(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】感熱記録部材および感熱記録部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/42 20060101AFI20240216BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B41M5/42 210
B41M5/42 211
B41M5/42 220
B41M5/44 210
(21)【出願番号】P 2019103645
(22)【出願日】2019-06-03
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150348
【氏名又は名称】嶋田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 朝妃
(72)【発明者】
【氏名】播摩 英伸
(72)【発明者】
【氏名】槌井 弘樹
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-183799(JP,A)
【文献】特開平01-030785(JP,A)
【文献】特開昭62-005886(JP,A)
【文献】特開平01-190488(JP,A)
【文献】特開2006-297845(JP,A)
【文献】特開昭63-272552(JP,A)
【文献】特開昭63-293091(JP,A)
【文献】特開平01-014075(JP,A)
【文献】特開昭64-030785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28-5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、中空粒子を含んだ中空粒子層と、加熱により発色する感熱記録層とが、この順に積層される感熱記録部材であって、
前記中空粒子層と前記感熱記録層との間でかつ前記中空粒子層に接するように、平滑化手段により平滑化された前記中空粒子層の平滑度を維持
し、中空粒子を含有しない平滑度維持層を備え、
前記平滑度維持層の塗布量は、0.4g/m
2以上2.4g/m
2以下の範囲である、感熱記録部材。
【請求項2】
前記平滑化手段は、加圧により前記中空粒子層の表面を平滑化する手段を含む、請求項1に記載の感熱記録部材。
【請求項3】
前記平滑度維持層は、結着性を有する樹脂を含む、請求項1または2に記載の感熱記録部材。
【請求項4】
前記平滑度維持層は、結着性を有する樹脂として、スチレンアクリル、SBR、アクリル共重合体、SBR(メチルメタクリレート含有)、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、EVA、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、アセトアセチル変性PVA、アクリルウレタン、ポリエステルウレタン、からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む、請求項3に記載の感熱記録部材。
【請求項5】
前記平滑度維持層は、結着性を有する樹脂として、スチレンアクリル、SBR、アクリル共重合体、SBR(メチルメタクリレート含有)、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、EVA、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、アセトアセチル変性PVA(ただし、アクリルウレタンおよびポリエステルウレタンを除く)からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む、請求項3に記載の感熱記録部材。
【請求項6】
前記感熱記録層の前記平滑度維持層とは反対側の面にオーバーコート層をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録部材。
【請求項7】
支持体上に中空粒子を含む中空粒子層を形成する中空粒子層形成工程と、
前記中空粒子層の平滑度を維持
し、中空粒子を含有しない平滑度維持層を形成する平滑度維持層形成工程と、
前記中空粒子層の表面を平滑化する平滑化手段と、
前記平滑度維持層上に感熱記録層を形成する感熱記録層形成工程とを備え、
前記平滑度維持層形成工程において、前記平滑度維持層の塗布量を0.4g/m
2以上2.4g/m
2以下の範囲となるように調整する、感熱記録部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録部材および感熱記録部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計測用レコーダ、コンピューター等の端末プリンタ、ファクシミリ、自動券売機、または、バーコードラベルなどの様々な分野において、サーマルヘッドを用いた感熱記録装置により、感熱記録シートなどの感熱記録部材に対して、画像や文字などの情報を記録させることが行われている。
【0003】
そして、上記のような感熱記録部材としては、一般に、紙やプラスチックフィルムなどの支持体上に、加熱によって発色する発色剤や顕色剤を含む感熱記録層を設け、この感熱記録層の上にオーバーコート層などを設けたものが広く利用されている。
【0004】
また、近年においては、上記のような感熱記録装置の高性能化が進められ、高速で、かすれなどの発生が少なく、印字部と非印字部との濃淡の差が明確で良好な記録が行えるようにすることが要望されている。
【0005】
そして、従来においては、このような要望に対応させるため、支持体と感熱記録層との間に、アンダーコート層を設けて感熱記録層の表面を平滑にし、サーマルヘッドとの密着性を高めて、感熱記録部材における感度を向上させるようにしたものが知られている。また、上記のアンダーコート層に中空粒子を含んだ中空粒子層を用いることによって、断熱性を高め、感熱記録部材における感度をさらに向上させるようにしたものも知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、中空粒子層や感熱記録層の表面をより平滑にするために、スーパーカレンダー等の平滑化手段によって、平滑度を向上させ、感熱記録部材における感度を向上させるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-80530号公報
【文献】特開昭64-30785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、中空粒子層にカレンダーを施して表面を平滑化しても、中空粒子層に含まれる中空粒子の弾性に起因して中空粒子層の形状が復元し、その結果、中空粒子層の平滑度が低下するため、印字保存性が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、印字保存性を向上させることが可能な感熱記録部材および感熱記録部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0011】
(1)本発明の感熱記録部材は、支持体と、中空粒子を含んだ中空粒子層と、加熱により発色する感熱記録層とが、この順に積層される感熱記録部材であって、前記中空粒子層と前記感熱記録層との間でかつ前記中空粒子層に接するように、平滑化手段により平滑化された前記中空粒子層の平滑度を維持し、中空粒子を含有しない平滑度維持層を備え、前記平滑度維持層の塗布量は、0.4g/m2以上2.4g/m2以下の範囲である。
【0012】
上記構成によると、中空粒子層と感熱記録層との間でかつ中空粒子層に接するように平滑度維持層を備えるため、平滑化手段を施すことによって、中空粒子層の平滑度を向上させた状態で、平滑度を維持することができる。これにより、中空粒子層の平滑度が向上するため、上層の感熱記録層も平滑度が向上し、印字保存性を向上させることができる。また、前記平滑度維持層の塗布量は、0.4g/m
2
以上2.4g/m
2
以下の範囲である。このように構成すれば、耐可塑剤性(印字保存性)および印字品質の両方に優れた感熱記録部材を得ることができる。
【0013】
(2)本発明の感熱記録部材において、好ましくは、前記平滑化手段は、加圧により前記中空粒子層の表面を平滑化する手段を含む。このように構成すれば、中空粒子層に含まれる中空粒子を適切に押し潰すことにより、中空粒子層の平滑度を効果的に向上させることができる。
【0014】
(3)本発明の感熱記録部材において、好ましくは、前記平滑度維持層は、結着性を有する樹脂を含む。このように構成すれば、結着性樹脂の結着力により中空粒子層の平滑度を維持することができる。
【0015】
(4)本発明の感熱記録部材において、好ましくは、前記平滑度維持層は、結着性を有する樹脂として、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリル、アクリル共重合体、メチルメタクリレート、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、エチレンビニルアセタートコポリマー、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリルウレタン、ポリエステルウレタン、からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む。このように構成すれば、上記の成分を含む平滑度維持層を用いることにより、中空粒子層の平滑度をより効果的に維持することができるため、効果的に印字保存性を向上させることができる。
【0016】
(5)本発明の感熱記録部材において、好ましくは、前記平滑度維持層は、結着性を有する樹脂として、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリル、アクリル共重合体、メチルメタクリレート、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、エチレンビニルアセタートコポリマー、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール(ただし、アクリルウレタンおよびポリエステルウレタンを除く)からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む。このように構成すれば、上記の成分を含む平滑度維持層を用いることにより、中空粒子層の平滑度をより一層効果的に維持することができるため、より一層効果的に印字保存性を向上させることができる。
【0019】
(8)本発明の感熱記録部材において、好ましくは、前記感熱記録層の前記平滑度維持層とは反対側の面にオーバーコート層をさらに備える。このように構成すれば、感熱記録層の耐水性、耐薬品性および耐可塑剤性を向上させることができ、かつ、サーマルヘッドに対する印字適性を向上させて適切に発色が行われるようにすることができる。
【0020】
(7)本発明の感熱記録部材の製造方法において、支持体上に中空粒子を含む中空粒子層を形成する中空粒子層形成工程と、前記中空粒子層の平滑度を維持し、中空粒子を含有しない平滑度維持層を形成する平滑度維持層形成工程と、前記中空粒子層の表面を平滑化する平滑化手段と、前記平滑度維持層上に感熱記録層を形成する感熱記録層形成工程とを備え、前記平滑度維持層形成工程において、前記平滑度維持層の塗布量は、0.4g/m2以上2.4g/m2以下の範囲となるように調整する。
【0021】
上記構成によると、中空粒子層と前記感熱記録層との間でかつ中空粒子層に接するように平滑度維持層を形成する工程を備えるため、平滑化手段を施すことによって、中空粒子層の平滑度を向上させた状態で、平滑度を維持することができる。これにより、中空粒子層の平滑度が向上するため、上層に形成された感熱記録層も平滑度が向上し、印字保存性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る態様によれば、印字保存性を向上させることが可能な感熱記録部材および感熱記録部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係る感熱記録部材の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態に係る感熱記録部材を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る感熱記録部材は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0025】
本実施形態による感熱記録部材10は、支持体11と、中空粒子2を含む中空粒子層12と、中空粒子層12の表面の平滑度(平滑性)を維持する平滑度維持層13と、加熱により発色する感熱記録層14と、オーバーコート層15とが、この順に積層されて構造を有している。
【0026】
支持体11は、紙、不織布、プラスチックフィルム、金属箔、または、これらを組み合わせた複合シートなどである。
【0027】
中空粒子層12は、粒径の異なる複数の中空粒子2を含む。これらの中空粒子2の材料としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、および、これらの共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0028】
支持体11の上に中空粒子層12を形成する際には、中空粒子層形成工程として、中空粒子2と結着剤とを含む中空粒子層用塗液を、支持体11の上に、ワイヤーバー、バーコータまたはロッドコータなどの塗布機を用いて塗布し、これを乾燥させる。
【0029】
中空粒子層12に用いる結着剤としては、一般に使用されている公知の高分子エマルジョンや水溶性高分子を用いることができる。高分子エマルジョンとしては、たとえば、アクリル-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリル-ブタジエン-スチレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョンを用いることができる。
【0030】
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタクリル酸三元共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等を用いることができる。
【0031】
平滑度維持層13は、中空粒子層12と感熱記録層14との間でかつ中空粒子層12に接するように設けられている。この平滑度維持層13は、スーパーカレンダー等の平滑化手段により加圧された中空粒子層12の表面の平滑度を維持する。具体的には、中空粒子層12に含まれる粒径の異なる複数の中空粒子2の形状に起因する表面の凹凸形状を、スーパーカレンダーによって中空粒子2を押し潰して変形させることによって表面を平滑化し、平滑化された中空粒子層12が元の形状に復元することを平滑度維持層13により抑制し、中空粒子層12の表面の平滑度を維持する。
【0032】
平滑度維持層13は、結着性を有する樹脂を含む。具体的には、平滑度維持層13は、結着性を有する樹脂として、スチレンアクリル、SBR(スチレンブタジエンゴム)、アクリル共重合体、SBR(メチルメタクリレート含有)、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、アセトアセチル変性PVA(ポリビニルアルコール)、アクリルウレタン、ポリエステルウレタン、からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む。これらの成分を含むことにより、印字保存性を効果的に向上させることができる。また、印字保存性の向上の観点からより優れた効果のあるものは、上記の成分のうち、アクリルウレタンおよびポリエステルウレタンを除いたものである。
【0033】
中空粒子層12の上に平滑度維持層13を形成する際には、平滑度維持層形成工程として、平滑度維持層用塗液を中空粒子層12の上に、ワイヤーバー、バーコータまたはロッドコータなどの塗布機を用いて塗布し、これを乾燥させる。平滑度維持層13の塗布量(g/m2)は、好ましくは0.3g/m2以上4.0g/m2以下の範囲であり、より好ましくは0.4g/m2以上3.4g/m2以下の範囲である。平滑度維持層13の塗布量(g/m2)が0.3g/m2以上4.0g/m2以下である場合には、印字品質の優れた感熱記録部材が得られ、平滑度維持層13の塗布量(g/m2)が0.4g/m2以上3.4g/m2以下である場合には、印字品質および耐可塑剤性(印字保存性)の両方が優れた感熱記録部材が得られる。なお、平滑度維持層13の塗布量(g/m2)は、平滑度維持層用塗液の塗布前の基材の質量(g)と、平滑度維持層用塗液の塗布後のサンプルの質量(g)と、乾燥機において乾燥処理された平滑度維持層用塗液の断面視台形の面積(m2)とに基づいて算出された塗液のドライ塗布量(g/m2)である。
【0034】
感熱記録層14においては、加熱により発色する発色剤、顕色剤、結着剤、増感剤、滑剤、充填剤などを含めることができる。
【0035】
加熱により発色する発色剤としては、一般に使用されている公知のロイコ系染料を用いることができる。このロイコ系染料としては、例えば、3-(N-イソブチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソペンチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-o-クロロアニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エトキシプロピル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-n-プロピル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-p-トルイジノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-8-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-5-メチル-7-メチルフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン、等を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
また、顕色剤としては、上記のようなロイコ系染料に対して加熱時に反応して、これを発色させる種々の電子受容性物質を用いることができる。この顕色剤としては、例えば、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2’-メチレンビス(4-クロロフェノール)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-n-プロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-メチルジフェニルスルホン、4-ヒドロキシフェニル-4'-ベンジルオキシフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ポリ(4-ヒドロキシ安息香酸)、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、α-{4-[(4-ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}-ω-ヒドロキシポリ(重合度n=1~7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ-p-フェニレンスルホニル-p-フェニレン)2,2-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレア]ジフェニルスルホン、3,5-ビス(α-メチルベンジル)サリチル酸、ビス[4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]、4,4’-ビス(p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4-ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2’-(3-フェニルウレイド)ベンゼンスルホンアニリド、N-(2-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]アセトアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]アセトアミド、4-[[4-[4-[4-[[4-(1-メチルエトキシ)フェニル]スルホニルフェノキシ]ブトキシ]フェニル]スルホニル]フェノール、4-tert-ブチルフェノール・ホルムアルデヒド重縮合物、N-(p-トルエン スルホニル)N'-(3-p-トルエンスルホニルオキシフェニル)ウレア、1-フェニル-3-(4-メチルフェニルスルホニル)ウレア、等を用いることができる。
【0037】
また、感熱記録層14の結着剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができる。この結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、カゼイン、ゼラチン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、メチルビニル-無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリルニトリル、メチルビニルエーテル、を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
また、この感熱記録層14に含める増感剤、滑剤、充填剤なども、一般に使用されている公知のものを用いることができる。そして、増感剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アニリド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、1-ベンジルオキシナフタレン、2-ベンジルオキシナフタレン、2,6-ジイソプロピルナフタレン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ジフェノキシメチルベンゼン、1,2-ビス(3,4-ジメチルフェノル)エタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p-クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p-メチルベンジル)、シュウ酸ジベンジル、p-ベンジルビフェニル、m-ターフェニル、ジフェニルスルホン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ジベンジル、p-トルエンスルホンアミド、等の常温で固体、好ましくは約70℃以上の融点を有するものなどを用いることができる。また、滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、オレイン酸などの脂肪酸類、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス類、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸類、カルナバワックスなどのエステルワックス類、シリコンオイル、鯨油等の油類を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、酸化珪素、コロイダルシリカ、ポリスチレン樹脂粒子、尿素-ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、等を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
平滑度維持層13の上に感熱記録層14を形成する際には、感熱記録層形成工程として、感熱記録層用塗液を平滑度維持層13の上に、ワイヤーバーを用いた手塗りや、バーコータ、ロッドコータ、カーテンコータ、グラビアコータ、リップコータ、コンマコータなどの塗布機を用いて塗布し、これを乾燥させる。
【0040】
オーバーコート層15は、感熱記録層14上に形成される第1オーバーコート層15aと、第1オーバーコート層15a上に形成される第2オーバーコート層15bとが積層された構造を有する。なお、オーバーコート層15は、第1オーバーコート層15aと第2オーバーコート層15bとを積層させた構造のものに限られず、単層のものであってもよい。
【0041】
感熱記録層14の上にオーバーコート層15を形成する際には、オーバーコート層用塗液を感熱記録層14の上に、ワイヤーバーを用いた手塗りや、バーコータ、ロッドコータ、カーテンコータ、グラビアコータ、リップコータ、コンマコータなどの塗布機を用いて塗布し、これを乾燥させる。
【0042】
第1オーバーコート層15aは、主として、感熱記録層14の耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性等を向上させるためのものであり、結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、メチルビニル-無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メチルビニルエーテルなどの水系樹脂を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0043】
第2オーバーコート層15bは、主として、サーマルヘッドに対する感熱記録層14のマッチング性を向上させて、感熱記録層14における発色が適切に行われるようにするためのものであり、結着剤に充填剤を添加させるようにし、必要に応じて、滑剤、架橋剤、分散剤、消泡剤、耐水化剤などの添加剤を添加させるようにする。
【0044】
第2オーバーコート層15bの結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン;ポリビニルカルバゾール;デンプン類;セルロース誘導体;アルギン酸塩;アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル樹脂;アルキッド樹脂;マレイン酸樹脂;アクリロニトリル樹脂;エポキシ樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;スチレン樹脂;ウレタン樹脂;ビニリデン樹脂などを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素-ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子などを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
上記説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0047】
(1)上記実施形態による感熱記録部材10は、支持体11と、中空粒子2を含んだ中空粒子層12と、加熱により発色する感熱記録層14とが、この順に積層される感熱記録部材10であって、中空粒子層12と感熱記録層14との間でかつ中空粒子層12に接するように、スーパーカレンダー等の平滑化手段により平滑化された中空粒子層12の平滑度を維持する平滑度維持層13を備える。
【0048】
上記構成によると、中空粒子層12と感熱記録層14との間でかつ中空粒子層12に接するように平滑度維持層13を備えるため、スーパーカレンダーを施すことによって、中空粒子層12の平滑度を向上させた状態で、平滑度を維持することができる。これにより、中空粒子層12の平滑度が向上するため、上層の感熱記録層14も平滑度が向上し、印字保存性を向上させることができる。
【0049】
(2)上記実施形態による感熱記録部材10では、加圧により中空粒子層12の表面を平滑化するスーパーカレンダーを用いることによって、中空粒子層12に含まれる中空粒子2を適切に押し潰すことにより、中空粒子層12の平滑度を効果的に向上させることができる。
【0050】
(3)上記実施形態による感熱記録部材10では、結着性を有する樹脂としてスチレンアクリルを含む平滑度維持層13を用いることにより、スチレンアクリルの有する結着力により中空粒子層12の平滑度をより効果的に維持することができるため、より効果的に印字保存性を向上させることができる。
【0051】
(4)上記実施形態による感熱記録部材10では、平滑度維持層13の塗布量を、0.3g/m2以上4.0g/m2以下の範囲にすることによって、印字品質の優れた感熱記録部材10を得ることができる。
【0052】
(5)上記実施形態による感熱記録部材10では、平滑度維持層13の塗布量を、0.4g/m2以上3.4g/m2以下の範囲にすることによって、耐可塑剤性(印字保存性)および印字品質の両方に優れた感熱記録部材10を得ることができる。
【0053】
(6)上記実施形態による感熱記録部材10では、感熱記録層14の平滑度維持層13とは反対側の面にオーバーコート層15をさらに備えることによって、感熱記録層14の耐水性、耐薬品性および耐可塑剤性を向上させることができ、かつ、サーマルヘッドに対する印字適性を向上させて適切に発色が行われるようにすることができる。
【0054】
(7)上記実施形態による感熱記録部材10の製造方法は、支持体11上に中空粒子2を含む中空粒子層12を形成する中空粒子層形成工程と、中空粒子層12の平滑度を維持する平滑度維持層13を形成する平滑度維持層形成工程と、中空粒子層12の表面を平滑化する平滑化手段と、平滑度維持層13上に感熱記録層14を形成する感熱記録層14形成工程とを備える。
【0055】
上記構成によると、中空粒子層12と感熱記録層14との間でかつ中空粒子層12に接するように平滑度維持層13を形成する工程を備えるため、スーパーカレンダー等の平滑化手段を施すことによって、中空粒子層12の平滑度を向上させた状態で、平滑度を維持することができる。これにより、中空粒子層12の平滑度が向上するため、上層に形成された感熱記録層14も平滑度が向上し、印字保存性を向上させることができる。
【実施例】
【0056】
次に、本発明による感熱記録部材を適用した実施例について説明する。
【0057】
(実施例1)
支持体として上質紙の一方の面に、中空粒子を含む中空粒子層用塗液、および、結着性を有する樹脂(主成分)としてスチレンアクリルを含む塗布量0.3g/m2の平滑度維持層用塗液を、ワイヤーバーを用いて順次塗布および乾燥して中空粒子層及び平滑度維持層を形成した。その後、平滑度維持層面に対して、スーパーカレンダー処理した。次に、染料として3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランを、顕色剤として4-ヒドロキシ-4’-N-プロポキシジフェニルスルホンを、充填剤として焼成カオリンを分散媒に分散させ、その後、結着剤としてスチレン-ブタジエン共重合体を、滑剤としてパラフィンワックスおよびポリエチレンワックスの少なくとも一方を添加して調製した塗布量4.0g/m2の感熱記録層用塗液を平滑度維持層上にワイヤーバーを用いて塗布及び乾燥して感熱記録層を形成した。次に、感熱記録層上に、主成分としてアクリル樹脂を含む塗布量1.0g/m2のオーバーコート層用塗液を、ワイヤーバーを用いて塗布及び乾燥して、オーバーコート層を形成し、感熱記録部材を得た。
【0058】
(耐可塑剤性評価および印字保存性評価)
上述した構成を有する感熱記録部材を4cm幅にカットした。カットした感熱記録部材を恒温恒湿室内(23%、50%RH)で2時間調湿した。調湿後の感熱記録部材をラベルプリンターを用いて市松模様の印字を行い、その発色濃度をX-rite eXact濃度計にて測定した。この測定値を試験前の発色濃度とし、耐可塑剤性試験として、PETフィルム上に塩ビフィルムを4枚重ねてゴムローラーで貼り付けた。感熱記録部材のセパレータを剥がして、密着させた塩ビフィルムに貼り付けた。その上にカットさせた塩ビフィルムおよびPETフィルムの順にゴムローラーで密着させた。感熱記録部材に対して300g/cm2の荷重をかけて、40℃、15時間放置した。その後、サンプルを取り出した。試験前の発色濃度に対する試験後(耐可塑剤性40℃、15時間後)の発色濃度の割合である発色濃度残存率(=(試験後の発色濃度/試験前の発色濃度)×100)を算出した。この結果を表1の耐可塑剤性(残存率)に示した。そして、耐可塑剤性(残存率)が70%以上のものを保存性良好(○)とし、耐可塑剤性(残存率)が69%以下40%以上のものを保存性良(△)とし、耐可塑剤性(残存率)が39%以下のものを保存性不良(×)として示した。結果を表1に示す。
【0059】
(印字品質評価)
6cm幅にカットした感熱記録部材を計量ラベル用プリンター(商品名:ISHIDA IP-UNI-F)にて発色させ、発色部の白抜けを目視により評価し、白抜けが殆ど発生していなかったものを品質良好(○)、白抜けが比較的発生していたものを品質良(△)とし、この結果を表の印字品質に示した。結果を表1に示す。
【0060】
(実施例2)
平滑度維持層用塗液の塗布量を0.4g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0061】
(実施例3)
平滑度維持層用塗液の塗布量を0.5g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0062】
(実施例4)
平滑度維持層用塗液の塗布量を1.0g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0063】
(実施例5)
平滑度維持層用塗液の塗布量を2.1g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0064】
(実施例6)
平滑度維持層用塗液の塗布量を3.1g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0065】
(実施例7)
平滑度維持層用塗液の塗布量を3.4g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例8)
平滑度維持層用塗液の塗布量を4.0g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0067】
(比較例1)
平滑度維持層を設けない(形成しない)こと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0068】
【0069】
実施例1における感熱記録部材は耐可塑剤性(印字保存性)が良であり、印字品質は良好であった。また、実施例2~7における感熱記録部材は耐可塑剤性(印字保存性)および印字品質の両方が良好であった。また、実施例8における感熱記録部材は耐可塑剤性(印字保存性)が良好であり、印字品質が良であった。一方、比較例1における感熱記録部材は、耐可塑剤性(印字保存性)が不良であり、印字品質については良であった。すなわち、感熱記録部材の平滑度維持層の主成分をスチレンアクリルとして、塗布量を0.4g/m2以上3.4g/m2以下の範囲とした場合には、実施例2~7で説明したように、印字保存性が良好であるとともに、印字品質についても良好であるといえる。また、感熱記録部材の平滑度維持層の主成分をスチレンアクリルとして、塗布量を0.3g/m2以上4.0g/m2以下の範囲とした場合には、実施例1で説明したように印字保存性が良であるとともに印字品質が良好であるといえ、かつ、実施例2~7で説明したように印字保存性および印字品質が共に良好であるといえ、かつ、実施例8で説明したように印字保存性が良好であるとともに印字品質が良であるといえる。
【0070】
(実施例9)
平滑度維持層の主成分をSBR(スチレンブタジエンゴム)とし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0071】
(実施例10)
平滑度維持層の主成分をアクリル共重合体とし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0072】
(実施例11)
平滑度維持層の主成分をSBR(メチルメタクリレート含有)とし、平滑度維持層用塗液の塗布量を2.2g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0073】
(実施例12)
平滑度維持層の主成分を塩化ビニリデンとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を2.1g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0074】
(実施例13)
平滑度維持層の主成分をアクリルニトリルとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を2.4g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0075】
(実施例14)
平滑度維持層の主成分をアクリルオリゴマーとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を2.2g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0076】
(実施例15)
平滑度維持層の主成分をアクリルとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0077】
(実施例16)
平滑度維持層の主成分を水酸基ウレタンとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0078】
(実施例17)
平滑度維持層の主成分をウレタンとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0079】
(実施例18)
平滑度維持層の主成分をポリオレフィンとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0080】
(実施例19)
平滑度維持層の主成分をEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)とし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0081】
(実施例20)
平滑度維持層の主成分をポリエステルとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0082】
(実施例21)
平滑度維持層の主成分をヒドロキシエチルセルロースとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0083】
(実施例22)
平滑度維持層の主成分をアセトアセチル変性PVA(ポリビニルアルコール)とし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0084】
(実施例23)
平滑度維持層の主成分をアクリルウレタンとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0085】
(実施例24)
平滑度維持層の主成分をポリエステルウレタンとし、平滑度維持層用塗液の塗布量を1.9g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、感熱記録部材を作製した。得られた感熱記録部材を実施例1と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
【0086】
【0087】
本発明の実施例9~22における感熱記録部材の耐可塑剤性(印字保存性)は良好であった。一方、実施例23および24における感熱記録部材の耐可塑剤性(印字保存性)は良であった。すなわち、実施例9~22で説明したように、感熱記録部材の平滑度維持層に結着性を有する樹脂として、SBR、アクリル共重合体、SBR(メチルメタクリレート含有)、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、EVA、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、および、アセトアセチル変性PVAからなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む場合には、印字保存性が良好であるといえる。一方、実施例23および24で説明したように、感熱記録部材の平滑度維持層に結着性を有する樹脂として、アクリルウレタン、および、ポリエステルウレタンからなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む場合には、印字保存性が良であるといえる。
【0088】
また、実施例9~15、18~22および24における感熱記録部材の印字品質は良好であった。一方、実施例16、17および23における感熱記録部材の印字品質は良であった。すなわち、実施例9~15、18~22および24で説明したように、感熱記録部材の平滑度維持層に結着性を有する樹脂として、SBR、アクリル共重合体、SBR(メチルメタクリレート含有)、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、ポリオレフィン、EVA、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、アセトアセチル変性PVA、および、ポリエステルウレタンからなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む場合には、印字品質が良好であるといえる。一方、実施例16、17および23で説明したように、感熱記録部材の平滑度維持層に結着性を有する樹脂として、水酸基ウレタン、ウレタン、および、アクリルウレタンからなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む場合には、印字品質が良であるといえる。
【0089】
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0090】
・上記実施形態では、本発明の平滑度維持層が結着性を有する樹脂を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中空粒子層の平滑度を維持することが可能であれば、結着性を有する樹脂を含まなくても良い。
【0091】
・上記実施形態では、本発明の平滑度維持層が、結着性を有する樹脂として、スチレンアクリル、SBR、アクリル共重合体、SBR(メチルメタクリレート含有)、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルオリゴマー、アクリル、水酸基ウレタン、ウレタン、ポリオレフィン、EVA、ポリエステル、ヒドロキシエチルセルロース、アセトアセチル変性PVA、アクリルウレタン、ポリエステルウレタン、からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、結着性を有する樹脂であれば、上記以外の結着性を有する樹脂を平滑度維持層に含めることによっても同様の結果が得られる。また、上記の結着性を有する樹脂を2種類以上含んでもよい。
【0092】
・上記実施形態では、本発明の平滑化手段の一例としてスーパーカレンダーを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中空粒子層の表面を平滑化することが可能であれば、スーパーカレンダー以外の平滑化手段を用いることが可能である。
【0093】
・上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0094】
2 …中空粒子
10 …感熱記録部材
11 …支持体
12 …中空粒子層
13 …平滑度維持層
14 …感熱記録層
15 …オーバーコート層