IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7437961監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム
<>
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図1
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図2
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図3
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図4
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図5
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図6
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図7
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図8
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図9
  • 特許-監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240216BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020020894
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021128379
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一郎
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195083(JP,A)
【文献】特開2002-132324(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0045318(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段ごとに監視対象とする対象機器の識別情報と対応する画面中の領域とを保存した保存手段と、
ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段と、
前記対象機器を含む映像を前記撮影手段により撮影し、前記対象機器に対応する前記領域を対象領域として所定の順序で監視する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記所定の順序に従って次の対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視制御装置であって、
前記制御手段はさらに、前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがあり、かつ、当該ジョブの前記対象機器で実行される工程の前に処理待ち状態の工程があれば、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視制御装置であって、
前記制御手段はさらに、前記対象機器が予め定めた種類の機器である場合には、前記対象機器を用いるジョブがすべて完了していれば、前記対象機器を前記制御手段により監視する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の監視制御装置であって、
前記制御手段は、
前記撮影手段により所定時間の映像を撮影し、
前記映像の撮影前の前記対象機器の状態に基づいて、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定し、
前記対象機器が特定されなかった場合には、前記映像の撮影後の前記対象機器の状態に基づいて、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の監視制御装置であって、
前記撮影手段により撮影した前記映像に基づいて、前記対象機器と対応する前記領域から前記対象機器に関するイベントを検出する検出手段をさらに有する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の監視制御装置であって、
前記検出手段は、前記映像から予め定めた対象を検出することでイベントを検出する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の監視制御装置であって、
前記予め定めた対象には、作業者または前記対象機器のランプの点灯を含む
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の監視制御装置であって、
検出した前記イベントを、該イベントをユーザインタフェースに表示する情報処理装置に対して送信する手段をさらに有する
ことを特徴とする監視制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の監視制御装置と、
監視対象の機器を撮影可能な撮像手段と、
前記監視制御装置から前記イベントを受信して該イベントをユーザインタフェースに表示する情報処理装置と
を有することを特徴とする監視システム。
【請求項10】
撮影手段ごとに監視対象とする対象機器の識別情報と対応する画面中の領域とを保存した保存手段と、
ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段と、
前記対象機器を含む映像を前記撮影手段により撮影し、前記対象機器に対応する前記領域を対象領域として所定の順序で監視する制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記制御手段は、前記所定の順序に従って次の対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
撮影手段ごとに監視対象とする対象機器の識別情報と対応する画面中の領域とを保存した保存手段と、ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段とを有する監視制御装置が、
前記対象機器を含む映像を前記撮影手段により撮影し、
前記対象機器に対応する前記領域を対象領域として所定の順序で監視することを特徴とする監視制御方法であって、
前記所定の順序に従って次の対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばネットワークカメラによる印刷工場稼働状況などの収集に関する監視制御装置、監視制御方法、監視システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、印刷工場内の機器稼働状況及び作業員の作業実施状況を収集、分析することで、生産性向上のための改善活動への利用が求められている。印刷工場で使用されるプリンタは、ネットワーク経由で機器の稼働状況を管理システムであるワークフローシステムに通知、収集可能である。しかし、機器稼働に関連する前処理作業や後処理作業については、プリンタを通して作業状況の自動収集ができない。前処理作業の例としては、作業指示書やデータの確認、機材や用紙の準備、試し出しなどがある。後処理作業の例としては、検品、指示書とのつき合わせなどがある。
【0003】
これらネットワーク経由で稼働情報が取得できない作業については、開始および終了などの作業情報をモバイル端末で入力し、入力した情報を情報収集サーバーに送信し保持する仕組みが提案されている(特許文献1)。しかしこの方法では、作業者の負担がかかる上に、作業者のタイミングによって入力されるため正確な時間が記録されるとは限らない。
【0004】
一方、印刷工場の稼働状況を収集するため、ネットワークカメラによる稼働監視が考えられる。ネットワークに接続されたカメラでプリンタや後加工機のコントロールパネル表示やパイロットランプの点灯状態、機器周辺での作業者の状況を撮影し、その稼働状況の変化を検出し、イベントとして収集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-81713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ネットワークカメラで、撮影した複数の機器が映った映像を解析して稼働状況の収集を行う場合、解析対象の機器が大量にあるとすべての領域を解析するための処理時間が増大してしまう。一方、前処理作業を含む生産性の管理が求められていることから、プリンタから情報収集できない前処理作業の情報を収集する必要性も高い。そのため、単純にすべての機器の領域の映像解析をすると効率的に前工程作業の情報を収集できないという課題がある。また、注文の状況次第では使用されない機器がある。例えばリーフレットの場合、製本機は使用されないため、常にすべての映像の解析を行うと、製本機の周辺で前処理作業に似た作業が行われていると、当該機器が使用されないような状況であっても前処理作業が行われたと誤検知してしまう場合がある。
【0007】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、監視対象の機器のステータスに応じて監視対象を切り替えることで、監視対象の機器の状態変化の見逃しおよび誤検知を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の一側面によれば、撮影手段ごとに監視対象とする対象機器の識別情報と対応する画面中の領域とを保存した保存手段と、
ジョブごとの、該ジョブで用いる機器の状態を保持する保持手段と、
前記対象機器を含む映像を前記撮影手段により撮影し、前記対象機器に対応する前記領域を対象領域として所定の順序で監視する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記所定の順序に従って次の対象機器を特定し、特定した前記対象機器の状態が処理待ち状態であるジョブがなければ、前記所定の順序に従って前記対象機器の次の機器を対象機器として特定する
ことを特徴とする監視制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、監視対象の機器のステータスに応じて監視対象を切り替えることで、監視対象の機器の状態変化の見逃しおよび誤検知を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のイベント収集システムの全体構成を示す図である。
図2】本実施形態のハードウェア構成を示す図である。
図3】本実施形態のソフトウェア構成を示す図である。
図4】本実施形態のイベント検出方法及び検出判定方法を説明するフローチャートである。
図5】本実施形態の稼働状況画面生成方法を説明するフローチャートである。
図6】本実施形態の稼働状況画面の例を示す図である。
図7】実施形態2の検出判定方法を説明するフローチャートである。
図8】実施形態3のカメラ管理システム102のソフトウェア構成を示す図である。
図9】実施形態3の検出判定方法を説明するフローチャートである。
図10】本実施形態のネットワークカメラ103の撮影映像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<システム構成>
図1は本実施形態のイベント収集システムの構成を示すブロック図である。
イベント収集システムは、ワークフローシステム101、カメラ管理システム102、ネットワークカメラ103、プリンタ104、後加工機105、DB106がネットワーク100を介して通信可能に構成されている。ここでは、プリンタ104はワークフローシステム101とネットワーク接続されている。印刷後の後加工(断裁や製本等)を行う後加工機105は複数あり、それぞれネットワーク接続されている例を説明する。ただし、プリンタ104は複数であってもよし、後加工機105は複数でなくてもよい。ネットワークは例えば、インターネット等のLAN、WAN、電話回線等により実現されるいわゆる通信ネットワークであり、データの送受信が可能であればよい。なおイベント収集システムは、監視対象の機器を監視する監視システムということもできる。
【0013】
ワークフローシステム101は、プリンタ104による印刷や後加工機105による後加工処理の管理を行うシステムであり、注文品生産のための印刷データ、印刷設定、後加工機の機器設定、工程情報を含むジョブ情報を管理する。また、ワークフローシステム101はプリンタ104や後加工機105から機器稼働状態および工程の開始、終了の指示を受け取り、それを管理する。
【0014】
ワークフローシステム101は、情報処理装置により実行されるプログラムで実現されてよい。ワークフローシステム101は、たとえば元となる文書データや書式(印刷設定)、後処理設定などの情報に基づいて、ネットワークで接続された機器に送信する印刷ジョブや後処理ジョブを生成し、各機器に送信する。さらに処理手順を指示するための指示書を生成し、印刷物やデータとしてオペレータに提示する。オペレータはその指示書に従って例えば各機器による印刷や後処理のための準備すなわち前処理作業を行い、対象の工程を実行させる。前処理作業には、たとえば前段の機器の出力物を指示に従って移動し、次段の機器の所定箇所に載置することなどが含まれる。なお本実施形態では、1つの文書を印刷物の製品に仕上げるまでの一連の工程をジョブと呼び、ジョブに含まれる加工の単位を工程と呼んでいる。しかしながら、ある工程がプリンタや後加工機で実施される場合には、その工程についてワークフローシステムにより生成される作業指示情報またそれに基づく処理を「ジョブ」と呼ぶことがある。例えば印刷ジョブや後加工機による加工ジョブなどである。
【0015】
カメラ管理システム102は複数のネットワークカメラ103を管理し、ネットワークカメラ103に対して撮影の指示および撮影された映像の受信を行う。また、カメラ管理システム102は受信した映像からプリンタ104および後加工機105の各機器に対する前処理作業の有無を検出し、それをイベントとしてDB106へ送信する。カメラ管理システム102は、情報処理装置により実行されるプログラムで実現されてよい。カメラ管理システムは監視制御システムによる監視機能を制御するもので、監視制御装置と呼ぶこともでき、それにより実行される処理により監視制御方法を実施する。
【0016】
プリンタ104は、ワークフローシステム101から印刷データおよび印刷設定を受信し、印刷を行う。それととともに、自身の機器状態(実行中、正常終了、エラー終了、待機状態等)をジョブと工程を特定できる情報とともにワークフローシステム101に送信する。後加工機105は、ワークフローシステム101から後加工機の機器設定を受け取り、後加工処理を行う。それとともに、自身の機器状態(実行中、正常終了、エラー終了、待機状態等)をジョブと工程を特定できる情報とともにワークフローシステム101に送信する。DB106はカメラ管理システム102からのイベントを受信し、それを保持する。また、DB106は不図示のクライアントPCからのリクエストに応じてワークフローシステム101のジョブ情報とイベントから印刷工場の稼働状況を確認できる画面を生成する。
【0017】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、図1のワークフローシステム101、カメラ管理システム102、DB106のハードウェア構成を示すブロック図である。
201はユーザインタフェースであり、ディスプレイ、キーボード、マウス、タッチパネルなどによる、情報の入出力を行う。203はネットワークインタフェースであり、LANなどのネットワーク100に接続して、他のコンピュータやネットワーク機器との通信を行う。204はROMで、組込済みプログラムおよびデータが記録されている。205は一時メモリ領域のRAMである。206はHDDに代表されるような二次記憶装置である。202はCPUであり、ROM204、RAM205、二次記憶装置206などから読み込んだプログラムを実行する。各部はバス207を介して接続されている。
【0018】
図2(B)は、図1のネットワークカメラ103のハードウェア構成を示すブロック図である。211はユーザインタフェースであり、リモートシェルなどにより、他のコンピュータから接続・操作することができる。213はネットワークインタフェースであり、LANなどのネットワークに接続して、他のコンピュータやネットワーク機器との通信を行う。214はROMで、組込済みプログラムおよびデータが記録されている。215は一時メモリ領域のRAMである。
216はHDDに代表されるような二次記憶装置である。213はCPUであり、ROM214、RAM215、二次記憶装置216などから読み込んだプログラムを実行する。217はCCD等を備える撮像部であり、撮像対象を撮像して得られる映像を二次記憶装置216に記憶させる。各部はバス218を介して接続されている。
【0019】
図2(C)は、図1のプリンタ104のハードウェア構成を示すブロック図である。221はユーザインタフェースであり、ディスプレイ、キーボード、タッチパネルなどによる、情報の入出力を行う。223はネットワークインタフェースであり、LANなどのネットワーク100に接続して、他のコンピュータやネットワーク機器との通信を行う。224はROMで、組込済みプログラムおよびデータが記録されている。225は一時メモリ領域のRAMである。226はHDDに代表されるような二次記憶装置である。222はCPUであり、ROM224、RAM225、二次記憶装置226などから読み込んだプログラムを実行する。227は印刷エンジンであり、紙(シート)へデータの印刷を行う。各部はバス228を介して接続されている。後加工機105は、図2(C)の構成のうち印刷エンジン227を後加工のためのデバイスに置き換えた構成を有していてよい。
【0020】
<ソフトウェア構成>
図3図1に示したワークフローシステム101、カメラ管理システム102、ネットワークカメラ103、プリンタ104、後加工機105およびDB106それぞれのソフトウェア構成を示す図である。以下これらの動作について説明する。これらの動作は、各装置のメモリに保存されたブログラムをCPUが実行することにより実現される。
【0021】
●ワークフローシステム
ワークフローシステム101は、ジョブ管理部301、通信部302、印刷ジョブ送信部303を有する。ワークフローシステム101のジョブ管理部301は注文生産品を生産するための生産工程に関する情報をジョブ情報として管理する。表1にジョブ管理部301で管理されるジョブ情報の一部の例を示す。尚、ここでは、説明のために、ジョブが3つの例を示すが、ジョブ情報は、例えば、その日に処理すべき多くのジョブに関する情報であることが多い。
【0022】
【表1】
【0023】
ジョブ情報はワークフローシステム101で管理される注文生産品の生産工程および生産状況を管理するデータテーブルであり、ジョブID、工程ID、デバイスID、ステータス、開始日時、終了日時で構成される。
【0024】
ジョブIDはワークフローシステム101で管理している注文生産品を識別するIDであり、後述する複数の工程IDで構成される。工程IDはプリンタ104での印刷や後加工機105での製本、断裁等の処理といったジョブを構成する作業工程を一意に識別するIDである。工程には順番があり、本実施形態においてその順番は工程IDの大小を比較することで判別可能なものとする。表Aの例によれば3個の注文生産品を生産するためのジョブが存在し、ジョブ「job_001」については工程「p_001」、「p_002」がこの順番で構成され、それ以外のジョブは単一の工程で構成されている。
【0025】
デバイスIDは作業工程で使用されるプリンタ104、後加工機105の機器を一意に識別するIDである。ステータスは作業工程の実施状態を表す。
本実施形態においてはステータスとして作業工程の開始前状態の「処理待ち」、プリンタ104および後加工機105による動作中状態の「実行中」、作業工程が完了した状態の「正常終了」があるが、それ以外のステータスであってもよい。
【0026】
開始日時は作業工程の作業開始日時、終了日時は作業工程の作業終了日時であり、後述するプリンタ104や不図示のクライアントPCからの機器稼働状況通知リクエストにより前記ステータスの変更とともに追加する。
【0027】
また、ジョブ管理部301はプリンタ104や不図示のクライアントPCからデバイスID、機器稼働状況及び工程IDを含む機器稼働状況通知リクエストを受信する。そして、受信した機器稼働状況通知リクエストの内容に応じてジョブ情報のステータス、開始日時、終了日時を更新する。
【0028】
例えば、プリンタ104は、ジョブIDが「job_001」であり、工程IDが「p_001」の印刷ジョブをワークフローシステム101から受信し、印刷処理を実行する。プリンタ104で印刷処理が開始されると、プリンタ104は自身の機器状態の変更(あるいは変化)をイベントとして検知する。そしてそのイベントに応じて、デバイスID「Device_A」、ジョブID「job_001」、工程ID「p_001」、機器稼働状況「印刷中」を含む機器稼働状況通知リクエストを送信する。この時ジョブ管理部301はジョブ情報からジョブIDおよび工程IDが一致するレコードを検索し、該当するレコードのステータスが「処理待ち」だった場合は当該作業工程が動作中状態になったとし、当該レコードのステータスを「実行中」に変更する。合わせてジョブ管理部301はステータスが「実行中」に変更した時刻であるリクエスト受け付け時刻を開始日時に設定する。一方該当するレコードがなければ、新たにレコードを追加して受信した情報の各項目の値を登録する。
【0029】
また、プリンタ104は印刷処理を完了すると、そのイベントに応じて自身のデバイスID「Device_A」、ジョブID「job_001」、工程ID「p_001」、機器稼働状況「印刷終了」を含む機器稼働状況通知リクエストを送信する。この時ジョブ管理部301はジョブ情報からジョブIDおよび工程IDが一致するレコードを検索、当該レコードのステータスが「実行中」だった場合は当該作業工程が完了状態になったとし、当該レコードのステータスを「正常終了」に変更する。合わせてジョブ管理部301はステータスが「正常終了」に変更した時刻であるリクエスト受け付け時刻を終了日時に設定する。
【0030】
後加工機105についても、プリンタ104と同様、イベントの発生に応じてネットワーク経由で稼働状況通知リクエストを送信する。尚、本実施形態では、後加工機105はネットワーク接続されている例を示すが、ネットワーク経由で稼働状況通知リクエストが送信できない後加工機105についても対応可能である。ネットワーク接続されていない後加工機105は、作業者が不図示のタブレットやクライアントPCから稼働状況通知リクエストを作成、送信する。
【0031】
また、ジョブ管理部301はカメラ管理システム102およびDB106からのジョブ情報取得リクエストを受信し、ジョブ情報をレスポンスとして送信する。
【0032】
印刷ジョブ送信部303は通信部302を通じてジョブID、工程IDとともに印刷データを印刷ジョブとしてプリンタ104に送信することで印刷指示を行う。加工ジョブ送信部304は通信部302を通じてジョブID、工程IDとともに後加工機の機器設定を加工ジョブとして後加工機105に送信することで加工指示を行う。
【0033】
●カメラ管理システム
カメラ管理システム102はカメラ操作指示部311、映像受信部312、通信部313、映像解析部314、イベント送信部315、監視先情報管理部316、検出制御部317を有する。
【0034】
カメラ操作指示部311は通信部313を通じてネットワークカメラ103へ撮影指示を行い、映像受信部312はネットワークカメラ103からの撮影された映像すなわち撮影映像を受信する。受信した撮影映像は映像解析部314で人物検知や機器コントロールランプの点灯検知等の映像解析を行い、前処理作業が実行中かどうかの前処理作業状況を判定する。イベント送信部315は前処理作業状況の判定結果と後述するデバイスID、時刻をイベントとして通信部313を通じてDB106に送信する。
【0035】
表2に監視先情報管理部316で管理される監視先情報の例を示す。
【0036】
【表2】
【0037】
監視先情報はカメラ管理システム102で管理されるネットワークカメラ103と監視対象のデバイスを、映像の領域、映像解析方法とともに監視先として管理するデータテーブルであり、カメラID、監視先デバイスID、領域、解析方法で構成される。
【0038】
カメラIDはカメラ管理システム102が管理するネットワークカメラ103を一意に識別するIDである。監視先デバイスIDは前述のカメラID、領域で特定されるプリンタ104、後加工機105を一意に識別するIDである。すなわち監視先デバイスIDは、監視対象の機器の識別情報である。領域はネットワークカメラから取得した映像の画面中の領域の値を保持する。この値は、たとえば監視対象の機器とその周辺など、解析対象の領域が含まれた矩形領域の対角点を構成する2点の座標を示していてよい。もちろんより複雑な形状の領域を示す輪郭点の座標であってもよいし、他の方法で示されていてもよい。この領域に対し、後述する解析処理を行うことで監視先デバイスIDにおける前処理作業が行われたかの検出が可能となる。解析方法は撮影映像の解析処理であり、どの解析処理を用いて前処理作業の有無の検出を行うかを示す。あるいは解析方法は、検出対象を示しているともいえる。
【0039】
解析方法は例えば「人物検出」の場合、映像内に人物を検出した時間を前処理作業時間であると判定し、「ランプ点灯検出」の場合、機器カバー開閉状態ランプなどのランプが点灯している時間を前処理作業時間であると判定する処理を指定するものである。
【0040】
表2の例の場合、カメラID「Cam_A」で撮影した映像では機器「Device_A」、「Device_B」、「Device_C」の3つの機器について前処理作業の検出を行う監視先が関連付けられている。例えば1行目の監視先は、「Cam_A」で撮影された映像の領域「(120,65),(100,100)」内でその映像から人物が検出された時間を特定し、それを機器「Device_A」で行われた前処理作業時間だと判定する解析方法が設定されている。
【0041】
検出制御部317は、原則的には監視先情報に応じてネットワークカメラ103による監視対象の撮影と監視対象の領域の映像解析とを制御する。それに加えて、ワークフローシステム101からジョブ情報を取得し、前述の監視先情報に含まれる機器のうち、どの機器に対する映像の解析を行うかどうかを判断する。すなわち、監視対象として設定されている機器であっても、ジョブ情報に応じて、その機器に対応する映像領域の解析をスキップする制御を行う。
【0042】
●ネットワークカメラ
ネットワークカメラ103は撮影部321、映像送信部322、通信部323を有する。撮影部321は通信部323を通じてカメラ管理システム102から撮影指示を受け取ると、カメラ撮影を行い、映像送信部322は撮影部321で撮影した映像を、通信部323を通じてカメラ管理システム102に送信する。ネットワークカメラ103は、図10に示したように、監視対象を含む広範囲の映像を撮影可能である。
【0043】
●プリンタ
プリンタ104は印刷ジョブ受信部331、印刷部332、通信部333、ステータス送信部334を有する。印刷ジョブ受信部331は、通信部333を通じてワークフローシステム101から送信された印刷ジョブを受信し、印刷部332で印刷出力を行う。また、ステータス送信部334は自身の機器ステータス(実行中、エラー終了、正常終了、待機状態等)に変化が生じた際に、その変化を検知する。そして変化後のステータスを印刷ジョブで受信した(すなわち機器の状態が変化したジョブの)ジョブID、工程IDとともに機器稼働状況通知リクエストとしてワークフローシステム101に送信する。
【0044】
●後加工機
後加工機105はジョブ受信部351、加工部352、通信部353、ステータス送信部354を有する。加工ジョブ受信部351は、通信部353を通じてワークフローシステム101から送信されたジョブを受信し、加工部352で後加工処理を行う。また、ステータス送信部354は自身の機器ステータス(実行中、エラー終了、正常終了、待機状態等)に変化が生じた際に、その変化を検知する。そして変化後のステータスを印刷ジョブで受信した(すなわち機器の状態が変化したジョブの)ジョブID、工程IDとともに稼働状況通知リクエストとしてワークフローシステム101に送信する。
【0045】
●データベース(DB)
DB106は通信部341、イベント情報管理部342、稼働状況生成部343を有する。イベント情報管理部342は通信部341を通じてカメラ管理システム102から送信されたイベントを受信し、後述するイベント情報として管理する。
表3にイベント情報管理部342で管理されるイベント情報の例を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
イベント情報は前処理作業を開始した検出開始日時、前処理作業を終了した検出終了日時および前処理作業の実施されたデバイスIDから構成される。
【0048】
表3によると、例えば1行目のレコードは、デバイスID「Device_B」の機器で前処理作業が行われていたことを示している。そしてその期間は、検出開始日時の「2019-11-21T10:31:00Z」から検出終了日時の「2019-11-21T10:32:00Z」までである。
【0049】
稼働状況生成部343は不図示のクライアントPCからの稼働状況画面取得リクエストに応じて、ワークフローシステム101のジョブ情報およびイベント情報から各デバイスの前処理作業および機器稼働状況を表示した画面を生成する。
【0050】
<イベント検出処理>
図4(a)は本実施形態を示すカメラ管理システム102におけるイベント検出処理方法を説明するフローチャートである。なお、各ステップは、CPU202が記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0051】
S401において、検出制御部317は通信部313を通じてワークフローシステム101へジョブ情報取得リクエストを送信する。それに応じて、S402により取得する映像の撮影前の、処理対象のすべてのジョブ情報を第一のジョブ情報として取得する。たとえば、表1のようなジョブ情報がここでは取得される。
【0052】
次にS402でカメラ操作指示部311は通信部313を通じて監視先情報に含まれるカメラIDのネットワークカメラ103へ撮影指示を送信する。表2の例の場合「Cam_A」へ撮影指示を送信する。複数のカメラIDが監視先情報に含まれていればすべてのカメラに対して撮影時を送信する。この時、カメラ操作指示部311は不図示の撮影時間を撮影指示に含めて送信する。この撮影時間は所定時間であり、例えば固定値で「60秒」など、1回の検出処理を行う撮影映像の長さでありどのような値でもよい。撮影時間を含む撮影指示を受信したネットワークカメラ103の撮影部321は、カメラ操作指示部311から指示された撮影時間だけ映像を撮影する。撮影後、映像送信部322はカメラ管理システム102へ撮影映像を送信することでカメラ管理システム102の映像受信部312は「Cam_A」の撮影映像を受信する。
【0053】
本実施形態のS402では、カメラ管理システム102からの指示によりネットワークカメラ103で撮影を開始するが、この他、ネットワークカメラ103は常に映像撮影と送信を行い、カメラ管理システム102は必要な映像を取得するよう構成しても良い。
【0054】
S403において、検出制御部317は通信部313を通じてワークフローシステム101へジョブ情報取得リクエストを送信する。それに応じて、S402により取得する映像の撮影後の、処理対象のすべてのジョブ情報を第二のジョブ情報として取得する。ここでは映像撮影後のジョブ情報が取得される。もしも撮影中に状態(ステータス)が変化したジョブがあれば、そのジョブのステータスはS401で取得したジョブ情報のステータスと相違しているはずである。
【0055】
次にS404において、検出制御部317は監視先情報管理部316を通じて、監視先情報(表2)に含まれた、解析対象の映像を撮影するカメラIDのカメラによる監視先をすべて取得する。表2ではカメラIDはCam_Aのみであり、Cam_Aによる監視先すなわち監視対象の機器は、Device_A、Device_B、Device_Cの3台である。
【0056】
次にS405で、検出制御部317はS404で取得した監視先設定の監視先を先頭から順番に読み出し、監視先デバイスIDを取得する。すなわち所定の順序に従って監視先デバイスIDを取得する。
【0057】
S406において、カメラ管理システム102は、S402で取得した映像から監視先の監視先デバイスIDの映像の解析、イベント情報送信を前記第一のジョブ情報に応じて行う。このステップでは、監視対象の領域(すなわち対象領域)からイベントを検出する。監視先デバイスIDの映像の解析は、たとえば監視先デバイスIDに対応する領域に含まれた画像を対象として、監視先デバイスIDに対応する解析方法により行ってよい。本処理の詳細は後述する。
【0058】
S407にて、検出制御部317はS406にて監視先の映像の解析と前処理工程のイベント検出を実行したかを判定する。具体的には、後述するS412、S413の処理を実行したかどうかを判定する。S412、S413の処理を実行していた場合、S409の処理を実行する。S412、S413の処理を実施していなかった場合、後述するS408の処理を実行する。
【0059】
次にS408において、カメラ管理システム102はS402で取得した映像から監視先の監視先デバイスIDの映像の解析、イベント情報送信を前記第二のジョブ情報に応じて行う。このステップでは、監視対象の領域からイベントを検出する。本処理の詳細は後述する。このように、映像取得後のタイミングで取得した第二のジョブ情報を用いて、S408にて再度検出判定を行う。こうすることにより、S402で取得した映像の時間(内でジョブ情報のステータスが例えば「実行中」から「処理待ち」に変化した場合であっても、稼働状況の変化の検出可能となる。
【0060】
S409にて、検出制御部317は次の監視先が取得できるかどうかを判定する。監視先が取得できなかった場合、例えば表2の場合は3か所すべての監視先でのイベント検出が完了していればS410に遷移する。S409にて監視先が取得できた場合、つまりすべての監視先について処理をしていない場合はS405の処理に戻る。
【0061】
次にS410にて、カメラ操作指示部311は検出終了指示を受け付けたかどうかを確認し、検出終了指示を受け付けていた場合は処理を終了、受け付けていない場合はS401へ戻りイベント検出処理を繰り返す。
【0062】
図4(b)は本実施形態を示すカメラ管理システム102における検出判定方法を説明するフローチャートであり、図4(a)のS406およびS408で実行する処理である。以降、S406の処理として図4(b)の検出判定方法が実行された場合はジョブ情報として第一のジョブ情報が、S408の処理として実行された場合はジョブ情報として第二のジョブ情報が使用されるものとする。
【0063】
S411で検出制御部317はS401またはS403で取得したジョブ情報のうち、監視先設定に含まれる監視先デバイスIDが一致するデバイスIDについて、対応するステータスに「処理待ち」が含まれるレコードがあるかどうかを判定する。例えば、監視先に含まれる監視先デバイスIDが「Device_A」であった場合、ジョブ情報が表1のような状態であれば、ステータスに「処理待ち」であるレコードが存在する(表1の3行目を参照)と判断する。
【0064】
S411にてステータスが「処理待ち」のレコードがなかった場合は処理を終了し、「処理待ち」のステータスのレコードが存在した場合は前処理作業が行われる可能性があると判断し、後述のS412を実行する。
【0065】
S412において、映像解析部314は監視先情報管理部316から、S411で「処理待ち」と判定された監視先デバイスIDに対応する領域と解析方法とを取得し、その解析処理に従って撮影映像の領域内において解析を行う。例えば「人物検出」の場合は、対応領域内の撮影映像に人物が映り込んでいるかどうか、「ランプ点灯検出」の場合はコントロールランプが点灯しているかどうかを解析し、前処理作業が実施されているかどうかを解析する。「人物検出」の場合は、対応領域内の撮影映像に人物が検出された場合に、「ランプ点灯検出」の場合は、対応領域内の撮影映像にコントロールランプの点灯が検出された場合に、前処理作業が実施されていると判定する。前処理作業が検出された場合はその検出日時を後述するS413にてイベント情報としてDB106へ送信する。検出日時は映像情報の属性として含まれた日時を抽出して用いればよい。
【0066】
S413にて、イベント送信部315は監視先であるデバイスID、S411の映像解析により検出した前処理作業の検出開始日時および終了日時をイベント情報として通信部313を通じてDB106へ送信する。DB106は受信した情報を表3のようなイベント情報に登録する。
【0067】
以上により、カメラ管理システム102はネットワークカメラ103によるイベント検出処理を行う。
【0068】
<稼働状況画面生成>
図5は本実施形態におけるDB106が印刷工場の稼働状況画面を生成するフローチャートである。
【0069】
S501においてDB106の稼働状況生成部343は、通信部341を通じて不図示のクライアントPCから稼働状況画面生成リクエストを受け取る。
【0070】
S502にて、稼働状況生成部343はワークフローシステム101からジョブ情報を取得する。ジョブ情報にはデバイスID、開始日時、終了日時が含まれており、各機器がどの時間帯に稼働をしていたかが分かる。
【0071】
次にS503にて稼働状況生成部343はイベント情報管理部342を通じてイベント情報を取得する。イベント情報には検出開始日時、検出終了日時、デバイスIDが含まれており、各機器がどの時間帯に前処理作業が行われていたかが分かる。
【0072】
S504にて稼働状況生成部343は後述する稼働状況画面600を生成し、S505にて稼働状況生成部343はクライアントPCへ稼働状況画面をレスポンスとして送信する。以上により、DB106は稼働状況画面を生成する。
【0073】
図6は本実施形態における稼働状況生成部343が図5のS504にて生成する稼働状況画面600の例である。601はデバイスID表示部分である。602は各機器における前処理作業が行われていた時間帯を示すタイムラインでありS503で取得したイベント情報から生成する。603は各機器における機器稼働時間帯を示すタイムラインであり、S502で取得したイベント情報から生成する。
【0074】
イベント情報で取得できるイベントの前処理作業を示す時間は離散的となる。これはカメラ管理システム102で一定時間で区切って機器の撮影または映像の取得をしているため、映像を未取得の時間帯が存在するためである。
【0075】
例えば表3の場合、Device_Bの前処理作業時間は、「2019-11-21T10:32:00Z」から「2019-11-21T10:34:00Z」の間は前処理作業が行われていないことになっている。これは、この時間の間、ネットワークカメラ103が撮影をしていないか、または撮影した映像を取得していないために空白時間が存在していることを示している。そのため稼働状況生成部343は一定時間以内の空白時間についてそれを無視し前処理作業が継続しているとみなしてもよく、本実施形態においては撮影間隔以内の空白時間を無視することとする。
【0076】
このとき表3の例の場合、Device_Bは「2019-11-21T10:31:00Z」から「2019-11-21T10:35:00Z」でひとつの前処理作業が行われたとする。また、「2019-11-21T10:41:00Z」から「2019-11-21T10:45:00Z」までについても別のひとつの前処理作業が行われたとし、その間の時間については前処理作業が行われていないとみなす。これは例えば、その間の時間は、撮影間隔を超えているためである。なお、映像を取得できない時間帯がないとしても、図4の手順のように連続的な映像を一定の期間に区切って解析することで、その解析結果は表3のような離散的なものとなる。
【0077】
この稼働状況画面により、機器の稼働状態だけでなく前処理作業も含めた印刷工場の正確な稼働状況を把握できるようになる。
【0078】
[実施形態2]
実施形態1では、図4(a)のS406およびS408において、ジョブ情報のステータスに「処理待ち」がある場合は必ず検出対象とし、映像解析を行っていた。ある機器について「処理待ち」の工程があっても、前工程が実行中の場合、前工程の処理が完了するまでは当該機器の「処理待ち」工程の前処理作業が行われることは少ない。前工程の出力物が次の工程の加工の対象となることが多いためである。そこで本実施形態では監視対象機器を、その着目工程(あるいは基準工程)の前工程のステータスよって検出対象とするかを判定することによって、より効率的に検出を行う例について説明する。なお、実施形態1と同様の部分の説明は省略する。
【0079】
図7は本実施形態を示すカメラ管理システム102における検出判定方法を説明するフローチャートである。S701、S703、S704はそれぞれS411、S412、S413と同様のため説明を省略する。図7の処理は、本実施形態では実施形態1の図4(b)に代えて実行される。
【0080】
S701にて、「処理待ち」のステータスのレコードが存在した場合は前処理作業が行われる可能性があると判断し、S702を実行する。ここで、S701でステータスが「処理待ち」であったレコードを基準工程レコードとする。
【0081】
次にS702にて検出制御部317は、基準工程レコードのジョブIDが一致するジョブ情報のレコードであって、さらに基準工程レコードより前工程のレコードを取得する。本実施形態においては前工程かどうかの判別は工程IDの大小を比較することで判別可能なものとする。S702では、取得した前工程のレコードのステータスが「処理待ち」であるかを判定する。
【0082】
S702にてステータスが「処理待ち」だった場合は処理を終了し、すべて「実行中」か「正常終了」であった場合はS703の処理を実行する。ここで基準工程の前工程が複数あった場合には、そのうちのいずれかが「処理待ち」であれば、S702では「処理待ち」である判定してよい。
【0083】
S702によりステータスが「処理待ち」と判定されると、S701にて検出対象と判断された場合であっても、前工程の処理が完了するまでは検出処理をスキップすることができる。これにより前工程の作業が行われる可能性が少ない領域の映像解析を減らすことで、結果としてより効率的な映像解析を行うことができる。
【0084】
[実施形態3]
実施形態1及び2では、前工程作業の情報を効率的に取得するための方法を説明した。そのため、実施形態1及び2ではジョブのS701において、ジョブ情報のステータスがすべて「正常終了」の場合、つまり稼働予定のない機器については撮影映像の解析処理を行わなかった。実施形態3では、後工程作業の情報も効率的に取得することで、後工程作業を含めた生産性向上を図ることが可能な実施形態を説明する。機器の種類によってはすべてのジョブの終了後にも後工程作業として作業が行われる機器がある。例えば断裁機の場合、切りくず受けの清掃作業がそれにあたる。本実施形態ではすべての稼働ジョブの終了後であってもイベントを検知したい機器を映像解析対象とすることで、後処理作業の情報も取得する例について説明する。なお、実施形態2と同様の部分の説明は省略する。
【0085】
図8は本実施形態におけるカメラ管理システム102のソフトウェア構成を示す図である。カメラ管理システム102はカメラ操作指示部311、映像受信部312、通信部313、映像解析部314、イベント送信部315、監視先情報管理部316、検出制御部317、機器情報管理部318を有する。表4に機器情報管理部318で管理される機器情報の例を示す。
【0086】
【表4】
【0087】
機器情報はプリンタ104および後加工機105を一意に識別するデバイスIDおよびプリンタ、断裁機、製本機といった機器種別であるデバイスタイプで構成される。
【0088】
図9は本実施形態を示すカメラ管理システム102の検出判定方法を説明するフローチャートである。S903からS906はそれぞれS701からS704と同様のため処理を省略する。本実施形態においては、図9の処理が、実施形態2の図7に代えて実行される。
【0089】
S901において、検出制御部317は機器情報管理部318を通じて監視先設定に含まれる監視先のデバイスIDが一致する機器情報のデバイスタイプを取得し、それがprinter(プリンタ)かどうかを判別する。本実施形態においてはデバイスタイプがprinterかどうかにより処理を切り替えているが、printer以外のデバイスタイプであってもよい。S901にてデバイスタイプがprinterだった場合、S903の処理を実行する。S901にてデバイスタイプがprinterでなかった場合、S902を実行する。
【0090】
S902において検出制御部317は、S406またはS408で取得したジョブ情報のうち、監視先設定に含まれる監視先デバイスIDが一致するステータスがすべて「正常終了」であるかどうか確認する。例えば、監視先設定に含まれる監視先デバイスIDが「Device_B」であった場合、ジョブ情報が表1のような状態であれば、ステータスがすべて「正常終了」であると判断する。S902にてステータスがすべて「正常終了」だった場合、後述するS905の処理を実行し、そうでなかった場合はS903の処理を実行する。S901およびS902により、ステータスがすべて「正常終了」の機器であっても前処理作業のイベント検出を継続したい機器がある場合に検出処理を継続することで稼働状況の変化の見逃しを低減できる。なおS901では撮影対象のデバイスがプリンタであるか判定し、プリンタ以外であればS902に分岐している。これを、S901では撮影対象のデバイスが、処理後の後作業が必要なデバイス、たとえば断裁機であるか判定し、該当するデバイスであればS902に分岐してもよい。このように構成することで、後作業が必要な機器についてジョブの完了後にも監視を継続することができる。
【0091】
図10は本実施形態におけるネットワークカメラ103による撮影映像の例を示す平面図である。作業室内にプリンタ104と後加工機105が配置されている。1001は作業者である。実施形態1から3では3つの機器を例にしてイベント収集方法の説明をしたが、図10のように機器が多数の場合、映像を解析しイベントを検出すべき領域も多数となるため、本発明はより効果を得ることができる。
【0092】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0093】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0094】
101 ワークフローシステム、102 カメラ管理システム、103 ネットワークカメラ、104 プリンタ、105 後加工機、301 ジョブ管理部、316 監視先情報管理部、317 検出制御部、318 機器情報管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10