(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/24 20100101AFI20240216BHJP
B67D 7/08 20100101ALN20240216BHJP
【FI】
B67D7/24 A
B67D7/08 Z
(21)【出願番号】P 2020567372
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2019043270
(87)【国際公開番号】W WO2020152936
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2019009276
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】関本 泰之
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124839(JP,A)
【文献】特開2007-293795(JP,A)
【文献】特許第6405071(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/24
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油装置に備えられた人体センサが顧客を検知した際に、給油所情報を含む識別コードが
給油装置に備えられたデータ入出力機器に表示され、該識別コードは前記人体センサの検知結果により表示される度に情報が異なり、
前記識別コードをユーザーが携帯端末で読み込むと、該携帯端末からユーザー名、クレジットカード番号及び油種を含むユーザー情報及び前記給油所情報がサーバに送信され、
該ユーザー情報及び給油所情報を受信した前記サーバが給油許可信号を前記給油装置に送信し、前記給油装置が該給油許可信号を受信すると動作可能となる給油所システムであって、
前記サーバは、前記給油装置が設置された給油所を含む全国の給油所からの給油データを一括管理し、各給油所でのPOS処理が不要となることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
前記サーバが前記給油装置から給油情報と給油終了信号を受信すると、該給油情報に基づいて精算情報を生成し、該サーバは、前記ユーザー情報、前記給油所情報、前記給油情報及び前記精算情報を関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の給油所システム。
【請求項3】
前記給油所情報は、給油所名、給油装置番号及び給油エリアを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、携帯端末の機能を用いて給油所システムの装置構成を簡略化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料タンクにガソリン等の燃料油を給油する給油所では、例えば特許文献1に記載のように、車両に燃料油を給油する給油装置と、給油装置からの給油データを受けて事務所内で給油データの管理や精算処理を行うPOS本体と、このPOS本体との間で給油エリア内で給油設定や精算処理を行うPOS外設機等を備える。
【0003】
また、最近では、スマートフォン、タブレット等の携帯端末が普及し、通話機能だけでなく、接客、施設や在庫の管理、点検等、様々な業務に利用されている。また、ガソリン等の燃料油を給油する給油所でも、IoT等の新たな技術の活用が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、携帯端末の機能を用いて給油装置とサーバの紐付けを行って給油及び精算を行い、給油所システムの装置構成を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、給油所システムであって、給油装置に備えられた人体センサが顧客を検知した際に、給油所情報を含む識別コードが給油装置に備えられたデータ入出力機器に表示され、該識別コードは前記人体センサの検知結果により表示される度に情報が異なり、前記識別コードをユーザーが携帯端末で読み込むと、該携帯端末からユーザー名、クレジットカード番号及び油種を含むユーザー情報及び前記給油所情報がサーバに送信され、該ユーザー情報及び給油所情報を受信した前記サーバが給油許可信号を前記給油装置に送信し、前記給油装置が該給油許可信号を受信すると動作可能となる給油所システムであって、前記サーバは、前記給油装置が設置された給油所を含む全国の給油所からの給油データを一括管理し、各給油所でのPOS処理が不要となることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、携帯端末の機能を用いて給油装置とサーバの紐付けを行い、給油を行うことができるため、サーバが各給油所からの給油データ等を一括して管理することができるようになり、各給油所でのPOS処理が不要となる。
また、人体センサが顧客を検知した際に、給油所情報を含む識別コードが表示され、該識別コードは前記人体センサの検知結果により表示される度に情報が異なるため、給油装置に印字された識別コードの上に別の識別コードが貼付され、顧客が全く関係のない識別コードを読み取ってしまうなどの不正を防止することができる。
【0008】
上記給油所システムにおいて、前記サーバが前記給油装置から給油情報と給油終了信号を受信すると、該給油情報に基づいて精算情報を生成し、該サーバは、前記ユーザー情報、前記給油所情報、前記給油情報及び前記精算情報を関連付けて記憶することができ、サーバに記憶した精算情報等によってクレジット決済等を行うことができる。
【0010】
上記給油装置において、前記給油所情報は、給油所名、給油装置番号及び給油エリアを含むことができ、これによって燃料油を給油する給油装置を特定することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、携帯端末の機能を用いて給油装置とサーバの紐付けを行って給油及び精算を行うことで、給油所システムの装置構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る給油所システムの第1の実施形態の全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明に係る給油所システムの第2の実施形態の全体構成を示す概略図である。
【
図4】
図3に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示し、この給油所システム1は、給油装置2と、サーバ(データサーバ)3と、支払機5とで構成される。
【0020】
給油装置2は、給油データ等を表示する表示器2aと、給油設定等を行うためのデータ入出力器2bと、本体表面に貼付されるシール等に印字される識別コード2cと、サーバ3と情報の送受を行なうための通信手段と、その他、通常の給油装置に設けられる給油系統等を備える。
【0021】
識別コード2cには、給油所データが含まれており、この給油所データとしては、例えば、給油所名、給油装置番号及び給油エリアが挙げられる。
【0022】
サーバ3は、給油装置2が設置された給油所を含む全国の給油所からの給油データを一括管理し、上述のように、各給油装置2とインターネット等と送受信手段を介して通信可能である。サーバ3は、精算情報生成手段によって各給油装置2から受信した給油データから精算データを生成し、給油に関するデータを顧客毎に記憶手段に蓄積する。
【0023】
携帯端末4は、顧客が所有するスマートフォンや、タブレット等であって、インターネット等を介してサーバ3と通信する通信手段と、クレジット(料金後払い)決済機能等を備える。尚、後述のように、携帯端末4がサーバ3に出力するユーザー情報としては、例えば、ユーザー名、クレジットカード(以下「カード」という。)番号及び油種を含むようにすることができる。
【0024】
支払機5は、顧客の現金支払に対応するために設けられ、サーバ3と通信を行うための通信手段と、その他、通常の支払機に設けられる現金計数手段等の構成要素とを備える。
【0025】
カード会社6は、顧客と予め契約しており、サーバ3と通信を行うための通信手段を備える。
【0026】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。尚、
図2のルートが分岐するステップにおいては、特別な記載がない限り、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0027】
携帯端末4のステップS1において、顧客は携帯端末4を介して給油装置2の識別コード2cを読み取る。識別コード2cを読み取ると(ステップS1;Yes)、携帯端末4の画面に支払方法選択案内が表示される。ステップS2において、顧客が支払方法として現金支払及びクレジットカード支払のいずれかを選択をすると(ステップS2;Yes)、ユーザー情報、支払方法に関する情報(カード支払の場合にはカード番号を含む)及び識別コード2cから読み取った給油所情報をサーバ3に出力する(ステップS3)。
【0028】
サーバ3のステップS11において、携帯端末4からユーザー情報、支払方法に関する情報及び給油所情報が入力されると(ステップS11;Yes)、ステップS12において、顧客がカード支払を選択したか否かを確認し、顧客がカード支払を選択した場合には(ステップS12;Yes)、カード会社6にカード番号を含む与信確認信号を出力する(ステップS13)。一方、ステップS12において、顧客が現金支払を選択した場合には(ステップS12;No)、後述するステップS15へ進む。
【0029】
カード会社6のステップS31において、サーバ3から与信確認信号が入力されると(ステップS31;Yes)、ステップS32において、カード番号から顧客の与信を確認し、与信が確認できれば(ステップS32;Yes)、与信OK信号をサーバ3に出力する(ステップS33)。一方、指定された顧客の与信を確認することができない場合には(ステップS32;No)、与信NO信号をサーバ3に出力してカード会社6の動作を終了する(ステップS34)。
【0030】
サーバ3のステップS14において、カード会社6から与信OK信号が入力されると(ステップS14;Yes)、給油装置2に給油許可信号を送信する(ステップS15)。
【0031】
一方、ステップS14において、与信OK信号が入力されず(ステップS14;No)、ステップS16において、カード会社6から与信NO信号が入力されると(ステップS16;Yes)、携帯端末4に与信NO信号を出力してサーバ3の動作を終了する(ステップS17)。携帯端末4のステップS4において、サーバ3から与信NO信号が入力されると(ステップS4;Yes)、カード支払不可を報知して携帯端末4の動作を終了する(ステップS5)。この場合には、顧客は給油を行うことができない。
【0032】
給油装置2のステップS41において、サーバ3から給油許可信号が入力されると(ステップS41;Yes)、顧客がデータ入出力器2bを操作して給油設定を行い(ステップS42)、顧客がノズル掛けから給油ノズルを取り外すことでノズルSW(スイッチ)がONになる(ステップS43;Yes)。
【0033】
ここで、顧客が給油設定で選択した油種に対応する給油ノズルを取り外していれば(ステップS44;Yes)、給油装置2の表示器2aにリセット信号が送信され、前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)がなされると共に、給油ポンプが駆動される(ステップS45)。
【0034】
一方、ステップS44において、顧客が誤った給油ノズル26を取り外していた場合には(ステップS44;No)、表示器2a等を介して顧客に給油ノズルを確認するよう報知する(ステップS46)。
【0035】
ステップS47において、給油ポンプが駆動されて流量計もONになり、さらに流量パルス発信器がONになり、流量パルス発信器からパルス信号が表示器2aに送信されると(ステップS47;Yes)、表示器2aに給油データを表示すると共に、サーバ3に給油データを出力する(ステップS48)。
【0036】
サーバ3のステップS18において、給油装置2から給油データが入力されると(ステップS18;Yes)、携帯端末4に給油データを含む給油中信号を出力する(ステップS19)。これにより、携帯端末4のステップS4において、与信NO信号が入力されないことになり(ステップS4;Yes)、ステップS6において、サーバ3から給油中信号が入力されると(ステップS6;Yes)、携帯端末4の表示画面に「給油中」という文字や、給油中であることを表す例えば波の動画が表示される(ステップS7)。これにより、顧客は給油装置2を直接確認しなくても、給油装置2による給油の進捗状況を把握することができる。
【0037】
給油装置2において、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS49;Yes)、給油ポンプの駆動を停止し(ステップS50)、サーバ3に給油データを含む給油終了信号を出力して給油装置2の動作を終了する(ステップS51)。
【0038】
サーバ3のステップS20において、給油装置2から給油終了信号が入力されると(ステップS20;Yes)、給油データに基づいて精算データを生成し、顧客がカード支払を選択した場合には(ステップS21;Yes)、カード会社6に精算データを出力する(ステップS22)。カード会社6のステップS35において、サーバ3から精算データが入力されると(ステップS35;Yes)、決済を行い(ステップS36)、決済完了信号をサーバ3に出力してカード会社6の動作を終了する(ステップS37)。カード会社6から決済完了信号が入力されたサーバ3は(ステップS23;Yes)、携帯端末4に決済完了信号を転送して動作を終了する(ステップS24)。サーバ3から決済完了信号が入力された携帯端末4は(ステップS8;Yes)、給油明細を画面に表示して動作を終了する(ステップS9)。
【0039】
一方、サーバ3のステップS21において、顧客が現金支払を選択した場合には(ステップS21;No)、支払機5に精算データを出力してサーバ3の動作を終了する(ステップS25)。支払機5のステップS61において、サーバ3から精算データが入力されると(ステップS61;Yes)、顧客が支払機5に現金を投入することで決済が行われ(ステップS62)、給油明細を出力(領収書を発行)して支払機5の動作を終了する(ステップS63)。このように、顧客は携帯端末4でカード支払か現金支払を選択することができるため、利便性がよい。
【0040】
図2のフローチャートには明記されないが、サーバ3は、支払方法(カード番号を含む)を含むユーザー情報、給油所データ、給油データ及び精算データを有し、これらを関連付けて記憶するため、給油所毎にPOS端末を設置する必要がなく、給油所の設備コストや運転コストを低減することができる。
【0041】
次に、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について
図1~
図4を参照しながら説明する。この給油所システム11は、上記給油所システム1の給油装置2とは異なる構成の給油装置12を備える。尚、給油所システム11において、上記給油所システム1と同一の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0042】
給油装置12は、給油データ等を表示する表示器12a及び給油設定等を行うためのデータ入出力器12bに加え、人体センサ12dを備え、人体センサ12dが顧客を検知した際にデータ入出力器12bに識別コード12cが表示される。
【0043】
データ入出力器12bに表示される識別コード12cは、給油所情報の他に、例えば表示回数を含み、人体センサ12dの検知結果により表示される度に情報が異なる。
【0044】
次に、上記構成を有する給油所システム11の動作について、
図1~
図4を参照しながら説明する。尚、
図4のルートが分岐するステップにおいても、特別な記載がない限り、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0045】
図4に示すように、給油装置12のステップS71において、人体センサ12d(
図3参照)が顧客を検知すると(ステップS71;Yes)、表示器12aに識別コード12cが表示される(ステップS72)。表示された識別コード12cを携帯端末4で読み取ることで(ステップS1)、
図2と同様に、給油装置12による給油や、サーバ3による情報管理等が行われる。
【0046】
本実施の形態によれば、例えば給油装置に印字された識別コードの上に別の識別コードが貼付され、顧客が全く関係のない識別コードを読み取ってしまうなどの不正を防止することができる。
【0047】
尚、上記実施形態においては、給油所システム1、11に支払機5が設けられ、サーバ3と通信するカード会社6が付設された場合について説明したが、現金払い専用の給油所においては、カード会社6は不要となり、カード払い専用の給油所においては支払機5が不要となる。
【符号の説明】
【0048】
1 給油所システム
2 給油装置
2a 表示器
2b データ入出力器
2c 識別コード
3 サーバ
4 携帯端末
5 支払機
6 カード会社
11 給油所システム
12 給油装置
12a 表示器
12b データ入出力器
12c 識別コード
12d 人体センサ
26 給油ノズル