(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】流れる流体における超音波測定のための超音波測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20240216BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20240216BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G01F1/667 A
G01F1/66 B
H04R17/00 330G
H04R17/00 332
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019200128
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511081820
【氏名又は名称】レヴィトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マチェイ ボベール
(72)【発明者】
【氏名】エドガー ホフマン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-186069(JP,A)
【文献】特開2012-154894(JP,A)
【文献】特開2000-146643(JP,A)
【文献】特開平06-201425(JP,A)
【文献】実開昭56-053889(JP,U)
【文献】特開2012-027012(JP,A)
【文献】特表平06-501548(JP,A)
【文献】米国特許第04454767(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0234791(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0307424(US,A1)
【文献】国際公開第2018/132870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66-1/667
G01P 5/20-5/24
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ方向(A)を画定する中心軸線(M)を有する連続測定チャネル(3)を有する、閉鎖可能なハウジング(4)を有する、パイプにおいて流れる流体を測定するための超音波測定装置であって、
前記ハウジング(4)は、前記ハウジング(4)の閉鎖された状態において、前記測定チャネル(3)が前記パイプ(100)を受容することができ、且つそれを前記ハウジング(4)に対して固定することができて、前記流体が前記測定チャネル(3)を通って前記流れ方向(A)に流れることができるように、前記パイプ(100)に対する解放可能な取り付けのために設計され、
少なくとも4つの超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)、すなわち、少なくとも2つの第1の超音波トランスデューサ(11、12)及び2つの第2の超音波トランスデューサ(21、22)が、それぞれの超音波信号の発信及び受信のために前記ハウジング(4)に更に設けられ、前記第1の超音波トランスデューサ(11、12)は、第1の対のトランスデューサを形成し、前記2つの第1の超音波トランスデューサ(11、12)が互いに超音波信号を交換することができる第1の測定部分(81)を画定し、前記2つの第2の超音波トランスデューサ(21、22)は、第2の対のトランスデューサを形成し、前記2つの第2の超音波トランスデューサ(21、22)が互いに超音波信号を交換することができる第2の測定部分(82)を画定し、
前記超音波トランスデューサ(11、12、21、22)は、前記第1の測定部分(81)と前記第2の測定部分(82)との両方がそれぞれ前記流れ方向(A)に斜めに延伸するように更に配置及び整列され、
前記超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)は、前記測定チャネル(3)の前記中心軸線(M)及び前記第1の測定部分(81)によって画定される第1の測定面(M1)が、前記測定チャネル(3)の前記中心軸線(M)及び前記第2の測定部分(82)によって画定される第2の測定面(M2)とは異なるように配置及び整列されていることを特徴とする、超音波測定装置。
【請求項2】
少なくとも6つの超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)、すなわち、前記2つの第1の超音波トランスデューサ(11、12)、前記2つの第2の超音波トランスデューサ(21、22)、及び2つの第3の超音波トランスデューサ(31、32)が設けられ、前記第3の超音波トランスデューサ(31、32)は、第3の対のトランスデューサを形成し、前記2つの第3の超音波トランスデューサ(31、32)が互いに超音波信号を交換することができる第3の測定部分(83)を画定し、前記第3の超音波トランスデューサ(31、32)は、前記測定チャネル(3)の前記中心軸線(M)及び前記第3の測定部分(83)によって画定される第3の測定面(M3)が、前記第1の測定面(M1)とは異なり、或いは前記第2の測定面(M2)とは異なるように配置及び整列されている、請求項1に記載の超音波測定装置。
【請求項3】
前記第3の測定面(M3)は、前記第1の測定面(M1)とは異なり、且つ前記第2の測定面(M2)とは異なる、請求項2に記載の超音波測定装置。
【請求項4】
前記測定チャネル(3)は、前記ハウジング(4)の閉鎖された状態においてその中心軸線(M)に垂直にn角形断面を有し、n個のチャネル表面(35)によって境界付けられ、nは4以上の整数である、請求項1~3の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項5】
前記測定チャネル(3)は、前記ハウジング(4)の閉鎖された状態においてその中心軸線(M)に垂直にn角形断面を有し、n個のチャネル表面(35)によって境界付けられ、nは6に等しく、或いは8に等しい、請求項1~4の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)は、それらが少なくとも2つの異なる非平行チャネル表面(35)に超音波信号を印加することができるように配置及び整列されている、請求項4又は5に記載の超音波測定装置。
【請求項7】
前記超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)は、各対のトランスデューサがそれぞれ、異なるチャネル表面(35)に超音波信号を印加することができるように配置及び整列されている、請求項4~6の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)は、各トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)がそれぞれ、異なるチャネル表面(35)に超音波信号を印加することができるように配置及び整列されている、請求項4~7の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項9】
超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)の数は、チャネル表面(35)の数に等しい、請求項4~8の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項10】
前記2つの第3の超音波トランスデューサ(31、32)は、前記第3の測定部分(83)が前記測定チャネル(3)の前記中心軸線(M)に垂直に延伸するように配置及び整列されている、請求項2
又は3に記載の超音波測定装置。
【請求項11】
前記超音波トランスデューサ(11、12、21、22、31、32)のうちの少なくとも2つはそれぞれ、湾曲された発信及び受信表面を備える、請求項1~10の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項12】
前記超音波測定装置は、前記パイプ(100)、前記
ハウジング(4)の第1のハウジング部分(41)、及び前記
ハウジング(4)の第2のハウジング部分(42)で、締め付け接続のための締め付け装置として設計され、前記第1のハウジング部分(41)及び前記第2のハウジング部分(42)は、接合部によって関節式に互いに接続され、前記ハウジングの閉鎖された状態において前記測定チャネル(3)を共に境界付けている、請求項1~10の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【請求項13】
各対のトランスデューサの2つの超音波トランスデューサの一方は、前記第1のハウジング部(41)に配置され、他方は、前記第2のハウジング部(42)に配置されている、請求項12に記載の超音波測定装置。
【請求項14】
前記接合部(43)は、第1の接合部分(431)及び第2の接合部分(432)を備え、前記第1の接合部分(431)は、前記第1のハウジング部分(41)にトルク耐性があるように接続され、前記第2の接合部分(432)は、前記第2のハウジング部分(42)にトルク耐性があるように接続され、
前記第1の接合部分(431)及び前記第2の接合部分(432)は、少なくとも1つの信号線(11a、21a、31a)が前記第1のハウジング部分(41)から前記接合部分(431、432)の内部を通って前記第2のハウジング部分(42)に案内されることができるように設計及び配置されている、請求項12又は13に記載の超音波測定装置。
【請求項15】
前記測定チャネル(3)は、前記ハウジング(4)の閉鎖された状態において、入口領域(36)、中央領域(37)、及び出口領域(38)を有し、これらは、前記流れ方向(A)において見られる場合に互いに前後に配置され、前記入口領域(36)及び前記出口領域(38)はそれぞれ、前記中心軸線(M)に垂直に円形断面を有し、前記中央領域(37)は、前記中心軸線(M)に垂直にn角形断面を有し、nは4以上の整数であり、前記中央領域(37)の前記n角形断面は、前記入口領域(36)と前記出口領域(38)との両方の円形断面に連続的に融合する、請求項1~14の何れか一項に記載の超音波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に記載のパイプにおいて流れる流体を測定するための超音波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプにおいて流れる流体を測定するための超音波測定装置は、例えば、可撓性プラスチックホース等のパイプを通る流体の流れを決定するために使用される。測定装置が可撓性パイプに締め付けられることができ、又はパイプが測定装置によって締め付けられることができるように、測定装置を締め付け装置として設計することは既知の方策である。そして、流体が流れるパイプに超音波信号が印加される。パイプ及び流体を通過した後、超音波信号は超音波トランスデューサによって受信され、受信された信号が評価される。
【0003】
流れる流体のこの非侵襲的な測定方法は、例えば、流体が汚染されないように、流体と測定装置との間の接触が回避されるべきである、特にこのような高純度又は非常に敏感な流体のために使用される。製薬及びバイオテクノロジ産業はこの例である。ここでは、流体の純度及び/又は完全性において非常に高い要求を課す、溶液及び懸濁液が多くの場合に製造及び運搬される。多くの場合において、このような流体は更に無菌状態で処理される必要がある。このような流れる流体における非侵襲的測定を適用するための更なる例は、医療又は食品産業において見つけられることができる。半導体産業においては、流れる流体における非侵襲的測定がまた使用される。ここでは、測定される物質が多くの場合に化学的に非常に攻撃的であるという更なる側面があり、例えば、物質は、硫酸、塩酸、硝酸、アンモニア水のような酸又はアルカリである。
【0004】
高純度物質の非侵襲的測定に特に適するこのような超音波測定装置は、商品名LEVIFLOWで出願人によって提供及び配布されている、締め付け装置として設計される流量計である。この超音波測定装置は、関節接合部によって互いに接続される2つのハウジング部分を有する。開放された状態において、測定がなされる可撓性又は変形可能なパイプがハウジングに挿入される。そして、2つのハウジング部分は、パイプが締め付け接続によってハウジングに固定されるように、共に折り畳まれて共に締め付けられる。ハウジングには2つの超音波トランスデューサが設けられ、それらの各々が超音波信号を発信及び受信することができる。それによって、第1の超音波トランスデューサが締め付けられたパイプの一方の側に配置され、第2の超音波トランスデューサがパイプの他方の側に配置される。
【0005】
2つの超音波トランスデューサは、流体の流れ方向に対してオフセットして配置され、第1の超音波トランスデューサが第2の超音波トランスデューサによって発信される信号を受信することでき、第2の超音波トランスデューサが第1の超音波トランスデューサによって発信される信号を受信できるように整列される。互いに対するオフセットに起因して、2つの超音波トランスデューサは、それらがそれぞれ流体の流れ方向に斜めにそれらの超音波信号を発信するように整列され、一方の超音波トランスデューサは、流れ方向と同じ方向に斜めに信号を発信し、一方、他方の超音波トランスデューサは、流れ方向に逆らって斜めに信号を発信する。ここで、測定信号は、第1の超音波トランスデューサによって発信され、それは、第2の超音波トランスデューサによって受信され、そして、測定信号は、第2の超音波トランスデューサによって発信され、それは、第1の超音波トランスデューサによって受信される。
【0006】
流れ方向に斜めに発信される測定信号は流れにおいて加速され、流れ方向に逆らって斜めに発信される測定信号は流れによって減速される。2つの測定信号の通過時間差は、可撓性パイプを通る流量がこの通過時間差から検出されることができるように、流体の流速に比例する。
【0007】
X字型に配置された4つの超音波トランスデューサを有する、流体の非侵襲的流量測定のための超音波測定装置がまた既知である。測定原理は同じである。4つの超音波トランスデューサは、2つの対を形成し、各対は互いに超音波信号を交換することができる。超音波トランスデューサは、超音波信号が流れ方向に斜めに発信されるように配置され、各対は、流れ方向において及び流れ方向に逆らって測定することができる。そして順に、流量が、通過時間差から決定されることができる。
【0008】
これらのタイプの超音波測定装置は実際に実証されているが、更に高い要件、例えば、測定の精度又は測定の再現性に対して、まだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、この従来技術から出発して、本発明の目的は、パイプにおいて流れる流体を測定するための超音波測定装置を提案することであり、それは、流体における音の伝播に依存するパラメータの非常に正確な検出を可能にする。特に、超音波測定装置はまた、流体の流量を検出するために適する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を満たす本発明の主題は、独立特許請求項の機構によって特徴付けられる。
【0011】
本発明によれば、流れ方向を画定する中心軸線を有する連続測定チャネルを有する閉鎖可能なハウジングを有する、パイプにおいて流れる流体を測定するための超音波測定装置が提案され、ハウジングは、ハウジングの閉鎖された状態において、測定チャネルがパイプを受容することができ、且つそれをハウジングに対して固定することができて、流体が測定チャネルを通って流れ方向に流れることができるように、パイプに対する解放可能な取り付けのために設計され、少なくとも4つの超音波トランスデューサ、すなわち、少なくとも2つの第1の超音波トランスデューサ及び2つの第2の超音波トランスデューサが、それぞれの超音波信号の発信及び受信のためにハウジングに更に設けられ、第1の超音波トランスデューサは、第1の対のトランスデューサを形成し、2つの第1の超音波トランスデューサが互いに超音波信号を交換することができる第1の測定部分を画定し、2つの第2の超音波トランスデューサは、第2の対のトランスデューサを形成し、2つの第2の超音波トランスデューサが互いに超音波信号を交換することができる第2の測定部分を画定し、超音波トランスデューサは、第1の測定部分と第2の測定部分との両方がそれぞれ流れ方向に斜めに延伸するように更に配置及び整列され、超音波トランスデューサは、測定チャネルの中心軸線及び第1の測定部分によって画定される第1の測定面が、測定チャネルの中心軸線及び第2の測定部分によって画定される第2の測定面とは異なるように配置及び整列される。
【0012】
この結果、本発明による超音波測定装置は、少なくとも4つの超音波トランスデューサを備え、2つの超音波トランスデューサはそれぞれ、流れ方向に斜めに超音波信号を交換することができる一対のトランスデューサを形成する。これは、一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサがそれぞれ、一対のトランスデューサのうちの一方の超音波トランスデューサが同じ対のトランスデューサのうちの他方の超音波トランスデューサによって発信される信号を受信することができ、逆に、他方の超音波トランスデューサが、一方の超音波トランスデューサによって発信される信号を受信することができるように配置及び整列されることを意味する。そうすることで、既に上記で議論されたように、流れ方向に斜めに発信された測定信号が受信されることができ、流れ方向に逆らって斜めに発信された測定信号が受信されることができる。そして、流体の流速は、これらの2つの測定信号の通過時間差から検出されることができる。
【0013】
本発明によれば、超音波トランスデューサが2つの異なる測定面に配置されるという事実に起因して、測定チャネルは、全てのトランスデューサが1つの測定面にのみ配置される、従来技術から既知である装置よりはるかにより良好に又ははるかに均一に超音波で印加されることができる。測定チャネルは、本発明による超音波測定装置で少なくとも非常に良好な近似において超音波で完全に印加されることができ、大幅により正確でまたより良好な再現性の測定をもたらす。このようにして、例えば、局所的な渦の蓄積によって引き起こされる場合のある、例えば、測定チャネルにおける不均一な流れ状態の妨害的な影響は、完全に除去されない場合であっても、少なくとも大幅に低減される。この結果、測定体積全体への超音波信号の少なくともほぼ完全な印加が、大幅により正確で信頼性のある測定につながる。この目的のために、超音波トランスデューサが少なくとも2つの異なる測定面に配置されることが重要な側面である。
【0014】
測定面は、測定チャネルの中心軸線及び測定部分の方向ベクトルによって画定される平面を参照する。所与の超音波トランスデューサのために、関連する測定部分の方向ベクトルは、通常、超音波トランスデューサの発信及び受信領域の中心における表面法線である。この方向ベクトルは、超音波トランスデューサよって発信される超音波信号の主伝播方向を指す、超音波トランスデューサの音ベクトルと同じ方向に延伸する。そして、共に一対のトランスデューサを形成する、2つの超音波トランスデューサが測定チャネルの異なる側に配置される場合、すなわち、測定チャネルの中心軸線がこれらの2つの超音波トランスデューサの間に配置される場合、中心軸線と共に関連する測定面を画定する、関連する測定部分は、2つの超音波トランスデューサの発信及び受信表面の中心の間の接続線である。
【0015】
4つの超音波トランスデューサが設けられるものを含む、従来技術から既知である配置は、単一の測定面のみを使用し、それは、多くの場合に、測定チャネルにおいて、超音波で非常に弱く印加される領域のみ、又は超音波で全く印加されない領域があるので、測定チャネルの体積がそれぞれの測定中に超音波で完全に印加されないことを意味する。従って、超音波センサが少なくとも2つの異なる測定面において測定する本発明による配置は、測定チャネルへの超音波の大幅により良好でより均一な印加を可能にし、この結果、はるかにより正確で安定した信頼性のある測定を可能にする。
【0016】
好ましい実施形態によれば、少なくとも6つの超音波トランスデューサ、すなわち、2つの第1の超音波トランスデューサ、2つの第2の超音波トランスデューサ、及び2つの第3の超音波トランスデューサが設けられ、第3の超音波トランスデューサは、第3の対のトランスデューサを形成し、2つの第3の超音波トランスデューサが互いに超音波信号を交換することができる第3の測定部分を画定し、第3の超音波トランスデューサは、測定チャネルの中心軸線及び第3の測定部分によって画定される第3の測定面が、第1の測定面とは異なり、或いは第2の測定面とは異なるように配置及び整列される。
【0017】
三対のトランスデューサを形成する少なくとも6つの超音波トランスデューサを使用することによって、測定の精度及び信頼性を更に向上させることができる。
【0018】
この実施形態では、第3の測定面が、第1の測定面とは異なり、且つ第2の測定面とは異なる場合が特に好ましい。これは、互いに異なる3つの異なる測定面が測定され、それは、測定チャネルへの超音波の特に良好で均一な印加を可能にすることを意味する。
【0019】
好ましい実施形態によれば、測定チャネルは、ハウジングの閉鎖された状態においてその中心軸線に垂直にn角形断面を有し、n個のチャネル表面によって境界付けられ、nは4以上の整数である。
【0020】
測定チャネルのn角形断面に起因して、測定チャネルは、平坦な、つまり、湾曲していない表面、すなわち、n個のチャネル表面によって専ら境界付けられる。これは、ハウジングを閉鎖した後、測定チャネルに挿入されたパイプがチャネル表面と可能な限り完全に接触することを意味する。これは、パイプと測定チャネルのチャネル表面との間の空気で満たされる空の空間が最小化されることができ、又は完全に回避されることさえできるという利点を有する。空気は非常に貧弱な超音波導体であるので、このような空気体積を回避することによって測定精度を向上させることができる。加えて、平坦な、すなわち、湾曲していないチャネル表面は、超音波が本質的に平担な表面にのみ遭遇し、湾曲された表面又は境界面には遭遇しないので、測定チャネルへのそれぞれの超音波信号のより単純な又はより良好な供給を可能にする。更に、レンズ効果がまた回避され、超音波信号若しくは超音波ビームの信号を通過させる境界面における散乱又は集束は、少なくとも大幅に低減され、又は完全に回避さえされる。
【0021】
nが4に等しい場合には、すなわち、測定チャネルがその中心軸線に垂直に正方形断面を有する場合には、測定チャネルは、ハウジングが開放される場合にパイプがV字形断面に挿入されることができるように好ましくは設計される。これは、測定チャネルが、ハウジングが開放される場合に、それが最大の可能な開口部をパイプが挿入されるために提供するように設計されることを意味する。ハウジングが開放される場合にパイプが測定チャネルのU字形断面に挿入される必要がある正方形設計とは対照的に、V字形設計は挿入をはるかに容易にする。パイプが測定チャネルのU字形断面に挿入される必要がある場合には、これは、通常、パイプの好ましくない非対称な変形を生じさせ、不均一な流れ状態をもたらす場合がある。ハウジングの開放された状態におけるV字形設計では、パイプが垂直に整列されたチャネル表面に沿って摺動する必要があることがまた回避されることができる。
【0022】
測定チャネルがn角形断面(nは4より大きい)で設計される場合には、隣接するチャネル表面の間の開放角度は、正方形の測定チャネルのV字形設計と同じ利点がここで生じるようにそれぞれ90°より大きい。
【0023】
特に好ましい実施形態によれば、測定チャネルは、ハウジングの閉鎖された状態においてその中心軸線に垂直にn角形断面を有し、n個のチャネル表面によって境界付けられ、nは6に等しく、或いは8に等しい。測定チャネルの六角形又は八角形設計によって、測定における妨害壁波の悪影響を少なくとも大幅に低減させることができる。このような壁波は、測定チャネルを通過することなく発信する超音波トランスデューサから受信する超音波トランスデューサに、ハウジングの壁又は測定チャネルを境界付ける壁を通過する音響信号である。このような壁波は干渉信号を表し、測定の精度及び信頼性に悪影響を及ぼす。測定チャネルの六角形又は八角形の形状で、この干渉を少なくとも大幅に低減させることができる。
【0024】
超音波トランスデューサは、それらが少なくとも2つの異なる非平行チャネル表面に超音波信号を印加することができるように好ましくは配置及び整列される。これは、測定チャネルへの超音波の可能な限りの完全な印加のために特に有利である。この配置においては、各測定面はチャネル表面の1つに垂直である。
【0025】
測定体積への超音波の可能な限りの完全な印加に関して、超音波トランスデューサが、各対のトランスデューサがそれぞれ、異なるチャネル表面に超音波信号を印加することができるように配置及び整列される場合に有利である。そして、例えば、6つの超音波トランスデューサでの設計の場合には、合計3つの異なるチャネル表面が超音波で印加される。好ましくは、これらの3つのチャネル表面の何れも、これらの3つのチャネル表面の他の何れとも平行ではない。
【0026】
超音波トランスデューサが、各トランスデューサがそれぞれ、異なるチャネル表面に超音波信号を印加することができるように配置及び整列されることが更なる有利な方策である。そして、超音波で印加されるチャネル表面の数は、超音波トランスデューサの数に等しい。1つの可能な配置は、一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサがそれぞれ、平行なチャネル表面に超音波信号を印加することである。
【0027】
好ましい実施形態によれば、超音波トランスデューサの数は、チャネル表面の数に等しい。しかし、これは必要な場合ではない。
【0028】
2つの第3の超音波トランスデューサが、第3の測定部分が測定チャネルの中心軸線に垂直に延伸するように配置及び整列されることが更に好ましい方策である。この結果、第3の測定部分は、流れ方向に垂直に進行する測定信号を発信及び受信するために使用されることができる。これは、この測定信号の通過時間が少なくとも非常に良好な近似においてパイプにおける流体の流速に依存しないという利点を有する。この結果、この測定信号は、流体における音速又は音響減衰に依存する、流体のパラメータを検出するために使用されることができる。そうすることで、測定装置の柔軟性及び可能な用途が大幅に増加する。加えて、通過時間における変化及び/又は流れの方向に垂直に進行する測定信号の減衰における変化が、流体における変化、例えば、流体の成分の濃度における変化を検出するために使用されることができる。
【0029】
このような実施形態は、少なくとも2つの超音波トランスデューサがそれぞれ湾曲された発信及び受信表面を装備することがまた可能である。この目的のために、超音波トランスデューサはリングセグメントとして設計され、さもなければ湾曲されることができる。
【0030】
超音波測定装置は、パイプ、第1のハウジング部分、及び第2のハウジング部分で、締め付け接続のための締め付け装置として特に好ましくは設計され、第1のハウジング部分及び第2のハウジング部分は、接合部によって関節式に互いに接続され、ハウジングの閉鎖された状態において測定チャネルを共に境界付ける。そして、開放された状態においては、パイプは測定チャネルに挿入されることができる。そして、2つのハウジング部分は、この閉鎖された状態において超音波測定装置がパイプに締め付けられるように、単に共に折り畳まれて共にロックされ、それによって、パイプはハウジングに対して固定される。
【0031】
好ましい実施形態によれば、各対のトランスデューサの2つの超音波トランスデューサの一方はそれぞれ、第1のハウジング部に配置され、2つの超音波トランスデューサの他方は、第2のハウジング部に配置される。この実施形態においては、各対のトランスデューサの2つの超音波トランスデューサの一方はそれぞれ、測定チャネルの一方の側に横方向に配置され、2つの超音波トランスデューサの他方は測定チャネルの他方の側に横方向に配置されて、測定チャネルの中心軸線は、一対のトランスデューサのこれらの2つの超音波トランスデューサの間に延伸する。
【0032】
特にこの実施形態においては、接合部が、第1の接合部分及び第2の接合部分を備え、第1の接合部分が、第1のハウジング部分にトルク耐性があるように接続され、第2の接合部分が、第2のハウジング部分にトルク耐性があるように接続され、第1の接合部分及び第2の接合部分が、少なくとも1つの信号線が第1のハウジング部分から接合部分の内部を通って第2のハウジング部分に案内されることができるように設計及び配置されることが好ましい。
【0033】
別の実施形態によれば、全ての超音波トランスデューサは第1のハウジング部分に配置され、又全ての超音波トランスデューサは第2のハウジング部分に配置される。そして、一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサはそれぞれ、反射を介して超音波信号を交換する。例えば、第1の超音波トランスデューサの一方は、チャネル表面の1つに流れ方向に斜めに第1の測定部分に沿って測定信号を発信する。測定信号は、測定チャネルを流れ方向に斜めに、例えば、流れ方向において斜めに通過し、反対側のチャネル表面において反射され、そして、2つの第1の超音波トランスデューサの他方に到達する。そして、これはまた、流れ方向に逆らって斜めに進み、反対側のチャネル表面において反射され、そして、2つの第1の超音波トランスデューサの最初に言及されたものによって受信される、測定信号を発信することができる。
【0034】
この点において、超音波信号が反射されるこれらのチャネル表面に追加の反射器を設けることがまた可能である。
【0035】
勿論、少なくとも一対のトランスデューサが反射を介して互いに超音波信号を交換し、別の対のトランスデューサが互いに直接、すなわち、それらの間で反射することなく超音波信号を交換する、これらの2つの実施形態の混合形態がまた可能である。
【0036】
別の好ましい方策は、ハウジングの閉鎖された状態において、測定チャネルが、入口領域、中央領域、及び出口領域を有し、これらは、流れ方向において見られる場合に互いに前後に配置され、入口領域及び出口領域はそれぞれ、中心軸線に垂直に円形断面を有し、中央領域は、中心軸線に垂直にn角形断面を有し、nは4以上の整数であり、中央領域のn角形断面は、入口領域と出口領域との両方の円形断面に連続的に融合することである。
【0037】
入口領域と出口領域との両方の円形断面から測定がなされる中央領域のn角形断面への円周方向の滑らかな移行に起因して、測定チャネルに挿入されるパイプの断面における急激な変化が回避される。これは、測定チャネルにおける測定体積の特に均一な流れをもたらす。全ての部分的な流れベクトルは、超音波トランスデューサを通過する順序付けられた経路において案内される。滑らかな断面の変化に起因して、測定チャネルにおける望ましくない乱流又はその他の好ましくない流れ状態が回避される。
【0038】
例えば、パイプを通って流れる流体の超音波測定のために、例えば、
- パイプを超音波測定装置の測定チャネルに挿入するステップ
- パイプが測定チャネルにおいて受容され、ハウジングに対して固定されるように、超音波測定装置のハウジングをパイプに取り付けるステップ
- 少なくとも4つの超音波トランスデューサによって測定信号を発信及び受信するステップ
- 受信される測定信号を評価ユニットに送信するステップ
- 受信される測定信号によって、流体における音の伝播に依存する少なくとも1つのパラメータを検出するステップ
のような手順がある。
【0039】
好ましくは、パラメータは、測定信号の通過時間若しくは2つの測定信号の通過時間差によって、又は測定信号の減衰によって検出される。測定信号の減衰と通過時間との両方が考慮されることができるという事実に起因して、用途範囲が拡張される。加えて、そのパラメータ又はあるパラメータを検出するために、測定信号の周波数又は周波数シフトを使用することがまた可能である。測定信号の周波数シフトは、例えば、ドップラー効果によって引き起こされることができる。
【0040】
例えば、パイプを通る流体の流量、流体の成分の体積又は質量分率、流体中に含有される成分の濃度、流体中での固形分、流体の光学密度、流体中での細胞密度、流体の粘度、流体の物理的密度、流体中でのガス濃度、流体の組成における変化の1つ以上のパラメータが検出される。
【0041】
ここで具体的な例として、体積パーセントでの流体中のアルコール濃度、例えば、メタノール濃度、体積パーセントでの流体中の水酸化ナトリウム(NaOH)濃度、生物流体中での1リットル当たりのグラム数での酵素又はタンパク質濃度、例えば、水中でのウシ血清アルブミン(BSA)又は別のグロブリンの濃度、懸濁液(スラリー)、例えば、水中のシリカ(SiO2)の懸濁液中での固形分、又は通常、光学密度、例えば、600nmの波長の大腸菌細胞懸濁液中での光学密度OD600によって決定される、バイオリアクタ中での細胞密度が言及されてもよい。
【0042】
本発明の更なる有利な測定及び実施形態は、従属請求項から生じる。
【0043】
以下において、本発明が、実施形態を参照して及び図面を参照して、装置及びプロセス技術に関してより詳細に説明される。図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明による超音波測定装置のハウジングの設計の実施形態である。
【
図2】本発明による超音波測定装置の第1の実施形態の概略斜視図である。
【
図3】測定面を明確にするための第1の実施形態の更なる図である。
【
図4】概略図での測定チャネルの設計のための一変形である。
【
図5】概略図での測定チャネルの設計のための一変形である。
【
図6】概略図でのパイプの設計のための一変形である。
【
図7】
図3に類似する図における、本発明による超音波測定装置の第2の実施形態の概略図である。
【
図8】
図2に類似する図における、本発明による超音波測定装置の第3の実施形態の概略図である。
【
図9】第3の対のトランスデューサの設計のための一変形である。
【
図10】第1及び第2の対のトランスデューサの設計のための一変形である。
【
図11】
図2に類似する図における、本発明による超音波測定装置の第4の実施形態の概略図である。
【
図13】測定チャネルの入口領域及び出口領域の好ましい設計である。
【
図14】測定チャネルにおける超音波トランスデューサの好ましい配置である。
【
図15】超音波トランスデューサ間の異なる測定経路の図である。
【
図16】測定信号を生成するための一パルスシーケンスの図である。
【
図17】測定信号を生成するための一パルスシーケンスの図である。
【
図18】測定信号を生成するための一パルスシーケンスの図である。
【
図19】測定信号を生成するための一パルスシーケンスの図である。
【
図20】測定信号を生成するための一パルスシーケンスの図である。
【
図21】測定信号を生成するための一パルスシーケンスの図である。
【
図22】接合部の回転軸線を通る断面における2つのハウジング部品の関節接続の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明による超音波測定装置のハウジングの設計の実施形態を斜視図で示す。この例示的な設計は、以下で説明する全ての実施形態及びそれらの変形のために使用されることができる。超音波測定装置は、全体として参照符号1で指定され、超音波測定装置1のハウジングは、参照符号4で指定される。
【0046】
超音波測定装置1は、好ましくは、パイプ100との締め付け接続のための締め付け装置として設計され、すなわち、超音波測定装置1のハウジング4は、パイプ100がハウジング4に対して固定されるようにパイプ100に締め付けられることができる。
図1に示されるハウジング4の基本設計は、それ自体、例えば、LEVIFLOWという商品名で出願人によって提供及び販売される超音波流量計から既知である。
【0047】
以下において、パイプ100は、可撓性のパイプ100、すなわち、その壁101が変形可能であるパイプ100である、実際に特に重要である場合が参照される。可撓性のパイプ100は、例えば、シリコーンゴム又はPVCで作られたプラスチックホースである。勿論、パイプ100はまた、他の材料で作られることができ、特に別のプラスチック又はゴムで作られることができる。パイプ100はまた、より硬い材料で作られることができるが、パイプ100は、変形可能である必要がある。特に、A10~D93のショア硬度を有するようなパイプ100が適する。
【0048】
ハウジング4は、閉鎖可能なハウジング4として設計され、関節接合部43によって互いに接続される、第1のハウジング部分41及び第2のハウジング部分42を備える。
図1は、開放された状態のハウジング4を示す。ハウジング4は、ハウジング4全体を通って延伸し、パイプ100を受容するために役立つ連続的に中央に配置された測定チャネル3を更に有する。測定チャネル3は、流体がパイプ100又はハウジング4を通って流れる流れ方向Aを画定する中心軸線Mを有する。
【0049】
測定チャネル3は、通常、流れ方向Aにおいて視た場合に互いに前後に配置されている、入口領域36、中央領域37、及び出口領域38を有する。
【0050】
ハウジング4は、ハウジング4を閉鎖し、この結果、測定チャネル3においてパイプ100を締め付けるために閉鎖機構44を更に有する。ここで、閉鎖機構44は、第1のハウジング部分41に配置され、ブラケット46、及びブラケット46を引っ張るための折り畳みストラップ45を備える。パイプ100は、測定チャネル3に挿入にされ、そして、2つのハウジング部分41、42は共に折り畳まれ、すなわち、第1のハウジング部分41はパイプ100上に折り畳まれる。ブラケット46は、第2のハウジング部分42における突起47と係合され、2つのハウジング部分41、42は、ストラップ45を作動させることによって共に引っ張られる。そして、ハウジング4は、パイプ100が測定チャネル3において締め付けられ、この結果、ハウジング4に対して固定される、その閉鎖された状態にある。測定チャネル3の断面及びパイプ100の断面の形状に応じて、ハウジング4が閉鎖される場合に、パイプ100は変形されることが可能であり、望ましく、これは下記で議論される。
【0051】
第1の挿入部51が、第1のハウジング部分41に設けられ、それは、その全長に亘って測定チャネル3の一方の半分を境界付ける。第2の挿入部52が、第2のハウジング部分42に設けられ、その全長に亘って測定チャネル3の他方の半分を境界付ける。ハウジング4の閉鎖された状態においては、第1の挿入部51及び第2の挿入部52の対向する表面は、互いの上部にあり、そして、パイプ100が挿入される測定チャネル3を共に境界付ける。
【0052】
示されない接続ケーブルのための接続部48がハウジング4に設けられ、それで、ハウジング4は、
図1に示されない制御装置10(
図2)に接続されることができる。勿論、制御装置10はハウジング4に組み込まれるような設計がまた可能である。測定信号の評価はハウジング4において行われ、そして、評価によって検出されるパラメータは接続部48を介して出力される。接続部48はまた、超音波測定装置1の電源のために役立つ。
【0053】
流体が超音波測定装置1を通って流れる流れ方向を画定する、マーキング要素49がまたハウジング4に設けられることができる。
図1に示す実施形態においては、マーキング要素49は、ストラップ45に配置され、流れ方向Aを指す矢印として設計される。そして、パイプ100は、流体が測定チャネル3を通って矢印49の方向に流れるように測定チャネル3に挿入される。
【0054】
図2は、本発明による超音波測定装置の第1の実施形態を概略的な斜視図で示す。より良好な概観の理由のために
図2には示されない超音波測定装置1のハウジング4は、特に
図1において説明されるように設計されることができる。測定チャネル3又はそれを円周方向に境界付ける領域のみが
図2に示される。より良好に理解するために、
図3は、測定チャネル3の中心軸線Mに対する方向における図において、第1の実施形態の非斜視図を更に示す。
【0055】
この第1の実施形態においては、合計6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32、すなわち、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12、2つの第2の超音波トランスデューサ21、22、及び2つの第3の超音波トランスデューサ31、32が、それぞれ超音波信号の発信及び受信のためにハウジング4に設けられる。ハウジング4の閉鎖された状態においては、全ての超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、第1のハウジング部分41の第1の挿入部51若しくは第2のハウジング部分42の第2の挿入部52の上に又はその中に測定チャネル3に対して横方向に配置される。
【0056】
第1の超音波トランスデューサ11、12は、第1の対のトランスデューサを形成し、第1の測定部分81を画定し、それを介して、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12は、互いに超音波信号を交換することができる。
【0057】
第2の超音波トランスデューサ21、22は、第2の対のトランスデューサを形成し、第2の測定部分82を画定し、それを介して、2つの第2の超音波トランスデューサ21、22は、互いに超音波信号を交換することができる。
【0058】
第3の超音波トランスデューサ31、32は、第3の対のトランスデューサを形成し、第3の測定部分83を画定し、それを介して、2つの第3の超音波トランスデューサ31、32は、互いに超音波信号を交換することができる。
【0059】
より良好な概観のために、
図2及び
図3においては、第1の測定部分81及び第2の測定部分82はそれぞれ破線で示され、第3の測定部分83は点線で示され、
図2においては、測定チャネル3の中心軸線Mは一点鎖線で示される。
【0060】
各対のトランスデューサのために、対のトランスデューサによって画定される測定部分81、82、又は83は、超音波信号が、この超音波信号を発信した一方の超音波トランスデューサ、例えば11、21、又は31からこの超音波信号を受信する同じ対のトランスデューサの他方の超音波トランスデューサ12、22、又は32に通過するように進む部分である。通常、与えられた超音波トランスデューサ11若しくは12又は21若しくは22又は31若しくは32のために、関連する測定部分81、82、又は83は、この超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の発信及び受信表面の中心における表面法線である方向ベクトルによって画定される。この方向ベクトルは、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって発信される超音波信号の主伝搬方向を指す、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の音ベクトルと同じ方向に延伸する。
【0061】
各対のトランスデューサの一方の超音波トランスデューサ11、21、及び31は、それぞれ第1のハウジング部分41に配置され、他方の超音波トランスデューサ12、22、又は32は、第2のハウジング部分42に配置される。これは、各対のトランスデューサが、測定チャネル3又は測定チャネル3の中心軸線Mがそれぞれ2つの第1の超音波トランスデューサ11、12の間、2つの第2の超音波トランスデューサ21、22の間、及び2つの第3の超音波トランスデューサ31、32の間に位置するように配置されることを意味する。
【0062】
共に一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサ11、21又は21、22又は31、32が測定チャネル3の異なる側に配置される、この配置においては、すなわち、測定チャネル3の中心軸線Mがこれらの2つの超音波トランスデューサの間に配置される場合には、それぞれの関連する測定部分81、82、83は、各々が一対のトランスデューサを形成する、2つの超音波トランスデューサの発信及び受信表面の中心の間の接続線である。
【0063】
更に、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、第1の測定部分81、第2の測定部分82、及び第3の測定部分83の全てがそれぞれ流れ方向Aに斜めに、すなわち、ゼロ度でも90度でもない角度で延伸するように配置及び整列される。2つの第1の超音波トランスデューサ11及び12は、測定チャネル3の中心軸線Mに対して、すなわち、流れ方向Aにおいて視た場合にオフセットして配置される。同じことが2つの第2の超音波トランスデューサ21、22及び2つの第3の超音波トランスデューサ31、32に同様に当てはまる。この結果、各測定部分81、82、83において、それぞれ、1回の測定が流れ方向Aにおいて斜めに、1回の測定が流れ方向Aに逆らって斜めに行われることができる。
【0064】
ハウジング4の閉鎖された状態においては、測定チャネル3は、好ましくは正六角形の形態で、その中心軸線Mに垂直に六角形断面を有する。この結果、測定チャネル3は、ハウジング4の閉鎖された状態において合計6つのチャネル表面35によって境界付けられる。六角形断面が好ましい実施形態であるが、例として理解されるべきであることは明らかである。以下で説明されるように、断面の他の形がまた測定チャネル3に適する。
【0065】
本発明によれば、超音波測定装置1の超音波トランスデューサは、少なくとも2つの異なる測定面M1、M2、M3が超音波信号によって測定されることができるように配置され、それは、第1の実施形態を使用して以下に詳細に説明される。
【0066】
第1の実施形態においては、合計3つの測定面M1、M2、及びM3が設けられる。各測定面M1、M2、M3はそれぞれ、測定チャネル3の中心軸線M及び測定部分81、82、83の1つによって画定される。
【0067】
第1の測定面M1は、測定チャネル3の中心軸線M及び第1の測定部分81によって画定され、すなわち、中心軸線M及び第1の測定部分81の方向ベクトルは、第1の測定面M1に及ぶ。第2の測定面M2は、測定チャネル3の中心軸線M及び第2の測定部分82によって画定され、すなわち、中心軸線M及び第2の測定部分82の方向ベクトルは、第2の測定面M2に及ぶ。第3の測定面M3は、測定チャネル3の中心軸線M及び第3の測定部分83によって画定され、すなわち、中心軸線M及び第3の測定部分83の方向ベクトルは、第3の測定面M3に及ぶ。
【0068】
測定チャネル3の中心軸線Mは、この結果、測定面M1、M2、M3の各々に位置し、この結果、全ての測定面M1、M2、M3の交線を形成する。
【0069】
超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32を少なくとも2つ(ここでは3つ)の異なる測定面M1、M2、M3に配置することによって、測定チャネル3における測定体積全体に対する、超音波信号の特に良好で均質且つ少なくともほぼ完全な印加が達成されることができ、測定の精度、信頼性、再現性を大幅に向上させる。
【0070】
図2及び
図3から明らかに見られることができるように、第1の実施形態においては、全ての3つの測定面M1、M2、M3は互いに異なり、それは測定体積に対する超音波の完全な印加に関して特に有利である。しかし、2つの測定面のみが提供されることが可能な実施形態、例えば、4つの超音波トランスデューサのみを有する実施形態(例えば、
図7を参照)、又は1つの測定面のために3つ以上の超音波トランスデューサが提供される実施形態がまたある。
【0071】
測定チャネル3がその中心軸線Mに垂直に六角形断面を有し、6つのチャネル表面35によって境界付けられる第1の実施形態においては、6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32が、各超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32が異なるチャネル表面35に超音波信号を印加することができるように配置及び整列される。
図3において特に明らかに見られることができるように、6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、6つの平坦なチャネル表面35の各々が厳密に6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32のうちの1つによって超音波信号で印加されることができるように円周方向に対して測定チャネル3の周りに配置される。
【0072】
特に、六角形断面はまた、それぞれのチャネル表面35が直角ではなく鈍角で挿入部51、52の表面に開いているので(
図1をまた参照)、パイプ100がハウジング4の開放された状態において測定チャネル3に特に容易に挿入されることができるという利点を有する。隣接するチャネル表面35が互いに対して当接する角度αがそれぞれまた、鈍角、すなわち、90°より大きい。
【0073】
超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の各々はそれぞれ、信号線11a、12a、21a、22a、31a、又は32aを介して制御装置10と信号接続される。それぞれの信号線11a、12a、21a、22a、31a、又は32aを介して、制御装置10は、超音波信号を発信するための超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32を作動させ、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32から受信された信号を受信する。超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって受信された測定信号は、制御装置10に統合されることができる評価ユニット20に送信される。受信された測定信号は、評価ユニット20で分析され、流体における音の伝播、音速、又は音の減衰に依存する少なくとも1つのパラメータが検出される。特に、パイプ100における流体の流速が検出されることができる。既に言及されたように、制御装置10が超音波測定装置1のハウジング4に評価ユニット20と共に配置されるような実施形態がまた可能である。
【0074】
より良好な概観の理由のために、評価ユニット20を有する制御装置10及び信号線11a、12a、21a、22a、31a、32aは、
図3に再び示されない。
【0075】
超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、それ自体既知の任意の方法で、特に圧電トランスデューサとして設計されることができる。典型的には、超音波信号の周波数は、100kHz~20MHzの範囲、又は30MHzまでである。超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、例えば、
図2及び
図3に示されるように長方形又は正方形の発信又は受信表面で、又は
図8に示されるように、例えば、丸い発信及び受信表面で設計されることができる。超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、特にセラミック要素として設計されることができる。しかし、フィルム状の発信及び受信表面を有する超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32を設計することがまた可能である。発信及び受信表面がフィルムとして設計される場合には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)のような強力な圧電効果を有するポリマーが特に適する。
【0076】
各々が一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサ11、12又は21、22又は31、32が異なるチャネル表面35に配置される場合、それらはそれぞれ、好ましくは、典型的には圧電結晶によって形成されるそれらの発信及び受信表面が互いに平行であるように配置及び整列される。
【0077】
既に言及されたように、3つの測定部分81、82、83の全てはそれぞれ、3つの測定部分81、82、83の各々における全ての超音波信号の主伝播方向が、ゼロとは異なる流れ方向Aの成分、及びゼロとは異なる流れ方向Aに垂直な成分を有するように流れ方向Aに斜めに延伸する。
【0078】
例えば、パイプ100を通る流体の流量を決定するための手順は以下の通りである。パイプ100がハウジング4に挿入され、ハウジング4が閉鎖された後、流体は超音波測定装置1を通って流れる。
【0079】
一方の第1の超音波トランスデューサ12は、第1の測定部分81に沿って流れ方向Aに斜めに、他方の第1の超音波トランスデューサ11によって受信される超音波信号を発信する。続いて、この超音波トランスデューサ11は、第1の測定部分に沿って逆方向に、この結果、流れ方向Aに逆らって斜めに、第1の超音波トランスデューサ12によって受信される超音波信号を発信する。それぞれの受信された超音波信号は、2つの第1の超音波トランスデューサ11又は12からそれぞれの信号線11a又は12aを介して、測定信号として評価ユニット20に送信される。同様に同一の信号交換が、2つの第2の超音波トランスデューサ21、22の間、及び2つの第3の超音波トランスデューサ31、32の間で行われる。それぞれの受信された超音波信号は、2つの第2及び第3の超音波トランスデューサ21、22、31、32からそれぞれの信号線21a、22a、31a、32aを介して、測定信号として評価ユニット20に送信される。
【0080】
この結果、評価ユニット20は、合計6つの受信された測定信号を受信し、そのうちの3つは、流れる流体を流れ方向Aにおいて斜めに通過し、そのうちの3つは、流れる流体を流れ方向Aに逆らって斜めに通過する。
【0081】
評価ユニット20において、流れる流体によって加速されたそれらの測定信号と、流れる流体によって減速されたそれらの測定信号との間の送信時間差が検出される。流れ方向Aにおける測定信号と流れ方向Aに逆らう測定信号との間のこの送信時間差は、パイプ100における流体の流速に直接依存する。この結果、流速、この結果パイプ100を通る流体の流量は、送信時間差から検出されることができる。
【0082】
特別な利点は、3つの独立した測定がそれぞれ、流れ方向Aにおいて、及び流れ方向Aに逆らって実行されることである。これが、流量の決定の精度及び信頼性を大幅に向上させる。超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32がまた、測定チャネル3の周りに配置され、3つの異なる測定面M1、M2、M3において測定するので、測定チャネル3における測定体積は完全に超音波信号で印加される。これは更に、測定の信頼性及び再現性を向上させる。特に、測定チャネル3における流れの不均一性の影響が大幅に減少する。
【0083】
図4及び
図5においては、測定チャネル3の設計のための2つの変形が概略図で示される。理解するために充分であるように、これらの図には超音波トランスデューサは示されない。
図4及び
図5の各々において、ハウジング4は、完全に開放されておらず、完全に閉鎖されていない中間状態で示される。
【0084】
図4に示される一変形においては、測定チャネル3は、円形、より正確にはハウジング4の閉鎖された状態においてその中心軸線Mに垂直に円形断面を有するように設計される。これは、数nが非常に大きく選択される場合のn角形断面の境界ケースとして看做されることができる。壁101を有するパイプ100がまた
図4に示される。第1のハウジング部分41と第2のハウジング部分42との間に挿入されるパイプ100はまた、円形断面を有する。測定チャネル3の直径及びパイプ100の外径は、パイプ100が閉鎖されたハウジング4に締め付けられ、従って、ハウジング4に対して測定チャネル3に堅く固定されるように互いに適合されることが理解される。示されない超音波トランスデューサは、上記で説明されたような同様に同一の方法で測定チャネル3の周りに配置される。
【0085】
図5に示される一変形においては、測定チャネル3は、ハウジング4の閉鎖された状態においてその中心軸線Mに垂直に八角形断面を有し、すなわち、測定チャネル3は、合計8つのチャネル表面35によって境界付けられる。この設計においては、8つのチャネル表面35の各々において超音波トランスデューサが設けられる必要はないが可能ではある。
図5による一変形においては、4つの超音波トランスデューサ、すなわち、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12及び2つの第2の超音波トランスデューサ21、22を有する設計、並びに2つの第3の超音波トランスデューサ31、32が追加で設けられる、合計6つの超音波トランスデューサの設計が可能である。6つより多い超音波トランスデューサを有する設計がまた可能であることが理解される。
【0086】
測定チャネル3に対して、測定チャネル3がハウジング4の閉鎖された状態においてその中心軸線Mに垂直にn角形断面を有し、nチャネル表面35によって境界付けられるような設計が好ましく、ここで、nは4以上の自然数である。チャネル表面35の各々は、好ましくは平坦に設計され、すなわち、湾曲していない。
【0087】
測定チャネル3のn角形断面に起因して、測定チャネル3に挿入されたパイプ100は、ハウジング4を閉鎖した後、チャネル表面35に可能な限り完全に戴置する。そうすることで、パイプ100とチャネル表面35との間の空気で満たされる空の空間が最小化されることができ、又は完全に回避されることさえできる。空気は非常に貧弱な超音波導体であるので、このような空気体積を回避することによって測定精度を向上させることができる。加えて、平坦な、すなわち、湾曲していないチャネル表面35は、超音波が本質的に平坦な表面にのみ遭遇し、湾曲された表面又は境界面には遭遇しないので、測定チャネル3への超音波信号のより単純な又はより良好な供給を可能にする。
【0088】
nが4より大きい場合には、六角形設計のために既に説明された利点はまた、それぞれのチャネル表面35が直角ではなく鈍角で挿入部51、52の表面に開いているので、ハウジング4の開放された状態においてパイプ100が測定チャネル3に特に容易に挿入されることができるという事実から生じる。特に、隣接するチャネル表面35が互いに対して当接する角度α(
図5)はそれぞれ90°より大きい。
【0089】
隣接するチャネル面35が互いに対して当接する角度αは、全てのチャネル表面35のために同じである必要はなく、すなわち、測定チャネル3のn角形断面は、通常のn角の形状が断面として好ましい場合であっても、通常のn角の形態にある必要はない。
【0090】
また、測定チャネル3の断面のn角形設計においては、数nが偶数である必要はない。また、測定チャネル3が、例えば、その中心軸線Mに垂直に五角形又は七角形の断面を有する可能な実施形態であってもよい。
【0091】
超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の総数は、チャネル表面35の数nと同じとすることができるが、特に、超音波トランスデューサの総数がチャネル表面35の数nより少ないことがまた可能である。
【0092】
また、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31の総数は、チャネル領域35の数nより大きい可能な実施形態であってもよい。例えば、チャネル表面35において異なる対のトランスデューサに属する2つの超音波トランスデューサを提供することが可能であり、これらの2つの超音波トランスデューサは、好ましくは、これらの2つの超音波トランスデューサが異なる角度でチャネル表面35に超音波信号を印加することができるようにチャネル表面35に対して異なる配向で配置される。
【0093】
各々が一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサ11、12又は21、22又は31、32が、測定チャネル3の異なる側に、すなわち、測定チャネル3の中心軸線Mがこれらの2つの超音波トランスデューサの間に位置するように配置されるような実施形態においては、超音波トランスデューサは、各超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32がそれぞれ、異なるチャネル表面35に超音波信号を印加することができるように配置及び整列されることが好ましい。これは、好ましくは、チャネル表面35の何れかに1つ以下の超音波センサが設けられることを意味する。
【0094】
パイプが挿入され、及び/又はハウジング4が閉鎖される場合には、パイプ100は、その断面が測定チャネル3の断面に対応するように変形されることが理解される。
【0095】
図6は、
図4及び
図5に類似する図で、測定チャネル3に挿入されるパイプ100がn角形断面(ここでは六角形断面)を有する一変形を示す。従って、断面(プロファイル)が丸くないが、n角形であるパイプ100を使用することがまた可能である。それは、パイプ100の断面の角の数が測定チャネル3の断面の角の数nに対応する場合に好ましい。
図6に示す一変形においては、測定チャネル3は、その中心軸線Mに垂直に六角形断面で設計される。n角形のプロファイルで設計されたパイプ100は、パイプ100を測定チャネル3に挿入し、ハウジング4を閉鎖するために要求される力が更に小さいという利点を有する。
【0096】
測定チャネル3の設計に応じて、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32と測定チャネル3との間に、それぞれの超音波信号の波面が影響を受けることができる手段、例えば、音響レンズが配置されることができることが理解される。
【0097】
図7は、本発明による超音波測定装置1の第2の実施形態を、
図3に類似する概略図で示す。以下の第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態との違いのみがより詳細に見られる。その他の点においては、第1の実施形態又はその変形の説明が、第2の実施形態に同じ方法で又は類似する同じ方法で適用される。第2の実施形態においては、第1の実施形態若しくはその変形と同じ部分又は同じ機能を有する部分には同じ参照符号が付される。
【0098】
第2の実施形態においては、合計4つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、すなわち、第1の測定面M1で測定を行う、第1の対のトランスデューサを形成する2つの第1の超音波トランスデューサ11、12、及び第2の測定面M2で測定を行う、第2の対のトランスデューサを形成する2つの第2の超音波トランスデューサ21、22が設けられる。第1の対のトランスデューサ11、12によって、測定チャネル3の中心軸線Mと共に第1の測定面M1を画定する、第1の測定方向81が画定される。第2の対のトランスデューサ21、22によって、測定チャネル3の中心軸線Mと共に第2の測定面M2を画定する、第2の測定方向82が画定される。
【0099】
第2の実施形態においては、測定チャネル3は、ハウジング4の閉鎖された状態において、それが正方形、好ましくはその中心軸線Mに垂直に正方形のような断面を有し、4つの平面チャネル表面35によってそれぞれ境界付けられるように設計される。測定チャネル3は、第1のハウジング部分41と第2のハウジング部分42との両方にそれぞれV字形断面を有するように設計される。これは、第1のハウジング部分41と第2のハウジング部分42との間の境界面が、測定チャネル3の正方形断面の対角線の表面に沿って延伸することを意味する。
【0100】
この方策に起因して、ハウジング4の開放された状態における測定チャネル3へのパイプ100の特に簡単な挿入は、それぞれのチャネル表面35が直角ではなく鈍角で挿入部51、52の表面に開くと(
図7に示されない)、その中心軸線Mに垂直な測定チャネル3の正方形断面でも保証されることができる。この結果、ハウジング4が開放された状態においては、パイプ100は、非常に簡単にV字形断面に挿入されることができる。
【0101】
4つの超音波トランスデューサ11、12、21、22は再び測定チャネル3の周りに配置される。2つの第1の超音波トランスデューサ11、12は、測定チャネル3の中心軸線Mに対して、すなわち、流れ方向Aにおいて視た場合にオフセットして配置される。2つの第2の超音波トランスデューサ21、22はまた、測定チャネル3の中心軸線Mに対して、すなわち、流れ方向Aにおいて視た場合にオフセットして配置される。
【0102】
4つの超音波トランスデューサ11、12、21、22は、各超音波トランスデューサ11、12、21、22がそれぞれ超音波信号を4つのチャネル表面35の異なるものに印加するように測定チャネル3の円周方向に対して配置及び整列される。2つの第1の超音波トランスデューサ11、12はそれぞれ、平行なチャネル表面35において配置され、2つの第2の超音波トランスデューサ21、22はそれぞれ、平行なチャネル表面35において配置される。この結果、超音波トランスデューサ11、12、21、22の1つはそれぞれ、4つのチャネル面35の各々に設けられる。
【0103】
図8は、本発明による超音波測定装置1の第3の実施形態を、
図2に類似する概略斜視図で示す。しかし、より良好な概観の理由のために、評価ユニット20を有する制御装置10及び信号線11a、12a、21a、22a、31a、32aは、
図8には示されない。
【0104】
以下の第3の実施形態の説明においては、第1及び第2の実施形態との違いのみがより詳細に見られる。その他の点においては、第1及び第2の実施形態又はそれらの変形の説明がまた、第3の実施形態に同じ方法で又は類似する同じ方法で適用される。第3の実施形態においては、第1及び第2の実施形態若しくはその変形と同じ部分又は同じ機能を有する部分には同じ参照符号が付される。
【0105】
第1の実施形態と同様に、合計6つの超音波センサ11、12、21、22、31、32、すなわち、第1の対のトランスデューサを形成する2つの第1の超音波センサ11、12、第2の対のトランスデューサを形成する2つの第2の超音波センサ21、22、及び第3の対のトランスデューサを形成する2つの第3の超音波センサ31、32が第3の実施形態に設けられる。更に、第3の実施形態においては、測定チャネル3は、それがハウジングの閉鎖された状態においてその中心軸線Mに垂直に六角形断面を有するように再び設計される。
【0106】
第1の実施形態とは対照的に、第3の実施形態においては、2つの第3の超音波トランスデューサ31、32は、それらによって画定される第3の測定部分83が測定チャネル3の中心軸線Mに垂直に、この結果、流れ方向Aに垂直に延伸するように配置及び整列される。2つの第3の超音波トランスデューサ31、32は、それらのそれぞれの発信及び受信表面の表面法線が測定チャネル3の中心軸線Mに垂直であるように整列される。
【0107】
この構成においては、第3の測定部分83が流れ方向Aに垂直に流体を通過するので、
第3の測定部分83上で発信又は受信される超音波信号は、流体を通るそれらのそれぞれの送信時間及び流体によるそれらのそれぞれの減衰に対して、流体がパイプ100を通って流れる流速とは無関係である。従って、流体における音伝搬特性は、パイプ100における流体の流速とは無関係に、第3の測定部分83上で発信及び受信されるこれらの超音波信号によって検出されることができる。
【0108】
この結果、第3の測定部分83によって、流体における音速又は音の減衰に依存する、流体の少なくとも1つのパラメータが検出されることができる。このようなパラメータは、例えば、流体の粘度、空気又は気泡の発生、流体における成分の濃度、例えば、メタノール濃度、又は懸濁液における固形分、又は生体流体における細胞密度である。
【0109】
特に、流体における変化、特に、成分の濃度若しくは密度の増加若しくは減少、又は空気若しくは気泡の発生のような、その組成における変化は、流れ方向Aに垂直に流体を通過するこの第3の測定部分83によって検出されることができる。従って、超音波測定装置1はまた、例えば、半導体産業のプロセスにおいて、製薬若しくは生物学的プロセスにおいて、若しくはそのようなプロセスの制御のために、柔軟で変形可能なパイプ100における流れる流体のプロセス監視又は監視に特に適する。例えば、細胞密度、タンパク質濃度、塩濃度、栄養溶液濃度、糖濃度、又はメタノール濃度が、1つのプロセスにおいて監視及び制御されることができる。パラメータにおける変化が超音波測定装置1によって検出された場合には、パラメータをその設定値に戻すために、適切に設計された制御ループによって是正の方策が着手されることができる。
【0110】
そして、第3の超音波トランスデューサ31、32が、第3の測定部分83が流れ方向Aに垂直に延伸するように整列及び配置される場合に、パイプ100を通る流れに加えて、パイプ100における流体の流速とは無関係の流体のパラメータがまた検出されることができる。この目的のために、第3の測定部分83上で発信又は受信される超音波信号は、それらの送信時間に対して、又はそれらの減衰に対して、又はそれらの送信時間及びそれらの減衰に対して分析されることができる。
【0111】
図9は、測定チャネル3の中心軸線Mに垂直であり、この結果、流体の流れ方向Aに垂直である、第3の測定部分83を画定する、2つの第3の超音波トランスデューサ31、32を有する第3の対のトランスデューサの設計のための一変形を示す。より良好な概観の理由から、第1及び第2の対のトランスデューサは表されない。この変形においては、2つの第3の超音波トランスデューサ31、32はそれぞれ、湾曲された発信及び受信表面を有するように設計される。2つの第3の超音波トランスデューサ31、32の各々は、2つの第3の超音波トランスデューサ31、32が互いに補完して、測定チャネル3を同心円状又は同軸状に取り囲むリングを形成するように、ハーフリング形状に設計される発信及び受信表面を有する。この設計においては、2つの第3の超音波トランスデューサ31、32のそれぞれの湾曲された発信及び受信表面は、好ましくは、フィルム、例えば、PVDFフィルムで作られる。
【0112】
図10においては、第1及び第2の対のトランスデューサの設計の変形が示され、それは、説明された全ての実施形態及び変形のために使用されることができる。この変形によれば、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12、及び2つの第2の超音波トランスデューサ21、22はそれぞれ、湾曲された発信及び受信表面を有するように設計される。第1の超音波トランスデューサ11、12の各々及び第2の超音波トランスデューサ21、22の各々はそれぞれ、ハーフリングの形態で設計される。これらのハーフリングの各々は、それぞれのリングの軸線が測定チャネル3の中心軸線Mに斜めに、この結果、流体の流れ方向Aに斜めに延伸するように配置される。これは、第1の超音波トランスデューサ11、12又は第2の超音波トランスデューサ21、22の1つを形成するハーフリングの各々が、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12のハーフリング形状の発信及び受信表面が互いに平行であり、第2の超音波トランスデューサ21、22の2つのハーフリング形状の発信及び受信表面が互いに平行であるように、測定チャネル3の中心軸線Mに対して傾斜することを意味する。各対のトランスデューサの2つの超音波トランスデューサ11、21の一方はそれぞれ、第1のハウジング部分41に配置され、2つの超音波トランスデューサ12、22の他方は、第2のハウジング部分42に配置される。勿論、
図8又は
図9に示されるもののような第3の対のトランスデューサが、
図10に表される変形において設けられることができることが理解される。
【0113】
また、
図10で表される変形においては、超音波トランスデューサ11、21、21、22のハーフリング形状の発信及び受信表面は、好ましくは、フィルム、例えば、PVDFフィルムで作られる。
【0114】
更なる変形は、
図10における超音波トランスデューサ11、12、21、22をセグメントとして形成するハーフリングを設計することである。例えば、それぞれのハーフリングの1つのセグメントのみが、超音波信号を発信及び受信するための発信及び受信表面としてそれぞれ設計されることができる。しかし、ハーフリングの各々において、超音波信号のそれぞれの発信及び受信のために、幾つかの別個の発信及び受信表面が設けられることがまた可能であり、それによって、各別個の発信及び受信表面は、それぞれのハーフリングにおけるセグメントとして設計される。発信及び受信表面はまた、それらによって発信される超音波信号が測定チャネル3を印加せず、測定チャネル3に隣接するハウジング4を通過するように提供及び配置されることができる。このような信号は、例えば、超音波測定装置1を評価又は較正するために適する。
【0115】
図11は、概略図で本発明による超音波測定装置1の第4の実施形態を、
図2と類似する斜視図で示す。しかし、より良好な概観の理由のために、評価ユニット20を有する制御装置10及び信号線11a、12a、21a、22a、31a、32aは、
図11には示されない。
【0116】
第4の実施形態の以下の説明においては、他の実施形態との違いのみがより詳細に見られる。その他の点においては、第1の3つの実施形態又はそれらの変形の説明がまた、第4の実施形態に同じ方法で又は類似する同じ方法で適用される。第4の実施形態においては、第1の3つの実施形態と同じ部分又は同じ機能を有する部分には同じ参照符号が付される。
【0117】
第1の実施形態と同様に、第4の実施形態においては、合計6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32、すなわち、第1の対のトランスデューサを形成し、第1の測定部分81を画定する2つの第1の超音波トランスデューサ11、12、第2の対のトランスデューサを形成し、第2の測定部分82を画定する2つの第2の超音波トランスデューサ21、22、及び第3の対のトランスデューサを形成し、第3の測定部分83を画定する2つの第3の超音波トランスデューサ31、32が設けられる。更に、第4の実施形態においては、測定チャネル3は、それがハウジングの閉鎖された状態においてその中心軸線Mに垂直に六角形断面を有するように再び設計される。3つの測定面M1、M2、M3は、他の実施形態と類似する同じ方法で、3つの測定部分81、82、83及び測定チャネル3の中心軸線Mによって再び画定される。
【0118】
第1の実施形態とは対照的に、第4の実施形態においては、全ての超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、2つのハウジング部分41、42の一方(ここでは、第2のハウジング部分42であり、
図11には詳細に示されない、下側のハウジング部分)に配置される。勿論、全ての超音波トランスデューサが第1のハウジング部分41に配置されるような実施形態がまた可能である。
【0119】
そして、各々が一対のトランスデューサを形成する2つの超音波トランスデューサ11、12又は21、22又は31、32は、反射を介して互いに超音波信号を交換する。例えば、第1の超音波トランスデューサ11又は12の1つは、第1の測定部分81に沿って流れ方向Aに斜めに、チャネル表面35の1つに超音波信号を発信する。超音波信号は、流れ方向Aに斜めに、例えば、流れ方向Aにおいて斜めに測定チャネル3を通過し、反対側のチャネル表面35において反射され、そして、2つの第1の超音波トランスデューサ12又は11の他方に到達する。そして、これはまた、流れ方向Aに逆らって斜めに進む超音波信号を発信することができ、反対側のチャネル表面35において反射され、そして、2つの第1の超音波トランスデューサ11又は12の最初に言及されたものによって受信される。
【0120】
類似する同じ方法で、第2の対のトランスデューサの2つの第2の超音波トランスデューサ21、22、及び第3の対のトランスデューサの2つの第3の超音波トランスデューサ31、32はそれぞれ、対応する第2の測定部分82又は第2の測定部分83を介して超音波信号を交換する。
図11に示されるように、6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、3つの測定セクション81、82、83の全てが斜めに延伸する、すなわち、特に測定チャネル3の中心軸線M、この結果、流れ方向Aに直角に延伸しないように配置及び整列される。同じ対のトランスデューサに属する2つの超音波トランスデューサ11、12又は21、22又は31、32はそれぞれ、同じチャネル表面35に配置される。これは、例えば、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12が同じチャネル表面35に超音波信号を印加することができるように配置されることを意味する。同じことが2つの第2のトランスデューサ21、22及び2つの第3のトランスデューサ31、32に当てはまる。
図11に示されるように、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、33が、各対のトランスデューサがそれぞれ異なるチャネル表面35に超音波信号を印加するように配置及び整列されることが好ましい。
【0121】
勿論、このような変形は、第3の対のトランスデューサの超音波トランスデューサ31、32が、第3の測定部分83が測定チャネル3の中心軸線Mに垂直であり、この結果、流れ方向Aに垂直であるように配置及び整列される、第4の実施形態においてまた可能である。そして、この第3の測定部分83に亘って、パイプ100における流体の流速とは無関係な流体のパラメータが再び検出されることができる。それぞれの用途において使用されるパイプ100の特性を説明するパラメータ、例えば、壁101の厚さ又はパイプ100を構成する材料を参照するパイプパラメータを、チャネル3の中心軸線Mに垂直な第3の測定部分83上で測定することがまた可能である。
【0122】
中心軸線Mに垂直な第3の測定部分83の配置は、例えば、
図8又は
図9に関連して説明されたものと類似する同じ方法で実現されることができる。中心軸線Mが2つの第3の超音波トランスデューサ31又は32の間に延伸するように、2つの第3の超音波トランスデューサ31又は32の一方が第1のハウジング部分41に配置され、2つの第3の超音波トランスデューサ32又は31の他方が第2のハウジング部分42に配置されることが可能である。
【0123】
別の変形によれば、第1のハウジング部分41又は第2のハウジング部分42の何れかに配置される第3の超音波トランスデューサ31又は32のみを設けることがまた可能である。この第3の超音波トランスデューサ31又は32は、それがその中心軸線Mに垂直に測定チャネル3に超音波信号を印加して、第3の超音波トランスデューサ31又は32によって画定される第3の測定部分83が流体の流れ方向Aに垂直であるように整列される。そして、この変形においては、超音波測定装置1は、5つの超音波センサのみ、すなわち、2つの第1の超音波トランスデューサ11、12、2つの第2の超音波トランスデューサ21、22、及び2つの第3の超音波トランスデューサ31又は32のうちの1つのみを有する。
【0124】
この変形においては、第3の超音波トランスデューサ31又は32のみが、流れ方向Aに垂直に超音波信号を発信する。そして、この信号は、測定チャネル3を通過した後、反対側のチャネル表面35において少なくとも部分的に反射され、結果として生じるエコー信号は、超音波信号を発信した第3のトランスデューサ31又は32のみによって受信される。
【0125】
図12は、第4の実施形態の変形例を
図11に類似する図で示す。この変形においては、反射器361、362、363が、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって発信される超音波信号を反射するために、一対のトランスデューサによって印加されるチャネル表面35の反対側に位置するそれらのチャネル表面35に設けられる。合計3つの反射器361、362、363が設けられ、すなわち、第1の反射器361は第1の対のトランスデューサの反対側に配置され、第2の反射器362は第2の対のトランスデューサの反対側に配置され、第3の反射器363は第3の対のトランスデューサの反対側に配置される。これは、第1の反射器361が第1の超音波トランスデューサ11、12によって印加されるチャネル表面35の反対側に位置するチャネル表面35に配置され、第2の反射器362が第2の超音波トランスデューサ21、22によって印加されるチャネル表面35の反対側に位置するチャネル表面35に配置され、第3の反射器363が第3の超音波トランスデューサ31、32によって印加されるチャネル表面35の反対側に位置するチャネル表面35に配置されることを意味する。反射器361、362、363は、測定チャネル3の外側に配置される。各反射器361、362、363は、それぞれのチャネル表面35に平行に配置される平坦な、すなわち、湾曲していない板状構造として設計される。
【0126】
図13においては、測定チャネル3の特に好ましい実施形態が概略図で示され、それは、測定チャネル3がハウジング4の閉鎖された状態においてその中心軸線Mに垂直にn角形断面を有する全ての実施形態及びそれらの変形のために好ましい。この実施形態においては、測定チャネル3は、流れ方向Aから視た場合に互いに前後に配置される、入口領域36(
図1をまた参照)、中央領域37、及び出口領域38を有する。出口領域38は、
図13においては見られないが、それは、入口領域36と類似する同じ方法で設計される。入口領域36及び出口領域38は、流れ方向Aに対してハウジング4の2つの端部に配置された測定チャネル3の2つの端部領域であり、中央領域37は、超音波信号が印加される測定体積を境界付ける領域である。
図13に示される好ましい実施形態によれば、入口領域36及び出口領域38はそれぞれ、測定チャネル3の中心軸線Mに垂直に円形断面を有し、中央領域37はn角形を有する(ここでは、ハウジングの閉鎖された状態において中心軸線Mに垂直な六角形断面)。ここでは、測定チャネル3は、中央領域37のn角形断面が入口領域36と出口領域38との両方の円形断面に連続的且つ滑らかに融合するように設計される。円形プロファイル(例えば、ハウジングの外側のパイプ100)から測定チャネル3のn角形プロファイルへのこの連続的且つ滑らかな移行に起因して、急激な断面変化が回避される。この結果、パイプ100における全ての流れベクトルは、規則正しい経路で測定チャネル3の中に導かれ、規則正しい経路で測定チャネル3の外に導かれる。この方策に起因して、測定チャネル3における乱流又はその他の好ましくない流れ状態が、完全に回避されない場合であっても少なくとも大幅に低減されることができる。
【0127】
図14においては、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の好ましい配置が、第3の超音波トランスデューサ31の例を使用する概略図で表される。この配置は、超音波センサ11、12、21、22、31、32が平坦な発信及び受信表面を有する全ての実施形態及びそれらの変形形態のために特に好ましい。既に言及されたように、全ての超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、好ましくは、ハウジング4の内側に、又は第1のハウジング部分41若しくは第2のハウジング部分42に設けられた2つの挿入部51、52に配置される。第3の超音波トランスデューサ31の例を使用して
図14に表されるように、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32が、それぞれの超音波トランスデューサ(ここでは31)が測定チャネル3から離れるように、測定チャネル3又はチャネル表面35に直接配置されず、基部6に配置される場合には好ましい。基部6は、所望の測定部分81、82、83を横切る方向又は主伝搬方向を横切る方向に発信される干渉超音波の結合を防ぐという利点を有する。このような干渉超音波は、ハウジング全体の周りに進む場合があり、例えば、測定信号と干渉する場合があり、それによって、これらの測定信号を変造又は変更する場合がある。このような干渉信号は、少なくとも基部6によって低減することができる。
【0128】
図14は、第3の超音波トランスデューサ31が測定チャネル3の中心軸線Mに垂直な第3の測定部分83のために整列される場合を示す。勿論、それぞれの超音波トランスデューサが流れ方向Aに斜めに延伸する測定部分81、82、83のために基部6に斜めに配置されることが理解される。
【0129】
一対のトランスデューサ11、12又は21、22又は31、32の2つの超音波トランスデューサがそれぞれ互いに超音波信号を交換する測定部分81、82、83は、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の主伝播方向によって画定される。これらの測定部分81、82、83に加えて、他の測定経路P(
図15)が、超音波信号を受信し、それらを評価のために使用するために使用されることができる。圧力波を表す、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって発信される超音波信号が、主伝播方向に伝播するだけでなく、他の方向に伝播する信号成分がまたある。この結果、例えば、超音波信号の主な最大値は通常こん棒状であり、すなわち、それは、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32の発信及び受信表面に厳密に垂直に伝播するだけではない。加えて、主伝播方向以外の方向に伝播するこれらの信号成分は、例えば、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって発信される超音波信号の非主要最大値又は側方最大値(多くの場合にマイナーローブ又はラテラルローブとも呼ばれる)とすることができる。測定部分81、82、83に沿って伝播しないこれらの信号成分はまた、測定の評価のために使用されることができる。
【0130】
これらの追加の測定経路Pが、測定チャネル3の周りに配置される、合計6つの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32が設けられ、その中心軸線Mに垂直に六角形断面を有する、実施形態の概略図で
図15に示される。それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって発信される超音波信号の主伝搬方向によって画定される3つの測定部分は、参照符号81、82、83で順に示される。他の接続線は、上記で説明された意味で測定経路Pを表す。n個の超音波トランスデューサ11、21、21、22、31、32のための測定部分81、82、83及び測定経路Pの総数は、nと(n-1)との積の半分、すなわち、0.5×n×(n-1)によって与えられる。nが6に等しい場合には、合計15個の測定セクション81、82、83及び測定経路P、すなわち、3つの測定部分81、82、83及び12個の測定経路Pが生じる。
【0131】
それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32によって発信される超音波信号に関しては、多くの可能性があり、その幾つかは、
図16~
図21を参照して以下で言及される。簡単にするために、及び理解には充分であるので、2つの測定部分、すなわち、第1の測定部分81及び第2の測定部分82で、並びに4つの超音波トランスデューサ、すなわち、第1の対のトランスデューサを形成する2つの第1の超音波トランスデューサ11、12及び第2の対のトランスデューサを形成する2つの第2の超音波トランスデューサ21、22で、測定がなされる実施形態が参照される。3つ以上の測定部分への類似の拡張は、当業者にとって問題ではない。
【0132】
図16~
図21においては、時間tがそれぞれ、横軸にプロットされ、超音波トランスデューサ11、12、21、22によって発信される超音波信号の振幅Uが、縦軸にプロットされる。超音波トランスデューサ11、12、21、22は、それぞれの超音波信号を発信するために、それぞれの信号線11a、12a、21a、22aを介して制御装置10によって作動される。
【0133】
図16に表される超音波信号では、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22は、連続信号SC(CW:連続波)を発信する。「連続」超音波信号という用語は、信号の整定時間又は減衰時間、すなわち、信号の過渡部分より大幅に長い一定期間に亘って、信号の振幅が実質的に一定である超音波信号を指す。その期間中の信号の振幅における変化が最大で7%、特に最大で5%、好ましくは最大で3%、特に好ましくは最大で1%である場合には、信号の振幅は、一定期間に亘って「実質的に」一定と呼ばれる。
【0134】
代替的に、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22が、各測定のためにパルスパケットSB(バースト)を発信することがまた可能である。このような超音波信号は
図17に表され、各パルスパケットSBはそれぞれ1つの測定に属する。
【0135】
別の可能性が
図18に示される。ここでまた、2つの測定部分81及び82のために異なる周波数が使用されるが、各測定のためにパルスパケットSB1又はSB2が発信される。第1の測定部分81のために使用されるパルスパケットSB1は、第2の測定部分82のために使用されるパルスパケットSB2より低い周波数を有する。
【0136】
図19に示される一変形においては、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22は、各測定のためにパルスパケットAB(バースト)を再び発信するが、パルスパケットABは振幅変調され、すなわち、それぞれのパルスパケットABにおける信号の振幅は時間tで変化する。
【0137】
図20に示される一変形においては、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22は、各測定のためにパルスパケットAB(バースト)を再び発信するが、パルスパケットは周波数変調され、すなわち、それぞれのパルスパケットAFにおける信号の周波数は時間tで変化する。このようなパルスパケットAFはまた、チャープバーストと呼ばれる。
【0138】
勿論、周波数変調と振幅変調とを組み合わせることがまた可能である。
【0139】
図21に示される一変形においては、それぞれの超音波トランスデューサ11、12、21、22は、各測定のためにパルスパケットAMF1、AMF2を再び発信するが、それぞれのパルスパケットは、振幅変調と周波数変調との両方であり、すなわち、それぞれのパルスパケットAMF1、AMF2における信号と振幅との両方が、時間tで変化する。このようなパルスパケットAMF1又はAMF2はまた、振幅変調チャープバーストと呼ばれる。
図18に示される一変形と同様に、
図21に示される一変形のための2つの測定部分81、82のために異なる周波数を使用することがまた可能である。2つの測定部分81、82のために異なる振幅及び/又は異なる周波数変調及び/又は異なる振幅変調を使用することがまた可能である。
図21においては、第1の測定部分81のために使用される超音波信号はAMF1と示され、第2の測定部分82のために使用される超音波信号はAMF2と示される。
【0140】
本発明による超音波測定装置1がまた、パイプ100を通って流れる流体の特性が検出又は決定されることができる他のセンサ又は測定装置を備えることができることが理解される。
【0141】
この結果、本発明による超音波測定装置1は、例えば、パイプ100における流体の温度を決定するための温度センサを備えることができる。温度センサは、例えば、温度センサがパイプ100又はそれを流れる流体と熱接触することなく、流体の温度が検出されることができる非接触センサとして設計されることができる。この目的のために、温度センサは、例えば、赤外線センサとして設計されることができる。勿論、物理的接触を介して温度を決定する温度センサがまた設けられることができる。この場合には、温度センサは、好ましくは、ハウジングの閉鎖された状態においてパイプ100と良好に熱接触するように、特に好ましくは、温度センサが測定チャネル3に挿入されるパイプ100の領域と物理的に接触するように配置される。
【0142】
加えて、パイプ100における流体の流れ方向Aに垂直な少なくとも1つの測定部分が設けられる、本発明による超音波測定装置1のこれらの実施形態では、流体における音速又は音の減衰に依存するが、パイプ100における流体の流速には依存しない、流体のパラメータが検出されることができる。
【0143】
特に、このような超音波測定装置1は、細胞懸濁液、タンパク質含有流体、又は有機成分を含む流体のような、製薬又はバイオテクノロジプロセスにおいて使用される流体における測定に適する。それらはまた、半導体産業において一般的に使用される流体、例えば、スラリーと呼ばれる水中の二酸化ケイ素の懸濁液、等であってもよい。本発明による超音波測定装置1はまた、アルコール、酸、若しくはアルカリのような、エタノール、イソプロパノール、アセトン、硫酸、塩酸、硝酸、若しくはアンモニア水のような、化学的に攻撃的な又は非常に攻撃的な物質であり、又はそれらを含む流体に適する。超音波測定装置1は、0~14のpH値範囲全体に亘る流体、及び少なくとも-40℃~+95℃の温度範囲に適する。超音波測定装置1に適する材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又は被覆された材料である。
【0144】
本発明による超音波測定装置1は、例えば、流体が好ましくは可撓性又は変形可能なパイプ100を通って流れる、バイオテクノロジ、製薬産業、又は半導体産業におけるプロセスの監督、監視、及び制御に特に適する。設計に応じて、濃度における変化又は流体の組成における他の変化のような、パラメータにおける変化、この結果、流体の特性における変化がまた確実に検出されることができる。
【0145】
可能な限りコンパクトな設計に関しては、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32を作動させ、超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32から測定信号を受信する制御装置10が超音波測定装置1のハウジング4に配置され、又はハウジング4に一体化されることが好ましい。このような設計が
図22に示される。評価ユニット20を任意に備える制御装置10が、第2のハウジング部分42に配置され、接続部48に信号接続される。接続部48は、第2のハウジング部分42にねじ込まれる。超音波測定装置1には、接続部48を介してエネルギーが供給される。更に、測定信号及び/又は他のデータが、接続部48を介して制御装置10と外部インターフェース(示されない)又は別の外部デバイス(示されない)との間で交換されることができる。
【0146】
特に、超音波トランスデューサ11、21、31又は12、22、32が第1のハウジング部分41と第2のハウジング部分42との両方に配置される、これらの実施形態に関する、本発明の更なる側面(例えば、
図2及び
図3を参照)は、第2のハウジング部分42に配置された制御装置10と第1のハウジング部分41に配置された超音波トランスデューサ11、21、31との間の信号接続である。2つのハウジング部分41及び42が互いに対してそれらが回転又は旋回することができるように配置されるので、超音波トランスデューサ11、21、31と制御装置10との間の安全で信頼性のある信号接続がどのように実現されることができるかに関して問題が生じる。
【0147】
本発明の一側面によれば、接合部43は、
図22を参照して以下で説明されるように、この信号接続のために使用される。
図22は、接合部43の回転軸線Dを通る断面における2つのハウジング部分41及び42の関節接続の実施形態を示す。以下においては、一般性に限定することなく、超音波トランスデューサ11、21、31が第1のハウジング部分41に配置され、超音波トランスデューサ12、22、32が第2のハウジング部分42に配置されると仮定される。超音波トランスデューサ11、12、21、22、31、32は、
図22においては見られることができない。
【0148】
超音波トランスデューサ12、22、32が制御装置10と同じハウジング部分42に配置されるので、それらの制御装置10との信号接続は問題なく、従って、更なる説明は要求されない。
【0149】
第1のハウジング部分41に配置された超音波トランスデューサ11、21、31の信号接続のために、接合部43は、第1の接合部分431及び第2の接合部分432を備え、第1の接合部分431は、第1のハウジング部分41にトルク耐性があるように接続され、第2の接合部分432は、第2のハウジング部分42に接続される。第1の接合部分431及び第2の接合部分432は、信号線11a、21a、31aが第1のハウジング部分41に配置された超音波トランスデューサ11、21、31から接合部分431、432の内部を通って第2のハウジング部分42に案内されることができるように設計及び配置される。
【0150】
図22に示される実施形態においては、接合部43は回転軸線Dを有し、その周りに、2つのハウジング部分41及び42が互いに対して回転又は旋回することができる。回転軸線Dは、測定チャネル3の中心軸線Mに平行である。接合部43は、流れ方向Aにおいて見られるように、回転軸線Dの方向において、ハウジング4の2つの端部からハウジング4の中に延伸する2つの実質的に円筒形のピン433を備える。この目的のために、第2のハウジング部分42におけるハウジング4のこれらの2つの端部の各々に開口部が設けられ、それを通ってそれぞれのピン433が延伸する。各ピン433はヘッド434を有し、それで、それぞれのピン433は、ハウジング4のそれぞれの端部に、好ましくは密封して当接する。各ピン433は、その長手方向軸線が回転軸線Dにあるように配置される。
【0151】
回転軸線Dの方向において見られると、第1の接合部分431及び第2の接合部分432は、2つのピン433の間に並んで配置される。各接合部分431、432は、円筒形領域435又は436を有し、その軸線はそれぞれ回転軸線Dに位置する。2つのピン433のうちの一方は、第1の接合部分431の円筒形領域435の底部に係合し、他方のピン433は、第2の接合部分432の円筒形領域436の底部に係合する。更に、2つの円筒形領域435及び436は、それぞれの底部から離れて面するそれらの開放側において互いに係合する。これは、例えば、第2の接合部分432の円筒形領域436が、底部から離れて面するその端部におけるその壁に環状凹部を有し、それにおいて、第1の接合部分431の円筒形領域435が、その底部から離れて面する端部で係合して、2つの円筒形領域435及び436が回転軸線Dの方向に対して重なり合うように設計される。2つの円筒形領域435及び436が重なり合う領域においては、2つの円筒形領域435及び436の間にシール、例えば、環状溝に挿入されたOリング439が設けられる。
【0152】
第1の接合部分431は、測定チャネル3の方向において、回転軸線Dに実質的に垂直に円筒形領域435から第1のハウジング部分41の中に延伸する中空の第1の延長部片437を更に有して、第1の延長部片437は、超音波トランスデューサ11、21、31から来る信号線11a、21a、31aを受容することができる(
図2も参照)。第1の接合部分431の中空の第1の延長部片437は、第1の接合部分431が第1ハウジング部分41に対して回転軸線Dの周りに回転することができないという意味で、第1のハウジング部分41にトルク耐性があるように接続される。これは、第1の接合部分431が回転軸線Dの周りを回転する場合に、第1のハウジング部41が必然的に回転軸線Dの周りを回転することを意味する。
【0153】
第2の接合部分432は、回転軸線Dに実質的に垂直に円筒形領域436から第2のハウジング部分42の中に、制御装置10が配置される、第2のハウジング部分42における空洞421まで延伸する中空の第2の延長部片438を更に有する。第2の接合部分432の中空の第2の延長部片438は、第2の接合部分432が第2のハウジング部分42に対して回転軸線Dの周りに回転することができないという意味で、トルク耐性があるように第2のハウジング部42に接続される。これは、第2の接合部分432が回転軸線Dの周りを回転する場合に、第2のハウジング部分42が必然的に回転軸線Dの周りを回転することを意味する。
【0154】
この結果、第1のハウジング部分41に配置された超音波トランスデューサ11、21、31から来る信号線11a、21a、31aは、中空の第1の延長部片437を通って第1の接合部分431の円筒形領域435の中に、そこから、第2の接合部分432の円筒形領域436を通って、及び中空の第2の延長部片438を通って空洞421の中に案内されることができ、そこで制御装置10に接続されることができる。これは、
図22において点線11a、21a、31aによって象徴的に表される。
【0155】
第1のハウジング部分41は、好ましくは第1のハウジング部41と一体に設計される2つの環状アイレット411を更に有する。組み立てられた状態においては、アイレット411の開口部は、2つのピン433が延伸する第2のハウジング部分42における2つの開口部と整列されて、それぞれのピン433は、ハウジング4のそれぞれの端部から第2のハウジング部分42におけるそれぞれの開口部及びそれぞれのアイレット411の開口部を通って、第1の接合部分431又は第2の接合部分432に延伸する。回転軸線Dの方向に対して、2つの接合部分431及び432は、2つのアイレット411の間に配置される。
【0156】
ねじ15又は別の固定手段15が第2のハウジング部分42に更に設けられ、それで、制御装置10は、空洞421において固定されることができる。
図22に示される実施形態においては、制御装置10は、ねじ15とハウジング4にねじ込まれた接続部48との間に締め付けられる。