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  • 特許-壁面土圧計 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】壁面土圧計
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240216BHJP
   G01L 5/1627 20200101ALI20240216BHJP
【FI】
G01L5/00 A
G01L5/1627
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020180556
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071531
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】391005950
【氏名又は名称】株式会社東横エルメス
(73)【特許権者】
【識別番号】516308364
【氏名又は名称】JIMテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 卓光
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】高野 晶平
(72)【発明者】
【氏名】門間 智之
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】西渕 雅之
(72)【発明者】
【氏名】新木 健司
(72)【発明者】
【氏名】中野 聡
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208784(JP,U)
【文献】特開2007-187596(JP,A)
【文献】特開昭59-143930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土圧を受ける壁面に配置する受圧板と、
前記受圧板に作用した土圧を検知する感度部と、
前記感度部を介して前記受圧板を支持する支圧板と、を有し、
前記感度部は、中央に設けた検知梁連結部と、
前記検知梁連結部を平面視し、その中心をx軸とy軸の交点としてx軸とy軸と平行に十文字状に張り出す板状の検知梁と、
x軸と平行な前記検知梁の端部に設け、前記受圧板に固定する受圧板固定部と、
y軸と平行な前記検知梁の端部に設け、前記支圧板に固定する支圧板固定部と、
外周において前記受圧板固定部と前記支圧板固定部を連結する板状の外周梁と、からなる、
垂直土圧と水平方向のせん断力を同時に検知できる、壁面土圧計。
【請求項2】
前記外周梁の前記x軸と前記y軸で規定される平面方向の板厚は、前記検知梁の前記x軸と前記y軸で規定される平面方向の板厚よりも薄いことを特徴とする、請求項1に記載の壁面土圧計。
【請求項3】
前記外周梁は平面視円形状を呈することを特徴とする、請求項1又は2に記載の壁面土圧計。
【請求項4】
前記外周梁は平面視矩形状を呈することを特徴とする、請求項1又は2に記載の壁面土圧計。
【請求項5】
前記外周梁は前記受圧板固定部と前記支圧板固定部とを直線上に連結することを特徴とする、請求項1又は2に記載の壁面土圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設置して土圧を検知する壁面土圧計に関し、特に、垂直土圧と水平方向のせん断力を同時に検知できる壁面土圧計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人によって、特許文献1に記載の壁面土圧計が開発された。
これは、土圧計の感度部に検知梁である、平行せん断梁と、平行せん断梁に直交する曲げ梁とを有し、平行せん断梁により検知する摩擦力と直交方向の摩擦力を検知するものである。
特許文献1に記載の壁面土圧計は、検知梁を十文字状に配置し、受圧板固定部と支圧板固定部をそれぞれx軸、y軸に対称に検知梁の端部に独立して配置して構成する(引用文献1:図6参照)。
また、外周にリング状の円盤を有し、その上下に受圧板固定部と支圧板固定部を設ける構成も記載されている(引用文献1:図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3208784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受圧板の表面と支圧板固定部とは一定の距離を有する。このため、受圧板に荷重が作用したときに、検知梁に回転モーメントが働くことにより、各固定部にせん断力が働き、回転モーメントやせん断力が、壁面土圧や摩擦力検知の妨げとなることがあった(図7)。
また、外周にリング状の円盤を有する場合、リング部分の半径方向の幅が検知梁の板厚より厚く、検知梁による検知の妨げとなることがあった。
【0005】
本発明は、より精度の高い壁面土圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願発明は、土圧を受ける壁面に配置する受圧板と、前記受圧板に作用した土圧を検知する感度部と、前記感度部を介して前記受圧板を支持する支圧板と、を有し、前記感度部は、中央に設けた検知梁連結部と、前記検知梁連結部を平面視し、その中心をx軸とy軸の交点としてx軸とy軸と平行に十文字状に張り出す板状の検知梁と、x軸と平行な前記検知梁の端部に設け、前記受圧板に固定する受圧板固定部と、y軸と平行な前記検知梁の端部に設け、前記支圧板に固定する支圧板固定部と、外周において前記受圧板固定部と前記支圧板固定部を連結する板状の外周梁と、からなる、垂直土圧と水平方向のせん断力を同時に検知できる、壁面土圧計を提供する。
前記外周梁の前記x軸と前記y軸で規定される平面方向の板厚は、前記検知梁の前記x軸と前記y軸で規定される平面方向の板厚よりも薄くしてもよい。
前記外周梁は平面視円形状を呈してもよい。
前記外周梁は平面視矩形状を呈してもよい。
前記外周梁は前記受圧板固定部と前記支圧板固定部とを直線上に連結してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)外周梁が補強材となり、さまざまな外力に対抗し、検知梁の外力による余分な変形を抑制する。
(2)外周梁を検知梁よりも薄くすることで、外周梁が検知梁によるひずみの検知を妨げることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の壁面土圧計の説明図
図2】本発明の壁面土圧計の感度部の説明図
図3】ブリッジ回路の説明図
図4】荷重を受けたときの感度部の説明図(1)
図5】荷重を受けたときの感度部の説明図(2)
図6】その他実施例にかかる本発明の壁面土圧計の感度部の説明図
図7】従来の壁面土圧計の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の壁面土圧計を詳細に説明する。
【0010】
[実施例1]
(1)壁面土圧計
本発明の壁面土圧計は、壁面に設置して壁面に作用する土圧を検知するものである。
本発明の壁面土圧計は、土圧を受ける壁面に配置する受圧板1と、受圧板1に作用した土圧を検知する感度部2と、受圧板1および感度部2を支持する支圧板3と、からなる(図1)。
支圧板3は壁内に固定する。
支圧板3は周囲に気密周壁部31を形成して、受圧板1との間にOリングなどの気密材を配置する。
感度部2の検知梁23にはひずみゲージ4を貼り付け、ひずみゲージ4により感度部2のせん断ひずみ、曲げひずみを検知し、土圧を計測する。
【0011】
(2)感度部
感度部2は、検知梁連結部24を略正方形とし、検知梁連結部24の中心をx軸とy軸の交点として受圧板固定部21をx軸に対称に、支圧板固定部22をy軸に対称にそれぞれ二つに分け、2本の平行な板状の検知梁23をx軸、y軸上に対称に配置する(図2)。
受圧板固定部21は、受圧板1に固着する。また、支圧板固定部22は支圧板3に固着する。
受圧板固定部21、支圧板固定部22の外周は、平面視円形を呈する板状の外周梁25により一体に形成する。
検知梁23及び外周梁25は、感度部2の高さ方向(壁面土圧計の受圧板1~支圧板3方向)を板幅方向として配置する。そして、外周梁25のx軸とy軸で規定される平面方向の板厚は、検知梁23のx軸とy軸で規定される平面方向の板厚よりも板厚を薄くする。
【0012】
(3)摩擦力及び土圧の計測
X方向の摩擦力の計測は検知梁23のx1~x4の内側4箇所、Y方向の摩擦力の計測は検知梁23のy1~y4の内側4箇所、土圧(Z方向垂直力)の計測は検知梁の23のz1~z4(それぞれ、いずれか一方)の内側4箇所にそれぞれ貼りつけたひずみゲージ4により行う。
これらのひずみゲージ4はそれぞれ、図3(a)、(b)、(c)に示すブリッジ回路に接続されて、X方向摩擦力測定用ブリッジ回路51、Y方向摩擦力測定用ブリッジ回路52、土圧測定用ブリッジ回路53を構成し、各ブリッジ回路51、52、53の入力線及び出力線が、測定ケーブル6に接続されて外部に導出される。
【0013】
(4)外周梁の作用
受圧板固定部21と支圧板固定部22は、平面視円形を呈する外周梁25により一体に形成する。
このため、外周梁25が補強材となり、さまざまな外力に対抗し、検知梁23の外力による余分な変形を抑制する。このとき、外周梁25は検知梁23よりも板厚が薄いため、検知梁23によるひずみの検知を妨げることがない。
【0014】
すなわち、受圧板1に対して横荷重が作用した場合、外周梁25がなければ、受圧板固定部21と連結した検知梁23(図2のX軸方向)のみでは受圧板1の横荷重方向の回転運動が抑止できないが、外周梁25により支圧板固定部22にも荷重が分散され、受圧板1の横荷重方向の回転運動が抑制され、精度の高い計測を行うことができる(図4)。
【0015】
また、受圧板1に対して垂直荷重が加わった場合に、検知梁23に働く回転モーメントが外周梁25によって抑制され、各固定部21、22のせん断力の発生を抑制し、精度の高い計測を行うことができる(図5)。
【0016】
[その他実施例]
上記実施例においては、外周梁25は平面視円形を呈するが、受圧板固定部21と支圧板固定部22とを直線状に連結したり(図6(a))、平面視矩形を呈したりするように構成してもよい(図6(b))。
また、検知梁23は平行梁としたが、平板1枚により構成してもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 受圧板
2 感度部
21 受圧板固定部
22 支圧板固定部
23 検知梁
24 検知梁連結部
25 外周梁
3 支圧板
31 気密周壁部
4 ひずみゲージ
51 X方向摩擦力測定用ブリッジ回路
52 Y方向摩擦力測定用ブリッジ回路
53 土圧測定用ブリッジ回路
6 測定ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7