(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】車両用床表示フィルム
(51)【国際特許分類】
G09F 19/22 20060101AFI20240216BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240216BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240216BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240216BHJP
B61D 17/10 20060101ALI20240216BHJP
C09K 21/10 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G09F19/22 H
B32B27/00 M
B32B27/18 B
B32B27/32 Z
B61D17/10
C09K21/10
(21)【出願番号】P 2020072644
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 一馬
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴大
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108533(JP,A)
【文献】特開2019-151845(JP,A)
【文献】特開2004-174869(JP,A)
【文献】特開2018-091975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/22
B32B 27/00
B32B 27/18
B32B 27/32
B61D 17/10
C09K 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面フィルム層と、印刷層と、粘着層を備え、
前記表面フィルム層は、ポリオレフィン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、塩素化ポリエチレンと、窒素系難燃剤と、を含み、
前記塩素化ポリエチレンの含有率は4質量%~17質量%であり、
前記窒素系難燃剤の含有率は0.09質量%~1.3質量%であ
り、
前記表面フィルム層は非発泡であることを特徴とする車両用床表示フィルム。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンである請求項1に記載の車両用床表示フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーである請求項1又は2に記載の車両用床表示フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道、バス等の床面に使用される車両用床表示フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道、バス等の車両の床材としては、難燃性、耐摩耗性、耐熱性に優れることから、可塑剤を多量に含有せしめた塩化ビニル樹脂(PVC)からなる床材が多く採用されている。
【0003】
しかしながら、PVC製床材は、燃焼時において多量の発煙と共に塩化水素等の有害ガスを発生することから、火災時において避難者が有害ガスを吸入してしまう防災上の問題、また焼却廃棄処理によって環境汚染をもたらすという問題がある。また、PVC製床材は、可塑剤を多量に含有しているので、特有の臭気があるし、このような可塑剤による臭気はシックハウス症候群の原因の1つとも言われている。また、長年の使用により可塑剤が揮発減量し床材としての柔軟性が低下するという問題や、長年の使用により可塑剤が表面にブリードしてきて曇りを生じやすく外観体裁が悪くなるという問題もあり、PVC材料に代えて、燃焼時に有害ガスの発生が少ないオレフィン系床材が開発されている。
【0004】
また、近年、鉄道、バス等の車両の窓や壁などに表示フィルムが貼られており、様々な表示フィルムが開発されている。さらに、車両の床面用に用いられる表示フィルムとしては、透明性に優れたフィルムが求められている。
【0005】
なお、出願人は特許文献1を出願しており、表面フィルム層の透明性に優れ、鉄道車両等の過酷な使用環境で使用しても耐えうる強度を保持し、表面フィルム層と印刷層との密着性に優れると共に、鉄道車両に求められる難燃性に優れている車両用床表示フィルムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉄道車両内に施工する床面表示フィルムは、最低限床材に施工した複合状態で、定められた難燃性を担保することが求められる。近年は鉄道車両の軽量化設計に伴い、床材も薄肉化した製品が選択されつつある。そのため、床面表示フィルムに関しても鉄道車両に求められる難燃レベルを維持する為に、より難燃性に優れた製品を開発することが必要とされている。
【0008】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、透明性に優れると共に、アルミフィルム層を積層しなくても、鉄道車両に求められる難燃性に優れた車両用床表示フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1] 表面フィルム層と、印刷層と、粘着層を備え、
前記表面フィルム層は、ポリオレフィン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、塩素化ポリエチレンと、窒素系難燃剤と、を含み、
前記塩素化ポリエチレンの含有率は4質量%~17質量%であり、
前記窒素系難燃剤の含有率は0.09質量%~1.3質量%であり、
前記表面フィルム層は非発泡であることを特徴とする車両用床表示フィルム。
【0011】
[2] 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンである前項1に記載の車両用床表示フィルム。
【0012】
[3] 前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーである前項1又は2に記載の車両用床表示フィルム。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、表面フィルム層と、印刷層と、粘着層を備え、表面フィルム層は、ポリオレフィン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、塩素化ポリエチレンと、窒素系難燃剤と、を含み、塩素化ポリエチレンの含有率は4質量%~17質量%であり、窒素系難燃剤の含有率は0.09質量%~1.3質量%であり、前記表面フィルム層は非発泡であるから、アルミフィルム層を積層しなくても、透明性に優れると共に、鉄道車両に求められる難燃性に優れた車両用床表示フィルムを提供することができる。
【0014】
[2]の発明では、ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンであるから、車両用床表示フィルムの強度を向上させることができる。
【0015】
[3]の発明では、熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーであるから、表面フィルム層の透明性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る車両用床表示フィルムの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に車両用床表示フィルムの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用床表示フィルム1は、表面フィルム層2と、印刷層3と、粘着層4を備え、前記表面フィルム層2は、ポリオレフィン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、塩素化ポリエチレンと、窒素系難燃剤と、を含み、前記塩素化ポリエチレンの含有率は4質量%~17質量%であり、前記窒素系難燃剤の含有率は0.09質量%~1.3質量%であ
り、前記表面フィルム層は非発泡であることを特徴とする。
【0018】
前記車両用床表示フィルム1は、表面フィルム層2と、印刷層3と、粘着層4を備えていることが必要である。
【0019】
前記表面フィルム層2は、ポリオレフィン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、塩素化ポリエチレンと、窒素系難燃剤と、を含んでいることが必要である。
【0020】
前記塩素化ポリエチレンの含有率は、表面フィルム層2に含まれる全ての樹脂組成物を100質量%とした場合、4質量%~17質量%である必要がある。4質量%未満では鉄道車両に求められる難燃性が得られず、17質量%を超えても、表面フィルム層2の透明性を得られず、好ましくない。中でも、6質量%~13質量%であることがより好ましい。なお、前記全ての樹脂組成物とは、ポリオレフィン系樹脂と、熱可塑性エラストマーと、塩素化ポリエチレンと、窒素系難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤などのことを意味する。
【0021】
前記塩素化ポリエチレンとしては、特に限定されるものではないが、難燃性に優れている点から、塩素化ポリエチレンに含まれる塩素含有量が30質量%~40質量%であることが好ましい。また、前記塩素化ポリエチレンとしては、透明性に優れている点から、半結晶性タイプ又は非結晶性タイプが好ましく、中でも、非結晶性タイプであることがより好ましい。
【0022】
前記窒素系難燃剤の含有率は、表面フィルム層2に含まれる全ての樹脂組成物を100質量%とした場合、0.09質量%~1.3質量%である必要がある。0.09質量%未満では鉄道車両に求められる難燃性が得られず、1.3質量%を超えても、鉄道車両に求められる難燃性が得られず、好ましくない。中でも、0.3質量%~0.7質量%であることがより好ましい。
【0023】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン等が挙げられる。中でも、強度を保持できる点から、ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0024】
前記ポリプロピレンとしては、ランダムPPを用いることが特に好ましい。
【0025】
前記熱可塑性エラストマーとしては、透明性に優れている点から、スチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
【0026】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、水添スチレン系エラストマーであることが好ましく、中でも、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)を用いることがより好ましい。
【0027】
前記窒素系難燃剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミド化合物、芳香族アミド化合物、尿素等が挙げられる。中でも、難燃性の点から、含窒素複素環化合物を用いることが好ましい。
【0028】
前記表面フィルム層2の厚さは、200μm~750μmであることが好ましい。200μm以上であることで耐久性を確保することができ、750μm以下であることで足がひっかかりにくくすることができる。中でも300μm~600μmがより好ましい。
【0029】
前記印刷層3は、表面フィルム層2の下面側に積層され、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、転写印刷、インクジェット印刷等の印刷手法によって形成されるものである。中でもスクリーン印刷を用いることがより好ましい。
【0030】
前記印刷層3を構成する印刷インキとしては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂に、顔料、染料、着色剤、充填剤等が添加混合されたもの等を例示できる。通常、溶剤などで希釈化されているものを用いる。
【0031】
前記粘着層4を構成する樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。中でも、アクリル系樹脂を用いることが、粘着力が強く、また凝集力も強いのでより好ましい。
【0032】
前記粘着層4の塗布量(乾燥後)としては、50g/m2~160g/m2であることが好ましい。
【0033】
前記表面フィルム層2には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、耐候剤、着色剤、帯電防止剤、充填剤等の各種添加剤を適宜含有せしめてもよい。
【0034】
本発明に係る表面フィルム層2の製造方法としては、特に限定されず、例えば、カレンダー加工機、押出加工機等の公知の装置やホットラミネート加工機等の公知の積層技術を用いて積層することにより製造することができる。
【0035】
このように、車両用床表示フィルム1は、意匠性の付与、誘導情報、利用区分情報、広告、宣伝等の情報を表示することができるので、乗客に効果的に伝えることができる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0037】
<実施例1>
ポリプロピレン64.0質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)28.4質量%、塩素化ポリエチレン6.7質量%、窒素系難燃剤0.7質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合で、バンバリーミキサーを用いて170℃で溶融混練した後、Tダイ押出機により170℃でフィルム状に押し出して、厚みが450μmの表面フィルム層2を得た。次に、作成した表面フィルム層2の裏面側にスクリーン印刷を施し、印刷層3を形成した。さらに別の工程で粘着層4を塗布した離型紙を用意し、印刷層3の下面側に粘着層4を積層して、
図1に示す車両用床表示フィルム1を得た。
【0038】
<実施例2>
ポリプロピレン62.3質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)28.0質量%、塩素化ポリエチレン9.0質量%、窒素系難燃剤0.5質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが350μmの表面フィルム層2を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層2の下面側に、印刷層3、粘着層4を積層して、車両用床表示フィルム1を得た。
【0039】
<実施例3>
ポリプロピレン57.2質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)25.7質量%、塩素化ポリエチレン16.5質量%、窒素系難燃剤0.4質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが500μmの表面フィルム層2を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層2の下面側に、印刷層3、粘着層4を積層して、車両用床表示フィルム1を得た。
【0040】
<実施例4>
ポリプロピレン60.6質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)29.2質量%、塩素化ポリエチレン9.1質量%、窒素系難燃剤0.9質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが600μmの表面フィルム層2を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層2の下面側に、印刷層3、粘着層4を積層して、車両用床表示フィルム1を得た。
【0041】
<実施例5>
ポリプロピレン60.3質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)30.2質量%、塩素化ポリエチレン9.1質量%、窒素系難燃剤0.2質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが700μmの表面フィルム層2を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層2の下面側に、印刷層3、粘着層4を積層して、車両用床表示フィルム1を得た。
【0042】
<実施例6>
ポリプロピレン64.8質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)29.0質量%、塩素化ポリエチレン5.0質量%、窒素系難燃剤1.0質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが250μmの表面フィルム層2を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層2の下面側に、印刷層3、粘着層4を積層して、車両用床表示フィルム1を得た。
【0043】
<比較例1>
ポリプロピレン65.1質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)31.2質量%、塩素化ポリエチレン3.0質量%、窒素系難燃剤0.5質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが450μmの表面フィルム層を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層の下面側に、印刷層、粘着層を積層して、車両用床表示フィルムを得た。
【0044】
<比較例2>
ポリプロピレン54.3質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)20.0質量%、塩素化ポリエチレン25.0質量%、窒素系難燃剤0.5質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが450μmの表面フィルム層を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層の下面側に、印刷層、粘着層を積層して、車両用床表示フィルムを得た。
【0045】
<比較例3>
ポリプロピレン63.3質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)23.4質量%、塩素化ポリエチレン13.05質量%、窒素系難燃剤0.05質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが450μmの表面フィルム層を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層の下面側に、印刷層、粘着層を積層して、車両用床表示フィルムを得た。
【0046】
<比較例4>
ポリプロピレン63.3質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)23.5質量%、塩素化ポリエチレン10質量%、窒素系難燃剤3質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが450μmの表面フィルム層を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層の下面側に、印刷層、粘着層を積層して、車両用床表示フィルムを得た。
【0047】
<比較例5>
ポリプロピレン75.2質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)23.6質量%、窒素系難燃剤1質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが450μmの表面フィルム層を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層の下面側に、印刷層、粘着層を積層して、車両用床表示フィルムを得た。
【0048】
<比較例6>
ポリプロピレン59.6質量%、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)20.2質量%、塩素化ポリエチレン20.0質量%、光安定剤0.1質量%、紫外線吸収剤0.1質量%の割合に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚みが450μmの表面フィルム層を得た。次に、実施例1と同様にして、表面フィルム層の下面側に、印刷層、粘着層を積層して、車両用床表示フィルムを得た。
【0049】
【0050】
上記のようにして得られた表面フィルム層に対して、下記の透明性評価法に基づいて評価を行った。上記のようにして得られた車両用床表示フィルムに対して、下記の難燃性評価法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。なお、透明性評価法については表面フィルム層のみで行い、表面フィルム層で透明性が合格であれば、車両用床表示フィルムでも透明性が合格と判断した。
【0051】
<車両用床表示フィルムの難燃性評価法>
実施例1~6、比較例1~6の車両用床表示フィルムを「鉄道車両用材料の燃焼試験及び規格」(一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会)に準じた試験方法(45度傾斜、アルコール燃焼試験)により、燃焼判定基準の区分が「難燃性」であるものを「○」とし、同「緩燃性」または「可燃性」であるものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0052】
<表面フィルム層の透明性評価法>
表面フィルム層の透明性について、JIS K 7136-2000に準拠して評価した。安定した光源、接続光学系、開口部を備えた積分球及び側光器から構成される装置を用い、試験片に光を透過させた。透過光のうち、前方錯乱によって、入射光から0.44rad(2.5°)以上それた透過光の百分率を測定した。値が80未満を「○」、80以上を「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0053】
表1から明らかなように、本発明の実施例1~6の表面フィルム層は、透明性に優れていた。本発明の実施例1~6の車両用床表示フィルムは、鉄道車両に求められる難燃性に優れていた。なお、本発明の実施例1~6の車両用床表示フィルムの透明性については、実施例1~6の表面フィルム層での透明性が優れていたため、実施例1~6の車両用床表示フィルムでも透明性が優れていると判断した。
【0054】
これに対して、比較例1の車両用床表示フィルムは、難燃性が劣っていた。
比較例2の表面フィルム層は透明性が劣っているため、比較例2の車両用床表示フィルムでも透明性が劣っていると判断した。
比較例3の車両用床表示フィルムは、難燃性が劣っていた。
比較例4の車両用床表示フィルムは、難燃性が劣っていた。
比較例5の車両用床表示フィルムは、難燃性が劣っていた。
比較例6の車両用床表示フィルムは、難燃性が劣っており、かつ、比較例6の表面フィルム層は透明性が劣っているため、比較例6の車両用床表示フィルムでも透明性が劣っていると判断した。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る車両用床表示フィルムは、例えば、鉄道、バス、船舶、等の床表示フィルム等として好適である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・車両用床表示フィルム
2・・・表面フィルム層
3・・・印刷層
4・・・粘着層