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特許7437560情報処理システム、情報処理装置、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240215BHJP
   G06F 16/903 20190101ALI20240215BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06F16/903
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023151525
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399083527
【氏名又は名称】東急リバブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩
(72)【発明者】
【氏名】八周 郁弥
(72)【発明者】
【氏名】今井 立展
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄介
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】勝 啓太朗
(72)【発明者】
【氏名】三舩 哲史
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-117973(JP,A)
【文献】特開2003-114924(JP,A)
【文献】特開2005-128727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 16/903
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
査定対象不動産の駅情報及び所在地情報を含む査定対象データと、前記査定対象データに含まれる情報と類似する情報を含む、複数の類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報を含む類似不動産データとに基づいて、前記複数の類似不動産のそれぞれの前記類似不動産データから予測される前記査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報を前記複数の類似不動産の前記類似不動産データ毎に演算する第1査定情報予測部と、
前記査定対象データ及び前記類似不動産データに基づいて、前記査定対象不動産に対する前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算する類似度演算部と、
前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、前記査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を前記複数の類似不動産の中から選定し、前記査定用類似不動産の前記予測査定価格情報に基づいて前記査定対象不動産の査定価格情報を演算する査定情報演算部と、を備える
情報処理システム。
【請求項2】
前記第1査定情報予測部により演算される前記予測査定価格情報を第1予測査定価格情報とするとき、
前記査定対象データと、前記複数の類似不動産のそれぞれの前記類似不動産データと、前記査定対象不動産の予測成約価格情報と、前記複数の類似不動産のそれぞれの予測成約価格情報とに基づいて、第2予測査定価格情報を前記複数の類似不動産の前記類似不動産データ毎に演算する第2査定情報予測部を更に備え、
前記査定情報演算部は、前記査定用類似不動産に対応する前記第1予測査定価格情報及び前記第2予測査定価格情報に基づいて前記査定対象不動産の査定価格情報を演算する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記類似度演算部は、前記査定対象データ及び前記類似不動産データに加え、前記査定対象不動産の暫定の査定価格情報、前記査定対象不動産の予測成約価格情報、及び前記複数の類似不動産のそれぞれの予測成約価格情報に基づいて前記類似度を前記複数の類似不動産のそれぞれについて演算する
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記査定対象データに基づいて前記査定対象不動産の暫定の査定価格情報を演算する暫定情報演算部を更に備える
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記査定対象データに基づいて前記査定対象不動産の予測成約価格情報を演算するとともに、前記類似不動産データに基づいて前記複数の類似不動産のそれぞれの予測成約価格情報を演算する成約情報予測部を更に備える
請求項2又はに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記査定対象不動産の近隣に存在する複数の不動産の近隣事例データを取得する不動産情報取得部と、
前記査定対象データ、及び前記近隣事例データに基づいて、前記複数の不動産の中から、前記複数の類似不動産を選定する類似不動産選定部と、を更に備える
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記査定対象データ、前記複数の類似不動産のそれぞれの前記類似不動産データ、前記査定対象不動産に対する前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度、及び前記査定対象不動産の査定価格情報に基づいて前記査定対象不動産の査定価格情報の信頼度を演算する信頼度演算部を更に備える
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
査定対象不動産の駅情報及び所在地情報を含む査定対象データと、前記査定対象データに含まれる情報と類似する情報を含む、複数の類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報を含む類似不動産データとに基づいて、前記複数の類似不動産のそれぞれの前記類似不動産データから予測される前記査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報を前記複数の類似不動産の前記類似不動産データ毎に演算する第1査定情報予測部と、
前記査定対象データ及び前記類似不動産データに基づいて、前記査定対象不動産に対する前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算する類似度演算部と、
前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、前記査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を前記複数の類似不動産の中から選定し、前記査定用類似不動産の前記予測査定価格情報に基づいて前記査定対象不動産の査定価格情報を演算する査定情報演算部と、を備える
情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
査定対象不動産の駅情報及び所在地情報を含む査定対象データと、前記査定対象データに含まれる情報と類似する情報を含む、複数の類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報を含む類似不動産データとに基づいて、前記複数の類似不動産のそれぞれの前記類似不動産データから予測される前記査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報を前記複数の類似不動産の前記類似不動産データ毎に演算させ、
前記査定対象データ及び前記類似不動産データに基づいて、前記査定対象不動産に対する前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算させ、
前記複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、前記査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を前記複数の類似不動産の中から選定させ、前記査定用類似不動産の前記予測査定価格情報に基づいて前記査定対象不動産の査定価格情報を演算させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の情報処理装置がある。この情報処理装置は、不動産物件に関する2つ以上の属性値を用いてスコアを算出して、そのスコアを出力する。属性値には、成約価格、及び査定価格等が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-91567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の情報処理装置では、査定価格の算出に関して改善の余地が残されている。
【0005】
本発明の目的は、より高い精度で査定対象不動産の査定価格情報を演算することが可能な情報処理システム、情報処理装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する情報処理システムは、第1査定情報予測部と、類似度演算部と、査定情報演算部と、を備える。第1査定情報予測部は、査定対象不動産の駅情報及び所在地情報を含む査定対象データと、査定対象データに含まれる情報と類似する情報を含む、複数の類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報を含む類似不動産データとに基づいて、複数の類似不動産のそれぞれの類似不動産データから予測される査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報を複数の類似不動産の類似不動産データ毎に演算する。類似度演算部は、査定対象データ及び類似不動産データに基づいて、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算する。査定情報演算部は、複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を複数の類似不動産の中から選定し、査定用類似不動産の予測査定価格情報に基づいて査定対象不動産の査定価格情報を演算する。
【0007】
上記課題を解決する情報処理装置は、第1査定情報予測部と、類似度演算部と、査定情報演算部と、を備える。第1査定情報予測部は、査定対象不動産の駅情報及び所在地情報を含む査定対象データと、査定対象データに含まれる情報と類似する情報を含む、複数の類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報を含む類似不動産データとに基づいて、複数の類似不動産のそれぞれの類似不動産データから予測される査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報を複数の類似不動産の類似不動産データ毎に演算する。類似度演算部は、査定対象データ及び類似不動産データに基づいて、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算する。査定情報演算部は、複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を複数の類似不動産の中から選定し、査定用類似不動産の予測査定価格情報に基づいて査定対象不動産の査定価格情報を演算する。
【0008】
上記課題を解決するプログラムは、コンピュータに、査定対象不動産の駅情報及び所在地情報を含む査定対象データと、査定対象データに含まれる情報と類似する情報を含む、複数の類似不動産のそれぞれの類似不動産データとに基づいて、複数の類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報を含む類似不動産データから予測される査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報を複数の類似不動産の類似不動産データ毎に演算させ、査定対象データ及び類似不動産データに基づいて、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算させ、複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を複数の類似不動産の中から選定させ、査定用類似不動産の予測査定価格情報に基づいて査定対象不動産の査定価格情報を演算させる。
【0009】
この構成によれば、査定対象不動産に対して類似度が高い査定用類似不動産のデータに基づいて査定対象不動産の査定価格情報を演算することができるため、より高い精度で査定対象不動産の査定価格情報を演算することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の情報処理システムの概略構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態の査定サーバ装置の概略構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態の査定対象データに含まれる情報の一例を示す図表。
図4】第1実施形態の制御部の一部の構成を示すブロック図。
図5】第1実施形態の近隣事例データに含まれる情報の一例を示す図表。
図6】第1実施形態の制御部の一部の構成を示すブロック図。
図7】第1実施形態の類似事例データに含まれる情報の一例を示す図表。
図8】第1実施形態の前処理部による処理後の類似事例データに含まれる情報の一例を示す図表。
図9】第1実施形態の査定対象データに含まれる情報の一例を示す図表。
図10】(A)~(C)は、第1実施形態の査定対象不動産の暫定の査定坪単価、査定対象不動産の予測成約坪単価、及び類似不動産の予測成約坪単価のそれぞれのデータの一例を示す図表。
図11】第1実施形態の制御部の一部の構成を示すブロック図。
図12】第1実施形態の類似度に含まれる情報の一例を示す図表。
図13】第1実施形態の制御部の一部の構成を示すブロック図。
図14】(A),(B)は、第1実施形態の第1予測査定坪単価及び第2予想坪単価のそれぞれのデータの一例を示す図表。
図15】第1実施形態の情報処理システムの動作例を示すシーケンスチャート。
図16】第1実施形態のコンピュータのハードウェア的な構成を示すブロック図。
図17】第2実施形態の制御部の信頼度演算部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、情報処理装置、情報処理システム、及びプログラムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
<第1実施形態>
はじめに、第1実施形態の情報処理システムについて説明する。
【0013】
(情報処理システムの概略構成)
図1は、本実施形態の情報処理システム10の概略構成を示したものである。本実施形態の情報処理システム10は、例えば不動産会社の従業員により利用される。この情報処理システム10は、不動産会社の従業員により所定の不動産の所在地や交通等の情報が入力されると、他の不動産の情報等を利用して所定の不動産の査定価格を演算する。これにより、不動産会社の従業員は、情報処理システム10により算出された査定価格の情報を、例えば所定の不動産の売却を検討している顧客に提示することができる。なお、以下では、査定対象不動産がマンションである場合を例に挙げて説明する。
【0014】
図1に示されるように、情報処理システム10は、端末装置20と、情報提供サーバ装置30と、査定サーバ装置40とを備えている。
【0015】
端末装置20は不動産会社の従業員等のユーザにより使用される。端末装置20では、例えば査定対象不動産の所在地や交通等の各種情報を入力する操作を行ったり、査定対象不動産の査定価格の情報を表示したりすることができる。端末装置20は、パーソナルコンピュータ等である。パーソナルコンピュータには、例えばデスクトップパソコン、及びラップトップパソコン等が含まれる。
【0016】
情報提供サーバ装置30は、駅情報、所在地情報等を提供する装置である。情報提供サーバ装置30が提供可能な駅情報には、例えばJR在来線の路線名や駅名の情報、私鉄の路線名や駅名の情報、及び各駅の乗降者数の情報等が含まれている。また、情報提供サーバ装置30が提供可能な所在地情報には、所定地点の緯度経度の情報や、所定地点の公示地価の情報等が含まれている。情報提供サーバ装置30は、例えばクラウドシステムとして構成される。
【0017】
査定サーバ装置40は、端末装置20に入力される情報、及び情報提供サーバ装置30により提供される駅情報や所在地情報等に基づいて不動産の査定価格を演算する装置である。査定サーバ装置40は、例えばクラウドシステムとして構成される。本実施形態では、査定サーバ装置40が情報処理装置に相当する。
【0018】
端末装置20、情報提供サーバ装置30、及び査定サーバ装置40は通信ネットワーク11を介して互いに通信可能に接続されている。通信ネットワーク11は有線ネットワーク及び無線ネットワークのいずれであってもよい。
【0019】
(査定サーバ装置の構成)
次に、査定サーバ装置40の構成について詳しく説明する。図2に示されるように、査定サーバ装置40は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを備えている。
【0020】
通信部41はネットワーク11を介して端末装置20及び情報提供サーバ装置30と各種情報を送受信する部分である。通信部41がネットワーク11を介して端末装置20から受信する情報には、例えば査定対象不動産の査定対象データDaが含まれている。通信部41がネットワーク11を介して端末装置20に送信する情報には、例えば査定サーバ装置40により演算された査定価格の情報が含まれている。通信部41がネットワーク11を介して情報提供サーバ装置30から受信する情報には任意の地点の駅情報や所在地情報等が含まれている。
【0021】
記憶部42には、査定サーバ装置40を動作させるための各種プログラム等の情報が記憶されている。記憶部42には不動産事例データベース420が記憶されている。不動産事例データベース420には、各種不動産の成約事例のデータがデータベース化されたものである。各種不動産の成約事例のデータには、物件情報、成約価格、成約年月日、成約坪単価等の情報が含まれている。物件情報には、建物の名称、所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、及び専有面積等の情報が含まれている。以下では、不動産事例データベース420に記憶されている各種不動産の成約事例のデータを「不動産事例データ」と称する。不動産事例データベース420に記憶されている各種不動産の成約事例のデータは、不動産会社の従業員により手動で入力された不動産の成約事例のデータや、不動産会社において過去に扱った不動産の成約事例のデータ等が用いられる。
【0022】
制御部43は査定サーバ装置40を制御する。制御部43は、記憶部42に記憶されているプログラムを実行することにより実現される機能的な構成として、査定情報取得部430と、近隣事例取得部431と、前処理部432と、暫定情報演算部433と、成約情報予測部434と、類似度演算部435と、第1査定情報予測部436と、第2査定情報予測部437と、査定情報演算部438とを備えている。
【0023】
(査定情報取得部)
査定情報取得部430は、査定対象不動産の査定対象データDaを、通信部41を介して端末装置20から取得する。査定対象データDaには、例えば図3に示されるような建物の名称、所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、及び専有面積等が含まれている。
【0024】
(近隣事例取得部)
近隣事例取得部431は、査定対象不動産の近隣に存在する他の複数の不動産のデータを取得する。
【0025】
例えば、図4に示されるように、近隣事例取得部431は、査定情報取得部430から査定対象データDaを取得した上で、査定対象データDaに含まれる査定対象不動産の所在地に基づいて、査定対象不動産の付近に存在する路線名及び駅名の情報を取得する。また、査定対象不動産の付近に存在する路線及び駅をそれぞれ「対象路線」及び「第1対象駅」とするとき、近隣事例取得部431は、例えば情報提供サーバ装置30から取得可能な地図情報を利用することにより、対象路線において第1対象駅の前後に存在する2つの駅をそれぞれ「第2対象駅」及び「第3対象駅」として抽出する。そして、近隣事例取得部431は、不動産事例データベース420に記憶されている複数の不動産事例データから、最寄りの駅が第1対象駅、第2対象駅、及び第3対象駅のいずれかである不動産を近隣不動産として特定するとともに、特定された近隣不動産のデータをリスト化する。これにより、近隣事例取得部431は、査定対象不動産の近隣に存在する他の複数の不動産のデータとして、例えば図5に示されるようなデータDb(1)~Db(m)を取得する。以下では、この図5に示されるデータを「近隣事例データDb(1)~Db(m)」と称する。「m」は2以上の整数である。
【0026】
なお、近隣事例取得部431は、不動産事例データベース420に記憶されている複数の不動産事例データから、最寄りの駅が第1対象駅である不動産のデータのみを近隣不動産として特定してもよい。
【0027】
また、近隣事例取得部431は、査定対象不動産の付近に存在する対象路線の数に応じて対象駅を変更してもよい。例えば、近隣事例取得部431は、査定対象不動産の付近に存在する対象路線の数が1つである場合には、不動産事例データベース420に記憶されている複数の不動産事例データから、最寄りの駅が第1対象駅、第2対象駅、及び第3対象駅のいずれかである不動産を近隣不動産として特定してもよい。また、近隣事例取得部431は、査定対象不動産の付近に存在する対象路線の数が2つ以上である場合には、不動産事例データベース420に記憶されている複数の不動産事例データから、最寄りの駅が第1対象駅である不動産のみを近隣不動産として特定してもよい。
【0028】
(前処理部)
前処理部432は、近隣事例取得部431により取得された近隣事例データDb(1)~Db(m)から、査定対象不動産の査定価格の演算に用いる類似不動産のデータを抽出する処理を行う。
【0029】
例えば、前処理部432は、図6に示されるように、査定情報取得部430から査定対象データDaを取得するとともに、近隣事例取得部431から近隣事例データDb(1)~Db(m)を取得する。そして、前処理部432は、査定対象データDaに含まれる査定対象不動産のデータと、近隣事例データDb(1)~Db(m)に含まれる複数の近隣不動産のデータとを比較することにより、例えば以下の条件(a1)~(a5)のいずれかに該当する近隣不動産のデータを除外対象として抽出する。
【0030】
(a1)間取り部屋数が査定対象不動産の間取り部屋数に対して所定数以上異なっている。所定数は例えば「2部屋」に設定される。
(a2)成約年月日が査定対象不動産の査定日よりも所定年数以上前である。所定年数は例えば「1年」に設定される。
(a3)専有面積が査定対象不動産の専有面積に対して所定面積以上異なっている。
(a4)戸数が査定対象不動産の戸数に対して所定数以上異なっている。
(a5)階層構造が査定対象不動産の階層構造に対して所定数以上異なっている。
【0031】
また、除外対象とするか否かに関しては、賃貸中であるか否か、取引態様が売主及び代理のいずれであるか等に基づいて判断してもよい。
【0032】
前処理部432は、このようにして除外対象として認定された近隣の不動産のデータを近隣事例データDb(1)~Db(m)から除外する。例えば、図5に示される近隣事例データDb(1)~Db(m)においてマンションA,B,E,Kが除外対象である場合、前処理部432は、近隣事例データDb(1)~Db(m)からマンションA,B,E,KのそれぞれのデータDb(1),Db(2),Db(5),Db(11)を除外することにより、図7に示されるような類似事例データDc(1)~Dc(n)を作成する。このような処理により、査定対象不動産に類似する情報を有する類似不動産のデータのみを含む類似事例データDc(1)~Dc(n)を作成することができる。なお、「n」は、「n≦m」を満たす2以上の整数であり、なお、除外対象となる近隣不動産が存在しない場合には、「n=m」となる。
【0033】
また、前処理部432は、このようにして類似事例データDc(1)~Dc(n)を作成するとともに、類似事例データDc(1)~Dc(n)に含まれている各類似不動産のデータに対して駅情報及び所在地情報を紐付けする処理を行う。
【0034】
例えば、前処理部432は、情報提供サーバ装置30から取得可能な駅情報を各類似不動産のデータに対して紐付ける処理を行う。駅情報には、JRフラグ、乗り入れフラグ、及び乗降者数等が含まれている。JRフラグは、類似不動産の最寄りの路線がJR線であるか否かを示す情報である。乗り入れフラグは、類似不動産の最寄りの駅がJR線と私鉄との間で乗り入れが可能であるか否かを示す情報である。
【0035】
また、前処理部432は、情報提供サーバ装置30から取得可能な所在地情報を各類似不動産のデータに対して紐付ける処理を行う。所在地情報には、類似不動産の緯度経度情報及び公示地価情報等が含まれている。緯度経度情報は、類似不動産の所在地の緯度及び経度を示す情報である。公示地価情報は、類似不動産の所在地の公示地価の情報を示すものである。本実施形態では、所在地情報が位置情報に相当する。
【0036】
以上の処理により、前処理部432は、図8に示されるような類似不動産データDd(1)~Dd(n)を作成する。
【0037】
また、前処理部432は、査定対象データDaに対しても同様に駅情報及び所在地情報を紐付けする処理を行うことにより、図9に示されるような査定対象データDeを作成する。なお、上述の類似不動産データDd(1)~Dd(n)に含まれる情報は、査定対象データDeに含まれる情報と類似する。
【0038】
(暫定情報演算部)
暫定情報演算部433は、図6に示されるように、前処理部432により作成された査定対象データDeから査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paを演算する。
【0039】
具体的には、暫定情報演算部433はAI(Artificial Intelligence:人工知能)モデル433aを有している。AIモデル433aは、図9に示される査定対象データDeを入力データとして査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paを導出することが可能な機械学習モデルである。AIモデル433aは、例えば不動産会社で過去に査定を行った不動産の所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、専有面積、駅情報、及び所在地情報等と、その不動産に対して従業員が査定した坪単価との関係を学習させることにより構築される。駅情報にはJRフラグ、乗り入れフラグ、及び乗降者数等の情報が含まれている。所在地情報には緯度経度情報及び公示地価情報等が含まれている。暫定情報演算部433は、AIモデル433aを用いることにより、図9に示される査定対象データDeから、例えば図10(A)に示されるように査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paを演算する。
【0040】
(成約情報予測部)
成約情報予測部434は、図6に示されるように、前処理部432により作成された査定対象データDeに基づいて査定対象不動産の予測成約坪単価Pbを演算するとともに、前処理部432により作成された類似不動産データDd(1)~Dd(n)に基づいて複数の類似不動産のそれぞれの予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を演算する。
【0041】
具体的には、成約情報予測部434はAIモデル434aを有している。AIモデル434aは、図9に示される査定対象データDeを入力データとして査定対象不動産の予測成約坪単価Pbを導出することが可能であるとともに、図8に示される類似不動産データDd(1)~Dd(n)を入力データとして類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を導出することが可能な機械学習モデルである。AIモデル434aは、例えば全国又は所定の地域の不動産の成約事例に関する情報を所定のサーバ装置から取得して、取得した全国又は所定の地域の不動産の成約事例に関する情報を学習させることにより構築される。AIモデル434aは、成約事例の不動産の所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、専有面積、駅情報、及び所在地情報等と、その不動産の実際の成約坪単価との関係を学習させることにより構築される。駅情報には、JRフラグ、乗り入れフラグ、及び乗降者数等の情報が含まれている。所在地情報には緯度経度情報及び公示地価情報等が含まれている。なお、学習用のデータとしては、過去の成約事例のデータが含まれる。成約情報予測部434は、AIモデル434aを用いることにより、図9に示される査定対象データDeから、図10(B)に示されるように査定対象不動産の予測成約坪単価Pbを演算する。また、成約情報予測部434は、AIモデル434aを用いることにより、図8に示される類似不動産データDd(1)~Dd(n)から、図10(C)に示されるような各類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を演算する。
【0042】
なお、図8に示されるように、類似不動産データDd(1)~Dd(n)には実際の成約坪単価の情報が含まれているが、類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)は、この実際の成約坪単価に基づくことなく、成約事例の不動産の所在地や交通等の情報に基づいてAIモデル434aにより演算されるものである。したがって、類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)は実際の成約坪単価と異なる可能性がある。
【0043】
(類似度演算部)
類似度演算部435は、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度Sd(1)~Sd(n)を演算する。本実施形態の類似度Sd(1)~Sd(n)は「0」から「1」の範囲に設定される値であって、「0」に近づくほど類似度が低いことを示し、「1」に近づくほど類似度が高いことを示す。
【0044】
具体的には、図11に示されるように、類似度演算部435は、前処理部432から査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)~Dd(n)を取得する。また、類似度演算部435は、暫定情報演算部433から査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paの情報(査定対象不動産の暫定の査定価格情報)を取得するとともに、成約情報予測部434から査定対象不動産の予測成約坪単価Pbの情報(査定対象不動産の予測成約価格情報)及び各類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)の情報(複数の類似不動産のそれぞれの予測成約価格情報)を取得する。類似度演算部435はAIモデル435aを有している。AIモデル435aは、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)~Dd(n)、査定対象不動産の暫定の査定坪単価Pa、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を入力データとして類似度Sd(1)~Sd(n)を導出することが可能な機械学習モデルである。
【0045】
AIモデル435aは、例えば査定対象のマンション甲に対する類似マンションCの類似度Sd(1)を演算する際には、査定対象データDeの各項目と類似不動産データDd(1)の各項目とを比較して、それらの差異が大きいほど、類似度Sd(1)をより小さく設定する。例えば、AIモデル435aは、査定対象のマンション甲の専有面積と類似マンションCの専有面積との差異が大きいほど、類似度Sd(1)をより小さい値に設定する。また、AIモデル435aは、査定対象のマンション甲の緯度及び経度と類似マンションCの緯度及び経度とから査定対象のマンション甲と類似マンションCとの距離を演算するとともに、演算された距離が長いほど、類似度Sd(1)をより小さい値に設定する。
【0046】
さらに、AIモデル435aは、査定対象不動産の暫定の査定坪単価Pa、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)を比較することにより類似度Sd(1)を設定する。例えば、AIモデル435aは、査定対象不動産の予測成約坪単価Pbと類似マンションCの予測成約坪単価Pc(1)との差異が大きいほど、類似度Sd(1)をより小さい値に設定する。また、AIモデル435aは、査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paと類似不動産の実際の成約坪単価との差異が大きいほど、類似度Sd(1)をより小さい値に設定する。
【0047】
類似度演算部435は、このようなAIモデル435aを用いることにより、図12に示されるように、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度Sd(1)~Sd(n)をそれぞれ演算する。
【0048】
(第1査定情報予測部)
第1査定情報予測部436は、類似不動産データDd(1)~Dd(n)から予測される査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)を演算する。
【0049】
具体的には、図13に示されるように、第1査定情報予測部436は前処理部432から査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)~Dd(n)を取得する。第1査定情報予測部436はAIモデル436aを有している。AIモデル436aは、査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)~Dd(n)を入力データとして査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)を演算することが可能な機械学習モデルである。
【0050】
AIモデル436aは、例えば所定の不動産のデータ及び成約事例の複数の不動産のそれぞれの不動産事例データと、所定の不動産の査定坪単価の情報との関係を学習させることにより構築される。所定の不動産のデータ及び成約事例の不動産の不動産事例データには、建物の名称、所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、専有面積、成約価格、成約年月日、及び成約坪単価等の情報が含まれている。AIモデル436aは、例えば所定の不動産のデータに含まれる各情報と、成約事例の不動産の不動産事例データに含まれる各情報とを比較して、各情報の差異の大きさを加味しつつ成約事例の不動産の成約時坪単価から所定の不動産の査定坪単価を演算することができるように構成されている。
【0051】
第1査定情報予測部436は、AIモデル436aを用いることにより、査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)から査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(1)を演算する。同様に、第1査定情報予測部436は、AIモデル436aを用いることにより、査定対象データDe及び類似不動産データDd(2)~Dd(n)から査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(2)~Pd(n)を演算する。これにより、第1査定情報予測部436は、図14(A)に示されるような複数の類似不動産にそれぞれ対応した査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)を算出する。
【0052】
(第2査定情報予測部)
第2査定情報予測部437は、類似不動産データDd(1)~Dd(n)から予測される査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)を演算する。
【0053】
具体的には、図13に示されるように、第2査定情報予測部437は前処理部432から査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)~Dd(n)を取得するとともに、成約情報予測部434から査定対象不動産の予測成約坪単価Pb及び各類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)の情報を取得する。第2査定情報予測部437はAIモデル437aを有している。AIモデル437aは、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)~Dd(n)、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び各類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を入力データとして査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)を導出することが可能な機械学習モデルである。
【0054】
AIモデル437aは、例えば所定の不動産のデータ及び成約事例の複数の不動産のそれぞれの不動産事例データと、所定の不動産の査定坪単価の情報との関係を学習させることにより構築される。所定の不動産のデータ及び成約事例の不動産の不動産事例データには、建物の名称、所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、専有面積、成約価格、成約年月日、及び成約坪単価等の情報が含まれている。AIモデル437aは、例えば所定の不動産のデータに含まれる各情報と、成約事例の不動産の不動産事例データに含まれる各情報とを比較して、各情報の差異の大きさを加味しつつ成約事例の不動産の成約時坪単価から所定の不動産の査定坪単価を演算することができるように構成されている。
【0055】
第2査定情報予測部437は、AIモデル437aを用いることにより、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)から査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(1)を演算する。同様に、第2査定情報予測部437は、AIモデル437aを用いることにより、査定対象データDe、類似不動産データDd(2)~Dd(n)、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び類似不動産の予測成約坪単価Pc(2)~Pc(n)から査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(2)~Pe(n)を演算する。これにより、第2査定情報予測部437は、図14(B)に示されるような複数の類似不動産にそれぞれ対応した査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)を算出する。
【0056】
(査定情報演算部)
査定情報演算部438は、査定対象不動産の査定価格Pfを演算する。
【0057】
具体的には、図13に示されるように、査定情報演算部438は、第1査定情報予測部436から査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)の情報を取得するとともに、第2査定情報予測部437から査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)の情報を取得する。さらに、査定情報演算部438は、類似度演算部435から類似度Sd(1)~Sd(n)の情報を取得する。また、査定情報演算部438は、前処理部432から類似不動産データDd(1)~Dd(n)を取得するとともに、取得した類似不動産データDd(1)~Dd(n)から複数の類似不動産のそれぞれの実際の成約坪単価の情報を取得する。査定情報演算部438は、複数の類似度Sd(1)~Sd(n)のうち、値が最も大きい上位数件の類似度に対応した複数の類似不動産を査定用類似不動産として選定する。査定用類似不動産として選定される物件数は例えば5件に設定される。査定情報演算部438は、選定された複数の査定用類似不動産のそれぞれの類似度を係数化したものを重み付け係数として用いて、複数の査定用類似不動産のそれぞれの第1予測査定価格、第2予測査定価格、及び実際の成約坪単価の加重平均を演算する。そして、査定情報演算部438は、演算された加重平均の値を査定対象不動産の査定坪単価として出力するとともに、その査定坪単価と査定対象不動産の専有坪数とに基づいて査定対象不動産の査定価格Pfを演算して出力する。
【0058】
(情報処理システムの動作例)
次に、本実施形態の情報処理システム10の動作例について説明する。
【0059】
図15に示されるように、本実施形態の情報処理システム10では、例えば不動産会社の従業員が端末装置20を操作して査定対象不動産の情報を入力すると、その情報が端末装置20から査定サーバ装置40に送信される(ステップS10)。査定サーバ装置40は、端末装置20から送信される査定対象不動産の情報を受信すると(ステップS20)、その情報に基づいて制御部43が図4図6図11、及び図13に示されるような一連の処理を実行することにより、査定対象不動産の査定価格Pfを演算する(ステップS21)。そして、査定サーバ装置40は、査定対象不動産の査定価格Pfの情報と共に、査定価格Pfを演算する際に用いた複数の査定用類似不動産の情報を端末装置20に送信する(ステップS22)。したがって、査定用類似不動産として選定される物件数が5件である場合、5件の査定用類似不動産の情報が端末装置20に送信されることになる。査定用類似不動産の情報には、査定用類似不動産の名称、所在地、交通、築年月、総戸数、地上階数、及び専有面積等の情報が含まれている。
【0060】
端末装置20は、査定サーバ装置40から送信される査定対象不動産の査定価格Pf及び複数の査定用類似不動産の情報を受信すると(ステップS11)、それらの情報をディスプレイ等に表示する(ステップS12)。これにより、不動産会社の従業員は査定対象不動産の査定価格Pfを知ることができるとともに、その査定価格Pfの算出に用いた不動産を確認することができる。また、不動産会社の従業員は、不動産の査定を要求している顧客に対して査定対象不動産の査定価格Pfや、その査定に用いた不動産を提示することが可能となる。
【0061】
(情報処理システムのハードウェア的な構成)
次に、図16を参照して、端末装置20及びサーバ装置30,40を実現するためのコンピュータ100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0062】
図16に示されるように、コンピュータ100は、プロセッサ101、記憶装置102、通信装置103、入力装置104、及び出力装置105等を有している。プロセッサ101はCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphical Processing Unit)等である。記憶装置102は、例えばメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)の少なくとも一つにより構成される。通信装置103は有線通信又は無線通信を行う。入力装置104は、入力操作を受け付ける装置であり、例えばキーボード、タッチパネル、マウス、マイクの少なくとも一つにより構成される。出力装置105は、情報の出力を行う装置であり、例えばディスプレイ、タッチパネル、及びスピーカの少なくとも一つにより構成される。
【0063】
(本実施形態の情報処理システムの作用及び効果)
以上説明したように、本実施形態の情報処理システム10は、査定情報取得部430と、第1査定情報予測部436と、類似度演算部435と、査定情報演算部438とを備えている。査定情報取得部430は、査定対象不動産の査定対象データDaを取得する。第1査定情報予測部436は、前処理部432より査定対象データDaに対して駅情報及び所在地情報を紐付けする前処理が行われた査定対象データDeと、複数の類似不動産の類似不動産データDd(1)~Dd(n)とに基づいて、類似不動産の類似不動産データDd(1)~Dd(n)から予測される査定対象不動産の第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)を複数の類似不動産毎に演算する。本実施形態では、第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)が、査定対象不動産の査定時の予測価格情報である予測査定価格情報(第1予測査定価格情報)に相当する。類似度演算部435は、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度Sd(1)~Sd(n)を演算する。査定情報演算部438は、複数の類似不動産のそれぞれの類似度Sd(1)~Sd(n)に基づいて、査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格の演算に用いる査定用類似不動産を複数の類似不動産の中から選定し、査定用類似不動産の第1予測査定坪単価に基づいて査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格を演算する。本実施形態では、査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格が査定対象不動産の査定価格情報に相当する。
この構成によれば、査定対象不動産に対して類似度が高い査定用類似不動産の情報に基づいて査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格を演算することができるため、より高い精度で査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格を演算することが可能となる。
【0064】
本実施形態の情報処理システム10は第2査定情報予測部437を更に備える。第2査定情報予測部437は、査定対象データDeと、類似不動産データDd(1)~Dd(n)と、査定対象不動産の予測成約坪単価Pbと、類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)とに基づいて査定対象不動産の第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)を複数の類似不動産毎に演算する。査定情報演算部438は、査定用類似不動産の第1予測査定坪単価及び第2予測査定坪単価に基づいて査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格を演算する。本実施形態では、第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)が第2予測査定価格情報に相当する。
この構成によれば、更に高い精度で査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格を演算することが可能となる。
【0065】
本実施形態の類似度演算部435は、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)~Dd(n)、査定対象不動産の暫定の査定坪単価Pa、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)に基づいて類似度Sd(1)~Sd(n)を演算する。
この構成によれば、より高い精度で類似度Sd(1)~Sd(n)を演算することが可能となる。
【0066】
本実施形態の情報処理システム10は暫定情報演算部433を更に備える。暫定情報演算部433は査定対象データDeに基づいて査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paを演算する。本実施形態では、査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paが査定対象不動産の暫定の査定価格情報に相当する。
この構成によれば、より高い精度で査定対象不動産の暫定の査定坪単価Paを演算することが可能となる。
【0067】
本実施形態の情報処理システム10は成約情報予測部434を備える。成約情報予測部434は査定対象データDeに基づいて査定対象不動産の予測成約坪単価Pbを演算する。また、成約情報予測部434は、類似不動産データDd(1)~Dd(n)に基づいて複数の類似不動産のそれぞれの予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を演算する。
この構成によれば、より高い精度で査定対象不動産の予測成約坪単価Pb及び予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)を演算することが可能となる。
【0068】
図9に示されるように、査定対象データDeには査定対象不動産の駅情報及び所在地情報が含まれている。また、図8に示されるように、類似不動産データDd(1)~Dd(n)には類似不動産の駅情報及び所在地情報が含まれている。
この構成によれば、査定対象不動産及び類似不動産のそれぞれの駅情報及び所在地情報に基づいて査定対象不動産の予測成約坪単価Pb及び予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)が演算されることにより、より高い精度で予測成約坪単価Pb,Pc(1)~Pc(n)を演算することが可能となる。
【0069】
本実施形態の情報処理システム10は、近隣事例取得部431と、前処理部432とを備える。近隣事例取得部431は、複数の不動産の近隣事例データDb(1)~Db(m)を取得する。本実施形態では、近隣事例取得部431が不動産情報取得部に相当する。前処理部432は、査定対象データDa、及び近隣事例データDb(1)~Db(m)に基づいて、近隣の複数の不動産の中から、査定対象不動産に類似する類似不動産を複数選定する。本実施形態では、前処理部432が類似不動産選定部に相当する。
この構成によれば、査定対象不動産に類似する類似不動産を、より高い精度で選定することが可能となる。
【0070】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の情報処理システム10について説明する。以下、第1実施形態の情報処理システム10との相違点を中心に説明する。
【0071】
(査定サーバ装置の構成)
図2に破線で示されるように、本実施形態の制御部43は信頼度演算部439を更に有している点で、第1実施形態の制御部43と異なる。
【0072】
(信頼度演算部)
信頼度演算部439は、査定情報演算部438により演算される査定対象不動産の査定価格Pfの信頼度Raを演算する。
【0073】
具体的には、図17に示されるように、信頼度演算部439は、前処理部432から査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)~Dd(n)を取得するとともに、類似度演算部435から類似度Sd(1)~Sd(n)の情報を取得する。また、信頼度演算部439は、査定情報演算部438により演算された査定対象不動産の査定価格Pfの情報を取得する。信頼度演算部439はAIモデル439aを有している。AIモデル439aは、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)~Dd(n)、類似度Sd(1)~Sd(n)、及び査定対象不動産の査定価格Pfを入力データとして査定価格Pfの信頼度Raを導出することが可能な機械学習モデルである。本実施形態の信頼度Raは「0」から「1」の範囲に設定される値であって、「0」に近づくほど信頼度が低いことを示し、「1」に近づくほど信頼度が高いことを示す。
【0074】
AIモデル439aは、例えば類似不動産データDd(1)~Dd(n)に含まれている複数の類似不動産の成約坪単価の分散を演算して、その分散の値が小さいほど信頼度Raをより高い値に設定する。また、AIモデル439aは、例えば類似不動産データDd(1)~Dd(n)に含まれている複数の類似不動産の成約坪単価のうちの最大値と最小値とを比較して、それらの差が小さいほど信頼度Raをより高い値に設定する。さらに、AIモデル439aは、査定対象データDeに含まれる査定対象不動産の所在地と、類似不動産データDd(1)~Dd(n)に含まれる複数の類似不動産のそれぞれの所在地とを比較して、複数の類似不動産のいずれかの所在地が査定対象不動産の所在地と一致している場合には、信頼度Raをより高い値に設定する。また、AIモデル439aは、類似度Sd(1)~Sd(n)の中に「1」に近い値を有するものが多く含まれているほど、信頼度Raをより高い値に設定する。AIモデル439aは、例えば査定情報演算部438により演算された査定対象不動産の査定価格Pfと実際の査定価格との誤差が小さいほど信頼度Raが高くなるように学習することで構築される。
【0075】
信頼度演算部439は、このようなAIモデル439aを用いることにより、査定対象不動産の査定価格Pfの信頼度Raを演算する。信頼度演算部439により演算された信頼度Raは査定価格Pfと共に端末装置20に送信される。したがって、端末装置20では、査定価格Pfと信頼度Raとを並べて表示することが可能である。
【0076】
(本実施形態の情報処理システムの作用及び効果)
本実施形態の情報処理システム10は信頼度演算部439を更に備える。信頼度演算部439は、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)~Dd(n)、類似度Sd(1)~Sd(n)、及び査定対象不動産の査定価格Pfに基づいて査定対象不動産の査定価格Pfの信頼度Raを演算する。
【0077】
この構成によれば、信頼度Raの値を確認することにより査定対象不動産の査定価格Pfが信頼できるものであるか否かを判断することが可能となるため、利便性を向上させることができる。
【0078】
<他の実施形態>
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。
【0079】
例えば査定対象不動産の予測査定価格情報としては、査定時の予測坪単価Pd(1)~Pd(n),Pe(1)~Pe(n)に限らず、査定時の予想平米単価等を用いてもよい。同様に、査定対象不動産の査定価格情報としては、査定坪単価及び査定価格Pfに限らず、査定平米単価等を用いてもよい。また、査定対象不動産及び類似不動産のそれぞれの予測成約価格情報に関しても、予測成約坪単価Pb,Pc(1)~Pc(n)に限らず、予測成約平米単価等を用いてもよい。さらに、査定対象不動産の暫定の査定価格情報に関しても、暫定の査定坪単価Paに限らず、暫定の査定平米単価等を用いてもよい。
【0080】
類似度演算部435は、査定対象データDe、類似不動産データDd(1)~Dd(n)、査定対象不動産の暫定の査定坪単価Pa、査定対象不動産の予測成約坪単価Pb、及び類似不動産の予測成約坪単価Pc(1)~Pc(n)の少なくとも一つに基づいて類似度Sd(1)~Sd(n)を演算してもよい。例えば、類似度演算部435は、査定対象データDe及び類似不動産データDd(1)~Dd(n)に基づいて類似度Sd(1)~Sd(n)を演算してもよい。
【0081】
査定情報演算部438は、第2予測査定坪単価Pe(1)~Pe(n)を用いずに、第1予測査定坪単価Pd(1)~Pd(n)及び類似度Sd(1)~Sd(n)に基づいて査定対象不動産の査定坪単価及び査定価格Pfを演算してもよい。
【0082】
査定対象不動産、近隣事例不動産、及び類似不動産はマンションに限らず、戸建てや土地等であってもよい。例えば、不動産として戸建てや土地を用いる場合、それらを査定するための情報として、土地面積、土地形状(整形地、不整形地等)、道路幅員、建ぺい率、容積率等を用いてもよい。
【0083】
上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0084】
10:情報処理システム、40:査定サーバ装置(情報処理装置)、100:コンピュータ、431:近隣事例取得部(不動産情報取得部)、432:前処理部(類似不動産選定部)、433:暫定情報演算部、434:成約情報予測部、435:類似度演算部、436:第1査定情報予測部、437:第2査定情報予測部、438:査定情報演算部、439:信頼度演算部。
【要約】
【課題】より高い精度で査定対象不動産の査定価格情報を演算することが可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム10は、類似度演算部435と、査定情報演算部438と、を備える。類似度演算部435は、査定対象不動産に対する複数の類似不動産のそれぞれの類似度を演算する。査定情報演算部438は、複数の類似不動産のそれぞれの類似度に基づいて、査定対象不動産の査定価格情報の演算に用いる査定用類似不動産を複数の類似不動産の中から選定し、査定用類似不動産の予測査定価格情報に基づいて査定対象不動産の査定価格情報を演算する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17