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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】捕獲装置
(51)【国際特許分類】
   F42B 12/68 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
F42B12/68
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020154017
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047950
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】523111957
【氏名又は名称】株式会社オン
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 訓範
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特許第83844(JP,C2)
【文献】実公昭49-3189(JP,Y1)
【文献】特開2004-326155(JP,A)
【文献】特開平6-101994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 12/68
F41B 15/10
F41B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーにより対象物を捕縛する捕獲装置であって、
カートリッジを着脱可能に保持する筐体と、
カートリッジに収納された両端部に錘を有するワイヤーを発射させる発射部と
を備え、
発射部が、コイルに電流を流すことにより発生する磁界を利用してワイヤーを発射させる、捕獲装置。
【請求項2】
複数のコイルを備え、
後方のコイルから前方のコイルへと、順次、電圧を印加して電流を流すことで、磁界を発生させる、請求項1に記載の捕獲装置。
【請求項3】
捕獲装置は、拳銃型であり、
レバーと、
トリガと、
コイルに印加可能な回路と
を備え、
前記レバーは、コイルに印加可能な回路への充放電を制御するためのスイッチであり、
前記トリガは、コイルへの印加の開始を制御するためのスイッチである、請求項1又は2に記載の捕獲装置。
【請求項4】
カートリッジがロック機構を備え、
ロック機構によりカートリッジが筐体に一時的に固定して保持される、請求項1~3のいずれかに記載の捕獲装置。
【請求項5】
複数のコイルがソレノイドコイルであり、
前記複数のコイルが、コイルの軸方向と、ワイヤーの発射方向とが一致するよう配置された、請求項1~4のいずれかに記載の捕獲装置。
【請求項6】
カートリッジを補給する補給器をさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載の捕獲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤー式の捕獲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、拘束を要する対象(例えば、逃走中の犯人や動物)を的確に捕獲する装置が検討されている。特許文献1には、警察官が携行する警棒を二重管構造とし、ロープやネットを収納した収納管を装着させた警棒が提案されている。収納管は発射手段と一体に形成されたカートリッジであることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、銃型の携帯型発射装置からネットを発射することにより、対象を拘束するシステムが提案されている。この携帯型発射装置は、ネットの発射に放出弾薬を使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-6022号公報
【文献】特表2000-513089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載の警棒では、収納管であるカートリッジが比較的長いので、予備のカートリッジを携行することが現実的ではなく、一度発射し、捕縛に失敗した場合、連続的に再度発射することが困難である。また、特許文献2に記載のシステムでは、ネットの発射に放出弾薬を使用するので、法規制の観点から使用する国や地域が限定される。
【0006】
本発明は、使用者が、捕獲対象に直接接触せずに、捕獲対象を捕獲することが可能な捕獲装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の[1]~[6]のいずれかにより、上記課題を解決するものである。
[1]ワイヤーにより対象物を捕縛する捕獲装置であって、カートリッジを着脱可能に保持する筐体と、カートリッジに収納された両端部に錘を有するワイヤーを発射させる発射部とを備え、発射部が、コイルに電流を流すことにより発生する磁界を利用してワイヤーを発射させる、捕獲装置;
[2]複数のコイルを備え、後方のコイルから前方のコイルへと、順次、電圧を印加して電流を流すことで、磁界を発生させる、前記[1]に記載の捕獲装置;
[3]捕獲装置は、拳銃型であり、レバーと、トリガと、コイルに印加可能な回路とを備え、前記レバーは、コイルに印加可能な回路への充放電を制御するためのスイッチであり、前記トリガは、コイルへの印加の開始を制御するためのスイッチである、前記[1]又は[2]に記載の捕獲装置;
[4]カートリッジがロック機構を備え、ロック機構によりカートリッジが筐体に一時的に固定して保持される、前記[1]~[3]のいずれかに記載の捕獲装置;
[5]複数のコイルがそれぞれソレノイドコイルであり、複数のコイルが、軸方向と、ワイヤーの発射方向とが一致するよう配置された、前記[1]~[4]のいずれかに記載の捕獲装置;
[6]カートリッジを補給する補給器をさらに備える、前記[1]~[5]のいずれかに記載の捕獲装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者が、捕獲対象に直接接触することなく、捕獲対象を捕獲することが可能な捕獲装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図である。
図2】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図である。
図3】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の発射部の構成について説明する概略図である。
図4】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、カートリッジの概略図である。
図5】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置による対象物の捕縛について説明する概略図である。
図6】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図である。
図7】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、補給器による捕縛装置へのカートリッジの補給について説明する概略図である。
図8】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図である。
図9】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、カバーを備えた捕獲装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。
【0011】
(捕縛装置)
本発明の捕縛装置の概要について説明をする。図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図である。捕獲装置1は、ワイヤーにより対象物を捕縛する際に用いる捕獲装置である。捕獲装置1は、カートリッジを着脱可能に保持する筐体2と、ワイヤーを発射させる発射部3を少なくとも備える。図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図であって、図1に示す捕獲装置の上面図である。図1(b)及び図2は、発射部3の構成がわかるように、筐体2の発射部3の部分を透視図として示している。
【0012】
なお、本明細書では、捕縛装置1の射出口5側を前方、カートリッジ挿入口6側を後方と定義する。
【0013】
捕獲装置1の形状は、携行性および操作性の観点から、片手で掌握することが可能である形状が好ましい。図1には、本発明の実施の形態の一例として拳銃型の捕獲装置を示す。
【0014】
捕獲装置1の筐体2は、携行できるものであって、片手で掌握することができるという観点から、ステンレス、アルミニウム、チタン、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料や、ポリカーボネートなどの樹脂材料から形成したものであることが好ましい。また、後述のように磁力によりワイヤーを射出する観点からは、筐体2がポリカーボネートなどの樹脂材料から形成したものであることが好ましい。
【0015】
筐体2は、対象物を捕縛するためのワイヤーを収納したカートリッジ4を着脱可能に保持する。具体的には、例えば、カートリッジ4を筐体2の後方側にあるカートリッジ挿入口6から、筐体2の所定の位置まで差し込むことで筐体2に保持させる。また、カートリッジ挿入口6から、カートリッジ4を引き抜くことで、筐体2から取り外すことができる。筐体2は、カートリッジ4が筐体2の所定の位置まで差し込まれると、該所定の位置から挿入口6側と射出口5側の両方へ移動しないように、後述するロック機構を備える構造としてもよい。
【0016】
発射部3は、後述する、対象物を捕縛するためのワイヤー14を、磁力により射出する。後述するように、発射部3は1又は複数のコイル7を備える。コイル7の数は、特に限定されない。発射部3には、後方から前方へ延びる通路27が設けられており、後述する、ワイヤー14の両端に備えられた錘15、16は、通路27を通って、射出口5から射出される。発射部は、内側に、高さ方向より左右方向に長い断面の空間を有する筒状部を備えており、その内側の空間が、ワイヤー14、錘15、16の通路27として利用される。コイル7の軸方向と、ワイヤーの発射方向(通路27の長手方向)とが一致するよう、筒状部の外側にコイル7が巻回されている。複数のコイル7のうち、後方のコイル7から前方のコイル7にかけて、順次電圧を印加することで、筐体2の後方から前方に向かって磁界が発生する。錘15、16には、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を有する素材、または、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどの常磁性を有する素材が用いられている。コイル7に電流を流すことにより発生した磁界中に存在する錘15、16に、磁力が作用し、通路27の後方側から前方側へ移動しつつ加速される。錘15、16が、磁力により射出される。
【0017】
なお、筒状部の内側の通路27は、後方から前方となるにつれて、幅が広くなるように構成されていてもよい。ワイヤー14及び錘15、16は、前方へ移動するにつれ、左右方向に広がることができる。捕獲対象者を捕獲するためには、錘15、16が左右方向に広がっている必要があり、このように通路27が後方から前方となるにつれて、左右方向の幅が広くなるような構成を採用することで、ワイヤー14及び錘15、16が射出口5から射出された際に、錘15、16が左右方向に広がりやすくすることができる。
【0018】
図1(b)に示す捕縛装置の発射部3は、3つのコイル7(コイル7a、コイル7b、コイル7c)を備える。コイル7は、前方から後方へと3つ並べて設けられる。各コイル7a~7cは、空芯のソレノイドコイルであり、電圧が印加できるように電圧発生部8と接続されている。図1では、コイルを3つとしているが、例えば、4つ、5つ、6つなどのようにさらに多くのコイルを備えても良い。捕縛装置を携行可能とする点からは、コイル7の数を10以下としてもよい。
【0019】
コイル7のそれぞれは、前後方向の長さ、巻き数、単位長さあたりの巻き数、コイルの前後方向に垂直な断面の形状、該断面の面積、コイルを構成する導線の径、該導線の素材などを、適宜設計することができる。また、それぞれのコイル7は、前後方向の長さ、巻き数、単位長さあたりの巻き数、コイルの前後方向に垂直な断面の形状、該断面の面積、コイルを構成する導線の径、該導線の素材などが同じであってもよく、異なっていてもよい。また、それぞれのコイル7に流れる電流の大きさを変えることも可能である。コイル7に流れる電流が大きくなるほど、発生する磁界が強くなるため、例えば、後方のコイル7に流れる電流よりも、より前方のコイル7に流れる電流を大きくすることで、前方側の磁界を強くし、錘15、16が前方へ移動するほど、加速しやすくすることができる。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の発射部の構成について説明する概略図である。発射部3の電圧発生部8は、制御回路10と、高圧発生回路11と、タイミング発生回路12とを備える。また、制御回路10、高圧発生回路11、及びタイミング発生回路12は、バッテリー9と電気的に接続されていることとしてもよい。そして、バッテリー9は、これらの回路の電源として機能することとしてもよい。制御回路10は、高圧発生回路11とタイミング発生回路12とを制御する。
【0021】
高圧発生回路11では、バッテリー9から供給される電圧を昇圧し、より高電圧を発生させることができる。また、タイミング発生回路12は、高圧発生回路11において発生した電圧をコイルへ印加し、停止するタイミングを特定し、制御することができる。
【0022】
図1(b)は、バッテリー9を拳銃型の捕縛装置1のグリップ部13に備え、制御回路10と、高圧発生回路11と、タイミング発生回路12とを含む電圧発生部8を、捕縛装置の筐体2の直下に備えた形態を一例として示している。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、カートリッジの概略図である。図4(a)はカートリッジの外観の上面図であり、図4(b)は、カートリッジの高さ方向の中央を含み、且つ、高さ方向に垂直な面における断面図である。また、図4(c)はカートリッジの外観の側面図である。カートリッジ4は、対象物を捕縛するためのワイヤー14を収納する。カートリッジ4の本体は、磁界の影響を受けない材料により形成されたものであることが好ましい。例えば、プラスチック等の素材を採用することができる。
【0024】
ワイヤー14は、ポリアミドイミド繊維、ポリイミド繊維、超高分子量ポリエチレンなどの繊維製のものを使用することができる。ワイヤー14の全長は、対象を捕縛するのに十分な長さであって、例えば、2m以上であることが好ましく、2.3m以上であることがより好ましい。ワイヤー14の全長は、3m以下であることが好ましく、2.7m以下であることがより好ましい。ワイヤー14の直径は、例えば、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。ワイヤーの直径は、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
【0025】
ワイヤー14の両端部には、錘15、16を備える。錘15、16の素材としては、ソレノイドコイルからの磁力を受けられるように、強磁性体や常磁性隊などの金属や、表面をそれらの金属で被覆した樹脂などを採用することができる。各錘の質量は、錘に使用する素材によって、適宜選択することができる。錘の質量は、1g以上であることが好ましく、2g以上であることがより好ましく、3g以上であることがさらに好ましい。錘の質量は、6g以下であることが好ましく、5g以下であることがより好ましく、4g以下であることがさらに好ましい。
【0026】
錘15、16の形状は、直方体状や円柱状などの縦長状の形状を有することが好ましい。錘15、16が縦長状の形状のものであり、錘15、16の長手方向が射出方向と同じになるようにカートリッジ4に収納することで、錘15、16が射出された場合に、錘15、16の長手方向と射出方向が一致することになるため、錘15、16の空気抵抗を小さくすることができる。射出距離の観点から、錘15、16が、直方体状である場合は、縦0.3cm~1cm、横0.3cm~1cm、高さ1cm~4cmのサイズとすることが好ましい。錘15、16が、円柱状である場合は、直径3mm~10mm、長さ10mm~40mmのサイズとすることが好ましい。
【0027】
カートリッジ4を筐体2に挿入した際に、射出口5に近い方をカートリッジの前方、射出口5から遠い方をカートリッジの後方とする。カートリッジ4において、錘15、16はカートリッジ4の前方、に収納され、ワイヤー14はカートリッジ4の後方に収納される。錘15、16は、錘の前方の少なくとも一部がカートリッジの射出口側からカートリッジ外部に露出する位置に収納される。このような位置に錘15、16を収納しておくことで、発射部3の磁力により錘15、16をカートリッジから抜け出し、筐体2の射出口5側へ移動させることができる。
【0028】
カートリッジ4には、ロック機構を備えることが好ましい。ロック機構は、例えば、ロックピン、ボールロックピン等により設けることができる。
【0029】
図1に図示するように、筐体2は、安全装置用レバー17を備える。安全装置用レバー17は、上記バッテリー9の電源のオンオフを切り替える機能を有する。安全装置用レバー17を下げると、すなわち、筐体2から遠ざかる方向に移動させると(図1(a)参照)、バッテリー9の電源がオンの状態となり、高圧発生回路11の充電が開始される。反対に、安全装置用レバー17を上げると(図1(b)参照)、すなわち、筐体2側へ移動させるとバッテリー9の電源をオフの状態にすることができる。また、安全装置用レバー17が上がった状態では、トリガ18を引くことができない構成とすることができる。このような構成により、携行中の誤射を防ぐことが可能となる。
【0030】
(捕縛装置の動作及び操作)
以下に捕縛装置の操作手順の一例を、図1及び図3を参照し説明する。まず、捕縛装置の筐体2のカートリッジ挿入口6からカートリッジ4を挿入し、ロック機構により筐体2にカートリッジ4を保持させる。
【0031】
安全装置用レバー17を下げ、バッテリー9の電源をオンの状態として、捕縛装置内部の高圧発生回路11を充電する。充電が完了した場合、充電が完了したことを確認するインジケータ19が点灯する構成とすることが好ましい。
【0032】
インジケータ19が点灯後、トリガ18が筐体2の射出口5と反対側に引かれると、制御回路10によりタイミング発生回路12において、高電圧発生回路11で生成された電圧を各コイルに順次印加を行う。このタイミングは、各コイルに時間差を設けて順番に電圧を印加するためのものである。タイミングは、各コイルで発生する磁界の強さの誤差を吸収し、誤差が生じないように自動的に計算される構成とすることができる。印加する電圧の強さや、電圧を印加する時間の長さは、磁気センサーにより測定された磁力データに基づいて適宜調整されるように構成することができる。このように、各コイルに時間差を設けて電圧を印加することで、各コイルに順次、磁界を発生させ、カートリッジ内の錘15、16が筐体2のカートリッジ挿入口6から射出口5に向けて加速的に移動する。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置による対象物の捕縛について説明する概略図である。上記操作により錘15、16が射出口5側へ移動するとともにワイヤー14が錘15、16に引かれ、図5(a)に示すように、錘15、16及びワイヤー14が射出口5から筐体2の外部に射出される。射出されたワイヤー14は、図5(b)に示すように、錘15、16が対象方向の前方へ位置した状態で、カートリッジ内で折りたたまれていたワイヤーが引き延ばされて飛翔する。錘15、16及びワイヤー14は、錘間の間隔を徐々に広げながら飛翔する。捕縛する対象物20が2つの錘15、16の間に入り、ワイヤー14が対象に接触すると、図5(c)のようにワイヤー14が対象物20に絡みつき、対象物20を捕縛することができる。
【0034】
ワイヤー14が発射された後、捕獲装置1に保持されたカートリッジ4は空の状態となる。空のカートリッジ4は、ロック機構を解除して、捕獲装置1の筐体2のカートリッジ挿入口6から取り外すことが可能である。その後、ワイヤー14と錘15、16が収納された新たなカートリッジ4を、カートリッジ挿入口6から挿入し、捕獲装置1に保持させることができる。このような一連の操作により、短時間で連続的にワイヤーを射出することが可能となる。
【0035】
(捕獲装置のその他構成:補給器)
図6は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、カートリッジの補給器の概略図である。カートリッジの補給器21は、複数のカートリッジを収納することができる。補給器21の下部には、図6(a)に示すように、カートリッジ挿入口6にカートリッジを補給するための、補給部22が備えられている。補給器21は、後述する図7(a)に図示するように、補給部22がカートリッジ挿入口6を覆うように、捕獲装置1の筐体2の上部に備えられる。
【0036】
補給器21及び補給部22は、磁力による影響を受けない材料により形成されたものであることが好ましい。例えば、プラスチック等の素材を採用することができる。
【0037】
補給器21は、補給器21が捕獲装置1の筐体2の上部に備えられたときに、捕獲装置1の射出口5に近い方の先端に、カートリッジ4を差し入れるための開口部23を備えている。以下、補給器21の、開口部23が備えられている方を、補給器21の前方とする。補給器21の、長手方向において前方と反対の方を、補給器21の後方とする。図6(b)は、開口部23から、補給器21にカートリッジ4を差し入れるときの様子を表している。補給器21には、複数のカートリッジ4を収納することができる。補給器21の内部において、カートリッジ4は補給器21の長手方向に前後に移動可能である。各カートリッジ4には、両端に錘15、16を備えたワイヤー14が収納されているものとする。
【0038】
カートリッジ4を順次開口部23から差し入れ、複数のカートリッジを収納する。図6(c)は、一例として、補給器21本体部に3つのカートリッジ4を収納し、補給部22に1つのカートリッジを収納した形態を示す。カートリッジ4が補給器21の開口部23から外部へ脱しないように、例えば、開口部23側にストッパー24を備えることが好ましい。ストッパー24を備えることで、開口部23側からカートリッジ4が出ることを防ぐことができる。
【0039】
以下、補給器による捕縛装置へのカートリッジの補給について説明する。図7は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、補給器による捕縛装置へのカートリッジの補給について説明する概略図である。図7(b)は、補給器21及び補給部22の構成がわかるように、これらの部分を透視図として示している。
【0040】
補給器21は、図7(a)に示すように、補給部22がカートリッジ挿入口6を覆うように、捕獲装置1の筐体2の上部に備えられる。補給器21は、例えば、補給器21を筐体2の上部に沿って前方にスライドさせることにより、捕獲装置1の筐体2の上部に備えられることとしてもよい。また、捕縛装置1の上部に備えられた補給器21は、一時的に捕縛装置1から着脱不可の状態となることとしてもよい。補給器21が一時的に捕縛装置1から着脱不可の状態とする方法は、従来公知の方法を採用することができる。例えば、補給器21に突起部が設けられており、捕獲装置1の筐体2の上部に設けられた孔に突起部が収まることにより、一時的に捕縛装置1から着脱不可の状態となることとしてもよい。
【0041】
捕縛装置1にカートリッジ4を補給する際には、捕縛装置1に補給器21を備えた状態で、補給口23からカートリッジ4を差し入れる。カートリッジ4を1つ差し入れるごとに、図7(b)に示すように、捕縛装置1の前方が捕縛装置1の後方よりも水平方向において高くなるように捕縛装置を傾けることで、補給器21内のカートリッジ4を、捕縛装置1の後方へ、自重により移動させることができる。
【0042】
補給器21と補給部22とは内部が連続した空間でつながっており、捕縛装置1の後方へ移動したカートリッジ4は、補給部22に収納される。あるいは、補給部22の上部に存在するカートリッジ4は、補給部22に押し下げられることで、補給部22に収納されることとしてもよい。補給部22に収納されたカートリッジ4は、カートリッジ挿入口6から筐体2に挿入されることで、筐体に保持される。また、前述のように、筐体2に挿入されたカートリッジ4は、ロック機構により所定の位置から移動しないこととしてもよい。
【0043】
ワイヤー及び錘を捕縛装置から射出した後、空になったカートリッジ4は、カートリッジ挿入口6から取り外すことができる。その後、再び、図7(b)に示すように、捕縛装置1の前方が、捕縛装置1の後方よりも水平方向において高くなるように捕縛装置を傾けることで、補給部22にカートリッジ4を移動させることができる。このような操作により、連続的にワイヤーを射出することができ、捕縛効率を高めることができる。
【0044】
(捕獲装置のその他構成:ベルト用フック)
図8は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、捕獲装置の概略図である。図9本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、カバーを備えた捕獲装置の概略図である。本発明の捕獲装置1には、携行の際にベルトなどに固定して移動することができるように、図8に示すようなベルト用フック25を備えても良い。また、図9(a)及び図9(a)の上面図である図9(b)に示すように、カートリッジの出し入れ、安全装置用レバー17やトリガの操作を妨げない範囲で、捕獲装置1をカバー26により保護することもできる。
【0045】
本発明の捕獲装置は、ワイヤーの発射に磁力を利用する構造とすることで、炸薬等の使用が不要であるので、日本国内において使用することができる。また、本発明の捕獲装置は、人に対しての使用のみならず、畑などを荒らす小動物を確保するためにも適用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0046】
1 捕獲装置
2 筐体
3 発射部
4 カートリッジ
5 射出口
6 カートリッジ挿入口
7 コイル
8 電圧発生部
9 バッテリー
10 制御回路
11 高圧発生回路
12 タイミング発生回路
13 グリップ部
14 ワイヤー
15、16 錘
17 安全装置用レバー
18 トリガ
19 インジケータ
20 対象物
21 補給器
22 補給部
23 補給口
24 ストッパー
25 フック
26 カバー
27 通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9