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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】受光素子、固体撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240216BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240216BHJP
   H04N 25/10 20230101ALI20240216BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N25/10
H01L27/146 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020018436
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021125574
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公彦
(72)【発明者】
【氏名】福山 寛大
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/051594(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056396(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/072852(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/062558(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/111004(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/119317(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/188123(WO,A1)
【文献】特開2015-128131(JP,A)
【文献】特開2011-029379(JP,A)
【文献】特開2013-247548(JP,A)
【文献】特開2016-025149(JP,A)
【文献】特開2015-216171(JP,A)
【文献】特開2019-004001(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155944(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列された複数の画素群を有し、
前記画素群が、少なくとも2行2列の同色の単画素で構成され、
前記単画素が、
第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の画素群のそれぞれにおいて、前記画素群を構成する一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、且つ前記画素群を構成する他の一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間には前記遮光膜が配置されず、
互いに隣接する前記画素群の境界を挟んで互いに隣接する前記単画素の少なくとも一方に、前記遮光膜が配置されている、
受光素子。
【請求項2】
前記画素群が、2行2列の単画素で構成され、
前記画素群の対角に位置する2個の単画素に、前記遮光膜が配置されている、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項3】
前記画素群が、2行2列の単画素で構成され、
前記画素群の行方向又は列方向で互いに隣接する2個の単画素に、前記遮光膜が配置されている、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項4】
前記画素群の前記2個の単画素とは異なる他の2個の単画素の半分の領域に、前記遮光膜が更に配置されている、
請求項2に記載の受光素子。
【請求項5】
前記第2光電変換部が、複数のフォトダイオードで構成されている、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項6】
前記第1光電変換部が化合物半導体基板に形成され、
前記第2光電変換部がシリコン基板に形成されている、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項7】
前記化合物半導体基板がインジウムガリウム砒素からなる、
請求項6に記載の受光素子。
【請求項8】
前記単画素が、
前記第1光電変換部の前記光の入射面側とは反対側に、前記第1光電変換部で発生する信号電荷を読み出す第1配線層を更に備える、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項9】
前記単画素が、
前記第2光電変換部の前記光の入射面側とは反対側に、前記第2光電変換部で発生する信号電荷を読み出す第2配線層を更に備える、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項10】
前記遮光膜が、前記第2配線層に埋め込まれている、
請求項9に記載の受光素子。
【請求項11】
前記第2光電変換部の前記光の入射面側に、前記第2光電変換部で発生する信号電荷を読み出す第2配線層を更に備える、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項12】
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、前記遮光膜に接するように光透過膜が配置されている、
請求項11に記載の受光素子。
【請求項13】
前記遮光膜及び前記光透過膜の前記光の入射面側が前記第2光電変換部に接し、前記遮光膜及び前記光透過膜の前記光の入射面側とは反対側が前記第1光電変換部に接する、
請求項12に記載の受光素子。
【請求項14】
行列状に配列された複数の画素群で構成された画素領域を備え、
前記画素群が、少なくとも2行2列の同色の単画素で構成され、
前記単画素が、
第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の画素群のそれぞれにおいて、前記画素群を構成する一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、且つ前記画素群を構成する他の一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間には前記遮光膜が配置されず
互いに隣接する前記画素群の境界を挟んで互いに隣接する前記単画素の少なくとも一方に、前記遮光膜が配置されている、
固体撮像装置。
【請求項15】
行列状に配列された複数の画素群で構成された画素領域を有する固体撮像装置を備え、
前記画素群が、少なくとも2行2列の同色の単画素で構成され、
前記単画素が、
第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の画素群のそれぞれにおいて、前記画素群を構成する一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、且つ前記画素群を構成する他の一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間には前記遮光膜が配置されず
互いに隣接する前記画素群の境界を挟んで互いに隣接する前記単画素の少なくとも一方に、前記遮光膜が配置されている、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(本技術)は、受光素子、固体撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多様な光電変換出力を得るために、複数のセンサを積層して構成される固体撮像装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の固体撮像装置において、光の入射側に近い上側センサ層では、画素を行列状に配置する。一方、光の入射側から遠い下側センサ層では、上側センサ層の画素のうちの一部の画素のみに対応して有効な画素(本セル)を配置している。そして、下側センサ層の有効な画素が配置されない領域では、上側センサ層と下側センサ層との間に遮光膜を配置し、上側センサ層側からの光を遮光膜により遮光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-84926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の固体撮像装置では、上側センサ層の画素数に対して下側センサ層の有効な画素数が少ないため、下側センサ層の解像度が上側センサ層よりも低下する。一方、下側センサ層の解像度を向上するため、上側センサ層と下側センサ層との間の遮光膜が無い構成とすると、下側センサ層の隣接する画素間で混色(クロストーク)が発生する場合がある。
【0005】
本技術は、複数のセンサを積層した構成において、光の入射側から遠い側のセンサの特性の低下を抑制することができる受光素子、固体撮像装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一態様に係る受光素子は、行列状に配列された複数の画素群を有し、画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、単画素が、第1光電変換部と、第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部とを備え、複数の画素群のそれぞれにおいて、画素群を構成する一部の単画素の、第1光電変換部と第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、互いに隣接する画素群の境界を挟んで互いに隣接する単画素の少なくとも一方に、遮光膜が配置されていることを要旨とする。
【0007】
本技術の他の態様に係る受光素子は、行列状に配列され、少なくとも2行2列の画素群でそれぞれ構成された複数の単位行列を備え、画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、単画素が、近赤外光を光電変換する第1光電変換部と、第1光電変換部の光の入射面側に設けられ、可視光を光電変換する第2光電変換部とを備え、複数の単位行列のそれぞれにおいて、単位行列を構成する一部の画素群に、近赤外光を透過するカラーフィルタを配置し、互いに隣接する単位行列のそれぞれのカラーフィルタを配置した画素群の間に位置する単画素の、第1光電変換部と第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置されていることを要旨とする。
【0008】
本技術の一態様に係る固体撮像装置は、行列状に配列された複数の画素群で構成された画素領域を備え、画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、単画素が、第1光電変換部と、第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部とを備え、複数の画素群のそれぞれにおいて、画素群を構成する一部の単画素の、第1光電変換部と第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、互いに隣接する画素群の境界を挟んで互いに隣接する単画素の少なくとも一方に、遮光膜が配置されていることを要旨とする。
【0009】
本技術の一態様に係る電子機器は、行列状に配列された複数の画素群で構成された画素領域を有する固体撮像装置を備え、画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、単画素が、第1光電変換部と、第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部とを備え、複数の画素群のそれぞれにおいて、画素群を構成する一部の単画素の、第1光電変換部と第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、互いに隣接する画素群の境界を挟んで互いに隣接する単画素の少なくとも一方に、遮光膜が配置されていることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る固体撮像装置のブロック図である。
図2】第1実施形態に係る画素アレイ部の平面図である。
図3図2のA-A方向から見た断面図である。
図4】第1実施形態に係る画素アレイ部の他の平面図である。
図5】第2実施形態に係る画素アレイ部の平面図である。
図6図5のA-A方向から見た断面図である。
図7】第2実施形態に係る画素アレイ部の他の平面図である。
図8】第3実施形態に係る画素アレイ部の平面図である。
図9】第4実施形態に係る画素アレイ部の平面図である。
図10】第4実施形態に係る画素アレイ部の他の平面図である。
図11】第5実施形態に係る画素アレイ部の平面図である。
図12】第5実施形態に係る画素アレイ部の他の平面図である。
図13】第5実施形態に係る画素アレイ部の更に他の平面図である。
図14】第6実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
図15】本開示を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図16】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図17】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図18】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図19】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、図面を参照して本技術の第1~第6実施形態を説明する。以下の説明で参照する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は以下の説明を参酌して判断すべき。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0012】
(第1実施形態)
<固体撮像装置の概略構成例>
第1実施形態に係る固体撮像装置として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを一例として説明する。第1実施形態に係る固体撮像装置1は、図1に示すように、画素2が行列状に配列された画素領域(撮像領域)3と、画素領域3から出力された画素信号を処理する周辺回路部(4,5,6,7,8)とを備える。
【0013】
画素2は、一般的には、入射光を光電変換するフォトダイオードで構成された光電変換素部と、光電変換素部の光電変換により発生した信号電荷を読み出すための複数の画素トランジスタとを有する。複数の画素トランジスタは、例えば転送トランジスタ、リセットトランジスタ及び増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができる。複数の画素トランジスタは、更に選択トランジスタを加えて、4つのトランジスタで構成することもできる。第1実施形態に係る固体撮像装置1では、画素2は、積層された複数の半導体基板(第1及び第2半導体基板)50,70にそれぞれ形成された複数の光電変換素部を有する(画素2の詳細は後述する)。なお、第1実施形態に係る固体撮像装置1は、2枚の半導体基板50,70に加えて、ロジック基板等の半導体基板を更に積層していてもよい。
【0014】
周辺回路部(4,5,6,7,8)は、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7及び制御回路8を有する。制御回路8は、入力クロックと、動作モード等を指令するデータを受け取り、固体撮像装置1の内部情報等のデータを出力する。例えば、制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基いて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6等に出力する。
【0015】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成されている。垂直駆動回路4は、画素駆動配線を選択し、選択された画素駆動配線に画素2を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素2を駆動する。例えば、垂直駆動回路4は、画素領域3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線9を通して各画素2の光電変換部となる例えばフォトダイオードにおいて受光量に応じて生成した信号電荷に基く画素信号をカラム信号処理回路5に供給する。
【0016】
カラム信号処理回路5は、画素2の例えば列毎に配置されている。カラム信号処理回路5は、1行分の画素2から出力される信号を画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路5は、画素2固有の固定パターンノイズを除去するためのCDSや、信号増幅、AD変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10との間に接続されて設けられる。
【0017】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成されている。水平駆動回路6は、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線10に出力させる。
【0018】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線10を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。例えば、出力回路7は、バファリングだけ行ってもよく、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を行ってもよい。入出力端子12は、外部と信号のやりとりをする。
【0019】
図1に示した画素領域3の一部の模式的な平面図を図2に示す。図2では、画素領域3の一部である複数(4個)の画素群21,22,23,24を模式的に示している。複数の画素群21~24は、2行2列の単位行列を成しており、この単位行列が行列状に配列されて、画素領域3全体が構成されている。
【0020】
図2の左上の画素群21は、2×2個の単画素211,212,213,214で構成されている。画素群21の右側に隣接する画素群22は、2×2個の単画素221,222,223,224で構成されている。画素群21の下側に隣接する画素群23は、2×2個の単画素231,232,233,234で構成されている。画素群23の右側に隣接する画素群24は、2×2個の単画素241,242,243,244で構成されている。
【0021】
画素群21を構成する単画素211~214、画素群22を構成する単画素221~224、画素群23を構成する単画素231~234、画素群24を構成する単画素241~244のそれぞれが、図1に示した1個の画素2に対応する。画素群21を構成する単画素211~214は、同時に又は個別のタイミングで駆動制御及び読出しが可能である。画素群22を構成する単画素221~224は、同時に又は個別のタイミングで駆動制御及び読出しが可能である。画素群23を構成する単画素231~234は、同時に又は個別のタイミングで駆動制御及び読出しが可能である。画素群24を構成する単画素241~244は、同時に又は個別のタイミングで駆動制御及び読出しが可能である。
【0022】
図2のA-A方向から見た、画素群21を構成する単画素211,212及び画素群22を構成する単画素221,222を通る断面を図3に示す。第1実施形態に係る固体撮像装置1は、図3に示すように、第1センサ(40,50)と、第1センサ(40,50)の光Lの入射面側に配置された第2センサ(60,70)とを有する。第1センサ(40,50)及び第2センサ(60,70)は、いわゆる裏面照射型のセンサである。以下、固体撮像装置1の各部材の光の入射面側(図3の上側)の面を「裏面」と呼び、固体撮像装置1の各部材の光の入射面側とは反対側(図3の下側)の面を「表面」と呼ぶ。
【0023】
光Lの入射側に近い第1センサ(40,50)は、第1半導体基板50と、第1半導体基板50の表面側に配置された第1配線層(第1読出し回路)40とを備える。光Lの入射側から遠い第2センサ(60,70)は、第2半導体基板70と、第2半導体基板70の表面側に配置された第2配線層(第2読出し回路)60とを備える。
【0024】
第1半導体基板50及び第2半導体基板70を構成する半導体材料としては、例えばシリコン(Si)や、化合物半導体が使用可能である。化合物半導体としては、例えば、インジウムガリウム砒素(InGaAs)、インジウムガリウム砒素燐(InGaAsP)、インジウム砒素アンチモン(InAsSb)、インジウムガリウム燐(InGaP)、ガリウム砒素アンチモン(GaAsSb)及びインジウムアルミニウム砒素(InAlAs)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)等が挙げられる。例えばInGaAs、SiGe等は、Siよりもバンドギャップエネルギーが小さいナローバンドギャップ半導体であり、可視光領域よりも長波長側の赤外光領域に光吸収感度を有する。また、GaN等は、Siよりもバンドギャップエネルギーが大きいワイドバンドギャップ半導体であり、可視光領域よりも短波長側の紫外光領域に光吸収感度を有する。
【0025】
第1半導体基板50及び第2半導体基板70の材料は、対象とする波長領域等に応じて適宜選択可能である。第1半導体基板50及び第2半導体基板70は、互いに同一の材料で構成されていてもよく、互いに異なる材料で構成されていてもよい。例えば、光Lの入射側から遠い位置の第1半導体基板50の半導体材料が、光Lの入射側に近い位置の第2半導体基板70の半導体材料よりも長波長側の波長帯に感度を有する組み合わせが好ましい。ここでは、第2半導体基板70をSiで構成し、且つ第1半導体基板50をInGaAsで構成するものとする。
【0026】
第1半導体基板50には、第1光電変換部51,52,53,54が形成されている。第1光電変換部51~54は、第1半導体基板50のp型半導体領域(図示省略)及びn型半導体領域(図示省略)で構成されたフォトダイオードである。第1半導体基板50がInGaAsで構成されているため、第1光電変換部51~54は、近赤外光に感度を有する。第1半導体基板50には、第1光電変換部51~54で発生した信号電荷を読み出すための画素トランジスタが形成されていてもよい。
【0027】
第1半導体基板50の表面側には、第1光電変換部51~54で発生した信号電荷を読み出すための第1配線層40が形成されている。第1配線層40は、層間絶縁膜41と、層間絶縁膜41を介して複数層に積層された配線42とを含む。
【0028】
第1半導体基板50の裏面側には、第2配線層60を挟んで第2半導体基板70が配置されている。第2半導体基板70には、第2光電変換部71,72,73,74が形成されている。第2光電変換部71~74は、第2半導体基板70のp型半導体領域(図示省略)とn型半導体領域(図示省略)とで構成されたフォトダイオードである。第2半導体基板70がSiで構成されているため、第2光電変換部71~74は、可視光に感度を有する。第2半導体基板70には、第2光電変換部71~74で発生した信号電荷を読み出すための画素トランジスタが形成されていてもよい。
【0029】
第2光電変換部71~74は、素子分離部101により電気的に素子分離されている。素子分離部101は、各第2光電変換部71~74を取り囲むように格子状に形成されている。素子分離部101は、例えば第2半導体基板70に形成されたトレンチに埋め込まれた絶縁膜で構成されている。絶縁膜としては、例えば窒化シリコン(Si)膜、酸化アルミニウム(Al)膜、酸化シリコン(SiO)膜、酸窒化シリコン(SiON)膜、酸窒化アルミニウム(AlON)膜、窒化シリコンアルミニウム(SiAlN)膜、酸化マグネシウム(MgO)膜、酸化シリコンアルミニウム(AlSiO)膜、酸化ハフニウム(HfO)膜、酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)膜、酸化タンタル(Ta)膜、酸化チタン(TiO)膜、酸化スカンジウム(Sc)膜、酸化ジルコニウム(ZrO)膜、酸化ガドリニウム(Gd)膜、酸化ランタン(La)膜又は酸化イットリウム(Y)膜等の単層膜又はこれらを複数積層した積層膜により構成してもよい。
【0030】
第2半導体基板70の表面側には、第2光電変換部71~74で発生した信号電荷を読み出すための第2配線層60が形成されている。第2配線層60は、層間絶縁膜61と、層間絶縁膜61を介して複数層に積層された配線62とを含む。第2配線層60の配線62は、第2光電変換部71~74への光Lの入射を妨げないように、第2光電変換部71~74の境界位置に配置されている。
【0031】
層間絶縁膜61には、遮光膜(中間遮光膜)20が配置されている。中間遮光膜20は、第1光電変換部51,53の裏面側に選択的に配置されている。第1光電変換部52,54の裏面側には中間遮光膜20は配置されず、中間遮光膜20の開口部が位置する。中間遮光膜20は、例えばタングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の金属材料や、ポリシリコン等の誘電体材料を採用できる。中間遮光膜20は、中間遮光膜20の裏面側からの第2光電変換部71~74を透過してきた光Lを遮光する。
【0032】
第2半導体基板70の裏面側には、第2半導体基板70と絶縁されて遮光膜(上側遮光膜)102が配置されている。上側遮光膜102は、第2光電変換部71~74の受光面を開口するように選択的に配置されている。上側遮光膜102の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の金属材料や、ポリシリコン等の誘電体材料を採用できる。
【0033】
第2半導体基板70の裏面側には、上側遮光膜102を被覆するように平坦化膜103が配置されている。平坦化膜103の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、有機SOG(spin-on glass)、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等が使用可能である。
【0034】
平坦化膜103の裏面側には、カラーフィルタ81,82,83,84が配置されている。カラーフィルタ81~84の材料としては、顔料や染料等の有機化合物を用いた有機材料系の材料層で構成することができる。カラーフィルタ81~84は、入射光Lのうちの所定の波長成分を透過する。カラーフィルタ81,82は、緑色光(可視光)及び近赤外光を透過する。カラーフィルタ83,84は、青色光(可視光)及び近赤外光を透過する。
【0035】
カラーフィルタ81~84の裏面側には、オンチップレンズ(マイクロレンズ)91,92,93,94が配置されている。オンチップレンズ91~94は、各単画素211,212,221,222に対応して配置されている。オンチップレンズ91~94は、入射する光Lを集光する。オンチップレンズ91~94の材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、有機SOG、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等の絶縁材料が使用可能である。なお、オンチップレンズ91~94は、図2に示した画素群21~24毎に1つ配置してもよい。
【0036】
第1実施形態に係る固体撮像装置1では、図3に矢印で模式的に示すように、オンチップレンズ91~94側から光Lが入射する。入射した光Lは、オンチップレンズ91~94、カラーフィルタ81~84及び平坦化膜103を透過して、第2光電変換部71~74に入射する。第2光電変換部71~74は、入射した光Lのうちの可視光成分を光電変換し、光の量に応じた信号電荷を発生させる。発生した信号電荷は、第2光電変換部71~74に対応する画素トランジスタ及び第2配線層60の配線62を介して、画素信号として出力される。
【0037】
第1光電変換部51~54のうちの第1光電変換部52,54の裏面側は、中間遮光膜20の開口部に位置するため、第1光電変換部52,54は、第2光電変換部71~74及び第2配線層60を透過した光Lのうちの近赤外光成分を光電変換し、光の量に応じた信号電荷を発生させる。発生した信号電荷は、第1光電変換部52,54に対応する画素トランジスタ及び第1配線層40の配線42を介して、画素信号として出力される。一方、第1光電変換部51,53の裏面側には中間遮光膜20が配置されているため、第1光電変換部51,53には光Lが入射されず、信号電荷が発生しない。
【0038】
第2光電変換部71~74からの可視光情報と、第1光電変換部52,54からの近赤外光情報とに基づき、例えば可視光の画像(カラー画像)と近赤外光の画像とを同時に取得することができる。また、可視光の画像と近赤外光の画像とを合成することにより、高画質な赤外光画像を得ることができる。
【0039】
図2では模式的に、緑色用の単画素に「G」、赤色用の単画素に「R」、青色用の単画素に「B」の文字を付している(図3以降の平面図でも同様である)。画素群21を構成する単画素211~214及び画素群24を構成する単画素241~244が緑色用であり、画素群22を構成する単画素221~224が青色用であり、画素群23を構成する単画素231~234が赤色用である。図2に示した画素群21~24の単位行列を行列状に配列することにより、ベイヤー配列の画素領域3が構成される。なお、画素領域3の配列パターンはベイヤー配列に限定されず、種々の配列パターンが採用可能である。
【0040】
緑色用の単画素211~214,241~244においては、緑色光及び近赤外光を透過するカラーフィルタが配置される。青色用の単画素221~224においては、青色光及び近赤外光を透過するカラーフィルタが配置される。赤色用の単画素231~234においては、赤色光及び近赤外光を透過するカラーフィルタが配置される。
【0041】
図2では模式的に、中間遮光膜20が選択的に配置される領域にドット状のハッチングを付している(図3以降の平面図でも同様である)。即ち、画素群21の対角に位置する2個の単画素211,214、画素群22の対角に位置する2個の単画素221,224、画素群23の対角に位置する2個の単画素231,234、画素群24の対角に位置する2個の単画素241,244が、第1光電変換部と第2光電変換部との間に中間遮光膜20が配置されている画素(「遮光画素」とも呼ぶ)である。遮光画素211,214,221,224,231,234,241,244では、第2光電変換部を透過した光は中間遮光膜20により遮光されるため、第1光電変換部からの出力は得られない。
【0042】
一方、画素群21の対角に位置する2個の単画素212,213、画素群22の対角に位置する2個の単画素222,223、画素群23の対角に位置する2個の単画素232,233、画素群24の対角に位置する2個の単画素242,243は、第1光電変換部と第2光電変換部との間に中間遮光膜20が配置されていない画素(「開口画素」とも呼ぶ)となる。開口画素212,213,222,223,232,233,242,243では、中間遮光膜20が配置されていないため、第1光電変換部からの出力も得られる。
【0043】
即ち、緑色用の画素群21においては、緑色用の単画素211~214の第2光電変換部が、緑色光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第2光電変換部の出力が合算される。そして、緑色用の単画素211~214のうちの開口画素212,213において、第1光電変換部が、近赤外光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第1光電変換部の出力が合算される。
【0044】
また、青色用の画素群22においては、青色用の単画素221~224の第2光電変換部が、青色光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第2光電変換部の出力が合算される。そして、青色用の単画素211~214のうちの開口画素222,223において、第1光電変換部が、近赤外光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第1光電変換部の出力が合算される。
【0045】
また、赤色用の画素群23においては、赤色用の単画素231~234の第2光電変換部が、赤色光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第2光電変換部の出力が合算される。そして、赤色用の単画素231~234のうちの開口画素232,233において、第1光電変換部が、近赤外光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第1光電変換部の出力が合算される。
【0046】
また、緑色用の画素群24においては、緑色用の単画素241~244の第2光電変換部が、緑色光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第2光電変換部の出力が合算される。そして、緑色用の単画素241~244のうちの開口画素242,243において、第1光電変換部が、近赤外光を光電変換することにより信号電荷を発生させ、各第1光電変換部の出力が合算される。
【0047】
ここで、図2に示すように、隣接する画素群21~24の境界位置において、隣接する画素群21~24の開口画素212,213,222,223,232,233,242,243同士は隣接せず、行方向又は列方向に1画素分だけ離れた配置パターンとなる。これにより、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243の第1光電変換部の分離性を向上させることができ、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243の第1光電変換部間の混色を抑制することができる。
【0048】
第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法の一例としては、図3に示した第1半導体基板50を用意し、第1半導体基板50の表面側に第1配線層40を形成する。一方、第2半導体基板70を用意し、第2半導体基板70の表面側に、中間遮光膜20を含むように第2配線層60を形成する。そして、第2配線層60の表面側に、第1半導体基板50の裏面側を貼り合わせることにより、第1半導体基板50及び第2半導体基板70を一体化する。その後、第2半導体基板70に素子分離部101を形成して、第2半導体基板70の裏面側に上側遮光膜102、平坦化膜103、カラーフィルタ81~84及びオンチップレンズ91~94を形成する。なお、第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法は特に限定されず、第1実施形態に係る固体撮像装置1は種々の製造方法により実現可能である。
【0049】
第1実施形態に係る固体撮像装置1によれば、同色の2×2個以上の複数の単画素211~214,221~224,231~234,241~244で1個の画素群21~24を構成し、画素群21~24の一部の単画素211,214,221,224,231,234,241,244に、中間遮光膜20を選択的に配置する。これにより、各画素群21~24から、第2光電変換部からの出力(可視光情報)と、第1光電変換部からの出力(近赤外情報)の両方を得ることができる。このため、第1センサ(40,50)の画素数を、第2センサ(60,70)の画素数と同等とすることができ、第1センサ(40,50)の解像度の低下を抑制することができる。
【0050】
更に、隣接する画素群21~24の境界を挟んで隣接する単画素の少なくとも一方を遮光画素211,214,221,224,231,234,241,244とすることにより、隣接する画素群21~24同士の開口画素212,213,222,223,232,233,242,243が隣接することを防止することができる。このため、隣接する画素群21~24同士の第1光電変換部の間の混色を抑制することができる。
【0051】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態に係る固体撮像装置1の中間遮光膜20の配置パターンは、図2に示した千鳥格子状の配置パターンに限定されない。例えば、図4にドット状のハッチングの領域で示すように、画素群21の左側の列方向に隣接する2個の単画素211,213、画素群22の左側の列方向に隣接する2個の単画素221,223、画素群23の右側の列方向に隣接する2個の単画素232,234、画素群24の右側の列方向に隣接する2個の単画素242,244を、中間遮光膜20が選択的に配置された遮光画素としてもよい。
【0052】
この場合、画素群21の右側の列方向に隣接する2個の単画素212,214、画素群22の右側の列方向に隣接する2個の単画素222,224、画素群23の左側の列方向に隣接する2個の単画素231,233、画素群24の左側の列方向に隣接する2個の単画素241,243が、中間遮光膜20が選択的に配置されず、中間遮光膜20の開口部に位置する開口画素となる。
【0053】
この場合でも、隣接する画素群21~24の境界を挟んで隣接する単画素の少なくとも一方を遮光画素211,213,221,223,232,234,242,244とすることにより、隣接する画素群21~24同士の開口画素212,214,222,224,231,233,241,243は互いに隣接せず、行方向に1画素分だけ離れた配置パターンとなる。これにより、開口画素212,214,222,224,231,233,241,243の第1光電変換部の分離性を向上させることができ、第1光電変換部間の混色を抑制することができる。
【0054】
なお、図4では、画素群21の列方向に隣接する2個の単画素211,213、画素群22の列方向に隣接する2個の単画素221,223、画素群23の列方向に隣接する2個の単画素232,234、画素群24の列方向に隣接する2個の単画素242,244を遮光画素とする場合を例示したが、画素群21の行方向に隣接する2個の単画素211,212、画素群22の行方向に隣接する2個の単画素223,224、画素群23の行方向に隣接する2個の単画素231,232、画素群24の行方向に隣接する2個の単画素243,244を遮光画素としてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る固体撮像装置は、図5のドット状のハッチングの領域で示すように、画素群21の単画素211,214、画素群22の単画素221,224、画素群23の単画素231,234、画素群24の単画素241,244を、中間遮光膜20が選択的に配置された遮光画素とする点は、図2に示した第1実施形態に係る固体撮像装置1と共通する。
【0056】
しかし、第2実施形態に係る固体撮像装置は、画素群21の単画素212,213、画素群22の単画素222,223、画素群23の単画素232,233、画素群24の単画素242,243を、中間遮光膜20が完全には配置されず、中間遮光膜20の開口部に位置する開口画素とするが、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243のそれぞれの半分の領域にまで中間遮光膜20を配置する点が、図2に示した第1実施形態に係る固体撮像装置1と異なる。
【0057】
図5のA-A方向から見た、画素群21を構成する単画素211,212及び画素群22を構成する単画素221,222を通る断面を図6に示す。図6に示すように、中間遮光膜20が、第1光電変換部51,53の裏面側に配置されると共に、第1光電変換部52,54の裏面側の半分の領域まで延在している。第2実施形態に係る固体撮像装置の他の構成は、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0058】
第2実施形態に係る固体撮像装置によれば、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様に、隣接する画素群21~24同士の開口画素212,213,222,223,232,233,242,243が互いに隣接しないため、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243の第1光電変換部間の混色を抑制することができる。更に、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243の半分の領域を中間遮光膜20が遮光することにより、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243の第1光電変換部の出力から、近赤外光に対する視差情報を得ることができる。このため、近赤外光に対する像面位相差オートフォーカス(AF)を実現することが可能となる。或いは、像面位相差AFをコントラストAFと組み合わせることにより、AF性能の高速化が可能となる。
【0059】
なお、第2実施形態に係る固体撮像装置の中間遮光膜20の配置パターンは、図5に示した配置パターンに限定されない。例えば、図7にドット状のハッチングの領域で示すように、開口画素212,213,222,223,232,233,242,243の図5の場合とは逆側の半分の領域に中間遮光膜20を配置してもよい。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る固体撮像装置は、図8に示すように、画素群21を構成する単画素211~214、画素群22を構成する単画素221~224、画素群23を構成する単画素231~234、画素群24を構成する単画素241~244のそれぞれが、複数(2個)の第2光電変換部(フォトダイオード)を有し、いわゆる画素共有構造を有する点が、第1実施形態に係る固体撮像装置1と異なる。
【0061】
画素群21を構成する単画素211~214、画素群22を構成する単画素221~224、画素群23を構成する単画素231~234、画素群24を構成する単画素241~244のそれぞれは、2個の第2光電変換部からの信号電荷をそれぞれ転送する2個の転送トランジスタと、その他の共通の画素トランジスタを有する。第3実施形態に係る固体撮像装置の他の構成は、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0062】
第3実施形態に係る固体撮像装置によれば、画素群21を構成する単画素211~214、画素群22を構成する単画素221~224、画素群23を構成する単画素231~234、画素群24を構成する単画素241~244のそれぞれの第2光電変換部を画素共有構造とすることで、第2光電変換部からも視差情報を得ることができる。また、第2光電変換部の半分を遮光膜により遮光する場合と比較して、第1光電変換部への透過率を低下させることなく、第2光電変換部でも視差情報を取得することが可能となる。
【0063】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る固体撮像装置は、図9に示すように、画素群21が3×3個の単画素211~219で構成され、画素群22が3×3個の単画素221~229で構成され、画素群23が3×3個の単画素231~239で構成され、画素群24が3×3個の単画素241~249で構成されている点が、第1実施形態に係る固体撮像装置1と異なる。
【0064】
図9にドット状のハッチングで模式的に示すように、画素群21の4個の単画素212,214,216,218、画素群22の4個の単画素221,223,227,229、画素群23の4個の単画素231,233,237,239、画素群24の4個の単画素242,244,246,248が、中間遮光膜20が選択的に配置された遮光画素となる。一方、画素群21の5個の単画素211,213,215,217、219、画素群22の5個の単画素222,224,225,226,228、画素群23の5個の単画素232,234,235,236,238、画素群24の5個の単画素241,243,245,247,249が、中間遮光膜20が選択的に配置されず、中間遮光膜20の開口部に位置する開口画素となる。第4実施形態に係る固体撮像装置の他の構成は、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0065】
第4実施形態に係る固体撮像装置によれば、画素群21~24が3×3個の単画素211~219,221~229,231~239,241~249で構成されている場合でも、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様に、隣接する画素群21~24の境界を挟んで隣接する単画素の少なくとも一方を遮光画素212,214,216,218,221,223,227,229,231,233,237,239,242,244,246,248とすることにより、隣接する画素群21~24同士の開口画素212,213,217,219,222,224,226,228,232,234,236,238,241,243,247,249が隣接しないため、隣接する画素群21~24同士の開口画素212,213,217,219,222,224,226,228,232,234,236,238,241,243,247,249の第1光電変換部間の混色を抑制することができる。
【0066】
なお、第4実施形態に係る固体撮像装置の中間遮光膜20の配置パターンは、図9に示した配置パターンに限定されない。例えば、図10にドット状のハッチングの領域で示すように、画素群21のL字型をなす5個の単画素213,216,217,218,219、画素群22のL字型をなす5個の単画素223,226,227,228,229、画素群23のL字型をなす5個の単画素233,236,237,238,239、画素群24のL字型をなす5個の単画素243,246,247,248,249を、中間遮光膜20が選択的に配置された遮光画素としてもよい。また、図示は省略するが、画素群21~24が4×4個以上の複数の単画素で構成されていてもよい。
【0067】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る固体撮像装置は、図11に示すように、2×2個の画素群21,22,25,26、2×2個の画素群23,24,27,28、2×2個の画素群29,30,33,34、2×2個の画素群31,32,35,36が同一パターンの単位行列であり、単位行列が行列状に周期的に配列されて画素領域3が構成されている点が、第1実施形態に係る固体撮像装置1と異なる。
【0068】
図11で付した「G」、「B」、「R」、「IR」の文字は、それぞれ緑色用、青色用、赤色用、近赤外光用の単画素であることを意味する。画素群21,23,29,31は、2×2個の緑色用の単位画素でそれぞれ構成されている。画素群21,23,29,31の単画素では、緑色光を透過するカラーフィルタが配置されている。緑色光を透過するカラーフィルタは、緑色光のみを透過してもよく、緑色光に加えて近赤外光を透過してもよい。
【0069】
画素群22,24,30,32は、2×2個の近赤外光用の単位画素でそれぞれ構成されている。画素群22,24,30,32の単画素では、近赤外光を透過するカラーフィルタが配置されている。近赤外光を透過するカラーフィルタは、近赤外光のみを透過してもよく、近赤外光に加えて白色光等の可視光を透過してもよい。例えば、近赤外光を透過するカラーフィルタは、青色光を透過するカラーフィルタと、赤色光を透過するカラーフィルタとを積層して構成することができる。なお、近赤外光を透過するカラーフィルタの構成はこれに限定されず、例えば近赤外光を透過させる単層膜であってもよい。
【0070】
画素群25,27,33,35は、2×2個の青色用の単位画素でそれぞれ構成されている。画素群25,27,33,35の単画素では、青色光を透過するカラーフィルタが配置されている。青色光を透過するカラーフィルタは、青色光のみを透過してもよく、青色光に加えて近赤外光を透過してもよい。
【0071】
画素群26,28,34,36は、2×2個の赤色用の単位画素でそれぞれ構成されている。画素群25,27,33,35の単画素では、赤色光を透過するカラーフィルタが配置されている。赤色光を透過するカラーフィルタは、赤色光のみを透過してもよく、赤色光に加えて近赤外光を透過してもよい。第5実施形態に係る固体撮像装置の他の構成は、第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0072】
第5実施形態に係る固体撮像装置によれば、単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)を構成する一部の画素群22,24,30,32に、近赤外光を透過するカラーフィルタを配置し、近赤外光用の画素群とする。そして、近赤外光用の画素群22の単位画素には中間遮光膜20を配置せず、開口画素とする。そして、互いに隣接する単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)のそれぞれの近赤外光用の画素群22,24,30,32の間に位置する画素群21,23,25~28,29,31,33~36に、可視光を透過するカラーフィルタを配置し、可視光用の画素群とする。可視光用の画素群21,23,25~28,29,31,33~36の単位画素には、中間遮光膜20を配置し、遮光画素とする。
【0073】
これにより、近赤外光用の画素群22,24,30,32においては、4画素分の第1光電変換部の信号が合算されるため、高感度化を図ることができる。また、単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)のそれぞれにおいて、可視光用の画素群21,23,25~28,29,31,33~36の第2光電変換部からの可視光情報と、近赤外光用の画素群22,24,30,32の第1光電変換部からの近赤外光情報を分離して取得することができ、可視光情報と近赤外情報を信号処理によって分離、補正することができる。
【0074】
例えば、単位行列(21,22,25,26)において、可視光用の画素群21,25,26の遮光画素の第2光電変換部から得られた可視光情報には、中間遮光膜20で反射した可視光成分も含まれるため、実質的な感度アップとなる。一方で、カラーフィルタが可視光に加えて近赤外光も透過する場合には、中間遮光膜20での反射により近赤外光成分等の混色も発生する。これに対して、近赤外光用の画素群22の開口画素に配置されるカラーフィルタが近赤外光及び可視光を透過する場合には、近赤外光用の画素群22の開口画素の第2光電変換部から得られる可視光情報には中間遮光膜20の反射成分が含まれない。このため、可視光用の画素群21,25,26の遮光画素の第2光電変換部から得られる可視光情報と、近赤外光用の画素群22の開口画素の第2光電変換部から得られる可視光情報とを用いて、混色成分の分離が可能となり、混色補正等に活用することができる。
【0075】
更に、各単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)の近赤外光用の画素群22,24,30,32の周囲を中間遮光膜20により遮光しているため、近赤外光用の画素群22,24,30,32の開口画素の第1光電変換部に入射する光を分離することができる。このため、第1半導体基板に遮光帯や分離・混色を抑制するための構造体を形成せずに、各単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)同士の近赤外光用の画素群22,24,30,32の第1光電変換部間の混色を抑制することができる。
【0076】
なお、第5実施形態に係る固体撮像装置の緑色用、青色用、赤色用、近赤外光用の画素群の配置パターンは、図11に示した配置パターンに限定されない。例えば、図12は、単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)で構成する点は、図11の構成と同様であるが、単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)が、ベイヤー配列の一部の画素群を近赤外用の画素群に置き換えた構成である点が、図11の構成と異なる。即ち、ベイヤー配列では緑色用の単位画素でそれぞれ構成される画素群26,28,34,36が、近赤外光用の単位画素でそれぞれ構成されていてもよい。
【0077】
また、第5実施形態に係る固体撮像装置の中間遮光膜20の配置パターンは、図11に示した配置パターンに限定されない。例えば、図13は、単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)で構成する点は、図11の構成と同様であるが、図13にドット状のハッチングの領域で示すように、近赤外光用の画素群22,24,30,32の周囲を囲むように、中間遮光膜20を選択的に配置する点が、図11の構成と異なる。近赤外光用の画素群22,24,30,32の周囲を囲むように、中間遮光膜20を選択的に配置すれば、各単位行列(21,22,25,26),(23,24,27,28),(29,30,33,34),(31,32,35,36)同士の近赤外光用の画素群22,24,30,32の第1光電変換部間の混色を抑制することができる。また、図12に示したベイヤー配列の一部の画素群を近赤外用の画素群に置き換えた構成においても、図13に示した中間遮光膜20の配置パターンと同様に、中間遮光膜20を選択的に配置してもよい。
【0078】
また、図11図13では、2×2個の画素群21,22,25,26で単位行列(21,22,25,26)を構成する場合を例示したが、3×3個以上の画素群で単位行列を構成してもよい。また、画素群21,22,25,26を2×2個の単画素で構成する場合を例示したが、画素群を3×3個以上の単画素で構成してもよい。
【0079】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る固体撮像装置は、図14に示すように、光Lの入射側から遠い第1センサ(40,50)を、いわゆる裏面照射型で構成する点が、第1実施形態に係る固体撮像装置1と共通する。しかし、光Lの入射側に近い第2センサ(60,70)を、いわゆる表面照射型で構成する点が、第1実施形態に係る固体撮像装置1と異なる。
【0080】
第1センサ(40,50)は、第1半導体基板50と、第1半導体基板50の表面側に配置された第1配線層40を有する。第1半導体基板50には、第1光電変換部51~54が形成されている。第1光電変換部51~54は、第1半導体基板50のn型半導体領域55と、p型半導体領域56~59のそれぞれとにより構成されたフォトダイオードである。
【0081】
第2センサ(60,70)は、第2半導体基板70と、第2半導体基板70の裏面側に配置された第2配線層60を有する。第2半導体基板70には、第2光電変換部71~74が形成されている。第2光電変換部71~74は、第2半導体基板70のp型半導体領域75と、n型半導体領域76~79のそれぞれとにより構成されたフォトダイオードである。第2配線層60の配線62は、第2光電変換部71~74への光Lの入射を妨げないように、第2光電変換部71~74の境界位置に配置されている。
【0082】
第1半導体基板50と、第2半導体基板70との間には中間遮光膜20が配置されている。中間遮光膜20は、第1光電変換部51,52の裏面側に選択的に配置されている。中間遮光膜20は、第1光電変換部53,54の裏面側には配置されず、中間遮光膜20の開口部が設けられている。第1半導体基板50と、第2半導体基板70との間で、中間遮光膜20が配置されず、中間遮光膜20の開口部が位置する領域には、中間遮光膜20に接するように光透過膜13が配置されている。光透過膜13は、中間遮光膜20の電位を固定する機能を有する。光透過膜13としては、酸化インジウム錫(ITO)等からなる透明電極や配線が使用可能である。
【0083】
第6実施形態に係る固体撮像装置によれば、第2センサ(60,70)を表面照射型で構成することにより、裏面照射型で構成した場合と比較して、第2センサ(60,70)と第1センサ(40,50)の間の距離を狭くすることができる。このため、ロスや配線によるけられを抑制することができ、第2センサ(60,70)と第1センサ(40,50)の間の誤差要因を抑制することができる。
【0084】
なお、第2~第5実施形態に係る固体撮像装置のそれぞれにおいても、第2センサ(60,70)を表面照射型としてもよい。また、第1~5実施形態に係る固体撮像装置のそれぞれにおいて、第2センサ(60,70)を表面照射型で構成し、且つ第1センサ(40,50)を表面照射型で構成してもよい。或いは、第1~5実施形態に係る固体撮像装置のそれぞれにおいて、第2センサ(60,70)を裏面照射型で構成し、且つ第1センサ(40,50)を表面照射型で構成してもよい。
【0085】
(その他の実施形態)
上記のように、本技術は第1~第6実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本技術を限定するものであると理解すべきではない。上記の実施形態が開示する技術内容の趣旨を理解すれば、当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が本技術に含まれ得ることが明らかとなろう。また、第1~第6実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0086】
また、本開示の適用例としては、赤外線受光素子、それを用いた撮像装置、電子機器等があり、用途としては、通常のカメラやスマートフォンに以外にも、監視カメラ、工場検査等の産業機器向けカメラ、車載カメラ、測距センサ(ToFセンサ)、赤外線センサ等、イメージングやセンシングの多岐にわたる応用が考えられる。以下にその一例を説明する。
【0087】
<電子機器>
図15は、本開示を適用した電子機器としての撮像装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0088】
図15の撮像装置1000は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等である。撮像装置1000は、レンズ群1001、固体撮像素子1002、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007、および電源部1008からなる。DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007、および電源部1008は、バスライン1009を介して相互に接続されている。
【0089】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子1002の撮像面上に結像する。固体撮像素子1002は、上述したCMOSイメージセンサの第1乃至第3実施の形態からなる。固体撮像素子1002は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1003に供給する。
【0090】
DSP回路1003は、固体撮像素子1002から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の画像信号をフレーム単位でフレームメモリ1004に供給し、一時的に記憶させる。
【0091】
表示部1005は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号に基づいて、画像を表示する。
【0092】
記録部1006は、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリ等からなり、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号を読み出し、記録する。
【0093】
操作部1007は、ユーザによる操作の下に、撮像装置1000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部1008は、電源を、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、および操作部1007に対して適宜供給する。
【0094】
本技術を適用する電子機器は、画像取込部(光電変換部)にCMOSイメージセンサを用いる装置であればよく、撮像装置1000のほか、撮像機能を有する携帯端末装置、画像読取部にCMOSイメージセンサを用いる複写機等がある。
【0095】
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0096】
図16は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0097】
図16では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0098】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0099】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0100】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0101】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0102】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0103】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0104】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0105】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0106】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0107】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0108】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0109】
図17は、図16に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0110】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0111】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0112】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0113】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0114】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0115】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0116】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0117】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0118】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0119】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0120】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0121】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0122】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0123】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0124】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0125】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0126】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本技術を適用することにより、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0127】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0128】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0129】
図18は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0130】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図18に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0131】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0132】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0133】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0134】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0135】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0136】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0137】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0138】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0139】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図18の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0140】
図19は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0141】
図19では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0142】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0143】
なお、図19には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0144】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0145】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0146】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0147】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0148】
以上、本技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0149】
更に、本技術に係る固体撮像装置1は、監視カメラ,生体認証システム及びサーモグラフィ等の電子機器にも適用することが可能である。監視カメラは、例えばナイトビジョンシステム(暗視)のものである。固体撮像装置1を監視カメラに適用することにより、夜間の歩行者及び動物等を遠くから認識することが可能となる。また、固体撮像装置1を車載カメラとして適用すると、ヘッドライトや天候の影響を受けにくい。例えば、煙及び霧等の影響を受けずに、撮影画像を得ることができる。更に、物体の形状の認識も可能となる。また、サーモグラフィでは、非接触温度測定が可能となる。サーモグラフィでは、温度分布や発熱も検出可能である。加えて、固体撮像装置1は、炎,水分又はガス等を検知する電子機器にも適用可能である。
【0150】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
(1)
行列状に配列された複数の画素群を有し、
前記画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、
前記単画素が、
第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の画素群のそれぞれにおいて、前記画素群を構成する一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、
互いに隣接する前記画素群の境界を挟んで互いに隣接する前記単画素の少なくとも一方に、前記遮光膜が配置されている、
受光素子。
(2)
前記画素群が、2行2列の単画素で構成され、
前記画素群の対角に位置する2個の単画素に、前記遮光膜が配置されている、
前記(1)に記載の受光素子。
(3)
前記画素群が、2行2列の単画素で構成され、
前記画素群の行方向又は列方向で互いに隣接する2個の単画素に、前記遮光膜が配置されている、
前記(1)に記載の受光素子。
(4)
前記画素群の前記2個の単画素とは異なる他の2個の単画素の半分の領域に、前記遮光膜が更に配置されている、
前記(2)又は(3)に記載の受光素子。
(5)
前記第2光電変換部が、複数のフォトダイオードで構成されている、
前記(1)~(4)のいずれかに記載の受光素子。
(6)
前記第1光電変換部が化合物半導体基板に形成され、
前記第2光電変換部がシリコン基板に形成されている、
前記(1)~(5)のいずれかに記載の受光素子。
(7)
前記化合物半導体基板がインジウムガリウム砒素からなる、
前記(6)に記載の受光素子。
(8)
前記単画素が、
前記第1光電変換部の前記光の入射面側とは反対側に、前記第1光電変換部で発生する信号電荷を読み出す第1配線層を更に備える、
前記(1)~(7)のいずれかに記載の受光素子。
(9)
前記単画素が、
前記第2光電変換部の前記光の入射面側とは反対側に、前記第2光電変換部で発生する信号電荷を読み出す第2配線層を更に備える、
前記(1)~(8)のいずれかに記載の受光素子。
(10)
前記遮光膜が、前記第2配線層に埋め込まれている、
前記(9)に記載の受光素子。
(11)
前記第2光電変換部の前記光の入射面側に、前記第2光電変換部で発生する信号電荷を読み出す第2配線層を更に備える、
前記(1)~(8)のいずれかに記載の受光素子。
(12)
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、前記遮光膜に接するように光透過膜が配置されている、
前記(11)に記載の受光素子。
(13)
行列状に配列され、少なくとも2行2列の画素群でそれぞれ構成された複数の単位行列を備え、
前記画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、
前記単画素が、
近赤外光を光電変換する第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられ、可視光を光電変換する第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の単位行列のそれぞれにおいて、前記単位行列を構成する一部の前記画素群に、近赤外光を透過するカラーフィルタを配置し、
互いに隣接する前記単位行列のそれぞれの前記カラーフィルタを配置した前記画素群の間に位置する前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置されている、
受光素子。
(14)
行列状に配列された複数の画素群で構成された画素領域を備え、
前記画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、
前記単画素が、
第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の画素群のそれぞれにおいて、前記画素群を構成する一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、
互いに隣接する前記画素群の境界を挟んで互いに隣接する前記単画素の少なくとも一方に、前記遮光膜が配置されている、
固体撮像装置。
(15)
行列状に配列された複数の画素群で構成された画素領域を有する固体撮像装置を備え、
前記画素群が、少なくとも2行2列の単画素で構成され、
前記単画素が、
第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の光の入射面側に設けられた第2光電変換部と、
を備え、
前記複数の画素群のそれぞれにおいて、前記画素群を構成する一部の前記単画素の、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部との間に、遮光膜が選択的に配置され、
互いに隣接する前記画素群の境界を挟んで互いに隣接する前記単画素の少なくとも一方に、前記遮光膜が配置されている、
電子機器。
【符号の説明】
【0151】
1…固体撮像装置、2…画素、3…画素領域(撮像領域)、4…垂直駆動回路、5…カラム信号処理回路、6…水平駆動回路、7…出力回路、8…制御回路、9…垂直信号線、10…水平信号線、12…入出力端子、13…光透過膜、20…遮光膜(中間遮光膜)、21~36…画素群、40…第1配線層(第1読出し回路)、41…層間絶縁膜、42…配線、50…第1半導体基板、55…n型半導体領域、56~59…p型半導体領域、60…第2配線層(第2読出し回路)、61…層間絶縁膜、62…配線、70…第2半導体基板、75…p型半導体領域、76~79…n型半導体領域、81~84…カラーフィルタ、91~94…オンチップレンズ(マイクロレンズ)、101…素子分離部、102…遮光膜(上側遮光膜)、103…平坦化膜、211~219,221~229,231~239,241~249…単画素、L…光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19