(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、その制御方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/24 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A61L2/24
(21)【出願番号】P 2019131399
(22)【出願日】2019-07-16
【審査請求日】2022-07-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古澤 幹礼
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-508053(JP,A)
【文献】特表2007-516026(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145825(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0187586(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価するシステムであって、
前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程
とを有し、
前記システムは、
前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる
前記滅菌処理に関する基本
登録情報
であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに登録する登録手段と、
前記滅菌ワークフローの
前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに取得して、拠点ごとの前記基本
登録情報に関連付けて蓄積する蓄積手段と、
前記システムの利用者によ
り評価対象の拠点
が指定されたことに従って、前記蓄積手段に蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録手段に登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化する評価手段と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記評価手段は
、所定の期間ごとに評価を行うことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記
評価手段は、前
記評価結果を、所定の期間ごとに時系列に提供することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
評価手段は、前記評価結果を表示する第1ユーザインタフェースを、前記利用者が使用する装置の表示部に表示させることを特徴とする請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1ユーザインタフェースでは、表形式、折れ線グラフ、及びレーダーチャートの少なくとも1つの形式へ前記評価結果の表示形式を切り替え可能であることを特徴とする請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1ユーザインタフェースでは、所定の期間ごとに時系列に表示された前記評価結果の該所定の期間を切り替え可能であることを特徴とする請求項
4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記評価手段は
、評価
を行うために不足する不足情報があれば、該不足情報を
前記利用者へ要求することを特徴とする請求項
1乃至6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記評価手段は
、評価
を行うために不足する不足情報があれば、前記評価対象の拠点とは異なる他の拠点のうち、該評価対象の拠点に類似する他の拠点の前記管理情報を取得して代用することを特徴とする請求項
1乃至6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記
評価手段は、前記システムの利用者により、異なる拠点の評価結果を比較する複数の比較対象が指定されると、前記複数の比較対象の評価結果を比較可能に提供することを特徴とする請求項
1乃至8の何れか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記
評価手段は、前記システムの利用者により所定の比較対象と類似度とが指定されると、前記所定の比較対象の評価結果と、該所定の比較対象に類似する度合いが指定された前記類似度を超える他の比較対象の評価結果とを比較可能に提供することを特徴とする請求項
1乃至9の何れか1項に記載のシステム。
【請求項11】
比較対象間の前記類似度は、該比較対象間の前記基本
登録情報に含まれる1以上の項目について類似する度合いを用いて取得されることを特徴とする請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記
評価手段は、複数の比較対象の前記評価結果を比較可能に表示する第2ユーザインタフェースを、前記利用者が使用する装置の表示部に表示させることを特徴とする請求項
9乃至11の何れか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記
評価手段は、前記システムの利用者により個人関連情報が要求されると、該利用者に対して使用された前記滅菌対象物に関する評価結果を提供することを特徴とする請求項
1乃至12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記
評価手段は、前記システムの利用者により個人関連情報が要求されると、さらに、該利用者が利用した拠点に関する評価結果を提供することを特徴とする請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記利用者の認証を行う認証手段をさらに備え、
前記
評価手段は、前記利用者のアクセスレベルに応じて提供する情報を制限することを特徴とする請求項
1乃至14の何れか1項に記載のシステム。
【請求項16】
滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価する情報処理装置であって、
前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程
とを有し、
前記情報処理装置は、
前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる
前記滅菌処理に関する基本
登録情報
であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに外部装置から取得して登録する登録手段と、
前記滅菌ワークフローの
前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに外部装置から取得して、拠点ごとの前記基本
登録情報に関連付けて蓄積する蓄積手段と、
外部装置を介して利用者によ
り評価対象の拠点
が指定されたことに従って、前記蓄積手段に蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録手段に登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化するための情報を生成する評価手段と、
前記評価手段による評価結果を可視化するための
前記情報を、前記利用者が使用する外部装置へ提供する提供手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価する情報処理装置の制御方法であって、
前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程
とを有し、
前記制御方法は、
登録手段が、前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる
前記滅菌処理に関する基本
登録情報
であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに外部装置から取得して登録する登録工程と、
蓄積手段が、前記滅菌ワークフローの
前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに外部装置から取得して、拠点ごとの前記基本
登録情報に関連付けて蓄積する蓄積工程と、
評価手段が、外部装置を介して利用者によ
り評価対象の拠点
が指定されたことに従って、前記蓄積工程で蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録工程で登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化するための情報を生成する評価工程と、
提供手段が、前記評価手段による評価結果を可視化するための
前記情報を、前記利用者が使用する外部装置へ提供する提供工程と
を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項18】
滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価する情報処理装置の制御方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程
とを有し、
前記制御方法は、
登録手段が、前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる
前記滅菌処理に関する基本
登録情報
であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに外部装置から取得して登録する登録工程と、
蓄積手段が、前記滅菌ワークフローの
前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに外部装置から取得して、拠点ごとの前記基本
登録情報に関連付けて蓄積する蓄積工程と、
評価手段が、外部装置を介して利用者によ
り評価対象の拠点
が指定されたことに従って、前記蓄積工程で蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録工程で登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化するための情報を生成する評価工程と、
提供手段が、前記評価手段による評価結果を可視化するための
前記情報を、前記利用者が使用する外部装置へ提供する提供工程と
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項19】
滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価するサーバと、該サーバが提供するサービスを利用する利用者端末とを含むシステムであって、
前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程
とを有し、
前記サーバは、
前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる
前記滅菌処理に関する基本
登録情報
であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに外部装置から取得して登録する登録手段と、
前記滅菌ワークフローの
前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに外部装置から取得して、拠点ごとの前記基本
登録情報に関連付けて蓄積する蓄積手段と、
前記利用者端末を介して利用者によ
り評価対象の拠点
が指定されたことに従って、前記蓄積手段に蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録手段に登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化するための情報を生成する評価手段と、
前記評価手段による評価結果を可視化するための
前記情報を、前記利用者端末へ提供する提供手段と
を備え、
前記利用者端末は、
前記評価対象の拠
点を指定する指定手段と、
前記提供手段によって提供された情報を表示部に表示する表示手段と
を備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌対象物の滅菌処理に関する情報処理装置、その制御方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、医療器具などの滅菌対象物の滅菌処理を感染対策として行っている。この際、滅菌処理の達成度を判定するため、ケミカルインジケータ(以下、CI)、バイオロジカルインジケータ(以下、BI)、及び物理的インジケータ等の、所謂、滅菌用インジケータが使用されている。CIは、滅菌剤(蒸気や過酸化水素等)による滅菌処理に必要な条件の達成度に応じて変色する変色領域を有する。滅菌処理後のCIの変色領域の色により滅菌処理の達成度を判定することができる。BIは、滅菌剤に対して抵抗が強い指標菌を有しており、滅菌処理に必要な条件の達成度に応じて指標菌が死滅する。滅菌処理後、BIを培養して指標菌の存在を確認することで滅菌処理の達成度を判定することができる。物理的インジケータは、滅菌処理装置の動作記録であり、動作ごとに運転状況が監視され記録される。これにより目的の動作が達成できたか否かを判断することができる。特許文献1は、滅菌処理の記録を管理する管理装置を提案している。具体的には、管理装置では、滅菌対象物に対する滅菌処理の日時、滅菌条件、及びCIの判定結果を記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する問題がある。例えば、上記従来技術では、単に滅菌処理に関わるパラメータを記録しているものの、それらの記録を活用して滅菌処理の品質評価やそのフィードバックによる滅菌処理やシステムの改善についてまでは十分な検討がされていない。しかし、滅菌処理は種々の工程を含んで多くの人員が関わって達成されており、各工程において人為的なミスや装置の故障など様々な要因によって不具合が発生しうるものである。不具合によっては、滅菌対象物における安全性に問題が生じる可能性もあり、可能な限りこのような不具合を低減することが求められている。また、各医療機関や関連施設において、様々な手法による滅菌処理が行われており、それらの客観的かつ定量的な評価も求められている。例えば、医療機関等は、より良い滅菌処理システムを導入するために、或いは、より良い滅菌処理システムへ改善するために、それらの評価を利用することができる。また、患者側にとっては医療機関等を選択する判断材料としてそれらの評価を利用することができる。
【0005】
本発明は、上述の問題の少なくとも一つに鑑みて成されたものであり、例えば、滅菌処理システムにおける品質評価を好適に行う仕組みを提供する。また、他の目的として、当該品質評価や関連するパラメータを必要に応じて好適に提供することを目的とする。また、複数の滅菌処理システムにおける品質評価や関連するパラメータを比較可能に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価するシステムであって、前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程とを有し、前記システムは、前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる前記滅菌処理に関する基本登録情報であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに登録する登録手段と、前記滅菌ワークフローの前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに取得して、拠点ごとの前記基本登録情報に関連付けて蓄積する蓄積手段と、前記システムの利用者により評価対象の拠点が指定されたことに従って、前記蓄積手段に蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録手段に登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化する評価手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、例えば、滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価する情報処理装置であって、前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程とを有し、前記情報処理装置は、前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる前記滅菌処理に関する基本登録情報であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに外部装置から取得して登録する登録手段と、前記滅菌ワークフローの前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに外部装置から取得して、拠点ごとの前記基本登録情報に関連付けて蓄積する蓄積手段と、外部装置を介して利用者により評価対象の拠点が指定されたことに従って、前記蓄積手段に蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録手段に登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化するための情報を生成する評価手段と、前記評価手段による評価結果を可視化するための前記情報を、前記利用者が使用する外部装置へ提供する提供手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、例えば、滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価するサーバと、該サーバが提供するサービスを利用する利用者端末とを含むシステムであって、前記滅菌ワークフローは、1つ以上の前記滅菌対象物をグループ化する組立工程と、前記1つ以上の前記滅菌対象物を包装してセットを形成する包装工程と、滅菌処理装置により前記セットを滅菌処理する滅菌工程と、滅菌処理が行われた前記セットを所定の保管場所で保管する保管工程と、前記所定の保管場所から前記セットを利用する場所に移動させる払出工程と、前記セットに対する前記滅菌処理の達成度を判定して、当該セットに含まれる前記1つ以上の前記滅菌対象物を利用する利用工程と、利用された前記滅菌対象物を回収する回収工程と、回収された前記滅菌対象物を洗浄する洗浄工程とを有し、前記サーバは、前記滅菌ワークフローを実施する拠点で行われる前記滅菌処理に関する基本登録情報であって、少なくとも前記拠点を識別するための拠点名または前記拠点の識別情報が含まれる前記基本登録情報を拠点ごとに外部装置から取得して登録する登録手段と、前記滅菌ワークフローの前記滅菌工程で行われる作業の結果として、前記滅菌工程においてケミカルインジケータを使用して判定される前記滅菌処理の達成度を示す管理情報を拠点ごとに外部装置から取得して、拠点ごとの前記基本登録情報に関連付けて蓄積する蓄積手段と、前記利用者端末を介して利用者により評価対象の拠点が指定されたことに従って、前記蓄積手段に蓄積されている前記管理情報に基づいて、前記滅菌工程において使用される前記ケミカルインジケータの検証結果を評価テーブルを用いて点数化し、前記登録手段に登録されている前記指定された基本登録情報とともに評価結果として可視化するための情報を生成する評価手段と、前記評価手段による評価結果を可視化するための前記情報を、前記利用者端末へ提供する提供手段とを備え、前記利用者端末は、前記評価対象の拠点を指定する指定手段と、前記提供手段によって提供された情報を表示部に表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、滅菌処理システムにおける品質評価を好適に行うことができる。また、当該品質評価や関連するパラメータを必要に応じて好適に提供することができる。また、複数の滅菌処理システムにおける品質評価や関連するパラメータを比較可能に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る滅菌ワークフローを示す図。
【
図2A】一実施形態に係る滅菌ワークフローのシステムの構成図。
【
図2B】一実施形態に係る各装置の構成の一例を示す図。
【
図2C】一実施形態に係る各サーバの機能構成を示す図。
【
図6】一実施形態に係る拠点サーバ14における管理情報の一例を示す図。
【
図7】一実施形態に係る種類判定テーブルを示す図。
【
図8】一実施形態に係る評価分析サーバ16に登録される基本登録情報の一例を示す図。
【
図9】一実施形態に係る評価分析サーバ16で蓄積される蓄積情報の一例を示す図。
【
図11】一実施形態に係る個別評価レポートのUIを示す図。
【
図12】一実施形態に係る個別評価レポートの出力を示す図。
【
図13】一実施形態に係る個別評価レポートの折れ線グラフを示す図。
【
図14A】一実施形態に係る個別評価レポートのレーダーチャートを示す図。
【
図14B】一実施形態に係る工程別のレーダーチャートを示す図。
【
図15A】一実施形態に係る個別評価レポートの処理フローを示すフローチャート。
【
図15B】一実施形態に係る個別評価処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【
図16】一実施形態に係る比較評価レポートのUIを示す図。
【
図17】一実施形態に係る比較評価レポートの出力を示す図。
【
図18A】一実施形態に係る比較評価レポートの処理フローを示すフローチャート。
【
図18B】一実施形態に係る比較評価処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【
図19】一実施形態に係る患者関連情報のUIを示す図。
【
図20】一実施形態に係る患者関連情報の処理フローを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<第一実施形態>
<滅菌ワークフロー>
以下では、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、滅菌処理に関する滅菌ワークフローを示している。本実施形態において、滅菌ワークフローとは、滅菌対象物に対する滅菌処理に関して行われる一連の工程を意味する。以下で説明する工程は単なる一例であり、本発明を限定する意図はなく、他の工程等が含まれてもよいし、滅菌処理の種類や様々な要因によって以下で説明する何れかの工程が含まれない場合もありうる。例えば、滅菌処理されたセットが使用されることなく再滅菌される場合には、その要因にも依るが洗浄工程や組立工程等が含まれない場合もありうる。
【0013】
組立工程は、滅菌ステーションにおいて、1つ以上の滅菌対象物(医療器具等)をグループ化する工程である。なお、1つのグループに含まれる滅菌対象物は1つの場合もある。グループ化は、滅菌対象物が使用される手術と、滅菌対象物の滅菌処理に使用される滅菌処理装置との対応関係に基づき行われうる。例えば、同じ手術で使用され、かつ、同じ滅菌処理装置により滅菌処理が行われる滅菌対象物は同じグループにグループ化されうる。包装工程は、滅菌ステーションにおいて、1つのグループの1つ以上の滅菌対象物とCI(第1インジケータ)とを1つの包装部材により包装して1つのセットを形成する工程である。ここでは、CIが同封される例を説明するが、CIを同封しない場合があったり(その場合CIはPCD用CIのみ使用する)、CIに加えてBI(第2インジケータ)を同封したり、CIに代えてBIを同封することもできる。通常、病院等では、複数の同じ種類の滅菌対象物を使用し、よって、同じ滅菌対象物を含む複数のセットが形成される。以下、同じ滅菌対象物を含む各セットを、同じ種類のセットと称する。逆に、2つのセットの種類が異なるとは、当該2つのセットに含まれる滅菌対象物の少なくとも1つが異なることを意味する。包装工程においてセットに包装されるCIは、当該セットの滅菌処理を行う滅菌処理装置の種類に応じて決定される。滅菌工程は、包装したセットの滅菌処理を滅菌処理装置により行う工程である。
【0014】
保管工程は、滅菌工程において滅菌処理が行われたセットを保管庫に移動させて保管する工程である。払出工程は、手術等で使用するセットを、保管庫から手術室等の利用場所に移動させる工程である。開封工程は、利用場所に移動させたセットの包装を開封する工程である。手術工程は、滅菌対象物を利用する利用工程でもある。なお、開封工程又は手術工程、或いはその両方(利用工程と称する。)で滅菌対象物を使用する前にセットに同封したCIを用いて、滅菌処理の達成度を判定する。そして、CIによる滅菌処理の達成度が所定の基準を満たしていると判定できる場合にのみ、手術工程において滅菌対象物を実際に使用する。回収工程は、滅菌対象物の利用後、滅菌対象物を滅菌ステーションに移動させる工程である。洗浄工程は、滅菌ステーションにおいて滅菌対象物を洗浄する工程である。セットを洗浄工程で洗浄した後、当該セットは、再度、組立工程に回される。なお、本実施形態における滅菌ワークフローの上記各工程は、一例であり、本発明の滅菌ワークフローは上記各工程を含むものに限定されない。例えば、滅菌ワークフローは、上記各工程以外の工程を含むものであってもよい。さらに、滅菌ワークフローは、上記各工程の少なくとも1つの工程をさらに複数の工程に分割したものであってもよい。さらに、滅菌ワークフローは、上記各工程の少なくとも2つの工程を1つの工程に統合したものであってもよい。
【0015】
<システム構成>
図2Aは、上記滅菌ワークフローを評価するシステム100の構成例である。1つの医療機関等の拠点には、少なくとも拠点サーバ14、滅菌処理装置13、測定装置1、及びPC15が配置される。これらの装置は拠点ごとに設置されるものであり、ここでは参照番号の末尾に拠点ごとに異なるアルファベット(a、b、c)を付記する。なお、拠点ごとに設置される装置であっても、同様の制御及び構成を説明する際には、末尾のアルファベットを付記せずに参照番号のみを記載する。本システムには、これらの拠点システムが複数設けられ、それぞれがネットワーク17を介して評価分析サーバ(情報処理装置)16へ通信可能に接続される。また、拠点サーバ14、PC15、及び滅菌処理装置13は、それぞれの拠点内におけるLANを介して相互に通信可能に接続される。さらに、評価分析サーバ16には、スマートフォンやタブレット等の移動デバイスであるユーザ端末18や、デスクトップPCやノートPCなどのユーザ端末19がネットワーク17を介して接続される。これらのユーザ端末18、19は、患者が所有するデバイスであり、病院等の拠点を利用した又は利用する予定の患者が当該拠点に関する評価などの情報や患者に使用された滅菌対象物の情報等にアクセスすることができる。なお、拠点サーバ14、PC15及びユーザ端末18、19は、本システムの利用者によって利用される利用者端末としても機能する。
【0016】
評価分析サーバ16は、各拠点サーバ14からの情報、例えば、拠点ごとの拠点関連情報と随時取得される管理情報や履歴情報を蓄積し、蓄積情報に従って各拠点の滅菌処理システムの評価及び分析を行う。ここで、管理情報とは、
図6を用いて後述するように滅菌インジケータ(ここでは主にCI)に関わる情報を示す。また、履歴情報とは、BIや物理的インジケータや洗浄インジケータ等各種インジケータの情報や滅菌処理に関わる他の作業履歴などの情報を示す。また、評価情報や分析情報を必要に応じて、各拠点サーバやユーザ端末へ提供する。なお、評価分析サーバ16は、情報が蓄積されるたびに評価分析を行い、拠点関連情報等を随時更新するように構成されてもよい。これにより、それらの情報を必要とするユーザに対して常に最新の情報を提供することができる。
【0017】
拠点サーバ14は、滅菌ワークフローに関する拠点ごとの管理情報(履歴情報も含みうる。)を管理している。各拠点の拠点サーバ14の管理情報は、ネットワーク17を介して評価分析サーバ16に蓄積される。また、拠点サーバ14は、評価分析サーバ16にアクセスして必要な情報や評価結果等を取得することができる。例えば、拠点サーバ14は、Webブラウザとして機能し、Webサーバである評価分析サーバ16に対してインターネットを介してアクセスして画面情報等を取得するように構成されてもよい。また、評価分析サーバ16をクラウドサーバとしたクラウドシステムとして構成されてもよい。PC15は、ネットワークを介して、拠点サーバ14が保持する管理情報への情報の追加、修正等を行うことができる。また、PC15及び拠点サーバ14は、拠点サーバ14又は評価分析サーバ16が保持する管理情報に基づき、各種情報を拠点システムのユーザに通知することができる。各種情報の通知は、例えば、PC15のディスプレイに通知内容を表示したり、図示しないスピーカから音(警報など)を生じさせたり、ユーザが使用する図示しないPCや、ユーザが所持する携帯端末にメールを送信したりといった、任意の方法で行われる。このように、ユーザに各種情報を通知する態ようには様々な方法があるが、以下では、これらを纏めて「拠点システムが(ユーザに)通知する」と表現する。なお、本発明においては、ユーザとは、滅菌ワークフローの各工程において実際に作業をする作業者や、作業者の監督を行う監督者等、滅菌ワークフローに関係する人を意味する。
【0018】
PC15は、滅菌ワークフローにおいて、管理情報を参照したり、管理情報に情報を追加したり、管理情報を修正したりする必要がある場所に設置される。また、
図2Aに示すように、PC15は、測定装置1に接続される。測定装置1は、PC15に接続されず、直接ネットワークに接続されることもでき、測定装置1に表示部を持たせてCI結果を表示させることもできる。なお、PC15の代わりに、当該PCとLANを介して接続される他のPC(不図示)が測定装置1に接続される構成であってもよい。測定装置1は、CIの変色領域を測定する装置である。なお、本実施形態において、測定装置1は、CIの変色領域の測定に加えて、CIの識別情報を読み取る読取装置としても機能できるように構成される。測定装置1は、CIを測定する必要がある場所及びCIの識別情報を読み取る必要がある場所に設置され、同じ場所に設置されたPC15又は他のPCに接続される。なお、各拠点システムのネットワークは、病院内で閉じたネットワークに限定されない。例えば、滅菌ステーションは、病院外であってもよく、この場合、ネットワークは、病院と、病院外の滅菌ステーションを接続するものになる。また、各拠点内のネットワークは、他のネットワークに接続されないローカルエリアネットワーク(LAN)といった、閉じたネットワークであっても、LANとインターネットとを含むものであってもよい。例えば、当該ネットワークは、インターネットと、インターネットに接続する病院内のLANとで構成することができ、この場合、拠点サーバ14を、病院外に設置してインターネットに接続することで、各拠点システムを構成することができる。
【0019】
また、本実施形態において、滅菌処理装置13は拠点内のネットワークに接続されており、PC15及び拠点サーバ14は、滅菌処理装置13から管理情報に追加する情報や、管理情報を修正するための情報を取得することができる。しかしながら、滅菌処理装置13をネットワークに接続しない構成とすることもできる。この場合、作業者は、滅菌処理装置13が出力する情報に基づき、PC15を操作して、管理情報や履歴情報の追加・修正等を行う。なお、作業者が、管理情報等の入力・更新・表示等を行うためには、PC15を操作する必要があるが、以下では、説明の簡略化のため、PC15を操作するとの記載については省略する。また、作業者がPC15に情報を入力することを、作業者が拠点システムに情報を入力とするとも表現する。さらに、作業者がPC15に情報を入力することで、拠点システムが、入力された情報を記録することを、作業者が拠点システムに情報を記録するとも表現する。さらに、作業者に対して提示する情報を、PC15のディスプレイに表示したり、PC15に接続されたプリンタに出力したり、PC15のハードディスク等に出力して記録することを、拠点システムが(作業者に)情報を提示・出力するとも表現する。
【0020】
本実施形態において、各セット(滅菌対象物)には、それぞれ、識別情報が付与される。識別情報は、例えば、シールに印刷されたシリアル番号やバーコードの形式でありうる。或いは、識別情報は、ICタグに記録されうる。識別情報を有する媒体は、例えば、セットの包装部材の外装面や、セットの滅菌対象物に貼付される。或いは、セットに同封するCI又はBIに貼付されうる。また、CI又はBI自体にシリアル番号等が記録されている場合、セットに同封するCI又はBIのシリアル番号を当該セットの識別情報とすることができる。本実施形態では、セットに同封するCI又はBIのシリアル番号を当該セットの識別情報とする。なお、滅菌処理の達成度をより精度よく検証する場合には、CI及びBIの両方がセットに同封又は外部に添付される場合もありうる。
【0021】
<各装置の構成>
図2Bは、本実施形態に係る評価分析サーバ16と、拠点サーバ14との構成例を示す。なお、PC15やユーザ端末18、19については拠点サーバ14と同様の構成であるため説明を省略する。なお、以下で説明する構成は一例であって、本発明を限定する意図はない。即ち、各装置は他の制御コンポーネントや負荷を含んで構成されてもよい。
【0022】
評価分析サーバ16は、CPU(central processing unit)201、RAM(random access memory)202、ROM(read-only memory)203、HDD(hard disk drive)204、データベースI/F205、及びネットワークI/F206を備える。各負荷は、システムバス210を介して各種信号を送受可能に接続される。CPU201は、ROM203やHDD204に予め格納された制御プログラムをRAM202に読み出して実行することにより、各種機能を実現する。ROM203は、ブートプログラムや制御プログラムや各種設定値等を記憶する。RAM202は、上述したように、CPU201のワーク領域であり、各種情報やパラメータを一時的に記憶することができる。HDD204は、不揮発性の大容量記憶装置であり、種々のプログラムや情報を記憶することができる。データベースI/F205は、評価分析サーバ16に通信接続されたデータベース207とのデータ送受を制御する。データベース207には、例えば拠点ごとの拠点関連情報や管理情報、履歴情報等が蓄積される。拠点関連情報の詳細については
図9を用いて後述する。ネットワークI/F206は、ネットワーク17を介した外部装置との通信を制御する。例えば、ネットワークI/F206は、ネットワーク17を介して拠点サーバ14のネットワークI/F215と情報を送受することができる。これにより、各種情報を拠点サーバから取得するとともに、必要に応じて評価情報等を提供することができる。同様に、評価分析サーバ16は、ネットワーク17を介してユーザ端末18、19とアクセスし、ユーザのアクセスレベルに応じた情報を提供することができる。CPU201は、評価分析サーバ16の全体を制御する。
【0023】
拠点サーバ14は、CPU211、RAM212、ROM213、HDD214、ネットワークI/F215、出力I/F216、及び入力I/F217を備える。各負荷は、システムバス220を介して接続される。また、出力I/F216にはディスプレイ218が接続され、入力I/F217には操作部219が接続される。ユーザ端末18の場合は、スマートフォンなどのタッチパネル式の液晶ディスプレイであり、ディスプレイ218及び操作部219が一体として設けられる。CPU211は、ROM213やHDD214に予め格納された制御プログラムをRAM212に読み出して実行することにより、各種機能を実現する。ROM213は、ブートプログラムや制御プログラムや各種設定値等を記憶する。RAM212は、上述したように、CPU211のワーク領域であり、各種情報やパラメータを一時的に記憶することができる。HDD214は、不揮発性の大容量記憶装置であり、種々のプログラムや情報を記憶することができる。ネットワークI/F215は、ネットワーク17を介した外部装置との通信を制御する。上述したように、ネットワークI/F215は、評価分析サーバ16のネットワークI/F206とネットワーク17を介して情報を送受することができる。出力I/F216は、ディスプレイ218の表示を制御する。入力I/F217は、操作部219を介して入力されたユーザ操作を受け付け、CPU211へ伝達する。
【0024】
<各サーバの機能構成>
図2Cは、本実施形態に係る各サーバ装置の機能構成を示す。以下で説明する各装置の機能構成は、上述したCPU、ROM、及びRAM等の構成によって実現されるものである。なお、以下で説明する機能構成は一例であり、本発明を実現する上で必須のものとは限らない。例えば、代替の他の機能構成や追加の他の機能構成を含むようにしてもよい。
【0025】
評価分析サーバ16は、機能構成として、分析部231、比較部232、テーブル群233、データベース制御部234、評価部235、及び通信制御部236を備える。分析部231は、拠点サーバ14やユーザ端末18、19を介して入力された登録情報や各種の入力情報を分析する。例えば、分析部231は、入力情報に従って、評価対象の項目を評価するために必要な情報が揃っているか否かを判断する。登録情報の詳細は、
図8を用いて後述する。入力情報には、拠点に関する情報や、評価項目に関する情報、評価システムの設定に関わる情報、利用者に関する情報など様々な情報を含む。また、分析部231は、データベース207の蓄積情報が更新されると、評価部235や比較部232を用いて所定の評価項目の評価や類似度の算出を行い、データベース207に蓄積されている拠点ごとの拠点関連情報を更新する。評価部235は、拠点サーバ14やユーザ端末18、19を介して入力された情報や、データベース207に蓄積された蓄積情報、及びテーブル群233を用いて、評価対象の項目を評価するとともに、後述する個別評価レポートを出力する。テーブル群233には、例えば、
図10を用いて後述する評価テーブル等が含まれる。比較部232は、評価対象の拠点に類似する他の拠点を抽出し、評価部235によって抽出した複数の拠点に対する評価を取得し、後述する比較評価レポートを出力する。通信制御部236は、ネットワーク17を介した、拠点サーバ14や、ユーザ端末18、19との通信を制御し、データの送受を制御する。データベース制御部234は、データベース207に対するデータの入出力を管理する。
【0026】
拠点サーバ14は、機能構成として、収集部241、警報部242、入力部243、通信制御部244、工程管理部245、及び出力部246を備える。収集部241は、滅菌処理に関わる各種装置からの情報や、利用者から入力される情報を収集し、後述する管理情報や履歴情報として管理する。警報部242は、入力される情報に従って、例えば滅菌処理の達成度が条件を満たしていない場合や、組立工程におけるセットに組み込まれる医療器具の誤りなどをアラーム等を発生させることにより通知する。これに限らず、警報部242は、関連する装置の表示部に警告を表示するように制御してもよい。入力部243は、例えば、装置の操作部219を介したユーザ入力や、LANを介した拠点内の他の装置からの入力を受け付ける。出力部246は、表示制御手段としても機能し、評価分析サーバ16から受信した評価情報や画面情報に従って、ディスプレイ218にユーザインタフェース等を表示する。通信制御部244は、ネットワーク17や拠点内に配設されたLANを介した、拠点内の他の装置や評価分析サーバ16との通信を制御し、データの送受を制御する。工程管理部245は、
図1を用いて説明した滅菌ワークフローに関する各工程を管理するものであり、入力された情報に従って作業員に対して作業指示を行ったり、作業員の作業履歴を生成し収集部241へ通知する。
【0027】
<ケミカルインジケータ(CI)>
図3は、本実施形態によるCIを示している。CIは、シート状の試験紙であり、表面に化学的処理が施された変色領域21を有する。変色領域21は、滅菌処理の達成度に応じてその色が変化する。例えば、CIの変色領域21は、初期状態において色値C#1であり、滅菌処理の達成度に応じて色値C#2~色値C#9へと変化し、最終的には色値C#10で一定となるように構成されている。また、CIは、識別情報を有する識別部22を有する。
図3において、識別情報は、シリアル番号である。なお、上述したように、識別部22は、バーコードを印刷したものや、ICタグ(無線タグ)をCIに貼付したものとすることもできる。また、本実施形態では、識別部22の識別情報からCIの種類を判定することができるものとする。例えば、T1とT2の2種類のCIが有る場合、シリアル番号の最初の数字を、CIの種類を示すものとすることができる。
【0028】
<測定装置>
図4は、測定装置1の一例を示す断面図である。なお、
図4の参照符号2は、測定装置1の測定位置に搬送されたCIを示し、点線は、測定装置1に挿入される前のCIを示している。測定装置1の挿入部4に挿入されたCIは、搬送ローラ対6により測定位置に搬送される。測定部3は、CIの変色領域21の色を測定する。CIの測定後、搬送ローラ対6を逆回転させることで、CIは測定装置1外に排出される。測定部3は、CIの変色領域21の色値に関連する光学測定値、例えば、分光反射率を光7により読み取る。本実施形態において、測定部3は、CIの変色領域21に加えて、CIの識別情報を読み取るように構成される。識別部22がシリアル番号やバーコードであると、測定部3は、CIの識別部22を光学的に読み取ることができる。なお、識別部22が、ICタグであると、測定部3は、ICリーダを有し、ICタグと通信してICタグに格納された識別情報を読み取る。また、測定部3は、変色領域21と識別部22を撮像素子で撮像することで、変色領域21の色値と識別情報を読み取る構成とすることができる。制御部8は、測定装置1を制御する。制御部8の記憶部9には、測定に使用する種々の情報が格納される。また、制御部8の演算処理部10は、測定部3による測定結果、例えば、分光反射率に基づきCIの変色領域21の色値を判定する。制御部8は、判定した色値を示す色情報と、読み取ったCIの識別情報と、をPC15に出力する。
【0029】
なお、
図4に示す測定装置1は、挿入部4からCIを排出するものであったが、CIの測定位置に対して挿入部4とは逆側に排出部を設け、測定後、CIを排出部から排出する構成であってもよい。また、
図4に示す測定装置1は、CIを測定位置に搬送後、固定された測定部3によりCIを測定するものであったが、測定部3を移動可能なように構成することができる。つまり、測定部3を所定方向に移動させて、CIの変色領域21や識別部22を読み取る構成とすることもできる。さらに、作業者が測定装置1をCIの上で移動させて、CIの変色領域21や識別部22を読み取る構成とすることもできる。その様な構成は、様々なサイズのCIを利用する場合に有利である。
【0030】
なお、セットの識別情報としてCIの識別情報を使用しない場合、識別情報が記録された媒体や識別情報の形式に応じた識別情報の読み取りが行われる。例えば、識別情報がバーコードであると、識別情報の読み取りにバーコードリーダを利用できる。また、識別情報がシリアルナンバーである場合、作業者が識別情報をPC15に入力する構成とすることもできる。
【0031】
<バイオロジカルインジケータ>
図5は、バイオロジカルインジケータ(BI)の一例を示す図である。BIは、滅菌工程の微生物殺滅効果を直接的に検証できる唯一のインジケータであり、無菌性を保証しうる。滅菌処理後において、セットに貼付又は同封したBIを取り出し、製造販売元の推奨する手順で培養を行い、結果を判定する。BIはCIのように特定の重要プロセス変数のみに反応するわけではなく、滅菌工程における微生物殺滅効果を直接的に検証することができる。
図5に示すように、BIは、指標菌を密閉状態で保持する筒状の環状構造体であり、包装容器504に対して蓋部502が取り付けられ、包装容器504の内部に指標菌を含む液体培地505が含まれる。503は、包装容器504に貼付されたラベルを示す。ラベルには、BIを識別するための識別情報や使用期限等の情報が印刷される。なお、印刷される情報を限定する意図はない。BIは、各種の滅菌法に適した指標菌を利用することで、滅菌効果を確認するために信頼性の高いインジケータとなる。BIを利用した検証では、滅菌対象物であるセットともに、滅菌処理装置によって滅菌が行われた後に、所定の器材等によって培養及び判定が行われる。従って、BIを利用した検証には、数時間から数日程度の時間が必要とされることが一般的である。但し、BIはコストや処理時間を要することもあり、毎回使用するのではなく、定期的に利用されること(拠点によって異なるものの、例えば、1日1回など)もあるため、BIの使用頻度に応じて滅菌処理システムの信頼性を評価することができる。
【0032】
<物理的インジケータ>
本実施形態に係る滅菌処理システムでは、上述したCI及びBIに加えて、物理的インジケータを用いて滅菌処理の達成度等を検証する。物理的インジケータとは、滅菌処理システムにおいて利用される装置、例えば、滅菌処理装置13や測定装置1の動作履歴を示す情報に相当する。動作履歴を示す情報には、例えば、各種センサや温度計、圧力計、時計、測定値などの情報や各装置での稼働履歴を示す情報とが含まれてもよい。これらの情報を監視することにより、運転ごとに適切な条件(温度条件)などの達成状況や変化量を確認することができる。また、これらの情報は、例えば滅菌処理装置や測定装置等に通信可能に接続されたPCによってリアルタイムで監視することができ、装置の動作異常等をリアルタイムで検知することができる。
【0033】
<拠点サーバの管理情報>
図6は、本実施形態において、拠点サーバ14が保持する管理情報の1つであるマスタ情報テーブルを示している。ここで説明する管理情報は、滅菌対象物であるセットごとの管理情報である。ここでは、管理情報としてCIに関連する情報を例に説明するが上述したBIや物理的インジケータ、洗浄インジケータ等の各種データに関連する情報も合わせて管理することができる。また、本実施形態に係る拠点システムでは、以下で説明する管理情報に限らず、様々な滅菌処理システム関連する情報が管理情報や履歴情報として蓄積される。これらの情報は、評価分析サーバ16にネットワーク17を介して蓄積される。蓄積されるデータについては、拠点ごとに周期的に収集される。なお、評価分析サーバ16に蓄積される情報については、
図9を用いて後述する。ここでは、最終的には評価分析サーバ16に蓄積される一部のデータの入力や管理方法について説明するものである。なお、これらの管理情報は、拠点サーバ14やPC15を利用して拠点の管理者等によって手入力されるものであってもよい。或いは、拠点に設置されている装置、例えば、滅菌処理装置13や測定装置1などから出力される情報(物理的インジケータに関する情報など)であってもよい。
【0034】
図6に示す番号フィールドは、各レコードの番号を示している。各レコードは、セットの識別情報毎に設けられる。識別情報フィールドには、セットの識別情報が格納される。本実施形態において、セットの識別情報は、当該セットに同封したCI(又はBI)の識別情報である。種類フィールドには、識別情報から特定されるCIの種類を示す情報が格納される。セットフィールドには、対応するセットの種類を特定する情報が格納される。滅菌処理装置フィールドには、セットの滅菌を行う滅菌処理装置13の種類を特定する情報が格納される。作業者フィールドには、滅菌処理を行う作業者を特定する情報が格納される。滅菌日時フィールドには、滅菌処理を行った日時を特定する情報が格納される。種類誤りフィールドには、作業者がCIの種類を取り違えたかどうかを示す情報が格納される。色情報フィールドは、滅菌前と滅菌後の2つのサブフィールドを有する。本実施形態においては、滅菌処理で使用する前のCIの変色領域21を測定装置1で測定し、その測定結果に基づきCIに初期不良が有るか否かを判定する。そして、その判定結果が、滅菌前サブフィールドに格納される。また、滅菌処理されたセットのCIの変色領域21を測定装置1で測定し、その測定結果に基づき当該滅菌処理が所定の達成度に達しているかが判定される。そして、その判定結果が、滅菌後サブフィールドに格納される。以下では、各レコードに記録される各フィールドの情報を、セットの滅菌関連情報とも称する。
【0035】
例えば、マスタ情報テーブルの内容が
図6(A)に示すものであるときに、包装工程を実行するものとする。このとき、作業者は、拠点システムを操作して、マスタ情報テーブルに新たなレコード(番号101)を記録対象レコードとして追加する。そして、作業者は、拠点システムに、当該包装工程の対象セットの種類を特定する情報と、使用予定の滅菌処理装置の種類を特定する情報と、当該作業者を特定する情報を入力する。これにより、記録対象レコードのセットフィールド、滅菌処理装置フィールド及び作業者フィールドに、これら情報が記録される。この際、拠点システムは、後述する種類判定テーブルを用いて、使用すべきCIの種類を作業者に表示する。作業者は、表示された種類のCIを測定装置1に読み取らせる。ここでは、
図3に示す識別情報が12345678であるCIを測定装置1が読み取り、測定装置1が、測定結果として変色領域21の色値(以下、測定色値)Ctと、識別情報12345678と、をPC15に出力したものとする。PC15は、識別情報12345678に対応するレコードがマスタ情報テーブルに存在しないことを確認した後、記録対象レコードの識別情報フィールドに識別情報12345678を記録する。
【0036】
また、PC15は、CIの変色領域21の初期色の色値C#1と測定色値Ctとの色差が閾値を超えているか否かを判定する。PC15は、色値C#1と測定色値Ctとの色差が閾値を超えていないと、滅菌前サブフィールドにOKを記録する。なお、色値C#1と測定色値Ctとの色差が閾値を超えていると、PC15は、滅菌前サブフィールドにNGを記録する。同時に、PC15は、色値C#1と測定色値Ctとの色差が閾値を超えているか否かを表示部に表示する。また、色値C#1とCIの測定色値Ctとの色差が閾値を超えている場合、当該CIについては、後の工程で利用できないことを、拠点システムは、ユーザに表示することができる。作業者は、PC15の表示部に表示された情報をもとに、測定したCIをセットに同封するか、廃棄して異なるCIの測定を行う。
【0037】
図6(B)は、上記のように追加された101番のレコードに対応するセットに同封されたCIに初期不良がなく、よって、その後、当該セットの滅菌処理が行われた状態を示している。滅菌日時フィールドには、滅菌処理が行われた日時が記録されている。マスタ情報テーブルの内容が
図6(B)に示すものであるときに、手術工程において、識別情報が12345678であるCIを含むセットを使用するものとする。この場合、測定装置1により当該CIを測定する。これにより、PC15には、測定色値Ctと、識別情報12345678が出力される。PC15は、識別情報12345678に対応する記録対象レコードをマスタ情報テーブルから探索し、当該記録対象レコードが1つのみであることを確認する。続いて、PC15は、変色領域21が取りうる複数の色値C#1~C#10の内、測定色値Ctとの色差が最も小さい色を判定する。そして、例えば、測定色値Ctとの色差が最も小さいのが色値C#8~C#10のいずれかであると、目標とする達成度に到達しているもの(OK)と判定し、それ以外であると目標とする達成度に到達していない(NG)と判定する。OKの場合は利用し、NGのものは再び滅菌することになる。PC15は、判定結果をユーザに表示すると共に、判定結果を、記録対象レコードの滅菌後サブフィールドに記録する。
【0038】
例えば、識別情報、種類、セット、滅菌処理装置フィールド及び滅菌前サブフィールドのみにデータが記録されているレコードに対応するセットは、包装工程後、かつ、滅菌工程前のセットである。さらに、滅菌日時フィールドのみにデータが追記されているレコードに対応するセットは、滅菌工程後、かつ、手術工程前(利用工程前)のセットである。さらに、色情報フィールドの滅菌後サブフィールドにデータが記録されたレコードは、手術工程後(利用工程後)のセットである。このように、滅菌関連情報に基づき、セットが包装工程、滅菌工程及び手術工程のどの工程が完了しているかを判定することができる。
【0039】
ここで、拠点システムは、作業者が各工程において、求められる動作とは異なる動作、つまり誤った作業を行った場合、それを作業者に通知する。例えば、包装工程において、作業者が、包装対象のセットには使用すべきでない種類のCIを同封しようとすると、種類判定テーブルに基づき、CIの種類エラーを作業者に通知する。
図7は、拠点サーバ14が保持する種類判定テーブルを示している。
図7に示す種類判定テーブル(種類判定情報)は、滅菌処理装置13の種類とセットの種類の組み合わせに対して、使用すべきCIの種類を示している。また、予めセットの種類によって滅菌処理装置の種類が決まるようにし、滅菌処理装置の種類が決められると、CIの種類が決まるようにしてもよい。
図7によると、例えば、種類X1のセットを種類Y1の滅菌処理装置13で滅菌処理する場合は、種類T1のCIを使用することが規定されている。また、
図7によると、種類X3のセットを種類Y3の滅菌処理装置で滅菌処理する場合は、種類T2のCIを使用することが規定されている。また、
図7によると、種類X2のセットを種類Y3の滅菌処理装置で滅菌処理することができないことも示されている。
【0040】
例えば、包装工程において、作業者がセットフィールドにX1を、滅菌処理装置フィールドにY1を記録したとする。拠点システムは、種類判定テーブルに基づき、種類T1のCIを使用することを表示部に表示する。しかしながら、作業者が、種類T2であるCIを誤って測定装置1に読み取らせた場合、拠点システムは、
図6(C)に示すように、種類誤りフィールドに"有"を記録する。また、拠点システムは、C2の種類エラーを作業者に通知する。このように、種類判定テーブルによって使用すべきCIの種類を判定することで、作業者が誤った種類のCIを使用することを防止できる。
【0041】
また、滅菌ワークフローの品質を維持するためには、作業者による誤った動作の頻度を減少させる必要がある。例えば、本実施形態では、誤った種類のCIを測定装置1に読み取らせたこともマスタ情報テーブルに記録されるため、マスタ情報テーブルに蓄積された記録を基に、CIの種類の判別を誤らせないように改善を行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態では、作業誤りの例として、使用するCIの種類の誤りを使用したが、本発明は、これに限定されない。例えば、滅菌工程における滅菌処理装置13への滅菌処理の開始操作をしない動作や、滅菌処理装置13で使用するプログラムの誤り等を、作業の誤りとして検出して通知する構成とすることができる。また、所定の作業時間から遅れている場合にも時間遅延を検出して通知する構成としてもよい。これらを検出するために必要な情報は、滅菌関連情報として記録するようにする。また、本実施形態では、種類判定テーブルに基づく判定の際、作業者が入力したセットフィールド及び滅菌処理装置フィールドのデータが正しいものとして、CIの種類誤りを判定していた。しかしながら、作業者が入力した種類フィールド、セットフィールド及び滅菌処理装置フィールドの組み合わせが、種類判定テーブにより示される組み合わせに一致していないと、その旨を作業者に通知する構成とすることもできる。
【0043】
なお、本実施形態及び以下の各実施形態において、滅菌処理装置フィールドには滅菌処理装置13の種類を記録するものとした。しかしながら、滅菌処理装置フィールドには、滅菌処理装置13の種類に代えて、或いは、加えて、個々の滅菌処理装置13を特定する情報を記録する構成とすることもできる。
【0044】
<基本登録情報>
図8は、本実施形態に係る拠点ごとの滅菌処理システムを評価分析するための基本登録情報を示す。以下で説明する情報(項目)は一例であり本発明を限定する意図はなく、他の情報等を含んで構成されてもよい。また、これらの情報は、拠点ごとに異なる情報であってもよい。本発明に係るシステム100を利用するためには、当該システムに対して拠点ごとに基本情報を登録することが必要となる。なお、以下で説明する基本登録情報の全てを登録する必要はなく、他の類似する拠点の情報や平均的な情報を利用することもできる。
【0045】
800は、拠点ごとに登録される拠点情報802、803を蓄積した基本登録情報の内容を示す。基本登録情報800は、評価分析サーバ16のデータベース207に保持される。各拠点サーバ14の管理者は、本システムを利用するにあたり、その滅菌処理システムを評価分析するための情報として以下で説明する拠点情報を登録する必要がある。これらの情報は、全ての項目を登録する必要はなく、可能な範囲で登録することができる。登録されていない項目等については、評価分析に使用する必要がある場合は、デフォルトで設定された情報や他の拠点のうち後述する類似度が高い拠点の情報を代用することができる。また、登録された情報は、日々の蓄積情報に従って更新されうる情報も含まれる。
【0046】
図8に示すように、拠点情報として登録される項目801には、各拠点の滅菌処理システムに関連する種々の項目が含まれる。例えば、滅菌ワークフロー処理における工程ごとに関わる人数が登録されてもよい。1日の滅菌対象物の数は、1日で滅菌処理が施される滅菌対象物である医療器具数又はセット数で登録される項目である。また、滅菌処理装置に関する項目として、1日の稼働回数、総稼働回数、メンテナンス回数、メーカ、商品名、及びメンテナンス業者等が含まれる。滅菌関連の代行業者があればその情報も登録されうる。また、より滅菌処理の安全性が考慮されているかの指標として、BIの使用頻度やトレーサビリティ導入の有無の項目が含まれる。上述したように、BIは、その使用頻度によっては当該滅菌処理システムの評価が変化する可能性がある。
【0047】
さらに、項目801には、各種のローカルルールの項目が含まれる。ローカルルールは、各拠点で採用されている手法等の情報であり、各工程において作業の流れや手法を示す情報である。例えば、滅菌対象物(セット)の棚卸回数、開封場所、保管場所、開封方法、払出方法、洗浄方法、及びチェック体制などの情報が含まれる。これらのローカルルールは、拠点ごとに滅菌処理システムを評価、分析する上で非常に有用な情報である。なお、これらのローカルルールが分かれば、他の情報が欠けた状態であっても、ローカルルールの類似度から当該滅菌処理システムの評価を推定又は診断することができる。例えば、洗浄工程における洗浄温度や洗浄回数がローカルルールとして登録されている場合には、管理情報や履歴情報など蓄積情報が保持されていなくとも、類似する当該ローカルルールを有する他の拠点の蓄積情報や評価を代用して推定又は診断することができる。
【0048】
<評価分析サーバの蓄積情報>
図9は、本実施形態に係る評価分析サーバ16に蓄積される蓄積情報を示す。
図9に示す蓄積情報は、データベース207に保存される情報である。901、902は、拠点ごとに蓄積された拠点関連情報を示す。拠点関連情報には、
図8を用いて説明した基本登録情報や評価分析された情報が含まれ、各拠点サーバから管理情報等が蓄積されるごとに必要に応じて更新される情報である。各拠点関連情報には、各拠点から取得された管理情報が紐づけて保存される。例えば、所定の拠点(X病院)の拠点関連情報901に対しては、管理情報903、904や
図8の基本登録情報等が紐付けて保存されている。
【0049】
901を例に拠点関連情報を説明する。拠点関連情報901は、「X病院」に関するデータベース207に蓄積された情報である。拠点関連情報901には、拠点名、拠点ID、ランク情報、項目情報、及び評価分析情報が含まれる。これらの情報は一例であり、本発明を限定する意図はなく、他の情報を含んで構成されてもよい。拠点名及び拠点IDは、当該拠点関連情報に関連する拠点の名称及び識別情報である。拠点IDは、当該拠点に関する登録が行われると本システムから発行される固有の識別情報であってもよく、或いは、医療機関を示す既存の識別情報であってもよい。ランク情報は、複数の拠点間の中で、評価分析された結果のランキングを示す情報である。項目情報は、上記基本登録情報を含む各拠点の滅菌処理システムに関連する情報である。上述した基本登録情報以外の情報が含まれてもよい。評価分析情報は、評価分析サーバ16によって評価された情報が含まれる。評価項目としては、個別の複数の評価項目に加えて、それらを平均した総合評価が含まれる。総合評価の取得方法の詳細については後述する。個別の評価項目としては、例えば、滅菌インジケータの検証結果、業務状況、フェイルセーフ(アラーム)の発生回数など種々の項目が含まれる。工程ごとの評価が含まれてもよい。
【0050】
管理情報903、904は、拠点から随時取得される情報であり、取得した日時ごとに格納される。管理情報903は、
図6を用いて上述した管理情報に相当する情報である。管理情報904は、
図6を用いて上述した管理情報とは異なる他の滅菌処理に関わる履歴情報等を含む。例えば、1日の滅菌対象のセット数、フェイルセーフの発生回数、物理的インジケータの情報、及び各工程に関連する情報などが含まれる。これらの管理情報は、拠点サーバ14で管理されている情報が更新されるごとに評価分析サーバ16にアップロードされるか、或いは、定期的にアップロードされる。情報が蓄積されると、評価分析サーバ16は、上述した評価項目を再度取得し、該当する拠点関連情報を更新する。
【0051】
<評価方法>
図10は、本実施形態に係る評価分析サーバ16における評価項目ごとの評価テーブルを示す。ここでは、評価分析サーバ16による各評価項目の評価方法について説明する。
図10に示すように、評価分析サーバ16は、各評価項目を点数化(定量化)するための評価テーブル1001、1002、1003をHDD204等のメモリに保持している。なお、容量が大きくなる場合には、これらの評価テーブルは、データベース207に格納されてもよい。ここでは、説明を容易にするため、代表的な3つの評価テーブルを例に説明するが、本発明を限定する意図はなく、当然のことながら他の評価項目に関する評価テーブルも格納されている。
【0052】
評価テーブル1001は、滅菌インジケータ、特に、CIの検証結果を点数化する評価テーブルである。CIの検証結果は測定装置1によって測色された変色領域21の測定結果となる。測定結果は例えばレベル1~10に振り分けられ、各レベルは評価テーブル1001に定義されるように10点~100点に点数化される。
【0053】
評価テーブル1002は、1日のアラーム(警告)の発生比率を点数化する評価テーブルである。当該テーブルは、アラームの発生頻度に範囲を設けて100段階に振り分け(0.01刻みで0~1.00)、各段階に対応する点数を定義する。ここでアラームの発生比率とは、基本的にはフェイルセーフの発生比率を含み、1日の動作量及び作業量に対して装置故障や人為的なミスによるアラームの発生比率を含むものである。評価テーブル1002に示すように、発生頻度は、例えば0~1.00で表され、各発生頻度に対して点数が定義される。
【0054】
評価テーブル1003は、業務状況を点数化する評価テーブルである。当該テーブルは、1日の滅菌対象物(セット)の個数と作業人数とに基づいて得られる1日に1人当たりが処理する滅菌対象物の個数を100段階に振り分けて、各段階に対応する点数を定義する。例えば、1日に1人当たりの処理数が50であれば50点が付与され、処理数が60であれば40点が付与される。
【0055】
評価分析サーバ16は、上記評価テーブルに紐づけて、さらに、加重テーブル1004をHDD204又はデータベース207に更新可能に保持する。加重テーブル1004は、拠点ごとの総合評価を取得する際に利用されるテーブルであり、各評価テーブルで評価された各評価項目の点数に対して、例えば感染に繋がる可能性の度合い(重要度)に応じた重み付けを行うテーブルである。つまり、評価分析サーバ16は、各評価項目の点数を、加重テーブル1004を用いて加重平均を行うことにより、拠点ごとの総合評価を取得することができる。なお、このような加重テーブルを用いることなく簡易的に各評価項目の点数を平均して取得するようにしてもよい。加重テーブル1004の各評価項目に対する重みは、一例を示すものであるが、日々の感染の発生報告等によってそれらの重みは動的に変更可能である。例えば、評価分析サーバ16の管理者が加重テーブル1004を更新するようにしてもよい。このように、感染に繋がる重要度に応じた総合評価を行うことにより、滅菌処理システムに対する、より信頼性の高い評価を提供することができる。
【0056】
<個別評価レポートUI>
図11は、本実施形態に係る評価分析サーバ16により拠点ごとに評価される個別評価レポートを取得する際のUIの一例を示す。
図11に示すUI1100は、基本的には上述した基本登録情報が登録された後に表示されるものであり、ネットワーク17を介して通信可能に接続される拠点サーバ14や、PC15、ユーザ端末18、19の表示部に表示される。
【0057】
評価分析サーバ16が提供するUIには、提供するサービスごとのタブ1101~1104を含み、UI1100では、タブ1101が選択された状態を示す。タブ1101は、個別評価レポートを出力するためのUIを提供する。なお、本発明をこのようなタブの構成に限定する意図はなく、単なる一例であって、他の形式で1以上のサービスが選択されてもよい。例えば、複数のサービスを選択可能な基本メニュー画面から各サービスのUIへ遷移するような構成でもよい。他のタブに関するサービスについては、他の実施形態で説明する。
【0058】
UI1100は、拠点ごとの評価を出力するためのUIを示す。なお、当該画面が表示される前に拠点ごとの登録情報に基づいて、本システムへのログイン認証が行われていてもよいし、出力する際に認証を要求するようにしてもよい。或いは、認証の有無によって出力する内容に制限を設けてもよい。UI1100は、評価する拠点(医療施設等)を識別する拠点IDの入力フィールド1105と、評価する期間の入力フィールド1106と、出力ボタン1107と、詳細設定ボタン1108と、新規登録ボタン1110とを含んで構成されうる。ここでは、一例として、入力フィールド1105に個別評価の評価対象である所定の拠点に関する識別情報(名称やID)を指定可能に構成する例を説明するが、本発明を限定する意図はなく他の評価対象を指定可能に構成してもよい。例えば、評価対象として、所定の滅菌代行業者、所定の滅菌処理装置、所定の滅菌処理装置のメンテナンス業者、所定のインジケータの製造メーカ、所定の通院患者、所定の入院患者、及び所定の手術患者の少なくとも1つが指定可能とされてもよい。本発明はこれに限定されず、また、UI1100は、評価可能な評価項目として、基本チェック項目1109と、追加チェック項目1111とを含んで構成されうる。新規登録ボタン1110が操作されると、不図示の登録画面へ遷移し、新規登録の拠点に関する基本登録情報(
図8)を登録することができる。新規登録が行われると、対象の拠点に対して固有の拠点IDが発行される。
【0059】
利用者は、入力フィールド1105に各装置の操作部を介して拠点IDを入力することができる。或いは、入力フィールド1105には、拠点名が入力されてもよい。入力フィールド1106には、評価期間を選択するための各期間に対応する複数のラジオボタンが選択可能に表示される。例えば「1ヶ月」が選択された場合は、直近1ヶ月分の管理情報に基づいて評価出力が行われる。詳細設定ボタン1108が操作されると、各種の詳細設定を行う不図示の設定画面に遷移する。当該設定画面では、例えば、評価期間を詳細に指定したり、デフォルトの出力形式(表示形式)や、出力対象のデフォルトの評価項目を指定したりすることができる。基本チェック項目1109は、
図11に示すように、各評価項目に対応するチェックボタンが選択可能に表示され、例えばデフォルトでは全ての項目が選択された(チェックされた)状態で表示される。また、チェックボタンを操作するごとに選択状態及び非選択状態へ順に設定状態が変更される。追加チェック項目1111も、
図11に示すように、各評価項目に対応するチェックボタンが選択可能に表示さ、デフォルトでは全ての項目が選択されていない状態で表示される。UI1100を介して各種設定が行われた状態で出力ボタン1107が操作されると、
図12乃至
図14Bに示す結果画面が表示される。なお、必須の選択項目が選択されていない場合等、評価を実行できない場合にはポップアップ画面等を表示し、必要な情報の登録や設定情報の選択を行うように利用者に促してもよい。
【0060】
なお、拠点ごとの管理情報が蓄積されていない場合であっても、基本登録情報が登録されていれば、基本登録情報の所定の項目が類似する他の拠点のデータを利用して評価することもできる。各拠点間の類似度については、第二実施形態で説明する。他の拠点のデータを代用できない場合には、評価項目に制限が設けられる。例えば、
図11に示す基本チェック項目1109及び追加チェック項目1111の所定の項目が選択できないように制限されるか、或いは項目自体が表示されなくてもよい。
【0061】
<個別評価の出力例>
図12乃至
図14Bは、一実施形態に係る個別評価レポートの出力例(第1ユーザインタフェース)を示す。UI1200乃至UI1410に示すように、評価分析サーバ16によって評価された評価結果が利用者が利用する利用者端末(拠点サーバ14、PC15、又はユーザ端末18、19)に可視化して表示される。まず、
図12に示すUI1200は、UI1100で出力ボタン1107が操作された際に表示される。なお、他のUI1300、1400が先に表示されてもよい。UI1200は、例えば、評価結果1201、折れ線ボタン1202、レーダーチャートボタン1203、及び戻るボタン1204を含んで構成されうる。評価結果1201は、所定の評価期間1205ごとに、例えば
図12に示す例では1日ごとに各評価項目の点数と、それらを平均(又は、加重平均)した総合評価の点数が表形式で表示される。スクロールバー1206、1207を操作(スライド)することにより、評価結果1201の表示領域内に表示されていない他の日付の評価や他の評価項目が表示される。
【0062】
UI1200において、折れ線ボタン1202が選択されると、
図13に示すUI1300に遷移する。UI1300は、例えば、UI1200と同様の各種ボタンに加えて、評価結果1301、凡例1302、スクロールバー1303、及びスケール変更ボタン1304を含んで構成されうる。評価結果1301では、横軸が評価期間を示す日時を示し、縦軸が各評価項目の点数を示し、評価結果が時系列に表示される。凡例1302は、表示している評価項目の対応する線種を示す。ここでは、3つの評価項目を出力する例を示すがさらに多くの評価項目を同時に出力してもよい。出力する評価項目数については、例えば、UI1100の詳細設定ボタン1108が操作された際に遷移する設定画面で設定可能である。また、出力される評価項目の中には総合評価が含まれてもよい。スケール変更ボタン1304が操作されると、評価期間を変更することができる。例えば、評価期間が変更されることにより、1ヶ月ごとの点数を出力する場合には、当該1ヶ月の期間内の点数の平均値を用いて出力される。なお、このスケール変更は、他の表示形式である表形式やレーダーチャート等においても適用可能である。このように折れ線グラフで評価結果を出力することにより時系列での評価を容易に確認することができる。
【0063】
また、UI1200又はUI1300において、レーダーチャートボタン1203が選択されると、
図14Aに示すUI1400に遷移する。この場合、例えばUI1200の評価結果1201のうち、複数の評価期間1205が選択された状態でレーダーチャートボタン1203が押下されることが望ましい。これは、全ての期間の評価結果をレーダーチャートで表示しようとすると、複数の結果が重畳して表示され読み取りづらい表示結果となるためである。したがって、レーダーチャートで出力する場合には、選択可能な評価期間の上限数(例えば、6など)を設けることが望ましい。なお、評価期間の選択については、日付部分を選択することで行うように制御してもよい。UI1400は、例えば、UI1200と同様の各種ボタンに加えて、評価結果1401、凡例1402、及び条件変更ボタン1405を含んで構成されうる。1404は、レーダーチャートの軸線を示す。評価結果1401では、例えば4つの評価期間(4日間)の日付ごとの評価がレーダーチャートで出力される。ここでは、3つの評価項目を出力する例を示すがさらに多くの評価項目を同時に出力してもよい。出力する評価項目数については、例えば、UI1100の詳細設定ボタン1108が操作された際に遷移する設定画面で設定可能である。このようにレーダーチャートで評価結果を出力することにより、容易に評価結果の全体像を確認することができる。
【0064】
条件変更ボタン1405が操作されると、出力する日付を変更したり、出力する評価項目を変更したりすることができる。或いは、条件変更ボタン1405を操作することにより、出力条件を工程別の評価結果に変更することができる。工程別の評価結果の一例を
図14Bに示す。UI1410は、UI1400の評価結果1401に代えて、滅菌ワークフローにおける工程別の評価結果1411を表示する。ここで、1412はレーダーチャートの軸線を示す。評価結果1411では、滅菌ワークフローに含まれる工程を、例えば、滅菌工程、保管及び払出工程、開封及び手術工程(利用工程)、回収及び洗浄工程、組立工程、及び包装工程の6つの工程に分けて、評価結果が表示される。評価項目別の評価結果1401から工程別の評価結果1411に出力を変更する場合には、例えば、各評価項目が関連する1以上の工程に対してそれぞれの評価値を振り分けて平均することにより、各工程の評価値を取得する。例えば、組立工程の場合、
図11に示す基本チェック項目1109のうち業務状況、フェイルセーフ、評価チェック項目Yが関連し、これら3つの評価項目の結果に基づいて組立工程の評価を取得することができる。この場合、単なる平均値でも良いし、当該工程に関わる度合いに応じた加重平均としてもよい。このように工程ごとに評価結果を出力することにより、利用者は該当する拠点の工程ごとの品質を確認することができ、容易に改善点を検討することができる。
図14Bの例では、利用者は組立工程の評価が全体的に低いと判断し、組立工程に関わる改善点を重点的に検討することができ、より滅菌処理システムの品質向上をサポートすることができる。なお、ここでは、レーダーチャートによる工程別の評価結果出力を例に説明したが、限定する意図はなく、工程別に評価が低いほど強調表示するようなチャートであればどのような形式で出力されてもよい。
【0065】
上述したUI1200~UI1410が表示されている際に、他の出力形式のボタンが操作されると、操作された出力形式のUI画面へ遷移する。また、戻るボタン1204が押下されると、遷移前の画面、又は、UI1100若しくはUI1200に遷移するように制御されうる。これらの遷移先についても上述した詳細設定の設定画面で設定できるようにしてもよい。ここでは、個別評価レポートの出力形式として、表、折れ線グラフ、及びレーダーチャートの形式について説明したが、本発明を限定する意図はなく、他の出力形式が適用されてもよい。また、ここでは、表示部へ表示する出力方法を説明したが、他の出力方法でもよく、例えば印刷出力や、電子メール送信によりデータ送信による出力であってもよい。
【0066】
<処理手順>
図15Aは、一実施形態に係る個別評価レポートを出力する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、個別評価レポートを出力するユースケースとして、所定の拠点の利用者が拠点サーバ14aを介して評価分析サーバ16にアクセスするケースについて説明する。この場合、基本チェック項目1109及び追加チェック項目1111が表示されていない状態のUI1100がディスプレイ218に表示され、利用者によって操作される。基本チェック項目1109及び追加チェック項目1111が表示されていないのは、評価対象の拠点が選択されていないためである。以下で説明する処理は、例えば、評価分析サーバ16のCPU201がROM203やHDD204に格納された制御プログラムをRAM202に読み出して実行することにより実現される。なお、本処理は各拠点サーバ14で実行されてもよい。その場合は、必要な情報を評価分析サーバ16から取得する処理が追加される。以下で説明する”S”に続く番号はフローチャート内のステップ番号を示す。
【0067】
S101で、CPU201は、評価対象の登録情報又は入力情報を、ネットワーク17を介して受け付ける。例えば、評価対象となる拠点に関する拠点関連情報が登録されていない場合は、利用者はUI1100の新規登録ボタン1110を操作し、
図8を用いて説明した基本登録情報を登録する。評価分析サーバ16は、新規登録ボタン1110が操作されると、不図示の登録画面に対応する画面情報を拠点サーバ14aに通知し、当該利用者による入力を受け付ける。既に基本登録情報が拠点関連情報としてデータベース207に保持されている場合や新規登録が完了した場合には、評価対象を示す拠点IDや詳細設定などを入力情報として受け付ける。なお、S101の処理を開始するタイミングで、利用者の認証処理が行われてもよいし、出力ボタン1107が操作されたタイミングで認証処理が実行されてもよい。つまり、評価結果を出力する前に認証処理が行われ、評価結果にアクセス可能なアクセスレベルを有する利用者であるか否かが判断される。これは、本発明に係る評価分析サーバ16が個別の医療機関向けのみに情報を公開するだけでなく、他の医療機関や一般ユーザ(例えば、患者)に対しても情報を公開するように構成されるためである。即ち、各利用者についてアクセス可能な情報に制限を設け、管理している蓄積情報が不正に使用されることを防止するためである。所定の情報を受け付けると、S102に進む。
【0068】
S102で、CPU201は、評価対象の拠点の入力を受け付けると、評価対象の拠点に対応する、基本チェック項目1109及び追加チェック項目1111の画面情報を拠点サーバ14aへ通知し、UI1100の表示を更新させる。これにより、UI1100を介して評価項目の選択を受け付ける。評価項目の選択は、基本チェック項目1109及び追加チェック項目1111のチェックボックスにより行われる。続いて、S103で、CPU201は、出力ボタン1107が操作されることにより、出力操作を受け付けたか否かを判定する。出力操作を受け付けた場合にはS104へ進み、そうでない場合は処理をS102に戻す。
【0069】
S104で、CPU201は、受け付けた評価項目の評価を取得するために、不足情報があるか否かを判定し、あればS107へ進み、無ければS105へ進む。ここで、不足情報がある場合であっても、他の類似の拠点に関する基本登録情報を代用できる場合には、それらの代用情報を用いてS105に進むことが望ましい。或いは、不足情報について類似の拠点からの代用情報を用いる旨を利用者に問い合わせてもよい。これにより、利用者は不足情報を補足する情報を有していれば入力し、補足する情報が無い或いは不明確な場合には代用情報を利用するように選択することができる。なお、代用可能か否かについては、システムの仕様や環境等にも依存するためここでの詳細な説明は行わない。不足情報がある場合は、S107で、CPU201は、不足情報を要求する画面情報をネットワーク17を介して拠点サーバ14aへ通知し、当該画面を介して不足情報を取得し、処理をS102に戻す。S107で不足情報が取得できなかった場合には、当該不足情報を使用する評価項目を選択できないように制限した状態で再度評価項目の選択を受け付ける。不足情報が取得できた場合には、S102の処理をスキップしてS103に進んでもよい。
【0070】
一方、S104で不足情報が無いと判断されると、S105で、CPU201は、選択された個々の評価項目である個別評価項目の評価と、総合評価とを取得し、S106で取得した評価結果を出力し、処理を終了する。ここで、取得とは上述した評価テーブルを用いた評価値(点数)の取得と、所定の計算式等を用いた評価値の算出をも含む概念である。以下で説明する場合についても特に言及しない限りこれらの概念を含むものとする。評価結果の出力については、上述したUI1200乃至UI1410の形式やその他の形式で出力されうる。なお、選択された評価項目に適した出力形式を自動で選択するようにしてもよい。
【0071】
図15Bは、一実施形態に係る個別評価処理のサブルーチン(S105)を示すフローチャートである。S111で、CPU201は、評価する個別評価項目があるか否かを判断する。有ればS112に進み、無ければS113に進む。S112で、CPU201は、対象の評価項目に対応する評価テーブルを参照し、当該評価項目に関連する入力情報に従って評価値である点数を取得する。ここで入力情報とは、例えば、
図10の評価テーブル1001であれば、検証結果のレベル情報となる。これらの情報は、上記S101やS107でユーザ入力により取得してもよいし、既にデータベース207に蓄積されている、評価対象の拠点の管理情報から取得することもできる。このようにS112では、評価項目に応じて、対応する評価テーブルを用いて評価値を取得する。なお、対応する評価テーブルが無い場合には、所定の計算式等を用いて評価値を取得するようにしてもよい。一方、S111で個別評価項目が無いと判断すると、S113で、CPU201は、取得した個別評価項目の評価値(点数)と、加重テーブル1004とを用いて加重平均を行い、総合評価の評価値を取得し、処理をメインルーチンであるS105に戻す。ここでは加重平均を用いる例を説明したが、単に取得した各評価項目の点数の平均値を総合評価としてもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るシステムは、滅菌対象物の滅菌に関する滅菌ワークフローの品質を評価するシステムである。本システムは、滅菌ワークフローを実施する拠点に関する基本情報を拠点ごとに登録し、滅菌ワークフローに関連する作業の結果を示す蓄積情報を拠点ごとに取得して蓄積する。また、本システムは、当該システムの利用者により指定された評価対象及び評価項目に従って、滅菌ワークフローの少なくとも1つの工程に関わる少なくとも1つの評価項目を、評価対象に関する基本情報及び蓄積情報を用いて評価する。さらに、本システムは、当該評価結果を利用者端末へ可視化して提供する。本実施形態によれば、滅菌処理システムにおける品質評価を好適に行い、当該品質評価や関連するパラメータを必要に応じて好適に提供することができる。評価結果は他にも、関係作業担当部門である材料部や手術部等にしたり、滅菌代行業者がある場合には病院担当作業と滅菌代行業者作業にしたり、通院患者用・入院患者用・手術患者用にしたり、診療科ごとに出すこともできる。また、上記実施形態では、評価対象として拠点を例に説明したが、評価対象自体を、滅菌代行業者、装置やインジケータの製造メーカ、通院患者用・入院患者用・手術患者用、診療科などに変更することも可能である。この場合には、それぞれ基本登録情報として、拠点の情報に代わり、それぞれの評価対象の情報が登録されることが望ましい。
【0073】
<第二実施形態>
以下では、本発明の第二実施形態について説明する。上記第一実施形態では、滅菌処理システムの所定の拠点に関連する個別評価レポートを提供する例について説明したが、本実施形態では、例えば、複数の拠点の評価結果を比較可能な比較評価レポートの提供について説明する。ここでは、比較対象として拠点を例に説明する。しかし、比較対象としては、以下の変形例で説明するように、拠点に限定する意図はなく他の比較対象であっても本発明を適用できる。詳細については後述する。なお、上記実施形態と同様の構成及び制御については、同一の参照符号を付し説明を省略する。また、本実施形態は、上記タブ1102に該当する機能を説明するものであり、当然のことながら上記第一実施形態と組み合わせて適用可能である。
【0074】
<比較評価レポートUI>
図16は、本実施形態に係る評価分析サーバ16により複数の拠点間にわたって評価を行う比較評価レポートを取得する際のUIの一例を示す。
図16に示すUI1600は、評価分析サーバ16に対してネットワーク17を介して通信可能に接続される拠点サーバ14や、PC15、ユーザ端末18、19の表示部に表示される。UI1600が各装置の表示部に表示される前に利用者の認証が行われてもよいし、表示後に行われてもよい。しかし、比較評価を行うためには、利用者のアクセスレベルに応じて比較可能な項目が決定されるため、以下で説明する比較対象の評価チェック項目が表示される前に利用者の認証を行う必要がある。
【0075】
UI1600では、
図11を用いて上述したタブ1101~1104のうち、タブ1102が選択された状態である。タブ1102は、複数の拠点のそれぞれの滅菌処理システムの評価を比較可能に提供するユーザインタフェースである。なお、
図16に示すUI1600が表示されている段階では、既に利用者の認証が行われている。UI1600は、少なくとも入力フィールド1601、1602、出力ボタン1603、詳細設定ボタン1604、新規登録ボタン1610、比較対象のチェック項目1605、及び追加のチェック項目1605を含んで構成されうる。入力フィールド1601は、比較対象となる識別情報として拠点名又は拠点IDを入力するフィールドである。入力フィールド1602は、比較対象となる抽出される拠点(比較対象間)の類似度を設定する入力フィールである。出力ボタン1603は、設定した内容で比較結果となる比較評価レポートを出力するためのボタンである。詳細設定ボタン1604は、比較評価レポートの出力に関わる各種設定を行うための画面に遷移するボタンであり、上述した詳細設定ボタン1108の内容に加えて、例えば、類似度を検出する際の項目を詳細に設定することも可能である。類似度を取得する際の項目として、ローカルルールに関連する項目のみに設定することも可能であり、これにより、ローカルルールが類似する他の拠点との滅菌処理システムの評価を比較することができる。デフォルトの設定では、上記基本登録情報の全てが対象となる。新規登録ボタン1610は、新規登録ボタン1110と同様の機能を有するボタンであるため説明を省略する。
【0076】
入力フィールド1601には、1以上の拠点名又は拠点IDを入力することができる。入力フィールド1602は、他の類似した拠点をデータベース207に蓄積された情報から抽出する際の類似度を設定することができる。利用者は、例えば比較対象の拠点が絞り込めている場合は、それらの拠点名又は拠点IDを入力フィールド1601に入力し、入力フィールド1602の他の類似した拠点の抽出を”なし”に設定すればよい。一方、利用者が入力フィールド1601に入力した拠点と、他の類似した拠点との評価を比較したい場合には、入力フィールド1602において”なし”以外の項目、例えば、類似度”0.7”などを設定すればよい。ここで、類似度とは、拠点間において、基本登録情報の1以上の項目において類似する度合いを示す値であり、作業人数や、1日の滅菌対象物の数、BIの使用頻度等の類似度を示す値である。類似度を算出するにあたり、比較対象の拠点間においてそれぞれの項目における差分がどの程度であるかを段階的に振り分けて(例えば0~1.00の100段階に)算出し、例えば比較可能なそれぞれの項目の類似度の平均値を拠点間の類似度として取得する。ここでは、1.00に近づくほど類似度が高いものとする。従って、比較評価の対象となる拠点については、データベース207に基本登録情報が登録されている必要がある。もちろん上記第一実施形態と同様に、登録情報を新規に登録して比較を行うようにしてもよい。
【0077】
比較対象のチェック項目1605及び追加のチェック項目1606については、比較対象が入力された段階で選択可能に表示される。比較不可能な項目については、選択できないように表示が制限される。出力ボタン1603が操作されると、後述する比較評価結果が出力される。
【0078】
<比較評価の出力例>
図17は、一実施形態に係る比較評価レポートの出力例(第2ユーザインタフェース)を示す。UI1700に示すように、評価分析サーバ16によって評価された評価結果が利用者が利用する利用者端末(拠点サーバ14、PC15、又はユーザ端末18、19)の表示部に比較可能に可視化して表示される。UI1700は、比較結果1701、チャートボタン1702、並べ替えボタン1703、及び戻るボタン1704を含んで構成されうる。比較結果1701では、表示されていない部分を表示するためのスクロールバー1706、1707が必要に応じて表示される。比較結果1701は、表形式で出力されるものであるが、上記第一実施形態と同様に、折れ線グラフ、レーダーチャート、又はその他の形式で表示されてもよい。他の形式に比較結果の表示を変更する場合には、利用者はチャートボタン1702を操作し、上述した複数の形式の選択肢から選択することができる。
【0079】
比較結果1701には、
図16に示すUI1600の設定状況で出力ボタン1603が操作された場合、例えば、入力フィールド1601に入力された拠点と類似度が0.7以上の病院の比較結果が表示される。また、入力フィールド1601に複数の拠点名が入力された場合には、入力フィールド1601において左端に入力された拠点(
図16では、X病院)との類似度が0.7以上の病院を比較対象として抽出するようにしてもよい。比較結果1701の選択された各評価項目について、必要な情報、例えば、管理情報等が蓄積されていない場合には、当該拠点の所定の評価項目には評価値が表示されないように制御される。
【0080】
並べ替えボタン1703が操作されると、所定の条件、例えば、総合評価の順序や、評価項目1の順序などが選択肢として提示され、表示されている比較結果の内容を並び替えることができる。また、並び替えの対象を限定するため、複数の拠点名を選択するようにしてもよい。例えば、
図17に示す状態で、利用者がX病院と、他の病院を比較したい場合、X病院以外の拠点名の欄を選択して並び替えボタン1703を操作することにより、X病院以外の他の病院間で、選択した所定の条件、例えば総合評価の順に並び替えられる。この場合、比較対象が
図17に表示されている拠点のみであれば、上から、X病院、D病院、Y病院、C病院、A病院、B病院の順に並び替えられる。従って、利用者は、X病院に類似している他の拠点のうち、総合評価が高いものを容易に確認することができる。戻るボタン1704が操作されると、UI1600の画面に戻る。
【0081】
また、UI1700において、表出力における各セルを選択すると、該当する詳細情報(関連するパラメータ)が表示されるようにしてもよい。例えば、A病院(類似度0.9)のセル1708が選択されると、A病院に関する詳細情報、例えば、ローカルルールを含む拠点関連情報(基本登録情報)がポップアップ画面等の形式で表示されるようにしてもよい。また、セル1709が選択されると、D病院の評価項目2の評価結果を得るために使用された情報、例えば管理情報を関連するパラメータとして表示するようにしてもよい。また、評価項目のセルが選択されると、当該評価項目の詳細情報が表示されてもよい。これにより、利用者は所望する情報を容易に入手することができ、システムの改善に有用な情報を容易に入手することができる。例えば、類似の他の拠点の方が評価が高い場合に、どのようなローカルルールが採用されているかを容易に入手することができ、それにより、当該利用者のシステムにおける改善点を抽出しやすくすることができる。評価の差異が大きい場合などは、色分けなどの強調表示を行って分かりやすく提示することもできる。なお、関連するパラメータの表示については、上記第一実施形態の構成においても同様に表示することが可能である。
【0082】
<処理手順>
図18Aは、一実施形態に係る比較評価レポートを出力する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、比較評価レポートを出力するユースケースとして、所定の拠点の利用者が拠点サーバ14aを介して評価分析サーバ16にアクセスするケースについて説明する。この場合、比較対象のチェック項目1605及び追加のチェック項目1606が表示されていない状態のUI1600がディスプレイ218に表示され、利用者によって操作される。比較対象のチェック項目1605及び追加のチェック項目1606が表示されていないのは、比較対象の拠点が選択されていないためである。以下で説明する処理は、例えば、評価分析サーバ16のCPU201がROM203やHDD204に格納された制御プログラムをRAM202に読み出して実行することにより実現される。なお、本処理は各拠点サーバ14で実行されてもよい。その場合は、必要な情報を評価分析サーバ16から取得する処理が追加される。以下で説明する”S”に続く番号はフローチャート内のステップ番号を示す。
【0083】
S201で、CPU201は、UI1600を介して入力された比較対象の拠点情報と類似度の設定情報とを、ネットワーク17を介して受け付ける。その後の処理であるS202乃至S204と、S207は、
図15AのS102乃至S104と、S107と同様の処理であるため説明を省略する。
【0084】
S204で不足情報が無いと判断されると、S205で、CPU201は、選択された比較対象と類似度に基づく比較結果を取得し、S206で取得した比較結果を出力し、処理を終了する。比較結果の出力については、上述したUI1700の形式やその他の形式で出力されうる。なお、選択された評価項目に適した出力形式を自動で選択するようにしてもよい。S205の比較結果の取得処理については、
図18Bを用いて詳細に説明する。
【0085】
図18Bは、一実施形態に係る比較評価処理のサブルーチン(S205)を示すフローチャートである。S211で、CPU201は、入力フィールド1601に入力された拠点の評価結果を取得する。入力された拠点が複数あれば、それぞれの拠点に係る評価結果を取得する。評価結果の取得方法については、既に説明した
図15BのS112と同様であるため詳細な説明は省略する。続いて、S212で、CPU201は、類似度の設定が行われているか否かを判定する。ここでは、入力フィールド1602において”なし”が設定されていれば類似度の設定が行われていないと判断し、それ以外が設定されていれば類似度の設定が行われていると判断する。類似度の設定が有ればS213に進み、そうでなければ処理を終了してS205に戻る。
【0086】
S213で、CPU201は、入力フィールド1601に入力された拠点(例えば、X病院)の拠点関連情報をデータベース207から取得する。続いて、S214で、CPU201は、設定された類似度の情報(例えば、”0.7”など)に該当する拠点を抽出する。具体的には、CPU201は、S213で取得した拠点関連情報の各項目と、データベース207に蓄積されている他の拠点の拠点関連情報とを比較して、上記設定された類似度の情報に該当する拠点を抽出する。なお、CPU201は、ここで、各情報を参照して類似度を算出するようにしてもよいが、予め各拠点間の類似度を算出しておき、各拠点間の類似度を定義したテーブルを保持しておいてもよい。これにより、比較評価レポートの要求を受け付けた際の類似度の算出処理を低減することができ、処理負荷を軽減することができる。なお、この場合においては、CPU201は、当該テーブルを参照して、設定された類似度以上の値を示す拠点の情報を取得する。続いて、S215で、CPU201は、抽出された拠点すべての評価結果を取得し、処理をS205に戻す。評価結果の取得方法については、既に説明した
図15BのS112と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るシステムは、システムの利用者により複数の拠点が指定されると、複数の拠点の評価結果を比較可能に提供する。また、本システムは、システムの利用者により所定の拠点と類似度とが指定されると、所定の拠点の評価結果と、所定の拠点に類似する度合いが指定された類似度を超える他の拠点の評価結果とを比較可能に提供する。上記第一実施形態の様々な効果に加えて、さらに、複数の滅菌処理システムにおける品質評価や関連するパラメータを比較可能に提供することができる。これにより、利用者は、利用者が使用する滅菌処理システムの改善点を容易に検討することができる。
【0088】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限らず様々な変形が可能である。上記実施形態では、拠点を比較対象とした例について説明した。しかし、比較対象として拠点に限定することを意図したものではない。例えば、他の拠点ごとの比較だけでなく、滅菌代行業者がある場合には滅菌代行業者ごとに比較したり、装置やインジケータの製造メーカごとに比較したり、メンテナンス業者等の関連する業者ごとに比較したり、通院患者用・入院患者用・手術患者用等の関連する人ごとに比較したり、診療科等の所属(広域とすると地域も含む)ごとに比較したりすることもできる。滅菌代行業者ごとに比較する場合には、滅菌ワークフローの工程の中で、滅菌代行業者に関わる工程、例えば、洗浄工程、組立工程、包装工程、滅菌工程、及び保管工程に関する評価項目について比較評価を行う。従って、評価分析サーバ16は、データベース207から比較対象の複数の滅菌代行業に関連する情報を拠点関連情報から抽出して、比較を行う。なお、比較時の処理負荷を低減するために、滅菌代行業者ごとに関連する情報(業者関連情報)を予め抽出し、データベース207に保持するようにしてもよい。他の比較対象も同様に、関連する情報をデータベース207から抽出し、関連する評価項目の比較を行うように制御される。比較評価のUIについては、上記実施形態では比較対象となる識別情報として拠点名を入力するようにしたが、上述のような他の比較対象について比較を行う場合には、当該他の比較対象の名称等が識別情報として入力するように変更される。
【0089】
<第三実施形態>
以下では、本発明の第三実施形態について説明する。上記第一実施形態及び第二実施形態では、利用者が医療機関に従事する場合、例えば、各拠点の拠点サーバを介するアクセスについて説明したが、本実施形態では、患者等の一般ユーザへの情報提供について説明する。なお、上記実施形態と同様の構成及び制御については、同一の参照符号を付し説明を省略する。また、本実施形態は、上記タブ1103に該当する機能を説明するものであり、当然のことながら上記第一実施形態及び第二実施形態の少なくとも一方と組み合わせて適用可能である。
【0090】
<個人関連情報UI>
図19は、本実施形態に係る評価分析サーバ16からユーザ端末18に提供される個人関連情報のUIの一例を示す。
図19に示すUI1900は、ユーザ端末18の表示部、即ち、スマートフォン等のタッチパネル式の液晶ディスプレイに表示される例を示す。しかし、UI1900は、評価分析サーバ16に対してネットワーク17を介して通信可能に接続される拠点サーバ14や、PC15、ユーザ端末19の表示部に、その出力形式を各装置に適合させて表示されうる。UI1900は、個人情報を表示するユーザインタフェースであるため、各装置の表示部に表示される前に利用者の認証が行われる必要がある。当該認証の結果得られる利用者のアクセスレベルに応じて、個人情報が提供可能に制御される。例えば利用者が一般ユーザである患者である場合には、自身に関連する情報のみ閲覧可能としてもよい。なお、システムの仕様にも依存するが上記第一実施形態及び第二実施形態で説明した個別評価レポート及び比較評価レポートについても一般ユーザに対して公開してもよい。これにより、利用者は治療を行う医療機関を選択する際の判断材料として利用することができる。
【0091】
UI1900は、患者識別情報1901、患者関連情報1902、拠点関連情報1903、及びメニュー1904を含んで構成されうる。患者識別情報1901は、システムにログインした認証された患者を識別する情報である。ここでは、患者IDで表示されている。患者関連情報1902には、例えば、患者名と、使用された滅菌対象物に関する情報とが含まれる。滅菌対象物に関する情報には、使用日時、滅菌日時、PCD用CI結果、BI結果、物理的インジケータの結果、包装内CI結果、滅菌品質評価結果、及び病院名などが含まれる。
図19に示すように、患者関連情報1902に含まれる上記情報は、使用された滅菌対象物ごとに表示されうる。一画面で表示できない場合は、スクロール可能に表示される。例えば、利用者はユーザ端末18のタッチパネル式の液晶ディスプレイに対してスワイプ操作やフリック操作などにより患者関連情報1902をスクロールすることができる。これらは一例であって限定する意図はない。拠点関連情報1903は、患者が治療を行っている病院に各種情報を表示する領域であり、例えば感染に関する情報が表示される。メニュー1904は、当該表示部分をタップすることにより、例えばUI1200のタブ1101~1104を操作した場合と同様に、評価分析サーバ16によって提供されるサービスを選択することができたり、詳細設定等を行うことができたりする。
【0092】
<処理手順>
図20は、本実施形態に係る個人関連情報を出力する際の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、個人関連情報を出力するユースケースとして、ユーザ端末18を所有する一般ユーザである利用者(患者)がユーザ端末18を介して評価分析サーバ16にアクセスするケースについて説明する。以下で説明する処理は、例えば、評価分析サーバ16のCPU201がROM203やHDD204に格納された制御プログラムをRAM202に読み出して実行することにより実現される。なお、本処理は各拠点サーバ14やユーザ端末18、19で実行されてもよい。その場合は、必要な情報を評価分析サーバ16から取得する処理が追加される。以下で説明する”S”に続く番号はフローチャート内のステップ番号を示す。
【0093】
S301で、CPU201は、ユーザ端末18からのアクセスに応じて不図示のUIにより利用者の認証処理を実行する。具体的には、患者IDとパスワードの入力を要求するログイン画面に関する画面情報等をユーザ端末18へ通知し、当該ログイン画面を介して入力された情報に基づき、利用者の認証処理を実行する。利用者の認証については、データベース207に保持されうる利用者情報を参照することにより行われる。認証が成功するとS302に進む。
【0094】
S302で、CPU201は、患者関連情報1902や拠点関連情報1903が表示されていない状態のUI1900をユーザ端末18の表示部に表示させ、メニュー1904に対する操作を受け付け、個人関連情報の取得が要求されたか否かを判定する。要求された場合はS303に進み、その他の要求であればS305に進む。
【0095】
S303で、CPU201は、データベース207から取得した患者IDを検索キーとして、データベース207の蓄積情報のうち当該患者に関連する情報を取得する。さらに、CPU201は、患者が利用した拠点の関連情報、例えば当該拠点の拠点関連情報を取得する。続いて、S304で、CPU201は、S303で取得した情報に基づいて、例えばUI1900の患者関連情報1902及び拠点関連情報1903の表示出力を生成し、ネットワーク17を介してユーザ端末18へ送信して出力させ、処理を終了する。
【0096】
一方、S302でその他の要求であると判断すると、S305で、CPU201は、対応する処理、例えば、上記第一実施形態又は上記第二実施形態で説明した、個別評価レポートの出力や比較評価レポートの出力に関する処理を実行し、処理を終了する。
【0097】
以上説明したように、本実施形態に係るシステムは、システムの利用者により個人関連情報が要求されると、利用者に対して使用された前記滅菌対象物に関する評価結果を提供する。さらに、本システムは、利用者が利用した拠点に関する評価結果を提供する。このように、一般ユーザに対しても情報を公開することができ、当該利用者(患者)は自身に使用された滅菌対象物の情報を得ることができる。なお、一般ユーザに対してもそのアクセスレベルに応じて、上記実施形態で説明した個別評価レポートや比較評価レポートを提供してもよい。この場合、アクセスレベルに応じて、提供可能な評価項目を制限するようにしてもよい。このような情報も一般ユーザ向けに公開することにより、患者は利用する医療機関を選択する際の判断材料にすることができる。
【0098】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0099】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0100】
100:システム、1a、1b、1c:測定装置、13a、13b、13c:滅菌処理装置、14a、14b、14c:拠点サーバ、15a、15b、15c:PC、16:評価分析サーバ、17:ネットワーク、18、19:ユーザ端末