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  • 特許-竪樋継手及び雨樋構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】竪樋継手及び雨樋構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
E04D13/08 301B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019195721
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021067157
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 純一
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-144870(JP,A)
【文献】特開平08-258153(JP,A)
【文献】特開平02-186186(JP,A)
【文献】特開2015-068103(JP,A)
【文献】特開2006-132287(JP,A)
【文献】特開2015-086938(JP,A)
【文献】特開2003-139278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/08
F16L 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒樋の雨水を地面の排水口へ導く竪樋に使用される竪樋継手であって、
両端が開口する筒体であって両端に夫々竪樋と嵌合接着される接続部を有し、
前記筒体の内壁面から内方に張り出す張出部を有し、
前記張出部によって前記筒体の内部断面積が縮小される第二開口部を有する高排水型の竪樋継手であり、
前記竪樋継手が高排水型の部材か否かを確認可能な高排水用竪樋継手識別機構を備えており、
前記高排水用竪樋継手識別機構は、前記竪樋継手の全体が磁性体を含む樹脂で形成されており、
前記高排水用竪樋継手識別機構は、前記筒体の外周において前記筒体の両端にある前記接続部間の境界に鍔部が設けられ、前記鍔部に凹部が形成されてなることを特徴とする竪樋継手。
【請求項2】
請求項1に記載の竪樋継手によって、前記竪樋を接続してなる雨樋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪樋の接続に用いられる竪樋継手及び雨樋構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における雨樋は、一般に、屋根から流れ落ちる雨水を受ける軒樋と、軒樋から集水器や呼び樋を介して繋げられる竪樋とで構成されるが、近年、デザイン上の観点から、細めの竪樋が用いられることが多い。しかし、細めの竪樋であると、大雨の時には排水しきれずに溢れてしまうことが生じる。このためにサイフォンの原理を利用して単位時間当たりの排水量を増加させることで、細めの雨樋でも大雨時の雨水を好適に排水できるようにした竪樋継手が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-144870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、高排水型の竪樋継手としてサイフォンの原理を利用するため流動する雨水の量に応じて、弾性変形して竪樋継手内部の開口部を広げることができる張り出し部材が、竪樋継手内側に備えられていることを特徴としている。雨樋の施工時には竪樋継手内部を確認することで高排水型の竪樋継手か否かを確認できるが、施工後では竪樋継手の外側から識別することができない。施工後何らかの不具合が発生し高排水型の部材か否かを確認する場合、雨樋を分解して竪樋継手の内部を確認する必要があるため作業性が悪い。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、雨樋の施工後においても雨樋を分解することなく、サイフォンの原理を利用した高排水型の竪樋継手か否かを識別可能にする竪樋継手及び雨樋構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態に係る竪樋継手は、軒樋の雨水を地面の排水口へ導く竪樋に使用される竪樋継手である。前記竪樋継手は、両端が開口する筒体であって両端に夫々竪樋と嵌合接着される接続部を有する。前記竪樋継手は、前記筒体の内壁面から内方に張り出す張出部を有する。前記竪樋継手は、前記張出部によって前記筒体の内部断面積が縮小される第二開口部を有する高排水型の竪樋継手である。前記竪樋継手は、前記竪樋継手が高排水型の部材か否かを確認可能な高排水用竪樋継手識別機構を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る雨樋構造は、高排水用竪樋継手識別機構を備えた前記竪樋継手によって前記竪樋を接続してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果は、高排水用竪樋継手識別機構を竪樋継手に設けることにより、雨樋の施工後何らかの不具合が発生し、竪樋継手について高排水型の部材かを確認する場合、雨樋を分解することなく高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となり、作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る竪樋継手を用いた軒樋構造の側面図である。
図2図1の竪樋継手付近を拡大した斜視図である。
図3】実施の形態1に係る竪樋継手の筒体の軸線に沿った方向の断面図である。
図4】(a)実施の形態3に係る竪樋継手の筒体の軸線に沿った方向の断面図である。(b)実施の形態3に係る竪樋継手の平面図である。
図5】実施の形態4に係る竪樋継手の筒体の軸線に沿った方向の断面図である。
図6】(a)実施の形態5に係る竪樋継手の側面図である。(b)実施の形態5に係る竪樋継手の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0012】
また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
図1は、竪樋継手200を用いて構成される雨樋構造100を示した側面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の雨樋構造100は、建物の屋根10から流れる雨水を受ける軒樋101と、軒樋101に取り付けられ軒樋で受けた雨水を集める集水器102と、集水器102と上竪樋106とを接続する呼び樋103と、雨水を呼び樋103から排水管方向に流す上竪樋106と、上竪樋106と下竪樋107との間に接続される竪樋継手200と、雨水を竪樋継手200から排水管方向に流す下竪樋107と、下竪樋107接続され雨水を排水口に導く排水口接続部108と、を備えて構成される。なお、この雨樋構造100は上竪樋106、下竪樋107、及び竪樋継手200を備えていればよく、これらの構成要素以外の構成要素は設置環境等に応じて適宜変更可能とされる。
【0015】
次に竪樋継手200について詳細に説明する。
【0016】
図2に示すように竪樋継手200は、両端が開口する筒体であり、両端に竪樋継手200の外周面に接着剤を用いて竪樋の端部を嵌合接着される接続部201を両端に夫々有している。また、接続部201と接続部201との境界に鍔部204が設けられる。
【0017】
また、図3に示すように竪樋継手200は、前記筒体の内壁面202から内方に張り出し周方向に形成される張出部203を有しており、張出部203により、内壁面202の内部断面積である第一開口部S1と比較し、縮小された張出部203の内部断面積の第二開口部S2が形成される。これによって、雨水の流れが阻害され、張出部203より上方が満水状態となってサイフォン現象が引き起こされるため、竪樋継手200より勢いよく雨水が排水され、排水処理能力が大幅に向上することから、竪樋継手200は高排水機能が設けられる。
【0018】
このようにして、竪樋継手200に内側に張出部203を設けることにより、高排水機能を設けることが可能となる。
【0019】
上記のように竪樋継手に高排水機能を設けるには、竪樋継手の内側に張出部が備えられるため、雨樋の施工前では竪樋継手の内側を確認し、高排水型の竪樋継手かを識別できるが、雨樋の施工後は竪樋継手の外側からの確認では識別することができない。
【0020】
高排水用竪樋継手識別機構を竪樋継手200に設けることにより、竪樋継手の内側を確認しなくとも高排水型の竪樋継手か否かが識別可能となる。
【0021】
(実施の形態1)
高排水用竪樋継手識別機構は、竪樋継手200が鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムなどが含まれる磁性体により構成される。竪樋継手200に磁石を近づけることにより生じる吸着力の有無により、高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となる。
【0022】
従来の竪樋継手では、雨樋の施工後何らかの不具合が発生し、竪樋継手が高排水型の部材かを確認する場合、雨樋を分解して竪樋継手の内部を確認する必要があるため作業性が悪かったが、本実施の形態を使用することにより、雨樋を分解することなく高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となり、作業性が改善される。
【0023】
また、磁性体で構成された竪樋継手200は、竪樋と外観の一体性を持たせるため、竪樋と同様な樹脂を用いた皮膜を施してもよい。
【0024】
(実施の形態2)
高排水用竪樋継手識別機構は、竪樋継手200の全体が鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムなどが含まれる磁性粉が含有する樹脂により一体成型され構成される。竪樋継手200に磁石を近づけることにより生じる吸着力の有無により、高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となる。実施の形態2を使用することにより、雨樋を分解することなく高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となり、作業性が改善される。
【0025】
(実施の形態3)
図4(a)に示すように、高排水用竪樋継手識別機構は、内壁面202に凹状の溝部205を周方向に設け、図4(b)に示すように溝部205に、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムなどが含まれる磁性体により構成される略C形止め輪穴用形状の止め輪210を嵌合することにより設けられる。また、内壁面202から止め輪210が突出することにより竪樋継手200の一部である張出部203が形成される。
【0026】
止め輪210の形状が略C形止め輪穴用形状であることにより、スナップリングプライヤーを使用することで溝部への止め輪210の取り付けは容易となる。
【0027】
止め輪210の形状は略C形止め輪穴用形状に限定されるものではなく、溝部205に嵌合される扁平なリング状の形状であってもよい。
【0028】
竪樋継手200は、張出部203を形成する止め輪210に磁石を近づけることにより生じる吸着力の有無により、高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となる。実施の形態2を使用することにより、雨樋を分解することなく高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となり、作業性が改善される。
【0029】
また、実施の形態3を使用することにより、既存の竪樋継手と同様な外観を有する高排水型の竪樋継手が提供可能となる。
【0030】
(実施の形態4)
高排水用竪樋継手識別機構は、竪樋継手200の一部である張出部203が、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムなどが含まれる磁性粉が含有する樹脂により構成される。図5に示すように張出部203は、接着剤により、内壁面202に接着固定される。
【0031】
張出部203に磁石を近づけることにより生じる吸着力の有無により、高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となる。実施の形態4を使用することにより、雨樋を分解することなく高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となり、作業性が改善される。
【0032】
なお、実施の形態3および実施の形態4では、張出部203に磁性体および磁性体を含む樹脂を用いたが、鍔部204に磁性体および磁性体を含む樹脂を用いてもよい。
【0033】
(実施の形態5)
高排水用竪樋継手識別機構は、図6(a)、図6(b)に示すように竪樋継手200の外周において、接続部201と接続部201との境界に設けられた鍔部204に軸線方向の凹部206を形成することによって構成される。
【0034】
凹部206により、雨樋の施工後何らかの不具合が発生し、竪樋継手が高排水型の部材かを確認する場合、凹部206の有無により竪樋継手200の外側から高排水型かを識別することが可能となり、雨樋を分解して確認することがなくなるため、作業性が改善される。
【0035】
凹部206の数量は図6に示すように単数の他、複数であってもよく凹部206の有無が確認できれば数量に制限を設けるものではない。
【0036】
実施の形態では断面略円形上の竪樋継手を用いているが、断面略矩形状の竪樋継手であってもよく、高排水型の竪樋継手の機能を有していればよい。
【0037】
このようにして、高排水用竪樋継手識別機構を備えた竪樋継手200を使用して上竪樋106及び下竪樋107を接続することにより、雨樋を分解することなく高排水型の竪樋継手か否かを識別することが可能となり、作業性が改善される雨樋構造が提供される。
【符号の説明】
【0038】
10 屋根
100 雨樋構造
101 軒樋
102 集水器
106 上竪樋
107 下竪樋
108 排水口接続部
200 竪樋継手
201 接続部
202 内壁面
203 張出部
204 鍔部
205 溝部
206 凹部
210 止め輪
S1 第一開口部
S2 第二開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6