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  • 特許-空冷式空気-空気ブッシュ 図1
  • 特許-空冷式空気-空気ブッシュ 図2
  • 特許-空冷式空気-空気ブッシュ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】空冷式空気-空気ブッシュ
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/26 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
H01B17/26 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022543148
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2021050786
(87)【国際公開番号】W WO2021144409
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】20152003.8
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン,ダン
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレーン,シモン
(72)【発明者】
【氏名】コーグナル,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ナッツ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】レパシ,ゾルタン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,トーマス
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-093400(JP,U)
【文献】特開昭50-114596(JP,A)
【文献】特開昭62-160076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気-空気貫通壁ブッシング(1)であって、
導体(11)と、
前記導体を取り囲む絶縁体(13)と、
前記ブッシングの第1の端部(15a)に設けられた換気入口(21)と、
前記ブッシングの第2の端部(15b)に設けられた換気出口(21)とを備え、
前記ブッシング(1)は、壁(3)を貫通して配置され、
前記壁(3)の第1の側の第1の気圧(P1)と前記壁(3)の第2の側の第2の気圧(P2)との間の気圧差が形成され、
前記入口および前記出口は、冷却空気が前記形成された気圧差によって駆動され、前記ブッシング内の換気チャネル(14)を通ることを可能にし、前記ブッシング(1)は、バルブホール(2)の前記壁(3)を水平方向に貫通して配置される、ブッシング。
【請求項2】
前記換気チャネル(14)は、前記導体(11)の外側に形成されている、請求項1に記載のブッシング。
【請求項3】
前記換気チャネル(14)は、前記導体(11)と前記ブッシング(1)の巻き管(12)との間の空隙に形成されている、請求項2に記載のブッシング。
【請求項4】
前記巻き管(12)は、前記導体(11)の外側に同心円状に配置されている、請求項3に記載のブッシング。
【請求項5】
前記換気入口(21)および前記換気出口(21)は、前記巻き管(12)と前記導体(11)との間の各々の端部接続を通って、前記ブッシングの各端部(15a、15b)に形成されている、請求項3または請求項4に記載のブッシング。
【請求項6】
前記導体(11)は、中空の導体管である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のブッシング。
【請求項7】
前記換気チャネルは、前記導体管(11)の内側に形成されている、請求項6に記載のブッシング。
【請求項8】
前記換気入口(21)および前記換気出口(21)は、前記導体管(11)の壁を通って形成されている、請求項7に記載のブッシング。
【請求項9】
ホール設備(10)であって、
前記ホール設備のホール(2)の壁(3)を貫通して配置された、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載されたブッシング(1)を備える、ホール設備。
【請求項10】
前記ホール(2)は、バルブホールである、請求項9に記載のホール設備。
【請求項11】
前記ホール(2)は、冷却空気が前記ホールの内側に配置された前記換気入口(21)から前記ホールの外側に配置された前記換気出口(21)までの前記換気チャネル(14)を通って流れるように、前記冷却空気を押し付けることができる高気圧(P1)を保持している、請求項9または10に記載のホール設備。
【請求項12】
空気-空気貫通壁ブッシング(1)内の換気チャネル(14)を通る空気流を提供する方法であって、
前記ブッシングは、壁(3)を貫通して配置され、
前記ブッシングは、
導体(11)と、
前記導体を取り囲む絶縁体(13)と、
前記ブッシングの第1の端部(15a)に設けられた換気入口(21)と、
前記ブッシングの第2の端部(15b)に設けられた換気出口(21)とを備え、
前記方法は、
前記壁(3)の第1の側の第1の気圧(P1)と前記壁(3)の第2の側の第2の気圧(P2)との間の気圧差を形成することと、 周囲空気が、前記形成された気圧差によって駆動され、前記換気入口(21)から前記換気出口(21)までの前記ブッシング内の前記換気チャネル(14)を通ることを可能にすることとを含み、前記ブッシング(1)は、バルブホール(2)の前記壁(3)を水平方向に貫通して配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、空気-空気貫通壁ブッシングに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在の壁ブッシュは、動作中に、通常、周囲空気による自然対流によって冷却される。ブッシングに対する要求の1つは、ある程度の電流レベルである。この電流レベルは、ブッシングが限界電流に近い場合、空気冷却だけでは満たすことが困難であり得る。
【0003】
US1706810は、中空導体を有する壁ブッシュを開示している。冷却空気が、加熱されると、中空導体の内部で循環される。T字形の吸気口は、ブッシュの上部に配置され、冷却空気の入口および出口の両方を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
本発明の目的は、例えば、バルブホールの壁を貫通して配置された空気-空気貫通壁電気ブッシング、典型的には高電圧(HV)ブッシングの冷却を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、導体と、導体を取り囲む絶縁体と、ブッシングの第1の端部に設けられた換気入口と、ブッシングの第2の端部に設けられた換気出口とを備える空気-空気貫通壁ブッシングが提供される。入口および出口は、冷却空気がブッシング内の換気チャネルを通過することを可能にする。
【0006】
本発明の別の態様によれば、ホール設備のホールの壁を貫通して配置された本開示の一実施形態のブッシングを含むホール設備が提供される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、空気-空気貫通壁ブッシング内の換気チャネルを通る空気流を提供する方法が提供される。ブッシングは、壁を貫通して配置される。ブッシングは、導体と、導体を取り囲む絶縁体と、ブッシングの第1の端部に設けられた換気入口と、ブッシングの第2の端部に設けられた換気出口とを備える。この方法は、壁の第1の側の第1の気圧と壁の第2の側の第2の気圧との間の気圧差を形成することと、周囲空気が、形成された気圧差によって駆動され、換気入口から換気出口までのブッシング内の換気チャネルを通ることを可能にすることとを含む。
【0008】
ブッシングの両端に設けられた開口(入口および出口)を有する換気チャネルによって、冷却空気は、例えばファンまたは圧縮機などによる空気の強制循環を必要とせず、ブッシングの両側の気圧差によって駆動され、換気チャネルを通って流れることによって、ブッシングを冷却することができる。ブッシングが壁を貫通して配置されるように構成されているため、壁の両側に気圧差が存在することがある。例えば、粉塵および他の汚染物質が建物に進入することを防止するために、建物の内側にわずかな高気圧が意図的に形成される。ブッシングの両端に開口部を有する換気チャネルを有するブッシングによって、この気圧差は、換気チャネルを通る冷却空気流を駆動することができる。
【0009】
なお、任意の態様の任意の特徴は、任意の他の態様に適切に適用されてもよい。同様に、任意の態様のいずれかの任意の利点は、他の態様のいずれかに適用されてもよい。添付の実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、添付の従属請求項、ならびに図面から明らかになるであろう。
【0010】
一般的に、請求項に使用される全ての用語は、本明細書で特に明記しない限り、当技術分野において通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、部品、手段、ステップなど」への全ての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、部品、手段、ステップなどの少なくとも一例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書に開示された任意の方法のステップは、特に明記しない限り、開示された正確な順序で行われる必要はない。本開示の異なる特徴/構成要素に対して使用された「第1の」、「第2の」などの用語は、これらの特徴/構成要素を他の同様の特徴/構成要素から区別することのみを意図しており、これらの特徴/構成要素にいかなる順序または階層を加えることを意図していない。
【0011】
添付の図面を参照して、実施形態を例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のいくつかの実施形態に従って、壁を貫通して配置されたブッシングを有するバルブホールを示す概略側断面図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に従って、ブッシングの長手断面を示す概略図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に従って、図2のブッシングの端部の長手断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
以下、特定の実施形態を示す添付の図面を参照して、実施形態をより完全に説明する。しかしながら、本開示の範囲において多くの異なる形態の他の実施形態が可能である。むしろ、以下の実施形態は、本開示を詳細で完璧に記載し、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように、例示として提供される。同様の番号は、説明全体を通して同様の要素を指す。
【0014】
図1は、壁3を貫通して配置された空気-空気貫通壁ブッシング1を含むホール設備10の実施形態を示す。ブッシングが空気-空気ブッシングであることは、このブッシングの両端が、周囲空気中に配置されるように構成され、換気チャネルの入口および出口が、例えば変圧器油またはSFガスなどの絶縁流体中に浸漬されず、周囲空気に開口することを意味する。ブッシングが貫通壁ブッシングであることは、このブッシングが、例えばバルブホールの壁を貫通して取り付けられるように構成されることを意味する。壁は、ホール設備10に含まれるホール2の壁、例えば、バルブホール、電力変換器を収容するバルブホールの壁であってもよい。ブッシング1は、直流(DC)および交流(AC)のいずれかまたは両方用に配置されてもよい。ブッシング1は、HVブッシングであってもよく、すなわち、壁3を通ってHV電流を通過/接続するように配置されてもよい。したがって、ブッシュ1は、ホール2内の空気からホールの外部の空気に通る。ホールの内部の空気とホールの外部の空気との間には気圧差がある。したがって、ホール内に高気圧または低気圧のいずれかが存在し得る。典型的には、粉塵がホールに進入し、敏感な機器を汚染することを防止するために、ホール2内の気圧を意図的に高気圧に維持する。図示のように、ホール2の内部には第1の気圧P1があり、ホールの外部には第2の気圧P2がある。ホール内が高気圧である場合、P1>P2。ブッシングは、ホールの外部の電気機器(図示せず)、例えば、電力変圧器に接続することができる。
【0015】
図2は、導電体11を含むブッシング1を示す。この導体は、典型的には、ブッシングの中心長手軸に沿って、ブッシングの中心に配置される。この導体は、管状体(中空体)または塊状体であってもよく、好ましくは導体管11の形にした管状体であってもよい。この導体は、コンデンサコア13を含む電気絶縁体によって、典型的には同心円状に囲まれている。また、この絶縁体は、外側シェルまたはシェッド(図示せず)を備えてもよい。外側シェルまたはシェッドは、典型的にはブッシングの外側に沿った沿面を防止するためのシェッド先端を備える。ブッシングの各端部15において、本開示では第1の端部15aおよび第2の端部15bにおいて、この導体は、電気機器、例えば上述した電力変換器および/または変圧器に電気的に接続するように構成される。典型的には、第1の端部15aは、ホール2の内側に配置されるように構成された内側端部であり、第2の端部15bは、ホール2の外側に配置されるように構成された外側端部である。
【0016】
コンデンサコア13は、導体11の上面に直接に巻き付けられてもよい。しかしながら、好ましくは、例えば導体11を取り外すことを可能にするように、しばしばコンデンサコア13を巻き管12の上面に巻き付ける。本発明によれば、冷却空気は、例えば図面中の矢印によって示されるように、ブッシング1内の換気チャネル14を通って、典型的にはブッシングの長手方向に沿って流れ、好ましくは導体11と接触することによって、導体からおよびブッシングの全体から熱を除去することができる。図2の例に示すように、P1>P2の場合、空気は、ファン、圧縮機または冷却空気の流れを強制的にするための他の手段を必要とせず、ブッシングの第1の端部15aから第2の端部15bへ流れる。換気チャネル14は、導体11の内側および/または外側に形成されてもよい。典型的には、巻き管12は、導体11の周りに同心に配置される。これによって、導体と巻き管との間には、典型的には同心の空隙が形成される。この場合、例えば実質的に同心である換気チャネル14は、導体の外側の空隙内に形成されてもよい。しかしながら、導体11が例えば導体管の形にした中空体である場合、換気チャネル14は、追加的にまたは代替的に導体内に形成されてもよい。
【0017】
図3は、ブッシング1の端部15、例えば、図2の第1の端部15aおよび第2の端部15bのいずれかを示す。図示の実施形態において、通気孔または通気口21は、空気がブッシング1の外側とブッシング内の通気チャネル14との間に流れることを可能にするように配置される。端部15が高気圧に配置される場合、換気孔21は、冷却空気をブッシングの外側から換気チャネル14に吸入することを可能にする換気入口を形成することができ、端部15が低気圧に配置される場合、換気孔21は、冷却空気を換気チャネル14からブッシングの外側に排出することを可能にする換気出口を形成することができる。
【0018】
図3の実施形態において、換気チャネル14は、導体と巻き管12との間で導体11の外側に形成される。したがって、通気孔21は、例えば巻き管の壁を通って巻き管に形成され、または図示のように巻き管と導体との間のフランジまたは他の端部接続の中に/それを通って形成される。しかしながら、換気チャネル14の全部または一部が導体11内に形成される場合、換気孔21は、冷却空気が導体管に出入りすることを可能にするために、例えば導体管の壁を通って導体管に形成され、または導体管の端部構造に形成される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、通気チャネル14は、導体11の外側に形成される。いくつかの実施形態において、通気チャネル14は、ブッシング1の導体11と巻き管12との間の空隙に形成される。いくつかの実施形態において、巻き管12は、導体11の外側に同心円状に配置される。いくつかの実施形態において、換気入口21および換気出口21は、巻き管12と導体11との間の各々の端部接続を通って、ブッシングの各端部15aおよび15bに形成される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、導体11は、中空の導体管である。いくつかの実施形態において、導体11の外側に形成された換気チャネル14に加えてまたはその代わりに、換気チャネルは、導体管11の内側に形成される。いくつかの実施形態において、換気入口21および換気出口21は、導体管11の壁を通って形成され、したがって、導体管内に換気チャネルを形成することを容易にする。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、ブッシング1は、例えば、バルブホール2の壁3を貫通して配置される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、ブッシング1は、ホール設備10に含まれる。ブッシング1は、ホール設備10のホール2の壁3を貫通して配置される。いくつかの実施形態において、ホール(2)は、例えば、モジュラーマルチレベル変換器(MMC)などの電力変換器を収容するためのバルブホールである。いくつかの実施形態において、ホール2は、冷却空気がホールの内側に配置された換気入口21からホールの外側に配置された換気出口21までの換気チャネル14を通って流れるように、冷却空気を押し付けることができる高気圧P1を保持している。
【0023】
本開示は、主に、いくつかの実施形態を参照して上記で説明されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲において、上記で開示されるもの以外の他の実施形態も同様に可能である。
図1
図2
図3