(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】分散型のネットワーク化されたシステムのセマンティックデータの自律的な発見
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240216BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240216BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/06
H02J13/00 311R
(21)【出願番号】P 2022506251
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2020071714
(87)【国際公開番号】W WO2021019091
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-24
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリセット,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シントゥグル,メフメト・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】イーシェンコ,ドミトリー
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-514002(JP,A)
【文献】特表2014-534723(JP,A)
【文献】Stjepan Sucic, et al.,A device-level service-oriented middleware platform for self-manageable DC microgrid applications utilizing semantic-enabled distributed energy resources,International Journal of Electrical Power & Energy Systems[online],2014年01月31日,[検索日:2023年5月30日],Internet<URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0142061513003542>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型のネットワーク化されたシステム(100)にある複数のエージェント(113、123、133、143、153)のセマンティックデータを発見するための方法(300)であって、
1つ以上の送信側エージェント(113、123、133、143、153)
が、前記1つ以上の送信側エージェント(113、123、133、143、153)と直接通信する1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)に、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の各々についてのセマンティックプロファイルを関連データとともに送るステップと、
前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)の各々において、前記1つ以上の送信側エージェント(113、123、133、143、153)から前記セマンティックプロファイルおよび関連データをそれぞれ受信するステップと、
前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)において、受信した前記セマンティックプロファイルが知らないエージェント(113、123、133、143、153)の知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを含むと判断したことに応答して、
前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)が、前記知らないエージェント(113、123、133、143、153)の前記知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを含むように前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)の前記セマンティックプロファイルを更新するステップと、
前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)の前記セマンティックプロファイルを更新した後に、知らないエージェント(113、123、133、143、153)の知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを含むセマンティックプロファイルおよび関連データを前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)のすべてが受信しなくなるまで、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の前記セマンティックプロファイルを
、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)において、繰り返し送信、受信、および更新するステップとを含む、方法。
【請求項2】
最初、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)のうち少なくとも2つ以上のエージェントは、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)のうち少なくとも1つのエージェントにとって、知らないエージェント(113、123、133、143、153)である、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の各々は、自律的であり、前記1つ以上の受信側エージェント(113、123、133、143、153)の更新された前記セマンティックプロファイルを含んだメッセージを交換することによって、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)のうちその他のエージェントと通信する、請求項1または2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記セマンティックプロファイルおよび関連データは、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の各々の上にあるアプリケーションに関係のある対応するエージェント(113、123、133、143、153)の機能についてのデータを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)は、クライアントサーバ、パブリッシャーサブスクライバー、またはマルチキャスト/ブロードキャスト通信プロトコル、のうち1つを介して通信する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の各々は、処理装置(502)と、入/出力装置(504)と、記憶装置(506)と、前記方法(300)を実行するための操作ロジック(508)とを備える制御システム(500)を構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記分散型のネットワーク化されたシステム(100)は、複数のマイクログリッド(110、120、130、140、および150)を備え、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の各々は、前記複数のマイクログリッド(110、120、130、140、および150)のうち対応するマイクログリッドに対応付けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記分散型のネットワーク化されたシステム(100)は、マイクログリッド(110、120、130、140、および150)内に複数のデバイス(152)を備え、前記複数のエージェント(113、123、133、143、153)の各々は、前記デバイス(152)の各々に対応付けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項9】
分散型のネットワーク化されたシステム(100)にある1つ以上
のエージェント(113、123、133、143、153)を発見するための方法(300)であって、
第1制御システム(111、121、131、141、151)の第1エージェント(113、123、133、143、153)と、第2制御システム(111、121、131、141、151)の第2エージェント(113、123、133、143、153)と、第3制御システム(111、121、131、141、151)の第3エージェント(113、123、133、143、153)とを
動作させるステップと、
前記第1制御システム(111、121、131、141、151)
が第1メッセージを送信するステップとを含み、前記第1メッセージは、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを有し、前記方法は、さらに、
前記第2制御システム(111、121、131、141、151)
が前記第1メッセージを受信するステップと、
前記第2制御システム(111、121、131、141、151)が、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを前記第2エージェント(113、123、133、143、153)の第2のセマンティックプロファイルに付加するステップと、
前記第2制御システム(111、121、131、141、151)
が第2メッセージを送信するステップとを含み、前記第2メッセージは、前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データならびに第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを含み、前記方法は、さらに、
前記第3制御システム(111、121、131、141、151)
が前記第2メッセージを受信するステップと、
前記第3制御システム(111、121、131、141、151)
が前記第2メッセージを受信したことに応答して、
前記第3制御システム(111、121、131、141、151)が前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを前記第3エージェント(113、123、133、143、153)の第3のセマンティックプロファイルに付加するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを前記第3エージェント(113、123、133、143、153)の前記第3のセマンティックプロファイルに付加する前に、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを前記第3エージェント(113、123、133、143、153)が知らないと判断するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法(300)。
【請求項11】
前記第1制御システム、第2制御システム、および第3制御システム(111、121、131、141、151)
がメッセージを送信および受信して、前記第1制御システム、第2制御システム、および第3制御システム(111、121、131、141、151)のいずれも、1つ以上のその他のエージェント(113、123、133、143、153)の知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを受信しなくなるまで、
前記第1制御システム、前記第2制御システム、および前記第3制御システム(111、121、131、141、151)が、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイル、前記第2エージェント(113、123、133、143、153)の前記第2のセマンティックプロファイル、および前記第3エージェント(113、123、133、143、153)の前記第3のセマンティックプロファイルを、前記1つ以上のその他のエージェント(113、123、133、143、153)のセマンティックプロファイルおよび関連データを用いて更新するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法(300)。
【請求項12】
前記制御システム(111、121、131、141、151)の各々は、対応付けられたマイクログリッド(110、120、130、140、および150)を操作する、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項13】
前記制御システム(111、121、131、141、151)の各々は、マイクログリッド(110、120、130、140、および150)内の対応付けられたデバイス(152)を操作する、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項14】
前記第3制御システム(111、121、131、141、151)
が第3メッセージを送信するステップをさらに含み、前記第3メッセージは、前記第1のセマンティックプロファイルと、前記第2のセマンティックプロファイルと、前記第3のセマンティックプロファイルとを含み、前記方法は、さらに、
第4エージェント(113、123、133、143、153)を備える第4制御システム(111、121、131、141、151)において前記第3メッセージを受信するステップと、
前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データ、前記第2のセマンティックプロファイルおよび関連データ、または前記第3のセマンティックプロファイルおよび関連データのうち、少なくとも1つのセマンティックプロファイルおよび関連データを前記第4エージェント(113、123、133、143、153)が知らないと判断するステップと、
前記第4制御システム(111、121、131、141、151)が、知らない前記少なくとも1つのセマンティックプロファイルおよび関連データを前記第4エージェント(113、123、133、143、153)の第4のセマンティックプロファイルに付加するステップとを含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項15】
前記第1制御システム(111、121、131、141、151)は、前記第3制御システム(111、121、131、141、151)と直接通信しない、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項16】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(506)であって、
第1エージェント(113、123、133、143、153)の第1制御システム(111、121、131、141、151)の処理装置(502)によって実行されるように構築された一連の命令を含み、前記一連の命令は、
前記第1エージェント(113、123、133、143、153)と直接通信する少なくとも1つの受信側エージェント(113、123、133、143、153)に、第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを含む第1メッセージを送信し、
前記第1エージェント(113、123、133、143、153)と直接通信する少なくとも1つの送信側エージェント(113、123、133、143、153)から、第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを含む第2メッセージを受信し、
前記第2のセマンティックプロファイルおよび関連データは、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)が知らないエージェント(113、123、133、143、153)の第2のセマンティックプロファイルおよび関連データではないと判断し、
前記知らないエージェント(113、123、133、143、153)の前記第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを含むように前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイルを更新し、
前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データならびに前記第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを含む第3メッセージを、前記少なくとも1つの受信側エージェント(113、123、133、143、153)に送信するのに効果的である、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(506)。
【請求項17】
前記処理装置(502)によって実行されるように構築された前記一連の命令は、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)が、
前記メッセージのいずれも、知らないエージェント(113、123、133、143、153)のセマンティックプロファイルおよび関連データを含まなくなるまで、前記少なくとも1つの送信側エージェント(113、123、133、143、153)からのメッセージで受信したセマンティックプロファイルを用いて前記第1エージェント(113、123、133、143、153)の前記第1のセマンティックプロファイルを繰り返し更新するのに効果的である、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(506)。
【請求項18】
前記第1のセマンティックプロファイルおよび関連データは、前記エージェント(113、123、133、143、153)の各々の上にあるアプリケーションに関係のある対応するエージェント(113、123、133、143、153)の機能についてのデータを含む、請求項16または17に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(506)。
【請求項19】
前記処理装置(502)によって実行されるように構築された前記一連の命令は、前記第1エージェント(113、123、133、143、153)において受信した各セマンティックプロファイルの値を判断するのに効果的である、請求項16~18のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(506)。
【請求項20】
前記第1エージェント(113、123、133、143、153)は、クライアントサーバ、パブリッシャーサブスクライバー、またはマルチキャスト/ブロードキャスト通信プロトコル、のうち1つを介して前記少なくとも1つの受信側エージェント(113、123、133、143、153)および前記少なくとも1つの送信側エージェント(113、123、133、143、153)と通信するように構成される、請求項16~19のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(506)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年7月31日に出願された米国通常出願第16/527,502号の利益を主張し、当該出願を引用により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、エネルギー省によって補助金が支給された契約第DE-OE0000831号の下、アメリカ政府による支援によってなされた。本願について、アメリカ政府は一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本開示は、全体的に、通信プロトコルを用いて実装された分散ネットワークのエージェント間での分散型データ交換メカニズムに関する。一実施の形態において、エージェントは、分散アプリケーションに参加するために、ネットワークのその他のエージェントの身元および機能を見つけることができる。
【背景技術】
【0004】
背景
インテリジェントエージェントのネットワークおよび/またはシステムは、一例を挙げるだけでも、電力システム、産業用の制御システム、アクセス制御システム、およびIoT(Internet of Things)など、今日の多くのアプリケーションで採用されている。たとえば、電気配分システムは、集中管理から、自立した知能および自主性を有する分散型のネットワーク化されたシステムへの過渡期にある。DER(分散型エネルギーリソース)、および電力系統への1つまたは複数の連系点を有する負荷から構成される、個別に制御されるネットワーク化されたマイクログリッドは、エネルギー取引、最適化、および状態推定のような分散アプリケーションを用いて、分散システムを連携してサポートし得る。これらのアプリケーションは、各マイクログリッドを表すエージェントから構成されるネットワークによって実行される。各マイクログリッドは、特に、オーナーを共有していない場合、ネットワーク全体または隣接するマイクログリッドの状態が分からないであろう。
【0005】
そのため、ネットワーク化されたシステムのエージェントは、所与のアプリケーションについての情報の所与の交換に含まれるその他のエージェントの身元、および/またはネットワークの1つ以上のその他のエージェントの機能が当該アプリケーションに関して提供できるその他のエージェントの身元が分からない可能性がある。その結果、この分野でのさらなる発展が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の例示的な実施の形態は、所与のアプリケーションに参加しているネットワーク化されたシステムにある複数のエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを自律的に発見するための一意のシステム、方法、技術、および装置を含み、初期設定の手間を省き、ネットワーク変更への適応を可能にし、個別に所有されている資産のプライバシーを保護する。本開示の他の実施の形態、形態、目的、特徴、利点、態様、およびメリットは、下記の説明および図面から明らかになるであろう。
【0007】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、ここで、以下の添付の図面と関連して下記の説明について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】エージェントが分散されている、ネットワーク化されたマイクログリッドシステムの例を示す図である。
【
図2】
図1のネットワーク化されたマイクログリッド間の隣接関係を示す表である。
【
図3】ネットワークのその他のエージェントが発見するためにエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを通信するための処理の例を説明するフローチャートである。
【
図4】セマンティックプロファイル発見処理時に
図1のネットワーク化されたシステムにある1つのエージェントが送信したメッセージのイテレーションを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施の形態の詳細な説明
本開示の例示的な実施の形態、ならびにその実施、製造および使用を可能にするための製造方法、使用方法を明確、簡潔、かつ正確に説明するために、図示された実施の形態を含む特定の例示的な実施の形態についてこれから言及し、特有の用語を用いて説明する。しかしながら、これにより本発明の範囲は限定されないこと、本発明は、当業者が想定するであろう例示的な実施の形態の変更、改良およびさらなる応用を含んで保護することを理解されたい。
【0010】
図1を参照すると、ネットワーク化されたマイクログリッドシステム100が示されている。システム100は、ネットワーク化されたマイクログリッドに限定されず、ネットワーク化されたインテリジェントエージェントを備える分散型システムの様々なアプリケーションで実現されてもよいことがわかるであろう。分散型システムの例を一部挙げると、電力系統分散システム、産業プラント分散システム、車両分散システム、マイクログリッド内の分散型発電システムおよびその他のエージェント、産業用の制御システム、IoT(Internet of Things)、アクセス制御システム、ならびに1つのコンピュータ上にある分割アプリケーションなどがある。
【0011】
システム100のトポロジーは、説明のために示されており、本開示を限定するものではないことが分かるであろう。たとえば、システム100は、より多くのマイクログリッドを備えてもよいし、より少ないマイクログリッドを備えてもよく、システム100のマイクログリッドは、任意の構成で配置されてもよく、分散アプリケーションに参加するために内部で動作するリレー、メーター、コントローラなどに埋め込まれた複数のインテリジェントエージェントを有するマイクログリッドが1つのみ、という構成を含む。さらには、各マイクログリッドのトポロジーは、説明のために示されており、本開示を限定するものではないことが分かるであろう。たとえば、マイクログリッド110は、より多くのバスを備えてもよいし、より少ないバスを備えてもよく、より多くの電源を備えてもよいし、より少ない電源を備えてもよく、より多くのエネルギー貯蔵装置を備えてもよいし、より少ないエネルギー貯蔵装置を備えてもよく、より多くの負荷を備えてもよいし、より少ない負荷を備えてもよく、より多くのフィールド機器を備えてもよいし、より少ないフィールド機器を備えてもよい。単線結線図を用いてシステム100が図示されているが、システム100は、単相交流電力もしくは多相交流電力、または直流電力を送電するように構築されてもよい。
【0012】
図示した例では、システム100は、マイクログリッド110、120、130、140、および150を備える。各マイクログリッドは、複数のバスのうち1つに結合された少なくとも1つの負荷および少なくとも1つの電源を備える。各マイクログリッドは、その電気的特性または物理的特性を測定するように構築された複数のフィールド機器を備える。たとえば、マイクログリッド150は、バス158を含む複数のバスと、負荷155を含む複数の負荷と、交流電源157と、複数のフィールド機器152とを備える。
【0013】
交流電源157は、ソーラーパネルアレイ、風力原動機、天然ガス発電機、または電力を発電するように構築されたその他の装置またはシステムを含んでもよい。負荷155は、電力を消費するように構築された任意の種類の装置またはシステムであってもよい。複数のフィールド機器152は、一部例を挙げると、電圧センサー、IED(インテリジェント電子デバイス)、リモートターミナルユニット(RTU)、リレー、リクローザ、電流センサー、ボルテージトランス、およびカレントトランスを含み得る。
【0014】
また、各マイクログリッド110、120、130、140、150は、複数の通信路を経由して複数のフィールド機器に結合されたマイクログリッド制御システム111、121、131、141、151を備える。たとえば、マイクログリッド150は、複数の通信路を介して複数のフィールド機器152に結合されたマイクログリッド制御システム151を備える。各マイクログリッド制御システムは、その電気的特性および物理的特性を監視し、当該マイクログリッドにある被制御機器を操作し、マイクログリッドに結合された機器を故障およびその他の状況から保護するように構築される。
【0015】
各マイクログリッド110、120、130、140、および150は、インテリジェントエージェント113、123、133、143、153をそれぞれ備える。インテリジェントエージェントは、対応する制御システム111、121、131、141、および151の一部であってもよい。エージェント113、123、133、143、153は、それぞれのマイクログリッドを管理し、後述するように通信ネットワーク160において互いに接続されている。エージェント113、123、133、143、153は、自律的に動作し、個別の演算を行い、通信ネットワーク160内でメッセージを交換することによって互いに通信するように構成される。電力システムの場合、これらのエージェント113、123、133、143、153は、保護リレー、メーター、分散型エネルギー資源コントローラ、マイクログリッド監視コントローラなどに対応付けられてもよい。
図1は、例示的なトポロジーを示しているに過ぎず、エージェント113、123、133、143、153は、一部のエージェントの隣接エージェントであり得、隣接関係は、実施の形態に例示されている関係に限定されないことを理解されたい。
【0016】
図2を参照すると、
図1の隣接するマイクログリッド間の通信ネットワークの関係が表200に示されている。マイクログリッド110、120、130、140、および150のマイクログリッド制御システム111、121、131、141、151および/またはエージェント113、123、133、143、153は、それぞれ、1つ以上の隣接するマイクログリッド制御システムと結合された通信路を含む通信ネットワーク160を経由して通信するように構築される。図示した実施の形態では、マイクログリッド制御システム111/エージェント113は、マイクログリッド制御システム/エージェント121/123および131/133のみと通信し、マイクログリッド制御システム/エージェント121/123は、マイクログリッド制御システム/エージェント111/113のみと通信し、マイクログリッド制御システム/エージェント131/133は、マイクログリッド制御システム/エージェント111/113、141.143、および151/153のみと通信し、マイクログリッド制御システム/エージェント141/143は、マイクログリッド制御システム/エージェント131/133のみと通信し、マイクログリッド制御システム/エージェント151/153は、マイクログリッド制御システム/エージェント131/133のみと通信する。
【0017】
エージェント間の通信路、マイクログリッド制御システムのフィールド機器とエージェントとの間の通信路、およびマイクログリッド内のフィールド機器間の通信路は、有線であってもよく、ワイヤレスであってもよい。一部例を挙げると、各通信路は、IEC61850、OPC UA、Pub-Sub、XMPP、またはDDSなど、標準化された通信プロトコルを利用し得る。特定の実施形態では、交換メッセージのセマンティックは、セマンティックモデルとして知られる周知の表現を用いて規定されてもよい。
【0018】
たとえば、FIPA(Foundation for Intelligent Physical Agents)標準は、交換メッセージのセマンティックを記述するためのACL(Agent Communication Language:エージェント通信言語)を実装する。ACLメッセージの内容は、行為の目的と、メッセージを通して渡されるパラメータとを含む。送信者パラメータおよび受信者パラメータは、送信者の名前と、対象とする受信側エージェントとを指定する。一部例を挙げると、ACLメッセージは、通知、要求、拒否、サブスクライブ、およびプロパゲーションなどの通信行為を表す。IEC61850通信プロトコルは、標準化されていないIEC61850論理ノードをACL通信行為に基づくACSI(Abstract Communication Service Interface)として使用して拡張され得、GOOSEメッセージにマッピングできる。
【0019】
自律インテリジェントエージェント113、123、133、143、153を有する分散型システムを運用することにはメリットがある。分散型システムは、システム全体のフォールトトレランスを強化する機能または分散アプリケーションを実行するために、連携して動くことができる。たとえば、マイクログリッドネットワークに分割された分散システムの分散アプリケーションは、分散状態推定、最適化、ピアツーピアエネルギー共有、およびシステム再構成を含む。各エージェント113、123、133、143、153に対応付けられたリソースは、所有されていてもよく、および/または独立して操作されてもよい。これらの特徴の結果として、エージェント113、123、133、143、153のうち1つ以上には、その他のエージェントが特定の分散アプリケーション(複数可)とどのように対話するかについての知識またはデータがない可能性がある。
【0020】
既存の分散型システムいくつかの欠点およびデメリットがある。当技術分野におけるこれらおよびその他の欠点に鑑みて、本明細書に開示のユニークな装置、方法、システム、および技術には、大きなニーズがある。詳細は以下に説明するが、システム100のエージェント113、123、133、143、153は、各々、所与の分散アプリケーションに参加しているすべてのその他のエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを自動的に見つけて、自身のプロファイルを動的に更新してその他のセマンティックプロファイルおよび関連データを発見したことを反映させるように構築される。本明細書において使用するとき、エージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データは、所与のアプリケーションについてのエージェントの機能に関する情報を含む。
【0021】
本願において提案するソリューションは、独立した分散型のネットワーク化されたエージェントが、すべてのエージェント113、123、133、143、153間でリンクを予め確立することなく情報を交換できるようにする通信プロトコルに基づく。これらのプロトコルには、クライアントサーバ機構を利用するエージェント間のメッセージ中心のプロトコル、パーティション分割されたデータ空間を有する、データ中心のプロトコル、および/またはアドレス指定を利用しないマルチキャスト/ブロードキャストプロトコルを含む。固定ネットワークがないと、アプリケーションは、エージェント間で送信されるメッセージの構造および内容についての取り決められたフォーマットに準拠しなければならない。このフォーマットに従うと、特定のアプリケーションのメッセージは、エージェントのセマンティックプロファイルとなる。このフォーマットでは、特定の「トピック」の見出しでデータを符号化する必要があり得る。そのため、あるエージェント上にあるアプリケーションは、受信側エージェントを指定することなく特定のトピックメッセージをネットワークに送り出すことができ、ネットワーク上のそのトピックを検出するように構成されたおよび/またはそのトピックにサブスクライブしている任意の隣接するエージェントが、当該メッセージを受信する。
【0022】
「ブローカー」というメッセージを用いてこれを実現するプロトコルもある。ブローカーは、トピックに基づいてパブリッシャー(送信者)からサブスクライバー(受信者)へのメッセージを整理することが唯一の目的である、集中エージェントである。その他のプロトコルは、最初のネットワーク発見処理において、すべてのエージェント113、123、133、143、153が互いのトピックを共有するが必ずしも互いのセマンティックプロファイルデータは共有していない分散「データ空間」を利用する。エージェントが必ずしもすべてのその他のエージェントとトピックを共有する必要がなくなるように、このようなネットワークにあるアプリケーションを、パーティション分割されたデータ空間全体に分散させてもよい。このような場合、エージェントは、直接通信リンクを予め確立することなく、ネットワーク上で別のエージェントからデータを受信できるようになる。データ中心のマルチキャスト/ブロードキャストプロトコルとは異なり、クライアントサーバプロトコルは、エージェントが隣接するエージェントの身元が分かるよう、アドレスを利用する。しかしながら、あるアプリケーションを実行して別のアプリケーションを実行していくと、各エージェント113、123、133、143、153は、隣接するエージェントの機能に関する情報、または、隣接するエージェントがアプリケーションに参加しているかどうかについての情報を持っていない可能性がある。また、エージェント113、123、133、143、153も、必ずしもネットワークの残りの部分についての情報を必ずしも含んでおらず、隣接していないエージェントと通信することもできない。
【0023】
図3を参照すると、すべてのエージェントがネットワークのその他のエージェント、および特定のアプリケーションについての当該その他のエージェントの機能を見つけられるようにするためのエージェントセマンティックプロファイルデータを通信するための処理300が示されている。処理300については、
図1に示すネットワーク化されたマイクログリッドシステム100を例に以下に説明する。具体的には、処理300については、1つのマイクログリッド制御システムを例に説明するが、ネットワーク化されたマイクログリッドシステム100の各マイクログリッド制御システムが同時に処理300を実行することを理解されたい。その他の形態のネットワーク化されたマイクログリッドシステムおよび本明細書に開示するその他の分散型システムと組み合わせて処理300を利用してもよい。たとえば、処理300の1つ以上を省略する、さらなる条件分岐および動作を追加する、ならびに/または動作および条件分岐を別個の処理に再編成また分割することを含む、処理300に対するいくつもの変更および変形が考えられることもさらに分かるであろう。
【0024】
処理300は、開始地点であるスタート動作302を含む。スタート動作302では、エージェント113、123、133、143、153のうち1つ以上のエージェントの間で、すべてのエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データ、ならびに、(場合によっては)参加が知られていない。処理300は、動作304に処理を進める。動作304では、各エージェント113、123、133、143、153は、アプリケーションに関連するので、そのセマンティックプロファイルデータを、マルチキャスト/ブロードキャストとして、または「パブリケーション」としてネットワークに送り出す、もしくは、予め取り決められたトピック下で符号化して隣接するエージェント(複数可)に直接送り出す。
【0025】
すべてのメッセージが送信されると、処理300は、動作306に続く。動作306では、各エージェント113、123、133、143、153は、その隣接するエージェントの各々からセマンティックプロファイルデータを受信する。動作306では、各エージェント113、123、133、143、153は、その隣接するエージェント(複数可)の存在、身元、およびプロファイルについても学習する。
図1のシステム100の例では、エージェント113は、エージェント123および133のセマンティックプロファイルおよび関連データを学習し、エージェント123は、エージェント113のセマンティックプロファイルおよび関連データを学習し、エージェント133は、エージェント143および153のセマンティックプロファイルおよび関連データを学習し、エージェント143は、エージェント133のセマンティックプロファイルおよび関連データを学習し、エージェント153は、エージェント133のセマンティックプロファイルおよび関連データを学習する。
【0026】
これに加えて、各エージェント113、123、133、143、153は、新しいメッセージを作成しつつ、その隣接するエージェントのプロファイル情報を含むように自身のプロファイルを拡張する。この例では、エージェント113は、その元プロファイルと、エージェント113に通信されるエージェント123および133のプロファイルとを含む新しいメッセージを作成する。エージェント113、123、133、143、153によって新しいメッセージが送信されると、トピックにサブスクライブする各エージェント113、123、133、143、153は、隣接するエージェント、および隣接するエージェントのプロファイルに含まれているその他のエージェントについてのデータを取り込む。
【0027】
処理300は、条件分岐308に続き、それぞれのエージェント113、123、133、143、153が受信したセマンティックプロファイルに、受信側エージェントが現在知らないエージェントについてのセマンティックプロファイルデータが含まれているかどうかを繰り返し判断する。本明細書において提供する例では、エージェント123は、知っている隣接するエージェント113のセマンティックプロファイルについてのデータをこれまで通り受信し、エージェント113がエージェント123に宛てたメッセージにエージェント133のセマンティックプロファイルデータを含んでいたので、エージェント133についてのデータについても受信する。
【0028】
条件分岐308がYESであった場合、処理300は、動作308に続き、メッセージに含まれている新しいセマンティックプロファイルデータを含むようにエージェントの既存プロファイルを動的に調整する。本明細書において説明する例では、エージェント113に関する知っているセマンティックプロファイルデータは、エージェント123によって無視され得るが、隣接していないエージェント133の新しいセマンティックプロファイルデータは、エージェント133のセマンティックプロファイルデータを受信していないとエージェント123が認識してしまうことになるので、エージェント123のセマンティックプロファイルに付加される。知らないエージェントセマンティックプロファイルデータを受信しなかったことを理由に条件分岐308がNOであった場合、処理300は、312において終了する。
【0029】
図4を参照すると、例示的なエージェント123と、エージェント123が知らないすべてのエージェントの発見が完了するまでエージェント123において送受信される新しいメッセージの各イテレーションとを例示するテーブル400が示されている。各エージェント113、123、133、143、153は連続してメッセージを送るので、エージェント123がメッセージを受信する度に、そのセマンティックプロファイルは、これまで知らなかったエージェントについて新たに見つかったセマンティックプロファイルデータを用いて拡張される。そのため、各エージェント113、123、133、143、153は、ネットワークのその他のエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを徐々に学習していく。各エージェント113、123、133、143、153は、これまで検出したことのないエージェントについてのセマンティックプロファイルデータについての受信メッセージにフィルタをかけることができる。最終的に、すべてのエージェント113、123、133、143、153は、新しいセマンティックプロファイルデータを取り込むことがなくなり、これは、発見処理が完了したことを示す。
【0030】
処理300を用いて新しいデータを含むようにセマンティックプロファイルを拡張することは、新しいセマンティックデータを次のメッセージに付加するくらい簡単なことである。IEC61850など、一部の通信プロトコルは、高度に指定された機能内容データモデルを用いて、エージェントがアプリケーションとどのように対話するかを記述する。本開示は、動的データモデルという概念を利用して、隣接するエージェントのメッセージを受信すると、当該隣接するエージェントが知っているセマンティックプロファイルを含むようにシステム100の各エージェント113、123、133、143、153において機能内容を再構成する。
【0031】
処理300は、アプリケーションエージェント113、123、133、143、153が隣接するエージェントからセマンティックプロファイルデータを受信し、隣接するエージェントのデータを自身のセマンティックプロファイルに付加し、更新されたセマンティックプロファイルを隣接するエージェントに再送するという繰り返し処理である。すべてのエージェント113、123、133、143、153が受信した拡張セマンティックプロファイルデータに最後のイテレーションから変化がないと、処理300は、エージェントの発見が完了したと判断する。処理300は、クライアントサーバ、パブリッシャーサブスクライバー、およびマルチキャスト/ブロードキャストを含む、ほとんどすべての通信ネットワーク環境で利用できる。
【0032】
処理300は、「ディスカバリ」というメッセージトピックを採用して、特定の分散アプリケーションに関するその他のエージェントの存在およびセマンティックプロファイルをエージェントが見つけられるようにできる。「ディスカバリ」というメッセージを受信することによってエージェントが隣接するエージェントについて学習すると、第1エージェントは、そのプロファイルを、新たに見つかったセマンティックプロファイルデータを含むように拡張した後、当該拡張セマンティックプロファイルを有する新しいメッセージを送出する。そのセマンティックプロファイルを更新し、拡張した更新セマンティックプロファイルを有する更新されたメッセージを送るというイテレーションの間に、エージェントは、その隣接するエージェントがその拡張セマンティックプロファイルにこれまで知らなかったエージェントのセマンティックプロファイルデータを含んでいるので、より遠くにあるエージェントについて学習するようになるであろう。最終的に、すべてのエージェントは、すべてのその他のエージェントのプロファイルを発見できるようになり、交換したメッセージに新しい情報が含まれなくなると、処理300は完了する。
【0033】
本開示は、分散型のネットワーク化されたエージェントを利用する電力システムおよびその他のシステムがシステムをサポートするための測定機能および制御機能を提供するために有用である。ネットワーク化されたエージェントは、サイバーセキュリティ、フォールトトレランス、効率、および分散システムのその他の機能を向上させる、ネットワーク間で分散して実行されるアプリケーションをホストする。このようなアプリケーションでは、エージェント113、123、133、143、153が、互いに通信および連携できるよう、その他のエージェントの身元および機能について知っている必要がある。本開示は、デバイスのプライバシーを保護し、ネットワークにおける変化に適応できるエージェント113、123、133、143、153を発見することを実現する方法を提案する。
【0034】
本開示におけるこの具体例では、例として、ネットワーク化されたマイクログリッドを表すエージェント113、123、133、143、153を用いるが、本開示は、このようなシステムに限定されない。本明細書に開示の発見処理300を利用するネットワーク化されたマイクログリッドアプリケーションは、ネットワークにある任意の数のエージェントの参加を必要とし得る。発見処理300を用いて、エネルギーを共有し得る隣接するマイクログリッド(すなわち、低インピーダンス電気接続によって接続された)を見つけることができ、どのくらいのエネルギーを共有できるかを特定できる。
【0035】
多くの場合、参加しているエージェントの数は、事前にわからないであろう。例として、電力システムの分散状態推定アプリケーションでは、すべてのエージェントが参加している必要があり、エージェントは、アプリケーションが開始されたときに、どれくらいの数のエージェントがネットワークに接続されているか、またはどれくらいの数の状態が推定されているかを必ずしも事前に分かっていないであろう。エネルギー取引など、その他の場合、アプリケーションは、2つのエージェント間のピアツーピアトランザクションであり得る。
【0036】
本開示は、分散インテリジェンスを有するシステムを非常に柔軟かつ再構成可能にすることにより、当該システムがシステム全体の運用を改善できるようにする。エージェントをローカルで個別管理することにより、個別に所有されているエージェントのセキュリティおよびプライバシーを提供しつつ、単一障害点をなくすことができる。システム運用を改善するためのアプリケーションをインテリジェントエージェント間で分散させる。インテリジェントエージェントは、エージェントから構成されるネットワーク化されたシステムを表し、通信ネットワーク上で連携する。
【0037】
エージェントから構成される分散型システムが集中制御されたシステム上で提供する柔軟性およびプライバシーの利点を得るために、特定の分散アプリケーションを実行する前にすべてのエージェント間ですべての一連のプロファイルおよび機能が分かっていなければならない。エージェントは、その他のエージェントの身元およびプロファイルを見つけなければならない。その他のエージェントの身元およびプロファイルは、最後にアプリケーションが実行されてから変更されているかもしれない。セマンティックプロファイルデータ発見処理300は、個別に所有されているリソースのプライバシーを尊重しつつ、高速で自動的に動作する。ネットワーク化されたデバイスによって定期的に実行する必要があるアプリケーションの場合、本開示は、規模、処理能力の限界、プライバシー上の制約といった問題、およびアプリケーションに参加するすべてのデバイスに対してすべての関連する変更をワンステップで反映させることが実現可能でない集中制御されたシステムにおいて生じるその他の問題に対処する。
【0038】
本開示において提案するソリューションは、システムにあるすべてのエージェント間でリンクを予め確立することなく、独立したネットワーク化されたアプリケーションが情報を交換できるようにする通信技術に基づく。ネットワーク化されたエージェントによって分散アプリケーションが実行させるようにするために、各エージェントは、今後連携するその他のエージェントのアプリケーション固有のセマンティックプロファイルおよび関連データを学習する。エージェントがそのセマンティックプロファイルデータを有するメッセージをネットワークで送ると、セマンティックプロファイルデータは、すべてのエージェント間で取り決められたアプリケーションに関連性のある定義済みフォーマットおよびデータモデルに従う。
【0039】
パブリッシュサブスクライブプロトコルの場合、エージェントは、選択されたトピックに関するメッセージのネットワークトラフィックにフィルタをかけることができ、かつ、別のエージェントから、そのエージェントの身元または場所がわからなくても、セマンティックプロファイルおよび関連データを受信できる。クライアントサーバプロトコルの場合、送信者および受信者は定義済みであるが、プロファイルの中身は定義されていない。
【0040】
パブリッシュサブスクライブプロトコル、および取り決められたディスカバリトピックを用いるネットワークでは、エージェントは、複数回のイテレーションで、すべてのその他のエージェントのアプリケーションセマンティックプロファイルおよび関連データを発見できる。当該イテレーションの回数は、ネットワークの大きさにのみ比例して変動する。エージェントは、処理について、トピック以外は事前になにも知っている必要はない。これにより、分散インテリジェンスアプリケーションを設定する手間は、当該アプリケーションおよび通信処理がネットワークにおける変化に適応できるので、大幅に簡素化される。たとえば、新しいエージェントが追加された場合、その他のエージェントは、アプリケーションの実行方法を変える必要がなく、新しいエージェントは、このアプリケーションに参加するように特別に設計される必要はない。
【0041】
また、ネットワークは、クライアントサーバプロトコル、またはエージェントのうち送信者と受信者が分かっているその他のプロトコルを用いてもよい。本開示は、
図1のように、エージェントがエージェントのネットワークの全体を分かっていないが、すべてのエージェントが同じ分散アプリケーションに参加することを想定する。この場合、本開示は、ネットワークのすべてのエージェント間でアプリケーションを開始する、高速で自動化された容易に構成できる方法を提供する。すべてのエージェントは、すべてのその他のエージェントのプロファイルおよび機能を学習できるが、データ交換は、定義済みの隣接するエージェントとしか行わない。ネットワークが変わっても、発見処理を再構成する必要はない。
【0042】
図1に示すシステム100に関する1つの具体例として、システムセキュリティを改善する分散状態推定アプリケーションがエージェント113、123、133、143、153上で提供される。全体状態推定は、各エージェント113、123、133、143、153によって生成されるベクトルであり、すべてのマイクログリッド間のネットワークにあるバスごとに1つの値を有する。ベクトルの長さを判断するために、エージェント113、123、133、143、153は、マイクログリッドの数、および各マイクログリッドにあるバスの数を知っていなければならない。長さが固定されている場合、アプリケーションは、システムにおけるいかなる再構成にも適応できない。本明細書に記載の処理を用いて、各エージェント113、123、133、143、153は、新しいマイクログリッド/エージェントを見つけるにつれて、複数回数のイテレーションの間にバスの数を学習する。これは、バスの数を属性としてセマンティックプロファイルに含めることによって、たとえば、
図4の「Value」フィールドのうち1つをバスの数に設定することによって実現できる。
【0043】
具体的なマイクログリッド内アプリケーションは、セマンティック発見処理300も利用してもよい。たとえば、マイクログリッドは、マイクログリッド内の故障の影響を軽減する、分散型のFDIR(故障検出、隔離、および復旧、別名、故障位置、隔離、およびサービス復旧、またはFLISR)アプリケーションを有してもよい。分散型FDIRアプリケーションでは、マイクログリッド全体に地理的に分散されたエージェントが通信し、連携して故障緩和機能を実行する。アプリケーションの性能が高いかどうかは、すべての参加エージェントがその他の参加エージェントの存在および機能について最新の知識を持つかどうかに依拠する。そのため、本明細書に記載のセマンティックプロファイルデータ処理300を定期的に実行して(または、その他の手段でトリガさせて)、故障が発生した場合に備えてエージェントにその他のエージェントについて随時知らせておく。
【0044】
マイクログリッド内アプリケーションの別の例は、「ブラックスタート」アプリケーションである。このアプリケーションでは、マイクログリッド内のリソースを用いて、完全なブラックアウトに続いて、マイクログリッドのサービスが復旧する。本願では、停止時間を最小限に抑えるため、システムの安定性を維持するため、再生可能エネルギー源を最大限に利用するため、およびその他の理由で、分散されたエージェントが通信してブラックスタート処理を調整してもよい。アプリケーションが正常終了するために、エージェントは、その他の参加エージェントの存在および機能を知っていなければならない。そのため、セマンティックプロファイルデータ発見処理300は、ブラックスタート処理の最初のステップとして実行され得る。
【0045】
図5を参照すると、
図1のシステム100のエージェント113、123、133、143、153のうちの1つなど、例示的な制御システム500の概略ブロック図が示されている。制御システム500は、処理装置502と、入/出力装置504と、記憶装置506と、操作ロジック508とを備える。さらには、コンピューティングデバイス500は、分散型システムまたはローカルのフィールド機器におけるその他のエージェントまたは制御システムを含む、1つ以上の外部デバイス510と通信する。制御システム800は、スタンドアロンデバイスであってもよく、組込みシステムであってもよく、システム500で説明した機能を実行するように構築された複数のデバイスであってもよい。
【0046】
入/出力装置504は、制御システム500が、ローカルのフィールド機器もしくはその他のエージェントまたは制御システムと通信することを可能にする。一部例を挙げると、入/出力装置504は、ネットワークアダプタ、ネットワーク認証情報、インターフェース、またはポート(たとえば、USBポート、シリアルポート、パラレルポート、アナログポート、デジタルポート、VGA、DVI、HDMI(登録商標)、FireWire(登録商標)、CAT5、Ethernet(登録商標)、ファイバー、またはその他の種類のポートもしくはインターフェース)を含み得る。入/出力装置504は、これらのアダプター、認証情報、または、データを受信するための第1ポートおよびデータを送信するための第2ポートなどのポート、のうち1つ以上を備えてもよい。
【0047】
一部例を挙げると、処理装置502は、1つもしくは複数のプロセッサ、1つもしくは複数のALU(Arithmetic-Logic Unit)、1つもしくは複数のCPU(Central Processing Unit)、1つもしくは複数のDSP(Digital Signal Processor)、または1つもしくは複数のFPGA(Field-Programmable Gate Array)を含む。複数の処理部を有する処理装置の形態の場合、分散処理、パイプライン処理、または並列処理が用いられてもよい。処理装置802は、本明細書に記載の動作だけを実行する専用の処理装置であってもよく、1つ以上のさらなるアプリケーションにおいて用いられてもよい。処理装置502は、メモリ506に格納されたプログラミング命令(ソフトウェアまたはファームウェアなど)が規定する操作ロジック508に従ってアルゴリズムを実行してデータを処理するプログラム可能なタイプであってもよい。これに代えて、またはこれに加えて、処理装置502の操作ロジック508は、少なくとも一部がハードワイヤードロジックまたはその他のハードウェアによって規定されている。処理装置502は、入/出力装置504またはそれ以外から受信した信号を処理し、所望の出力信号を提供するのに適した任意の種類の1つ以上の構成要素から構成されてもよい。このような構成要素は、デジタル回路、アナログ回路、またはその両方の組合せを含んでもよい。
【0048】
一部例を挙げると、記憶装置506(コンピュータ読み取り可能な媒体としても知られる)は、固体タイプ、電磁タイプ、光学タイプ、またはこれらの形態の組合せなど、1つ以上の種類のメモリであってもよい。さらには、記憶装置506は、揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置、一時的な記憶装置、非一時的な記憶装置、またはこれらの種類の組合せであってもよく、記憶装置506の一部またはすべては、一部例を挙げると、ディスク、テープ、メモリースティック、またはカートリッジなど、持ち運び可能なタイプであってもよい。これに加えて、記憶装置506は、操作ロジック508を規定するプログラミング命令を格納することに加えて、またはその代わりに、1つ例を挙げると、入/出力装置504から受信した信号および/または入/出力装置504に送られた信号を表すデータなど、処理装置502の操作ロジック508によって操作されるデータを格納してもよい。記憶装置506は、処理装置502に含まれてもよく、および/または処理装置502に結合されてもよい。
【0049】
ここで、本開示のいくつかの例示的な態様および様々な実施の形態についてさらに説明する。一態様に係ると、分散型のネットワーク化されたシステムにある複数のエージェントのセマンティックデータを発見するための方法が提供される。本方法は、送信側エージェントのうち1つ以上と直接通信する1つ以上の受信側エージェントに、複数のエージェントの各々についてのセマンティックプロファイルを関連データとともに送るステップと、1つ以上の受信側エージェントの各々において、1つ以上の送信側エージェントからセマンティックプロファイルおよび関連データをそれぞれ受信するステップと、1つ以上の受信側エージェントにおいて、受信したセマンティックプロファイルが知らないエージェントの知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを含むと判断したことに応答して、知らないエージェントの知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを含むように1つ以上の受信側エージェントのセマンティックプロファイルを更新するステップと、1つ以上の受信側エージェントのセマンティックプロファイルを更新した後に、知らないエージェントの知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを含むセマンティックプロファイルおよび関連データを受信側エージェントのすべてが受信しなくなるまで、複数のエージェントのセマンティックプロファイルを繰り返し送信、受信、および更新するステップとを含む。
【0050】
本方法の一実施の形態において、最初、複数のエージェントのうち少なくとも2つ以上のエージェントは、複数のエージェントのうち少なくとも1つのエージェントにとって、知らないエージェントである。別の実施の形態では、複数のエージェントの各々は、自律的であり、更新されたセマンティックプロファイルを含んだメッセージを交換することによって、複数のエージェントのうちその他のエージェントと通信する。さらに別の実施の形態では、セマンティックプロファイルおよび関連データは、複数のエージェントの各々の上にあるアプリケーションに関係のある対応するエージェントの機能についてのデータを含む。
【0051】
方法の別の実施の形態では、エージェントは、クライアントサーバ、パブリッシャーサブスクライバー、およびマルチキャスト/ブロードキャスト通信プロトコル、のうち1つを介して通信する。さらに別の実施の形態では、エージェントの各々は、処理装置と、入/出力装置と、記憶装置と、方法を実行するための操作ロジックとを備える制御システムを構成する。実施の形態では、分散型のネットワーク化されたシステムは、複数のマイクログリッドを備え、エージェントの各々は、複数のマイクログリッドのうち対応するマイクログリッドに対応付けられる。別の実施の形態では、分散型のネットワーク化されたシステムは、マイクログリッド内に複数のデバイスを備え、エージェントの各々は、デバイスの各々に対応付けられる。
【0052】
別の態様によると、分散型のネットワーク化されたシステムにある1つ以上エージェントを発見するための方法を提供する。本方法は、第1制御システムの第1エージェントと、第2制御システムの第2エージェントと、第3制御システムの第3エージェントとを操作するステップと、第1制御システムを用いて第1メッセージを送信するステップとを含み、第1メッセージは、第1エージェントの第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを有し、方法は、さらに、第2制御システムにおいて第1メッセージを受信するステップと、第1エージェントの第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを第2エージェントの第2のセマンティックプロファイルに付加するステップと、第2制御システムを用いて第2メッセージを送信するステップとを含み、第2メッセージは、第1のセマンティックプロファイルおよび関連データならびに第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを含み、方法は、さらに、第3制御システムにおいて第2メッセージを受信するステップと、第3制御システムにおいて第2メッセージを受信したことに応答して、第1エージェントの第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを第3エージェントの第3のセマンティックプロファイルに付加するステップとを含む。
【0053】
一実施の形態において、本方法は、第1エージェントの第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを第3エージェントの第3のセマンティックプロファイルに付加する前に、第1エージェントの第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを第3エージェントが知らないと判断するステップをさらに含む。本実施の形態の改良点では、本方法は、第1システム、第2システム、および第3制御システムを用いてメッセージを送信および受信して、第1システム、第2システム、および第3制御システムのいずれも、1つ以上のその他のエージェントの知らないセマンティックプロファイルおよび関連データを受信しなくなるまで、第1エージェントの第1のセマンティックプロファイル、第2エージェントの第2のセマンティックプロファイル、および第3エージェントの第3のセマンティックプロファイルを、1つ以上のその他のエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを用いて更新するステップをさらに含む。
【0054】
方法の別の実施の形態では、制御システムの各々は、対応付けられたマイクログリッドを操作する。さらに別の実施の形態では、制御システムの各々は、マイクログリッド内の対応付けられたデバイスを操作する。さらに別の実施の形態では、第1制御システムは、第3制御システムと直接通信しない。
【0055】
別の実施の形態では、本方法は、第3制御システムを用いて第3メッセージを送信するステップを含み、第3メッセージは、第1のセマンティックプロファイルと、第2のセマンティックプロファイルと、第3のセマンティックプロファイルとを含み、方法は、さらに、第4エージェントを備える第4制御システムにおいて第3メッセージを受信するステップと、第1のセマンティックプロファイルおよび関連データ、第2のセマンティックプロファイルおよび関連データ、および第3のセマンティックプロファイルおよび関連データのうち、少なくとも1つのセマンティックプロファイルおよび関連データを第4エージェントが知らないと判断するステップと、知らない少なくとも1つのセマンティックプロファイルおよび関連データを第4エージェントの第4のセマンティックプロファイルに付加するステップとを含む。
【0056】
別の態様によると、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、第1エージェントの第1制御システムの処理装置によって実行されるように構築された一連の命令を含む。一連の命令は、第1エージェントと直接通信する少なくとも1つの受信側エージェントに、第1のセマンティックプロファイルおよび関連データを少なくとも含む第1メッセージを送信し、第1エージェントと直接通信する少なくとも1つの送信側エージェントから、第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを少なくとも含む第2メッセージを受信し、第2のセマンティックプロファイルおよび関連データは、第1エージェントが知らないエージェントの第2のセマンティックプロファイルおよび関連データではないと判断し、知らないエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを含むように第1エージェントの第1のセマンティックプロファイルを更新し、第1のセマンティックプロファイルおよび関連データならびに第2のセマンティックプロファイルおよび関連データを含む第3メッセージを、少なくとも1つの受信側エージェントに送信するのに効果的である。
【0057】
一実施の形態において、一連の命令は、処理装置によって実行されるように構築され、第1エージェントが、メッセージのいずれも、知らないエージェントのセマンティックプロファイルおよび関連データを含まなくなるまで、少なくとも1つの送信側エージェントからのメッセージで受信したセマンティックプロファイルを用いて第1エージェントのセマンティックプロファイルを繰り返し更新するのに効果的である。別の実施の形態では、第1のセマンティックプロファイルおよび関連データは、エージェントの各々の上にあるアプリケーションに関係のある対応するエージェントの機能についてのデータを含む。
【0058】
さらに別の実施の形態では、処理装置によって実行されるように構築された一連の命令は、第1エージェントにおいて受信した各セマンティックプロファイルの値を判断するのに効果的である。別の実施の形態では、第1エージェントは、クライアントサーバ、パブリッシャーサブスクライバー、およびマルチキャスト/ブロードキャスト通信プロトコル、のうち1つを介して少なくとも1つの受信側エージェントおよび少なくとも1つの送信側エージェントと通信するように構成される。
【0059】
特に明確な記載がない限り、これら様々な実施の形態の様々な態様、特徴、処理、および動作は、その他の実施の形態において用いられ得ると考えられる。例示した特定の動作は、コンピュータが非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体上でコンピュータプログラムプロダクトを実行することによって実現されてもよい。ここで、コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータに、動作のうち1つ以上を実行させる命令、または、コンピュータに、1つ以上の動作を実行するためのコマンドをその他のデバイスに発行させる命令を含む。
【0060】
本開示の非限定の例示的な実施の形態、ならびにその実施、製造および使用を可能にするための製造方法、使用方法を明確、簡潔、かつ正確に説明するために、図示された実施の形態を含む特定の例示的な実施の形態について言及し、特有の用語を用いて説明した。しかしながら、これにより本開示の範囲は限定されないこと、本開示は、本開示のメリットを理解する当業者が想定するであろう例示的な実施の形態の変更、改良およびさらなる応用を含んで保護することを理解されたい。
【0061】
添付の図面および以上の説明において本開示を例示して詳細に説明したが、あくまで例示として考えられるべきであり、特徴を限定するものではなく、特定の例示的な実施の形態を図示および説明したに過ぎず、本開示の要旨内のすべての変更や修正が保護されることが望ましいと理解されたい。上記説明で利用した「preferable」、「preferably」、「preferred」、または「more preferred」などの単語の使用は、説明した通りの特徴がより好ましいということを示すが、必須ではなく、このような特徴を持たない実施の形態も、以下に続くクレームによって示される本開示の範囲に含まれると考えられ得ることを理解されたい。クレームを読むと、「a」、「an」、「at least one」、または「at least one portion」などの単語が用いられた場合、特に具体的な記載がクレームにない限り、1つの項目だけにクレームを限定する意図はない。「of」という単語は、その単語が用いられている文脈が示すように、別の項目と関係があるまたは結びついている、および当該項目に属している、関連があることを意味し得る。特に具体的な記載がない限り、「coupled to」、「coupled with」などの用語は、間接的な接続、結合を含み、直接の連結または接続をさらに含む(必須ではない)。「at least a portion」および/または「a portion」という言い回しが用いられている場合、特に具体的な記載がない限り、その項目は、項目の一部および/または全体を含み得る。