(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】フロアコンセント
(51)【国際特許分類】
H02G 3/18 20060101AFI20240216BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H02G3/18 050
H01R13/46 303D
(21)【出願番号】P 2021122151
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591198320
【氏名又は名称】株式会社TERADA
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【氏名又は名称】八鍬 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100164286
【氏名又は名称】中里 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 善孝
(72)【発明者】
【氏名】塚原 誠
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048357(JP,A)
【文献】特開2004-153970(JP,A)
【文献】特開昭62-213512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/18
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に接続器具ブロックを付設すると共に上面を開口とした正方形状を呈するボックス本体と、
前記ボックス本体の上面に固定する
正方形で且つ額縁状の第1のベースプレートと、
前記第1のベースプレートの上面に固定する
正方形で且つ額縁状の第2のベースプレートと
、前記第2のベースプレートの一辺において、前記第2のベースプレートの中央開口部に開閉自在に取付ける蓋板とを具備してなるフリーアクセスフロアに適用されるフロアコンセントにおいて
、前記第1のベースプレート
には、四辺の表面部
にそれぞ
れ複数個の
嵌合凹部が形成
されており、
前記第2のベースプレートには、前記第2のベースプレートにおける
前記蓋板の枢軸側にある
前記一辺の裏面部に、前記
嵌合凹部に対応する
嵌合凸部が形成
されており、
前記嵌合凸部を、前記四辺の一の辺に形成された前記嵌合凹部との係合から、前記四辺の他の辺に形成された前記嵌合凹部への係合に変更することで、前記ボックス本体がフリーアクセスフロアをなす床構造体あるいはフロアパネル材に開けた取付孔周縁部に固定状態のままで前記蓋板の開閉方向を90度ずつ変更可能とすることを特徴とするフロアコンセント。
【請求項2】
前記第1のベースプレートの前記嵌合凹部が形成された辺の前記表面部における外側および前記第2のベースプレートの前記嵌合凸部が形成された辺の前記裏面部における外側は、それぞれ傾斜しており、
前記嵌合凸部は、先端が前記第2のベースプレートの外方に向けて突出する突出部が形成されており、
前記嵌合凹部は、奥方向に向けて内部が抉れ、前記突出部が係合する抉れ部が形成されていることを特徴とする請求項
1に記載のフロアコンセント。
【請求項3】
内部に接続器具ブロックを付設すると共に上面を開口とした矩形状を呈するボックス本体と、前記ボックス本体の上面に固定する額縁状の第1のベースプレートと、前記第1のベースプレートの上面に固定する額縁状の第2のベースプレートと、前記第2のベースプレートの一辺において、前記第2のベースプレートの中央開口部に開閉自在に取付ける蓋板とを具備してなるフリーアクセスフロアに適用されるフロアコンセントにおいて、前記第1のベースプレートには、対向位置する二辺の表面部にそれぞれ複数個の嵌合凹部が形成されており、前記第2のベースプレートには、前記第2のベースプレートにおける前記蓋板の枢軸側にある前記一辺の裏面部に、前記嵌合凹部に対応する嵌合凸部が形成されており、
前記嵌合凸部を、前記二辺の一の辺に形成された前記嵌合凹部との係合から、前記二辺の他の辺に形成された前記嵌合凹部への係合に変更することで、前記ボックス本体がフリーアクセスフロアをなす床構造体あるいはフロアパネル材に開けた取付孔周縁部に固定状態のままで前記蓋板の開閉方向を180度変更可能としたものであって、
前記第1のベースプレートの前記嵌合凹部が形成された辺の前記表面部における外側および前記第2のベースプレートの前記嵌合凸部が形成された辺の前記裏面部における外側は、それぞれ傾斜しており、
前記嵌合凸部は、先端が前記第2のベースプレートの外方に向けて突出する突出部が形成されており、
前記嵌合凹部は、奥方向に向けて内部が抉れ、前記突出部が係合する抉れ部が形成されていることを特徴とするフロアコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフリーアクセスフロアに適用して好適なフロアコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスを中心に、本来の床構造体の上面に所定の間隔を存してフロアパネル材を敷設することにより床部を二重構造となし、本来の床構造体とフロアパネル材との間に形成した所定高さの空間を利用して給電線やLAN配線等を効率よく行うフリーアクセスフロアが普及している。
当該フリーアクセスフロアにおいては、フロアパネル材に開けた取付孔内にフロアコンセントを設置し、当該フロアコンセントの上面に位置する蓋板を開放してオフィス内の各種情報機器への電力供給やLAN配線などを行っている。
【0003】
フリーアクセスフロアに用いられるフロアコンセントとして、下記の特許文献に示されているように、ベースプレートを上側ベースプレートと下側ベースプレートに二分したフロアコンセントは既に知られている。
【0004】
この従来のフロアコンセントによった場合は、下側ベースプレートに対し、上側ベースプレートを係脱可能にする脱着手段を付設してあるので、上側ベースプレートが損傷を受けたようなとき、前記下側ベースプレートをボックス本体の上面から取り外さなくても、上側ベースプレートのみを新品と交換できるという利点を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に開示されているフロアコンセントによった場合は、上側ベースプレートが誤って踏み付けられて損傷を受けたようなときボックス本体内の接続器具ブロックに触れることなく新しい上側ベースプレートと交換することができるので、電気工事士等の有資格者に頼ることなく簡単に作業を行うことができる。
【0007】
しかしながら、前記した従来のフロアコンセントによった場合は、上側ベースプレートの中央開口部に開閉自在に取付けられている蓋板の開閉方向を簡単な作業で変更することができなかった。すなわち、例えば従来右開きだった蓋板をオフィス内のレイアウト変更等に合わせて左開きに変更する必要が生じたときは、ボックス本体自体を180度回転させる必要があり、この作業は電気工事士等の有資格者に頼らざるを得なかった。
【0008】
本発明の目的は、オフィス内のレイアウト変更等に合わせて上側ベースプレートの中央開口部に開閉自在に取付けられている蓋板の開閉方向を簡単な作業で変更できるように構成したフロアコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係るフロアコンセントの構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、内部に接続器具ブロックを付設すると共に上面を開口とした正方形状を呈するボックス本体と、前記ボックス本体の上面に固定する正方形で且つ額縁状の第1のベースプレートと、前記第1のベースプレートの上面に固定する正方形で且つ額縁状の第2のベースプレートと、前記第2のベースプレートの一辺において、前記第2のベースプレートの中央開口部に開閉自在に取付ける蓋板とを具備してなるフリーアクセスフロアに適用されるフロアコンセントにおいて、前記第1のベースプレートには、四辺の表面部にそれぞれ複数個の嵌合凹部が形成されており、前記第2のベースプレートには、前記第2のベースプレートにおける前記蓋板の枢軸側にある前記一辺の裏面部に、前記嵌合凹部に対応する嵌合凸部が形成されており、前記嵌合凸部を、前記四辺の一の辺に形成された前記嵌合凹部との係合から、前記四辺の他の辺に形成された前記嵌合凹部への係合に変更することで、前記ボックス本体がフリーアクセスフロアをなす床構造体あるいはフロアパネル材に開けた取付孔周縁部に固定状態のままで前記蓋板の開閉方向を90度ずつ変更可能とすることを特徴とするフロアコンセントである。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、前記第1のベースプレートの前記嵌合凹部が形成された辺の前記表面部における外側および前記第2のベースプレートの前記嵌合凸部が形成された辺の前記裏面部における外側は、それぞれ傾斜しており、前記嵌合凸部は、先端が前記第2のベースプレートの外方に向けて突出する突出部が形成されており、前記嵌合凹部は、奥方向に向けて内部が抉れ、前記突出部が係合する抉れ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアコンセントである。
【0011】
さらに、請求項3に係る発明は、内部に接続器具ブロックを付設すると共に上面を開口とした矩形状を呈するボックス本体と、前記ボックス本体の上面に固定する額縁状の第1のベースプレートと、前記第1のベースプレートの上面に固定する額縁状の第2のベースプレートと、前記第2のベースプレートの一辺において、前記第2のベースプレートの中央開口部に開閉自在に取付ける蓋板とを具備してなるフリーアクセスフロアに適用されるフロアコンセントにおいて、前記第1のベースプレートには、対向位置する二辺の表面部にそれぞれ複数個の嵌合凹部が形成されており、前記第2のベースプレートには、前記第2のベースプレートにおける前記蓋板の枢軸側にある前記一辺の裏面部に、前記嵌合凹部に対応する嵌合凸部が形成されており、前記嵌合凸部を、前記二辺の一の辺に形成された前記嵌合凹部との係合から、前記二辺の他の辺に形成された前記嵌合凹部への係合に変更することで、前記ボックス本体がフリーアクセスフロアをなす床構造体あるいはフロアパネル材に開けた取付孔周縁部に固定状態のままで前記蓋板の開閉方向を180度変更可能としたものであって、前記第1のベースプレートの前記嵌合凹部が形成された辺の前記表面部における外側および前記第2のベースプレートの前記嵌合凸部が形成された辺の前記裏面部における外側は、それぞれ傾斜しており、前記嵌合凸部は、先端が前記第2のベースプレートの外方に向けて突出する突出部が形成されており、前記嵌合凹部は、奥方向に向けて内部が抉れ、前記突出部が係合する抉れ部が形成されていることを特徴とするフロアコンセントである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係るフロアコンセントによれば、全体は正方形状を呈しているので、第2のベースプレートを第1のベースプレートから取り外し、当該第2のベースプレートを90度ずつ回転させて蓋板の開放方向を自由に変えることが可能となる。
【0013】
なお、上記実施形態において、いずれも第2のベースプレートにおける蓋板の枢軸側に位置する辺部の裏面に突設してある嵌合凸部が、第1のベースプレートの辺部に凹設してある嵌合凹部内に係合する構造であるため、第1のベースプレートと第2のベースプレートとのネジ締結は一辺のみで足りることになり、蓋板の開放方向を変える際の手間を大幅に省くことが可能となる。
【0014】
本発明の請求項3に係るフロアコンセントによれば、オフィス内のレイアウト変更等により第2のベースプレートに開閉自在に取付けられている蓋板の開閉方向を変える必要が生じたときは、第1のベースプレートの上面から第2のベースプレートを取り外し、当該第2のベースプレートを180度回転させて、第1のベースプレートの表面部に形成してある反対側の嵌合凹部内に、第2のベースプレートの裏面部に形成してある第2の係合手段である嵌合凸部を係合させることによって蓋板の開閉方向を変えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るフロアコンセントの一実施形態を示す分解状態斜視図であり、第2のベースプレートの中央開口部に位置する蓋板を開放した状態を示している。
【
図2】
図1に示す実施形態における第2のベースプレートの裏面側を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す実施形態におけるボックス本体の上面に第1のベースプレートをネジ止めによって固定すると共に、枢軸を中心に開閉自在な蓋板を伴った第2のベースプレートを示す斜視図である。
【
図4】本発明に係るフロアコンセントの他の実施形態を示す分解状態斜視図であり、第1のベースプレートは方形状をなすボックス本体の上面部に止ネジによって固定した状態を示している。
【
図5】
図4に示す実施形態における第1のベースプレートの上面に固定する第2のベースプレートの裏面側を示す斜視図である。
【
図6】第1のベースプレートに形成した第1の係合手段と、第2のベースプレートに形成した第2の係合手段の嵌合状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るフロアコンセントの具体的構成を図示の実施形態に基づき詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのフロアコンセントの一例を示すに過ぎないものであって、本発明は以下の説明及び図示したものに限定されるものではない。特に、実施の形態及び図面に示されている構成部品の形状、相対的配置関係等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎないものである。
【0017】
図1乃至
図3に示す実施形態のフロアコンセントは、金属または硬質合成樹脂材によって作製された全体が平面視略矩形状を呈するボックス本体1を対象としたものであり、当該ボックス本体1はその内部にコンセント等の接続器具ブロック2を取付けてあり、上面開口の周縁部には後述する第1のベースプレート3を固定するための複数のネジ孔21を設けてある。
【0018】
第1のベースプレート3は額縁状、すなわち中央部を開口としてあり、前記ボックス本体1の上面開口部周縁にネジ4によって固定される。図中5はネジ4を通すための小孔である。
【0019】
この第1のベースプレート3の対向位置する二辺の表面部には、
図1に示すように第1の係合手段となる嵌合凹部6をそれぞれ複数個形成してある。
【0020】
第2のベースプレート7は前記第1のベースプレート3の上面に固定するもので、第1のベースプレート3と同様に中央部を開口とした額縁状をなしている。
第2のベースプレート7の中央開口部には、ボックス本体1内の接続器具ブロック2に接続する図示しないケーブル類の引出口を開口させる回転可能な公知の小蓋8を具備した蓋板9が枢軸部10を中心に開閉自在に取付けられている。
【0021】
前記第2のベースプレート7における蓋板9の枢軸部10側にある一辺の裏面部には、前記第1のベースプレート3に形成した第1の係合手段である嵌合凹部6に対応する第2の係合手段となる嵌合凸部11を複数個形成してある。
【0022】
前記したように、第2のベースプレート7における蓋板9の枢軸部10側の周縁部には、前記第1のベースプレート3に設けた第1の係合手段である複数個の嵌合凹部6に対応する第2の係合手段となる嵌合凸部11が複数個設けられており、当該嵌合凸部11が嵌合凹部6内に嵌まり込むのでこの部分におけるネジ締結は不要となる。
【0023】
第1の係合手段となる嵌合凹部6は、
図6に示すように、奥方向に向けて内部を少し抉ってあると共に、第2の係合手段となる嵌合凸部11は、その先端を外方に向けて少し突出させてあり、当該突出部12が第1の係合手段である嵌合凹部6における抉り部13に係合して両者の嵌合状態を確実なものとすることができる。
【0024】
この実施形態によるフロアコンセントの場合、オフィス内のレイアウト変更等に伴い、第2のベースプレート7に開閉自在に取付けられている蓋板9の開閉方向をこれまでとは逆にセットする場合は、第2のベースプレート7に関係するネジ14を外して、第2のベースプレート7における嵌合凸部11を、第1のベースプレート3の嵌合凹部6から解除して第2のベースプレートを第1のベースプレート3から外し、第2のベースプレートの嵌合突部12を第1のベースプレート3における反対側の辺部に設けてある第1の係合手段である嵌合凹部6に係合することによって簡単に行うことができる。
【0025】
次に、
図4及び
図5に示す実施形態のフロアコンセントにおいては、ボックス本体15の上部形状が略正方形状をなしており、当該ボックス本体15の上面にネジ16によって固定する第1のベースプレート17もその外観形態は略正方形状をなしている。
そして、この実施形態における第1のベースプレート17はその四辺のいずれの辺部にも第1の係合手段となる嵌合凹部18を三つずつ設けてある。
【0026】
一方、第2のベースプレート19における蓋板9の枢軸部10側の辺部には、前記第1の係合手段である嵌合凹部18に対応した第2の係合手段である三つの嵌合凸部20を設けてある。なお、嵌合凹部18内における嵌合凸部20の係合状態は前記した実施形態の場合と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0027】
この実施形態によるフロアコンセントの場合は、オフィス内のレイアウト変更に伴い、蓋板9を伴った第2のベースプレート19の取り付け位置を90度ずつずらして第1のベースプレート17に取付けることができ、蓋板9の開閉方向を簡単な作業で四つの方向に調整することが可能となる。
【0028】
このように、本発明に係るフロアコンセントによった場合、簡単な作業によって第2のベースプレートに取付けてある蓋板の開閉方向を変えることができ、オフィス内のレイアウト変更等に対応可能なフロアコンセントを提供することができる。
【符号の説明】
【0029】
1:ボックス本体
2:接続器具ブロック
3:第1のベースプレート
4:ネジ
5:小孔
6:嵌合凹部
7:第2のベースプレート
8:小蓋
9:蓋板
10:枢軸部
11:嵌合凸部
12:突出部
13:抉り部
14:ネジ
15:ボックス本体
16:ネジ
17:第1のベースプレート
18:嵌合凹部
19:第2のベースプレート
20:嵌合凸部
21:ネジ孔