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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B60N2/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019220182
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021088293
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 健介
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇介
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-230720(JP,A)
【文献】特開2010-125955(JP,A)
【文献】実開昭61-081433(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0193389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 1/02 - A47C 1/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床に固定されると共に、複数の第一係合部を有するロアレールと、シートに固定されると共に、複数の第二係合部を有する側壁を備えたアッパーレールと、前記ロアレールと前記アッパーレールとの相対移動を解除可能にロックするロック装置と、を備えるシートスライド装置であって、
前記ロック装置は、前記第一係合部及び前記第二係合部に対して係合可能な複数のロック歯および貫通穴を有する一対のロック側取付部を有するロック部材と、前記ロック部材に取り付けられ、前記ロック歯を前記第一係合部及び前記第二係合部に向けて付勢する付勢部材と、を備え、前記ロック歯は、前記ロック部材の回転によって前記第一係合部及び前記第二係合部に対して係合及び離脱し、
前記アッパーレールの前記側壁は、貫通穴を有する一対のアッパーレール側取付部を備え、前記一対のアッパーレール側取付部はそれぞれ、前記一対のロック側取付部に相対しており、
前記付勢部材は、
前記ロック側取付部の貫通穴および前記アッパーレール側取付部の貫通穴に挿入される2つの第一部分と、
前記2つの第一部分それぞれから立ち上がると共に、前記側壁と前記ロック部材との間に配置される2つの第二部分と、
前記2つの第二部分それぞれから前記ロック部材の上方を跨いで、前記ロック部材の反対側に延びる2つの第三部分と、
前記2つの第三部分それぞれから下方に延びると共に、前記ロック部材に接触している2つの第四部分と、
前記2つの第四部分の間で延びると共に、前記ロック部材に接触している第五部分と、
を備え、
前記ロック部材は、前記付勢部材によって前記アッパーレール側取付部に保持されると共に、前記付勢部材の前記第一部分を回転軸として回転する、
シートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のシートの前後位置を調節するためのシートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシートの前後位置を調節し、所定の位置でシートをロックできるシートスライド装置が知られている。図9は、従来のシートスライド装置の一例を示す断面側面図である。従来のシートスライド装置100は、主として、ロアレール110と、アッパーレール120と、ロック装置130と、レバー機構140とを備える。ロアレール110とアッパーレール120とは、ロック装置130によるロック時には相対移動不能であり、ロック解除時には相対移動可能になる。ロック装置130は、レバー機構140によりロック及びロック解除される。
【0003】
レバー機構140は、レバー141と、レバーブラケット142と、バネブラケット143とを備える。レバーブラケット142は第一端部側(前方側)においてレバー141と接続されている。レバーブラケット142の第二端部側(後方側)には、ロック装置130を作動させる押圧部142aが設けられている。レバーブラケット142は第一端部と第二端部との間に突起状の軸部142bを有している。バネブラケット143は板バネから成り、貫通穴143aを有する。バネブラケット143の貫通穴143aには、レバーブラケット142の軸部142bが軸支されている。
【0004】
搭乗者がレバー141を持ち上げることにより、レバー141及びレバーブラケット142が軸部142bを中心として回転し、押圧部142a側が下がる。押圧部142aがロック装置130に力を及ぼすことにより、ロック装置130がロック解除される。
【0005】
ここで、図10を参照して、従来のロック装置130についてさらに詳しく説明する。図10(a)はロック装置130の分解斜視図、図10(b)はロック装置130の組立斜視図である。ロック装置130は、ロック部材131と、軸部材132と、ブラケット133と、付勢部材134と、固定部材135を備えている。
【0006】
ロック部材131は、複数のロック歯131aを備える。ロック歯131aがロアレール110及びアッパーレール120の係合部(不図示)に係合しているとき、ロアレール110とアッパーレール120とはロックされた状態となる。ロック部材131は軸部材132によってブラケット133に接続される。付勢部材134は軸部材132に取り付けられ、ロック部材131をロック状態に付勢している。ブラケット133は、ピン等の固定部材135によってアッパーレール120に固定される。
【0007】
ロック部材131は、レバーブラケット142の押圧部142aによって下方に押圧されることで、軸部材132を中心として回転し、ロアレール110及びアッパーレール120の係合部から係合解除される。こうして、アレール110とアッパーレール120とのロックが解除され、アレール110とアッパーレール120とは相対移動可能になる。押圧部142aによるロック部材131への力が除荷されると、付勢部材134の復元力により、ロック部材131は自動的に逆回転し、ロック状態に戻る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のロック装置は、多数の部品から成るためコストが高いという問題があった。
【0009】
本発明は、少数の部品数から成るロック装置を備えたシートスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項目1)
車両の床に固定されると共に、複数の第一係合部を有するロアレールと、シートに固定されると共に、複数の第二係合部を有するアッパーレールと、前記ロアレールと前記アッパーレールとの相対移動を解除可能にロックするロック装置と、を備えるシートスライド装置であって、
前記ロック装置は、前記第一係合部及び前記第二係合部に対して係合可能な複数のロック歯を有するロック部材を備え、前記ロック歯は、前記ロック部材の回転によって前記第一係合部及び前記第二係合部に対して係合及び係合離脱し、
前記アッパーレールは、前記ロック部材を回転可能に取り付けるための取付部を備える、
シートスライド装置。
【0011】
(項目2)
前記ロック装置は、前記ロック歯を前記第一係合部及び前記第二係合部に向けて付勢する付勢部材をさらに備え、
前記ロック部材は、前記付勢部材によって前記取付部に取り付けられると共に、前記付勢部材を回転軸として回転する、
項目1に記載のシートスライド装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、アッパーレールにロック部材を取り付ける取付部を設けたため、ロック装置の部品数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】シート及びシートスライド装置の概略側面図である。
図2】シートスライド装置の分解斜視図である。
図3図2における、ロアレールとアッパーレールのIII-III線断面図である。
図4】シートスライド装置の組立後の部分断面斜視図である。
図5】シートスライド装置を前方側から見た図である。
図6】(a)ロック装置の斜視図、(b)(a)とは反対側から見たロック装置の斜視図である。
図7図4のVII-VII線断面図である。
図8】(a)レバーの非操作時の側面図、(b)レバーの操作時の側面図である。
図9】従来のシートスライド装置の一例を示す断面側面図である。
図10】(a)従来のロック装置の一例を示す分解斜視図、(b)従来のロック装置の一例を示す組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のシートスライド装置について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は、本発明の好ましい一具体例を示すものである。本発明は、以下の実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0015】
<1 シートスライド装置の構造>
図1は、車両のシートS及びシートスライド装置1の概略側面図である。以下では、「車両上下方向」、「車両前後方向」、「車両左右方向(車幅方向)」をそれぞれ単に「上下方向」、「前後方向」、「左右方向」と表記する。なお、左右方向は搭乗者を基準にして、右及び左を規定している。
【0016】
シートスライド装置1は、ロアレール2と、アッパーレール3と、ロック装置4と、レバー機構5と、を備える。シートスライド装置1は、後述するレバー51の操作部511を除いて、一つのシートSに対し、左右一対設けられている。
【0017】
ロアレール2は、ブラケットBを介して車両のフロアに固定される。アッパーレール3は、シートSに固定されると共に、ロアレール2に組み付けられる。ロアレール2とアッパーレール3とは、ロック装置4によるロック時には、前後方向に摺動不能であり、ロック解除時には前後方向に摺動可能になる。レバー機構5は、ロック装置4のロック状態とロック解除状態とを切り替える。以下、各構成要素について詳述する。
【0018】
<1-1 ロアレール及びアッパーレール>
図2は、シートスライド装置1の分解斜視図である。図3は、ロアレール2及びアッパーレール3の、図2におけるIII-III線断面図である。図4は、シートスライド装置1の組立後の部分断面斜視図である。図5は、組立後のシートスライド装置1を前方側から見た図である。
【0019】
主に図2図3及び図5を参照して、ロアレール2について説明する。ロアレール2は、底壁21と、側壁22と、上壁23と、フランジ部24と、を備えた、前後方向に延びる長尺な部材から成る。側壁22、上壁23及びフランジ部24はそれぞれ一対設けられている。ロアレール2は例えばプレス加工によって一体成形される。
【0020】
底壁21は、前後方向に延びる略平板状である。側壁22は、底壁21の左右両端から、底壁21と略直角を成して上方に延びている。上壁23は、側壁22の上端から他方側の側壁22に向けて、底壁21と略平行に延びている。フランジ部24は、上壁23の端部から下方に、側壁22と略平行に延びている。フランジ部24の下端には、複数の切欠き24aが前後方向に間隔をあけて形成されている。この切欠き24a内には、後述するロック歯412が配置される。
【0021】
次に、図2から図5を参照して、アッパーレール3について説明する。
【0022】
図2図3及び図5に示すように、アッパーレール3は、上壁31と、側壁32と、底壁33と、フランジ部34と、突起部35と、保持部36と、取付部37と、を備えた、前後方向に延びる長尺な部材から成る。側壁32、底壁33、フランジ部34、保持部36及び取付部37はそれぞれ一対設けられている。アッパーレール3は例えばプレス加工によって一体成形される。
【0023】
上壁31は、前後方向に延びる略平板状である。側壁32は、上壁31の左右両端から、上壁31と略直角を成して下方に延びている。底壁33は、側壁32から離れるように、側壁32の下端から斜め上方に向けて延びている。フランジ部34は、側壁32に近づくように底壁33から斜め上方に向けて延びると共に、屈曲して、側壁32から離れるように斜め上方に向けて延びている。
【0024】
図3に示すように、側壁32には、複数の開口部32a(本実施形態では四つ)が、ロアレール2の切欠き24aと同じ間隔で形成されている。ロアレール2とアッパーレール3とは、開口部32aと切欠き24aとが相対した状態で、開口部32a及び切欠き24aにロック歯412が挿入されることで、摺動不能にロックされる。
【0025】
図2から図4に示すように、突起部35は、開口部32aよりも前方の位置において上壁31に一体形成されており、且つ、下方に向けて湾曲しながら突出している。より詳細には、突起部35は、上壁31の一部をエンボス加工により下方に凹ませることで形成されている。突起部35には、後述するレバーブラケット52の上壁521が接触する(図4及び図8参照)。
【0026】
図2及び図3に示すように、保持部36は、突起部35よりも前方で、且つアッパーレール3の上下方向中間位置よりも上方(すなわち、上壁31に近接した位置)に設けられている。保持部36には、後述する伝達部材53の軸部533が保持される。保持部36は、U字型をしており、上壁31に一体形成されている。より詳細には、保持部36は、上壁31の一部を切り起こすことにより形成されている。
【0027】
図3に示すように、一対の取付部37は、前後方向に間隔をあけて形成されている。取付部37には、後述する付勢部材42によってロック部材41が取り付けられる。一対の取付部37は、開口部32aよりも下方の位置で側壁32に一体形成されている。より詳細には、各取付部37は、側壁32の一部を切り起こすことにより形成されており、一方の取付部37は最前方の開口部32aよりも前方に設けられ、他方の取付部37は最後方の開口部32aよりも後方に設けられている。各取付部37は貫通穴37aを有し、その貫通穴37aには付勢部材42の第一部分421が挿入される。
【0028】
図5に示すように、ロアレール2とアッパーレール3とは、ロアレール2の一対のフランジ部24間の空間にアッパーレール3の側壁32が配置され、ロアレール2の側壁22とフランジ部24との間の空間に、アッパーレール3のフランジ部34が配置されるように組み立てられる。
【0029】
ロアレール2の底壁21と側壁22との間のコーナ部と、アッパーレール3の底壁33との間には、ボール等の転動手段6が配置されている。また、ロアレール2の側壁22の上端と、アッパーレール3のフランジ部34の上端との間には、ボール等の転動手段6が配置されている。この転動手段6により、ロアレール2とアッパーレール3とは、前後方向に円滑に摺動できるようになっている。
【0030】
<1-2 ロック装置>
主に、図2図4図6及び図7を参照して、ロック装置4について説明する。図6(a)はロック装置4の斜視図、図6(b)は図6(a)とは反対側から見たロック装置4の斜視図である。図7は、図4のVII-VII線断面図である。ロック装置4は、ロック部材41と、付勢部材42と、を備え、ロアレール2とアッパーレール3とを相対移動不能にロックする。
【0031】
図6に示すように、ロック部材41は、一対の取付部411と、複数のロック歯412と、被押圧部413と、を備える。
【0032】
一対の取付部411は前後方向に間隔をあけて形成されており、それぞれ貫通穴411aを有している。各取付部411は、アッパーレール3の取付部37にそれぞれ相対して配置され、取付部411の貫通穴411aは取付部37の貫通穴37aと連通する。取付部411の貫通穴411a及び取付部37の貫通穴37aには、後述する付勢部材42の第一部分421が挿入され、これによりロック部材41はアッパーレール3の取付部37に回転可能に保持される。
【0033】
ロック歯412は、アッパーレール3の開口部32aと同数(すなわち、四つ)設けられており、開口部32aに向けて延びている。図7に示すように、ロック歯412はロック時に、ロアレール2の切欠き24a及びアッパーレール3の開口部32a内に配置され、ロアレール2とアッパーレール3との相対移動を規制する。
【0034】
被押圧部413は、ロック歯412よりも前方に、且つ、ロック歯412とは反対側に(すなわち、開口部32aから離れる方向に)向けて湾曲して延びている。被押圧部413は、ロック解除操作時に、後述するレバーブラケット52の押圧部523によって押圧される。
【0035】
付勢部材42は、ロック部材41をアッパーレール3の側壁32に向けて(すなわち、ロック歯412を開口部32a内に向けて)付勢している。本実施形態において、付勢部材42は、折り曲げ加工された線状バネからなる。
【0036】
付勢部材42は、第一部分421と、第二部分422と、第三部分423と、第四部分424と、第五部分425と、を備える。
【0037】
第一部分421は、前後方向に延び、貫通穴411a及び貫通穴37aに挿入される。第二部分422は、第一部分421から上方に立ち上がっている。第一部分421及び第二部分422は、側壁32とロック部材41との間に配置されている。第三部分423は、第二部分422からロック部材41の上方を跨いで、ロック部材41の反対側に延びている。第四部分424は、第三部分423から下方に延びると共に、ロック部材41に接触している。第五部分425は、第四部分424から水平に延びると共に、ロック部材41に接触している。
【0038】
ロック部材41は、レバーブラケット52により被押圧部413が押圧されると、付勢部材42の第一部分421を回転軸として、ロック歯412が開口部32a及び切欠き24a内から離脱するように回転する。レバーブラケット52による押圧が除荷されると、付勢部材42の復元力により、ロック部材41は自動的に逆回転し、ロック歯412が開口部32a内及び切欠き24a内に配置される。
【0039】
<1-3 レバー機構>
主に図2図4及び図5を参照して、レバー機構5について説明する。レバー機構5は、レバー51と、レバーブラケット52と、伝達部材53と、付勢部材54と、を備える。搭乗者がレバー51を操作することにより、レバー51の動作が伝達部材53によってレバーブラケット52に伝達され、レバーブラケット52によってロック装置4のロック解除が行われる。
【0040】
図2及び図4に示すように、レバー51は、操作部511と、アーム部512と、連結部513と、を備える。操作部511及びアーム部512は、アッパーレール3の外部に配置されている。操作部511は、搭乗者が掴んでレバー51を操作する部位である。アーム部512は左右一対設けられており、一対のアーム部512は操作部511によって連結されている。連結部513は、一対のアーム部512のそれぞれの先端に設けられており、伝達部材53と連結される。これによりレバー51は伝達部材53と連結される。
【0041】
図2及び図4に示すように、レバーブラケット52は、上壁521と、一対の側壁522と、押圧部523と、を備える。レバーブラケット52は、ロアレール2とアッパーレール3との間に配置されている。
【0042】
一対の側壁522は、上壁521から下方に延びている。側壁522の下部には、切欠き522aが設けられている。この切欠き522aには、付勢部材54が取り付けられている。付勢部材54は例えば線状のバネである。レバーブラケット52は付勢部材54によって上方に付勢され、これにより、上壁521の一部は、突起部35に押し当てられている(図4及び図8参照)。後述するが、レバーブラケット52は、上壁521と突起部35との接触点P1(図4及び図8参照)を中心として回転する。
【0043】
押圧部523は、上壁521の後端に設けられ、平板状であり、ロック部材41の被押圧部413上に、好ましくは接触して配置されている。押圧部523はレバーブラケット52の回転に伴い、被押圧部413を押圧して、ロック部材41を回転させる。
【0044】
図2及び図4に示すように、伝達部材53は、ロアレール2とアッパーレール3との間に配置され、レバー51の動作をレバーブラケット52に伝達する。伝達部材53は、底壁531と、一対の側壁532と、一対の軸部533と、一対の移動部534と、を備える。
【0045】
一対の側壁532は、底壁531から立ち上がっており、互いに対向している。軸部533は円柱状であり、一対の側壁532のそれぞれの外面から、互いに反対方向に延びている。軸部533は、アッパーレール3の保持部36に保持され、伝達部材53は、軸部533を中心として回転する。
【0046】
移動部534は、一対の側壁532のそれぞれの前端(すなわち、軸部533よりも前方)に設けられている。一対の移動部534は、側壁532から互いに反対方向に延びており、図5に示すように、レバーブラケット52の一対の側壁522の下方にそれぞれ接触して配置されている。
【0047】
<2 ロック装置及びレバー機構の動作>
主に図8を参照して、ロック装置4及びレバー機構5の動作について説明する。図8(a)はレバー51の非操作時のシートスライド装置1の側面図であり、図8(b)はレバー51の操作時(すなわち、レバー51を上方に持ち上げたとき)のシートスライド装置1の側面図である。
【0048】
搭乗者がレバー51の操作部511を持ち上げると、レバー51及び伝達部材53が、伝達部材53の軸部533を中心として回転する。伝達部材53の回転に伴い、伝達部材53の移動部534が、レバーブラケット52の前方側を持ち上げる(移動部534とレバーブラケット52の側壁522との接触点をP2と表記する)。これにより、レバーブラケット52は、その上壁521とアッパーレール3の突起部35との接触点P1を中心として回転する。つまり、レバーブラケット52のうち、接触点P1よりも前方の部分は上方に移動し、接触点P1よりも後方の部分は下方に移動する。
【0049】
そして、レバーブラケット52の押圧部523が、ロック部材41の被押圧部413を押圧する。その結果、ロック部材41は、付勢部材42の第一部分421を回転軸として、ロック歯412が切欠き24a及び開口部32aから離脱するよう回転する。こうして、ロアレール2とアッパーレール3とのロックが解除され、ロアレール2とアッパーレール3とは互いに摺動可能になる。
【0050】
レバー51の操作部511に印加された力を除荷すると、レバー51自体の自重及び付勢部材42の復元力によりレバー51が下がる。これにより、レバーブラケット52の押圧部523は上昇し、ロック部材41の被押圧部413を押圧しなくなる。その結果、ロック部材41は付勢部材42の復元力により自動的に回転し、ロック歯412が切欠き24a及び開口部32aに挿入される。こうして、ロアレール2とアッパーレール3とが摺動不能となるようにロックされる。
【0051】
<3 特徴>
本発明のシートスライド装置1では、ロック部材41を取り付けるための取付部37がアッパーレール3に一体形成されている。これにより、ロック部材41の取付部を別部材として設ける必要がないため、部品数を減らすことができる。
【0052】
付勢部材42の第一部分421がロック部材41の回転軸を兼ねている場合、回転軸を別部材として設ける必要がない。そのため、部品数を減らすことができる。
【0053】
<4 変形例>
なお、付勢部材42の第一部分421がロック部材41の回転軸を兼ねていることは、本発明のシートスライド装置1の好ましい一実施形態ではあるが、必須の構成ではない。例えば、ロック部材41は、従来の軸部材132のような、付勢部材42とは別部材から成る軸部材によって取付部37に取り付けられ、当該軸部材を中心として回転するような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 シートスライド装置
2 ロアレール
24a 切欠き(第一係合部)
3 アッパーレール
32a 開口部(第二係合部)
37 取付部
4 ロック装置
41 ロック部材
412 ロック歯
42 付勢部材
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10