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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】捕虫・空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20240216BHJP
   A01M 1/00 20060101ALI20240216BHJP
   A01M 1/04 20060101ALI20240216BHJP
   A01M 1/14 20060101ALI20240216BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61L9/20
A01M1/00 Z
A01M1/04 A
A01M1/04 Z
A01M1/14 V
A61L9/015
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021103365
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002242
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】512184593
【氏名又は名称】株式会社エバーライツ
(73)【特許権者】
【識別番号】502232473
【氏名又は名称】岩瀬プリンス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 徳美
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 之朗
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-199471(JP,A)
【文献】特開2010-022754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0261291(US,A1)
【文献】国際公開第2009/104119(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2019-0066225(KR,A)
【文献】特許第6878663(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
A01M 1/00-99/00
A61L 2/00- 2/28
B01J 19/12
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
F24F 8/00- 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過光の波長変換が可能な透過材を挟んで連設された空気の殺菌清浄室と捕虫室とを備えて成り
前記殺菌清浄室は、一端面に空気取り入れ口が形成されると共に他端面に空気排出口が形成されていて、内部に空気取り入れ用ファンと、波長が空気殺菌適応領域の紫外線を放射する殺菌ランプとが配備され、前記空気取り入れ用ファンが回転することで、前記空気取り入れ口から取り込まれた空気が、前記殺菌ランプにより殺菌清浄され、また、脱臭されて前記空気排出口から排出可能にされ、
前記殺菌ランプから放射された殺菌用の紫外線は、その波長が前記透過材を通り抜けるに伴い、空気殺菌適応領域から誘虫適応領域に変換されて前記捕虫室内に入り、誘虫光源として利用可能となることを特徴とする捕虫・空気清浄装置。
【請求項2】
前記殺菌清浄室の前記空気排出口付近に、前記空気排出口から紫外線が漏出することを防止するための一対の遮光壁が、上下方向に互い違いに設置される、請求項1に記載の捕虫・空気清浄装置。
【請求項3】
前記殺菌清浄室と捕虫室が1つのケース内に組み込まれている、請求項1又は2に記載の捕虫・空気清浄装置。
【請求項4】
前記透過材は、蛍光体を塗布したガラス板である、請求項1乃至3のいずれかに記載の捕虫・空気清浄装置。
【請求項5】
前記捕虫室に、内周面に捕虫用粘着層を有する捕虫カセットが脱着自在に嵌装される、請求項1乃至4のいずれかに記載の捕虫・空気清浄装置。
【請求項6】
前記捕虫カセットは、全体又は一部が透明の捕虫シートで箱状に形成されたものである、請求項5に記載の捕虫・空気清浄装置。
【請求項7】
前記殺菌ランプは、冷陰極殺菌ランプである、請求項1乃至6のいずれかに記載の捕虫・空気清浄装置。
【請求項8】
前記殺菌ランプとして、オゾンを発生するタイプのものと発生しないタイプのものが用意され、選択使用可能にされる、請求項1乃至7のいずれかに記載の捕虫・空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は捕虫・空気清浄装置、より詳細には、空気清浄装置と捕虫装置を一体にして、一つの殺菌ランプで、空気の殺菌清浄と共に誘虫・捕虫を行うことを可能にした捕虫・空気清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、新型コロナウィルスの影響で、病院、学校、オフィス、ホテル、工場、公共施設、飲食店等に限らず、一般家庭においても空気の清浄・殺菌に注目が集まっており、多種多様の空気清浄・殺菌機器が市場に出回り、利用されている。また、夏場になると、蚊やコバエ、その他種々の虫類が多く発生するが、換気の促進面から窓を開放する機会が増えていることに伴い、虫類が侵入する機会も増えてくるので、その対策も必要となる。その対策のために利用可能な捕虫機器も、多種多様のものが市場に出回り、利用されている。
【0003】
従来、比較的小型で手軽に使用することができる空気清浄機を開示するものとして、特開2000-217898号公報、特開2005-342509号公報、実用新案登録第3223623号公報等があり、また、粘着式の捕虫機器を開示するものとして、特許第5064588号公報、特開2013-236586号公報等がある。しかし、これらの機器は、それぞれ空気清浄機能のみ、あるいは、捕虫機能のみを果たすもので、その両機能を果たすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-217898号公報
【文献】特開2005-342509号公報
【文献】実用新案登録第3223623号公報
【文献】特許第5064588号公報
【文献】特開2013-236586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、病院、学校、オフィス、ホテル、工場、公共施設、飲食店等、あるいは、一般家庭において利用可能な、比較的小型で扱いやすい空気清浄機、並びに、捕虫器は種々出回っているが、それらは空気清浄機能、あるいは、捕虫機能のいずれかを備えるものであって、その両機能を備えるものではない。
【0006】
そこで本発明は、空気清浄・殺菌機能、消臭機能及び捕虫機能を併せ有する、小型で取り扱いやすく、設置に場所を取らない捕虫・空気清浄装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、透過光の波長変換が可能な透過材を挟んで連設された空気の殺菌清浄室と捕虫室とを備えて成り
前記殺菌清浄室は、一端面に空気取り入れ口が形成されると共に他端面に空気排出口が形成されていて、内部に空気取り入れ用ファンと、波長が空気殺菌適応領域の紫外線を放射する殺菌ランプとが配備され、前記空気取り入れ用ファンが回転することで、前記空気取り入れ口から取り込まれた空気が、前記殺菌ランプにより殺菌清浄され、また、脱臭されて前記空気排出口から排出可能にされ、
前記殺菌ランプから放射された殺菌用の紫外線は、その波長が前記透過材を通り抜けるに伴い、空気殺菌適応領域から誘虫適応領域に変換されて前記捕虫室内に入り、誘虫光源として利用可能となることを特徴とする捕虫・空気清浄装置である。
【0008】
一実施形態においては、前記殺菌清浄室の前記空気排出口付近に、前記空気排出口から紫外線が漏出することを防止するための一対の遮光壁が、上下方向に互い違いに設置される。
【0009】
一実施形態においては、前記殺菌清浄室と捕虫室が1つのケース内に組み込まれる。また、前記透過材は、蛍光体を塗布したガラス板であって、そこを透過することにより、前記殺菌ランプの紫外線波長が空気殺菌適応領域から誘虫適応領域に変換される。
【0010】
一実施形態においては、前記捕虫室に、内周面に捕虫用粘着層を有する捕虫カセットが脱着自在に嵌装される。例えば、前記捕虫カセットは、全体又は一部が透明の捕虫シートで箱状に形成されたものである。
【0011】
一実施形態においては、前記殺菌ランプは、冷陰極殺菌ランプである。また、一実施形態においては、前記殺菌ランプとして、オゾンを発生するタイプのものと発生しないタイプのものが用意され、選択使用可能にされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る捕虫・空気清浄装置は上記のとおりであって、空気殺菌清浄部と捕虫部とが一体となった非常にシンプルでコンパクトな構成であり、1つの殺菌ランプで以て、空気の殺菌清浄、消臭及び捕虫を同時に行うものであるので、経済的であり、病院、学校、オフィス、ホテル、工場、公共施設、飲食店等に限らず、一般家庭等においても空気の殺菌清浄、消臭及び捕虫のために手軽に使用することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る捕虫・空気清浄装置の構成を示す分解斜視図である。
図2】本発明に係る捕虫・空気清浄装置の構成を示す縦断面図である。
図3】本発明に係る捕虫・空気清浄装置の外観例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る捕虫・空気清浄装置の他の外観例を示す斜視図である。
図5】本発明に係る捕虫・空気清浄装置の更に他の外観例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明に係る捕虫・空気清浄装置は、横長の箱状ケース1内に、空気の殺菌清浄室2と捕虫室11とを、透過光の波長変換が可能な透過材10を挟んで配設して成るものである。通例、図示した例のように、殺菌清浄室2が下段で捕虫室11が上段に配置されるが、殺菌清浄室2と捕虫室11を横並べに配置することとしてもよい。
【0015】
殺菌清浄室2は、一端面に空気取り入れ口3が形成されると共に、他端面に空気排出口4が形成され、内部に空気取り入れ用ファン5と殺菌ランプ6が配備されて構成される(図2参照)。ファン5は、空気取り入れ口3に近い位置に配置され、空気取り入れ口3から外気を取り込むよう作用する。
【0016】
殺菌ランプ6は、殺菌清浄室2の中央部に配置される。殺菌ランプ6としては、殺菌清浄室2の長さ方向に長く伸びる冷陰極管、とりわけ、長さが170mm程のU字型冷陰極管を用いることが好ましい。ここで冷陰極管を用いることとしているのは、冷陰極管は寿命が長くて長時間(約30,000時間)使用が可能であって、ランプ径が6mm程であるためにコンパクトな構成とすることができ、更に360度発光が可能という特徴があるからである。
【0017】
この冷陰極管である殺菌ランプ6を点灯させるためのインバータ回路7が、殺菌清浄室2の下方端部に配備される。なお、殺菌清浄室2のサイズによっては、殺菌ランプ6が複数配備されることもある。
【0018】
殺菌ランプ6は、空気を殺菌清浄し、また、消臭するためのものであって、254nm付近の紫外線を放射するものとされる。本発明に係る捕虫・空気清浄装置は、1つの殺菌ランプ6で以て、空気の殺菌清浄及び捕虫を同時に行うことを企図するものであるが、人体に悪影響を及ぼすとされている紫外線は、320nm以下の短い波長域のものであるので、殺菌ランプ6からの短波長域の紫外線をそのまま捕虫室11に放射して利用することはできない。そこで本発明においては、殺菌ランプ6からの紫外線を、透過材10を通すことによって、人体に影響の少ない波長域に波長変更して捕虫室11内に導入することとしている。
【0019】
殺菌ランプ6としては、上記のとおり、殺菌線である254nm付近の紫外線を放射する、オゾンを発生させないタイプのものが主に用いられるが、オゾンによる脱臭効果を持たせるために、185nm付近の波長の紫外線を放射するオゾン発生タイプの殺菌ランプ6を別途用意し、いずれかを選択使用可能にすることが好ましい。
【0020】
殺菌清浄室2の空気排出口4付近には、空気排出口4から紫外線が漏出することを防止するための、一対の遮光壁15,16が設置される。内側の第1遮光壁15は、ケース1の内底面に固定されていて、上方に通流空間が確保され、外側の第2遮光壁16はケース1の内天面に固定されていて、下方に通流空間が確保される。このように一対の遮光壁15,16が上下方向に互い違いに設置されることにより、人体に悪影響を及ぼすおそれのある殺菌ランプ6から発せられる紫外線が、空気排出口4から漏出することが防止される。
【0021】
また、この一対の遮光壁15,16は、ファン5によって取り込まれて直進する空気に対して邪魔板として機能し、空気の流れに変化をもたらす。それにより殺菌清浄室2内を通流する空気は、殺菌ランプ6によって十分に殺菌清浄され、また、消臭され、第1遮光壁15の上方通流部から遮光壁15,16間に入り込んで下降し、第2遮光壁16の下方通流部を通り抜けて、空気排出口4から外部へと排出される。
【0022】
捕虫室11は、透過材10を挟んで殺菌清浄室2の上面(又は側面)に連設される。透過材10は透過光の波長変換が可能な素材であって、通例、蛍光体を塗布したガラス板が用いられる。殺菌ランプ6から出る波長が254nm付近の紫外線は、この透過材10を通過することにより、人体に悪影響を及ぼすおそれが少なく、且つ、誘虫効果のある300~400nm付近の、いわゆるブラックライト波長に変更される。
【0023】
図1に示す例における捕虫室11は、上面を開口した箱枠状のもので、透過材10が配置される底面は、殺菌清浄室2の天面と共通である。捕虫室11には、その内部形状に対応する形状で、内周面全体に亘って捕虫シート(粘着シート)12を貼着し、透過材10対応部に開口14を設けた捕虫カセット13が、装脱可能に嵌合される。捕虫室11と捕虫カセット13は、対応する側面に、互いに係合し合う凹凸部を設けて係合させるようにする。このような係合手段を設けず、単に捕虫カセット13を捕虫室11内に嵌装するだけでも差し支えない。捕虫カセット13は、全体又は一部が透明の捕虫シートで箱状に形成されたものとすることもできる(図3参照)。
【0024】
上記構成の本発明に係る捕虫・空気清浄装置は、例えば、横幅350mm、奥行き50mm、高さ100mmのサイズで、通例は家庭用電源を用いるが、充電式バッテリーや乾電池駆動とすることもできる。このような構成とすることにより、軽量且つコンパクトで取り扱いやすく、設置場所を問わずに任意の個所に設置して、長時間連続使用することが可能となる。
【0025】
本発明に係る捕虫・空気清浄装置のスイッチを入れると、殺菌ランプ6が点灯して波長が254nm付近の紫外線が放射されて、周囲空気の殺菌が行われ、また、185nm付近の紫外線が放射される場合は、オゾンの生成が開始される。また、空気取り入れ用ファン5が回転することで、ケース1の端面の空気取り入れ口3から外部空気が殺菌洗浄室2内に取り込まれ、取り込まれた空気は、ケース1の他端面の空気排出口4に向けて流れ、その間に殺菌ランプ6の照射を受けて殺菌清浄され、また、脱臭されて空気排出口4から排出される。殺菌ランプ6は横長で、空気の流路が狭く、また、一対の遮光壁15,16によって流れが止められるため、流入した空気は十分に殺菌清浄されて排出される。
【0026】
一方、殺菌ランプ6からの紫外線は、透過材10を透過して捕虫室11内に導入されるが、透過材10を通り抜けるに伴って、殺菌用の254nm付近の紫外線波長が、誘虫効果があり、且つ、人体に影響の少ない300~400nm付近のブラックライト波長に変更される。このブラックライトに誘導されて集まってくる虫類は、捕虫室11の虫導入用開口から捕虫室11内に入り込み、捕虫シート12に触れることで捕捉される。捕虫シート12は適時交換するが、カセット式の場合はその交換が容易である。なお、オゾン生成を目的として185nm付近の紫外線を放射する殺菌ランプ6を用いる場合は、空気清浄装置として機能することになる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る捕虫・空気清浄装置は、このように空気清浄部と捕虫部とが一体となった非常にシンプルでコンパクトな構成であり、1つの殺菌ランプで以て、空気の殺菌清浄、脱臭及び捕虫とを同時に行うものであるので、経済的であり、病院、学校、オフィス、ホテル、工場、公共施設、飲食店等に限らず、一般家庭等においても手軽に使用することができるものであり、その産業上の利用可能性は極めて大である。
【符号の説明】
【0028】
1 ケース
2 殺菌清浄室
3 空気取り入れ口
4 空気排出口
5 ファン
6 殺菌ランプ
7 インバータ回路
10 透過材
11 捕虫室
12 捕虫シート
13 捕虫カセット
14 開口
15,16 遮光壁
図1
図2
図3
図4
図5