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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20240216BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240216BHJP
   F21S 8/00 20060101ALI20240216BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20240216BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240216BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240216BHJP
【FI】
F21V19/00 510
F21S2/00 230
F21S8/00 100
F21S9/02 110
F21S9/02 200
F21Y103:10
F21Y115:10 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019168895
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021048022
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高島 淳
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭平
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕也
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125419(JP,A)
【文献】国際公開第2010/095710(WO,A1)
【文献】特開2020-191216(JP,A)
【文献】特開2017-004733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21S 2/00
F21S 8/00
F21S 9/02
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器類が設置される第1フレームと、前記第1フレームに対して着脱自在に連結される第2フレームとを含む長尺の器具本体と、
前記第1フレームに対して移動自在に装着される長尺の照明ユニットと、を備え、
前記第1フレームから前記第2フレームが取り外された状態で、前記第1フレームと前記照明ユニットとの間には、前記機器類の少なくとも一部に対して外部から接触可能な開口が形成され、
前記開口の開口幅は、前記第1フレームに対する前記照明ユニットの移動に伴って、変更自在であり、
前記第1フレームに前記第2フレームが連結された状態において、前記第1フレームに対する前記照明ユニットの移動は拘束される
照明器具。
【請求項2】
前記機器類は、
前記器具本体に装着される非常用光源ユニットと、
前記器具本体に着脱自在に装着され、前記非常用光源ユニットに電力を供給する非常用電源と、を含み、
前記非常用電源は、前記開口幅が広げられたときの前記開口を通じて、着脱自在である
請求項1の照明器具。
【請求項3】
前記照明ユニットは、前記第1フレームに対してスライド移動と回転移動の両方又は一方を行うことで、前記第1フレームに対して移動自在である
請求項1又は2の照明器具。
【請求項4】
前記照明ユニットは、前記第1フレームに装着されるための軸部を有し、
前記第1フレームは、前記軸部がスライド自在に挿し込まれる溝部を有し、
前記照明ユニットは、前記軸部が前記溝部内でスライド移動することによって、前記第1フレームに対して移動自在である
請求項1から3のいずれか一項の照明器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、詳しくは、長尺の器具本体とこれに装着される長尺の照明ユニットとを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の器具本体とこれに装着される長尺の照明ユニットとを備えた照明器具が、階段灯等の用途に用いられている(特許文献1等参照)。照明器具が備える長尺の器具本体には、各種の機器類が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-93122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した照明器具においては、器具全体の一層のスリム化が求められている。しかし、一般的に器具全体のスリム化が進むと、その分だけ、器具本体に収容されている機器類の接続作業や交換作業は行いにくくなる。
【0005】
本開示は、器具全体がスリムに構成されていても、器具本体に収容されている機器類の接続作業や交換作業を簡単に行うことができる照明器具を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明器具は、長尺の器具本体と、長尺の照明ユニットとを備える。前記器具本体は、機器類が設置される第1フレームと、前記第1フレームに対して着脱自在に連結される第2フレームとを含む。前記照明ユニットは、前記第1フレームに対して移動自在に装着される。
【0007】
前記第1フレームから前記第2フレームが取り外された状態で、前記第1フレームと前記照明ユニットとの間には、前記機器類の少なくとも一部に対して外部から接触可能な開口が形成される。前記開口の開口幅は、前記第1フレームに対する前記照明ユニットの移動に伴って、変更自在である。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、器具本体に収容されている機器類の接続作業や交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、一実施形態の照明器具の正面図であり、図1Bは、同上の照明器具の下面図であり、図1Cは、同上の照明器具の左側面図である。
図2図2は、同上の照明器具の分解斜視図である。
図3図3は、同上の照明器具の別の分解斜視図である。
図4図4は、同上の照明器具が備える光源ユニットの正面図である。
図5図5は、同上の照明ユニットの上面図である。
図6図6は、同上の照明ユニットの下面図である。
図7図7は、同上の照明ユニットの背面図である。
図8図8は、同上の照明ユニットの要部を拡大して示す正面図である。
図9図9は、同上の照明器具が備えるカバーエンドの斜視図である。
図10図10は、同上の照明器具が備える非常用光源ユニットの分解斜視図である。
図11図11は、同上の非常用光源ユニットの下面図である。
図12図12は、同上の非常用光源ユニットの正面図である。
図13図13は、同上の非常用光源ユニットの要部の断面図である。
図14図14は、同上の照明器具の回路構成図である。
図15図15Aは、同上の照明器具において第2フレームが連結されておらずかつ照明ユニットが第1位置にあるときの上面図であり、図15Bは、同上の照明器具において第2フレームが結合されておらずかつ照明ユニットが第1位置にあるときの右側面図である。
図16図16Aは、同上の照明器具において第2フレームが連結されておらずかつ照明ユニットが第2位置にあるときの上面図であり、図16Bは、同上の照明器具において第2フレームが結合されておらずかつ照明ユニットが第2位置にあるときの右側面図である。
図17図17Aは、同上の照明器具において第2フレームが連結されておらずかつ照明ユニットが第3位置にあるときの上面図であり、図17Bは、同上の照明器具において第2フレームが連結されておらずかつ照明ユニットが第3位置にあるときの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(一実施形態)
一実施形態の照明器具について、添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、添付図面はいずれも模式的な図であり、各構成要素の寸法比が必ずしも実際の寸法比を反映するとは限らない。以下の実施形態で説明する構成は一例にすぎず、同様の効果を奏することができる範囲内において、種々の変更が可能である。
【0011】
一実施形態の照明器具(以下、単に「照明器具」と称する。)は、例えば、建物の避難経路となる階段の踊り場の壁に設置される、いわゆる階段通路誘導灯である。ただし、照明器具は階段通路誘導灯に限定される訳ではない。
【0012】
以下の説明では、特に断りのない限り、図2に矢印で示す向きによって照明器具の前後、上下、左右の各方向を規定する。照明器具が壁に設置された状態において、照明器具の上下方向は、鉛直方向である。照明器具の前後方向は、壁の法線方向である。照明器具の左右方向は。壁に正対したときの左右方向である。
【0013】
図1から図3に示すように、照明器具は、器具本体1とこれに装着される照明ユニット9とを備える。照明ユニット9は、常用の照明ユニットであり、カバー2と、常用の光源ユニット3と、センサ装置5とを備える。以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
【0014】
[1.光源ユニット]
光源ユニット3は、二つの第1LEDモジュール30、二つのレンズブロック31、取付板32及び点灯装置33を有する(図2図4から図8参照)。
【0015】
[1-1.第1LEDモジュール]
二つの第1LEDモジュール30はそれぞれ、長尺の長方形状に形成されている基板300と、基板300の表面(前面)に実装されている複数のLED301とを有する。基板300の長手方向の第1端部3001と第2端部3002とには、それぞれ四つのLED301がマトリクス状に並べて実装されている(図8等参照)。基板300のうち第1端部3001と第2端部3002を除いた部分には、残りの複数のLED301が一定の間隔を空けて一列に並ぶように実装されている。
【0016】
[1-2.レンズブロック]
二つのレンズブロック31はそれぞれ、図4から図7に示すように、ベース部310、第1レンズ312、第2レンズ313及び第3レンズ314を有する。ベース部310は、長尺の長方形状に形成されている。第1レンズ312は、ベース部310の長手方向の第1端に設けられている。第2レンズ313は、ベース部310の長手方向の第2端に設けられている。第3レンズ314は、ベース部310の第1端と第2端の間に設けられている。
【0017】
第1レンズ312と第2レンズ313は、非球面平凸レンズである。第3レンズ314は、非球面シリンドリカルレンズである。第3レンズ314は、入射した光を幅方向(つまり上下方向)に広げるような配光特性を有する。第1レンズ312と第2レンズ313は、入射した光を、幅方向に加えて長さ方向(つまり左右方向)に広げるような配光特性を有する。
【0018】
ベース部310、第1レンズ312、第2レンズ313及び第3レンズ314は、ポリカーボネート樹脂等の透光性を有する合成樹脂によって、一体に形成されている。ベース部310の第1端には、円形のねじ挿通孔が複数(具体的には二つ)設けられている。また、ベース部310のうち第1端を除いた部分において、ベース部310の短手方向(つまり上下方向)の両端には、それぞれ長円形のねじ挿通孔3102が複数設けられている(図4及び図8参照)。
【0019】
[1-3.取付板]
取付板32は、二つの第1LEDモジュール30が取り付けられる取付部320と、カバー2が固定される一対の固定片321と、器具本体1に取り付けるための一対の取付片324とを有する(図2図4から図8参照)。
【0020】
取付部320は、長方形の平板状に形成されている。取付部320の長手方向の中央に、四角形状の窓孔322が設けられている。窓孔322は、取付部320をその厚み方向(つまり前後方向)に貫通している。
【0021】
一対の固定片321はそれぞれ、長方形の平板状に形成されている。各固定片321は、取付部320の上端縁と下端縁から一つずつ後方に向かって突出している。各固定片321の長手方向(つまり左右方向)の中央及び両端には、それぞれにねじ孔323が一つずつ設けられている(図5図6参照)。取付部320と一対の固定片321とは、一枚の金属板が打ち抜き加工及び曲げ加工されることによって一体に形成されている。
【0022】
一対の取付片324はそれぞれ、取付部320の長手方向の第1端及び第2端から後方に突出している(図2図5図6参照)。各取付片324は、長方形状の溝3240と、二つのねじ穴3241とを有する(図2参照)。
【0023】
また、各取付片324の後端部分は、上下方向から見てL字状に曲げられている(図5図6参照)。各取付片324のL字状に曲げられた部分の先端(つまり後端)には、ねじ孔が設けられており、このねじ孔に、ねじ325がねじ込まれている。ねじ325の先端は、取付部320の長手方向に沿って取付片324の外側(つまり取付部320の窓孔322から離れる側)に向けて、突出している。このねじ325の先端部が、ピン状の軸部3250を構成している。
【0024】
一対の取付片324はそれぞれ、取付部320と別体に形成されて取付部320にねじ止めされているが、取付部320と一体に形成されても構わない。
【0025】
[1-4.点灯装置]
点灯装置33は、系統電源等の常用電源PS(図14参照)から供給される交流電力を直流電力に電力変換し、この直流電力を第1LEDモジュール30に供給して第1LEDモジュール30を点灯させるように構成されている。点灯装置33には、プリント回路が収容されている。プリント回路は、電力変換を行う電力変換回路、第1LEDモジュール30に供給する直流電流を定電流化する定電流回路等を構成している。
【0026】
[1-5.光源ユニットの組立て]
二つの第1LEDモジュール30及び二つのレンズブロック31はそれぞれ、取付板32の取付部320の前面に取り付けられる。レンズブロック31のベース部310に設けられた複数のねじ挿通孔3102にそれぞれ固定ねじ315が1本ずつ挿通される(図4及び図8参照)。これら複数本の固定ねじ315のそれぞれが、ベース部310に設けられている複数のねじ孔に一本ずつねじ込まれることにより、レンズブロック31が取付部320に固定される。
【0027】
第1LEDモジュール30は、レンズブロック31が取付部320に固定される際に、取付部320とレンズブロック31のベース部310とに挟まれることで、取付部320に取り付けられる(図8参照)。
【0028】
基板300の第1端部3001に実装されている四つのLED301は、前方から見て、レンズブロック31の第1レンズ312と重なる。基板300の第2端部3002に実装されている四つのLED301は、前方から見て、レンズブロック31の第2レンズ313と重なる。さらに、基板300のうち第1端部3001と第2端部3002を除いた部分に実装されている残りの複数のLED301は、前方から見て、レンズブロック31の第3レンズ314と重なる。
【0029】
[2.センサ装置]
センサ装置5は、例えばドップラー効果を利用して移動体の存在を検出す電波式センサである。センサ装置5は、送信アンテナからマイクロ波帯の無変調連続波の電波を送信し、物体に反射した電波を受信アンテナで受信するように構成されている。センサ装置5は、移動体の存在を検出しているときに、後述の制御装置60に検出信号を出力する。
【0030】
センサ装置5は、取付台52を介して光源ユニット3の取付板32に取り付けられる(図5から図7参照)。取付台52は、前面が開放された箱体521と、箱体521の左側面及び右側面から突出する一対の固定突片522とを有する。箱体521の底壁に一対の孔5210が貫通している(図5及び図7参照)。センサ装置5は、後方に突出する一対の引掛片523を備えている。
【0031】
センサ装置5は、一対の引掛片523を取付台52の底壁の一対の孔に一つずつ挿通し、該底壁における孔の縁に引掛片523を引っ掛けることにより、取付台52の底壁に取り付けられる(図5図7参照)。
【0032】
取付台52は、一対の固定突片522を取付板32の取付部320にねじ止めすることで、取付板32に取り付けられる(図7参照)。一対の固定突片522はそれぞれ、取付部320の後面における窓孔322の左右両隣にねじ止めされる。
【0033】
[3.カバー]
カバー2は、カバー本体20と、一対のカバーエンド22とを有する(図2及び図3参照)。
【0034】
カバー本体20は、前壁200、上側壁201及び下側壁202を有し、後面及び左右の両側面が開口した長尺の角樋状に形成されている。前壁200は、左右方向を長手方向とする長尺の長方形状に形成されている。上側壁201は、長尺の長方形状に形成されて、前壁200の長手方向に沿った上端から後方に突出している。下側壁202は、長尺の長方形状に形成されて、前壁200の長手方向に沿った下端から後方に突出している。カバー本体20は、透光性を有する合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂)の成形体で構成されている。
【0035】
カバー本体20の上側壁201の後端と下側壁202の後端には、それぞれ長穴状のねじ挿通穴205が三つずつ設けられている(図2参照)。これらのねじ挿通穴205のそれぞれに、取付ねじ23が一本ずつ挿通される。そして、一対の固定片321のそれぞれに設けられている複数のねじ穴3210に、取付ねじ23が一本ずつねじ込まれることにより、カバー本体20が取付板32に取り付けられる(図3参照)。カバー本体20が取付板32に取り付けられた状態では、カバー本体20の後面が取付板32によって塞がれる。
【0036】
一対のカバーエンド22は、互いに同一の形状及び寸法に形成されている。カバーエンド22は、図9に示すように、カバーエンド本体220、側壁221、第1引掛部222及び第2引掛部223を有する。これらカバーエンド本体220、側壁221、第1引掛部222及び第2引掛部223は、例えば、90%以上の光反射率を有する合成樹脂の成形体として一体に形成されることが好ましい。
【0037】
カバーエンド本体220は、長方形の平板状に形成されている。側壁221は、カバーエンド本体220の二つの長辺(つまり上端と下端)と、一つの短辺(つまり前端)とから、側方に突出している。
【0038】
第1引掛部222は、横片2220と縦片2221とを有する。横片2220と縦片2221は、長手方向の長さが互いに等しい矩形平板状に形成されている。横片2220は、カバーエンド本体220の内底面における中央から、上端及び下端の側壁221と平行になるように突出している。縦片2221は、横片2220の先端から、横片2220の上下両側に突出している。これにより、第1引掛部222は、カバーエンド本体220の長手方向(つまり前後方向)から見て、T字状に形成されている。
【0039】
一対の第2引掛部223はそれぞれ、長尺の台形状に形成されている。一対の第2引掛部223は、第1引掛部222を挟んで互いに対向するように、カバーエンド本体220の内底面から突出している。各第2引掛部223は、カバーエンド本体220の後端から前端に向かって、カバーエンド本体220の内底面からの突出量を徐々に増やすように傾斜した傾斜部2230を有する。各第2引掛部223の傾斜部2230には、半円状に凹んだ第1凹部2231が形成されている。
【0040】
各第2引掛部223において、傾斜部2230の前方には、半円状に凹んだ第2凹部2232が形成されている。第2凹部2232は、第1凹部2231よりも前側に位置している。第2凹部2232と第1凹部2231との間の距離は、例えば10mmで設定されることが好ましい。第2凹部2232は、その後方に位置する第1凹部2231よりも深く凹むように形成されている。さらに、各第2引掛部223の前端部分には、カバーエンド本体220の厚み方向(つまり左右方向)に突出する突部2233が形成されている。
【0041】
これら一対のカバーエンド22は、後述するように器具本体1に着脱可能に取り付けられ、カバー本体20の左右両側面を塞ぐように構成されている(図1C参照)。二つの第1LEDモジュール30から放射される照明光は、カバー本体20を透過して、外部の空間(例えば階段室の踊り場及び階段の空間)に向けて照射される。ただし、二つの第1LEDモジュール30から放射される照明光の一部は、一対のカバーエンド22に反射した後、カバー本体20を通過して空間に照射される。
【0042】
[4.器具本体]
図2に示すように、器具本体1は、長尺である第1フレーム16と、同じく長尺である第2フレーム17とを有する。第2フレーム17は、第1フレーム16に対して着脱可能に結合される。第1フレーム16と第2フレーム17が結合されることによって、前面が開口した長尺箱状の器具本体1が構成される。
【0043】
[4-1.第1フレーム]
第1フレーム16は、背板160、底板161及び一対の支持板162を有する。背板160、底板161及び一対の支持板162は、一枚の金属板が曲げ加工されることで、一体に形成されている。背板160と底板161は、互いに左右方向の長さが等しい長尺の矩形平板状に形成されている。背板160は、底板161の短手方向の一端(つまり後端)から、上方に突出している。
【0044】
背板160のうち底板161から離れた側の端部(つまり上端部)からは、長尺の補強片1610が前方に突出している。補強片1610の長さは、背板160の長さよりも短く設けられている。背板160の上端部において、左側の端部には補強片1610が設けられていない。
【0045】
各支持板162は、矩形平板状に形成されている。各支持板162は、第1溝1621、第2溝1622及び第3溝1623で構成された溝部1620を有する。
【0046】
第1溝1621は、各支持板162の上端から上下方向の中央部に至るまで、直線状に形成されている。第2溝1622は、第1溝1621の下端から後方に延びるように、直線状に形成されている。第3溝1623は、第1溝1621の下端から斜め上前方に延びるように、直線状に形成されている。第1溝1621、第2溝1622及び第3溝1623は、一つながりである。各支持板162における溝部1620の下方には、円形のねじ挿通穴1624が貫通している。
【0047】
背板160には、二つの丸孔1600と、四つの長穴1601が設けられている。二つの丸孔1600には、常用電源PSからの常用電力を供給する電源線と、建物に設置されている自動火災報知設備から自火報連動信号を受信するための信号線が挿通される。
【0048】
四つの長穴1601のうち少なくとも左右両側の二つの長穴1601には、アンカーボルトが挿通される。アンカーボルトは、階段室の踊り場等の壁(例えばコンクリート壁)に埋め込まれる。長穴1601に挿通されたアンカーボルトにナットが締め付けられることで、第1フレーム16が壁に固定される。
【0049】
また、背板160の前面には、固定部材163が取り付けられる。固定部材163は、矩形平板状の第1固定板1631と、第1固定板1631のうち底板161から離れた側の端部(つまり上端部)から前方へ突出する平板状の第2固定板1632とを有する。第1固定板1631は、背板160に固定される。
【0050】
第1フレーム16には、固定部材163等を介して各種の機器類が取り付けられる。具体的には、第1固定板1631の前面の右端に、複数の端子台14,15が取り付けられ、第1固定板1631の前面の左端に、スイッチブロック8が取り付けられる。第2固定板1632の下面には、回路ブロック6が取り付けられる。第1フレーム16の左端には非常用電源7が配置される。これらの機器類(つまり端子台14,15、回路ブロック6、非常用電源7及びスイッチブロック8等)については後述する。
【0051】
底板161の長手方向の中央には、第1窓1611が設けられており、底板161の左端には第2窓1612が設けられている(図1B参照)。第1窓1611と第2窓1612はそれぞれ、自身の長手方向が底板161の長手方向(つまり左右方向)と一致するように長尺の角穴状に形成されている。
【0052】
[4-2.第2フレーム]
図2図3に示すように、第2フレーム17は、天板170と、一対の側板171と、天板170と一対の側板171とに連結する逆U字状の連結板172とを有する。天板170は、長尺の矩形平板状に形成されている。連結板172は、天板170の長手方向に沿った後端から、下向きに突出している。天板170と一対の側板171と連結板172とは、一枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。
【0053】
一対の側板171はそれぞれ、四角形状に形成されている。一対の側板171は、連結板172の長手方向の両端(つまり左端及び右端)から、前方に突出している。各側板171は、縦溝1711、横溝1712、一対の突起1713及びねじ挿通穴1714を有する。縦溝1711は、各側板171の下端から上下方向の中央部に至るまで、直線状に延びている。横溝1712は、各側板171の前端から前後方向の中央部に至るまで、直線状に延びている。
【0054】
一対の突起1713はそれぞれ、半円筒状に形成されている。一対の突起1713は、側板171の外側の側面の中央部分において、上下方向と平行な姿勢で直線上に並ぶように、各側板171と一体に形成されている。ねじ挿通穴1714は、縦溝1711と下側の突起1713との間の位置に、設けられている。
【0055】
[5.非常用光源ユニット]
非常用光源ユニット4は、図10から図13に示すように、二つの第2LEDモジュール40、二つの導光体43、二つの放熱板44、パネル46、ホルダ47、取付枠48を有する。
【0056】
[5-1.第2LEDモジュール]
二つの第2LEDモジュール40はそれぞれ、チップ・オン・ボード型の照明用白色LEDである。二つの第2LEDモジュール40はそれぞれ、ホルダ47に支持される。
【0057】
[5-2.放熱板]
図10に示すように、二つの放熱板44は、熱伝導性の高い金属材料によって、互いに同一の形状及び寸法に形成されている。各放熱板44は、平板状の第1固定片441と、第1固定片441の下端から階段状に突出する第2固定片442とを有する。第1固定片441は、角穴である三つの引掛穴443と、丸孔である三つの位置決め穴444とを有する。
【0058】
[5-3.導光体]
一対の導光体43はそれぞれ、無機ガラス又は合成樹脂材料によって角錐台状に形成されている。各導光体43の斜面(つまり上面)には、複数の溝が各導光体43の軸方向に沿って等間隔に並ぶように形成されることが好ましい。
【0059】
[5-4.パネル]
パネル46は、透光性を有する不燃材料、例えば石英ガラス又はケイ酸塩ガラス等の無機ガラスによって、長方形の平板状に形成されている。パネル46の下面の周縁にはシール部材460が密着される。
【0060】
[5-5 ホルダ]
ホルダ47は、二つのLED支持部470、導光体支持部471及びパネル収容部472を有する。
【0061】
二つのLED支持部470はそれぞれ、第2LEDモジュール40を一つずつ支持するように構成されている。各LED支持部470は、第2LEDモジュール40を収容する凹所4700を備えている(図10参照)。凹所4700の底面には、第2LEDモジュール40から放射される照明光を通過させるための開口部4704が貫通している。
【0062】
さらに、各LED支持部470の凹所4700には、直方体状のたわみ片4705が形成されている。たわみ片4705は、その長手方向の一端部(つまり後端部)において、LED支持部470に片持ち支持されている。たわみ片4705の先端部(つまり前端部)は、開口部4704内において、LED支持部470の厚み方向(つまり左右方向)に沿って変位可能である。
【0063】
各LED支持部470に支持される第2LEDモジュール40と第1固定片441との間には、熱伝導シート400が挟み込まれる。つまり、第2LEDモジュール40は、熱伝導シート400を介して放熱板44と熱的に結合される。
【0064】
導光体支持部471は、二つの収容凹部4710と、橋架部4711とを有する。二つの収容凹部4710は、直線状に並ぶように形成されている。橋架部4711は、二つの収容凹部4710のそれぞれの端部において、各収容凹部4710を跨いで位置する。パネル収容部472は、二つの収容凹部4710を囲むように矩形の枠状に形成されている。
【0065】
導光体43は、LED支持部470の開口部4704を通じて、収容凹部4710内に挿入される。LED支持部470のたわみ片4705は、導光体43が収容凹部4710に挿入される過程において、導光体43の斜面の後端部に設けられた爪部430(図13参照)に押されて、たわむ。そして、導光体43の挿入が完了すると、たわみ片4705の先端が導光体43の爪部430を乗り越えて元の状態(つまり、たわんでいない状態)に復帰する。その結果、導光体43は、たわみ片4705の先端部が爪部430に引っ掛かることによって、収容凹部4710に収容された状態で導光体支持部471に支持される。
【0066】
[5-6 取付枠]
取付枠48は、枠体480、二つの第1固定板481、第2固定板482及び二つの補強板483を有する。枠体480、第1固定板481、第2固定板482及び二つの補強板483は、一枚の金属板によって一体に形成されている。枠体480は、中央部に窓4800を有する長尺の矩形枠状に形成されている。
【0067】
枠体480の短手方向の両端からは、補強板483が一つずつ曲げ起こされている。第2固定板482は、二つの補強板483のうちの後側の補強板483の上縁から、上向きに突出している。
【0068】
二つの第1固定板481に、放熱板44の第2固定片442が一つずつねじ止めされることにより、二つの放熱板44を介して、ホルダ47が取付枠48に取り付けられる。ホルダ47が取付枠48に取り付けられると、ホルダ47のパネル収容部472に収容されているパネル46が、取付枠48の窓4800と対向する。枠体480とパネル46の間の隙間は、矩形枠状のシール部材460によってシールされる。
【0069】
[5-7 非常用光源ユニットの取付構造]
非常用光源ユニット4は、取付枠48の第2固定板482を、固定部材163の第1固定板1631の前面にねじ止めすることにより、固定部材163を介して第1フレーム16(つまり器具本体1)に取り付けられる。
【0070】
非常用光源ユニット4が第1フレーム16に取り付けられると、第1フレーム16の底板161の第1窓1611と、取付枠48の枠体480の窓4800とが、上下方向に重なる。その結果、パネル46を透過した照明光が、第1窓1611を通して器具本体1の外部(踊り場の床面等)に向けて照射される。
【0071】
[6.非常用電源]
非常用電源7は、例えば、複数本の蓄電池と、これら複数本の蓄電池を収容した電池ケース70とを有する(図2等参照)。複数本の蓄電池はそれぞれ、例えば乾電池型のニッケル水素蓄電池である。電池ケース70は、合成樹脂等の電気絶縁性を有する材料で、筒状に形成されている。非常用電源7は、例えば、器具本体1の左端部に収容される。
【0072】
[7.スイッチブロック]
スイッチブロック8は、合成樹脂製のハウジング80内に回路基板を収容して構成されている(図2参照)。当該回路基板には、二つの押しボタンスイッチ、モニタランプ、赤外線受光素子等が実装されている。
【0073】
スイッチブロック8は、器具本体1内において非常用電源7の右隣りに収容される。図1Bに示すように、スイッチブロック8は、第2窓1612からハウジング80の下面が外部に露出するように配置される。
【0074】
[8.回路ブロック]
図14に示すように、回路ブロック6は、制御装置60、充電装置61及び非常用点灯装置62を備える。充電装置61は、系統電源などの常用電源PSから供給される常用電力(交流電力)を直流電力に電力変換し、電力変換した直流電力で非常用電源7を充電する。非常用点灯装置62は、制御装置60からの指示に従い、充電装置61を介して非常用電源7から供給される非常用電力(直流電力)で非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。
【0075】
制御装置60は、例えば、マイクロコントローラを有する。制御装置60は、点灯装置33に入力する電圧を二つの抵抗器R1、R2で分圧して検出することによって常用電源PSが停電しているか否かを判断する。制御装置60は、常用電源PSが停電していないと判断すれば、充電装置61に非常用電源7を充電させ、かつ、点灯装置33に光源ユニット3の二つの第1LEDモジュール30を点灯させる。制御装置60は、充電装置61に非常用電源7を充電させている間、スイッチブロック8のモニタランプを点灯させる。
【0076】
一方、制御装置60は、常用電源PSが停電していると判断すれば、充電装置61に非常用電源7の充電を中止させ、かつ、非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。
【0077】
また、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されていない場合には、点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値の約半分とする。一方、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されている場合には、点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値とする。
【0078】
図2に示すように、回路ブロック6は、プリント回路板が収容された金属製のケース63を有する。プリント回路板は、上記した制御装置60、充電装置61及び非常用点灯装置62を構成している。回路ブロック6は、器具本体1内において非常用光源ユニット4の左隣に収容される。回路ブロック6のケース63は、第2固定板1632の下面にねじ止めによって固定される。
【0079】
[9.照明器具の施工手順]
上述のように構成される照明器具は、以下に説明する手順で、踊り場の壁に設置される(図15Aから図17B参照)。
【0080】
まず、設置作業を行う作業者は、第1フレーム16を壁に固定する。
【0081】
具体的には、作業者は、壁に埋め込まれている二本のアンカーボルトを第1フレーム16の背板160の長穴1601に通し、これら二本のアンカーボルトにナットを締め付けて、第1フレーム16を壁に固定する。それから、作業者は、第1フレーム16の丸孔1600に挿通した電源線を端子台14の一次側の端子に電気的に接続する。
【0082】
続いて、作業者は、照明ユニット9を第1フレーム16に装着する。
【0083】
具体的には、作業者は、光源ユニット3の取付板32に取り付けられている2本のねじ325の先端部で構成された二つの軸部3250を、第1フレーム16が有する二つの支持板162の第1溝1621のそれぞれに対して、上端から挿入する。そして、第1溝1621に挿入された軸部3250を、第1溝1621の下端にまでスライド移動させる(図15B参照)。このときの照明ユニット9の位置が、第1位置P1である。
【0084】
さらに、作業者は、各軸部3250が第3溝1623の下端から上端に至るまで、照明ユニット9をスライド移動させる(図16B参照)。
【0085】
このとき、照明ユニット9は、カバー本体20の下側壁202において、第1フレーム16の底板161の前端と接触している部分を回転軸として、前斜め下方に傾くように回転移動を行う。つまり、照明ユニット9は、第1フレーム16に対してスライド移動と回転移動の両方を行う。移動後の照明ユニット9の位置が、第2位置P2である。照明ユニット9は、第1フレーム16に第2フレーム17が結合されていない状態において、第1位置P1と第2位置P2との間で移動自在である。
【0086】
なお、照明ユニット9が第1フレーム16に対してスライド移動と回転移動の両方を行うことは、本開示の照明器具において必須の構成要件ではない。例えば、照明ユニット9が第1位置P1と第2位置P2との間で移動する際に、第1フレーム16に対してスライド移動しかつ回転移動は行わないように構成されてもよい。あるいは、照明ユニット9が第1位置P1と第2位置P2との間で移動する際に、照明ユニット9が第1フレーム16に対して回転移動し、かつスライド移動は行わないように構成されてもよい。
【0087】
照明ユニット9が第1位置P1から第2位置P2に移動した結果、第1フレーム16と照明ユニット9との間に形成された開口19の開口幅W1が、広げられる(図15A及び図16A参照)。開口19は、第1フレーム16の背板160の上端と、カバー本体20の上側壁201の後端との間に形成され、上方に向けて解放された開口部分である。第1フレーム16に支持された機器類(つまり端子台14,15、回路ブロック6、非常用電源7及びスイッチブロック8等)の少なくとも一部に対して、開口19を通じて上方から接触可能である。
【0088】
作業者は、開口19を通じて上方から手を挿し入れて、光源ユニット3の点灯装置33の入力端子と、端子台14の二次側の端子とを、電線で電気的に接続する。その後、作業者は、照明ユニット9を逆方向に回転させ、各軸部3250が第3溝1623の上端から下端にまで至るように、照明ユニット9をスライド移動させる。照明ユニット9は、スライド移動に伴って回転移動する。つまり、照明ユニット9は、第2位置P2から第1位置P1に至るまでスライド移動及び回転移動する。その結果、第1フレーム16と照明ユニット9との間に形成された開口19の開口幅W1は、狭くなる。
【0089】
さらに、作業者は、各軸部3250が第3溝1623の下端から第2溝1622の後端に達するまで、照明ユニット9を後方にスライド移動させる(図17B参照)。移動後の照明ユニット9の位置が、第3位置P3である。
【0090】
続いて、作業者は、照明ユニット9が第3位置P3にある状態で、第1フレーム16に対して第2フレーム17を結合させる。具体的には、作業者は、第2フレーム17が有する二つの側板171の縦溝1711に、二つの軸部3250を一対一で挿入させ、各軸部3250が縦溝1711の上端部にまで達するように、第2フレーム17を下向きに移動させる。
【0091】
次に、作業者は、固定用のねじ18(図2図3参照)を二本用い、各ねじ18を、側板171のねじ挿通穴1714と、第1フレーム16の支持板162のねじ挿通穴1624とに挿通させ、さらに、光源ユニット3の取付板32の取付片324が有するねじ穴3241にねじ込む。その結果、第1フレーム16と、第2フレーム17と、光源ユニット3の取付板32とが、2本のねじ18で固定される。このようにして第1フレーム16に第2フレーム17が連結された状態において、第1フレーム16に対する照明ユニット9の移動は、第2フレーム17によって拘束され、かつねじ18によって拘束される。照明ユニット9は、第1フレーム16と第2フレーム17とが連結された状態において、第3位置P3で固定される。
【0092】
最後に、作業者は、一対のカバーエンド22を器具本体1に取り付ける。まず、作業者は、カバーエンド22を器具本体1の側面に沿って後方へ移動させ、カバーエンド本体220の第1引掛部222の横片2220を、器具本体1の前方から、第2フレーム17の側板171の横溝1712に挿入する。このとき、第1引掛部222の縦片2221は、光源ユニット3の取付片324の溝3240に挿入される。
【0093】
そして、作業者がカバーエンド22を更に後方へ移動させると、第2フレーム17の側板171の一対の突起1713が、カバーエンド22の一対の第2引掛部223の第1凹部2231を乗り越えて、その前側の第2凹部2232に嵌まる。一対の突起1713がそれぞれ一対の第2凹部2232に嵌った状態が、カバーエンド22の正規取付状態である。これにより、一対のカバーエンド22が、器具本体1の長手方向の両端に一対一で取り付けられる。以上の手順で、照明器具が壁に設置される。
【0094】
[10.カバーエンドの落下抑制機構]
上記のように設置された照明器具においては、カバーエンド22に何らかの外力が作用してカバーエンド22が外れる方向に移動したとき(つまりカバーエンド22が不意に前側に移動したとき)に、カバーエンド22の落下を抑制することができる落下抑制機構を備えている。落下抑制機構は、図9に示した一対の第1凹部2231を含む機構であって、外れる方向に移動したカバーエンド22の一対の第1凹部2231に対して、一対の突起1713が引っ掛かることによって、カバーエンド22がそれ以上外れる方向に移動することが抑制され、ひいてはカバーエンド22の脱落が抑制される。
【0095】
一対の突起1713がそれぞれ一対の第1凹部2231に嵌った状態が、カバーエンド22の引っ掛かり状態である。カバーエンド22は、引っ掛かり状態にあるとき、正規取付状態にあるときよりも所定距離(たとえば10mm)だけ、カバーエンド22が外れる方向にずれて位置する。したがって、カバーエンド22が正規取付状態にあるか、または引っ掛かり状態にあるかは、目視によって容易に判別することが可能である。目視によりカバーエンド22が引っ掛かり状態にあると判断すれば、カバーエンド22を後方に押し込むことによって、カバーエンド22を容易に正規取付状態に復帰させることができる。
【0096】
[11.非常用電源の交換手順]
次に、照明器具の非常用電源7を交換する際の手順を説明する。まず、交換作業を行う作業者は、カバーエンド22を器具本体1の前方へ引っ張り、取付片324の溝3240から第2フレーム17の側板171の突起1713を離し、器具本体1からカバーエンド22を取り外す。
【0097】
続いて、作業者は、二本のねじ18を外した後、第2フレーム17を第1フレーム16から取り外す。この段階で、各軸部3250は第2溝1622の後端に位置し、照明ユニット9は第3位置P3にある(図17A図17B参照)。
【0098】
それから、作業者は、各軸部3250が第2溝1622の後端から第3溝1623の下端に至るように照明ユニット9を前側にスライド移動させ(図15A図15B参照)、さらに、各軸部3250が第3溝1623の下端から上端にまで至るように、照明ユニット9をスライド移動及び回転移動させる(図16A図16B参照)。このとき照明ユニット9は、第3位置P3から第1位置P1にまで移動し、さらに第1位置P1から第2位置P2にまで移動する。
【0099】
照明ユニット9が第2位置P2にあるときの開口19の前後の開口幅W1は、照明ユニット9が第1位置P1にあるときの開口19の前後の開口幅W1よりも大きく、また、照明ユニット9が第2位置P2にあるときの開口19の前後の開口幅W1よりも大きい。作業者は、照明ユニット9の可動範囲において最も幅広な開口幅W1を有する開口19を通じて、上方から手を挿し入れて非常用電源7を取り出し、新しい非常用電源7を第1フレーム16内に収容する作業を容易に行うことができる。
【0100】
ここで、上記したように、第1フレーム16のうち左右方向において非常用電源7が設置されている部分(つまり左側の端部)には、背板160から前方に突出する補強片1610が設けられていない。したがって、非常用電源7の上方からの交換作業において、補強片1610が邪魔になることが抑えられており、非常用電源7の交換作業が一層容易になっている。
【0101】
非常用電源7の交換を終えた作業者は、照明ユニット9を回転及びスライドさせて第1位置P1に戻し、さらに第3位置P3にまで戻したうえで、第1フレーム16に対して第2フレーム17を結合させ、一対のカバーエンド22を器具本体1に取り付ける。
【0102】
以上の手順で、非常用電源7の交換作業が完了する。
【0103】
(態様)
一実施形態に基づいて説明したように、本明細書は、以下の第1から第5の態様の照明器具を開示している。
【0104】
第1の態様の照明器具は、長尺の器具本体(1)と、長尺の照明ユニット(9)とを備える。照明器具は、機器類が設置される第1フレーム(16)と、第1フレーム(16)に対して着脱自在に連結される第2フレーム(17)とを含む。照明ユニット(9)は、第1フレーム(16)に対して移動自在に装着される。第1フレーム(16)から第2フレーム(17)が取り外された状態で、第1フレーム(16)と照明ユニット(9)との間には、機器類の少なくとも一部に対して外部から接触可能な開口(19)が形成される。開口(19)の開口幅(W1)は、第1フレーム(16)に対する照明ユニット(9)の移動に伴って、変更自在である。
【0105】
第1の態様の照明器具によれば、第1フレーム(16)と照明ユニット(9)との間の開口(19)を、必要に応じて広げることができるので、器具全体がスリムに構成されていても、開口幅(W1)が広げられた状態の開口(19)を通じて手を挿し入れることにより、収容されている各種の機器類に触れて接続作業、交換作業等を簡単に行うことができる。
【0106】
第2の態様の照明器具では、第1の態様に加えて、機器類は、非常用光源ユニット(4)と非常用電源(7)とを含む。非常用光源ユニット(4)は、器具本体(1)に装着される。非常用電源(7)は、器具本体(1)に着脱自在に装着され、非常用光源ユニット(4)に電力を供給する。非常用電源(7)は、開口幅(W1)が広げられたときの開口(19)を通じて、着脱自在である。
【0107】
第2の態様の照明器具によれば、照明ユニット(9)を移動させて開口幅(W1)を広げた状態で、開口(19)を通じて手を挿し入れることにより、簡単な作業で、器具本体(1)に収容されている非常用電源(7)の交換作業等を行うことができる。
【0108】
第3の態様の照明器具では、第1又は第2の態様に加えて、照明ユニット(9)は、第1フレーム(16)に対してスライド移動と回転移動の両方又は一方を行うことで、第1フレーム(16)に対して移動自在である。
【0109】
第3の態様の照明器具によれば、簡単な作業で、第1フレーム(16)に対して照明ユニット(9)を移動させることができる。
【0110】
第4の態様の照明器具では、第1から第3のいずれか一つの態様に加えて、照明ユニット(9)は、第1フレーム(16)に装着されるための軸部(3250)を有する。第1フレーム(16)は、軸部(3250)がスライド自在に挿し込まれる溝部(1620)を有する。照明ユニット(9)は、軸部(3250)が溝部(1620)内でスライド移動することによって、第1フレーム(16)に対して移動自在である。
【0111】
第4の態様の照明器具によれば、軸部(3250)と溝部(1620)とを設けるシンプルな構造で、第1フレーム(16)に対して照明ユニット(9)を移動自在に構成することができる。
【0112】
第5の態様の照明器具では、第1から第4のいずれか一つの態様に加えて、第1フレーム(16)に第2フレーム(17)が連結された状態において、第1フレーム(16)に対する照明ユニット(9)の移動は拘束される。
【0113】
第5の態様の照明器具によれば、照明器具が組み立てられた状態において照明ユニット(9)が不意に移動することが抑えられる。照明ユニット(9)を移動させたい場合には、第2フレーム(17)を第1フレーム(16)から外せばよい。
【符号の説明】
【0114】
1 器具本体
16 第1フレーム
1620 溝部
17 第2フレーム
19 開口
3250 軸部
4 非常用光源ユニット
7 非常用電源
9 照明ユニット
W1 開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17