(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ヘルスケアデータ管理システム、ヘルスケアデータ管理方法及びヘルスケアデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240216BHJP
【FI】
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2023189318
(22)【出願日】2023-11-06
【審査請求日】2023-11-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308026414
【氏名又は名称】アイ・モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デービット・エー.・リーブレック
(72)【発明者】
【氏名】古屋 亮太
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-129311(JP,A)
【文献】国際公開第2022/185471(WO,A1)
【文献】特開2017-027618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理システムであって、
前記ヘルスケアデータ管理システムは、記憶部と、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、報酬分配部と、を備え、
前記記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納し、
前記ヘルスケアデータ受付部は、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID及び前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、前記ヘルスケアデータに前記ユーザID及び前記デバイスIDを紐づけて前記記憶部に格納し、
前記提供部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供し、
前記報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ及び
、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記デバイスIDを用いて参照可能な前記メーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する、
ヘルスケアデータ管理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記ヘルスケアデータにその保有者を表すヘルスケアデータ保有者IDを紐づけて格納し、
前記報酬分配部は、更に、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ヘルスケアデータ保有者IDが表す保有者に対して、前記報酬を分配する、
請求項1に記載のヘルスケアデータ管理システム。
【請求項3】
前記ヘルスケアデータ管理システムは、更に、提供オプトイン情報受付部を備え、
前記提供オプトイン情報受付部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対しての前記ヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報を受け付け、前記ヘルスケアデータ及び/又はユーザIDに前記提供オプトイン情報を紐づけて前記記憶部に格納し、
前記提供部は、更に、前記提供オプトイン情報に基づいて、前記ヘルスケアデータを提供する、
請求項2に記載のヘルスケアデータ管理システム。
【請求項4】
前記ヘルスケアデータ管理システムは、更に、送信オプトイン情報受付部を備え、
前記送信オプトイン情報受付部は、前記ヘルスケアデータの前記ヘルスケアデータ受付部への送信可否を表す送信オプトイン情報を受け付ける、
請求項3に記載のヘルスケアデータ管理システム。
【請求項5】
前記記憶部は、更に、前記ユーザの属性であるユーザ属性を前記ユーザIDに紐づけて格納する、
前記報酬分配部は、前記ユーザIDに紐づくユーザ属性に基づいて、前記報酬を分配する、
請求項1に記載のヘルスケアデータ管理システム。
【請求項6】
前記ヘルスケアデータ管理システムは、更に、利用依頼受付部を備え、
前記利用依頼受付部は、前記ヘルスケアデータの利用を制限する情報である利用制限情報を含むヘルスケアデータの利用依頼を受け付け、
前記提供部は、更に、前記利用依頼に基づいて、前記利用制限情報が有する条件において前記ヘルスケアデータの利用を制限する情報を含む利用制限付きヘルスケアデータを提供する、
請求項1に記載のヘルスケアデータ管理システム。
【請求項7】
前記ヘルスケアデータ受付部は、更に、前記ユーザ及び/又は前記保有者と前記ヘルスケアデータを利用したい者との間において、前記報酬が分配されることを契約する電子契約を受け付け、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザID、前記デバイスID又は前記ヘルスケアデータ保有者IDの少なくとも1つに紐づけて前記記憶部に格納する、
請求項2に記載のヘルスケアデータ管理システム。
【請求項8】
ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理システムであって、
前記ヘルスケアデータ管理システムは、記憶部と、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、提供オプトイン情報受付部と、報酬分配部と、を備え、
前記記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納し、更に、前記ヘルスケアデータにその保有者を表すヘルスケアデータ保有者IDを紐づけて格納し、
前記ヘルスケアデータ受付部は、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID、前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスID及び前記ヘルスケアデータのヘルスケアデータ保有者IDを受け付け、前記ユーザIDを、前記ヘルスケアデータを識別するための情報に紐づけてブロックチェーンネットワークシステムに格納し、更に、前記デバイスID及び前記ヘルスケアデータ保有者IDを、前記ヘルスケアデータを識別するための情報に紐づけて前記記憶部又は前記ブロックチェーンネットワークシステムに格納し、
前記提供オプトイン情報受付部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対しての前記ヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報を受け付け、前記ヘルスケアデータを識別するための情報及び/又はユーザIDに前記提供オプトイン情報を紐づけて記憶部又は前記ブロックチェーンネットワーク
システムに格納し、
前記提供部は、前記提供オプトイン情報に基づいて、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供し、
前記報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータ
を識別するための情報に紐づく前記ユーザIDのユーザ、
提供されたヘルスケアデータを識別するための情報に紐づく前記デバイスIDを用いて参照可能な前記メーカーIDのメーカー及び
、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ヘルスケアデータ保有者IDが表す保有者に対して、報酬を分配する、
ヘルスケアデータ管理システム。
【請求項9】
ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理システムが実行するヘルスケアデータ管理方法であって、
前記ヘルスケアデータ管理システムは、記憶部と、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、報酬分配部と、を備え、
前記記憶部が、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納する工程と、
前記ヘルスケアデータ受付部が、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID及び前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、前記ヘルスケアデータに前記ユーザID及び前記デバイスIDを紐づけて前記記憶部に格納する工程と、
前記提供部が、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供する工程と、
前記報酬分配部が、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ及び
、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記デバイスIDを用いて参照可能な前記メーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する工程と、を含む、
ヘルスケアデータ管理方法。
【請求項10】
ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理プログラムであって、
記憶部を有するコンピュータを、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、報酬分配部と、として機能させ、
前記記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納し、
前記ヘルスケアデータ受付部は、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID及び前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、前記ヘルスケアデータに前記ユーザID及び前記デバイスIDを紐づけて前記記憶部に格納し、
前記提供部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供し、
前記報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ及び
、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記デバイスIDを用いて参照可能な前記メーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する、
ヘルスケアデータ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケアデータ管理システム、ヘルスケアデータ管理方法及びヘルスケアデータ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの医療や健康に関するデータを第三者に提供し、提供したユーザ個人が報酬を得る技術が存在する。
【0003】
例えば特許文献1には、ユーザが医療や健康に関するデータを提供し、その個人データの提供と引き換えに報酬がユーザに分配される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが医療や健康に関するデータを第三者に提供するためには、ユーザ以外の者、特に、医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスを供給するメーカーの協力も不可欠である。しかしながら特許文献1の技術では、ユーザに報酬を分配することはできる一方、デバイスを供給するメーカーに対して報酬を分配することは困難である。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、医療・健康に関するヘルスケアデータの提供による報酬を分配するための新たな技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理システムであって、
前記ヘルスケアデータ管理システムは、記憶部と、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、報酬分配部と、を備え、
前記記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納し、
前記ヘルスケアデータ受付部は、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID及び前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、前記ヘルスケアデータに前記ユーザID及び前記デバイスIDを紐づけて前記記憶部に格納し、
前記提供部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供し、
前記報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ及び前記メーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理システムが実行するヘルスケアデータ管理方法であって、
前記ヘルスケアデータ管理システムは、記憶部と、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、報酬分配部と、を備え、
前記記憶部が、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納する工程と、
前記ヘルスケアデータ受付部が、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID及び前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、前記ヘルスケアデータに前記ユーザID及び前記デバイスIDを紐づけて前記記憶部に格納する工程と、
前記提供部が、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供する工程と、
前記報酬分配部が、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ及び前記メーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する工程と、を含む。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理プログラムであって、
記憶部を有するコンピュータを、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、報酬分配部と、として機能させ、
前記記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納し、
前記ヘルスケアデータ受付部は、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID及び前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、前記ヘルスケアデータに前記ユーザID及び前記デバイスIDを紐づけて前記記憶部に格納し、
前記提供部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供し、
前記報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ及び前記メーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する。
【0010】
このような構成とすることで、ユーザのヘルスケアデータを取得したデバイスを供給するメーカーに対して、報酬を分配することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記ヘルスケアデータにその保有者を表すヘルスケアデータ保有者IDを紐づけて格納し、
前記報酬分配部は、更に、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ヘルスケアデータ保有者IDが表す保有者に対して、前記報酬を分配する。
【0012】
このような構成とすることで、ユーザのヘルスケアデータを保有する保有者に対して、報酬を分配することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記ヘルスケアデータ管理システムは、更に、提供オプトイン情報受付部を備え、
前記提供オプトイン情報受付部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対しての前記ヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報を受け付け、前記ヘルスケアデータ及び/又はユーザIDに前記提供オプトイン情報を紐づけて前記記憶部に格納し、
前記提供部は、更に、前記提供オプトイン情報に基づいて、前記ヘルスケアデータを提供する。
【0014】
このような構成とすることで、ユーザは、自身のヘルスケアデータを利用したい者に対して自身のヘルスケアデータを提供するか否かを選択することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記ヘルスケアデータ管理システムは、更に、送信オプトイン情報受付部を備え、
前記送信オプトイン情報受付部は、前記ヘルスケアデータの前記ヘルスケアデータ受付部への送信可否を表す送信オプトイン情報を受け付ける。
【0016】
このような構成とすることで、ユーザは、自身のヘルスケアデータの送信の可否を決定することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、更に、前記ユーザの属性であるユーザ属性を前記ユーザIDに紐づけて格納する、
前記報酬分配部は、前記ユーザIDに紐づくユーザ属性に基づいて、前記報酬を分配する。
【0018】
このような構成とすることで、ヘルスケアデータに紐づくユーザの属性に応じた報酬の分配をすることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記ヘルスケアデータ管理システムは、更に、利用依頼受付部を備え、
前記利用依頼受付部は、前記ヘルスケアデータの利用を制限する情報である利用制限情報を含むヘルスケアデータの利用依頼を受け付け、
前記提供部は、更に、前記利用依頼に基づいて、前記利用制限情報が有する条件において前記ヘルスケアデータの利用を制限する情報を含む利用制限付きヘルスケアデータを提供する。
【0020】
このような構成とすることで、ヘルスケアデータの利用可能期限を設定することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記ヘルスケアデータ受付部は、更に、前記ユーザ及び/又は前記保有者と前記ヘルスケアデータを利用したい者との間において、前記報酬が分配されることを契約する電子契約を受け付け、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザID、前記デバイスID又は前記ヘルスケアデータ保有者IDの少なくとも1つに紐づけて前記記憶部に格納する。
【0022】
このような構成とすることで、ユーザのヘルスケアデータから発生する報酬を債権とすることができる。
【0023】
上記課題を解決するために、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを管理するヘルスケアデータ管理システムであって、
前記ヘルスケアデータ管理システムは、記憶部と、ヘルスケアデータ受付部と、提供部と、提供オプトイン情報受付部と、報酬分配部と、を備え、
前記記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納し、更に、前記ヘルスケアデータにその保有者を表すヘルスケアデータ保有者IDを紐づけて格納し、
前記ヘルスケアデータ受付部は、前記ヘルスケアデータ、前記ユーザのユーザID、前記ヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスID及び前記ヘルスケアデータのヘルスケアデータ保有者IDを受け付け、前記ユーザIDを、前記ヘルスケアデータを識別するための情報に紐づけてブロックチェーンネットワークシステムに格納し、更に、前記デバイスID及び前記ヘルスケアデータ保有者IDを、前記ヘルスケアデータを識別するための情報に紐づけて前記記憶部又は前記ブロックチェーンネットワークシステムに格納し、
前記提供オプトイン情報受付部は、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対しての前記ヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報を受け付け、前記ヘルスケアデータを識別するための情報及び/又はユーザIDに前記提供オプトイン情報を紐づけて前記記憶部又は前記ブロックチェーンネットワークシステムに格納し、
前記提供部は、前記提供オプトイン情報に基づいて、前記ヘルスケアデータを利用したい者に対して前記ヘルスケアデータを提供し、
前記報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ユーザIDのユーザ、前記メーカーIDのメーカー及び提供されたヘルスケアデータに紐づく前記ヘルスケアデータ保有者IDが表す保有者に対して、報酬を分配する。
【0024】
このような構成とすることで、ヘルスケアデータ等を改ざんされることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、医療・健康に関するヘルスケアデータの提供による報酬を分配するための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態におけるヘルスケアデータ管理システムの構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態における機能構成要素を示すブロック図。
【
図4】本実施形態におけるデータベースに格納されたデータ構成の一例。
【
図5】本実施形態におけるデータベースに格納されたデータ構成の一例。
【
図7】本実施形態におけるヘルスケアデータ管理システムの概略イメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本発明のヘルスケアデータ管理システムについて説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0028】
例えば、本実施形態ではヘルスケアデータ管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されても良いし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されても良いし、クライアント端末でその機能を実施するために外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させても良い(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0029】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0030】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0031】
<システム概要>
図1は、本実施形態におけるヘルスケアデータ管理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ヘルスケアデータ管理システム0は、ヘルスケアデータ管理装置1、デバイス2、医療機関装置3を備える。ヘルスケアデータ管理装置1は、通信ネットワークNWを介してデバイス2及び医療機関装置3と通信可能に構成される。
【0032】
通信ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0033】
ヘルスケアデータ管理装置1は、ユーザが様々な場所、方法で取得したヘルスケアデータを一括で管理する装置である。ヘルスケアデータ管理装置1としては、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、複数のコンピュータを用いてヘルスケアデータ管理装置1を構成することも可能である。
【0034】
デバイス2は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得する。デバイス2としては、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、IoT(Internet of things)機器等の情報処理装置を利用することができる。例えば、デバイス2がスマートフォンの場合、ダウンロードされたアプリケーションを介して、ユーザはヘルスケアデータを取得することができる。また、例えば、デバイス2がヘルスケアデータを取得することができるIoT機器の場合、ヘルスケアデータを直接取得してヘルスケアデータ管理装置1へ送信することができる。
【0035】
医療機関装置3は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得する。医療機関は、例えば、CTスキャン、レントゲン撮影、医師によるカルテ(診療録)の記入等によってヘルスケアデータを生成する。医療機関装置3は、医療機関で生成されたヘルスケアデータを取得する。
【0036】
ヘルスケアデータ管理システム0は、更に、ヘルスケアデータを生成する装置を備えても良い。ヘルスケアデータを生成する装置は、例えば、医師がいる医療機関の装置、スマートウォッチ等を介してヘルスケアデータを取得するためのアプリを提供する者の装置、そのアプリを作成した者の装置が考えられる。ヘルスケアデータを生成する装置は、通信ネットワークNWを介してヘルスケアデータ管理装置1と通信可能に構成されても良いし、デバイス2又は医療機関装置3のみと通信可能に構成されても良い。
【0037】
<ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、情報処理装置10(ヘルスケアデータ管理装置1)は、処理部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。また、
図2(b)のように、端末装置9(デバイス2)は、処理部91、記憶部92、通信部93、入力部94、及び出力部95を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0038】
処理部101及び処理部91は、命令セットを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有し、OS(Operating System)並びに、ヘルスケアデータ管理プログラム(ヘルスケアデータ管理装置1の場合)、又はヘルスケアデータ取得プログラム(デバイス2の場合)等を実行する。
【0039】
記憶部102及び記憶部92は、命令セットを記憶可能なRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ、OS等を記録可能な、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記録媒体を有する。情報処理装置10の記憶部102は、ヘルスケアデータ管理プログラム、及び後述する種々の情報等を記憶する。端末装置9の記憶部92は、ヘルスケアデータ取得プログラム等を記憶する。
【0040】
通信部103及び通信部93は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークとの通信制御を実行して、他の情報処理装置10や端末装置9との通信を行う。入力部94は、タッチパネルやキーボード等の入力処理が可能な操作入力デバイス、マイク等の音声入力が可能な音声入力デバイス、ヘルスケアデータを取得するためのセンサ等を有する。出力部95は、ディスプレイ等の表示処理が可能な表示デバイス、スピーカ等の音声出力デバイスを有する。
【0041】
ヘルスケアデータを生成する装置も、
図2(a)又は(b)のようなハードウェア構成である。
【0042】
<機能構成要素>
図3に示すように、ヘルスケアデータ管理装置1は、ヘルスケアデータ受付部11と、提供オプトイン情報受付部12と、提供部13と、報酬分配部14と、利用依頼受付部15を備える。また、デバイス2は、ヘルスケアデータ取得部21と、ユーザ情報受付部22と、送信部23と、個人情報秘匿部24と、送信オプトイン情報受付部25を備える。また、医療機関装置3は、ヘルスケアデータ生成部31と、ユーザ情報受付部32と、送信部33と、個人情報秘匿部34と、送信オプトイン情報受付部35を備える。
【0043】
これら機能構成要素の配置は一例であり、ヘルスケアデータ管理装置1の備えた機能構成の一部が、医療機関装置3、デバイス2やヘルスケアデータ管理装置1と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。同様に、デバイス2の備えた機能構成の一部が、ヘルスケアデータ管理装置1やデバイス2と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。また、医療機関装置3の備えた機能構成の一部が、ヘルスケアデータ管理装置1や医療機関装置3と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。
【0044】
ヘルスケアデータを生成する装置は、ヘルスケアデータ管理装置1、デバイス2又は医療機関装置3が備える機能構成の一部又は全部を備えても良い。
【0045】
ヘルスケアデータ管理装置1は、デバイス情報と、メーカー情報と、ヘルスケアデータ保有者情報と、秘匿化済みユーザ情報と、ヘルスケアデータと、提供オプトイン情報と、アクセス者情報を記憶部に格納する。デバイス2は、ユーザIDと、送信オプトイン情報を記憶部に格納する。医療機関装置3は、ユーザ情報と、ヘルスケアデータを記憶部に格納する。
【0046】
情報が格納される記憶部は、ブロックチェーンネットワークシステムであっても良く、例えば、ユーザID、ヘルスケアデータ管理装置1内のみで個人を識別可能な値、ヘルスケアデータ等のヘルスケアデータ管理装置1に格納される情報の一部がブロックチェーンに格納されても良い。この他にも、ブロックチェーンネットワークが、ヘルスケアデータを識別するための情報を格納することが考えられる。ヘルスケアデータがMRIの画像等の場合、ヘルスケアデータを識別するための情報は、その画像の格納場所を表すURL等が考えられる。また、ヘルスケアデータを識別するための情報としてヘルスケアデータに紐づくヘルスケアデータIDが考えられ、このヘルスケアデータIDを用いてブロックチェーンネットワークではない記憶部に格納されるヘルスケアデータを参照することができる。ブロックチェーンは、ブロックと呼ばれるデータの連鎖によって構成されるものである。各ブロックは、その前のブロックのハッシュ値の情報を含むものであるため、何れかのブロックの改ざんが行われた場合、連鎖関係に不整合が生じる。また、多数のノードによって、そのような不正な改ざん処理や、ブロックの削除等を行うことができないという特性を有する。ブロックチェーンネットワークシステムに対して情報が送信されることによって、ブロックに情報が格納される。
【0047】
各データの配置も一例であり、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、医療機関装置3、デバイス2やヘルスケアデータ管理装置1と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。同様に、デバイス2の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、ヘルスケアデータ管理装置1やデバイス2と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。また、医療機関装置3の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、ヘルスケアデータ管理装置1や医療機関装置3と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。
【0048】
<データ構成>
図4は、本実施形態におけるデータベースに格納されたデータ構成の一例である。ユーザ情報は、個人を識別するためのユーザIDに、ユーザの氏名、生年月日、年齢、性別、持病、報酬受取情報等のユーザに関する情報が紐づく
図4(a)のような情報である。ユーザIDは、不特定多数の人間がそのユーザを特定することができないようなものであれば良いため、マイナンバー等が考えられるが、ヘルスケアデータ管理装置1内のみで個人を識別可能な値であっても良い。ヘルスケアデータ管理装置1内のみで個人を識別可能な値は、例えば、マイナンバー及び生年月日をハッシュ関数によってハッシュ化した値(個人ハッシュ値)等が考えられる。ユーザに関する情報は、当該ユーザのデバイス2又は、当該ユーザが受診する医療機関における医療機関装置3の記憶部に格納される。ユーザに関する情報としては、病気の傾向を分析するために利用可能な情報及び/又は分配する報酬の算出に利用可能な情報、例えば、年齢、性別、持病の種類等が考えられる。報酬受取情報は、報酬を分配するための情報であり、ユーザが報酬を受け取るために指定する支払い手段の口座(アカウント)等であれば何でも良く、例えば、
図4(a)では銀行口座が紐づいているため、その口座への振り込みによって報酬を受け取ることを表す。この他にも報酬受取情報は、各種決済アカウント、クレジットカードを利用した際に得られる各種ポイントのアカウント、暗号資産を受け取るためのウォレットアドレス等が考えられる。
【0049】
ヘルスケアデータは、ユーザの医療・健康に関する情報であり、ユーザIDが紐づく
図4(b)~(d)のような情報である。ヘルスケアデータとしては、例えば、ユーザのバイタルデータ(脈拍、血圧、呼吸、体温等の生体情報)、身長、体重、1日の歩数、1日の睡眠時間、持病の種類、定期的に服用する薬の種類、アレルギーの種類、既往歴等が考えられる。さらに、ヘルスケアデータは、医療機関等で取得、生成される情報であっても良く、例えば、医療機関のデバイスで取得される情報、医療機関等で生成される医師の診察に関する情報等が考えられる。
図4(b)、(c)のヘルスケアデータには、更に、それを取得するために用いたデバイスを識別するためのデバイスIDが紐づく。さらに、ヘルスケアデータには、そのヘルスケアデータが取得された日時が紐づく。
図4(d)のヘルスケアデータは、医療機関の医師が生成して取得される情報であり、更に、それを保有する保有者を識別するためのヘルスケアデータ保有者IDが紐づく。また、医療機関のデバイスで取得される情報であっても良く、その場合は、さらに、デバイスIDが紐づく。ヘルスケアデータは、ヘルスケアデータ管理装置1、デバイス2又は医療機関装置3の何れか少なくとも1つの記憶部に格納される。ヘルスケアデータ保有者は、そのヘルスケアデータを生成した医療機関、そのヘルスケアデータを保有する(現実に取得した)企業等が考えられる。さらに、
図4(b)~(d)のようなヘルスケアデータには、ヘルスケアデータID等のヘルスケアデータを識別するための情報が紐づいていても良い。
【0050】
秘匿化済みユーザ情報は、ユーザの個人情報を特定できないような情報、例えば、ユーザの年齢、性別、持病の種類等のユーザ属性がユーザIDに紐づく
図5(a)のような情報である。秘匿化済みユーザ情報は、ユーザの個人情報を特定できないような処理がされているため、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納される。
【0051】
デバイス情報は、デバイスIDに、そのデバイスを供給するメーカーを識別するためのメーカーIDが紐づく
図5(b)のような情報である。デバイス情報によって報酬を分配するメーカーが特定されるため、デバイス情報は、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納される。本実施形態では、IoT機器及びスマートフォン等が連携してデバイス2として機能し、デバイスIDとは、スマートフォンと連携するIoT機器を識別するためのIDである。1台のスマートフォンに対し複数のIoT機器が連携する場合、IoT機器ごとに異なるデバイスIDが付与される。
【0052】
メーカー情報は、メーカーIDに、報酬受取情報等が紐づく
図5(c)のような情報である。メーカー情報によってメーカーIDのメーカーが報酬を受け取る方法が決定されるため、メーカー情報は、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納される。
【0053】
ヘルスケアデータ保有者情報は、ヘルスケアデータ保有者IDに、報酬受取情報等が紐づく
図5(d)のような情報である。ヘルスケアデータ保有者情報によってヘルスケアデータ保有者IDを表す保有者が報酬を受け取る方法が決定されるため、ヘルスケアデータ保有者情報は、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納される。
【0054】
送信オプトイン情報は、デバイスIDに、そのデバイスで取得されたヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1に登録しても良いか否かを表す送信可否情報が紐づく
図5(e)のような情報である。ヘルスケアデータを取得する機器ごとに送信可否情報が紐づいているため、送信オプトイン情報は、デバイス2の記憶部に格納される。
【0055】
提供オプトイン情報は、デバイスIDに、そのデバイスで取得されたヘルスケアデータを利用して研究を行いたい研究機関や製薬会社等にユーザのヘルスケアデータを提供しても良いか否かを表す提供可否情報が紐づく
図5(f)のような情報である。この他にも、ヘルスケアデータに提供可否情報が紐づいていることが考えられる。ヘルスケアデータ管理装置1は、提供オプトイン情報によってヘルスケアデータを研究機関や製薬会社等に提供しても良いか否かを決定するため、提供オプトイン情報は、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納される。
【0056】
アクセス者情報は、ヘルスケアデータ管理装置1内にあるヘルスケアデータの検索及び/又は取得を行うことができる者のアカウントIDに、そのアカウントのパスワードが紐づく
図5(g)のような情報である。アクセス者情報は、ヘルスケアデータ管理装置1内にあるヘルスケアデータの検索及び/又は取得を行うことができる者の情報であるため、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納される。
【0057】
本実施形態では、デバイス2はIoT機器及びスマートフォン等であり、専用のアプリケーションを用いて複数のIoT機器と連携させることによって、IoT機器から取得したヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1へ送信することができる。この他にも、デバイス2がスマートフォンであり、アプリケーションを介してヘルスケアデータを取得し、デバイスIDがアプリケーションを識別するためのIDであって、メーカーIDがそのアプリケーションを供給するメーカーを識別するためのIDである場合等も考えられる。また、本実施形態では、ヘルスケアデータ保有者は、ユーザのカルテ(診療録)等を生成する医療機関であり、ヘルスケアデータ保有者IDはその医療機関を識別するためのIDである。
【0058】
<処理のフローチャート>
図6は、本実施形態における処理のフローチャートである。まず、ステップS601において、関係者がヘルスケアデータ管理装置1へ事前登録を行う。関係者とは、デバイスを用いてヘルスケアデータを取得するユーザ、医療機関にヘルスケアデータを生成してもらうユーザ、ヘルスケアデータを取得して保有する医療機関、ヘルスケアデータを保有する企業、ヘルスケアデータを利用して研究等を行う機関又は企業、デバイスのメーカー等であり、ヘルスケアデータの取得又は利用に関係する者である。
【0059】
以下、S601の登録について具体的に説明する。ユーザの事前登録とは、ヘルスケアデータを利用して研究等を行う者に対してユーザが自身のヘルスケアデータを提供することに対する提供オプトイン情報、ヘルスケアデータが利用された場合にユーザが報酬を受領することに対する同意と関連規約への同意を、ユーザがヘルスケアデータ管理装置1へ送信することである。ユーザは、ヘルスケアデータを取得するIoT機器ごとの提供オプトイン情報を設定することができる。例えば、ユーザは、体重計から取得したヘルスケアデータの提供は行わず(提供可否:否)、血圧計から取得したヘルスケアデータの提供は行う(提供可否:可)等の設定を行うことができる。具体的には、専用のアプリケーションを介してそれぞれのIoT機器から取得されるヘルスケアデータの提供オプトイン情報を設定し、デバイスIDごとに提供オプトイン情報を紐づけて記憶部に格納する。さらに、ヘルスケアデータ管理装置1は、受け付けた同意を記憶部に格納する。
【0060】
医療機関の事前登録とは、医療機関が将来的にヘルスケアデータを生成、取得し、かつ、ユーザの同意が存在する(ユーザから提供オプトイン情報を受け付けた)場合、医療機関側がそのユーザの個人情報を外して匿名化し、生成したヘルスケアデータを提供すること、及び、ヘルスケアデータが利用された場合に医療機関が報酬を受領すること、に対する同意と関連規約への同意を、医療機関がヘルスケアデータ管理装置1へ送信することである。ヘルスケアデータ管理装置1は、受け付けた同意を記憶部に格納する。
【0061】
ヘルスケアデータを保有する者の事前登録とは、ユーザの過去のヘルスケアデータを保有、蓄積し、かつ、ユーザの同意を得た場合、保有者側がそのユーザの個人情報を外して匿名化し、保有、蓄積するヘルスケアデータを提供すること、及び、ヘルスケアデータが利用された場合に保有者が報酬を受領すること、に対する同意と関連規約への同意を、保有者がヘルスケアデータ管理装置1へ送信することである。ヘルスケアデータ管理装置1は、受け付けた同意を記憶部に格納する。
【0062】
ヘルスケアデータを利用して研究等を行う機関又は企業の事前登録とは、ヘルスケアデータの利用と報酬の支払いに関する関連規約への同意を、機関又は企業がヘルスケアデータ管理装置1へ送信することであり、更に、ヘルスケアデータ管理装置1が有するヘルスケアデータへのアクセス方法を取得することである。アクセス方法の取得とは、具体的には、研究等を行う機関又は企業がヘルスケアデータ管理装置1内にあるヘルスケアデータの検索及び/又は取得を行うためのアカウントを取得することであり、アカウントを用いてログインを行うことによってヘルスケアデータへアクセスすることができる。具体的には、ヘルスケアデータ管理装置1は、アカウントIDを発行してアクセス者情報としてヘルスケアデータ管理装置1の記憶部に格納することで、その者がアカウントにログイン可能にし、受け付けた同意を記憶部に格納する。
【0063】
デバイスを供給するメーカーの事前登録とは、ヘルスケアデータが利用されること、報酬の受領に関する関連規約への同意、及び、報酬受取情報を、メーカーがヘルスケアデータ管理装置1へ送信することであり、更に、メーカーが供給するデバイスIDを送信することである。ヘルスケアデータ管理装置1は、受け付けた同意をデバイス情報及びメーカー情報として記憶部に格納する。
【0064】
ステップS602において、ユーザのヘルスケアデータの取得が行われ、ヘルスケアデータ管理装置1はそのヘルスケアデータを登録する。ユーザのヘルスケアデータはデバイス2や医療機関装置3を介して取得され、ヘルスケアデータ管理装置1へ登録される。ユーザによるヘルスケアデータ管理装置1へ登録することの同意があった場合にのみ登録される。また、ヘルスケアデータを保有する者がヘルスケアデータ管理装置1へ登録することによって、ユーザによる登録の同意があるヘルスケアデータがヘルスケアデータ管理装置1へ登録されても良い。また、ヘルスケアデータがヘルスケアデータ管理装置1へ登録されていることによって、医療機関内のデータが失われた場合、消去された場合等のためのバックアップ装置としての効果も期待される。医療機関のカルテは、保存義務期間が5年と定められているためその期間にデータが消去されることはないが、その後はデータの消去が認められている。このようにデータが消去されるような場合であっても、ヘルスケアデータ管理装置1がヘルスケアデータを永続的に保存する限り、研究対象のためのデータとして利用することが可能となる。この他にも、ヘルスケアデータ管理装置1にヘルスケアデータが登録されることによって、結果として、離散的に(様々な医療機関、アプリ等に)配置されていたヘルスケアデータをユーザ自身が一元的に閲覧し、これを管理することができる。さらに、ユーザが望む場合、一元管理されたヘルスケアデータを特定の医療機関等に閲覧せしめることができる。
【0065】
デバイス2や医療機関装置3は、取得したヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1へ送信し、ヘルスケアデータ管理装置1が記憶部に格納する。
【0066】
例えば、デバイス2は、送信オプトイン情報として「可」が紐づいている機器が取得したヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1へ送信する。機器ごとに送信オプトイン情報が紐づいているため、ヘルスケアデータが取得される度に、取得されたヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1へ送信しても良い。また、デバイス2は、ある指定された時刻にヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1へ送信しても良い。また、デバイス2は、ユーザから受け付けた提供オプトイン情報をヘルスケアデータ管理装置1へ送信する。
【0067】
一方、例えば、医療機関装置3が、医師の入力によってカルテ(診療録)等のヘルスケアデータを生成する場合、更に、そのヘルスケアデータのヘルスケアデータ管理装置1への送信可否を患者(ユーザ)から取得して入力することによってヘルスケアデータを生成する。さらにその際に、ヘルスケアデータを利用したい者に対してのヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報をユーザから取得して医師等が入力することによって、提供オプトイン情報が紐づくヘルスケアデータを生成してヘルスケアデータ管理装置1へ送信することができる。医療機関装置3がヘルスケアデータを取得する場合、その度にユーザからヘルスケアデータの送信可否及び/又は提供可否を取得して医師等が入力してヘルスケアデータを生成することが考えられる。
【0068】
ステップS603において、ヘルスケアデータ管理装置1はヘルスケアデータを利用したい者に対してヘルスケアデータを提供する。ユーザによるヘルスケアデータの提供の同意があった場合にのみ提供される。ステップS604において、利用されたヘルスケアデータによって、ヘルスケアデータ管理装置1は報酬を分配する。
【0069】
提供オプトイン情報によってヘルスケアデータの提供の同意が確認され、ヘルスケアデータ管理装置1がヘルスケアデータを利用したい者に対してヘルスケアデータを提供する時点で、その者に対して自動的に電子契約が締結されても良い。この電子契約によって、無体物であったヘルスケアデータに対する債権(ヘルスケアデータを利用したい者のデータの利用に対して、ユーザ・メーカー・ユーザ及びメーカー以外の医療機関等、の3者が対価報酬を受け取る権利)が発生し、該債権は個人(ユーザ)が死亡等した場合でも相続の対象となる。
【0070】
<概略イメージ図>
図7は、本実施形態におけるヘルスケアデータ管理システムの概略イメージ図である。ユーザは、デバイス2(自身のスマートフォンのアプリケーション)を介して自身のヘルスケアデータを取得する((A)を参照)。デバイス2は、ヘルスケアデータ管理装置1へヘルスケアデータを送信する((B)を参照)。ヘルスケアデータ管理装置1は、ヘルスケアデータの利用依頼を受け付ける((C)を参照)。ヘルスケアデータ管理装置1は、利用依頼を受け付けた者に対してヘルスケアデータを提供する((D)を参照)。ヘルスケアデータ管理装置1は、ヘルスケアデータを利用したい者から報酬を受け付ける((E)を参照)。ヘルスケアデータ管理装置1は、ユーザ及びデバイスのメーカーに対して報酬を分配する((F)を参照)。
【0071】
<デバイス>
ヘルスケアデータ取得部21は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得する。
【0072】
ユーザ情報受付部22は、ユーザに関する情報であるユーザ情報を受け付ける。ユーザ情報としては、ユーザの氏名、生年月日、年齢、性別、抱えている持病、報酬受取情報等が考えられる。ユーザ情報は、年齢、性別、抱えている持病の種類等のユーザ属性も含む。
【0073】
送信部23は、ヘルスケアデータ取得部21が取得したヘルスケアデータ、そのヘルスケアデータのユーザID及びそのヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDをヘルスケアデータ管理装置1に送信する。また、送信部23は、ユーザ情報受付部22が受け付けたユーザ情報をユーザIDに紐づけてヘルスケアデータ管理装置1に送信しても良い。
【0074】
個人情報秘匿部24は、ヘルスケアデータ取得部21が取得したヘルスケアデータ及び/又はユーザ情報受付部22が受け付けたユーザ情報に対して個人情報を特定することができないようにする処理を行う。具体的には、例えば、ユーザ情報から氏名、生年月日、報酬受取情報等の個人情報を特定することができる情報を暗号化又は削除した秘匿化済みユーザ情報を生成する。送信部23は、個人情報を特定できないようなユーザの年齢、性別、持病の種類等のユーザ属性をユーザIDに紐づけた秘匿化ユーザ情報をヘルスケアデータ受付部11へ送信する。
【0075】
送信オプトイン情報受付部25は、ヘルスケアデータ取得部21が取得したヘルスケアデータのヘルスケアデータ受付部11への送信可否を表す送信オプトイン情報をユーザから受け付ける。具体的には、送信オプトイン情報受付部25は、自身のヘルスケアデータを統合して管理することに対するオプトイン情報である送信オプトイン情報を受け付ける。ユーザが自身のヘルスケアデータを統合して管理することに同意した場合、送信部23がヘルスケアデータをヘルスケアデータ受付部11へ送信する。送信オプトイン情報は、デバイス2の記憶部に格納されても良い。例えば、デバイスIDごとに送信オプトイン情報を紐づけておくことによって、送信部23は、デバイスIDに紐づく送信オプトイン情報に基づいて、そのデバイスIDの機器から取得されたヘルスケアデータを送信することができる。さらに、ユーザが自身のヘルスケアデータを統合して管理することに同意した場合、送信オプトイン情報受付部25は、ヘルスケアデータを利用したい者に対してのヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報をユーザから受け付けても良い。
【0076】
一方、送信オプトイン情報受付部25が自身のヘルスケアデータを統合して管理することに同意しない旨に関する情報をユーザから受け付けた場合、送信部23は、そのユーザのヘルスケアデータをヘルスケアデータ管理装置1へ送信しない。この場合、そのユーザのヘルスケアデータは、デバイス2の記憶部に格納されることが考えられる。
【0077】
<医療機関装置>
ヘルスケアデータ生成部31は、医療機関で取得される情報を受け付け、ヘルスケアデータを生成し、医療機関装置3の記憶部に格納する。医療機関で生成されるヘルスケアデータとしては、CTスキャン、レントゲン撮影、カルテ(診療録)等が考えられる。例えば、医療機関の医師が記入する情報を受け付けることによってカルテが生成され、医療機関装置3の記憶部にヘルスケアデータとして格納される。
【0078】
ユーザ情報受付部32は、ユーザ情報受付部22と同様に、ユーザ情報を受け付ける。ユーザ情報受付部32は、受け付けたユーザ情報を、医療機関装置3の記憶部に格納しても良い。
【0079】
送信部33は、ヘルスケアデータ生成部31が取得したヘルスケアデータ、そのヘルスケアデータのユーザID及びそのヘルスケアデータを保有する保有者のヘルスケアデータ保有者IDをヘルスケアデータ管理装置1に送信する。ヘルスケアデータ保有者IDとしては、例えば、医療機関の保険医療機関コードをハッシュ化した値等が考えられる。また、送信部33は、ユーザ情報受付部32が受け付けたユーザ情報をユーザIDに紐づけてヘルスケアデータ管理装置1に送信しても良い。さらに、デバイス2によって予めユーザIDが生成されている場合、医療機関装置3にそのユーザIDを読み込ませることによって、送信部33は、ヘルスケアデータ等に読み込ませたユーザIDを紐づけて送信する。
【0080】
個人情報秘匿部34は、個人情報秘匿部24と同様に、受け付けた情報を秘匿化する。送信部33は、ユーザ情報を秘匿化した秘匿化済みユーザ情報をヘルスケアデータ受付部11へ送信する。
【0081】
送信オプトイン情報受付部35は、送信オプトイン情報受付部25と同様に、ヘルスケアデータ生成部31が取得したヘルスケアデータのヘルスケアデータ受付部11への送信可否を表す送信オプトイン情報をユーザから受け付ける。
【0082】
<ヘルスケアデータ管理装置>
ヘルスケアデータ受付部11は、送信部23及び/又は送信部33が送信する情報を受け付け、受け付けた情報を記憶部に格納する。例えば、ヘルスケアデータ受付部11は、ヘルスケアデータ、ユーザのユーザID及びヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、ヘルスケアデータにユーザID及びデバイスIDを紐づけて記憶部に格納する。この他にも、ヘルスケアデータ受付部11は、ヘルスケアデータ、ユーザのユーザID及びヘルスケアデータを保有する保有者を表すヘルスケアデータ保有者IDを受け付け、ヘルスケアデータにユーザID及びヘルスケアデータ保有者IDを紐づけて記憶部に格納する。
【0083】
ヘルスケアデータ受付部11は、更に、ユーザ及び/又はヘルスケアデータ保有者とヘルスケアデータを利用したい者との間において、報酬が分配されることを契約する電子契約を受け付け、ヘルスケアデータ、ユーザID、デバイスID又はヘルスケアデータ保有者IDの少なくとも1つに紐づけて記憶部に格納する。電子契約は、電子ファイルに対して電子データ(電子署名、タイムスタンプ等)を記録して締結する契約を指す。例えば、ユーザのヘルスケアデータ及び/又はヘルスケアデータ保有者の保有するヘルスケアデータが提供及び/又は利用された場合、そのヘルスケアデータを提供された者及び/又は利用した者が報酬を支払うことを約束する契約である。また、電子契約は、ヘルスケアデータの取得のために利用するデバイスのメーカーとヘルスケアデータを利用したい者との間において、ヘルスケアデータが提供及び/又は利用された場合、そのヘルスケアデータの取得に利用したデバイスのメーカーに報酬が支払われることを約束する契約であっても良い。この契約によって、ユーザ、デバイスを供給するメーカー又はヘルスケアデータ保有者は、報酬が分配される債権を取得する。具体的には、ヘルスケアデータ受付部11は、当事者であるユーザ及び/又はヘルスケアデータ保有者等と、ヘルスケアデータを利用したい者と、から電子署名を受け付けて電子契約を締結する。この他にも、ヘルスケアデータ受付部11が、電子サイン(当事者ではない第三者が当事者の指示に基づき電子署名を付与する方法)を受け付けて電子契約を締結しても良い。さらに、ヘルスケアデータ受付部11は、タイムスタンプが付与された電子契約を受け付けても良い。
【0084】
提供オプトイン情報受付部12は、ヘルスケアデータを利用したい者に対してのヘルスケアデータの提供可否を表す提供オプトイン情報を送信部23及び/又は送信部33から受け付け、ヘルスケアデータ及び/又はユーザIDに提供オプトイン情報を紐づけて記憶部に格納する。具体的には、提供オプトイン情報受付部12は、ヘルスケアデータを利用したい者に対しての自身のヘルスケアデータの提供と報酬を受領することに対するオプトイン情報である提供オプトイン情報を受け付ける。
【0085】
提供部13は、ヘルスケアデータを利用したい者に対してヘルスケアデータを提供する。また、ヘルスケアデータ管理装置1の記憶部が提供オプトイン情報を格納している場合、提供オプトイン情報に基づいて、提供に同意するユーザのヘルスケアデータを提供する。例えば、デバイスIDごとに提供オプトイン情報を紐づけておくことによって、提供部13は、デバイスIDに紐づく提供オプトイン情報に基づいて、そのデバイスIDの機器から取得されたヘルスケアデータを提供することができる。提供部13は、提供オプトイン情報として「可」が紐づいているヘルスケアデータを提供することができる。
【0086】
報酬分配部14は、提供されたヘルスケアデータに紐づくユーザIDのユーザ及びメーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する。
図5(b)のようにデバイスIDにメーカーIDを紐づけ、更に、
図4(b)のようにヘルスケアデータにユーザID及びデバイスIDを紐づけておくことによって、ヘルスケアデータからユーザID及びメーカーIDを参照することができる。また、報酬分配部14は、提供されたヘルスケアデータに紐づくヘルスケアデータ保有者IDが表す保有者に対して、報酬を分配する。
図4(d)のようにヘルスケアデータに報酬受取情報を紐づけておくことによって、ヘルスケアデータからヘルスケアデータ保有者IDを参照することができる。
【0087】
報酬分配部14は、具体的には、それぞれに分配する金額を算出する。算出方法としては、ユーザに対して分配額が多くなるような方法が考えられる。さらに、ユーザの属性によって分配額が多くなるような算出方法も考えられる。例えば、あるユーザが難病を抱えている場合、健康な他のユーザと比較して稀有性を有するため、稀有な属性を有するユーザに対しては報酬分配部14が算出する報酬の分配額が多くなる。このように、希少価値の高いデータについては、市場価値算定による方法等が考えられる。記憶部が
図5(a)のような秘匿化ユーザ情報をユーザIDに紐づけて記憶することによって、報酬分配部14は、ヘルスケアデータからユーザIDに紐づくユーザ属性を参照して分配する金額を算出することができる。この他にも、報酬分配部14は、需要と供給のバランスに基づいて分配する報酬額を算出しても良い。例えば、ある感染症が世界で突然流行している一方、国内での感染者数がそれほど多くない場合、国内の研究機関や企業等がその感染症に対する国内向けの新薬を開発するためには、供給の少ない国内の感染者のヘルスケアデータが必要となる。さらに、多くの国内の研究機関や企業等が新薬の開発を行いたい場合、その感染症の感染者のヘルスケアデータの需要は多く、供給は少ないという状況になる。このように、需要が多くて供給が少ない場合、報酬分配部14は、ユーザに対する分配額を多くすることによって、ユーザに対してヘルスケアデータの提供の動機を高めさせる。また、需要が多くて供給が少ないヘルスケアデータを利用したい者から受け取る報酬を増加させることが考えられる。こうすることによって、報酬分配部14は、結果的にユーザに対してより多くの報酬を分配することができる。
【0088】
利用依頼受付部15は、ヘルスケアデータの利用を制限する情報である利用制限情報を含むヘルスケアデータの利用依頼を受け付ける。利用制限情報は、ヘルスケアデータの利用を制限するための様々な基準を用いることが考えられる。例えば、利用制限情報としては、ヘルスケアデータを利用することが可能な期限を表す情報である利用可能期限情報が考えられる。利用可能期限情報は、ヘルスケアデータを利用したい者から受け付けても良く、ヘルスケアデータを利用することが可能な期限であり、その期限までの長さ(期間)によって、利用者が支払うべき利用料が定められても良い。この他にも、利用制限情報としては、ヘルスケアデータを利用することが可能な回数を表す情報である利用可能回数情報が考えられる。利用可能回数情報は、ヘルスケアデータを利用したい者から受け付けても良く、ヘルスケアデータを利用(ダウンロード等)することが可能な回数であり、その回数によって、利用者が支払うべき利用料が定められても良い。
【0089】
提供部13は、利用依頼受付部15が受け付けた利用依頼に基づいて、利用制限情報が有する条件においてヘルスケアデータの利用を制限する情報を含む利用制限付きヘルスケアデータを提供しても良い。例えば、利用制限情報が利用可能期限情報の場合、ヘルスケアデータに対して、ある期限を過ぎると閲覧できなくなるような時限的無効化機能を付しておいても良い。また、データを利用する医療機関や研究機関等に対して、データ守秘義務とデータ有効期限以降の廃棄・不利用の契約等を締結することによって、利用を拘束しても良い。さらに、データ守秘義務とデータ有効期限以降の廃棄・不利用の契約は電子契約で行われ、その情報が記憶部に格納されても良い。この他にも、利用制限情報が利用可能回数情報の場合、ヘルスケアデータに対して、ある回数の利用(ダウンロード等)をすると利用できなくなるような利用無効化機能を付しておいても良い。また、データを利用する医療機関や研究機関等に対して、データ守秘義務とデータ利用回数を超える利用を行えない契約等を締結することによって、利用を拘束しても良い。さらに、データ守秘義務とデータ利用回数を超える利用を行えない契約は電子契約で行われ、その情報が記憶部に格納されても良い。
【0090】
ユーザ等に分配される報酬は、ヘルスケアデータを提供された者が利用料として支払うことが考えられる。利用料は、利用の期間に応じて決定されても良いし、その利用によってヘルスケアデータを提供された者が得られた知見に基づく売上の一部(例えば、3%等)でも良い。ヘルスケアデータを提供された者(ヘルスケアデータを利用した者)が売上の一部を利用料(報酬)として支払うことによって、様々な者がヘルスケアデータを利用することができる。ヘルスケアデータの利用者がそのデータを用いて事業化に成功した場合に成功報酬(利用料)を支払うことができるため、例えば、個人研究科等の財務力に乏しい研究家もデータを用いた研究を行うことができる。
【0091】
以上のように、本発明の構成によれば、医療・健康に関するヘルスケアデータの提供による報酬を分配するための新たな技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0092】
0 ヘルスケアデータ管理システム
1 ヘルスケアデータ管理装置
11 ヘルスケアデータ受付部
12 提供オプトイン情報受付部
13 提供部
14 報酬分配部
15 利用依頼受付部
2 デバイス
21 ヘルスケアデータ取得部
22 ユーザ情報受付部
23 送信部
24 個人情報秘匿部
25 送信オプトイン情報受付部
3 医療機関装置
31 ヘルスケアデータ生成部
32 ユーザ情報受付部
33 送信部
34 個人情報秘匿部
35 送信オプトイン情報受付部
NW 通信ネットワーク
【要約】
【課題】
医療・健康に関するヘルスケアデータの提供による報酬を分配するための新たな技術を提供すること。
【解決手段】
ヘルスケアデータ管理システム0は、記憶部、ヘルスケアデータ受付部、提供部、報酬分配部、を備える。記憶部は、ユーザの医療・健康に関するヘルスケアデータを取得するデバイスのデバイスIDに該デバイスを供給するメーカーのメーカーIDを紐づけて格納する。ヘルスケアデータ受付部は、ヘルスケアデータ、ユーザのユーザID及びヘルスケアデータを取得したデバイスのデバイスIDを受け付け、ヘルスケアデータにユーザID及びデバイスIDを紐づけて記憶部に格納する。提供部は、ヘルスケアデータを利用したい者に対してヘルスケアデータを提供する。報酬分配部は、提供されたヘルスケアデータに紐づくユーザIDのユーザ及びメーカーIDのメーカーに対して、報酬を分配する。
【選択図】
図1