(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20240216BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240216BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240216BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240216BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/41
A61K8/34
A61Q5/06
(21)【出願番号】P 2020018223
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】松崎 晃一
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-067518(JP,A)
【文献】特開2019-137657(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180516(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性染料を含有する、毛髪の染毛に用いられる染毛料組成物であって、
(A)25℃での粘度が5~100cStのメチルポリシロキサン
(B)
流動パラフィン
(C)塩化ステアリルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムから選ばれる1種以上
(D)炭素数2~6の二価アルコール
を含有し、前記(A)成分の含有量が3~7質量%であり、前記(B)成分の含有量が1~5質量%であり、前記(C)成分の含有量が
1~3質量%であり、前記(D)成分の含有量が5~10質量%であり、かつカチオン性高分子の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする染毛料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛料組成物に関する。さらに詳しくは、低温での経時的な塩基性染料の析出がなく、染色性に優れ、かつ累積染毛後の毛髪にボリューム感、および、なめらかさを付与する染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のファッション意識の高まりから、手軽に髪の色を変化させることのできるヘアカラーリング剤は、男女問わず多くの人に受け入れられている。ヘアカラーリング剤には、永久染毛剤、半永久染毛料、脱色剤、および、一時着色料など様々な種類があり、それぞれのニーズによって使用される。
【0003】
半永久染毛料は、染毛効果の持続性は永久染毛剤には劣るものの、毛髪へのダメージが少なく、この特性から現在多くの人に使用されているヘアカラーリング剤である。
【0004】
半永久染毛料は、染料として酸性染料を用いたヘアマニキュアと、塩基性染料を用いたカラートリートメントに分類される。ヘアマニキュアは、染色性が優れている反面、酸性染料を毛髪に浸透させるためにベンジルアルコールを用いており、ベンジルアルコール特有の溶剤臭を発することから、使用に際して、使用者に不快な思いをさせるといった問題がある。
【0005】
一方、カラートリートメントは、ベンジルアルコールなどの浸透剤を用いていないことから、ヘアマニキュアに比べ染色性は若干低いものの、不快な溶剤臭を発することはない。また、塩基性染料はカチオン性であることから、高いトリートメント性を有するカチオン性高分子を含有しても経時的に安定であり、このような成分を含有することにより、毛髪になめらかさやしっとり感などの高いトリートメント性を付与することができる。
【0006】
カラートリートメントには消費者のニーズに合わせ、様々な効果が求められる。特に白髪染めを目的としたカラートリートメントの場合、白髪を黒髪に馴染ませるために良好な染色性を有すること、および、加齢に伴う毛髪のボリューム感の低下を補うことは重要であり、これまでにいくつかのカラートリートメントが提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、染色性が良好であり、皮膚の染色を抑え、塩基性染料の経時安定性が良好である、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、および、塩基性染料を含有する染毛料組成物が開示されている。
【0008】
特許文献2には、毛髪に良好な指通り、および、適度なボリューム感を付与し、毛髪への染毛性、および、良好な色持ちを目的として、アミン化合物、α-ヒドロキシ酸、塩基性染料またはHC染料、シリコーンまたはシリコーン誘導体を含有するカラートリートメントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2019-64947号公報
【文献】特開2014-234371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の染毛料組成物は、良好な染色性と塩基性染料の経時安定性を示すことが開示されている。しかしながら、グリセリンを含有すると、毛髪にしっとり感を付与する反面、ボリューム感が低下する恐れがある。
【0011】
特許文献2の染毛料組成物は、毛髪に良好な指通りと適度なボリューム感を付与することが開示されている。しかしながら、高重合のシリコーンまたはシリコーン誘導体を含有しており、このような高重合のシリコーンまたはシリコーン誘導体は毛髪への残留性が非常に高い。そのため累積染毛によって毛髪に蓄積され、結果としてボリューム感の低下とごわつきが生じる恐れがある。
【0012】
同様に、一般的なカラートリートメントのpHは毛髪の等電点よりも高いことから、高いトリートメント性を有するカチオン性高分子も、毛髪への残留性が非常に高く、累積染毛によってボリューム感の低下とごわつきが生じる恐れがある。
【0013】
また、塩基性染料は、低温(本発明において、5℃を意味する)になると析出しやすいという性質がある。塩基性染料の析出は、ベースの外観色、および、染毛色の変化などを引き起こす恐れがある。そのため、低温での長期保管時における塩基性染料の析出を防ぐことも、カラートリートメントの処方設計において重要な課題である。
【0014】
そこで本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、低温での経時的な塩基性染料の析出がなく、染色性に優れ、かつ累積染毛後の毛髪にボリューム感、および、なめらかさを付与する染毛料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、染毛料組成物に、25℃での粘度が5~100cStのメチルポリシロキサン、炭化水素、カチオン性界面活性剤、および、炭素数2~6の二価アルコールを含有させることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、塩基性染料を含有する、毛髪の染毛に用いられる染毛料組成物であって、
(A)25℃での粘度が5~100cStのメチルポリシロキサン
(B)炭化水素
(C)塩化ステアリルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムから選ばれる1種以上
(D)炭素数2~6の二価アルコール
を含有し、前記(A)成分の含有量が3~7質量%であり、前記(B)成分の含有量が1~5質量%であり、前記(C)成分の含有量が0.5~3質量%であり、前記(D)成分の含有量が5~10質量%であり、かつカチオン性高分子の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする染毛料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の染毛料組成物は、低温での経時的な塩基性染料の析出がなく、染色性に優れ、かつ累積染毛後の毛髪にボリューム感、および、なめらかさを付与する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0019】
本発明による染毛料組成物は、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、(A)25℃での粘度が5~100cStのメチルポリシロキサンを含有する。
【0020】
本発明で用いられる前記(A)成分としては、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、25℃での粘度が5~100cStのものが好ましく、10~50cStのものがより好ましい。
【0021】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、3~7%が好ましい。前記(A)成分の含有量が3%未満の場合、あるいは7%を超える場合、累積染毛後の毛髪のボリューム感が十分に得られない恐れがある。
【0022】
本発明による染毛料組成物は、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、(B)炭化水素を含有する。
【0023】
本発明で用いられる前記(B)成分としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワランなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、流動パラフィンが好ましく、40℃での粘度が70cStの流動パラフィンがより好ましい。
【0024】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、1~5%が好ましい。前記(B)成分の含有量が1%未満の場合、あるいは5%を超える場合、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさが十分に得られない恐れがある。
【0025】
本発明による染毛料組成物は、染毛料組成物の乳化安定性、並びに、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、(C)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、および、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムから選ばれる1種以上を含有し、その中でも、累積染毛後の毛髪のなめらかさの観点から、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、染毛料組成物の乳化安定性、並びに、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、0.5~3%が好ましく、1~2.5%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が0.5%未満の場合、染毛料組成物の乳化安定性の低下、並びに、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさが損なわれる恐れがある。前記(C)成分の含有量が3%を超える場合、累積染毛後の毛髪のボリューム感が十分に得られない恐れがある。
【0027】
本発明による染毛料組成物は、低温での経時的な塩基性染料の析出の防止、および、染色性の観点から(D)炭素数2~6の二価アルコールを含有する。
【0028】
本発明で用いられる前記(D)成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコールなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、低温での経時的な塩基性染料の析出の防止の観点から、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコールが好ましい。
【0029】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、低温での経時的な塩基性染料の析出の防止、および、染色性の観点から、5~10%が好ましい。前記(D)成分の含有量が5%未満の場合、低温での経時的な塩基性染料の析出が起こる恐れ、および、染色性が低下する恐れがある。前記(D)成分が10%を超えて含有しても、それ以上の染色性の向上は期待できず、または、染色性の低下、および、累積染毛後の毛髪のボリューム感が十分に得られない恐れがある。
【0030】
本発明による染毛料組成物は、塩基性染料を含有する。
【0031】
本発明で用いられる塩基性染料としては、特に限定されないが、例えば、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性青75、塩基性青99、塩基性黄57などが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、白髪を黒髪に馴染ませる観点から、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤51が好ましく、この3種類を併用することがより好ましい。
【0032】
本発明で用いられる塩基性染料の含有量は、特に限定されないが、染色性、および、染毛時の皮膚への着色の観点から、0.001~0.5%が好ましい。塩基性染料の含有量が0.001%未満の場合、十分な染色性が得られない恐れがある。塩基性染料の含有が0.5%を超える場合、染毛時に皮膚への着色が起こる恐れがある。
【0033】
本発明による染毛料組成物は、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさの観点から、カチオン性高分子の含有量は0.1%以下であり、好ましくは含有しないことがよい。カチオン性高分子の含有量が0.1%を超える場合、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさが十分に得られない恐れがある。
【0034】
本発明で用いられるカチオン性高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガムなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる
【0035】
本発明による染毛料組成物は、上記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、直接染料、酸性染料、HC染料、界面活性剤、両性高分子、油性成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料等から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0036】
本発明による染毛料組成物は、その剤型がクリーム状または乳液状であることが好ましい。
【0037】
本発明による染毛料組成物の粘度は、容器からの出しやすさ、および、毛髪への塗布のしやすさの観点から、20℃の条件下で3,000~50,000mPa・s以下であることが好ましい。粘度が3,000mPa・s未満の場合、あるいは50,000mPa・sを超える場合、容器からの出しやすさ、および、毛髪への塗布のしやすさに難を生じる恐れがある。
【0038】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下での粘度は、常法にて調製して得られた染毛料組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、4号ローターにて1分間、回転速度12rpmの条件下で測定したものである。
【0039】
本発明による染毛料組成物のpHは、染色性、および、塩基性染料の安定性の観点から、20℃の条件下で4~6であることが好ましい。pHが4未満の場合、染色性が低下する恐れがある。pHが6を超える場合、塩基性染料の安定性が低下する恐れがある。
【0040】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下でのpHは、常法にて調製して得られた染毛料組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)にて測定したものである。
【0041】
本発明に用いられる染毛料組成物は、ポリ容器、アルミチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器、ジャー容器などの各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書に示す評価試験において、染毛料組成物に含まれる成分、および、含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0043】
<低温での経時的な塩基性染料の析出>
本明細書に示す「低温での経時的な塩基性染料の析出」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛料組成物を140gのサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填した後に、5℃条件下で保存し、光学顕微鏡(モデル:デジタルマイクロスコープVHX-6000、株式会社キーエンス製)を用いて、塩基性染料の析出の有無を1000倍に拡大して目視にて確認し、低温での経時的な塩基性染料の析出を以下に示すように評価した。
【0044】
<低温での経時的な塩基性染料の析出の評価基準>
5:5℃条件下3ヶ月以上経過しても塩基性染料の析出は確認されなかった。
4:5℃条件下3ヶ月未満で塩基性染料の析出が確認された。
3:5℃条件下2ヶ月未満で塩基性染料の析出が確認された。
2:5℃条件下1ヶ月未満で塩基性染料の析出が確認された。
1:5℃条件下14日未満で塩基性染料の析出が確認された。
【0045】
<染色性>
本明細書に示す「染色性」に係る評価試験においては、35℃の温水1gで濡らした100%ヤク毛(ビューラックス社製)1gに対し、常法にて調製して得られた染毛料組成物0.3gを塗布し、25℃にて5分間静置した後、35℃の温水で1分間洗い流し、ドライヤーを用いて乾燥させた。この染毛操作を7回繰り返し、染色性を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0046】
<染色性の評価基準>
濃い茶色に染まった :3点
やや濃い茶色に染まった:2点
やや薄い茶色に染まった:1点
薄い茶色に染まった :0点
【0047】
<染色性の評価結果>
5:25点~30点
4:20点~24点
3:15点~19点
2:10点~14点
1: 0点~9点
【0048】
<累積染毛後の毛髪のボリューム感>
本明細書に示す「累積染毛後の毛髪のボリューム感」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛料組成物25gを、35℃の温水で適度に塗らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、25℃にて5分間静置した後、35℃の温水で1分間洗い流し、ドライヤーを用いて乾燥させた。この染毛操作を7回繰り返し、累積染毛後の毛髪のボリューム感を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0049】
<累積染毛後の毛髪のボリューム感の評価基準>
ボリューム感がある :3点
ややボリューム感がある :2点
あまりボリューム感がない:1点
ボリューム感がない :0点
【0050】
<累積染毛後の毛髪のボリューム感の評価結果>
5:25点~30点
4:20点~24点
3:15点~19点
2:10点~14点
1: 0点~9点
【0051】
<累積染毛後の毛髪のなめらかさ>
本明細書に示す「累積染毛後の毛髪のなめらかさ」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛料組成物25gを、35℃の温水で適度に塗らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、25℃にて5分間静置した後、35℃の温水で1分間洗い流し、ドライヤーを用いて乾燥させた。この染毛操作を7回繰り返し、累積染毛後の毛髪のなめらかさを、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0052】
<累積染毛後の毛髪のなめらかさの評価基準>
なめらかさがある :3点
ややなめらかさがある :2点
あまりなめらかさがない:1点
なめらかさがない :0点
【0053】
<累積染毛後の毛髪のなめらかさの評価結果>
5:25点~30点
4:20点~24点
3:15点~19点
2:10点~14点
1: 0点~9点
【0054】
表1の実施例1~実施例6では、前記(A)成分の種類、および、含有量を代えても、比較例1~比較例5と比較して、良好な累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさを示す結果が得られた。
【0055】
【0056】
表2の実施例7~実施例13では、前記(B)成分の種類、および、含有量を代えても、比較例6~比較例10と比較して、良好な累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさを示す結果が得られた。
【0057】
【0058】
表3の実施例14~実施例18では、前記(C)成分の種類、および、含有量を代えても、比較例11~比較例15と比較して、良好な累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさを示す結果が得られた。
【0059】
【0060】
表4の実施例19~実施例23では、前記(D)成分の種類、および、含有量を代えても、比較例16~比較例19と比較して、低温での経時的な塩基性染料の析出なく、良好な染色性、並びに、累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさを示す結果が得られた。
【0061】
【0062】
表5の実施例24および実施例25では、カチオン化高分子の含有量が0.1%以下の場合、比較例20および比較例21と比較して、良好な累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさを示す結果が得られた。
【0063】
【0064】
下記に染毛料組成物の処方例を示す。以下の染毛料組成物は、低温での経時的な塩基性染料の析出がなく、良好な染色性と累積染毛後の毛髪のボリューム感、および、なめらかさを示す結果が得られた。
【0065】
<処方例>
含有量(質量%)
メチルポリシロキサン(10cSt/25℃) 5.00%
流動パラフィン(70cSt/40℃) 2.50%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.80%
エチレングリコール 5.00%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
塩基性青75 0.01%
塩基性赤51 0.01%
塩基性茶16 0.10%
セチルアルコール 5.00%
クエン酸 0.02%
クエン酸Na 0.15%
メチルパラベン 0.20%
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.10%
エタノール 0.60%
ローヤルゼリーエキス 0.10%
ツバキ花エキス 0.10%
ヒバマタエキス 0.10%
ホホバ種子油 0.10%
香料 0.30%
水 75.81%
合計 100.00%
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、低温での経時的な塩基性染料の析出がなく、染色性に優れ、かつ累積染毛後の毛髪にボリューム感、および、なめらかさを付与する染毛料組成物を提供することができる。