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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】アンカーボルト
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/41 20060101AFI20240216BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20240216BHJP
   F16B 13/04 20060101ALI20240216BHJP
   F16B 13/06 20060101ALI20240216BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20240216BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E04B1/41 503G
E04G21/12 105Z
F16B13/04 H
F16B13/06 A
F16B43/00 Z
E02D27/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022552387
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016622
(87)【国際公開番号】W WO2022230604
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2021077890
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512108094
【氏名又は名称】エイ.アンド.エス.システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】新井 勇
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-174119(JP,A)
【文献】実開昭62-135704(JP,U)
【文献】特表2016-536545(JP,A)
【文献】特開2009-215730(JP,A)
【文献】国際公開第2020/045348(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38 - 1/61
F16B 13/00 - 13/14
E04G 21/12
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に形成されたアンカー穴に定着されるアンカーボルトであって、
外周面にねじ山が形成され、前記アンカー穴に挿入される挿入部を有するボルト本体と、
前記ボルト本体に取り付けられた筒状部材と、
前記筒状部材の外周面に設けられ、前記ボルト本体の軸方向に延在しており、前記筒状部材が前記アンカー穴に配置された状態で前記アンカー穴の内側面に対して軸回転方向に係止する係止部と、
前記ボルト本体において前記筒状部材よりも前記アンカーボルトの先端側に取り付けられ、周方向に分断された環状の開拡部材と、
前記開拡部材の内孔に押し込まれて前記開拡部材を径方向外側へ開拡させる押込部と、を備えるアンカーボルト。
【請求項2】
前記開拡部材における分断ラインは、前記開拡部材の一方側に現れる第1端部から前記開拡部材の他方側に現れる第2端部に至って形成されており、前記第1端部と前記第2端部は、前記開拡部材における前記周方向に隔てられている、請求項1に記載のアンカーボルト。
【請求項3】
躯体に形成されたアンカー穴に定着されるアンカーボルトであって、
外周面にねじ山が形成され、前記アンカー穴に挿入される挿入部を有するボルト本体と、
前記ボルト本体に取り付けられ、前記アンカー穴に配置された状態で前記アンカー穴の内側面に係止する係止部を有する筒状部材と、
前記ボルト本体において前記筒状部材よりも前記アンカーボルトの先端側に取り付けられ、周方向に分断された環状の開拡部材と、
前記開拡部材の内孔に押し込まれて前記開拡部材を径方向外側へ開拡させる押込部と、を備え、
前記筒状部材は、
筒本体部と、
前記筒本体部における前記先端側の端部から前記先端側へ延出し、前記開拡部材の内面と前記押込部の外周面との間に配置され、前記筒本体部の外径よりも小さい小径筒部と、を有する、アンカーボルト。
【請求項4】
前記開拡部材は、前記小径筒部の外周部に内面が密着した状態で前記小径筒部に取り付けられている、請求項3に記載のアンカーボルト。
【請求項5】
前記筒状部材は、前記小径筒部の前記先端側の端部から前記筒本体部へ向けて延びる少なくとも1本のスリットを有する、請求項3に記載のアンカーボルト。
【請求項6】
前記スリットは、前記筒本体部の中央付近まで延在している、請求項5に記載のアンカーボルト。
【請求項7】
前記開拡部材は、延性を有する金属を主たる成分とする素材で形成されている、請求項1又は3に記載のアンカーボルト。
【請求項8】
前記筒状部材は、前記押込部及び前記開拡部材よりも硬度が低い素材で形成されている、請求項1又は3に記載のアンカーボルト。
【請求項9】
前記筒状部材は、合成樹脂を主たる成分とする素材で形成されている、請求項8に記載のアンカーボルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンクリート等の躯体に穿孔したアンカー穴に定着されるアンカーボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート等の躯体に定着されるアンカーボルトとして、先端部に複数本の縦スリットからなる開拡部を有する筒状部材と、前記筒状部材に挿入されるボルトとを備えるアンカーボルトが知られている。また、周方向に分割された複数の開拡片を結束条や弾性リングで結束した開拡部を先端部に備えるアンカーボルトが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-249608号公報
【文献】特開2003-268884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアンカーボルトは、周方向に分割された複数の開拡片を有するため、コーン部の傾斜面が開拡部を押し広げた場合に、各開拡片が外側へ広げられる。そのため、各開拡片との間に隙間が生じる。例えば、アンカーボルトが二つの開拡片を備える場合、広げられた二つの開拡片の間に2つの隙間が形成される。この場合、アンカー穴の内周面において、各開拡片に対向する内壁には各開拡片が食い込むことになるが、前記隙間部分に対向する部分には、開拡片が食い込むことができず、従来のアンカーボルトでは、十分な引き抜き強度を得ることができない。
【0005】
本開示の目的は、引き抜き強度を高めることが可能なアンカーボルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の局面に係るアンカーボルトは、躯体に形成されたアンカー穴に定着されるアンカーボルトである。前記アンカーボルトは、外周面にねじ山が形成され、前記アンカー穴に挿入される挿入部を有するボルト本体と、前記ボルト本体に取り付けられ、前記アンカー穴に配置された状態で前記アンカー穴の内側面に係止する係止部を有する筒状部材と、前記ボルト本体において前記筒状部材よりも前記アンカーボルトの先端側に取り付けられ、周方向に分断された環状の開拡部材と、前記開拡部材の内孔に押し込まれて前記開拡部材を径方向外側へ開拡させる押込部と、を備える。
【0007】
このように構成されているため、アンカー穴の内壁に対する開拡部材の非接触部分をできる限り少なくすることができる。その結果、アンカーボルトの引き抜き強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アンカー穴の内壁に対する開拡部材の非接触部分をできる限り少なくすることにより、アンカーボルトの引き抜き強度を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係るアンカーボルト11を示す斜視図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係るアンカーボルト11を示す斜視図である。
図3A図3Aは、アンカーボルト11の側面図である。
図3B図3Bは、アンカーボルト11の部分断面図である。
図4A図4Aは、アンカーボルト11に取り付けられる開拡リングを示す図である。
図4B図4Bは、アンカーボルト11に取り付けられる開拡リングを示す図である。
図5A図5Aは、アンカーボルト11をアンカー穴に挿入する過程を示す図である。
図5B図5Bは、アンカーボルト11をアンカー穴に挿入した状態を示す図である。
図5C図5Cは、アンカーボルト11のナットを締め付けて施工した後の定着状態を示す図である。
図6A図6Aは、アンカーボルト11の開拡リングの変形例1を示す図である。
図6B図6Bは、アンカーボルト11の開拡リングの変形例2を示す図である。
図6C図6Cは、アンカーボルト11の開拡リングの変形例3を示す図である。
図7図7は、アンカーボルト11の他の実施例を示す側面図である。
図8図8は、アンカーボルト11のその他の実施例を示す側面図である。
図9図9は、本開示の第2実施形態に係るアンカーボルト12を示す斜視図である。
図10A図10Aは、アンカーボルト12の側面図である。
図10B図10Bは、アンカーボルト12の部分断面図である。
図11A図11Aは、アンカーボルト12に取り付けられるスリーブを示す図である。
図11B図11Bは、アンカーボルト12に取り付けられるスリーブを示す図である。
図12A図12Aは、アンカーボルト12をアンカー穴に挿入する過程を示す図である。
図12B図12Bは、アンカーボルト12をアンカー穴に挿入した状態を示す図である。
図12C図12Cは、アンカーボルト12のナットを締め付けて施工した後の定着状態を示す図である。
図13図13は、本開示の第3実施形態に係るアンカーボルト13を示す斜視図である。
図14A図14Aは、アンカーボルト13の側面図である。
図14B図14Bは、アンカーボルト13の部分断面図である。
図15A図15Aは、アンカーボルト13をアンカー穴に挿入する過程を示す図である。
図15B図15Bは、アンカーボルト13をアンカー穴に挿入した状態を示す図である。
図15C図15Cは、アンカーボルト12のボルトを締め付けて施工した後の定着状態を示す図である。
図16図16は、本開示の第4実施形態に係るアンカーボルト14を示す斜視図である。
図17A図17Aは、アンカーボルト14の側面図である。
図17B図17Bは、アンカーボルト14の部分断面図であり、図17Aの切断面XVIIB-XVIIBの断面を示す。
図18図18は、アンカーボルト14に取り付けられるスリーブを示す斜視図である。
図19図19は、アンカーボルト14に取り付けられるスリーブを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照して本開示の各実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本開示を具体化した一例にすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[第1実施形態]
図1及び図2は、本開示の第1実施形態に係るアンカーボルト11を示す斜視図である。本実施形態のアンカーボルト11は、硬化したモルタルやコンクリートなどの躯体90(図5A参照)に取り付けられるものであって、いわゆる後施工アンカーと称されるボルトである。なお、アンカーボルト11が施工される躯体90は、天井、側壁、床面のいずれであってもよい。
【0012】
図1及び図2に示すように、アンカーボルト11は、テーパーボルト21(本開示のボルト本体の一例)、ナット22、ばね座金23(図2参照)、平座金24、スリーブ25(本開示の筒状部材の一例)、開拡リング26(本開示の開拡部材の一例)、コーン部27(本開示の押込部の一例)を備える。なお、ナット22、ばね座金23、及び平座金24は、本開示のアンカーボルトを構成する必須の要素ではなく、アンカーボルト11の取付施工に必要な要素である。
【0013】
図3A及び図3Bは、アンカーボルト11の構成を示す図であり、図3Aは側面図であり、図3Bは部分断面図である。図3Bでは、テーパーボルト21以外の部材の断面構造が示されている。
【0014】
図3A及び図3Bに示すように、テーパーボルト21は、外周面に雄ねじが形成されたボルトであり、その先端部にコーン部27が一体に形成されている。テーパーボルト21の頂部から先端部へ向けて雄ねじが形成されており、そのねじ部28の頂部側の一部が外部に露出され、テーパーボルト21の先端部側が躯体90に形成されたアンカー穴91(図5A参照)に挿入される。
【0015】
テーパーボルト21は、炭素鋼、ステンレス鋼などの鋼材で形成される。なお、テーパーボルト21は、鉄を主成分とする炭素鋼で形成される場合は、錆びや腐食などを防止するために溶融亜鉛メッキ処理が施されたものであってもよい。
【0016】
コーン部27は、開拡リング26の内孔に押し込まれて開拡リングを径方向外側へ開拡させるものであり、略円錐台形状に形成されている。コーン部27は、テーパーボルト21の先端部へ向けて末広がり形状に形成されており、その外周面271における最小径の部分の外径は開拡リング26の内径よりも小さく、外周面271の最大径の部分の外径は開拡リング26の内径よりも大きい。
【0017】
コーン部27の先端側には、コーン部27の外周面271に対して径方向外側へ突出する環状の突出部272が一体に形成されている。このため、外周面271と突出部272との間に段差272Aが形成されている。コーン部27は、アンカーボルト11の取付施工時にアンカー穴91に挿入される部分であるため、突出部272の外径は、アンカー穴91の外径よりも小さい。つまり、躯体90には、コーン部27の最大径(突出部272の外径)よりも大きい規定サイズのアンカー穴91が形成される。
【0018】
スリーブ25は、略円筒形状に形成された筒状部材である。スリーブ25は、テーパーボルト21に取り付けられている。具体的には、スリーブ25の内孔にテーパーボルト21のねじ部28が挿通され、その状態で、ねじ部28の頂部側に平座金24、ばね座金23が順次挿通されて、更に、ナット22がねじ部28に螺着されている。スリーブ25の内孔の内径は、ねじ部28の外径、及びコーン部27の最小径よりも若干大きく、コーン部27の最大径よりも小さい。
【0019】
スリーブ25は、コーン部27及び開拡リング26よりも硬度が低い素材で形成されている。本実施形態では、スリーブ25は、コーン部27及び開拡リング26よりも硬度が低い合成樹脂で形成されている。本実施形態では、スリーブ25は、合成樹脂を金型で成型することにより製造される。前記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)や、これらのいずれか一つ又は複数を主成分とする合成樹脂などを適用可能である。これらの合成樹脂は、躯体90よりも硬度が低く、つまり、躯体90に形成されたアンカー穴91の内壁よりも硬度が低い。
【0020】
なお、スリーブ25は、合成樹脂製のものに限られず、例えば、コーン部27及び開拡リング26よりも硬度が低いアルミニウムや銅などの金属や、或いは当該金属を主成分とする合金などの金属素材で形成されていてもよい。また、スリーブ25が前記金属素材で形成される場合、当該金属素材は、躯体90に形成されたアンカー穴91の内壁よりも硬度が低いことが好ましい。
【0021】
スリーブ25は、円筒形状に形成された筒本体部251(本開示の筒本体部の一例)と、一つ又は複数の係止片252(本開示の係止部の一例)と、一本又は複数のスリット253(本開示のスリットの一例)と、小径筒部254(本開示の小径筒部の一例)と、を有する。これらの各部は、スリーブ25と一体に形成されている。
【0022】
係止片252は、アンカーボルト11が、規定サイズのアンカー穴91に挿入されて、アンカー穴91の内部に配置された状態で、アンカー穴91の内側面に係止する部分である。係止片252は、筒本体部251の頂部側の端部に設けられており、筒本体部251の周面から垂直に突出する傾斜状のリブである。係止片252において、頂部側が最も高く、先端部側が低くなるように傾斜している。本実施形態では、4つの係止片252が筒本体部251の外周面に形成されており、周方向に等間隔で配置されている。筒本体部251の中心から係止片252までの長さH1(図3A参照)は、アンカー穴91の半径よりも長い。つまり、アンカー穴91の内径は、スリーブ25の最大径よりも小さく、テーパーボルト21の最大径(突出部272の外径)よりも大きい。そのため、アンカー穴91にアンカーボルト11が挿入されて押し込まれると、4つの係止片252がアンカー穴91の内側面を押圧するように接触し、アンカー穴91内でスリーブ25が固定される。
【0023】
なお、係止片252の数は4つに限られない。係止片252は、2つ若しくは3つであってもよく、或いは5つ以上であってもよい。また、本開示の係止部の一例としてリブ状の係止片252を例示したが、本開示の係止部は係止片252に限定されない。例えば、係止片252に替えて、筒本体部251の外周面に周方向に連続して形成された環状の傾斜部を適用することも可能である。
【0024】
小径筒部254は、筒本体部251における先端部側に設けられている。小径筒部254は、筒本体部251から先端部へ向けて延出する円筒形状の部分である。小径筒部254の内径は筒本体部251の内径と同じサイズであるが、小径筒部254の外径は、筒本体部251の外径よりも小さい。このため、筒本体部251と小径筒部254との境界部分には段差251Aが形成されている。
【0025】
開拡リング26は、小径筒部254の外周面を覆うように、小径筒部254に装着されている。このため、図3Bに示すように、小径筒部254は、開拡リング26の内面とテーパーボルト21及びコーン部27の外周面との間に配置される。
【0026】
開拡リング26は、アンカーボルト11の取付施工時に、その内孔にコーン部27が押し込まれることにより、径方向外側へ開拡される部材である。本実施形態では、開拡リング26は、アンカー穴91の外径を超えるサイズまで開拡される。
【0027】
開拡リング26は、円環状に形成された部材である。開拡リング26は、炭素鋼、ステンレス鋼などの鋼材で形成される。開拡リング26は、テーパーボルト21において、スリーブ25の筒本体部251よりも先端側に取り付けられている。具体的には、開拡リング26は、小径筒部254に取り付けられている。
【0028】
開拡される前の開拡リング26の内径と小径筒部254の外径は概ね同じサイズであり、そのため、開拡リング26は、その内面が小径筒部254の外周部に密着した状態で小径筒部254に取り付けられている。開拡リング26が小径筒部254に装着された状態で、スリーブ25がテーパーボルト21のねじ部28に挿通される。
【0029】
図4A及び図4Bは、開拡される前の開拡リング26を示す図である。図4A及び図4Bに示すように、開拡リング26は、円環状の部材であり、詳細には、中心軸方向の高さサイズL1が開拡リング26の外径D1に対して比較的小さい円筒状部材である。本実施形態では、開拡リング26の前記高さサイズL1は、前記外径D1の0.4倍~0.5倍程度の長さに設定されている。なお、開拡リング26の前記高さサイズL1は、前記外径D1未満のサイズであればよく、好ましくは、前記外径D1の0.5倍のサイズ以下であればよい。
【0030】
開拡リング26は、周方向に完全に連続する円環状部材ではなく、所定の幅dのスリット261(本開示の分断ラインの一例)によって周方向に分断されている。言い換えると、開拡リング26は、その部材を周方向に分断するスリット261を有する。スリット261は、アンカーボルト11がアンカー穴91に定着される際に広げられる部分である。なお、開拡リング26は、その周方向にスリット261によって完全に分断された構成に限られない。例えば、スリット261の中央部或いはいずれか一方の端部が部分的に接続されており、コーン部27の押し込みによってその接続部が切断されるような構成であってもよい。つまり、開拡リング26は、スリット261によって周方向に略分断されているが、部分的に接続された構成であってもよい。
【0031】
開拡リング26は、例えば、環状の円筒部材の外周壁を切断して形成することができる。この場合、切断ラインがスリット261となる。また、開拡リング26は、板状又は棒状の部材を曲げ加工装置などによって曲げ加工することにより形成することができる。この場合、曲げ加工によって各部材の端部が合わせられた部分がスリット261となる。
【0032】
スリット261の幅dの寸法は、特に限定されない。スリット261は、後述するようにアンカーボルト11の施工時に広げられる部分であるため、その幅dは、施工前において実質的にゼロであることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、開拡リング26のスリット261は、開拡リング26を側面から見た状態(図4Aに示す状態)で傾斜している。つまり、スリット261は、開拡リング26の一方側(例えば図4Aの右側)に現れる第1端部262(本開示の第1端部の一例)から他方側に現れる第2端部263(本開示の第2端部の一例)に至って斜めに延在している。そのため、第1端部262と第2端部263は、開拡リング26における周方向に互いに隔てられている。
【0034】
なお、開拡リング26は、円筒状部材に限られない。例えば、断面の形状が円形、楕円形、多角形、正方形、正三角形などの円環状のリング部材であってもよい。
【0035】
スリット261の傾斜角θは、アンカーボルト11の取付施工後に開拡リング26が開拡された状態で、図4Bに示すように、第1端部262と第2端部263とが開拡リング26の軸方向から見て重複しないような角度に設定されていればよい。このような傾斜角θは、開拡リング26の幅や、開拡後の開拡リング26の外径などによって決定される。
【0036】
図3Bに示すように、スリーブ25に所定幅のスリット253が形成されている。スリット253は、小径筒部254の先端側の端部からアンカーボルト11の頂部へ向けて直線状に延びている。本実施形態では、スリット253は、小径筒部254から筒本体部251に至り、筒本体部251の中央付近まで延在している。また、本実施形態では、4本のスリット253がスリーブ25に形成されており、周方向に等間隔で配置されている。このようなスリット253が形成されているため、小径筒部254や筒本体部251の先端部側の部分に可撓性を持たせることができる。
【0037】
なお、スリット253の数は4本に限られない。スリット253は、2本若しくは3本であってもよく、或いは5本以上であってもよい。また、スリット253は、少なくとも小径筒部254に形成されていればよい。また、スリット253は、スリーブ25の中心軸に対して傾斜する方向に延びていてもよい。
【0038】
以下、図5A乃至図5Cを参照して、アンカーボルト11の取付構造について説明する。ここで、図5Aは、アンカーボルト11のスリーブ25がアンカー穴91に挿入された状態を示す図であり、図5Bは、アンカーボルト11にナット22が螺号された状態を示す図であり、図5Cは、アンカーボルト11のナット22が締め付けられて取付施工が完了した後の定着状態を示す図である。なお、図5A乃至図5Cでは、スリット253の図示が省略されている。
【0039】
アンカーボルト11を施工する場合、まず、施工者は、事前に、躯体90にアンカー穴91を形成する必要がある。躯体90にアンカー穴91が形成され、その内部が清掃された後に、施工者は、ナット22及び各座金23,24が取り付けられた状態のアンカーボルト11を、構造部材80の取付穴81及びアンカー穴91に挿入する(図5A参照)。このとき、施工者は、スリーブ25の上端が躯体90の表面と同一面となるまでスリーブ25をアンカー穴91に押し込む(図5B参照)。これにより、スリーブ25の係止片252がアンカー穴91の内面に押し付けられて、スリーブ25がアンカー穴91内で固定される。この時点で、テーパーボルト21のねじ部28の一部が躯体90から外部に突出される。
【0040】
なお、上述したように、スリーブ25は金属ではなく合成樹脂で形成されているため、金属製のものに比べて弱い力でスリーブ25をアンカー穴91に押し込むことができる。また、スリーブ25の係止片252がアンカー穴91の内壁面に押し付けられた場合に、係止片252が潰されることによりスリーブ25がアンカー穴91内に固定されるので、アンカー穴91の内壁面に対する荷重負担が従来品よりも極めて小さい。そのため、スリーブ25の挿入時にアンカー穴91の内壁面にクラックが生じることが防止できる。
【0041】
その後、施工者は、電動式又はエア駆動式のインパクトレンチなどを用いて、所定のトルクでナット22を締め付ける(図5C参照)。これにより、テーパーボルト21だけが引き上げられて、アンカー穴91の内部ではテーパーボルト21とともにコーン部27が引き上げられる。コーン部27の引き上げに伴い、コーン部27が開拡リング26の内孔に圧入される。具体的には、小径筒部254の内孔にコーン部27が圧入される。これにより、コーン部27の外周面271の傾斜によって開拡リング26が径方向外側へ開拡される(図5C参照)。開拡された開拡リング26は、アンカー穴91の内壁面に食い込むようにして定着する。これにより、アンカーボルト11がアンカー穴91に定着される。また、ナット22の締め付けにより、構造部材80がアンカーボルト11によって、躯体90に強固に取り付けられる。
【0042】
以上説明したように本実施形態のアンカーボルト11が構成されているため、コーン部27によって開拡された開拡リング26の外周面がアンカー穴91の内壁面に接触し、開拡リング26が内壁面に食い込む。このとき、コーン部27の圧入によってスリット261が広げられるが、スリット261が斜めに延在しているため、アンカー穴91の内壁面において、周方向に連続して開拡リング26が接触する。つまり、前記内壁面の360度の全範囲(周方向の全範囲)において、開拡リング26の外周面と前記内壁面とが接触しており、同範囲において開拡リング26の外周面と前記内壁面とが接触しない非接触部分は存在していない。これにより、施工後のアンカーボルト11の引き抜き強度を高めることができる。
【0043】
また、開拡リング26の内周面とコーン部27の外周面との間に小径筒部254が介在しているため、コーン部27が小径筒部254の内孔に圧入されたことにより小径筒部254に強い力が作用すると、小径筒部254が潰されつつ延び広げられる。これにより、開拡リング26とコーン部27との間の微小な隙間が埋められ、開拡リング26の内周面とコーン部27の外周面とが密着する。その結果、開拡リング26とコーン部27との間で滑りが生じ難くなる。
【0044】
また、小径筒部254が開拡リング26よりも硬度が低い素材で形成されているため、コーン部27と開拡リング26との間に小径筒部254が密着することにより、小径筒部254が滑り止めの役割を担う。このため、仮にコーン部27に周方向の力が加えられても、コーン部27が小径筒部254及び開拡リング26に対して周方向に滑らなくなる。また、開拡リング26は、小径筒部254及びスリーブ25に対して周方向に滑らなくなる。つまり、小径筒部254は、コーン部27や開拡リング26の回り止めを防止する役割を担う。
【0045】
また、コーン部27は突出部272を有するため、アンカーボルト11が引き上げられると、突出部272が小径筒部254の端部に当接する。この場合、コーン部27の外周面271による開拡リング26の開拡は行われなくなる。つまり、開拡リング26がこれ以上に径方向外側へ広がることが制限される。このような突出部272が設けられているため、コーン部27の外周面271によって開拡リング26が最大に開拡された状態のときに、ナット22の締め付けトルクがインパクトレンチなどの設定トルク未満であったとしても、突出部272が小径筒部254の端部に当接することにより締め付けトルクが増加する。これにより、前記締め付けトルクが前記設定トルクを超えて、インパクトレンチなどによるナット22の締め付けが停止し、開拡リング26のこれ以上の開拡が制限される。その結果、アンカー穴91の内壁に対する開拡リング26の過剰な食い込みが防止され、過剰な食い込みに起因する躯体90のクラックを防止することができる。
【0046】
また、スリーブ25に小径筒部254が設けられており、この小径筒部254に開拡リング26が装着されているため、開拡リング26がスリーブ25に安定して支持される。
【0047】
また、スリーブ25が、躯体90に形成されたアンカー穴91の内壁よりも硬度が低い素材、具体的には、上述した合成樹脂により形成されているため、施工者は、アンカー穴91に挿入したテーパーボルト21をハンマーで強く叩き込むことなく、スリーブ25をアンカー穴91に容易に装着させることができる。また、インパクトレンチなどでナット22を締め付けるだけで構造部材80をアンカーボルト11に固定できるため、施工性が向上する。
【0048】
また、スリーブ25の挿入時に係止片252がアンカー穴91の内壁面に与える荷重負荷が極めて小さいため、従来品のように、外周面の金属部分がアンカー穴91の内壁面に食い込んでその内壁面にクラックを生じさせることを防止できる。また、内壁面への荷重負荷が小さいため、従来品に比べて、躯体90の縁付近に近い位置にもアンカーボルト11を施工することができる。
【0049】
なお、上述の実施形態では、開拡リング26のスリット261が斜めに延在する例について説明したが、スリット261の形状は上述の例に限られない。例えば、図6Aに示すように、開拡リング26は、開拡リング26の中心軸に平行な直線状のスリット261Aによって分断されたものであってもよい。この場合、開拡後の開拡リング26は、スリット261Aの幅dの分だけアンカー穴91の内壁面に接触しなくなるが、従来構造のものに比べると、非接触部分を格段に少なくすることができ、つまり、周方向の食い込み部分が従来よりも格段に多くなる。したがって、このような開拡リング26であっても、施工後のアンカーボルト11の引き抜き強度を高めることができる。
【0050】
また、開拡リング26は、複数の屈曲点を有するスリット261Bによって分断された構成(図6B参照)、或いは、S字状に湾曲した形状のスリット261Cによって分断された構成(図6C参照)であってもよい。この場合、第1端部262と第2端部263とは、開拡リング26における周方向に互いに隔てられる。このような構成であっても、開拡リング26の外周面が、アンカー穴91の内壁面に対して周方向に連続して接触する。これにより、施工後のアンカーボルト11の引き抜き強度を高めることができる。
【0051】
また、図7に示すように、アンカーボルト11は、スリーブ25に替えて、小径筒部254を有しないスリーブ25Aを有する構成であってもよい。この場合、開拡リング26の厚さは、小径筒部254の厚み分だけサイズが大きくされて、筒本体部251の厚さと概ね同じ厚さとされる。この構成であっても、開拡リング26の外周面が、アンカー穴91の内壁面に対して周方向に連続して接触し、これにより、施工後のアンカーボルト11の引き抜き強度を高めることができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、アンカーボルト11が、スリット261を有する開拡リング26を備える構成について例示したが、本開示はこの構成に限られない。例えば、図8に示すように、アンカーボルト11は、開拡リング26に替えて、先端部に複数本の縦スリットを有し、周方向に分断されていない従来の筒状の開拡部材26Aを有する構成であってもよい。この構成であっても、開拡部材26Aの内周面とコーン部27の外周面との間に小径筒部254が介在するため、開拡部材26Aとコーン部27との間で滑りが生じ難くなる。
【0053】
なお、上述した第1実施形態の変形例や他の実施例は、後述する第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態にも適用可能である。
【0054】
[第2実施形態]
以下、図9乃至図12Cを参照して、本開示の第2実施形態に係るアンカーボルト12の構成について説明する。ここで、図9は、アンカーボルト12を示す斜視図である。図10Aは、アンカーボルト12の側面図であり、図10Bは、アンカーボルト12の部分断面図である。図10Bでは、テーパーボルト31以外の部材の断面構造が示されている。また、図11A及び図11Bは、アンカーボルト12に取り付けられるスリーブ35を示す図である。
【0055】
なお、本実施形態では、上述した第1実施形態と共通する構成や実質的に同じ作用を生じさせる構成については、第1実施形態の構成に用いた符号と同じ符号を付し示すことによりその説明を省略する。
【0056】
図9に示すように、アンカーボルト12は、テーパーボルト31(本開示のボルト本体の一例)、ナット22、平座金24、スリーブ35(本開示の筒状部材の一例)、開拡リング26(本開示の開拡部材の一例)、コーン部27(本開示の押込部の一例)を備える。
【0057】
図10Aに示すように、テーパーボルト31は、外周面に雄ねじが形成されたボルトであり、その先端部にコーン部27が一体に形成されている。テーパーボルト31の頂部から先端部へ向けて雄ねじが形成されており、そのねじ部28の頂部側の一部が外部に露出され、テーパーボルト31の先端部側が躯体90に形成されたアンカー穴91(図12A参照)に挿入される。
【0058】
テーパーボルト31が上述の第1実施形態のテーパーボルト21と異なる部分は、テーパーボルト31にスリーブ35を装着するための支持部311を有する点であり、この点以外はテーパーボルト21と同等の構成である。支持部311は、ねじ部28の外径よりも小さい断面円形状の部分であり、ねじ部28とコーン部27との間に形成されている。支持部311は、ねじ部28よりも小径であるため、支持部311とねじ部28との間に段差312が形成されている。
【0059】
支持部311の先端部側にコーン部27が設けられている。コーン部27の外周面の最小径の部分の外径は、支持部311の外径と同じサイズであり、コーン部27の最大径の部分(突出部272)の外径は、ねじ部28の外径と同じサイズである。
【0060】
図10Bに示すように、スリーブ35は、略円筒形状に形成された筒状部材である。スリーブ35は、テーパーボルト31に取り付けられており、具体的には、テーパーボルト31の支持部311に取り付けられている。スリーブ35は、上述の第1実施形態のスリーブ25と同じ素材、つまり、合成樹脂で形成されている。
【0061】
スリーブ35が上述の第1実施形態のスリーブ25と異なる部分は、図11A及び図11Bに示すように、実質的に二つに分割された構成を有する点と、係止片252に替えて複数の係止リブ352が設けられている点であり、これらの点以外はスリーブ25と同等の構成である。
【0062】
スリーブ35は、円筒形状に形成された筒本体部351(本開示の筒本体部の一例)と、一つ又は複数の係止リブ352(本開示の係止部の一例)と、小径筒部254(本開示の小径筒部の一例)と、を有する。これらの各部は、スリーブ35と一体に形成されている。なお、スリーブ35に、上述のスリット253は形成されていないが、スリット253と同様のスリットがスリーブ35に形成されていてもよい。
【0063】
スリーブ35は、半円筒形状に形成された二つの部材351A,351Bを有している。これらの部材351A,351Bが合わせられることにより、略円筒形状のスリーブ35が構成される。本実施形態では、スリーブ35は、二に分離された状態で、支持部311の表面に一方の部材351Aの内側面が当接され、この状態で他方の部材351Bが支持部311に装着される。各部材351A,351Bの一方側の側端部は、薄肉帯状の二つの連結部353によって互いに連結されている。
【0064】
各部材351A,351Bが合わせられる当接面には、係合溝354と係合突起3558とが設けられている。各部材351A,351Bが合わせられることにより、係合突起355が係合溝354に挿入され、スナップフィット機構により互いに係合される。
【0065】
係止リブ352は、アンカーボルト12が、規定サイズのアンカー穴91に挿入されて、アンカー穴91の内部に配置された状態で、アンカー穴91の内側面に係止する部分である。係止リブ352は、筒本体部351の外周面において、軸方向に延在しており、詳細には、軸方向の一方端から他方端まで延在している。係止リブ352は、筒本体部351の周面から垂直に突出しており、先端部側に傾斜面を有する。本実施形態では、6つの係止リブ352が筒本体部351の外周面に形成されており、周方向に等間隔で配置されている。筒本体部351の中心から係止リブ352までの長さH2(図10B参照)は、アンカー穴91の半径よりも長い。つまり、アンカー穴91の内径は、スリーブ35の最大径よりも小さく、テーパーボルト31の最大径(ねじ部28の外径、突出部272の外径)よりも大きい。そのため、アンカー穴91にアンカーボルト12が挿入されて押し込まれると、6つの係止リブ352がアンカー穴91の内側面を押圧するように接触し、アンカー穴91内でスリーブ35が固定される。
【0066】
なお、係止リブ352の数は6つに限られない。係止リブ352は、2つ、3つ、4つ、若しくは5であってもよく、或いは7つ以上であってもよい。
【0067】
以下、図12A乃至図12Cを参照して、アンカーボルト12の取付構造について説明する。ここで、図12Aは、アンカーボルト12のスリーブ35をアンカー穴91に挿入した状態を示す図であり、図12Bは、アンカーボルト12にナット22を螺号した状態を示す図であり、図12Cは、アンカーボルト12のナット22を締め付けて取付施工した後の定着状態を示す図である。
【0068】
アンカーボルト12を施工する場合、施工者は、ナット22及び座金24が取り付けられた状態のアンカーボルト12を、構造部材80の取付穴81及びアンカー穴91に挿入する(図12A参照)。その後、スリーブ35がアンカー穴91の所定の位置に配置されるまでアンカーボルト12が押し込まれる(図12B参照)。スリーブ35は、構造部材80や、アンカー穴91の内壁(つまり躯体90)よりも柔らかい素材で形成されているため、施工者は、例えば、プラスチックハンマーなどで軽くテーパーボルト31の頂部を叩き込むことにより、スリーブ35を所定の位置(図12Bに示す位置)まで押し込むことができる。この時点で、テーパーボルト31のねじ部28の一部が躯体90から外部に突出される。
【0069】
なお、上述したように、スリーブ35は金属ではなく躯体90よりも柔らかい合成樹脂で形成されているため、金属製のものに比べて弱い力でスリーブ35をアンカー穴91に打ち込むことができる。また、スリーブ35の係止リブ352がアンカー穴91の内壁面に押し付けられた場合に、係止リブ352が潰されることによりスリーブ35がアンカー穴91内に固定されるので、アンカー穴91の内壁面に対する荷重負担が従来品よりも極めて小さい。そのため、スリーブ35の打ち込み時にアンカー穴91の内壁面にクラックが生じることが防止できる。
【0070】
その後、施工者は、電動式又はエア駆動式のインパクトレンチなどを用いて、所定のトルクでナット22を締め付ける(図12C参照)。これにより、テーパーボルト31だけが引き上げられて、アンカー穴91の内部ではテーパーボルト31とともにコーン部27が引き上げられる。コーン部27の引き上げに伴い、コーン部27が開拡リング26の内孔に圧入される。具体的には、小径筒部254の内孔にコーン部27が圧入される。これにより、コーン部27の外周面271の傾斜によって開拡リング26が径方向外側へ開拡される(図12C参照)。開拡された開拡リング26は、アンカー穴91の内壁面に食い込むようにして定着する。これにより、アンカーボルト12がアンカー穴91に定着される。また、ナット22の締め付けにより、構造部材80がアンカーボルト12によって、躯体90に強固に取り付けられる。
【0071】
以上説明したように本実施形態のアンカーボルト12が構成されているため、上述した第1実施形態のアンカーボルト11と同様の効果を奏する。
【0072】
とりわけ、スリーブ35が、躯体90に形成されたアンカー穴91の内壁よりも硬度が低い素材、具体的には、上述した合成樹脂により形成されているため、施工者は、アンカー穴91にテーパーボルト31を鉄製ハンマーなどで強く叩き込むことなく、スリーブ35をアンカー穴91の所定の深さまで容易に挿入することができ、施工性が向上する。
【0073】
また、スリーブ35の挿入時に係止リブ352がアンカー穴91の内壁面に与える荷重負荷が極めて小さいため、従来品のように、外周面の金属部分がアンカー穴91の内壁面に食い込んでその内壁面にクラックを生じさせることを防止できる。また、内壁面への荷重負荷が小さいため、従来品に比べて、躯体90の縁付近に近い位置にもアンカーボルト12を施工することができる。
【0074】
[第3実施形態]
以下、図13図14A、及び図14Bを参照して、本開示の第3実施形態に係るアンカーボルト13の構成について説明する。ここで、図13は、アンカーボルト13を示す斜視図である。図14Aは、アンカーボルト13の側面図であり、図14Bは、アンカーボルト13の部分断面図である。図14Bでは、ボルト41以外の部材の断面構造が示されている。
【0075】
なお、本実施形態では、上述した第1実施形態と共通する構成や実質的に同じ作用を生じさせる構成については、第1実施形態の構成に用いた符号と同じ符号を付し示すことによりその説明を省略する。
【0076】
図13に示すように、アンカーボルト13は、ボルト41(本開示のボルト本体の一例)、平座金24、スリーブ25(本開示の筒状部材の一例)、開拡リング26(本開示の開拡部材の一例)、コーンナット47(本開示の押込部の一例)を備える。アンカーボルト13が上述の第1実施形態のアンカーボルト11と異なる部分は、テーパーボルト21に替えて、ボルト41及びコーンナット47が設けられている点にあり、この点以外はアンカーボルト11と同等の構成である。
【0077】
ボルト41は、いわゆる六角ボルトであり、頭部に六角ナットを有するボルトである。ボルト41のねじ部48に雄ねじが形成されている。ボルト41は、上述の第1実施形態のテーパーボルト21と同じ素材で形成されている。
【0078】
コーンナット47は、ボルト41のねじ部48に螺着されるものであり、内部に雌ねじが形成されたナット部材である。コーンナット47は、上述の第1実施形態のテーパーボルト21と同じ素材で形成されている。コーンナット47はボルト41のねじ部48に螺着されることにより、開拡リング26の内孔に押し込まれて開拡リングを径方向外側へ開拡させる。コーンナット47は、内部に雌ねじが形成されている以外は、テーパーボルト21が有するコーン部27と同じ形状に形成されており、略円錐台形状に形成されている。つまり、コーンナット47は、アンカーボルト13の先端部へ向けて末広がり形状に形成されており、その外周面471における最小径の部分の外径は開拡リング26の内径よりも小さく、外周面471の最大径の部分の外径は開拡リング26の内径よりも大きい。
【0079】
また、コーンナット47には、コーン部27の突出部272と同じ構成の環状の突出部472が形成されている。このため、外周面471と突出部472との間に段差472Aが形成されている。
【0080】
コーンナット47は、アンカーボルト13の取付施工時にアンカー穴91に挿入される部分であるため、突出部472の外径は、アンカー穴91の外径よりも小さい。つまり、躯体90には、コーンナット47の最大径(突出部472の外径)よりも大きい規定サイズのアンカー穴91が形成される。
【0081】
以下、図15A乃至図15Cを参照して、アンカーボルト13の取付構造について説明する。ここで、図15Aは、アンカーボルト13のスリーブ25及びコーンナット47がアンカー穴91に挿入された状態を示す図であり、図15Bは、ボルト41がコーンナット47に螺号された状態を示す図であり、図15Cは、ボルト41がコーンナット47に締め付けられて取付施工が完了した後の定着状態を示す図である。なお、図15A乃至図15Cでは、スリット253の図示が省略されている。
【0082】
アンカーボルト13を施工する場合、施工者は、ボルト41及び座金24が取り付けられた状態のアンカーボルト13を、構造部材80の取付穴81及びアンカー穴91に挿入する(図15A参照)。このとき、施工者は、スリーブ25の上端が躯体90の表面と同一面となるまでスリーブ25をアンカー穴91に押し込む(図15B参照)。これにより、スリーブ25の係止片252がアンカー穴91の内面に押し付けられて、スリーブ25がアンカー穴91内で固定される。
【0083】
その後、施工者は、電動式又はエア駆動式のインパクトレンチなどを用いて、所定のトルクでボルト41を締め付ける(図15C参照)。これにより、ボルト41がコーンナット47に螺着され、コーンナット47だけが引き上げられる。コーンナット47の引き上げに伴い、コーンナット47が開拡リング26の内孔に圧入される。具体的には、小径筒部254の内孔にコーンナット47が圧入される。これにより、コーンナット47の外周面471の傾斜によって開拡リング26が径方向外側へ開拡される(図15C参照)。開拡された開拡リング26は、アンカー穴91の内壁面に食い込むようにして定着する。これにより、アンカーボルト13がアンカー穴91に定着される。
【0084】
以上説明したように本実施形態のアンカーボルト13が構成されているため、上述した第1実施形態のアンカーボルト11と同様の効果を奏する。
【0085】
[第4実施形態]
以下、図16乃至図19を参照して、本開示の第4実施形態に係るアンカーボルト14の構成について説明する。ここで、図16は、アンカーボルト14を示す斜視図である。図17Aは、アンカーボルト14の側面図であり、図17Bは、アンカーボルト14の部分断面図である。図17Bでは、テーパーボルト31以外の部材の断面構造が示されている。また、図18及び図19は、アンカーボルト14に取り付けられるスリーブ45を示す図である。
【0086】
なお、本実施形態では、上述した第1実施形態と共通する構成や実質的に同じ作用を生じさせる構成については、第1実施形態の構成に用いた符号と同じ符号を付し示すことによりその説明を省略する。
【0087】
図16に示すように、アンカーボルト14は、テーパーボルト31(本開示のボルト本体の一例)、ナット22、平座金24、スリーブ45(本開示の筒状部材の一例)、開拡リング26(本開示の開拡部材の一例)、コーン部27(本開示の押込部の一例)を備える。
【0088】
図17A及び図17Bに示すように、テーパーボルト31は、外周面に雄ねじが形成されたボルトであり、その先端部にコーン部27が一体に形成されている。テーパーボルト31の頂部から先端部へ向けて雄ねじが形成されている。テーパーボルト31の先端部側が躯体90に形成されたアンカー穴91(図12A参照)に挿入される。なお、テーパーボルト31は上述の第1実施形態に適用されるものと同じ構成であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0089】
図17A及び図17Bに示すように、スリーブ45は、略円筒形状に形成された筒状部材である。スリーブ45は、テーパーボルト31に取り付けられており、具体的には、テーパーボルト31の支持部311に取り付けられている。スリーブ45は、上述の第1実施形態のスリーブ25と同じ素材、つまり、合成樹脂で形成されている。本実施形態では、スリーブ45の外径は、規定サイズのアンカー穴91の内径と概ね同じサイズに形成されている。
【0090】
図18及び図19に示すように、スリーブ45は、第1スリーブ45Aと、第2スリーブ45Bとを有する。第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが組み付けられることによって、筒状部材としてのスリーブ45が構成される。本実施形態では、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが異なる種類の合成樹脂で形成されており、第1スリーブ45Aは、第2スリーブ45Bよりも柔らかい材質の合成樹脂で構成されている。もちろん、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが同じ硬度の材質で構成されていてもよい。
【0091】
第1スリーブ45Aは、テーパーボルト31のねじ部28に挿通される部材であり、ねじ部28の軸方向に長い円筒形状に形成された筒本体部451(本開示の筒本体部の一例)と、挿入方向側(先端側)の端部から突出する半円筒形状の係合部452と、を有する。第1スリーブ45Aは、後述の第2スリーブ45Bよりも軸方向に長く形成されており、具体的には、第2スリーブ45Bの軸方向長さの2倍以上の長さに形成されている。図17Bに示すように、筒本体部451がねじ部28に挿通されて、ねじ部28の略全体を覆うように装着される。
【0092】
筒本体部451において、挿入方向とは反対側(基端側)の端部には、平座金24に当接されるフランジ453が一体に形成されている。フランジ453の外径は、平座金24の内孔の外径よりも大きい。
【0093】
係合部452は、第2スリーブ45Bと係合される部分である。図19に示すように、係合部452の内面4521には、周方向に渡って連続して形成された凸状の突出リブ454が形成されている。つまり、突出リブ454は内面4521において周方向に延在している。突出リブ454は、第2スリーブ45Bに形成された後述の係合溝458(図18参照)に係合される部分である。本実施形態では、係合溝458に係合した場合に係合が外れにくいように、突出リブ454は、フック形状に形成されている。具体的には、突出リブ454の先端側の部分には、その頂部から内面4521に至る傾斜面が形成されており、突出リブ454の基端側の部分には、前記頂部から内面4521に至る垂直面が形成されている。
【0094】
第2スリーブ45Bは、支持部311に装着される部材であり、筒状部材に中心軸方向に沿ってスリット456が形成されてなる本体部455と、本体部455における挿入方向側の端部から突出する小径筒部457(本開示の小径筒部の一例)とを有する。スリット456は、本体部455から小径筒部457に至る部分に連続して形成されている。
【0095】
小径筒部457は、上述した各実施形態における小径筒部254に相当する部分であり、開拡リング26の内面とテーパーボルト21及びコーン部27の外周面との間に配置される。小径筒部457は、スリット456を有すること以外は、上述した各実施形態の小径筒部254と同じ構成であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0096】
スリット456は、第2スリーブ45Bが支持部311に装着される場合に、第2スリーブ45Bをスリット456の部分で開拡させるために設けられている。第2スリーブ45Bのスリット456が開拡された状態で、支持部311に第2スリーブ45Bが装着可能となる。
【0097】
図18に示すように、第2スリーブ45Bの本体部455の外周部には、係合部452の内面4521が面接触される係合面4551が形成されている。係合面4551は、本体部455の外周面から係合部452の厚み分だけ薄くされた部分である。
このため、係合面4551と本体部455の外周面との間に段差4552が形成されている。
【0098】
第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが組み付けられた場合に、係合部452の内面4521が係合面4551に当接された状態で、係合部452の外周面と本体部455の外周面とが同一面になる。また、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが組み付けられた状態で、係合部452の周方向の端部4522と段差4552とが周方向に向き合うように対向し、互いに近接又は当接する。このため、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが、周方向に係合する。これにより、アンカーボルト14の施工時に、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが一体化し、いずれか一方のスリーブが他方のスリーブに対して相対的に軸周りに回転しなくなる。
【0099】
本体部455の係合面4551には、突出リブ454が挿入可能な係合溝458が形成されている。係合溝458は、周方向に渡って連続して形成されている。つまり、係合溝458は係合面4551において周方向に延在している。第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが組み付けられた場合に、突出リブ454が係合溝458に挿入される。これにより、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが、挿入方向に係合する。その結果、アンカーボルト14の施工中に、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが離れ難くなる。
【0100】
このように構成されたスリーブ45は、まず、第2スリーブ45Bが支持部311に装着される。その後、第1スリーブ45Aがねじ部28に挿通されて、第2スリーブ45B側へ押し込まれる。このとき、係合面4551に被さるようにして、係合部452が係合面4551に係合される。これにより、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが、周方向に係合する。また、突出リブ454が係合溝458に係合されることによって、第1スリーブ45Aと第2スリーブ45Bとが、挿入方向にも係合する。
【0101】
本実施形態では、周方向に延在する突出リブ454及び係合溝458を例示したが、例えば、突出リブ454は軸方向に延在するものであってもよい。この場合、係合溝458も軸方向に延在しており、突出リブ454が係合可能な位置に設けられていることが好ましい。この場合、突出リブ454及び係合溝458は少なくとも1つ設けられていればよく、複数設けられていれることがより好ましい。なお、突出リブ454及び係合溝458は本開示に必須の構成ではなく、省略することも可能である。
【0102】
本実施形態のアンカーボルト14であれば、上述した第1スリーブ45Aが設けられているため、アンカーボルト14がアンカー穴91に装着された状態で、第2スリーブ45Bの外周面だけでなく、第1スリーブ45Aの外周面もアンカー穴91の内面に接触する。これにより、アンカーボルト14には、周方向に適度な接触摩擦が生じることになる。なお、アンカー穴91にアンカーボルト14を装着して施工する方法は、上述した第2実施形態のアンカーボルト12の施工方法と同様であるため、上述した図12A乃至図12Cに示す取付構造の説明を参照されたい。
【0103】
以上説明したように本実施形態のアンカーボルト14が構成されているため、上述した第1実施形態乃至第3実施形態の各アンカーボルト11,12,13と同様の効果を奏する。
【0104】
以上説明した本開示の実施形態は、以下に記す各開示事項(1)から(9)を含む。
【0105】
本開示(1)は、躯体に形成されたアンカー穴に定着されるアンカーボルトである。前記アンカーボルトは、外周面にねじ山が形成され、前記アンカー穴に挿入される挿入部を有するボルト本体と、前記ボルト本体に取り付けられ、前記アンカー穴に配置された状態で前記アンカー穴の内側面に係止する係止部を有する筒状部材と、前記ボルト本体において前記筒状部材よりも前記アンカーボルトの先端側に取り付けられ、周方向に分断された環状の開拡部材と、前記開拡部材の内孔に押し込まれて前記開拡部材を径方向外側へ開拡させる押込部と、を備える。
【0106】
このように構成されているため、アンカー穴の内壁に対する開拡部材の非接触部分をできる限り少なくすることができる。その結果、アンカーボルトの引き抜き強度を高めることができる。
【0107】
本開示(2)は、本開示(1)のアンカーボルトにおいて、前記開拡部材における分断ラインは、前記開拡部材の一方側に現れる第1端部から前記開拡部材の他方側に現れる第2端部に至って形成されており、前記第1端部と前記第2端部は、前記開拡部材における前記周方向に隔てられている。
これにより、アンカー穴の内壁における周方向全域に開拡部材を接触させて食い込ませることが可能となり、その結果、アンカーボルトの引き抜き強度を格段に高めることが可能となる。
【0108】
本開示(3)は、本開示(1)又は(2)のアンカーボルトにおいて、前記筒状部材は、筒本体部と、小径筒部と、を有する。前記小径筒部は、前記筒本体部における前記先端側の端部から前記先端側へ延出し、前記開拡部材の内面と前記押込部の外周面との間に配置され、前記筒本体部の外径よりも小さい。
【0109】
本開示(4)は、本開示(3)のアンカーボルトにおいて、前記開拡部材は、前記小径筒部の外周部に内面が密着した状態で前記小径筒部に取り付けられている。
これにより、開拡部材が前記小径筒部に安定して支持される。
【0110】
本開示(5)は、本開示(3)又は(4)のアンカーボルトにおいて、前記筒状部材は、前記小径筒部の前記先端側の端部から前記筒本体部へ向けて延びる少なくとも1本のスリットを有する。
これにより、小径筒部に可撓性を持たせることができる。このため、押込部が小径筒部の内孔に圧入されて押し込まれても、小径筒部が径方向外側へ撓まされる。これにより、押込部の押圧による小径筒部の割れなどの破損を防止することができる。
【0111】
本開示(6)は、本開示(5)のアンカーボルトにおいて、前記スリットは、前記筒本体部の中央付近まで延在している。
これにより、前記筒本体部にも可撓性を持たせることができる。
【0112】
本開示(7)は、本開示(1)から(6)のいずれかのアンカーボルトにおいて、前記開拡部材は、延性を有する金属を主たる成分とする素材で形成されていることが好ましい。
【0113】
本開示(8)は、本開示(1)から(7)のいずれかのアンカーボルトにおいて、前記筒状部材は、前記押込部及び前記開拡部材よりも硬度が低い素材で形成されている。
これにより、前記押込部と前記開拡部材との間に前記小径筒部が配置された状態で、前記押込部による圧入によって径方向外側へ強い力が加えられると、前記小径筒部が潰れるようにして延び広げられる。そのため、前記押込部と前記開拡部材との間に隙間がある場合でも、その隙間が小径筒部によって埋められる。これにより、前記小径筒部を介在して前記押込部と前記開拡部材とが密着する。また、前記小径筒部が前記開拡部材よりも硬度が低い素材で形成されているため、前記押込部と前記開拡部材との間に小径筒部が密着することにより、小径筒部が滑り止めの役割を担う。これにより、仮に押込部に周方向の力が加えられても、押込部が小径筒部及び開拡部材に対して周方向に滑らなくなる。また、開拡部材が小径筒部に対して周方向に滑らなくなる。
【0114】
本開示(9)は、本開示(8)のアンカーボルトにおいて、前記筒状部材は、合成樹脂を主たる成分とする素材で形成されていることが好ましい。

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18
図19