(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】物品格納装置及び建物
(51)【国際特許分類】
A47G 29/124 20060101AFI20240216BHJP
A47G 29/126 20060101ALI20240216BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20240216BHJP
B64F 1/32 20060101ALI20240216BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240216BHJP
E05B 65/00 20060101ALN20240216BHJP
B64C 39/02 20060101ALN20240216BHJP
B64D 1/02 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
A47G29/124
A47G29/126
A47G29/12 Z
B64F1/32
B65G61/00 524
E05B65/00 D
B64C39/02
B64D1/02
(21)【出願番号】P 2019216674
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】下川 美代子
(72)【発明者】
【氏名】千葉 陽輔
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-036773(JP,A)
【文献】特表2018-515296(JP,A)
【文献】国際公開第2017/196190(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/161889(WO,A1)
【文献】特表2021-517098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0116568(US,A1)
【文献】特開2018-148992(JP,A)
【文献】国際公開第2018/177474(WO,A1)
【文献】特表2020-517035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/12-29/126
B64F 1/32
B64C39/02
B64D 1/02
B65G61/00
E05B65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体により物品が置かれ、無人飛行体により物品が置かれる場合及び無人飛行体により物品が持ち去られる場合に無人飛行体の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在しない物品受けと、
少なくとも前記物品受けの側方を覆う筐体と、
前記筐体に形成され、前記物品受けに置かれた物品を取り出す時に使用される物品取出口と、
少なくとも無人飛行体による物品の出し入れの際に開閉される開閉体と、
前記開閉体を施錠する開閉体電子錠と、
前記開閉体電子錠を解錠する開閉体解錠装置と、
を備え、
前記開閉体解錠装置は、前記筐体が設置されている居住者が利用する特定の端末に前記開閉体電子錠を解錠するために使用される解錠データを送信し、
前記開閉体電子錠は、前記特定の端末から送信される前記解錠データにより解錠される、
物品格納装置。
【請求項2】
前記開閉体は、前記筐体のうち前記物品受けの上方に位置する部分に設けられる上方開閉体を含む
請求項1に記載の物品格納装置。
【請求項3】
前記開閉体は、前記筐体のうち前記物品受けの側方に位置する部分に設けられる側方開閉体を含む
請求項1又は請求項2に記載の物品格納装置。
【請求項4】
物品が容器に収納されている状態で無人飛行体により前記物品受けに置かれる場合、前記容器のうち取出口が形成されている方向と、前記筐体のうち前記物品取出口が形成されている方向とが一致するよう無人飛行体を制御する制御装置を更に備える、
請求項1から請求項
3のいずれか一つに記載の物品格納装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一つに記載の物品格納装置を含む建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品格納装置及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、共働き世帯、高齢者世帯、単身者世帯等が増加しているため、宅配便に代表される宅配サービスの需要が増加している。また、現在では、消費者のニーズが多様化しているため、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を利用したデータマイニング(Data Mining)等を活用して消費者ごとにニーズを把握し、既存の店舗よりも規模が小さな店舗を使用して、特定のニーズを有する消費者に商品を販売するマイクロマーケットが注目を集めている。
【0003】
しかし、宅配サービスの需要の増加やマイクロマーケットの普及に伴い、配達者が商品を配達する負担が増加しているという問題が深刻になっている。配達者が商品を配達する負担を軽減する技術として、ドローン等の無人飛行体を活用して商品を配達し、配達先に設置された装置で商品を受け取る技術が注目を集めている。このような技術の一例として、例えば、特許文献1に開示されている配達物無人受取装置が挙げられる。当該配達物無人受取装置は、自動開閉配達物受取用扉と配達物取出用扉を兼ねる扉と、自動スライド型荷受け台とを有する受取容器を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、配達物無人受取装置は、自動スライド型荷受け台の上方や側方に配達先建物の壁等、無人飛行体の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在することがある。例えば、配達物無人受取装置が設置されている高さと同程度以上の高さを有する建築物等が配達先建物の近くに存在することがある。また、配達物無人受取装置は、このような物体を除去する機構等を有しない。このため、無人飛行体が自動スライド型荷受け台に物品を配達する場合、配達物無人受取装置に容易に接近したり、配達物無人受取装置から容易に離脱したりすることが困難になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、無人飛行体が容易に接近し、離脱することができる物品格納装置及び建物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、無人飛行体により物品が置かれ、無人飛行体により物品が置かれる場合及び無人飛行体により物品が持ち去られる場合に無人飛行体の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在しない物品受けと、少なくとも前記物品受けの側方を覆う筐体と、前記筐体に形成され、前記物品受けに置かれた物品を取り出す時に使用される物品取出口と、少なくとも無人飛行体による物品の出し入れの際に開閉される開閉体と、前記開閉体を施錠する開閉体電子錠と、前記開閉体電子錠を解錠する開閉体解錠装置と、を備え、前記開閉体解錠装置は、前記筐体が設置されている居住者が利用する特定の端末に前記開閉体電子錠を解錠するために使用される解錠データを送信し、前記開閉体電子錠は、前記特定の端末から送信される前記解錠データにより解錠される、物品格納装置である。
【0008】
また、上述した物品格納装置において、前記開閉体は、前記筐体のうち前記物品受けの上方に位置する部分に設けられる上方開閉体を含んでいてもよい。
【0009】
また、上述した物品格納装置において、前記開閉体は、前記筐体のうち前記物品受けの側方に位置する部分に設けられる側方開閉体を含んでいてもよい。
【0014】
また、上述した物品格納装置は、物品が容器に収納されている状態で無人飛行体により前記物品受けに置かれる場合、前記容器のうち取出口が形成されている方向と、前記筐体のうち前記物品取出口が形成されている方向とが一致するよう無人飛行体を制御する制御装置を更に備えていてもよい。
【0015】
本発明の一態様は、上述した物品格納装置のいずれか一つを含む建物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無人飛行体が容易に接近し、離脱することができる物品格納装置及び建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る建物、物品格納装置、物品及び無人飛行体の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る物品格納装置の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る物品格納装置の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る物品格納装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る建物、物品格納装置、物品及び無人飛行体の一例を示す図である。
図1は、建物10と、物品格納装置20aと、物品31と、無人飛行体40とを示している。
【0019】
建物10は、例えば、二階建ての住宅であり、屋上11と、ペントハウス12と、バルコニー13とを備える。ペントハウス12は、屋上11に設けられている住戸である。バルコニー13は、建物10から張り出しており、屋根を有しない構造物であり、手擦りや柵を有していてもよい。物品格納装置20aは、屋上11に設置されている。また、物品格納装置20aは、宅配ボックスとして活用されてもよいし、建物10の居住者専用のマイクロマーケットとして活用されてもよい。
【0020】
物品31は、例えば、宅配サービスにより建物10の居住者宛てに配達される荷物、マイクロマーケットの商品である。また、物品31は、
図1に示した容器310に収納されている。容器310は、例えば、六つの面各々がXY平面、YZ平面及びZX平面のいずれかと平行な立方体形状に形成されている。また、容器310は、取出口311と、取出用開閉体312とを備える。取出口311は、+X方向側の面に形成されている孔である。取出用開閉体312は、取出口311を覆うように設けられ、物品31が容器310から取り出される時に開く。また、取出用開閉体312は、容器310から物品31が取り出される際に、容器310に取り付けられている任意の機構により自動的に開かれてもよいし、建物10の居住者等により手動で開かれてもよい。なお、物品31は、容器310に収納されていない状態で配達されたり、マイクロマーケットに提供されたりしてもよい。
【0021】
無人飛行体40は、例えば、ドローン(Drone)である。ドローンは、例えば、プロペラが取り付けられているアームを四つから八つ有している。これらのプロペラは、反トルクを打ち消し、飛行中のドローンが回転することを避けるために、相対するプロペラと反対の方向に回転する。また、ドローンは、プロペラの回転数を小さくすることにより降下し、プロペラの回転数を大きくすることにより上昇する。さらに、ドローンは、進行方向に位置するプロペラの回転数を進行方向と反対の方向に位置するプロペラの回転数よりも小さくすることにより水平方向に移動する。また、ドローンは、右回転しているプロペラの回転数を左回転しているプロペラの回転数よりも大きくすることにより右側を向く。反対に、ドローンは、左回転しているプロペラの回転数を右回転しているプロペラの回転数よりも大きくすることにより左側を向く。
【0022】
ドローンは、当該電池の重量密度により飛行可能時間及び飛行可能距離が限られている。飛行可能時間は、例えば、30分である。飛行可能距離は、例えば、5kmから24kmである。無人飛行体40は、物品31を保持した状態で配送拠点から物品格納装置20aまで飛行し、物品格納装置20aに物品31を格納する。配送拠点は、例えば、配送業者の営業所、配送業者のトラックである。また、ドローンは、ネットワークを利用した通信を実行することが可能である。当該ネットワークは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)である。
【0023】
次に、
図2を参照しながら、物品格納装置20aの詳細について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る物品格納装置の一例を示す図である。以下の説明では、X軸、Y軸及びZ軸を使用する。Z軸は、重力の方向と反対の方向を向いている軸である。X軸及びY軸は、Z軸と直交する平面内に位置している軸である。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の三次元直交座標を形成している。
【0024】
図2に示すように、物品格納装置20aは、筐体201aと、側方開閉体202aと、側方開閉体電子錠203aと、側方開閉体解錠装置204aと、物品受け2051aと、物品受け2052aと、物品受け駆動機構2061aと、物品受け駆動機構2062aと、上方開閉体207aと、上方開閉体電子錠208aと、上方開閉体解錠装置209aと、物品取出口210aと、取出用開閉体211aと、制御装置212aとを備える。
【0025】
筐体201aは、少なくとも物品受け2051a及び物品受け2052aの側方を覆っている。筐体201aは、例えば、底面がXY平面に平行であり、側面がYZ平面又はZX平面に平行な直方体形状に形成されている。
【0026】
側方開閉体202aは、筐体201aのうち物品受け2051a及び物品受け2052aの側方に位置する部分、例えば、筐体201aのうち-Y方向側の側面に設けられている。側方開閉体202aは、無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aに物品31を置く場合及び無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aから物品31を持ち去る場合の少なくとも一方の場合に開く。例えば、
図2に示すように、側方開閉体202aは、これらの少なくとも一方の場合、物品受け2051a、物品受け2052a及び容器320が筐体201aの外に移動可能になる高さまで+Z方向側に移動する。なお、側方開閉体202aを開く機構は、特に限定されないが、無人飛行体40が接近したことを検知して側方開閉体202aを自動的に開くことが可能な機構であることが好ましい。
【0027】
側方開閉体電子錠203aは、側方開閉体202aに取り付けられており、側方開閉体202aを施錠する。また、側方開閉体電子錠203aは、上述したネットワークに接続されている。
【0028】
側方開閉体解錠装置204aは、無人飛行体40により物品31が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31が持ち去られる場合に側方開閉体電子錠203aを解錠する。例えば、側方開閉体解錠装置204aは、上述したネットワークに接続されており、当該ネットワークを利用して無人飛行体40及び特定の端末の少なくとも一つに側方開閉体電子錠203aを解錠するために使用される解錠データを送信する。そして、無人飛行体40及び特定の端末の少なくとも一つは、解錠データを受信し、当該解錠データを使用して側方開閉体電子錠203aを解錠する。ここで言う解錠データは、側方開閉体電子錠203aを解錠するために使用されるパスコード等のデータ又は当該データを生成するために必要なデータである。また、ここで言う特定の端末は、例えば、建物10の居住者が使用しているスマートフォン、タブレット、コンピュータである。なお、側方開閉体解錠装置204aは、必ずしも建物10の周辺や屋上11に設置される必要がある訳ではなく、任意の場所に設置され得る。
【0029】
物品受け2051a及び物品受け2052aは、いずれも無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が置かれる部材である。また、物品受け2051a及び物品受け2052aは、物品31を収納している容器310等を保持可能である限り、任意の材質により任意の形状で形成され得る。また、物品受け2051aの上方及び物品受け2052aの上方には、いずれも無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が持ち去られる場合に無人飛行体40その他無人飛行体の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在しない。例えば、物品受け2051aの+Z方向側及び物品受け2052aの+Z方向側には、これら二つの場合に無人飛行体40その他無人飛行体の降下及び上昇を妨害し得る物体が存在しない。具体的には、物品受け2051aの+Z方向側及び物品受け2052aの+Z方向側には、建物10の一部、建物10の周囲に位置している電線や樹木の枝等が存在しない。
【0030】
上述した無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が置かれる場合は、例えば、無人飛行体40が容器310等を物品受け2051a又は物品受け2052aに置いた後、何も保持せずに物品格納装置20aから飛び去る場合である。或いは、上述した無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が置かれる場合は、無人飛行体40が容器310等を物品受け2051a又は物品受け2052aに置いた後、別の物品等を保持して物品格納装置20aから飛び去る場合である。
【0031】
また、上述した無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が持ち去られる場合は、例えば、無人飛行体40が何も保持せずに物品格納装置20aに接近し、物品31を収納している容器310等を保持して物品格納装置20aから飛び去る場合である。或いは、上述した無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が持ち去られる場合は、無人飛行体40が別の物品等を物品受け2051a又は物品受け2052aに置いた後、物品31を収納している容器310等を保持して物品格納装置20aから飛び去る場合である。
【0032】
物品受け駆動機構2061aは、側方開閉体202aが開いている場合に、物品受け2051aを筐体201aの側方に移動させることにより物品受け2051aを筐体201aの外に移動させる。例えば、物品受け駆動機構2061aは、側方開閉体202aが+Z方向側に移動している場合に、物品受け2051aの少なくとも一部を筐体201aの-Y方向側の側面よりも-Y方向側に移動させる。なお、物品受け駆動機構2061aが物品受け2051aを移動させる機構は、特に限定されない。
【0033】
同様に、物品受け駆動機構2062aは、側方開閉体202aが開いている場合に、物品受け2052aを筐体201aの側方に移動させることにより物品受け2051aを筐体201aの外に移動させる。例えば、物品受け駆動機構2062aは、側方開閉体202aが+Z方向側に移動している場合に、物品受け2052aの少なくとも一部を筐体201aの-Y方向側の側面よりも-Y方向側に移動させる。なお、物品受け駆動機構2062aが物品受け2052aを移動させる機構は、特に限定されない。
【0034】
上方開閉体207aは、筐体201aのうち物品受け2051a及び物品受け2052aの上方に位置する部分、例えば、筐体201aのうち+Z方向側の底面に設けられている。上方開閉体207aは、無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aに物品31を収納している容器310等を置く場合及び無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aから物品31を収納している容器310等を持ち去る場合の少なくとも一方の場合に開く。例えば、上方開閉体207aは、これらの少なくとも一方の場合、筐体201aの+Z方向側の底面の+Y方向側の辺を軸として、XY平面と平行な状態からZX平面と平行な状態まで回転する。ただし、上方開閉体207aは、無人飛行体40その他無人飛行体の接近及び離脱を妨害しないようにするため、少なくとも一部が物品受け2051aの上方及び物品受け23aの上方に位置しなくなるまで開く必要がある。なお、上方開閉体207aを開く機構は、特に限定されないが、無人飛行体40が接近したことを検知して上方開閉体207aを自動的に開くことが可能な機構であることが好ましい。
【0035】
上方開閉体電子錠208aは、上方開閉体207aに取り付けられており、上方開閉体207aを施錠する。また、上方開閉体電子錠208aは、上述したネットワークに接続されている。
【0036】
上方開閉体解錠装置209aは、無人飛行体40により物品31が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31が持ち去られる場合に上方開閉体電子錠208aを解錠する。例えば、上方開閉体解錠装置209aは、上述したネットワークに接続されており、当該ネットワークを利用して無人飛行体40及び特定の端末の少なくとも一つに上方開閉体電子錠208aを解錠するために使用される解錠データを送信する。そして、無人飛行体40及び特定の端末の少なくとも一つは、解錠データを受信し、当該解錠データを使用して上方開閉体電子錠208aを解錠する。ここで言う解錠データは、上方開閉体電子錠208aを解錠するために使用されるパスコード等のデータ又は当該データを生成するために必要なデータである。また、ここで言う特定の端末は、例えば、建物10の居住者が使用しているスマートフォン、タブレット、コンピュータであり、側方開閉体電子錠203aを解錠するために使用される解錠データを受信する端末と同一の端末であってもよい。なお、上方開閉体解錠装置209aは、必ずしも建物10の周辺や屋上11に設置される必要がある訳ではなく、任意の場所に設置され得る。
【0037】
物品取出口210aは、例えば、筐体201aの+X方向側の側面に形成されている孔であり、物品受け2051aに置かれた容器310に収納されている物品31等及び物品受け2052aに置かれた容器310に収納されている物品31等の少なくとも一つを取り出す時に建物10の居住者等により使用される。
【0038】
取出用開閉体211aは、物品取出口210aを覆うように筐体201aに設けられている。例えば、取出用開閉体211aは、物品取出口210aを覆うよう、筐体201aの+X方向側の側面に取り付けられている。取出用開閉体211aは、物品受け2051aに置かれている容器310に収納されている物品31等を建物10の居住者等が取り出す時に開く。また、取出用開閉体211aは、物品格納装置20aに取り付けられている任意の機構により自動的に開かれてもよいし、建物10の居住者等により手動で開かれてもよい。
【0039】
制御装置212aは、物品31が容器310に収納されている状態で無人飛行体40により物品受け2051a又は物品受け2052aに置かれる場合、取出口311が形成されている方向と、筐体201aのうち物品取出口210aが形成されている方向とが一致するよう無人飛行体40を制御する。例えば、制御装置212aは、物品取出口210aが形成されている方向を示し、かつ、事前に登録されている物品取出口方向データを取得し、物品取出口方向データに基づいて無人飛行体40を制御する制御信号を生成して無人飛行体40に送信する。また、当該制御信号は、例えば、上述したネットワークを利用して送信される。無人飛行体40は、当該制御信号に基づいて右回転しているプロペラの回転数及び左回転しているプロペラの回転数の少なくとも一方を調整することにより自身の向きを調整しつつ物品受け2051a又は物品受け2052aに容器310を置く。
【0040】
以上、実施形態に係る物品格納装置20aについて説明した。物品格納装置20aは、物品受け2051aの上方及び物品受け2052aの上方に無人飛行体40の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在しない。これにより、物品格納装置20aは、無人飛行体40その他無人飛行体が上方から容易に接近し、物品受け231又は物品受け2052aに物品31等を置いたり、物品受け231又は物品受け2052aから物品31等を持ち去ったりすることができる。
【0041】
物品格納装置20aは、無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aに物品31等を置く場合及び無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aから物品31等を持ち去る場合の少なくとも一方の場合に開く上方開閉体207aを備える。これにより、物品格納装置20aは、上方開閉体207aを開くだけで、無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aに物品31等を置く動作や無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aから物品31等を持ち去る動作を受け付けることができる。
【0042】
物品格納装置20aは、上方開閉体207aを施錠する上方開閉体電子錠208aと、無人飛行体40により物品31等が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31等が持ち去られる場合に上方開閉体電子錠208aを解錠する上方開閉体解錠装置209aと、を備える。また、物品格納装置20aは、無人飛行体40等又は特定の端末に解錠データを送信し、無人飛行体40等又は特定の端末に当該解錠データを使用して上方開閉体電子錠208aを解錠させる。したがって、物品格納装置20aは、これら二つの場合以外の場合に上方開閉体207aを施錠し、防犯性を高めることができる。
【0043】
物品格納装置20aは、無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aに物品31等を置く場合及び無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aから物品31等を持ち去る場合の少なくとも一方の場合に開く側方開閉体202aを備える。また、物品格納装置20aは、側方開閉体202aが開いている場合に、物品受け2051aを筐体の側方に移動させることにより物品受け2051aを筐体201aの外に移動させる物品受け駆動機構2061aを備える。同様に、物品格納装置20aは、側方開閉体202aが開いている場合に、物品受け2052aを筐体の側方に移動させることにより物品受け2052aを筐体201aの外に移動させる物品受け駆動機構2062aを備える。これにより、物品格納装置20aは、無人飛行体40、物品31、容器310の形状等により上方開閉体207a経由で無人飛行体40が接近し難い場合でも、無人飛行体40が物品受け2051a又は物品受け2052aに容易に接近することを可能にし得る。
【0044】
物品格納装置20aは、側方開閉体202aを施錠する側方開閉体電子錠203aと、無人飛行体40により物品31等が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31等が持ち去られる場合に側方開閉体電子錠203aを解錠する側方開閉体解錠装置204aと、を備える。また、物品格納装置20aは、無人飛行体40等又は特定の端末に解錠データを送信し、無人飛行体40等又は特定の端末に当該解錠データを使用して側方開閉体電子錠203aを解錠させる。したがって、物品格納装置20aは、これら二つの場合以外の場合に側方開閉体202aを施錠し、防犯性を高めることができる。
【0045】
物品格納装置20aは、物品31が容器310に収納されている状態で無人飛行体40により物品受け2051a又は物品受け2052aに置かれる場合、容器310のうち取出口311が形成されている方向と、筐体201aのうち物品取出口210aが形成されている方向とが一致するよう無人飛行体40を制御する制御装置212aを備える。これにより、物品格納装置20aは、建物20の居住者等が容器310に収納されている物品31を取り出す際に、容器310ごと物品31を取り出したり、容器310の向きを変えたりする労力を削減することができる。
【0046】
なお、上述した説明では、建物10に物品格納装置20aが設置される場合を例に挙げたが、これに限定されない。建物10は、物品格納装置20a以外の物品格納装置が設置されてもよい。以下、上述した説明と重複する内容の説明を適宜省略し、物品格納装置20aと異なる内容を中心に説明する。
【0047】
図3は、本発明の実施形態に係る物品格納装置の一例を示す図である。
図3に示すように、物品格納装置20bは、筐体201bと、物品受け205bと、上方開閉体2071bと、上方開閉体2072bと、上方開閉体電子錠208bと、上方開閉体解錠装置209bと、物品取出口210bと、取出用開閉体211bと、制御装置212bとを備える。
【0048】
筐体201bは、上述した筐体201aと同様に、底面がXY平面に平行であり、側面がYZ平面又はZX平面に平行な直方体形状に形成されている。物品受け205bは、筐体201bの-Z方向側の底面である。
【0049】
上方開閉体2071b及び上方開閉体2072bは、筐体201bのうち物品受け231b及び物品受け232bの上方に位置する部分、例えば、筐体201bのうち+Z方向側の底面に設けられている。上方開閉体2071b及び上方開閉体2072bは、無人飛行体40が物品受け205bに物品31を収納している容器310等を置く場合及び無人飛行体40が物品受け205bから物品31を収納している容器310等を持ち去る場合の少なくとも一方の場合に開く。例えば、上方開閉体2071bは、これらの少なくとも一方の場合、+Y方向側に平行移動する。同様に、上方開閉体2072bは、これらの少なくとも一方の場合、-Y方向側に平行移動する。ただし、上方開閉体2071b及び上方開閉体2072bは、無人飛行体40その他無人飛行体の接近及び離脱を妨害しないようにするため、少なくとも一部が物品受け205bの上方に位置しなくなるまで開く必要がある。
【0050】
上方開閉体電子錠208bは、上方開閉体25bに取り付けられており、上方開閉体25bを施錠する。
【0051】
上方開閉体解錠装置209bは、無人飛行体40により物品31が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31が持ち去られる場合に上方開閉体電子錠208bを解錠する。
【0052】
物品取出口210bは、例えば、筐体201bの+X方向側の側面に形成されている孔であり、物品受け205bに置かれた容器310に収納された物品31等を取り出す時に建物10の居住者等により使用される。
【0053】
取出用開閉体211bは、物品受け205bに置かれている容器310に収納されている物品31等を建物10の居住者等が取り出す時に開く。
【0054】
制御装置212bは、物品31が容器310に収納されている状態で無人飛行体40により物品受け205bに置かれる場合、取出口311が形成されている方向と、筐体201bのうち物品取出口210bが形成されている方向とが一致するよう無人飛行体40を制御する。
【0055】
以上、
図3に示した物品格納装置20bについて説明した。物品格納装置20bは、上述した物品格納装置20aが奏する効果のうち側方開閉体202a、物品受け駆動機構2061a及び物品受け駆動機構2062aに関連する効果以外の効果を奏する。
【0056】
図4は、本発明の実施形態に係る物品格納装置の一例を示す図である。
図4に示すように、物品格納装置20cは、筐体201cと、側方開閉体202cと、側方開閉体電子錠203cと、側方開閉体解錠装置204cと、物品受け2051cと、物品受け2052cと、物品受け駆動機構2061cと、物品受け駆動機構2062cと、物品取出口210cと、取出用開閉体211cと、制御装置212cとを備える。
【0057】
筐体201cは、上述した筐体201aと同様に、底面がXY平面に平行であり、側面がYZ平面又はZX平面に平行な直方体形状に形成されている。
【0058】
側方開閉体202cは、上述した側方開閉体202aと同様、筐体201cのうち物品受け2051c及び物品受け2052cの側方に位置する部分、例えば、筐体201cのうち-Y方向側の側面に設けられている。側方開閉体202cは、無人飛行体40が物品受け2051c又は物品受け2052cに物品31を置く場合及び無人飛行体40が物品受け2051c又は物品受け2052cから物品31を持ち去る場合の少なくとも一方の場合に開く。
【0059】
側方開閉体電子錠203cは、側方開閉体202cに取り付けられており、側方開閉体202cを施錠する。また、側方開閉体電子錠203cは、上述したネットワークに接続されている。
【0060】
側方開閉体解錠装置204cは、無人飛行体40により物品31が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31が持ち去られる場合に側方開閉体電子錠203cを解錠する。
【0061】
物品受け2051c及び物品受け2052cは、いずれも無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が置かれる部材である。また、物品受け2051cの上方及び物品受け2052cの上方には、いずれも無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が置かれる場合及び無人飛行体40により物品31を収納している容器310等が持ち去られる場合に無人飛行体40その他無人飛行体の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在しない。
【0062】
物品受け駆動機構2061cは、側方開閉体202cが開いている場合に、物品受け2051cを筐体201cの側方に移動させることにより物品受け2051cを筐体201cの外に移動させる。同様に、物品受け駆動機構2062cは、側方開閉体202cが開いている場合に、物品受け2052cを筐体201cの側方に移動させることにより物品受け2051cを筐体201cの外に移動させる。
【0063】
物品取出口210cは、例えば、筐体201cの+X方向側の側面に形成されている孔であり、物品受け23cに置かれた容器310に収納された物品31等を取り出す時に建物10の居住者等により使用される。
【0064】
取出用開閉体211cは、物品受け23cに置かれている容器310に収納されている物品31等を建物10の居住者等が取り出す時に開く。
【0065】
制御装置212cは、物品31が容器310に収納されている状態で無人飛行体40により物品受け23cに置かれる場合、取出口311が形成されている方向と、筐体201cのうち物品取出口210cが形成されている方向とが一致するよう無人飛行体40を制御する。
【0066】
以上、
図4に示した物品格納装置20cについて説明した。物品格納装置20cは、上述した物品格納装置20aが奏する効果のうち上方開閉体207aに関連する効果以外の効果を奏する。
【0067】
上述した実施形態では、物品格納装置20a、物品格納装置20b又は物品格納装置20cが屋上11に設置されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。物品格納装置20a、物品格納装置20b及び物品格納装置20cは、屋上11ではなく、バルコニー13に設置されてもよい。また、物品格納装置20a、物品格納装置20b及び物品格納装置20cは、屋上11及びバルコニー13それぞれに設置されてもよい。また、物品格納装置20a、物品格納装置20b及び物品格納装置20cは、屋上11又はバルコニー13に独立して設置されるだけでなく、ペントハウス12や室内から屋外を通らずに接続して建物10の一部として設置されてもよい。さらに、物品格納装置20a、物品格納装置20b及び物品格納装置20cは、それぞれ物品受け2051a、物品受け2052a、物品受け205b、物品受け2051c及び物品受け2052cの上方に無人飛行体40その他無人飛行体の接近及び離脱を妨害し得る物体が存在しない限り、テラス等に設置されてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。ただし、建物10、物品格納装置20a、物品格納装置20b及び物品格納装置20cは、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換、組み合わせ又は設計変更が加えられてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…建物、11…屋上、12…ペントハウス、13…バルコニー、20a,20b,20c…物品格納装置、201a,201b,201c…筐体、202a,202c…側方開閉体、203a,203c…側方開閉体電子錠、204a,204c…側方開閉体解錠装置、2051a,2052a,205b,2051c,2052c…物品受け、2061a,2062a,2061c,2062c…物品受け駆動機構、207a,2071b,2072b…上方開閉体、208a,208b…上方開閉体電子錠、209a,209b…上方開閉体解錠装置、210a,210b,210c…物品取出口、211a,211b,211c…取出用開閉体、212a,212b,212c…制御装置、31…物品、310,320…容器、311,321…取出口、312,322…取出用開閉体、40…無人飛行体