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特許7437839物流管理システム、物流管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】物流管理システム、物流管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240216BHJP
【FI】
G06Q10/083 320
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023571504
(86)(22)【出願日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2023041374
【審査請求日】2023-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519370337
【氏名又は名称】株式会社LOZI
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 重雄
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/244247(WO,A1)
【文献】特許第7203470(JP,B1)
【文献】国際公開第2023/209934(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/149501(WO,A1)
【文献】特開2008-021285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶する設定情報記憶部と、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得する特定情報受付部と、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を前記設定情報記憶部から特定し、特定した前記入力項目に対する入力を受け付けるための入力用フォームを出力するフォーム出力部と、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出する排出量算出部と、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を、前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するトラッキングデータベースと、を備える物流管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物流管理システムであって、
前記荷物及び前記物流拠点ごとに選択される前記環境負荷物質排出量の少なくとも1つの算出方式の指定を受け付け、指定された前記算出方式に基づき前記物流拠点ごとの前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を設定する設定部、をさらに備える物流管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物流管理システムであって、
前記排出量算出部は、前記物流拠点ごとに対応付けて記憶される前記環境負荷物質排出量に基づき、前記物流過程における前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質の総排出量を算出する、物流管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の物流管理システムであって、
作業者ごとに、前記作業者が前記入力値を入力可能な前記物流拠点を特定する前記拠点特定情報を記憶する権限記憶部をさらに備え、
前記特定情報受付部は、前記作業者に対して作業可能な前記物流拠点の一覧を出力し、前記物流拠点の選択を受け付ける、物流管理システム。
【請求項5】
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶するステップと、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得するステップと、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を特定し、特定した前記入力項目に対する入力を受け付けるための入力用フォームを出力するステップと、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出するステップと、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するステップと、をコンピュータが実行する物流管理方法。
【請求項6】
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶するステップと、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得するステップと、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を特定し、特定した前記入力項目に対する入力を受け付けるための入力用フォームを出力するステップと、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出するステップと、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物流管理システム、物流管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物の配送に使用された車両の移動距離、及び、当該車両のナンバー情報に紐づけて管理されている貨物重量に基づき、輸送に伴うCO排出量を算出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-230740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すようなシステムでは、1回の車両輸送に伴うCO排出量を算出できる。しかしながら、荷物が複数の物流事業者によって複数の輸送手段を経て荷受人に配送される場合、特許文献1に示すシステムでは、荷物が荷主から荷受人に至るまでのCO排出量を把握することが困難であった。
【0005】
本開示は上記のような背景を鑑みてなされたものであり、本開示の例示的な実施形態の目的の一つは、荷物が荷受人に至るまでの環境負荷物質の排出量を容易に把握することが可能な物流管理システム、物流管理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係わる物流管理システムは、
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶する設定情報記憶部と、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得する特定情報受付部と、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を前記設定情報記憶部から特定し、入力用フォームを出力するフォーム出力部と、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出する排出量算出部と、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を、前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するトラッキングデータベースと、を備える。
【0007】
物流管理システムが上記の特徴を有することで、荷物の物流過程に複数の物流事業者、及び/又は、複数の輸送手段が介在する場合であっても、荷物が荷受人に至るまでの環境負荷物質の排出量を容易に把握することができる。
【0008】
本願が開示するその他の課題やその他の解決方法については、本開示の実施形態及び図面により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態における物流の管理の一例を説明する図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係わる物流管理システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、図2に示すサーバ装置20のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図4図4は、図2に示すサーバ装置20のソフトウェア構成を例示するブロック図である。
図5A図5Aは、図4に示す算出方式記憶部232に格納されている排出係数(排出原単位)DBの一例である。
図5B図5Bは、図4に示す算出方式記憶部232に格納されている排出係数(排出原単位)DBの一例である。
図5C図5Cは、図4に示す算出方式記憶部232に格納されている排出係数(排出原単位)DBの一例である。
図5D図5Dは、図4に示す算出方式記憶部232に格納されている排出係数(排出原単位)DBの一例である。
図6図6は、入力項目の設定画面40の一例を示す図である。
図7図7は、環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定するためのモーダルウィンドウ45の一例を示す図である。
図8図8は、環境負荷物質排出量に関する入力フォームを例示する図である。
図9図9は、入力項目の設定処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図10図10は、物流拠点における入力値の登録処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図11図11は、図4に示すトラッキングデータベース233に登録されている情報の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係わる物流管理システム、物流管理方法及びプログラムは、例えば、以下のような構成を備える。
[項目1]
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶する設定情報記憶部と、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得する特定情報受付部と、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を前記設定情報記憶部から特定し、入力用フォームを出力するフォーム出力部と、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出する排出量算出部と、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を、前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するトラッキングデータベースと、を備える物流管理システム。
[項目2]
項目1に記載の物流管理システムであって、
前記荷物及び前記物流拠点ごとに選択される前記環境負荷物質排出量の少なくとも1つの算出方式の指定を受け付け、指定された前記算出方式に基づき前記物流拠点ごとの前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を設定する設定部、をさらに備える物流管理システム。
[項目3]
項目1又は2に記載の物流管理システムであって、
前記排出量算出部は、前記物流拠点ごとに対応付けて記憶される前記環境負荷物質排出量に基づき、前記物流過程における前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質の総排出量を算出する、物流管理システム。
[項目4]
項目1又は2に記載の物流管理システムであって、
作業者ごとに、前記作業者が前記入力値を入力可能な前記物流拠点を特定する前記拠点特定情報を記憶する権限記憶部をさらに備え、
前記特定情報受付部は、前記作業者に対して作業可能な前記物流拠点の一覧を出力し、前記物流拠点の選択を受け付ける、物流管理システム。
[項目5]
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶するステップと、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得するステップと、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を特定し、入力用フォームを出力するステップと、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出するステップと、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するステップと、をコンピュータが実行する物流管理方法。
[項目6]
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、前記物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶するステップと、
前記物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた前記荷物を特定する荷物特定情報を取得するステップと、
前記荷物特定情報及び前記拠点特定情報に対応する前記環境負荷物質排出量に関する前記入力項目を特定し、入力用フォームを出力するステップと、
前記入力用フォームに対する入力値に基づき、前記拠点特定情報により特定される前記物流拠点への前記荷物の輸送に伴う前記環境負荷物質排出量を算出するステップと、
前記入力値、及び、算出した前記環境負荷物質排出量を前記物流拠点ごとに対応付けて記憶するステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係わる物流管理システムを、図面を参照しつつ説明する。添付の各図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。なお、各図面に示す内容は、あくまでも、本実施形態を説明するための例示であり、本実施形態を説明し易いように概略的に示す例示にすぎない。各図面の内容は、技術的に問題が生じない範囲内で改変したり、変更したりしてもよい。
【0012】
<システムの概要>
図1は、本実施形態における物流の管理の一例を説明する図である。図1は、国際物流の例を示しており、荷物は、荷主から荷受人までの間に、国内の港湾倉庫に入庫し、通関手続を経て出庫され、空輸又は海上輸送などによって現地まで送付され、現地ではトラックによって荷受人まで配送される。本実施形態の物流管理システムでは、荷物に自動認識用コードを貼付する。各物流拠点(トラッキングポイント)では、荷物の自動認識用コードをスマートフォンなどの作業端末で読み込み、荷物のトラッキングを行う。なお、自動認識用コードとは、自動認識技術(人間を介さずに、ID及び各種情報などのデータを機械的に読み取る技術)に適用した電子コードであり、自動認識用コードとして、所定の情報が符号化された一次元コード(例、バーコード)、二次元コード(例、QRコード(登録商標))、又は、RFIDなどの無線タグ(ICタグ)を用いることができる。
【0013】
近年、持続可能な開発目標(SDGs)の提唱等によって、地球温暖化などの環境問題への関心が以前にも増して高まっており、物流の分野においても、輸送に伴う環境負荷物質排出量の管理が求められている。ただし、図1で例示する国際物流のように、一の荷物が荷主から荷受人に届くまでの物流過程において、複数の輸送事業者、及び/又は、複数の輸送手段が介在する場合には、各荷物に対する一連の物流過程(入口(荷主)から出口(荷受人)までの間)で排出される環境負荷物質の排出量を、総体的に把握することが容易ではない。
【0014】
本実施形態の物流管理システムでは、荷物が荷受人に届くまでの物流過程に属する各物流拠点に対応付けて、環境負荷物質の排出量を算出するための入力項目を事前に設定しておく。換言すると、物流拠点ごとに異なる情報を入力できるように、物流拠点ごとに環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定しておく。そして、それぞれの物流拠点において、自動認識用コードを読み取った作業端末から、物流拠点ごとに設定された項目(環境負荷物質排出量に関する入力項目)の入力を受け付け、各拠点間の輸送に伴う環境負荷物質の排出量を算出できるようにしている。つまり、本実施形態の物流管理システムでは、自動認識用コードの読み込みにより、荷物ごとのトラッキングを行うとともに、各荷物に対応する環境負荷物質排出量のトラッキングも行う。
【0015】
なお、環境負荷物質とは、輸送手段(トラック、鉄道、航空、船舶、その他移動体)から排出される環境負荷の要因となる物質であり、例えば、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、一酸化二窒素(NO)などの温室効果ガス、及び、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、粒子状物質(PM)などの大気汚染の要因となる物質が挙げられる。本実施形態では、環境負荷物質として、CO排出量のトラッキングを行う場合を例示する。ただし、本実施形態の物流管理システムでトラッキングの対象とする環境負荷物質は、COに必ずしも限定されず、上述したような各種環境負荷物質のトラッキングに適用可能である。
【0016】
図2に示すように、物流管理システムは、サーバ装置20を含む。サーバ装置20は、作業者1が保有する作業端末10と通信ネットワーク30を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク30は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信路、又は、イーサネット(登録商標)などにより構築されていてもよい。
【0017】
作業者1が保有する作業端末10は、例えば、スマートフォンなどのコンピュータである。作業端末10としては、スマートフォン以外にもタブレットコンピュータ及びパーソナルコンピュータなどの各種コンピュータを採用してもよい。また、作業者1は、後述する入力フォームに対して入力を行う者であって、例えば、各物流拠点に所属する担当者、各物流拠点への輸送を担う輸送事業者に所属するドライバーなどの担当者が挙げられる。図2では、一の作業者1及び作業端末10を図示しているが、物流拠点の数に応じて、複数の作業者1の作業端末10が、通信ネットワーク30を介して、サーバ装置20と通信可能に接続される。本実施形態では、作業端末10は、例えば、カメラ又はRFIDリーダなど、自動認識用コードを読み取るためのデバイスを有しているものとし、自動認識用コードに符号化されている情報を読み取ることができるものとする。なお、自動認識用コードを読み取るためのデバイスは、作業端末10に内蔵されていてもよいし、作業端末10に外付けで接続されていてもよい。
【0018】
サーバ装置20は、物流の管理を行うコンピュータである。サーバ装置20は、例えば、ワークステーション及びパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいは、クラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0019】
<サーバ装置20>
図3は、サーバ装置20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。サーバ装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述のサーバ装置20が備える各機能部は、CPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、サーバ装置20が備える各記憶部(データベース)は、メモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0020】
図4は、サーバ装置20のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ装置20は、例えば、特定情報受付部211、フォーム出力部212、入力部213、排出量算出部214、設定部215、コード発行部216、入力項目記憶部231、算出方式記憶部232、トラッキングデータベース233、権限記憶部234を備えることができる。
【0021】
<サーバ装置20の記憶部>
入力項目記憶部231は、荷物及び物流拠点に対応付けて入力項目を記憶する。入力項目記憶部231は、例えば、設定情報記憶部2311と、荷物情報記憶部2312とを備えることができる。
【0022】
設定情報記憶部2311は、物流拠点ごとの設定に関する情報(以下、設定情報という。)を記憶する。本実施形態では、荷物が荷主から荷受人に至るまでの間に含まれる一連の物流拠点をまとめてプロジェクトと称することとする。設定情報記憶部2311は、プロジェクトに属する物流拠点のそれぞれについて設定情報を記憶する。
【0023】
物流拠点ごとの設定情報には、プロジェクトを特定するプロジェクトIDに対応付けて、拠点ID、拠点名、コンソリフラグ、ディコンソリフラグ、次拠点ID、担当者フラグ、通知情報、位置情報設定、画像設定、電子署名設定、環境負荷物質排出量に関する設定、ならびに複数の入力項目を含めることができる。
【0024】
拠点IDは、物流拠点を特定する情報である。コンソリフラグ及びディコンソリフラグは、当該物流拠点において荷物のコンソリ及びディコンソリが可能かどうかを示す情報である。次拠点IDは、当該物流拠点の次の物流拠点を示す情報である。担当者フラグは、担当者を設定するか否かを設定する情報である。通知情報は、次の物流拠点の担当者に対して通知を行うか否かを設定する情報である。通知情報には、通知をしない、SMSにより通知をする、メールでの通知をするなどを設定することができる。位置情報設定は、入力項目として位置情報を含めるか否かを設定する情報である。画像設定は、入力項目として画像を含めるか否かを設定する情報である。電子署名設定は、入力項目として電子署名を含めるか否かを設定する情報である。
【0025】
環境負荷物質排出量に関する設定は、前の物流拠点から対象の物流拠点(該設定に紐づく拠点IDの物流拠点)までの輸送、若しくは、対象の物流拠点から次の物流拠点(次拠点IDの物流拠点)までの輸送に伴う環境負荷物質の排出量を算出するために必要な入力項目を設定する情報である。より具体的に、環境負荷物質排出量に関する設定には、環境負荷物質排出量の少なくとも1つの算出方式(計算式)、及び、当該算出方式に対応する入力項目を含んでいてもよい。例えば、CO排出量の算出方式としては、従来トンキロ法、改良トンキロ法、燃料法、及び、燃費法などが挙げられ、物流拠点ごとにこれらの算出方式から少なくとも1つ算定方式が選択され、各物流拠点の設定情報として設定情報記憶部2311に格納される。また、選択された算定方式に合わせて、当該算定方式により環境負荷物質排出量を導き出すために必要な入力項目が決定され、その入力項目が各物流拠点の設定情報として設定情報記憶部2311に格納される。算出方式に対応する入力項目としては、例えば、輸送に使用される車種又は輸送方式の選択に関する入力項目、輸送時に消費される燃料又は電気の種類の選択に関する入力項目、輸送重量、輸送距離、積載率、燃料使用量などが挙げられる。また、環境負荷物質排出量に関する設定には、対象の物流拠点において、環境負荷物質排出量に関する項目の入力を必須とするか否かを設定する情報が含まれていてもよい。
【0026】
また、設定情報記憶部2311には、その他の任意の入力項目を設定することができる。その他の入力項目には、フォームでの入力コントロールの種類(例えば、テキストボックス、ラジオボタン、チェックボックス、カレンダー等)と、当該入力コントロールの名称(変数名)とを含めることができる。
【0027】
荷物情報記憶部2312は、荷物が所属するプロジェクトを管理する。荷物情報記憶部2312は、個々の荷物を特定する荷物IDに対応付けて、当該荷物が所属するプロジェクトを示すプロジェクトIDを記憶する。また、荷物情報記憶部2312は、個々の荷物IDに対応付けて、プロジェクトに属する複数の物流拠点のID(拠点ID)を記憶していてもよい。本実施形態の物流管理システムにおいては、個々の荷物に対して自動認識用コードが発行され、荷物情報記憶部2312には、発行した自動認識用コードの数だけレコードが追加されることになる。
【0028】
算出方式記憶部232は、環境負荷物質の排出量(単位;t-CO)を算出するために必要な固定値を記憶する。後述するように、各物流拠点では、入力項目記憶部231で設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目に対応する情報が入力され、この入力された情報に基づいて、排出量算出部214が各物流拠点への輸送に伴う環境負荷物質の排出量を算出する。算出方式記憶部232は、この排出量の算出に必要な計算式(入力値を代入する計算式)、及び、当該計算式で用いられる排出係数(排出原単位)のデータベースを、算出方式ごとに記憶する。
【0029】
例えば、CO排出量のトラッキングを行う場合、算出方式記憶部232は、従来トンキロ法、改良トンキロ法、燃料法、及び、燃費法などの算出方式ごとに、計算式と当該計算式に対応する排出係数(原単位)のデータベースとを記憶する。以下に示す(1)式が従来トンキロ法で用いる計算式、(2)式が改良トンキロ法で用いる計算式、(3)式が燃料法で用いる計算式、(4)式が燃費法で用いる計算式である。また、図5Aが従来トンキロ法に対応する排出係数データベースの例、図5Bが改良トンキロ法に対応する排出係数データベースの例、図5Cが燃料法に対応する排出係数データベースの例、図5Dが燃費法に対応する排出係数データベースの例である。
【0030】
従来トンキロ法の計算式
輸送重量[t]×輸送距離[km]×排出原単位[g-CO/(t・km)]×(1/1000000) ・・・(1)
改良トンキロ法の計算式
輸送重量[t]×輸送距離[km]×燃料使用原単位[l/(t・km)]×(1/1000)×単位発熱量[GJ/kl]×排出係数[t-CO/GJ]×(44/12) ・・・(2)
燃料法の計算式
燃料使用量[kl]×単位発熱量[GJ/kl]×排出係数[t-CO/GJ]×(44/12) ・・・(3)
燃費法の計算式
{(輸送距離[km]/燃費[km/l])×(1/1000)}×単位発熱量[GJ/kl]×排出係数[t-CO/GJ]×(44/12) ・・・(4)
【0031】
排出量算出部214が輸送実績として入力された情報に基づいて排出量を算出する際には、設定情報記憶部2311に物流拠点ごとに格納されている環境負荷物質排出量に関する設定と、実際の入力値とに基づいて、排出量の算出に使用される固定値が決定され、その固定値が算出方式記憶部232から読み出される。環境負荷物質として、CH、NO、NO、SO、又は、粒子状物質(PM)をトラッキングする場合であっても、これらの環境負荷物質の排出量もCO排出量と同様に計算式「活動量×排出係数」で算出が可能であることから、各環境負荷物質に対応する単数又は複数の計算式と排出係数データベースとを、算出方式記憶部232に格納しておけばよい。
【0032】
トラッキングデータベース233は、入力項目に対する入力値を記憶する。後述するように、各物流拠点では、入力項目記憶部231で設定された入力項目について情報が入力され、この入力された情報がトラッキングデータベース233に登録される。トラッキングデータベース233は、プロジェクトID、荷物ID及び拠点IDに対応付けて、日時と、拠点IDが示す物流拠点において荷物IDが示す荷物について入力された各入力値(位置情報、画像、電子署名、環境負荷物質排出量に関する入力値、その他の入力値)を記憶する。また、トラッキングデータベース233は、環境負荷物質排出量に関する入力値に基づいて算出された各拠点への輸送ごとの排出量を、プロジェクトID、荷物ID及び拠点IDに対応付けて、記憶する。加えて、トラッキングデータベース233は、各拠点に紐づけて記憶された排出量から算出された荷物ごとの総排出量を、プロジェクトID、及び、荷物IDに対応付けて、記憶していてもよい。なお、入力項目記憶部231において入力することが設定されている入力項目に関わる情報のみが、トラッキングデータベース233には登録される。
【0033】
権限記憶部234は、作業者ごとに、作業者が入力値を入力可能な物流拠点を特定する拠点特定情報を記憶する。権限記憶部234は、権限グループ記憶部2341及び権限メンバー記憶部2342を備えていてもよい。権限グループ記憶部2341は、プロジェクトを示すプロジェクトIDとグループを特定するグループIDとに対応付けて、グループの名称(グループ名)と、物流拠点を特定する拠点ID(拠点特定情報)と、作業者1に情報の入出力を行うか否かを設定する許可フラグとを記憶する。権限メンバー記憶部2342は、プロジェクトIDと、各作業者1を特定する担当者IDとに対応付けて、各作業者1が属するグループを示すグループIDを記憶する。
【0034】
<サーバ装置20の機能部>
設定部215は、荷物、物流拠点、及び、対応する入力項目の指定を受け付けて、指定されたこれらの情報を、入力項目記憶部231に送信し記憶させる。荷物、物流拠点、及び、対応する入力項目の指定は、例えば、荷物の輸送を開始する前に、荷主の担当者(以下、設定者と称する)により事前に実行される。この際、設定部215は、所定の設定画面40を、設定者が保有する端末(例えば、作業端末10であってもよいし、入力項目の設定を行うユーザが使用するパーソナルコンピュータやスマートフォンなどのコンピュータであってもよい)に送信し、当該端末に表示された設定画面40を介して、設定者による荷物ごとの物流拠点の指定(すなわち。プロジェクトの設定)、及び、プロジェクトに属する物流拠点ごとの入力項目の指定を受け付ける。なお、図4に示すソフトウェア構成では、設定部215がサーバ装置20に具備されているが、設定部215に相当する機能を、設定者が保有する作業端末10に備えさせてもよい。例えば、作業端末10などの端末に、設定画面40を表示して入力を受け付ける機能を備えさせ、作業端末10で受け付けた設定情報を、サーバ装置20に送信させてもよい。
【0035】
設定部215が、例えば、HTMLにより記述した画面データを設定者の端末に送信することで、設定画面40を設定者の端末に表示させてもよい。設定部215が出力する設定画面40には、物流拠点ごとに予め設定される入力項目の選択肢として、例えば、拠点ID、拠点名、コンソリフラグ、ディコンソリフラグ、次拠点ID、担当者フラグ、通知情報、位置情報、画像、電子署名、及び、環境負荷物質排出量などの項目に対する設定を受け付ける欄が提示されてもよい。図6は、物流拠点ごとに入力項目の設定を受け付ける際に出力する設定画面40の一例を示す図である。
【0036】
図6で例示する設定画面40では、プロジェクトに属する一の物流拠点(トラッキングポイント)についての設定を行うことができる。入力欄401には、物流拠点(トラッキングポイント)の名称(設定情報の拠点名)が入力される。ラジオボタンによる入力欄402及び403では、当該物流拠点において荷物のコンソリ及びディコンソリを許可するかどうか(設定情報のコンソリフラグ及びディコンソリフラグ)が選択される。入力欄404では、当該物流拠点の次の物流拠点(設定情報の次拠点ID)が選択される。入力欄405では、物流拠点の担当者の設定有無(設定情報の担当者フラグ)が設定され、入力欄406では、次の物流拠点の担当者に対して通知を行うか否か(設定情報の通知情報)が設定される。
【0037】
入力欄407では、当該物流拠点における入力項目に位置情報を含めるか否か(当該物流拠点で位置情報の取得を必須とするか、又は、任意とするかを設定する位置情報設定)を入力する。入力欄408では、当該物流拠点における入力項目に画像情報を含めるか否か(当該物流拠点で荷物の画像を登録することを必須とするか、又は、任意とするかを設定する画像設定)を入力する。入力欄409では、当該物流拠点における入力項目に電子署名を含めるか否か(当該物流拠点で作業者1による電子署名の登録を必須とするか、又は、任意とするかを設定する電子署名設定)を入力する。
【0038】
入力欄410では、その他に入力項目として含める項目(追加入力項目)の設定を行い、この入力欄410に、環境負荷物質排出量に関する設定を入力する入力欄411を設けてもよい。環境負荷物質排出量に関する設定については、例えば、図6に示すボタン4101を押下することで表示されるモーダルウィンドウを介して、当該設定の受け付けが実行されてもよい。図7が、環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定するためのモーダルウィンドウ45の一例を示す図である。
【0039】
図7に示す入力欄451は、モーダルウィンドウ45で設定する入力項目を選択するための欄であり、この入力欄451で「CO排出量算出」に関する設定を選択すると、各算出方式の説明欄と、算出方式の選択を受け付ける入力欄452と、当該入力項目の名称の入力を受け付ける入力欄453と、がモーダルウィンドウ45に表示されてもよい。入力欄451は、ドロップダウンリストを表示することで設定する入力項目の選択を受け付けてもよく、CO排出量算出設定のみならず、その他の環境負荷物質に関する設定などのその他の入力項目の設定が受け付けられるように、入力欄451ドロップダウンリストが設定されていてもよい。
【0040】
設定部215は、図7に入力欄452において、提示された算出方式の中から、次拠点への輸送(前拠点からの輸送であってもよい)に伴う排出量を算出する際に用いる少なくとも1つの算出方式を選択する、算出方式の指定を受け付ける。この際、一の物流拠点に対して一の算出方式が指定されてもよいし、一の物流拠点に対して二以上の算出方式が指定されてもよい。例えば、設定者が一の物流拠点から次の物流拠点までの輸送方法を指定する場合、又は、輸送方法が明らかな場合は、一の算出方式を指定させればよいし、設定者が一の物流拠点からの輸送方法又は輸送車種を特定できない場合は、二以上の算出方式を指定させてもよい。設定部215は、算出方式の指定を受け付けた後、指定された算出方式に応じた入力項目(車種又は輸送方式の選択に関する入力項目、燃料又は電気の種類の選択に関する入力項目、輸送重量、輸送距離、積載率、燃料使用量など)を決定する。つまり、設定部215は、荷物及び物流拠点ごとに選択される少なくとも1つの算出方式の指定を受け付け、指定された少なくとも1つの算出方式に対応する環境負荷物質排出量に関する入力項目を決定する。なお、CO排出量に関する入力項目を設定するモーダルウィンドウ45では、対象の物流拠点においてCO排出量に関する入力項目への入力を必須とするか否かを指定するチェックボックス454が設けられていてもよい。
【0041】
モーダルウィンドウ45で環境負荷物質排出量に関する入力項目の設定が受け付けられると、その受け付けた設定情報が図6に示す入力欄411に反映され、編集ボタン及び削除ボタンを利用した編集及び削除を可能としてもよい。入力欄410では、環境負荷物質排出量に関する設定の受け付けのみならず、その他の追加入力項目の設定が可能であってもよく(入力欄412)、各追加入力項目について、フォームの種類4121と、フォームの名称4122とが設定可能となっている。その他の追加入力項目を設定する際にも、環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定する場合と同様に、ボタン4101を押下することで表示されるモーダルウィンドウ45が用いられてもよい。
【0042】
また、図6に示すボタン413が押下された場合に、次の物流拠点に関する入力項目の設定を受け付ける設定画面40に移行してもよい。上記のように、プロジェクトに属する物流拠点ごとに、設定画面40及びモーダルウィンドウ45を利用した入力項目の設定を受け付ける。作業端末10などの端末からは、設定画面40に入力された設定値がサーバ装置20に送信され、設定部215は、受信した設定値を含めた設定情報を作成し、入力項目記憶部231が備える設定情報記憶部2311に登録する。端末から複数の物流拠点についての設定値が送信されてきた場合には、物流拠点ごとに設定情報を作成して登録することができる。
【0043】
コード発行部216は、自動認識用コードを発行する。コード発行部216は、プロジェクトに関連する荷物のそれぞれについて自動認識用コードを発行することができる。コード発行部216により発行された自動認識用コードは、対象の荷物又は対象の荷物が入れられた器物(パレット、コンテナなど)に貼り付けられてもよい。自動認識用コードには、例えば、プロジェクトに固有のURLがエンコードされていてもよい。また、当該URLには、自動認識用コードで管理される荷物を特定する荷物IDを含めてもよい。すなわち、荷物に付帯する自動認識用コードからURLを読み出してアクセスすることにより、プロジェクト及び荷物を特定することができる。コード発行部216は、自動認識用コードを発行した荷物のそれぞれについて、荷物IDとプロジェクトIDとを対応づけて、入力項目記憶部231が備える荷物情報記憶部2312に登録することができる。
【0044】
特定情報受付部211は、物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、荷物に付帯されている(荷物又は当該荷物の器物に貼付されている)自動認識用コードから読み取られた荷物を特定する荷物特定情報を取得する。上述したように荷物又は当該荷物の器物には、自動認識用コードが貼付されており、作業端末10が自動認識用コードからURLを読み取り、当該URLにアクセスすることができる。ここで作業端末10を用いて自動認識用コードを読み取る作業者1は、例えば、各物流拠点の担当者、及び、各物流拠点への輸送を実行する輸送事業者に属する担当者が挙げられる。自動認識用コードの読み取り(又は読み取ったURLへのアクセス)に応じて、読み取られた自動認識用コードに対応する荷物が特定され、特定情報受付部211が荷物特定情報を取得する。
【0045】
また、特定情報受付部211は、URLへのアクセスに応じて、作業者1に対して作業可能な物流拠点の一覧を出力し、物流拠点の選択を受け付けることができる。特定情報受付部211は、例えば、設定情報記憶部2311からプロジェクトに対応する物流拠点を特定し、特定した物流拠点の一覧(拠点名の一覧)を作業端末10に対して送信し、作業端末10は作業者1から物流拠点の指定を受け付け、受け付けた物流拠点を示す拠点IDをサーバ装置20に送信することができる。特定情報受付部211は、サーバ装置20に送信された上記拠点IDを、拠点特定情報として取得する。特定情報受付部211は、取得した荷物特定情報及び拠点特定情報を、後述のフォーム出力部212に送信する。
【0046】
フォーム出力部212は、荷物特定情報により特定される荷物及び拠点特定情報により特定される物流拠点に対応する入力項目を入力項目記憶部231から特定し、特定した入力項目に対する入力を受け付けるための入力用フォームを作業者1の作業端末10に対して出力する。フォーム出力部212は、入力項目記憶部231が備える設定情報記憶部2311から、プロジェクト及び物流拠点に対応する入力項目(位置情報、画像、電子署名、環境負荷物質排出量に関する入力項目、又は、その他の入力項目として指定されたもの)を特定し、特定した入力項目を入力するためのフォームを例えばHTMLなどにより作成することができる。
【0047】
少なくとも、フォーム出力部212は、取得された荷物特定情報及び拠点特定情報に対応する環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定情報記憶部2311から特定し、環境負荷物質排出量に関する入力項目を含む入力用フォームを作業端末10に出力する。例えば、フォーム出力部212は、荷物及び物流拠点ごとに事前に設定された、環境負荷物質排出量の算出方式、及び、当該算出方式に対応する入力項目を特定し、特定した入力項目が提示された入力用フォームを出力する。入力用フォームのうち、環境負荷物質排出量に関する入力項目を提示する箇所を、算出用フォームと称することとする。例えば、図8が、環境負荷物質排出量に関する入力項目を含む算出用フォームの例である。取得した拠点特定情報が示す物流拠点に対して、従来トンキロ法が設定されていた場合には、フォーム出力部212は、図8(a)に示す入力項目を含む算出用フォームを出力する。図8(a)の算出用フォームでは、従来トンキロ法に対応する入力項目として、車種又は輸送方法の選択を受け付ける入力欄、輸送重量の入力欄、及び、輸送距離の入力欄が設けられている。
【0048】
図8(b)は、改良トンキロ法が設定されていた場合の算出用フォームの例であり、この算出用フォームでは、車種の選択を受け付ける入力欄、輸送重量の入力欄、輸送距離の入力欄、及び、積載率の入力欄が設けられている。図8(c)は燃料法が設定されていた場合の算出用フォームの例であり、この算出用フォームでは、燃料・電気の種類の選択を受け付ける入力欄、及び、燃料使用量の入力欄が設けられている。図8(d)は燃費法が設定されていた場合の算出用フォームの例であり、この算出用フォームでは、営業用車と自家用車のどちらを使用したかを特定するための選択を受け付ける入力欄、車種の選択を受け付ける入力欄、及び、輸送距離の入力欄が設けられている。
【0049】
拠点特定情報によって特定された一の物流拠点に対して一の算出方式が設定されている場合には、フォーム出力部212は、設定された一の算出方式に対応する一の算出用フォーム(例、図8(a)~図8(d))を含む入力用フォームを生成すればよい。一方、特定された一の物流拠点に対して二以上の算出方式が設定されている場合には、フォーム出力部212は、設定された複数の算出方式に対応する複数の算出用フォームを含む入力用フォームを生成すればよい。複数の算出方式が設定されている場合は、入力用フォーム中に、実際の輸送方法に対応する一の算出用フォームを作業者1に選択させる入力欄を設けてもよい。フォーム出力部212が生成する入力用フォームには、図8で例示した環境負荷物質排出量に関する入力項目を含む算出用フォームの他に、荷物及び物流拠点ごとに設定された位置情報、画像、電子署名、及び、その他の入力項目が含まれていてもよい。また、フォーム出力部212は、荷物及び物流拠点ごとに、受け付ける入力値の種類に応じた複数の入力用フォームを生成し、作業端末10に出力してもよい。
【0050】
フォーム出力部212が出力する入力用フォームには、特定情報受付部211が取得した荷物特定情報及び拠点特定情報に基づいて、プロジェクトID、荷物ID、及び、拠点IDが登録されており、その他、入力用フォームの生成に際して特定された設定情報(例えば、物流拠点ごとに設定された環境負荷物質排出量の算出方式など)が登録されていてもよい。また、フォーム出力部212は、フォームを送信する前に、作業者1が所有する作業端末10の認証を行い、当該作業者1が当該物流における情報入力の権限を有しているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、フォーム出力部212は、プロジェクトと、認証した作業者1とに対応するグループIDを権限メンバー記憶部2342から取得し、取得したグループIDと物流拠点を示す拠点IDとに対応する許可フラグを権限グループ記憶部2341から取得し、許可フラグに応じて当該作業者1に権限があるか否かを判定することができる。権限を有する作業者1が特定された場合(つまり、自動認識用コードを読み取った作業端末10(作業者1)が権限を有すると判定された場合)、フォーム出力部212は、出力する入力用フォームに、担当者IDを登録してもよい。
【0051】
入力部213は、フォームに対して入力された入力項目に係る入力値を受け付ける。例えば、図8に示すような環境負荷物質排出量に関する入力項目を含む算出用フォームを受信した作業者1は、作業端末10に表示された算出用フォームの各項目(入力欄)に対して、実際の輸送実績に応じた情報(拠点特定情報により特定された物流拠点への実際の輸送に使用された車両/輸送方法、実際の輸送重量、実際の輸送距離、実際の積載率、実際の燃料使用量など)を入力する。一の物流拠点に対して複数の算出方式が設定されていた場合は、入力部213は、複数の算出用フォームを提示し、作業者1に実際の輸送方法又は輸送車両に対応する一の算出用フォームを選択させ、選択した算出用フォームに対する入力値を受け付けてもよい。なお、フォームに入力する「輸送重量」は、特定情報受付部211で情報を取得する際に読み取られた自動認識用コードで管理されている荷物の重量である。
【0052】
拠点特定情報により特定される物流拠点に位置情報の取得が設定されていた場合には、作業端末10がGPS等により当該端末(作業者1)の位置情報を取得してサーバ装置20に送信し、入力部213がこの位置情報を受け付けてもよい。物流拠点に画像に関する入力項目が設定されていた場合には、作業端末10がカメラにより撮影した荷物の画像をサーバ20に送信し、入力部213が当該画像を受信してもよい。同様に、物流拠点に電子署名に関する入力項目が設定されていた場合には、入力部213は、作業端末10に記憶されている電子署名を、作業者1の操作に基づいて、受信してもよい。
【0053】
入力部213は、作業者1によって入力された上記のような各種入力値を受け付け、フォームに入力された各入力値を、プロジェクトID、荷物ID及び物流拠点を示す拠点IDに対応付けて、トラッキングデータベース233に登録する。トラッキングデータベース233に登録される荷物及び物流拠点ごとの入力情報には、環境負荷物質排出量に関する各入力値と共に、入力用フォームに登録されている算出方式などの設定情報が含まれていてもよい。また、入力部213は、作業者1による各種入力値を受け付けたのち、環境負荷物質排出量に関する各入力値を、後述する排出量算出部214に送信する。入力部213から排出量算出部214に送信される情報には、環境負荷物質排出量に関する各入力値と共に、使用された入力用フォームに登録されているプロジェクトID、荷物ID、拠点ID、及び、算出方式などの設定情報が含まれていてもよい。
【0054】
排出量算出部214は、入力部213によって受け付けられた環境負荷物質排出量に関する各入力値に基づき、拠点特定情報により特定される物流拠点への荷物の輸送に伴う環境負荷物質排出量を算出する。例えば、排出量算出部214は、入力部213から送られてくる算出方式などの設定情報及び入力値を受信した後、算出方式記憶部232を参照して、設定情報及び入力値に対応する算出式及び排出係数(排出原単位)などの固定値を特定する(つまり、算出方式記憶部232から、排出量の算出に必要な固定値を読み出す)。そして、排出量算出部214は、算出方式記憶部232から読み出した算出式に、特定した排出係数(排出原単位)などの固定値、及び、入力部213が受け付けた入力値を代入し、環境負荷物質の排出量を算出する。その後、排出量算出部214は、算出した環境負荷物質排出量を、プロジェクトID、荷物ID及び物流拠点を示す拠点IDに対応付けて、トラッキングデータベース233に登録する。
【0055】
また、排出量算出部214は、トラッキングデータベース233において所定の荷物(プロジェクト)に対応付けて格納されている物流拠点ごとの環境負荷物質排出量を読み出し、読み出した環境負荷物質排出量に基づいて、物流過程において所定の荷物の輸送に伴って排出された環境負荷物質の総量(総排出量)を算出してもよい。換言すると、排出量算出部214は、物流拠点ごとに算出した環境負荷物質排出量を総和することで、各荷物が荷主から荷受人に至るまでの間に排出された環境負荷物質の総量(荷物ごとの総排出量)を算出してもよい。排出量算出部214は、このようにして算出した総排出量を、プロジェクトID、及び、荷物IDに対応付けて、トラッキングデータベース233に登録する。
【0056】
次に、図9を参照して、入力項目の設定処理の流れを説明する。
【0057】
まずユーザ(例えば、荷主事業者に属する担当者)はプロジェクトを作成する指示をサーバ装置20に与えて、サーバ装置20ではプロジェクトを作成してプロジェクトIDを割り当てる(S501)。サーバ装置20の設定部215は、ユーザの端末に対して設定画面40を表示するための画面データを送信し、ユーザの端末では、設定画面40において物流拠点(トラッキングポイント)が作成され(S502)、当該物流拠点についての設定項目(入力項目を含む)が入力される(S503)。当該ステップS503において、環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定する場合には、設定部215は、ユーザの端末に対してモーダルウィンドウ45を表示するための画面データを送信する。そして、設定部215は、ユーザの端末に表示されたモーダルウィンドウ45を介して、環境負荷物質排出量の少なくとも1つの算出方式の指定を受け付け、指定された算出方式に基づき当該物流拠点における環境負荷物質排出量に関する入力項目を決定する。
【0058】
上記のステップS502及びステップS503を、プロジェクトに属する全ての物流拠点についての設定が終わるまで繰り返す(S504:NO)。各物流拠点に対する設定が終了すると、設定画面40に入力された物流拠点毎の設定情報(設定値)がサーバ装置20に送信され、サーバ装置20では、物流拠点ごとに決定された設定情報が設定情報記憶部2311に登録される(S505)。
【0059】
次に、図10を参照して、所定の物流拠点に荷物が到着した際に実行される入力値の登録処理の流れを説明する。なお、以下の説明では、自動認識用コードとしてQRコード(登録商標)を利用する例を示す。
【0060】
物流拠点に荷物が到着すると、作業者1が作業端末10を用いてQRコード(登録商標)を撮影して、QRコード(登録商標)からURLを読み取り(S521)、読み取ったURLが示すサーバ装置20にアクセスする(S522)。URLにはプロジェクトID及び荷物IDが設定されており、サーバ装置10は、プロジェクトIDに対応する拠点ID及び拠点名を入力項目記憶部231が備える設定情報記憶部2311から読み出して作業端末10に送信する。作業端末10は、読み取ったQRコード(登録商標)から特定した荷物に対応する物流拠点の一覧を受信し、作業者1による一の物流拠点の指定を受け付ける。そして、作業端末10で指定された物流拠点を示す拠点IDがサーバ装置20に通知される(S523)。
【0061】
サーバ装置20では、作業者1(又は作業端末10)の認証を行い、プロジェクトID及び担当者IDに対応するグループIDを権限メンバー記憶部2342から特定し、特定したグループID及び拠点IDに対応する許可フラグを権限グループ記憶部2341から読み出し、読み出した許可フラグに応じて、作業者1にデータ入力の権限があるか否かを判定する(S524)。権限があれば(S524:YES)、サーバ装置20は、プロジェクトID及び拠点IDに対応する入力項目を設定情報記憶部2311から読み出して、入力項目を入力するためのフォームを、例えばHTMLなどにより作成して作業端末10に送信する(S525)。このステップS525で作業端末10に送信される入力用フォームには、少なくとも、環境負荷物質排出量に関する入力項目が含まれる。ステップS523で指定された一の物流拠点に、複数の算出方式が設定されていた場合には、複数の算出方式に対応する入力項目を含む入力用フォームを作業端末10に送信する。作業端末10において作業者からフォームに入力値が入力されると、作業端末10から入力値がサーバに送信され(S526)、サーバ装置20は、受信した入力値を、プロジェクトID、荷物ID及び拠点IDと、現在の日時とに対応付けてトラッキングデータベース233に登録する(S527)。一の物流拠点に複数の算出方式が設定されていた場合には、ステップS526において、作業者1が、提示された入力項目から、実際の輸送方法又は輸送車両に対応する入力項目を選択する操作を受け付けてもよい。
【0062】
上記のステップS527において、サーバ装置20の入力部213は、受信した環境負荷物質排出量に関する入力値を、排出量算出部214に伝達する。そして、排出量算出部214が、算出方式記憶部232に格納されている各種固定値(算出式、排出係数、及び、排出原単位など)を参照しつつ、環境負荷物質排出量に関する入力値に基づいて、ステップS523で指定された物流拠点への輸送に伴って排出された環境負荷物質の排出量を算出する。その後、サーバ装置20の排出量算出部214が、算出した環境負荷物質排出量を、プロジェクトID、荷物ID及び拠点IDと、現在の日時とに対応付けてトラッキングデータベース233に登録する。また、サーバ装置20の排出量算出部214は、環境負荷物質排出量がトラッキングデータベース233に登録される都度、若しくは、プロジェクトに属する全ての物流拠点に対する入力値が登録された後に、一のプロジェクト(荷物)に対応付けられている複数の環境負荷物質排出量を総和して、荷物ごとの総排出量を算出する。そして、排出量算出部214が、算出した総排出量をプロジェクトID、荷物ID及び現在の日時とに対応付けてトラッキングデータベース233に登録する。
【0063】
上記のような入力値の登録処理を、荷物が各物流拠点に到着する度に、物流拠点ごとに実行することで、複数の輸送事業者及び/又は複数の輸送方法を介する荷物の流れを、自動認識用コード(上記ではQRコード(登録商標)を例示)を用いてトラッキングすることができる。本実施形態の物流管理システムでは、物流拠点ごとに異なる入力値の受け付けができるように設定情報が柔軟に登録可能であり、荷物及び物流拠点ごとに環境負荷物質排出量に関する入力項目が設定されている。そのため、自動認識用コードを用いて、各物流拠点間の輸送に伴う環境負荷物質排出量をトラッキングすることができる。したがって、荷物が荷主から荷受人に至るまでの間の荷物ごとの環境負荷物質排出量を容易に把握することができる。
【0064】
図11は、トラッキングデータベース233に登録されている情報の表示画面例を示す図である。上記のようにしてトラッキングデータベース233に、各物流拠点に係る入力値、環境負荷物質排出量、及び、総排出量が登録されており、作業者1(荷主、荷受人、物流拠点の担当者を含む)は、これらの入力値及び環境負荷物質排出量を確認することができる。
【0065】
サーバ装置20は、作業者1の作業端末10からのリクエストに応じて、図11に示す画面50を表示するための画面データ(例えば、HTML等により記述することができる。)を送信することができる。作業端末10からのリクエストには、プロジェクトID及び担当者IDを指定することができ、サーバ装置20は、権限記憶部234から、プロジェクトID及び担当者IDに対応するグループIDを特定し、当隊グループIDとプロジェクトIDに対応する拠点ID及び許可フラグのペアを読み出し、許可フラグが情報の閲覧を許可することを示している拠点IDとプロジェクトIDとに対応するレコードをトラッキングデータベース233から読み出して、画面データに含めて作業端末10に送信することができる。
【0066】
画面50では、各物流拠点について、トラッキングデータベース233のレコードに登録されている日時や入力値を一覧表示することができ、レコードに位置情報が含まれている場合には、対応する地図の表示画面51を表示するようにすることもできる。また、一のプロジェクトIDに対応付けられて複数の物流拠点で算出された環境負荷物質排出量が登録されている場合、画面50には、それら複数の排出量を合算した、プロジェクトにおける環境負荷物質の総排出量が表示されてもよい。このようにして、担当者はトラッキングデータベース233に登録された情報を閲覧することができる。
【0067】
なお、フォーム出力部212は、フォームを送信する前に、作業端末10(担当者)の認証を行い、当該担当者が当該物流における情報入力の権限を有しているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、フォーム出力部212は、プロジェクトと、認証した担当者とに対応するグループIDを権限メンバー記憶部2332から取得し、取得したグループIDと物流拠点を示す拠点IDとに対応する許可フラグを権限グループ記憶部2331から取得し、許可フラグに応じて当該担当者に権限があるか否かを判定することができる。
【0068】
上述した実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示に過ぎず、本開示を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本開示にはその均等物が含まれることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態では、主にCO排出量をトラッキングする処理を例示したが、物流管理システムは、荷物の輸送に伴って排出されるその他の環境負荷物質(例えば、CH、NO、NO、SO、又は、PM)のトラッキングに適用されてもよく、複数の環境負荷物質のトラッキングに適用されてもよい。
【0069】
<変形例>
また、物流管理システムでは、荷物の流れ、及び、環境負荷物質排出量をトラッキングする際に使用される自動認識用コードとして、荷物に貼付される荷物用コードが用いられるとともに、荷物が入れられる器物に貼付される器物用コードが用いられてもよい。
【0070】
物流において運ばれる荷物は、トラック等により単体で運送されることも、他の荷物とともにパレットにまとめられて運送されることもあり、さらには、そのパレットも他のパレットとともにコンテナに積載されて運送されることがある。物流管理システムでは、荷物とパレット、さらにはパレットが積載されるコンテナなどとを紐付けて管理することにより、パレット及びコンテナなどの器物に付された自動認識用コード(器物用コード)を読み込むことで、個別の荷物に付されている自動認識用コード(荷物用コード)を読み込まなくても各荷物のトラッキングが可能になるようにしてもよい。
【0071】
例えば、コード発行部216が、荷物用コード(以下、ソロコードという)と、パレット等の複数の同種荷物を積載する器物用コード(以下、パッケージコードという)と、同種異種を問わずに複数のパレットを混載するコンテナ等向けの器物用コード(以下、コンソリコードという)と、を発行してもよい。この場合、サーバ装置20の機能部が、親となる器物に対して発行された器物用コードと、子となる荷物用コード(当該器物に入れられる荷物に付されている荷物用コード)とをペアリングする処理を実行してもよい。このペアリングは、器物に複数の荷物を搭載する際に、親となる器物用コード(パッケージコード又はコンソリコード)を読み取るとともに、子となる荷物用コードを読み取ることで、実行されてもよい。ペアリングが実行された場合には、荷物及び器物の親子関係を管理するペアリング情報を生成し、サーバ装置20の記憶部に備わるペアリングデータベースに記憶させてもよい。
【0072】
ペアリング情報には、それぞれの荷物用コードで特定される各荷物の重量、器物に搭載されるその他荷物(例えば、自動認識用コードで管理されていない他荷主の荷物など)の重量、器物自体の重量、及び、器物に搭載されている荷物の重量を含む器物の総重量などの情報が含まれていてもよい。このような各荷物の重量に関する情報は、ペアリングを実行する際に(つまり、器物用コードと荷物用コードとを読み取って荷物を器物へ投入する際に)、作業端末10を介して入力させてもよいし、前の物流拠点での入力値の登録によってトラッキングデータベース233に登録されている情報から読み出して特定されてもよい。ペアリング情報に荷物用コードで管理されている荷物の重量を登録しておくことで、荷物重量を含む器物の総重量に対する、各荷物の重量の割合を特定できる。
【0073】
上記のように荷物用コードと器物用コードのペアリングが実行されていれば、荷物を搭載した器物が所定の物流拠点に到着した際に、荷物用コードではなく、器物用コードを読み取ることで、入力値の登録処理が実行されてもよい。例えば、荷物の到着時に、作業端末10が器物に貼付されている器物用コードを読み取った場合(もしくは器物用コードから読み取ったURLにアクセスした場合)、特定情報受付部211は、ペアリング情報が格納されているペアリングデータベースを参照することで、親の器物用コードに紐づけられている子の荷物用コードと、当該荷物用コードに対応する荷物ID及びプロジェクトIDを特定し、荷物特定情報を取得してもよい。
【0074】
また、器物用コードを読み取って生成された入力用フォームに対して、環境負荷物質排出量に関する入力を実行する際には、輸送重量の項目に、読み取った器物用コードに対応する器物の総重量(搭載されている荷物の重量を含む)を入力してもよい。排出量算出部214は、設定された算出方式と、入力された器物の総重量に基づいて、器物の輸送に対する環境負荷物質排出量を算出してもよい。この場合、排出量算出部214は、ペアリング情報を参酌して、器物の総重量に基づいて算出した環境負荷物質排出量から、当該器物に搭載されている各荷物の排出量を算出してもよい。つまり、器物の総重量に基づいて算出した環境負荷物質排出量を按分して、器物に含まれる各荷物(ペアリングされている荷物用コードにより特定される荷物)の排出量を算出してもよい。按分の方法は特に限定されず、例えば、器物の総重量に対する各荷物の重量割合がペアリング情報に含まれていれば、器物の総重量に基づいて算出した環境負荷物質排出量に対して当該重量割合を乗じることで、排出量を按分してもよい。このように排出量を按分した後に、排出量算出部214が、荷物ごとに按分された環境負荷物質排出量を、プロジェクトID、荷物ID及び拠点IDと、現在の日時とに対応付けてトラッキングデータベース233に登録してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 作業端末
20 サーバ装置
211 特定情報受付部
212 フォーム出力部
213 入力部
214 排出量算出部
215 設定部
216 コード発行部
231 入力項目記憶部
232 算出方式記憶部
233 トラッキングデータベース
234 権限記憶部

【要約】
荷物の物流過程に属する物流拠点、及び、物流拠点ごとに予め設定された環境負荷物質排出量に関する入力項目を記憶する設定情報記憶部と、物流拠点を特定する拠点特定情報、及び、自動認識用コードから読み取られた荷物を特定する荷物特定情報を取得する特定情報受付部と、荷物特定情報及び拠点特定情報に対応する環境負荷物質排出量に関する入力項目を設定情報記憶部から特定し、入力用フォームを出力するフォーム出力部と、入力用フォームに対する入力値に基づき、拠点特定情報により特定される物流拠点への荷物の輸送に伴う環境負荷物質排出量を算出する排出量算出部と、入力値、及び、算出した環境負荷物質排出量を、物流拠点ごとに対応付けて記憶するトラッキングデータベースと、を備える物流管理システム。


図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11