガスが下流側へ流れていく間、エキシマランプから放射される熱によって加熱される。また、酸素分子に吸収されやすいピーク波長をもつ真空紫外線の場合、効率良く紫外線を原料ガスに照射させるために、エキシマランプを配置した管内壁とエキシマランプの外表面との距離を小さくすると、エキシマランプから放射される熱による原料ガスの昇温が促進される。原料ガスが高温になると、生成されたオゾンの分解が促進され、オゾン生成効率が低下する。
【0006】
したがって、紫外線照射装置において、原料ガスなどの被照射体の昇温を抑制することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紫外線照射装置は、オゾン生成装置に装備可能であり、例えば、装置下側から空気を吸入し、装置上側からオゾンを排出するオゾン生成装置、あるいは、オゾンを、装置側面もしくは側面付近から排出するオゾン生成装置に組み込まれる。
【0008】
本発明の紫外線照射装置は、大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備える。例えば、エキシマランプは、172nmのピーク波長を有する紫外線を放射可能である。
【0009】
紫外線照射装置(オゾン生成装置)は、エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下であって、流体の流量は5.0m3/min以下となるように、動作可能である。このような動作状態では、大気圧との圧力差によって室内空気が攪拌せず、また、オゾン排出によって室内空気が攪拌されない。
【0010】
本発明では、エキシマランプ発光管の流入口付近と流出口付近との温度差を20℃以下にすることによって、オゾン生成装置を設置する空間内におけるオゾン分解促進およびオゾン滞留の抑制を実現できることを導き、そして、流体管内のスペースに占めるエキシマランプ発光管の割合が、流入口付近と流出口付近との温度差に影響を与えるという新たな知見に基づき、大気中で吸収されやすい紫外線を照射する場合、エキシマランプ付近を流れる空気などの原料ガスに対して十分な紫外線強度を持たせることを考慮し、エキシマランプが、エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、流体の流量が5.0m3/min以下の動作状態において、エキシマランプ発光管の軸方向長さと流体管の内壁からの離間距離であって、エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも短い離間距離とを、温度差20℃以下にする値に定めている。特に、流体管の流入口付近と流出口付近との温度差を10℃以下にする、軸方向長さと流体管の内壁までの離間距離をもつ発光管を構成するのがよい。
【0011】
例えば軸流ファンは、流体管の流入口または流出口に対して同軸的に配置される。例えば流体管は、エキシマランプ全体を収納する。
【0012】
一方、昇温する原料ガスの割合を抑えることを考慮すると、離間距離は、エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも長くする。すなわち、本発明の他の態様であるエキシマランプは、大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備え、エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、被照射体の流量が5.0m3/min以下となるように動作可能であり、エキシマランプの発光管が、軸方向長さと、流体管の内壁からの離間距離であって、エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも長い離間距離とをもち、軸方向長さと離間距離とが、エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、被照射体の流量が5.0m3/min以下となる動作状態において流入口付近と流出口付近との温度差を20℃以下にする値に定められている。
【0013】
本発明の他の態様である紫外線照射方法は、大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備えた紫外線照射装置を、エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、流体管を流れる被照射体の流量が5.0m3/min以下となる動作条件の下で動作させ、エキシマランプの発光管に対し、流入口付近と流出口付近との温度差を動作条件の下で20℃以下にする、軸方向長さと流体管の内壁からの離間距離とをもたせ、離間距離を、エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも短くする。
【0014】
本発明の他の態様である紫外線照射方法は、大気中で吸収されやすいピーク波長を有する紫外線を放射するエキシマランプと、エキシマランプを軸方向に沿って収納し、酸素を含む被照射体が流入口から流出口へ流れる流路が形成された流体管と、流体管の流入口または流出口に配置される軸流ファンとを備えた紫外線照射装置を、エキシマランプの周囲の圧力が0.3MPa以下、流体管を流れる被照射体の流量が5.0m3/min以下となる動作条件の下で動作させ、エキシマランプの発光管に対し、流入口付近と流出口付近との温度差を動作条件の下で20℃以下にする、軸方向長さと流体管の内壁からの離間距離とをもたせ、離間距離を、エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも長くする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紫外線照射装置において、原料ガスなどの被照射体の昇温を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態である紫外線照射装置の概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態である紫外線照射装置の概略的構成図である。
図2は、オゾン生成装置の配置図である。
【0019】
図2に示すように、オゾン生成装置1は、ここでは床置き型として構成され、部屋Rの床中央などに設置される。オゾン生成装置1は、装置下側から空気を吸入し、装置上側から生成されたオゾンを排出し、部屋Rの空気の脱臭や殺菌などの処理をする。
【0020】
オゾン生成装置1は、
図1に示す紫外線照射装置10を備える。紫外線照射装置10は、軸流ファン20、流体管30、エキシマランプ40を備える。エキシマランプ40は、管状の発光管40Aを有し、200nm以下のピーク波長をもつ真空紫外線を放射する。ここでは、発光管40Aは断面円状であって、172nmのピーク波長を有する紫外線が放射される。発光管40Aは、図示しない支持部材によって支持されている。
【0021】
流体管30は、紫外線照射部を有し、原料ガス(被照射体)の流れる流路を形成し、流入口30Aから流出口30Bに向けて原料ガスが流れる。原料ガスは、酸素を含むガスであり、ここでは空気である。流体管30は、ここでは円筒状に構成され、流体管30の軸Cが鉛直方向を向くように紫外線照射装置10が設置されている。
【0022】
軸流ファン20は、ファンモータ部22と、ファン羽24とを備え、流体管30と実質的に同じ外径であって、流体管30の流入口30Aに対して同軸的に配置されている。エキシマランプ40は、発光管40Aの軸(ランプ軸)が流体管30の軸Cと一致する、すなわち軸流ファン20の軸上に沿うように、流体管30内に配置されている。
【0023】
軸流ファン20が回転すると、周囲の空気が流体管30の流入口30Aに流れ込み、流体管30に沿って移動する。エキシマランプ40は、図示しない電源部による制御によって点灯し、紫外線を放射する。その結果オゾンが生じ、生成されたオゾンは流出口30Bを通って装置外へ排出される。
【0024】
オゾン生成装置1を動作させる間、エキシマランプ40への入力電力が、ここでは1.5~140Wの範囲に定められ、エキシマランプ40の照度は、10~17mW/cm2の範囲に収まる。また、軸流ファン20が動作している間、エキシマランプ40の周囲の圧力が0.3MPa以下、流体管30を流れる流量が5.0m3/min以下となる。
【0025】
エキシマランプ40の周囲の圧力が0.3MPa以下となることで、大気圧との圧力差によって室内空気を攪拌するようにオゾンが排出されない。また、流体管30を流れる原料ガスの流量が5.0m3/min以下となることで、室内空気を攪拌するようにオゾンが排出されない。
【0026】
上述したように、エキシマランプ40は、流体管30内で同軸的に配置されている。エキシマランプ40は、軸方向長さKを有し、また、ランプ外表面40Sと流体管の内壁30Cとの間に離間距離dをもって配置されている。本実施形態では、上記動作条件の下、流入口30A付近と流出口30B付近の温度差が20℃以下となるように、軸方向長さKおよび離間距離dのエキシマランプ40が構成されている。
【0027】
一般的に、紫外線照射によって生じたオゾンは、温度、相対湿度、流速が高くなると分解が促進され半減期は短くなる。温度によるオゾン分解は約40℃に達すると始まり、約60℃になるとオゾン分解が活発になる。空調機が設置されたビルなどでは、常時20℃前後で室内温度が維持されることが多く、室内の床側と天井側での温度差が20℃前後となることが多い。そのため、流入口30A付近と流出口30B付近の温度差を20℃以下とすることで、オゾン生成装置1付近で空気温度が40℃を超えるのを抑え、天井側に排出されたオゾンが天井側付近で滞留することを抑制することができる。また、空調機による温度調整がされていない場合でも、温度差を20℃以下に抑えることで、排出口30B付近の気温が60℃に達するのを抑えることができる。さらに、温度差を10℃以下にするエキシマランプ40を構成することで、室内温度が30℃付近に達してもオゾン分解やオゾン滞留を確実に抑制することができる。
【0028】
ところで、特定のピーク波長の真空紫外線は、大気中で吸収されやすく、エキシマランプ40から放射される紫外線はすぐに減衰し、紫外線強度が低下する。この減衰の程度は、紫外線の大気中に対する吸収係数の大きさに従う。理想的な測定環境では波長172nmの紫外線の場合、約3mmの進行で紫外線強度比が50%まで減衰し、約6mmで20%、そして約30mmで紫外線がすべて吸収されてしまう。以下では、所定の紫外線強度比まで減衰した時の紫外線の進行距離を透過距離Lとして表す。実際の測定環境においては、真空紫外線の波長域に感度を有する紫外線照度計を発光管の外表面に近接させた状態からの紫外線強度比の減衰として把握できる距離である。
【0029】
エキシマランプ40付近を流れる空気に対してオゾン生成に十分な紫外線強度を有する紫外線を照射するためには、エキシマランプ40の外表面40Sと流体管30の内壁30Cとの離間距離dを比較的短い距離にすればよい。発光管40Aの外径Dによって定まる領域の大きさを流体管30の内径Tによって定まる流路空間に占める割合をすなわち、発光管40Aの外径Dによって定まる領域の大きさを、流体管30の内径Tによって定まる流路空間に占める割合を比較的大きくすることで、離間距離dを短くすることできる。例えば、発光管40Aの外径Dを4mm以上として、離間距離dを、エキシマランプから放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも短くする。
【0030】
また、原料ガスが昇温される原因(熱源)に応じて、離間距離dが比較的短い場合、軸方向長さKが比較的短いエキシマランプ40を構成してもよく、離間距離dが比較的長い場合、軸方向長さKが比較的長いエキシマランプ40構成することも可能である。離間距離dが短いほど軸方向長さKを短くするようにエキシマランプ40を構成してもよい。
【0031】
一方で、エキシマランプ40の流体管30内に占める領域の割合が大きくなり過ぎると、空気がエキシマランプ40を通過するときに流れにくくなり、圧力損失となってしまう。また、エキシマランプから放射された熱によって昇温した原料ガスの割合が多くなり、流出口30B付近の空気の温度が高くなる。
【0032】
したがって、離間距離dを、エキシマランプ40から放射される紫外線の紫外線強度比が20%に達する透過距離よりも短くする場合には、温度差20℃以下に抑えるように軸方向長さKを有するエキシマランプ40を構成するのが良い。一方、離間距離dを、エキシマランプ40から放射される紫外線の紫外線強度比が20%になる透過距離よりも長くすることもできる。この場合、エキシマランプから放射された熱によって昇温した原料ガスの割合が少なくなるため、温度差10℃以下に抑えるように、エキシマランプ40を構成すればよい。
【0033】
このように本実施形態では、紫外線照射装置10を備えたオゾン生成装置1において、紫外線照射装置10の流体管30にエキシマランプ40を同軸配置し、軸流ファン20を回して装置下側(床側)から吸入した空気を装置上側(天井側)へ流し、オゾンを発生させる。オゾン生成装置1の動作中、流体管30の入口30A付近の温度と、流出口30B付近の温度差が20℃以下となる、軸方向長さK、離間距離dをもつエキシマランプ40が構成される。
【0034】
オゾン生成装置1は床置きタイプで構成されているが、空調機のように天井付近に設置し、装置側面あるいは側面付近からオゾンを排出するように構成してもよい(
図2の符号1’参照)。この場合、軸流ファンを流体管の流出口に配置してもよい。エキシマランプ40を複数配置することも可能である。さらに、流体管を冷却するなどにより温度差が20℃以下となるように構成してもよい。
【0035】
オゾン生成装置1の紫外線照射部に加えて、オゾン除去部を設けても良い。この場合でも、装置下側からオゾンを含むガスを吸入し、装置上側からオゾンを除去したガスを排出し、部屋Rの空気に含まれるオゾンを除去する。さらに、オゾンは空気よりも重いので、紫外線照射部の流入口30Aよりも下側に別の流入口を設けて、オゾン除去部へ流すとよい。ここで、オゾンの除去とは、分解や吸着のように流体に含まれるオゾンを減らす機能全般を含む概念であり、オゾンを吸着分解する活性炭や触媒、波長254nmの光を放射してオゾンを分解する低圧水銀ランプ等、任意のものをオゾン除去部として選択できる。活性炭や触媒を用いるときは、紫外線照射部よりも下側にオゾン除去部を設けて別の流路を形成するとよい。波長254nmの光を放射して分解するときは、紫外線照射部と同じ流路とするとよい。
【符号の説明】
【0036】
10 紫外線照射装置
20 軸流ファン(流体供給部)
30 流体管(紫外線照射部)
40 エキシマランプ
d 離間距離
K 軸方向長さ