(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ウィッグ台
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A41G3/00 M
(21)【出願番号】P 2023177984
(22)【出願日】2023-10-16
【審査請求日】2023-10-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】最上 裕行
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3182151(JP,U)
【文献】登録実用新案第3242163(JP,U)
【文献】特開2022-051588(JP,A)
【文献】実開昭58-139967(JP,U)
【文献】特開2022-131933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
A47F 5/00-8/02
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィッグを保管
や搬送する際に、ウィッグの形状を保持しつつ収納するウィッグ台(1)であって、
略コ字形状の第1枠体(4)に、該第1枠体の両先端に挟まれるように第1立ち上がり部(5)が形成され
、該第1立ち上がり部の接合する方向に接合用切欠き(11)が形成された
、反発力を有する第1シート材(2)と、
略コ字形状の第2枠体(6)に、該第2枠体の両先端に挟まれるように第2立ち上がり部(7)が形成され
、該第2立ち上がり部の接合する方向に接合用切欠き(11)が形成された
、反発力を有する第2シート材(3)と、から成り、
前記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部の両先端同士を重なるように接合し、
前記各接合用切欠きを噛み合わせ、前記第1枠体の各先端と前記第2枠体の各先端を接合すると、接合した第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が、接合した
前記第1枠体と
前記第2枠体の平面形態の位置より浮き
上がるように構成した、
ことを特徴とするウィッグ台。
【請求項2】
前記第1立ち上がり部は、
前記第1枠体の両先端に挟まれ、幅が狭い部分から幅が広い部分を有する「杯」形状に形成され、
前記第2立ち上がり部も、
前記第2枠体の両先端に挟まれ、幅が狭い部分から幅が広い部分を有する「杯」形状に形成され、
該第1立ち上がり部と第2立ち上がり部の両先端同士が重なるように接合され、かつ浮き
上がった部分が平面視で略円形状を有するように構成した、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ台。
【請求項3】
前記第2立ち上がり部は、前記第2枠体の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ台。
【請求項4】
前記第1立ち上がり部は、前記第1枠体の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成され、
前記第2立ち上がり部も、前記第2枠体の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ台。
【請求項5】
前記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部の両先端同士を重なるように接合する構成は、第1立ち上がり部の先端に係合舌片(12)を形成し、第2立ち上がり部に該係合舌片が係合する係合切欠き(13)が複数形成された、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ台。
【請求項6】
接合した前記第1枠体と第2枠体の外周が形成する四角形状と略同じ形状を有する底板(15a)と、
前記底板の4辺から立ち上げ、接合して前記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が浮き
上がった高さより長い幅を有する側板(15b)と、
前記側板に取り付けられた蓋板(15c)
と、
から構成されるウィッグ収納箱(15)をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ台。
【請求項7】
前記ウィッグ収納箱は、側板、底板と蓋板について着脱自在に組立て
および分解できる構成にした、
ことを特徴とする請求項6に記載のウィッグ台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィッグを保管又は搬送する際に用いるウィッグ台に係り、特に載せたウィッグを型くずれしないで収納するウィッグ台に関する。
【背景技術】
【0002】
ウィッグは、それを装着している人が着ている服装に合わせて使用するもので、ファッションの一部としての要素が強い。そのために、装着者は複数の種類のウィッグを所有している。このウィッグは、人毛又は人工毛をベースに植毛したものである。ウィッグは、ウイッグスタンドと称される、長い半球形状の台に載せて保管している。人毛又は人工毛が型くずれしたり、傷んだりしないようにするためである。
【0003】
ウィッグ又はかつらの保管に関する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1の実用新案登録第3182151号公報「かつらスタンド」のように、内側中央部分に形成されたウィッグ受け部と、このウィッグ受け部の両端部にて一体的となるよう形成され、当該ウィッグ受け部を囲繞するよう設けられた台座部とを具備する1枚の反発力を有する板状のシートであって、上記台座部には、上記ウィッグ受け部と一体的に形成された部位とは異なる部位に接続機構が設けられ、この接続機構が接続状態にあるときは、上記ウィッグ受け部は上方に指向するよう湾曲するよう構成したかつらスタンドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
「かつら」は頭皮に自毛が無いか又は少ない人が装着するものである。頭部(頭蓋骨)の形状に沿って密着するように装着するため、人がかつらを装着することでその形状が整うものである。一方、「ウィッグ」はオシャレな人が、ファッション感覚で装着するものである。自毛の上に装着するものであるため、人が装着した際に思い通りのスタイルにならない場合がある。装着する際に所定の形状を維持している必要がある。しかし、特許文献1の「かつらスタンド」は、薄い1枚の反発性を有する板状のシート材であるため、このシート材が不用意に変形して、ウィッグが型くずれしやすいという問題を有していた。
【0006】
本発明の発明者は、反発性(反発力)を有する板状のシート(紙)を1枚ではなく、部分的に2枚重ねした構成にすることで、反発性(反発力)の特性と、ウィッグを載せる部分にはある程度の剛性を付与し、ウィッグの型くずれを防止することができると考えた。
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、板状のシート材を部分的に重ねた剛性を有する部分では、そこに載せたウィッグの型崩れを防止し、反発力を有する部分では、搬送中の振動、衝撃を吸収するという2種類の機能を有するウィッグ台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ウィッグを保管や搬送する際に、ウィッグの形状を保持しつつ収納するウィッグ台(1)であって、
略コ字形状の第1枠体(4)に、該第1枠体の両先端に挟まれるように第1立ち上がり部(5)が形成され、該第1立ち上がり部の接合する方向に接合用切欠き(11)が形成された、反発力を有する第1シート材(2)と、
略コ字形状の第2枠体(6)に、該第2枠体の両先端に挟まれるように第2立ち上がり部(7)が形成され、該第2立ち上がり部の接合する方向に接合用切欠き(11)が形成された、反発力を有する第2シート材(3)と、から成り、
前記第1立ち上がり部と第2立ち上がり部の両先端同士を重なるように接合し、前記各接合用切欠きを噛み合わせ、前記第1枠体の各先端と前記第2枠体の各先端を接合すると、接合した第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が、接合した前記第1枠体と前記第2枠体の平面形態の位置より浮き上がるように構成した、ことを特徴とするウィッグ台。
【0009】
前記第1立ち上がり部(5)は、第1枠体(4)の両先端に挟まれ、幅が狭い部分から幅が広い部分を有する「杯」形状に形成され、前記第2立ち上がり部(7)も、第2枠体(6)の両先端に挟まれ、幅が狭い部分から幅が広い部分を有する「杯」形状に形成され、
該第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)の両先端同士が重なるように接合され、かつ浮きあがった部分が平面視で略円形状を有するように構成されたものである。
前記第2立ち上がり部(7)は、前記第2枠体(6)の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されたものである。
前記第1立ち上がり部(5)は、前記第1枠体(4)の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成され、前記第2立ち上がり部(7)も、前記第2枠体(6)の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されたものである。
【0010】
前記第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)の両先端同士を重なるように接合する構成は、第1立ち上がり部(5)の先端に係合舌片(12)を形成し、第2立ち上がり部(7)に該係合舌片(12)が係合する係合切欠き(13)が複数形成することができる。
【0011】
接合した前記第1枠体(4)と第2枠体(6)との外周が形成する四角形状と略同じ形状を有する底板(15a)と、
前記底板(15a)の4辺から立ち上げ、接合して前記第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)が浮きあがった高さより長い幅を有する側板(15b)と、
前記側板(15b)に取り付けられた蓋板(15c)から構成されるウィッグ収納箱(15)を更に備えることができる。
前記ウィッグ収納箱(15)は、側板(15b)、底板(15a)と蓋板(15c)について着脱自在に組立て、分解できる構成にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のウィッグ台(1)では、組み立てる前は平たんなシート材(2,3)で、保管が容易である。2枚のシート材(2,3)の5か所を接合するだけで、簡単に立体的なウィッグ台が完成する。逆に、2枚のシート材(2,3)の5か所を外すだけで、簡単に分解できる。
【0013】
接合した第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)が、接合した第1枠体(4)と第2枠体(6)の平面形態の位置より浮きあがるように構成された、この第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)が反発力を有する。ここにウィッグを載せることができる。各立ち上がり部(5,7)の幅が狭い部分(緩衝部α)は、広い部分(載置部β)と比較して変形しやすいので、ウィッグ台にかかる振動、衝撃を吸収することができる。載せられたウィッグを搬送するときは、この外部からウィッグに加わる衝撃、振動をある程度、この第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)の反発力で吸収し、ウィッグの型くずれを防止でき、傷が付かないようにする。
【0014】
第1立ち上がり部(5)と第2立ち上がり部(7)の略円形状になる幅が広い部分は、シート材(2,3)が重ねて接合された部分であるため、幅が狭い部分より剛性が強く、ここに載せたウィッグを強固に保持することができる。すなわち、振動、衝撃を受けてもウィッグが外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の組み立てる前の状態のウィッグ台を示す平面図である。
【
図2】本発明のウィッグ台を組み立てる順序を示す平面図であり、(a)は組み立てる前の状態、(b)は第1立ち上がり部と第2立ち上がり部を接合した状態、(c)は最後に第1枠体と第2枠体を接合して第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が浮き上がった状態である。
【
図3】本発明のウィッグ台を組み立てた状態を示す側面図である。
【
図4】本発明のウィッグ台を組み立てた状態を示す正面図である。
【
図5】実施例1の変形例1のウィッグ台を組み立てる前の状態の平面図である。
【
図6】実施例1の変形例1のウィッグ台の立ち上がり部の状態を示す正面図であり、(a)は高い状態、(b)は低い状態である。
【
図7】実施例1の変形例2のウィッグ台を組み立てる前の状態を示す平面図である。
【
図8】実施例1の変形例2のウィッグ台を示し、第1枠体と第2枠体を接合して第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が浮き上がった状態の平面図である。
【
図9】ウィッグ台の使用状態を説明する概略説明平面図であり、(a)はウィッグ台を示し、(b)はウィッグ台をウィッグ収納箱に詰めた使用状態を示す。
【
図10】第1枠体と第2枠体を接合した外周が円形状になる変形例3のウィッグ台を示す平面図である。
【
図11】第1枠体と第2枠体を接合した外周が六角形状になる変形例4のウィッグ台を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のウィッグ台は、反発力を有するシート材の第1立ち上がり部と第2立ち上がり部の両先端同士を重なるように接合し、第1枠体の各先端と第2枠体の各先端とを接合すると、接合した第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が、接合した第1枠体と第2枠体の平面形態の位置より浮きあがるように構成され、この第1立ち上がり部と第2立ち上がり部にウィッグを載せて収納するものである。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は実施例1の組み立てる前の状態のウィッグ台を示す平面図である。
本発明のウィッグ台1は、2枚の平たんなシート材を組み合わせると、立体的に変形してウィッグ台を形成するものである。各シート材は反発力を有する程度の厚みがある紙製のシート材又はプラスチック製のシート材である。ウィッグを載せて搬送する際に、その時の振動、衝撃を吸収できる程度の変形性を有し、また元の形状に戻れる素材が好ましい。
【0018】
<組み立てる前のウィッグ台を構成する各シート材の構成>
図1に示す組み立て前のウィッグ台1は、平坦な第1シート材2と第2シート材3とから成るものである。第1シート材2は、
図1の左側に示すように、略コ字形状の第1枠体4と、この第1枠体4の両先端に挟まれる位置に連続して第1立ち上がり部5が形成されたものである。第2シート材3は、
図1の右側に示すように、略コ字形状の第2枠体6に、この第2枠体6の両先端に挟まれるように第2立ち上がり部7が形成されたものである。ここで、第1と第2と称した理由は、等級、順番を示すものではなく、同様な形状の部材を区別するために称するものである。
【0019】
第1立ち上がり部5は、第1枠体4から連続して幅が狭い部分と幅が広い部分を有する「杯」形状に形成されている。この「杯」形状に形成した理由は、同様な形状の第2立ち上がり部7に重ねた際に、その重なった状態で略円形状にするためである。この略円形状の部分にウィッグを載せる。
【0020】
また、第1立ち上がり部5における「杯」形状の幅が狭い部分は、略コ字形状の第1枠体4から連続形成している。この部分には折線8を有している。第1立ち上がり部5を折り曲げやすくするためである。同様に第2立ち上がり部7にも同じような位置に折線9を有している。
【0021】
<第1立ち上がり部と第2立ち上がり部との構成>
実施例1のウィッグ台1は、第2立ち上がり部7は、第2枠体6の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されたものである。このように、第2立ち上がり部7が第2枠体6の両先端を結ぶ線より長くすることで、第1シート材2と第2シート材3とを接合した際に上方に浮き上がるようになる。
【0022】
第1枠体4の両先端に、その長手方向に対して直角方向に形成された接合用切欠き10を有する。同じく第2枠体6の両先端に、その長手方向に対して直角方向に形成された接合用切欠き10を有する。この第1枠体4の接合用切欠き10と、第2枠体6の接合用切欠き10が着脱自在に接合する。なお、着脱自在に接合する構成であれば、この図示するような各接合用切欠き10の構成に限定されず、面ファスナー、種々の構成の接合構造に代えることができる。
【0023】
第1立ち上がり部5の先端と第2立ち上がり部7の先端は、それぞれ接合する方向と同じ方向に形成された接合用切欠き11を有する。更に両者が外れないように第1立ち上がり部5に係合舌片12が、第2立ち上がり部7にこの係合舌片12が係合する係合切欠き13が形成され、相互に着脱自在に接合することで、第1シート材2と第2シート材3が一体化するように構成されている。係合舌片12は、図示するように、係合切欠き13に差し込んだときに抜けづらい形状になっている。この第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7との接合についても、この図示するような各接合用切欠き11の構成に限定されず、種々の構成の接合構造に代えることができる。必要に応じて第2立ち上がり部7にウィッグのクリップなどを掛け止めるスリット14を設ける。
【0024】
<ウィッグ台を組み立てる順序>
図2は本発明のウィッグ台を組み立てる順序を示す平面図であり、(a)は組み立てる前の状態、(b)は第1立ち上がり部と第2立ち上がり部を接合した状態、(c)は最後に第1枠体と第2枠体を接合して第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が浮き上がった状態である。
図2において、実施例1のウィッグ台を組み立てる順序を説明する。先ず、
図2(a)に示すように、第1シート材2と第2シート材3を第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の各接合構造が向かい合うように配置する。
【0025】
次に、
図2(b)に示すように、第1立ち上がり部5の係合舌片12を、第2立ち上がり部7の係合切欠き13に差し込む。係合舌片12は係合切欠き13の表面側から裏面側に
向けて差し込む。この第2立ち上がり部7の表面側とは、第2立ち上がり部7が浮き上がる方向を指す。これは、係合舌片12がウィッグに
対して邪魔にならないようにするためである。
同時に、第1立ち上がり部5の接合用切欠き11と第2立ち上がり部7の接合用切欠き
11を接合する。この3か所の接合
および係合により第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が強固に一体化する。
【0026】
最後に、
図2(c)に示すように、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7とが連結された状態で、第1枠体4の各先端と第2枠体6の各先端と接合用切欠き10を接合する。このとき、第2立ち上がり部7は、第2枠体6の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されているため、
図2(b)に示すように、第1枠体4の各先端と第2枠体6の各先端がはなれている。この離れた各先端同士を接合すると、接合した第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が、接合した第1枠体4と第2枠体6の平面形態の位置より浮きあがるようになり、立体的な形状のウィッグ台が形成される。
【0027】
図示するように、接続したときの第1立ち上がり部5の長さ(X1)と第2立ち上がり部7の長さ(Y1)の合計の長さ(X1+Y1=Z1)は、接続したときの第1枠体4の一辺の長さ(A1)と第2枠体6の一辺の長さ(B1)の合計の長さ(A1+B1=C1)より長くなる(Z1>C1)。そこで、反発力を有するシート材から成る第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が浮き上がるようになる。この長さの差(Z1>C1)が大きくすれば第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の浮き上がりが高くなり、逆に小さくすれば浮き上がりが低くなる。
【0028】
図示例では、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7との連結を先にした順序について説明したが、逆に第1枠体4と第2枠体6との連結を先におこない、次に第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7とを連結する順序でも立体化することは可能である。
【0029】
<ウィッグ台を組み立てた状態>
図3は本発明のウィッグ台を組み立てた状態を示す側面図である。
図4は本発明のウィッグ台を組み立てた状態を示す正面図である。
本発明のウィッグ台1を組み立てた状態は、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が、第1枠体4と第2枠体6の平面形態より高い位置に浮きあがる。接合した第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7は、
図4の正面図に示すように、アーチ形状を呈しているが、接合した第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7は、
図2(c)の平面図に示したように略円形状を呈する。そのため、この略円形状の中央位置がウィッグを載せる部分になる。
第2立ち上がり部7に開けたスリット14にウィッグのクリップなどを掛け止め、ウィッグがウィッグ台1から外れないようになっている。
【0030】
接合した第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7は反発力を有する。各立ち上がり部5,7の幅が狭い部分(緩衝部α)は、広い部分(載置部β)と比較して変形しやすいので、ウィッグ台1にかかる振動、衝撃を吸収することができる。この載置部βに載せられたウィッグを搬送するときは、この外部からウィッグに衝撃、振動が加わることがある。反発力を有するシート材が第1枠体4と第2枠体6から伝播する振動又は衝撃をこの緩衝部αで吸収し、ウィッグの型くずれを防止でき、傷が付かないようになる。
逆に第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の中央位置(略円形状の載置部β)は幅が広く、かつ接合部分にシート材が重なった個所があるので、強度が高くなり、ここに載せたウィッグを強固に保持することができる。
【0031】
図示していないが、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の周囲に、ウィッグのベース面の滑り止めとして機能するギザギザの形状に加工することができる。このように構成することで、ウィッグを第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の上で移動せず、型くずれを防止することができる。
【0032】
または、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の周囲に、ウィッグのベース面の滑り止めとして機能する軟製樹脂材を塗布することができる。このように構成することでも、ウィッグの型くずれを防止することができる。
【0033】
<実施例1の変形例1>
図5は実施例1の変形例1のウィッグ台を組み立てる前の状態の平面図である。
図6は実施例1の変形例1のウィッグ台の立ち上がり部の状態を示す正面図であり、(a)は高い状態、(b)は低い状態である。
第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が浮き上がる高さは、接続したときの第1立ち上がり部5の長さ(X1)と第2立ち上がり部7の長さ(Y1)の合計の長さ(X1+Y1=Z1)が、接続したときの第1枠体4の一辺の長さ(A1)と第2枠体6の一辺の長さ(B1)の合計の長さ(A1+B1=C1)より長く(Z1>C1)することで決定される。この変形例1では、第2立ち上がり部7の係合切欠き13を複数個所に設け、第1立ち上がり部5の係合舌片12を差し込む位置を変えることで、高さを数段階に調整することができるようになっている。係合切欠き13の位置が第1立ち上がり部5の係合舌片12に近い位置に差し込めば、第1立ち上がり部の長さ(X1)と第2立ち上がり部の長さ(Y1)の合計の長さ(X1+Y1=Z1)が一番長い状態になり高く設定できる。
【0034】
逆に、第1立ち上がり部5の係合舌片12を遠い位置の係合切欠き13に差し込めば、その合計の長さ(X1+Y1=Z1)が一番短い状態になり低く設定できる。図示例では、3か所に係合切欠き13を設けた状態を図示しているが、この3か所に限定されないことは勿論である。
なお、第1立ち上がり部5の接合用切欠き10と第2立ち上がり部7の接合用切欠き10の長さは、一番長い距離で接合する状態にすれば、いずれの設定状態の時でも対応できる。
【0035】
<実施例1の変形例2>
図7は実施例1の変形例2のウィッグ台を組み立てる前の状態を示す平面図である。
図8は実施例1の変形例2のウィッグ台を示し、第1枠体と第2枠体を接合して第1立ち上がり部と第2立ち上がり部が浮き上がった状態の平面図である。
本発明は、第1枠体4の各先端と第2枠体6の各先端とを接合したときに、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7とが連結された状態の方が長いため浮き上がる構成になっている。実施例1では、第2立ち上がり部7のみが、第2枠体6の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成されている。このように第2立ち上がり部7のみを長く形成する構成に限定されない。第2立ち上がり部7と同じように、第1立ち上がり部5も第1枠体4の両先端を結ぶ線から飛び出す程度の長さを有するように形成することができる。この変形例2では、実施例1のときと異なり、第2立ち上がり部7の第2枠体6先端を結ぶ線から飛び出す長さを短くする必要がある。
【0036】
<ウィッグ台の実際の使用状態>
図9はウィッグ台の使用状態を説明する概略説明平面図であり、(a)はウィッグ台を示し、(b)はウィッグ台をウィッグ収納箱に詰めた使用状態を示す。
本発明のウィッグ台1は、主にウィッグ収納箱15に詰めた状態で使用する。そのために、組み立てた第1枠体4と第2枠体6は、平面視で長方形状を有する。このウィッグ収納箱15は、接合した第1枠体4と第2枠体6の外周が形成する四角形状と略同じ面積を有する底板15aと、この底板15aの4辺から立ち上げ、接合して第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が浮きあがった高さより長い幅を有する側板15bと、この側板15bにかぶせる蓋板15cから構成される。
【0037】
この長方形状は、ウィッグ収納箱15の中で隙間なく収納するためである。また、隙間なく収納することで、ウィッグ台1がウィッグ収納箱15の中で強固に固定され、これに載せたウィッグの型くずれ、傷みを防止することができる。
【0038】
ウィッグ収納箱15の高さは、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の浮き上がる高さと、ウィッグの厚みとの合計から決まる。隙間がありすぎると、ウィッグのウィッグ収納箱15の中での不要な動きにより、型くずれ、傷みの原因になる。また、隙間が無いと、ウィッグが蓋板15cでつぶされて、型くずれの原因になる。この隙間はウィッグの種類、大きさに応じて決定される。
【0039】
<実施例1の変形例3,4>
図10は第1枠体と第2枠体を接合した外周が円形状になる変形例3のウィッグ台を示す平面図である。
図11は第1枠体と第2枠体を接合した外周が六角形状になる変形例4のウィッグ台を示す平面図である。
図10に示すように、ウィッグ収納箱15の形状は、上述したウィッグ収納箱15の底板15aの四角形状のものに限定されない。円形状又は六角形状など多辺形状のものもある。
そこで、
図10に示すように、円形状のウィッグ収納箱に対応するように、第1枠体4と第2枠体6を略半円形状にする。この半円形状の第1枠体4と第2枠体6を接合すると外周が円形状になり、ウィッグ台をウィッグ収納箱に隙間なく収納することができる。
【0040】
また、
図11に示すように、ウィッグ収納箱15が六角形状のときは、第1枠体4と第2枠体6を略台形状にする。この略台形状の第1枠体4と第2枠体6を接合すると外周が六角形状になり、ウィッグ台をウィッグ収納箱に隙間なく収納することができる。その他の楕円形状又は多辺形状の場合も、第1枠体4と第2枠体6の形状をそのウィッグ収納箱の形状に合わせる。
【0041】
なお、本発明は、板状のシート材2,3を部分的に重ねた剛性を有する部分(載置部β)では、そこに載せたウィッグの型崩れを防止し、反発力を有する部分(緩衝部α)では、搬送中の振動、衝撃を吸収するという2種類の機能を有することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のウィッグ台は、ウィッグを保管又は搬送する場合以外に、型くずれや、変形しやすいものを収納、搬送する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ウィッグ台
2 第1シート材
3 第2シート材
4 第1枠体
5 第1立ち上がり部
6 第2枠体
7 第2立ち上がり部
12 係合舌片
13 係合切欠き
15 ウィッグ収納箱
15a 底板
15b 側板
15c 蓋板
【要約】
【課題】板状のシート材を部分的に重ねた剛性を有する部分では、そこに載せたウィッグの型崩れを防止し、反発力を有する部分では、搬送中の振動、衝撃を吸収するという2種類の機能を有する。
【解決手段】略コ字形状の第1枠体4に、第1枠体4の両先端に挟まれるように第1立ち上がり部5が形成された反発力を有する第1シート材2と、略コ字形状の第2枠体6に、第2枠体6の両先端に挟まれるように第2立ち上がり部7が形成された反発力を有する第2シート材3と、から成り、第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7の両先端同士を重なるように接合し、第1枠体4の各先端と第2枠体6の各先端とを接合すると、接合した第1立ち上がり部5と第2立ち上がり部7が、接合した第1枠体4と第2枠体6の平面形態より浮きあがり、立体的に変形し、ウィッグの形状を保持しつつ収納できるウィッグ台1になる。
【選択図】
図1