(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】システムキッチン
(51)【国際特許分類】
A47B 77/00 20060101AFI20240216BHJP
A47B 96/20 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A47B77/00
A47B96/20 C
(21)【出願番号】P 2020009172
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】大畑 将吾
(72)【発明者】
【氏名】城野 亨
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 啓介
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171281(JP,A)
【文献】特開2008-073156(JP,A)
【文献】特開平06-237828(JP,A)
【文献】特開2017-164048(JP,A)
【文献】特開平08-299205(JP,A)
【文献】実開昭52-159346(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/02、77/00、77/06
A47B 96/18、96/20
A47K 1/00、1/02、4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットと、
キャビネットの上方に設けられた薄板状のカウンターと、
を備え、
前記キャビネットは、キャビネット本体と、前記キャビネット本体の前方に設けられた前板と、を有し、
前記カウンターは、天板と、前記キャビネットと前記天板との間に設けられ前記天板を補強する補強部材と、を有し、
前記補強部材の前面は、前記前面の上端部から下方に向かって後方に傾斜する第1傾斜面と、前記第1傾斜面の下端から前記前面の下端部まで下方に向かって前方に傾斜する第2傾斜面と、を有し、
前記第1傾斜面の上端は、前記天板の前端よりも後方に位置し、
前記第2傾斜面の下端は、前記第1傾斜面の前記上端よりも後方に位置し、上下方向において前記前板と重なることを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
前記第1傾斜面の前記下端は、前記前面の上下方向の中央よりも下方に位置することを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
前記第2傾斜面の下端は、前記第1傾斜面の前後方向の中央よりも後方に位置することを特徴とする請求項1または2に記載のシステムキッチン。
【請求項4】
前記補強部材は、前記前面を有する第1補強部と、前記第1補強部の後方に設けられた第2補強部と、を有し、
前記第1補強部の前後方向の長さは、前記第2補強部の前後方向の長さよりも小さく、
前記第1補強部の上下方向の長さは、前記第2補強部の上下方向の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のシステムキッチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、システムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンのカウンターの前端部には、カウンターからキャビネットの内部へ水が入ることを抑制するために、カウンターの上面から上方に盛り上がる水返しや、カウンターの前端から下方に延びる前垂れが設けられている。このような水返しや前垂れを設けると、カウンターの見かけ上の厚さが大きくなってしまうという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、水返しや前垂れがない平板状のカウンター(天板)を用いることが提案されている。また、特許文献1では、平板状の天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制するために、天板とキャビネットの前板との間に水返し材を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、システムキッチンのデザイン性を向上させるために、カウンターの天板を従来よりも薄くすることを検討した。しかし、天板を薄くすると、天板の強度が不足し、荷重がかかった際に天板に撓みが発生しやすいという問題がある。
【0006】
これを解決する手段として、天板とキャビネットとの間に補強部材を設けることが考えられる。しかし、特に荷重がかかりやすい天板の前端部まで補強部材を設けると、天板とキャビネットの前板との間の隙間において、補強部材が目立ってしまうおそれがある。
【0007】
また、平板状の天板を設ける場合には、特許文献1のように、天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制するための水返し材を設けることが求められる。例えば、補強部材に特許文献1の水返し材のような水返し機能を持たせることが考えられるが、特許文献1のように天板から垂れてきた水を溜める構造にすると、上下方向の長さが大きくなり、天板とキャビネットの前板との間の隙間が大きくなってしまう。
【0008】
また、特に、天板の前面とキャビネットの前板の前面との間の距離が小さい場合に、特許文献1のように水返し材の下部の前端が前板の前面よりも前方に位置するような構造にすると、システムキッチンの正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、補強部材が目立ちやすい。
【0009】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、天板とキャビネットの前板との間の隙間を小さくできるとともに、目立ちにくい補強部材により天板の撓みを抑制しつつ天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制できるシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、キャビネットと、キャビネットの上方に設けられた薄板状のカウンターと、を備え、前記キャビネットは、キャビネット本体と、前記キャビネット本体の前方に設けられた前板と、を有し、前記カウンターは、天板と、前記キャビネットと前記天板との間に設けられ前記天板を補強する補強部材と、を有し、前記補強部材の前面は、前記前面の上端部から下方に向かって後方に傾斜する第1傾斜面と、前記第1傾斜面の下端から前記前面の下端部まで下方に向かって前方に傾斜する第2傾斜面と、を有し、前記第1傾斜面の上端は、前記天板の前端よりも後方に位置し、前記第2傾斜面の下端は、前記第1傾斜面の前記上端よりも後方に位置し、上下方向において前記前板と重なることを特徴とするシステムキッチンである。
【0011】
このシステムキッチンによれば、キャビネットと天板との間に補強部材を設けることで、天板に荷重がかかった際に天板に撓みが発生することを抑制できる。また、補強部材の前面に第1傾斜面と第2傾斜面とを設け、第1傾斜面の上端が天板の前端よりも後方に位置し、第2傾斜面の下端が第1傾斜面の上端よりも後方に位置することで、補強部材を天板で隠すことができる。これにより、システムキッチンの正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、補強部材が目立つことを抑制できる。また、第2傾斜面の下端が上下方向において前板と重なることで、天板から流れてきた水を第2傾斜面を介して前板の上面に排出することができる。これにより、天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制できる。また、補強部材の前面を第1傾斜面と、第1傾斜面に連なる第2傾斜面と、で構成することで、補強部材の上下方向の長さを小さくすることができる。これにより、天板とキャビネットの前板との間の隙間を小さくすることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1傾斜面の前記下端は、前記前面の上下方向の中央よりも下方に位置することを特徴とするシステムキッチンである。
【0013】
このシステムキッチンによれば、第1傾斜面の下端が補強部材の前面の上下方向の中央よりも下方に位置することで、上下方向において第1傾斜面の占める割合が第2傾斜面の占める割合よりも大きくなり、システムキッチンの正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制するために設けた第2傾斜面が目立つことを抑制できる。これにより、補強部材が目立つことをさらに抑制できる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第2傾斜面の下端は、前記第1傾斜面の前後方向の中央よりも後方に位置することを特徴とするシステムキッチンである。
【0015】
このシステムキッチンによれば、第2傾斜面の下端が第1傾斜面の前後方向の中央よりも後方に位置することで、システムキッチンの正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制するために設けた第2傾斜面が目立つことを抑制できる。これにより、補強部材が目立つことをさらに抑制できる。
【0016】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記補強部材は、前記前面を有する第1補強部と、前記第1補強部の後方に設けられた第2補強部と、を有し、前記第1補強部の前後方向の長さは、前記第2補強部の前後方向の長さよりも小さく、前記第1補強部の上下方向の長さは、前記第2補強部の上下方向の長さよりも小さいことを特徴とするシステムキッチンである。
【0017】
このシステムキッチンによれば、補強部材を第1補強部と、第2補強部と、にて構成しているため、例えば、使用者が手をかけるなどし、比較的に荷重を受けるおそれのある天板の前側に位置する第1補強部を耐荷重性に優れた金属製としつつ、第1補強部の後方に位置する第2補強部を金属製材料よりも軽く搬送性の良い木製とすることができる。その上で、製造時に第1補強部及び第2補強部の上下方向の長さにバラつきが発生したとしても、前方側に位置し奥行きが小さい第1補強部の厚さを後方側に位置し奥行きが大きい第2補強部の厚さよりも小さくすることで、前方側に位置し奥行きが小さい第1補強部のみがキャビネット本体に接触することを抑制し、第2補強部とキャビネット本体との間に空隙ができることにより天板ががたつくことを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、天板とキャビネットの前板との間の隙間を小さくできるとともに、目立ちにくい補強部材により天板の撓みを抑制しつつ天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制できるシステムキッチンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るシステムキッチンの一部を模式的に表す断面図である。
【
図3】実施形態に係るシステムキッチンの一部を拡大して模式的に表す断面図である。
【
図4】実施形態に係るシステムキッチンの第1補強部周辺を拡大して模式的に表す断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、実施形態に係るシステムキッチンの第1補強部の前面付近を模式的に表す断面図である。
【
図6】実施形態に係るシステムキッチンの第1補強部の前面付近を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、システムキッチン100は、キャビネット10と、カウンター20と、シンク30と、コンロ40と、食器洗浄機50と、を備えている。
【0021】
キャビネット10は、物品を収納可能な収納空間を有する。キャビネット10は、いわゆるフロアキャビネットである。キャビネット10は、キャビネット本体11と、前板12と、を有する。
【0022】
キャビネット本体11は、前方及び上方が開放された箱状であり、キッチンの床面に載置されている。前板12は、キャビネット本体11の前方に設けられている。前板12は、キャビネット本体11の前側の開口を開閉可能に設けられている。例えば、使用者は、前板12を前方に移動させてキャビネット10を開けることで、キャビネット本体11の内部に物品を収納したり、キャビネット本体11の内部から物品を取り出すことができる。
【0023】
以下、本願明細書においては、システムキッチン100と対面する使用者からみた上方、下方、前方、後方、右側方、及び左側方を、それぞれ「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」とする。
【0024】
キャビネット10の上方には、薄板状のカウンター20が設けられている。カウンター20は、キャビネット本体11の上方の開口を覆うように設けられている。カウンター20は、キャビネット本体11の上に載置されている。カウンター20の厚さ(上下方向の長さ)は、例えば、40mm未満であり、好ましくは30mm以下であり、より好ましくは21mm程度である。カウンター20については、後述する。
【0025】
カウンター20の一部には、シンク30が設けられている。シンク30の後部には、吐水装置35が取り付けられている。吐水装置35は、シンク30に向けて湯水を吐出する。シンク30は、吐水装置35から吐出された湯水を受ける。シンク30は、吐水装置35などから受けた湯水を排水管(図示せず)などを介して外部に排出する。
【0026】
カウンター20の別の一部には、コンロ40が設けられている。コンロ40は、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、または電磁調理器などである。
【0027】
この例では、キャビネット本体11は、区画された複数の収納空間を有している。キャビネット本体11の複数の収納空間には、それぞれ、前板12を有する引出しや食器洗浄機50が設けられている。前板12は、例えば、引き出しや食器洗浄機50の前板である。食器洗浄機50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0028】
以下、カウンター20について、さらに詳しく説明する。
図2は、実施形態に係るシステムキッチンの一部を模式的に表す断面図である。
図3は、実施形態に係るシステムキッチンの一部を拡大して模式的に表す断面図である。
図2は、
図1に示したA1-A2線による断面図である。
図3は、
図2に示した領域R1の拡大図である。
図2及び
図3に表したように、カウンター20は、天板21と、天板21を補強する補強部材22と、を有する。
【0029】
天板21は、例えば、樹脂製である。天板21は、平板状である。天板21の厚さ(上下方向の長さ)Taは、例えば、30mm以下であり、好ましくは10mm以上20mm以下であり、より好ましくは12mm程度である。
【0030】
天板21は、天板21の前面21aが前板12の前面12aよりもわずかに前方に位置するように設けられる。天板21の前面21aと前板12の前面12aとの間の前後方向の距離Dxは、天板21の厚さTaよりも小さい。距離Dxは、例えば、1mm以上10mm以下であり、好ましくは5mm程度である。
【0031】
補強部材22は、キャビネット10と天板21との間に設けられる。つまり、補強部材22は、キャビネット10の上方、かつ、天板21の下方に設けられる。補強部材22は、例えば、接着剤などにより天板21の下面に固定される。
【0032】
この例では、補強部材22は、前方側に位置する第1補強部60と、後方側に位置する第2補強部70と、を有する。第2補強部70は、第1補強部60の後方に設けられている。第1補強部60は、補強部材22の前面22aを有する。つまり、第1補強部60の前面61は、補強部材22の前面22aである。補強部材22の前端(前面22a)は、天板21の前面21aよりも後方に位置している。
【0033】
第1補強部60の前部は、上下方向において、前板12と天板21との間に設けられる。この例では、第1補強部60の後部は、上下方向において、キャビネット本体11と天板21との間に設けられている。つまり、この例では、第1補強部60の後端は、キャビネット本体11の前端よりも後方に位置する。また、第2補強部70は、上下方向において、キャビネット本体11と天板21との間に設けられる。つまり、第2補強部70の前端は、キャビネット本体11の前端よりも後方に位置する。
【0034】
第1補強部60は、例えば、金属製である。第1補強部60は、例えば、アルミニウム製である。第1補強部60は、例えば、左右方向に貫通する貫通孔60hを有している。貫通孔60hを設けることで、貫通孔60hを設けない場合と比べて、材料費を削減できる。貫通孔60hは、必要に応じて設けられ、省略可能である。第1補強部60の左右方向の両端部には、例えば、樹脂製のキャップが設けられる。
【0035】
また、第1補強部60を金属製とすることにより、第1補強部60の上下方向の長さをより小さく設けることが可能となり、前板12と天板21との間の隙間をより小さくすることができる。
【0036】
第2補強部70は、例えば、木製である。第2補強部70は、例えば、パーティクルボードからなる。第2補強部70は、平板状である。
【0037】
なお、第1補強部60を金属製としつつ、第2補強部70を木製とすると、例えば、システムキッチン100を使用する使用者が手をかけるなどし、比較的に荷重を受けやすい天板21の前方側をより確実に補強しつつ、天板21の前方側より後方を金属製よりも軽く搬送性の良い木製とすることができるといったことも考えられる。
【0038】
第1補強部60の奥行き(前後方向の長さ)D1は、第2補強部70の奥行き(前後方向の長さ)D2よりも小さい。また、第1補強部60の奥行きD1と第2補強部70の奥行きD2との和は、天板21の奥行き(前後方向の長さ)Daよりも小さい。
【0039】
第1補強部60の厚さ(上下方向の長さ)T1は、第2補強部70の厚さ(上下方向の長さ)T2よりも小さい。第1補強部60の厚さT1は、天板21の厚さTaよりも小さい。また、この例では、第2補強部70の厚さT2は、天板21の厚さTaよりも小さい。
【0040】
なお、補強部材22は、1つの部材であってもよい。つまり、第1補強部60と第2補強部70とは、一体であってもよい。以下では、第1補強部60と第2補強部70とが別体である場合を例に挙げて説明する。
【0041】
以下、第1補強部60について、さらに詳しく説明する。
図4は、実施形態に係るシステムキッチンの第1補強部周辺を拡大して模式的に表す断面図である。
図4は、
図3に示した領域R2の拡大図である。
図4に表したように、第1補強部60の前面61は、第1傾斜面66と、第2傾斜面67と、を有する。第1傾斜面66は、第2傾斜面67の上方に位置する。
【0042】
第1傾斜面66は、前面61の上端部61aから下方に向かって後方に傾斜している。つまり、第1傾斜面66の下端66bは、第1傾斜面66の上端66aよりも後方に位置する。すなわち、第1傾斜面66の上端66aは、第1傾斜面66の前端であり、第1傾斜面66の下端66bは、第1傾斜面66の後端である。第1傾斜面66は、平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。
【0043】
なお、前面61の上端部61aは、前面61の上端を含む部分である。この例では、第1傾斜面66の上端66aは、前面61の上端よりも下方に位置している。第1傾斜面66の上端66aは、前面61の上端と一致していてもよい。第1傾斜面66の上端66aと前面61の上端との間の距離(上端部61aの上下方向の長さ)は、第1傾斜面66の上下方向の長さよりも小さい。
【0044】
第2傾斜面67は、第1傾斜面66の下端66bから前面61の下端部61bまで下方に向かって前方に傾斜している。つまり、第2傾斜面67の下端67bは、第2傾斜面67の上端67aよりも前方に位置する。すなわち、第2傾斜面67の上端67aは、第2傾斜面67の後端であり、第2傾斜面67の下端67bは、第2傾斜面67の前端である。第2傾斜面67は、平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。
【0045】
なお、前面61の下端部61bは、前面61の下端を含む部分である。この例では、第2傾斜面67の下端67bは、前面61の下端よりも上方に位置している。第2傾斜面67の下端67bは、前面61の下端と一致していてもよい。第2傾斜面67の下端67bと前面61の下端との間の距離(下端部61bの上下方向の長さ)は、第2傾斜面67の上下方向の長さよりも小さい。
【0046】
第2傾斜面67は、第1傾斜面66と連なっている。つまり、第2傾斜面67の上端67aは、第1傾斜面66の下端66bと一致する。第2傾斜面67を第1傾斜面66と連なるように設けることで、第1傾斜面66と第2傾斜面67との間に鉛直面などを含む場合に比べて、第1補強部60の上下方向の長さを小さくすることができる。つまり、第1補強部60を薄型化できる。
【0047】
第1傾斜面66の上端66aは、天板21の前面21a(前端)よりも後方に位置する。また、第2傾斜面67の下端67bは、第1傾斜面66の上端66aよりも後方に位置する。つまり、第2傾斜面67は、第1傾斜面66に比べて前方までせり出していない。
【0048】
また、第2傾斜面67の下端67bは、上下方向において前板12と重なる。換言すれば、第2傾斜面67の下端67bは、上下方向において前板12の上面12cと重なる。つまり、第2傾斜面67の下端67bは、前板12の前面12aよりも後方、かつ、前板12の背面12bよりも前方に位置する。
【0049】
この例では、第1傾斜面66の上端66aは、前板12の前面12aよりも前方に位置している。第1傾斜面66の上端66aは、上下方向において前板12と重なっていてもよい。また、この例では、第1傾斜面66の下端66b(第2傾斜面67の上端67a)は、上下方向において前板12と重なっている。
【0050】
図5(a)及び
図5(b)は、実施形態に係るシステムキッチンの第1補強部の前面付近を模式的に表す断面図である。
図5(a)に表したように、第1傾斜面66の下端66b(第2傾斜面67の上端67a)は、前面61の上下方向の中央CL1よりも下方に位置する。換言すれば、第1傾斜面66と第2傾斜面67との境界は、前面61の上下方向の中央CL1よりも下方に位置する。前面61の上下方向の中央CL1とは、前面61の上端と前面61の下端との間の中央である。つまり、第1傾斜面66の上下方向の長さT3は、第2傾斜面67の上下方向の長さT4よりも大きい。
【0051】
また、この例では、第1傾斜面66の下端66b(第2傾斜面67の上端67a)と前面61の上下方向の中央CL1との間の上下方向の距離T5は、第2傾斜面67の上下方向の長さT4よりも小さい。
【0052】
図5(b)に表したように、第2傾斜面67の下端67bは、第1傾斜面66の前後方向の中央CL2よりも後方に位置する。第1傾斜面66の前後方向の中央CL2とは、第1傾斜面66の上端66a(前端)と第1傾斜面66の下端66b(後端)との間の中央である。つまり、第2傾斜面67の前後方向の長さD3は、第1傾斜面66の下端66b(後端)と第1傾斜面66の前後方向の中央CL2との間の距離D4よりも小さい。
【0053】
また、この例では、第2傾斜面67の前後方向の長さD3は、第2傾斜面67の下端67b(前端)と第1傾斜面66の前後方向の中央CL2との間の距離D5よりも小さい。
【0054】
図6は、実施形態に係るシステムキッチンの第1補強部の前面付近を模式的に表す断面図である。
図6に表したように、第1傾斜面66の傾斜角度θ1は、第2傾斜面67の傾斜角度θ2よりも小さい。第1傾斜面66の傾斜角度θ1は、第1傾斜面66と水平面とのなす角度(劣角)である。第2傾斜面67の傾斜角度θ2は、第2傾斜面67と水平面とのなす角度(劣角)である。
【0055】
第1傾斜面66の傾斜角度θ1は、例えば、20度以上45度以下であり、好ましくは30度以上35度以下である。この例では、傾斜角度θ1は、32度である。
【0056】
第2傾斜面67の傾斜角度θ2は、例えば、30度以上60度以下であり、好ましくは40度以上50度以下である。この例では、傾斜角度θ2は、45度である。
【0057】
以下、実施形態に係るシステムキッチンの作用効果について説明する。
【0058】
薄板状の天板を設ける場合には、天板の撓みを抑制するために、天板とキャビネットとの間に補強部材を設けることが考えられる。しかし、特に荷重がかかりやすいカウンターの前端部まで補強部材を設けると、天板とキャビネットの前板との間の隙間において、補強部材が目立ってしまうおそれがある。
【0059】
また、補強部材に水返し機能を持たせる場合、補強部材の形状によっては、天板とキャビネットの前板との間の隙間が大きくなってしまう。特に、天板の前面とキャビネットの前板の前面との間の距離が小さい場合には、キャビネットの中に水が入りやすく、システムキッチンの正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、補強部材が目立ちやすくなるという問題がある。
【0060】
これに対し、実施形態によれば、キャビネット10と天板21との間に補強部材22を設けることで、天板21に荷重がかかった際に天板21に撓みが発生することを抑制できる。また、補強部材22の前面22a(第1補強部60の前面61)に第1傾斜面66と第2傾斜面67とを設け、第1傾斜面66の上端66aが天板21の前面21a(前端)よりも後方に位置し、第2傾斜面67の下端67bが第1傾斜面66の上端66aよりも後方に位置することで、補強部材22を天板21で隠すことができる。これにより、システムキッチン100の正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、補強部材22が目立つことを抑制できる。また、第2傾斜面67の下端67bが上下方向において前板12と重なることで、天板21から流れてきた水を第2傾斜面67を介して前板12の上面12cに排出することができる。これにより、天板21からキャビネット10の内部へ水が入ることを抑制できる。また、補強部材22の前面22a(第1補強部60の前面61)を第1傾斜面66と、第1傾斜面66に連なる第2傾斜面67と、で構成することで、補強部材22の上下方向の長さを小さくすることができる。これにより、天板21とキャビネット10の前板12との間の隙間を小さくすることができる。また、補強部材22により天板21の撓みを抑制することができるため、キャビネット10に食器洗浄機50を設けた場合にも、天板21が撓んで食器洗浄機50に当たることを抑制できる。したがって、天板21の撓みによる食器洗浄機50の故障の発生を抑制できる。
【0061】
また、実施形態によれば、第1傾斜面66の下端66bが補強部材22の前面22a(第1補強部60の前面61)の上下方向の中央CL1よりも下方に位置することで、上下方向において第1傾斜面66の占める割合が第2傾斜面67の占める割合よりも大きくなり、システムキッチン100の正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、天板21からキャビネット10の内部へ水が入ることを抑制するために設けた第2傾斜面67が目立つことを抑制できる。これにより、補強部材22が目立つことをさらに抑制できる。
【0062】
また、実施形態によれば、第2傾斜面67の下端67bが第1傾斜面66の前後方向の中央CL2よりも後方に位置することで、システムキッチン100の正面に立った使用者が斜め上方から見たときに、天板21からキャビネット10の内部へ水が入ることを抑制するために設けた第2傾斜面67が目立つことを抑制できる。これにより、補強部材22が目立つことをさらに抑制できる。
【0063】
また、実施形態によれば、補強部材22を第1補強部60と、第2補強部70と、にて構成しているため、例えば、使用者が手をかけるなどし、比較的に荷重を受けるおそれのある天板21の前側に位置する第1補強部60を耐荷重性に優れた金属製としつつ、第1補強部60の後方に位置する第2補強部70を搬送性の良い木製とすることができる。その上で、製造時に第1補強部60及び第2補強部70の上下方向の長さにバラつきが発生したとしても、前方側に位置し奥行きが小さい第1補強部60の厚さを後方側に位置し奥行きが大きい第2補強部70の厚さよりも小さくすることで、前方側に位置し奥行きが小さい第1補強部60のみがキャビネット本体11に接触することを抑制し、第2補強部70とキャビネット本体11との間に空隙ができることにより天板21ががたつくことを抑制できる。
【0064】
また、実施形態によれば、第1傾斜面66の傾斜角度θ1を20度以上45度以下とし、第2傾斜面67の傾斜角度θ2を30度以上60度以下とすることで、システムキッチン100の正面に立った使用者が斜め上方から見たときに補強部材22(第1補強部60)が目立つことを抑制しつつ、カウンター20からキャビネット10の内部へ水が入ることをより確実に抑制できる。
【0065】
以上説明したように、実施形態によれば、天板とキャビネットの前板との間の隙間を小さくできるとともに、目立ちにくい補強部材により天板の撓みを抑制しつつ天板からキャビネットの内部へ水が入ることを抑制できるシステムキッチンが提供される。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、システムキッチンなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0067】
10 キャビネット、 11 キャビネット本体、 12 前板、 12a 前面、 12b 背面、 12c 上面、 13 引出し、 20 カウンター、 21 天板、 21a 前面、 22 補強部材、 22a 前面、 30 シンク、 35 吐水装置、 40 コンロ、 60 第1補強部、 60h 貫通孔、 61 前面、 61a 上端部、 61b 下端部、 66 第1傾斜面、 66a 上端、 66b 下端、 67 第2傾斜面、 67a 上端、 67b 下端、 70 第2補強部、 100 システムキッチン、 R1、R2 領域