(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】画像ファイル作成装置、画像ファイル作成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
G06F3/12 345
G06F3/12 353
G06F3/12 304
(21)【出願番号】P 2019201685
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 駿
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-012015(JP,A)
【文献】特開2012-141857(JP,A)
【文献】特開2011-253265(JP,A)
【文献】特開2019-154014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ファイル作成装置であって、
複数の画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像データを格納した画像データ領域と、前記画像データ領域に格納された画像データを印刷するための設定を規定する印刷設定情報と、前記画像データの表示に関する情報とを格納した管理データ領域とを有する画像ファイルを作成する作成手段と、
を有し、前記画像ファイルのファイルフォーマットは、HEIF(High Efficiency Image File Format)であることを特徴とする画像ファイル作成装置。
【請求項2】
前記印刷設定情報は、1つ以上の印刷設定項目を含み、前記印刷設定項目のそれぞれは、印刷用紙に関する設定、印刷の色に関する設定、及び印刷ページに関する設定のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像ファイル作成装置。
【請求項3】
前記印刷ページに関する設定は、前記画像データの識別情報、及び、ページ内における前記画像データの配置位置を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像ファイル作成装置。
【請求項4】
前記印刷設定情報は、印刷用紙に関する設定、印刷の色に関する設定、及び印刷の順番の優先度に関する設定を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像ファイル作成装置。
【請求項5】
前記管理データ領域は、前記画像データと前記印刷設定情報とを関連付ける情報を格納することを特徴とする請求項4に記載の画像ファイル作成装置。
【請求項6】
前記印刷用紙に関する設定は、印刷用紙のサイズ及び印刷の縦横の向きの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の画像ファイル作成装置。
【請求項7】
前記印刷の色に関する設定は、白黒モード又はカラーモード、印刷品質、明るさ、及びコントラストの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の画像ファイル作成装置。
【請求項8】
画像ファイル作成装置が実行する画像ファイル作成方法であって、
前記画像ファイル作成装置の取得手段が、複数の画像データを取得する取得工程と、
前記画像ファイル作成装置の作成手段が、前記取得工程において取得された複数の画像データを格納した画像データ領域と、前記画像データ領域に格納された画像データを印刷するための設定を規定する印刷設定情報と、前記画像データの表示に関する情報とを格納した管理データ領域とを有する画像ファイルを作成する作成工程と、
を有し、前記画像ファイルのファイルフォーマットは、HEIF(High Efficiency Image File Format)であることを特徴とする画像ファイル作成方法。
【請求項9】
前記印刷設定情報は、1つ以上の印刷設定項目を含み、前記印刷設定項目のそれぞれは、印刷用紙に関する設定、印刷の色に関する設定、及び印刷ページに関する設定のいずれかを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像ファイル作成方法。
【請求項10】
前記印刷ページに関する設定は、前記画像データの識別情報、及び、ページ内における前記画像データの配置位置を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像ファイル作成方法。
【請求項11】
前記印刷設定情報は、印刷用紙に関する設定、印刷の色に関する設定、及び印刷の順番の優先度に関する設定を含むことを特徴とする請求項8に記載の画像ファイル作成方法。
【請求項12】
前記管理データ領域は、前記画像データと前記印刷設定情報とを関連付ける情報を格納することを特徴とする請求項11に記載の画像ファイル作成方法。
【請求項13】
前記印刷用紙に関する設定は、印刷用紙のサイズ及び印刷の縦横の向きの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の画像ファイル作成方法。
【請求項14】
前記印刷の色に関する設定は、白黒モード又はカラーモード、印刷品質、明るさ、及びコントラストの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の画像ファイル作成方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像ファイル作成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の画像のデータを画像ファイルに格納するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MPEG(Moving Pictures Experts Group)では、単一の静止画像や複数の静止画像、または静止画像のバースト等のシーケンスを1つのファイルに格納するための標準規格の策定を行っている。本標準規格は、HEIF(High Efficiency Image File Format)と呼ばれ、画像と画像シーケンスの交換、編集、表示を可能とする。またHEIFは、ISOベースメディアファイルフォーマット(ISOBMFF:ISO Base Media File Format)で定められるツールを基に拡張された格納フォーマットである。HEIFは、ISO/IEC23008 パート12で「Image File Format」として規格化が進行している。またHEIFでは、画像データに関する情報である管理データを含めた規範的な構造を定めており、管理データと画像データを関連付けする方法、特定の形式の管理データの構成について定めている。管理データとして、従来では、ファイルに含まれる画像を表示する際の画像位置情報や、複数の画像が含まれる際に第一優先で表示する画像を指定する情報等が定義されている。特許文献1では、HEIFにおける動的な派生画像を格納、生成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/371265号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の画像データが格納されたHEIFファイルを印刷する際、第一優先で表示する画像(第一優先画像)が指定されていればその画像を印刷する方法が考えられるが、規格では印刷に関する設定情報は明確に定義されていない。そのため、HEIFファイル作成者が推奨する印刷設定をHEIFファイルに組み込むことができず、HEIFファイルがどのように印刷されるかはHEIFファイルを印刷するユーザ、又は印刷制御用ソフトウェア等に依存する。HEIFファイルを印刷するユーザが適切な印刷設定を把握していても、印刷時にその都度ユーザがこれらの設定を印刷制御ソフトウェアのユーザインタフェースやプリンタのインタフェースを介して設定するのは煩雑である。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、印刷に関する設定情報を含めた画像ファイルに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の画像ファイル作成装置は以下の構成を有する。すなわち、画像ファイル作成装置であって、複数の画像データを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された複数の画像データを格納した画像データ領域と、前記画像データ領域に格納された画像データを印刷するための設定を規定する印刷設定情報と、前記画像データの表示に関する情報とを格納した管理データ領域とを有する画像ファイルを作成する作成手段と、を有し、前記画像ファイルのファイルフォーマットは、HEIF(High Efficiency Image File Format)である。
【0007】
上記目的を達成するための他の手段として、本発明の画像ファイル作成方法は以下の構成を有する。すなわち、画像ファイル作成装置が実行する画像ファイル作成方法であって、前記画像ファイル作成装置の取得手段が、複数の画像データを取得する取得工程と、前記画像ファイル作成装置の作成手段が、前記取得工程において取得された複数の画像データを格納した画像データ領域と、前記画像データ領域に格納された画像データを印刷するための設定を規定する印刷設定情報と、前記画像データの表示に関する情報とを格納した管理データ領域とを有する画像ファイルを作成する作成工程と、を有し、前記画像ファイルのファイルフォーマットは、HEIF(High Efficiency Image File Format)である。
【発明の効果】
【0008】
以上の構成からなる本発明によれば、印刷に関する設定情報を含めた画像ファイルに関する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施形態1及び2による画像ファイル作成装置のハードウェア構成図。
【
図1B】実施形態1及び2による画像ファイル作成装置の機能構成図。
【
図2A】実施形態1及び2による情報処理装置のハードウェア構成図。
【
図2B】実施形態1及び2による情報処理装置の機能構成図。
【
図3】実施形態1によるHEIFファイルの構成図。
【
図4】実施形態1によるHEIFファイルの具体例をXML形式で示す図。
【
図5】実施形態1による印刷出力の具体例を示す図。
【
図6】実施形態1による画像作成装置により実行される処理を示すフローチャート。
【
図7】実施形態2によるHEIFファイルの構成図。
【
図8】実施形態2によるHEIFファイルの具体例をXML形式で示す図。
【
図9】実施形態2による印刷出力の具体例を示す図。
【
図10】実施形態2による画像作成装置により実行される処理を示すフローチャート。
【
図11】実施形態1及び2による情報処理装置により実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[実施形態1]
実施形態1では、画像ファイル作成装置は、画像データを印刷するための設定を規定する情報を印刷設定情報として含めた画像ファイルを生成する。作成される画像ファイルは、所定のファイルフォーマット(本実施形態ではHEIF)に準拠した画像ファイルである。画像ファイル作成装置から出力された画像ファイルを受信する情報処理装置は、受信した画像ファイルを解析し、印刷処理を行う。
【0012】
(画像ファイル作成装置の構成)
図1Aは、本実施形態における画像ファイル作成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。システムバス101は、一つ以上のCPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、通信インタフェース105、入力部106、表示部107、画像記憶部108、画像入力部109を接続し、各種データの転送経路となる。CPU102は、各ハードウェア構成部を統括的に制御し、画像ファイル作成装置100を制御する。ROM103は、CPU102で実行される制御プログラム等を格納している。RAM104は、CPU102の主メモリ、ワークエリア等として機能し、プログラムやデータを一時記憶する。通信インタフェース105は、ネットワークを介して通信パケットの送受信を行うインタフェースで、例えば、無線LANインタフェース、有線LANインタフェース、または、公衆移動体通信インタフェース等で構成されるが、これらに限定されない。入力部106は、ファイル作成者等が画像ファイル作成装置100に対して設定に関する情報を入力するためのインタフェースで、例えば、キーボードやタッチパッド、ボタン等で構成される。表示部107は、入力部106を介して入力された情報や、処理した結果等を表示するディスプレイである。なお表示部107と入力部106がGUI(Graphic User Interface)として1つのモジュールで構成されてもよい。画像記憶部108は、画像データ等を記憶する構成要素で、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置等により構成される。画像入力部109は、外部から画像を入力するための構成要素で、例えば、撮像機能を持ったカメラや走査機能を持ったスキャナ等により構成される。尚、通信インタフェース105や入力部106、表示部107、画像記憶部108、画像入力部109等は、画像ファイル作成装置100に内蔵されていなくてもよい。
【0013】
図1Bは、本実施形態における画像ファイル作成装置100の機能構成の一例を示す図である。画像取得部111は、HEIFファイルに格納する画像データを取得し、符号化部112またはファイル作成部114に出力する。画像取得部111により取得される画像データは、画像記憶部108に格納されている画像データである内部画像データでもよいし、カメラやスキャナ機能を備えた画像入力部109から入力された画像データである外部画像データでもよい。符号化部112は、画像取得部111により取得された画像データ(RAWデータ)を符号化して、符号化した画像データをファイル作成部114に出力する。符号化方式は限定されないが、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やHEVC-MSP(High Efficiency Video Coding-Main Still Picture)等が挙げられる。なお、ファイル作成部114に入力される画像データは、RAWデータでもよいし、符号化された画像データであってもよい。管理データ取得部113は、画像データに関する情報として、印刷設定情報、派生画像の生成指示情報、優先度情報(第一優先で表示する画像に関する情報)等を取得する。印刷設定情報については後述する。管理データ取得部113は、これらの情報を、例えば、入力部106を介したファイル作成者等による入力により取得することができる。ファイル作成部114は、画像取得部111および/または符号化部112から画像データを受け取り、管理データ取得部113から管理データを受け取る。そして、ファイル作成部114は、受け取った画像データ及び管理データを格納したHEIFファイルを作成し、出力する。具体的には、ファイル作成部114は、画像データを画像データ領域に格納し、管理データを管理データ領域に格納する。画像データ領域および管理データ領域については、
図3等を参照して以下に説明される。生成されたHEIFファイルは、通信インタフェース105を介して送信されてもよい。
【0014】
(情報処理装置の構成)
図2Aは、本実施形態における情報処理装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態における情報処理装置200は、印刷処理を行うことのできるプリンタ等である。システムバス201は、一つ以上のCPU202、ROM203、RAM204、通信インタフェース205、入力部206、表示部207、印刷部208を接続し、各種データの転送経路となる。CPU202、ROM203、RAM204、通信インタフェース205はそれぞれ、
図1Aで説明した画像ファイル作成装置100のシステムバス101、CPU102、ROM103、RAM104、通信インタフェース105と同様の機能を有するため、説明を省略する。入力部206は、情報処理装置200のユーザ等が情報処理装置200に対して設定に関する情報を入力するためのインタフェースで、例えば、キーボードやタッチパッド、ボタン等で構成される。表示部207は、入力部206を介して入力された情報や、処理した結果等を表示するディスプレイである。なお表示部207と入力部206がGUIとして1つのモジュールで構成されてもよい。印刷部208は、印刷処理を行う。印刷部208は例えば、通信インタフェース205を介して画像ファイル作成装置100から受信したHEIFファイルの印刷処理を行う。
【0015】
図2Bは、本実施形態における情報処理装置200の機能構成の一例を示す図である。解析部211は、画像ファイル作成装置100により作成され、通信インタフェース205等により取得されたHEIFファイルの解析処理を行う。印刷制御部212は、解析部211による解析結果等に基づいて、印刷部208(
図2A)により行われる印刷処理を制御する。
【0016】
(画像ファイルの構成)
図3に、本実施形態において作成される画像ファイルであるHEIFファイルの構成例を示す。HEIFファイル300には、ファイルタイプ情報(FileTypeBox)301、管理データ領域(MetaBox)302、および画像データ領域(MediaDataBox)303が含まれる。管理データ領域302には更に、印刷設定情報304と第一優先画像情報(PrimaryItemBox)305が含まれる。第一優先画像情報305は、複数の画像アイテムから第一優先で表示する画像(第一優先画像)を指定する。印刷設定情報304については、以下に詳細に説明する。なお、以下の説明において、画像アイテムと画像データは同義に使用され得る。
【0017】
印刷設定情報304には、印刷設定項目情報を複数列挙する印刷設定項目群306と印刷関連設定情報を複数列挙する印刷関連設定群307が含まれる。印刷設定項目群306には、印刷用紙設定308、印刷色設定309、印刷ページ設定310などの、個別に定義された印刷設定項目が含まれる。印刷用紙設定308には、印刷用紙に関する設定、例えば、印刷用紙サイズや、印刷の縦横の向き等の情報が含まれる。印刷色設定309には、印刷時の色に関する設定、例えば、白黒又はカラーの設定や印刷品質設定、明るさ、コントラスト等の情報が含まれる。印刷ページ設定310には、印刷ページに関する設定、例えば、ページの横幅ピクセルや縦幅ピクセル、画像アイテムのレイアウト等の情報が含まれる。ここで、画像アイテムのレイアウトは、画像アイテムIDと画像アイテムの横幅ピクセル、縦幅ピクセル、ページ内の配置位置を示すオフセット値等で構成される。なお、印刷設定項目群306には、異なる設定値で複数の印刷設定項目が格納されてもよい。例えば、異なる印刷用紙サイズが設定された複数の印刷用紙設定308が格納されてもよい。
【0018】
印刷関連設定群307には、格納されている印刷関連設定の数(印刷関連設定数311)と当該印刷関連設定数311の数の印刷関連設定312が含まれる。最初に格納されている印刷関連設定312を第一優先画像に対する印刷設定としてもよい。印刷関連設定312には、設定する印刷設定項目の数(印刷設定項目数313)と印刷設定項目数313の数の印刷設定項目関連314が含まれる。
【0019】
続いて印刷設定情報304を構成する各構文について説明する。印刷設定情報304は[構文1]で示すPrintPropertiesBox(印刷情報設定Box)として定義される。
[構文1]
また、印刷設定情報304に格納される印刷設定項目群306は[構文2]で示すPrintPropertyContainerBox(印刷設定項目群Box)として定義される。
[構文2]
[構文2]に示すPrintPropertyContainerBox内のpropertiesは[構文3]で示すBoxを継承したPrintProperty、又は[構文4]で示すFullBoxを継承したPrintFullPropertyどちらかの配列となる。
[構文3]
[構文4]
【0020】
印刷関連設定群307は[構文5]で示すPrintPropertyAssociationBox(印刷関連設定群Box)として定義される。
[構文5]
[構文5]において、entry_countは格納されている印刷関連設定数を表し、印刷関連設定毎に印刷設定項目数を表すassociation_countを持つ。印刷設定項目毎にproperty_indexを持つ。property_indexは、印刷設定項目群306で列挙された印刷設定項目の列挙された順番を表し、1から始まる。PrintPropertyContainerBox内のPrintProperty又はPrintFullPropertyを継承して印刷設定項目が定義される。
【0021】
印刷用紙設定308は[構文6]で示すPrintPaperPropertyとして定義される。
[構文6]
[構文6]において、paper_size_typeは用紙サイズタイプを表し、別途定義した用紙サイズ毎のタイプ番号を格納する。paper_direction_typeは印刷の縦横の向きを表し、別途定義した向き毎のタイプ番号を格納する。
【0022】
印刷色設定309は[構文7]で示すPrintColorPropertyとして定義される。
[構文7]
[構文7]において、color_modeは白黒モード又はカラーモードを表す。quality_typeは印刷品質のタイプを表し、例えば、別途定義された写真や文書等の印刷目的に応じたタイプ番号を格納する。brightnessは明るさ、contrastはコントラストを表し、別途定義した基準値に合わせた値を格納する。
【0023】
印刷ページ設定310は[構文8]で示すPrintPagePropertyとして定義される。
[構文8]
[構文8]において、page_pixel_widthはページの横幅ピクセル、page_pixel_heightはページの縦幅ピクセルを表す。page_layout_countはページに出力する画像アイテムの数を表す。印刷対象の画像アイテム毎に、識別情報を表すitem_ID、横幅ピクセルを表すitem_width、縦幅ピクセルを表すitem_heightを持つ。horizontal_offset及びvertical_offsetはページ内における画像アイテムの配置位置を表し、例えば、ページの左上からのピクセルオフセット値を格納する。
【0024】
図4に、本実施形態において定義した印刷設定情報304をHEIFファイル400に組み込んだ具体的な例をXML形式で示す。印刷設定情報304となるPrintPropertiesBox401の中に印刷設定項目群306となるPrintPropertyContainerBox402と印刷関連設定群307となるPrintPropertyAssociationBox403が格納される。PrintPropertyAssociationBox403には二個の印刷関連設定が含まれており、それぞれAssociationEntry404とAssociationEntry405が格納されている。
【0025】
(処理の流れ)
図6に、本実施形態における画像ファイル作成装置100により実行される処理を示すフローチャートを示す。
図6に示すフローチャートは、画像ファイル作成装置100のCPU102がROM103に記憶されている制御プログラムを実行し、情報の演算および加工並びに各ハードウェアの制御を実行することにより実現され得る。
図6に示す処理は、ファイル作成部114が、管理データ取得部113から印刷設定情報を受け取り、画像ファイルを作成する際に印刷設定情報を管理データ領域に格納する際に開始される。
【0026】
S601で、ファイル作成部114は、印刷設定情報Box([構文1]に示すPrintPropertiesBox)を生成する。S602で、ファイル作成部114は、S601で生成した印刷設定情報Box内に印刷設定項目群Box([構文2]に示すPrintPropertyContainerBox)を生成する。S603で、ファイル作成部114は、追加する印刷設定項目(
図3における印刷用紙設定308、印刷色設定309、印刷ページ設定310)があるかどうかを判定する。追加する印刷設定項目が有る場合は、処理はS604に進む。追加する印刷設定項目が無い場合はS605に進む。S604で、ファイル作成部114は、S602で生成した印刷設定情報Box内に印刷設定項目を格納する。S605で、ファイル作成部114は、S601で生成した印刷設定情報Box内に印刷関連設定群Box([構文5]に示すPrintPropertyAssociationBox)を生成する。S606で、ファイル作成部114は、追加する印刷関連設定(印刷関連設定312における印刷設定項目関連314)があるかどうかを判定する。追加する印刷関連設定が有る場合はS607に進む。追加する印刷関連設定が無い場合は処理を終了する。S607で、S605で生成した印刷関連設定群Boxに印刷関連設定を格納する。
【0027】
図11に、本実施形態における情報処理装置200により実行される処理を示すフローチャートを示す。
図11に示すフローチャートは、情報処理装置200のCPU202がROM203に記憶されている制御プログラムを実行し、情報の演算および加工並びに各ハードウェアの制御を実行することにより実現され得る。
図11に示す処理は、情報処理装置200が通信インタフェース205等を介して画像ファイル作成装置100から画像ファイルを受信する際に開始される。
【0028】
S1101で、情報処理装置200は、例えば通信インタフェース205により画像ファイル作成装置100から画像ファイルを受信して取得する。S1102で、解析部211は、画像ファイル作成装置100により生成された画像ファイルを取得し、管理データに対する解析処理を行う。画像ファイルには、上記に説明したように、本実施形態に従う印刷設定に関する情報が含まれている。解析部211は解析結果を印刷処理部212へ出力し、S1103で印刷処理部212は、当該解析結果に基づいて、印刷部208を制御して画像データの印刷処理を行う。
【0029】
図5に、本実施形態における印刷処理部212による印刷出力の具体例を示す。
図5では、
図4に示したAssociationEntry404とAssociationEntry405でそれぞれ印刷設定した印刷出力501と印刷出力502が示される。印刷出力501と印刷出力502は共に、画像アイテム503(item_ID:2001)と画像アイテム504(item_ID:2002)の二個の画像アイテムをA4の用紙に出力する。印刷出力501では、用紙を横向きに設定し、二個の画像アイテムを横一列に配置される。印刷出力502では、用紙を縦向きに設定し、二個の画像アイテムを縦一列に配置される。
【0030】
以上、本実施形態によれば、画像ファイル作成装置100は、HEIFファイルに印刷設定情報を管理データ領域に格納する際に、印刷設定情報Boxを生成し、印刷設定項目と印刷関連設定を当該Boxの内部に格納する。そして、画像ファイル作成装置100は、完成した印刷設定情報Boxを管理データ領域(MetaBox)に格納することでHEIFファイルに印刷設定情報を格納することができる。これにより、HEIFファイルにディスプレイへの表示用画像と印刷用画像を別々に設定でき、かかるHEIFファイルを印刷するユーザが印刷設定を都度指定することなく印刷が可能となる。すなわち、HEIFファイル作成者が印刷の詳細な設定情報を指定することができ、HEIFファイルを印刷するユーザが煩雑な印刷設定をせずに適切な設定でHEIFファイルを印刷することが可能となる。
【0031】
[実施形態2]
実施形態1では、印刷設定情報Boxに、管理データ領域(MetaBox)に格納する実施形態を説明した。実施形態2では、アイテム設定情報(ItemPropertiesBox)に格納する実施形態を説明する。本実施形態における画像ファイル作成装置100のハードウェア構成は
図1と同様であるため説明を省略する。また、本実施形態における画像ファイル作成装置100の機能構成は
図2と同様であるため説明を省略する。
【0032】
(画像ファイルの構成)
図7に、本実施形態において作成される画像ファイル(HEIFファイル700)の構成例を示す。HEIFファイル700には、ファイルタイプ情報701、管理データ領域702、および画像データ領域703が含まれる。管理データ領域702には更に、アイテム設定情報704と第一優先画像情報(PrimaryItemBox)705が含まれる。第一優先画像情報705は、複数の画像アイテムから第一優先で表示する画像である第一優先画像を指定する。アイテム設定情報704について、以下に詳細に説明する。
【0033】
アイテム設定情報704は、ItemPropertiesBox(アイテム設定情報Box)として定義される。また、アイテム設定情報704には、アイテム設定項目情報を複数列挙するアイテム設定項目群706とアイテム関連設定情報を複数列挙するアイテム関連設定群707が含まれる。アイテム設定項目群706とアイテム関連設定群707はそれぞれ、ItemPropertyContainerBox(アイテム設定項目群Box)とItemPropertyAssociationBox(アイテム関連設定群Box)として定義される。アイテム設定項目群706には、画像の符号化情報や画像の解像度情報等が含まれ得る。アイテム設定項目群706には印刷設定項目708が格納される。印刷設定項目708を記述するためのBoxについては後述する。アイテム関連設定群707には、格納されているアイテム関連設定の数(アイテム関連設定数)709とアイテム関連設定数709の数のアイテム関連設定710が含まれる。アイテム関連設定群707内のアイテム関連設定710には、設定するアイテム設定項目の数(アイテム設定項目数)711とアイテム設定項目数711の数のアイテム設定項目関連712が含まれる。印刷設定項目708で定義した印刷設定をアイテムに関連付けて設定するには、
図7に示すように、例えば、アイテム設定項目関連713に印刷設定項目708のインデックス番号(x)をProperty indexとして(画像アイテムと印刷設定項目708とを関連付ける情報として)設定すればよい。
【0034】
ここで、印刷設定項目708を記述するためのBoxについて説明する。印刷設定項目708を記述するためのBoxの一例として、PrintPropertyの構文を[構文9]に示す。
[構文9]
[構文9]において、PrintPropertyは、印刷設定としての優先度priority(印刷の順番の優先度)を持つ。HEIFでは、第一優先画像情報705で設定される画像アイテムが優先的に表示されることを期待するため、表示時と印刷時で異なる画像アイテムを選択できない。本パラメータは、表示する画像アイテムと印刷する画像アイテムの優先度を変更するためのパラメータで、本パラメータpriorityを高く設定したPrintPropertyを印刷する画像アイテムに設定することで実現できる。その他のパラメータは、実施形態1におけるPrintPaperProperty([構文6])とPrintColorProperty([構文7])で説明したパラメータと同様であるため説明は省略する。尚、印刷設定項目708は[構文9]のように一つのBoxで定義してもよいし、実施形態1のように複数のBoxに分けて定義してもよい。また、印刷用紙の余白や印刷倍率等の追加のパラメータがあってもよい。
【0035】
図8に、本実施形態において定義したアイテム設定情報704をHEIFファイル800に組み込んだ具体的な例をXML形式で示す。管理データ領域(MetaBox)内に、第一優先画像情報705となるPrimaryItemBox801が格納される。また、アイテム設定情報704となるItemPropertiesBox802が格納される。ItemPropertiesBox802内に、印刷設定項目708となるPrintProperty803(インデックス番号:3)とPrintProperty804(インデックス番号:6)が格納される。アイテム関連設定群707となるItemPropertyAssociationBox内に、アイテム関連設定710となるAssociationEntry805とAssociationEntry806が格納される。本HEIFファイルでは、第一優先画像としてitem_ID:2003が設定されているが、アイテム関連設定となるAssociationEntry806でitem_ID:2004に高優先度のPrintProperty804を設定している。そのため、表示用にはitem_ID:2003の画像アイテムが使用され、印刷用にはitem_ID:2004の画像アイテムが使用されることが期待される。
【0036】
(処理の流れ)
図10に、本実施形態における画像ファイル作成装置100により実行される処理を示すフローチャートを示す。
図10に示すフローチャートは、画像ファイル作成装置100のCPU102がROM103に記憶されている制御プログラムを実行し、情報の演算および加工並びに各ハードウェアの制御を実行することにより実現され得る。
図10に示す処理は、ファイル作成部114が、管理データ取得部113から印刷設定情報を受け取り、画像ファイルを作成する際に印刷設定情報を印刷設定項目として管理データ領域に格納する際に開始される。
【0037】
S1001で、ファイル作成部114は、アイテム設定情報Box(ItemPropertiesBox)を生成する。S1002で、ファイル作成部114は、S1001で生成したアイテム設定情報Box内にアイテム設定項目群Box(ItemPropertyContainerBox)を生成する。S1003で、ファイル作成部114は、追加するアイテム設定項目があるかどうかを判定する。追加するアイテム設定項目が有る場合は、処理はS1004に進む。追加するアイテム設定項目が無い場合は、処理はS1007に進む。S1004で、ファイル作成部114は、追加するアイテム設定項目が印刷設定項目(
図7における印刷設定項目708)かどうかを判定する。追加するアイテム設定項目が印刷設定項目の場合は、処理はS1005に進む。追加するアイテム設定項目が印刷設定項目でない場合は、処理はS1006に進む。S1005で、ファイル作成部114は、S1002で生成したアイテム設定項目群Box内に印刷設定項目を格納する。S1006で、ファイル作成部114は、S1002で生成したアイテム設定項目群Box内に印刷設定項目以外のアイテム設定項目を格納する。
【0038】
S1007で、ファイル作成部114は、S1001で生成したアイテム設定情報Box内にアイテム関連設定群Box(ItemPropertyAssociationBox)を生成する。S1008で、ファイル作成部114は、追加するアイテム関連設定(
図7におけるアイテム設定項目関連712)があるかどうかを判定する。追加するアイテム関連設定がある場合は、処理はS1009に進む。追加するアイテム関連設定が無い場合は、処理を終了する。S1009で、ファイル作成部114は、追加するアイテム関連設定が印刷関連設定かどうかを判定する。追加するアイテム関連設定が印刷関連設定の場合は、処理はS1010に進む。追加するアイテム関連設定が印刷関連設定でない場合は、処理はS1011に進む。S1010で、ファイル作成部114は、S1007で生成したアイテム関連設定群Box内に印刷関連設定を格納する。S1011で、ファイル作成部114は、S1007で生成したアイテム関連設定群Box内に印刷関連設定以外のアイテム関連設定を格納する。
【0039】
本実施形態における情報処理装置200により実行される処理は、実施形態1に示した
図11のフローチャートと同様である。ただし、解析処理および印刷処理の対象となる画像データは、本実施形態に従って作成された画像データである。
【0040】
図9に、本実施形態における印刷処理部212による印刷出力の具体例を示す。
図9では、
図8に示したAssociationEntry805とAssociationEntry806でそれぞれ印刷設定した印刷出力901と印刷出力902が示される。印刷出力901は、item_ID:2003の画像アイテムを印刷した際の出力であり、PrintProperty803が設定されている。印刷出力902は、item_ID:2004の画像アイテムを印刷した際の出力であり、PrintProperty804が設定されている。実施形態1のように画像アイテムを組み合わせて印刷出力のレイアウトを変更する場合は、複数の画像アイテムを組み合わせた派生画像アイテムを別途定義し、定義した派生画像アイテムに対して印刷設定項目を関連付けることで実現してもよい。
【0041】
以上、本実施形態によればHEIFファイルに印刷設定情報を管理データ領域のアイテム設定情報Boxに格納する際に、印刷設定項目を生成し、印刷設定項目をアイテム設定項目群Box内部に格納する。また、印刷関連設定をアイテム関連設定群Box内部に格納する。これにより、HEIFファイルにディスプレイへの表示用画像と印刷用画像とを別々に設定でき、且つHEIFファイルを印刷するユーザが印刷設定を都度指定することなく印刷が可能となる。すなわち、HEIFファイル作成者が印刷の詳細な設定情報を指定することができ、HEIFファイルを印刷するユーザが煩雑な印刷設定をせずに適切な設定でHEIFファイルを印刷することが可能となる。
【0042】
[その他の実施形態]
上記実施形態で説明したBox定義及び格納方法は一例であり、これらに限定されない。これらの方法以外にも、例えばExif(Exchangeable image file format)のような外部参照のメタデータに印刷設定情報を格納してもよい。また、UUID(Universal Unique Identifier type)のような拡張用のBoxに印刷設定情報を格納してもよい。
【0043】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0044】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0045】
100 画像ファイル作成装置、111 画像取得部、112、符号化部、113 管理データ取得部、114 ファイル作成部、200 情報処理装置、211 解析部、212 印刷制御部