(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240216BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2020020893
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】金子 周平
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016226(JP,A)
【文献】特開2014-082530(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0045318(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段ごとに機器の撮影順序を保存した保存手段と、
ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段と、
前記撮影順序に従って対象機器を特定し、特定した前記対象機器を前記撮影手段により撮影する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記撮影順序に従って次の撮影対象となる対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記撮影順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視制御装置であって、
前記制御手段はさらに、前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがあり、かつ、当該ジョブの前記対象機器で実行される工程の前に処理待ち状態の工程があれば、前記撮影順序に従って前記対象機器の次の機器を撮影対象として特定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視制御装置であって、
前記制御手段はさらに、前記対象機器が予め定めた種類の機器である場合には、前記対象機器を用いるジョブがすべて完了していれば、前記対象機器を前記撮影手段により撮影する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の監視制御装置であって、
前記撮影手段により前記対象機器を撮影した映像を受信し、前記映像に基づいて、前記対象機器に関するイベントを検出する検出手段をさらに有する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の監視制御装置であって、
前記検出手段は、前記映像から予め定めた対象を検出することでイベントを検出する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の監視制御装置であって、
前記予め定めた対象には、作業者または前記対象機器のランプの点灯を含む
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか一項に記載の監視制御装置であって、
検出した前記イベントを、該イベントをユーザインタフェースに表示する情報処理装置に対して送信する手段をさらに有する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の監視制御装置と、
少なくとも撮影方向を制御可能な撮像手段と、
前記監視制御装置から前記イベントを受信して該イベントをユーザインタフェースに表示する情報処理装置と
を有することを特徴とする監視システム。
【請求項9】
撮影手段ごとに機器の撮影順序を保存した保存手段と、
ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段と、
前記撮影順序に従って対象機器を特定し、特定した前記対象機器を前記撮影手段により撮影する制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記制御手段は、前記撮影順序に従って次の撮影対象となる対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記撮影順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
撮影手段ごとに機器の撮影順序を保存した保存手段と、ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段とを有する監視制御装置により行われる監視制御方法であって、
前記撮影順序に従って対象機器を特定し、
特定した前記対象機器を前記撮影手段により撮影することを特徴とする監視制御方法であって、
前記撮影順序に従って次の撮影対象となる対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記撮影順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばネットワークカメラによる印刷工場稼働状況などの収集に関する監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、印刷工場内の機器稼働状況及び作業員の作業実施状況を収集、分析することで、生産性向上のための改善活動への利用が求められている。印刷工場で使用されるプリンタは、ネットワーク経由で機器の稼働状況を管理システムであるワークフローシステムに通知、収集可能である。しかし、機器稼働に関連する前処理作業や後処理作業については、プリンタを通して作業状況の自動収集ができない。前処理作業の例としては、作業指示書やデータの確認、機材や用紙の準備、試し出しなどがある。後処理作業の例としては、検品、指示書とのつき合わせなどがある。
【0003】
これらネットワーク経由で稼働情報が取得できない作業については、開始および終了などの作業情報をモバイル端末で入力し、入力した情報を情報収集サーバーに送信し保持する仕組みが提案されている(特許文献1)。しかしこの方法では、作業者の負担がかかる上に、作業者のタイミングによって入力されるため正確な時間が記録されるとは限らない。
【0004】
一方、印刷工場の稼働状況を収集するため、ネットワークカメラによる稼働監視が考えられる。ネットワークに接続されたカメラでプリンタや後加工機のコントロールパネル表示やパイロットランプの点灯状態、機器周辺での作業者の状況を撮影し、その稼働状況の変化を検出し、イベントとして収集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ネットワークカメラで、複数の機器を巡回撮影して稼働状況の収集を行う場合、ある機器の撮影中は他の機器の稼働状況を収集できない。一方、前処理作業を含む生産性の管理が求められていることから、プリンタから情報収集できない前処理作業の情報を収集する必要性も高い。そのため、複数の機器の巡回撮影を繰り返しているだけでは、前工程作業の情報も含めて機器の稼働状況に係る情報を効率的に収集できないという課題がある。具体的には、撮影されていないタイミングで機器での前処理作業等のイベントが発生していた場合、次の巡回撮影のタイミングまで稼働状況の変化を検知できない。
【0007】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、監視対象の機器のステータスに応じて撮影対象を切り替えることで、稼働状況の変化をより迅速に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の一側面によれば、撮影手段ごとに機器の撮影順序を保存した保存手段と、
ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段と、
前記撮影順序に従って対象機器を特定し、特定した前記対象機器を前記撮影手段により撮影する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記撮影順序に従って次の撮影対象となる対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記撮影順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、監視対象の機器のステータスに応じて撮影対象を切り替えることで、稼働状況の変化をより迅速に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のイベント収集システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本実施形態のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本実施形態のソフトウェア構成を示す図である。
【
図4】本実施形態の巡回撮影方法を説明するフローチャートである。
【
図5】本実施形態の稼働状況画面生成方法を説明するフローチャートである。
【
図6】本実施形態の稼働状況画面の例を示す図である。
【
図7】実施形態2の巡回撮影方法を説明するフローチャートである。
【
図8】実施形態3のカメラ管理システム102のソフトウェア構成を示す図である。
【
図9】実施形態3の巡回撮影方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<システム構成>
図1は本実施形態のイベント収集システムの構成を示すブロック図である。イベント収集システムは、ワークフローシステム101、カメラ管理システム102、ネットワークカメラ103、プリンタ104、後加工機105、DB106がネットワーク100を介して通信可能に構成されている。ここでは、プリンタ104は、ワークフローシステム101とネットワーク接続されている。印刷後の後加工(断裁や製本等)を行う後加工機105は複数あり、それぞれ、ネットワーク接続されている例を説明する。ただし、プリンタ104は複数であってもよし、後加工機105は複数でなくてもよい。ネットワークは例えば、インターネット等のLAN、WAN、電話回線等により実現されるいわゆる通信ネットワークであり、データの送受信が可能であればよい。なおイベント収集システムは、監視対象の機器を監視する監視システムということもできる。
【0013】
ワークフローシステム101は、プリンタ104による印刷や後加工機105による後加工処理の管理を行うシステムであり、注文品生産のための印刷データ、印刷設定、後加工機の機器設定、工程情報を含むジョブ情報を管理する。また、ワークフローシステム101はプリンタ104や後加工機105から機器稼働状態および工程の開始、終了の指示を受け取り、それを管理する。
【0014】
ワークフローシステム101は、情報処理装置により実行されるプログラムで実現されてよい。ワークフローシステム101は、たとえば元となる文書データや書式(印刷設定)、後処理設定などの情報に基づいて、ネットワークで接続された機器に送信する印刷ジョブや後処理ジョブを生成し、各機器に送信する。さらに処理手順を指示するための指示書を生成し、印刷物やデータとしてオペレータに提示する。オペレータはその指示書に従って例えば各機器による印刷や後処理のための準備すなわち前処理作業を行い、対象の工程を実行させる。前処理作業には、たとえば前段の機器の出力物を指示に従って移動し、次段の機器の所定箇所に載置することなどが含まれる。なお本実施形態では、1つの文書を印刷物の製品に仕上げるまでの一連の工程をジョブと呼び、ジョブに含まれる加工の単位を工程と呼んでいる。しかしながら、ある工程がプリンタや後加工機で実施される場合には、その工程についてワークフローシステムにより生成される作業指示情報またそれに基づく処理を「ジョブ」と呼ぶことがある。例えば印刷ジョブや後加工機による加工ジョブなどである。
【0015】
カメラ管理システム102は複数のネットワークカメラ103を管理し、ネットワークカメラ103に対して撮影の指示および撮影された映像の受信を行う。また、カメラ管理システム102は受信した映像からプリンタ104および後加工機105の各機器に対する前処理作業の有無を検出し、それをイベントとしてDB106へ送信する。カメラ管理システム102は、情報処理装置により実行されるプログラムで実現されてよい。カメラ管理システムは監視制御システムによる監視機能を制御するもので、監視制御装置と呼ぶこともでき、それにより実行される処理により監視制御方法を実施する。
【0016】
ネットワークカメラ103はカメラ管理システムからの指示に応じてパン、チルトにより撮影方向が制御可能な雲台に取り付けられ、ズームが可能なカメラである。またネットワークカメラ103はカメラ管理システムからの指示に応じて撮影を開始し、撮影画像を送信し、撮影を終了する。
【0017】
プリンタ104は、ワークフローシステム101から印刷データおよび印刷設定を受信し、印刷を行う。それとともに、自身の機器状態(実行中、正常終了、エラー終了、待機状態等)をジョブと工程とを特定できる情報とともにワークフローシステム101に送信する。後加工機105は、ワークフローシステム101から後加工機の機器設定を受け取り、後加工処理を行う。それとともに、自身の機器状態(実行中、正常終了、エラー終了、待機状態等)をジョブと工程とを特定できる情報とともにワークフローシステム101に送信する。DB106はカメラ管理システム102からのイベントを受信し、それを保持する。また、DB106は不図示のクライアントPCからのリクエストに応じてワークフローシステム101のジョブ情報とイベントとから印刷工場の稼働状況を確認できる画面を生成する。
【0018】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、
図1のワークフローシステム101、カメラ管理システム102、DB106のハードウェア構成を示すブロック図である。201はユーザインタフェースであり、ディスプレイ、キーボード、マウス、タッチパネルなどによる、情報の入出力を行う。203はネットワークインタフェースであり、LANなどのネットワーク100に接続して、他のコンピュータやネットワーク機器との通信を行う。204はROMで、組込済みプログラムおよびデータが記録されている。205は一時メモリ領域のRAMである。206はHDDに代表されるような二次記憶装置である。202はCPUであり、ROM204、RAM205、二次記憶装置206などから読み込んだプログラムを実行する。各部はバス207を介して接続されている。
【0019】
図2(B)は、
図1のネットワークカメラ103のハードウェア構成を示すブロック図である。211はユーザインタフェースであり、リモートシェルなどにより、他のコンピュータから接続・操作することができる。213はネットワークインタフェースであり、LANなどのネットワークに接続して、他のコンピュータやネットワーク機器との通信を行う。214はROMで、組込済みプログラムおよびデータが記録されている。215は一時メモリ領域のRAMである。
216はHDDに代表されるような二次記憶装置である。212はCPUであり、ROM214、RAM215、二次記憶装置216などから読み込んだプログラムを実行する。217はCCD等を備える撮像部であり、撮像対象を撮像して得られる映像を二次記憶装置216に記憶させる。各部はバス218を介して接続されている。
【0020】
図2(C)は、
図1のプリンタ104のハードウェア構成を示すブロック図である。221はユーザインタフェースであり、ディスプレイ、キーボード、タッチパネルなどによる、情報の入出力を行う。223はネットワークインタフェースであり、LANなどのネットワーク100に接続して、他のコンピュータやネットワーク機器との通信を行う。224はROMで、組込済みプログラムおよびデータが記録されている。225は一時メモリ領域のRAMである。226はHDDに代表されるような二次記憶装置である。222はCPUであり、ROM224、RAM225、二次記憶装置226などから読み込んだプログラムを実行する。227は印刷エンジンであり、紙(シート)へデータの印刷を行う。各部はバス228を介して接続されている。後加工機105は、
図2(C)の構成のうち印刷エンジン227を後加工のためのデバイスに置き換えた構成を有していてよい。
【0021】
<ソフトウェア構成>
図3は、
図1に示したワークフローシステム101、カメラ管理システム102、ネットワークカメラ103、プリンタ104、後加工機105およびDB106それぞれのソフトウェア構成を示す図である。以下これらの動作について説明する。これらの動作は、各装置のメモリに保存されたブログラムをCPUが実行することにより実現される。
【0022】
●ワークフローシステム
ワークフローシステム101は、ジョブ管理部301、通信部302、印刷ジョブ送信部303を有する。ワークフローシステム101のジョブ管理部301は注文生産品を生産するための生産工程に関する情報をジョブ情報として管理する。表1にジョブ管理部301で管理されるジョブ情報の一部の例を示す。尚、ここでは、説明のために、ジョブが3つの例を示すが、ジョブ情報は、例えば、その日に処理すべき多くのジョブに関する情報であることが多い。
【0023】
【0024】
ジョブ情報はワークフローシステム101で管理される注文生産品の生産工程および生産状況を管理するデータテーブルであり、ジョブID、工程ID、デバイスID、ステータス、開始日時、終了日時で構成される。
【0025】
ジョブIDはワークフローシステム101で管理している注文生産品を識別するIDであり、後述する複数の工程IDで構成される。工程IDは、プリンタ104での印刷や後加工機105での製本、断裁等の処理といった、ジョブを構成する作業工程を一意に識別するIDである。工程には順番があり、本実施形態においてその順番は工程IDの大小を比較することで判別可能なものとする。表1の例によれば3個の注文生産品を生産するためのジョブが存在し、ジョブ「job_001」については工程「p_001」、「p_002」がこの順番で構成され、それ以外のジョブは単一の工程で構成されている。
【0026】
デバイスIDは作業工程で使用されるプリンタ104、後加工機105の機器を一意に識別するIDである。ステータスは作業工程の実施状態を表す。本実施形態においてはステータスとして作業工程の開始前状態の「処理待ち」、プリンタ104および後加工機105による動作中状態の「実行中」、作業工程が完了した状態の「正常終了」があるが、それ以外のステータスであってもよい。
【0027】
開始日時は作業工程の作業開始日時、終了日時は作業工程の作業終了日時であり、後述するプリンタ104や不図示のクライアントPCからの機器稼働状況通知リクエストにより前記ステータスの変更とともに追加する。
【0028】
また、ジョブ管理部301はプリンタ104や不図示のクライアントPCから、デバイスID、機器稼働状況及び工程IDを含む機器稼働状況通知リクエストを受信する。そして、受信した機器稼働状況通知リクエストの内容に応じてジョブ情報のステータス、開始日時、終了日時を更新する。
【0029】
例えば、プリンタ104は、ジョブIDが「job_001」であり、工程IDが「p_001」の印刷ジョブをワークフローシステム101から受信し、印刷処理を実行する。プリンタ104で印刷処理が開始されると、プリンタ104は自身の機器状態の変更(あるいは変化)をイベントとして検知する。そしてそのイベントに応じて、デバイスID「Device_A」、ジョブID「job_001」、工程ID「p_001」、機器稼働状況「印刷中」を含む機器稼働状況通知リクエストを送信する。この時ジョブ管理部301はジョブ情報からジョブIDおよび工程IDが一致するレコードを検索し、該当するレコードのステータスが「処理待ち」だった場合は当該作業工程が動作中状態になったとし、当該レコードのステータスを「実行中」に変更する。合わせてジョブ管理部301はステータスが「実行中」に変更した時刻であるリクエスト受け付け時刻を開始日時に設定する。一方該当するレコードがなければ、新たにレコードを追加して受信した情報の各項目の値を登録する。
【0030】
また、プリンタ104は印刷処理を完了すると、そのイベントに応じて自身のデバイスID「Device_A」、ジョブID「job_001」、工程ID「p_001」、機器稼働状況「印刷終了」を含む機器稼働状況通知リクエストを送信する。この時ジョブ管理部301はジョブ情報からジョブIDおよび工程IDが一致するレコードを検索し、当該レコードのステータスが「実行中」だった場合は当該作業工程が完了状態になったとし、当該レコードのステータスを「正常終了」に変更する。合わせてジョブ管理部301はステータスが「正常終了」に変更した時刻であるリクエスト受け付け時刻を終了日時に設定する。
【0031】
後加工機105についても、プリンタ104と同様、イベントの発生に応じてネットワーク経由で稼働状況通知リクエストを送信する。尚、本実施形態では、後加工機105はネットワーク接続されている例を示すが、ネットワーク経由で稼働状況通知リクエストが送信できない後加工機105についても対応可能である。ネットワーク接続されていない後加工機105は、作業者が不図示のタブレットやクライアントPCから稼働状況通知リクエストを作成し、送信する。
【0032】
また、ジョブ管理部301はカメラ管理システム102およびDB106からのジョブ情報取得リクエストを受信し、ジョブ情報をレスポンスとして送信する。
【0033】
印刷ジョブ送信部303は通信部302を通じてジョブID、工程IDとともに印刷データを印刷ジョブとしてプリンタ104に送信することで印刷指示を行う。加工ジョブ送信部304は通信部302を通じてジョブID、工程IDとともに後加工機の機器設定を加工ジョブとして後加工機105に送信することで加工指示を行う。
【0034】
●カメラ管理システム
カメラ管理システム102はカメラ操作指示部311、映像受信部312、通信部313、映像解析部314、イベント送信部315、撮影先情報管理部316、巡回情報管理部317、巡回制御部318を有する。
【0035】
カメラ操作指示部311は通信部313を通じてネットワークカメラ103へ撮影指示を行い、映像受信部312はネットワークカメラ103からの撮影された映像すなわち撮影映像を受信する。受信した撮影映像は映像解析部314で人物検知や機器コントロールランプの点灯検知等の映像解析を行い、前処理作業が実行中かどうかの前処理作業状況を判定する。イベント送信部315は前処理作業状況の判定結果と後述するデバイスID、時刻をイベントとして通信部313を通じてDB106に送信する。
【0036】
表2に撮影先情報管理部316で管理される撮影先情報の例を示す。
【0037】
【0038】
撮影先情報はカメラ管理システム102で管理されるネットワークカメラ103と撮影先デバイスを管理するデータテーブルであり、カメラID、撮影先デバイスID、撮影方向で構成される。
【0039】
カメラIDはカメラ管理システム102が管理するネットワークカメラ103を一意に識別するIDである。撮影方向はネットワークカメラの撮影パラメータ情報としてPan(パン:回転角)、Tilt(チルト:傾斜角)、Zoom(ズーム:拡大縮小)の値を保持する。撮影先デバイスIDは、対応するカメラIDのカメラにより、対応する撮影方向で撮影されるプリンタ104や後加工機105などの機器を一意に識別するIDである。撮影先情報は、ネットワークカメラあるいは監視対象の機器の移動や設置、撤去時に、関連するカメラごとにオペレータにより設定され、撮影先情報管理部318により保存されてよい。
【0040】
カメラ管理システム102は特定のカメラで特定機器を撮影する場合は、撮影先情報のカメラIDと撮影先デバイスIDが一致するレコードから撮影方向を取得する。カメラ管理システム102は当該カメラIDのネットワークカメラ103に対し取得された撮影方向へのPan、Tilt、Zoom操作および撮影指示を行うことで所望の機器の映像取得できる。
【0041】
表3に巡回情報管理部317で管理される巡回情報の例を示す。
【0042】
【0043】
巡回情報はカメラ管理システム102で管理されるネットワークカメラ103と、撮影先デバイスおよびイベント検出処理を含む巡回設定とで構成される。巡回情報は、対象機器の撮影順序と、検出対象と、撮影時間とを示す情報である。カメラIDはカメラ管理システム102が管理するネットワークカメラ103を一意に識別するIDである。巡回設定は、ネットワークカメラの103の撮影先(すなわち監視対象)であるデバイスIDと、撮影映像から前処理作業を検出する映像解析処理と、撮影時間とを一組とする撮影処理(または監視処理)の順番を示すリストである。
【0044】
映像解析処理は、例えば「人物検出」の場合、映像内に人物を検出した時間を前処理作業時間であると判定する処理である。「ランプ点灯検出」の場合、機器カバー開閉状態ランプなどのランプが点灯している時間を前処理作業時間であると判定する処理である。巡回設定の映像解析処理は、検出対象を映像情報から検出する処理の実行を指定する情報である。撮影時間は、監視対象のデバイスを撮影する時間の指定である。以降、巡回設定のリストに含まれる要素を巡回先と呼ぶこととする。巡回情報は予め設定され巡回情報管理部318に保存されてよい。
【0045】
表3の例は、「Cam_A」のカメラについての巡回設定が登録されている。表3の場合、カメラID「Cam_A」には機器「Device_A」、「Device_B」、「Device_C」の3つの機器についてこの順番に巡回撮影と前処理作業の検出を行う巡回設定が関連付けられている。
【0046】
先頭の巡回先は機器「Device_A」を60秒間撮影し、その映像から人物が検出された時間を特定し、それを前処理作業時間と判定するという撮影と解析方法が設定されている。次の巡回先は機器「Device_B」を60秒間撮影し、その映像内ランプが点灯している時間を特定し、それを前処理作業時間と判定するという撮影と解析方法が設定されている。最後の巡回先は機器「Device_C」を60秒間撮影し、その映像から人物が検出された時間を特定し、それを前処理作業時間と判定するという撮影と解析方法が設定されている。これらの巡回先を巡回情報に従って順番に撮影し、映像解析することでCam_Aによる巡回撮影が行われる。すなわち、巡回情報にしたがって対象を順次撮影することを巡回と呼ぶ。映像を解析して対象を検知することも含めて巡回と呼んでもよい。
【0047】
巡回制御部318は、原則的には巡回設定に応じてネットワークカメラ103による監視対象の撮影と映像解析とを制御する。それに加えて、ワークフローシステム101からジョブ情報を取得し、巡回情報の巡回設定のうち、巡回先の機器の撮影と映像の解析を行うかどうかを判断する。すなわち、巡回設定では撮影および映像解析を行う設定となっている機器であっても、ジョブ情報に応じて、撮影および映像解析をスキップする制御を行う。
【0048】
●ネットワークカメラ
ネットワークカメラ103は撮影部321、映像送信部322、通信部323を有する。撮影部321は通信部323を通じてカメラ管理システム102から撮影方向を含む撮影指示を受け取ると、指定された方向および倍率でカメラによる撮影を行う。映像送信部322は撮影部321で撮影した映像を、通信部323を通じてカメラ管理システム102に送信する。
【0049】
●プリンタ
プリンタ104は印刷ジョブ受信部331、印刷部332、通信部333、ステータス送信部334を有する。印刷ジョブ受信部331は、通信部333を通じてワークフローシステム101から送信された印刷ジョブを受信し、印刷部332で印刷出力を行う。また、ステータス送信部334は自身の機器ステータス(実行中、エラー終了、正常終了、待機状態等)に変化が生じた際に、その変化を検知する。そして変化後のステータスを、印刷ジョブで受信した(すなわち機器の状態が変化したジョブの)ジョブID、工程IDとともに稼働状況通知リクエストとしてワークフローシステム101に送信する。
【0050】
●後加工機
後加工機105はジョブ受信部351、加工部352、通信部353、ステータス送信部354を有する。加工ジョブ受信部351は、通信部353を通じてワークフローシステム101から送信された加工ジョブを受信し、加工部352で後加工処理を行う。また、ステータス送信部354は自身の機器ステータス(実行中、エラー終了、正常終了、待機状態等)に変化が生じた際にその変化を検知する。そして変化後のステータスを、印刷ジョブで受信した(すなわち機器の状態が変化したジョブの)ジョブID、工程IDとともに稼働状況通知リクエストとしてワークフローシステム101に送信する。
【0051】
●データベース(DB)
DB106は通信部341、イベント情報管理部342、稼働状況生成部343を有する。イベント情報管理部342は通信部341を通じてカメラ管理システム102から送信されたイベントを受信し、後述するイベント情報として管理する。表4にイベント情報管理部342で管理されるイベント情報の例を示す。
【0052】
【0053】
イベント情報は前処理作業を開始した検出開始日時、前処理作業を終了した検出終了日時および前処理作業の実施されたデバイスIDから構成される。
【0054】
表4によると、例えば1行目のレコードは、デバイスID「Device_B」の機器で前処理作業が行われていたことを示している。そしてその期間は、検出開始日時の「2019-11-21T10:31:00Z」から検出終了日時の「2019-11-21T10:32:00Z」までである。
【0055】
稼働状況生成部343は、不図示のクライアントPCからの稼働状況画面取得リクエストに応じて、ワークフローシステム101のジョブ情報およびイベント情報から各デバイスの前処理作業および機器稼働状況を表示した画面を生成する。
【0056】
<巡回撮影処理>
図4は本実施形態を示すカメラ管理システム102における巡回撮影方法を説明するフローチャートである。なお、各ステップは、CPU202が記憶された制御プログラムを実行することで実現される。なお
図4は1つのカメラに着目した処理手順であり、複数のカメラにより巡回する場合には、複数のカメラそれぞれについて
図4の手順を並列実行すればよい。
【0057】
S401において、巡回制御部318は通信部313を通じてワークフローシステム101へジョブ情報取得リクエストを送信し、ワークフローシステム101が管理しているすべてのジョブのジョブ情報を取得する。
【0058】
次にS402で、巡回制御部318は巡回情報管理部317を通じて巡回するカメラIDの巡回設定である巡回先のリストを取得する。
【0059】
次にS403にて、巡回制御部318はS402で取得した巡回先のリストを順番に読み出し巡回先を取得する。
【0060】
S404で巡回制御部318はS401で取得したジョブ情報のうち、巡回先に含まれる撮影先のデバイスIDが一致するレコードについてステータスに「処理待ち」が含まれるレコードがあるかどうかを判定する。例えば、表3の巡回設定での最初の巡回先の場合、撮影先のデバイスIDが「Device_A」である。この時ジョブ情報が表1のような状態であれば、ステータスに「処理待ち」であるレコードが存在する(ジョブIDがjob_002かつ工程IDがp_001、表1の3行目を参照)と判断する。
【0061】
S404にてステータスが「処理待ち」のレコードがなかった場合はS408を実行し、一方「処理待ち」のステータスのレコードが存在した場合は前処理作業が行われる可能性があると判断し、後述のS405を実行する。
【0062】
次にS405にてカメラ操作指示部311は撮影先情報管理部316を通じて撮影先情報(表2)から撮影先のデバイスIDとカメラIDが一致するレコードの撮影方向を取得する。そしてカメラ操作指示部311は通信部313を通じて当該カメラIDのネットワークカメラ103へ撮影方向へのPan、Tilt、Zoom操作、および撮影先の撮影時間を含む撮影指示を送信し、映像の取得を待つ。撮影方向は撮影先情報から、撮影時間は巡回情報から取得したものでよい。例えば表3の巡回設定での最初の巡回先の場合、カメラID「Cam_A」、撮影先のデバイスIDが「Device_A」、撮影時間は「60sec」である。この時撮影先情報が表2のような状態であれば、Cam_AによるDevice_Aの撮影方向はPan「120」、Tilt「65」、Zoom「3.2」である。カメラ操作指示部311はネットワークカメラ「Cam_A」に対しPan「120」、Tilt「65」、Zoom「3.2」への撮影先移動および60秒間の映像撮影指示を送信し、映像取得を待つ。
【0063】
撮影指示を受信したネットワークカメラ103の撮影部321はカメラ操作指示部311から指示された操作方向へのカメラ操作および撮影時間だけ映像の撮影を行う。撮影が完了すると、映像送信部322はカメラ管理システム102へ撮影映像を送信することでカメラ管理システム102の映像受信部312は撮影映像を受信する。もちろん撮影しながら撮影映像を送信してもよい。
【0064】
次にS406にて、映像解析部314は巡回情報管理部317から巡回設定の解析処理対象を取得し、その解析処理対象に従って撮影映像の解析を行う。例えば「人物検出」の場合は撮影映像に人物が映り込んでいるかどうか、「ランプ点灯検出」の場合はコントロールランプが点灯しているかどうかを解析し、前処理作業が実施されているかどうかを解析する。ランプの点灯は輝点を検知することで行ってよいし、人物の検出は、画像中の特徴点あるいは動きをパターンと照合することで行ってよいが、もちろんこれ以外の方法で行うこともできる。また人物については、前処理を行う際の監視対象機器に対する位置が決まっている場合には、映像中でその位置を含む限定的な領域を検出対象の領域としてしてもよい。ランプについても、映像中のランプの位置は予め特定できるので、その位置を含む限定的な領域で検出してもよい。前処理作業が検出された場合はその検出日時を後述するS407にてイベント情報としてDB106へ送信する。
【0065】
S407にて、イベント送信部315は撮影先であるデバイスID、S406の映像解析により検出した前処理作業の検出開始日時および検出終了日時をイベント情報として通信部313を通じてDB106へ送信する。
【0066】
なお検出開始日時および検出終了日時は1回の撮影機会(すなわち対象となる機器を撮影する期間)の中で特定してよい。たとえば検出開始日時は、映像の解析の結果、検出対象である人物やランプの点灯が映像に表れた時期としてよい。撮影の開始時において検出対象が検出された場合には、撮影開始時期を検出開始日時としてよい。また検出終了日時は、映像の解析の結果、検出対象が映像から消えた時期としてよい。撮影の終了時においても検出対象が検出されていた場合には、撮影終了時期を検出終了日時としてよい。
【0067】
次にS408で、巡回制御部318は巡回設定から次の巡回先が取得できるどうかを判定する。巡回先が取得できなかった場合、例えば表3の場合は3か所の巡回先すべての巡回撮影が完了していればS409に遷移する。一方、S408にて巡回先が取得できた場合、つまりすべての巡回先について処理していない場合はS403の処理に戻る。
【0068】
次にS409にて、カメラ操作指示部311は巡回撮影終了指示を受け付けたかどうかを判定し、巡回撮影終了指示を受け付けた場合は処理を終了、受け付けていない場合はS401へ戻り巡回撮影を繰り返す。
【0069】
以上により、カメラ管理システム102はネットワークカメラ103による巡回撮影を行う。
【0070】
<稼働状況画面生成>
図5は本実施形態におけるDB106が印刷工場の稼働状況画面を生成するフローチャートである。
S501においてDB106の稼働状況生成部343は、通信部341を通じて不図示のクライアントPCから稼働状況画面生成リクエストを受け取る。
S502にて、稼働状況生成部343はワークフローシステム101からジョブ情報を取得する。ジョブ情報にはデバイスID、開始日時、終了日時が含まれており、各機器がどの時間帯に稼働をしていたかが分かる。
【0071】
次にS503にて稼働状況生成部343はイベント情報管理部342を通じてイベント情報を取得する。イベント情報には検出開始日時、検出終了日時、デバイスIDが含まれており、各機器がどの時間帯に前処理作業が行われていたかが分かる。
【0072】
S504にて稼働状況生成部343は後述する稼働状況画面600を生成し、S505にて稼働状況生成部343はクライアントPCへ稼働状況画面をレスポンスとして送信する。以上により、DB106は稼働状況画面を生成する。
【0073】
図6は本実施形態における稼働状況生成部343が
図5のS504にて生成する稼働状況画面600の例である。601はデバイスID表示部分である。602は各機器における前処理作業が行われていた時間帯を示すタイムラインでありS503で取得したイベント情報から生成する。603は各機器における機器稼働時間帯を示すタイムラインであり、S502で取得したイベント情報から生成する。
【0074】
イベント情報で取得できるイベントの前処理作業を示す時間は離散的となる。これはカメラ管理システム102で機器の撮影を一定時間で区切って巡回をしているため未撮影の時間帯が存在するためである。
【0075】
例えば表4の場合、Device_Bの前処理作業時間は、「2019-11-21T10:32:00Z」から「2019-11-21T10:34:00Z」の間は前処理作業が行われていないことになっている。これは、この時間の間、ネットワークカメラ103が別の機器を巡回撮影しているために空白時間が存在していることを示している。そのため稼働状況生成部343は、一つの監視対象の機器について、前処理時間が複数特定され、その間隔が一定時間内であればそれを無視してよい。すなわち一定時間以内の空白時間についてそれを無視し前処理作業が継続しているとみなしてもよく、本実施形態においては巡回設定の撮影合計時間である1回の巡回時間以内の空白時間を無視することとする。
【0076】
このとき表4の例の場合、Device_Bは「2019-11-21T10:31:00Z」から「2019-11-21T10:35:00Z」でひとつの前処理作業が行われたとする。また、「2019-11-21T10:41:00Z」から「2019-11-21T10:45:00Z」までについても別のひとつの前処理作業が行われたとし、その間の時間については前処理作業が行われていないとみなす。これは例えば、その間の時間は、巡回の間隔を超えているためである。
【0077】
この稼働状況画面により、機器の稼働状態だけでなく前処理作業も含めた印刷工場の正確な稼働状況を把握できるようになる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、監視対象の機器を撮影し、その状態またはその周辺の状態(ステータス)に応じて、機器の稼働状態と、前処理作業の状態とを検知することができる。さらに、前処理が行われている可能性のある機器、すなわち処理待ちの状態にある機器を巡回監視の対象とすることで、前処理の行われている可能性の低い機器に監視時間を費すことなく効率的に監視を行える。
【0079】
[実施形態2]
実施形態1では
図4のS404において、ジョブ情報のステータスに「処理待ち」がある場合は必ず撮影対象とし、撮影と映像解析を行っていた。ある機器について「処理待ち」の工程があっても、その前工程が実行中の場合、前工程の処理が完了するまでは当該機器の「処理待ち」工程の前処理作業が行われることは少ない。前工程の出力物が次の工程の加工の対象となることが多いためである。そこで本実施形態では撮影対象機器を、その着目工程の前工程のステータスよって撮影対象とするかを判定することによって、より効率的に撮影を行う例について説明する。なお、実施形態1と同様の部分の説明は省略する。
【0080】
図7は本実施形態を示すカメラ管理システム102における巡回撮影方法を説明するフローチャートである。S701からS704はそれぞれS401からS404と同様のため説明を省略する。
【0081】
S704にて「処理待ち」のステータスのレコードが存在した場合は前処理作業が行われる可能性があると判断し、S705を実行する。ここで、S704でステータスが「処理待ち」であったレコードを基準工程レコードとする。
次にS705にて巡回制御部318は、基準工程レコードのジョブIDが一致するジョブ情報のレコードであって、さらに基準工程レコードより前工程のレコードを取得する。本実施形態においては前工程かどうかの判別は工程IDの大小を比較することで判別可能なものとする。取得した前工程のレコードのステータスが「処理待ち」であるかを判定する。
【0082】
S705にてステータスが「処理待ち」だった場合はS709に分岐し、すべて「実行中」か「正常終了」であった場合はS706の処理を実行する。ここで基準工程の前工程が複数あった場合には、そのうちのいずれかが「処理待ち」であれば、S705では「処理待ち」である判定してよい。S706からS710はそれぞれS405からS409と同様のため説明を省略する。
【0083】
図7のS705により、ステータスが「処理待ち」でS704にて撮影対象と判断された機器であっても、着目工程の前工程のステータスによっては巡回撮影をスキップすることができる。前工程の作業が行われる可能性が少ない撮影を減らすことで、結果として、より効率的な撮影を行うことができる。
【0084】
[実施形態3]
実施形態1及び2では、前工程作業の情報を効率的に取得するための方法を説明した。そのため、実施形態1及び2ではジョブのS404において、ジョブ情報のステータスがすべて「正常終了」の場合、つまり稼働予定のない機器については撮影を行わなかった。
【0085】
実施形態3では、後工程作業の情報も効率的に取得することで、後工程作業を含めた生産性向上を図ることが可能な実施形態を説明する。後処理機器の種類によってはすべてのジョブの終了後にも後工程作業として作業が行われる機器がある。例えば断裁機の場合、切りくず受けの清掃作業がそれにあたる。本実施形態ではすべての稼働ジョブの終了後であってもイベントを検知したい機器を撮影対象とすることで、後処理作業の情報も取得する例について説明する。なお、実施形態2と同様の部分の説明は省略する。
【0086】
図8は本実施形態におけるカメラ管理システム102のソフトウェア構成を示す図である。カメラ管理システム102はカメラ操作指示部311、映像受信部312、通信部313、映像解析部314、イベント送信部315、撮影先情報管理部316、巡回情報管理部317、巡回制御部318、機器情報管理部319を有する。表5に機器情報管理部319で管理される機器情報の例を示す。
【0087】
【0088】
機器情報はプリンタ104および後加工機105を一意に識別するデバイスIDおよびプリンタ、断裁機、製本機といった機器種別であるデバイスタイプで構成される。
【0089】
図9は本実施形態を示すカメラ管理システム102における巡回撮影方法を説明するフローチャートである。S901からS903はそれぞれS701からS703と同様のため説明を省略する。
【0090】
S903にて巡回設定が取得できた場合、後述するS904の処理を実行する。S904において、巡回制御部318は機器情報管理部319を通じて巡回設定に含まれる撮影対象のデバイスIDが一致する機器情報のデバイスタイプを取得し、それがprinter(プリンタ)かどうかを判別する。本実施形態においてはデバイスタイプがprinterかどうかにより処理を切り替えているが、printer以外のデバイスタイプであってもよい。S904にてデバイスタイプがprinterだった場合、S906の処理を実行する。S904にてデバイスタイプがprinterでなかった場合、S905において、巡回制御部318はS901で取得したジョブ情報のうち、巡回設定に含まれる撮影対象のデバイスIDが一致するについてステータスがすべて「正常終了」であるか判定する。プリンタ以外の機器とは例えば後処理装置などである。
【0091】
S905では、例えば、巡回設定に含まれる撮影先のデバイスIDが「Device_B」であった場合、ジョブ情報が表1のような状態であれば、ステータスがすべて「正常終了」であると判断する。S905にてステータスがすべて「正常終了」だった場合、後述するS908の処理を実行し、そうでなかった場合はS906の処理を実行する。S906からS912はそれぞれS704からS710と同様のため説明を省略する。
【0092】
本実施形態では、S904およびS905により、ステータスがすべて「正常終了」の機器であっても撮影を継続したい機器たとえば後加工機がある場合に、巡回撮影を継続することで稼働状況の変化の見逃しを低減できる。なおS904では撮影対象のデバイスがプリンタであるか判定し、プリンタ以外であればS905に分岐している。これを、S904では撮影対象のデバイスが、処理後の後作業が必要なデバイス、たとえば断裁機であるか判定し、該当するデバイスであればS905に分岐してもよい。このように構成することで、後作業が必要な機器についてジョブの完了後にも監視を継続することができる。
【0093】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0094】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0095】
101 ワークフローシステム、102 カメラ管理システム、103 ネットワークカメラ、104 プリンタ、105 後加工機、301 ジョブ管理部、316 撮影先情報管理部、317 巡回情報管理部、318 巡回制御部、319 機器情報管理部