(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】生体情報センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/313 20210101AFI20240216BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240216BHJP
A61B 5/27 20210101ALI20240216BHJP
【FI】
A61B5/313
A61B5/256 220
A61B5/27
(21)【出願番号】P 2021189786
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520205213
【氏名又は名称】株式会社ALTs
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】梶原 勇希
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204824(JP,A)
【文献】特開2007-301157(JP,A)
【文献】特開2020-006089(JP,A)
【文献】特表2007-501086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0263521(US,A1)
【文献】特開2006-334186(JP,A)
【文献】特開2019-139769(JP,A)
【文献】特開2007-195813(JP,A)
【文献】特表2018-520813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に装着され該被検者の生体情報を測定する生体情報センサであって、
被検者の皮膚に当接させて該被検者の生体電位を検知する電極部と、
前記電極部から前記生体電位を取得し該取得した生体電位から生体情報を算出する信号処理部とを備え、
前記信号処理部は、
前記生体電位を増幅して所望の周波数帯域だけを抽出するアンプ及びフィルタ部と、
前記アンプ及びフィルタ部から抽出された前記所望の周波数帯域の生体電位をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部により変換されたデジタル信号から所定の生体信号成分に相当する生体信号を抽出すると共に、抽出した生体信号に対して商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去する生体信号抽出フィルタ部と、
前記生体信号抽出フィルタ部により信号処理された生体信号から生体情報を算出する生体情報算出部とを有し、
前記アンプ及びフィルタ部は、1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能を有
し、
前記電極部及び前記信号処理部が設けられた本体部を有し、
前記本体部は、シート状の絶縁布により形成されており、その一方面が被検者の身体に当接させる当接面になっており、
前記電極部は、前記絶縁布に導電糸が刺繍されることにより該絶縁布の一方面から突出して形成されており、
前記絶縁布の他方面側には、糸で縫い付けられて取り付けられたボタン型基板が形成され、
前記ボタン型基板は、絶縁材料により形成された衣服用のボタン形状の基部と、該基部の上に搭載された前記信号処理部を構成する回路基板とを有し、
前記絶縁布の他方面側において、前記電極と前記回路基板とが導電性糸により電気的に接続されていることを特徴とする生体情報センサ。
【請求項2】
前記信号処理部は、
前記AD変換部により変換されたデジタル信号から所定のノイズ成分を抽出するノイズ抽出フィルタ部と、
前記生体信号抽出フィルタ部が抽出した生体信号と、前記ノイズ抽出フィルタ部が抽出したノイズ成分とを比較することで、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されているか否かを判定する装着状態異常検出部とを有
し、
前記装着状態異常検出部は、前記生体信号対するノイズ成分の割合が所定値以上のときには、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されていないと判定し、前記生体信号対するノイズ成分の割合が所定値未満のときには、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されていると判定することを特徴とする請求項
1に記載の生体情報センサ。
【請求項3】
被検者に装着され該被検者の生体情報を測定する生体情報センサであって、
被検者の皮膚に当接させて該被検者の生体電位を検知する電極部と、
前記電極部から前記生体電位を取得し該取得した生体電位から生体情報を算出する信号処理部とを備え、
前記信号処理部は、
前記生体電位を増幅して所望の周波数帯域だけを抽出するアンプ及びフィルタ部と、
前記アンプ及びフィルタ部から抽出された前記所望の周波数帯域の生体電位をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部により変換されたデジタル信号から所定の生体信号成分に相当する生体信号を抽出すると共に、抽出した生体信号に対して商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去する生体信号抽出フィルタ部と、
前記生体信号抽出フィルタ部により信号処理された生体信号から生体情報を算出する生体情報算出部と
、
前記AD変換部により変換されたデジタル信号から所定のノイズ成分を抽出するノイズ抽出フィルタ部と、
前記生体信号抽出フィルタ部が抽出した生体信号と、前記ノイズ抽出フィルタ部が抽出したノイズ成分とを比較することで、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されているか否かを判定する装着状態異常検出部とを有し、
前記アンプ及びフィルタ部は、1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能を有
し、
前記装着状態異常検出部は、前記生体信号対するノイズ成分の割合が所定値以上のときには、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されていないと判定し、前記生体信号対するノイズ成分の割合が所定値未満のときには、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されていると判定することを特徴とする生体情報センサ。
【請求項4】
前記生体電位が筋電位であり、
前記生体情報が筋電位波形及び筋活動量であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の生体情報センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の生体情報を測定する生体情報センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な筋電センサは、被検者(ユーザ)の皮膚の上に当接させた電極により構成される電極部と、電極部が検知した筋電位等の生体電位を取得し、その取得した生体電位から筋電位波形や筋活動量等の生体情報を算出する信号処理部とを有している。この信号処理部により算出された生体情報は、例えば、義手の動作の制御に用いられたり医療行為や研究に用いられたりしている。
【0003】
また、筋電センサは、皮膚と電極との間に導電性の電極用ジェル(以下、単に「ジェル」)を塗布する湿式電極を用いる湿式の筋電センサと、ジェルを使用しない乾式電極を用いる乾式の筋電センサとに大別されている。
【0004】
湿式の筋電センサは、測定する度に交換する使い捨ての電極と、皮膚と電極との間に介在させるジェルと、電極に接続されている信号処理部とにより構成されている。この湿式の筋電センサは、皮膚と電極との間にジェルを介在させることにより、皮膚と電極との間の接触抵抗値が下がり筋電位が検知し易くなる(安定的に筋電位の検知ができるようになる)。その結果、湿式の筋電センサを用いることで、安定した生体情報(筋電位波形や筋活動量等の生体情報)を測定できる。
さらに、湿式の筋電センサは、乾燥や湿潤などの皮膚の状態に影響されにくく、測定の個人差を少なくできるため、医療行為や研究に向いているというメリットもある。
【0005】
しかし、湿式の筋電センサは、安定的に生体情報を測定できるものの、皮膚にジェルを塗布するため、装着した状態で長時間経過すると、被検者(ユーザ)が不快に感じたり、皮膚にかぶれやかゆみが発生したりするという課題を有している。また、湿式の筋電センサは、電極及びジェルが消耗品であり、ランニングコストが発生して、被検者(ユーザ)にコスト負担がかかるという課題も有している。
なお、湿式の筋電センサに用いられるジェルは、例えば、非特許文献1に開示されている。
【0006】
一方、乾式の筋電センサ500は、例えば、
図7に示すように、プラスチック等の絶縁材料により形成された箱状の本体部501と、本体部501の一方面に形成された「3極の電極(金属製の電極)502」により構成される電極部と、電極部に接続されている信号処理部(図示せず)と、信号処理部に接続されているリード線503とを有している。
【0007】
この乾式の筋電センサは、被検者(ユーザ)の皮膚にジェルを塗布して利用されるものではないため、皮膚のかぶれやかゆみが発生せず、湿式の筋電センサと比べて、被検者の身体に負担をかけずに生体情報を測定することができる。また、乾式の筋電センサは、湿式の筋電センサのような消耗品(電極やジェル等の消耗品)が無いため、ランニングコストが発生しないというメリットも有している。
さらに、乾式の筋電センサは、湿式の筋電センサと比べ、電極サイズを小さくできるため、高密度に電極を配置することができ、小さい筋肉の筋電位を取得できるといるメリットも有している。
なお、上記の乾式の筋電センサは、例えば、非特許文献2に開示されている。
【0008】
また、筋電位の測定に用いられているものではないが、心電等の生体情報の測定するために、布電極を用いることも提案されている。例えば、特許文献1には、導電性を有する部位と非導電性を有する部位を交互に且つ一体に編・織成してなる電極用シーツが開示されている。この電極用シーツ(布電極)は、上述した乾式の筋電センサと同様、ジェルを用いる必要がないため、被検者の身体に負担をかけずに生体情報を測定できると共に、ランニングコストが発生しないというメリットを有している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】BIOPAC System社 WEBサイト,「製品、電極用ジェル&アクセサリを提示したWEBページ」、[2021年10月18日検索]、インターネット <URL:http://biopac-sys.jp/products/gel100/>
【文献】株式会社コスモ情報システム WEBサイト,「Dタイプ乾式筋電センサを提示したWEBページ」、[2021年10月18日検索]、インターネット <URL:http://www.cosmo-info.co.jp/product/medjc-09/>
【特許文献】
【0010】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述した乾式の筋電センサや布電極は、湿式の筋電センサと比べて、被検者の身体に負担をかけずに生体情報を測定できると共に、ランニングコストが発生しないというメリットがあるものの、皮膚と電極との間の接触抵抗が高くなるため、安定的に生体電位を検知できず、その結果に、安定的な生体情報の測定できないという課題を有している。この課題があるため、乾式の筋電センサや布電極は、例えば、義手の動作制御のように、安定的な生体情報が要求される用途には不向きであった。
【0012】
しかし、例えば、義手のように、長時間にわたり筋電センサを装着する必要がある用途においてこそ、被検者(利用者)の身体に負担をかけずに生体情報を測定できることが望まれている。また、義手のように、被検者(利用者)が継続して繰り返して利用する用途にこそ、ランニングコストがかからない筋電センサが望まれている。
すなわち、皮膚と電極との間の接触抵抗が高くなる「乾式の筋電センサや布電極」を用いても安定的に生体情報を測定できることが望ましいが、現状において、皮膚と電極との間の接触抵抗が高くなる「乾式の筋電センサや布電極」を用いて、安定して生体情報を測定できるものは知られていない。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検者の皮膚と電極との間の接触抵抗が高くても、安定的に生体情報を測定することができる生体情報センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた本発明は、被検者に装着され該被検者の生体情報を測定する生体情報センサであって、被検者の皮膚に当接させて該被検者の生体電位を検知する電極部と、前記電極部から前記生体電位を取得し該取得した生体電位から生体情報を算出する信号処理部とを備え、前記信号処理部は、前記生体電位を増幅して所望の周波数帯域だけを抽出するアンプ及びフィルタ部と、前記アンプ及びフィルタ部から抽出された前記所望の周波数帯域の生体電位をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部により変換されたデジタル信号から所定の生体信号成分に相当する生体信号を抽出すると共に、抽出した生体信号に対して商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去する生体信号抽出フィルタ部と、前記生体信号抽出フィルタ部により信号処理された生体信号から生体情報を算出する生体情報算出部とを有し、前記アンプ及びフィルタ部は、1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能を有し、前記電極部及び前記信号処理部が設けられた本体部を有し、前記本体部は、シート状の絶縁布により形成されており、その一方面が被検者の身体に当接させる当接面になっており、前記電極部は、前記絶縁布に導電糸が刺繍されることにより該絶縁布の一方面から突出して形成されており、前記絶縁布の他方面側には、糸で縫い付けられて取り付けられたボタン型基板が形成され、前記ボタン型基板は、絶縁材料により形成された衣服用のボタン形状の基部と、該基部の上に搭載された前記信号処理部を構成する回路基板とを有し、前記絶縁布の他方面側において、前記電極と前記回路基板とが導電性糸により電気的に接続されていることを特徴とする。
【0015】
このように、本発明では、電極部が検知した生体電位を取得し該取得した該生体電位から生体情報を算出する信号処理部に、生体電位を増幅して所望の周波数帯域だけを抽出するアンプ及びフィルタ部を設けている。また、アンプ及びフィルタ部は、1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能を有している。
この構成によれば、皮膚-電極部間の接触抵抗の大きさや変動に影響されずに安定した生体電位の取得が可能になる。そのため、本発明の構成によれば、皮膚と電極との間の接触抵抗が高くなる「乾式の筋電センサや布電極」を用いても安定的に生体情報を測定できる。
すなわち、本発明の構成によれば、湿式の生体情報センサと比べて、被検者の身体に負担をかけずに生体情報を測定でき且つランニングコストが発生しない「乾式の筋電センサや布電極」により、安定的に生体情報を測定することができる。したがって、例えば、生体情報により動作が制御される義手のように、長時間にわたり生体情報センサを装着する必要がある用途に、本発明を用いることで、義手の利用者の身体の負担を軽減することができる。
【0017】
また、前記信号処理部は、前記AD変換部により変換されたデジタル信号から所定のノイズ成分を抽出するノイズ抽出フィルタ部と、前記生体信号抽出フィルタ部が抽出した生体信号と、前記ノイズ抽出フィルタ部が抽出したノイズ成分とを比較することで、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されているか否かを判定する装着状態異常検出部とを有し、前記装着状態異常検出部は、前記生体信号対するノイズ成分の割合が所定値以上のときには、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されていないと判定し、前記生体信号対するノイズ成分の割合が所定値未満のときには、前記生体情報センサが被検者に正しく装着されていると判定することが望ましい。
【0018】
この構成によれば、生体情報センサが被検者に正しく装着されているか否かを判定できる。
例えば、生体情報を義手の動作制御に用いる場合、上記の構成により、生体情報センサが被検者に正しく装着されていると判定された場合だけ、算出された生体情報を用いて義手の動作を制御させ、正しく装着されていないと判定された場合には算出された生体情報では義手の動作を制御しないようにすることができる。すなわち、上記の構成によれば、義手が誤動作することを防止することができる。
また、例えば、生体情報を医療行為(診断)や研究に用いる場合、上記構成により、生体情報センサが被検者に正しく装着されていると判定された場合だけ、算出された生体情報を用いるようにすることができる。すなわち、本発明によれば、正確な生体情報を用いて、医療行為や研究を行うことができる。
【0019】
また、前記生体電位が筋電位であり、前記生体情報が筋電位波形及び筋活動量であることが望ましい。
【0021】
上記の構成に示すように、本発明の生体情報センサは、いわゆる布電極により構成されている。また、電極部は、絶縁布に導電糸が刺繍されることにより絶縁布の当接面から突出して形成されている。また、絶縁布の他方面側には、糸で縫い付けられて取り付けられたボタン型基板が形成され、このボタン型基板は、縁材料により形成された衣服用のボタン形状の基部と、基部の上に搭載された信号処理部を構成する回路基板とを有している。
この構成によれば、ミシン等を使うことで、簡単な作業工程により、絶縁布に電極部を形成すると共に、信号処理部を構成する回路基板を絶縁布に固定することができる。すなわち、本発明によれば、いわゆる布電極を安価に大量生産することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被検者の皮膚と電極との間の接触抵抗が高くても、安定的に生体情報を測定することができる生体情報センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態の生体情報センサの全体構成を示した模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の生体情報センサを平面視した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態の生体情報センサを側面視した模式図である。
【
図4】本発明の実施形態の生体情報センサの構成部間の信号の流れを示した模式図である。
【
図5】本発明の実施形態の生体情報センサが行う生体情報測定処理の手順を示したフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態の生体情報センサを義手の動作制御に利用する場合の例を示した模式図である。
【
図7】従来技術の乾式筋電センサを説明するための模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の生体情報センサについて図面に基づいて説明する。
【0026】
先ず、本実施形態の生体情報センサの全体構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
【0027】
ここで、
図1は、本実施形態の生体情報センサの全体構成を示した模式図であり、
図2は、本実施形態の生体情報センサを平面視した模式図である。また、
図3は、本実施形態の生体情報センサを側面視した模式図である。
【0028】
なお、
図1~3は、本実施形態の生体情報センサWが布電極により構成されている場合の例を示している。また、
図1では、一例として、生体情報センサWの電極部10が、生体電位として筋電位(筋電位信号)を検知し、生体情報センサWの信号処理部100が、検知した筋電位から生体情報として「筋電位波形及び筋緊張度(筋活動量)等の生体情報」を算出する場合を示している。また、
図1では、生体情報センサにより測定された生体情報が、コンピュータ等の外部処理装置に出力され、生体情報の解析、医療行為、生体情報を利用したゲーム(ゲームのアプリケーションプログラム)に用いられる場合の例を示している。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の生体情報センサWは、被検者の腕等の身体の部位に装着されて被検者の生体情報を測定するようになっている。
具体的には、生体情報センサWは、被検者の皮膚に当接させて被検者の筋電位(生体電位)を検知する電極部10と、電極部10から筋電位を取得しその取得した筋電位から生体情報を算出する信号処理部100と、電極部10及び信号処理部100が設けられている本体部5とを有している。
【0030】
また、本体部5は、
図2、3に示すように、シート状(図示する例では、平面視長方形のシート状)の絶縁布(不導電布)により形成されており、その一方面側が被検者の身体に当接させる当接面になっている。
なお、上記の絶縁布(不導電布)には、織物、メリヤス生地、編み物、フェルト、不織布が含まれている。
【0031】
電極部10は、
図2、3に示すように、絶縁布(本体部5)に導電糸が刺繍されて形成された「3つの電極10a、10b、10c」により構成されている。図示する例では、電極10a、10b、10cは、いずれも、平面視・角丸四角形であり、且つ絶縁布5の当接面から突出する厚みを持った形状になっている。
【0032】
なお、本実施形態では、電極部10は、絶縁布(本体部5)の長手方向(X方向)の一端側において、3つの電極10a、10b、10cが、絶縁布(本体部5)の短手方向(Y方向)に沿って所定間隔・離間して並列に配置されている。
そして、電極部10は、被検者の皮膚に当接させた電極10a、10b、10cにより、被検者の筋電位(生体電位)を検知し、信号処理部100に対して、検知した筋電位を送信するようになっている。
【0033】
また、
図2、3に示すように、信号処理部100は、絶縁布(本体部5)の他方面側(当接面の反対側)に糸で縫い付けられ取り付けられたボタン型基板20(20a、20b、20c)により構成されている。ボタン型基板20は、絶縁材料により形成された衣服用のボタン形状をした基部と、基部の上に搭載された信号処理部100を構成する回路基板(図示せず)とを有している。
なお、衣服用のボタン形状の基部は、例えば、平面視で円形に形成され(直径が1cm~4cm程度の円形で形成され)、その中心部に複数の貫通孔が設けられており、衣服用のボタンと同様、貫通孔に糸を通して、絶縁布(本体部5)に縫い付けて取り付けることができるようになっている。
また、図示する例では、ボタン形状の基部が円形に形成されているが、あくまでもこれは一例に過ぎない。ボタン形状の基部は、三角形、四角形、六角形などの多角形や楕円形等、用途に応じて適宜設計されるものである。
【0034】
また、絶縁布5の他方面側において、電極部10と回路基板(図示せず)とが導電性糸(或いは、被覆電線)30により電気的に接続されている。
図2に示す例では、電極10aがボタン型基板20aに導電性糸30により電気的に接続され、電極10bがボタン型基板20bに導電性糸30により電気的に接続され、電極10cがボタン型基板20cに導電性糸30により電気的に接続されている。また、ボタン型基板20a、20b、20c同士は、導電性糸(或いは、被覆電線)33により電気的に接続されている。
また、図示する例では、3つのボタン型基板20a、20b、20cを設けているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、ボタン型基板20が、ボタン型基板20a、20b、20cに比べて、大きい寸法の「1つのボタン型基板」で構成されていても良い。この場合、例えば、「1つのボタン型基板」に、絶縁布(本体部5)に縫い付ける貫通孔(4つの貫通孔)の組みが、所定間隔を開けて、複数組(例えば、3組)設けられていても良い。
【0035】
このように本実施形態では、電極部10及び信号処理部100が設けられている本体部5が絶縁布により構成されている。また、電極部10が、絶縁布(本体部5)に導電糸が刺繍されて形成されていると共に、信号処理部100が、絶縁布(本体部5)の他方面側に縫い付けられて取り付けられたボタン型基板200により構成されている。
この構成によれば、ミシン等を使えば、簡単な作業工程により、絶縁布(本体部5)に電極10を形成すると共に、信号処理部10を形成する回路基板を絶縁布(本体部5)に固定することができる。すなわち、本実施形態によれば、安価に大量生産が可能な布電極により構成された生体情報センサWを提供することができる。
また、電極部10は、絶縁布5に導電糸を刺繍することにより形成されているため、電極の形状、数、厚み等について用途に応じてカスタマイズすることができる。また、上記のように導電糸を利用することでそのまま配線することができる。
【0036】
次に信号処理部100の機能構成を説明する。
図1に示すように、信号処理部100は、アンプ及びフィルタ部110と、AD変換部120と、ノイズ抽出フィルタ部130と、生体信号抽出フィルタ部140と、装着状態異常判定部150と、生体情報算出部160と、通信処理部170とを有している。また、信号処理部100は、図示しない電源部により電力が供給され動作するようになっている。なお、上記の電源部は外部電位と絶縁され、生体電位を基準とした電源になっていることが好ましい。
【0037】
アンプ及びフィルタ部110は、電極部10から送信された筋電位(生体電位)を受信し、その筋電位を増幅して所望の周波数帯域だけを抽出する。
また、アンプ及びフィルタ部110は、1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能と、低周波数成分だけを透過し折り返しノイズを引き起こす高周波成分を除去するアンチエイリアシングローパスフィルタ機能と、生体電位の種別に応じて直流成分を除去するハイパスフィルタ機能とを有している。
【0038】
上記の「1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能」によれば、皮膚-電極部10間の接触抵抗の大きさや変動に影響されずに安定した生体電位の取得が可能になる。
そして、本実施形態では、電極部10が絶縁布(本体部5)に導電糸を刺繍して形成された「3つの電極10a、10b、10c」により構成された布電極であるため、皮膚と電極部10との間の接触抵抗が高くなるが、アンプ及びフィルタ部110の「1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能」により、電極部10が検知した筋電位を安定して取得することができる。
また、アンプ及びフィルタ部110に「アンチエイリアシングローパスフィルタ機能」及び「ハイパスフィルタ機能」を設けた構成により、測定したい周波数帯域だけを抽出することができる。
【0039】
AD変換部120は、アンプ・フィルタ部110により抽出された所望の周波数帯域の生体電位をデジタル信号に変換する。AD変換部120により変換されたデジタル信号は、ノイズ抽出フィルタ部130及び生体信号抽出フィルタ部140の両者に送信される。
なお、AD変換部120は、後述する生体信号抽出フィルタ部140による商用電源周波数(50Hz、60Hz)を除去する処理に適応されやすくするため、「50Hz、60Hz」の最小公倍数である「300Hz」の整数倍のサンプリングレートでAD変換を行うようになっていても良い。
【0040】
ノイズ抽出フィルタ部130は、AD変換部120により変換されたデジタル信号からノイズに相当する信号(ノイズ成分)を抽出する。また、ノイズ抽出フィルタ部130は、装着状態異常検出部150に、抽出したノイズ成分を送信する。
【0041】
生体信号抽出フィルタ部140は、AD変換部120により変換されたデジタル信号から所定の生体信号成分に相当する生体信号を抽出する。また、生体信号抽出フィルタ部140は、50Hz、60Hzのデジタルコムフィルタ処理を行い、抽出した生体信号に対して商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去する。また、生体信号抽出フィルタ部140は、装着状態異常検出部150及び生体情報算出部160に対して、抽出され且つ商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去された生体信号(筋電位波形(EMG))を送信する。
【0042】
装着状態異常検出部150は、生体信号抽出フィルタ部140が抽出した生体信号と、ノイズ抽出フィルタ部130が抽出したノイズ成分とを比較することで、生体情報センサWが被検者に正しく装着されているか否かを判定する。また、装着状態異常検出部150は、生体情報センサWが被検者に正しく装着されているか否かの判定結果を示す「装着状態情報」を生成し、通信処理部170に「装着状態情報」送信する。
【0043】
生体情報算出部160は、生体信号抽出フィルタ部140により信号処理された生体信号(筋電位波形(EMG))を用いた演算処理(分析処理)を行い、生体信号(筋電位波形(EMG))から筋緊張度(筋活動量)を算出する。また、生体情報算出部160は、通信処理部170に対して、「生体信号抽出フィルタ部140から取得した筋電位波形(EMG)」お及び「算出した筋緊張度」を送信する。
【0044】
通信処理部170は、有線或いは無線により、外部処理装置300に接続されており、外部処理装置300に対して、「装着状態情報」、「筋電位波形(EMG)」及び「筋緊張度」を送信する。
【0045】
なお、信号処理部100のハードウェア構成については特に限定されるものではないが、例えば、以下のように構成することができる。
信号処理部100の構成部のうち、「アンプ及びフィルタ部110及びAD変換部120」は、例えば、専用に設計されたハードウェア回路により実現される。
また、信号処理部100の構成部のうち、「ノイズ抽出フィルタ部130、生体信号抽出フィルタ部140、装着状態異常検出部150、生体情報算出部160、及び通信処理部170」は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)により実現される。
そして、本実施形態では、上記のハードウェア回路及びMCUを備えた回路基板が、ボタン型基板20を構成する「衣服用のボタン形状の基部」の上に搭載されている。
【0046】
上記のMCUは、CPU、メモリ(主記憶装置、補助記憶装置)、入出力インターフェース、通信処理インターフェース等を有している。また、補助記憶装置には、「ノイズ抽出フィルタ部130、生体信号抽出フィルタ部140、装着状態異常検出部150、生体情報算出部160、及び通信処理部170」の機能を実現するためのプログラムが記憶されている。そして、「ノイズ抽出フィルタ部130、生体信号抽出フィルタ部140、装着状態異常検出部150、生体情報算出部160、及び通信処理部170」の機能は、CPUが、補助記憶装置に記憶されているプログラムを主記憶装置に読み出して実行することにより実現される。
【0047】
次に、本実施形態の生体情報センサWが行う生体情報測定処理について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
ここで、
図4は、本実施形態の生体情報センサの構成部間の信号の流れを示した模式図であり、
図5は、本実施形態の生体情報センサが行う生体情報測定処理の手順を示したフローチャートである。
【0048】
本実施形態の生体情報センサWにより生体情報を測定する場合、事前準備として、絶縁布により構成されるシート状の本体部5に設けられた電極部10を、被検者の皮膚に当接させた状態で被検者の身体の部位に巻き付けて固定し、生体情報センサWを被検者に装着する。
【0049】
生体情報センサWが被検者に装着されると、生体情報センサWの電源(図示せず)を入れる。これにより、電極部10が被検者の皮膚上に現れる筋電位(生体電位)を検知する。また、電極部10は、信号処理部100のアンプ及びフィルタ部110に対して、検知した筋電位を送信し(S1)、S2の処理に移行する。
【0050】
S2では、アンプ&フィルタ部110が、電極部10が送信した筋電位を受信し(取得し)、その筋電位を増幅して所望の周波数帯域だけを抽出する。また、アンプ&フィルタ部110は、AD変換部120に、抽出した所望の周波数帯域の筋電位を送信し、S3の処理に移行する。
【0051】
S3では、AD変換部120が、アンプ・フィルタ部110から送信された所望の周波数帯域の筋電位(アナログ信号の筋電位)を受信し、受信した筋電位をデジタル信号に変換する。AD変換部120により変換されたデジタル信号は、ノイズ抽出フィルタ部130及び生体信号抽出フィルタ部140の両者に送信され、S4、S5の処理に移行する。
なお、S4、5の処理は、並列して同じタイミングで行われても良いし、S4、S5の順番に行なわれても良いし、S5、S4の順番に行なわれても良い。
【0052】
S4では、ノイズ抽出フィルタ部130が、AD変換部120から送信されたデジタル信号を受信し、受信したデジタル信号から所定のノイズ成分を抽出する。また、ノイズ抽出フィルタ部130は、装着状態異常検出部150に、抽出したノイズ成分を送信する。
【0053】
S5では、生体信号抽出フィルタ部140は、AD変換部120から送信されたデジタル信号を受信し、受信したデジタル信号からから所定の生体信号成分に相当する生体信号(筋電位波形(EMG))を抽出する。また、生体信号抽出フィルタ部140は、抽出した生体信号に対して商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去する。また、生体信号抽出フィルタ部140は、装着状態異常検出部150及び生体情報算出部160に対して、上記の抽出し且つ商用電源周波数の整数倍の周波数成分を除去した生体信号(筋電位波形(EMG))を送信する。
なお、S4及びS5の両者が終了すると、S6の処理が開示され、S5の処理が終了するとS7の処理が開始される。
【0054】
S6では、装着状態異常検出部150が、生体信号抽出フィルタ部140から送信された生体体信号を受信すると共に、ノイズ抽出フィルタ部130が送信したノイズ成分を受信する。また、装着状態異常検出部150が、受信した生体信号と、受信したノイズ成分とを比較することで、生体情報センサWが被験者に正しく装着されているか否かを判定する。例えば、装着状態異常検出部150は、生体信号対するノイズ成分の割合(ノイズ成分/生体信号)が所定値以上のときには、生体情報センサWが被験者に正しく装着されていないと判定する。また、上記の割り合いが所定値未満のときには、生体情報センサWが被験者に正しく装着されていると判定する。
また、装着状態異常検出部150は、判定結果である生体情報センサWが被検者に正しく装着されているか否かを示す「装着状態情報」を生成し、通信処理部170に対して、生成した「装着状態情報」を送信する。
【0055】
S7では、生体情報算出部160が、生体信号抽出フィルタ部140から送信された生体信号(筋電位波形(EMG))を受信する。また、生体情報算出部160が、受信した生体信号(筋電位波形(EMG))を用いた演算処理(分析処理)を行い、生体信号(筋電位波形(EMG))から筋緊張度(生体情報)を算出する。また、生体情報算出部160は、通信処理部170に対して、「生体信号抽出フィルタ部140から取得した筋電位波形(EMG)」及び「算出した筋緊張度」を送信する。
【0056】
S8では、通信処理部170が、装着状態異常検出部150から送信された「装着状態情報」を受信すると共に、生体情報算出部160から送信された「筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を受信する。また、通信処理部170が、外部処理装置300に、受信した「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を送信する。
【0057】
その後、外部処理装置300が「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を受信して、外部処理装置300の利用者(医師、研究者、ゲームのプレイヤ)が、受信した「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を医療行為(診断)、研究、生体情報を利用したゲーム(ゲームのアプリケーションプログラム)等に用いる。
【0058】
なお、上述したように、本実施形態の生体情報センサWは、信号処理部100のアンプ及びフィルタ部110に、1MΩ以上の高入力インピーダンス差動アンプ機能が設けられている。この構成により、電極部10が絶縁布5に導電糸を刺繍して形成された構成になっていても、すなわち、皮膚と電極部10との間の接触抵抗が高くなる布電極であっても、電極部10が検知した筋電位を安定的に取得し、安定的に生体情報を測定することができる。その結果、本実施形態によれば、湿式の生体情報センサと比べて、被検者の身体に負担をかけずに生体情報を測定できる。また、本実施形態によれば、湿式の生体情報センサと比べてランニングコストが発生しないため、利用者の経済的負担が軽減される。
【0059】
また、本実施形態の生体情報センサWは、上述した通り、信号処理部10のアンプ及びフィルタ部110に、アンチエイリアシングローパスフィルタ機能及びハイパスフィルタ機能を設けている。そのため、アンプ及びフィルタ部110において、測定したい周波数帯域だけを抽出することができ、アンプ及びフィルタ部110が行うS2以降の処理において、高精度に生体情報を算出するこができる。
【0060】
また、本実施形態の生体情報センサWは、上述した通り、信号処理部10の装着状態異常検出部150が、生体情報センサWが被験者に正しく装着されているか否かを判定している。
この構成により、例えば、生体情報を医療行為(診断)や研究、コンピュータゲーム(アプリケーションプログラム)に用いる場合、生体情報センサが被検者に正しく装着されていると判定された場合だけ、算出された生体情報を用いるようにすることができる。すなわち、本実施形態によれば、正確な生体情報を用いて、医療行為、研究(医学、スポーツ科学等の研究)、コンピュータゲーム等を行うことができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、生体情報センサWが測定した「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」が、コンピュータ等の外部処理装置300に送信されて用いられる場合について示したが、特にこれに限定されるものではない。
【0062】
例えば、
図6に示すように、生体情報センサWが測定した「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」が、義手400に送信されて、義手の動作制御に用いられるようになっていても良い。
ここで、
図6は、本実施形態の生体情報センサを義手の動作制御に利用する場合の例を示した模式図である。
【0063】
図6に示す義手400は、生体情報センサWの信号処理部100と、有線或いは無線により通信可能な制御回路410を備えている。この制御回路410が、生体情報センサWから「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を受信し、その受信した「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を用いて義手400の動作を制御するようになっている。
【0064】
また、制御回路410は、受信した「装着状態情報」が「生体情報センサWが被検者に正しく装着されていることを示す情報」のときには、受信した「筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を用いて義手400の動作を制御する。
また、制御回路410は、受信した「装着状態情報」が「生体情報センサWが被検者に正しく装着されていないことを示す情報」のときには、受信した「筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を用いた義手400の動作制御を行わない。この構成により、生体情報センサWが被検者に正しく装着されていないときに測定された生体情報、すなわち、正確に測定されていないと推定される生体情報により義手の動作が制御されることを防止できる(例えば、義手が誤動作することを防止することができる)。
【0065】
また、
図6の構成によれば、長時間にわたり生体情報が必要な義手400の利用者は、布電極により生体情報が測定されるため、湿式の生体情報センサを利用する場合と比べて、利用者の身体の負担を軽減することができる。
また、義手400の動作制御のための生体情報センサWは、義手の利用者が継続して繰り返して使うものであるが、湿式の生体情報センサのような使い捨ての電極ではなく且つジェルも必要ないため、ランニングコストがかからず、経済的な負担が軽減される。
【0066】
以上、説明したように、本実施形態によれば、被検者の皮膚と電極との間の接触抵抗が高くても、安定的に生体情報を測定することができる生体情報センサWを提供することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、上述した実施形態では、生体情報センサWが布電極により構成されている場合について述べたが、布電極の以外のものでも本発明を適用することができる。
例えば、
図7に示す従来技術の「乾式の生体情報センサ500」の信号処理部(
図7には示さず)を、本実施形態の信号処理部100に置き換えるようにしても良い。乾式の生体情報センサ500は、被検者の皮膚と電極との間の接触抵抗が高くてなるが、本実施形態の信号処理部100を設けることにより、安定的に生体情報を測定することができるようになる。
また、
図7に示す、乾式の筋電センサ500は、絶縁材料により形成された箱状の本体部501一方面に設けられた電極502が金属により形成されているが、特にこれに限定されるものではない。乾式の筋電センサ500の電極502が金属以外の「導電性を有する材料(例えば、導電性プラスチック)」により形成されていても良い。
【0069】
また、上述した実施形態の生体情報センサWでは、電極部10が筋電位を検知し、信号処理部100が、筋電位から「装着状態情報、筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」を算出しているが、特にこれに限定されるものではない。生体情報センサWの電極部10が筋電位以外の生体電位を検知し、その生体電位から「筋電位波形(EMG)及び筋緊張度」以外の生体情報を算出するようなっていても良い。
【0070】
また、上述した実施形態の生体情報センサWは、絶縁布により形成された本体部5に、信号処理部100の機能を実現する回路基板が搭載されたボタン型基板20が取付けられているが、この構成は一例である。信号処理部100の機能が、電極部10に電気的に接続された別体の装置(例えば、コンピュータ等の装置)に設けられていても良い。
【0071】
また、上述した実施形態の生体情報センサWは、絶縁布により形成された本体部5を有する構成になっているが、本体部5が絶縁布以外の「シート状の絶縁材」により構成されていても良い。
【符号の説明】
【0072】
W…生体情報センサ
5…本体部
10…電極部
10a、10b、10c…電極
20、20a、20b、20c…ボタン型基板
30、33…導電性糸
100…信号処理部
110…アンプ及びフィルタ部
120…AD変換部
130…ノイズ抽出フィルタ部
140…生体信号抽出フィルタ部
150…装着状態異常判定部
160…生体情報算出部
170…通信処理部
300…外部処理装置
400…義手
410…制御回路