(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】材料の処理のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20240216BHJP
B01J 19/10 20060101ALI20240216BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20240216BHJP
B01J 19/18 20060101ALI20240216BHJP
B01F 29/80 20220101ALI20240216BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240216BHJP
B01F 33/25 20220101ALI20240216BHJP
B02C 17/04 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
B01J19/00 N
B01J19/10
B01J19/12 H
B01J19/18
B01F29/80
C08J3/20 A CEZ
B01F33/25
B02C17/04
(21)【出願番号】P 2021527929
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 ES2019070789
(87)【国際公開番号】W WO2020104721
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-08-31
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】501199047
【氏名又は名称】ユニヴェルシダッド ポリテクニカ デ マドリッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ムニョス ギホサ,フアン マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス サピコ, ギリェルモ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/024108(WO,A2)
【文献】中国実用新案第204338244(CN,U)
【文献】国際公開第2008/146042(WO,A1)
【文献】米国特許第03286937(US,A)
【文献】米国特許第01401716(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02075072(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02、
14/00-19/32
B01F
C08J 3/00- 3/28
B02C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体状態の材料(1)と前記流体材料(1)中に懸濁された粒子との間から選択される材料を処理するためのシステムであって、
- 2つの機械的要素(2a、2b;2a、2c)を備えた少なくとも1つの上側運動学的対であって、前記運動学的対が、前記流体状態の材料(1)と接触しているか、または前記流体材料(1)内に懸濁された前記粒子と接触している、上側運動学的対と、
- 前記運動学的対の前記機械的要素(2a、2b;2a、2c)の間に予め設定された相対速度(v)を生成するモータ手段(5)と、
- 前記運動学的対を予め設定された接触圧力(p)にさらす張力付与手段(8)と、
- 前記材料の温度を制御する温度制御手段と、
を備え、
前記上側運動学的対が、移動リング(2b)と固定リング(2c)との間に配置された転動体(2a)を備えた少なくとも1つの軸受(2)によって形成される
と共に、
前記上側運動学的対が、カバー(3)によって気密に閉鎖されたチャンバ(4)内に収容され、
前記張力付与手段(8)が、前記チャンバ(4)が配置される固定ベース(8a)と、前記チャンバ(4)の前記カバー(3)に圧力を加えるように締付装置(8c)によって移動可能な移動プラットフォーム(8b)とを備え、前記締付装置(8c)が作動装置(8e)によって制御される
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
熱交換流体が循環するコイル(6)をさらに備えることを特徴とする、請求項
1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記チャンバ
(4)の内側への電磁放射線または音響放射線のアクセスを可能にする少なくとも1つの窓をさらに備えることを特徴とする、請求項
1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記モータ手段(5)が、伝達シャフト(5b)に接続されたモータ(5a)を備え、前記モータ(5a)が、角速度(w)を前記伝達シャフト(5b)に伝達することができ、前記シャフト(5b)が、前記シャフト(5b)が前記運動学的対の要素(2b)のうちの1つに前記角速度(w)を伝達することができるように、前記カバー(3)
のカバー本体(3a)に設けられた開口部を介して前記チャンバ(4)の内部にアクセスすることを特徴とする、請求項
1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記チャンバ(4)が、前記流体状態の材料(1)を収容するためのチャンバ本体(4a)と、前記運動学的対を固定するためのスリーブ(4b)およびワッシャ(4c)とを備えることを特徴とする、請求項
1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記張力付与手段(8)が、さらに、
- 前記締付装置(8c)と前記作動装置(8e)との間に配置された減速機(8d)と、
- カルダンジョイント(8f)と、
- 前記移動プラットフォーム(8b)の移動を案内するためのガイド(8g)と、を備えることを特徴とする、請求項
1に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料、例えば非限定的にはポリマー材料の特性を改善することを意図した工業プロセスに適用可能である。
【0002】
より具体的には、本発明は、材料を処理するための方法およびシステムであって、前記材料が、高せん断速度および/または静水圧の印加によって、流体状態の材料と流体材料中に懸濁した粒子との間から選択され、強化粒子または他の同様の改善要素をその目的に追加する必要なく、前記材料またはそれに由来する他の材料(例えば、重合後)の物理的、化学的、および/または機械的特性を改善することを可能にする、方法およびシステムに関する。
【0003】
同様に、本発明の特定の実施形態は、流体状態の材料を、高いせん断速度および/または静水圧で前記流体材料中に懸濁された粒子と混合するための混合方法に関する。前記実施形態は、例えば非限定的には、塗料を製造するためのプロセス、ならびに粒子およびナノ粒子によって改善/強化される材料を製造するためのプロセス、ならびに前記粒子およびナノ粒子を得るためのプロセスに適用可能である。
【0004】
本発明の実施形態は、最新技術で想定されるものよりも約2桁、場合によっては3桁も大幅に高いせん断速度および静水圧を得ることを可能にする。
【背景技術】
【0005】
材料を製造するためのいくつかのプロセスでは、強化粒子は、物理的、化学的、および/または構造的特性を改善するために、流体状態にあるときに前記材料に添加されることが多い。
【0006】
前記材料は、好ましくは、出発材料のマトリックス、例えば非限定的には、エポキシ樹脂またはポリカーボネートなどのポリマー材料を含むことができる。
【0007】
そして、流体状態の材料および強化粒子によって形成された得られた混合物は、通常、重合、焼結、冷却などのプロセスによって固化される。前記混合およびその後の固化プロセスの結果として得られる材料は、通常、「複合材」と呼ばれる。
【0008】
それにもかかわらず、これらの強化粒子の添加は、材料を製造するプロセスを複雑にし、製造コストを増加させる。したがって、強化および/または改善粒子をその目的のために添加する必要なく、前記材料の物理的、化学的、および/または構造的特性を改善することを可能にする、流体状態の材料を処理するためのシステムおよび方法を開発することが望ましい。
【0009】
例として、これに限定されるわけではないが、カーボンナノチューブおよび/またはグラフェンもしくは酸化グラフェンナノ粒子を強化粒子としてエポキシ樹脂またはポリカーボネートマトリックスに添加すると、とりわけ、破壊エネルギー、疲労寿命、剛性、引張強度、熱伝導率、および導電率などのその後の物理的および/または構造的特性が改善されることが知られている。前記混合およびその後の固化プロセスの結果として得られる材料は、(この特定の場合の強化粒子は、ナノ粒子であると仮定すると)「ナノコンポジット」と呼ばれる。
【0010】
さらに、カーボンナノチューブおよび/またはグラフェンまたは酸化グラフェンナノ粒子などの強化粒子の添加によってポリマー材料を含む材料の特性が改善される程度は、強化粒子の層間剥離のレベル、強化粒子の分散のレベル、および強化粒子とポリマー材料との間に生成される界面の品質の要因に大きく依存することが知られている。
【0011】
前の段落で述べた強化粒子、特にグラフェンなどの平坦なナノ粒子は、いくつかの異なるシートの積層によって形成されることが多い。シートが互いにより多く分離されるほど(すなわち、剥離のレベルが高いほど)、得られるナノコンポジット材料の特性はより良好になる。カーボンナノチューブなどの線状ナノ粒子が互いに絡み合う傾向がある場合、同じことが起こる。線状ナノ粒子が互いにより多く分離されるほど(すなわち、解きほぐしのレベルが高いほど)、得られる材料の特性はより良好になる。
【0012】
最新技術では、この場合、流体状態のポリマー材料と懸濁した強化粒子とによって形成された混合物は、多くの場合、強化粒子の層間剥離または解きほぐしのレベルを高めるために、高いせん断速度を受ける。したがって、例えば、AXFlow Holding ABによって市販されているRannie Gaulin 110Tホモジナイザを使用することによって、105s-1程度のせん断速度を得ることができる。これらのせん断速度では、強化粒子内に元々存在するシートの多くが剥離されるが、完全ではない。
【0013】
高せん断速度の適用に基づく同じ方法が使用されて、グラファイトの層間剥離からグラフェンシートを得る。この場合、流体材料は、グラファイト粒子が懸濁した溶媒である。現在のシステムで得られるせん断速度は、グラファイト粒子を形成する全てのグラフェンシートを完全に剥離することを可能にしない。
【0014】
したがって、強化粒子を流体状態の材料と混合し、それにより、より高いせん断速度を得ることができる新たな混合方法を開発することが望ましい。
【0015】
さらに、強化粒子の層間剥離または解きほぐしのレベルは、混合物が受ける静水圧を増加させることによっても改善されるであろう。
【0016】
AXFlow Holding ABによって市販されている今日入手可能なRannie Gaulin 110Tホモジナイザは、0.15GPa程度の静水圧を混合物に加えることができる。したがって、強化粒子を流体状態の材料と混合し、それによって、流体状態の材料と強化粒子とによって形成された混合物により高い静水圧を加えることができる新たな混合方法を開発することが望ましい。
【0017】
同様に、いくつかの強化粒子および/または改善粒子は、出発材料の液体マトリックスに添加されると、ともにクラスタ化する傾向がある。
【0018】
上記のように、強化および/または改善粒子の凝集が少ないほど(すなわち、分散のレベルが高いほど)、得られる材料の特性は良好になる。最新技術では、混合物は、強化粒子および/または改善粒子の凝集を低減するために高いせん断速度を受けることが多い。
【0019】
したがって、強化粒子および/または改善粒子のより高い分散度を達成する目的で、より高いせん断速度を得ることができることも望ましいであろう。
【0020】
時には、出発材料のマトリックスを含む材料では、強化/改善粒子と前記出発材料のマトリックスとが互いに十分に接着せず、生成された界面が良質ではないことがある。強化/改善粒子を形成する材料とマトリックスの出発材料との間の化学的適合性の欠如など、様々な原因が存在しうる。
【0021】
例えば官能化など、強化粒子と出発材料のマトリックスとの間の接着を改善するための様々な技術が、最新技術において知られている。前記技術は、マトリックスの原子または分子構造への粒子の結合を改善するために粒子を物理的または化学的に改質することから構成される。しかしながら、官能化は、強化粒子における欠陥の出現などのいくつかの欠点に関連する。これは、界面の質の改善に関連する複合材料の特性の改善が、欠陥の出現によって部分的に打ち消される場合がある。
【0022】
官能化に関連する欠点を示さないマトリックスへの粒子の接着性を改善する別の方法は、混合物が受けるせん断速度および/または静水圧を増加させることである。
【0023】
これは、強化/改善粒子を流体状態の材料と混合するための混合方法、特に、強化/改善粒子を出発材料のマトリックスを含む流体状態の材料と混合し、それによって混合物に関してより高いせん断速度および/またはより高い静水圧を得ることができる混合方法を開発することが望ましいさらなる理由である。
【0024】
さらに、粒子を流体状態の材料と混合するための工業プロセスであって、流体状態の材料(または複数の材料)中の粒子の良好な分散を達成し、それによって凝集の出現を防止する必要がある工業プロセスは、既に述べたものに加えて、工業の他の分野において使用される。
【0025】
これは、流体状態の材料(または複数の材料)および懸濁粒子によって形成された混合物を、高いせん断速度(104~105s-1程度)および/または高い静水圧(0.01~0.15GPa程度)にさらすことによって達成される。この目的のために、ボールミル、カレンダ、ホモジナイザ(例えば、AXFlowHolding ABによって市販されているRannie Gaulin(登録商標)ブランドの装置)などの装置、および溶解装置(例えば、VMA Getzmann GmbHによって市販されているDispermat(登録商標)ブランドの装置)が使用されることが多い。
【0026】
塗料を製造するプロセスでは、高いせん断速度で混合を行うことは、凝集する傾向がある前記塗料を製造する際に使用される粒子またはナノ粒子を分散させること、および/または前記粒子またはナノ粒子の改質、すなわち層間剥離、サイズ縮小などを達成することに特に関連する。
【0027】
同様に、流体状態の材料と懸濁粒子とによって形成された混合物に高いせん断速度および/または静水圧が加えられると、条件が適切であれば、前記粒子の他のより小さな粒子への断片化(最新技術のボールミルまたはカレンダで行われる断片化と同様)がさらに起こり、成分のより良好な混合をもたらすことができる。
【0028】
定義
本明細書を通して、流体状態の材料または混合物(流体状態の材料および懸濁粒子によって形成される)が受ける「せん断速度」は、速度分布の空間勾配、すなわち互いに非常に近い2点間の流体状態の材料(または混合物の代替として)の速度の変化の大きさを意味すると理解されなければならない。
【0029】
同様に、流体状態の材料または混合物(流体状態の材料および懸濁粒子によって形成される)が受ける「静水圧」は、流体材料が受ける圧縮を意味すると理解されなければならず、混合物の場合、前記圧力は、流体材料中に懸濁した粒子が受ける圧縮も含む。
【0030】
さらにまた、「運動学的対」は、特定の接触力で互いに接触しており、一方がさらに特定の相対速度で他方に対して移動される2つの機械的要素のセットである。上側運動学的対は、接触が理論的には線形または点接触であり、例えば、これに限定されるわけではないが、軸受内の転動体-レース対、ならびに歯車、カム-フォロア機構、ピンオンディスク摩擦計、およびボールオンディスク摩擦計に見られるものなど、「ヘルツ」接触とも呼ばれる運動学的対である。
【0031】
下側運動学的対は、例えばシャフト-軸受対などの表面上で接触が生じるものである。
【0032】
明らかに、上側運動学的対では、対を形成する要素の塑性変形を引き起こさない接触力の場合、対の2つの要素間で実際に発生する接触は、厳密には点接触または線接触ではなく、楕円接触(ミクロンから数百ミクロン程度の非常に短い軸を有する楕円)または矩形接触(ミクロンから数百ミクロン程度の非常に短い長さを有する矩形の辺の1つ)である。さらにまた、本発明にかかる材料の処理のためのシステムにおいて、運動学的対を形成する要素が流体状態の材料と接触しているとき、以下により詳細に説明するように、流体状態の前記材料の膜(または代替的に、流体状態の材料と懸濁粒子とによって形成された混合物の膜)が対の双方の要素の間に形成され、双方の要素をもはや接触させないようにすることができる。換言すれば、上側運動学的対を形式的に形成する2つの機械的要素において、実際の接触は、厳密には、線接触または点接触ではない(または、実際には、接触が全くない可能性がある)が、前記要素によって形成される運動学的対は、依然として形式的に「上側」または「下側」対と呼ばれる。
【0033】
最後に、本明細書を通して、「ナノ粒子」は、その寸法の少なくとも1つが0.1から100ナノメートルの間のサイズを有する粒子を意味すると理解されなければならない。
【発明の概要】
【0034】
従来技術に関連して説明された課題を解決するために、本発明の第1の目的は、材料を処理するためのシステムであって、前記材料が、流体状態の材料と流体材料中に懸濁された粒子との間から選択され、
- 2つの機械的要素を備えた少なくとも1つの上側運動学的対であって、流体状態の材料と接触しているか、または流体材料中に懸濁した粒子と接触している、前記運動学的対と、
- 前記運動学的対の機械的要素間に相対速度を生成するモータ手段と、
- 前記運動学的対を予め設定された接触圧力にさらす張力付与手段と、を備えることを特徴とする、システムに関する。
【0035】
実験を通して、本発明の材料を処理するためのシステムでは、1つまたは複数の上側運動学的対を流体状態の材料と接触させ、各対の機械的要素間に十分に高い力および相対的な回転速度および/または摺動速度を加えることによって、流体状態の前記材料が各対の2つの機械的要素間で移動することができ、それらの間に非常に薄い厚さ(1ナノメートル、数十ナノメートルまたは数百ナノメートルのオーダーの)の膜を形成するように、前記機械的要素が互いに分離することをもたらすことができる流体力学的くさびが前記機械的要素間に形成されることが観察された。
【0036】
運動学的対の機械的要素、および流体状態の材料の存在の結果としてそれらの間に形成される流体力学的くさびに加えられる力および相対速度のために、流体状態の前記材料は、驚くべきことに、この場合、非常に高い流体力学的圧力およびせん断速度(例として、これに限定されるわけではないが、それぞれ約1~6GPaおよび106~109s-1)を受ける。
【0037】
いずれにしても理論に縛られることを望むものではないが、これは、他の要因の中でも、潤滑ヘルツ接触において観察される流体力学的現象に起因して可能であると考えられる。実際、本発明にかかるシステムでは、各上側運動学的対は、流体状態の材料によって流体力学的潤滑計画(hydrodynamic lubrication regimen)または制限を受けると考えられる。
【0038】
流体状態の材料が、特にそれがポリマー型材料またはポリマー前駆体材料である場合、本発明にかかる処理システムによって高圧および/またはせん断速度にさらされると、その物理化学的特性のいくつか、例えば非限定的には、モノマーまたは前記材料中に存在するポリマー鎖の長さまたは物理的または化学的構成などが改質されることがあることが確認されている。これらの改質は、剛性、強度、破壊エネルギー、電気伝導率または熱伝導率などの、前記前駆体の重合から生じる材料またはポリマーのいくつかの特性の改善を、その目的のために強化粒子を添加する必要なしにもたらすことができる。
【0039】
本発明の一実施形態では、流体状態の材料を処理するためのシステムは、移動リングと固定リングとの間に配置された転動体を備えた少なくとも1つの軸受によって形成された上側運動学的対を備える。好ましくは、前記軸受は、転動体を分離するためのケージを備える。
【0040】
本発明の別の実施形態では、流体状態の材料を処理するためのシステムは、ギア、カム-フォロア機構、チェーンスプロケット機構、チェーン伝動装置、ベルト伝動装置、ケーブル伝動装置、ピンオンディスク摩擦計、またはボールオンディスク摩擦計によって形成された少なくとも1つの上側運動学的対を備える。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、上側運動学的対、または代替的に、複数の上側運動学的対は、カバーによって気密に閉鎖されたチャンバ内に収容される。本発明のより好ましい実施形態では、閉鎖チャンバは、流体状態の材料の流入および/または流出のための導管を備えている。
【0042】
必要に応じて、チャンバは、ガスの制御された流入および/または流出のための少なくとも1つのボアをさらに備えることができる。前記ボアは、チャンバ内に制御された真空を生成することを可能にし、あるいは、制御された圧力および温度ならびに化学組成で前記チャンバ内にガスを導入することを可能にする。
【0043】
同様に、チャンバは、チャンバの内側への電磁放射または音響放射、例えば超音波のアクセスを可能にする少なくとも1つの窓を備えることができる。
【0044】
本発明にかかる材料を処理するためのシステムは、必要に応じて、熱交換流体が循環するコイルを備えることができる。前記コイルは、流体状態で材料の温度を制御することを可能にする。
【0045】
前記コイルは、チャンバの壁と接触して、チャンバの内部に、あるいはチャンバの外側部分に配置されることができる。チャンバの内部とコイルとの間の熱交換は、対流および放射によって生じる。
【0046】
あるいは、熱交換コイルを備える代わりに、本発明にかかる材料を処理するためのシステムのいくつかの実施形態は、チャンバが予め設定された温度の流体に少なくとも部分的に浸漬されることを想定している。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、モータ手段は、伝達シャフトに接続され、モータが前記伝達シャフトに角速度を伝達することができるように構成されたモータを備え、前記シャフトは、カバー本体に設けられた開口部を介してチャンバの内部にアクセスし、シャフトは、前記角速度を運動学的対の機械的要素に伝達することができるように構成される。
【0048】
本発明の上述した実施形態では、前記カバーは、好ましくは、リテーナおよびOリングをさらに備える。これらの追加の構成要素(リテーナおよびOリング)は、カバーの気密性を保証し、流体状態の材料が前記カバーを通って不必要にチャンバから出ることを防止し、同時に空気または他のガスが不必要に前記チャンバに入ることを防止する。
【0049】
本発明の別の好ましい実施形態では、チャンバは、材料を流体状態で収容するためのチャンバ本体と、運動学的対を固定するためのスリーブおよびワッシャとを備える。
【0050】
本発明にかかるシステムの張力付与手段は、好ましくは、チャンバが配置される固定ベースと、チャンバのカバーに圧力を加えるように締付装置によって移動可能な移動プラットフォームとを備え、締付装置は、作動装置によって制御される。
【0051】
さらにまた、張力付与手段は、好ましくは、
- 締付装置と作動装置との間に配置された減速機(前記減速機は、作動装置によって生成された同一の駆動トルクに対して締付装置が及ぼすことができる力を増幅することを可能にする)と、
- カルダンジョイント(前記カルダンジョイントは、異なる締付装置の動きを同期させることを可能にし、それらの全てを同じ速度で動かす)と、
- 移動プラットフォームの移動を案内するためのガイドと、を備える。
【0052】
チャンバのカバーに締付装置によって加えられる圧力を測定するために、本発明にかかる材料の処理のためのシステムは、必要に応じて、好ましくはチャンバと固定ベースとの間に配置されたロードセルを備えることができる。
【0053】
必要に応じて、それはまた、流体状態の材料の温度を測定することを目的とした少なくとも1つの熱電対を備えることもできる。
【0054】
最後に、本発明にかかる材料を処理するためのシステムは、必要に応じて、運動学的対(または代替的に複数の運動学的対)を振動運動にさらす振動手段を備えることができる。前記振動運動は、運動学的対が受ける接触圧力の増加に寄与する。
【0055】
本発明の第2の目的は、本発明の第1の目的にかかる処理システムにおいて、流体状態の材料と流体材料中に懸濁した粒子との間から選択される材料を処理するための方法であって、
- 処理システムの少なくとも1つの上側運動学的対が流体材料と接触するか、または流体材料中に懸濁された前記粒子と接触するように、材料を処理するためのシステムに流体状態の材料を導入するステップと、
- 前記上側運動学的対の機械的要素間に予め設定された相対速度を生成するようにモータ手段を作動させるステップと、
- 張力付与手段を作動させて、運動学的対を予め設定された接触圧力にさらすステップと、を備えることを特徴とする、方法に関する。
【0056】
同様に、本発明にかかる流体状態の材料を処理するための方法の特定の実施形態では、流体状態の材料はポリマー材料である。より好ましくは、前記ポリマー材料は、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂、PEEK、ABS、PP、PE、ウレタン、またはそれらの任意の組み合わせ(それぞれを個別に含む)を含む。
【0057】
本発明にかかる材料の処理のための方法の別の特定の実施形態では、流体状態の材料は、ポリマー前駆体、好ましくはエポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂、PEEK、ABS、PP、PE、ウレタン、またはそれらの任意の組み合わせ(それぞれを個別に含む)の前駆体である。
【0058】
本発明にかかる材料の処理のための方法の別の追加の実施形態では、懸濁粒子は、グラファイトから作製される。好ましくは、本発明のこの特定の実施形態の目的は、グラフェンを得るために、本発明の処理システムによってグラファイトを剥離することである。
【0059】
本発明のシステムおよび方法によって得ることができる運動学的対の機械的要素間の高い力および高い相対転がりおよび/または滑り速度の結果として、得られたグラフェンは、今日知られている混合方法と比較して、粒子のより高いレベルの層間剥離および/または解きほぐしおよび/または断片化を有することができる。
【0060】
本発明の第3の目的は、本発明の第1の目的にかかる流体状態の材料を処理するためのシステムにおいて、流体状態の材料を懸濁粒子と混合するための混合方法であって、
- 処理システムの少なくとも1つの上側運動学的対が懸濁粒子を含有する前記流体材料と接触するように、前記流体材料と混合されるように意図された懸濁粒子をさらに含有する流体状態の材料を処理システムに導入するステップと、
- 前記上側運動学的対の機械的要素間に予め設定された相対速度を生成するようにモータ手段を作動させるステップと、
- 張力付与手段を作動させて、前記運動学的対を予め設定された接触圧力にさらすステップと、を備えることを特徴とする、混合方法に関する。
【0061】
本発明の他の実施形態と同様に、この混合方法では、1つまたは複数の上側運動学的対を(流体状態の材料および懸濁粒子によって形成された)混合物と接触させ、各対の機械的要素間に十分に高い力ならびに相対的な回転速度および/または摺動速度を加えることによって、混合物が各対の2つの機械的要素間を移動することができ、それらの間に非常に薄い厚さ(数ナノメートル、数十ナノメートルまたは数百ナノメートルのオーダーの)の膜を形成するように、前記機械的要素が互いに分離することをもたらすことができる流体力学的くさびが前記機械的要素間に形成される。
【0062】
これらは全て、今日知られている混合方法と比較して、本発明にかかる混合方法で得られる粒子のより高いレベルの剥離および/または解きほぐしおよび/または分散および/または断片化および/または流体材料とのそれらの接着を可能にする。
【0063】
本発明にかかる混合方法では、懸濁粒子は、強化粒子であることが好ましく、強化ナノ粒子であることがより好ましい。本発明のさらにより好ましい実施形態では、前記強化ナノ粒子は、カーボンナノチューブおよび/またはグラフェンもしくは酸化グラフェンナノ粒子である。
【0064】
同様に、本発明の混合方法の別の好ましい実施形態では、懸濁粒子は、グラファイトから作製される。
【0065】
同様に、本発明にかかる混合方法の特定の実施形態では、流体状態の材料は、出発材料、好ましくはポリマー材料のマトリックスを含む。より好ましくは、前記ポリマー材料は、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂、PEEK、ABS、PP、PE、ウレタン、またはそれらの任意の組み合わせ(それぞれを個別に含む)を含む。
【0066】
本混合方法の別の特定の実施形態では、流体状態の材料は、ポリマー前駆体、好ましくはエポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂、PEEK、ABS、PP、PE、ウレタン、またはそれらの任意の組み合わせ(それぞれを個別に含む)の前駆体である。
【0067】
混合方法の別の特定の実施形態では、流体状態の材料は溶媒である。
【0068】
本発明の全ての実施形態では、流体状態の材料または流体状態の材料と懸濁粒子とによって形成された混合物のいずれかが、既に知られている混合システムおよび方法で得ることができる動水圧およびせん断速度よりも著しく高い(例として、これに限定されるわけではないが、それぞれ約1~6GPaおよび106~109s-1)動水圧およびせん断速度を受けることができる。これは、運動学的対の機械的要素に加えられる高圧および相対速度、ならびに混合物の存在に起因して前記機械的要素間に生成される流体力学的くさびの非常に薄い厚さの結果として達成される。
【0069】
同様に、理論的接触面積の表面および混合物膜の厚さは、荷重支持要素の剛性、各対の機械的要素間の相対速度、および流体状態の材料と懸濁粒子との混合物の粘度に依存する。これらのパラメータは、当業者にとって明らかな方法で、流体力学的(HD)、弾性流体力学的(EHD)、または熱弾性流体力学的(TEHD)潤滑モデルから計算されることができるため、本発明にかかる混合方法では、流体と懸濁粒子の混合物が受けるせん断速度および静水圧が互いに独立して制御されることができる。
【0070】
次に、本明細書をよりよく理解するのを助けるために、その不可欠な部分として、本発明のいくつかの異なる実施形態が例示的且つ非限定的に示されている一連の図が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】本発明の処理システムの実施形態において使用するための、上側運動学的対を備えた軸受の順序付けられた分解図である。
【
図2】本発明にかかる処理システムにおいて
図1にかかる軸受に形成された上側運動学的対を示す概略断面図である。
【
図3A】軸受に基づく、本発明にかかる処理システムの可能な実施形態に設けられる主要構成要素の側面図である。
【
図4】本発明にかかる処理システムの実施形態に設けられるチャンバの順序付けられた分解図である。
【
図5】本発明にかかる処理システムの実施形態に設けられる、チャンバのカバーの順序付けられた分解図である。
【
図6】本発明にかかる処理システムの可能な実施形態における処理システムのさらなる要素を示す斜視図である。
【
図7】本発明にかかる処理システムの可能な実施形態における処理システムのさらなる要素を示す斜視図である。
【
図8】本発明にかかる処理システムの完全な実施形態の側面図である。
【0072】
図面の参照符号
(1)流体;
(2)軸受;
(2a)転動体;
(2b)移動リング;
(2c)固定リング;
(2d)ケージ;
(3)カバー;
(3a)カバー本体;
(3b)リテーナ;
(3c)Oリング;
(4)チャンバ;
(4a)チャンバ本体;
(4b)スリーブ;
(4c)ワッシャ;
(4d)ボア;
(4e)放射線用窓;
(5)モータ手段;
(5a)モータ;
(5b)シャフト
(5c)シャフトの突起
(5d)モータをシャフトに結合するための結合部;
(5e)モータの固定要素;
(6)コイル;
(7)流体状態の材料の入口/出口のための導管;
(8)張力付与手段;
(8a)固定ベース;
(8b)移動プラットフォーム;
(8c)締付装置;
(8d)減速機;
(8e)作動装置;
(8f)カルダンジョイント;
(8g)移動プラットフォーム用のガイド;
(9a)ロードセル;
(9b)熱電対;
(A)断面線;
(h1,h2)流体状態の材料の膜の厚さ;
(p)圧力;
(v)運動学的対の要素間の相対速度;
(w)角速度。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本発明を通して、ならびに図面において、同等または同様の機能を有する要素は、同じ参照符号によって示される。
【0074】
図1は、本発明にかかる処理システムの実施形態において使用するための軸方向軸受2を示している。
【0075】
前記軸受2は、固定ベース8a上に支持され、この特定の場合には、移動リング2bと固定リング2cとの間に配置された鋼球である転動体2aを備える。異なる転動体2aの間の分離を確実にするために、軸受2は、ケージ2dをさらに備えている。この図はまた、本発明にかかる処理システムにおいて、移動リング2bに角速度wが付与され、前記リングを固定リング2cに押し付ける接触圧力pが移動リング2bに及ぼされる方法を概略的に示している。
【0076】
図2は、本発明にかかる処理システムにおいて、前記流体と混合されるように意図された懸濁粒子を含むことができる流体状態の材料1と接触して配置される軸受2に存在する上側運動学的対を概略的に示している。
【0077】
この特定の場合、機械的要素は、転動体2a、移動リング2b、および固定リング2cである。実際には、軸受2に存在する各転動体2aに対して2つの上側運動学的対、すなわち、移動リング2bと転動体2aとによって形成される第1の運動学的対と、転動体2aと固定リング2cとによって形成される第2の運動学的対とが存在する。
【0078】
運動学的対の要素間に存在する相対速度vおよび機械的要素が受ける接触圧力pが適切である場合、第1の運動学的対の要素間に幅h1を有する流体材料1の第1の膜が形成され、第2の運動学的対の要素間に幅h2を有する流体材料の第2の膜が形成される。
【0079】
当業者にとって明らかなように、本発明にかかる材料の処理のためのシステムが流体状態の材料1を懸濁粒子と混合するために使用される場合、流体状態の材料と粒子(および流体状態の材料だけでなく)との混合物は、前の段落で述べた幅h1およびh2の第1および第2の膜を生じる。
【0080】
図3A、
図3B、および
図3Cは、本発明にかかる処理システムに設けられた主要構成要素を示している。
図3Aは側面図であり、
図3Cはその順序付けられた分解図である。
図3Bは、線Aに沿った断面図である。
【0081】
本発明の処理システムのこの特定の実施形態によれば、それぞれが転動体2a、移動リング2b、および固定リング2cを備えた2つの軸方向軸受2を内部に収容するチャンバ4が、前記
図3A~
図3Cに見ることができる。
【0082】
チャンバ4は、同様に、流体状態の材料1を収容する。明らかに、本発明にかかる材料の処理のためのシステムが流体状態の材料1を懸濁粒子と混合するために使用される場合、チャンバ4は、流体状態の材料によって形成された混合物と、流体状態の材料と混合されるように意図された懸濁粒子とを収容する。さらにまた、前記カバー4は、本体4aと、軸方向軸受2の半径方向の固定を可能にするスリーブ4bおよびワッシャ4cとを備える。
【0083】
さらにまた、チャンバ4は、圧力手段(
図3A~
図3Cには示されていない)によって加えられる圧力pを受けるカバー3を備えている。前記カバー3は、シャフト5bの通過を可能にする貫通孔を備えた本体3aを備える。前記シャフト5bは、モータ手段5の一部であり、モータ手段5によって生成された角速度wが各軸受2の移動リング2bに摩擦なしで伝達されるように、各軸受の移動リング2bと嵌合する。
【0084】
本発明のこの特定の実施形態では、シャフト5bは、前記シャフト5bと移動リング2bとの間の接触を最大にして、それらの間の相対移動、したがって摩擦を防止する突起5cを備えている。
【0085】
カバー3は、張力付与手段(
図3A~
図3Cには示されていない)によって生成された圧力pを受ける。前記圧力pは、カバー3の本体3aを介して軸受2の機械的要素に伝達される。さらに、本発明のこの特定の実施形態では、カバー3はまた、流体状態の材料1(または、場合によっては、流体状態の材料1と懸濁粒子とによって形成された混合物)がカバー3の本体3aに存在する貫通孔を通ってチャンバ4から浸出することを防止するリテーナ3bおよびOリング3cを備える。また、リテーナ3bおよびOリング3cは、チャンバ4の内部に対する空気または他のガスの出入りを防止する。
【0086】
図4は、本発明にかかる処理システムにおいて使用するためのチャンバ4の順序付けられた分解図を示している。本発明のこの特定の実施形態では、本体4a、スリーブ4b、およびワッシャ4cに加えて、チャンバ4はまた、ガスの制御された入口および/または出口のためのボア4d、ならびにチャンバの内側への電磁または音響放射、例えばこれに限定されるわけではないが、非限定的な方法での超音波のアクセスを可能にする窓4eを備えている。
【0087】
本発明にかかる材料の処理のためのシステムが流体状態の材料1を懸濁粒子と混合するために使用される場合、前の段落で述べた電磁および/または音響放射は、通常、流体材料中の粒子の分散を改善するために、および粒子がナノ粒子である場合、前記ナノ粒子と流体材料1との間の接着をさらに改善するために使用される。
【0088】
図5は、
図3A~
図3Cに記載されたカバー3の順序付けられた分解図を示している。上記のように、前記カバー3は、本体3aと、リテーナ3bと、Oリング3cとを備える。
【0089】
図6は、他の前述の図に関連して既に説明した他の構成要素に加えて、コイル6をさらに備える本発明にかかる処理システムの特定の実施形態を示している。前記コイルは、流体材料1、または場合によっては、流体材料1と懸濁粒子とによって形成された混合物の温度を制御することを可能にする。
【0090】
同様に、
図7は、他の前述の図に関連して既に説明した他の構成要素に加えて、チャンバの内部に対して、流体材料1、または場合によっては流体材料1と懸濁粒子とによって形成された混合物の流入および/または流出を可能にする導管7をさらに備える、本発明にかかる処理システムの特定の実施形態を示している。
【0091】
最後に、
図8は、本発明にかかる完全な処理システムの特定の実施形態を示している。この図に示される本発明の特定の実施形態では、モータ手段5は、結合部5dを介してシャフト5bに接続されたモータ5aを備える。したがって、モータ5aが作動されると、結果として生じる駆動トルクがシャフト5bに伝達され、前記シャフト5bが角速度w(
図1および
図3Aに概略的に示されている)で回転することができる。
【0092】
さらにまた、本発明のこの特定の実施形態では、流体材料1を収容するチャンバ4、または場合によっては、流体材料1と懸濁粒子との混合物が、固定ベース8a上に配置される。モータ5aは、固定要素5eによって前記固定ベース8aに固定されている。
【0093】
さらに、本発明のこの特定の実施形態では、圧力手段8は、固定ベース8aに加えて、本発明のこの実施形態では、移動プラットフォーム8bに設けられた貫通部分にねじ結合されたねじである締付装置8cの回転を引き起こす作動装置8e(本実施形態では、モータ)の作用の結果として移動することができる移動プラットフォーム8bを備える。この移動の結果として、移動プラットフォーム8bは、チャンバ4のカバー3に圧力を加えることができ、前記圧力は、機械的要素への接触によって伝達される。
【0094】
必要に応じて、減速機8dは、ねじ8cと作動装置8eとの間に配置されることができる。前記減速機8dは、作動装置8eの1つの同じ対に対してねじが及ぼすことができる力を増幅することを可能にする。好ましくは、減速機8dの回転速度を等しくすることを可能にするカルダンジョイント8f、および移動プラットフォーム8bが固定ベース8aと平行に移動することを可能にするガイド8gも設けられる。
【0095】
本発明のこの実施形態では、張力付与手段によってカバー3に加えられる圧縮力を測定することを目的とした少なくとも1つのロードセル9aと、流体材料1の温度を測定することを目的とした、または場合によっては、流体材料1と前記流体材料1と混合されることを目的とした懸濁粒子とによって形成された混合物の温度を測定することを目的とした少なくとも1つの熱電対9bも設けられる。
【0096】
本発明は、本明細書に開示された実施形態に決して限定されるものではない。当業者にとって、本発明の他の可能な異なる実施形態は、本明細書に照らして明らかであろう。結果として、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって排他的に定義される。