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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/42 20060101AFI20240216BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20240216BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20240216BHJP
   A01N 43/16 20060101ALN20240216BHJP
   A01N 65/36 20090101ALN20240216BHJP
   A01N 31/02 20060101ALN20240216BHJP
   A01N 25/28 20060101ALN20240216BHJP
   A01P 3/00 20060101ALN20240216BHJP
   A01N 25/10 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
B65D65/42 A
B65D81/28 C
B65D81/26 S
A01N43/16 A
A01N65/36
A01N31/02
A01N25/28
A01P3/00
A01N25/10
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019093104
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020023354
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】100799
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】519176500
【氏名又は名称】ソルマルテック・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】SOREMARTEC S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】イゴル・ロマーノ
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038311(JP,A)
【文献】特開2005-146267(JP,A)
【文献】特開2007-056084(JP,A)
【文献】特開平06-184475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/42
B65D 81/26-81/28
A01N 25/10-65/36
A01P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマーマトリクス中に分散した抗菌及び/又は抗真菌活性を有する少なくとも1つの活性物質を含む、ポリマー材のコア層、
b)フィロシリケート又はハイドロタルサイトのフィラーを含むラッカー又はポリマー塗料から得られる、該コア層の一面に適用された塗膜、
c)該コア層の他の面に適用された、活性な抗菌又は抗真菌剤の放出のための塗膜であて、
カプセル化エタノール及び
リエチレングリコールでグラフト化したキトサ
含む、塗膜
を含む、包装材。
【請求項2】
d)前記塗膜c)に適用された酸素捕捉塗膜
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記塗膜c)又は前記塗膜d)に適用される、抗菌及び/又は抗真菌活性を有する活性物質を含むポリマー塗膜を含む、請求項1又は請求項2に記載の包装材。
【請求項4】
前記コア層a)において、活性物質が、キトサン、アルギン酸又はアルギン酸塩、グレープフルーツ種子抽出物、レモンピール精油又はリモネン、ティーツリー油、シナモン油、タイム油、カプセル化エタノール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項5】
前記活性物質が、前記層中に、ポリマーの重量に基づき、1~30重量%の量で含まれていることを特徴とする、請求項4に記載の包装材。
【請求項6】
前記コア層が、5μmと80μmとの間からなる厚さを有する、フィルム又はシートである、請求項1~5のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項7】
前記コア層a)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマー、ポリエステル、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシアルカノアート及びポリカプロラクトンからなる群から選択されるポリマー又はポリマーの混合物を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項8】
塗膜b)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアクリラート、ニトロセルロール及びビニルポリマーから選択され、及び塗料又はラッカーの重量を参照して、3~30重量%の量でモントモリロナイト又はハイドロタルサイトを含むポリマーを含む塗料又はラッカーから得られる、請求項1~7のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項9】
前記塗膜b)が、0.4g/mより大きく及び3g/mより小さい重量を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項10】
前記塗膜c)が、40~60重量%の量でポリエチレングリコールでグラフト化したキトサン、1~6重量%の量でカプセル化エタノール、及び有機溶媒又は水を含むハイドロゲルを適用することにより得られる、請求項1~9のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項11】
前記有機溶媒が、酢酸アセチル、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の包装材。
【請求項12】
前記塗膜c)が、0.5と4g/mとの間の重量を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項13】
前記塗膜d)が、水中又は溶媒中で、ポリウレタン、ポリアクリラート又はポリエステルから選択されるポリマーを含むポリマーラッカーから得られることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1つに記載の包装材。
【請求項14】
前記塗膜d)が、0.3と4g/mとの間の重量を有することを特徴とする、請求項2に記載の包装材。
【請求項15】
前記塗膜e)が、水中又は溶媒中で、ポリウレタン、ポリアクリル又はポリエステルポリマーを含むポリマーラッカー、キトサン、アルギン酸又はアルギン酸塩、グレープフルーツ種子抽出物、レモンピール又はリモネン精油、ティーツリー油、シナモン油、タイム油、カプセル化エタノール及びそれらの混合物からなる群から選択される活性物質を、該ポリマーラッカーの重量を参照して、15~60重量%の量で適用することにより得られることを特徴とする、請求項3に記載の包装材。
【請求項16】
前記塗膜e)が、0.5と4.5g/mとの間の重量を有することを特徴とする、請求項15に記載の包装材。
【請求項17】
ベーカリー製品を包装するための、請求項1~16のいずれか1つに記載の包装材の使用。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1つに記載の包装材からなり及びベーカリー製品を含む包装を含む、密封包装。
【請求項19】
フローパックの形態にある、請求項18に記載の密封包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌及び抗真菌性、特にカビの成長を抑制する性質を有する、食品のための包装材に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、その中に包装されている食品の表面上の微生物の成長を抑制することが可能な、『活性な』包装システムにおける使用のための、フィルム又はシートの形態の材料に関する。
【背景技術】
【0003】
活性な包装システムに関して、韓国特許第20160067375号では、抗菌性添加剤として、フィルムに詰められた食品の細菌による分解を抑制することが可能な、ブドウ種子抽出物、ショウガ抽出物、及びキハダ樹皮から選択される植物抽出物を含む抗菌性フィルムについて述べられている。
【0004】
国際公開第2010057658号では、チモール、レモン抽出物及びリゾチームから選択される、抗菌活性を有する物質を含む、LDPE、PLA又はPCLといった熱可塑性材料のフィルムの製造のための方法について述べられている。
【0005】
米国特許第2008220036号では、天然精油、例えば、リナロール、メチルチャビィ、ゲラニオール、シトラール、ケイヒ酸メチル、メチルオイゲノール、1,8-シネオール、トランス-アルファ-ベルガモテン、カルバクロール、及びチモール、の混合物を含み、ポリマー、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリアクリラート、イオノマー、ポリアミド及び他の親水性ポリマーと混合した又は部分的に添加物を固定することが可能な官能基を有する塗膜を含む、食品包装材について述べられており、該塗膜は食品包装フィルムに適用されている又はそうしたフィルムに組み入れられている。PEGのような結合剤を、製造工程の間の揮発油の保持を向上させるために、混合物に添加してもよい。
【0006】
本発明の目的は、食品が包装材と近接して接触している場合、及び食品とかかる材料とにより形成された包装との間にヘッドスペースが存在する場合、のいずれの場合においても、食品上の微生物、菌類及びカビを抑制し又はその成長を実質的に遅らせることが可能な、活性な包装の製造のための改良された包装フィルムを提供することである。
【発明の概要】
【0007】
前記目的に鑑み、本発明の目的は、後続の請求項で定められる特徴を有する包装材である。
【0008】
本発明の他の目的は、前記包装材を使用して製造した又は前記包装材を含む、食品、特にベーカリー製品、を含む包装である。
【0009】
本発明による包装材は、以下のものを含む:
a)ポリマーマトリクス中に分散した抗菌及び/又は抗真菌活性を有する活性物質を含む、ポリマー材のコア層、
b)フィロシリケート又はハイドロタルサイトのナノフィラーを含むラッカー又はポリマー塗料から得られる、該コア層の一面に適用された塗膜、及び
c)カプセル化エタノール及びポリエチレングリコール又はシクロデキストリンでグラフト化したキトサン、キトサンとポリエチレングリコールとの混合物、及び印刷可能な塗料のためのポリマ―又はポリマーの混合物から選択されるポリマー成分、を含む、活性な抗菌又は抗真菌剤の放出のための、該コア層の他の面に適用された塗膜。
【0010】
好ましい実施形態において、前記包装材は、以下のさらなる塗膜層の1つ又はいずれも含んでいてよい:
d)前記塗膜層c)に適用された酸素捕捉塗膜、及び/又は
e)前記塗膜層c)に、又は塗膜層d)に適用された、前記a)タイプの抗菌及び/又は抗真菌活性を有する活性物質を含む、ポリマー塗膜。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図において:
図1図1は、本発明による包装材の3層構造の略図であり、
図2図2は、図1中のa、b及びcに加え、連続した又は不連続のいずれかのタイプe)のさらなる塗膜を含む、4層構造を含む包装材の1つの実施形態の略図であり、
図3図3は、図1中のa、b及びcに加え、連続した又は不連続のいずれかのさらなる塗膜dを含む、4層を含む構造の包装材の他の実施形態の略図であり、
図4図4は、図1中のa、b及びcに加え、代わりの塗膜材d及びeにより形成されるさらなる塗膜を含む、4層構造の包装材の1つの実施形態の略図であり、及び
図5図5は、シクロデキストリン(A)で及びPEG(B)でグラフト化したキトサンを調製するための方法の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、食品のための包装材に関するもので、特にベーカリー製品の包装に関して、要すれば中身を含め、特に微生物学的及び官能特性の劣化に関して、それらの品質保持期間を延長するために発展させたものである。
【0013】
特に、本発明は、例えばフローパックタイプの(欧州特許出願公開第0957043号参照)ホット又はコールドシーリング帯を有する単一の密封包装シートから得られる、又は他方(複数あり)に溶着した2つ以上の包装シートから得られる、密封包装の製造のためのフィルム又はシートの形態の包装材に関する。
【0014】
しかしながら、フィルム又はシートの形態の包装材は、例えばFFS(フォーム、フィル、シール)容器の生産のためにフィルム又はシートを熱成型可能な基材に適用することにより、熱成型包装又は容器の製造にもまた適用することができる。
【0015】
溶着領域、すなわちシート又は包装シートが重なり溶着している端部の領域においてホット又はコールドシーリング材を要する前記タイプの密封包装に対し、本明細書で述べる包装材の層構造は、包装内で食品と面している又は接触しているようにみえるフィルム又はシートの領域に適用されることを目的としている。
【0016】
言い換えれば、本明細書中に与えられる、多層構造を有し、活性な塗料を含むフィルム又はシート包装材の定義は、その全体の平面的拡張にわたり、均一なフィルム又はシート材を暗示するものではなく、それゆえ、かかる多層構造が、包装の溶着領域において必ず存在しなければならないというものではないと解される。
【0017】
図に関して、図1は、下記で詳細に説明する、層a)、b)及びc)を含む、多層フィルム又はシートの構造を示す。
【0018】
添付の図中、asで示される活性物質を含むコア層a)は、包装材の機械的性質を決定する構造上の層を構成する。参照as、例えば、as、as...、は添付の図中、1つ以上の活性物質の存在を示し、単一の活性物質又は異なる化学的性質の活性物質の混合物の使用が本発明の範囲に含まれる。
【0019】
それは、単層フィルム又は好ましくは、厚い主要層と主要層の一面又は両面上の薄い表面層とを含む共押出フィルムであってよく、適合されて、例えば、溶着性又は印刷性を有するといったさらなる機能を実行する。前記薄い共押出層は、いずれの場合においてもまた活性物質を含んでいてよいが、主要層に含まれる活性物質の放出を妨げるものであってはならないと解される。
【0020】
前記コア層フィルムは、従来型の発泡押出法(フィルム吹込)又は可能な二軸配向でのキャスト押出により得ることができる。
【0021】
前記フィルムは、抗酸化剤(例えば、Irganox(登録商標)、Irgafos(登録商標))、抗核剤及びプラスチックに従来から使用されている滑り剤を含んでいてよい。
【0022】
さらに、前記コア層は共押出フィルムの結合、例えば、共押出ポリプロピレンと共押出、二軸配向ポリエチレンテレフタレートとの結合であってもよい。
【0023】
前記コア層a)は、包装アプリケーションにおいて外側に向けられることとなる表面上に、高真空金属化法、例えばアルミニウム蒸着により得られる金属化塗膜をさらに含んでいてよい。
【0024】
コア層という用語は、それゆえ、厚い層のうちの1つに、少なくとも抗菌及び/抗真菌機能を有する活性物質が組み入れられている多層構造を、その範囲に含む。
【0025】
前記コア層のポリマー材は、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、ポリエステル及び分解性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、例えば、ポリヒドロキシブチラート(PHB)及びポリカプロラクトン(PCL)から選択することができる。
【0026】
ポリマーマトリクス中に分散した活性物質asは、精油及びそれらの成分、植物抽出物、多糖類、例えば、アルギン酸塩及びキトサン、カプセル化エタノール及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。活性物質は、それゆえ、先行技術に関して、前記の物質を含んでいてもよい。
【0027】
活性物質は、好ましくは以下のもの及びそれらの混合物から選択される:
・キトサン:キトサンは、ベータ結合(1-4)により結合した、D-グルコサミン及びN-アセチル-D-グルコサミンからなる鎖状の多糖類である。その抗菌及び抗真菌性が知られている、
・アルギン酸及びアルギン酸塩、
・グレープフルーツ種子抽出物(又はシトラス種子抽出物):グレープフルーツの種子、樹木及び白膜由来の液体抽出物である。フラバノン、ナリンジン及びヘスペリジンを含む、天然の抗菌剤として知られている、
・レモンピール精油:主にリモネンを含む液体抽出物である、
・ティーツリー油(Melaleuca alternifolia油):ティーツリーから蒸留される精油であり、その消毒、抗真菌、抗菌及び抗ウィルス性が知られており、その主な活性成分は、テルピネン-4-オールである(およそ40%)、
・シナモン油:主成分(およそ36%)としてリナロールを含むシナモンの葉から得られる液体抽出物、
・タイム油及びそれらの主成分、例えば、チモール、p-シメン、エストラゴール、リナロール及びカルバクロール、
・カプセル化エタノール:コア層構造中のエタノールは、粉末の形態で使用され、好ましくは噴霧乾燥法によりカプセル化される。カプセル化する皮膜は、またマルトデキストリン(多糖類)(CAS number 9050-36-6)として知られる、デキストリンベースのものであることができ、マルトデキストリンはトウモロコシから部分的加水分解により製造される、ガスで乾燥させた白色粉末して市販の物質である。方法は、デキストリンとエタノールとの混合物の調製、該混合物が小さい液滴/顆粒に変換されるようにするための単発の噴霧乾燥の適用を含み、加熱を通じて、デキストリンが外部皮膜を形成する。本方法の終わりには、液滴/顆粒に含まれるアルコールは40%にまで到達することが可能である。しかしながら、カプセル化生成物が経時的にエタノール蒸気を放出することが可能である限りにおいては、他のカプセル化手法、例えばシクロデキストリン中で検討してもよい。
【0028】
ポリマーマトリクス中に分散している活性物質は、使用される物質に応じて幅広く変更することができ、固体物質、例えば、キトサン及びアルギン/アルギン酸塩酸については、一般的に、ポリマーの重量に基づき、1重量%~30重量%の量を使用することができる。
【0029】
液体抽出物又は精油については、ポリマーの重量に基づき、0.2重量%~4重量%の量が好ましくは使用される。
【0030】
活性物質又は活性物質の混合物は、既知の化合物押出法により、押出方法で、ポリマーマトリクス中に組み入れられる。
【0031】
典型的には、前記コア層は、5μmと80μmとの間の厚さを有する、フィルム又はシートである。
【0032】
塗膜b)は、酸素バリア性を有する、好ましくは23℃、相対湿度0%で一日当たり0.2cc/mより小さい酸素透過速度を有する塗膜である。包装材の実際の適用においては、前記コア層の表面に適用されたこの塗膜は包装の外側に、すなわち、その中にある食品とは反対側に向けられることとなる。
【0033】
前記塗膜は、ラッカー又は塗料の重量に基づき、好ましくは3重量%~30重量%の量でフィロシリケート(ナノ粘土)又はハイドロタルサイトのフィラー又はナノフィラーを含む、ポリマーのニス又はラッカーを、溶媒中で又は溶媒なしで、使用することにより得ることができる。1μm未満のサイズのモントリモリロナイトフィラーの使用が好ましい。このラッカー又は塗料は、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアクリラート、ニトロセルロース及びビニルポリマーから選択されるポリマー成分を、一般的に18重量%~28重量%の量で含み、液体成分は、水、酢酸エチル、イソプロピルアルコール又は酢酸エチル又はそれらの混合物であってよい。又は代わりに、前記フィラーを含む又は含まないビニルアルコールポリエチレン塗膜を使用してもよい。
【0034】
本明細書で使用される用語『ナノ』は、1~1000nm、好ましくは1~100nmの範囲の最大寸法を参照する。
【0035】
典型的には、前記バリア層は、0.4g/mより大きく、及び3.0g/mよりも小さい、より好ましくは2.5g/mよりも小さい重量(乾燥残留物)を有する。
【0036】
前記塗膜は、種々の方法、例えば、フレキソ印刷、ロトグラビア印刷又は他の公知のフィルム塗工法を使用してコア層の表面に適用することができ、塗膜は、溶着が行われることとなるコア層の領域の可能な排除とともに、包装の外側に面することを目的として、コア層の表面に適用される。
【0037】
塗布される表面は、また代わりに金属化(酸化アルミニウム及び/又は酸化ケイ素)することもできる。
【0038】
前記の層b)は、熱帯条件(38℃、相対湿度90%)において、15g/m×24時間×気圧を下回る値に達することが可能な透過速度で、十分なレべルの水蒸気バリアを達成することがまた可能である。
【0039】
特に、酸素バリア層は、周辺酸素、すなわち、包装外部のもの、の反射作用、並びに包装内部の酸素の反射作用を行使することができ、コア層の活性物質中に存在する揮発性及び半揮発性の活性化合物を包装のヘッドスペースに持ってこさせる。
【0040】
また活性塗膜又は開放層とも称される、塗膜c)は、酸素バリア塗膜b)に関して反対側にコア層に適用される。
【0041】
1つの実施形態において、塗膜c)は、ポリエチレングリコール又はシクロデキストリンでグラフト化したキトサンを含み、及び好ましくはキトサン中に分散したカプセル化エタノールを含む塗膜であってよい。
【0042】
PEG又はシクロデキストリンでグラフト化したキトサンは、文献に公知の、例えば、E.V.R. Campos et al. in Front Chem. 2017, 5:93 (Doi:10.3389/F. Chem 2017.00093)により記載されている方法、及びその中に引用されている文献に記載されている方法により得ることができる。
【0043】
本発明の1つの態様によると、塗膜c)は、ポリエチレングリコール又はシクロデキストリンでグラフト化したキトサンを含むヒドロゲルを、例えば、40重量%~60重量%の量で、カプセル化エタノールを、例えば、1重量%~6重量%の量で及び水を適用することにより得られる。
【0044】
他の実施形態において、塗膜c)は、カプセル化エタノール及びポリエチレングリコールとキトサンとの混合物を含み、この塗膜は、キトサン、PEG及びカプセル化エタノールを溶媒、例えば、例えば、酢酸アセチル、酢酸エチル又はイソプロピルアルコール中で適用することにより得られ、水溶液をまた使用することができる。
【0045】
この塗膜c)は、酢酸を、例えば2重量%、及び界面活性剤を3重量%までまた含むことができる。好ましい界面活性剤は、ソルビタンのモル当たり、300モル未満のエチレンオキシドのエチレンオキシドのモル量を有するソルビタンエトキシラートである。
【0046】
例として、次の印刷可能な塗料組成物を使用することができる:
i) キトサン:25重量%
PEG:25重量%
マルトデキストリンカプセル化エタノール:1重量%
酢酸アセチルベースの溶媒:50重量%、
又は
ii)キトサン(90%脱アセチル化):15重量%
PEG:30重量%
カプセル化エタノール:2重量%
溶媒:51重量%の酢酸エチル又はイソプロピルアルコール又は水。
【0047】
一般的に、PEG及びキトサンの全量は、40重量%~60重量%であり、カプセル化エタノールの量は、1重量%~6重量%である。
【0048】
好ましくは、式(C6H11O4N)nを有する使用したキトサンは、40kDa~250kDaの分子量及び種々の脱アセチル化度及び粘度を有する。
【0049】
使用したPEGは、好ましくは50℃で35mm/s(DIN 51562)より大きい粘度、20000g/モル未満及び好ましくは1000g/モル未満(DIN 53240)の分子量とともに60℃未満の融点を有する。
【0050】
塗膜c)を得るための他の実施形態において、好ましくは1~6重量%のカプセル化エタノール、非常に好ましくはポリマーマトリクス中(例えば、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル又はポリアクリラート)に5重量%を、好ましくは25~30%のポリマー及び75~80%の溶媒、例えば酢酸エチル又は多数の溶媒の混合物で含む、カプセル化エタノール、特に従来から液体ロトグラビアインクを印刷するのに使用されている塗料を含む印刷可能な塗料(印刷のために使用することができる塗料)を使用することが可能である。
【0051】
前記印刷可能な塗料のポリマーマトリクス中に含むことができる他の好適なポリマーは、以下のものを含む:天然樹脂、例えば、シェラック、マスチック、ポリエステル、多糖類、例えば、キトサン、ペクチン、タンパク質、エポキシ樹脂、ポリヒドロキシアルカノアート(PHB及びPHBHを含むPHA)、ポリビニルブチラール(PVB)、EVOH及びそれらの混合物。
【0052】
前記組成物は、例えばらせん型シリンダー及びロトグラビア印刷による塗工により、前記コア層のフィルムに適用することができる。
【0053】
塗膜c)の重量は、好ましくは0.5g/mより大きく及び、好ましくは、4g/mより小さい。
【0054】
塗膜c)は、温度及びラッカーそれ自体のpHとまた関連しているコア層中での酸素浸透ダイナミクスのために、ヘッドスペース中の活性剤の放出のために活性化されている。
【0055】
任意選択的な塗膜d)(図3参照)は、本発明による包装材で製造された包装のヘッドスペース中の酸素の濃度を減少させるために適合された酸素捕捉活性を有する塗膜である。
【0056】
出願人により行われた試験に基づくと、包装の抗菌効果を向上させるためには、必ずしもヘッドスペース中の酸素濃度の実質的減少を達成する必要はないが、その濃度の減少的摂動を発生させる必要があり、それゆえ、それによりコア層a)及び/又は活性な開放塗膜c)から放出される活性物質の揺動運動が活性化される。例えば、それは、ヘッドスペースのその最初の体積と比較して、たった3%の酸素の取り込みを引き起こすのに十分なものである。
【0057】
こうした理由から、塗膜d)の性質は特に重要ではなく、食料の接触と相性のよいものであれば、種々の溶液を採用することができる。
【0058】
1つの実施形態において、塗膜d)は、鉄又は酸化鉄ナノフィラーを含むラッカーを適用することにより得ることができる。包装フィルムのための酸素捕捉機能を有する塗膜は、例えば、欧州特許第2414436号及び米国特許第2009/0117389号に述べられており、その記載は参照により本明細書に組み入れられているよう、解することができる。鉄又はコバルトともに、少なくとも1つの不飽和エチルモノマー(例えば、ポリイソブチレン)のポリマー又はコポリマーを含むポリマー塗膜をまた使用してもよい。
【0059】
ポリウレタン、ポリアクリル又はポリエステルのポリマーマトリクス中に鉄又は酸化鉄のナノフィラーを含むポリマーラッカーをまた使用してもよい。
【0060】
他の実施形態において、(例えば、例えば、酵素MYcカタラーゼを含む)酵素性の脱酸化活性を有する塗膜を使用してもよい。
【0061】
1つの実施形態例において、以下を含むラッカー:
-以下を伴う、溶媒ベース塗料中、1~7%の鉄
・58%~86%の量で有機担体(溶媒)(例えば、酢酸エチル)とともに、13~35%のポリマー、例えば、ニトロセルロース、酢酸ビニル、ポリエステル、ポリウレタン
をまた使用してもよい。
【0062】
もちろん、滑り剤及び安定剤をこのラッカー、例えば、イソシアナートに、一般に2%未満のパーセンテージでまた使用してもよい。
【0063】
同様の処方は、鉄をアスコルビン酸ナトリウムと置換することにより、使用することができる。有機溶媒ではなく水で前記のものと同様の処方を有する水性ラッカーが、また検討される。
【0064】
この塗膜は、0.3g/mより大きく及び一般的に4g/mより小さい重量を有することができる。
【0065】
図3に示すように、塗膜dは、塗膜cを覆う(図3中の破線参照)、連続した塗膜であってよく又は塗膜cの領域を覆っていないものとするために、離れて置かれた片に適用されてもよい。
【0066】
任意選択的な塗膜e)(図2及び4)は、asで示される、抗真菌性又は抗菌性の活性物質を含む塗膜であり、前記コア層のそれと同様の特徴を有するが、好ましくは一般的に0.5g/mと4.5g/mとの間からなる重量を有する。図2及び4中の参照asは、単一の活性物質又は混合物のあり得る使用を検討するために使用している。塗膜はポリウレタン、ポリアクリル又はポリエステルポリマーを含むラッカーを水中又は溶媒中で、好ましくは45%未満の乾燥パーセンテージで調製することにより得ることができる。
【0067】
前記コア層のための前記のものから選択される活性物質の量は、一般的に15%と60%との間であり、
例:溶媒55重量%
活性物質:35重量%
ポリマー:10重量%
【0068】
図2に示すように、塗膜e)は、塗膜c)を覆う(図2中の破線参照)、連続した膜であってよく又は塗膜cの領域を覆っていないものとするために、離れて置かれた片に応じて適用されてもよい。
【0069】
図4の実施形態において、塗膜cに適用された、さらなる塗膜が、塗膜d及びeを適用することにより得られる別の片により形成される。
【0070】
実施形態例
以降の実施例は、本発明の好ましい実施形態を参照する。
【0071】
コア層a)の調製
コア層a)の調製について、最も好ましい材料は、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)ポリマー及びコポリマー、特にポリヒドロキシブチラート、又はポリプロピレンを含む。活性剤は、好ましくはグレープフルーツ種子抽出物(要すれば固形のナリンジン活性剤と併せて)、キトサン及び/又はアルギン酸塩及びそれらの混合物及び/又はカプセル化エタノールから選択される。
【実施例1】
【0072】
実施例1:コア層の調製
コア層は、共押出法により、活性剤を溶融ポリマー中で混合することにより、得られる。
【0073】
次のものが使用される:
PCLポリマー:83重量%
活性物質:
レモンピール精油:2重量%
キトサン(90%脱アセチル化度):15重量%
【0074】
25μmの厚さを有する、融点およそ200℃のフィルムが得られ、封入開始温度(SIT):70℃。
【実施例2】
【0075】
実施例2
前記調製方法を、PCLの代わりにポリヒドロキシブチラートを使用して、繰り返す。
【実施例3】
【0076】
実施例3
実施例1の手順を、PCLの代わりにポリプロピレンを使用して、繰り返す。
【実施例4】
【0077】
実施例4:酸素バリア塗膜b)の調製
バリア層の調製のために、0.6ミクロン×1.4ミクロン未満の最大サイズを有する(二次元)ラメラ粒子中、30重量%のモントモリロナイト(Na,Ca)0.3(Al,Mg)2Si4O10(OH)2・n(H2O)を含む、ポリウレタンベースの組成物を使用する。
【0078】
前記組成物をフレキソグラフィック及びロトグラビア印刷法により前記コア層の一面に適用して、硬化の後、塗膜厚さ2.2ミクロンの、重量2g/mを得る。
【実施例5】
【0079】
実施例5:開放塗膜c)の調製
この塗膜には、以下のものを含む組成物を使用する:
PEGでグラフト化したキトサン:25重量%
PEG:25重量%
カプセル化エタノール:1重量%
酢酸アセチルベースの溶媒:50重量%
【0080】
組成物を、厚さ2.8ミクロン、残重量2.5g/mの実施例4より得たフィルムのコア層の表面に、らせん型シリンダー及びロートグラビア印刷により延伸することにより、適用する。
【実施例6】
【0081】
実施例6
酸素捕捉活性を有する塗膜の調製
この塗膜には、5重量%の鉄ナノ粒子及びポリ酢酸ビニル(65重量%)を含む、水性ラッカーを使用する。
【実施例7】
【0082】
実施例7(比較)
23μmのポリプロピレンホモポリマーの主要層及び密封性を与える、各々1.5μmのポリプロピレンコポリマーの2つの外層を有する、26μmの二軸配向共押出ポリプロピレン包装フィルム。
【0083】
フィルムの密度は23.7g/mの重量で0.91であり封入開始溶着温度(SIT)は95℃で50m/minである。
【0084】
透過特性は、以下のとおりである:
WVTR 6g/m2×24h 90%RH、38℃、
O2TR 2000cc/m2×24h×atm 0%RH、23℃、
O2TR 3500cc/m2×24h×atm 60%RH、38℃。
【実施例8】
【0085】
実施例8(比較)
実施例7の共押出二軸配向ポリプロピレンフィルムを含む包装フィルムであって、包装の外側に向けられることを意図されているその表面を、50オングストロームを上回る程度で酸化によるアルミニウム蒸着で、高真空金属化法により、金属化する。フィルムをさらに別の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(内部に印刷された、厚さ12μmの共押出BOPET)と結合する。多層フィルムは、PPについては0.91及びPETについては1.34の密度で、及びインクについては39.74g/mプラス5g/mの重量で、接着剤及び印刷インクを含め、全体で厚さ43μmを有する。
【0086】
透過特性は、以下のとおりである:
WVTR 0.5g/m2×24h 90%RH、38℃、
O2TR 50cc/m2×24h×atm 0%RH、23℃、
O2TR 100cc/m2×24h×atm 60%RH、38℃。
【実施例9】
【0087】
実施例9(比較)
二軸配向PPフィルムの共押出工程の間、同じ重量の10重量%のキトサン及び3重量%のアルギン酸塩が、ホモポリマーと混合したPP層及びPPコポリマーと滑走剤との内層のいずれにも含まれている、実施例8の包装フィルム。最終重量は、50m/min、SIT130℃で46g/mである。
【0088】
透過特性は、以下のとおりである:
WVTR 0.5g/m2×24h 90%RH、38℃、
O2TR 45cc/m2×24h×atm 0%RH、23℃、
O2TR 95cc/m2×24h×atm 60%RH、38℃。
【実施例10】
【0089】
実施例10(比較)
以下のものを含む包装フィルム:
・10重量%のキトサンと3重量%のアルギン酸塩とを含む、厚さ30μmのPHBHフィルム(3-ヒドロキシブチラート及び3-ヒドロキシヘキサノアートコポリマー)
・実施例4の、重量2g/mの外側のバリアラッカー
【0090】
フィルムは、外側のバリア層の適用のために、80℃のSITを有し、金属化する必要もPETと結合する必要もない。
【0091】
透過特性は、以下のとおりである:
WVTR 2g/m2×24h 90%RH、38℃、
O2TR 0.01cc/m2×24h×atm 0%RH、23℃、
O2TR 0.08cc/m2×24h×atm 60%RH、38℃。
【実施例11】
【0092】
実施例11
以下のものからなる包装フィルム:
・10重量%のキトサン、3重量%のアルギン酸塩及び3重量%のカプセル化エタノールを含む、PHBHフィルム、
・実施例4の、重量2g/mの、外側のバリアラッカー、及び
・カプセル化エタノール及び実施例5の重量3.5g/mの、PEGでグラフト化したキトサンを含む、内側の開放塗膜。
【0093】
フローパック包装の調製においては、内部の開放塗膜は溶着部分に重っていないシートの領域においてのみ適用されている。
【0094】
このフィルムは、次の透過特性とともに実施例10のフィルムの溶着特性を保持している:
WVTR 1.8g/m2×24h 90%RH、38℃、
O2TR 0.01cc/m2×24h×atm 0%RH、23℃、
O2TR 0.06cc/m2×24h×atm 60%RH、38℃。
【実施例12】
【0095】
実施例12
次のラッカーを非溶着領域で実施例11の包装フィルムに追加する:
・実施例6の酸素捕捉活性を有するラッカー、重量3.5g/m
・フィルムそれ自体に使用したものと同じ活性物質の混合物を含むラッカー、重量3g/m
【0096】
このシステムは、次の透過特性とともに実施例10の溶着特性を保持する:
WVTR 1.6g/m2×24h 90%RH、38℃、
O2TR 0.01cc/m2×24h×atm 0%RH、23℃、
O2TR 0.04cc/m2×24h×atm 60%RH、38℃。
【0097】
PP又はPET材のような、PHA材料は、海洋環境においては生分解性の他の材料と結合することができ、さらにカビを抑制し及びこのシステムの方法が提供する品質保持期間を延長する能力を保持する。
【0098】
さらなるラッカー又は塗膜は、包装の特定の(溶着していない)領域のみに位置することを避けるために、また溶着(ヒート又はコールドシーリング)しているものであることができ、それゆえ溶着及び品質保持期間の延長といった2つの機能を有することができる。
【0099】
保存試験
前記実施例の包装フィルムの使用とともに、端部で縦横に溶着した、寸法155×160mmの単一シートで作製したフローパック包装を用意した:
有効包装体積:240cm
【0100】
フローパック包装に、0.7より大きい水分活性(aW)を有する、重さ25g(体積90cm)の一切れのパンを入れた。
【0101】
ヘッドスペース体積:150cm
【0102】
包装を室温で相対湿度60%の環境に置いた。
【0103】
次のパラメータを決定した:
・重量損失:一月後の包装の重量損失(初期重量を参照してのパーセンテージ)、
・接触によるカビ抑制日数:パンと包装シートとの間の接触領域におけるカビ抑制日数、成長したカビは、アスペルギルス、青カビ及びワレミアを含む、ミアを含む、
・ヘッドスペースによるカビ抑制日数:ヘッドスペースと接触しているパンの領域におけるカビ形成の抑制の日数、
・官能特性を有する日数:最初の官能特性の保持の維持日数、テイスターパネルによる決定。
【0104】
結果を表1にまとめ、3つのサンプルについて得られた、前記パラメータの平均値を示す。表は、また以下のパラメータを示す:
WVTR:水蒸気透過速度(g/m×24h 90%RH、38℃、)
O2TR:酸素浸透速度(cc/m×24h×atm 0%RH、23℃)、
負荷O2TR:酸素浸透速度(cc/m×24h×atm 60%RH、38℃)、
【0105】
実施例7のフィルムから得られた包装は、一月後平均0.5%の重量損失を示し、パンを外部の香りの吸収及び内部の香りの損失から保存することは不可能である。一月後平均0.5%の重量損失を記録した。カビの存在は、およそ30日で、フィルムとの接触領域及び非接触領域(ヘッドスペース)のいずれにおいても生じた。
【0106】
実施例8のフィルムで製造した包装については、一月後平均0.2%の重量損失が測定された。カビの存在は、およそ40日後に、接触領域及び非接触領域のいずれにおいても生じた。
【0107】
実施例9のフィルムから得られた包装については、実質的に実施例8の包装のそれに相当する平均重量損失が測定された、しかしながら、包装フィルムと製品とに接触がある領域においては、カビは60日間、及び非接触領域においては40日間、成長がみられなかった。
【0108】
実施例10のフィルムで製造した包装については、一月後平均0.35%の重量損失があり、接触領域においては、カビの存在は70日後に、非接触領域においては、45日後に生じた。
【0109】
実施例11のフィルムで製造した包装については、一月後平均0.30%の重量損失があり、接触領域においては、80日後に及び非接触領域においては50日後にカビが存在した。
【0110】
実施例12のフィルムで製造した包装については、一月後平均0.25%の重量損失があり、接触領域においては、80日後に及び非接触領域においては60日後にカビが存在した。
【0111】
食品が揮発性物質を吸収し捕捉するということと併せて、フローパックのヘッドスペース中の揮発性物質の存在は、カビを抑制する性質を有する揮発性物質と関連付いた密封フローパック内につくられたヘッドスぺース系における活性と同義である。これにより菌類及びカビに並びに経時的単純接触に積極的な作用を及ぼすことが確実となる。
【0112】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5