(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】移動測定システム、環境システム、移動測定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20240216BHJP
G01J 1/42 20060101ALI20240216BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20240216BHJP
【FI】
H05B47/11
G01J1/42 J
H05B47/19
(21)【出願番号】P 2019098122
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-03-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】法上 司
(72)【発明者】
【氏名】前川 朗通
(72)【発明者】
【氏名】笹井 麻千子
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026412(JP,A)
【文献】特開2009-231071(JP,A)
【文献】特開2017-091766(JP,A)
【文献】特開2008-304415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
G01J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定空間の環境を生成する環境生成システムの生成部及びセンサの少なくとも一方からなる対象物が設置された前記特定空間内を移動する移動測定システムであって、
前記特定空間における前記対象物に対応付けられた測定エリアに移動する移動部と、
前記測定エリアにおける前記環境に関する測定値を測定する測定部と、
前記測定値に基づく出力情報と前記対象物とを対応付けた対応情報を出力する出力部と、を備え
、
前記測定部は、1つの前記測定エリア内の複数の測定点で測定を行い、前記複数の測定点での測定結果の代表値を前記測定値とし、
前記特定空間は、複数の前記測定エリアを有し、
前記測定部は、前記複数の測定エリアの各々における前記複数の測定点に対して、前記移動部の位置の軌跡が一筆書きとなるような順序で測定を行い、前記複数の測定エリアの各々について前記測定値を測定する、
移動測定システム。
【請求項2】
特定空間の環境を生成する環境生成システムの生成部及びセンサの少なくとも一方からなる対象物が設置された前記特定空間内を移動する移動測定システムであって、
前記特定空間における前記対象物に対応付けられた測定エリアに移動する移動部と、
前記測定エリアにおける前記環境に関する測定値を測定する測定部と、
前記測定値に基づく出力情報と前記対象物とを対応付けた対応情報を出力する出力部と、
前記環境生成システムとの間で通信を行う通信部と、を備え、
前記通信部は、前記移動部が前記測定エリアに到達すると、前記測定エリアに対応付けられた前記対象物を含む前記環境生成システムに対して前記測定値以外の情報を送信し、
前記測定値以外の情報は、前記センサを識別するための識別情報と、前記センサの動作モードとを含む前記センサの初期設定データである、
移動測定システム。
【請求項3】
複数の前記対象物が前記特定空間に設置されている、
請求項1又は2に記載の移動測定システム。
【請求項4】
前記出力情報は、前記環境生成システムを管理するための管理情報を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項5】
前記管理情報は、前記センサの状態を調整するための調整情報を含む、
請求項4に記載の移動測定システム。
【請求項6】
前記管理情報は、前記生成部の動作を制御するための制御情報を含む、
請求項4に記載の移動測定システム。
【請求項7】
前記生成部は、前記特定空間に対して光を生成する照明器具である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項8】
前記移動部の位置を検出する位置検出部と、
前記移動部の動作を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記位置検出部から取得する前記移動部の位置情報と、前記特定空間の位置情報と、を用いて、前記特定空間における前記移動部の位置を把握する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項9】
前記測定部の高さを変更可能な高さ用アクチュエータを更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項10】
前記測定部の角度を変更可能な角度用アクチュエータを更に備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項11】
前記対象物の動作を制御する制御部を更に備え、
前記特定空間は、複数の前記測定エリアを有し、
前記制御部は、前記測定部が前記複数の測定エリアについて前記測定値を測定した後に、前記複数の測定エリアにそれぞれ対応付けられた複数の前記対象物の動作を制御する制御情報を前記出力情報として生成する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項12】
前記対象物の動作を制御する制御部を更に備え、
前記特定空間は、複数の前記測定エリアを有し、
前記制御部は、前記複数の測定エリアのうち前記測定部が測定を行っている測定エリアである対象エリアについて前記測定が終了すると、前記対象エリアに対応付けられた前記対象物の動作を制御する制御情報を前記出力情報として生成する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の移動測定システム。
【請求項13】
前記環境生成システムとの間で通信を行う通信部を更に備え、
前記通信部は、前記対象エリアについて前記測定が終了すると、前記対象エリアに対応付けられた前記対象物の動作を制御するための制御情報を前記出力情報として前記環境生成システムに送信する、
請求項12に記載の移動測定システム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の移動測定システムと、
前記環境生成システムと、を備える、
環境システム。
【請求項15】
特定空間の環境を生成する環境生成システムの生成部及びセンサの少なくとも一方からなる対象物が設置された前記特定空間内を移動する移動部を備える移動測定システムに用いられる移動測定方法であって、
前記特定空間における前記対象物に対応付けられた測定エリアに前記移動部を移動させる移動ステップと、
前記測定エリアにおける前記環境に関する測定値を測定する測定ステップと、
前記測定値に基づく出力情報と前記対象物とを対応付けた対応情報を出力する出力ステップと、を含み、
前記測定ステップでは、1つの前記測定エリア内の複数の測定点で測定を行い、前記複数の測定点での測定結果の代表値を前記測定値とし、
前記特定空間は、複数の前記測定エリアを有し、
前記測定ステップでは、前記複数の測定エリアの各々における前記複数の測定点に対して、前記移動部の位置の軌跡が一筆書きとなるような順序で測定を行い、前記複数の測定エリアの各々について前記測定値を測定する、
移動測定方法。
【請求項16】
請求項15に記載の移動測定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動測定システム、環境システム、移動測定方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、特定空間内を移動しながら環境に関する測定値を測定する移動測定システム、環境システム、移動測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一般道路、高速道路、トンネル等に設けられる照明設備(対象物)の管理システム(移動測定システム)が記載されている。特許文献1に記載の照明設備の管理システムは、走行体に搭載された照度測定器(測定部)と、走行体の位置を検出する位置検出器(位置検出部)と、演算装置とを具備する。演算装置は、地図情報と、照明ランプの位置データ、照度データを含む初期データと、走行体を走行させつつ照度測定器により取得した照度データ(測定値)とを保存する。演算装置は、位置検出器により検出した走行体の位置データと、地図情報と、照度データとに基づき照明設備の日常管理データを演算する。さらに、演算装置は、初期データと日常管理データとに基づき照明ランプを含む照明設備の変化を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような照明設備の管理システムでは、作業効率を向上させることが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、作業効率を向上させることができる移動測定システム、環境システム、移動測定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る移動測定システムは、特定空間の環境を生成する環境生成システムの生成部及びセンサの少なくとも一方からなる対象物が設置された前記特定空間内を移動する移動測定システムである。前記移動測定システムは、移動部と、測定部と、出力部と、を備える。前記移動部は、前記特定空間における前記対象物に対応付けられた測定エリアに移動する。前記測定部は、前記測定エリアにおける前記環境に関する測定値を測定する。前記出力部は、前記測定値に基づく出力情報と前記対象物とを対応付けた対応情報を出力する。前記測定部は、1つの前記測定エリア内の複数の測定点で測定を行い、前記複数の測定点での測定結果の代表値を前記測定値とする。前記特定空間は、複数の前記測定エリアを有する。前記測定部は、前記複数の測定エリアの各々における前記複数の測定点に対して、前記移動部の位置の軌跡が一筆書きとなるような順序で測定を行い、前記複数の測定エリアの各々について前記測定値を測定する。
本開示の別の一態様に係る移動測定システムは、特定空間の環境を生成する環境生成システムの生成部及びセンサの少なくとも一方からなる対象物が設置された前記特定空間内を移動する移動測定システムである。前記移動測定システムは、移動部と、測定部と、出力部と、通信部と、を備える。前記移動部は、前記特定空間における前記対象物に対応付けられた測定エリアに移動する。前記測定部は、前記測定エリアにおける前記環境に関する測定値を測定する。前記出力部は、前記測定値に基づく出力情報と前記対象物とを対応付けた対応情報を出力する。前記通信部は、前記環境生成システムとの間で通信を行う。前記通信部は、前記移動部が前記測定エリアに到達すると、前記測定エリアに対応付けられた前記対象物を含む前記環境生成システムに対して前記測定値以外の情報を送信する。前記測定値以外の情報は、前記センサを識別するための識別情報と、前記センサの動作モードとを含む前記センサの初期設定データである。
【0007】
本開示の一態様に係る環境システムは、前記移動測定システムと、前記環境生成システムと、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る移動測定方法は、特定空間の環境を生成する環境生成システムの生成部及びセンサの少なくとも一方からなる対象物が設置された前記特定空間内を移動する移動部を備える移動測定システムに用いられる移動測定方法である。前記移動測定方法は、移動ステップと、測定ステップと、出力ステップと、を含む。前記移動ステップは、前記特定空間における前記対象物に対応付けられた測定エリアに前記移動部を移動させるステップである。前記測定ステップは、前記測定エリアにおける前記環境に関する測定値を測定するステップである。前記出力ステップは、前記測定値に基づく出力情報と前記対象物とを対応付けた対応情報を出力するステップである。前記測定ステップでは、1つの前記測定エリア内の複数の測定点で測定を行い、前記複数の測定点での測定結果の代表値を前記測定値とする。前記特定空間は、複数の前記測定エリアを有する。前記測定ステップでは、前記複数の測定エリアの各々における前記複数の測定点に対して、前記移動部の位置の軌跡が一筆書きとなるような順序で測定を行い、前記複数の測定エリアの各々について前記測定値を測定する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記移動測定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、作業効率を向上させることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る移動測定システム及び環境生成システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2Aは、同上の移動測定システムを模式的に表した正面図である。
図2Bは、同上の移動測定システムを模式的に表した側面図である。
【
図4】
図4は、同上の移動測定システムの記憶部に記憶させるデータを示す図である。
【
図5】
図5は、同上の移動測定システムが移動する特定空間を示す平面図である。
【
図6】
図6は、同上の移動測定システムの動作例1のフローチャートである。
【
図7】
図7は、同上の移動測定システムの動作例2のフローチャートである。
【
図8】
図8は、同上の移動測定システムの動作例3のフローチャートである。
【
図9】
図9は、同上の移動測定システムの動作例4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態に係る移動測定システム、環境生成システム、及び環境システムについて、図面を参照して説明する。
【0013】
以下の実施形態等において参照する
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、
図3C、及び
図5は、いずれも模式的な図である。したがって、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
(実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る移動測定システム1、環境生成システム2、及び環境システム10の概要について、
図1、
図2A、及び
図2Bを参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係る環境システム10は、
図1に示すように、移動測定システム1と、複数(
図1では4つ)の環境生成システム2と、を備える。
【0016】
複数の環境生成システム2の各々は、例えば、特定空間200(
図5参照)の環境を生成するシステムである。特定空間200は、例えば、事務所、店舗、学校若しくは介護施設等の非住宅施設の内部空間である。なお、特定空間200は、非住宅施設の内部空間以外に、マンション等の集合住宅の内部空間であってもよいし、戸建て住宅の内部空間であってもよい。特定空間200には、複数の対象物20が設置されている。複数の対象物20の各々は、環境生成システム2を構成する生成部23及びセンサ24の少なくとも一方からなる。環境生成システム2は、例えば、特定空間200の照明環境を生成する。つまり、本実施形態では、生成部23は、特定空間200に対して光を生成する照明器具である。
【0017】
移動測定システム1は、例えば、特定空間200内を移動しながら環境に関する測定値を測定するシステムである。移動測定システム1は、
図1に示すように、移動部16と、測定部13と、出力部15と、を備える。移動部16は、移動測定システム1が特定空間200について測定を開始すると、特定空間200内の測定エリア201~204(
図5参照)に移動する。測定エリア201~204の各々には、対象物20が設置されている。測定部13は、測定エリア201~204の各々における測定値を測定する。本実施形態では、測定部13は、測定値として、環境生成システム2の生成部23によって生成される光の照度を測定する。出力部15は、対応情報を出力する。対応情報は、測定部13の測定値に基づく出力情報と対象物20とを対応付けた情報である。
【0018】
本実施形態に係る移動測定システム1では、出力部15は、測定部13の測定値に基づく情報(出力情報)を対象物20に対応付けて出力している。そのため、出力部15が測定部13の測定値のみを出力する場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
【0019】
(2)構成
以下、本実施形態に係る移動測定システム1、環境生成システム2、及び環境システム10の構成について、
図1~
図4を参照して説明する。本実施形態に係る環境システム10は、
図1に示すように、移動測定システム1と、複数(
図1では4つ)の環境生成システム2と、を備える。つまり、本実施形態では、特定空間200内の複数の測定エリア201~204と複数の環境生成システム2とが一対一に対応している。移動測定システム1は、例えば、特定空間200内を走行可能な移動体(以下、「移動体1」ともいう)である(
図2A及び
図2B参照)。
【0020】
(2.1)移動測定システム
まず、本実施形態に係る移動測定システム1の構成について説明する。本実施形態に係る移動測定システム1は、
図1に示すように、制御部11と、通信部12と、測定部13と、位置検出部14と、出力部15と、移動部16と、高さ用アクチュエータ17と、角度用アクチュエータ18と、記憶部19と、を備える。
【0021】
制御部11は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そして、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部11の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0022】
制御部11は、通信部12、測定部13、出力部15、移動部16、高さ用アクチュエータ17、及び角度用アクチュエータ18を各別に制御する。さらに、制御部11は、対象物20の動作を制御する制御情報を出力情報として生成する。例えば、対象物20が生成部23の場合には、制御部11は、測定部13の測定値が予め設定した設定値と異なっていれば、生成部23が生成する光の照度が設定値となるように生成部23の出力を制御する制御情報を出力情報として生成する。具体的には、制御部11は、生成部23の出力を制御するための制御情報を含む対応情報を作成し、作成した対応情報を出力部15から出力する。出力部15から出力された対応情報は、通信部12を介して環境生成システム2に送信される。そして、環境生成システム2では、後述の制御部21が、対応情報に含まれる制御情報に従って生成部23の出力を制御する。
【0023】
通信部12は、例えば、環境生成システム2との間で無線通信を行う通信モジュールである。通信部12は、例えば、環境生成システム2との間で赤外線通信を行う。通信部12は、例えば、センサ24の初期設定データD6(
図4参照)を環境生成システム2から受信する。また、通信部12は、例えば、対象物20が生成部23の場合には、生成部23の出力を制御するための制御情報を出力情報とする対応情報を環境生成システム2に送信する。また、通信部12は、例えば、対象物20がセンサ24の場合には、初期設定データD6、又は調整情報を出力情報とする対応情報を環境生成システム2に送信する。調整情報は、センサ24の状態を調整するための情報であり、例えば、センサ24の感度を調整するための情報である。
【0024】
測定部13は、生成部23が生成する環境に関する測定値を測定する。本実施形態では、生成部23は照明器具であり、測定部13は、測定値として、生成部23が生成する光の照度を測定する。本実施形態では、測定部13は照度計である。測定部13は、移動体1が測定エリア201~204(
図5参照)のいずれかに到達すると、制御部11からの指令に従って生成部23が生成する光の照度を測定する。そして、測定部13は、測定結果としての測定値を制御部11に出力する。
【0025】
位置検出部14は、移動部16の位置を検出する。言い換えると、位置検出部14は、移動部16の自己位置データD1(
図4参照)を取得する。位置検出部14は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)である。位置検出部14は、自己位置データD1として、例えば、特定空間200内に設けられた内壁及び障害物等の構造物までの距離データを取得する。
【0026】
出力部15は、対応情報を出力する。対応情報は、測定部13の測定値に基づく出力情報と対象物20とを対応付けた情報である。例えば、対象物20が生成部23の場合には、対応情報は、出力情報としての制御情報と、生成部23を識別するための識別情報と、を含む。また、対象物20がセンサ24の場合には、対応情報は、出力情報としての調整情報と、センサ24を識別するための識別情報と、を含む。ここで、本実施形態では、センサ24の調整情報と生成部23の制御情報とで環境生成システム2を管理するための管理情報が構成されている。つまり、管理情報は、センサ24の状態を調整するための調整情報を含む。また、管理情報は、生成部23の動作を制御するための制御情報を含む。
【0027】
移動部16は、移動体1を移動させるための移動機構である。移動部16は、
図2A及び
図2Bに示すように、複数(
図2Aでは2個)の駆動輪161と、複数(
図2Aでは前側の2個のみ図示)の従動輪162と、複数の駆動輪161を駆動するモータと、を有する。移動部16では、制御部11からの指令に従ってモータが回転することによって、モータの回転力が複数の駆動輪161に伝達されて複数の駆動輪161が回転する。これにより、移動体1は、特定空間200における測定エリア201~204(
図5参照)に移動することができる。
【0028】
高さ用アクチュエータ17は、測定部13の高さを変更するためのアクチュエータである。言い換えると、本実施形態に係る移動測定システム1は、測定部13の高さを変更可能な高さ用アクチュエータ17を更に備える。高さ用アクチュエータ17は、例えば、モータを含む回転機構で構成される。測定部13は、
図2A及び
図2Bに示すように、一対のアーム101を介して高さ用アクチュエータ17に連結される。高さ用アクチュエータ17では、制御部11からの指令に従ってモータが回転することによって、モータの回転力が一対のアーム101に伝達されて一対のアーム101が上下方向に回転する。これにより、測定部13の位置を上下方向に変更することができる。
【0029】
例えば、高さ用アクチュエータ17によって一対のアーム101を下向きに回転させた場合には、
図3Aに示すように、床面(走行面)300から測定部13の測定面(
図3Aの上面)までの高さをH1とすることができる。また、高さ用アクチュエータ17によって一対のアーム101を上向きに回転させた場合には、
図3Bに示すように、床面300から測定部13の測定面(
図3Bの上面)までの高さをH2(H2>H1)とすることができる。本実施形態では一例として、高さH1は50mmであり、高さH2は700mmである。つまり、高さ用アクチュエータ17によって、床面300から測定部13の測定面までの高さを50mmから700mmの範囲で変更することができる。
【0030】
角度用アクチュエータ18は、測定部13の角度を変更するためのアクチュエータである。言い換えると、本実施形態に係る移動測定システム1は、測定部13の角度を変更可能な角度用アクチュエータ18を更に備える。角度用アクチュエータ18は、例えば、モータを含む回転機構で構成される。測定部13は、
図2Aに示すように、通信部12と共に支持部材102に取り付けられており、支持部材102を介して角度用アクチュエータ18に連結される。角度用アクチュエータ18では、制御部11からの指令に従ってモータが回転することによって、モータの回転力が支持部材102に伝達されて支持部材102が回転する。これにより、測定部13の角度を変更することができる。
【0031】
例えば、角度用アクチュエータ18によって支持部材102を回転させた場合には、
図3Cに示すように、床面300と平行な面に対する測定部13の測定面(
図3Cの上面)の角度をθ1とすることができる。θ1の範囲は、例えば、0度から180度までの範囲である。
【0032】
記憶部19は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。記憶部19は、
図4に示すように、自己位置データD1、地図データD2、経路データD3、センサ位置データD4、測定位置データD5、初期設定データD6、測定高さデータD7、測定角度データD8、及び測定データD9を記憶する。また、記憶部19は、複数の測定エリア201~204に対する測定順序についても記憶する。
【0033】
自己位置データD1は、位置検出部14によって取得される移動体1(移動部16)の位置データであり、本実施形態では、移動体1から構造物までの距離データである。地図データD2は、特定空間200の位置データであり、本実施形態では、特定空間200内に設けられた構造物の位置データである。経路データD3は、目的地(例えば測定エリア201~204)までの経路に関するデータである。
【0034】
センサ位置データD4は、特定空間200におけるセンサ24の位置(座標)データであり、
図5におけるX軸方向の座標であるX座標と、Y軸方向の座標であるY座標と、を含む。センサ位置データD4は、センサ24を識別するための識別情報(アドレス情報)に紐付けて記憶部19に記憶される。測定位置データD5は、測定部13の測定点(例えば測定エリア201ではP11~P15)の位置(座標)データであり、
図5におけるX軸方向の座標であるX座標と、Y軸方向の座標であるY座標と、を含む。測定位置データD5は、生成部23を識別するための識別情報に紐付けて記憶部19に記憶される。初期設定データD6は、センサ24の設定データであり、例えば、センサ24を識別するための識別情報(アドレス情報)と、センサ24の動作モードと、を含む。センサ24の動作モードについては後述する。
【0035】
測定高さデータD7は、床面300から測定部13の測定面までの高さデータであり、例えば、50mm~700mmの間で任意に設定される。測定高さデータD7は、生成部23の識別情報に紐付けて記憶部19に記憶される。測定角度データD8は、床面300と平行な面に対する測定部13の測定面の角度データであり、例えば、0度から180度の間で任意に設定される。測定角度データD8は、生成部23の識別情報に紐付けて記憶部19に記憶される。測定データD9は、測定部13の測定結果である光の照度データであり、生成部23の識別情報に紐付けて記憶部19に記憶される。
【0036】
図2A及び
図2Bは、移動測定システムとしての移動体1の構造を示す模式図である。以下では、駆動輪161と従動輪162とが並ぶ方向を前後方向、複数の駆動輪161が並ぶ方向を左右方向、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向と規定する。ただし、これらの方向は、移動体1の使用方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0037】
移動体1は、
図2A及び
図2Bに示すように、移動体本体100を備える。移動体本体100の下部には、複数の駆動輪161、及び複数の従動輪162が設けられている。複数の駆動輪161は、移動体本体100の前後方向の中央で、かつ左右方向の両側に配置されている。また、複数の従動輪162は、移動体本体100の前後方向の両端で、かつ左右方向の両側に配置されている。移動体1は、モータの回転力が伝達されて複数の駆動輪161が回転することによって、複数の駆動輪161及び複数の従動輪162により床面(走行面)300に沿って移動する。
【0038】
移動体本体100の左右方向の両側には、一対のアーム101が設けられている。一対のアーム101の各々は、左右方向から見た形状がL字状である。一対のアーム101は、移動体本体100の後部に設けられた高さ用アクチュエータ17に連結されており、高さ用アクチュエータ17によって高さ位置を変更可能である。
【0039】
一対のアーム101の先端部間には、支持部材102が設けられている。支持部材102は、左右方向に長い板状である。支持部材102は、一対のアーム101のうち右側のアーム101に設けられた角度用アクチュエータ18によって回転可能である。支持部材102の上面で、かつ左右方向の中央には、通信部12及び測定部13が設けられている。したがって、角度用アクチュエータ18によって支持部材102を回転させることで、床面300と平行な面に対する測定部13の測定面の角度θ1を変更することができる。
【0040】
移動体本体100の上部には、位置検出部14としてのLiDARが設けられている。また、移動体本体100の右側面には、記憶部19が設けられている。
【0041】
(2.2)環境生成システム
次に、本実施形態に係る環境生成システム2の構成について説明する。本実施形態に係る環境生成システム2は、
図1に示すように、制御部21と、通信部22と、生成部23と、センサ24と、記憶部25と、を備える。本実施形態では、環境生成システム2は、特定空間200に対して光を生成する照明器具としての生成部23と、センサ24と、を含むセンサ付きの照明システムである。
【0042】
制御部21は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そして、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部21の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部21は、通信部22及び生成部23を各別に制御する。
【0043】
通信部22は、例えば、移動測定システム1との間で無線通信を行う通信モジュールである。通信部22は、例えば、移動測定システム1との間で赤外線通信を行う。通信部22は、例えば、移動測定システム1からの要求に応じて、記憶部25に記憶されているセンサ24の初期設定データD6を送信する。対象物20が生成部23の場合には、通信部22は、生成部23の動作を制御するための制御情報を含む対応情報を移動測定システム1から受信する。また、対象物20がセンサ24の場合には、通信部22は、センサ24の状態を調整するための調整情報を含む対応情報を移動測定システム1から受信する。
【0044】
生成部23は、特定空間200の環境を生成する。本実施形態では、生成部23は、特定空間200に対して光を生成する照明器具である。生成部23は、センサ24の検出結果に基づく出力信号によって、光を生成する第1状態と、光を生成しない第2状態と、の間で動作状態が切り替えられる。
【0045】
センサ24は、例えば、人感センサである。センサ24は、例えば、焦電型の赤外線センサである。センサ24は、動作モードとして、例えば、滞在モードと、通過モードと、を有する。滞在モードは、センサ24の検出エリア内に人が一定時間(例えば1分)以上滞在している場合に、生成部23の動作を開始するモードである。通過モードは、センサ24の検出エリア内を人が通過した場合に、生成部23の動作を開始するモードである。
【0046】
記憶部25は、例えば、ROM、RAM、又はEEPROM等から選択されるデバイスで構成される。記憶部25は、生成部23及びセンサ24の各々の識別情報を記憶する。記憶部25は、生成部23が生成する光の照度の設定値を記憶する。さらに、記憶部25は、センサ24の初期設定データD6を記憶する。
【0047】
(3)特定空間の構成
図5は、本実施形態に係る移動測定システム(移動体)1が移動する特定空間200の一例を示す平面図である。以下では、測定エリア201と測定エリア203とが並ぶ方向をX軸方向、測定エリア201と測定エリア202とが並ぶ方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方と直交する方向(
図5の紙面に垂直な方向)をZ軸方向と規定する。
【0048】
特定空間200は、
図5に示すように、複数(
図5では4個)の測定エリア201~204を有する。複数の測定エリア201~204の各々は、Z軸方向から見た形状が正方形状である。
図5では、Y軸方向において、測定エリア201と測定エリア202とが並んでおり、かつ測定エリア203と測定エリア204とが並んでいる。また、
図5では、X軸方向において、測定エリア201と測定エリア203とが並んでおり、かつ測定エリア202と測定エリア204とが並んでいる。つまり、
図5では、複数の測定エリア201~204が格子状に並んでいる。
【0049】
複数の測定エリア201~204の各々の中央には、対象物20が配置されている。つまり、本実施形態では、複数の対象物20が特定空間200に設置されている。対象物20は、生成部23とセンサ24との少なくとも一方である。本実施形態では、対象物20は、生成部23とセンサ24との両方である。また、複数の測定エリア201~204の各々は、複数(
図5では5個)の測定点を有する。測定エリア201は、測定エリア201の中央に位置する測定点P11と、測定エリア201の四隅に位置する4個の測定点P12~P15と、を有する。測定点P11は、測定エリア201に設置された対象物20の中心点と一致する。測定エリア202は、測定エリア202の中央に位置する測定点P21と、測定エリア202の四隅に位置する4個の測定点P22~P25と、を有する。測定点P21は、測定エリア202に設置された対象物20の中心点と一致する。測定エリア203は、測定エリア203の中央に位置する測定点P31と、測定エリア203の四隅に位置する4個の測定点P32~P35と、を有する。測定点P31は、測定エリア203に設置された対象物20の中心点と一致する。測定エリア204は、測定エリア204の中央に位置する測定点P41と、測定エリア204の四隅に位置する4個の測定点P42~P45と、を有する。測定点P41は、測定エリア204に設置された対象物20の中心点と一致する。
【0050】
(4)測定順序
次に、複数の測定エリア201~204の複数の測定点P11~P15、P21~P25、P31~P35、P41~P45に対して測定を行う場合の順序について、
図5を参照して説明する。複数の測定点P11~P15、P21~P25、P31~P35、P41~P45に対して測定を行う場合、
図5に示すように、効率を考慮した順序で測定を行うことが好ましい。言い換えると、測定部13は、複数の測定エリア201~204の各々における複数の測定点P11~P15、P21~P25、P31~P35、P41~P45に対して特定の順序で測定を行うことが好ましい。具体的には、複数の測定エリア201~204の複数の測定点P11~P15、P21~P25、P31~P35、P41~P45に対して測定を行う順序は、
図5に示すように、一筆書きとなるような順序であることが好ましい。
【0051】
まず、移動体(移動測定システム)1は、初期位置から測定エリア202の測定点P23に移動し(矢印A1参照)、測定点P23で測定を行った後、測定エリア202の測定点P22に移動する(矢印A2参照)。移動体1は、測定エリア202の測定点P22で測定を行った後、測定エリア201の測定点P13に移動する(矢印A3参照)。移動体1は、測定エリア201の測定点P13で測定を行った後、測定エリア201の測定点P12に移動する(矢印A4参照)。移動体1は、測定エリア201の測定点P12で測定を行った後、測定エリア201の測定点P11に移動する(矢印A5参照)。移動体1は、測定エリア201の測定点P11で測定を行った後、測定エリア202の測定点P21に移動する(矢印A6参照)。移動体1は、測定エリア202の測定点P21で測定を行った後、測定エリア202の測定点P25に移動する(矢印A7参照)。移動体1は、測定エリア202の測定点P25で測定を行った後、測定エリア202の測定点P24に移動する(矢印A8参照)。移動体1は、測定エリア202の測定点P24で測定を行った後、測定エリア201の測定点P15に移動する(矢印A9参照)。移動体1は、測定エリア201の測定点P15で測定を行った後、測定エリア201の測定点P14に移動する(矢印A10参照)。
【0052】
続けて、移動体1は、測定エリア201の測定点P14で測定を行った後、測定エリア203の測定点P32に移動する(矢印A11参照)。移動体1は、測定エリア203の測定点P32で測定を行った後、測定エリア203の測定点P33に移動する(矢印A12参照)。移動体1は、測定エリア203の測定点P33で測定を行った後、測定エリア204の測定点P42に移動する(矢印A13参照)。移動体1は、測定エリア204の測定点P42で測定を行った後、測定エリア204の測定点P43に移動する(矢印A14参照)。移動体1は、測定エリア204の測定点P43で測定を行った後、測定エリア204の測定点P41に移動する(矢印A15参照)。移動体1は、測定エリア204の測定点P41で測定を行った後、測定エリア203の測定点P31に移動する(矢印A16参照)。移動体1は、測定エリア203の測定点P31で測定を行った後、測定エリア203の測定点P34に移動する(矢印A17参照)。移動体1は、測定エリア203の測定点P34で測定を行った後、測定エリア203の測定点P35に移動する(矢印A18参照)。移動体1は、測定エリア203の測定点P35で測定を行った後、測定エリア204の測定点P44に移動する(矢印A19参照)。移動体1は、測定エリア204の測定点P44で測定を行った後、測定エリア204の測定点P45に移動し(矢印A20参照)、測定点P45で測定を行う。
【0053】
そして、測定部13は、複数の測定エリア201~204の各々における複数の測定点P11~P15、P21~P25、P31~P35、P41~P45において測定した測定結果に基づいて、複数の測定エリア201~204の各々について測定値を生成する。この場合において、例えば、測定エリア201については、複数の測定点P11~P15の測定結果の代表値を測定エリア201の測定値とすることが好ましい。言い換えると、測定部13は、1つの測定エリア201内の複数の測定点P11~P15で測定を行い、複数の測定点P11~P15の測定結果の代表値を測定値とすることが好ましい。
【0054】
この場合において、代表値は、複数の測定点P11~P15の測定結果のうちの最小値であってもよいし、複数の測定点P11~P15の測定結果の平均値であってもよい。さらに、代表値は、複数の測定点P11~P15の測定結果の最頻値であってもよいし、複数の測定点P11~P15の測定結果の中央値であってもよい。このように、複数の測定点P11~P15の測定結果の代表値を測定エリア201の測定値とすることによって、例えば1つの測定点P12の測定結果を測定値とする場合に比べて、測定精度を向上させることができる。また、測定エリア202~204についても、複数の測定点P21~P25、P31~P35、P41~P45の測定結果の代表値を測定エリア202~204の測定値とすることが好ましい。
【0055】
このように、複数の測定エリア201~204の複数の測定点P11~P15、P21~P25、P31~P35、P41~P45に対して一筆書きとなるような順序で測定を行うことで、複数の測定エリア201~204に対して効率よく測定を行うことができる。なお、上述の順序は一例であり、一筆書きとなるような順序であれば別の順序であってもよい。
【0056】
(5)動作
以下、本実施形態に係る移動測定システム1の動作について、
図6~
図9を参照して説明する。
【0057】
(5.1)動作例1
まず、移動測定システム1の動作例1について、
図6を参照して説明する。動作例1では、対象物20は生成部23であり、生成部23が生成する光の照度を測定部13が測定する場合を例示する。また、動作例1では、移動測定システム1の目的地が測定エリア201の測定点P11である場合を例示する。
【0058】
移動測定システム(移動体)1は、制御部11からの指令に従って移動部16が移動することによって、測定エリア201の測定点P11(目的地)に向けて移動する(ステップS11)。制御部11は、移動測定システム1が測定エリア201の測定点P11に到着したか否かを判定する(ステップS12)。このとき、制御部11は、位置検出部14により取得した自己位置データD1と、記憶部19から読み出した地図データD2及び測定位置データD5と、を用いて、測定点P11に到着したか否かを判定する。つまり、制御部11は、位置検出部14から取得する移動部16の位置情報と、特定空間200の位置情報と、を用いて、特定空間200における移動部16の位置を把握する。
【0059】
制御部11は、移動測定システム1が測定点P11に到着していない場合には(ステップS12:No)、ステップS11の処理、つまり目的地である測定点P11への移動を継続して行う。制御部11は、移動測定システム1が測定点P11に到着している場合には(ステップS12:Yes)、測定部13に測定を開始させる(ステップS13)。このとき、制御部11は、測定部13の測定面の高さが測定高さデータD7と一致し、かつ測定部13の測定面の角度が測定角度データD8と一致するように、高さ用アクチュエータ17及び角度用アクチュエータ18をそれぞれ制御する。測定部13は、制御部11からの指令に従って測定を開始し、測定値を制御部11に出力する。この場合、測定部13は、測定点P11において、1つの測定高さで測定値を測定してもよいし、互いに異なる複数の測定高さで複数の測定値を測定してもよい。そして、複数の測定高さで複数の測定値を測定する場合には、複数の測定値の代表値を測定点P11の測定値とすることが好ましい。
【0060】
制御部11は、測定部13から取得した測定値と、記憶部19から読み出した設定値と、を比較する(ステップS14)。制御部11は、両者が一致している場合には(ステップS14:Yes)、処理を終了する。制御部11は、両者が異なっている場合には(ステップS14:No)、生成部23に対する制御情報と生成部23の識別情報とを含む対応情報を作成し、作成した対応情報を出力15から出力する(ステップS15)。出力部15から出力された対応情報は、通信部12を介して、測定エリア201に対応付けられた対象物20を含む環境生成システム2に向けて送信される。ここで、制御情報は、生成部23が生成する光の照度が設定値と等しくなるように生成部23の出力を制御するための情報である。
【0061】
環境生成システム2では、移動測定システム1からの対応情報を通信部22が受信すると、制御部21は、この対応情報に含まれる識別情報が自己に対応付けられた生成部23の識別情報と一致していれば、対応情報に含まれる制御情報に従って生成部23の出力を制御する。また、制御部21は、対応情報に含まれる識別情報が自己に対応付けられた生成部23の識別情報と一致していなければ、対応情報を破棄する。これにより、生成部23が生成する光の照度を設定値に調整することができる。
【0062】
動作例1では、移動測定システム1は、測定部13の測定値に基づいて環境生成システム2の生成部23の動作を制御している。そのため、例えば、施工業者等が、生成部23の照度を測定し、測定値に基づいて生成部23の出力を調整する場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
【0063】
ところで、動作例1では、対象物20が生成部23であるが、対象物20はセンサ24であってもよい。この場合、出力情報は、センサ24の状態を調整するための調整情報であり、例えば、センサ24の感度を調整するための情報である。
【0064】
移動測定システム1の制御部11は、例えば、環境生成システム2を設置してからの経過時間に基づいて調整情報を作成する。具体的には、制御部11は、上記経過時間が予め設定した基準時間以上となっている場合に、センサ24の感度を上げるための調整情報を作成し、この調整情報とセンサ24の識別情報とを含む対応情報を出力部15から出力する。出力部15から出力された対応情報は、通信部12を介して、測定エリア201に対応付けられたセンサ24を含む環境生成システム2に向けて送信される。
【0065】
環境生成システム2では、移動測定システム1からの対応情報を通信部22が受信すると、制御部21は、この対応情報に含まれる識別情報が自己に対応付けられたセンサ24の識別情報と一致していれば、対応情報に含まれる調整情報に従ってセンサ24の感度を調整する。また、制御部21は、対応情報に含まれる識別情報が自己に対応付けられたセンサ24の識別情報と一致していなければ、対応情報を破棄する。これにより、センサ24の感度を調整することができる。
【0066】
(5.2)動作例2
次に、移動測定システム1の動作例2について、
図7を参照して説明する。動作例2では、測定エリア201に設置されたセンサ24を含む環境生成システム2に対して、センサ24の初期設定データD6を送信する場合を例示する。したがって、動作例2では、センサ24の設置位置が移動測定システム1の目的地である。
【0067】
移動測定システム(移動体)1は、制御部11からの指令に従って移動部16が移動することによって、測定エリア201のセンサ24(目的地)に向けて移動する(ステップS21)。制御部11は、移動測定システム1がセンサ24の設置位置に到達したか否かを判定する(ステップS22)。このとき、制御部11は、位置検出部14により取得した自己位置データD1と、記憶部19から読み出した地図データD2及びセンサ位置データD4と、を用いて、移動測定システム1がセンサ24の設置位置に到達したか否かを判別する。
【0068】
制御部11は、移動測定システム1がセンサ24の設置位置に到着していない場合には(ステップS22:No)、ステップS21の処理、つまりセンサ24の設置位置への移動を継続して行う。制御部11は、移動測定システム1がセンサ24の設置位置に到着している場合には(ステップS22:Yes)、移動を停止し、センサ24の初期設定データD6を通信部12から環境生成システム2に送信させる(ステップS23)。つまり、動作例2に係る移動測定システム1では、通信部12は、移動部16が測定エリア201に到達すると、測定エリア201に対応付けられた対象物20(ここではセンサ24)を含む環境生成システム2に対して測定値以外の情報(ここでは初期設定データD6)を送信する。
【0069】
動作例2では、上述のように、センサ24の初期設定データD6を移動測定システム1から環境生成システム2に送信している。そのため、例えば、施工業者等が初期設定データD6を環境生成システム2に送信する場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
【0070】
ところで、動作例2では、測定値以外の情報が初期設定データD6であるが、測定値以上の情報は初期設定データD6以外の情報であってもよい。また、動作例2では、対象物20がセンサ24であるが、対象物20は生成部23であってもよい。つまり、移動測定システム1は、生成部23に対して初期設定データ等の測定値以外の情報を送信するように構成されていてもよい。
【0071】
(5.3)動作例3
次に、移動測定システム1の動作例3について、
図8を参照して説明する。動作例3では、対象物20は生成部23であり、測定部13の測定結果に基づいて生成部23の動作をリアルタイムに制御する場合を例示する。また、動作例3では、移動測定システム1の目的地は測定エリア201であり、測定エリア201の測定値に基づいて測定エリア201に設置された生成部23の動作を制御する場合を例示する。
【0072】
移動測定システム(移動体)1は、制御部11からの指令に従って移動部16が移動することによって、測定エリア201(目的地)に向けて移動する(ステップS31)。制御部11は、移動測定システム1が測定エリア201に到着したか否かを判定する(ステップS32)。このとき、制御部11は、位置検出部14により取得した自己位置データD1と、記憶部19から読み出した地図データD2と、を用いて、測定エリア201に到着したか否かを判定する。
【0073】
制御部11は、測定エリア201に到着していない場合には(ステップS32:No)、ステップS31の処理、つまり測定エリア201への移動を継続して行う。制御部11は、測定エリア201に到着している場合には(ステップS32:Yes)、測定部13に測定を開始させる(ステップS33)。このとき、制御部11は、測定部13の測定面の高さが測定高さデータD7と一致し、かつ測定部13の測定面の角度が測定角度データD8と一致するように、高さ用アクチュエータ17及び角度用アクチュエータ18をそれぞれ制御する。測定部13は、制御部11からの指令に従って測定を開始し、測定値を制御部11に出力する。この場合において、制御部11は、測定エリア201に含まれる複数の測定点P11~P15のうち少なくとも1つにおいて測定部13に測定を行わせればよい。
【0074】
制御部11は、測定部13から取得した測定値と、記憶部19から読み出した設定値と、を比較する(ステップS34)。制御部11は、両者が一致している場合には(ステップS34:Yes)、処理を終了する。制御部11は、両者が異なっている場合には(ステップS34:No)、生成部23に対する制御情報を含む対応情報を作成し、作成した対応情報を出力部15及び通信部12を介して環境生成システム2に送信する(ステップS35)。
【0075】
環境生成システム2では、移動測定システム1からの対応情報を通信部22が受信すると、制御部21は、対応情報に含まれる制御情報に従って生成部23の出力を制御する。これにより、生成部23が生成する光の照度をリアルタイムに設定値に調整することができる。
【0076】
つまり、動作例3では、制御部11は、複数の測定エリア201~204のうち測定部13が測定を行っている測定エリア201である対象エリア210について測定が終了すると、対象エリア210に対応付けられた対象物20(生成部23)の動作を制御する制御情報を出力情報として生成する。また、動作例3では、通信部12は、対象エリア210について測定が終了すると、対象エリア210に対応付けられた対象物20(生成部23)の動作を制御するための制御情報を出力情報として環境生成システム2に送信する。動作例3では、測定エリア201が対象エリア210である。
【0077】
動作例3では、上述のように、対象エリア210(測定エリア201)について測定値の測定が終了すると、対象エリア210に対応付けられた対象物20(生成部23)の動作を制御している。そのため、対象物20の動作をリアルタイムに制御することができる。
【0078】
ところで、動作例3では、対象物20が生成部23であるが、対象物20はセンサ24であってもよい。この場合、制御部11は、測定部13による測定が終了した後に、測定部13の測定値と設定値とが異なっていれば、センサ24の感度を調整するための調整情報を含む対応情報を作成し、この対応情報を環境生成システム2に送信すればよい。これにより、センサ24の感度をリアルタイムに調整することができる。
【0079】
(5.4)動作例4
次に、移動測定システム1の動作例4について、
図9を参照して説明する。動作例4では、対象物20は生成部23であり、複数の測定エリア201~204について測定値の測定を行った後に、複数の生成部23の動作をまとめて制御する場合を例示する。また、動作例4では、測定エリア201、測定エリア202、測定エリア203、測定エリア204の順に測定を行う場合を例示する。
【0080】
移動測定システム(移動体)1は、制御部11からの指令に従って移動部16が移動することによって、測定エリア201(目的地)に向けて移動する(ステップS41)。制御部11は、移動測定システム1が測定エリア201に到着したか否かを判定する(ステップS42)。このとき、制御部11は、位置検出部14により取得した自己位置データD1と、記憶部19から読み出した地図データD2と、を用いて、測定エリア201に到着したか否かを判定する。
【0081】
制御部11は、測定エリア201に到着していない場合には(ステップS42:No)、ステップS41の処理、つまり測定エリア201への移動を継続して行う。制御部11は、測定エリア201に到着している場合には(ステップS42:Yes)、測定部13に測定を開始させる(ステップS43)。このとき、制御部11は、測定部13の測定面の高さが測定高さデータD7と一致し、かつ測定部13の測定面の角度が測定角度データD8と一致するように、高さ用アクチュエータ17及び角度用アクチュエータ18をそれぞれ制御する。測定部13は、制御部11からの指令に従って測定を開始し、測定値を制御部11に出力する。この場合において、制御部11は、測定エリア201に含まれる複数の測定点P11~P15のうち少なくとも1つにおいて測定部13に測定を行わせればよい。
【0082】
制御部11は、すべての測定エリア201~204について測定値の測定が終了したか否かを判定する(ステップS44)。制御部11は、すべての測定エリア201~204について測定値の測定が終了していない場合には(ステップS44:No)、ステップS41~S43の処理を繰り返し行う。例えば、測定エリア201についてのみ測定値の測定が終了していれば、測定エリア202、203、204の順に移動及び測定を繰り返し行う。制御部11は、すべての測定エリア201~204について測定値の測定が終了している場合には(ステップS44:Yes)、各測定エリア201~204の測定値と設定値とを比較する(ステップS45)。この場合において、設定値は、測定エリア201~204ごとに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0083】
制御部11は、すべての測定エリア201~204について測定値と設定値との比較が終了したか否かを判定する(ステップS46)。制御部11は、すべての測定エリア201~204について測定値と設定値との比較が終了していない場合には(ステップS46:No)、ステップS45の処理を繰り返し行う。制御部11は、すべての測定エリア201~204について測定値と設定値との比較が終了している場合には(ステップS46:Yes)、測定エリア201~204のうち測定値と設定値とが異なっている測定エリアについて対応情報を作成する。そして、制御部11は、作成した対応情報を出力部15から出力する。出力部15から出力された対応情報は、通信部12を介して、上記測定エリアに対応付けられた対象物20を含む環境生成システム2に向けて送信される(ステップS47)。
【0084】
動作例4では、上述のように、複数の測定エリア201~204について測定値の測定が終了した後に、複数の測定エリア201~204にそれぞれ対応付けられた複数の対象物20(生成部23)の動作を制御している。そのため、複数の対象物20の動作をまとめて制御することができる。
【0085】
(6)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、移動測定システム1と同様の機能は、移動測定方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0086】
一態様に係る移動測定方法は、対象物20が設置された特定空間200内を移動する移動測定システム1に用いられる移動測定方法である。対象物20は、特定空間200の環境を生成する環境生成システム2の生成部23及びセンサ24の少なくとも一方からなる。移動測定方法は、移動ステップと、測定ステップと、出力ステップと、を含む。移動ステップは、特定空間200における対象物20に対応付けられた測定エリア201~204に移動するステップである。測定ステップは、測定エリア201~204における環境に関する測定値を測定するステップである。出力ステップは、測定値に基づく出力情報と対象物20とを対応付けた対応情報を出力するステップである。一態様に係るプログラムは、上述の移動測定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0087】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0088】
本開示における移動測定システム1及び環境生成システム2は、例えば、制御部11及び制御部21に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における移動測定システム1及び環境生成システム2としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0089】
また、移動測定システム1の複数の構成要素が、1つの筐体内に集約されていることは移動測定システム1に必須の構成ではなく、移動測定システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、移動測定システム1の少なくとも一部の機能(例えば、制御部11)がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0090】
また、環境生成システム2の複数の構成要素が、1つの筐体内に集約されていることは環境生成システム2に必須の構成ではなく、環境生成システム2の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、環境生成システム2の少なくとも一部の機能(例えば、制御部21)がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0091】
上述の実施形態では、位置検出部14がLiDARであるが、位置検出部14はLiDARに限定されない。位置検出部14は、例えば、移動部16を構成するモータの回転数から移動部16の位置を検出してもよい。また、位置検出部14は、例えば、移動測定システム1がカメラを備えている場合には、カメラからの映像に基づいて移動部16の位置を検出してもよい。さらに、位置検出部14は、例えば、加速度センサ、又はジャイロセンサ等からなり、加速度情報、又は角速度情報に基づいて移動部16の位置を検出してもよい。
【0092】
上述の実施形態では、測定エリア201~204の各々の形状が正方形状であるが、測定エリア201~204の各々の形状は正方形状に限らず、例えば、円形であってもよいし、三角形状であってもよい。また、測定エリア201~204の各々の大きさは異なっていてもよい。例えば、測定エリア201,202の各々の形状が正方形状で、測定エリア201の大きさと測定エリア202の大きさとが異なっていてもよい。
【0093】
上述の実施形態では、特定空間200に含まれる測定エリアが4個であるが、測定エリアの個数は4個に限らず、例えば、1個、2個、3個、又は5個以上であってもよい。測定エリアが1個の場合には、この測定エリアに1つの環境生成システム2が設けられていてもよいし、2つ以上の環境生成システム2が設けられていてもよい。
【0094】
上述の実施形態では、各測定エリア201~204は5個の測定点を有しているが、各測定エリア201~204は少なくとも1個の測定点を有していればよい。また、上述の実施形態では、各測定エリア201~204の測定点の個数が同じであるが、測定エリア201~204ごとに測定点の個数が異なっていてもよい。
【0095】
上述の実施形態では、測定部13は、生成部23が生成する光の照度を測定しているが、測定部13は、例えば、生成部23が生成する光の色温度を測定してもよい。
【0096】
上述の実施形態では、センサ24が焦電型の赤外線センサであるが、センサ24は焦電型の赤外線センサに限らず、例えば、超音波センサであってもよいし、可視光センサであってもよい。さらに、センサ24は画像センサであってもよい。
【0097】
上述の実施形態では、生成部23が照明器具であるが、生成部23は照明器具に限らず、特定空間200の環境を生成するものであればよい。生成部23は、例えば、エアコン、ヒータ等であってもよい。これらの場合、測定部13は、例えば、各測定エリア201~204における温度、湿度、及び風量の少なくとも1つを測定値として測定すればよい。さらに、生成部23は、例えば、空気清浄器、換気扇等であってもよい。これらの場合、測定部13は、例えば、各測定エリア201~204における空気質を測定値として測定すればよい。そして、制御部11は、例えば、空気質指数(AQI:Air Quality Index)に基づいて、各測定エリア201~204における空気の汚れ具合を判定してもよい。
【0098】
上述の実施形態では、各測定エリア201~204に1つの環境生成システム2が設けられているが、各測定エリア201~204に2つ以上の環境生成システム2が設けられていてもよい。また、各測定エリア201~204に設けられている環境生成システム2の個数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0099】
上述の実施形態では、移動測定システム1の通信部12と環境生成システム2の通信部22とが赤外線通信を行っているが、通信部12と通信部22とは、例えば、電波による無線通信を行ってもよい。この場合、通信部12と通信部22とは、例えば、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等に準拠した無線通信を行うように構成されていればよい。
【0100】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る移動測定システム(1)は、対象物(20)が設置された特定空間(200)内を移動する移動測定システム(1)である。対象物(20)は、特定空間(200)の環境を生成する環境生成システム(2)の生成部(23)及びセンサ(24)の少なくとも一方からなる。移動測定システム(1)は、移動部(16)と、測定部(13)と、出力部(15)と、を備える。移動部(16)は、特定空間(200)における対象物(20)に対応付けられた測定エリア(201~204)に移動する。測定部(13)は、測定エリア(201~204)における環境に関する測定値を測定する。出力部(15)は、測定値に基づく出力情報と対象物(20)とを対応付けた対応情報を出力する。
【0101】
この態様によれば、測定値に基づく情報を対象物(20)に対応付けて出力するので、作業効率を向上させることができる。
【0102】
第2の態様に係る移動測定システム(1)では、第1の態様において、複数の対象物(20)が特定空間(200)に設置されている。
【0103】
この態様によれば、複数の対象物(20)の各々について、測定値に基づく情報を対象物(20)に対応付けて出力するので、作業効率を更に向上させることができる。
【0104】
第3の態様に係る移動測定システム(1)では、第1又は2の態様において、出力情報は、環境生成システム(2)を管理するための管理情報を含む。
【0105】
この態様によれば、管理情報によって環境生成システム(2)を管理することができる。
【0106】
第4の態様に係る移動測定システム(1)では、第3の態様において、管理情報は、センサ(24)の状態を調整するための調整情報を含む。
【0107】
この態様によれば、調整情報によってセンサ(24)の状態を調整することができる。
【0108】
第5の態様に係る移動測定システム(1)では、第3の態様において、管理情報は、生成部(23)の動作を制御するための制御情報を含む。
【0109】
この態様によれば、制御情報によって生成部(23)の動作を制御することができる。
【0110】
第6の態様に係る移動測定システム(1)では、第1~5のいずれかの態様において、生成部(23)は、特定空間(200)に対して光を生成する照明器具である。
【0111】
この態様によれば、特定空間(200)の照明を制御することができる。
【0112】
第7の態様に係る移動測定システム(1)は、第1~6のいずれかの態様において、移動部(16)の位置を検出する位置検出部(14)と、移動部(16)の動作を制御する制御部(11)と、を更に備える。制御部(11)は、位置検出部(14)から取得する移動部(16)の位置情報と、特定空間(200)の位置情報と、を用いて、特定空間(200)における移動部(16)の位置を把握する。
【0113】
この態様によれば、特定空間(200)における移動部(16)の位置を把握することができる。
【0114】
第8の態様に係る移動測定システム(1)は、第1~7のいずれかの態様において、測定部(13)の高さを変更可能な高さ用アクチュエータ(17)を更に備える。
【0115】
この態様によれば、測定部(13)の高さを変更することができる。
【0116】
第9の態様に係る移動測定システム(1)は、第1~8のいずれかの態様において、測定部(13)の角度を変更可能な角度用アクチュエータ(18)を更に備える。
【0117】
この態様によれば、測定部(13)の角度を変更することができる。
【0118】
第10の態様に係る移動測定システム(1)では、第1~9のいずれかの態様において、測定部(13)は、1つの測定エリア(201)内の複数の測定点(P11~P15)で測定を行い、複数の測定点(P11~P15)での測定結果の代表値を測定値とする。
【0119】
この態様によれば、1つの測定エリア(201)内の1つの測定点(P12)での測定結果を測定値とする場合に比べて、測定精度を向上させることができる。
【0120】
第11の態様に係る移動測定システム(1)では、第10の態様において、特定空間(200)は、複数の測定エリア(201~204)を有する。測定部(13)は、複数の測定エリア(201~204)の各々における複数の測定点(P11~P15,P21~P25,P31~P35,P41~P45)に対して特定の順序で測定を行う。測定部(13)は、複数の測定エリア(201~204)の各々について測定値を測定する。
【0121】
この態様によれば、複数の測定エリア(201~204)の各々における複数の測定点(P11~P15,P21~P25,P31~P35,P41~P45)に対して、例えば一筆書きとなるような順序で測定を行うことによって、複数の測定エリア(201~204)に対して効率よく測定することができる。
【0122】
第12の態様に係る移動測定システム(1)は、第1~11のいずれかの態様において、対象物(20)の動作を制御する制御部(11)を更に備える。特定空間(200)は、複数の測定エリア(201~204)を有する。制御部(11)は、測定部(13)が複数の測定エリア(201~204)について測定値を測定した後に、複数の測定エリア(201~204)にそれぞれ対応付けられた複数の対象物(20)の動作を制御する制御情報を出力情報として生成する。
【0123】
この態様によれば、複数の対象物(20)の動作をまとめて制御することができる。
【0124】
第13の態様に係る移動測定システム(1)は、第1~11のいずれかの態様において、対象物(20)の動作を制御する制御部(11)を更に備える。特定空間(200)は、複数の測定エリア(201~204)を有する。制御部(11)は、複数の測定エリア(201~204)のうち測定部(13)が測定を行っている測定エリア(201)である対象エリア(210)について測定が終了すると、対象エリア(210)に対応付けられた対象物(20)の動作を制御する制御情報を出力情報として生成する。
【0125】
この態様によれば、対象物(20)をリアルタイムに制御することができる。
【0126】
第14の態様に係る移動測定システム(1)は、第13の態様において、環境生成システム(2)との間で通信を行う通信部(12)を更に備える。通信部(12)は、対象エリア(210)について測定が終了すると、対象エリア(210)に対応付けられた対象物(20)の動作を制御するための制御情報を出力情報として環境生成システム(2)に送信する。
【0127】
この態様によれば、対象物(20)をリアルタイムに制御することができる。
【0128】
第15の態様に係る移動測定システム(1)は、第1~14のいずれかの態様において、環境生成システム(2)との間で通信を行う通信部(12)を更に備える。通信部(12)は、移動部(16)が測定エリア(201~204)に到達すると、測定エリア(201~204)に対応付けられた対象物(20)を含む環境生成システム(2)に対して測定値以外の情報を送信する。
【0129】
この態様によれば、測定値以外の情報についても環境生成システム(2)に送信することができる。
【0130】
第16の態様に係る環境システム(10)は、第1~15のいずれかの態様に係る移動測定システム(1)と、環境生成システム(2)と、を備える。
【0131】
この態様によれば、測定値に基づく情報を対象物(20)に対応付けて出力するので、作業効率を向上させることができる。
【0132】
第17の態様に係る移動測定方法は、対象物(20)が設置された特定空間(200)内を移動する移動測定システム(1)に用いられる移動測定方法である。対象物(20)は、特定空間(200)の環境を生成する環境生成システム(2)の生成部(23)及びセンサ(24)の少なくとも一方からなる。移動測定方法は、移動ステップと、測定ステップと、出力ステップと、を含む。移動ステップは、特定空間(200)における対象物(20)に対応付けられた測定エリア(201~204)に移動するステップである。測定ステップは、測定エリア(201~204)における環境に関する測定値を測定するステップである。出力ステップは、測定値に基づく出力情報と対象物(20)とを対応付けた対応情報を出力するステップである。
【0133】
この態様によれば、測定値に基づく情報を対象物(20)に対応付けて出力するので、作業効率を向上させることができる。
【0134】
第18の態様に係るプログラムは、第17の態様に係る移動測定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0135】
この態様によれば、測定値に基づく情報を対象物(20)に対応付けて出力するので、作業効率を向上させることができる。
【0136】
第2~15の態様に係る構成については、移動測定システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 移動測定システム
2 環境生成システム
10 環境システム
11 制御部
12 通信部
13 測定部
14 位置検出部
15 出力部
16 移動部
17 高さ用アクチュエータ
18 角度用アクチュエータ
20 対象物
23 生成部
24 センサ
200 特定空間
201~204 測定エリア
210 対象エリア
P11~P15,P21~P25,P31~P35,P41~P45 測定点