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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】倍力機構付きシリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240216BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B23Q3/06 302A
F15B15/14 375
F15B15/14 345Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020029299
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021133437
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】吉村 画
(72)【発明者】
【氏名】長尾 哲也
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/122039(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/054503(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/167169(WO,A1)
【文献】特開2014-095391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
F15B15/00-15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)に軸方向へ移動可能に挿入される出力ロッド(2)と、
前記ハウジング(1)内に配置される倍力用のピストン(22)であって、前記出力ロッド(2)に前記出力ロッド(2)の前記軸方向へ移動可能に外嵌された環状のピストン(22)と、
前記出力ロッド(2)を前記ピストン(22)によって倍力駆動するための倍力機構(20)と、
を備え、
前記倍力機構(20)は、
第1倍力機構(23)と、
倍力駆動の作動開始時期が、前記第1倍力機構(23)による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構(24)と、で構成される、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項2】
請求項1の倍力機構付きシリンダ装置において、
前記第1倍力機構(23)は、
前記出力ロッド(2)の外周面に設けられた第1凹部(25)と、
前記ハウジング(1)に設けられた第1受圧部(29)と、
前記第1凹部(25)と前記第1受圧部(29)との間に前記出力ロッド(2)の径方向の内方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第1係合部材(31)と、
前記第1係合部材(31)を前記径方向の内方へ押すように前記ピストン(22)に設けられた第1倍力面(32)と、を有し、
前記第2倍力機構(24)は、
前記出力ロッド(2)の外周面に設けられた第2凹部(36)と、
前記ハウジング(1)に設けられた第2受圧部(38)と、
前記第2凹部(36)と前記第2受圧部(38)との間に前記出力ロッド(2)の径方向の内方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第2係合部材(39)と、
前記第2係合部材(39)を前記径方向の内方へ押すように前記ピストン(22)に設けられた第2倍力面(40)と、
を有し、
前記第2凹部(36)のロック駆動側の凹部端(P2)が前記第1凹部(25)のロック駆動側の凹部端(P1)よりも前記軸方向においてリリース駆動側に位置することで、倍力駆動の作動開始時期が、前記第1倍力機構(23)による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構(24)とされている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項3】
請求項2の倍力機構付きシリンダ装置において、
前記第2倍力面(40)のリリース駆動側の倍力端(B2)が前記第1倍力面(32)のリリース駆動側の倍力端(B1)よりも前記軸方向においてロック駆動側に位置する、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項4】
請求項3の倍力機構付きシリンダ装置において、
前記第2倍力面(40)、前記軸方向に対する傾斜角度が前記第2倍力面(40)の傾斜角度よりも大きな第2押面(41)、および前記軸方向に対する傾斜角度が前記第2倍力面(40)の傾斜角度よりも小さな保持面(42)が前記ピストン(22)にこの順で設けられており、
前記第2倍力面(40)、前記第2押面(41)、および前記保持面(42)が、前記ピストン(22)の内周に設けられた前記軸方向に延びる内周溝(43)の底面によって構成され、
リリース状態において、前記保持面(42)と前記出力ロッド(2)の外周面との間で前記第2係合部材(39)が保持される、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかの倍力機構付きシリンダ装置において、
前記ピストン(22)を直進させる直進ガイド機構(26)が設けられている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかの倍力機構付きシリンダ装置において、
複数の前記第1係合部材(31)および複数の前記第2係合部材(39)が、前記出力ロッド(2)の周方向において等間隔で且つ交互に配置されている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項7】
請求項1の倍力機構付きシリンダ装置において、
前記第1倍力機構(23)は、
前記ハウジング(1)のシリンダ孔の内周面に設けられた第1凹部(69)と、
前記出力ロッド(2)の一部として構成される出力部材(74)に設けられた第1受圧部(71)と、
前記第1凹部(69)と前記第1受圧部(71)との間に前記出力ロッド(2)の径方向の外方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第1係合部材(31)と、
前記第1係合部材(31)を前記径方向の外方へ押すように前記ピストン(22)に設けられた第1倍力面(32)と、を有し、
前記第2倍力機構(24)は、
前記シリンダ孔の内周面に設けられた第2凹部(66)と、
前記出力部材(74)に設けられた第2受圧部(68)と、
前記第2凹部(66)と前記第2受圧部(68)との間に前記出力ロッド(2)の径方向の外方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第2係合部材(39)と、
前記第2係合部材(39)を前記径方向の外方へ押すように前記ピストン(22)に設けられた第2倍力面(40)と、
を有し、
前記第2凹部(66)のリリース駆動側の凹部端(P2)が前記第1凹部(69)のリリース駆動側の凹部端(P1)よりも前記軸方向においてロック駆動側に位置し、且つ、前記第2受圧部(68)が前記第1受圧部(71)よりも前記軸方向においてロック駆動側に位置することで、倍力駆動の作動開始時期が、前記第1倍力機構(23)による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構(24)とされている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項8】
請求項7の倍力機構付きシリンダ装置において、
前記第1受圧部(71)が、前記出力部材(74)の筒部(74a)に設けられた第1孔(70)の内周面の一部として構成され、
前記第2受圧部(68)が、前記出力部材(74)の筒部(74a)に設けられた第2孔(67)の内周面の一部として構成され、
前記第1孔(70)に前記第1係合部材(31)が配置されると共に、前記第2孔(67)に前記第2係合部材(39)が配置されている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項9】
請求項7または8の倍力機構付きシリンダ装置において、
前記出力ロッド(2)に対して前記ピストン(22)が回ることを防止する回り止め機構(61)が設けられている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかの倍力機構付きシリンダ装置において、
複数の前記第1係合部材(31)および複数の前記第2係合部材(39)が、前記出力ロッド(2)の周方向において等間隔で且つ交互に配置されている、
倍力機構付きシリンダ装置。
【請求項11】
請求項から10のいずれかの倍力機構付きシリンダ装置において、
前記第1係合部材(31)および前記第2係合部材(39)が係合ボールである、
倍力機構付きシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倍力機構付きシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
倍力機構付きシリンダ装置として、従来では、下記の特許文献1に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
【0003】
ハウジングに出力ロッドが上下移動可能に挿入される。そのハウジングの上部内に挿入された第1ピストンが出力ロッドに固定され、ハウジングの下部内に挿入された第2ピストンが出力ロッドに上下移動可能に外嵌される。出力ロッドのロック駆動工程においてロック室に圧力流体を供給すると、まず、第1ピストンが出力ロッドを上方へ駆動し、次いで、第2ピストンが係合ボールなどを有する倍力機構を介して出力ロッドを上方へ倍力駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-111025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術には次の問題がある。上記の倍力機構付きシリンダ装置は、倍力駆動のストロークが短い。この倍力機構付きシリンダ装置がクランプ装置として用いられたとする。クランプ対象物であるワークの高さが様々であると、一のワークをその上方から倍力で強力にクランプできたとしても、高さが異なる他のワークの場合、倍力駆動のストロークが短いためにワークを確実にクランプできないことがある。
【0006】
本発明の目的は、倍力駆動のストロークを長くすることができる構成の倍力機構付きシリンダ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1から図14に示すように、倍力機構付きシリンダ装置を次のように構成した。
【0008】
本発明の一実施形態のシリンダ装置は、ハウジング1と、前記ハウジング1に軸方向へ移動可能に挿入される出力ロッド2と、前記ハウジング1内に配置される倍力用のピストン22であって、前記出力ロッド2に前記出力ロッド2の前記軸方向へ移動可能に外嵌された環状のピストン22と、前記出力ロッド2を前記ピストン22によって倍力駆動するための倍力機構20と、を備える。前記倍力機構20は、第1倍力機構23と、倍力駆動の作動開始時期が、前記第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24と、で構成される。
【0009】
本発明のシリンダ装置は次の作用効果を奏する。倍力駆動の作動開始時期がずらされた複数の倍力機構を備える構成としたことで、倍力駆動のストロークを長くすることができる。また、共通のピストンで、倍力駆動の作動開始時期がずらされた複数の倍力機構が動作するので、複数のピストンで倍力するよりも、シリンダ装置をコンパクトなものにすることができる。また、共通のピストンで複数の倍力機構が動作するので、第1、第2倍力機構の両方が動作しているときと、いずれか一方のみの倍力機構が単独で動作しているときとで倍力駆動力が変化せず、倍力駆動のストローク範囲において、一定の倍力駆動力を発生させることができる。
【0010】
上記シリンダ装置において、例えば、図1から図6、および図8に示すようなシリンダ装置としてもよい。すなわち、前記第1倍力機構23は、前記出力ロッド2の外周面に設けられた第1凹部25と、前記ハウジング1に設けられた第1受圧部29と、前記第1凹部25と前記第1受圧部29との間に前記出力ロッド2の径方向の内方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第1係合部材31と、前記第1係合部材31を前記径方向の内方へ押すように前記ピストン22に設けられた第1倍力面32と、を有し、前記第2倍力機構24は、前記出力ロッド2の外周面に設けられた第2凹部36と、前記ハウジング1に設けられた第2受圧部38と、前記第2凹部36と前記第2受圧部38との間に前記出力ロッド2の径方向の内方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第2係合部材39と、前記第2係合部材39を前記径方向の内方へ押すように前記ピストン22に設けられた第2倍力面40と、を有し、前記第2凹部36のロック駆動側の凹部端P2が前記第1凹部25のロック駆動側の凹部端P1よりも前記軸方向においてリリース駆動側に位置することで、倍力駆動の作動開始時期が、前記第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24とされていてもよい。
【0011】
この構成によると、倍力駆動の作動開始時期がずらされた複数の倍力機構を容易に形成することができる。
【0012】
また、上記シリンダ装置において、前記第2倍力面40のリリース駆動側の倍力端B2が前記第1倍力面32のリリース駆動側の倍力端B1よりも前記軸方向においてロック駆動側に位置されていてもよい。この構成によると、倍力駆動のストロークをより長くすることができる。
【0013】
また、上記シリンダ装置において、前記第2倍力面40、前記軸方向に対する傾斜角度が前記第2倍力面40の傾斜角度よりも大きな第2押面41、および前記軸方向に対する傾斜角度が前記第2倍力面40の傾斜角度よりも小さな保持面42が前記ピストン22にこの順で設けられており、前記第2倍力面40、前記第2押面41、および前記保持面42が、前記ピストン22の内周に設けられた前記軸方向に延びる内周溝43の底面によって構成され、リリース状態において、前記保持面42と前記出力ロッド2の外周面との間で前記第2係合部材39が保持されてもよい。この構成によると、リリース状態において、第2係合部材が不用意に動いてしまうことを防止することができる。
【0014】
また、上記シリンダ装置において、前記ピストン22を直進させる直進ガイド機構26が設けられていてもよい。この構成によると、出力ロッドが旋回するような場合であっても、ピストンを確実に直進させることができる。
【0015】
また、上記シリンダ装置において、複数の前記第1係合部材31および複数の前記第2係合部材39が、前記出力ロッド2の周方向において等間隔で且つ交互に配置されてもよい。この構成によると、第1倍力機構による倍力駆動力、および第2倍力機構による倍力駆動力を、バランス良く出力ロッドに作用させることができる。
【0016】
上記シリンダ装置において、例えば、図9から図14に示すようなシリンダ装置としてもよい。すなわち、前記第1倍力機構23は、前記ハウジング1のシリンダ孔の内周面に設けられた第1凹部69と、前記出力ロッド2の一部として構成される出力部材74に設けられた第1受圧部71と、前記第1凹部69と前記第1受圧部71との間に前記出力ロッド2の径方向の外方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第1係合部材31と、前記第1係合部材31を前記径方向の外方へ押すように前記ピストン22に設けられた第1倍力面32と、を有し、前記第2倍力機構24は、前記シリンダ孔の内周面に設けられた第2凹部66と、前記出力部材74に設けられた第2受圧部68と、前記第2凹部66と前記第2受圧部68との間に前記出力ロッド2の径方向の外方へ狭くなるように形成される楔空間に押し込まれる第2係合部材39と、前記第2係合部材39を前記径方向の外方へ押すように前記ピストン22に設けられた第2倍力面40と、を有し、前記第2凹部66のリリース駆動側の凹部端P2が前記第1凹部69のリリース駆動側の凹部端P1よりも前記軸方向においてロック駆動側に位置し、且つ、前記第2受圧部68が前記第1受圧部71よりも前記軸方向においてロック駆動側に位置することで、倍力駆動の作動開始時期が、前記第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24とされていてもよい。
【0017】
この構成によると、倍力駆動の作動開始時期がずらされた複数の倍力機構を容易に形成することができる。
【0018】
また、上記シリンダ装置において、前記第1受圧部71が、前記出力部材74の筒部74aに設けられた第1孔70の内周面の一部として構成され、前記第2受圧部68が、前記出力部材74の筒部74aに設けられた第2孔67の内周面の一部として構成され、前記第1孔70に前記第1係合部材31が配置されると共に、前記第2孔67に前記第2係合部材39が配置されてもよい。この構成によると、第1係合部材および第2係合部材が不用意に動いてしまうことを防止することができる。
【0019】
また、上記シリンダ装置において、前記出力ロッド2に対して前記ピストン22が回ることを防止する回り止め機構61が設けられていてもよい。この構成によると、出力ロッドが旋回するような場合に、ピストンを出力ロッドと一体的に旋回させることができる。
【0020】
また、上記シリンダ装置において、複数の前記第1係合部材31および複数の前記第2係合部材39が、前記出力ロッド2の周方向において等間隔で且つ交互に配置されてもよい。この構成によると、第1倍力機構による倍力駆動力、および第2倍力機構による倍力駆動力を、バランス良く出力ロッドに作用させることができる。
【0021】
また、図1から図14に示すようなシリンダ装置において、前記第1係合部材31および前記第2係合部材39が係合ボール(球体)とされてもよい。この構成によると、第1倍力機構および第2倍力機構の作動がより安定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の倍力機構付きシリンダ装置によると、倍力駆動のストロークを長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示し、シリンダ装置のリリース状態における側面視の断面図であり、旋回式のクランプアームの退避状態を示す。
図2図2は、上記シリンダ装置の、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態の側面視の断面図であり、クランプアームの旋回終了状態を示す。
図3図3は、上記シリンダ装置の、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態の側面視の断面図であり、第1倍力機構が作動開始した状態を示す。
図4図4は、上記シリンダ装置の、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態の側面視の断面図であり、第2倍力機構が作動開始した状態を示す。
図5図5は、図4のA-A断面図である。
図6図6は、上記シリンダ装置のロック状態における側面視の断面図である。
図7図7は、第1実施形態の変形例を示す図であって、図6に対応する図である。
図8図8は、第1実施形態の変形例を示す図であって、図6に対応する図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態を示し、シリンダ装置のリリース状態における側面視の断面図であり、旋回式のクランプアームの退避状態を示す。
図10図10は、上記シリンダ装置の、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態の側面視の断面図であり、クランプアームの旋回終了状態を示す。
図11図11は、上記シリンダ装置の、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態の側面視の断面図であり、第1倍力機構が作動開始した状態を示す。
図12図12は、上記シリンダ装置の、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態の側面視の断面図であり、第2倍力機構が作動開始した状態を示す。
図13図13は、上記シリンダ装置のロック状態における側面視の断面図である。
図14図14は、第2実施形態の変形例を示す図であって、図13に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から図6は、本発明の第1実施形態を示す。この実施形態の倍力機構付きシリンダ装置(以下、「シリンダ装置」と記載する)は、出力ロッドがその軸回りに旋回し、且つ出力ロッドをハウジング内へ引き込むことでクランプ対象物(例えば、ワークW)をロックするタイプのシリンダ装置である。図1から図6によって第1実施形態のシリンダ装置の構成を説明する。
【0025】
テーブル等の固定台Tにハウジング1が取り付けられる。ハウジング1に出力ロッド2がその軸方向へ移動可能に挿入される。ハウジング1は、ハウジング本体3と下端壁4とで構成され、下端壁4はハウジング本体3の底部に固定される。ハウジング本体3の上端壁3aに設けられた上部孔5、および上端壁3aから下向きに突出する筒部3bに出力ロッド2の上側部分が支持される。また、下端壁4に設けられた下部孔6に出力ロッド2の下側部分が支持される。上端壁3aよりも上方へ出力ロッド2が突出され、その先端部にクランプアーム44の一端部がナット45で固定される。クランプアーム44の他端部にはロッド部材46がナット47で固定される。なお、図1等の側面視の断面図において、図中の上方へ向かう方向が出力ロッド2のリリース駆動方向であり、図中の下方へ向かう方向が出力ロッド2のロック駆動方向である。
【0026】
ハウジング本体3の内周面にストッパ部としての止め輪7が装着され、止め輪7の下側に第1シリンダ孔11が、止め輪7の上側に第2シリンダ孔12が形成される。上記第1シリンダ孔11に第1ピストン21が外封止部材8を介して保密状に挿入される。この第1ピストン21は、内封止部材9を介して保密状に止め輪10によって出力ロッド2に固定される。また、上記第2シリンダ孔12に倍力用の環状の第2ピストン(出力ロッド2を倍力駆動するピストン)22が外封止部材34を介して保密状に挿入される。この第2ピストン22は、出力ロッド2にその軸方向へ移動可能に内封止部材35を介して保密状に外嵌される。
【0027】
上記第2ピストン22を第2シリンダ孔12内で直進させる直進ガイド機構26が設けられる。この直進ガイド機構26は、第2ピストン22の外周面に設けられた軸方向に延びるガイド溝27と、ガイド溝27に配置されたガイドボール28とで構成される。ガイドボール28はハウジング本体3の内面に嵌め込まれる。
【0028】
上記第1ピストン21と第2ピストン22との間にロック室13が形成される。このロック室13には、ロック通路14を経由してロックポート(不図示)からロック用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。また、第1ピストン21の下側に第1リリース室15が形成されると共に、第2ピストン22の上側に第2リリース室16が形成される。この第2リリース室16には、リリース通路18を経由してリリースポート19からリリース用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。第2リリース室16と第1リリース室15とは、出力ロッド2内に形成された連通路17によって接続される。
【0029】
上記第2リリース室16に、出力ロッド2を第2ピストン22によって倍力駆動するための倍力機構20が設けられる。倍力機構20は、ロック室13に供給された圧縮空気が第2ピストン22を上方へ押す力を、下方への力に反転させると共に倍力変換して出力ロッド2に伝達するように構成される。この倍力機構20は、第1倍力機構23と、倍力駆動の作動開始時期が、第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24とで構成される。
【0030】
第1倍力機構23は次のように構成される。
【0031】
出力ロッド2の外周面に伝達部としての第1凹部25が設けられる。ハウジング本体3を構成する前記筒部3bの先端部(下端部)に下方(先端側)が開口した第1横溝30が設けられ、この第1溝30に第1係合部材としての第1係合ボール31が配置される。第1溝30の底に第1受圧部29が設けられる。
【0032】
上記第1係合ボール31を出力ロッド2の径方向の内方へ押すように、第2ピストン22に第1倍力面32が設けられる。また、第1倍力面32の上側には、第1押面33が第1倍力面32に連ねて設けられる。
【0033】
第2ピストン22に設けられた上記第1倍力面32および第1押面33はいずれもテーパ状の傾斜面であり、軸方向に対する傾斜角度は、第1倍力面32よりも第1押面33の方が大きい。
【0034】
本実施形態では、図5に示すように、3つの第1凹部25が出力ロッド2の周方向においてその外周面に等間隔で設けられると共に、3つの第1係合ボール31が出力ロッド2の周方向において等間隔で配置されている。
【0035】
第2倍力機構24は次のように構成される。
【0036】
出力ロッド2の外周面に伝達部としての第2凹部36が設けられる。ハウジング本体3を構成する前記筒部3bの先端部(下端部)に下方(先端側)が開口した第2横溝37が設けられ、この第2溝37の底に第2受圧部38が設けられる。
【0037】
後述する第2係合ボール39を出力ロッド2の径方向の内方へ押すように、第2ピストン22に第2倍力面40が設けられる。また、第2倍力面40の上側に第2押面41が、さらにその上側に保持面42が、この順で第2倍力面40に連ねて設けられる。
【0038】
第2ピストン22に設けられた上記第2倍力面40、第2押面41、および保持面42は、いずれも傾斜面であり、第2押面41の軸方向に対する傾斜角度は第2倍力面40の傾斜角度よりも大きい。保持面42の軸方向に対する傾斜角度は第2倍力面40の傾斜角度よりも小さい。
【0039】
第2ピストン22の内周には、軸方向に延びる内周溝43が設けられており、上記第2倍力面40、第2押面41、および保持面42は、この内周溝43の底面が構成する。また、この内周溝43に第2係合部材としての第2係合ボール39が配置される。
【0040】
図1に示すリリース状態において、上記保持面42と出力ロッド2の外周面との間で第2係合ボール39が保持される。保持面42の先端部にピン57が固定されており、このピン57によって第2係合ボール39が抜け出ないようにされている。
【0041】
本実施形態では、図5に示すように、3つの第2凹部36が出力ロッド2の周方向においてその外周面に等間隔で設けられると共に、3つの第2係合ボール39が出力ロッド2の周方向において等間隔で配置されている。
【0042】
第1係合ボール31と第2係合ボール39との関係においては、複数の第1係合ボール31および複数の第2係合ボール39が出力ロッド2の周方向において等間隔で且つ交互に配置されている。また、第1係合ボール31の大きさ(径)と第2係合ボール39の大きさ(径)とは等しい。
【0043】
ここで、第1倍力機構23を構成する第1凹部25のロック駆動側の凹部端P1は、第1凹部25の下端であり、同様に、第2倍力機構24を構成する第2凹部36のロック駆動側の凹部端P2は、第2凹部36の下端である。
【0044】
上記凹部端P2は、上記凹部端P1よりも出力ロッド2の軸方向において上方、すなわち出力ロッド2のリリース駆動側に位置される。
【0045】
また、第2ピストン22に設けられた第2倍力面40のリリース駆動側の倍力端B2は、第1倍力面32のリリース駆動側の倍力端B1よりも出力ロッド2の軸方向において下方、すなわち出力ロッド2のロック駆動側に位置される。
【0046】
本実施形態では、ハウジング1を構成する下端壁4と出力ロッド2の下端部とに公知の旋回機構48が設けられる。この旋回機構48は次のように構成される。
【0047】
出力ロッド2の下端部の外周面にガイド溝49が設けられる。ガイド溝49は、螺旋状の旋回溝49aと直進溝49bとで構成される。ガイド溝49に嵌合される案内ボール50が、下端壁4から上向きに突出する筒部4aに設けられた貫通孔51に挿入される。この案内ボール50に回転スリーブ52が外嵌めされる。なお、ガイド溝49は、出力ロッド2の周方向において等間隔で複数設けられる。
【0048】
上記構成のシリンダ装置は次のように動作する。
【0049】
図1に示すリリース状態では、ロック室13から圧縮空気が排出されると共に第1リリース室15および第2リリース室16に圧縮空気が供給されている。これにより、第2リリース室16の圧縮空気が第2ピストン22を下方へ押すと共に、第1リリース室15の圧縮空気が第1ピストン21を上方へ押している。これにより、クランプアーム44は退避状態とされている。
【0050】
図1に示すリリース状態から図6に示すロック状態へ切り換えるときは、第1リリース室15および第2リリース室16の圧縮空気を排出すると共にロック室13に圧縮空気を供給する。なお、図2から図4は、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態を、順に示す図である。
【0051】
ロック室13に圧縮空気が供給されると、ロック室13の圧縮空気が第1ピストン21を下方へ押すと共に第2ピストン22を上方へ押す。これにより、図2に示すように、圧縮空気の圧力を受ける第1ピストン21によって出力ロッド2が下降する。このとき、旋回機構48を構成する案内ボール50および旋回溝49aによって、出力ロッド2およびクランプアーム44は旋回しながら下降する。なお、図1から図2の状態への移行では、第2ピストン22は第1係合ボール31を介して第1受圧部29に受け止められた状態であるので、第2ピストン22は上昇しない。
【0052】
本実施形態では、旋回溝49aによって出力ロッド2およびクランプアーム44は120度旋回するようにされている。そのため、図2に示すクランプアーム44の旋回終了状態において、出力ロッド2は図1の状態から120度旋回している。よって、その出力ロッド2の外周面に設けられた図2に示す第1凹部25および第2凹部36は、それぞれ、図1に示す第1凹部25および第2凹部36の1つ隣り(120度隣り)の凹部である。なお、第2ピストン22は、直進ガイド機構26によって回転が阻止されているので回転しない。
【0053】
出力ロッド2が下降していくと、図2に示すように、第1凹部25と第1受圧部29との間に出力ロッド2の径方向の内方へ狭くなる楔空間が形成され、第2ピストン22に設けられた第1押面33が第1係合ボール31を上記楔空間に押し出して第1倍力駆動が開始される。図3に示すように、第2ピストン22に設けられた第1倍力面32が第1係合ボール31を上記楔空間に押し込み、これにより、第2ピストン22に作用する上向きの推進力が、第1倍力面32と第1係合ボール31と第1受圧部29と第1凹部25とによって、下向きに倍力変換されて出力ロッド2が下向きに強力に駆動される。
【0054】
なお、出力ロッド2およびクランプアーム44は、旋回終了後、案内ボール50および直進溝49bによって直進下降する。
【0055】
出力ロッド2がさらに下降すると、図4に示すように、第2凹部36と第2受圧部38との間にも出力ロッド2の径方向の内方へ狭くなる楔空間が形成され、第2ピストン22に設けられた第2押面41が第2係合ボール39を上記楔空間に押し出して第2倍力駆動が開始される。第2ピストン22に設けられた第2倍力面40が第2係合ボール39を上記楔空間に押し込み、これにより、第2ピストン22に作用する上向きの推進力が、第2倍力面40と第2係合ボール39と第2受圧部38と第2凹部36とによって、下向きに倍力変換されて出力ロッド2が下向きに強力に駆動される。
【0056】
なお、第1倍力機構23および第2倍力機構24は共通の第2ピストン22によって動作するので、第1倍力機構23と第2倍力機構24とが両方動作しているときの倍力駆動力と、第1倍力機構23または第2倍力機構24が単独で動作しているときの倍力駆動力とは等しい。すなわち、第1倍力機構23のみが動作している図3の状態から、第1倍力機構23および第2倍力機構24の両方が動作している図4の状態へと移行しても倍力駆動力は変化しない。
【0057】
出力ロッド2がさらに下降すると、図6に示すように、クランプアーム44の先端部に固定されたロッド部材46がワークWを固定台Tに対して上方から押圧し、これによりワークWはロックされる。この図6に示すロック状態では、第1倍力機構23を構成する第1係合ボール31は第1受圧部29から離間している。そのため、図6に示すロック状態では、第2倍力機構24による倍力駆動力と第1ピストン21による押し下げ力との合力でワークWはロックされる。なお、上記のように、第1倍力機構23と第2倍力機構24とが両方動作しているときの倍力駆動力と、第1倍力機構23または第2倍力機構24が単独で動作しているときの倍力駆動力とは等しいので、図4の状態から図6のロック状態へと移行しても倍力駆動力は変化しない。
【0058】
図6に示すロック状態から図1に示すリリース状態へ切り換えるときは、ロック室13の圧縮空気を排出すると共に第1リリース室15および第2リリース室16に圧縮空気を供給する。これにより、第2リリース室16の圧縮空気が第2ピストン22を下方へ押すと共に、第1リリース室15の圧縮空気が第1ピストン21を上方へ押し、図1に示すリリース状態に戻る。
【0059】
図7は、第1実施形態の変形例を示す。
【0060】
第1実施形態では、第2倍力機構24を構成する第2凹部36の凹部端P2が、第1倍力機構23を構成する第1凹部25の凹部端P1よりも出力ロッド2の軸方向において上方とされることで、第2倍力機構24による倍力駆動の作動開始時期が、第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅くなるように構成されている。これに対して、図7に示す変形例のシリンダ装置では、第2係合ボール39の大きさ(径)が第1係合ボール31の大きさ(径)よりも大きくされることで、第2倍力機構24による倍力駆動の作動開始時期が、第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅くなるように構成されている。
【0061】
図8は、第1実施形態の変形例を示す。
【0062】
第1実施形態のシリンダ装置は、出力ロッド2をハウジング1内へ引き込むことでワークWをロックするタイプのシリンダ装置である。これに対して、図8に示す変形例のシリンダ装置は、出力ロッド2をハウジング1内から押し出すことでワークWをロックするタイプのシリンダ装置である。また、第1実施形態のシリンダ装置は旋回機構48を備えるが、本変形例のシリンダ装置は旋回機構を備えない。
【0063】
本変形例のシリンダ装置の構成を説明する。
【0064】
ハウジング1の上端壁1aに設けられた上部孔5に出力ロッド2の上側部分が支持される。また、ハウジング1の下端壁1bに設けられた下部孔6に出力ロッド2の下側部分が支持される。上端壁1aよりも上方へ出力ロッド2が突出され、その先端部にクランプアーム44の一端部がピン53で回動可能に固定される。クランプアーム44の中途部にリンク部材54の一端部がピン55で回動可能に固定され、リンク部材54の他端部はハウジング1の上端壁1aにピン56で回動可能に固定される。なお、図8において、図中の上方へ向かう方向が出力ロッド2のロック駆動方向であり、図中の下方へ向かう方向が出力ロッド2のリリース駆動方向である。
【0065】
ハウジング1の内周面にストッパ部としての止め輪7が装着され、止め輪7の上側に第1シリンダ孔11が、止め輪7の下側に第2シリンダ孔12が形成される。上記第1シリンダ孔11に第1ピストン21が外封止部材8を介して保密状に挿入される。この第1ピストン21は出力ロッド2と一体形成されることで出力ロッド2に固定されている。また、上記第2シリンダ孔12に倍力用の環状の第2ピストン(出力ロッド2を倍力駆動するピストン)22が外封止部材34を介して保密状に挿入される。この第2ピストン22は、出力ロッド2にその軸方向へ移動可能に内封止部材35を介して保密状に外嵌される。
【0066】
上記第1ピストン21と第2ピストン22との間にロック室13が形成される。このロック室13には、ロック通路14を経由してロックポート(不図示)からロック用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。また、第1ピストン21の上側に第1リリース室15が形成されると共に、第2ピストン22の下側に第2リリース室16が形成される。第1リリース室15には、リリース通路18を経由してリリースポート19からリリース用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。第1リリース室15と第2リリース室16とは、出力ロッド2内に形成された連通路17によって接続される。
【0067】
上記第2リリース室16に、出力ロッド2を第2ピストン22によって倍力駆動するための倍力機構20が設けられる。倍力機構20は、ロック室13に供給された圧縮空気が第2ピストン22を下方へ押す力を、上方への力に反転させると共に倍力変換して出力ロッド2に伝達するように構成される。この倍力機構20は、第1倍力機構23と、倍力駆動の作動開始時期が、第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24とで構成される。
【0068】
第1倍力機構23は次のように構成される。
【0069】
出力ロッド2の外周面に伝達部としての第1凹部25が設けられる。ハウジング1の下端壁1bから上向きに突出する筒部58の先端部(上端部)に上方(先端側)が開口した第1横溝30が設けられ、この第1溝30に第1係合部材としての第1係合ボール31が配置される。第1溝30の底に第1受圧部29が設けられる。
【0070】
上記第1係合ボール31を出力ロッド2の径方向の内方へ押すように、第2ピストン22に第1倍力面32が設けられる。また、第1倍力面32の下側には、第1押面33が第1倍力面32に連ねて設けられる。
【0071】
第2ピストン22に設けられた上記第1倍力面32および第1押面33はいずれもテーパ状の傾斜面であり、軸方向に対する傾斜角度は、第1倍力面32よりも第1押面33の方が大きい。
【0072】
第2倍力機構24は次のように構成される。
【0073】
出力ロッド2の外周面に伝達部としての第2凹部36が設けられる。ハウジング1を構成する前記筒部58の先端部(上端部)に上方(先端側)が開口した第2横溝37が設けられ、この第2溝37の底に第2受圧部38が設けられる。
【0074】
第2係合ボール39を出力ロッド2の径方向の内方へ押すように、第2ピストン22に第2倍力面40が設けられる。また、第2倍力面40の下側に第2押面41が、さらにその下側に保持面42が、この順で第2倍力面40に連ねて設けられる。
【0075】
第2ピストン22に設けられた上記第2倍力面40、第2押面41、および保持面42は、いずれも傾斜面であり、第2押面41の軸方向に対する傾斜角度は第2倍力面40の傾斜角度よりも大きい。保持面42の軸方向に対する傾斜角度は第2倍力面40の傾斜角度よりも小さい。
【0076】
第2ピストン22の内周には、軸方向に延びる内周溝43が設けられており、上記第2倍力面40、第2押面41、および保持面42は、この内周溝43の底面が構成する。また、この内周溝43に第2係合部材としての第2係合ボール39が配置される。
【0077】
リリース状態において、上記保持面42と出力ロッド2の外周面との間で第2係合ボール39が保持される。
【0078】
ここで、第1倍力機構23を構成する第1凹部25のロック駆動側の凹部端P1は、第1凹部25の上端であり、同様に、第2倍力機構24を構成する第2凹部36のロック駆動側の凹部端P2は、第2凹部36の上端である。
【0079】
上記凹部端P2は、上記凹部端P1よりも出力ロッド2の軸方向において下方、すなわち出力ロッド2のリリース駆動側に位置される。
【0080】
また、第2ピストン22に設けられた第2倍力面40のリリース駆動側の倍力端B2は、第1倍力面32のリリース駆動側の倍力端B1よりも出力ロッド2の軸方向において上方、すなわち出力ロッド2のロック駆動側に位置される。
【0081】
本変形例のシリンダ装置は、出力ロッド2、第1ピストン21、および第2ピストン22の動きが、第1実施形態のシリンダ装置の場合と上下逆であり、且つ出力ロッド2は旋回しない。これらの点を除くと、本変形例のシリンダ装置の各部の動きと、第1実施形態のシリンダ装置の各部の動きとは同様である。よって、本変形例のシリンダ装置の動作説明は省略する。
【0082】
図9から図13は、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態のシリンダ装置は、出力ロッド2がその軸回りに旋回し、且つ出力ロッド2をハウジング1内へ引き込むことでワークWをロックするタイプのシリンダ装置ということで、第1実施形態のシリンダ装置と共通する。
【0083】
第2実施形態のシリンダ装置の構成を説明する。
【0084】
テーブル等の固定台Tにハウジング1が取り付けられる。ハウジング1に出力ロッド2がその軸方向へ移動可能に挿入される。ハウジング1は、ハウジング本体3と下端壁4とで構成され、下端壁4はハウジング本体3の底部に固定される。ハウジング本体3の上端壁3aに設けられた上部孔5に出力ロッド2の上側部分が支持される。また、下端壁4に設けられた下部孔6に出力ロッド2の下側部分が支持される。上端壁3aよりも上方へ出力ロッド2が突出され、その先端部にクランプアーム44の一端部がナット45で固定される。クランプアーム44の他端部にはロッド部材46がナット47で固定される。なお、図9等の側面視の断面図において、図中の上方へ向かう方向が出力ロッド2のリリース駆動方向であり、図中の下方へ向かう方向が出力ロッド2のロック駆動方向である。
【0085】
ハウジング本体3内の上側に主シリンダ孔59が形成されるとともに、主シリンダ孔59よりも径が大きい副シリンダ孔60がハウジング本体3内の下側に形成される。上記主シリンダ孔59に、出力ロッド2の一部として構成される出力部材74が挿入される。この出力部材74は止め輪10によって出力ロッド2に固定される。また、出力部材74と軸方向において一部重なるように上記主シリンダ孔59に倍力用の環状のピストン22が外封止部材34を介して保密状に挿入される。このピストン22は、出力ロッド2にその軸方向へ移動可能に内封止部材35を介して保密状に外嵌される。
【0086】
出力ロッド2に対して上記ピストン22が回ることを防止する回り止め機構61が設けられる。この回り止め機構61は、ピストン22の内周面に設けられた軸方向に延びるガイド溝62と、ガイド溝62に配置されたガイドボール63とで構成される。ガイドボール63は出力ロッド2の外周面に嵌め込まれる。
【0087】
上記ピストン22の上側にロック室13が形成される。このロック室13には、ロック通路14を経由してロックポート64からロック用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。また、ピストン22の下側にリリース室65が形成される。このリリース室65には、リリース通路18を経由してリリースポート(不図示)からリリース用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。
【0088】
上記リリース室65に、出力ロッド2をピストン22によって倍力駆動するための倍力機構20が設けられる。倍力機構20は、ロック室13に供給された圧縮空気がピストン22を下方へ押す力を倍力変換して出力ロッド2に伝達するように構成される。この倍力機構20は、第1倍力機構23と、倍力駆動の作動開始時期が、第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24とで構成される。
【0089】
第1倍力機構23は次のように構成される。
【0090】
主シリンダ孔59と副シリンダ孔60との境界部を構成するテーパ状の段差部から上方へ向かって延びる溝が設けられる。この溝の傾斜面とされた先端部が、ハウジング1のシリンダ孔の内周面に設けられた伝達部としての第1凹部69を構成する。出力部材74の筒部74aに第1孔としての横孔70が設けられ、この横孔70に第1係合部材としての第1係合ボール31が配置される。横孔70の内周面の一部が第1受圧部71となる。
【0091】
上記第1係合ボール31を出力ロッド2の径方向の外方へ押すように、ピストン22に第1倍力面32が設けられる。また、第1倍力面32の下側に第1押面33が、さらにその下側に保持面72が、この順で第1倍力面32に連ねて設けられる。
【0092】
ピストン22に設けられた上記第1倍力面32、第1押面33、および保持面72は、いずれも傾斜面であり、第1押面33の軸方向に対する傾斜角度は第1倍力面32の傾斜角度よりも大きい。保持面72の軸方向に対する傾斜角度は第1倍力面32の傾斜角度よりも小さい。
【0093】
ピストン22の外周には、軸方向に延びる内周溝73が設けられており、上記第1倍力面32、第1押面33、および保持面72は、この内周溝73の底面が構成する。また、上記横孔70からはみ出る第1係合ボール31の一部はこの内周溝73に配置される。
【0094】
本実施形態では、3つの横孔70および内周溝73が出力ロッド2の周方向において等間隔で設けられると共に、3つの第1係合ボール31が出力ロッド2の周方向において等間隔で配置されている。また、3つの第1凹部69が出力ロッド2の周方向においてハウジング1のシリンダ孔の内周面に等間隔で設けられている。
【0095】
第2倍力機構24は次のように構成される。
【0096】
主シリンダ孔59と副シリンダ孔60との境界部を構成するテーパ状の段差部が、ハウジング1のシリンダ孔の内周面に設けられた伝達部としての第2凹部66を構成する。出力部材74の筒部74aに第2孔としての横孔67が設けられ、この横孔67に第2係合部材としての第2係合ボール39が配置される。横孔67の内周面の一部が第2受圧部68となる。
【0097】
上記第2係合ボール39を出力ロッド2の径方向の外方へ押すように、ピストン22に第2倍力面40が設けられる。また、第2倍力面40の下側に保持面42が設けられる。
【0098】
ピストン22に設けられた上記第2倍力面40および保持面42は、いずれも傾斜面であり、保持面42の軸方向に対する傾斜角度は第2倍力面40の傾斜角度よりも小さい。
【0099】
ピストン22の外周には、軸方向に延びる内周溝43が設けられており、上記第2倍力面40および保持面42は、この内周溝43の底面が構成する。また、上記横孔67からはみ出る第2係合ボール39の一部はこの内周溝43に配置される。
【0100】
本実施形態では、3つの横孔67および内周溝43が出力ロッド2の周方向において等間隔で設けられると共に、3つの第2係合ボール39が出力ロッド2の周方向において等間隔で配置されている。
【0101】
第1係合ボール31と第2係合ボール39との関係においては、複数の第1係合ボール31および複数の第2係合ボール39が出力ロッド2の周方向において等間隔で且つ交互に配置されている。また、第1係合ボール31の大きさ(径)と第2係合ボール39の大きさ(径)とは等しい。
【0102】
ここで、第1倍力機構23を構成する第1凹部69のリリース駆動側の凹部端P1は、第1凹部69の上端であり、同様に、第2倍力機構24を構成する第2凹部66のリリース駆動側の凹部端P2は、第2凹部66の上端である。
【0103】
上記凹部端P2は、上記凹部端P1よりも出力ロッド2の軸方向において下方、すなわち出力ロッド2のロック駆動側に位置される。同様に、第2倍力機構24を構成する第2受圧部68は、第1倍力機構23を構成する第1受圧部71よりも軸方向においてロック駆動側に位置される。
【0104】
第2実施形態のシリンダ装置は、第1実施形態のシリンダ装置と同じ構成の旋回機構48を備えている。
【0105】
第2実施形態のシリンダ装置は次のように動作する。
【0106】
図9に示すリリース状態では、ロック室13から圧縮空気が排出されると共にリリース室65に圧縮空気が供給されている。これにより、リリース室65の圧縮空気が出力ロッド2およびピストン22を上方へ押している。これにより、クランプアーム44は退避状態とされている。
【0107】
図9に示すリリース状態から図13に示すロック状態へ切り換えるときは、リリース室65の圧縮空気を排出すると共にロック室13に圧縮空気を供給する。なお、図10から図12は、リリース状態からロック状態へ切り換わる途中状態を、順に示す図である。
【0108】
ロック室13に圧縮空気が供給されると、ロック室13の圧縮空気がピストン22を下方へ押す。ピストン22と出力部材74とは第1係合ボール31を介して軸方向において係合しているので、ピストン22が第1係合ボール31を介して出力部材74を下方に押すことで、図10に示すように、出力ロッド2は下降する。このとき、旋回機構48を構成する案内ボール50および旋回溝49aによって、出力ロッド2およびクランプアーム44は旋回しながら下降する。なお、出力部材74およびピストン22も回り止め機構61を介して出力ロッド2と一体的に旋回しながら下降する。
【0109】
本実施形態では、旋回溝49aによって、出力部材74およびピストン22は出力ロッド2と共に120度旋回する。よって、図10に示す第1倍力面32、第1係合ボール31、および第1受圧部71(横孔70)、ならびに第2倍力面40、第2係合ボール39および第2受圧部68(横孔67)は、それぞれ、図9に示す第1倍力面32、第1係合ボール31、および第1受圧部71(横孔70)、ならびに第2倍力面40、第2係合ボール39および第2受圧部68(横孔67)の1つ隣り(120度隣り)のものである。
【0110】
出力ロッド2が下降していくと、図10に示すように、第1凹部69と第1受圧部71との間に出力ロッド2の径方向の外方へ狭くなる楔空間が形成され、ピストン22に設けられた第1押面33が第1係合ボール31を上記楔空間に押し出して第1倍力駆動が開始される。図11に示すように、ピストン22に設けられた第1倍力面32が第1係合ボール31を上記楔空間に押し込み、これにより、ピストン22に作用する下向きの推進力が、第1倍力面32と第1係合ボール31と第1受圧部71と第1凹部69とによって倍力変換されて出力ロッド2が下向きに強力に駆動される。
【0111】
なお、出力ロッド2、クランプアーム44、出力部材74、およびピストン22は、旋回終了後、案内ボール50および直進溝49bによって直進下降する。
【0112】
出力ロッド2がさらに下降すると、図12に示すように、第2凹部66と第2受圧部68との間にも出力ロッド2の径方向の外方へ狭くなる楔空間が形成され、ピストン22に設けられた第2倍力面40が第2係合ボール39を上記楔空間に押し出して第2倍力駆動が開始される。ピストン22に設けられた第2倍力面40が第2係合ボール39を上記楔空間に押し込み、これにより、ピストン22に作用する下向きの推進力が、第2倍力面40と第2係合ボール39と第2受圧部68と第2凹部66とによって倍力変換されて出力ロッド2が下向きに強力に駆動される。
【0113】
なお、第1倍力機構23および第2倍力機構24は共通のピストン22によって動作するので、第1倍力機構23と第2倍力機構24とが両方動作しているときの倍力駆動力と、第1倍力機構23または第2倍力機構24が単独で動作しているときの倍力駆動力とは等しい。すなわち、第1倍力機構23のみが動作している図11の状態から、第1倍力機構23および第2倍力機構24の両方が動作している図12の状態へと移行しても倍力駆動力は変化しない。
【0114】
出力ロッド2がさらに下降すると、図13に示すように、クランプアーム44の先端部に固定されたロッド部材46がワークWを固定台Tに対して上方から押圧し、これによりワークWはロックされる。この図13に示すロック状態では、第1倍力機構23を構成する第1係合ボール31は第1凹部69から離間している。そのため、図13に示すロック状態では、第2倍力機構24による倍力駆動力でワークWはロックされる。なお、上記のように、第1倍力機構23と第2倍力機構24とが両方動作しているときの倍力駆動力と、第1倍力機構23または第2倍力機構24が単独で動作しているときの倍力駆動力とは等しいので、図12の状態から図13のロック状態へと移行しても倍力駆動力は変化しない。
【0115】
図13に示すロック状態から図9に示すリリース状態へ切り換えるときは、ロック室13の圧縮空気を排出すると共にリリース室65に圧縮空気を供給する。これにより、リリース室65の圧縮空気が、ピストン22、および出力ロッド2を上方へ押し、図9に示すリリース状態に戻る。
【0116】
図14は、第2実施形態の変形例を示す。
【0117】
第2実施形態のシリンダ装置は、出力ロッド2をハウジング1内へ引き込むことでワークWをロックするタイプのシリンダ装置である。これに対して、図14に示す変形例のシリンダ装置は、出力ロッド2をハウジング1内から押し出すことでワークWをロックするタイプのシリンダ装置である。また、第2実施形態のシリンダ装置は旋回機構48を備えるが、本変形例のシリンダ装置は旋回機構を備えない。
【0118】
本変形例のシリンダ装置の構成を説明する。
【0119】
ハウジング1の上端壁1aに設けられた上部孔5に出力ロッド2の上側部分が支持される。上端壁1aよりも上方へ出力ロッド2が突出され、その先端部にクランプアーム44の一端部がピン53で回動可能に固定される。クランプアーム44の中途部にリンク部材54の一端部がピン55で回動可能に固定され、リンク部材54の他端部はハウジング1の上端壁1aにピン56で回動可能に固定される。なお、図14において、図中の上方へ向かう方向が出力ロッド2のロック駆動方向であり、図中の下方へ向かう方向が出力ロッド2のリリース駆動方向である。
【0120】
ハウジング1内の下側に主シリンダ孔59が形成されるとともに、主シリンダ孔59よりも径が大きい副シリンダ孔60がハウジング1内の上側に形成される。上記主シリンダ孔59に出力部材74が挿入される。この出力部材74は止め輪10によって出力ロッド2に固定される。また、出力部材74と軸方向において一部重なるように上記主シリンダ孔59に倍力用の環状のピストン22が外封止部材34を介して保密状に挿入される。このピストン22は、出力ロッド2にその軸方向へ移動可能に内封止部材35を介して保密状に外嵌される。
【0121】
出力ロッド2に対して上記ピストン22が回ることを防止する回り止め機構61が設けられる。この回り止め機構61は、第2ピストン22の内周面に設けられた軸方向に延びるガイド溝62と、ガイド溝62に配置されたガイドボール63とで構成される。ガイドボール63は出力ロッド2の外周面に嵌め込まれる。
【0122】
上記ピストン22の下側にロック室13が形成される。このロック室13には、ロック通路14を経由してロックポート(不図示)からロック用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。また、ピストン22の上側にリリース室65が形成される。このリリース室65には、リリース通路18を経由してリリースポート19からリリース用の圧力流体としての圧縮空気が給排される。
【0123】
上記リリース室65に、出力ロッド2をピストン22によって倍力駆動するための倍力機構20が設けられる。倍力機構20は、ロック室13に供給された圧縮空気がピストン22を上方へ押す力を倍力変換して出力ロッド2に伝達するように構成される。この倍力機構20は、第1倍力機構23と、倍力駆動の作動開始時期が、第1倍力機構23による倍力駆動の作動開始時期よりも遅い第2倍力機構24とで構成される。
【0124】
第1倍力機構23は次のように構成される。
【0125】
主シリンダ孔59と副シリンダ孔60との境界部を構成するテーパ状の段差部から下方へ向かって延びる溝が設けられる。この溝の傾斜面とされた先端部が、ハウジング1のシリンダ孔の内周面に設けられた伝達部としての第1凹部69を構成する。出力部材74の筒部74aに第1孔としての横孔70が設けられ、この横孔70に第1係合部材としての第1係合ボール31が配置される。横孔70の内周面の一部が第1受圧部71となる。
【0126】
上記第1係合ボール31を出力ロッド2の径方向の外方へ押すように、ピストン22に第1倍力面32が設けられる。また、第1倍力面32の上側に第1押面33が、さらにその上側に保持面72が、この順で第1倍力面32に連ねて設けられる。
【0127】
ピストン22の外周には、軸方向に延びる内周溝73が設けられており、上記第1倍力面32、第1押面33、および保持面72は、この内周溝73の底面が構成する。また、上記横孔70からはみ出る第1係合ボール31の一部はこの内周溝73に配置される。
【0128】
第2倍力機構24は次のように構成される。
【0129】
主シリンダ孔59と副シリンダ孔60との境界部を構成するテーパ状の段差部が、ハウジング1のシリンダ孔の内周面に設けられた伝達部としての第2凹部66を構成する。出力部材74の筒部74aに第2孔としての横孔67が設けられ、この横孔67に第2係合部材としての第2係合ボール39が配置される。横孔67の内周面の一部が第2受圧部68となる。
【0130】
上記第2係合ボール39を出力ロッド2の径方向の外方へ押すように、ピストン22に第2倍力面40が設けられる。また、第2倍力面40の上側に保持面42が設けられる。
【0131】
ピストン22の外周には、軸方向に延びる内周溝43が設けられており、上記第2倍力面40および保持面42は、この内周溝43の底面が構成する。また、上記横孔67からはみ出る第2係合ボール39の一部はこの内周溝43に配置される。
【0132】
こで、第1倍力機構23を構成する第1凹部69のリリース駆動側の凹部端P1は、第1凹部69の下端であり、同様に、第2倍力機構24を構成する第2凹部66のリリース駆動側の凹部端P2は、第2凹部66の下端である。
【0133】
上記凹部端P2は、上記凹部端P1よりも出力ロッド2の軸方向において上方、すなわち出力ロッド2のロック駆動側に位置される。同様に、第2倍力機構24を構成する第2受圧部68は、第1倍力機構23を構成する第1受圧部71よりも軸方向においてロック駆動側に位置される。
【0134】
本変形例のシリンダ装置は、出力ロッド2、出力部材74、およびピストン22の動きが、第2実施形態のシリンダ装置の場合と上下逆であり、且つ出力ロッド2、出力部材74、およびピストン22は旋回しない。これらの点を除くと、本変形例のシリンダ装置の各部の動きと、第2実施形態のシリンダ装置の各部の動きとは同様である。よって、本変形例のシリンダ装置の動作説明は省略する。
【0135】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
【0136】
上記の実施形態および変形例のシリンダ装置は、いずれも2段の倍力機構付きシリンダ装置である。これに代えて、3段以上の倍力機構付きのシリンダ装置とされてもよい。例えば、図1から図6に示す第1実施形態のシリンダ装置において、第1倍力機構23、第2倍力機構24に加えて、ロック駆動側の凹部端の位置が異なる伝達部としての第3凹部を出力ロッド2の外周面に設けるなどして第3倍力機構をさらに付加すれば、3段の倍力機構付きシリンダ装置とすることができる。図7から図14に示すシリンダ装置についても同様であり、3段または4段以上の多段倍力機構付きシリンダ装置としてもよい。
【0137】
第1係合ボール31の数は3つでなくてよい。すなわち、第1係合ボール31の数は2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。また、第1係合部材として、球体に代えて円柱形状のローラを用いてもよい。第2係合ボール39(第2係合部材)についても同様である。
【0138】
直進ガイド機構26は省略されてもよい。
【0139】
図1から図6に示す第1実施形態のシリンダ装置において、上下逆の姿勢で用いない場合は、ピン57は省略されてもよい。
【0140】
第1ピストン21、第2ピストン22または、出力ロッド2、ピストン22を動作させる圧力流体は、圧縮空気(気体)に代えて圧油(液体)が用いられてもよい。
【0141】
本発明のシリンダ装置は、例示した上下姿勢に配置することに代えて、上下逆の姿勢、水平姿勢、または斜め姿勢に配置されてもよい。
【0142】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行うことは勿論可能である。
【符号の説明】
【0143】
1:ハウジング、2:出力ロッド、20:倍力機構、21:第1ピストン、22:第2ピストン(ピストン)、23:第1倍力機構、24:第2倍力機構、25:第1凹部、26:直進ガイド機構、29:第1受圧部、31:第1係合ボール(第1係合部材)、32:第1倍力面、36:第2凹部、38:第2受圧部、39:第2係合ボール(第2係合部材)、40:第2倍力面、41:第2押面、42:保持面、43:内周溝、61:回り止め機構、66:第2凹部、67:横孔(第2孔)、68:第2受圧部、69:第1凹部、70:横孔(第1孔)、71:第1受圧部、74:出力部材、74a:筒部、B1:倍力端、B2:倍力端、P1:凹部端、P2:凹部端.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14